「ロードス島戦記6 ロードスの聖騎士(上)」著:水野良 出版社:角川書店
★プロローグ〜1
英雄戦争から15年。新王国暦525年のこの年、ロードス全土を巻き込む「邪神戦争」が勃発します。
473年勃発の「魔神戦争」、510年勃発の「英雄戦争」と並んで数えられる3つ目の戦です。
邪神戦争は表向きロードス本島の諸国VSマーモ帝国という構図なのですが、その裏では別の戦いが行われました。
邪神戦争の名の通り、破壊の女神カーディスの召喚が行われたのです。それを止めたのが、六英雄に代わるロードスの新世代の勇者達です。
物語はその1年前の524年、"大地母神の愛娘"ニースの死去から始まりました。ロードスを守護する力が消えてしまうような出来事です。
かつての六英雄の1人である聖女ニースは、その死の間際まで穏やかな様子でした。他の六英雄の仲間たちも顔を見せにきましたし。
娘のレイリアさんに、孫の小ニース、後のマーファ最高司祭メリルの癒しも、大ニースの健康を取り戻す事はできませんでした。
神聖魔法は自然に得た病には効果がない事が多い。それはその人の寿命だからかもしれません。当然老衰にも効果はありません。
駆けつけた六英雄は3人、"荒野の大賢者"ウォート、"鉄の王"フレーベ、"灰色の魔女"カーラでした。
カーラとウォートは自前の"テレポート"で現れたようです。フレーベは多分ウォートに連れてきてもらったんでしょう。
他の2人、ファーンとベルドは14年前の「英雄戦争」で戦死しました。今頃はフラウスと共にファリスの御許でしょう。
魔神戦争から51年も経ったので、ウォートは82歳、フレーベは167歳になります。カーラには年齢は無意味ですね。
もっとも、今の体になっているウッドはもう53歳、老人とは言わないまでも既に初老ですね。早く助けないと。
魔術師には寿命を延ばす遺失魔法があるらしいので、ウォートはもっと生きるでしょう。ウォートなら素で100年生きそうですが(苦笑)
ウォートとニースは魔神戦争の時に一度仲睦まじくなったのですが、結局はお互いの道を歩む事になって今に至ります。
フレーベなんですが、ドワーフの寿命は精々200年なのでもう結構な年のはずです。ウォートと同じぐらいの感覚かも。
でも本編では大ニースはあと50年は生きられると言っていました。果たしてどうなのか、長生きしてくれるなら私は嬉しいけど。
あれから半世紀も経ちますが、フレーベの心が癒される事はありません。魔神が全滅した今でも、既にない民達を偲んでいるようです。
フレーベはこの後北のドワーフ族の大集落である鉄の王国に身を寄せるようになります。将来は、マーモのドワーフの集落の長になります。
ニースはカーラに一時娘を奪われていましたが、それでも友人のように思っているようです。そういえばカーラは元はマーファ信者でしたね。
片方は大地の法を遵守し、もう片方は大地の法を見誤った。それでも以前のカーラは他の貴族と違って蛮族を尊重しようとしてたそうです。
今のカーラを救うのはニースではなくなってしまいましたが、きっと全てを受け止めてくれる人がいますよ。案外近くに。
ウォートとカーラは最後の挨拶をして去り、フレーベは残りました。そのフレーベがニースの最期の言葉をスレイン達に伝えました。
ニース「いかなる困難、いかなる災厄が訪れようと、ロードスの民は必ず勝利します。わたしは、そのことを確信しているのです」
その言葉を最期に、ニースは息を引き取りました。小ニースの「最後までおそばに」という願いは通らなかったようです。
そして1年後、マーモの侵攻が再開して「邪神戦争」が勃発します。その渦中に小ニースも身を置く事になります。
「邪神戦争」はヴァリスとアラニアの異変から始まりました。ヴァリスではアダンの街がマーモに再度占領されてしまいます。
軍を指揮するのは当然アシュラム様でした。15年越しでマーモは侵略戦争を再開したのです。ダークエルフのピロテースの姿も見られました。
ピロテース ?歳
ファイター/シャーマン7、レンジャー/シーフ5。アスタールの妹で、現在アシュラム様に仕えています。
一時は兄の仇とアシュラム様の命を狙った事もありましたが、今ではすっかりアシュラム様に忠実です。
元はOVAのオリジナルキャラでしたが、色々あって小説に逆輸入。アシュラム様をパーンとするなら、ディードに相当するはず。
エルフらしからぬスタイルと、その健気に尽くす様子からファンも多い。クリスタニアでも重要キャラとして大活躍です。
そして、アラニアではラスターがマーモと同盟を結びました。これにより得た援軍でアモスン伯爵を討ち取ります。
15年間続いてきたアラニアの内乱ですが、ある日突然に終わってしまったのです。そしてザクソン自治区にまで侵攻します。
以前スレインの言っていた事が現実になりました。ラスターはアモスンを倒した事で、残る唯一つの内憂に手が回るようになったのです。
現在ザクソンにはセシルがいますが、圧倒的過ぎる戦力差に歯が立たず、ザクソンを捨ててターバにまで後退する事にしました。
そこまで下がれば鉄の王国のドワーフ達や、マーファの神官戦士団もいます。そう簡単には手が出せないはず。
下手に手を出したらラスターの方が壊滅しかねません。今はフレーベもいるし、誰も勝てませんよ。
★2〜4
そんな風に占領地カノンと国境を接する二国に戦乱が訪れている一方、フレイムには新たな勇者(候補)がいました。
スパーク 17歳
ファイター5、セージ3。あのナルディアの従兄弟であり、ただ1人残った炎の部族の族長家の人間です。
炎の部族がフレイムの一員となったことで、次期族長のスパークはフレイム内でもかなり高い王位継承権を持つ事になります。
しかし本人は未だに騎士見習い。しかしそれはスパークが弱いというわけではありません。カシューがスパークを大事にし過ぎているのです。
スパークはカシューに宴に招待された事で非常に複雑な気分になっていました。見習いが宴に呼ばれるなんて、普通はありえません。
スパークは炎の部族の次期族長ですから、その炎の部族である大臣のルゼナン伯はスパークにへりくだった態度をとるのです。
ルゼナンは今年51歳。彼の姪がスパークの母親なんだそうです。つまりスパークから見たら祖父/祖母の兄弟なんですね。
炎の部族の重鎮で、部族内では(フレイム王国の)最も高い位にあります。しかし族長家に対する畏敬の念はかなり強固なようです。
もし宴に呼ばれたのがルゼナンの独断なら、スパークは極めて居心地の悪い思いをする事になるでしょう。
元々フレイムの母体は風の部族でしたが、色々あって風の部族の割合はかなり少なくなってきています。
炎の部族もそうだし、マーニーやローランといった都市国家の民。更にはライデンの民や各地からの避難民がいます。
既にフレイムは出身の違いは問わないような段階に来ています。問題がある時は法に従って出身を問わずに解決しますしね。
そんな中でスパークを炎の部族の族長として扱うのは、かつての部族間抗争をぶり返すようでスパーク自身不本意なのです。
若者と老人の間に考え方の違いが出るのは、何時の時代も何処の国でも一緒です。でも、古い人間にも譲れないものがあるのも確かです。
スパークはカシューに謁見しようと謁見の間の前にまで来ます。ここで順番待ちをするのが本来の形式です。
しかしスパークは顔パスで入室を促されます。ルゼナンがこんな所にも手を回してたんですね。スパークにとったらまたバツが悪い。
待たされてる人から視線が飛んできてますよ。ルゼナンにとったら、スパークはなにより大切なんでしょう(苦笑)
カシューはもう今年で43にもなりますね。先年ついに結婚したそうですよ。シャダムの末の妹のナフカ妃だそうです。
でも子供はまだらしい。やっぱり勇者の子も勇者になるのかな。まぁ本人はあまり世襲には拘ってないようですけどね。
だからこそスパークにも将来王位継承権が与えられますしね。不満が出ないようにかなり頻繁に順位が入れ替わってるらしい。
スパークは空っぽの玉座に声をかけたりしてました。こういう時って何から何まで空回りするもんですよね。
スパークがカシューに呼ばれたのは、間違いなくカシューの意思でした。というのも、パーンとディードに会わせたかったんだそうです。
パーンは「王たちの聖戦」から10年間、レオナーと共にカノン自由軍としてマーモと戦っていました。
カノンの民を国外に脱出させて、マーモに対抗してきました。民がいない土地は何も生み出しませんからね、結構効果的だったりします。
最近は賛同者もかなりの数になってるとか。しかしカノン太守として就任したアシュラム様がなかなか手強いらしい。
アシュラム様は厳しいが公平な政策を行い、違反者はマーモの人間でも厳しく罰しています。秩序ある恐怖、アシュラム様らしいですね。
今までパーンの冒険を追ってきたからあまり意識していなかったけど、パーンは本当に有名になっているらしい。
数々の戦いを吟遊詩人達はこぞって歌い、多くの人々はその武勲に聞き惚れているとか。きっとマールが広めた噂も多いんでしょうね(苦笑)
実はスパークもパーンのファンだったりします。同じ英雄でも、身近にいるカシューとは違ってやはり緊張するらしい。
同時にただの騎士見習いに過ぎない今の自分を恥じたりもしています。せめて騎士だったら格好もついたものの。
あまりにもテンパっているスパークは、マーモ討伐の兵を挙げる事を陳情したりします。全くの思いつきで。
炎の部族の総意という訳でもなく、完全に個人の思いつきですからね。スパークは出すぎた真似をしたと叱責され、退室します。
折角の憧れの勇者の前なのに、最悪の展開ですね。何処まで空回りすればいいのか、スパーク君ってば不幸!(笑)
その後、沈黙の間でカシューはスレイン、パーン、ディードと一緒に秘密の話し合いなどを行います。
実はパーンとディードがフレイムにやって来たのは、レオナーからの親書を届ける為でもあったのです。
現在のマーモ軍はカノンを出払ってヴァリスへ進軍しています。由々しき自体ですが、自由軍としてはこれは好機なのです。
今の内にカノンの主要都市を奪還しようというのが、現在の自由軍の作戦です。その為に、フレイムとヴァリスには兵を出してもらうのです。
他国の軍の力を借りずに奪還する必要があるので、直接の援軍は請いません。外部のマーモ軍を釘付けにして欲しいのです。
上手くカノンを奪還できれば、出払っていたマーモ軍はフレイムとヴァリスとカノン自由軍に挟撃される事になりますね。
カシューはこの申し出を引き受けました。王が動けば血を流す民がいる、それを覚悟でカシューは出兵を決意したように思えます。
宴が始まってみると、やっぱりパーンやディードの周りに人が集まりますね。半ば伝説の人物ですしね。
パーンは淡々と過去の戦いを語ります。下手に脚色せずに事実をありのまま話すから妙に聞き入ってしまいますね。
初陣のフレイムの傭兵の話は、流石に出来ませんでしたがね。当時戦ったのは炎の部族ですから、余計な事は言わないのが賢い。
カシューも加わって、昼間のスパークの話になりました。やはりカシューはスパークの事を大切に思っているようですね。
カシュー「あいつは、将来のフレイムにとってなくてはならん人物だと思っているのだ」
それをスパークが聞けば、さぞ喜ぶでしょうね。ナルディアの従兄弟だし、大切に思うのも無理はないですね。
カシュー「あいつには、もっと大きな人間になってもらいたい。勇敢な騎士隊長とか優秀な文官のまま、終わってもらいたくはないのだ」
だからって、ずっと騎士見習いというのはあんまりだと思いますけどね(苦笑)
そのスパークですが、ブラリと宝物庫に寄っていました。その時は何事もなく去りますが、直後宝物庫に賊が侵入したのです。
その場にいた衛兵と魔術師は瞬殺され、スパークは賊を捕らえて手柄を立てれば騎士になれると考えました。
かなり危険な賭けです。でも分が悪い賭けと承知の上で、スパークは賊を捕らえようとしました。
最初は1人に見えた賊ですが、次々に数を増やします。しかもその正体はダークエルフだったのです、数は5人、普通に勝ち目がありません。
勝てないと悟ったスパークは、剣を捨てて逃げました。賊が侵入したと大声を上げながら。最悪の判断だけは避けたようですね。
勇気と無謀は紙一重ですかからね、この場ではこうするのが正しい判断です。本当なら、戦う前に近くから応援を呼ぶべきでしたがね。
逃げるスパークはダークエルフから逃れると、運良くパーンとディードと会えました。ダークエルフの事を知らせると気絶しましたがね。
逃げ際につけられた傷も、ディードが連れてきたドワーフの戦の神の司祭グリーバスによって癒されました。ホッブの弟子だと思う。
パーンの血止めの技に感心していましたよ。流石にゲリラ活動が長かったせいか、レンジャー技能の《応急手当》が達者なようです。
グリーバスの「小枝を折るにも渾身の力を込めよ」とか「血の一滴は酒の一滴ほどに大切」という言葉は、ドワーフの信条らしい。
宝物庫からダークエルフ達が持ち出したのは一つの水晶球でした。そう、あの太守の秘宝の一つ"魂の水晶球"なのです。
これが実はカーディスを降臨させる祭器の一つだと知るカシューは、珍しく厳しい顔をしていました。
邪神降臨と新たな戦乱の予感と共に、ある野望が本格的に胎動を始めたのです。
★1
水晶球が盗まれた事でアークロードは蜂の巣を突付いたような大騒ぎになりました。結局ダークエルヴズは逃がしてしまいます。
多分"ウォーター・ブリージング"や"インビジビリティ"を駆使して逃亡したんでしょう。魔術師もいたから古代語魔法も使えますし。
スレインが宝物庫にかけていた"ハード・ロック"?を解除したところを見ると、そこそこレベルの高い魔術師がいたはずですね。
スレインの魔力は低く見積もっても11、拡大やアイテム次第ではもっと上がります。これを破るのは至難の業ですね。
まぁ36回に1回は6ゾロが出るんですけど、そんな偶然に頼ってると人が来ちゃいますからね。36回という事は最長6分かかります(笑)
今回のダークエルフ達を指揮していたのは"黒の導師"バグナードです。
バグナード 67歳
ソーサラー/セージ10、ダークプリースト(ファラリス)3、ファイター1。マーモの四大実力者の1人でもある"黒の導師"です。
かつてはアラニアの賢者の学院に所属していましたが、禁忌を犯してラルカス学長に魔術を使えなくなる"ギアス"をかけられます。
しかしその超人的精神力により、激痛に耐えながらも魔術を使用出来ます。言わずもがなの超英雄ポイント持ちです。しかも精神力25!
心底忠誠を誓ったベルド亡き後は、ある目的の為に帝国を利用して暗躍中です。アシュラム様とは違った意味で裏主人公です(苦笑)
そのある目的とは、究極のアンデッド「ノーライフキング」への転生です。その手段としてカーディスを降臨させようとしています。
ノーライフキングになるには一度死ぬ必要があります。そのプロセスを経ることで忌まわしい呪いからも解放され、永遠を生きられるのです。
「ふたつの鍵、ひとつの扉、かくしてカーディスは蘇らん」という伝承の通りにすれば、本当にカーディスが蘇るのです。
「ふたつの鍵」とは二つの祭器の事です。これは太守の秘宝でもある"生命の杖"と"魂の水晶球"です。
「ひとつの扉」とはカーディスが降り立つ為の生贄の事です。実はこれが小ニースだったりするのです。
そもそも、"生命の杖"と"魂の水晶球"は太守の秘宝といいつつも、カストゥール王国の魔術によって作られたものではないのです。
"生命の杖"は肉体を癒し、"魂の水晶球"は精神(魂)を呼び戻します。こういった生命の根源に関する事は魔術の範疇ではないのです。
数少ない可能性としては、四大魔術によって炎の精霊王フェニックスの力を再現するとかあるでしょうけど、これは難易度高そうです。
実はこの二つは魔導器(マジックアイテム)ではなく祭器なのです。神の力によって作られた、奇跡を起こす秘宝なのです。
基本的には"コール・ゴッド"によって作られるらしい。その代償は高位の司祭の命なのだから、強力な魔力を持っているのも納得ですね。
カストゥール王国が昔のカーディス教団?から略奪して、そのままちゃっかりと太守の秘宝にしてしまったらしい。なんて図々しいんだ(笑)
「祝福されざる聖杯に」というSW短編にも祭器が出てきますよ。血の一滴をワインに、肉の一片をパンにする"祝福の聖杯"というのが。
この二つの祭器によってカーディスを呼び込み、神の器に相応しい小ニースの体に降ろすことでカーディスは蘇るのです。
やってる事は"コール・ゴッド"と変わりませんが、生憎とバグナードは高位の闇司祭ではないので祭器の力が必要なのです。
とはいえ、バグナードは扉を開く気はありません。魂だけを呼び寄せて、願いを叶えて貰ってそれでお終いなのです。
ほとんどドラゴンボールと神龍のような扱いですね。一説には、魂の水晶球を7つ集めると龍が現れて願いが……(笑)
この野望の為に、バグナードは水晶球を部下に盗ませたのです。敵地の王城の宝物庫に忍び込むとは、敵ながらいい根性した闇エルフさんです。
次の標的はやはり"生命の杖"でしょうね。現在はヴァリスにあります。今のファリス神殿はこれに頼らないと癒しもままならないらしい。
幸いヴァリス王はエトなので注意を呼びかける事は出来るでしょう。あとは実力で杖を守れるかどうか。
パーンはこの話を聞くと、居ても立ってもいられない様子でした。パーンでなくても落ち着きを失う話ですからね。
しかしパーンにはカノン自由軍としてカノンを解放する役目があるし、カシューに出来る事もマーモを討つ事だけです。
もしも相手が狂気に侵されていたとしたら、世界の終末へと繋がる事をやらないという保障はありません。あとは時間との勝負です。
バグナードはカーディスを蘇らせるつもりはないので、そこまで心配する事もないんですが、そんな事はパーン達には分かりませんからね。
実際にはどの程度の時間をかければカーディスが降臨するのかはよく分かりませんが、1日2日という短期間では無理のようです。
それに、ひとつの扉は小ニースです。普通は神が降臨すると器になった人の魂は消滅しますからね。親御さんとしては心配でしょう。
鍵が狙われているように、扉もまた狙われているのです。遅かれ早かれバグナードの魔手が小ニースに伸びるでしょう。
★2〜5
傷が癒えたスパークはカシューに呼び出されました。気分は処刑台に引っ立てられる罪人のような感じです。
「何故賊の侵入を知らせなかった」というカシューの問いに、スパークは「自分の手柄にしたかったから」と正直に答えます。
カシューは流石に厳しく叱責します。スパークは何とかして自分の手で水晶球を取り戻したいようですが、結局言葉には出ませんでした。
しかしパーンはそんなスパークの心中を察して、カシューにスパークに水晶球奪還の使命を与える事をお願いしました。
スパークは騎士見習いだから戦には行けません。それならいっそ、こういった使命を任せた方が成長に繋がりそうです。
パーンも若い頃は色々無茶しましたもんね……何となく気持ちが分かるんでしょう。共に無鉄砲な戦士野郎ですもんね(苦笑)
スパークは激しい自責の念に駆られながら詰め所で待機します。そんなスパークの所へ、今回の旅の仲間達が集まってきます。
カシューはパーンの言うようにスパークに例の使命を任せる事にしたので、それなりに強力な人材を割いてくれました。
カシューってば、何だかんだ言ってもやっぱり心配なんでしょうね。中堅冒険者並の戦力はありますよ。
ギャラック 29歳
ファイター6、セージ1。傭兵と見せかけて実はフレイムの貴族、風の部族の名門の出身です。セージ技能1レベルがその名残でしょう。
普段は傭兵達の監視役ですが、今回はスパークのお守り。頬に走る青白い傷から"青く流れる星"と呼ばれているとかいないとか。
今でこそ貴族でも、本来は風の部族の戦士の家系です。豪放な性格をしていて、傭兵といった方が納得がいくほどです。
リーフ 17歳
シャーマン4、レンジャー/ファイター3。カノン出身のハーフエルフの少女。実はパーン達自由軍に逃がしてもらった避難民でした。
父親がエルフでしたが、マーモの襲撃で死亡。母親は元傭兵で、その仇を討とうと単身マーモに渡ってそれっきりだそうです。
彼女自身は妖精というか小悪魔的キャラです。スパークをからかうのが得意ですが、結構健気に頑張る点もあり。
リプレイの「スパーク君不幸!」は本編にも影響を及ぼし、今後本編でも不幸、不幸と言っていく事になります。
アルド・ノーバ 31歳
ソーサラー/セージ4。スレインの弟子で、ギャラックと同じく風の部族の名門出身だったりします。
見上げるような大男でマッチョですが、性格は至って温厚。気は優しいが力持ちという、黄レンジャー的な男です。
スレインが言うには彼が一番弟子なんだそうですが、セシルはどういう位置にあるのか。押しかけ弟子はノーカウントですか(笑)
でも筋力16というのは未だに納得がいきません。16ってパーンと一緒ですよ。絶対20以上ありますって。
グリーバス 45歳
ファイター/プリースト(マイリー)5。ドワーフのマイリーの神官戦士。鉄の王国出身で、モスで修行後はホッブに従ってフレイムに来ました。
スパークが気に入ったので同行する事にしました。勇者の資質を見出したのか、そういう所は何となく師匠に似ています。
宮廷付の司祭ですが、別に報酬を貰ってるわけではないので、そういう自由は利くらしい。そうでなくても同行してるでしょうがね。
何かとドワーフの諺や信条を多用します。ちなみにスパークについていく理由は「蠅の舌なら腐り物も美味」だそうです。スパークって蠅の舌(笑)
取り合えずはこの5人パーティーでダークエルフを追いかけて、南の方へ旅立つ事になります。
ダークエルフも一応森の妖精ですから、砂漠越えはしないと予想したからです。ついでにヴァリスへ親書も届けますよ。
出発の前に、パーンがスパークに稽古をつけるというエピソードもありました。勿論全然適いませんけどね。
実戦形式の稽古は結構長く続けられ、パーンはスパークの欠点を事細かに指摘したりもしました。何よりもの餞別ですね。
憧れの自由騎士に稽古をつけてもらえるなんて、スパークってば今日の不幸が一気に帳消しになった……訳ないか(笑)
スパークは「任務を忘れて放棄するような真似は二度としない」とパーンに誓いましたが、パーンはそれも困ると返します。
パーン「自分を捨てるなということさ。与えられた任務をただ果たすだけの男にはなるなよ」
それは自由騎士であり、父にあのテシウスを持つパーンだからこその言葉かもしれませんね。普通の騎士はただ任務は厳守ですから。
パーンが何を言いたいのか何となく分かった気もしますが、「分かったつもりになっているだけ」という気もしますね。
テシウスはかつて、任務を放棄して賊から村を守りました。パーンも聖騎士を捨てて自由騎士として戦っています。
手柄に目が眩むような自分はさっさと捨てた方がいいかもしれないけど、時に任務よりも大切な事があるでしょう。
それが何なのかは、その時になってみないと分からないかもしれません。スパークは岐路に立たされた時、自分の道を選べるかな?
城を出たスパーク一行は、街の門に辿り着いた所で1人の女盗賊と出会います。
ライナ 22歳
シーフ5。ライデン盗賊ギルドのブレード支部に所属する女盗賊です。鞭が得意で、色仕掛けも得意。
以前フォースを誘惑しようとしたそうですが、失敗。女嫌いのフォースにはかえって煙たがられたのか、ブレードに移転。
ブレードの近辺をブラついていた時に、逃亡中のダークエルフに遭遇。仲間のランディーが殺されます。
命からがら街まで逃げてきましたが、敵討ちの為にスパークに同行することにします。ランディーが殺されたのはライナのポカのせいでもありますし。
ダークエルフは逃げるライナとランディーに"ホールド"をかけますが、ライナはかわせた(抵抗出来た)ようです。
しかしランディーは大地から伸びる触手に足をとられ、ライナを先に行かせてダークエルフの手にかけられました。
"ホールド"は言うまでもなく魔法なので、力ずくでは解けません。ディスペルを使える魔術師とかがいないと。
効果は3分間持続するので、どう考えてもダークエルフに追いつかれますね。移動できない彼を殺すのは簡単だったでしょう。
ライナは"ホールド"をモンスターの一種だと思い込んだようです。精霊魔法の知識がないとこういう事にも悩むんですね。
3レベルセージなスパークも、そういうモンスターは流石に見当もつかないようでした。それはそうです、だってそんなのいないんだし。
しかしそういうモンスターもちょっと怖いですね。足止め専用モンスター。しかもガジガジと噛み付いてきたらなお怖い。
これはこれでモンスターとして作成できそうな気がしますね。機会があったらデータなんか作ってみようかな。
こうしてダークエルフの目撃情報を得たスパーク一行は南へと旅立ったのでした。
その人数はちゃっかり7人に増えてたりしますが、この時点では誰も気づいちゃいません。
★1〜4
スパーク達はライナがダークエルフと遭遇した所まで行き、そこでランディーの死体を発見します。
やはりダークエルフに殺されたんですね。敵の数は5人。内1人はスパークに致命傷を負わされているとはいえ、勝ち目ないですからね。
ランディーの遺体を簡単に埋葬し、ライナはその復讐の為にスパークについていく事にします。
なお、ライナは盗賊である事を隠して傭兵志願者を名乗っています。鞭を持った傭兵というのも珍しいですけどね(苦笑)
フレイムの法律でもやはり盗賊は投獄されますよ。犯行内容によってはもっと重い刑にだってなるでしょうし。
フォースが立て直した現在の盗賊ギルドは所謂正統派のギルドです。ロマール盗賊ギルドのように、それなりの約束事があるのです。
所属する盗賊の中には密偵のように各地の情報を収集するのもいるし、犯罪の抑制の役割だって兼ねているんでしょう。
だからカシューも黙認してるんですが、捕まった盗賊に手心を加えたりは出来ません。保釈金だって受け付けてるかどうか。
ダークエルフを追う一行は、夜を徹して南を目指します。取りあえずの目的地はヒルトです。
やはり夜の行軍では暗視の利くグリーバスが頼りです。精霊使いのリーフもインフラビジョンは出来ますが、暗視には及びませんね。
実はダークエルフも暗視が利くんですが、本編ではそういう扱いはされていません。当時はSWルールじゃないから当然ですけどね。
そうなると必然的にリーフと同じ、精霊使いとしての視覚に限られるんですよね。インフラは赤外線視、サーモグラフィーみたいな感じらしい。
すると温度差のある所しか分かりませんね。体温のある生き物は軽く見分けられるでしょうが、細かい地形の変化はどうかな?
グリーバスってば戦えるし魔法も使える上に文句一つ漏らしません。多分このメンバーの中では一番頼りになるでしょう。
ギャラックも実戦経験豊富でやっぱり頼りになりますけど、流石に暗闇は不安になるらしい。普通人は暗闇を恐れるものだから当然ですがね。
アルドはその体格に似合わずビビリっぱなしなのはなんだかな。グリーバスの服を掴みっぱなし、意外に乙女なやつ(苦笑)
その後ヒルトでダークエルフの1人の死体が畑に埋められていたという情報を得ますが、他の4人はまだ見つかりません。
宿屋ではギャラックとライナが互いに正体をバラします。片や傭兵っぽい貴族(男爵)、片や自称傭兵な盗賊。将来夫婦になる2人でした。
ギャラックは普段こそ傭兵に紛れて内通者などを誅殺していますが、今回はスパークを守るという任務です。
突然現れて正体を偽って同行しようとする盗賊なんて、怪しいこと山の如し。暗殺者の類という可能性も疑うのは無理ありませんね。
でもライナは本当にランディーの仇を討とうとしているだけで、それ以外の仕事をするつもりはないんですよね。彼女は正統派の盗賊だし。
そんな話し合いをしている一方、スパークとリーフもなんか言い合いの絶えない幼馴染的な関係になりつつありました(ある意味王道)。
ギャラックとライナを覗きにいこうとするリーフを止めるスパークがちょっと強引に引っ張った事で、また微妙な雰囲気になりました。
このシリーズではそうでもないけど、この2人は「新」では色々と恋愛問題も芽生えるんですよね。小ニースも入れた三角関係で。
リーフはギャラックに部屋を追い出され、仕方ないからギャラックのベッドで寝ようかと思ったらベッドから落とされ、結構不幸かも(苦笑)
その2人の口喧嘩でスパークの胃に穴が開くのも時間の問題かと思いつつ、ついにダークエルフのおおよその居場所が分かります。
ヒルト候ランデルは大勢の兵士を使った人海作戦でダークエルフを探していたのです。帰ってこない兵士が出たらそこにいるというわけです。
それはそれで帰って来れない兵士には気の毒ですが、お陰でダークエルフを追い詰める事は出来ましたね。
スパーク達の他にもダークエルフの捜索隊は沢山いるんですが、スパークとライナはどうせなら自分の手で決着をつけたいでしょうね。
いや他の人が捕まえるなら、それはそれでいいのかもしれないけど、魔法使いのいない隊だと犠牲者が出るのは必至かと。
結局ダークエルフ達と遭遇したのはスパーク隊でした。数では6対4と有利だけど、相手がジャベリン×4発とか使ってくると怖いかも。
軍馬(移動速度30)に乗るスパークが1人突出して突撃、他のメンバーは走って追いかける事になります。
ダークエルフの敏捷度が平均の19だとしたら、それよりも早く動けるのは敏捷度21のライナぐらいでしょうね。
ライナの21を筆頭に、スパーク&アルド&リーフの17、ギャラックの15、グリーバスの10と続きます。
やっぱりドワーフのグリーバスは足が遅いですね、全力疾走したら他の面子からグングン離されることになりますね。
ここでダークエルフを追って先行していた小ニースと合流します。面倒なので以後ニースにします。
ニース 13歳
プリースト(マーファ)8、セージ5、ファイター3。スレインとレイリアさんの娘で、名前は祖母から貰いました。
この若さでお母さんと同じ8レベルプリースト。知力・精神力24で、しかも超英雄ポイントまで持っています。まさにマーファの聖女。
でも実は"亡者の女王"ナニールの生まれ変わりでもあります。自分がひとつの扉であることも知っていますが、この運命と戦うつもりです。
戦闘はほとんどスパークとニースの2トップのみで終わりました。4人中3人はスパークが仕留めたんですよ。
まず最初の1人はランスで串刺しにします。もう1人はマウントを取ってノックアウト。もう1人は容赦なく斬り殺します。
その最後のやつと戦っていたライナが酷い怪我を負ったから、スパークはブチ切れたのです。ニースがいなかったら死んでたでしょうね。
多分"キュアー・ウーンズ"じゃなくて、"リフレッシュ"。回数かけてたみたいだから微妙ですけどね。
ニースはといえば、"フォース"1発で1人を仕留めました。流石はレイリアさんの娘、無敵属性が受け継がれてますね(笑)
ニースの魔力は12、抵抗されても14点ほど出ます。一般人なら十分死にますね。一般人じゃ抵抗出来ないだろうし。
ダークエルフがルールブックのような3レベルで生命力10だとしたら、生死判定もありえますね。死ぬかどうかはともかく。
スパークがマウントを取って殴り倒したやつ以外は死んでたので、そいつを尋問しますが黙秘を突き通したので斬首にしました。
死体を漁ってみたものの、水晶球は見つかりませんでした。どうやら運び屋の手に渡ったらしい。
ライナが言うには、盗賊というのは盗む奴、運ぶ奴、売る奴という具合に役割を分担するらしいのです。
このダークエルフは多分優秀なシーフでもあるはずです。そうでなくても、マーモの住人ならそれぐらいの知恵は回るでしょうね。
仕方なくスパーク達は、ニースを連れてヒルトにまで戻る事にします。やっぱりスパークは不幸なのか(苦笑)
さて、ニースとナニールについてですが、本格的に問題となるのは「新ロードス島戦記」からです。
"亡者の女王"ナニールはカーディス教団最高司祭であり、マーモの蛮族の女族長でもありました。
新王国暦50年にはマーファの聖地ともいえるアラニアで暗躍をはじめ、後のアラニア建国王カドモスと何度も戦う事になります。
ナニールの特徴は転生の奇跡"リーンカーネーション"によって、何度も生まれ変わって活動をしていたという点です。
カドモスはその謎を突き止め、殺すのではなく封印する事でナニールを倒す事に成功しました。
その際ナニールを封印する棺を作る為に、1人のマーファの聖女(名称不明)が"コール・ゴッド"?によって魂を失っています。
マーファとカーディスは相反する神格ですから、因縁めいた対決ではありました。ニースはその対決の最たる例といえるようになります。
しかし、後に地震によって封印が解けてしまいます。そうして復活しつつあるナニールを相手にとある冒険者の活躍がありました。
彼らの活躍で即復活という事はなくなりましたが、ナニールはまたも転生し、冒険者の知人の娘として生まれ変わってしまったのです。
その娘こそがレイリアさんだったのです。そのナニールの魂をなんとかしようと、六英雄の1人であった大ニースに彼女は預けられたのです。
この事件については「第五の封印」というシナリオによって詳しく分かります。新王国暦486年、「ロードス島RPG」のシナリオです
"リーンカーネーション"による転生の特徴は、1つの体に2つの魂が同居するという点です。
1つは元々の体の持ち主の魂、この場合はレイリアさんですね。もう1つは転生してきた魂です、ナニールの事です。
通常後者が前者を押さえつけてしまいますが、レイリアさんの場合は大ニースとマーファのお陰でナニールに打ち勝ったのです。
レイリアさんのケースでは上記の通りでしたが、ルールブックにはそう書いていないのがまた微妙です。もしかしたら特例かも。
しかしナニールはまだ消えてはいませんでした。ナニールは小ニースとして転生してきたのです。
今回はレイリアさんの時とは違います。ニースの魂とナニールの魂は同一なのです。異なる魂ではないのです。
人格こそ違っても、記憶とかは過去のナニールのものを持っているらしい。物覚えがいいのも既知の事柄を再吸収してるからでしょう。
つまり今でこそニースは敬虔なマーファ信者ですが、何をきっかけにひっくり返るか分からないのですね。
元々ナニールは生贄の為に整えられた血筋の生まれです。"コール・ゴッド"の為に計画的に生まれて育てられたんでしょう。
ひとつの扉としては申し分のない素材なのです。バグナードはそれを知っているのか、彼女を狙ってるんですね。
バグナードは太守の秘宝の一つ"知識の額冠"を使用しています。これを身に着けたものの知識を蓄え、供給するのだそうです。
もし過去に額冠をつけた人の中にその知識を持つ人がいれば、ナニールの秘密もかなり分かるかもしれませんね。正直微妙ですが。
★1〜2
ダークエルフを討ち取ったはいいものの、肝心の水晶球は取り戻せずに一行はヒルトに戻ります。
スパークには水晶球の魔力と真相は教えられていません。もし教えられてたら、この状況だとどれだけ悔やんでいた事やら(苦笑)
周りの人達は褒めてくれるけど、スパーク自身の気は晴れません。やはり水晶球のこともありますが、ライナが大怪我をしましたからね。
そのライナもニースのおかげで傷一つ残らず全快。相手はダークエルフですから、多分短剣にも毒とか塗ってたんでしょうね。
となると"キュアー・ポイズン"もかけてたのかもしれませんね。ニースの魔力(12!)なら大抵の毒は解毒できるはず。
回復したライナはスパークに自分が盗賊である事を明かしますが、割とすんなりとスパークも受け入れました。
スパークとしては盗賊としての知識や技能も助かるし、何よりも折角知り合ったからもう少し一緒にいたいんだそうです。
多分本音でしょうね。ライナとしてはもう少し違う答えを期待していたようですが、取りあえずは納得します。
微妙に恋愛フラグが立ったかのように見せかけて、実は立っていなかったりします。今後これ以上に発展する事はありません。
何しろ最終的にはライナはギャラックとくっつきますからね。スパークはスパークで、ニースとリーフと色々ありますから。
しかしやはり盗賊というと抵抗があるようでした、それがスパークの育ちのよさなのかもしれませんね。
盗賊であるかどうか問い詰めて、もし間違っていたら侮辱になると言ってましたが、一口に盗賊と言っても色々いますからねぇ。
完全な無法者もいれば、ウッドやフォースのように憎めないのもいます。中には盗賊としてしか生きられない人だっています。
それがその人が生きる唯一の道ならば、それを否定する事こそが、その人に対する最大の侮辱になるのかもしれません。
ライナだって物心ついた頃からギルドで育てられてましたしね。騎士や貴族のような裕福な人間ばかりではないのです。
このメンバーの中だと、ニースと面識があるのはアルドだけです。何しろ彼の師匠の一人娘ですからね。
ニースがひとつの扉である事もスレインから聞いています。彼と、イアハートという兄弟弟子だけがスレインから聞いていたそうです。
そのイアハートという魔術師は、宝物庫にいたところを例のダークエルフ達に殺されたのです。多分導師級だったんでしょうけどね。
イアハートが死に、アルドがこっちにいて、フレイム軍は本当に魔術師不足ですね。スレインが過労で倒れないか心配です。
フレイムはとにかく魔術師不足です。ライデンの魔術師はあまり協力してくれないので、スレインの弟子達が頼みです。
しかしあまりレベルは高くないんでしょうね。4レベルのアルドが最高レベルのようだし、多分精々3レベルでしょう。
バグナード一門の方が水準は高そうですね。グローダーをはじめ、7レベル魔術師が数人いるようですし。
バグナードは"黒の導師"を名乗るだけに、なかなかに教え上手のようですね。教鞭をとるバグナードなんて想像できませんが(笑)
アルドはニースがその運命に立ち向おうとしている事もこの場で知ります。ダークエルフを1人瞬殺した事は知ってるのかな(苦笑)
アルドにとっては妹か娘のように可愛いニースが、そんな残酷な運命を背負ってるんです。優しいアルドは涙すら流していました。
まだ遊びたい盛りの13歳の女の子なのに、何だってこんな事に立ち向わないといけないのか。アルドでなくても理不尽さを感じるでしょう。
ニースはバグナードに呼ばれる夢を見て、自分が扉である事を知ったそうです。多分それはただの予知夢ではありません。
バグナードの精神に一瞬触れたらしく、"ギアス"らしき苦痛も体感したそうです。何かの魔法で召喚されそうだったのかも。
以前グローダーがアシュラム様を助けた"リマンド"でしょうかね。抵抗されたら効果消滅ですから、何とかならなくはないですね。
バグナードは多分魔法を使う毎に超英雄ポイントを使ってるんでしょう。そう何度も召喚は出来ないはずです。
ニースを捕らえたいのなら、誰かしらが直接彼女を攫わないと無理でしょう。それだって容易ではありませんしね。
バグナード自身が遠見の水晶球と"テレポート"を使ってニースの前に現れたとして、果たして捕まえられますかね。
実はニースって超英雄ポイントの量が他のキャラよりも多いんですよね。なんと大ニース、カーラ、ウォートと並ぶ10点です。
他はというと、ベルドとカシューが20で、それ以外は概ね5点です。バグナードも5点ですから、魔法の使用回数も同じだけ。
仮にバグナードが魔法をかけたとして、ニースなら抵抗できそうです。それこそ超英雄ポイントを使って。
いっそ力ずくで攫う方がいいんじゃないですかね。ファイターは3だから、数に頼んで押し切れるかもしれません。
あまり追い詰めると"リターンホーム"を使って逃げられちゃいますけどね。取り囲むと"フォース・イクスプロージョン"もあるし。
なかなか厄介ですね。でも城に篭られるよりかはまだ可能性があります。魔法的に隔離された部屋にいれば、攫うのはまず不可能になります。
本当ならニースにはそうしていて欲しいぐらいですが、彼女はあくまでも戦うつもりなんですね。ロードスで最も気丈な13歳です。
そんなニースの未来がとにかく不安なアルド。顔に似合わずなんて心優しい大男なんでしょう。しかも気が小さいから余計に苦労してそう。
ニースは次のターゲットと思われる"生命の杖"の無事を確かめる為に、ヴァリスの首都ロイドを目指します。
スパーク達も親書を届けにヴァリスへ行くから、そこまでは同道する事になります。正直このまま放り出すのは危険すぎますし。
もし杖が奪われていたら取り戻しに行くつもりですしね。自分の立場分かってるのか、アルドの気苦労は絶えそうもありません(苦笑)
★3〜7
ニースを加え、7人になった一行は街道を南に下り、マーニーやローランといった都市を抜けてヴァリスへ入ります。
現在のヴァリスは既にマーモとの戦争状態にあります。アダンがまたも奪われ、神出鬼没の妖魔による被害が多発しています。
アダンからロイドまではだだっ広い田園地帯が広がっているので、完全にマーモ軍を押さえ込むのはまず不可能です。
妖魔たちが後方で暴れ回り、街道からは暗黒騎士団の精鋭が攻め込むのです。英雄戦争の時と同じような作戦ですね。
そのせいか国内は緊張状態にあります。一般人すらスパーク達の姿を見ると襲い掛かろうとするぐらいですからね。
逃げるだけでなく、あくまでも戦おうとするのがまたヴァリスらしい。こういった人達が民兵として戦うのかもしれませんね。
でもそういった人達も、スパーク達の正体を知るとカシューがいつ助けに来るのかと尋ねてきます。自国の王はアテにしてないんですかね。
エトは賢王として評判なんですが、こういう事態では民は英雄を求めるのです。ファーンのような絶大な守護者を。
とはいえそのカシューはアラニアを攻めてるし、もう一つの同盟国ハイランドもヴェノンを攻めています。
この頃になると、モスの内乱も終焉に向かいつつあります。ハイランドの勝利という方向へ戦況は動いています。
レドリックとシーリスは頑張ってるようですね。でもヴェノンの抵抗が激しくて完全には攻略できずにいます。
今現在ヴァリスへ援軍を送れる国はなさそうですね。送ったら送ったで、後々禍根として残りそうですし。
ロイドに到着し、エトへ親書を届ける所までは順調でした。スパークはこの後、水晶球の運び屋捜索の為の許可を取るつもりです。
しかしエトが親書の追記を読んだことで状況は一変します。この時点で宝を取り戻していなかったら帰還するように命令が書いてあったのです。
期待してないからじゃなくて、スパークの身を案じるからこその配慮なんでしょうが、スパークにはそんな事は分かりません。
任務達成の機会を失い、自分は信頼されていなかったのかと落ち込んでしまいます。スパークって結構ネガティブな方に考えますよね。
グリーバス曰く「巣穴にいる鼠は猫さえも追わぬ」だそうですが、鼠どころの話じゃないんですよね(苦笑)
詳しい事情を知っていればまだしも、今の状況じゃあスパークが自分を追い詰めるのも無理はない。ほとんど道化じゃないですか。
スパークの場合は、壊れないように大切に扱ってやるよりも、むしろ本音を全部ぶつけてやった方がいいと思いますけどね。
一行は最後の望みを託して、アルドの提案を採用して、晩餐会まで港を見物すると見せかけて調べてみることにしました。
ライナが言うには、マーモに帰るならライデンかロイドの港を利用する可能性が高いそうです。盗賊的な考えだから多分間違いない。
実はブレードの街にも港はあるんですけど、ライデンがフレイム領になったことで大して栄えていません。
本来カシューはこの港を使って大陸との貿易をしようとしてたそうですが、ライデンのせいで計画は中止になったとか。
港での情報収集は、専らライナの仕事でした。こういう事はスパークは不慣れですからね。性に合ってないというか。
もちろん情報収集の基本は酒場です。これは基本中の基本ですからね。酒場抜きにシティーアドベンチャーは語れません。
何処の基本かというと、盗賊のように見せかけて、ぶっちゃけた話RPGの基本です(言うな)
ライナはあちこちでマーモ行きの船を捜しているという情報をバラまき、微妙な違いをつけることで噂を広めたのです。
あとは情報が錯綜し、向こうから勝手に接触してくるのです。結構マーモに乗せてってくれる船が多かったですね。
何かと規制が厳しそうなヴァリスですが、港に来る船は自由商船が殆どで、ヴァリスとは直接関係ないからこういう船もあるんでしょう。
ライナは夕方まで全力を尽くしましたが、結局有力な情報は得られませんでした。そろそろ引き上げないとヤバイかも。
そんな時に接触してきた一団が実はヴァリスの水兵だと知らずに、マーモの傭兵志願を名乗ったばかりに戦闘になってしまいます。
そういう可能性は確かにあったとはいえ、よりにもよって最悪のが引っかかりました。やっぱりスパーク君ってば不幸?(笑)
傷つけるわけにも捕まるわけにもいかず、何とか囲みを突破して逃げようとしますが、やっぱりグリーバスの逃げ足は遅かった。
仕方なくギャラックとスパークが足止めをします。リーフがウィスプを使っただけで動揺が走る彼らは魔法戦には不慣れらしい。
スパークは必死で逃げる途中、今度こそ本物のマーモの人間と接触をします。幸運なのか不幸なのか微妙なのがまたスパークっぽい。
そんな事をしている一方、ニースはエトと執務室で話などをしていました。面識はないけど決して無関係ではありませんね。
エトはカーラとの戦いの後はずっと忙しくて、昔の仲間と会う機会は本当に少なかった。けどあの戦いでレイリアさんを助けたメンバーの1人です。
エトはカシューからの親書とかで今回の真相を大まかに察しているようです。ニースがひとつの扉であり、"生命の杖"を気にしている事も。
実はファリス神殿にもダークエルフが侵入しそうになったそうですが、軽く阻止したようです。流石に邪悪なものには敏感ですね。
エトやジェナートの改革で、ファリス神殿にも若いながらも信仰心篤い者が増えているようです。奇跡を行使できる人も徐々に増えてます。
とはいえそれはまだ発展段階、現状では"生命の杖"に頼らないと癒しが間に合わなかったりします。
"リザレクション"なんてエトですら超英雄ポイントを使わないと使用できませんからね。ジェナートはどうなのかは謎です。
実はジェナートのレベルは不明なんですよね。エトみたいに8レベルでも超英雄ポイントを使えば"リザレクション"も"ジハド"も使えますが。
そのジェナートも今年でなんと88歳。いい加減ファリスの御許に召されても不思議ではありません。
人生50年とか言われているこのフォーセリアにおいて、80超える老人は結構稀だと思いますよ。
エトはニースの覚悟を見抜いた上で、「ひとりの娘であることを知るべきだ」と言いました。やはり少し背伸びをしているんでしょうかね。
でもニースは強く在ろうとしています。こんな時だからこそ、カーディスやバグナードに抗する為に気丈にしないといけない。
多分に虚勢も入っているんでしょうが、そんな事は承知の上で気合を入れているんでしょう。その辺の俗な所が大ニースとは微妙に違いますね。
ニースが覚悟を決めたように、エトもまた覚悟を決めています。"コール・ゴッド"でファリスを降臨させる覚悟を。
エトならやっぱり出来ますよね、超英雄ポイントを2点ほど使えば。でももう4点使えば生き残れます。大ニースのようにね。
でもその為には計6点も要るんですよね、エトは5点だからやっぱり無理かな。9レベルなら4点で済むんですが。
"コール・ゴッド"を使って生き残るなんて普通ありえませんが、その辺を覆せるのが超英雄の超英雄たる由縁です。
大陸には超10レベルの司祭なんていないからありえませんが、ロードスには結構いるんですよね、超英雄ポイントを持つ司祭が。
時間軸を無視すると、マーファの大ニース、レイリアさん、小ニース。そしてファリスのフラウス、ジェナート、エトですね。
あと"闇の大僧正"ショーデルは持っていそうで持っていません。マーモの四大実力者の中では唯一超英雄ポイントを持っていません。
つくづくロードスの住人は凄すぎですね、魔神の軍勢を退けたり古竜を滅ぼしたり、神話のような事を普通に実行しますからね(苦笑)
何とか城にまで逃げてこれたスパークは、マーモの人間と接触した事を仲間に知らせて、どうしたらいいかと悩みました。
ギャラックの言うように陸を攻撃するつもりなら、エトにその事を知らせないと大変な事になります。
しかしそうなるとは限らないし、フレイムの騎士(見習い)が港で勝手な事をした事がバレたら外交関係にヒビが入りかねません。
悩むスパークにニースは「いちばん大事な事だけを考えればいい」と言いました。彼女にとって一番大事なことは邪神復活の阻止です。
スパークは教団と教義の事だけを考えればいい神官と、王国と任務の事を考えねばならない騎士を比較して声を荒げました。
ニースはそのまま"生命の杖"を守りに行ってしまいますが、事情を全く知らないスパークはそんな事には気づきもしません。
そこでアルドが珍しく大声を出してスパークを諌めました。そして涙ながらに真相を淡々と語ったのです。
そしてスパーク達はニースが生贄であるひとつの扉であり、邪神復活を阻止しようとたった一人で戦おうとしている事を知ったのです。
スパークは自分の矮小さを恥じていました。邪神が復活して世界が滅ぶ、それを最悪の結果とするならば、迷う事なんてありません。
フレイムとヴァリスの外交関係がどうなろうが、スパークが命令違反をしようが、世界が滅ぶ事に比べたら本当に些細な事です。
スパークはついに覚悟を決めました、エトに真相を話してニースを助けに行くと。
どうやらパーンの言葉の意味を実感できたようですね。こういう決断を下せるようになった事をカシューも喜ぶと思いますよ。
任務なんかよりももっと大切な事を、スパークは見つける事が出来たのです。そしてそれを選ぶ事が出来たのです。
パーンやテシウスと同じように、自分の心が決めた道を邁進出来るようになったのです。命令なんてくそくらえ、いい事言いますね(苦笑)
スパークは衛兵に止められるのも構わずにエトの所へふんばりダッシュで駆けつけます。
そしてエトに自分達のした事を話すのですが、その時ファリス神殿に火の手が上がったのです。微妙に遅かったんですね。
少数の賊では杖を奪えないから、軍船を派遣して強奪するつもりです。なかなか豪快な事をしますね。
スパークはエトに見送られ、仲間達と共にファリス神殿へ駆けました。冴えない見習い騎士ではなく、自由騎士の心を持って。