「賢者の国の魔法戦士」作:水野良 出版社:富士見書房
★はじめに
いよいよ『リウイ・サーガ』は第三部聖剣戦争編へと突入し、タイトルも「魔法戦士リウイ ファーラムの剣」と改められました。
世界を滅亡の危機から救う為に、"魔精霊"アトンを滅ぼせる聖剣"ファーラムの剣"を巡って、リウイと仲間達は世界を旅します。
また『フォーセリア・サーガ』の完結編でもあります。20年以上続いてきたこの世界を締めくくる、極めて重要なシリーズなのです。
アトンはロードス島の"破壊の女神"カーディスや、クリスタニアの魔神獣と並ぶ、"世界を破滅に導くもの"のひとつです。
しかしカーディスとの戦いはロードスの英雄達の「終末戦争」によって成し遂げられます。次はアレクラストの番といったところです。
結論から言うと、彼らはアトンに勝利する。そして300余年後のクリスタニアへと戦いは続き、彼らが魔神獣と戦う事になるのです。
しかし結果だけ知ってても物足りない。そこに至るまでの過程をしっかりと見届けましょう。今リウイ達の大冒険が幕を開けるのです。
★
今回一行が立ち寄るのは"賢者の王国"オランです。
オランは大陸最大の国家であり、その首都の人口は10万、国全体では200万。これは150万規模のオーファンやラムリアースを上回る。
建国は270年頃で、建国王はハートリーT世。元はこの都市の太守でしたが、戦乱の世において先進的戦術を駆使して建国を果たします。
以後もオランは先進的発想の王の統治によって栄え、現在の首都オランは上下水道完備で石畳の街並みが広がる世界有数の先進都市です。
現在の王は"賢人王"カイアルタードZ世です。彼は魔術師ギルドの創設者"大賢者にして至高の魔術師"マナ・ライの弟子でもあります。
そのマナ・ライの所属する魔術師ギルドは大陸最大最古の魔術師ギルドです。ただしラムリアースの賢者の学院は、それより古い別の系列です。
街中で目立つのは魔術師ギルドの本校である三角塔と、王城エイトサークル城です。国を守る騎士団の名は「車輪騎士団」です。
またオランは"冒険の王国"という別名の通りに、とにかく冒険者が多い。リウイ達の故郷ファンよりも多いかもしれません。
それだけに過去多くの物語の舞台となりました。"バブリーズ"を筆頭に、ミルリーフ事件、賢者デュダ、トリオ・ザ・住専……etc。
また北にはパダという街があり、ここは"堕ちた都市"レックスという大陸最大の遺跡群がある為、やはり多くの冒険者で賑わってます。
実は今回主に冒険するのもこのレックスで、オランは本当に最初だけしか出てこない。けど以後リウイ達の聖剣探索の拠点となります。
★1
エレミアの事件を解決し、オランへ辿り着いたリウイ達は、本国で預かったニ通の親書を届けに王城エイトサークルを尋ねます。
一通はリジャールからカイアルタードZ世へ、もう一通はカーウェスからマナ・ライへです。内容は基本的に同じでしょうがね。
ただし5日も前にミレルが使者として来訪を告知しています。今回は正式な来訪なので、いつものノープランは流石にマズイ。
漫画版の「ファリスの聖女」でもそうでしたね。ヴァリス王ワーレンがハイランドへ訪れる際に、使者よりも早く到着してしまいました。
その時のワーレンは使者が追いつくまで夜営をする事にしていました、一国の王なのに。それほど国交とは気の使う物なんでしょうね。
今頃出迎えの為に礼服の用意なんかで忙しいんでしょう。玉座の間や食卓、異国の王子に粗相のないよう気を遣ってる筈(リウイなのに)。
そういった準備ができるまでの間、一行はオラン観光と洒落込んでいました。流石に大陸有数の都市、とにかく先進的。
ところがやはりトラブルは舞い込むもの。王城まで目前のところで、以後協力関係になるオランの聖剣探索隊と出会います。
シヴィルリア・サイアス
チームのリーダー的な女性騎士で、名家サイアス侯爵家の娘。父は将軍職を務めていたりする、世間知らずで頑固なお嬢様です。
でもレベルはかなり高いらしく、リウイも舌を巻くほどです。しかし女性であることに劣等感を持つ、昔のジーニ達のような性格。
加えて現在剣の腕が伸び悩んでいることもあり、心にほとんどゆとりがない。それを抜きにしてもリウイと会うと小言が絶えない。
ダニロ
農民出身の戦士。生まれのせいで兵士にしかなれない事に不満を感じていますが、実力はその辺の騎士を軽く凌ぐ凄腕です。
超人レスラーのようなガタイを持ち、口には串?を加えている何処かの野球漫画に出てきそうな男ですが、ちょっぴり純情でもある。
家柄に劣等感を持ち、故郷の村を治める騎士の御令嬢に憧れてます。武功を立てて近衛騎士になり、モテる為に参加。詳しくは後述します。
スマック
サイオン家に仕える執事兼密偵のような人。長身でわりかし美形、ガタイもいいのにシーフという美味しいキャラ。
過去に"蛇"(つまり暗殺者)でもあったようですが、色々あってサイアス家に仕え、シヴィルを支える為に聖剣探索隊に参加。
鼻に横一文字の傷が入っているのもポイント。シヴィルを「お嬢様」と呼んだりする、クイルドのような"お気遣いの密偵"です。
アストラ
バレンの弟子であり、天才で美少年で天然な魔術師。師匠であるバレンの汚名を返上する為に、今回の探索に参加しました。
礼儀正しく言葉遣いも丁寧。まるで宗教画の中の天使か聖童のような容姿で、密かに萌えキャラに数えています(外道め―笑)
祖父も魔術師で、母親も魔術師ギルドで学んだらしい。普段は背伸びしていてクールで大人びているけど、たまに歳相応の顔も見せる。
エメル
いつもニコニコな女性神官。でも実はファラリス信者だったりする。ただし今まで犯罪歴はない、善良?なファラリス信者。
ファラリス信者でありながら社会に適応?しているらしく、自由であることをなによりもエンジョイする明るくオープンな性格。
ただし彼女のもとめる自由とは男性関係であり、いい男に目がない。過去に色々と世間体の悪い素行もあったらしい。詳しくは後述します。
路地で彼らの進路妨害をしてしまったのが原因で、うっかりとマイリー神殿を舞台にした決闘になりかけてしまいます(笑)
リウイ「あんたは女だったのか?」
シヴィル「女だから、どうした?」←既にキレかけ
リウイ「どうもしないさ。だが、先には行かせてもらうぜ。気にいらないというなら、勝手に追い抜けばいい」←正論です
シヴィル「ぶ、無礼であろう!」
最悪の出会いだ。ちなみに本文のシヴィルは髪を短く刈ってるとありますが、挿絵では女性らしい普通の長髪。
アストラ「彼が主張していることは正論です。前を塞いだのは失礼の極みですが……」
エメル「それ火に油を注いでいるわよ」
ミレル「もしかして、あたしたち、喧嘩売られてる?」
ジーニ「相手にすることはない」
メリッサ「そうです。ここは我慢してさしあげましょう」←青筋浮いてる
こういう時、最も反発するのはメリッサだったりする。既に普通人の感覚であるアイラは口も出せません。
これを受けて相手は更にヒートアップ
シヴィル「相手にするなだと?我慢してさしあげるだと?」←我慢の限界、ていうか我慢してない
スマック「シヴィルリア様を侮辱すると容赦しないぞ!」
ダニロ「手討ちにしてしまってもいいのではありませんか?わたしの村の御領主は前を横切ったというだけで、子供を切り捨てにしましたよ」
最早子供の意地の張り合い。一番マトモなのがファラリス信者とはどういう事だ(苦笑)
結局騎士団が通りかかった事で決闘はお預けとなりました。リウイ達も濃いけど、彼らもそれに負けないぐらい濃い。
しかしそれだけ個性的という事でもある。彼らを主役にした短編とか読んでみたいと思える、結構いいパーティーだと思う。
アイラ「あなたたちと一緒にいたら、気の休まる時がないということね」
ミレル「それが嫌というなら、いつでも降りてくれていいからね」←期待してる
アイラ「あんな目に遭ったんだもの、さすがに腹がすわったわ。どこにも逃げようがないしね。最後まで付き合うわ」
まだ冒険者としての経験が浅い(ていうか無い)アイラは、こういう荒事は苦手のようです。基本的にお嬢様だから。
しかしシャザーラや数々のマジックアイテムを持つ彼女は相当危険。下手すると1人で他の4人を全滅させられるかもしれない……。
★2
エイトサークル城についたリウイ一行は、公式な謁見を早々に済ませ、食卓の場で込み入った話をしました。
ここではカイアルタードやマナ・ライは当然、皇太子のランディーヌや近衛騎士隊長のイゴール、そしてバレンが登場します。
カイアルタードは「自由人の歎き」で結構喋ってるけど、公式作品に出るのは久しぶり。挿絵のマッチョマンもカイアルタードだろうか。
ランディーヌはワールドガイドにも載ってる人です。ただし皇太子と言っても既に40を越えたオッサンで、そろそろ王位を継承するらしい。
イゴールというのは初めて見ました。やや背が低いけど相当な手練であるのは確か。オーファンでいうローンダミスみたいな人でしょうね。
マナ・ライ「仲間が全員、女性とは、羨ましいかぎりじゃな」←助平爺っぽい
魔術師としては既に伝説的存在ですが、このように意外と気さくで俗っぽい人です。「死せる神の島」でもそんな感じでしたね。
大陸で2人しかいない超英雄ポイントの持ち主です。ちなみに520年の時点でカーウェスは67、マナ・ライは123歳!!
なんとカーウェスが生まれた頃、マナ・ライは既に還暦近かったんですよ。まさに生きた干物伝説。でも全く偉そうな所は無いのが魅力的。
実は以前ラヴェルナが彼と面会した時、ラヴェルナは失礼を承知で彼の理論に対して質問をぶつけ、その疑問の全てが氷解しました。
彼曰く、疑問なくば新しい発見は得られぬ。だから質問を受けてもむしろ賞賛する。最近は彼を絶対視してそれすら怠る人が多いから。
ちなみにラムリアースの学院を除き、大陸中の魔術師ギルドは全て彼の弟子が興したもの。つまり姉妹校のような存在になります。
実はカーウェスも彼の孫弟子、ファンに来た弟子の最初の弟子の1人だったらしい。つまりその人はファン王国の魔術師ギルドの創設者。
ここではオーファン魔術師ギルドになってるけど、その頃には既にカーウェスが最高導師なので、流石にファン王国の誤りでしょうね。
あとバレンはシナリオ集「四大魔術師の塔」にデータが載ってます。彼自身がカーウェスと同格の10レベル魔術師だったりする。
普段はギルド内でも行動的で学生の人気が高いけど、彼の冒険のせいでアトンが解放された上に仲間を失い、随分と落ち込んでいる様子。
そんなバレンをリウイは酷評します。確かに文句の一つでも言いたくなる。でも責任を感じているから生き恥を晒してまでここにいるのです。
アトン復活の経緯や、アトンという存在そのものについては、「砂塵の国の魔法戦士」や「魔法王国カストゥール」を参照。
この件でマナ・ライはカーウェスへ親書を送りました。リジャールには送ってない。でもカーウェスはリジャールを信頼して手紙を見せた。
その結果オーファン・ラムリアースが協力を申し出たのは本当に有難い事でした。でもそれ以外の国には慎重にならざるをえませんね。
多くの人はパニックを起こすだろうし、暴動だって起こるかもしれない。最悪オランに攻め込んでくる国もあるかもしれない……。
カーウェスはそれが分かっていながらリジャールを信頼した。そしてフレアホーンも信頼し、彼らはその信頼に応えてくれたんですね。
リウイ「最初の混乱が収まれば、大勢の人が協力を申し出てくれるはずです」
マナ・ライ「残念だが、人間というのは弱い生き物じゃ。世界滅亡の恐怖に耐えられず、終末信仰に走る者も大勢現れよう」
リウイ「終末信仰……ですか?」
マナ・ライ「この世界を滅亡に導き、次の世界に転生しようという信仰じゃ」
それは正にロードスのカーディス教徒達の事ですね。滅びの運命が避けられないなら、それを肯定しようという思想。
更にマナ・ライは、このフォーセリアの秘密の一端まで話してくれます。
マナ・ライ「世界は始原の巨人の死に始まり、終末の巨人の誕生に終わるとされておろう。
終末信仰とはすなわち、終末の巨人とそれが遣わす眷属に遣えることなのじゃ。
そして、アトンも終末の巨人の眷属ではないかと、わしは推測しておる」
……まさか300年以上先にクリスタニアの"世界見の賢者"ナーセルが突き止めた事実に、既に気づいていたとは。流石は大賢者。
ここでいう眷属とは"世界を破滅に導くもの"で、他にもロードス島の"破壊の女神"カーディスや、クリスタニアの魔神獣がいる。
カーディスの従者が「終末戦争」で猛威を振るったカーディス教徒や転生者達で、その更に眷属が「終末のもの」でしょう。
魔神獣の従者は「秘境伝説」で神獣から離反したロックイーター。そして眷属はクリスタニア中に現れた合成眷族や亜人でしょうね。
そしてアトンの従者は前回出てきたケシュ族みたいな人達です。今後も増えるだろうし、実際眷属として複合精霊なんてのも出てくる。
ただし流石にフォーセリア究極の世界律までは明かされません。それを知ってもどうにかできるものでもないし。
情報が漏れてしまうのは仕方がない事。でもできる限り漏れないよう、当分は少数精鋭で"ファーラムの剣"の探索に当たるしかない。
手がかりは、聖剣の製作者が"魔法王の鍛冶師"ヴァンという付与魔術師であり、彼の遺跡が堕ちた都市にあるという事のみです。
それだけの情報で、この広い世界でたった1本の聖剣を見つけるなんて、雲を掴むような話です。それでもやらねば世界が滅びるだけです。
ちなみに魔剣には三通りの呼び名があります。通常の名称、真の魔力を発動させる為の合言葉、付与者の名に因んだ名称。
ヴァンの作った魔剣は3つめにちなんで"ヴァンブレード"と呼ばれます。つまりラムリアースの宝剣はその1つに過ぎないのです。
実は"自由騎士"パーンの持つ名称不明の魔剣も"ヴァンブレード"だし、"ファーラムの剣"も"ヴァンブレード"の1種という事になる。
★3
そしてオランの聖剣探索隊との顔合わせとなり、お互い口あんぐり。
リウイ「あ、あんたは?」
シヴィル「お、おまえは?」
アイラ「ホント、あなたって騒動に愛されているのね」
いきなり先行きが不安だ。
以後開かれた会食でも、お互いギスギスしていて会話もない。でも今後協力しなきゃいけない同志、仲良くしないと。
リウイ「え〜と、あ〜、なんだ。城下での一件は、お互い忘れてだな……」←大人の対応
シヴィル「あなたは王子だから、オランの騎士ごときに謝るつもりなどなかったのでしょう?」←何故そうなる
ミレル「身分を鼻にかけてつっかかってきたのは、そっちのほうじゃねぇか!」
シヴィル「前を横切って、謝らなかったからだ!」←そんな奴は街にいくらでもいる
アイラ「わたしが、謝ったと思うのだけど……」
シヴィル「リウイ王子は、謝られなかった」←子供か
本当にこいつらに世界の命運を任せてもいいんだろうか……。
いっそ勝手に探索に出れればいいんだけど、カイアルタードの手前それも問題がある。
アイラ「もしも、彼女たちが全滅するようなことがあったら、オラン王にはどう報告するの?」←それは不吉だ
シヴィル「そちらこそ命が惜しかったら、田舎へ帰られるがいい」
メリッサ「田舎というのはオーファン、ラムリアースのことですか?」←立ち上がる
やはり伝統ある国家の出身だけに、田舎者扱いは我慢ならないか。マイリー名物喧嘩神輿のモードですね(そんなものはない、多分)。
家を捨てたと言いつつも、祖国と第二の故郷の事は誇りに思ってるという事です。しかしメリッサの逆鱗は「田舎者」だったのか……。
メリッサ「国土の広さや人口の多さで、王国の優劣を決めつけないでくださいませ!」←それはもっとも
シヴィル「剣でも魔法でも、オランが大陸で一番だ。財力でもエレミアや西部諸国に劣っているとは思っていない!」
メリッサ「諸国を巡って、その目でご覧になったわけでもありますまいに、そういうのを世間知らずというのです!」
シヴィル「この国のことを知らなければ、そのほうが世間知らずというものだ!」
エメル「いい加減にしなさい!」←"フォース"で天井ドーン!
豪快ですね。でも室内での"フォース"はテーブルマナー違反ですよ。いやそれ以前に違法行為っぽいけど、殿中でござる!(笑)
結局堕ちた都市での探索で白黒つける事になりました。まぁ喧嘩するよりはマシかな、協力するのが一番なんだけど。
★1
マナ・ライやカイアルタードに見送られ、リウイ達とシヴィル達は取り合えず一緒にパダへと旅立ちました。
それから別行動を取ったはいいけど、目的地が同じだから事ある毎に顔を合わせる事になって、とっても面倒臭かったようです。
普通の人間だったら胃潰瘍にでもなりそうなストレスでしょうが、幸いこのパーティーにはそんな繊細な心の持ち主はいません(笑)
リウイは細かい事は気にしない男。でも相手が敵視してくる以上は友好が築ける筈もなく、気まずいままパダに到着してしまいました。
この街では両パーティーのメンバーが個々に会話をする機会を得ます。これで少しだけお互いの事が伝わったようです。
まずはリウイとエメル。いい加減気の滅入っていたリウイは1人で呑みに繰り出し、たまたま見つけた「黄金の鍵亭」に入ります。
ところがそこはほとんど裸のお姉ちゃんがやってきて、色んなサービスをしてくれる店でした。しかも先客がシヴィルとエメル(笑)
冒険者の多い街だから、こういう側面もあって当然。冒険中は大したものも食べれないんだから、街にいる時ぐらい羽目を外すのが人情です。
でも世間知らずのシヴィルは「不愉快だ!」と店を後にし、入れ替わりに入店したリウイを軽蔑しつつ、夜の街へ消えていきました(誤解だ!)。
でもそういう事に慣れきってるエメルは残り、リウイと楽しくお酒を呑みます。シヴィルがいないと随分と話が弾むものです。
リウイ「あんたも大変だな」
エメル「まあね。他の人たちも、一癖、二癖あるし……」
リウイ「それはオレやオレの仲間たちも同じだけどな」
ていうか冒険者なんてみんな特殊な人間です。真っ当な人間はこんなハイリスク・ハイリターンな世界に入りません。
出される料理はパダ名物「ヘンルーダのサラダ」です。石化予防の薬であり、その手のモンスターと戦う可能性がある時は欠かせない。
でもこれはとにかく不味い事で有名です。新ロードスのコカトリス退治の時も、スパークたちは泣きそうになりながら食べてましたし。
ていうか何故不味いと分かっていて食事に出すのか。必要なら自分で勝手に食べるだろうに。これがパダの店の標準なのか(それはない、多分)。
でもエメルがファラリス信者だと知ると、流石のリウイもビックリ。大抵のファラリス信者は法や道徳に背くアウトローなのだから。
ファラリスの教義は「汝の為したいように為すがよい」。自分の欲望に忠実であり、何物にも捉われず自由である事が大前提です。
でも大抵の人間は欲望に忠実になると法や道徳に背く。ところが彼女の欲望は殺人や窃盗や布教にはなく、男性関係にあるのです。
気になった男はとにかく誘惑。それで故郷の村にいられなくなりましたが、彼女にはその理由が分からなかった。その時に神の声を聞いた。
エメル「みんな、どうしてひとりの異性に縛られるかなぁ。
ひとりの男をずっと好きでいられるわけがないし、ひとりの女を愛し続けることも無理だって思うけど」
リウイ「愛は冷めるが、情は深くなるって言うぜ。一生、付き合える相手というのもいると思うけどな」
エメル「へぇ〜、意外に真面目なのね」
こればかりは人それぞれだと思うけど、水野先生も同じような事を言ってた気がする。一般論にするのは問題でしょうけどね。
実はシヴィルやダニロもリウイがミレル達全員に手を出していると思ってたりする。構成上当然の見解だけど、リウイは毎回それを否定してます。
エメルが何故聖剣探索に関わっているか。それはこの世界を守る為。世界があればこその欲望であり、自由なのです。
彼女は自由奔放に生きていきたいと思っている。だからこの世界を守ろうと思うし、アトンは滅ぼそうと思う。これも自由な意思です。
「終末戦争」のファラリス信者達もそうでしたね。ていうかファラリス自身その為に神々の戦いを引き起こしたという説もあるぐらいだし。
リウイ「目的が同じである以上、あんたは仲間だ。オレも好き勝手に生きていたからな、暗黒神の声を聞いていたっておかしくない」
エメル「感謝するわ、リウイ王子」
そういう割り切った所がリウイの偉い所だと思う。これが頭の固いファリス信者だったら「邪悪許すまじ!」と暴れてただけでしょうね。
彼女をちゃんと受け入れてる辺り、シヴィルも満更石頭ではないんでしょうね。彼女の場合単純にリウイが癪に障るだけでしょうし。
ていうかリウイやパーンも自由に生きている点ではエメルと同じなんですよね。ただ彼女よりも更に社会に適応しているだけという気がする。
ファラリスの寵愛を受けてバンパイアになったとしたら、本格的に手が付けられなくなりそう。下手なノーライフキングよりも厄介でしょう。
普通なら自分のしたいようにして、人から認められる事はない。我を貫けば他人と衝突するのが当然なのに、彼らはそれすら受け入れてしまう。
★2
一夜明けて、今度はジーニとシヴィルです。たまたま同じところで剣の素振りを始めたのが縁で、急接近しました。
シヴィルはリウイが癪に障るだけで、ジーニにはとても友好的。むしろジーニの鍛えられた身体にウットリしてフラフラ(ええ!)。
彼女は女性でありながら男に勝る戦いをするジーニを尊敬しているようです。それは彼女が望んでも得られなかったもので、理想なのでしょう。
つまり彼女が"至高神の猛女"イリーナに会ったら大感激。何しろワイバーンを一刀両断し、アイアンゴーレムとガチで殴りあうのだから(笑)
SWは何故か伝統的に女性の方が力持ちになる傾向にある。そんな中、男でありながらそれ以上のマッチョであるリウイは貴重な存在かも。
ここでは「剣の型」というのが話題になります。実は次の「呪縛の島の魔法戦士」でもリウイはパーンから同じような事を言われる。
型とは言っても剣術の構えではなく、その人を象徴するイメージです。例えばリジャールは「欲望」の剣であると言われています。
ジーニ別に誰に剣を教わったでもなく、実戦で鍛えられた剣を使います。一方シヴィルは正規の剣術に忠実な模範的な剣を使います。
流石は将軍家の娘、みっちり教え込まれている。
ジーニ「美しい動きだった。それこそ、騎士の模範のような……」
シヴィル「わたしの剣は模範ではなく、ただの模倣です」←自嘲気味
でも何事も模倣から始まると思いますよ。全くの無から作り出す事はとても大変。最初は何かを真似たり参考にしたりするものです。
大切なのは模倣だけに止まらない事ではないでしょうか。そうして上達する事でその人のオリジナルになり、それがまた後進に模倣される。
シヴィル「わたしは、わたしだけの剣を見つけたいのです」
ジーニ「わたしだけの剣……か。探さねばならないときが来るのだろうか?」
これにはジーニもちょっと考えました。今まで考えた事もなかったのです。剣は彼女にとって生きる為の手段でしかなかったから。
しかしそんなジーニもリウイと戦う事で強くなった。実は力押しへの対処ができるようになって、かつての自分も力押しだと気づいた。
もしかしたらこの時点で既に彼女はファイター7ぐらいになってるのかもしれない。リウイと付き合えば、更に高みを目指せるかもしれない。
次はメリッサとアストラです。メリッサは瞑想場所を探していると、小高い丘の木の下で本を読みふけるアストラ君に遭遇します。
メリッサ「朝から魔術の御勉強ですか?」
アストラ「えっ、あっ……」←あたふた
メリッサ「わたくしも下位古代語は読めますのよ」
アストラ「あなたは貴族の御出身なのですか?」←冷静を装う
メリッサ「わたしの父は伯爵です。家とは縁を切っておりますが……」←隣に座る
アストラ「わ、わたしは、商人の生まれです」←ドギマギ
正に「年下の男の子♪」って感じで可愛い。基本的に背伸びしているだけで、決して達観してる訳でもないようです。
ただし魔術の天才である事は間違いない。マナ・ライしかり、ラヴェルナしかり、10年に1人の逸材とかそういう子ですね。
実はメリッサも昔魔術の勉強をした事があった。ラムリアースの貴族ならば当然の事、嗜みです。流石は魔法の王国ですね。
でも素養がなくて賢者の学院には進めなかったようです。アストラ君の母親も同じで、ギルドで学んだけど魔術は使えないらしい。
ウォート曰く、古代語魔法の素養はだいたい5人に1人です。その人が魔術を身に付けるだけの機会や頭脳やお金に恵まれる必要もある。
アストラ「魔法の王国ラムリアース、一度は訪れてみたいと思っています」←目をキラキラ
でも残念ながら、ライナス(ラムリアースの王都)の学院は、外国からの留学を認めてない。機密保持の為だそうです。
そのくせエリスティアはオーファンの学院に留学してますがね。また魔術師ギルド間の留学も普通に行われている様子です。
伝統に縛られるライナスの学院は突出した才能を出していない。その代わり500年以上かけて培われた資料や指導方法は絶大!
もし魔術師ギルドとライナスの学院が活発に交流したら、大きな発展があるでしょう。もっとも、それで第二のフォルテスも生まれうるけど。
そして彼はバレンを本当に尊敬している。力になりたいと思っている。
アストラ「ファーラムの剣はこの手で捜しだしてみせますよ。それが天才としての、わたしの責任なのですから……」
天才という自覚はあるようですね。頼もしい限りですが、あまり人前で言わない方がいい。煙たがられるから(苦笑)
でも少年らしい純粋さは好感が持てる。その純粋さが時には自分や他人を傷つける事もあるけど、天才だし何とかなるでしょう。
メリッサはそんなアストラ君へマイリーの加護あらん事を、と願わずにはいられませんでした。メリッサは戦う人の味方ですね。
彼には勇気があって、勇者の資質もあるようです。近い将来魔術師ギルドを背負うのは、案外この少年になるのかもしれませんね。
最後はタッグマッチです。アイラ&ミレルとスマック&ダニロです。買出し中に偶然鉢合わせて、奥様の井戸端会議状態です。
シヴィルが絡んでいないとスマックは本当にいい人っぽい。執事だけに普段からご婦人の話し相手もしてるらしく、世慣れてます。
一方ダニロは刺々しい。家柄にコンプレックスのある彼は、リウイのようなモテモテ王子様が気に入らない様子で突っかかってきます。
ちょっと最初のイメージと違いました。もっとストイックでクールな人かと思ってた、「シティーハンター」の海坊主みたいな感じで。
ダニロ「シヴィルリア様の強さは本物だよ。オーファンの王子殿では足元にも及ばないだろうな……」
ミレル「王子の剣術は確かにまだまだだけどね」
アイラ「魔術もまだまだですけどね」
ミレル「でも、王子は弱くないよ」
剣も魔法も中途半端、でも強いのがリウイ。ていうかファイター/ソーサラー5は普通に凄い実力だと思いますよ。
ラムリアースやアラニア、伝統的魔法国家では魔法戦士が騎士団に組み込まれてたりする。それでもそこまでの使い手はそういない筈。
続いてダニロは下の方から難癖つけてきます。
ダニロ「リウイ殿の強さというのは、王宮にいてこそではないのかな?それとも寝台での強さかな?」
スマック「ご婦人相手に下品だぞ!」
ミレル「妾腹だから、宮廷での権力はほとんどないかな……」
アイラ「寝台での強さは相当らしいけど、あたしは相手にしてもらってないから」
ダニロ「そ、そうなのか……」←たじろいでる
これが普通の娘だったら赤面でもしてるんでしょうが、生憎とリウイ・ガールズはそんなに柔じゃない。
そして2人がリウイを愛していると聞くと、最後の足掻きとばかりに身分で攻める。
ダニロ「身分が高ければ、女の心など思いのまま、ということか……」
ミレル「誤解するのは自由だけど、好きになったときには、あいつが王子だと知らなかったよ」
アイラ「わたしも幼なじみですし、魔術師ギルドの同僚でもありましたし……」
スマック「それだけの魅力があるということですな。羨ましいかぎりです。お嬢様にも、そういう男性が現れてくれたら……」
行く先々で穿った目で見る人がいるけど、それが真実。詳しくは第一部を参照。
度重なる女性陣の反撃に、ダニロは色んな意味で完敗です。
ダニロ「オレにはどうせ魅力などないから、だからこそ身分が必要なんだ」←ある意味悟ってるね
アイラ「勝ったわ」
ミレル「勝ったね」
スマック「あまり虐めないでやってください(苦笑)」
恐るべし呉越同舟コンビ。普段は恋敵だけど、共通の敵がいれば容赦ない……(ガタガタ)。ていうかスマック普通にいい人だ。
でもダニロにだってちゃんと立派な所がある。前述通りに、彼は憧れのお嬢様に振り向いて貰う為に努力しているのだから。
ところがこのお嬢様が曲者です。例の子供を無礼討ちにした傲慢な騎士の娘で、オヤジに輪をかけた我儘娘ですこぶる評判が悪い。
そして必死に求愛するダニロに「騎士になれたら話し相手になってやる」なんて言ったらしい。ていうか「話し相手」なんだ……。
それでもダニロは挫けず、近衛騎士隊長イゴールから内々定を貰い、実力勝負の近衛騎士に取り立てて貰おうと必死なんですよ(涙)。
明らかに遊ばれてるのにね。自分には魅力が無いから権力が欲しいんだというのは、ある意味前向き。別の意味で凄い男です。
でもリウイのモテっぷりを聞いて内心メラギャッフ〜ン!って感じ。基本悪い人ではないようですね。ちょっと冴えないだけで。
近衛騎士の身分に憧れる女性はきっと多いでしょうが、それを受け入れるかは彼次第です。……まあ頑張れ、負けるな、力の限り生きてやれ。
そしてスマックは本当にいい人。イケメン、長身、紳士、話術も巧み。元暗殺者の彼にも色々あったんでしょうね……。
スマック「おしゃべりがすきましたな。執事などをやっておりますと、ご婦人方と噂話する癖がついてしまいますようで……」
それは執事というか、専業主夫だ。でも伝統ある国家の名家となれば、彼のような密偵も必要なのでしょう。暗殺の危険もあるだろうし。
ミレル「暗殺って、日常生活の合間のほっと息が抜けるときを狙うものだから……」
アイラ「あなたが言うと、真実味があるわね」
ミレル「そうか、その手があったんだ……(ふふふ)」
アイラ「ねぇ、ミレル(眼鏡キラッ☆)……わたしの目を見ながら、それ言えるかしら?」
そして元暗殺者よりも恐ろしい娘がここに……(ガタガタ)。
★3〜4
いよいよ堕ちた都市の探索へと入ります。都市は遠めに小高い丘に見えるような瓦礫の山であり、それはあまりにも広大な遺跡群です。
ご丁寧にも都市へは瓦礫に刻まれた階段を登っていけるようになってます。これもパダの住人がお得意様(冒険者)の為に作ったのです。
まるで観光地、でもモンスターが出る事を考えると命がけ。その辺の冒険者よりもパダの住人の方が強いとかいう落ちかもしれない(笑)
ただしこの遺跡群が大陸中の冒険者の憧れである事は確かです。危険な魔物と莫大な財宝が眠っている、正に一流冒険者への登竜門です。
実はミレル達も一度は来ようと相談していた場所でもある。色々あって今になったけど、今こそ冒険者としての真価を問われる時です。
しかし未だに両パーティーは仲が悪い。そこで両パーティは一緒に行動するけど、戦闘は交互に行うという取り決めをしています。
その他面倒な取り決めも沢山あります。主にシヴィルが決めた事です。冒険者としての流儀も違う為、探索や行動の仕方もちぐはぐ。
例えば都市の地図一枚とっても、シヴィルたちは何が何でも地図を解読しようとし、リウイたちは足で土地を掴もうとしています。
どっちが良いとは言わない。頭を使って情報を掴むのも冒険だし、自分の足で地図を作るのも冒険。どちらが適当かはその都度結果で示される。
最初はリウイ達の戦闘です。敵はいきなりバジリスク。流石は堕ちた都市、普通のパーティーだったら全滅させられそうな敵です。
バジリスクは8レベルの魔獣であり、全長10mほどの8本足の大トカゲです。基本的に牙で噛み付いてきますが、厄介な特殊能力がある。
1つは《視線》、精神抵抗で15出さないと石化する。もう1つは《血液に毒》、武器で傷を負わせると武器が毒で侵食されてダメージが来る。
ただし小さいらしいので、5レベルの小型種スモール・バジリスクか子供かもしれない。小型でもオリジナルと能力は一緒、劣化バジリスクです。
こいつがいきなりリウイを睨んできて、リウイ・ピーンチ。仮に5レベルで精神力+3なら精神抵抗8、出目7以上で抵抗です。
もし石化してもメリッサは"リフレッシュ"する程のレベルはないので、石になってしまえば探索はそれまで。いきなり躓いてしまう。
結局不味かったので石化防止のヘンルーダも食べてない。仮に丸一株を食べてたとしても、その効果は1日しか持ちませんけどね。
ところがアイラが"邪眼"で瞬殺!。……恐ろしい……下手な暗殺者よりよっぽど恐ろしい。ミレルも危うくこれをやられそうになったのか。
しかしバジリスクの方もあまりに儚い。唸り声一つあげてない。これじゃあ「ハーイ!」「チャーン!」「バブー!」のイクラちゃん以下です。
あとここでアイラは"邪眼"の使用でシャザーラの力を借りたとあるので、もしかしたら精神力の消費が必要な能力なのかもしれません。
シャザーラの力はこのように魔晶石のように使う事もできるようです。その豊富な精神力はアイラに実力以上の魔力を発揮させてくれます。
他にも知識を聞き出したり、高レベルの魔術を使ったり、色々とできます。その内データを公開して貰わないと何とも言えませんがね。
ちなみにフォーセリアにおける邪眼は、他に2つ確認されてます。1つはクリスタニアのブルーザのタレント"デスゲイズ"です。
マイリーの従属神であったブルーザは、無限の槍(視線)で竜王を滅ぼしたという。このタレントはその力を発揮できるのです。
もう1つはカトブレパス、いわゆる伏目河馬。ルールブックには載っておらず、本文中に記述があるだけの幻のモンスターです。
元ネタはプリニウスの「博物誌」に記述があり、カトブレパスとはCatblepas、すなわち下を見るものという意味があるらしい。
本来ナイル川流域のモンスターであり、非常に重たい頭を常に垂れているが、その目には呪殺や土地を焦土と化す魔力があるという。
一説には水牛がモデルであり、ギリシア神話のゴルゴン(牛っぽい方)のモデルでもある。データが公開されていないのが残念ですね。
次はシヴィル達の番です。こちらの相手はトロールでした。6レベルの巨人族、バジリスクほど怖い能力はないパワーファイター。
当然勝利し、お陰で彼らの実力が見れた。見た限り、こちらのパーティーにも勝るとも劣らないなかなかの強豪のようでした。
シヴィルの剣術はリウイが負けを認める程見事でした。ダニロの実力も上級騎士級であり、トロールの正面に立って堂々と戦いました。
スマックの武器はフレイル、彼自身結構筋力が高いせいかなかなかの戦闘力です。アストラ君の魔術も若年ながら導師級の高度なものばかり。
彼は本当にラヴェルナの再来なのかもしれない。後に"テレポート"を使う以上はフォルテス級(7レベル)にはなる、この若さで大したものだ。
エメルは見てるだけ、誰も怪我をしない以上手を出す必要もないのでしょう。ただ彼女自身もメリッサに劣らない、結構高位の神官のようです。
シヴィル「どうです?」
リウイ「ああ、見事だったぜ」
ちゃんと相手の実力を認めるのがリウイのいい所です。でもシヴィルには余裕の現れと取られたらしい。
本当に惜しい。これほどの実力があるパーティー同士なら、協力すれば探索の成功率は跳ね上がるというのに……。
次はまたリウイですが、遭遇したのはゴブリンの一団。でもリウイは"ファイア・ボール"の一撃で追い払う。
今更ゴブ程度は脅威ではない。むしろこんなのが脅威になるならまだこの遺跡は早い、もっと浅い所で経験を積んだ方がいい。
ぶっちゃけ他の魔獣どもの餌でしかないでしょうね。そうして彼らはしばしばオーガー等の餌にされてしまうらしいし。
でもいくら喰われても繁殖力旺盛なので根絶やしにされる事はない。この危険な場所においては、彼らの存在はあまりにも儚い。
シヴィル「魔法など使わずとも剣で挑んで全滅させたらよかったのです」
確かにそれでもいいでしょうが、無駄な戦闘を避けるのも立派な流儀です。ただし精神力4点消費は地味に痛い。
★5
夜になるとリウイたちは見通しのいい場所で火を囲んでいるのに対し、シヴィルたちは屋内で休息を取るようです。
前者はいざという時の退路を確保する代わりに見つかり易く、後者は逆に見つかり難いけど戦闘になると動きが制限される。
やはり流儀が違うけど、どちらが正しいともやはり言えない。一長一短なので、やり易い方を選べばそれでいいでしょう。
当然発見の可能性があるので見張りが必要になり、このローテーションにはアイラも含まれます。
アイラも慣れない冒険によくついてきていますね。お嬢様のセレブな世界から冒険の世界へというのは、色々大変だろうに。
ただし彼女の戦闘力は折り紙つきです。"四つの目"をはじめとするマジックアイテムもあるし、シャザーラもいるからバジリスクまではOK。
深夜になるとシヴィル達はシャドウ・ストーカーの一団に襲われます。影に紛れて忍び寄って絞殺する、5レベルのガス状魔法生物です。
その隠密性は非常に高度であり、《不意打ち》に気づくには《危険感知》で16が必要。襲撃に気づいただけでも大したものでしょう。
このパーティーだと、多分スマックやダニロあたりがレンジャー担当でしょう。普通疎かになりがちなレンジャーもちゃんと伸ばすのは立派です。
シヴィル「これは、わたしたちの獲物だ。手を出さないでいただきたい」
敵は6体で、内3体は聖剣探索隊の前衛3人がそれぞれ一騎打ち。ちゃんとアストラ君は"ファイア・ウェポン"を武器にかけています。
トロールとやり合える彼らなら、ストーカーごときに負ける筈もない。実際見たところ互角以上なので、前衛の心配は要らないでしょう。
ところが残り3体はその隙を狙っていました。影の中に潜んでこっそりと忍び寄り、後衛のアストラ君に襲い掛かったのです。
それを見かねてリウイが加勢に入ります。一度は首を絞められますが、馬鹿力で振り解いてぶん投げて拳で勝負(またかい)。
アイラはすかさずその拳に"ファイア・ウェポン"をかけ、リウイは燃えがる拳でストーカーを殴殺。やってる事はイリーナと一緒(笑)
ここでリウイは拳が燃える事で熱がっていましたが、"ファイア・ウェポン"を肉体にかけようとも本人は熱くない事になっています。
★6
こうしてストーカーは倒した。しかしシヴィルはリウイに噛み付いてきます。
シヴィル「手出しは無用と答えたはずだ!取り決めたとおりに行動してもらいたい。これは、わたしたちにとって侮辱だ!」
その時ついにリウイがキレてました。そして咄嗟に得意のリウイ・パンチでぶん殴る!
リウイ・パンチは何故か避けられない必殺の一撃です。これにはシヴィルも昏倒。
スマック「お、お嬢様!」
アストラ「女を殴るとは、最低ではありませんか?」←助けてもらっておいて
リウイ「オレは騎士道とは無縁なんだ。それに彼女は女として扱ってほしいようには見えなかったしな」
ジーニ「あの拳、不思議と避けられないからな」
メリッサ「素手で戦うかぎり、誰にも負けないのでは、と思うときがありますわ」
付き合いの長いジーニ達はよく分かってる。どういう訳だかリウイ・パンチは不破の必殺パンチなのです。
目を覚ましたシヴィルは、当然リウイに決闘を挑んできます。でもリウイは拳で勝負(またかい)。
リウイ「剣の腕は、あんたのほうが上だ。今のところはだけどな」
シヴィル「今のところ、だと?」
リウイ「才能があったら、もっと強くなるはずだ」
シヴィル「わたしも日々、鍛錬している!そしてわたしのほうが、あなたよりも若いのだ。抜かれることなど、あるはずがない!!」
リウイ「そうかもしれない。しかし、こればかりは、続けてみないことにはな」
今のリウイは強くなろうとしている。拳で勝負するのも限度がある。ちゃんと剣で強くなろうとしているんです。
やはり彼の資質や理想は戦士にある。魔法戦士ではあるけど、あくまでも魔法も使える戦士。何処かで父親の背中を見ているのかな……。
これには両パーティーが俄かに殺気立ちます。
ダニロ「リウイ王子とその一行は、魔物に襲われ、最期を遂げられただけのこと」
ジーニ「わたしたち全員が、か?」←鼻で笑ってる
ミレル「オランの聖剣探索隊は、魔物に襲われ、最期を遂げたってことでもいいものね」
下手したら殺し合いになる。まぁアイラがいれば負ける気はしませんけどね(笑)
シヴィル「腕の一本でもいただこう。マイリーの高司祭には話は通しておくゆえ、"リフレシュ"の奇跡をかけてもらえばよい」
腕の接合となると、必要なのは"リジェネレーション"かもしれない。"リフレッシュ"では身体の欠損を補う事はできないから。
こうして素手対剣の勝負となりますが、リウイはあえて自分の肩を切らせて接近し、鳩尾にリウイ・パンチで一発KO!
剣対剣で勝てないからといって、本当に拳で勝ってしまうとは……。本当に拳だと異常に強い、超英雄ポイントでも持ってるのか。
これでシヴィルは再度昏倒し、スマックに支えられました。
リウイ「大事なお嬢様に悪かったな……」←シヴィルの身体を預けつつ
スマック「いや、あなたの顔を見ていたら、何も言えなくなった。
むしろ感謝すべきかもしれない。ここまで、お嬢様に真剣に向き合ってくれた人は、誰もいなかった……」
どうやらスマックもこれでいいとは思っていなかったらしい。
リウイ「彼女には、どうも余裕がないように感じるんだ。いつも、ぴりぴりとしていて……」
スマック「リウイ王子は、気づいておられたのではなかったのか?」←意外な顔
リウイ「いや」←素で
スマック「そうだったのか?わたしは、あなたがお嬢様のお気持ちに気づいて、挑発されていたと思っていたのだが……」
つまり相手もリウイが嫌味な男だと思っていたから尖がってた。でもリウイがそんな高度な嫌がらせをする筈がない、この筋肉馬鹿が(笑)
こうしてスマックは訥々とシヴィルの真実を語るのです。結論から言うと、彼女にとってリウイという存在が目障りだった。
元々彼女は父親に鍛えられ、同年代の男を簡単に倒すほどの実力者でした。そして14の頃にはもう騎士に叙勲され、近衛騎士も務めたのです。
試合でも彼女はずっと勝ち続けてきたのですが、最近になって剣の腕が伸び悩んだ。身長が止まり、体格も女性らしくなっていったんです。
その一方で今までは弱いと思ってた周りの人達は上達していく……。これが自分の限界なのではないか、そんな不安があったのでしょう。
そんな時現れたリウイは筋骨逞しく、ハーレムのように女を連れている。その上王子様ときたら、ダニロでなくても劣等感を持つもの。
シヴィルにとってリウイは嫌味でしかなかった。女性である自分が望んでも得られなかったものを持ち、ひけらかしてると思ったのでしょう。
メリッサも同じように戦士としての才能の限界を感じているけど、彼女の場合才能がそれ程でもないからまだ諦めがついた。でもシヴィルは……。
リウイに「才能があった伸びる」と言われた時、過剰に反応したのもそういう訳でしょう。あの時リウイは図らずも彼女の心を抉ったのです。
リウイ「彼女らはお供じゃなく、仲間なんだ。だいたい、このなかじゃ、オレがいちばん未熟者かもしれない……」
スマック「しかし、あなたがやはり中心におられる。それは、あなたが王子でなくても変わらないはずだ」
それもまたリウイの勇者の資質、あるいはリーダーの資質。不思議とリウイの周りには人が集まる、まるで"自由騎士"パーンのように。
ところが目を覚ました彼女は憑き物でも落ちたかのように、とても素直。リウイに負けて狂っていたものが元に戻ったかのように。
シヴィル「わたしの完敗でした。力も技も、そして心も……」
リウイ「技はそっちが上だろ。剣と剣で戦っていたら、あんたのほうが勝っていたんだ。
それに、勝ったとか負けたとか、オレはどうでもいいと思う。大事なのは、自分がどこまで強くなれるかじゃないか」
他者と比較するのではなく、自分を極めることが大切。例え最強になれなくても、極めた以上はそれで満足するしかない。
リウイの凄い所は、偉大な父親を目指し、かつプレッシャーに潰されないところです。大抵の二世は偉大な父親に劣等感を持つ。
でもリウイはそうは考えない。「目標が大きいからこそ意味がある」、そんな風に考え方一つ変えて前向きに頑張ってるところです。
人の心は弱い。降りかかる過酷な現実は弱い心を揺さぶる。だからこそそんな中で前を向いていられるのが、本当に強い心の持ち主です。
リウイの器のデカさを思い知らされたシヴィルは、彼への全面協力を誓います。
シヴィル「これまでのご無礼、どうかお許しください。これより、リウイ王子の御支持にすべて従います」
ミレル「うっ、まずくない?」
アイラ「ええ、まずいかも……」
このままではまた恋敵が増える、そんな危惧を抱きました。三角関係でも厄介なのに、これ以上増えたら面倒でしかない。
やはりシヴィルは決して頭が固い訳じゃなかったんですね。劣等感が強く、ちょっとタカビーなだけで、むしろ柔軟な方なのでしょう。
でも彼女たちの心配は杞憂に終わったのです。
シヴィル「ジーニ殿、どうか、私を鍛えて下さらないでしょうか?」←そっちにいったか!
ジーニ「わ、わたしが、あなたをか?」
シヴィル「はい!わたしが今以上、強くなるには、あなたの教えを請うしかないと思えるのです」←うっとり
そう言えばジーニはリウイと戦って力押しに対抗する技術を身につけた。それは本来体格に劣る人が必要とする技術です。
もしかしたら、本当にそれでシヴィルは強くなるかもしれない……。とにかくこれでスマックの言う通り素敵な人が現れました(笑)
★1
シヴィルと和解した事でダニロ達も協力的になり、すっかり何処にでもいそうな仲良し10人パーティーになりました(いねぇよ)。
しかし10人とは、普通だったらまず組まない数です。バランスや人間関係の問題で5人前後が妥当。ぶっちゃけGMの都合でもある(笑)
でも場合によっては特例としてありえる。ミラルゴ編や火竜山の魔竜編、ヘッポコの後半なども10人ぐらいの集団で動いていたし。
行く手を塞ぐ数々の魔物を薙ぎ倒し、彼らはヴァンの屋敷に到達し、この屋敷を徹底的に調べます。
ヴァンは"魔法王の鍛冶師"の名に恥じぬ立派な付与魔術師でした。このレックスの建造にも一役買っていたそうです。
ちなみに当時この都市を支配していたのは付与魔術の門主ブランプナス、彼とヴァンにどんな関係があるのかは不明です。
そもそも付与魔術の門派は一時ファーラムと敵対していました。後に協力するとはいえ、当時ヴァンはどういう態度をとったんだろう?
また彼は変人としても有名でした。
リウイ「ま、天才と呼ばれる奴は、おうおうにしてそうだよな」←確かに
アストラ「僕は、まともですよ」←ムッ
でも今後も変わらないとは限らない。何しろ常人とは違うところがあるから天才なんだし。
また付与魔術とはマジックアイテムの作成に必要不可欠の技術である為、マッド・マジックアイテムコレクターことアイラも興味津々。
ただし変なものに手を出して呪われないように。彼女の場合洒落じゃ済みませんからね。実際それで数年間指輪に閉じ込められたんだし。
真面目な話、聖剣の探索をする以上はできれば資料が欲しいところです。書物や巻物といった紙媒体のものを重点的に集めるのが望ましい。
探索はミレルとスマックが二重に行い、魔法の扉もアイラがシャザーラの力を借りて"アンロック"です。
アイラ(ありがとうね、シャザーラ)
シャザーラ(お安い御用です、ご主人様……)
どうやらアイラの実感では、シャザーラは今の状態を受け入れているように思えるそうです。もしかして、冒険を楽しんでる?
同じマジックアイテムの虜囚でも、ずっと閉じ込められっ放しのランプよりは、愛する人と一緒に世界を巡る方がマシという事かな。
ただし基本的に彼女の精神構造は人と異なるし、精神が繋がっているといっても完全ではない。その心の奥底までは誰も分からない。
ところがいくら館を探索しても何も見つからない。実は肝心の宝物庫は、屋敷の庭の遥か上空に浮かんでいたのです!
どうやら初めから都市からは独立して浮遊していたらしく、都市全体が落ちた事でこのような厄介な場所に取り残されてしまったようです。
レックスを浮かしていたのは環状列石の力ですが、どうやら宝物庫はそれ自体に浮遊する力があるらしい。当時の技術なら可能でしょう。
"ペラペラーズ"は浮島エスターという浮遊島での冒険を経験していました。多分それと同じ、あるいはよく似た仕掛けがあるのでしょう。
最初から上を見れば良かった、というのは結果論ですけどね。でもわざわざ庭に穴まで掘った労力が無駄になりました。
それも精霊使いが"トンネル"すればすぐ終わった事です。しかし10人もいて精霊使いが1人もいないというのはどういう事だ(苦笑)
宝物庫の入り口には仁王像のようにワイバーン型のゴーレムが陣取ってます。素材は青銅、つまりブロンズ・ワイバーンといった感じ。
これは地味に問題です。アストラ君やアイラでも"フライト"で飛べるけど、戦士や盗賊の技術のない彼らでは戦闘になると死ぬ。
そこでリウイがクリシュを召喚。呼び出し方は、ティカの手元にある石版を"アポート"で呼び寄せ、メッセージを書いて送還。
シヴィル「火竜!」←騒然となる
ダニロ「初めて見る……いや、最後に見るものかな」
メリッサ「ご心配は無用です。あの竜は、わたしたちの仲間ですから」
シヴィル「竜が、仲間?ジーニ殿、それは本当なのですか?」
やっぱり普通の反応だと驚く。そしてできる限りジーニとのスキンシップを試みるシヴィルに好感を覚えた(笑)
この頃にはリウイ達が型破りの冒険者である事を、シヴィルも諦め半分で受け入れていました。
シヴィル「あなたがたは、いったい何者なのです?」
ジーニ「冒険者だな。ただ、普通と違うのは、あの男が一緒にいるということだ……」
確かに、良くも悪くも普通じゃない。一度リウイ達の冒険談を聞けば、彼女だってそれが分かる筈です。
そして空高く飛翔するリウイを見て、シヴィルは彼に追いつきたいと思ったのです。
シヴィル「常識などというものを超えて、どこまでも高く飛翔してみたい……」
フラグはジーニと立ってるけど、彼女の中でもリウイが無視できない存在となったようです。それが彼女の幸福か不幸かは、分からない。
★2
クリシュに跨ったリウイはブロンズ・ワイバーンと空中戦を展開し、これを撃墜します。
2体のゴーレムは哀れ地上に叩きつけられ、ジーニ達にトドメを刺されました。まるでラピュタのあのロボみたいです(笑)
この時クリシュは敵のボディーを噛み千切って食べてましたが、竜は胃に入れば何でも消化できる。ただし味覚は別なのでとても不味い。
これは竜語魔法"アイアン・ストマック"で再現されています。つまり金属を飲み込むだけならティカでもできる、最早ビックリ人間ですね。
クリシュは最大で5レベルの筈です。爪や牙で青銅の装甲を穿ったのはまだいい。だけどそのブレスはなんと青銅を溶かした!
銅と錫の合成金属が青銅な訳ですが、それらを3:1で混ぜた時の融点は約800℃!。ミスリルも溶けるというけど、融点はどんなものか?
ちなみに本来の幼竜のブレスの威力は打撃力20です。でも800℃とか言ってるし、やはりデータ上のブレスの威力は小説と隔たりがある。
呆気なく宝物庫に辿り着いたリウイはクリシュを返し、単身探索を行いました。盗賊技能はないので探索は不安ですけどね。
調べた限りヴァンはここでアイテムも作ってたらしい。つまりこの建物は宝物庫であると同時に、彼の魔法工房でもある。
そしてリウイは大変なものを発見します。それはヴァンの鍛えた十の聖剣、すなわち十聖剣の在り処を示すミスリル製の円盤だったのです!
裏面には一覧、表面には世界地図が刻まれています。そして世界地図の至る所に聖剣を示す赤い光が点滅、さながらドラ○ンレーダー(笑)
ただしどの光がどの聖剣を示しているかわからず、光は南の"呪われた島"ロードスにも点滅してる。……つまりそれはパーンの剣ですね。
また"遠き大地"がロードスの南にあるとありますが、まさかファーランドではなくて、クリスタニアの世界地図にもあった謎の大地のこと?
ていうか世界地図にポイントされても縮尺の問題で非常に厄介です。せめて本物のド○ゴンレーダーみたいに縮尺を変えられれば……。
このレックスには十聖剣の内2本があるようです。しかもその1本はこの建物にありました。それこそが甲冑と一揃いの聖剣、"番兵"です。
聖剣そのものも強力な魔力を秘めている。その上"番兵"の名の通り鎧が生きているのです。所謂リビング・アーマーというやつですね。
この"番兵"こそがこの宝物庫最高の財宝であり、同時に最強の守護者でもある。その実力は手練の戦士も同然で、リウイでは歯が立たない。
丁度今回のカバーにあるのが"番兵"でしょうね。ただし後に登場する彼とは全くデザインが違う。何やら剣が"魂砕き"にも似ていますね。
リウイはその凄まじい剣風を掻い潜って屋外まで逃げ出し、崖っぷちで"番兵"の腰を捕まえて、投げっぱなしジャーマン!!
ていうかこの高さを無防備に落ちたら、魔法の鎧だって壊れそうですがね。仮に上空100mとしても、300点とか来るし(笑)
ちゃんと壊れているから魔剣のように《形状保持》の魔力はかかっていない。あるいはかかっていても度が過ぎると破損するか。
もっとも彼には自動修復機能もある模様です。ちょっとやそっと壊れたとしても、たちまちの内に再生する。凄い技術だけどすこぶる厄介だ。
この時リウイは父リジャールから譲り受けた魔剣を手放し、素手で戦いを挑みました。勿論勝てるとは思ってない、生き残る為に。
今のリウイは自分が体力のお陰で勝ち抜けている事を自覚しています。その内それにも限度が来るし、本物の剣士には適わないという事も。
だけど、今はまだ未熟なだけ。リウイはそう信じている。圧倒的な実力差の"番兵"に対しても、果敢に挑めたのはその証のように思える。
頭の中で何度も何度も相手の太刀筋をイメージし、自分が臓物をばら撒く恐怖に打ち勝ち、挑みかかる姿は正に勇者であったと思う。
★3
地上に落下した"番兵"は堪えた様子もなく立ち上がり、地上の仲間達に襲い掛かってきます。クリシュとティカも入れれば12対1ですね。
ところがそれでも彼は強かった。ジーニ・シヴィル・ダニロの3トップと渡り合い、魔法は効かないわ盗賊は入れないわで地味に苦戦します。
シャザーラと同じく知覚が「魔法」のようなので、背後からの攻撃にも的確に対応できる。文字通り背中に目があるような性能でした。
シヴィル「ジーニ殿、三人で同時にかかりましょう。もはや、それしか……」←憔悴
ジーニ「そうだな……」
ダニロ「覚悟はできております」←死ぬ覚悟
リウイ「待ってくれ!オランには全員で帰るんだ!三人でダメなら、四人でかかるまでだ」
こうしてリウイは"フライト"で上空のスペースから攻撃。この状況でなお諦めない精神と知恵、これもリウイの持ち味です。
この時リウイはクリシュに乗る時に使う槍で戦いました。例の竜騎士槍っぽいやつですね。でも形状はむしろパイクに近い。
しかし"番兵"はリウイも無視。どうやら彼は最も脅威的な攻撃を判別し、反撃を試みるようプログラム?されてるらしい。
リウイ「それなら!(急上昇)無視できるものなら……してみやがれ!」←頭上から垂直落下!
"番兵"は剣を振り上げて迎撃を試みみますが、その隙を突いて三人の戦士の攻撃で串刺しになり、リウイの一撃が"番兵"を貫通!
この時リウイは右腕一本で槍を握って自分の体重を支えました。もし彼の握力がもう少し弱かったら、"番兵"と刺し違えていたでしょう。
倒された"番兵"はリウイに対してこんな事を言ってきます。
番兵「汝に、我が名を授けよう……。我が名は"番兵"……汝こそ我が主……」
彼は自分を倒した戦士を主人と仰ぐようにもプログラムされてたようです。竜やランプの魔神の次は鎧ですか(笑)
某ゲーム風に言うと、『"番兵"が仲間になりたそうにこちらを見ている、仲間にしますか?』。これはもう『はい』にするしかない。
ヴァンの鍛えた十聖剣の最初の1つ。これは今後の聖剣探索にきっと役に立つ。ていうか断っても何処までも憑いてきそうだし。
こうして聖剣探索の手がかりを手に入れたリウイ達は、シヴィル達にこのレックスに眠るもう1本の聖剣の探索を任せて別れます。
そしてリウイ達はオランから一番遠い所にある聖剣を求め、エレミアを経由して海を渡り、"呪われた島"ロードスへと渡ります。
物語は「呪縛の島の魔法戦士」へ続く。いよいよ"自由騎士"と"永遠の乙女"も参戦!