「呪縛の島の魔法戦士」作:水野良 出版社:富士見書房

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堕ちた都市でヴァンの鍛えた十の聖剣の存在を知ったリウイ達は、まず一番遠い場所にある"呪われた島"ロードスへと渡ります!


ロードスといえば水野先生の代表作であり、現代のライトノベルの金字塔的作品。そのロードスとリウイの夢のコラボが実現するのです。

今までにもロードスとアレクラストとの交流はありました。カシューマール等、大陸から渡ってきたキャラがいましたからね。

しかも今回はリウイとパーンという二大主役の共演も実現する。気分は正に第二次スーパー水野大戦です。ちなみに第一次はクリスタニア


現在入手している聖剣は"番兵(センチネル)"のみ。ある程度物語が進んだらリストにしたいですね。


恒例の冒険する国の概要ですが、ロードス島自体複数の国が存在し、とてもではありませんがその全てを書く事はできません。

細かい設定は「ロードス島ワールドガイド」や既存の小説等を参考にするとして、今回はロードスという島自体の概要を確認しましょう。


ロードスという名の島がある。
アレクラスト大陸の南に浮かぶ辺境の島だ。
大陸の人々はロードスのことを、呪われた島と呼んでいる。
人の侵入を許さぬ魔の領域が島の各地に存在し、島全体を震撼させる激しい戦が何年も続いているがゆえに……。


これがロードスの物語を飾る伝統の出だしです。細部は毎回違いますが、「ロードスという名の島がある」はお決まりです。


この島が破壊の女神カーディス大地母神マーファの闘いから生まれたというのは、あまりにも有名な創世神話ですね。

カーディスが今わの際に大地を呪い、マーファはその大地を大陸から切り離した。こうして誕生したのがロードス島だと言われています。

破壊と創造、対極の神格を持つ女神の力によって生まれたのがロードス。そして二柱の女神の戦いは、今なお続いているとも言われる。

島が比較的平穏な時期はマーファが、荒れている時期はカーディスが優勢だとされ、それを抜きにしても危険な領域や魔物が跳梁跋扈してます。


自然とロードスという島そのもののレベルも高くなる。フォーセリア世界全体で見ても、その水準は飛び抜けているでしょう。

五色の魔竜・精霊王・魔神の軍勢・邪神・終末のものといった、大陸の住人では歯が立たないような強力極まりない存在が数多くいる。

太守の秘宝や三聖具に"魂砕き"といった反則的アイテムも存在し、小さい島ながら砂漠・湿原・森・山・谷・草原・湖・海峡と自然が豊か


そして何よりも強力なのが超英雄(超10レベルキャラ)の存在です。彼ら抜きにロードスの物語は語れませんね。

小説的ドラマチックな言い方をすれば、彼らは英雄の中の英雄です。ゲーム的システマチックに言えば機能拡張(エクステンド)したPC

彼らは10レベル以上の冒険者技能を取得する事ができるし、超英雄ポイントという超人的能力を発揮する特別な力も持っています。


通常のSWではレベルは10までです。それが人間の限界です。大陸の人は普通人の延長、だから10レベルという制限内で十分なのです。

でもロードスではその人間の限界を超えたキャラが数多く存在する。それを再現したのが超英雄、あるいは超10レベルキャラなのです。

なお大陸でもマナ・ライやロウラスは超10レベルですが、大陸の冒険は普通人の制限内で行われるので、彼らはデータが公開されていない。


普通のPCは英雄候補生です。経験を積む事で英雄となる存在。ところが超英雄というのは英雄から超英雄へとステップアップできる存在。

故に彼らは超英雄になった時点で既に英雄です、「英雄戦争」のパーンのように。そして世界に影響する程の地位・名声・評判も必要。

こうして誕生した超英雄は単独で世界を変革できるだけの力がある。その言葉は王すら無視できず、対応によっては世界情勢を変えてしまう。


具体的な例を挙げると、魔神将と一騎打ちして勝利するベルド。更に彼は単独で暗黒の島マーモを統一し、「英雄戦争」を引き起こします。

大地母神マーファをその身に降ろしながら、魂が砕ける事のなかった大ニース。また彼女は古代王国の呪いから氷竜ブラムドを解放してます。

五色の魔竜(老竜や古竜)という最強の生物を倒し、成竜を倒したリジャール以上の"竜殺し"を成し遂げた、カシューアシュラム

精霊王と盟約を結び、砂漠を草原へと変えるディードリット。暗黒神ファラリスの石化の呪いを受けながら、平然とした顔で耐えるエト

そして一連の戦いに関わりロードスを変革し、"ロードスの騎士"として民衆から国王まで絶大な影響力を持つパーン等、例はいくらでもある。




これからリウイ達はそういった修羅の島に行く訳です。まったく、大陸の感覚で言えば彼らは異常でしかありませんね(苦笑)

ちなみに時系列は邪神戦争(525年)より前です。大ニースも生きているので、新王国歴524年よりも更に前という事になる。

この時代パーンやディードはカノン自由軍として戦っています。来る邪神戦争という大きな戦が始まる前の、嵐の前の静けさ漂う時代……。


第1章 大いなる船出

★1

リウイはロードスへ渡る為に、エレミアの王となったシュメールを頼り、後宮で酒池肉林の歓迎を受けました。

シュメール「呪われた島だと?いつもながら、おまえの言葉には意表をつかれる……(苦笑)」

リウイ「どうして渡りたいかは、今は訊かないでほしい。時期がくれば必ず話すから」

シュメール「承知した」

前回立ち寄った時の縁で彼とはすっかりマブです。もうリウイがどんなに突飛な事をしようが信頼してくれていますね。


以前エレミアはロードスと交易していると書きましたが、実は正式な国交はない。港へやってくる自由商船に交渉するしかありません。

しかも自由商船はロードスの自由都市ライデンから来たものであって、大陸の船はそう向こう側には渡らないし、渡ろうともしません。

ロードスに特産品等がなく、文明も技術も遅れているからメリットがないのです。あえて特産品を挙げるなら、超英雄なんでしょうが(笑)

リウイ曰く、文明は西部諸国が最先端だそうです。そして商人の手によって「自由人たちの街道」を伝って、東へと流れてくるんだとか。


加えて遠洋航海の技術が未発達なこの世界では危険も高い。何でも50隻に1隻は沈むというので、結構危険な航海になりますね。

確率的に言えば50回渡れば1度は沈没の現場に直面するという事です。しかもその50回に1回の事故に最初に出くわす可能性もある。

そういえばスレインは実家がライデンの商人で、お兄さんの1人が大陸で商売をしているとの事。彼もそんなリスクを冒して大陸に来たのです。

逆に大陸からはカシュー(ルーファス)やマールが渡っているので、彼らもそういう危険を冒した。いずれにしろ相応の覚悟が要るでしょう。


ちなみに自由都市だったライデンは魔竜シューティングスターの襲撃を受け、現在は砂漠の王国フレイムの統治下にあります。

シュメール「王が統治しない場所を、楽園というべきかは疑問だがな。王というのは、たしかに民を支配し、民によって養われている。
       しかし、それゆえ民を愛している。もしも国政が悪ければ、それは王の責任だ。王を打倒し、入れ替えてしまえばいい。
       国を我がものと思わぬ輩が統治者になどなれば、国を食い物にし、私腹を肥やすことに専念しよう。
       しかも自らの不正をたくみに隠すから、取り除くのは容易ではない。取り除くことができても、次から次へと現れようしな

かつてのライデンは自由都市であり、王や貴族が統治していなかった。その代わり豪商が金の力で支配していました。

民主制や共和制が必ずしもいい国を作れるとは限らない。例えどんな政体でも、1人でも多くの人が幸福ならその国はいい国です。


またフレイムの"傭兵王"カシューの話題が上った時、ジーニは"剣匠"ルーファスと彼を重ね合わせました。正解、ルーファス=カシューです。

マールもそれを確かめる為にロードスへ渡ったのです。かつてロマールの闘技場で無敗の王者に輝き、引退したのがルーファスです。

彼は冒険者としてロマールの創設者の財宝を手に入れ、その莫大な富を持ってロードスへと渡り、風の部族を母体にフレイムを建国したのです。

カシューというのは、彼の"真の名前"です。彼はプリシスの出身なので、本名以外に日常的に使うルーファスという名を名乗っていたのです。


メリッサ「無敵の剣闘士、成功した冒険者、そして辺境に渡って傭兵から身を興し一国の王にまで……本意ですわ」←うっとり

確かにある意味メリッサの理想の勇者様なのかもしれない。ロードスには本当に彼女の理想に適うような勇者が数名いますからね。

勿論今はリウイも勇者であると疑っていません。単純に自分の理想と違うだけ、それを理解できないのは自分の未熟さだと自覚しています。


★2〜3

リウイ達は港で自由商船に搭乗を願い出ます。しかしこの船が実はマーモ帝国(当時健在)の私掠船「隻眼の髑髏号」でした!


元はライデンから大陸へと渡る真っ当な交易船でしたが、マーモ水軍の連中が乗組員を惨殺し、そのまま貿易を行っていたのです。

マーモ水軍は平時は私掠船(国家公認の海賊)として略奪を行い、帝国に納めるのが仕事。彼らは一見無法者だけど、歴とした軍人なのです。

ただしやはり見た目は無法者、素行も所謂騎士のように洗練されてはいない。チンピラと違って根性はあるという点が最大の違いでしょう。


ロードスまではおよそ20日間の航海になります。船は人力で動く櫂船。中世の船に詳しい人なら大体の距離が分かるかもしれない。

この際一応謝礼は払いましたが、多分公費なんでしょうね。まぁ必要経費ということで、領収書を切ってもらえばいい(そんなものはない)。

この時リウイはロードスに渡る人買いの振りをしていました。ジーニを護衛とし、他3人の娘は奴隷という名目で交渉を行いました。

乗組員達(帝国の軍人)はいいカモが来たとでも思ったのでしょう。ところが実際地雷を踏んだのは彼ら、略奪しようにも相手が悪過ぎる。


それと普通に言葉が通じていますが、本来ロードスにはロードス共通語があり、大陸の共通語とは別に取得する必要がある。

ただし両者は同じ下位古代語から派生した言語であり、言語は必ずしも技能に依存しない。よってカシューやマールも普通に会話できた。

多分当人達にとってみれば訛りの違いぐらいなのでしょう。スペイン語とポルトガル語も日本の標準語と大阪弁ぐらいの差らしいし。

余談ですが、クリスタニア共通語もロードス共通語と語源は同じ。となると全部の共通語は下位古代語から派生した可能性がある。


★4

エレミアから出航しておよそ半日、マーモ水軍の水兵達はリウイ達から略奪を行おうと襲撃を仕掛けてきます。

ところが既に異変を察していたリウイ達は完全武装でお出迎え。かくして大陸の冒険者VSロードスの水兵の壮絶な集団戦が始まりました。


この際リウイは"番兵"を初お披露目です。以後の挿絵にも登場しますが、どう見ても「賢者の国の〜」のカバーとは別の装備です。

話し振りからすると剣としての性能は魔力+2ぐらいはありそうな感じ。船体を紙のように切り裂くとか、明らかに普通の魔剣じゃないし。


それは流石に危険なのでリウイは拳で勝負(またかい)。それでも魔法の全身鎧で拳には突起もついているので、十分凶器になるのです。

元々リウイは拳の方が強いんだし、下手に剣で戦うよりもこっちのほうが強かったりして。そう考えると見も蓋もないけど。

ぶっちゃけリウイが着るよりも、リビング・アーマーとして戦わせた方が強いとも思うけど、それは言わないお約束なのです(笑)


リウイは勿論、仲間達も水兵達を圧倒します。ジーニの大剣、ミレルの短剣、メリッサのウォーハンマーで滅多打ち。

すると武器戦闘が苦手な(ていうか戦闘自体苦手な)アイラに攻撃が行きますが、手加減無用の攻撃魔法で一網打尽

一応リウイ達は彼らを掌握して航海を継続するつもりです。だから手加減しているジーニ達に向かった方がまだ軽傷で済んだのに……。

それと、ここではアイラの"光の矢"のルビが"エナジーボルト"になってます。これは"エネルギー・ボルト"の誤りですね、略してエネボル


優勢なのはリウイ達の予想通りでしたが、次が予想外。水兵達は決して降参せず勇敢に戦った

船長「オレたちは海賊じゃねぇ。マーモ帝国の水軍なんだ!遺跡荒らしごときに負けるわけにはゆかねぇ!」

船員たち「おおっ!」

彼らには自分達が軍人なのだという自覚がありました。だから決して退かず媚びず省みず、最後の一兵まで戦い続けた……。


見事です、あまりにも見事過ぎる。当然多くの死傷者を出し、無傷の者がいないぐらい。これにはメリッサも彼らの勇気を讃えた

リウイは命乞い一つしない彼らを水兵であると認め、小船を与えて解放しました。それは海賊ではなく軍人に対する処遇ですね。

ロードスの歴史は戦いの歴史。マーモはその中でも特に過酷な土地柄。彼らにとっては殺し合いが日常、それがこれだけの気骨になる。


しかし気づいてみれば漕ぎ手も航海士もいない。航海に必要な技術を持たず、彼らは海の真ん中に取り残されてしまったのです。

リウイ「ま、オレたちには知恵も勇気も体力もある。なんとかなるさ

ミレル「ぜんぜん根拠ないじゃん

そこでリウイは自力で海を渡る道を選びます。普通ならエレミアへ引き返すのを選ぶだろうにこの選択、伊達に主役は張ってない


ただ素人が外洋を航海するのはあまりにも無謀。最悪漂流した挙句見当違いの方向へ向かう可能性もある。クリスタニアとか(笑)

出だしから泥舟に乗った気分ですが、こんなのはこれから始まる冒険に比べれば些細な事。何しろ行く先は"呪われた島"なのだから……。


第2章 大航海の果てに……

★1

SWでは小船ならば冒険者技能で動かせますが、複数人いないと動かせない大型船の操縦にはセイラー技能が必要になります。

セイラー技能には《大型船の操船》というのがちゃんとあるし、航海に必要不可欠な《航海術》という判定もあります。

リウイはラヴェルナと連絡を取り、ある程度の航海術と操船術の知識を得たようなので、セイラー1ぐらい取得したかもしれませんね。


漕ぎ手にはストーン・サーバント軍団を起用しています。一応筋力30ぐらいあるので漕ぎ手としては相当優秀です。

そしてリウイやジーニが力ずくで舵を切って進むのです。ただし一時間経過したら壊れるし、リウイだと1体に3点も使うので効率は微妙。

材料は船の重石に使っていた石です。幸い量だけはありますが、これが尽きたら漂流するのみ。小島に上陸でもできればいいんですが。


そして甲板の雑用にはボーン・サーバント軍団を投入。力はそれほどでもないけど、結構複雑な事もできるので重宝しています。

材料は水兵の犠牲者達の骨です。ちゃんと洗って供養して使わせてもらっています。別に不死生物にする訳ではないけど、やはり抵抗はある。

また彼らの名前には材料にした骨の部位を使っています。肩甲骨とか大腿骨とか上腕骨とか。ていうか見分けつかないでしょ、名札つきか?(笑)

持続時間は永続といいカンジですが、遺失魔法ですね。もしかしたらこれは"ヘッポコーズ"のヒースが持ち帰ってきた魔法かもしれません。


そしてアイラは見張り台の住人と化して"四つの目"の"ビジョン"の魔力で周囲を見渡し、他の人達はサーバント達の監督です。

クリシュには運び込んだ大量の羊を餌として食わせ、水兵の遺体は食わせませんでした。結局遺体は海に棄てるので同じ事ですがね。

そしてお腹が膨れればティカとクリシュも周囲の探索。幸い食料はふんだんにあるので飢えはしないけど、既に航海は20日を経過


アイラ「ホント慣れって怖いわ……。たまにはリウイとふたりだけになりたいんだけどね。最低の婚前旅行だわ」←ボヤき

セレブなお嬢様だったはずが、今や荒事をこなして犠牲者の骨を使う魔女です。そしてそんな生活に着実に慣れていっている。

思えば指輪を嵌めたあの時に、彼女の運命は大きく動いた。順調に結婚する筈が恋敵と牽制し合っているこの現状は何だかな……(苦笑)


★2

そんなある日、とうとうライデンの漁船と遭遇しますが、遭遇したのがクリシュだったので普通に攻撃されました(苦笑)

いきなりドラゴンが飛来したら驚いて当然。まぁバリスタとかが炸裂しなかっただけマシです。いくら幼竜でも洒落にならない。

続いてクリシュを隠してその船に接近し、ライデンまでの水先案内人を頼みます。割と気のいい漁師さん達は快諾してくれました。


ところが甲板で働く骨盤君達に驚いて逃走!

漁師「ゆ、幽霊船!そ、空飛ぶ曲芸団!!

リウイ「待ってくれ。こいつらは、不死生物じゃなくて魔法生物で」←素人に分かるか

何とかして彼らの後をつけようと努力はしました。しかし本職の漁師さん達に操船で適う筈もなく、撒かれてしまったのです。

こうして漁師さん達は自分達の出会った幽霊船の噂を広め、それはフレイムの"傭兵王"カシューの耳に入る事件となったのです。


またこの「空飛ぶ曲芸団」ですが、これは「ロードス島コンパニオン」にも載っていない初出の情報です。

今は亡きライデン王国に皆殺しにされた海賊団で、その後幽霊船となって生者を黄泉の国へと引きずり込もうとしてるとか。

海の男は迷信深い。驚異的な自然と向き合う事が多いせいでしょうか。当然一日の内に竜やら幽霊船やらに遭遇したのは不吉でしかない。


似たような海賊伝説に海賊王ローズ・ブロードの話があります。彼は多くの海賊達に英雄と讃えられていた人物です。

しかしその力を恐れた当時のライデン盗賊ギルドはアラニア海軍と連携し、ローズらを討伐すべく大軍を差し向けたのです。

その戦いの中でローズは狂戦士となり、五隻もの戦艦を道連れにしたと言われています。オルソンの時にも少し話しましたね。


ちなみにライデン王国とは、新王国暦168〜274年の間存在した王国です。大陸ではオランが建国した頃に滅びた事になる。

また滅亡の理由は商人が王族を追い出したから。その騒乱の裏には例によってカーラの手引きもあったとはいえ、ライデン商人恐るべし

一時はモスの諸国を脅かし、彼らに「竜の盟約」の締結をさせる程追い詰めたのに。それほどの国も商人の金の力には勝てなかったか……。


★3

いよいよロードスキャラの登場です。ここではカシュー、パーン、ディード、それにスレインやシャダムまで出てきましたよ。


仮に現在新王国歴522年ぐらいとすると、主要キャラの年齢も分かりますね。

パーン30歳、カシュー40歳、スレイン40歳、大ニース66歳、小ニース10歳、スパーク14歳。こんな感じになる

ディードは生年がよく分かりませんが、最初の時点で160歳以上らしい。すると170歳も越えてる可能性はあるけど、最早誤差の内

実はスレインとカシューはタメなんですね、パーンとは丁度10歳離れてます。スパークはまだまだ騎士見習いの少年という事になる。


この時彼らはフレイムの王城アークロードの一室で晩餐を共にしていました。

シャダム「陛下、お耳に入れたいことが……」

カシュー「オレは今、もっとも親しい友人と晩餐を共にしているのだ。食事が不味くなるような話なら、後にしてほしいものだがな」

現在パーンとディードは主にカノン自由軍としてマーモの圧政と戦っている。だからこうして会えるのは久しぶりなのでしょうね。


カシュー「このふたりなら気にしなくていい。内容によっては力になってくれるかもしれんからな」

パーン「わたしたちがフレイムに来たのは、カラル村からの依頼を受けてのことですよ」

カシュー「そうは言っていても、話を聞けば気が変わるのではないか。おまえは昔からそういう男だ

流石に長い付き合い、よくパーンの性格を分かっている。パーンは何であれ「気になる事があれば放っては置けない」男なのです。


しかしシャダムの持ってきた情報は彼らを驚かせます。1つはシューティングスターが蘇ったという驚愕の情報です。

実はクリシュの事なのですが、それとは別に転生している可能性はありますよ。竜の魂は神の魂と同じく不滅であると言われています。

加えて竜語魔法"リボーン・ドラゴン"?でまた竜になる事も可能。実際そうして転生を果たした竜王が西武諸国に存在していました。

普通に"リボーン・ドラゴン"を使っても精々老竜にしかなれませんが、古竜として転生できる上位魔法を心得ていたとしても不思議ではない。


ちなみにシューティングスターの遺体は色々な形で再利用しました。正に鯨のように無駄になる部位がなかった模様です。

爪や牙は魔術の材料になり、鱗で竜鱗の鎧や盾を造ったらしい。あのサイズなら鱗だってそれなりに大きいだろうし。

もしかしたら体の部分によっては鱗の大小があるかもしれませんね。爪の間は玉砂利サイズ、お腹は鍋のふたサイズとか

シューティングスターの防御点は22点、レベルを抜けば6点分の防御性能。これは通常の金属鎧よりも若干高性能といえます。


もう1つの噂は「空飛ぶ曲芸団」の出没。噂によれば甲板で若い女が骨達と踊っていたとか。噂だけに尾びれがついている(笑)

カシュー「伝説というものを人々から忘れさせるのは、さすがのオレでも無理だよ」

実はこれまでにもそういう噂が立つ事はあった。時化や海賊によって犠牲者が出る度に、人々は実しやかに囁きます。

加えて最近マーモから幻覚作用のある怪しい薬が出回っているそうなので、それでラリっていただけとも取れますね。


更にもう1つ、ライデンの交易船がマーモ水軍にやられたという。そしてその船こそが、竜と幽霊船の噂の出所だという。

カシュー「火竜と幽霊船と海賊に略奪された交易船がひとつに……か。それは是非、この目で見たいものだな」←楽しそう

パーン「今のわたしはカノンの騎士、フレイムの内政に干渉するわけにはゆきませんが、気になります」←結局気になるのか

ディード「パーンが行くというなら、わたしももちろん行くわ」

スレイン「しかたありませんね……」←肩をすくめてる

他に同行するのはマイリー神殿のシャリーです。レイリアさんの代わりですね。


こうしていつもの面子が動き、リウイはロードスの重要人物と滅茶苦茶早く知り合う事になるのです。


★4〜6

こうして出陣したカシューは「海の鷹号」を発進させ、リウイ達の乗っている船を確認するやカタパルトで威嚇射撃!

「海の鷹号」は大陸でも珍しい帆船の軍艦です。しかも大陸でも滅多に見れない重武装であり、ムディールの武装商船もかくやという程。

他にもバリスタ等も搭載しているらしい。カタパルトで威嚇射撃をするのも兵士の練度がいるだろうし、予想以上に精強な軍備です。

大陸出身のカシューはこういった最新装備をちゃんと国家に取り入れています。リウイが思わず肝を冷やすような対処をしたのは流石。


それに対してリウイは単身"飛空のマント"で話し合いに向かいます。狙い撃ちにされる危険も辞さない、相変わらず勇敢な事ですね。

スレイン「わたしなら、さっさと瞬間移動してどこまに逃げてしまいますよ」←そんな高レベル魔術師そういない

しかしつくづく精霊使いの必要性を感じる。"ウィンド・ボイス"で会話したり、"ウォーター・ウォーキング"で脱出したりできた筈なのに。


このリウイ決死の釈明で戦闘は回避できました。もしまともに戦ってたらリウイ達が全滅してたので好都合です。

リウイ「わたしは剣の国オーファンの王子だ」

カシュー「竜殺しリジャールが、ファン王国から王妃ともども簒奪した新興国か?」

リウイ「さ、簒奪。それも、王妃ともどもだって!?」←ずっこけて墜落しかけた

年表を見ると、カシューがロードスに渡ったのは504年。そしてオーファン建国は500年なので、当時の感覚ではそうなのでしょう。

建国にそういう悪評が立つのは仕方のない事です。英雄と大罪人は紙一重、今のオーファンの善政があればこそリジャールは前者なのです。


そして彼が魔術師でもあると知って驚いたのはスレインでした。

スレイン「ええっ!あなたは魔術師なんですか?わたしの一番弟子と力比べをさせてみたいものですよ。」

そういえば弟子のアルド・ノーバも筋肉魔術師。不思議なことに筋力が16しかなかったりするけど、マッチョなのは確かです。


スレイン「やれやれ、わたしのような書物しか読まないような魔術師は時代遅れなのかもしれませんねぇ……(溜息)」

そしてスレインは筋力10で、娘の小ニースより1高いだけ。娘とそう力が変わらない父親というのもなんか情けないかな。

ていうかセシルは一番弟子じゃないのか。押しかけ弟子はノーカンですか。でも心配しないでスレイン、こいつは特殊です(笑)


"自由騎士"パーンとの出会いもここでした。

パーン「オレの名はパーン。基本的には主君に仕えない流浪の戦士だ」←握手を求める

リウイ「冒険者……ということですか?」←握手

パーン「そう呼んでくれてもかまわない。戦乱が鎮まっていないから、この剣も活かしようがあるということさ」

大陸の感覚で言うと、冒険者なんでしょうね。あるいは傭兵か。でも実質的には全く違う、何故なら彼は報酬の為に動く男ではないから


こうして少なからずロードス勢にショックを与えたリウイでしたが、ディードの存在にそれ以上のショックを与えられたのです。

ディード「わたしはディードリット。この自由騎士の旅の共よ。よろしく、ね(にっこり)」

リウイ「オレは、今……この世でもっとも美しい者と……出会った……(うっとり)」

流石はアダルト・エルフフェチ、まさかそこまで過剰に反応するとは……。これじゃあエキューが会ったら死ぬんじゃないかな。


カシュー「大陸にも森の妖精は大勢、暮らしているだろう?」←気味悪そう

リウイ「何と言えばいいのか、彼女には大陸で出会った森の妖精とは、まったく違う雰囲気を感じる。
    もっと神々しいというか、まるでこの世界にありながら、異世界にも同時に身を置いているかのような……」

スレイン「よく分かりましたね。彼女はハイエルフなんですよ。このロードスには"帰ら……(以下略)」←無視

リウイ「この旅は、最初からひどいことばかりだったが、それはこのエルフの女性に会うための試練だったんだ……(感動)」

これが噂の"センス・エルフ"か。まさか種の根源すら見抜くとは……。とにかくディードが神話の時代の高貴なエルフであると認識したらしい。


その後船室に入って色々釈明をし、信じてもらえました。

スレイン「荒唐無稽ではありますが、彼の説明に矛盾はまったくありませんね。
     むしろ、どこかひとつでも嘘があれば、すべての辻褄があわなくなることでしょう」

やはりロードスの人からしても荒唐無稽な話になるらしい。彼らはそれ以上に荒唐無稽な武勲を幾つも挙げていますけどね。


来訪の目的は、リジャールの命令である聖剣を求めている、という程度に嘘をつかずに答えました。ただしアトン云々は伏せておきます。

カシュー「優れた剣を求めるのは戦士の性だが、リジャール王もかなりの高齢だろうに」

リウイ「我が父ながら老いてますます盛んで、今でも大陸最強の戦士ではないかと思うほどです」

カシュー「大陸最強……か」←遠い目

リウイ「もっとも、大陸最強と謳われていた戦士なら、わたしはもうひとり知っていますが……」←カシューを凝視

カシュー「大陸でのことは忘れたよ。オレはすでに、このロードスの住人であり、フレイムの王だ。その話に二度と触れるな」←無言の圧力

既にアイデンティティーは大陸にはない、か……。そういえば奇跡の店のオヤジさんとは商売してるのかな?


クリシュの件ではカシューも驚いていましたが、既に古竜を倒している彼なら、仮に成竜に脱皮しても楽勝でしょうね。

しかし竜を倒しているからこそ、竜の恐ろしさは知っている。"竜殺し"にとっての竜との戦いとは誉れではなく、悪夢なのです。


これで疑いは晴れました。結果的にはマーモから船を取り戻した訳なので、以後リウイ達はフレイムの客人として歓迎を受けます。

船は返却しますが、遠洋航海は懲り懲りなので惜しくない。どうせ帰りはアイラの"テレポート"だろうし。多分シャザーラの力でしょうが。

カシュー「そうと決まれば、宴だな。おまえたちの冒険や大陸での話、我が宮廷の騎士や婦人たちにも聞かせてやってくれ」←凄い楽しそう

初めて来訪した異郷において、王国の後ろ盾を得られるのはありがたい。土地勘も知識もない状況だから心強い限りです。


第3章 自由騎士、永遠の乙女

★1

フレイムの王城アークロードに招待されたリウイ一行は、歓迎の宴に招かれます。実は長く続く戦の慰労の為でもあったりしますが。


女性陣は魔術師のローブを纏ったアイラを除いて、皆ドレスです。勿論ジーニもだけど、最早女装した戦士にしか見えないという有様(苦笑)

ティカなんてこれが最初で最後のドレスかもしれませんね。クリシュは港の倉庫に隔離、リウイ用の「殺すバロメータ」が上がってそう。

しかもドレスは大陸風ではあるものの、流行からは外れてるらしい。やはり戦闘レベルはともかく、文化的には遅れてるという事です。


またここでリウイは本場炎の部族の剣の舞を見物できました。エレミアではパメラが扇情的な衣装でセクシーに踊っていましたね。

しかしこの本場では男も踊る伝統の民族舞踊であり、実戦さながらの迫力ある舞です。そういえばスパークも踊ってた、最早部族の嗜みなのか。


そしてそれ以上にリウイの目を引いたのは、ドレス姿のディードでした。

リウイ「(酒盃ポロリ……)最高だ!」←拍手

ミレル「最低だわ……」←足蹴り

アイラ「最低よね……」←つねる

ダメだこいつ、早く何とかしないと……。ていうか今のリウイに必要なのはメリッサの"サニティ"です。


ミレル「どう見ても、あのふたりは恋人どうしだよ。ううん、きっと夫婦も同然ね(ケケッ)」

リウイ「だが、そのぐらいのことで、彼女の完成された美しさが損なわれるわけじゃない」

アイラ「いろいろ、噂を聞いてみたけど、あの自由騎士は相当な人よ。正真正銘の英雄ね。
    特定の王国に仕えることなく、ロードスのため、そして民衆のために剣を振るう」

リウイ「ああ、恐るべき使い手だということは分かる。しかも素朴というか純粋というか、信じられないほど爽やかな男だな」

アイラ「完敗ってことよ、あなたの」

パーンと比較したら、そりゃあリウイは勝てない。今までも色々な冒険をしてきたけど、何処か間抜けな所があったし。


普通にロードスを読んでると実感ないけど、パーンは本当に英雄です。それこそメリッサの理想の勇者様そのもの

勇者オタクのメリッサが「本意ですわ……」と、彼の語る話にウットリする程です。しかも彼の話し方も大仰な所がなく、実にストイック

実際には朴念仁なだけという気もするけど、彼が自由な心の持ち主であり、それを貫くに足る意志の強さと実力を兼ね備えているのも確か。


★2

ところがそこでアイラのマッドアイテムコレクターとしての血が騒ぎます。パーンの武具がヴァンの作品だと看破したのです。

これは今回の為の追加設定ではありません。「炎の魔神」の砂塵の塔の冒険の時に、ちゃんとスレインがヴァンのものだと断定しています。

現在パーンは魔力に頼らない使い方をしているので、その真の魔力は謎です。今回の事で少しだけですが、分かってきますけどね。


なお文庫ではカットされてますが、本誌掲載時はアイラがパーンの身体に纏わりつき、しきりに鑑定する挿絵が挿入されていました。

やはり彼女の鑑定眼は並みではない。セージ技能ともまた違う気がする。一般技能:コレクター(マジックアイテム)が10あるとか。


ただしこの聖剣の名は"鎮めるもの(サプレッサー)"です。ヴァンの残した記録では「精霊王を滅するための長剣サプレッサーと盾、鎧一式」となっています。

昔の「ザ・スニーカー」に載った水野先生のコメントでも対精霊の魔力があるとなっていたので、多分そういう事なんでしょうね。

しかし精霊王を滅するとは、何て凄い魔力。精霊王の力は自然そのもの。自然をも掌握するなんて、ある意味"番兵"よりも恐ろしい魔力。


装備としては、それぞれ魔力+2のブロードソード、スモールシールド、プレートアーマーという扱い。特に剣はミスリル製、他の装備は不明。

「火竜山の魔竜(上)」のP.233にはそれらについて詳しく描写されています。ドワーフの作らしいので高品質の可能性もありますね。

例えば鎧は縦方向に波打つように加工され、板金の強度を高めると共に、矢や槍の穂先をその線に沿って受け流しやすくなっています。

盾はヒーターシールド(方形の盾)でもあり、その表面にはグリフォンが浮き彫りにされ、瞳には紅玉を嵌め込んでいるという。

そして剣は刀身も握りもミスリル製であり、上位古代語が刻まれて魔法のオーラが白く発せられ、握りには鹿の皮が巻かれてるらしい。


剣も盾も+2というのは、バランスでいえば両手剣の+3に優越する。この描写を見る限り、相当の業物という事のようです。

そもそも一揃いの魔法の装備というのはなかなか珍しい。他にはヴァリスの三聖具があるけど、これに至っては全部+3と反則的(笑)


そういえば"ナイトブレイカーズ"のリュクティが持っていた、魔剣"シルバーブリーズ"も魔力が隠されていましたね。

普段は普通の銀のレイピアでしかありません。しかし真の名前(コマンドワード)を唱える事により、強力な魔力を発揮する。

遺失魔法"シール・エンチャントメント"を使えば魔力を隠す事もでき、"アナライズ・エンチャントメント"で調べる事もできません。

いや調べる事はできるけど、カストゥールで作られたアイテムの場合達成値が30とか当たり前なので、これを破る必要がある。

レドリックの巨人殺しの剣(仮)みたいに武具が眠っていた場所(砂塵の塔)をよく調べれば、パーンの装備の秘密も分かるかもしれない。




残念ながら"ファーラムの剣"ではないのですが、この時点ではそれが分からないので剣を譲って貰う為に手を尽くします。

まずはアイラが正攻法で説得。アイラにとっての商売のモットーは誠意です。相手を騙す商売なんて長く続かないという考えですね。

その通りにアイラは嘘をつかず、誠意を込めて説得しました。その甲斐あって、パーンにも彼女の真剣さがしっかりと伝わりました。


しかしアトンの件は話せないので、結局ダメでした。剣を譲るだけならまだしも、理由は聞くな話せないでは彼だって納得がいかない。

砂塵の塔の冒険の時、パーンは父テシウスの聖騎士の装備を外し、あっさりと今の装備に変えた。その時彼はいつものように笑ってた


本来パーンは見返りなんて求めない。そして今のパーンはこの装備の魔力に固執していない。

パーン「オレは自分の気持ちに従っているだけだよ。だから、感謝なんていらないし、報酬だって必要じゃない。
     この剣や魔力にどんな力が隠されていようが、オレには関心がない。それでも、オレにとって、この剣も鎧も特別なものだよ」

「特別」……パーンが滅多に使わない言葉です。そこにリウイ達の願いを退けてまでこの装備を身に着ける理由がある。


ディード「もしかして、あの王子が、わたしに好意をもってくれているので嫉妬したとか?」

パーン「あそこまで純粋な好意だと、むしろ誇らしい気さえしたよ」

ディード「わたしは嫉妬したわよ。あなたが、彼女たちに好意を持つんじゃないかって」

パーン「オレが?考えもしなかったな

ディード「だったら、考えないで

ラブラブだよこの2人。小説本編ではこういうノロケはあまり見れないから貴重。


ディード「あの人たちどういう関係なのかしらね?」

パーン「愛情もあるかもしれないし、友情もあるだろう。そして他にも、いろいろな絆で結ばれているんだと思う」

確かに、色々な絆で結ばれているでしょう。本人達ですらよく分かっていないと思えるほど、色々な絆で。


★3

そして夜になると、ミレルは二人の部屋に忍び込んで剣を盗むべく動き出します。勿論独断です、リウイに言ったら確実に怒られるから。

そうして盗みに成功すればアイラの"テレポート"でとんずらです。二度と来ない島の評判も気にならない、正に盗賊だからこその手段です。

でも全てはリウイの為です。例え汚れ役を被ろうとも、好きな人の役に立ちたいという健気な思い。いい娘だ……でも流石に勇み足です。


しかし本当にアイラは"テレポート"できるんですね。シャザーラは精神力だけでなく、魔術すら使わせてくれるという事かな?

もし彼女が古代語魔法10レベルの能力があるとすると、4点消費×7で28点消費。でも彼女ならそれぐらい賄えるんでしょう。


こうして忍び込んだはいいけど、あっさりディードに見つかります。ハイエルフの彼女は睡眠をあまり必要とせず、感覚も鋭敏なのです。

ミレル「これだから、エルフって嫌いよ……」←涙目

そういえばターシャスの森のセレシアにも散々な目に遭わされた。ミレルにとってのエルフは油断ならない種族でしかない。


しかもその場にジーニやメリッサまで現れ、気分は軽く「死のう」です。

ジーニ「実を言うと、あなたに決闘を申し込もうかと思っていた。負けたときには、この命で償おうと……」

メリッサ「わたくしも覚悟は同じです。パーン様がこの身をお望みであれば、捧げていたことでしょう」

やり方は違ってもそれぞれ覚悟は同じです。それを伝えられただけでも無意味ではなかったかな。


その後リウイやティカを交えて緊急ミーティングを開きます。

ティカ「ふたりには死んでもらうしかないのでは?」

それは無理。世界を動かし、神をも屈服させる超英雄2人が相手です。彼らでは束になってかかっても適いっこありません。

SWのルール的にはまさかの事があるでしょうが、少なくとも小説的には無敵。例え"邪眼"やシャザーラの力を使おうとも勝てないと思う。


パーンは誠実な男です。誠実だから理由を話せば分かってくれる。しかし誠実だからこそ、理由を話さない内は決して渡してくれません。

彼を動かすには心を動かす必要がある。そして彼の心を動かせるのは実力行使でも見返りでもない、彼が納得できる理由なのです。


そこでリウイは2人に同行する事にします。同行してパーンの人柄を確かめ、その後で理由を話して協力を願い出るのです。

パーンが本当に噂通りの英雄ならきっと理解してくれるでしょうし、それどころかアトンと共闘してくれるかもしれない。

超英雄を味方につけるという事は、1万の軍勢を味方にするよりもある意味強力。彼らは世界を変革させる、英雄の中の英雄なのだから。


第4章 決闘!

★1

カラルの村目指して旅立ったパーンとディードの後を追い、リウイ一行は堂々と姿を晒して尾行する事にしました。

ミレル「鼻の下、伸びてるよ」←リウイを睨みつけてる

アイラ「隣を歩いている自由騎士の姿は見えていないんじゃないの?」

姿を晒しているのは害意がない証拠。しかしリウイのだらしない顔を見ると、別の意味で害があるようにしか見えない(笑)


確認すると、彼らが2人に同行する理由はパーンの人柄を見極める為です。

リウイ「たいした男じゃなかったら、あの高貴な森の妖精を大陸へ連れ帰りたいところだ……」

メリッサ「違います。魔法の剣と防具を持ち帰ることです」

ミレル「あの自由騎士が本物の男だって分かったら?」

リウイ「連れ帰るのはあきらめ、心のなかに永遠にしまっておくさ。ついでに、事情をあの男に話し、剣と防具を譲ってもらう」

もう駄目だコイツ!。すっかりディードしか目に入らなくなっている。早くメリッサの"サニティ"で正気に戻すんです!


一方先行する2人の方は、この珍妙な連中を憎からず思っているようです。基本悪い連中じゃないのは明らかだし。

ディード「美女が五人も後を追いかけてくれるものだから、喜んでいるんじゃないでしょうね」

パーン「それは悪い気はしないが……。彼女らはあの王子のものだからな。それぞれ関係は違うのだろうけど」

流石はパーンです、無理に心を偽ったりしない。でも特別な感情もない。何処まで朴念仁なんだ。


そしてパーンの言葉は素朴ながら、妙な説得力も持つ。

パーン「あのまま一生、旅を続けるのが似合っていそうだ」

現実的に言ってそれは無理です。いずれはパーティーを解散する時が来る。なのに、何故かパーンの言葉の方が妙に納得できる。


一方ディードは個性の強い人間の女性が大勢いる事に不安そうです。彼女は元々嫉妬深い所がある。パーンが心移りするのでは?とね。

ディード「誰かひとりぐらいあなたにとって理想的な女性がいてもおかしくないから……」←心配そう

パーン「考えたこともないな。アラニアで偶然、出会ってから、君はいつも側にいてくれてるし……」

何処まで爽やかなんだパーン。本当に良くも悪くも自分を飾るような事をしない男です。


パーン「オレたちもきっと、こうして一生、旅を続けるんじゃないかな」

ディード「だと、いいけど……。あの人たちが羨ましい……

人は変わる、ディードはそれをよく知ってる。加えて彼らの一生はエルフである彼女に比べると陽炎のように儚い

まして彼女はハイエルフであり、その寿命は無限。彼女にとってパーンといられる今よりも、彼を失ってからの人生の方が遥かに長い

この辺のディードの葛藤は今までにもありました。特にカセットブック「復讐の霧」の冬馬さんと草尾さんの演技が随一であると思います。


★2

日が落ちてから両パーティーは程近い場所にそれぞれ夜営を張り、一日の疲れを癒しました。

しかしリウイとパーンだけは何かに導かれるように惹かれ合い、川原でしばしの会話の後に決闘を行う事になります。

水野先生が生み出した二人の主人公の対決、なんともいえない感動。よくある「ウルトラマンVS仮面ライダー」みたいなもんですね(笑)


リウイ「体力だけなら自信があるな。力比べだけなら、たいていの人間には負けないつもりさ」

パーン「頑丈な鎧を着て、重い剣を振るっていれば、よほどのことがないかぎり、戦場で不覚を取ることはない」

つまり筋力と生命力が高いのは、戦士として大きなアドバンテージだという事です。"至高神の猛女"イリーナがいい例ですね。

あとパーンは「素手ではかないそうにない」とリウイを評してますが、むしろ装備がない状態では純粋に技能の高いパーンの方が有利。


特にこの島に戦乱は絶えず、パーンも若い頃から随分と修羅場を潜って、命のやり取りをしてきました。

思い返すとリウイは冒険経験は豊富だけど、実際の戦争に参加した事はあまりない。ザインの時ぐらいでは?

リウイ「大切なのは勝利することで何が得られるか敗北しないことで何が守れるかなんだろう」

冒険にしろ、戦争にしろ、命のやり取りをするのは同じです。人殺しは気分のいいものではないけど、無意味でもないとリウイは知っている。


そしていざ腕試しとばかりに決闘(ていうか試合)が始まると、やはりパーン強し。根本的に実力が違い過ぎました。

リウイ「これが自由騎士パーンの剣なのか……。なんて、まっすぐな剣なんだ」←感動

リウイ曰く、パーンのディフェンスは『水』と例えられるそうです。水は打つ事も斬る事もできず、いかようにも姿を変える。

今までパーンは敵味方多くの返り血に塗れてきました。それでもなおパーンは潔白、彼の剣には全く邪念がないとリウイは驚嘆しました。


以前シヴィルとジーニの稽古の時にも話題に出ましたが、リウイにとって剣の形というのがキーワードになりつつあります。

リジャールは『欲望』。富・権力・名声・女、全てを剣一本に託した。ジェニは『舞』。緻密で正確無比な、舞踏と武闘の両立です。

そしてリウイの理想では、剣は拳の延長上にある。剣を牙や爪として、野生の獣のように戦う。そんなパワフルな剣が理想のようです。


しかし今のリウイは未熟すぎた。確かに以前より強くはなったけど、パーンにはまるで歯が立たない。

パーン「おまえの剣はこんなものか?そんな男に、オレの剣を託すことはできないな」

リウイ「あんたの本気を見せてくれ。オレはそれに返したい」

パーン「オレの本気?おまえ、死ぬぞ

リウイ「それで死ぬなら、オレはそれまでってことさ。オレが託された使命は、オレの命なんかより遥かに重いんだ」

そして「使命を果たせないなら生きている価値がない」とまで言うリウイ。以前のラヴェルナの言葉をまるで覚えていません。


しかしこのリウイの言葉に怒りを覚えたパーンは喝を入れます。

パーン「命を軽々しく考えるなよ。命を捨てて思いを遂げた人間を、確かにオレは何人も知っている。
     大地の妖精族の戦士砂漠の部族の女族長。そして心優しい狂戦士。だが、オレは生きていてもらいたかった
     簡単に捨てていい命など、ひとつもない。命ってものは、たとえ自分の命でさえ、どうにかしていいものじゃないんだ」

今まで数々の返り血にまみれてきたからこそ、パーンは真剣に怒っている。そしてそんな彼だからこそ出る言の葉です。


新ロードスでもそんな議論がありました。命は羽のように軽いもの、だからこそ無闇に捨てたり奪ったりしていいものじゃないと。

でも彼らはただ命を捨てたのではない。「命そのものを手段とした」。そして命より大切な人の為に、その命の炎を燃やし尽くした……。

彼らに比べてリウイはどうにも単純に死に急ぐ節がある。危険を冒すのはいい、だけど彼が死ぬ事でどれだけの人が不幸になるか自覚してない。


リウイ「かまわないから、かかってきやがれ!」

その時パーンのあの突きリウイの脇腹に突き刺さる!。アシュラム様の手から王錫を弾き飛ばしたあの一撃ですね。

「この一撃がかわされたら後がないと思う」事で出せる一撃であり、カシューですら確実に受け切れる自信のないという一撃。

要は"自由騎士"の必殺技のようなものです。強敵が相手だと諸刃の刃ですが、リウイごときではかわせる筈もありませんでした。


ちなみに最初に雑誌でこの挿絵を見たとき、てっきりリウイがディードに手を出して、パーンに刺されたんじゃないかと思った(笑)




こうして決着がついた時に仲間達が現れ、リウイは命拾いします。会話もこっそり聞いてたので事情は分かってます。

しかし本当だったら心臓を一突きにされてた筈です。それが重傷で済んだのは、リウイがどうにか急所は外した証拠でもある。

まだ決して達人ではないけど、弱くもない。着実に実力はつけているようですね。パーンと比べたら大抵の人は弱く見えるから仕方ない。


そして立ち上がったリウイはあと一撃だけ付き合ってもらいました。それは彼の中で何かが変わったから。

リウイ(より速く、より強くだ)

その変化の正体はまだ分からないけど、"自由騎士"との戦いで何かを掴んだようですね。


パーン「これはオレの直感なんだが、おそらく王子の剣は、人間と戦うことを頭においていない……」

ミレル「へえ、よく分かるのね」←しまった

メリッサ「もともと冒険者ですから、魔物と戦うほうが多いのです」←澄ました顔で誤魔化す

パーン「魔物相手のほうが、オレも剣を振るいやすいよ。相手が古の火竜炎の巨人であったとしても」

メリッサ「ほ、本意ですわ……。竜、巨人、竜、巨人……」←トリップ

勇者オタクメリッサからすれば、パーンは正に理想的な強敵と戦ってきましたね。別に彼だけの手柄ではないけど。


パーン「最強の戦士にはなれないかもしれないが、王子でなければ倒せない敵がいるような気がする」

これ程の達人になるとそんな事まで分かるのか。マイリーがアトンを滅ぼす為に選んだ戦士……なのかな。


リウイ「できれば、人間相手でも最強の戦士になりたかった」

パーン「オレもなりたかったよ。だが、そうなれないことは、もう分かっている。
     暗黒皇帝ベルド、白の王ファーン、レオナー王子、そして剣匠カシュー。それからマーモ帝国の黒衣の騎士にも……」

リウイ「あれほどの腕でかよ。恐ろしいところだぜ、この島は……

確かにパーンは最強の戦士ではない。だけど"自由騎士"だからこそ成し得た事も沢山ある。逆に彼を羨ましく思う英雄もいる筈です。


このフォーセリアには幾人もの英雄がいる。だけど彼らは皆特別。それぞれ余人にはできない偉業を成し遂げたからこそ、英雄なのです。

誰が強いかどうかなんてのは、究極的にはどうでもいい事。彼らはそれぞれ何かを極めた、そしてリウイも何かを極めようとしている。

それはアトン退治かもしれないし、聖剣探索かもしれない。あるいは別の何かかもしれないけど、リウイにも超英雄の素質はあると思う。


こうしてパーンの人格を確かめたリウイは、彼の使命に協力し、それを成し遂げた時に真実を明かす事にしました。

ディード「あなたがたが考えているほど、わたしたちの使命、簡単じゃないかもよ」

ジーニ「心配しないでくれ。使命が大きければ大きいほど、この男はやる気になる

パーン「その言葉、信じよう」←ジーニと握手

メリッサ「あ、あの……よろしければ、わたくしにも……」

そう言って手を差し出すメリッサは、すっかりアイドルの追っかけのようでした。やっぱり勇者オタクだ(苦笑)


第5章 火竜の呪い

★1

パーンとディードに同行するリウイ一行は、火竜の狩猟場に開かれた開拓村カラルへとやって来ました。

この村の住人は「開かれた森」でパーン達カノン自由軍によって、マーモの圧政から救出されたカノン王国の避難民なのです。

彼らは祖国奪還が成し遂げられるその日までこの土地を耕し、悲願が叶うその時に村を売却して故郷へ帰れる日を夢見ています。

それまでは税も免除されている為、彼らは祖国を離れる悲しみ開拓の苦しみに耐え、毎日を精一杯生きているという訳です。


元々この火竜の狩猟場は魔竜シューティングスターの縄張りでしたが、カシューやパーン達によって退治された今はフレイム領です。

カラルの村人をはじめ、ロードス中から戦火を逃れた多くの避難民が入植してきています。お陰でフレイムの人口が激増しているようです。

しかしこの肥沃な大地は彼らを養って余りあり、フレイムは軍事的にも人口的にもロードス一の大国となりつつあるというのが現状です。

ちなみに、後にこの火竜の狩猟場に「シューティングスター」という街が興るようです。詳細は不明ですが、名前の由来は明らかですね。


村長「高く買い取ってもらうには、住み良い場所にすることですからな。誰もが労を惜しまず、働いておりますよ」

メリッサ「ご立派な心がけですわ……」

アイラ「カノンの王家も国民から慕われていればこそよね」

村長「そして、わたしたちを命がけで救いだしてくれたこのお二人を何よりも信頼しております
    お二人はわたしたちのために、古の呪いがかけられていた森さえも開いてくれたのですから……」

メリッサ「古の呪いを解放……そのようなことまで……」←うっとり

実際はリーフとかエスタスとかルマースとか、色々な人の協力があればこそ。でもパーンがいなくても成し得たかった筈です。


カラルの人々はパーンとディードを本当に頼りにしている。だからこそ最近起きている火竜山の異変の相談に彼らを呼んだのです。

最近小規模な地震が続き、山からは獣の唸り声のような音が響き、山頂が不気味な光を放つという事で、入植者達は不安に感じているとか。

火竜山は文字通りに魔竜シューティングスターの住処であった場所であり、大陸でも見られない活火山。村人の不安ももっともな事です。


パーン「とにかく明日にでも火竜山に登ってみよう」

村長「おお、お願いできますか!」

このパーンの一言で村人達も「これでもう安心だ」と言わんばかり。滅茶苦茶信頼されていますね。


通常こういう事があれば冒険者や領主に頼むものですが、前者では報酬がかかるし、後者では対応がどうしても遅れ気味なもの。

でもパーンは見返りも要求せず、村から呼ばれただけで遠い場所から急行してきた。村人にとっては正に勇者以外の何者でもない

しかもこうしてパーンを頼るのはカラル村だけじゃない。カノンをはじめ、ロードス中の多くの人達が彼の力を必要としているのです。


リウイ(勇者ってのは、大変なんだな)←しみじみ

お前もだろ!。こっちの勇者様は何でこんなに軽いんだろう……。メリッサが不本意に思うのが少し分かってきた。

今までは大陸の感覚でリウイを見てきたから、普通にカッコイイと思えた。でもパーンと比べるとどうしても違和感がある(苦笑)


★2

そして翌日、一行は火竜山を登ります。幸い特殊な装備が必要な場所ではなく、登るだけならそれほど難しい山ではない。

山頂付近ではオルソンの墓参りもしておきました。彼はアシュラム様の部下との戦いでシーリスを守って命を落としましたね。

"優しい狂戦士"と呼ばれた彼だけど、狂戦士の死は魂のロスト……。でもシーリスは今幸せです。オルソンの望みは叶ったんですよね。


調査の結果、近い将来に噴火が起きる事が明らかになります。火山は大地と炎の精霊力が盛んな場所で、噴火や溶岩も両精霊力の影響です。

混沌魔術にも大地と炎の複合で"ブロウ・マグマ"という魔法がある。また大地と炎の複合精霊ラーヴァが噴火を誘発するという事例もある。


これについてはティカが意外な知識で原因を突き止めました。

ティカ「きっと、殺された火竜の呪いだわ」

ディード「あなたにとって、竜は神様のような存在かもしれないけど……」

ティカ「そういう感情的な話ではないわ。人間が竜と共存するのが難しいことぐらい分かっているもの」

どうやらシューティングスターが炎の精霊力に働きかけて噴火を抑制していたらしい。流石は古竜、そんな力もあったのか。

つまり噴火が起きるのはカシューやパーンがシューティングスターを倒した事が原因。それなら確かに火竜の呪いと言えるかもしれない。


古竜にそんな力があるなんて本当に意外です。その弊害ばかり考えていて、その有益な部分なんて考えてもいませんでした。

もしかしたら新ロードスでスパーク達が解決した、白竜山脈での精霊王暴走というのはブラムドがいなくなったからだったりして……。

でもブラムドは老竜、そこまでの力があるかは謎です。もし老竜でも可能なら、エイブラ不在の青竜島にも大渦とかできてるかもしれない(笑)


しかし噴火となると相手は自然現象。精霊王と盟約を結べるディードでもまだ手に余る。

メリッサ「竜殺しの名誉が冒涜されるなど、不本意の極みです。しかも、村人の努力も水の泡となってしまうんですよ」←本気で悔しそう

噴火の規模にもよるでしょうが、山頂が吹き飛ぶような大規模なものになるようです。その際には裾野にも甚大な被害が出るでしょう。

火砕流が村を飲み込み、巻き上げられた灰が太陽を遮断し、肥沃な大地は死の大地と化す……。避難しようにもいつ起こるかは予想できない。


ミレル「クリシュをこの火山の主にすえるというのはどう?厄介払いにもなるじゃん」

正直ちょっと名案だと思った。でも幼竜にそこまでの力があるかは疑問だし、竜の爪の呪縛が解けたら魔竜の脅威再び。


そこでリウイは得意の知恵を働かせました。全ては世界で最も美しき者に笑顔を与える為に

世界で最も美しき……といえば、同じフレーズを聞いた事がありますね。あの時の女性は霜の巨人によって氷の中に秘蔵されてました。

リウイ(オレも、彼女を秘蔵したいぜ

本当に駄目だこいつ。


しかし、その経験がリウイに閃きを与えたのです。

リウイ「炎と大地の複合精霊が、火山の噴火を起こす原因となるなら、その逆も可能なんじゃないか?」

つまり炎と大地の複合精霊ラーヴァを使って噴火を防ぐとか、小規模にするとか、先延ばしにするといった手段を提案したのです。

ディードは複合精霊に難色を示しますが、彼らは神々が世界を律する以前は自然に存在していたもので、今なお混沌界に存在する筈です。

またカストゥールの四大魔術によって創造されてもいた。それが以前戦ったラーヴァであり、この島で同じものを見つければいいのです。


そしてその在り処はシャザーラの力で突き止めます。ここでシャザーラが知識魔神(ナレッジデーモン)と呼ばれる存在である事も判明しました。

どうやら「問い掛けると答えが浮かんでくる」能力を持っているらしく、まるでクリスタニアのメルキシュのタレントのようですね。

メルキシュは"真の知識神"と呼ばれる博学な神。彼の従者である悟りの民もまた、様々なものを悟る能力を授かっていたのです。

ただし魔神というからと言って、本物の魔神との関係は不明。また"魂砕き"の付与者である"知識魔神"グォールとの関係も不明です。


ただしシャザーラへの質問の仕方が問題です。よほど正確な質問の仕方をしないと、望んだ答えを返してはくれません。

例えば「重い物を運ぶにはどうしたらいい?」的な事を問い掛けると、「機材を使えばいい」みたいな当たり前の答えしか返しません。

複合精霊の居場所なんて一言で言えば簡単だけど、色々な条件で絞る必要がある。googleでの検索術に長けていれば可能かもしれませんね(笑)


その為にアイラは頑張りました。精神構造の異なるシャザーラと長時間接触して情報を掴み、飲みなれない酒を飲んで強引に寝ました。

その際リウイがずっと付き添ってあげた。アイラの側に控え、彼女が寝付くまで酒に付き合い、下山時も負んぶしてあげたのです。

女性が本当にキツイという時、驚くほど甲斐甲斐しくなるのもリウイの長所です。これも"女殺し"と呼ばれたモテ王の秘訣なのかもしれない。


第6章 人魚の涙

★1

アイラの努力で溶岩の精霊ラーヴァを封じた水晶球が、ルノアナ湖の底にある竜の彫像の右手にある事が判明しました。

恐らくは当時のカストゥール人もシューティングスターと火竜山の関係を知っていたのでしょう。その予防策がこの水晶球。


"静寂の湖"ルノアナはヴァリスの北西にある巨大な湖で、かつてカストゥールのロードス島太守の住む街がありました。

最後のロードス島太守サルバーンは蛮族が攻め込んできた時に都市を水没させ、そうして誕生したのがこのルノアナ湖なのです。

こうしてルノアナ湖はロードスにおけるレックスとばかりに、多くの遺跡が残されました。でもその殆どはウォートが発掘したそうです。

ウォートがかつて研究施設を構えていたり、カーラのアジトがあったり。パーン達がカーラと決闘したのもこの辺でしたね。


その周囲には沈黙の大湿原が広がっています。魔神戦争の時に三聖具を盗んだ鏡像魔神が潜伏し、ファーンが討伐に向かいましたね。

湿原は水を浄化する為、ルノアナ湖の水はとても綺麗です。ただし栄養まで浄化してしまうので、魚も住めなくなってしまいますが。

その代わり周囲の湿原に多くの生物がいる。それを目当てにした水棲の魔獣が徘徊し、遺跡にはアンデッドもいて割と危険な場所です。

なおこの都市の名はコンパニオン等では湖上都市クードと呼ばれていた筈ですが、本編では湖の名前と同名のルノアナになっています。


ディード「ロードスは自然の変化にとても富んでいるわ。精霊たちの動きが、とても豊かな島なのよ」

ティカ「だからなのね。それほど大きな島ではないのに、たくさんの竜が棲んでいるのは……」←お目々キラキラ

竜司祭である彼女にとっては、ある意味理想郷。こんなに嬉しそうなティカははじめて見たかも。


現在五色の魔竜の内、ブラムド・エイブラ・シューティングスターは"支配の王錫"争奪戦に巻き込まれて死んでしまいました。

でも未だにモスのアルボラ山脈には金鱗の竜王マイセンがいる。聡明で優しい彼なら、ティカが話しかけても答えてくれると思います。

また"竜を手懐ける者"大ニースに話聞きたいと思ってるし、竜司祭を祖先に持つハイランドの竜騎士の生活ぶりも見てみたいと思ってる。

あとブラムドとも話したいとか言っていますが、まさか大ニースが"リザレクション"で?。でも邪竜ナースは止めておいた方がいい(笑)


パーン「人と人との争いなのに、妖精にも妖魔にも、幻獣や魔獣も否応なしに巻き込まれてしまう。
     動物や植物にも被害が及ぶ。戦に関わった者のひとりとして申し訳なく思うよ」

リウイ「なるほど……」

やっぱりパーンは優しい。いざ戦が始まれば犠牲が出るのは当然の事なのに、その当然の事にすら心を痛ませている……。

思えば人間の欲望の為に老竜や古竜まで殺されてしまうのだから、恐ろしい島です。大陸だったら流石にそこまでにはならないだろうし。


★2

現地に着くと女性陣は裸になって湖に潜って探索を行い、パーンとリウイは離れた場所に隔離されてしまいます。

ミレル「残念だったね

リウイ「下劣な……。彼女の美しさは不変なんだ。衣服を着ていようと、一糸纏わぬ姿であろうと変わることはない」←陶酔気味

フェチもここまでくると最早立派か。エルフを特別扱いしている事に変わりはないけど、決して欲望ではない。


そして女性陣はそれぞれ裸になり、ディードの"ウォーター・ブリージング"で潜水を開始します。

ミレル「あなたが男ふたりを追い払ったのは、自由騎士にあたしたちの身体を見せたくなかったから?」

ディード「決まっているでしょ。あたしはエルフだもの、胸の大きさや腰の豊かさで、あなたたちに勝てるはずもない。
     パーンに見比べられるなんて絶対に嫌!あの人って、まったく悪気なしに、あなたたちのスタイルを賞賛するもの」

実はミレルはこの時、初めてスタイルで勝った。昔は発育途上だと誤魔化していたのに、最近は頭打ちではないかと悩んでいたのに。

それに対してアイラは相変わらずボン・キュッ・ボンッです。冒険生活で余分な脂肪も落ち、メリッサのようなモデル体型になりつつある。


実際は全ての男性がアイラみたいな体型が好きだとは限らない。世の中にはマニアもいる

ミレル(アイラよりあたしの体型が好きだという男とは、あまり近づきたくない気もする)

人はその手の男の事をロリータ魔神と呼ぶ。確かに体型も男女の関係においては重要な要素かもしれないけど、全てではない。

ミレルは盗賊の技術でアイラにはできない形でリウイに尽くしている。どちらが上とかいう問題ではないと思いますよ。


しかし体型にコンプレックスがあるなんて、ディードも可愛い所があったんですね。それが種族の特徴だから仕方がないけど。

エルフは基本的に細くて繊細なもの。ただし最近はピロテースやベラみたいな、やたらとスタイルのいいエルフもいるようですがね。


一方男性陣は湿原の切れ端の上で待機しているつもりが、気づいてみれば巨大蛭(ジャイアント・リーチ)スキュラとの戦闘になってしまいました。

湿原に棲むモンスターの一例でしょうね。この2人には特に怖い相手ではないけど、数は多かったらしく、なかなか大変だったようです。

しかもリウイに至っては、蟲に食われまくって痒さのあまり悶絶。メリッサの神聖魔法で治してもらわなければロクに眠れない程でした。


ミレル「ゆっくりできた?こっちは大変だったんだから」←何も知らない

リウイ「ああ、楽させてもらったよ……」←愛想笑い

でもそんな苦労を微塵も表にしないのがリウイ。


またその日はルノアナ湖に浮かぶ小島で休息を取りました。カーラと戦い、ギムとウッドを失ったあの場所です(多分)。

パーン「何年か前に、一度だけ上がったことがあるんだ……」←遠い目

メリッサ「本当にいろんなところに行っておられるんですね……」

パーン「ああ、いろんな場所へ行ったよ……」

ディード「本当にね。そしてきっとこれからも、もっといろいろな場所に行くことになる……」

そうして行った場所の数だけ様々な思い出もできる。そしてそこに再び訪れた時、当時の事を思い出してしまうのです。


★3

そして翌日にはパーンとリウイが潜ります。水中では動きが著しく制限されるので、戦闘では突き一本で攻めるつもりです。

そんな事しなくてもディードに"ディクリース・ウォータープレッシャー"をかけて貰えば、ペナルティーなしで動けますけどね。


探索の結果確かに水晶球はありました。しかし握る竜の彫像は、シューティングスターを象ったブロンズ・ゴーレムです。

ヴァンの館で戦ったブロンズ・ワイバーンよりは強そうな感じです。ゲーム的には"番兵"よりは強いボスキャラであると思われます。

ところがこのゴーレムは水晶球の守護者にして封印の要。もしここで破壊すればラーヴァはここで解放され、湖が汚染されてしまう


これを教えてくれたのが、この湖に住む魚人族(マーフォーク)でした。「SWサポート2」でデータが公開された水の妖精族?です。

彼らの女性は一般のマーメイドと同じ姿をしています。上半身は人間の女性で、下半身は魚。"バブリーズ"で出てきたのと同じですね。

ところが男性が特殊です。全身が鱗に覆われ、顔は魚。そして下半身には2本の足があるという、いわゆる半魚人的な姿をしています。

これは"バブリーズ"にも出てきたマーマンのブルボンとは異なりますね。ブルボンはマーメイドと同じく、上半身は人間で下半身魚でした。


つまり図にすると以下のような感じ。

男性 女性
マーマン/マーメイド 上半身人間・下半身魚 上半身人間・下半身魚
マーフォーク 顔は魚で全身に鱗 上半身人間・下半身魚

マーマン/マーメイドは水の妖精族であり、マーフォークとの関係は謎です。生活様式や言語もほとんど同じです。

一説には亜種や近親種であると言われるし、また一説にはカストゥールの魔術師がマーマンを利用して創造した人造生物がマーフォークともいう。

ただいずれの場合も海水に住む場合淡水に住む場合があるようです。今回リウイとパーンが出会ったのは後者のパターンですね。


リウイに直接忠告したのは、現在集落を治める族長代理の女性です。次期族長がまだ幼いので、それまでの名代なんだとか。

族長代理「お願いです。像をそっとしておいてください。お望みなら、わたしを食べていただいてもけっこうです

食べろと言われても、こんな人語を解する生き物を食えるか。でも命と引き換えに仲間を守ろうとするとは見上げた心意気です。


何故彼女がそんな事を言ってきたかというと、マーメイドの肉には不老長寿の力があるという俗説があるからです(事実無根)。

かつてこの島ではそのデマを信じた愚かな人間により、マーメイド狩りが行われたそうです。そして彼らは人間の前から姿を消した……。

同じような伝説が日本にもありますね、「八百比丘尼の伝説」です。バブリーズを読む限り、大陸にもそういう話はあるようです。

ただリウイが知らない所を見ると、特別ポピュラーな話ではないのかも。でもリウイだし、単純にセージ判定に失敗しただけかも(苦笑)


彼女に言われなくても、ここで水晶球を無駄にする訳にはいきません。使命を果たせず湖も汚染なんて、最悪の結果です。

リウイ「オレたちは、水晶石に封じられた混沌精霊を、火竜山まで運びたいだけなんだ。ここで解放するようなことはしない」

族長代理「そうなんですか?」

リウイ「ただ、この像をどうやれば運ぶことができるのか、方法が思いつかなくてな」

族長代理「わたしどもで手伝えることがあれば、お申しつけください。邪悪な精霊がいなくなれば、わたしどもも安心できるというものです」

彼らは決して強い種族ではないし、平和に暮らしたいだけです。だからこうも協力的に振舞ってくれます。


本来合言葉でゴーレムや水晶球を正しく使える方法があった筈です。しかしゴーレムは太守の言葉にしか従わない仕様のようです。

あるいは7レベルの"ディスペル・オーダー"でゴーレムの命令を解除し、9レベルの"コマンド・ゴーレム"で従属させるとか。

瞬間移動ができるアイラなら前者はできるはずです。でも修行が必要だと言っているので、後者までは無理という事なのでしょう。


それと"センス・オーダー"という呪文の事をリウイが口走っていますが、これはルールブックには載っていないものですね。

名前からしてゴーレム等に与えられた命令を判別する呪文のようですが、それは6レベルの"アナライズ・エンチャントメント"で事足りる。


かといって傷つけないように運ぼうにも、その重量は計り知れない。幼竜よりも一回り小さいとはいえ、10m近くはある筈です。

ブロンズ・ワイバーンの時も確認しましたが、青銅は主に銅と鈴を合わせた合成金属です。10円玉なんかが青銅ですね。

参考までにその密度は6.84g/cm^3で、1m^3でも7t近い。そうなるとこの青銅のゴーレムは一体何tあるやら……。

もし何も知恵が浮かばないようなら、フレイム王国に頼む事になる。それはそれでいいのかもしれないけど、微妙に心残りな解決法です。


目的のものを目の前にして、入手方法が分からない。でもこういう知恵を使う事こそ、リウイの真骨頂です。


第7章 魔竜ふたたび

★1

リウイ達はブロンズ・ゴーレムを動かす方法を考えるも思いつかず、フレイムに任せる方向で話がまとまりつつありました。

パーン「王子の協力には、感謝の言葉もない」

ディード「ありがとう、王子」←握手

パーン「オレの剣と鎧は、持って帰ってもらっていい」

リウイ「その申し出はありがたいが……。オレはまだ、それだけのことをあんたにしていない

ただ武具を手に入れるだけなら、既に果たしているんです。でもそれでは納得がいかない。本来握手だけで報酬は十分ですがね。


そして諦めずに考え続けた結果、ついに得意の閃きを発揮します。

リウイ「相手はゴーレムなのですから、自分で動くことができる」←攻撃を仕掛ければ動く

パーン「しかし、それでは戦うしかなくなる。そして壊してしまえば、精霊はその場で解放されてしまうのだから……」

リウイ「ええ、だから破壊しない。戦いながら、火竜山へとゴーレムを誘導するんだ」

パーン「なるほどな……。王子の発想には、いつも驚かされる」

実力はまだまだだけど、こういう時は妙に頼りになる。最後まで諦めなかったリウイの粘り勝ちです。


その際リウイはクリシュに乗り、空中戦をしつつ飛行します。距離もそこそこあるし、危険はある。

パーン「危険は承知です。ここで解決を王国に委ねてしまっては、自由騎士から武具を受け取るわけにはゆかないんです」

ディード「パーンは、もうあなたに剣と鎧を譲ると決めているんだから……。この人は決心を変えたりしないし、後悔したりもしない」

全てはケジメです。パーンの好意に甘えるような事はしたくない。ちゃんと自分の誠意を見せたいという、立派な我儘


その際パーン達はアイラの"テレポート"で山頂へ先回りです。仮に10レベルでも24点消費、やはりシャザーラ持ちかな?

リウイ「オレを信じてください。必ずゴーレムを連れてゆきますから」

パーン「分かった……」

そしてディードからは、なんとホッペにキス

リウイ(たとえ、死んでも本望というものだぜ)

確かに冥土の土産としては十分ですね。それ以前に眼鏡のアイツに文字通り睨み殺されなければいいけど(苦笑)


★2

こうしてリウイとティカとクリシュがゴーレムを先導し、残りの面子は火竜山の頂へ先回りする事になりました。

ただしゴーレムへ攻撃してから湖面へ戻ってくるまでは、リウイ1人の仕事です。火竜であるクリシュは水が嫌いだから潜れないのです。

ティカ曰く、水浴びはおろか雨も嫌う程だとか。これが水竜だったら問題はないんですけどね。転生竜の属性はやはりランダムなんだろうか?


リウイはディードに"ウォーター・ブリージング"をかけて貰って潜水し、ゴーレムへと攻撃を加えます。

そしてゴーレムが動き出したタイミングで、マーメイドに"ウォーター・ウォーキング"をかけて貰って湖面までひとっ飛びです。

本来水上を歩く為の魔法ですが、水中でかけられるとそういう風に水面まで弾かれるのです。これなら普通に泳ぐよりもずっと速い。


データ上マーフォークは2レベルで、精霊魔法のレベルは不明です。一方"ウォーター・ウォーキング"は4レベルですね。

しかしマーマン/マーメイドはダークエルフ同様に個体差の大きい種族。マーフォークも同じだと言えるかもしれません。

マーマンも普通の固体は2レベルですが、マーメイド・シャーマンは4レベル。この族長代理もそれぐらいの実力はあるでしょう。


族長代理「二度と来ないで下さいね」←手を振ってる

リウイ「ああ、そのつもりだ。あんたらも静かに暮らしなよ」

やっぱり迷惑だったらしい(笑)


湖面に弾かれたリウイは、すぐさまティカが掬い上げてクリシュに乗せ、遅れて現れたゴーレムと地獄のチェイスのはじまりです。

ただしこのゴーレムは、ゴーレムのくせにブレスを吐く。ゴーレムといえば力押しがほとんどですが、これは珍しい種類ですね。

それなら"ファイア・プルーフ"の使えるティカが囮に向いてそうですが、それ以外の牙や爪の攻撃もあるから彼女だけに任せる訳にもいかない。

しかもリウイが重いので微妙にクリシュの速度が出ない。そこでリウイも"フライト"を唱え、編隊飛行開始。交代で牽制をし合います。


そしてティカは推定"パーシャル・ドラゴン"を使って鱗や爪を生やし、蝶のように舞い蜂のように刺す戦法を見せます。

"パーシャル・ドラゴン"は5レベルの竜語魔法。どうやら最初の頃よりも成長してるらしく、クリシュの世話役も修行になってたんですね。

ただし"フライト"は時速50kmなのに対し、竜の翼は時速30km。リウイはある程度速度をセーブしないと引き離してしまう。

これで颯爽と空を飛びながら戦闘する男と、翼の生えた女の子と、二匹の竜の出来上がりです。何も知らない地上の人が見たら何が何やら(笑)


★3〜4

決戦の舞台は火竜山の火口です。かつてロードスの勇者達が魔竜と雌雄を決した場所です。伝説の名所でしょうね。

あの時は色々あって思い出深い場所です。魔竜との戦い、カシューとアシュラム様の一騎打ち、そしてパーンの渾身の一撃……。

そして今でもマグマの中には"支配の王錫"が眠っている筈。この王錫の力でアトンを掌握したりできないものか……流石に無理かな。


誘導されてきたゴーレムは、まずティカが炎に耐えつつ誘導し、翼が岩壁に接触して墜落。やはり知性はあまりないようですね。

墜落した後はパーンとジーニが前衛として戦い、メリッサとディードとアイラは魔法で援護。クリシュは環境が気に入ったのかお昼寝(笑)

ミレルはリウイの着替えを手伝い(このカラー挿絵が可愛い)、リウイは"番兵"を装着して前衛に参加します。いよいよ二大主役揃い踏み!


この装着シーンがカッコイイんです。

リウイ「魔法王の鍛冶師が鍛えし、"生ける鎧"センチネルよ。汝が主の名において命ず。契約に従い、我が鎧となり、剣となれ!

番兵「我、契約に従いて、汝が鎧となり、剣となる……」

実は"番兵"は限定的な瞬間移動が行えて、安置場所と主の間を移動できる。そして自動で部分鎧に分解して装着。何座の聖衣だ(笑)


パーン「五百年以上も未来に、自分が鍛えた武具を着た戦士がふたり並んで戦うとは想像もしなかっただろうな」

そしてパーンの話から、砂塵の塔にジンが封印されていた事を根拠にこの聖剣が"鎮めるもの"であると知るのです。

残念ながら目的の品ではなかった。だけどある意味大きな収穫があった。この"自由騎士"と"永遠の乙女"と知り合うことができたのだから。

それに精霊王と戦える魔力を持っているなら、その精霊王が複合したアトンにも有効かも。倒せないまでも、痛手を負わせるぐらいなら……。


不思議な事に、パーンと一緒に戦っていると負ける気がしない。それもある意味では一つの勇者の資質の在り方なのかもしれない。

真の勇者とは、自分自身が勇気を持っているというだけではない。むしろ他人に勇気を与えられる存在なのかもしれません。

性格は違うけど、カシューやベルドやファーンもそうでした。彼らの剣にはそれぞれ信念があった。どんな敵が相手でも決して折れない信念が。

そしてリウイもまた、自然にそういった力を身に着けつつある気がする。まだ未熟だけど、いずれ彼の剣にも超英雄の力が宿る日が来る!


リウイが"番兵"の聖剣を大上段に構えると、ジーニとリウイが猛然とゴーレムに攻撃を加え、彼に精神統一の時間を作りました。

そして開眼したリウイは一撃でゴーレムの首を飛ばす!この時の彼の剣は、もしかしたらパーンとの戦いで掴んだ境地に近かったのかも。

続いてパーンが例の必殺の突きを繰り出します。瞬間移動したかのように懐に飛び込み(縮地?)、柄まで剣を埋め込む凄まじい一撃でした。

この演出は堪りませんね。実力の違う2人の主人公が、互いに互いを引き立て、決して飲まれる事無く大活躍した。本当にいいコラボです!


そしてジーニがゴーレムの腕を切り飛ばし、リウイは破裂間際の水晶球を砲丸選手顔負けの投擲で火口にカップ・イン

これで火竜山は小さな噴火を起こしました。裾野への被害も出ない程度のもので、こうして2人の勇者は大噴火を未然に防いだ


★4

全てが終わって、2人の勇者は別れの時を迎えます。寂しいけれど、お互い使命がある身です。

ディード「リウイ王子、本当にありがとうございました……」

リウイ「感激です」←泣きそう

その時ディードは身に着けていた首輪を外し、リウイにくれました。なんでも千年に一度成るという、黄金樹の実で編んだ首輪だとか。

帰省した時に母親から貰った逸品です。強い生命力が宿り、あらゆる傷や毒や病気を治すとか。"ユニコーンの角"みたいなものかな?


そしてパーンが"鎮めるもの"をくれようとしますが、必要なものではないので断ります。それに彼には特別な物のようだし。

パーン「この剣を見つけたあの風の塔で、ディードは命の危険を冒して、風の王の試練を受けてくれた。
     あのとき、オレは無力で、君を助けることができなかった。だから、オレはこの剣と鎧に誓ったんだ
     命を懸けて君を守ることをね」

ディード「パーン……」←感動

つまりパーンにとって特別なのはディード自身であり、この武具は最愛の女性との絆。だから彼はこの武具を大切にしているのです。

なんて素敵な愛なんだろう。ロードス本編では今一つハッキリと聞けなかったパーンの真意。それを聞けただけで本当に感慨深い話でした。

アシュラム様とピロテースの永遠の絆も素敵だと思いましたが、パーンとディードの絆も永遠。例え死に別れても、愛までは別れない


そしてリウイはパーンの人柄を完全に認めたので、アトンの事を話した

パーン「オレたちはあと数年で、この島の戦乱を終わらせる。そのとき、もしもオレの力が必要なら声をかけてほしい

ディード「この剣は、これで王子との絆にもなったわけね」

リウイ「世界を救うという使命を軽んじているわけではないんだが、オレはこの冒険を楽しもうと思ってる
     どれだけ強くなれるのか。そしてオレの剣をきっと見つけてみせる。次に会ったときには、もう一度剣を合わせてもらうぜ」

パーン「ああ、楽しみにしている」

この数年後、彼らは「邪神戦争」に勝利してパーンは"ロードスの騎士"と呼ばれ、次の「終末戦争」においても大きな役割を果たします。

その戦いでロードスの民はアレクラストの民に先行して「終末のもの」との戦いに勝利し、ロードスは"解放された島"と呼ばれるようになる。


でもそれはまた別のお話……。




こうして"呪われた島"での冒険は終わりました。長く過酷な旅を果たしても、"ファーラムの剣"は見つからなかった。

それでも2人の超英雄との絆ができたのは大きな収穫。近い将来、アトンとの戦いで彼らは強力な援軍となってくれる筈です。

そして物語は「牧歌の国の魔法戦士」へ続きます。いよいよあの巨人像の秘密が明らかに!?




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