「RPGリプレイ ロードス島伝説V 魔神討伐」 原案:水野良 著:高山浩とグループSNE 出版社:角川書店
★はじめに
このリプレイは「魔神召喚」に続く「伝説」リプレイの第三部にして完結編です。いよいよロードスの住民が反撃に出る。
小説でもそうでしたが、ある時期を境に魔神の首に賞金をかける習慣が生まれ、人間は魔神に対して優位に立つようになっていく。
やがては義勇兵として魔神に立ち向う者が増えていき、彼らは"百の勇者"と呼ばれ、「魔神戦争」で大きな働きをするのですね。
今回のリプレイでも同様です。主に自由都市ライデンや、主要な神殿などで魔神の首を換金するようになっています。
魔神達とてそれでおめおめとやられる程甘くはないのですが、最初の時期に比べると随分と希望というものが見えてきています。
また今回活躍するPC5名の内、3名が既に登場したキャラだったりするので、シリーズを通して読んできた人には感慨深い。
しかし今回のリプレイが終わっても「魔神戦争」そのものは終結しません。敵の総大将魔神王はそうそう倒せる相手じゃない。
それでも既に登場したキャラ、登場していないキャラ、ゲームのユーザーや小説のファンが生み出すキャラは戦い続ける。
何しろこの時代の勇者は百(以上)もいるのです。一つ一つにドラマがあり、このリプレイはその一端を紹介したに過ぎません。
オフィシャルが全てを解決するのではなく、ユーザーへの自由度もあって物語を創造できる。これもまたTRPGの醍醐味です。
とはいえ第T巻からの物語は一応完結するので、ファンならば最後まで目が話せない内容になる事は間違いない。
★ルールの確認
「伝説」リプレイも第V巻に来たという事で、いよいよ「ロードス島RPG エキスパートルール」が適応されます。
これは前作に使用していた「ベーシックルール」に新たなルールやデータを加えてパワーアップしたものです。
丁度SW旧版ルールの基本ルールと上級ルールのような関係ですかね。ベーシックだけでも多様だったPCが更に多様になります。
その最大の目玉は上級職の存在です。ある条件を揃えたPCが転職して以前とは違う能力を手に入れるのです。
とはいえ完全な上位互換ではありません。前作のルーセントの魔法戦士のように一長一短になる事もあるので強化ではなく細分化。
上級職は戦士や盗賊など基本となるクラスが条件を揃えて枝分かれしたような存在で、より専門的になったといった方がいい。
転職の条件は特定の特技を一定レベルで取得するといった事もあれば、特定の社会的身分が必要になる事もあります。
転職は同じ系統内でしかできないし、基本的に転職は一度だけしかできません。また転職しないという選択肢もあります。
しかし上級職は特定の能力値と技能に特化するし、特殊な特技や呪文を取得できるし、特技をマスターレベルにできる。
専門家になったので専門分野に強くなるのです。ちなみにマスターレベルは上限である5を超えた6レベルで、特有の特典もある。
上級職の種類は本当に色々あって、実に多様です。特技のシステムと組み合わせる事で、更に個性的なPCを育てる事ができるでしょう。
勿論今回活躍するPC達は揃いも揃って転職を果たしています。詳細は本編に譲るとして、ここでは各上級職の概略を見ましょう。
以下の説明では系統毎に上級職を分けて紹介します。説明文の上段は特殊な特技、下段が概略です。更なる詳細はルールブックを参照。
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以上のように本当に多様で、ルールブックではこれを踏まえた上で既存のキャラのレベルとクラスを一挙に紹介しています。
SWやコンパニオンでも彼らのデータはありますが、キャラクターシートまで一緒に紹介しているのはここぐらいのものです。
折角の機会なのでクラスとレベルだけでも記しておきます。詳細はやはりルールブック参照。あくまでもリプレイのデータですが。
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これは結構納得のいく配役ですね。「伝説」リプレイのキャラが若干成長してるのは、以後も彼らの戦いは続いていたからだと思う。
あとバグナードなんかは暗黒魔術師でしょうね。ベルドは闘士でファーンは当然聖騎士かな。小ニースは大司祭かな、ナニール的に。
もっともこの内3名は更に成長して以後のリプレイに登場します。誰が出るかはお楽しみ。
★付与魔術師ティエル
今回は過去に登場した3人のPCが再度登場します。その1人目は「伝説」リプレイの皆勤賞、付与魔術師ティエルです。
ちなみに彼を含めて今回登場するPCは全員7レベル。上の図より更に高レベルになり、特技も4レベルまで取得できます。
ティエル 21歳 クラス:魔術師→付与魔術師
カストゥールの付与魔術師ブレストディベアに身体を支配されたのが幸いし、現在では遺失とされる付与魔術を身に着けました。
前作「魔神召喚」で同郷のウィニフレッドに鏡の森に連れ帰されたが、魔神に盗まれた黄金樹の枝を奪還する為に再度冒険に出る。
付与魔術とは古代語魔法十の系統の一つであり、物体に魔力を付与するもの。マジックアイテムやゴーレムも付与魔術の産物です。
しかし基本的にその魔術は遺失であり、それを知る者やそれを記した魔道書等を発見しないと身に着けることはできない禁断の知識。
付与魔術は古代王国においては蛮族に魔法の武具を与えて強力な兵隊とし、あの天空都市レックスを支配していた一門ですね。
付与魔術師といえばまず"灰色の魔女"カーラが挙げられますね。あとエルドースや、"魔法王の鍛冶師"ヴァンですね。
この内カーラ、エルドース、ブレストは物体に魂を付与する事で死を免れ、他者の肉体に宿って活動していたという共通項がある。
このように永遠の生を得た例は他の系統にもあります。有名なものでは死霊魔術のノーライフキング。自ら不死生物となった訳です。
あとは四大魔術(の異端混沌魔術)では、精霊力の合成でフェニックスの再生力を再現して命を得るという発想があるようです。
なお、いくら遺失とはいえ付与魔術の全てが失われている訳ではない。これは他の系統にも少なからず言える事です。
例えば剣に魔力を付与する"エンチャント・ウェポン"は付与魔術だし、"スリープ・クラウド"等の○○クラウドもそうです。
このように現代では十の系統の一部が継承、あるいは再発見して使われている訳です。その中でマジックアイテムの生成は遺失なだけ。
もしマジックアイテムを生産できるとあれば、戦争の様相はより悲惨な方に変わるでしょう。そういう意味で禁断の知識なのです。
また付与魔術師とはいえ他の系統の魔術が使えない訳じゃない。付与魔術を専攻しているだけで、他の系統も少なからず使えるらしい。
ティエルがなった付与魔術師とはその禁断の知識すらもカバーしています。その名も《付与魔術》という専用の特技で。
ティエルはこの《付与魔術》を4レベルで取得しているので、魔力が半永久的に持続する魔法の武具を自作できるのです!!
魔力+1のブロードソードとか、プレートメイルなんかですね。これだけでその気になれば大金持ちになれるほどのスキルです。
なお5レベルになるとオリジナルのマジックアイテムを作れます。例えばカーラのサークレットのような特殊なものでも………。
ティエルはこの技術でマジックアイテムをいくつか自作してから冒険に出ました。
"ファイアボール"の赤手袋、"シェイプチェンジ"の指輪、"スリープクラウド"のピアス等で、材料と時間さえあれば作成できる。
これは本当に凄い技術ですよね。何処ぞの国に売り込めば喜んで迎えてくれるだろうに、彼はあくまでも故郷の為に戦うのです……。
ティエル「この村から黄金樹の枝が盗まれただろ?その枝から魔神兵が作られてるみたいなんだ。
黄金樹は生命力のかたまりみたいなもんだから、ほっとくと無限に作られてしまうはずだ。
いちおう、エルフの血が流れる者として、我慢できないってわけだ」
本当に故郷を大切に思っているんですね。このツンデレハーフエルフめ!
★召喚魔術師フェリオ
続いては前回から引き続き登場の召喚魔術師フェリオです。
フェリオ 17歳 クラス:魔術師→召喚魔術師
前回の戦いで石化したルーセントを救う為、スカーフェイスと共に赤ん坊になったグラディカル導師を養育していました。
ところが召喚魔術の英才教育を施そうとするあまり、自分もその技術を学び、ラルカス学長から貰った養育費を使い切ります。
そこで赤ん坊の養育費を稼ぐ為に魔神の賞金を目当てに再度冒険に出ました。なお子守はスカーフェイスに任せています(笑)
フェリオ「やっほ〜!ひさしぶり、賢者の学院の優等生フェリオだよ」
GM「なにが優等生だ。放校になったくせに」
フェリオ「あれはね、偽造なんでしょ」
彼女がまた学院に出入りしていたら魔神に嗅ぎ付けられかねないので、そういう名目でお忍びで出入りしています。
GM「で、君はスカーフェイスと一緒に赤ん坊を育ててるわけだ」
フェリオ「でも、あたしは独身なのよ〜!誤解しないでね」
傍目には若夫婦ですが、まだそういう関係ではないらしい。そして今や彼はすっかり子育て戦士と化していると(笑)
いくら稼ぎがいいとはいえ魔神が相手では危険なのですが、召喚魔術師となった今の彼女は相当強くなっています。
まず専用の特技として《召喚固定》を取得。本来の持続時間を超過して召喚した魔物を留め、命令に従わせられる。
本来長時間召喚した魔物を留めようと思えば延々と精神力を消費するのですが、一定時間消耗が免除される。
更に「侵入者を倒せ」等の定位置で特定の命令を実行させる場合は、なんと半永久的に従わせられるといいます。
遺跡で遭遇する異界の魔物は正にこれでしょうね。見ようによっては最早悪の魔術師ですが、彼女なら大丈夫です(笑)
ちなみにSWの竜牙兵は元から永続的に持続しますが、これは付与魔術。《召喚》に属する魔法は大抵持続時間がある。
もう1つの特技は《拡大召喚》。その名の通り通常1体しか召喚できない魔物を一度に数体召喚できます。
上手く使えば一瞬でちょっとした小隊を揃える事もできる。もっともSWでは元より呪文の拡大があるのですがね。
更に師匠譲りの"魔神掌握の杖"も持っているので、下位魔神や魔神兵程度なら敵じゃない。ティエル同様チート風味(笑)
★竜騎士ミレウス
再登場キャラの最後の1人は第一部の主役だった竜騎士ミレウス。正式にクラスも竜騎士になって再登場!
ミレウス 17歳 クラス:騎士→竜騎士
第一部にて愛竜オッドアイを失った後ロードス中を放浪して魔神を退治し、彼女が言い残した言葉を探しています。
長い放浪の間に全体的にワイルドになり、オッドアイの残した2つの宝玉によって竜の力を発揮できるようになりました。
晴れて正式な竜騎士となった事で彼も専用特技を取得しています。その名も《竜笛演奏》と《乗竜》です。
前者は竜と意思疎通を果たす為に必要になるお馴染みの特技で、後者は竜に乗って戦闘する為のものです。
更に《剣》4レベルなので3回攻撃ができ、《戦闘指揮》も4レベルなので判定に成功すればイニシアティブに+4!
そして肝心の竜の力は金の玉と銀の玉で竜がなくても竜の力を発揮できるのです。
金の玉は生命力を消費する事で竜のブレスを放てる。生命力を消費すればするほど出力は上がり、最大20D10点!
これは期待値に直すと110点!。下位魔神程度ならまとめて消し炭にできるが、消費した生命力は魔法では回復しない。
銀の玉は精神力を消費する事でオッドアイの幻影を出せる。幻影でもそれを信じる者にはちゃんとダメージを与えられる。
フォーセリアの幻影はただの幻ではなく、高度な幻術は現実と変わらず、傷つけたり、飲み食いまで可能だと言われます。
そして彼はその宝玉からオッドアイの温もりを受け取り、仇である黒羽のガラドを探すのです。
★ニューフィスたち
あと2人ほど新キャラがパーティーに加わります。癒し手のジオレンと、暗殺者のスナです。
ジオレン 32歳 クラス:司祭(ラーダ)→癒し手
屈強そうな外見とは裏腹に温厚な男ですが、生物の肉体への好奇心故に身体の構造に詳しくなり、癒し手となった危ない人(笑)
今回は魔神の肉体のサンプルを求めて冒険に出た。魔神の肉体は仮初のもので、放っておくと消滅するのですが特に気にしない。
癒し手の専用特技は《癒し》というもので、回復魔法や《応急手当》等の使用時に成功すると回復量が倍になる!!
例えば"ヒーリング"の上位魔法"キュアインジャリー"は3D10+レベル点回復するので、彼の場合MAXで37点回復。
更に《癒し》に成功すると倍になって74点回復!更に更にラーダ特殊神聖魔法"インスピレーション"で一日一回自動成功にできる。
これにより万が一の時に確実に生命力を回復できます。期待値では23.5点の回復なので、大体47点は一気に戻せますね。
スナ 28歳 クラス:盗賊→暗殺者
元は孤児であり、一人称は「あたい」。数多くの暗殺を成功させ、裏の世界では知らぬ者はいない凄腕で通っています。
しかし名が知れ過ぎた上に魔神の出現で警戒も厳しくなったので足を洗い、お金を貯めて城を建てる為に冒険に出ました。
暗殺者の専用特技は《背面取り》と《特殊武器:ギャロット》です。前者で背後を取り、後者で縊り殺す訳です。
どちらも暗殺者のみ取得できるもので、特技がなければ前者では莫大なペナルティーが入り、後者は実行すら不可能。
しかしスナのキャラクターシートには前者がないのです。本編では普通に成功させてるので、多分記載ミスだと思います。
なおこのゲームでの通貨は金貨で単位はGPであり、日本円に直すと1GP=1000円程度だそうです。
個人的にはそういう換算は必要ないかと思います。それじゃあ1000円以下に相当する買い物の基準で混乱する。
それに現実の物価に換算して極端な額面を算出しかねません。そのゲーム世界の物価が細かく決まってればそれで十分です。
ちなみに小説やSWのロードスでは銀貨と金貨が流通します。銀貨1枚=大陸の1ガメルで、物価も大陸と基本同じで明快。
ここでは城を建てる為に100000万GP必要とあるので、10億GPですね。すると円にしたとして1兆円(笑)
後に1000万GPで十分となるのですが、それでも100億円です。やはり現実の貨幣に直すとどうも生々しい。
ちなみに大陸では土地はいくらでもあるので基本無料。市内に建てようと思えばまず土地がない。買収すれば金がかかる。
建物自体も一国の王城規模にすると相当額かかるでしょうが、個人で暮らす小規模な館なら数体の魔神の首で賄えると思う。
SWでは下位魔神1体で銀貨にして3万〜7万枚(ガメル)、上位魔神で50万〜100万枚ほどの賞金が貰えます。
普通の家屋で10万、大邸宅で100万超だそうなので、そこそこ立派な館なら本当に上位魔神1体と下位魔神数体で十分。
今更ですが、魔神は強敵です。多額の報酬が出るのはそれに相当する危険があるから。それでも彼らは決して退かないでしょう。
この時代実に多くの"百の勇者"が魔神と戦いました。出身も目的も実力も人格も多様でしたが、その1つの答えがここにある。
ただしこの時点では彼らは"百の勇者"を自称しない。しかし中にはそう呼ばれるようになる者もいる。それが誰かは追々判明します。
★勇者集う
今ままでのリプレイの舞台は、第一部がモス、第二部がアラニアでしたが、今回は国境を跨いでロードス全土で活動します。
シリーズも完結編という事もあり、魔神との戦いで東奔西走。移動距離だけを考えると結構スケールの大きい冒険行になります。
その導入となるのは魔神発生の地モスです。一応リプレイのタイトルが「魔神討伐」ですから、やはりここから始まります。
ジオレン「わたくしにとっては好都合ですな。なにしろ、研究材料の魔神は、いくらいても足らないくらいですから」
フェリオ「あんまり強い魔神は勘弁してね。あたしが死んじゃうと、子供が泣いちゃうから」
ティエル「その年で子持ちかよ(笑)」
フェリオ「失礼ね!ホントはグラディカルっていうジイさんなんだけど、
子供に戻って、でも石になったルーセントを戻すために、ちゃんと育たないといけないの!」
ティエル「なんのこっちゃ?お前も魔術師だったら、もっと筋道立てて話さんかい!」
新シリーズになっても相変わらずのホエホエ娘の様子です(笑)
そのモス北東部にあるキュオンという小さな村にミレウス以外の4人が揃っています。
ティエル「ハミーゴ!!」
ジオレン「なんですか、それ?」
ティエル「いや、仲間外れとという意味の"はみご"と、アミーゴをかけてだな……」
自分のギャグを説明しちゃってるよこの人(あちゃー、という顔)。
では何故彼らはこんな辺鄙な村にいるのか。それは以下の張り紙を見たからです。
勇者求む!
敵は魔神。報酬は10000000GP!
早い者勝ち。
一同「い、10000000GP!」
スナ「行く行く!100000000ありゃ、あたいの目標達成には充分だし」
何と報酬1000万です。これに釣られて彼らをはじめとする30人程の人がキュオン村に集まりました。
ただしその殆どがならず者同然。実力も大した事はなく、1ラウンドでやられる1ラウンダーズですがね。
スナ「あたいの仲間だね。でも、人数は減らしておいたほうがいいかしら?分け前が減るから」
ティエル「おいおい、ねえちゃん、目がマジだぞ」
流石にそれはやりませんけどね。ほら、弾除けは多い方がいいから(コラ!)
やがて広場に用意された壇上に村長さんとライデンの商人ミリューという人が上がり、《演説》を始めます。
曰く魔神の首に賞金をかけたのはライデン評議会であり、ミリューはそこから派遣されたスポンサーのような人でした。
これは小説と同じ設定ですね。ライデン評議会の資金力は下手な王国よりも潤沢だから、確かに万単位の額は期待できる。
また1000万というのは魔神王の賞金額であり、以下魔神将、上位魔神、下位魔神と格が下がる毎に金額は下がります。
魔神王 :1000万
魔神将 : 100万
上位魔神: 10万
下位魔神: 1万
実はSWでも魔神将は金貨100万枚、魔神王は金貨1000万枚の懸賞金がかけられている事になっています。
もっとも小説の設定に則るなら無意味な額ですが。ロードスに現れた4体の魔神将も魔神王も小説のキャラが倒してるし。
魔神将の内3体はベルドが倒し、1体はフレーベが倒しました。魔神王はフラウスと六英雄が倒したので割り込む余地がない。
とはいえここはパラレルロードス。既にガラドのようなオリジナルの魔将もいるし、ゴディスなんてのも既に倒してますしね。
それどころか魔神王そのものがもう1体いるぐらいだし(笑)
フェリオ「あっ、あたし魔神王がいるとこ知ってるよ!石になってるけど」
スナ「ほ、ホントかい!ウソだったら、首落とすよ」←怖いよ
これが本当だから困ったものです。もっとも肉体を持たない魂だけの存在を相手にどうやって首を取るかは疑問ですが。
とはいえ魔神将以下でも賞金額は目が飛び出るほどの高額。この上なくハイリスク・ハイリターン、かけるのは自分の命。
スナ「あたいの目標は1000000GPだから、たかが魔神将一匹でいいわけか」
ティエル「おいおい、貴様はたたかったことがないから、そんなこと言えるんだろうけどな
魔神将だけでも街ひとつぐらい壊滅させかねないんだぞ」
スナ「なら、大丈夫ね。あんたが生き残ってるくらいだから」
ティエル「こ、このアマ〜」
魔神将はSWでは13〜15レベルです。これは五色の魔竜にも匹敵し、大陸なら国家・大陸規模の危機なのです。
実はこのあたりでも近隣の村が次々と滅ぼされているので、村を守って欲しいというのが村長さんの本音です。
魔神どもが襲ってくるのが予想できるのなら、その首を狙う人達には好都合。お互いにメリットのあるイベントという事です。
★10000000万GPの罠
それから一同は傭兵用に建てられた掘っ立て小屋で過ごします。男女関係なく雑魚寝のタコ部屋ですけどね。
ここで彼らは山賊団グレッグ一家のグレッグ親分と女房のマースと知り合います。NPCでは最も頼りになりそうな人達です。
グレッグ親分はミレウスと同じく3回攻撃できるそうなので最低6レベル。《戦闘指揮》も持ってるので地味にありがたい。
一方マース姐さんの方もそれなりの実力者らしく、スナと親しく?なりました。
マース「一人で稼ぎにきたの?」
スナ「そうだよ、あたいはずっと一人なんだ……。分け前が減るからなんだけどね」←ちょっといい話っぽかったのに
マース「ほう、腕に自信があるようね」
スナ「あなたもね。できれば、魔神と戦うときは協力しましょう」
マース「いいよ、なんかあんたのこと気に入ったよ。守ってあげる」
スナ(ラッキー)
傍目にはいい感じなのに、何て強かなんだスナ。
あとここでは《知覚技能》で彼女の実力を推し量ろうとしてました。相手の実力を見抜くのも実力の内ですね。
でもSWではモンスターならともかく、人間が相手だと判定方法が確立していないので、適当な関連技能を見繕えばいい。
例えば相手が戦士ならファイター技能とか。あるいは雰囲気で何となくとか、話を聞いて大体のレベルが分かるとかでもいい。
そうして親交を深めたりしつつ就寝時間を迎えますが、その時ティエルが《危険感知》で何者かの気配に気づきます。
更に不慣れな《移動力》《暗視》の判定にも立て続けに成功し、例のライデン商人ミリューが覗いていた事が判明します。
そこで彼は使い魔の猫ユーズを出動させ、彼が村長さんの部屋で書き物をして机の引き出しにしまった事だけを突き止めました。
そういえばこのシリーズでは使い魔ってあまり見ませんね。ちゃんとこのゲームでも"ファミリアー"の呪文はあります。
3レベルなので5レベルにならないと使えませんがね。その扱いはSWと大体同じ。感覚共有でダメージを受けると自分に響く。
ただしSWでは交信範囲が半径1kmなのに対し、こちらでは無限らしい。大陸に行こうがクリスタニアに漂着しようが大丈夫。
それからティエルは唯一の知り合いであるフェリオを起して相談します。
フェリオ「ふ〜ん、じゃあ、窓の外から"スリープクラウド"を飛ばして、熟睡させる?
それとも、"ファイアボール"がいい?ワクワク」←殺す気か
ティエル「う〜ん、罠にはまってみるのも、おつなものってか?」
フェリオ「そうそう、夜更かしは、お肌の敵よ」
ティエル「考えるのが苦手な魔術師二人じゃ、こんなものか」
あんたら本当に魔術師か。もっとも大陸にはリドルそっちのけで狩に勤しむ魔術師もいるのですが(笑)
★空を見ろ!
そして翌朝、一行はミリューの案内で魔神どもが巣くっていると思われる遺跡へと向かいます。
実は既に数週間前に第一班の冒険者を雇っていて、彼らがその場所を突き止めたらしい。ただし彼らは帰ってこなかったとか。
そこから魔神兵どもが湧いているというので黄金樹がある可能性はある。
ティエル「で、全滅した第一班は、どれぐらいの腕前だったんだ?」
ミリュー「君たちよりは劣っていたと思う」
スナ「どうして、そんなことがわかるのよ」
ミリュー「商人だから、人を見る目はあるつもりだ」
こういう時には"センスライ"を使いたいところですが、4レベル魔法なので9レベルないと使えない。
敵が上位魔神ぐらいまでなら彼らでも何とかなるかもしれないけど、魔神将だったら同じ運命を辿るでしょう。
戦闘では《戦闘指揮》を持つグレッグ親分がリーダーという事になります。
グレッグ「山賊仲間からモスの策士と呼ばれるワシの指揮ぶりをせいぜい学ぶといい」
そう大きく出られると逆に不審ですが、特技を持ってる以上やはり彼しかいない。
グレッグ「決まりだな。ワシの命令には服従すること」
ティエル「異議は言わせてもらうぞ」
グレッグ「わかった、多数決で決めよう」
ティエル「多数決だったら、お前の部下がいるから意味がないだろうが!
オレは魔術師で、魔神についてもいろいろ知識があるから相談しろよ」
グレッグ「ならば、軍師ということで。で、魔術師には何ができるんだ?」
ティエル「そうだな、例えば、火の玉を飛ばして君みたいな雑魚な盗賊を一気に焼き払ったりだな……」
グレッグ「は?部下は一撃かもしれんが、ワシと女房はそうはいかんぞ」
何でそう喧嘩っ早いんだティエル。お前は初期の山岡士郎か(笑)
ジオレンは回復係で決定しているので、続いての面談はティエルです。
フェリオ「ティエルと同じだよ」
グレッグ「生意気ということか?」
フェリオ「違うよ。こう見えても、賢者の学院で優等生だったんだから」←一応特待生でした
ティエル「そうだっけ?」
フェリオ「そうなの!いろいろ失敗はあるけど、使っちゃいけない攻撃魔法の練習じゃ一番だったの!」
ていうかティエルもそれで放校になったんじゃ……。
あとスナは暗殺者ではなく、普通に優秀な盗賊としてマースの護衛を勤める事になりました。
流石に裏家業を大っぴらにはできないので、彼女は正体を隠しているのです。武器もギャロットは使いません。
普段はシャムシールで普通の盗賊っぽく戦い、誰も見ていない所では暗殺者としての巧みの技を披露する設定です。
まぁ何だかんだで彼らは強いのでいい。しかし1ラウンダーズはできれば置いていきたいところです。
彼らは村人に毛が生えた程度の人達なので、一般人も同然。SW風に言うなら冒険者技能の所有すら怪しい。
「オラたちも家族を守るダ」と言ってる人もいるし、「ロードスの平和はオレが守る!」とかいう熱血青年もいる。
ティエルが《説得》しようとしたのですが、元よりそういうのは苦手な男なのか失敗。結局数名のみ残りました。
最終的に行くのはPC4名、グレッグ夫妻、その部下10名、燃える若者6人の22人となりました。
部下は山賊だから盗賊か戦士なんでしょうけど、若者は危ないですね。目の前でバタバタ死なれたら寝覚めが悪い。
こうして意気揚々と旅立った一行でしたが、現地に近づいた所で早速下位魔神に発見される(笑)
ティエル「ふむ、グレッグ親分、魔神の斥候に見つかったぞ」
グレッグ「ほ、本当か?こういう場合は……どうしよう。急ぐか?」
"モスの策士"はどうした(苦笑)
しかしそれでも何とかして作戦を練らねばなりません。それがリーダーや軍師の役割です。
グレッグ「よしわかった。ワシの作戦を言おう……気をつけて進め、だ。軍師殿、何か意見は?」
ティエル「すごく気をつけて進もう」
フェリオ「たいした軍師ね」
ダメだこいつら。やはりこの手の知略はPCの能力とは関係ない。性格の問題です。
こうなると途端に目の前のミリューが怪しく思えてくる。やはり鏡像魔神なんじゃないかとね。
ティエル「精霊使いもいないから"センスオーラ"できないし」
フェリオ「"センスオーラ"でドッペルゲンガーを見破れたっけ?」
ティエル「低級の魔神なら大丈夫だが、グレーター級だとダメだという研究成果がある」
鏡像魔神の変身は魔法でも精霊によるものでもなく、"センスオーラ"でも判別はできないはずです。
相手がダブラブルグ(下位魔神)だろうがドッペルゲンガー(上位魔神)だろうが同じこと。
結局ジオレンの"アラート"で敵意を察知し、フェリオの"センスエネミィ"でミリューに敵意ありと特定しました。
この"アラート"というのはラーダの特殊神聖魔法であり、クリスタニアのアデリシアも使ってましたね。
SWにはないもので、このゲームでは半径30m内に敵意ある者がいれば感知できます。持続時間3時間なので便利。
最早黒なので早速捕まえようとしますが、ミリューはこちらの魔法に抵抗した上にドッペルゲンガーの正体を現します。
ここでは羽とか生やしてますが、それはドッペルゲンガーの標準能力ではない。まさか部分変化とか(漫画版封神の楊せんか)。
それから彼は森の中を走って逃亡し、こちらも逃がすまいと追撃を続けましたが倒すには至らず、森の外に出てしまいます。
そこでは空を飛ぶ魔神の大群が太陽の光を遮り、地上にも50体ほどの魔神兵の軍勢が犇いていたのです。
ミリュー(魔神)「百の勇者などになろうとする愚か者は、集まらぬうちにこうして死んでもらわねばならぬのだ」
やはり魔神達もロードスの住民が結束するのは面白くない。そこでその芽を早い内に摘み取ろうとしていたのです。
しかも本来は自分達を追い詰めるはずの懸賞金というシステムを逆手に取って、ライデン商人の身分を利用するとは……。
キャンペーンが始まったのも束の間、早くも全滅の危機。魔神討伐どころかこっちが討伐されそうです。
★竜なき竜騎士
しかしその危機的状況に登場し、美味しいところを掻っ攫う男がいたのです。勿論"竜なき竜騎士"ミレウスです。
銀の玉の力で成長したオッドアイの幻影を出し、自分の幻影もその背中に乗せて竜騎士槍も装備させています。
ティエル「でも、あいつじゃないよな。ミレウスが、あんなにかっこいいわけがない」
ミレウス「でも僕だもんね〜。さあ、異形の魔神どもを焼き尽くすんだ!」
幻影でも《竜笛演奏》は使用しますが見事に成功し、「御意」とばかりにッドアイのブレスが魔神の軍勢を焼き払う!
焼かれた魔神兵などは焼きプリンのごとくジュワジュワと溶けていき、空飛ぶ魔神も黒焦げにんって墜落していきます。
フェリオ「すっごい!竜って強いのね」
ティエル「乗ってる奴は弱いけどな」
スナ「知り合いなのか?」
ティエル「ああ、モスの竜騎士で、フォルドという名前だ(笑)」
ミレウス「それは、僕のライバルの名前でしょうが!ミレウスです、ミレウス!」
ティエル「悪りぃ、悪りぃ。あんまりかっこいいので、この目で見たことが信じられないんだ」
実際竜に乗ってる方のミレウスは幻影ですしね。つまりこれが彼の理想の姿なのです(笑)
それからも《戦闘指揮》を使ってイニイアティブを取り、魔術師2人のダブル"ファイアボール"が炸裂し鎮圧に成功。
生き残った魔神も蜘蛛の子を散らすように逃げ出し、彼らは命拾いしました。幻影とはいえ本当に凄い力です。
で、本人は馬に乗って現れ、右四十五度の角度で挨拶。ティエル以外からすれば滅茶苦茶カッコ良く見えるから不思議。
でもネタばらしするとティエルは深く納得。
ティエル「幻影だったのか。それで、あんなにかっこよかったんだな」
ミレウス「そうです。理想を映し出している……ボケさせないでください!」←ノリつっこみ
いや、ボケも何も本当に理想だったのでしょう。彼は本物のオッドアイに乗った事はないんだから、再現の類ではない。
この戦いでスナは焦げた下位魔神の首をいくつかゲット。魔神兵は溶けてしまったので回収しようがありません。
SWでもこれは同じで、賞金が出るのは下位魔神以上です。魔神兵や魔神獣などの雑兵を倒しても賞金は0です。
★竜騎士との再会〜魔神兵の種
ミレウスのお陰で命は助かったものの、魔神がいる事は明らかで村が危機にある事は変わりありませんでした。
それにライデン評議会が魔神に賞金をかけているのも事実なので、ミリューが偽者でも魔神を討伐するメリットはある。
そこで村に戻って今後の対策を練る事にしました。
ジオレン「ところで、わたくし、この方を存じ上げないのですが?」←ミレウスね
ティエル「ああ、こいつ?もとハイランドの騎士でミレウスっていうボンボンだ」
ジオレン「はて、さきほどの竜騎士は、別人だったような(笑)」
ミレウス「勘弁してくださいよ〜。たしかにあれは幻影ですけど……」
フェリオ「理想の姿を映しただけなんだよね」
ミレウス(ブレスで焼いたろか、この娘っこ!)
この通りミレウスもすっかりパーティーに馴染みました(そうか?)。ようやく5人が揃いましたね。
村に戻ると村長さんに事実を話します。村長さんによるとミリューという商人は確かに昔から出入りしていたといいます。
つまりあの鏡像魔神は本物のミリューさんを殺して記憶を奪ったのであって、ミリュー自身は架空の人物ではないと。
このゲームでは上位魔神のドッペルゲンガーのデータはあるんですけど、下位魔神のダブラブルグのデータはないんですよね。
下位魔神の方なら姿を映すだけでボロも出しやすいんですが、上位魔神の方は本当に向こうから正体を現さないと看破は困難。
続いて偽ミリューが昨晩書いていたものを調べます。ただし引き出しには鍵がかかっていました。
スナ「へへへ、金儲け、金儲け。鍵、開けてあげようか?有料だけど」
ティエル「"アンロック"!」
GM「開いたよ」
スナ「ひどい!あたいの金儲けの機会を奪うなんて、魔術師って嫌いだ!」
とはいえGMは判定を行っていたので魔法の鍵だったのでしょう。盗賊の《開錠》では開きません。
そこには何かを認めた羊皮紙、つまり手紙がありました。
ティエル「読めるかな?ちなみにオレは、共通語、エルフ語、下位古代語、巨人語が読めるぞ」
一応SWではジャイアント語に文字はありません。知能の高い巨人は大抵古代語魔法が使えるので下位古代語の文字を使えるし。
またジャイアント語はケンタウロス語同様上位と下位の2種類あって、前者は古代語魔法と同種の魔法語、後者が彼らの公用語。
幸い下位古代語だったので普通に読めましたけどね。
魔神将XX様
スポーンの育成は順調です。
例の計画に必要な"種"も充分に集まりましたので
あの村は、一週間後に壊滅させます
すべて順調に進んでおります。
残念ながらXXの部分は発音できない文字でしたが、これで例の遺跡で魔神兵の培養を行っている事が予想できます。
"種"はこの時点では謎ですが、やはり敵がこの村を滅ぼすつもりなら、計画が露見した今決行を早めて襲ってくるでしょう。
そこで村人を避難させる為に《演説》によって説得しました。この際説得の仕方で修正が入ります。
ミレウス「魔神の集団が襲って来るぞ!みんなで逃げるんだ!」
GM「(芸のない奴ちゃ!)じゃあ、修正なしだ」
これが祟って説得失敗。竜騎士が守ってくれるなら大丈夫と村長さんもかなり楽観的でした。
一応ミレウスはこの《演説》が4レベルもあるんですけどね。交渉毎もPCの能力ではなく性格の問題らしい。
そこでジオレンが理を持って説きました。
ジオレン「竜騎士様が守ってくれると言っても、必ずや犠牲者が出るでしょう。
ですから、一時的にどこかに避難していただけませんか?この村を捨てろと言うわけじゃないのです」
こう言われると村人も納得し、既に滅ぼされた近隣の村に避難します。
ミレウス達はその護衛として一緒に移動し、その間山賊達がこの村に堀などを作って要塞化してもらいます。
グレッグ「野郎ども、村のまわりに堀をほるぞ!」
フェリオ「けっこう、素直な山賊さんたちね」
そして滅ぼされた村に行って見ると、死体が少ない事が目立ちました。特に若者や子供の死体が少ないようでした。
★強行偵察
そうして3日程土木作業が続きましたが、その退屈さについにマースがキレた。
マース「待ってるぐらいなら、あたしが偵察してきてやらぁ!」
ティエル「行くな!危ないぞ」
フェリオ「君が食べられてドッペル君になってしまったら困るじゃないの」
仲間を離れて先走って殺される、ホラーのお約束ですね。
そこでティエルとフェリオの使い魔を同行させます。猫のユーズとフクロウのポーです。
これで常に彼女の様子を知る事もできる。最悪入れ替わられても大丈夫、いや全然大丈夫じゃないけど。
更にスナが《尾行・屋外》によって追跡。結果マース・猫&フクロウ・スナという一団ができあがりました(笑)
噂の遺跡には幸い無事に辿り着けました。しかしその入り口には魔神兵が見張りに立っています。しかも新種っぽい。
GM「先日戦ったスポーンとは、皮膚の色、身体の大きさなど、細かい点で微妙に異なっているようだ」
フェリオ「新型スポーンっていうと車みたい」
ティエル「事故ると溶けて安全です」
魔神兵には様々な形状があります。ただしSWでは炎を吐く・酸を出すといった特殊能力を持つ事はないとあります。
しかし私は変種の魔神兵がいてもいいと思います。魔神どもが戦力強化の為に魔神兵の強化を行っても不思議ではないし。
水に濡らさない・光にあてない・夜にご飯を食べさせない、といった種類だってあるかもしれない(何ムリンだよ―笑)。
結局マースもそれ以上の深入りは避け、素直に引き返したので事なきを得ました。
ティエル「よかった。行くようなら、猫が爪で木に"戻れ!"って傷つけてたぞ」
帰りにはスナも尾行に
気づかれたので一緒に帰還し、翌日には主力を集めてこちらから攻める事を決意したのです。
★待ち伏せ
そして翌日には要塞化した村の守りを1ラウンダーズに任せ、グレッグ夫妻を加えたミレウス達7人は遺跡へ向かいます。
遺跡に着くと昨日と同じように新種の魔神兵が見張りに立っていて、不用意には近づけそうにありません。
ティエル「オレが"シェイプチェンジ"の指輪で蚤にでも化けて潜入してこようか?」
フェリオ「それはダメだと思うよ。だって"シェイプチェンジ"って
小さくなる時は体重が十分の一の生き物まででしょ。とっても大きな蚤だと思うの」
ティエル「子犬ぐらいの蚤……ああ想像してしまったよ」←気持ち悪!
SWでもそういう制限があります。身長6mの巨人が上限(体重十倍)で、中型の猫が下限(体重十分の一)だとか。
仕方ないのでいつものように"ビジョン"で目玉を飛ばして偵察します。相変わらず便利な使い方ができますね。
捻くれた目は見張りの脇をすり抜け、二股になっている内部を探り、左側の通路に更に見張りがいる事を突き止めました。
右にも扉がありましたが、そちらには行かなかったので中身は不明です。まぁ見張りがいる方が本命と考えていい筈です。
ティエル「とりあえず、入口のスポーンはどうする?」
スナ「あたしが、"シェイプチェンジ"の指輪を借りて、スポーンに化けようか」
フェリオ「あっ、それ面白い!ギャとか言って挨拶するの」
面白いアイデアだけど、この魔法は相手を熟知していないと変身できません。およそひと月生活を共にするぐらいにね。
SWでもやはりそういう傾向にあります。生まれの分からない魔神や幻獣には変身できないとか、色々制限があるのです。
仕方ないので確実を期してフェリオが"魔神掌握の杖"で掌握。そして無抵抗の所を袋叩きにして倒してしまいます(汚!)。
ジオレン「しかし、戦わないと、新型スポーンの性能が分かりませんね」
スナ「仕事は安全第一よ。どうせ報酬は同じなんだから」
ミレウス「さすが盗賊、プロのお言葉ですね」
スナ(暗殺者なんだよ!)
戦わずに済むならそれに越した事はありません。ただ相手の能力が分からないのは不安ではあるけど。
いざ戦闘になった時に何か致命的な能力があったりすると不覚を取りかねません。まして新種、特殊能力もありそうだし。
★君の名は?
その後も遺跡内部の見張りも掌握して首をスポーンと飛ばし、遺跡の中枢と思われる部屋を発見。またも見張りを無力化します。
ティエル「よし、掌握ゴー!」
フェリオ「はいな」
夫婦漫才か。ここに来るまで本当に戦闘なし。一方的な嬲り殺しは何度かやってますけど(そう言うと感じ悪)。
勿論扉はRPGのセオリーに従ってスナが調べ、罠の設置・解除を担当する特技《罠》によって警報装置を解除。
そしていよいよ一行は魔神兵の培養室を発見します。カイコの糸のようなもので覆われたドーム状の部屋でした。
部屋の中央部には白い糸で編まれた塔のようなものが聳え立ち、魔神に捕まった冒険者や一般人の遺留品がゴロゴロしてます。
本人は魔神兵の栄養素となったのか、改造されてしまったのか……。いずれにしろ彼らは魔神兵の"種"にされたのでしょう。
この部屋には下位魔神2体と魔神兵6体がいたので、早速迎え撃ち討ちます。
しかしフェリオがまたも4体の魔神兵を掌握。その4体を他2体の魔神兵にけしかけ、敵を下位魔神2体に絞ります。
この杖は掌握する魔神の合計レベルに制限がありますから、このように雑魚を淘汰するか、強敵を狙うかは状況次第。
ただしこれをやると本人は動けなくなるので、手持ち無沙汰になる。それはそれでPLが退屈するというアンビバレンツ。
残り2体の下位魔神はミレウス・マース組、スナ・ジオレン・グレッグ組に分かれて各個撃破します。
勿論こちらが優勢なのですが、そこで生じる問題は分け前。やはり魔神の首を取る人間が優先されるようですね。
そうなると攻撃のタイミングに悩む訳です。下手に先走って誰かにトドメを回さないよう、頃合を見て攻撃しないと。
スナ「うう、グレッグより先に攻撃するべきかどうか、悩むところだわ」
フェリオ「バーゲンセールに飛びつくオバチャンみたい」
結局出し惜しみして親分とジオレンに先を譲り、ここぞとばかりに攻撃して全弾ハズレ。
その隙に下位魔神は近くにあったレバーへダッシュ。罠を発動させて通路を崩されてしまうのです。
本来は警報が鳴った時に押し潰す為のものでしたが、機会を逸した上に追い詰められて自棄になったんですね。
一応先攻を取れば止められたかもしれないのに、こういう時だけ失敗しました。欲を出す余裕はなかったようです(苦笑)
まぁ脱出方法は後で考えるとして、下位魔神のトドメは早い者勝ちということで。
スナ「あたい、あたい!先に殴らせて!(命中)どう、死んだでしょ?」
GM「……1点残ってるよ」
スナ「そんなぁ」
こ、これは「モニカを慢心アタック」じゃないですか!。絶妙の加減でトドメを他人に取られるという凄い技です。
結局彼のトドメはミレウスがクリティカルを出して無駄に殺して現場の鎮圧に成功しました。
★黒羽のガラドふたたび
脱出方法を調べる前にまず中央の糸の柱を調べました。残念ながら敵に時間を与えたので何かを運びだしたようでしたが。
しかし驚くべきものが残されていたのです。柱の中央部に人間より大き目の妙な膨らみがあったのです。
スナ「中を傷つけないように、シャムシールで、そおっと切る」
GM「中から裸の若い女性が地面に転がり落ちる」
彼女の名前はガラテア。16〜17歳の可愛い女の子で、どうやら全滅した第一班のパーティーの精霊使いだったようです。
しかし彼女には村から旅立つ前の記憶がない。出身も身分も家族の顔も覚えていない。思い出そうとすると頭痛がするのです。
そこで遺留品の中から覚えのありそうなものをピックアップして貰うと、道具のいくつかにある共通点がありました。
GM「道具類のいくつかには、昔オーディアさんが持っていた品物についていたのと同じ紋章が入っている」
ミレウス「オーディアさん!なつかしいなぁ。結婚したかな?」
第一部で活躍したファリスの司祭ですね。彼女を頼るとなると、次の目的地は自由都市ライデンという事になる。
更には「冒険者なんてやめて帰ってこい」という趣旨の手紙も発見。差出人はバルデン・ビスカトーレ、推定父親ですね。
ここでは特技《売買》によって判定を行いました。実は彼はライデンの商人なので、売買知識で知っている可能性があるから。
残念ながら判定には失敗したので詳細は不明ですが、バルデンという人物とオーディアさんを頼りにライデンに行くしかない。
あと冒険者の遺品の中から4つほどマジックアイテムも入手しました。ここは付与魔術師のティエルの《品物鑑定》が連続成功。
結果魔力+1のダガーと魔力+1グレートソード、そして防御の指輪と回避の指輪と判明。まぁまぁあり難い品ですね。
ただしこっちにはティエルがいますからね。この程度の初歩的なものなら時間さえあればいくらでも作れるので有難味が薄れる。
アイテムの所有権は後回しにするとして、脱出口を探します。ここでは精霊使いであるガラテアが頼りになりました。
ガラテア「風……風が動いている」
彼女のアドバイスのお陰で隠し扉?を発見。ミレウス、ジオレン、グレッグの3人がかりで《怪力》判定を行いこじ開けます。
するとそこにはドワーフの大隧道が広がっていたのです。ここを通ればロードスの何処かしらに出れるでしょう。
ミレウス「その前に、怪我を治してもらえません?」
ジオレン「わかりました。"ヒーリング"で……15点。《癒し》を……成功です。二倍の30点治りました」
ミレウス「ブ〜、鼻血でそう。生命点あふれかえりです」
"ヒーリング"は1点消費でD10+レベル点回復するので、8〜17点回復し、期待値は12.5点ですね。
期待値を出しても二倍にすれば25点回復とは……。たった1点消費で恐ろしい回復力です。さながら無限救急箱(笑)
下位魔神の首を引っさげ大隧道を進む一行でしたが、《危険感知》によって魔神の一団の接近を察知しました。
これを察知したのは使い魔の猫ユーズを先攻させていたティエルでした。猫なので《暗視》2レベル扱いだったのです。
そのお陰で一団を率いているのがあの黒羽のガラドだと気づきました。第一部以来の本当に久しぶりの登場になりますね。
ミレウスに知られると「オッドアイの仇!」と特攻しかねないので黙ってやり過ごし、事なきを得ました。
ミレウスは金色の玉を使えたのにとブーブー言ってましたが、その程度で簡単に倒せるような魔神将ではないと思う。
ルールブックでも魔神将のデータがありますが、LP(ライプポイント)を見ると期待値が170点以上ありますしね。
もっとも個体差が大きいので参考程度ですが。ガラドは魔法使いタイプなので、ゴディスほどは頑丈ではないと思いますが。
彼らがライデン方面に向かったのは気になりますが、一行は元の村の近くの出口から地上へ脱出しました。
勿論これからの目的地は自由都市ライデンです。ガラテアのこともあるし、下位魔神の首を換金しないといけません。
ティエル「あっ!避難させた村人のこと、すっかり忘れてた!」
ミレウス「確かに!そのうち、様子を見に帰るでしょうけど、そこに待っているのは……」
ティエル「要塞化された村ってか!」
それはそれで今後の為にもなるし、山賊さん達のボランティア活動という事で末永く語り継がれるでしょう(笑)
★商都ライデン
魔神兵の培養場を潰したミレウス達は、魔神の首の換金とガラテアの身元を求め、自由都市ライデンに来ていました。
ライデンは大陸との交易も行うロードス有数の港街であり、国王ではなく商人達の組織する評議会が支配しています。
剣でも魔法でもなく金の力で統治を行う土地柄から、「魔神戦争」においては最も早く魔神の首に賞金をかけた街でもある。
その概観はリプレイとコンパニオン3では長崎の出島っぽく描かれるのに対し、ワールドガイドでは湾岸に臨む普通の港街。
その評議会ですが、コンパニオンでは6名の評議委員がトップに立ち、彼らは選挙によって選出される事になってます。
そして評議委員の下に貿易課・海運部から成る交易部と、法務省・財務省・軍務省・民会から成る行政院があります。
ワールドガイドでは10人の常任評議員が合議によって政策を決定し、それを統括する評議会議長を選挙で決定します。
更には推挙や公選によって12人の非常任評議員も選出され、彼らは常任評議員の監査や補佐を勤める事になっています。
微妙に差異もありますが、いずれにしろ封建制から絶対王政への過渡期にあるこの世界においてはなんとも先進的な街ですね。
もっともそのシステムすら魔竜シューティングスターの襲撃を受けた大混乱を収拾できず、フレイム王国に併合されたのですが。
まぁそれはまだ先の話です。現在のライデンは魔神の賞金を目当てにした冒険者やならず者が目立つ、やや剣呑な雰囲気の街です。
街に到着した一行はまず換金の為に評議会を訪れます。事務局に魔神の首を提出し、合計2万2000GPを入手しました。
内訳は、下位魔神はレート通りに1万×2体=2万GP。その他の焦げた首や魔神兵の溶けた首の合計が2000です。
焦げた下位魔神の首はともかく、魔神兵の首は換金できないので得しましたね。もっとも焦げていても下位魔神の首なんですが。
魔神との戦いで魔法を使う事もあるし、その結果首が破損する事もある。小説では山羊の首を魔神の首と偽るゴロツキもいました。
この手の懸賞金のシステムには確かな鑑定眼が担当に必要ですね。まして魔神となると相当博識でないと判別できないだろうし。
担当者「魔神狩りをされるなら、いい品物があるんですよ。北のドワーフ族一の地図書きが作成した、魔神出現マップ。
ドワーフのトンネル網の一部も掲載なんと1000GPなんですけど、買いませんか?魔神狩りの必須アイテムだよ」
フェリオ「いらない!その人、知ってるもん。マルムスっていうんでしょ?」
やはり奴なんでしょうね。でも魔神の出現場所なんて流動的だろうし、一度出たとて二度出るとは限らないだろうに。
2万2000GPはティエルを除く6人で山分けにし、端額は山賊の1ラウンダーズへの報酬となります。
1人3000GPとすると、日本円に直せば300万円相当という事になる。なかなかの大金を一気に入手した感じですね。
もっともティエルがマジックアイテムさえ売ればいくらでも大金が手に入るので、一般冒険者とは経済観念が違うでしょうが。
ここでグレッグ夫妻とはお別れです。
ミレウス「じゃあ、また機会があったらお会いしましょう。魔神には、くれぐれも気をつけてくださいね」
グレッグ「ああ、お前たちもな。それじゃ、世話になったな」
思い返してみれば山賊とは言えいい人達でした。戦闘でもこのパーティーに劣らず活躍していたし。
一方下心溢れる人がこちらには1人……。
スナ(ふふふ、マジックアイテムのこと、すっかり忘れてるね。これであたいが手に入る確率が上がったよ)
フェリオ「誰かさんより、よっぽどいい人だったね」
スナ「なんか言ったかい?」
フェリオ「独り言だも〜ん」
★礼儀作法に気をつけて〜犬猫大作戦!
評議会での成果は賞金だけではありませんでした。まずガラテアの持ち物にあった紋章は評議会の紋章だと判明します。
それは山羊と天秤を意匠化したもので、コンパニオン3にも記載してあります。そちらは山羊というか羽なんですが。
更にバルデン・ビスカトーレが評議会の非常勤理事を務める豪商だと判明。ガラテアは結構なお嬢様だったんですね。
ミレウスが《礼儀作法》に成功したのでその屋敷も教えて貰えました。名家だから探せばすぐ分かったでしょうけどね。
早速そのお屋敷を訪ねますが、ここで必要なのも《礼儀作法》です。下手をするとこちらが誘拐犯と疑われかねない。
そこまでは行かなくても「帰りやがれでございます。薄汚のうございます」と追い返される可能性は十分ある(笑)
ここでも貴族出身のミレウスが《礼儀作法》で挨拶を試み、一度は失敗するものの根性(集中力)で信用して貰えました。
そうなれば「お嬢様が帰った!」とばかりに使用人は大喜び。バルデンも娘の帰りを喜んでくれました。
記憶喪失という点には嘆いていましたが、それとは別に不審な点が1つ。ガラテアの右目の下の泣き黒子がないのです。
そう言われるとこちらも調べたくなりますが、1人2000GPの謝礼(口止め料込み)をくれて追い出されてしまいます。
良家の子女に良からぬ噂が立つのは好ましくないし、ぶっちゃけ魔法をかけるほどには信用してくれてません(さもありなん)。
仕方ないので使い魔2匹を屋敷に残し、一行はライデン・プリンスホテルに宿泊しようと大はしゃぎです。
ライデン・プリンスホテルとは1泊100GPもする超高級ホテルです。今の経済状態なら十分払えるんですけどね。
一般的には手の届かないホテルですが、魔神の賞金と比較するとはした金に見えるから不思議。つくづく高額賞金なんですね。
ここでもミレウスが《礼儀作法》でモスの竜騎士としての貫禄を見せ、一行は難なくロイヤルな部屋に通されました。
そして落ち着いたところで魔術師二人は使い魔を動かします。猫の身体能力と梟の飛行能力でバルデン邸を探ります。
その姿はさながら「メタルギ○ソリッド」。敵に見つからないよう建物内を歩き回る、スニークミッションです。
ところがユーズの方はやはり猫なので鍵も扉も開ける事ができず、早々にメイドさんに見つかります(駄目じゃん)。
ティエル「ニャ〜、ニャ〜っていって、すり寄ろう。猫好きだったら、これでイチコロのはず」
GM「(コロコロ)残念ながら、猫は嫌いみたいだ」
ちゃんとサイコロで猫好きかどうか判定しているんですね。どの程度の確率で猫好きなのかは微妙に悩む裁定ですが。
ユーズは《移動力》3レベルとして逃亡を試みますが所詮は猫、アッサリと捕まって屋敷の外に放り出されてしまいます。
ティエル「ニャ〜ゴ!なめるなよ、猫の戦闘技能は20もあるんだから」
それでできるのは精々猫パンチですね。あるいは爪を使った牙・爪・爪の3回攻撃です。ただしダメージは少し(笑)
続いてフクロウのポーが屋敷の窓からアッサリとガラテアを発見。……ていうかユーズの努力はなんだったんだろう。
やがてバルデンが呼んだ司祭や魔術師がやって来ては彼女を診ますが、悉く失敗。神聖魔法や古代語魔法の範疇ではないと?
"ヘッポコーズ"でも考察した事がありますが、この世界における記憶喪失というものが何に由来しているかの公式設定はない。
一応混乱と悪戯の精霊レプラコーンが一時的に記憶を失わせる"フォーゲット"を行使できるので、やはり精霊力なのかな。
だとしたら司祭や魔術師が手に負えないというのもありえる。あるいは記憶云々以前に彼女の存在そのものが不審なのか………。
★暗殺者の影
そうしてガラテアの身辺を探る一行でしたが、魔神とは別に彼らを狙う存在がいました。それこそが暗殺者デスマスクです。
彼はスナが昔暗殺した某組織のボスの報復の為に彼女を狙っていて、隙を見ては仲間共々に彼女を殺そうと仕掛けてきます。
主な暗殺手段は毒殺です。暗殺者の転職条件に《毒物知識》が3レベル以上とあるように、毒物は彼らの得意分野なのです。
ちなみに暗殺者はこの《毒物知識》をマスターレベルにできます。食料や水に毒物が混ざっていると自動的に気づけるという。
彼の動きは1通の予告状から始まりました。それは風車の弥七よろしくダートによってスナの眼前に突き立てられます。
またダートを投げられた時にスナは《移動力》と《視覚》の二重の判定に連続で失敗し、デスマスクの姿すら捉えられず。
スナ殿
ようやく見つけることができました。
ボスの仇は、必ず取らせていただきます。
くれぐれもご自愛を
デスマスク
彼の動きは本当に魔神とは無関係です。ただミレウス達は裏の世界の抗争に巻き込まれただけ。
その手口は毒殺だけに非常に恐ろしい。変装して給仕に接触し、食事や水に毒を混ぜては無差別に殺そうとします。
スナ「みんな、飲むのやめて!毒が入ってるよ!」←《毒物知識》に成功
ミレウス「ブハッ!ちょっと、飲んでしまいました」
幸い少量だったので《毒物抵抗》には成功しましたが、以後口に入れるものには常に警戒しないといけません。
フォースとマーシュもライデン盗賊ギルドとの抗争では毒を盛られる事があったという。典型的だけど恐ろしい手口です。
ミレウス「危なかった、全部飲んでたら、死んでたよ。ありがとう、スナさん。」
スナ「いいよ、気にすんな(狙われたのは、あたいだと思うけどね)」←ですよねー
魔神との戦いで忙しいというのに、ウザったいこと山の如しです。
★ドッペルゲンガーの恐怖
その夜もティエルとフェリオはバルデン邸の監視を続けていると、1人の裕福そうな太った男が馬車で屋敷に乗り付けます。
裕福そうなのに使用人を連れておらず、自ら馬車を御しています。バルデンは自ら彼を出迎え、ガラテアの部屋へ案内します。
それを確認したティエルは再度ユーズで潜入を試みます。今度はサンタクロースよろしく煙突から潜入です。
猫の特技《暗視》と《潜伏》を活用してガラテアの部屋の前まで行くと、突如室内で争う音が聞こえ、じきに静かになります。
バルデンは「何をするんだ!」という言葉を最期に沈黙し、以後「ピチャピチャ」という音が聞こえます。……喰われたか。
やがてバルデンを殺して記憶と姿を奪ったドッペルゲンガーが出てきます。その手には人骨が収まりそうな袋が(ガタガタ)。
またこの時には屋敷の表に止めていた筈の馬車が忽然と消失。御者は彼が勤めていたのに……。まさか1巻と同じ馬車型の魔神?
そしてドッペルゲンガーは一室に篭ると机に向かって書き物を始めます。
ティエル「またかよ。今度の敵は手紙好きの魔神か?」
フェリオ「ペンフレンドでもいるのよ、きっと」
ティエル「魔神だったら、もっと気の利いた連絡手段はないんか!」
魔神達だって高度な魔法文明を持っている以上、伝令に使える魔法だって知ってる筈なんですけどね(苦笑)
やがてその手紙は1人の召使の手で評議会の「魔神対策本部」へと届けられます。
召使「人間に化けた魔神を発見しました。これが、似顔絵です」
勿論そこにはミレウス達5人の顔がありました。ドッペルゲンガーめ、エゲツない方法を。
今のドッペルゲンガーは評議会の名士です。一介の冒険者とは信頼度が雲泥の差、このままでは間もなく手配されます。
しかもそれと前後してドッペルゲンガーは昨日姿を消した馬車を再度呼び寄せ、ガラテアを誘拐します。
ティエル「げっ、やばい!ユーズ、なんとかして飛び乗れ!」
GM「無茶を言うなぁ。まあ、猫は運動技能が高いだろうから、可能性はゼロじゃないだろうけど」
ティエル「(コロコロ)03!やればできる。頑張れユーズ!」←自動的成功
GM「じゃあ、ダッシュした猫が、前足で馬車の後部にしがみついた。で、後ろ足で走るのか?」
ティエル「爪でしがみつけ、ユーズ!」
フェリオ「可愛い!」
凄いぞユーズ、想像すると最早猫の動きを越えている気もするけど(笑)
こちらもそれを追う為にパーティーの誰かが変身の指輪で馬に変身して走る事にします。
ミレウス「ぼ、僕に馬になれと?」←今回の副題
彼は本職の騎士なのだから乗る方です。変身するのは顔を隠したいスナと、自力で魔法を使えるティエルです。
ミレウスは1人で、フェリオはジオレンとダンデムで馬に乗り、それぞれ《乗馬》によって巧みに走らせます。
ところがその頃には偽バルデンは街の外に出てしまい、出入り口は厳重に見張られてしまったのです。
ミレウス「こうなったら自力で無実を証明しましょう。ライデンにもファリス神殿ってありますよね?
"センスイービル"とか"センスライ"とかをかけてもらって、潔白を証明して、街を出してもらいます」
ファリスの特殊神聖魔法"センス・イービル"は下手にかけると心象を悪くする邪悪感知の呪文ですが、こういう時には役に立つ。
あと"センスライ"は古代語魔法なので神殿では期待できません。しかし自分から邪悪や虚言を感知して貰う機会はそうそうない。
★ファリスの司祭は正直者?
ファリス神殿に行ってみると、神殿を任されている高司祭は留守なので次席の司祭と会う事ができました。その人こそ正しく……
オーディア「おっひさしぶり〜。あいかわらず、ドタバタやってるようね」
そう、懐かしのオーディアさんでした。プッペとの仲はどうなったのかは、聞いても頑として口を割りません(笑)
知己の仲なのですが一応"センスイービル"をかけてもらって邪悪ではない事を確認してもらい、事情を話して協力を求めます。
ティエル「なんとかオーディアさんの信用で外に出してもらえないかな?」
オーディア「そりゃ、この街でファリスの司祭といえば、チャ・ザの司祭の三つぐらい下に信用されてるけど」←低!
ティエル「低いなぁ」
オーディア「でも、あたしは正義の神の神官だから、嘘をつくことはできないわよ」
ファリスは「光の下の平等や正義」を教義とする。それ故に嘘をつく事をタブーとする事がままありますからね。
しかしフォーセリアの神様は結構寛容です。ちゃんと事情があるなら許してくれると思いますが、個人の信仰の問題ですから。
そこで近所の神殿に黒羽のガラドが来ていると警告するという用事を作り、嘘をつく事無く外出します。
オーディア「正義と真実のためということで、ファリス神には目をつぶってもらいましょう」
ミレウス「さっすがオーディアさん。あいかわらず柔軟な信仰ですね」
本当に柔軟ですね。これぐらい柔軟だったら頭の固いファリス信者問題とも無縁そうですね。
★魔神追撃
オーディアさんの従者となったミレウス達はスナの《変装》によって姿を変え、無事に街の外に出る事ができました。
この時《変装》のロールはGMが行い、結果はPCには知らされません。絶対的判定だから本人が振ると成否が明らかだから。
相対判定のSWだったら達成値だけ決めて役人の達成値と比較できますが、これがD100による絶対的判定のネックでもある。
街の外に出たら神殿を守る責任のあるオーディアさんとは別れ、引き続き《乗馬》で馬車の後を追います。
ミレウス「《乗馬》いきま〜す。(コロコロ)しゅ、集中力だ」←失敗しました
ティエル「てめぇ、騎士じゃなかったっけ?」
何しろ馬車に乗り込んだ猫ナビによると、馬車は3時間休みなく走り続けているという。それを追うなら大幅な修正が入る。
しかし明らかに普通の馬ではありませんね。こっちが普通の馬に乗ってる限り、近道でもしないと追いつけそうにありませんね。
案の定一時間走って魔法が切れても全く追いつけず、敵はまだまだ全力疾走を続けています。
ミレウス「そうだ!オッドアイだったら、ずっと一緒に冒険してたから変身できるんじゃないですか?」
SWだったら幻獣には変身できないけど、こっちでは可能ですから。あとロック鳥も候補に挙がりましたが熟知してないので無理。
ところがここでティエルが痛恨の《記憶術》判定失敗。《集中力》にも失敗し、オッドアイの姿を思い出せませんでした。
そこで《謎解き》判定を行います。これは騎士や魔術師に奨励される教養系の特技で、成功すると謎解きのヒントが貰える。
これに成功したティエルは「もう一度姿を見ればいい」と気づき、ミレウスがオッドアイの幻影を出す事で記憶を補完します。
ティエル「では、オッドアイに変身だ!さあ、みんな乗って、乗って」
フェリオ「あたしは、鳥に変身していくね。だって、みんなで乗ったら重そうだもん」
ティエル「背中に二人、足で二人、口に一人……」←最後待てや
ミレウス「口はやめてくださいよ〜」
成竜はおよそ全長15mで、背中には2人が乗れるそうです。ただしこれはスペースの問題で、竜は怪力なのでもっと大人数運べます。
しかしオッドアイはまだ脱皮も済ませていない幼竜だった筈。どの程度の力があるかは謎ですが、大人3〜4人ならいけるとは思う。
★竜の力
空の旅を続けた一行はなんとか馬車に追いつき、そのままでは戦えそうにないので進行方向を遮るように着陸します。
その時馬車は更に加速。馬車を引く黒い馬は炎を纏い、馬車の両輪からはチャリオットよろしく槍が突き出て戦闘モードです。
1ラウンド目、魔神先攻
チャリオットの槍がスナとミレウスを狙うも、スナにはハズレ。ミレウスは傷つけられた反撃に金の玉のブレスを馬車に発射!
ミレウス「最大出力で20D10のブレスです!」
ティエル「あっ、ユーズ逃げろ!」
GM「(コロコロ)なんとか、飛び降りたよ」
ティエル「味方まで焼く気か?」
ミレウス「ちょっと訂正、それだけ吹くと生命点が危ないから、15D10に減らしておきます」
これが2頭の馬に70点ずつの大ダメージを見舞います。
続けてジオレンがミレウスに《癒し》込みの魔法で一気に回復。魔神を狙ったスナの矢とフェリオの"スパイダーウェブ"は失敗。
ティエル「"シェイプチェンジ"でジャイアントに変身。馬車を受け止めてやる」←《怪力》5レベル扱い
まるで「自由人の歎き」のサレムみたい。これで新幹線を止めるテリーマンよろしく、馬車を受け止めるのに成功します。
2ラウンド目、ミレウス先攻
フェリオの"ボディープロテクション"とジオレンの"ブレス"の援護を受けて、ミレウスは馬にコンスタントにダメージを与えます。
スナはドッペルゲンガーを仕留めるべく特技《アクロバット》で馬車に乗り込む。ティエルは馬車を止めるだけで精一杯でした。
一方魔神側も身動きできないティエルと接近戦を仕掛けるミレウスに槍でダメージを与え、ドッペルゲンガーはスナに"カース"!
SWでは様々な呪いを与える呪文ですが、こちらでは皮膚の色が変わる等の社会生活に不都合な呪いをかける事ができるらしい。
スナはこれに失敗してしまいます。効果は後のお楽しみ。なおSWのドッペルは暗黒魔法は使えませんが、こちらでは使用可能。
3ラウンド目、ミレウス先攻
ミレウスは馬にトドメを刺し、フェリオは皆に"カウンターマジック"。ティエルは馬車の屋根をはがす。
フェリオ「キングコングみたいに、女の子をつかんでしまえ!」
ティエル「太い指で握りつぶしてしまいそうだから、やめとく」
ジオレンは残った馬に攻撃。スナはそこからガラテアを確保しようとする。魔神が狙うなら人質の価値があるから(コラ)。
最後にドッペルの無差別"サモンインセクト"でこちらも大ダメージを受けましたが、それに巻き込まれて最後の馬も死にました。
ミレウス「ああ、最大出力でブレスを吹いてたら死んでました」
フェリオ「優柔不断だって思ったけど、よかったんだね、臆病で」
最近のフェリオはさり気なく辛らつですね。
4ラウンド目、魔神先攻
ドッペルはティエルに"ディスペルマジック"。でも次のラウンドにまた変身されるだけなので無駄撃ち(笑)
ジオレンは《癒し》込みの"キュアインジャリー"でミレウスの生命点を一気に42点回復させ、スナはガラテアを確保。
5ラウンド目、魔神先攻
ドッペルもガラテアを押さえようとスナに向き合い、即死の魔法"デス"!という事は彼はカーディス信者なんですね。
スナ「(コロコロ)97……集中力しかない。(コロコロ)ダメ……」
駄目だ、死んだ……と思ったその時でした。ガラテアの身体から呪文に反発する場が発生。死の反対だから生命?
倒れたスナの安否を気遣いつつ、ティエルは仕方なくガラテアを掴みあげようとしますが《操作技能》に失敗。
ミレウスは背中を向けたドッペルに3回攻撃(内1回はクリティカル)を叩き込みます。弱い敵には強くなるな(笑)
ジオレンはひたすらに回復をし、フェリオはドッペルとガラテアの間に竜牙兵召喚。初めて召喚魔術師らしい事をしました。
6ラウンド目、魔神先攻
ドッペルは羽を生やして逃げようとしましたが、ジャイアントになったティエルがぶん殴って地面に叩きつける!
更にミレウスとジオレンに滅多打ちにされ、実質勝負はついていました。既にほとんど魔神の姿、バルデンの面影はない。
ドッペル「くそぉ、あの時、殺しておけばこんな目にあわなかったのに……」
ティエル「つ〜、ことは、お前はミリューとかいう商人に化けてたドッペルゲンガーか!」←最初の奴ね
ミレウス「今度も、僕の活躍で、あなたの野望は失敗したんですよ!」
フェリオ「竜の威を借るミレウス」
本当に最近のフェリオはさり気なく辛らつ。まぁミレウスもちょっと調子に乗ってる感があるんですが。
7ラウンド目、ミレウス先攻
ティエルは《格闘》によってドッペルを地面に押さえつけ、竜牙兵が首を落とす。これでこの戦闘は終了です。
戦闘後に調べてみると、スナの方は驚異的に生きていました。ガラテアも間もなく目を覚まします。
ガラテア「ここはどこ?お父様は?」
ティエル「君は魔神に狙われてるようなんだ。お父さんは……」
ミレウス「僕たちが、魔神から守るように頼まれたんです」
流石に「喰われました」とは言えませんからね。優しいようで残酷な嘘ですが、落ち着くまではいいのかもしれない。
あとスナは呪いのせいで犬歯が異様に伸びているのですが、デスマスクの目を誤魔化せるからイッテコイです(笑)
★知識をもとめて
因縁のドッペルゲンガーを倒した一行はガラテアの放った生命力の謎を求めて、アラニアの賢者の学院を頼ります。
ミレウス「ガラテアさんを調べて、危険な存在だったら、スナさんと一緒に封印してもらいましょう」
スナ「なんで、あたいまで封印されなきゃならないんだよ」←牙が生えてます
ミレウス「あっ、スナさん牙が生えちゃったんだ」
スナ「なんか文句あんの?この牙で喉笛かっ切ったろうか」
それにスナの呪いを解く為に"リムーブカース"が必要。このゲームでは5レベルの魔法で、9レベルにならないと使えない。
7レベルのジオレンには使えないんですよね。ただSWと違って成功するまで何度でも試せるので解く事自体は難しくない。
そこでこのまま南下してヴァリスのファリス神殿に立ち寄り、高レベルの司祭に呪いを解いて貰います。
そこからアラニアに入れば風と炎の砂漠も避けられる。本当に今回はグローバルに活動しますね、過去2作品とは移動距離が違う。
あとライデンやロイドから海路を使うという手もありますが、前者は危険だし、無理に後者を使う必要性もありませんしね。
忘れられがちですが、ロードスは島なので海路もそれなりに使われてます。湾岸に位置する街を結び、島を一周するように。
移動手段は急ぐ訳ではないので徒歩。ドッペルの首はファリス神殿で換金して貰います。ただし目減りするそうですが。
フェリオ「結局、ライデン・プリンスホテルには、一日しか泊まれなかったね」
ミレウス「ところで、誰か宿代、払ってきましたか?」
一同「し〜ん」
スナ「これで、正真正銘のお尋ね者だな」
ミレウス「騎士なのに〜」
これでミレウスは竜を失った上に無賃宿泊までした事になる。もうどんだけ脛に傷を持つんだか(苦笑)
★賞金稼ぎ
ヴァリスへ向かう街道は火竜山の南を通り、特に整備はされていないので厳しい山越えになります。
貧弱なティエルはヒィヒィ言っていますが、スナの牙は日に日に長くなっているのでやはり急いだ方が良さそうです。
ところが一行の行く手を阻むように山賊が現れます。しかも彼らはただの物盗りではなく、賞金稼ぎだったのです。
どうやらライデンはミレウス達5人に賞金をかけたらしく、その上彼らの動向は把握され毎日のように配信されてるのです。
ちなみに賞金額は1人で5万GPと結構高額。下位魔神5匹分、上位魔神の半額ですよ。いずれにしろ厄介な事になった。
この分だと行く先々で魔神扱いされるし、命を狙われる。グズグズしているとヴァリスでも手配されてしまうでしょうしね。
最初の襲撃者は数も多くて厄介でしたが、ティエルが巨人に変身して追っ払い、捕虜を尋問してこの事実を知りました。
スナ「《拷問》なら、まかせておいて、得意だから」
ティエル「ジャイアントのまま尋問するのも効果的じゃないか?」
山賊「勘弁してくだせ〜。ああしまった、魔神に命乞いをしてもダメだ〜」
この通りに相手はこちらが人間だとすら思っていません。
スナ「ねえ、ガラテアにも賞金がかかってるの?」
山賊「いや、可愛いほうの女の子は、生け捕りにしろって命令されてたっす」
フェリオ「あたしのことね」
山賊(首を横に振る)
フェリオ「ひど〜い、竜牙兵、やっちゃっていいよ」
スナ(こいつらの首のほうが魔神より高いかもしれないね)←こら暗殺者
やはり魔神どもにとってはガラテアは重要な存在らしい。益々賢者の学院で調べてもらわないと。
この事件がきっかけでガラテアは夜にパーティーを離れようとしますが、ミレウスが彼女を止めます。
ガラテア「わたしがいると、狙われるって聞いたから……」
ミレウス「大丈夫!僕が守ってあげますから」
ガラテア「頼っていいんですね……。記憶をなくして、誰を頼っていいのかさえわからなくなって、わたし不安だったんです」
ミレウス「僕がついていますから、安心して眠ってください」
恥ずかしいぐらいラブラブです(笑)
勿論仲間達もこれにはニヤニヤ。
ティエル「く、くっさ〜」
フェリオ「これって、ラブラブっていうの?」
ジオレン「しっ、たまには主人公らしいことをさせてあげましょう」
スナ「ああ、胸に飛び込んで泣いてるよ」
さっき封印するとか言ってたとは思えないぐらい主役っぽい。なかなかドラマチックになってきました。
そして翌日には懐かしのグレッグ一家と再会。どうやら心配して先回りしてくれたらしい。
グレッグ「よかった、無事だったか」
ティエル「誰が、オレたちの場所を調べてるかわからないか?」
グレッグ「ガラドとかいう魔術師から、毎日魔神対策本部に使いが来ているそうだ」
ミレウス「ガ、ガラド!そいつが魔神将ですよ!」
ティエル「魔神に利用されてるなんて、間抜けな対策本部だな」
ていうか偽名ぐらい使えばいいのに、変な所で詰めが甘いな(苦笑)
仕方ないのでティエルが再度オッドアイに変身して距離を稼ぎます。情報が馬の速さで広がるならそれで引き離せる筈。
ミレウス「そうだ、ティエル。ちょっと離れたところで竜に変身して、僕が竜笛を吹いたら飛んできてよ」
ティエル「オッドアイの代わりになれってか?わかったよ」←何だかんだでいい奴
ミレウス「カモン、オッドアイ!」←めっちゃ嬉しそう
ティエル「ところで、竜笛って人間に聞こえるのか?」←竜に変身してるなら聞こえると思う
ミレウス「あっ、ティエル〜!こっちに来てくれ〜」
ちょっと間抜けだけど、そこはかとなく哀れな話です。
ジオレン「グレッグ殿、知らせてくださってありがとうございました」
グレッグ「気にするな。もう、誰かに首を斬られてたら、奪ってやろうっていう腹もあったんだから(笑)」
スナ「マース姐さんも、達者でね」
マース「あんまり、悪さするんじゃないよ」←首を切る仕草
スナ「うっ、バレてたの!」
本当に山賊とは思えないぐらいいい人達でした。
★神聖王国ヴァリスの掟
空を飛んでヴァリスに入った一行は少し大きめの街でファリス神殿に入り、"リムーブカース"を依頼しました。
高司祭は魔神退治に出かけていて留守だったので、オーディアさんの名前を出して彼女の上役の司祭を呼んで貰います。
幸い手配は回っていなかったので快く受けいれて貰えましたが、今後を考えて自主的に"センスイービル"もお願いします。
こうして客人として数日逗留する事になりましたが、今度はデスマスクの手が伸びます。またも食事に毒を盛られます。
ジオレン「この手口は、ライデンでもありましたね」
スナ「同じやつが、あたいたちを狙ってるんじゃない?」←一部誤魔化してます
ミレウス「僕は一瞬、ファリス神殿の人に、消されるのかと思いましたよ」
流石にそれはない。ファリス信者は良くも悪くも正義感が強いから、毒殺なんて考えられません。殺る時は堂々と(笑)
やがてオーディアさんの上役であるヨーグという50歳ぐらいの司祭がやって来ます。
ヨーグ「話は聞いとる。まったく、あの娘には、どれだけ迷惑をかけられたか……(笑)」
やっぱりオーディアさんは神殿でも色々やってたんですね。彼女の上役なんてやってたら胃に穴が空きそうです。
彼の見立てだと、スナの呪いは徐々に魔神の姿に変わるというもののようです。
スナ「ゲッ、早く解いてちょうだいよ」
フェリオ「人にものを頼むときは、頭を下げるの!お母さんに、教わらなかったの?」
スナ「ゴメンよ。孤児だったんだ」
フェリオ「そうだったの。ゴメンなさいね」
正直フェリオよりはスナの方が常識があると思いますけどね。
ヨーグの手によってスナの呪いは解かれ、ついでにガラテアも診てもらいますがよくは分かりませんでした。
どうやら強い生命力こそ感じるけど神聖魔法とは違うらしく、"コールゴッド"の器としては申し分ないらしい。
マーファとも感じが違うそうなのでやはり精霊力なんでしょうね。エルフ達に見せれば一発で正体を看破できるかも。
あと「この者達は怪しい者ではありません」という保証書の発行も求めます。
ヨーグ「邪悪でないことはわかるが、怪しい者でないとは……特にあのオーディアの知り合いですし」←ですよね〜
ティエル「じゃあ、「怪しい者ですが、助けてやってくれ」でもいいぞ」
冒険者なんてならず者と紙一重ですからね。騎士位を失った騎士、放校になった魔術師、暗殺者、人体マニアだし(笑)
★賢者の学院
ファリス神殿の司祭達に「ホッ」とした顔で見送られた一行は、ようやくアラニアの賢者の学院に到着しました。
フェリオ「こんにちは、戻ってきたよ」
GM「門番が「ゲッ」とか声を出して、慌てて中へ入れてくれる」←形式上放校だから
ティエル「しっかし、あちこちで迷惑がられてるパーティーだな」
ちゃんと感謝されてるのは山賊団とモスの山奥の村でのみだしね。
すったもんだがあってラルカス学長にガラテアの研究を依頼しますが、次の居留地が問題になりました。
ミレウス「僕たちお尋ね者にされてるんです。ですから、安全なところにいたいんですけど……」
ティエル「さて、アランで一番安全なところはどこでしょう?王宮を除いてな」
ジオレン「それは、ここ賢者の学院でしょう」
ラルカス「ちょ、ちょっと待て、これ以上学院で騒動を起さないでくれ」
学長すら迷惑がるパーティーか、もう魔神よりも厄介な存在かもしれない(笑)
フェリオ「エヘッ、あれはグラディカル先生が悪かったんだよ」
ミレウス「仕方ありませんね。でも、どこか安全な場所はありませんか?」
ラルカス「そうだな、街の西に丘があるから、そこなら見晴らしもよいし」←宿賃もタダだしね
ティエル「オレたちに野宿をしろと」
フェリオ「ラルカス先生の別荘とか研究所とかないの?」
ラルカス「あっても、壊されるからダメだ」←何かある事前提
結局は用心しながら街の宿屋に泊まります。……その宿屋が可哀想だけど。
そして宿に泊まりながら、漫画家に原稿を催促する編集者よろしく成果を聞きに来ると。
ティエル「じゃあ、ラルカス師、しっかり働けよ」
フェリオ「この世界で、ラルカス先生にそんな口がきけるのって、ティエルだけだと思う」
何となく某法螺吹き魔術師に似ている。最早バグナードの方が扱いやすい気がする。
★デスマスク
一行は街で中流の宿を取り、フェリオは久しぶりに家に戻ったりと束の間の休息を味わいます。
フェリオ「あたしは、ちょっと子供の様子を見に行ってるね」
ティエル「大変だな、コブつきは」
フェリオ「あなたが原因を作ったんでしょ!」
ミレウス「それは聞きようによっては、危ない発言だ」
スナ「子供は、クォーターエルフなわけね」
ちなみに人間とハーフエルフの間に生まれた子供は、人間・エルフ・ハーフエルフのいずれかになる。リウイとか。
ラルカス学長の研究については、古代語魔法の関連があるというだけで詳細は不明でした。
ミレウス「では、原稿は数日中にアップということで」
ティエル「学院に缶詰状態かよ。また、明日来るからな。しっかり働けよ」
もうこいつらには世界最高の魔術師に対する敬意の欠片も見えません。
そしてスナはとうとうデスマスクの尻尾を掴みます。彼は《変装》で老婆に化け、《スリ》で食事に毒を盛っていました。
スナ「とりあえず、料理はほっといて、老婆の後をつけるよ」
ティエル「お〜い、毒の入った料理をほっとくなよ」
ミレウス「犯人をつきとめてきたよって、帰ってきても、僕たち死んでるかもしれないじゃないですか」
スナ「あたいが安全だって言うまで食べないでって言ってただろ」
この機会を逃したらまたイタチごっこです。ならばいっそ決着をつけてくれた方がいいかもしれない。
ここではスナが《尾行・街》で判定し、デスマスクが《危険感知》で判定し、それぞれの成功度合いで比較を行いました
スナは成功率を22上回り、デスマスクは30上回ったので気づきます。絶対的判定でもこういう比較が可能なんですね。
とはいえ技能の値を出目が「どれだけ下回ったか」と差を取る必要がある点、やはり達成地の比べあいの方が簡単ですが。
ここからは裏の世界の戦いです。ただしユーズとポーがしっかりと見てましたが。
スナ「これ以上、つきまとわれると迷惑なんだよね」←ギャロット用意
フェリオ「み、見た?なに、あの武器」←使い魔で見てる
ティエル「ありゃ、暗殺者が使うギャロットって武器だよ」←使い魔で見てる
これで仲間達にもスナの正体がバレたという訳です。
そしてデスマスクはトドメとばかりに「暗殺者暗殺者」を連呼します。
デスマスク「おのれ暗殺者スナめ!」
スナ「言うな〜(笑)」
デスマスク「数々の暗殺に成功し、裏の世界では知らぬ者がいない凄腕の暗殺者スナ、ここがお前の墓場だ」
スナ「だから、言うなって(笑)」←GMの仕業です
そしてスナはこのキャンペーンが始まって以来、初めてその真価を発揮するのです。
戦いは互いに《背面取り》を狙って牽制しあうもので、暗殺者特有の静かで激しいものでした。
デスマスク「どうせ魔神に殺されるなら、オレに殺されてくれ〜」
スナ「ここで魔神を倒しておかないと、み〜んな殺されてしまうんだい。
ボスの仇だかなんだか知らないけど、そこんとこよく考えるんだね」
そしてスナは見事に先攻を取り、《背面取り》にも成功してギャロットをかけ、首をギューギュー絞めるのです。
ギャロットのダメージは装甲を無視する凶悪なもの。程なくデスマスクは窒息して気絶。でもトドメは刺さない。
スナ「あたしゃ金にならない殺しはしないんだよ」
フェリオ「ちょっと格好いいかも」
スナ「あ〜あ、あたいも、あの連中と一緒にいて甘くなっちまったよ。
以前だったら、ためらいなくとどめをさしていたはずだからね」
ティエル「秘密を知ってしまったから、オレたちスナさんに殺されやしないか?」
ミレウス「僕は、な〜んにも聞いてませ〜ん」
ティエル「卑怯者!」
実際はスナだってそんなつもりはないでしょうけどね。
スナ「ところで、あたいは受け入れてもらえるのかい?暗殺者だってバレたけど」
ティエル「いいんじゃないか。どうせ、うちのパーティーってスネに傷を持ってる奴ばかりだし」
スナ「暖かく、迎えてくれると……」
ティエル「そこまでは言ってないけどな(笑)」
フェリオ「殺さないでね(笑)」
今まで色々冒険してきたんだし、もうとっくに「仲間」なんだと思うとちょっといいシーンです。
★付与魔術師ゴード
そして翌日、ラルカス学長はガラテアの身体にある発見をしました。
ラルカス「どうやら不思議なことに、生き物なのに付与魔術系のにおいがするのだ」
そこでティエルはカストゥール王国に生体付与を研究する付与魔術師ゴードという人物がいた事を思い出します。
彼はブレストとも知り合いだったので、ティエルの記憶にも残っていたのです。どうやら彼の研究が関係してるらしい。
ティエル「エンハンス魔術ってやつか?」
エンハンスとは古代語魔法十の系統の一つ拡大魔術です。身体能力の拡大・縮小を主とする系統です。
代表的なものは視覚を拡大する"ビジョン"、敵を麻痺させる"パラライズ"、潜在能力を引き出す"フルポテンシャル"。
更には透視する"シースルー"に、物体を念で動かす"テレキネシス"、果ては瞬間移動の"テレポート"等もこの系統です。
ただ身体能力を拡大しただけで瞬間移動ができるとも考え難いので、脳の潜在能力を引き出す超能力?でもあるのかも。
ちなみに言語理解の"タング"が拡大魔術なのに対し、未知の文字を読む"トランスレイト"は基本魔術だったりする。
GM「いや、それとも違って、生物自体を変えてしまうような付与魔術だ」
「猫の手冒険隊」にもありましたが、身体能力を強化するなら拡大魔術、生物を誕生・融合させるなら創成魔術です。
生物自体を変えると言うのはむしろその創成魔術の範疇にあるような気がしますが、それとも少し違うようですね。
元々付与魔術は物体に魔法を付与する訳ですが、人体とて広い意味では物体ですから魔力を付与できそうではある。
創成魔術が元からある生物の原理を利用したものだとしたら、その生体付与は原理を超越した改変なのかもしれない。
ただしこれは魔法王国が健在だった当時ですら異端だと迫害されたとか。何だか四大魔術の派生混沌魔術みたいですね。
更なる詳細を調べる為にティエルは学院の書庫で文献を調べます。
ティエル「おい、フェリオ、お前も手伝え」
フェリオ「最近、冒険ばっかりしてるから、本読むと頭痛くなるの」
ティエル「どんな魔術師だ!」
ちなみに特技《文献調査》は賢者の専用特技なので取得してない。個人的には魔術師なら誰でも取得できていいと思う。
丸一日かけて文献を漁った結果、それらしい本を発見。更に特技《言語》によって解読に成功します。
これでゴードの研究室がルノアナ湖の畔にある事が判明し、触発されて《記憶術》で思い出して裏づけも取れました。
正確にはルノアナ湖の周辺にある沈黙の大湿原ですね。あのカーラの屋敷があり、王国存続時には魔法都市があったという。
勿論現地に赴く事になりますが、ガラテアの扱いに困りました。連れて行くべきか、ここに残すべきか。
ジオレン「ここはリーダーの決断に任せましょう」
ミレウス「……やっぱり、連れていきます!」
これにはガラテアも嬉しそうでした。こっそりミレウスの服の裾を掴んでたりして、着々とフラグを立てています(笑)
あと彼女は推定1レベル精霊使いでもある。正直戦力にはならないけど、互いに力になりたいと思うのは大切です。
ただ彼女がいるとガラドにこっちの居場所が筒抜けになってしまうんですけどね。そこまでは考えていないらしい。
早速一行はラルカス学長の"テレポート"でロイドへ瞬間移動。行きの行程は何だったんだろうという移動速度です。
ロイドの魔術師「話は聞いてます。どうぞ、さっさと立ち去ってください」←めっちゃ迷惑そう
本当に何処に行っても迷惑がられるパーティーです(苦笑)
★ルノアナ湖上空の戦い
一行は再度オッドアイに変身したティエルに乗り、街道を北上して一路大湿原を目指します。
ところが運の悪い事に湖に近づいたあたりでロック鳥に遭遇。うっかり空中戦に突入してしまいます。
ロック鳥とは翼長20mの巨大な鳥形の幻獣であり、竜に次いで恐れられる空の支配者です。
SWでは老竜級の12レベル、こちらでもヒドラと同格の12レベルで、成竜よりも断然強いと言っていい。
本来南の島に生息していて、稀にロードスやアレクラストに迷い込む。鍵爪が1m、卵が直径2mもあるとか。
これだけ強大な幻獣ですが、公式作品には殆ど登場しません。「千夜一夜」のシンドバッドの冒険でお馴染みですね。
このまま空中戦はどう考えてもヤバイ。ただでさえ勝てない相手なのに、撃墜されたら墜落死です。
フェリオ「あたし、鳥に変身して飛び去るよ!みんな、飛び降りたら、"フォーリングコントロール"をかけてあげるよ」
ミレウス「そんな、バンジージャンプみたいなのイヤですよ」←しかもコードレス
仕方ないので根性(集中力)で着陸し、ミレウス達は《アクロバッド》で飛び降りる。勿論ミレウスはガラテアの下敷き。
ロックはやはりティエルを狙ってくるので、その隙に皆は《捜索》で見つけた岩陰に避難。
ティエルもロックにボコボコにシバかれながら囮を勤めきり、頃合を見て変身を解いて森に逃げ込む事に成功します。
何しろロックの攻撃は2D10+10点×4回です。期待値は20.5点×4回なので、装甲が6点のオッドアイでは危ない。
小型の竜のLPは11D10+60あるので、期待値で120.5点。それでもものの数ラウンドもあればほぼ確実に死ぬ。
あとここでのティエルのLPを計算すると170点なんですよね。という事はデータの最大値を使っているんですね。
★ゴードの研究所
ロック鳥から逃れた一行は徒歩で移動し、ティエルの記憶を頼りに研究所があると思われる沼に到着しました。
沼の四方には幻影を発生させる要石があって、この石が研究所を隠蔽しています。これは"ファイアボール"の手袋で破壊。
すると沼の中央に小島が出現し、飛び石を伝って渡れるようになりました。
ティエル「まったく、訪ねてくる友人のことを考えてないんだから」
ミレウス「偉いぞティエル。さあ、亀になって僕たちを運んでくれ」←浦島太郎のごとく
ティエル「飛び石があるだろうが!」
しかしここに来るまでティエルが活躍しっ放しですよ。リザンもそうでしたが、古代王国の知識とは良くも悪くも強大ですね。
ティエル「ちょっと、入り口に罠がないか調べてくれないか、暗殺者?」
スナ「それを人前で言ったら死ぬよ(笑)」
罠はなかったのでそのまま侵入。この手の結界がある遺跡なら、それ自体が下手な罠よりも効果的なセキュリティーですからね。
しかしここは既にガラドの手に落ちていたのです。入り口から階段を下りた先に新種の魔神兵が待ち構えていました。
こいつらが本当にグ○ムリンのように多彩な能力を持っていまして、前に出た奴よりも更に研鑽を積んでいる様子でした。
新種の魔神兵は以下の4種類が確認されました。
爆発:死ぬと大爆発をする爆弾岩的な魔神兵。下手に接近戦を試みると大ダメージを見舞われる粘液:口から涎のように粘液を垂らし、唾のように吐いて岩をも溶かす。
粉吹:背中から翼を生やしていて、攻撃を受けると麻痺性の粉を噴出する。
多脚:蜘蛛のように長い足を複数生やし、壁だろうが天井だろうが移動できる。
あとこの内1匹は炎を吐けるらしい。多分最後の多脚型の魔神兵の攻撃手段だと思います。
当然ミレウス達が負けるほどには強くないんですが、特殊効果や爆発ダメージでジオレンが回復に忙しそうでした。
とりあえず粉吹の麻痺毒ならジオレンの"ニュートラライズポイズン"で解毒できますが、戦闘中では難しいかもしれない
また戦闘後には魔法ではなく特技《応急手当》で回復させます。これは時間がかかる代わりに精神力を消費せず回復できます。
回復量はD6×特技レベルなので、ジオレンでも4〜24点と少な目。でも《癒し》と合わせれば倍になるので結構な回復が可能。
もう1つ気になったのは、《応急手当》中に掌握していた魔神兵が溶けたという事です。死んだ訳でもないのに。
ティエル「まさか自決した?」
ジオレン「そんな知恵はないと思いますが」
フェリオ「不良品だったんじゃない?」
ミレウス「まさか(笑)」
実はそれがかなり正解に近かったりする。新種の開発には成功したが、完成とは言い難いという事でしょうか。
★望まざる再会
階段を下りた後は研究所内を一通り探索して回ります。
ティエル「暗殺者、出番だよ」
スナ「いいかげんにしないと、ギャロットで締めるわよ」
でも発見できたのは罠という程危険ではないもので、入ると自動的に"ライト"がつくだけのただの照明でした。
この時探索した部屋は2つです。
1つ目は書庫。読めば付与魔術師に転職できるほどの大発見ですが、ゴード独自の生体付与の資料は持ち去られてた。
ティエル「焼いてしまおうか」
フェリオ「なんで?持って帰ったら、ラルカス先生、喜ぶよきっと」
ティエル「せっかく、失われた魔術を独占してるのに、この知識が広まったらおもしろくないじゃないか(笑)」
それもまた人情かな。もっともここで持ち帰ったら将来バグナードに奪われる可能性が高いんですが。
2つ目は檻の部屋。生体付与される前の実験動物の成れの果てがありました。ここでは特に発見はなし。
そして廊下の突き当たりにある実験室の前に立つと、ガラドの声で入室を促されました。
入ってみればそこは大き目の部屋で、さっき戦った新種の魔神兵と竜頭の上位魔神が待ち構えていました。
竜頭の下位魔神といえばラグナカングですが、上位魔神にはその上位種?のラグアドログというのがいます。
小説ではナシェルとフラウスが戦った魔神で、その頭部は双頭。でも多分こいつはまた別種のものでしょうね。
そしてガラドの姿はその上位魔神の背後にありました。残念ながら本人ではなく、LIVE中継の幻影ですが。
気になるのはその背後の光景です。そこはマグマが煮えたぎる何処ぞの火口で、竜の骨が横たわっている。
ミレウス「もしかして、その骨は……」
ガラド「そうです。あなたの大切なオッドアイですよ。ふ、ふ、ふ、ふ、ふ、ふ」
オッドアイ、ガラテア、生体付与……。ガラドはこれらを揃えて何を仕出かそうとしているのか。
★ガラドの罠
ミレウス「さっそくですが、叫ばせてもらいます。オッドアイをどうするつもりだ!」
ガラド「究極のスポーンを作成するのに使わせてもらいましたぁぁぁぁ」
その魔神兵の名前はファイアスポーン。竜の持つ炎の精霊力をゴードの生体付与によって魔神兵に付与したもの。
今までの魔神兵はとにかく弱かった。戦闘力は低い上に、時間が経つと溶ける。しかしこいつはそれを克服した。
では何故ガラテアを狙ったかというと、そこまでは答えてくれません。しかし当人は何か気づいた様子です。
ガラテア「わたしが、何者なのか、わかったような気がします」
ティエル「何者なのか教えてくれよ」
ガラテア「命を与える者です。
あなたの竜、生き返らせられるかもしれません。
もっとも、一番重要な力は、あなたが持っていますけど」
ミレウス「どうやるのかわかりませんが、君が犠牲になるっていうのはダメですよ!」
しかし話はそこまででした。色々気になる事を残しつつ、上位魔神ウルグとの戦闘に入ります。
今回の戦闘で何が大変だったかというと、ウルグの戦闘力よりも魔神兵の特殊能力でした。
何しろ主力のミレウスがいきなり粉吹で麻痺し、以後麻痺を解く余裕もなく殴られ続け戦闘不能に陥ったからです。
ジオレンが回復させても敵陣のど真ん中で固まったから、次のラウンドにはまたボロボロ。麻痺を解く余裕がない。
その姿はさながら猫の手4巻のガガロンガー戦のウィンドの如く。キュアー・スポンジとしか言いようがない(笑)
結局下手に回復させても今度シバかれたら死にかねないので放置。しかし敵陣の真っ只中にいるので爆発魔神兵が怖い。
ミレウス「お〜い、万が一そこで爆発したら、僕が死んじゃうんですけど」←心の声
フェリオ「ちぇ、役立たずのくせに」
仕方ないのでフェリオの竜牙兵がズルズルと引きずって回収。戦線離脱してしまいました。
このゲームでは生命点が0以下になると気絶し、以後1ラウンドに1点ずつ減少し、−10点で死亡します。
ミレウスは−4点で気絶したので、死ぬまで5ラウンドかかる。それまでに《応急手当》で止血をすれば助かります。
《応急手当》そのものは《教養技能》で代用できるし、特技を持っていれば確実に成功するという仕様です。
しかしそれでも残された仲間は奮戦しました。魔神兵を倒しつつ、爆発魔神兵を掌握して残りの魔神兵をブロックします。
そしていよいよ暗殺者スナの職人芸が本領を発揮します。ギャロットを持って上位魔神の首を絞めるのです!
デスマスクの時は途中で止めましたが、今回は本気。《背面取り》で背後を取り、ギャロットで首をギューギュー絞めます。
ギャロットは、SWでもそうですが、一度嵌るとなかなか抜けない。上位魔神ですらなかなか抜け出せないぐらいです。
締められる側は《怪力》(モンスターは命中率)、締める側は《特殊武器:ギャロット》で毎ラウンド判定を行います。
これで締められる側のみ成功すれば解ける訳ですが、締められる側は−40もの修正が入るので上位魔神でも60ぐらい。
スナの数値は61あるので、抜け出せる確率は23.4%。抜け出せない程ではありませんが、今回は最期まで抜け出せなかった。
そしてダメージはD10+7点なので、8〜17点。期待値にして12.5点ほどが毎ラウンド素通しで来る訳です。
GM「ついに上位魔神は動かなくなった。窒息死ってやつだ」
スナ「一丁上がり」
上位魔神を絞め殺すなんて、初めて見ました(笑)
上位魔神を倒した後は残った部屋を探索し、いくつかのマジックアイテムとゴードの日誌を入手しました。
アイテムは"フライ"の羽根突き帽子、"ストレンクス"のブレスレット、"マインドリング"のペアリングでした。
空を飛べる帽子と念で会話できる指輪はその都度臨機応変に使い、ブレスレットは前衛の誰かが持てばいい。
あと日誌は大したものではありませんでした。精々生体付与が1時間程度しか持たない事ぐらい。新型魔神兵どもですね。
帰ろうとした時には入り口は閉じていましたが、掌握していた爆発魔神兵を使って爆破。研究所はもうズタボロです(笑)
★最後の休息
ガラドは何処ぞの火口にいた訳ですが、ロードスの活火山はたった1つなので特定できます。決戦の地は火竜山です。
でもこの時代はまだ魔竜シューティングスターが健在なので、下手に近づくと殺されるんですが、ガラドはどうしたんだろう。
ガラテアはすっかり自分の事を理解している様子でした。
ガラテア「生命の精霊が、わたしの身体の中に満ちあふれているんです。
だから、近くで誰か死にかけても、防ぐことができると思います」
ミレウス「無理はしないでくださいね。君に死なれたら……悲しいです」
スナもそれで助かったんですね。溢れる生命の精霊力……そのキーワードで何となくその力の正体が分かりますね。
決戦に赴く前に一行はヒルトの街に立ち寄り、上位魔神の首を売ります。《売買》に失敗したので5万GPに値切られましたが。
SWに高品質の武具があるように、このゲームには上質・最上質の武具というものがあり、魔法でなくても戦力を強化できます。
上質はデータのいずれか1つが+5%/+1点で5倍の値段、最上質は全てのデータが+5%/+1点で20倍の値段となります。
今回は非常時という事で更に倍の値段になっていて、上質でも10倍。でも5万もの軍資金があれば余裕で購入できるようです。
これでミレウスは上質のスケールメイル、フェリオは上質のローブ、ジオレンは上質のチェインメイルを遠慮なく購入。
スナ「みんな、あたいの金なんだよ!ところで、上質のギャロットってある?」
GM「そんな殺しの道具なんか、売ってないよ!」
その手の特殊武器は下手に魔力や高品質で強化するとバランスを崩しかねないので、導入するには要検討です。
この時には既にファイアスポーンが活動を始めているようで、リューナスという漁村が焼き討ちにあったそうです。
やはり炎の精霊力を内包しているだけに炎を吐くらしく、群れをなしているという。もう一刻の猶予もありません。
★火竜山の決戦
決戦の地には再度ティエルがオッドアイに変身して空中から接近します。すぐ気づかれますがどうせ奇襲は無理なんだし。
更にミレウスは羽根突き帽子を装備して空を飛び、フェリオもフクロウに変身。ロックの時の経験を生かして飛行手段は分散。
火竜山に近づいてみると、ガラドと下位魔神4体、更にはゴーレム化したオッドアイの骨が現れます。
ガラド「やはり来てくれましたね。オッドアイとやらを見せれば来てくれると信じてましたよぉぉぉぉぉ」
ミレウス「なんだって、じゃあ、そのオッドアイの死体は幻覚なのか?」
ガラド「いいえ、本物ですよぉぉぉぉぉ。ただし、肝心な竜の力のほとんどは抜け落ちているんですがね」
ミレウス「もしかして、この二つの宝玉のことなのか?」
ガラド「それさえあれば、ファイアスポーンは完全体になりますぅぅぅぅ」
ティエル「まんまとおびき出されたってことか?」
ミレウス「違います!僕は自ら望んで来たんです。オッドアイとの約束を守るために」
1巻から続いた因縁もこれで最後です。オッドアイとの約束、ガラドとの決着をつける時が来たのです。
1ラウンド目、ガラド先攻
オッドアイがブレス攻撃でこんがり焼き、空を飛ぶ下位魔神がミレウスとフェリオに1体ずつ、ティエルに2体接近。
この攻撃でガラテアが転落しますが、直後にフェリオが"フォーリングコントロール"で軟着陸させてあげて一安心。
ところが火口から30体のファイアスポーンが進軍開始。およそ3ラウンドで接近するのでそれまでに状況を変えないと。
ガラテア「わたしをあの死んだ竜に近づけることはできませんか?命を与えることができると思うんです」
ミレウス「そうか!やってみましょう。ガラテアさんを抱えて飛びますから、下位魔神はよろしくお願いします!」
オッドアイを自軍に取り戻せれば、空中戦が圧倒的に有利になる。何よりオッドアイの言葉を知る事ができる。
2ラウンド目、ミレウス先攻
フェリオがカンタマをかけ、ミレウスとガラテアはオッドアイ目指して飛行。他の仲間達が下位魔神をブロックしてくれます。
ミレウス「みんなの協力で、オッドアイに近づけました!」
ところが更に接近するには《運動技能》が必要で、今回は失敗してすれ違ってしまいます。
ガラドは地上へ"マインドブラスト"で精神点をゴッソリ削り、下位魔神とオッドアイはティエルに猛攻を加えます。
GM「オッドアイは、元主人を無視して、ティエルを攻撃する。一番、目立つからね」
ミレウス「無視しないで〜」
GM「ダメージは、13点と21点と16点だ」
ティエル「げっ、三回も攻撃してくるのか!」
ミレウス「成長したんだね。なんとなく嬉しいです」
ティエル「喜ぶな!」
3回攻撃というのはスモールドラゴンではなく、13レベルのドラゴンの数値です。いつの間にか老竜クラスに……?。
3ラウンド目、ミレウス先攻
今度こそ根性(集中力)でオッドアイに接近します。その時ガラテアは黄金樹の枝に変身しながらオッドアイに飛んでいく。
更に金の宝玉と銀の宝玉もオッドアイへと飛んでいき、生命の精霊力と竜の力を取り戻したオッドアイは元の姿に蘇生します!
ミレウス「オッドアイ!よかった……」
オッドアイ「我が肉体が滅びようとも、竜騎士との絆は永遠なり!」
ミレウス「ウルウル。その通りだよ」
オッドアイ「我に命じよ。敵を滅ぼさんと」
ミレウス「オッドアイ、ゴー!」←ファジーな命令
愛竜オッドアイを取り戻した今、彼女に騎乗して共に空中戦ができる。いよいよ竜騎士ミレウスの真価が発揮される。
何しろミレウスが3回攻撃、オッドアイも3回攻撃ができるので、合計6回攻撃が可能。ガラドにだって劣らない筈です。
しかしそれじゃあガラテアは何だったんだろう。黄金樹の枝の化身だったのか、黄金樹を付与された女の子だったのか。
バルデンの反応を見るにガラテアという女性は実在したと思います。なら後者だったのかもしれませんね。
黒子が無くなっていたのは黄金樹の生命力を付与された影響かな。そして今はミレウスの為に黄金樹そのものになった……?
これで仲間達は戦略を練ります。ミレウスの羽根突き帽子をジオレンが貰ってスナと一緒に飛び、フェリオは"レビテーション"。
こうすれば地上には竜牙兵と掌握した魔神のみが残り、それで接近するファイアスポーン軍団を迎え撃てばいいのです。
この時点でティエルが下位魔神の1体を火口に叩き込んでいるので、空中戦ができるのはガラドと下位魔神3体のみです。
もっとも空中戦は相手もお手の物。空を飛ぶ仲間達に次々に攻撃が加えられ、ミレウスですらガラドの魔法で精神点を削られる。
4ラウンド目、ガラド先攻
ここがかなりタイトロープでした。度重なる攻撃でフェリオは気絶寸前で、根性(集中力)で回避しなかったら本当に危なかった。
一方ガラドは直接戦闘は避けて、あくまでも"マインドブラスト"でミレウスを狙う。これではあと数ラウンドで気絶してしまう。
これを乗り切ったフェリオは下位魔神の1体を掌握し、ティエルも1体をシバキ殺す(多分)。でもジオレンの回復はイマイチ。
スナ「ガラドって魔将だから1000000GPだったよね。
ジオレン、後ろに回り込めない?また、ギャロットでギュって……」
ジオレン「それは無茶というものですよ」
流石に魔神将を絞め殺すのはね(苦笑)
そしていよいよミレウスとオッドアイの初めての空中戦です。
ミレウス「オッドアイ、ガラドを倒すんだ!」
GM「具体的に指示してよ。ガラドに抱きついて、一緒に火口に落ちようか?」←やめろ
ここは普通に攻撃です。オッドアイの攻撃が2発命中し、ミレウスは《特殊武器:ランス》を含めて3回攻撃が命中。
ランスを使用する際は《乗馬》か《乗竜》に成功しなければなりませんが、その代わり最初の1回のダメージが倍になる!
これによって僅か1ラウンドに100点近いダメージを叩き出し、装甲を考慮してもかなりガラドを削る事ができました。
これが堪えたガラドはファイアスポーンを身体に纏う。魔神兵は互いに溶け合いながら赤い竜の姿に変身します!
その姿は魔竜シューティングスターに似ている。この時点でオッドアイ、ティエル、ガラドと竜が3匹の怪獣大決戦(笑)
5ラウンド目、ガラド先攻
赤い竜となったガラドはオッドアイに強烈な一撃を見舞いますが、ミレウスは《乗竜》で転落を免れます。
フェリオは掌握した下位魔神を最後の下位魔神にけしかけ、ティエルが更に攻撃を加えてこれを倒し、残るはガラドのみ。
ミレウスとオッドアイは更にランスチャージも使ってガラドに反撃。またも合計100点近いダメージを叩き出す(強)!!
どうやらこの赤い竜の装甲は本物のそれほどではないらしく、これだけで剥がれ落ちてガラドの身体が露出してしまいます。
6ラウンド目、ガラド先攻
ガラドは装甲を捨てて火口に向かい、再度ファイアスポーンを呼び出して装甲を纏おうとします。
ここでティエルは一か八かの賭に出ます。フェリオに"レビテーション"をかけて貰い、ガラドに抱きついて火口に一直線!
SWの"レビテーション"は術者のみを浮遊させますが、このゲームでは他者にもかけられる。ただし操作は術者が行う?
つまりフェリオがタイミングを図ればティエルをギリギリで火口から上昇させる事ができるのですが、何とも危険な賭けです。
7ラウンド目、ミレウス先攻
ここではフェリオとティエルが2人とも《運動技能》に成功すればタイミングを図れた事になります。
フェリオ「(コロコロ)成功したよ。あとは、お願い」
ティエル「(コロコロ)成功!ガラドを踏み台にして上昇だ!」
これでガラドは悲鳴を上げる事もできず溶岩に呑まれて死にました。長い戦いに決着がついたのです。
ミレウス「やったよ、オッドアイ。ガラドを倒したよ!」
ティエル「倒したオレが、本当の主人公だったようだな(笑)」
スナ「あ〜っ!」
フェリオ「どうしたの?」
スナ「ひゃ、ひゃ、1000000GPぐわぁ〜溶けてしまった〜」←卒倒
まぁ下位魔神が数体いるから、そこそこの収入になりますよ(笑)
しかしガラドを倒した後、オッドアイの身体から黄金樹の枝と宝玉が分離してしまいます。
ミレウス「ということは、また死んじゃうの!?」
オッドアイ「泣くことはない。さきほども言ったように、
我が肉体が滅びようとも、竜騎士との絆は永遠なり!」
ミレウス「前に死んだときも、そう言いたかったんだね。わかったよ。僕たちは、永遠に一緒だ!」
竜騎士と竜は竜笛で繋がってるんじゃない。心で繋がってるんです。小説の竜騎士を見てもそう思えてならない
これでこの物語は一旦終了です。でも彼らの戦いは続いていく。最後にエピローグの文章をノーカットで記載します。
こうして、竜なき竜騎士ミレウスは、みずからの力と、オッドアイとの絆を確かめることができた。
百の勇者の戦いと呼ばれる、魔神との最終決戦において、それがどれだけ彼の支えとなったことか。
また、暗殺者スナも、最も深き迷宮へと挑むことになった。
金にならない殺しはしないよとつぶやきながら、魔神王の首を狙って。
癒し手ジオレンは、その類い稀なる治癒能力によって、百の勇者たちを支援した。
魔神に負わされた深手も、彼の手にかかれば、かすり傷のようなものだったという。
召喚魔術師フェリオは、この後アラニアへ帰ったという。
女性には、世界の滅亡を防ぐよりも大切な仕事があるのだろう。
こうして、魔神王を倒すべく、百の勇者たちの戦いは始まった。
別の勇者の物語を語る機会もあろうが、今はここに筆を擱こう。
勇者に魔法の武具を与えし者 ティエル
この通りこの物語の語り手はティエルでした。立派な二つ名まで名乗っちゃって、すっかり付与魔術の第一人者です。
小説の「最も深き迷宮」での戦いでは多くの勇者が倒れ、六英雄とフラウスが魔神王を倒しました。
しかしこの物語では必ずしもそうなるとは限らない。ミレウス達が更なる武功を挙げて帰還する可能性だってあるのです。
TRPGは物語を創造するゲーム。誰かが決め付けるものではなく、彼ら自身の力で道を切り開いて行く事ができるのです。