「つかめ!明日の大勝利」監修:清松みゆき 著:秋田みやび/グループSNE 出版社:富士見書房
★なんと初めての成長申告
2巻に入って始めての成長ですね。イリーナはファイター2→3、ノリスはシーフ2→3と前衛が強化されました。
またガルガドはプリースト(マイリー)2→3、ヒースはソーサラー1→2、マウナもシャーマン1→2と魔法も強化されました。
軒並み1ずつ上がりましたね。特にヒース、これでようやく2発"スリープ・クラウド"を使ってお終い、とかにはなりませんね。
今回の元ネタは明らかに「金田一少年の事件簿」ですね。一発で変換できるぐらい有名です。でもマウナは果たして少女に属するのかな?
★うさんくさい昼食会
イリーナはヒースの融資もあってようやくお金が貯まったので、必要筋力24のグレートソードを買いに武器屋さんへと向かいます。
ところがそんな規格外の武器が常備してある筈もなく、取り寄せになってしまいました。まぁ1296人に1人しか使えないんだし。
そもそもそんなものどうやって鍛えるんでしょうね。恐らく、寿命を削るような荒行になるんでしょう。腕の腱が切れそうです(笑)
それからイリーナは「グレソーまだかな〜」と、トランペットに憧れる少年よろしく武器屋に日参するのでしょう。
そんな時後ろを通りかかったリジャールが内海賢二さんの声で「欲しいのか?」とグレソーをプレゼントしてくれたり……する筈がねぇ(笑)
どうやらマウナは正式に「青い小鳩亭」にウェイトレスとして雇われているようです。今ではおつかいを頼まれるぐらい信用されてます。
ところが帰り道にとんでもない罠にかかってしまうのです。今回の敵はモンスターでも悪の魔術師でもなく、詐欺師だったりします。
力技が通用しない、口先だけは天下一品の詐欺師は下手なモンスターよりも屈し難い。下手に暴力を働けばこっちが犯罪者です。
その人物はイースンといい、やや二枚目の男性です。彼は大勢の女の子に囲まれていて、その1人に手を引かれてマウナもお昼を奢って貰います。
ところがそれは撒き餌でした。マウナは"ティンダー"のコモンルーンのように火がつけられるティソダーを紹介されるのです。
それを売って得たお金の2割を取り、残りを紹介元に納める。またこの商法を他の人に紹介し、その人の儲けも貰って紹介元に納める……。
そういう連鎖を繰り返していく商法です。俗に言う「ネズミ講」や「マルチ商法」ですね。一見は魅力的な永久機関のように思えます。
しかし人口は有限である以上、必ず儲かるという事はない。連鎖の上の方にいればともかく、下に行けば行くほど悲惨な事になる。
今の日本では「無限連鎖講の防止に関する法律」で勧誘しただけでも違法ですが、オーファンにはそんなものはありません。
ところで何故マウナは"ティンダー"のコモンルーンをあんなに欲しがっていたんでしょうね?
PCとしての動機は短編「幸せにいたる道」で明らかになります。そうじゃなくてマウナのPLは何故"ティンダー"のコモンルーンを?
"ティンダー"はコモンルーンの中でも使えない部類に入ります。"ライト"や"ロック"は使えます、この世界でなくても欲しいぐらい。
"カウンター・マジック"や"エンチャント・ウエポン"も冒険者は欲しいでしょうね。でも"ティンダー"ってなんか横着じゃないですかね?
普通に火口箱とか持ってれば十分です。それすらない状態で火が欲しい時は使いますけど、他のコモンルーン程は常用しませんしね。
コモンルーンが3000ガメルするのに対し、ティソダーは1000ガメルです。これに"ティンダー"の欲しいマウナは飛びつきました。
こうしてマウナはなけなしの財産を使ってティソダーを購入します。既に所持金は20ガメルしか残ってない、明日からどうするんだ?
まぁこれはマウナのPLもわざと乗ってるだけなんですけどね。別に彼女が買わなくてもシナリオは進むだろうけど、当事者の方が面白いし。
★魅惑の《ティソダー》
店に帰ってきたマウナはここぞとばかりに皆に冷やかされます。今回は詐欺で済んだけど、一歩間違えれば一服盛られて奴隷にされてました。
怪しいティソダーに1000ガメルも払った事にも呆れられますが、ヒースの言うように「人の価値観は人それぞれ」ですからね。
本人が本当に納得した上で1000払ったのなら別にいい。まぁ今回は結局詐欺で本人の望むような効果は得られなかった訳ですが。
しかし1000ガメルって結構しますよ。イリーナのグレソー(24)にも届かん額ですし、動物だったらラバが買えます。
ちなみにラバは雌ウマと雄ロバとの 1 代雑種です。その逆の種馬と雌ロバの子供はヒニーといいます。
アラン・ディーン・フォスターの「スペルシンガー・サーガ」で登場するヒニーがそう熱弁していました(笑)
勿論このヒニーという生き物は実在します。またの名をケッティといいます。いずれにしろマイナーな動物なんですけどね。
あとマウナはコモンルーンの値段が3000というのがぼったくりだったんじゃないかと言ってますが、一応は公正な値段です。
SNEのマジックアイテムの価格決定式でもそうなってます。自己の精神力を消費する場合、レベル×基本消費精神力×1000になります。
"ティンダー"をはじめ、ルールブックに載っているコモンルーンは全て1レベルで基本消費精神力3点なので3000ガメルなのです。
ところが送られてきたティソダーは案の定ただの指輪でした。いや性格にはただの指輪ですらなく、火打石ですね。
つまり片手にある石をもう片手の指輪に叩きつけるんですよね。「出て来いシャザーン!!」とばかりに。
こんなちっこい指輪、よっぽど器用でないと使えないでしょう。多分冒険者+器用度、いや盗賊技能による判定が必要かも(厳しい)。
これには茫然自失のマウナでした。ヒースはそんな彼女に優しい言葉を……かけるわけがない。おばちゃんに焼き鳥を注文して
ヒース「おや、ちょっとレアだなあ"ティンダー"。うん、ほどよく火がついた」
ノリス「ヒース、今の最高だったよ!次はボクが焼き鳥頼むから、やってね」
ナイス嫌がらせです。これにはマウナも泣きながらダッシュ。それにしても酷い、こいつら本当に仲間か(苦笑)?
でも挿絵ではイリーナがちゃんと心配してるんですよね。いい娘だ……(ホロリ)。こうして彼らの詐欺師との戦いが始まったのです。
★マウナ立ち上がる〜《ティソダー》のある街
マウナは皆に洗いざらいぶちまけますが、事件がとても異質なので具体的な対処法が分からなかったりします。
ちなみに指輪自体は10ガメル程度の品です。990ガメルほど損しているんですね。しかし広告の表記は何も間違ってなかったりする。
これも詐欺の手口です。間違いはないが裏はある広告で相手に何かを期待させ、因縁をつけられても「そう思っただけでしょ?」とかわす。
でもこのまま泣き寝入りをしていい筈がないので、とりあえず被害状況や裏を探りに動き出します。
ノリスは盗賊ギルドへ行きました。別にギルドのサイドビジネスではありませんが、ギルドではこういう事はOKなんですかね?
一応オーファン盗賊ギルドでは詐欺師は"狐"という符丁で呼ばれています。つまり詐欺という分野に関してまったく縁が無い訳じゃない。
あとゲストとしてミレルが登場し、人口が有限である以上商法として成り立たないと、ハッキリと指摘してくれました。
ピラミッドの上の方にいるならともかく、下に行けば行くほどにお客が見つからず、仕入れが苦しいだけという地獄に陥る。
ノリス「イースンってヤツがすでに4、5代目とかだったりなんかすると、もう目も当てられないよね」
ミレル「まったくだよ。バカな奴だねぇ、あははは」
うわ容赦ないわ。
またヒースは大好きなハーフェン導師に笑いのネタを提供します。魔術師ギルドとして介入できるような事ではありませんけどね。
広告には「ティンダーを使うように火を点けられる!?」とはっきり断定してはいないんです。何から何まで気がつく詐欺師です。
ヒース「2つ1組で、それをこすり合わせると火かつくというイカしたギャグ商品だったようで」
ハーフェン「わはははは、それは素晴らしい。エスプリ効いてるねぇ」
こっちでも笑われてる。被害だけでなく、笑いまで振りまいてるよティソダー(笑)
またその一方で着々と被害者も増えています。ファリス神殿でも女の子が既に勧誘を始めていますよ。
彼女は実は脇役Aではなく、名前はアネットといいます。短編「友という名のもとに」にて再登場しています。
イリーナの為にティソダーに手を出した優しい娘です。恐らく同一人物だと思いますけど、確証はありません。
ここでの他人行儀な呼び方は友人関係そのものが後に設定されたからだ、ということで説明できそうですけど。
それを踏まえてこの挿絵を見れば、この嬉しそうな表情の理由も分かる気がします。いずれにしろ被害者は他にも出ているんです。
ここまで分かった時点でどう動くのか非常に興味深かったんですけど、かつてない事件の性質のせいかどうも気乗りしないようです。
いい手も思いつかず、イリーナやマウナにいたっては実力行使に出ようとしてます。いやそれじゃあこっちが犯罪なんだってば。
このままじゃマウナはシナリオに快く協力してくれたのに大損して終わりですね。いくらなんでも、それはあんまりですよね。
こうして一行はイースンの家に乗り込む事にします。マウナとイリーナだけだとまた騙されそうなので皆で。でもヒースとノリスは面白半分。
イースンの家は最近ティソダー商法で小金持ちになったせいか、庶民臭さが抜けないのに豪華な家具があったりと、ティソダー成金ですね(笑)
マウナはイースンに詰め寄るも、全部正論で返されてしまいます。これだから詐欺師は、ただ倒せばいいだけモンスターの方がよっぽど楽。
煮え切らない状況に、ついにイリーナがキレました!
イリーナ「いいからゴチャゴチャ理屈こねてねえで、とっとと金返せつってんだよぉぉっ!」
こんなイリーナは初めて見た。しかし24の筋力で暴れられたら堪ったもんじゃない、世間的にはイリーナの方が悪者ですよ。
イースン「あんまりだ、一見ファリス神官みたいな暴力団を連れてくるなんて…君たち、私の成功を妬んでるんだね!?」
マウナ「ちょっとしか、妬んでない!」
ノリス「そうそう、あやかりたいだけ」
もうダメだこいつら。最早マトモそうなのはガルガドのみ。
しかし収穫もありましたイースン自身トップじゃない。まぁこんな凶悪な商法を考えたにしては小物っぽいと思ってたんですよ(笑)
そこで彼の上にいるロイという男を探る事にします。しかしそれで解決するとも限らない。下手すれば加盟者を堂々巡りするだけですね。
かといって理屈では勝てないし、本当に今回の敵はかつてないほどの強敵です。こういうシティーアドベンチャーも面白いもんです。
イリーナ「元締めを見つけてやっちゃいましょう!
ファリス信者は、人々の悲嘆の声がたくさん積み重なると、人の法を超越することができるんです!」
それはただの逆切れだ。こういう煮詰まった状態にならないよう、糸口があるなら取り合えず辿ってみるのがセオリーですね。
しかし今回は依頼人もいないし、仮にお金を取り戻せても収支は0です。パーティーとしての見入りは期待できませんね。
★ノリスがんばる
ここでイリーナが禁断の能力"ディビネーション"を使います。神にお伺いを立てるという、実に微妙な神官の基本能力です。
でもどう答えるかはGM次第です。ぶっちゃけGMの為にあるようなもの。どう答えるかもGMの匙加減一つで決まります。
イリーナ「これこれこんなことがあったんですが、やっちまっていいものでしょうか?」
ヒース「汝の為したいように為すがよい」
それはファラリスだ。
GM「汝の為すべきことを為すがよい」
おお、うまい。前にヒースがチャチャを入れてくれたお陰ですかね。しかも微妙に答えが不明瞭で神様っぽい。
為すべきこと、つまり詐欺師を懲らしめたりマウナのお金を取り戻す事ですか。いやそれをもうやっているんですよ、問題は方法論です。
しかし偉大なるファリス神は敢えて方法を述べず、迷える子羊が自分の判断で動けるように背中を押したのです!……と解釈しましょう(笑)
シティアドベンチャーでは盗賊こそが最も輝くポジションにいる筈です。なんですけど……ノリスはあまり乗り気じゃない(駄目じゃん)。
それでももし元締めが金を集めてなにか悪い事をしていたとしたら、別件で踏み込んでとっちめる事もできるかもしれません。
そこでノリスは高級住宅街にあるロイの家の半径500m内の所に潜みます。会話も"ウインド・ボイス"で拾う。やればできるじゃないか。
でも共通語の読み書きができないので、結局相手の言葉をメモる事はできません。シティーアドベンチャーで盗賊がアホだと致命的ですね。
でも西方語の方はできる筈です。街中ですから普通なら西方語で会話している。仮に共通語で会話していても翻訳すればいいんだし。
ここでの張り込みでノリスはロイが更に上位のハンスという男がいる事が明らかになります。実はそいつがトップなのです。
今回の黒幕はハンス・ニルス・ホルスという闇司祭の3兄弟です。彼らはお布施を手っ取り早く集めようとティソダー商法を思いつきました。
しかしこの時点でファンの街から出ようとしています。そうと知らずロイはハンスを待ってるんですね。もう少しで尻尾を踏めますよ。
★イリーナもかんばる〜マウナもがんばる
そうこうしている内にティソダー勧誘に勤しんでいたアネットもいよいよ焦ってます。何しろ彼女は10個も仕入れちゃってるのですから。
まとめて買うともっと安くなるとはいえ、それでも数千ガメルをつぎ込んでいるのです。勧誘する声もかなり必死で痛々しい。
そしてマウナは露天商のお姉さんから得た情報で、製造元の細工師を特定。敵の名前も判明し、ノリス情報と突き合わせて信憑性も出てきた。
しかし相手はファンを出ようとしてるので生産はストップしてます。更にノリスが盗賊ギルドで三兄弟が推定闇司祭であるという情報も得ます。
凄いスピードで話が進んでますね。さっきまでの停滞ぶりが嘘のようです。ちなみに三兄弟は貨幣制度を破壊する事で自由を得ようとしてます。
ヒース「む、まさかそいつらは暗黒神の1つ、チャラ・ザの信者たちでは!」
その教義は「汝の払いたいときに払うがよい」。食い逃げ、万引きの神としてチャ・ザの天敵とされているのです。
特殊暗黒魔法は"アンラック"、1日に1回成功を失敗にできる。その最高司祭はゼニ様というのだとかなんだとか……。
来た、ヒースの嘘エイト・オー・オー。何んでもかんでもラをつければいいってもんでもない。でもチャラ・ザは語呂が良い。
まぁこの手の詐欺の被害額が怪しい宗教団体の活動資金に充てられるというのはよくある話ですよね。
それから三兄弟の家に駆けつけるも既に引き払った後です。本来彼らはとっくにグードンにまで逃げている筈でした。
でもそこまで行っちゃうと今度こそ本当に彼らのモチベーションがなくなってしまうので、まだ街道上にいる事になりました。
そしてイリーナはファリス神殿で馬車を半ば強奪するように借り、グードン目指して一直線です。
ところでここで出てきた司祭って誰なんでしょうね?。キリング司祭はまだ病床だし、彼の代理で神殿を切り盛りしてるんだろうか?
★三兄弟を追いかけろ〜収支の合わない大円団
ヘッポコーズは馬車を爆走させて街道を一気に進み、ある程度行った所でUターンして三兄弟を探します。
相手もまさか進行方向から追っ手が来るとは思わないでしょう。普段はざっくばらんなのに変な所で小技を使いますね。
そして三兄弟が焚き火をしている所を発見。にこやかに、それでいてハラワタ煮えくり返る気持ちで歩み寄り、急に戦闘に突入!
マウナ「ティソダー許すまじ!」
イリーナ「邪悪感知!汝らは邪悪なりっ!イリーナ突撃――っ!」
ヒース「イリーナが戦闘モードに移行した。もう誰も止められん」
そうイリーナの怒りは大地の怒りと呼ばれています。誰かが青き衣を纏て金色の野に降り立たない限り止りません(デタラメ抜かすな)。
しかし挿絵のイリーナとマウナは怖い。「ゴルア!」ですよ。後にニルスは語ります「あれはイリーナじゃないっす!、田中っす!」と……(誰や?)。
1ラウンド目、イリーナにヒースは"ファイア・ウエポン"。残り精神力、早くも8点になってしまいました(少ないって)。
しかもイリーナの一撃が珍しく6ゾロでヒット!。しかも防御を捨てた捨て身の戦闘オプション《強打》を実行しました。
これで回避力が−4される代わりに、追加ダメージ+2かクリティカル値−1ですね。今回はクリティカル値−1を選びました。
これがクルクルクルクル回って、2連クリティカル30点ダメージ!!?こうして長兄ハンスは一撃で逝きました………(殲滅してどうする?)。
続いてニルスとホルスは怒りの"ウーンズ"をイリーナに。ニルスの方は抵抗に成功するも、ホルスの方が6ゾロでクリティカル!
総計16点ダメージにも達し、冒険者レベル3を引いて13点ダメージです。22点の生命力が一気に9点ですよ。兄弟の絆恐るべし!
続いてノリスとガルガドも敵に攻撃してやや削る。本来捕獲して犯罪を立証したいんですが、これじゃあ殲滅戦ですよ。
それからヒースが根性のカンタマ3倍がけです。6点消費、残り2点なので、"ティンダー"を使っただけで倒れます(皮肉)。
マウナは捕獲する為にひたすら"シェイド"を使い、イリーナもひたすら《強打》です(でも当たらない)。
かと言って敵の攻撃もイリーナに当たっても弾かれる。魔法を使っても抵抗される。精神力を消費するから"シェイド"で狙われるし。
最後にイリーナに再び"ウーンズ"が入り、イリーナは残り4点にまで追い詰められます。"ウーンズ"は抵抗すれば効果は消滅なんですけどね。
更にノリスは脅威の連続クリティカル27点斬りでホルスも逝かせます。残ったニルスはいつか再起する事を誓って降伏しました。
こうしてティソダー商法の首謀者は捕まった(ていうか殲滅された)のです。ニルスはファリス神殿へ引き渡されます。
本格的な調査が始まり、三兄弟が持ち逃げしようとしていたお金は、被害額に応じて被害者達に均等に返却されて一安心です。
イースンやロイのようにむしろ儲けてる人へは返却命令が出され、今後ティソダー商法は厳しく規制される事でしょう。
マウナへは300ガメルの報奨金と500ガメルの返却金がありましたが、結局200ガメル損してるんですよね。しかもタダ働き。
★成長申告
今回の成長は無し。2巻も半ばに来て成長したのが1度きりとは。初っ端のミッション失敗が地味に痛かったか。
また今回のサブタイトルの元ネタは「千と千尋の神隠し」ですね。私が映画館で見た数少ない作品の一つです。
★イリーナのお買い物〜武器屋
今回は前に発注した必要筋力24のグレートソードがいよいよ届きます。ついにイリーナがその筋力を最大限に発揮する時が来たのです!
イリーナは武器屋さんに日参し、「早くこないかなー早くこないかなー」と待っていました。ところが予定の日を過ぎても届かない。
これには店主も首を傾げます。グレソーを運ぶ荷馬車には他の商品も積まれているので、いつまでも届かないのは困ります。
そこで今回の仕事はこの荷馬車の捜索になります。街道を西へ東へ走り回り、情報を集めるというウィルダネス・アドベンチャーですね。
またこの武器屋さんはロドリゴ商会の仕入れた品を扱う小売店なので、依頼主もロドリゴ商会という事になります。
この名前にピ〜ンと来る人は大のリウイ好きですね。「魔法戦士リウイ3」にて、ロドリゴ商会の主人の娘ミュリエルが登場しました。
今回のお話はそれと同程度の時系列なのです。言わばリウイの冒険のB面なのです。思えばあれはリウイにとって最大の危機でしたっけ……。
そちらを読んでいれば分かる事ですが、ロドリゴ商会はロードスへ船団を出すも嵐にあって大損害を被りましたね。
その負債を埋める為にロドリゴ商会の主ハンセルはご禁制の品に手を出し、後にアイラのアウザール商会に負債ごと吸収されます。
今回のお話は丁度その間という事になります。本当にこっちが冒険をしている一方でリウイが大変な事になってるんですね。
ちなみにご禁制の品とは"ユニコーンの角"です。ユニコーンといえばラムリアースの聖獣、国際問題に発展するような連中ですよ。
商会にとったら官憲が出てくるのはマズイ。かといって高価な品を行方不明のままにしておけない。だから冒険者を雇った訳です。
もっともイリーナ行き着けの武器屋の店主はそんな事知りません。純粋に商会から武器屋を任されているだけなのでしょうね。
馬車はロマール方面から来るというので、多分闇市で仕入れたのでしょう。デュダも昔闇市で角を手に入れようとしてましたっけ。
またワールドガイドではユニコーンの角が売られているところを見て、ユニコーン乗りのジュディスはキレてましたね。
いずれにしろユニコーンの角とはいえ、闇市なら出回らない事もないのでしょう。流石は大陸最大の市場ですね。
ところでイリーナの必要筋力24のグレソーもロマール方面の職人さんが鍛えたんでしょうかね?。グードンのブルスさん並みの腕利き?
ちなみに闇市は「SWサポート2」ではランクA+に該当します。これは基本取引価格5万以下なら十分売られてるという極めて高いランクです。
ランクAと違ってご禁制の品も出回ってますが、20万ガメル以上の品は盗賊ギルドが押さえるので「売られる」事は稀だとか。
"ユニコーンの角"の値段は精神点×1100ガメルであり、精神点は10点〜200点なので、1万1000〜22万ガメルです。
つまり精神点が乏しい角なら出回っているが、潤沢に残ってる角だと売られている事は稀になるという事ですね。
あとガルガドがファンドリアやロマールがオーファンの敵対国である事を憂慮してましたが、別に大っぴらに戦争してる訳でもないし。
普通に馬車が通るぐらいで一々killされる程危険な訳でもない。今回の事件はそういう国家レベルの事情は無関係と思ってください。
成功報酬は3000ガメル、諸経費別です。山賊とかの仕業だと確認できれば半額保障、前金は二割。
3レベルが3人、2レベルが2人だと、{(3×3×3)+(2×2×2)}×50〜200ガメル=1750〜7000ガメルとなります。
すると一人当たり350〜1400ガメルの報酬ですか。3000で諸経費別なら極々当然の額ですね。ご禁制の品の口止め料は含まれてない?
またユニコーンの角は頑丈な黒い箱に収められています。荷馬車の御者の名前はアークさんといって、イリーナも知ってる人です。
護衛の戦士は割りと新米の人が2人だけでした。別に危険な道という訳でもないのでそれぐらいで大丈夫だと思ったんでしょうね。
ぶっちゃけ商会にしてみたら最悪アークさんの安否だけでも……、ではなく最悪黒い箱だけでも確保したがってるのでしょうね(酷)
でもイリーナにとったらグレソーが心配なんでしょうが。今回は色んな人の物欲が交錯してますね。全く人は欲深い生き物です(笑)
ヒース「これからのことを考えると、金を貯めて馬を買うというのも便利でいいかもしれん」
イリーナ「ヒース兄さん、私、次の誕生日に軍馬が欲しいな」
ヒース「やかましい」
女の子らしからぬ希望だねイリーナ(笑)
でも冒険には乗り物が時として必要になるなのも確かです。荷馬は1500、乗用馬は5000、そして軍馬は1万ガメルです。
荷馬は要るかもしれませんけど、乗用馬は当面要らない気がします。全員が乗れないとパーティー全体の移動力は上がりませんし。
かといって全員分買う金もないですし、パーティーが分散するのは好ましくない。まぁ急ぎの時も考えると一頭ぐらいいてもいいかな?
ちなみに魔術師ギルドでは自分で世話をするならOKという事になりました。という事はちゃんと厩舎とかもあるんですね。
これでいかにもメカメカしい馬とかいたら嫌ですよね。あるいは全身に血管が浮き出たミュータント風の馬とか(笑)
★盗賊ギルド
出発前に毎度恒例のノリスの盗賊ギルドでの情報収集ですが、今回のは特に酷い。もうお前ギルドで再教育を受けて来い(苦笑)
ノリス「ねえねえ、ロドリゲス商会のことなんだけど」
カウンター「は?」
ノリス「裏を取りにきたんだ」
カウンター「何の?」
ノリス「馬車の」
カウンター「はあ」
ノリス「お金払ってるんだよ」
カウンター「誰が」
ノリス・カウンター「……(困惑)」
ダメだこいつ………(遠い目)
ノリスは罵声を浴びつつ一度仲間の所に戻って確認します。共通語のメモも持たせてもらいましたが、ノリスは共通語を読めない(笑)
ヒース「ダメだ!ダメだ、この盗賊!!」
ガルガド「もが―!!」
結局このメモをカウンターの人に渡して読んでもらいました。
これでノリスはロドリゴ商会の情報を得ます。とは言えここ10年ほどで露天商からのし上がった、ぐらいの話ですが。
でもなんか凄い話です。露天商からオーファンで1、2を争う商会へ成長とは。ハンセルの商才は本物なんですね。
アウザール商会は20年前、内乱の折からリジャールに支援していたのが幸いして今の地位を得ました。10年前ではそれも難しいでしょう。
またカウンターの人はロドリゴ商会の船が沈んだのも、実はアウザール商会の仕業だという噂がある事を教えてくれました。
いや流石にそれはないでしょう。嵐を起こしたり、船を沈没させるなんて……既に人間業ではありませんよ。ミルリーフか。
まぁ古代語魔法の"コントロール・ウェザー"や、精霊魔法の"メイルシュトローム"なら可能ですが、………まさか……ね(苦笑)
★ファン〜トマリ間 〜 トマリの村
さていよいよ"ヘッポコーズ"は捜査に乗り出します。今回はファン⇔ファンドリアを結ぶ「光と闇の街道」を行ったり来たりします。
今回主に立ち寄るのは、街道添いの宿場町トマリやシュクバです。それ以上先には行かないし、行っても意味がない。
各村の間は馬車で1日、徒歩で1日半です。ファン⇔ファンドリアがおよそ6日なので、シュクバまででちょうど街道は折り返すぐらいです。
結論から言ってしまうと、今回の事件の犯人はゴブリンズとシングです。ゴブリンズは強い装備を求め、シングは人を食料としたがってます。
両者の利害が一致したので、先ずは街道を通る武器を運んでいる馬車を襲撃。護衛の2人の戦士はシングの胃の中です。
その際武器を作らせる為に御者のアークさんは残しました。実際はアークさんは武器職人ではありませんが、ゴブはそう信じ込んでます。
そこでアークさんが機転を利かせ、1人では武器を作れないと訴えた為に、ゴブリンズは更に人を攫ったりもするのですね。
連中の手口はシュクバ〜トマリの間の街道に人間に化けたシングが陣取り、人数が少なくて襲いやすい一団が通りかかれば同道します。
そしてうまく街道脇に誘導し、これを襲撃。今回の事件は街道を舞台にしたウィルダネスアドベンチャーですが、推理も要りますね。
"ヘッポコーズ"はファンを出ておおよそ1日半かけてトマリの村まで来ます。既に時間は夜ですが、宿場町なので問題ない。
この時点ですれ違った行商人に情報を聞いていますが、ゴブリンが出る、というヒントが既に出ていました。あと馬車が行方不明になった事も。
翌朝も早くから情報収集に勤しみますが、貧乏性のマウナはモーニングセットを頼まず、保存食をしがんでました(うわ……)。
ヒース「冷たい井戸水くらいはおごってやるから、俺様を崇め奉りつつ、リッチな気分にでも浸りやがれ」
この親切なんだか傍若無人なんだか分からない物言いがいかにもヒースですね。子安武人さんの声でお読み下さい(笑)
ここでも行商人から話を聞きますが、やはりゴブリンが出るという程度の噂しか知りません。モブキャラの旅人の持つ情報はそれぐらいか。
またその人は6人パーティを雇っていました。これが護衛が手薄だと襲うという犯人の意図を間接的に示しているのでしょう。
★トマリ〜シュクバ間 〜 シュクバの村
ここで一行は一台の馬車とすれ違います。内訳は護衛が2人、行商人が1人。もう1人は旅装の若い男でした。
ところが実はこの人が人間に化けたシングだったのです。一行とすれ違った後、シングは彼らを襲ってしまうのですね。
その事実はシュクバに着いた時、彼らを追い越していった行商人の「誰にもすれ違わなかった」というセリフで察する事ができます。
最初は村人の話をスルーして大失敗を演じたというのに、今回のイリーナは恐ろしく冴えてますね。普段からこうしてくれていたら……。
またこの村の宿屋では宿帳を調べます。
ヒース「街道の安全を確認するためにも、キリキリ帳簿を提出するがいい」
うわ協力したくねぇ。でもイリーナの必死の訴えが通り、帳簿を見せてもらいました。
するとアークさんは7日前に既に通過している事が分かりました。ということは監禁されてから結構経ちますね。
ちなみにアークさんには帰りを待つ妻子がいるそうです。商売柄子供に顔を忘れられそうで心配だとか。
ヒース「……だめだ、このアークとかいう男はもう助からん。死亡直前キーワードがてんこもりだ」
死亡直前キーワード、あるいは死亡フラグ。それは死兆星のようなもの。この手のセリフを吐くと十中八九死にます(笑)
同義語に「故郷で帰りを待つ婚約者」とか「帰ったら結婚しよう」など、人の情に訴えるセリフほどかえって危険だったりする。
さて行方不明の馬車が2台に増えた事で、一行は首を傾げます。一体どういう仕掛けなのか。ノリスは魔法の罠説を挙げていました。
何処かにある魔法装置の暴走、マジックアイテム、そういったカストゥールの遺産でないとそんな便利な事にはならないでしょうね。
あとヒースは"センスマジック"で1日350m分調べると言ってますが、350というの何処から算出した数字なんだろう?
"センス・マジック"は集中の魔法ではありません。持続時間は18ラウンド(3分間)、2レベルのヒースは6回使えます。
全力移動は無理だとしても、通常移動ならできるでしょう。ヒースは1ラウンドに17mは動ける。結構な距離を稼げますよ。
17m×18ラウンド×6回=1836mですね。しかも視界内に入っていればいいんだし、神官が精神力を融通すればもっといける。
いっそ馬を爆走させつつ首を左右に振ればもっといけるでしょう。いやそれはそれで別の意味で怪しい集団なんですけど(苦笑)
★シュクバ〜トマリ間
敵の正体が見えない時に真っ先に思いつくのは囮捜査です。"ヘッポコーズ"は旅芸人の一座に護衛として雇われて街道を戻りました。
この際バリバリに武装しているイリーナとガルガドは馬車に隠れ、割と軽装の他3人は一座の人々に紛れて顔を出して移動します。
なおお金は貰わない限りご飯はご馳走になります。いえいえ、がめついわけじゃないですよ。タダだとに不安にさせるでしょう(笑)
一座は6名で、家族っぽい。子供もいてなかなかアットホームです。ここでは何故かヒースが子供に懐かれていました。
挿絵では男の子を背負って、女の子に手を引かれ、本人も満更ではなさそうです。そんな彼をマウナは微笑ましく見守っています。
子供「お兄ちゃんあそぼー!」
ヒース「……俺はお兄ちゃんじゃない」
子供「おじちゃんっ」
ヒース「それはもっとちがう。俺様のことはヒースクリフ様と呼べ」
子供「わーい、ヒースクリフ様だ、ヒースクリフ様だ!」「ヒースクリフ様あそぼー」
ヒース「うむうむ、遊んでやるぞー」
いやそれは馬鹿にされてるだけでは(笑)
やがて一行は例のシングが化けた男に出会います。そいつは暑気あたりを装っているので、以後しょーちゃんと呼ばれます。
少し前にさらった人間を始末して、もう帰ってきたんですね。《記憶術》の目標値は12で、ノリスも気づきませんでした。
ここでなんとイリーナが"センス・イービル"を行使します!相変わらず猪突猛進、いや盲進の突貫娘ですね(苦笑)
ロードスでは聖騎士が同じことをしてエトに諌められました。多分司祭様が知ったら叱責される事になるのでしょうね。
しかも達成値は5!ですよ。低い!、低いにも程がある!。技能があって、ボーナスが1あって、出目が3で初めて得られます。
あるいは知力ボーナス0のパーデンネンがかければ、4もいけるかもしれません。ていうかそいつは魔法使いには向かない。
"センス・イービル"は抵抗の余地なく邪悪を感知するファリスの特殊神聖魔法です。この「邪悪」の定義でしばしば論議が行われます。
当然こいつは人間に害意を持つ邪悪なので、バリバリに反応します。なんというか……一発でシナリオが崩壊しましたね。
イリーナ「汝は邪悪なりっ!」
ところが何の証拠もないのでしょーちゃんは気を悪くして去ってしまいます。ああ……無意味に警戒させただけで終わりました。
"センス・イービル"は邪悪を見破るとはいえ、常に悪人を見抜く訳でなく、あくまでも邪悪な心を見抜きます。
もしこいつが家から金を持ち出しただけの不良少年であってもひっかかるし、凶悪な殺人犯であってもやっぱり引っかかるでしょう。
つまりガルガドの言うように邪悪の度合いが分からない。加えて邪悪感知という性格がら、無断でかけるのは大変失礼な事です。
身の潔白を立てる為に自らかけて貰う事を求められれば楽なんですけど、下手にかけると本来味方になるような人の心象まで害してしまいます。
★トマリの村
警戒されてしまったしょーちゃんの尻尾を掴む為に、今度は違う面子で囮を仕立てます
秋田さん自家製の「ランダム遭遇表・街道を通る商人さん編」によって金物屋のダンさんが名乗り出ました。
現在しょーちゃんに面が割れてないのはガルガドのみ。それ以外の面子は皆馬車の中に隠れて進む事にします。
ただしヒースは"ディスガイズ"で変装します。でも持続時間はたったの1時間、微妙に不便な変装の魔法ですね。
なおこの魔法は幻覚魔術です。幻覚を自分の上に重ねるだけなので、そう劇的な変装はできません。若干カブキ風にする事はできますが。
これが創生魔術の"シェイプ・チェンジ"なら姿形すら変身できるのですが、今回はダンさんと血縁関係が通じるよう髪や瞳の色を変えました。
しかもヒースの場合は3点消費、安いコストではないですね。これでもう精神力は残り10点、"ファイア・ウェポン"2回で気絶ですよ。
一方盗賊の《変装》はなかなか便利です。一度変装すれば自分が変装を解かない限りずっとそのまんまですからね。
あえて欠点を言うなら、他人には使えないということですね。顔を変えるだけならともかく、演技面で問題があるんだとか。
それじゃあノリスも変装して外にいればいいんですよね。……いやガルガドがいない状態で野放しにするとかえって危険か(笑)
★トマリ〜シュクバ間
いよいよ囮捜査決行です!。くそ暑い中、狭い馬車の中で茶巾包み一歩手前のマウナやイリーナは脳みそがグツグツ煮立ってます(笑)
ダンさんには口裏を合わせて貰えるよう指示しときます。流石はガルガド、後先考えない何処かの筋肉神官とはえらい違いですね(尊敬)。
ただししょーちゃんを見つけてもその場でボコってはグレソアークさんの行方も分からなくなるので、ある程度泳がせる事にします。
しょーちゃんを乗っけてシュクバまで行ってしまっても尾行すればよし。もし襲撃してきてもそいつらを一網打尽にすればやはりよし。
これを発案したのは、なんとイリーナです。
イリーナ「わたしの脳内にあるグレートソードの刃の輝きが、すべての煩悩を払拭し、
行くべき道を明るく照らし出してくれるのです……今のわたしは一味違う!」
ガルガド「……というよりも欲求に従う動物の行く手を阻むのは難しいということじゃな」
イカれてるのも一周回ればかえっていい案を思いつくってやつですか。
予定通りに一行はしょーちゃんを拾って、貴重品を運んでる事と護衛が少ない事をさり気なく伝えます。
するとしょーちゃんはこちらの企み通りに誘導をしてくれました。こうして一行は街道を逸れ、小川のほとりへ移動します。
ここがゴブリンズとシングの襲撃ポイントでした。ここまでは実に見事、完璧にこちらの計算通りに動いてました。
一つ不覚だったのは、しょーちゃんとダンさんを2人っきりにさせた事かな。……ある意味最もやってはいけないミスを犯してしまったか……。
そこでしょーちゃんはシングの正体を見せ、ゴブリンズも襲撃して来て、戦闘に入ります。
シングとは3レベルの不定形魔法生物で、ドア・イミテーターのようなイミテーターの一種です。一説には野生化したイミテーターとも。
その特徴は知性を持ち、《カモフラージュ》によって人間大の生物に変身できる事です。逆に無生物に化けるのは苦手。
戦闘になると無数の触手を生やし、最大6回攻撃を行います。ただし回数は1D、つまりダイスを振って決めるので不確定。
ナイトブレイカーズにも登場し、漫画版のヘッポコーズでは色々な意味で読者サービスをしてくれたありがたい?モンスターです。
ちなみにゴブリンズは普通のゴブリンが3匹、ホブゴブリンが1匹です。奇しくも5対5の集団戦ですね。レベルだけならこっちの方が上。
1ラウンド目、ヒースは丸腰なので行動を遅らせる。ダンさんのお坊ちゃんだったので、当然発動体は持ってないのです。
マウナはウィスプでシングをペチペチ。シングは3レベルで生命力16、8点ダメージで5点削り、残り11点です。
イリーナは冒険者+器用度でメイジスタッフをヒースに投げます。目標値は10で不足分が受け取る側のペナルティーになる変則判定。
しかしイリーナはぴったり10を出して正確に投げ、ヒースもまたこれをキャッチ。これでヒースは魔法を使えますね、幼馴染コンビいいな。
次は13でノリスと並ゴブリンズが同時に動きます。ノリスはゴブリン×2と接敵。連中はアークさんから奪った武器で微妙に武装してました。
そして残り1匹のゴブと、遅れて敏捷度12のホブゴブリンはイリーナへ攻撃。だけど当たっても通らないというイリーナマジック。
同じく12でシングはダンさんへ触手攻撃です。1Dの結果は2回、ダンさんは打撃点7で2回攻撃しました。
ダンさんがルールブックの一般人のデータだとすると防御点2の生命点10なので丁度倒れるんですが、頑丈な人だったらしく耐える。
そしてガルガドがシングとダンさんの間に入ってシングへ攻撃。次のラウンドからは庇えるでしょう。でも攻撃はハズレ。
2ラウンド目、ヒースは"エネルギー・ボルト"を使おうとしますが、既に接敵してるのでランダムで味方に当たります。
ノリス「かまわん、オレもろともに撃て」
ヒース「わかった」←めっちゃ素
ノリス「いや、オレ以外を撃て!」
仕方ないので"スリープ・クラウド"をかけます。イリーナが寝るのもお構いなし。でも1ゾロで失敗!!?
絶対おかしいって、マトモに発動した事ないじゃないですか。これは一度学院に戻って復習した方がいい。あるいはサイコロの振り方を変える。
なお現時点でヒースは"スリープ・クラウド"1発と"ディスガイズ"を2回ほど使いました。既に9点消費、残り4点になってしまいました(笑)
続いてイリーナはホブゴブに攻撃してハズレ。マウナはシングにウィスプぺちぺちで8点ダメージ。残り生命力、早くも6点。
ノリスはゴブに攻撃して1点チクリ。ホブゴブはイリーナに4点も通します。流石は秋田GM、コンスタントに9とか10出してるし。
シングはガルガドに若干ダメージを通し、逆にガルガドはシングへ攻撃するもハズレ。なかなか敵も崩れませんね。
現時点でイリーナ&ヒースVSゴブ&ホブゴブ、ノリスVSゴブ×2、ガルガド&マウナVSシングという3局の戦いとなっています
3ラウンド目、5点消費の"ファイア・ウエポン"は使えないヒースはイリーナに"エンチャント・ウエポン"。これで残り精神力は1点。
イリーナは最近のヒースの言動で「自立」の2文字が芽生えつつあるので、兄貴の威厳を見せたのです。ていうかそれってご機嫌取りでは?
現在のイリーナの装備はバッソー(17)で、両手持ちなら打撃力22です。エンチャントすれば27とグレソー並の威力があります。
それでも当たりませんけどね(意味ない)。次のマウナのクリティカル11点ウィスプで8点削られ、見事にシングは落ちました。
ちなみにシングは完全に融けたそうですが、シングって死ぬと融けるんですね。やっぱりロウソクみたいにドロドロに融けるんだろうか。
こうして戦況が一変しました。ガルガドはノリスの加勢に入り、シングを倒されたゴブリンズは目に見えて浮き足立ちます。
そこでホブゴブは1匹のゴブに指令を出し、救援を呼びに行かせたのです。そしてこいつをヒースが単身追跡しました。
残ったマウナはウィスプでゴブとホブゴブを倒し、ガルガドもゴブを1匹倒します。約2名戦果がないけど、気にしないように(笑)
今回驚いた頃にマウナの撃墜マークが3ですよ。次点がガルガドの1です。マウナは地味に見えて着実に成果を出してますね。
一方追跡中のヒースです。ゴブの移動速度はたったの8、ヒースの半分以下です。川で足元が悪くても、多分十分追跡できるでしょう。
でも精神力の尽きた貧弱な魔術師ではとても危ない。少なくともロードスのスレインとかはこんな無理・無茶・無謀な事はしませんね。
想像してみてください。1人仲間を離れ、川の流れに身を浸しつつ、ゴブリンを追いかける勇敢なスレイン……うわ、想像できない(苦笑)
やがてヒースは横倒しになった馬車を発見し、ゴブリンにストリートファイトを挑みました。
この先に行くと中途半端見長貧乏娘や、無能盗賊や、物欲の塊と化した筋肉重戦車は馬車に夢中でヒースを忘れるから(いい読み)。
そいつは流石に無理だろヒースクリフ様よーとも思いましたが、予想外に出目がよくてゴブリンと互角の戦いを繰り広げました。
まるでメイジスタッフをへし折りつつゴブリンズを全滅させた某筋肉魔法戦士の如く。そういえばこの時ライバル視してたっけ。
でも戦闘技能を持たない以上、運が尽きればそれまでです。仕方ないのでわざと逃がし、ゴブの隠れ家を突き止めました。
そこは川からは少し離れた廃屋のような館でした。ここが次の冒険の舞台です。一方ヒースの予想通りイリーナ達は馬車を調べてました。
今回は今までにない前後編のシナリオなんですよ。うっかり前半は謎解きにならず、謎が謎のままで進行しましたけどね(笑)
★小川のほとりで〜これからどうする?
今回のタイトルの元ネタは「踊る!さんま御殿!!」ですね。エクスクラメーションマークは2つ付いているのがポイント(細かい)。
成長はガルガドがファイター1→2、実は今まで1レベルだったんですね。その割にはイリーナよりも活躍しているような気が……。
マウナはシャーマン2→3。これで完全回復の精霊魔法"ヒーリング"が使える。消費精神力は5点だけど、イザという時は使える。
問題はヒースですよ。彼はこの時点でおよそ2100点の経験点を持ってます。セージ2→3には1500点必要なので、成長は可能です。
それならソーサラー2→3は4000→3000点に軽減される。完全版に入って導入されたソーサラー/セージ救済ルールですね
それに誰もゴブリン語を話せないので成長するのもいいかと思ったんですが、将来のソーサラー3の為に成長は保留する事にしました。
ところがこの成長を逃したばかりに大変な惨事が起こったりする。セージ技能は一見地味に見えて《怪物判定》のような重要な能力もある。
前回大変な目に遭わせてしまったダンさんは流石に怒りが収まりません。
ダンさん「冒険者の店に通報してやる〜」
ヒース「はっはっは、およしなさい。(ぽそりと)パパも長生きしたいでしょう?」
それは脅迫だ。傍若無人なこの男は川に突き落とし、這い上がろうとしてもマウナとノリスで棒で突付く事にしました。
そしてイリーナとガルガドが誠心誠意土下座で謝罪を繰り返しました。その甲斐あってなんとかダンさんも怒りを鎮めてくれましたよ。
さて前回見つけた馬車には予想通りにイリーナが注文していたグレートソード(24)があったので、これを回収します。
その威力は凄まじく、なんと打撃力29!にもなる。7振ると7点とか出るので、追加ダメージ7点のイリーナは14点!とか叩き出します。
他にも色々な装備がありましたが、軽い武器はゴブがパクっちゃいました。でも平均以上の重めの装備はそのまま放置してありました。
モール(18)、バトルアックス(16)、バスタードソード(15)、チェインメイル(13〜16)、ラージシールド等です。
本当に平均(14)以上の得物ばかりです。ゴブの筋力は並みの人間と大差ないので、彼らが使うには重過ぎる武器は放置されたのでしょう。
ただし例の"ユニコーンの角"が入った黒い箱は持ち出され、ゴブリンの手中にあります。それを取り戻す為に前回見つけた廃屋に挑むのです。
また現場にはアークさんの家族へのプレゼントと思しき指輪や玩具も発見されました。この死亡フラグをへし折る必要もありますね。
その為にまずは休息して精神力を回復させました。ヒースなんて精神力1、"スリープ・クラウド"さえ撃てない(効くかどうかは別ですが)。
あと馬車にあった装備ですが、イリーナはラージシールドのみ持って行きます。両手剣のグレソーとは併用できないけど、役に立つかも。
使うとしたら今まで使ってたバッソーとの併用になるでしょうね。ちなみにこの話の裏話が短編「グレートソードは筋肉少女の夢を見るか」。
★廃屋前〜玄関ホール
一晩休んで精神力も回復。いよいよ謎の廃屋に挑戦です。屋敷は2階建てで、左側が崩れ落ち、右側は一部沼に没しています。
マウナ「目を覚ますたびに、ジョリ……ッ、ジョリ……ッて不気味な音をたてて
剣を磨くアルカイックスマイルなイリーナが目に入って怖かったわよ」
アルカイックスマイルというのは、「素朴で未完成ながらも大らかさ、風格を内側に称えた古拙な笑み」だそうです。
要はモナリザやダビデ像、飛鳥時代の仏像のような笑みですね。グレソーを手に入れたイリーナはある種の悟りの境地に達したのかもしれない。
今回挑戦する館は当然ゴブリン尽くしです。しかも第1話で逃げられた臆病なゴブリン・シャーマンがボスをやってたりする因縁もある。
まず一行は正面の扉に入る前に見張りのゴブリンに発見されますが、向かってくる様子もなく扉を閉められてしまって考えさせられます。
イリーナ「偉大なるファリス様はこうおっしゃってます!敵の準備が整うよりも早くに突入――っ!」
ノリス「何なら、優秀な盗賊が一足先に内部を偵察してくるっていうオプションを発動させるよ?」
どっちも却下。結局ヒースが珍しく頭を働かせて陣形を整えつつ扉を開きます。知力10同盟がこうだとヒースが考えるんですね。
しかし玄関にゴブの姿はなく、ホールに飾られていたのは一見メイドさんの絵に見えるマジックアイテム"留守番伝画(仮)"でした。
一見目を動かして喋る気持ち悪い絵ですが、主人が留守の時にお客さんの応接をしてメッセージを言付かってくれる便利アイテムです。
しかも基本取引価格は2万ガメル!。今回の追加報酬のつもりでした。前回・前々回も報酬に乏しかった分の穴埋め的なものでした。
後にデータが「SWツアーVol.4 パダ/堕ちた都市レックス」に収録されました。英語だと"ピクチャー・オブ・メッセージ"です。
しかし怖い。ヒースがビビリまくったので、喋るのを止めようと「ぷす」とノリスが短剣を突き刺して穴だらけにしました。
お陰で見事に活動は停止しましたよ。これで今回の追加報酬は無くなりましたトサ。半値で売っても1万ガメルになったのにね。
ガルガド「……いや、落ち着け、わし。今もし潤沢に金があったら、間違いなくギルドにノリス抹殺を依頼してるかもしれん……赤貧万歳じゃ」
何そのネガティブな方向への弁護。そういえば暗殺の依頼を盗賊ギルドに出す場合、どういう風にすればいいんでしょうね?
ルール通り雇用したとしても、レベルの2乗に50〜200をかけた金額にはならないでしょう。係数はもっともっと大きい気がします。
「SWツアーVol.3 ファンドリア」では各組織とのコネクションの強さを意味するカラー値があり、値によって様々な恩恵・影響があります。
このカラー値が極めて大きな−状態にある場合「暗殺者派遣」というイベントが起きますが、雇用ではありませんからね。
他にも「Xレベル雇用」というのがあるので、これで暗殺者同盟あたりに頼めば暗殺もしてくれるかもしれませんね。
★部屋A〜B
玄関の次の部屋がAですね。正面の扉は閉ざされている。左の扉は半開き。右の扉には閂がかけられていました。
そこで左の扉(部屋B)から「ぎゃーっ!助けてくれ、殺されるー!」という悲鳴が聞こえ、正義の神官戦士イリーナ突撃!
ところが扉を開けた所でバケツが落下、油をかぶります。……ドアに仕掛けられたバケツって、小学生の黒板消しトラップか!(笑)
これで器用度と敏捷度による判定に−1です。ただでさえ低い器用度なのに、地味に痛いペナルティーを科せられました。
それでも気にせず(いい娘だ……)イリーナは部屋に突貫し、ゴブに刃物を突きつけられていた男性2名を救出しました。
その男性こそ御者のアークさんと、以前イリーナ達とすれ違った後にしょーちゃんに拉致られた御者のビリーさんでした。
ちなみに他の護衛2人はシングに食われたらしく、馬車のところに肉片があったとか。既に犠牲者が出てるんですよね……。
前述通りアークさんは武器作りを強要され、身の安全を図る為に他の人を巻き込みました。その成否はともかく、それが彼が助かる術でした。
ここのゴブリンズは自分達が人間に勝てないのは武装してないからだと考えています。でも実際武装していてもやられてるし(苦笑)
最大の原因はレベルなんですが、そんな事言ったら身も蓋もありません。それに安易に同情したって決して解決はしません。
元よりゴブリンはコボルドと同じく繁殖力旺盛。放っておけば絶対にこの屋敷内で群れを維持できず、拡張してくるのです。
人間の都合で彼らを殲滅するのは可哀想に思えますが、その成否はともかく、これもまた人が生きる為に必要な事なのです。
ヒース「どのくらいの速さでかと具体的に言えば、《ティソダー》商法の被害者ぐらいだな(にや)」
それじゃあネズミ算式じゃないですか。
この時点での問題は2つ。1つはアークさんとビリーさんの安全ですが、2人だけで帰してゴブに見つかるとシバかれてしまいます。
そこで崩れた屋敷の瓦礫に隠れて"ヘッポコーズ"の帰りを待つ事にします。同行させるのも問題ですしね。無難な解決策です。
もう1つはイリーナの微妙なドロドロ状態。このままでは仕方ないので、外の沼で手足と顔だけは洗う事にしました。
ヒース「サービス精神のないやつめ」
イリーナ「サービス精神があるから、脱がないんだよ」
ああ、なるほど(納得するな)。
★部屋C〜部屋D
部屋Bの更に奥の部屋が部屋Cですが、ここは先程アークさんを脅していたゴブが身を隠し、バリケードを気づいているので開かない。
もしモールを持ってきてたら最終兵器イリーナが突貫工事に取り掛かるというオプションもあったんですが、無い物ねだりしてても仕方ない。
あるいは石造りの壁だそうですから、マウナが4レベル精霊使いだったら"トンネル"で壁に穴を開け、楽々通過できたんですけどね。
続いて部屋Aの正面の扉から続く部屋Dですが、この部屋はこれ見よがしな難所です。恐らくはゴブリンズ最大の防衛ラインなのでしょう。
床には幅3m程度の溝があって対岸と隔てられ、底には剣山が敷き詰められています。更に対岸の壁には3つのアロースリットです。
そのスリットからゴブリンズがクロスボウで狙ってくるので、下手に突っ込んだら矢ノリスや矢イリーナが誕生しかねませんね。
この罠も恐ろしかったけど、ある意味もっと恐ろしいのはノリスの出目です。もうすこぶる酷いのです。
安全三点セット(《聞き耳》《罠発見》《罠解除》)は軒並み達成値一桁で、扉を開く事自体既に罰ゲームです。
まだ右側の閂の部屋を調べていないので、この場はお預けという事にします。別に逃げるんじゃないんだからねっ!(何キャラだ)
★台所
右側にあった閂の扉ですが、《罠発見》1ゾロに《聞き耳》9と本当に酷い。ていうか可哀想になってきた。まさかこれが"アンラック"?
サッパリ分からないのでイリーナが閂を外しますが、接着剤がくっつくというドリフみたいな光景が繰り広げられます。
罠という罠に全て引っかかって物理的に解除してますね。何でこう素直に子供のやるような罠に引っかかってるんだろう……?
しかもその状態で暴れるものだから閂が壁にくっつき、雪ダルマ式の不幸にイリーナ号泣。ああ、死ねばいいのか(ヤケになるな)。
仕方ないので強引に引き剥がします。打撃力8で追加ダメージ無し?の鎧無効で剥がし、手形を残しながらもどうにか脱出しました。
イリーナ「こうなったら、起こる災厄のすべてを、この身で受けましょう」
マウナ「イリーナ……今のあんた、無駄にカッコイイわ。よろしくね」
そこはせめて庇おうよ(苦笑)
ところが扉の向こうにいたのは更なる災厄でした。なんとブロブ×2ですよ。ある意味戦士泣かせのイヤ〜ンな魔法生物です。
ブロブは2レベルの魔法生物で、主に実験の副産物として誕生します。黒い粘液状の不定形生物で、戦闘力はさほどでもない。
しかし《鉄を腐食する》という恐るべき能力があるのです。ブロブに触れた装備は24時間で錆びて使えなくなってしまうのです。
それだけならまだいいんです。あとは《怪物判定》で正体を突き止めれば直接攻撃はせずに戦っていたでしょう。
ところが知名度15にヒースは1本届かず、正体が掴めませんでした。基準値は5で出目9、悪くはなかったんですけどね……。
もしここでセージ3にしていたら辛うじて分かったんですけどね……。これでグレソーの寿命は残り24時間、お前は既に死んでいる(笑)
ところでブロブは失敗によって生み出されたようですけど、意図的に生み出す事はできるんでしょうかね?
もしできるならブロブをもっと改良すればいいんです。戦士相手に大量に投入すれば随分と恐ろしい敵になりますよ。
例えば長い二本足とスレンダーなボディーでモデル歩きをするシェイプアップ・ブロブ!。攻撃力が低い代わりに八頭身で俊敏(キモ!)。
赤いボディーと角が特徴で3倍速く動く赤い彗星ブロブ!。キャタピラのついたブロブ・タンク!。更には何匹か集まってキングブロブに!
ヒース「油はかぶるわ、泥で洗うわ、接着剤は付くわ、体液は浴びるわ……汚れなヤツめ。
ふっふっふ、ヤバイ趣味の人が猛烈に喜びそうなシチュエーション満載だな」
サラリと全国のイリーナファンの気持ちを代弁してくれたと思われます。でも女性陣はマジで卓袱台返しする5秒前でした。
★部屋D 再チャレンジ
やはりこの部屋を攻略せずには前に進めないようです。でもこうして皆で知恵を出し合って解決策を練るのはいいもんですよね。
"スリープ・クラウド"を使っても、1ゾロ振った挙句にヒースが弁慶状態になりそうが気がするので却下。1人でも起きてたら起こされるし。
一応目標が見えないと魔法はかけられない事になってますが、実際はアロースリットを中心にモクモクさせれば何匹か吸っちゃいそうです。
キリングマシーン・イリーナが単独で扉をぶち破って敵を惨殺するというのは罠があった場合困るし……いや踏み潰せばいいか(無茶だ)。
結局ノリスが強行突破します。盗賊なら助走無しで《幅跳び》をやっても、3mは目標値5で済むのです!
他にも色々な条件で目標値が上下しますが、基準値5のノリスは簡単に対岸に渡り、1発だけクロスボウを食らって奥の部屋に突入!
そこにはボーン・サーバント×2がいました。部屋は暗いので"インフラビジョン"で見たのですが、骨だと体温がないから分からないかも。
ちなみにボーン・サーバントはゴーレムの一種であって、アンデットではない。でもノリスは分からないので悲鳴を上げました。
それを聞いたイリーナとガルガドはノリスは諦めて帰る見捨てる訳にもいかず、溝を渡ってクロスボウを避けて駆けつけます。
冒険者技能で助走をつけて《幅跳び》をすると、目標値は4mまで5です。2人とも金属鎧があるので目標値は+2か+4されます。
それでも上手い具合に出目が良くて渡れたらしい。それに引き換えヒースは"ライト"で1ゾロですよ。1セッションに1回はファンブルが出る男。
ちなみにSWの1ゾロは自動的失敗であってファンブル(致命的失敗)ではない。それは失敗するだけでなく、更なる災難が起きる場合を指す。
2人もボーン・サーバントの正体は分かりませんでした。でも骨執事達はドロドロのイリーナの面倒を甲斐甲斐しく見てくれました。
布に変な薬品をつけて体や装備に付いた油を取り、接着剤の後もやはり綺麗にしてくれます。薬品ともどもこの遺跡に元からあったものらしい。
イリーナ「ああああ、正義を貫こうとしてるわたしを手助けしてくれる行いは、やっぱり正義!
疑ってごめんなさい、メイル脱いで全クリーニングお願いしちゃうよー」
一度は邪悪判定してぶっ壊そうとしたのにね……。ちなみに常識人のガルガドは戦わないまでも身はかわします。
この部屋からアロースリットの裏の部屋Cにいけますが、Bの部屋の扉よりはバリケードが甘いようで、破ろうと思えば破れそうでした。
でも篭りたければ篭らせようという事で"ロック"をかけて封じ込める。更にスリットにシールドをあてがってヒースとマウナを安全に跳ばします。
★広い寝室
いよいよ一行は2階に挑戦します。2階はゴブどもの寝床であり、一部屋しかない。多分容積率の問題でしょう(あったのか?)。
歩く騒音イリーナがいる以上不意打ちは無理です。これが宿敵との最後の戦いなのです。潔く正面からファイトを挑みました。
今度の敵は例のゴブリン・シャーマンとホブゴブリン×2。正直負けるとは思えない相手ですが、1つだけ厄介なものがあります。
それが"ユニコーンの角"です。なんとゴブリン・シャーマンが角を持っていて、ダメージを受けると使用してしまうのです!
これはマズイ。下手に攻撃すると角を無駄遣いされる。そして価値を暴落させられてしまう。
前述通りに角には10〜200点の精神点が篭っていて、値段は残り精神点×1100ガメルです。最大で22万ガメルですね。
これがあれば知られざる生命の精霊の魔法を使えますが、その際の消費精神力は、その魔法の基本消費精神力をそのまま使用します。
"ヒーリング"だと基本消費精神力は15点だから、"ヒーリング"1回で1万6500ガメルですよ。何て高価な癒しなんだろう。
そもそも1ラウンドで瞬殺するなんてほとんど無理なんですから、攻撃ではなく精神魔法で動きを止めた方がいいでしょうね。
最初こそウィスプや"エネルギー・ボルト"や"ファイア・ボルト"でゴブリン・シャーマンに角を無駄遣いさせましたよ。
でもマウナの"コンフュージョン"がかかってシャーマンは動きを止めました。でもこれで数万ガメルは浪費させてしまいましたね。
ノリス「防御に失敗して残り3点だ、瀕死だよ〜」
ガルガド「む、このまま気付かない振りをすれば……」
ヒース「神官ズも前線で戦ってるからな、手が回らなくても仕方ない」
仲間って何だろう……(遠い目)。こうして身の危険を感じたノリスはファイナル・ノリス・アタックを繰り出し、ホブゴブを1匹葬ります。
そして残った最後のホブゴブですが、こいつにはとんでもない一撃が入りました。我々は今、人類の偉大さを知る……。
イリーナが《強打》クリティカル値−1で攻撃したですよ。すると回りに回り、44点大文字斬り!(何故大文字?)
ホブ真っ二つ!。ていうか床まで割れそうです!。カラーページでは「SWリプレイシリーズ最大のダメージ」とか言われてますよ。
まぁ後に色んな人に記録を塗り替えられますけどね。それ以前に点数だけで言えばスイフリーの55点"バルキリー・ジャベリン"もあるし。
そしてパーになったシャーマンに角を使われる前に葬るべく、"ヘッポコーズ"は魔法の集中攻撃でフルボッコにしました。
まず行動を0にし、イリーナがトランスファーしたマウナがウィスプ、ノリスは"ファイア・ボルト"、ヒースはエネボル、ガルガドは"フォース"。
そして正気に戻ったシャーマンでしたが、次のラウンドはイリーナも攻撃に加わってフルボッコ。宿敵ゴブリン・シャーマン落つ!!
★レッツ後始末
1階で閉じ込めておいたゴブたちも忘れず掃討し、アークさん達も連れて"ヘッポコーズ"はファンへと帰還を果たしました。
問題の"ユニコーンの角"ですが、これはアイラが引き取ります。正確には魔術師ギルドが引き取る事になるでしょう。
「魔法戦士リウイ3」を見れば分かるように、ロドリゴ商会は不正を突き止められ、アウザール商会に吸収されたのです。
ロドリゴ商会からの依頼はアウザール商会の依頼という事になり、"ヘッポコーズ"には口止め料込みで5000ガメルの報酬が支払われたのです。
イリーナは「悪い事をすれば裁かれるべきだ」と言っていましたが、吸収合併された時点で十分報いは受けています。
それにここで全てを詳らかにすれば、無関係の多くの人々の生活を脅かす事になる。これが多分最善の解決方法なのです。
さてこうして万事解決したように見えますが、ブロブの後処理をしなかった彼らは鉄製の装備品を失いました。
ガルガドのメイスやノリスのダガーは勿論、イリーナのグレートソードとスプリントメイルも腐食してしまいました。
イリーナ「そんなあぁぁぁ!うわ〜ん!ひどいよ〜〜!血と汗と涙のわたしのグレートソードー!」
本当に可哀想な事になりました。
取り合えずガルガドは馬車にあったバトルアックス(16)を、ノリスはダガー(7)を貰いました。
そしてイリーナはラージシールドを引き取り、チェインメイル(16?)とモール(18)を貰う事にしました。
折角手に入るはずだったグレソーを失い、高価なマジックアイテムを失い、今回の"ヘッポコーズ"は散々でしたね。
まぁそれは今の内だけですよ。近い将来イリーナは必要筋力24の装備を整え、その溢れて垂れ流さんばかりの筋力をフル活用します。