「アドベンチャラーに任せとけ!」著:清松みゆき/グループSNE 出版社:富士見書房
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今回の成長は無し。何故ならば前回の経験点をまだ貰ってないからです。次の第6話で、4話・5話の分をまとめて貰えます。
何でも4話と5話のシナリオを立て続けに遊んだからだそうですが、それだと休憩込みで総プレイ時間はどんだけになるのやら。
★行く先々は事件ばかり〜謎のオーブを手に入れて
川を渡った一行はようやくミラルゴに入国し、ファーズ⇔ヴァンカーを繋ぐ「白い霧の街道」を使って更にミラルゴの奥地へ踏み込みます。
入国、とは言っても見渡す限り草原が広がってるだけですけどね。別に国境線になるような関所とかもないし、入るも出るも自由なもんです。
これだと街道を外れてレンジャー技能やセージ技能で方角を確かめられないと迷いそうですよね。360°地平線の広がる草原だと目印も無いし。
まぁ入国してもトラブルに巻き込まれるのはいつもの事でした。彼らに先行する馬車が賊の襲撃を受けていたのです。
見かねて助太刀に走ると、すぐさま賊は逃げてしまいました。しかし何だってこう行く先々でトラブルが起こるのやら(苦笑)
今までは単純に彼らが馬鹿正直に真っ直ぐ進むから、敵も待ち伏せしていただけですが、今回は偶然なのか策略なのか微妙なんですよね。
彼らが助けたのは恰幅のいい珍品専門の商人のオジサンでした。彼が言うには、賊は「オーブをよこせ」と言っていたそうです。
そのオーブは彼がミラルゴに入った時、謎のケンタウロスが接触して売ろうとしてきたので、500ガメルで購入したものだそうです。
オーブの入っていた袋を開けてみると、「まったき祭壇においてこそ、力あり」と共通語で書かれた注意書きも添えてあって……実に妖しい(笑)
ステラがセージ技能で鑑定して6ゾロを振った結果、魔法装置のモニターのようなものだと判明します。しかも人間が作ったものでもない。
これ単体では何の力も無いけど、別の魔法装置と組み合わせて使う事で、"遠見の水晶球"のように遠くの光景を映し出せるんですね。
しかし何の装置かは不明です。ただの千里眼かもしれないし、瞬間移動かもしれないし、……ひょっとしたら呪殺のような物騒なものかも。
このフォーセリアにおいては、人間だけが古代語魔法の使い手ではありません。幻獣やら魔神やら竜やら、色んな使い手がいます。
ケンタウロスもまた、かつては独自の魔法文明を持っていました。その正体は「SWサポート2」で断片的に語られるのみです。
毒薬のケンタウリ・ブラッドもケンタウロスの賢者が作ったそうだし、彼らも人間と同じように、知恵を持った種族という事です。
言語においてもその痕跡は認められます。ケンタウロスの言語には、上位ケンタウロス語と下位ケンタウロス語があるのです。
下位の方は現在の彼らの公用語です。上位は魔法語であり、古代語魔法を伝えるケンタウロスのような、限られた者しか知りません。
上位古代語との関連は定かではありませんが、きっと似たようなもんでしょう。魔神だってカストゥールと同種で独自の魔法文明を持ってるし。
しかし上位ケンタウロス語が、古代語魔法とは異なる体系の魔法を使える言語だとしたら?。考えてみるのも面白いかもしれない。
「SWサポート2」によれば、ケンタウロスとは神々の大戦の後の暗黒時代において、他の種族の王国より1つ上の技術や知識を持っていたとか。
カストゥール王国の「創設者」である10人の賢者が上位古代語を作り出す時にも、彼らとの交流があったといいます。
何しろこの時代のケンタウロスは、人間より優れた魔法文明を持っていましたから。「創設者」の中にもケンタウロスに師事した人がいたとか。
またケンタウロスも人間達との交流で得る事は多かった。実は元々上位ケンタウロス語には文字が存在しなかったのです。
だから上位古代語を学んだ事で、口承以外に上位ケンタウロス語を伝える方を学んだそうです。……やはり上位古代語と互換性がある?
それは中身が=で文字のみを学んだのか、あるいは異なる部分もあってそこも学んだのか。ジャイアント語と同じく、また謎が多いですね。
ちなみに、そういう風に人間に先んじていたケンタウロスが後にどうなったかというと、エルフやドワーフ等と同じく種の衰退に襲われました。
エルフやドワーフが物質界への適応圧力により種族として衰退したように、彼らもまたどんどん落ちぶれていくようになったのです。
短命になり、知恵にも劣り、魔法技術や上位ケンタウロス語も失われ……。ついには王国を維持できず、今日のような流浪の民となりました。
先んじていたケンタウロスの王国が衰退した事で、ある意味カストゥール王国が栄える一因になったんでしょうね。もし勢力を維持してたら…?
★妖しいフード男現る〜はるか、草原で
で、このオーブをステラ達は譲り受けたのですが、これがマズかった。何故ならば本来このオーブは奪われなきゃいけなかったんです。
目の前でオーブが奪われ、その正体を知り、「まったき祭壇」にそれを収める事で何かの害が及ぶ事を考えて現地に向かう……という筋書きでした。
それは次の"四元素""火"の作戦です。何処からが仕込みか分かりませんが、商人さんは偶然利用された般ピーという可能性もある。
しかしGMがド忘れしちゃったんですよね。その為にオーブを奪還すべく、色んな努力をしなければならなくなったのでした。
オーブを持ったまま旅をする一行は、数百人規模がいると思われる街に到達します。街と言っても空き地に建てられたテントの群れですが。
第4話で名前が出てきた主要都市ほど大きくはありませんが、きっと光景は似ている筈。この牧歌的な光景がこの国の街なんですね……。
ふと気になったのですが、この国にも他の国で見かけられるような「冒険者の店」ってあるんでしょうかね?
場所が場所だから需要が全く無いという事もないと思うんですよね。人の流動も激しいだけにトラブルだってあるだろうし。
仕事上別に遊牧する必要は無いからテントではないと思いますけどね。ただ1階食堂で2階宿屋の店があれば目立ちそうです。
一行はこの街でタウちゃんの部族の情報を収集しようとしました。ちなみに部族の名前は「短い尻尾」という部族です。
これは別に彼らが短い尻尾を持ってるという訳ではない。ただそういう名前なだけ。他にも「四白」やら「胴長」といったのがいるらしい。
ちなみにチップの故郷であるアザーン諸島はマフォロ島もまた、グラランやケンタウロスが生息する緑豊かな島です。
この島にもケンタウロスの部族が複数あって、「斑尾」「緑の風」「岩を割る蹄」「夢見の瞳」「黒いたてがみ」という部族がいるんですよ。
しかしこれが上手くいかない。何しろマイナーな小部族です。その辺の人を捕まえてもなかなか知っている人はいないんですよね。
定住者の鍛冶屋のジャンクという人が「黄色のたてがみ」という部族に詳しいそうですが、単にその部族だけを知っているだけでした。
ケンタウロスの事はケンタウロスに聞くのがいいかもしれませんが、その「黄色のたてがみ」も街に帰ってくるまではひと月もかかる。
1週間程度の場所にいるからこっちから行くか……と思いつつ、日も暮れてきたので、お食事処の巨大なテントに入りました。
するとすぐ隣に謎の男が座り、こっちに聞こえるような独り言で、「まったき祭壇」の場所と危険性を教えてくれました(笑)
妖しい、これは来いと言われてるとしか思えない。ちなみに男を尾行したグラスランナーズは途中で撒かれてしまいました。
チップは途中で1ゾロ振って撒かれ、ピルペ(マイス)は賭博場まで追いかけただけで帰ってきてしまいました。まぁ中身マイスだから。
もしエースも含めて3人で尾行していたら、2人が表と裏を見張って、1人が報告に帰るという事もできたのにね。シーフが多いからできる事。
そして街を出た一行は「黄色のたてがみ」と接触し、「短い尻尾」は更に北の方の部族である事だけを知るのでした。
しかし正確な事は分からないので、やはり首都グラードにでも行くのが適当だと勧められます。あるいは「まったき祭壇」で調べるか(笑)
さり気なく祭壇に向かうよう誘導しているのかな。謎のおじさんやら、ケンタウロスやら、別のペイントの部族(後述)やら、会う人皆言ってる。
ついにはオーブを奪還すべく強硬手段にまで出ました。またもや夜襲で、寝ている所に10本の矢が降り注ぐという無茶振り展開。
これがまた寝てる人は避けられないし、起きてても不意打ちだから11+4で目標値15だし、なかなかに鬼畜な攻撃でした(笑)
ちなみに矢のダメージは8点。2レベルの能力値オール+2だと考えると、打撃力17+4程度だから、まぁまぁ納得できる数値です。
攻撃点が11だから7引いて基準値4。そこから2レベルの+2程度だろうと推測しました。打撃力17なのは、ボウの打撃力は必要筋力+5だから。
起きた一行は白兵戦で迎え撃ち勝利。逃げる一人をリーダー(マイス)の、達成値15(出目10!)"ホールド"で捕獲します。
彼はただ"火"に雇われただけで、元素部隊ではない。ちなみに"火"と思われる人は、どうやらテントであった妖しいオッサンらしい。
ペイントをした、魔法も使う槍使い。なんかラーンとキャラが被ってるような気もしますね。しかし今は放置プレイを食らわせて置きます。
★"風"、正体を現す
そして一行はヴァンカーの街に到着しました。ヴァンカーは、公式作品では目立たない街だけど、実は湿原の北に位置する港街だったりする。
"一千の橋の街"と呼ばれるほどに橋が多く、水路を行く小船が主な交通手段だと言いますが、今回は全くそういう描写は出てこない。
この街で一行は弓を購入。そう、SWでは魔法より飛び道具の方が飛距離がある。だから場合によっては魔法よりも有効なんです。
特にミラルゴのように遮るもののないような野っ原ではね。相手に飛び道具がないと、遠くからビュンビュン矢を射るだけで一方的に攻撃できる。
丁度これまでの彼らがそうなんですよね。ミンクスのクロスボウが一時大活躍しましたけど、ラーンのような主力戦士が持ってないのはね。
ちなみに飛び道具にはそれぞれ最大到達距離があり、ロングボウなら120+必要筋力×5mまで届くんですよ。魔法の30mとか目じゃない。
とはいえ遠くになるほど当て難いのは当然の事で、投擲武器は20mを越える1m毎に、射撃武器は100mを越える5m毎に、攻撃力−1。
だからラーンの場合、筋力は18だから最大到達距離210m!にもなるけど、それをやると攻撃力−22!というとんでもない事になる。
なおこの街でステラはピルペに予備のダガーを買ってやりました。必要筋力は2なので、40ガメル。グラランは装備も安上がりですね。
はい、これでピルペもステラの下僕です。この恩を忘れず、一生盾としてチップと並ぶのです。……たったの40ガメルで(哀悼)。
ちなみにエースは単独行動をしていました。化粧道具の補充……ではなくギルドに顔をつないでいたのです(あるの?)。これは伏線なのかな?
その後もオーブを狙って夜に闖入者などもいますが、バレてシバき倒されてアッサリ撃退。渋い中年男が遺跡で待っているという情報がまた…。
こうも何度もオーブ奪還に失敗すると、GMとしても最後の手段を使わざるを得ませんでした。それは彼らにとって残酷な事でした…。
ミンクスとエースが夜の当直を勤めていると、エースは用足しに姿を消し、直後に達成値16"スリープ・クラウド"が飛んでミンクスお休み。
この時はミンクスが精神抵抗で15を出してから、サイコロを振った様子もなく16と言っていましたが、多分GMの裁量でその数値にしたんでしょう。
そしてオーブを持っていたステラがペチペチと頬叩かれると、そこに立っていたのは"疾風の"エース……もとい"風"でした。
"風"は"火"が間抜けなのを見かねて、オーブだけを奪って立ち去ったのでした。ラーンに「エースは愛していた」とだけ残して…。
ああ……まさか味方NPCが裏切り者で敵幹部だったとは。しかも微妙にカッコイイ。少なくともグレゴリーよりかはカッコイイ(笑)
お陰でラーンがちょっと茹ダコですよ。カラー挿絵では赤い薔薇を加えてポーズを決めてて、改めて見ると何故かカッコ良く見えるし。
清松先生曰く、NPCの裏切りは推奨できないそうです。何故ならばGMはPLの推理能力を把握できないものだから。
伏線が足りないと不満が残るし、伏線が多過ぎるとすぐバレるし。しかもPLの推理能力なんてその時その時でマチマチですしね。
今回は伏線不足、なのかな。伏線の量が適当で、PLが思わず納得してしまうような裏切りなんて、確実にできるもんじゃないんでしょうね。
さて"風"/エースの設定ですが、化粧(ペインティング)が重要になってきます。"四元素"の部族は皆がしている化粧には、ちゃんと由来がある。
彼らは人生は転生を繰り返す仮のものであり、素顔を晒すと転生を繰り返す筈の魂を染めてしまうと考えているのです。
だから化粧(ペインティング)をして、魂を汚れから守っているのです。化粧が汚れを吸収してくれる、という考えですね。
これそのものは俗信?です。旅の途中で出会った、他の化粧をする部族の人は、自分は自分で他人は他人だと割り切ってましたけどね。
しかし中には本気で信じている人もいるから、ちゃかすと機嫌を損ねます。"水"が自殺したのも、自分の魂を汚さない為だったんですね。
しかし"風"はこれを自己暗示にまで昇華する事に成功しました。化粧を落とす事で記憶を失い、化粧で取り戻す事ができるんです。
ただし時々吹き出るので、"疾風の"なんて二つ名を名乗ったり、「大きな事をする」などと大口を叩いてしまうんです。
なお彼はエースである時にもうっすらと白粉をしています。自己暗示をしていてもやはり魂を汚さない為ですね。化粧道具もその伏線。
とにかくエースは"風"として彼らの敵になってしまいました。一行は"火"との決着をつけるべく、「まったき祭壇」へと向かいます。
★遺跡の番人〜遺跡の決戦!
「まったき祭壇」の遺跡にやってきた一行は、崩壊した石の柱や彫刻の中でケンタウロス型のストーンゴーレムと遭遇します。
こいつは遺跡につきものの守護者であり、例の上位ケンタウロス語で呼びかけないと、侵入者と見なして攻撃を仕掛けてきます。
試しにタウちゃんが呼びかけてみたのですが、やはり上位ケンタウロス語を知らない彼女では、ゴーレムも言う事を聞きやしません。
そこでセージ技能で調べてみたところ、こいつはモンスターレベル5ぐらいであると見切ったので、実力で排除する事にします。
こいつはケンタウロス型なだけに、槍と蹄の2回攻撃が売りです。本来のケンタウロスもそういう攻撃をしてきますよね。
ところが戦闘が始まるやリーダー(マイス)の"ホールド"が炸裂し、早々に足が封じられ、ラーンやミンクスの破壊力で地道に粉砕されました。
こいつも一応石だから、槍や斧ではクリティカルはしないんですけどね。《刃のついた武器はクリティカルしない》だったのかな?
ゴーレムを退けた一行は更に奥を目指します。周りには石柱が並び、ここはタイガーバームガーデンかという彫刻もあるんだとか。
この遺跡もまた、かつてのケンタウロス達が作ったものなんでしょうかね。もしかしたら現在では遺失となった技術や魔法も使われている。
ちなみにタイガーバームガーデンは香港とシンガポールの2ヶ所にあったのですが、香港の方は取り壊されて高層マンションになりました。
そして彼らは一際大きな祭壇に到達します。両脇には左右3本ずつ、計6本の石柱が並び、右の一本は折れています。
祭壇にはあの妖しいオッサンがいて、残った5本の石柱の裏には2人ずつ、計10人の部下がズラリと揃っていました。
もし気づかずに進んでいたら柱の下敷きになっていたかもしれませんが、グラスランナーズのお陰で命拾いしましたね。
こうして"火"?とその部下達との戦いが始まる訳ですが、数の暴力は恐ろしい。元々エースがいる事を前提としたバランスでしたしね。
部下達は雑魚とはいえ、こう数が多いと壁が足りない。溢れた部下が戦線を尽きぬけ、後衛の魔法使いに肉薄しかねません。
チップが部下を3人引きつけ、ミンクスが"火"と部下1人を、ラーンとグレゴリーが部下を3人ずつ引き受ける事になってしまいます。
ピルペがオーブのある祭壇にダッシュしてしまったとはいえ、ファイター1にして回復役であるグレゴリーまで前に出なきゃいけないのはキツイ。
グレゴリーじゃあ《防御専念》でもしないと避けきれないし、それをやっちゃうと"キュアー・ウーンズ"も使えないし(苦笑)
本来は部下達をエース含めて盗賊3人が防ぎ、その隙にラーンとミンクスが"火"と戦う予定だったんですけどね。ままならないもんですね、TRPG。
実際やってみると、いきなりリーダー(マイス)の"コンフュージョン"で"火"?がパーになったので、ちょっとイケると思った。
しかし何が問題かって、「倒される」事ではなく、「倒せない」事の方がキツかった。実際雑魚だから倒される心配はあまりない。
むしろラーンやミンクスの攻撃力をもってしても、なかなか相手を倒せず、他の援護に回れない事でじれったい戦闘になりました。
しかも倒せない状態が続くと、本来弱い筈の敵の攻撃も地味に効いてくる。1点2点でも数が重なると結構冷や冷やもんですね。
更に更に、本物の"火"の登場で混乱はピークに。あのオッサンは偽者で、本物の"火"はケンタウロスだったのです!
実は彼はタウちゃんのお父さんの従兄弟で、タウちゃんの親戚に当たる。しかし権力闘争に破れ、敵部族に身を寄せたんですね。
上位ケンタウロス語も知っていて、ゴーレムも素通りできたんです。商人さんにオーブを渡したのもこのケンタウロスかな?
ちなみにその実力は、ファイター4、ソーサラー2以上。筋力は19といいますから、これはケンタウロスの平均値ですね。
ケンタウロスもまたダークエルフやリザードマンのようにPC化可能の種族で、ちゃんと能力値の計算式もあるんですよ。
平均を取ると次のようになります。器用度14、敏捷度14、知力14、筋力19、生命力19、精神力13、ですね。
筋力と生命力は人間を上回り、精神力は少しだけ劣る。基本的には人間よりも優秀な種族なんですね。リザードマンに近いかも。
こいつがいきなり突っ込んできたもんだから大慌て。しかも戦闘オプション《突撃》と、"ファイア・ウェポン"まで使って。
スピア/2H(19)は打撃力24で、《突撃》で+10、"ファイア・ウェポン"で更に+10で、計打撃力44+7という一撃です。
7振って17点も出る攻撃でしたが、出目が3と腐っていて13で済みました。これをミンクスが受けて、8点止めて5点止まり。
"火"はまっすぐタウちゃんを狙っていたから、それを守る為にミンクスは後ろからの攻撃覚悟で目の前の敵に背を向けたんです。
それをやると回避力−4になるから非常に危険なんですが、なんと奇跡的に6ゾロで回避しました。地味に目立っていますね。
それに対してラーンは派手に目立っていました。ミンクスが"火"の攻撃で気絶した所で参戦し、"火"をズンバラリンです。
思えば"地"も"水"もラーンが倒したんですよね。ミンクスはいつも中途半端に活躍して怪我するだけで戦果はあまりない(笑)
あとここでは"風"の援護が入りました。戦闘バランスを思いっきり崩したGMなりのエクスキューズというか、補填というか。
"火"の槍にかかっていた"ファイア・ウェポン"をディスペルで解除し、壁になるストーン・サーバントを投げ込んだりとね。
"風"は以前"クリエイト・イメージ"を使っていたから、最低ソーサラー3ですしね。あの指輪の発動体も、元々彼のだったのかな。
すると魔術師の家に忍び込んだというのも口から出任せだったのか。あるいは本当に忍び込んで盗んだものだったのか。
ここではステラがあの時の幻影は"イリュージョン"だと言っていますが、それだと"風"はソーサラー5という強敵になってしまう。
こうして"四元素"の3人目"火"を倒した一行でしたが、"風"は「次は俺だから」という手紙だけを残して、その場から去ってしまいました。
次に待ち受けるのは、"四元素"最強にしてかつての仲間である"風"です。果たしてエース/"風"とラーンの関係はどうなるのか!?
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今回の成長はステラがセージ1→2、下位ケンタウロス語を習得。それとマイスがレンジャー3→4です。
あとグレゴリーはラーンへの恋心がレベルアップとかほざいていますが、それはラーンの方のレベルが上がらないと意味がない(笑)
ああ、今思えばやっぱりエースってカッコよかったですよね。グレゴリーもPCのくせに、NPCに存在感で負けるとはどういう事だ。
★謎の金ぴか盗難事件〜ラーンへ送る愛のメッセージ
例のオーブと「まったき祭壇」を確保しましたが、使用には上位ケンタウロス語が必要なので、結局使う事はできませんでした。
だからタウちゃんのお父さんを探し出すとか、タウちゃんをそこへ瞬間移動させるとかはできない。今まで通りに足で探すしかない。
無難に王都グラードを目指す一行は、行く先々で「金ぴか盗難事件」が起きている複数の部族に接触します。
この辺りの部族では、族長に金ぴかの品物を贈るのが慣習になっているそうです。とはいえ純金みたいな高いものではないし、魔力もない。
盗まれたものは、人間の部族では兜や弓なんかがある。ケンタウロスの部族では、物ではないけど族長の尻尾が切られたりしたんですよ(酷)。
ちなみに族長の毛並みは雄花栗毛だそうな。馬には疎いんでよく分かりませんが、一番金ぴかに見える種類の色らしい。
切られたといっても別に痛くもありませんけどね。髪の毛を切られたようなもんだし。しかし怒り心頭で、犯人は絶対に許さないでしょうね。
ちなみに接触は黄門様(ステラ)と助さん・格さん(チップ・ピルペ)が担当。…どっちかと言うと両方うっかり八兵衛って気もしますが(笑)
リーダーは矢七とか自己申告してましたが、こんなイエスマンな矢七は要らん(笑)。どっちかというとエースの方がそれっぽい。
あとミンクスはかげろうお銀とか言ってましたが、それもどっちかというとラーンっぽい。ミンクスは悪代官に苦しめられる町娘かな。
この際メンバーにグラスランナーがいるもんだから、所持品チェックなどをされました。失礼ですが、グラスランナーだから仕方ない(苦笑)
彼らは天性の盗賊で(初期技能でシーフ1だし)、好奇心の固まりですからね。金ぴかの品物じゃあ、盗みそうっちゃ盗みそうだし。
挿絵ではグララン2人がミンクスに振り回されて、所持品を撒き散らしている様子が描かれていますが、よく見ると色々面白いもの持ってますね。
サイコロ、本、虫眼鏡、木槌、テンガロンハット?等はいいとして。豚の蚊遣りとか、ハクション大魔王の壷とか何処で見つけた(笑)
しかしこれこそが"風"の陰謀だったのです。"風"は夜中に彼らの野営地に接近し、ラーンの荷物に盗品を入れたのです。
"風"が《忍び足》を使ったとすると、それに気づくには冒険者レベルですね。でも本編ではレンジャー+知力、《聞き耳》や《危険感知》と一緒。
そして被害者の部族に、ステラ達が旅の盗賊団であるという偽情報をリークし、翌朝には一行は盗人の容疑で捕まってしまった訳です。
圧倒的な数と戦力と、ついでに誇りを持つ部族というものを利用した点、今までの刺客達とは違いますね。"四元素"最強なだけはある。
こうして一行は「裁きの洞窟」という所で、自然の裁きを受ける事になるのです。洞窟から無事出てきたら無罪というパターン。
まぁ牧歌的な遊牧民らしい司法(か?)ですよね。ただこれじゃあ力のある奴は何しても許される事になる。ミンクスみたいのがのさばりますね。
却下されたけど、ステラがオラン流の裁判を要求していました。証拠と論理を基準に、双方が主張を行い、陪審員が判断するというやつ。
本当にオランにそういう裁判制度があるのかな。ちなみにファンドリアでは、検事や弁護士もいる裁判がとても盛んだったりする。
封建制から絶対王政への過渡期にある大陸の文化だと、貴族や王族といった統治者か、その代官の裁量で決まってもおかしくないとは思う。
それから一行は周りを大勢の人達に囲まれながら、「裁きの洞窟」まで4〜5日かけて歩く事になったのです。
その間にも、夜になると"風"がやって来ました。毎日魔法で姿を消して近づき、小枝で地面にメッセージを残していきました。
彼が魔術師ならば"カメレオン"だか"コンシール・セルフ"ですね。精霊使いなら"インビジビリティ"だけど、多分違うと思う。
これらの魔法は基本的には装備品も消える。ただし本人が意識していないと消えない。だから"風"が手に持っていた棒だけ見えてました。
魔法と併用でシーフ技能も使ってるせいか、やはりレンジャー技能で気づくかの判定もしますが、メッセージを見たいので気づいても放置です。
メッセージは最初は「熊に気」でした。途中で気づいたグレゴリーが邪魔したから、エライ中途半端な所で終わってますね。
「熊に気をつけろ」だと、エースの心が助けようとしているのか、"風"の心が騙そうとしてるのか。まぁ「熊に気合で勝て」かもしれませんが(笑)
なお2日目は「力を尽くさねば危ないぞ」で、3日目は「最後は走れ」で、4日目は「水は避けろ」でした。どこまで信じていいのやら。
罠だと思って警戒してもいいけど、人のいい彼らはエースの方を信じたいのか、結構メッセージに従うようにしてたのが切ない。
★洞窟の中は危険がいっぱい〜チップ魚の餌になる?
長々と歩かされた挙句、一行が放り込まれた「裁きの洞窟」は鍾乳洞でした。水に浸食され易い石灰岩でできていて、中に川もある。
その空洞ができ易い性質からか、この手のゲームにはよく出てきますよね。「サーラの冒険」とか、「秘境伝説クリスタニア」とか、色々と。
なおこのセッションの直前に、SNEの社員旅行であの有名な秋吉台の秋芳洞に行ってきたんだとか。秋芳洞も中に川が流れてるそうです。
また鍾乳洞は水に浸食されやすい為に、とても湿っていて非常に滑り易い。何やら清松先生も滑った経験があるようで。
さてこの洞窟ですが、入ってすぐ右側に川が流れてるんですよね。一行はメッセージに従ってこの川を避けて左へ左へ向かいます。
ところがこの洞窟は、川を渡らないと出られないんです。やはりあのメッセージは、一行を消耗させる為の罠だったんですね……。
勿論入口に入ってすぐに出て、「無罪〜」とかいう事はできません。後ろから生木をガンガン燃やして燻すので奥に進むしかない。
なお行き止まりに突っ込もうものなら、煙が渦巻いていて目を真っ赤にさせるだけですね。……ああ、メッセージを無視して川に行っていれば。
結局一行は、戦う必要もない洞窟の住人達を全部相手にする事になりました。洞窟熊とか、コウモリとか、大ナメクジとか、大ムカデとか。
これらと遭遇した時、サイコロを振って腹具合を確かめた上で反応を決めるというのも、動物系のモンスターではよくある事ですね。
満腹なら戦わず、空腹なら襲ってくる。問答無用で喧嘩を売ってくるようなモンスターよりかは、いくらか共感できる。
洞窟熊はグリズリー(3レベル)と同じデータです。こいつを乱入させて慌てさせ、敏捷度判定で何人かすっ転ばそうとしたんですね。
ところがいきなりリーダーマイスの"ホールド"が決まって動きを封じられ、買い込んでおいた飛び道具の集中砲火を受けて死亡(笑)
コウモリは推定バンパイア・バット(2レベル)です。翼長2mのコウモリというと、ルールブックではこいつぐらいです。
大ナメクジはジャイアント・スラッグ(4レベル)で、大ムカデはジャイアント・センティピード(2レベル)で、いずれも快勝。
戦闘について言えば、こういった動物モンスターは精神点が低い。よってマイスの"シェイド"が非常に役に立つんですよ。
精神点が6点前後で、クレスポ並ですからね。マイスは抵抗されずに7振ると7点出すから、4レベルのナメクジだって2発で倒せる。
あと目立った戦法では、コウモリとの戦いでステラが"リプレイス・サウンド"で超音波を誤魔化し、追っ払っていました。
コウモリといえば、超音波を飛ばす事で周囲の状況を把握する訳ですから、一応効くんでしょうね。"サイレンス"とかも有効かな?
あとラーンが、冒険者+筋力でコウモリを無理矢理引き剥がし、更には地面に叩き付けて踏み殺すという残虐ファイトを披露(笑)
そうして川以外の場所を制覇してしまった一行は、意を決して川を遡って出口を捜すのですが、ここで強敵に遭遇しました。
その名も淡水キラーケイブうつぼ。清松先生オリジナルのモンスターであり、完全版ルールブックにも載っていません。
うつぼによく似ているが、デカくて淡水に棲んでいます。レベルは4。武器はノコギリ状の歯で、1ヒットで2回ダメージが行く。
どういう事かというと、一度攻撃が命中すれば「噛む」上に、その歯で敵の肉を「そぎとる」という2つの攻撃になるんですね。
まぁそこまで強力って訳ではないんですけど、問題は今川に浸かってる事です。この状態だと攻撃・回避に−2の修正が入る(笑)
しかも一連の戦闘で魔法使いの精神力も消耗しているし(特にマイス)、ここだけはメッセージ通り「力を尽くさねば危ない」ですね。
そして悲劇は起きた。うつぼの攻撃が2回連続でチップに炸裂し、しかも2回目の1stダメージは防御ロール1ゾロで素通し。生死判定突入……。
何しろ1ヒットで打撃点11が2回も来るから、実質的には4回攻撃を受けたようなもんです。生命力−5で、生命抵抗7だから、出目7以上。
そして出目は8。チップ、九死に一生を拾う!!。結局トドメは姉弟子様(ラーン)が持っていき、ミンクスの手柄にはなりませんでしたトサ。
★そして、やつが待っていた
こうして様々な試練を乗り越えた一行でしたが、このボロボロの状態で外に出るのは危険です。"風"が待っているのは目に見えてるし。
そこで休憩を取ろうと、川の小魚をレンジャー3人(マイス、チップ、ピルペ)が掬って食事にしようとしました。が、それを許すGMじゃない。
焼き魚に匂いに釣られて、ネズミの大群が押し寄せてきたのです。もう数えようと思えば、「野鳥の会」にでも頼むしかない数です。
ネズミの大群から逃げる一行は、メッセージの「最後は走れ!」を踏襲してスロープを駆け上がり、その先に待っていたのは"風"!!
ちゃんとペイントもしていて、完全に"風"モードです。エースの人格ではない。惜しむらくは挿絵の彼にペイントがない事かな。
彼の目的は、既にタウちゃんだけではない。全員を倒す必要があるし、その為にはこの消耗した時を狙うしかなかったんです。
いくら彼が"四元素"最強と言っても、7人を相手に1人で戦って勝てるもんじゃない。実は"火"のせいで元素部隊の下っ端も出尽くしてるし。
この戦闘はバブリーズの時のように、1ラウンド毎に区切って見ていきましょうか。
1ラウンド目、トップのピルペはタウちゃんを抱えて戦線離脱。マイスは"シェイド"で"風"の精神力をそこそこ削ります。
そして敏捷度16で、"風"とラーンが同時に動きます。まずは"風"の"スリープ・クラウド"でピルペがお休み。タウちゃんのガードが消える。
ラーンは「本当は戦いたくないの」とか言いつつ、攻撃の達成値17で思いっきりシバき倒す。アンタ本当に戦いたくないのか(笑)
ステラは戦士2人にカンタマ。ミンクスはハズレ。行動順0のチップは一撃必殺の"ダンス"を歌い、グレゴリーのみ踊る(アホぼんのアホ踊り)。
グレゴリーは動いていない筈。キュアーをいつでも撃てるように様子見ですね。"ダンス"はその後もかかれば幸いと、歌ったり止めたり。
"ダンス"で踊ってしまえばもう無力化ですからね。ただし一度抵抗されたから、一度歌を止めないといけない。だから次かけるのは3ラウンド目。
2ラウンド目、ピルペは寝てるし、チップは歌を止めるだけで行動終了。唯一フリーなマイスはタウちゃんの所にダッシュ。
"風"はストーン・サーバントを召喚、命令は「タウを殴れ」。戦士2人は空振りし、ステラはその2人にエンチャントして精神力0で気絶。
グレゴリーはラウンド頭で踊ってたので、行動できず。相手が強力な攻撃魔法を使ってこないお陰で、回復無しでなんとかなってます。
3ラウンド目、"風"は"フィジカル・エンチャント・クイックネス"で自らの敏捷度を+6。これでチップと同じ行動順になりました。
なおチップ・ピルペ・マイスは、タウちゃんを助けようとストーン・サーバント相手に奮闘。いかんせん相手を倒す決め手にかける面子です。
ラーンの打撃力28の槍を受けながらも"風"は耐え、ミンクスの攻撃はかわす。グレゴリーは回復に備えて様子見……って何もやってないし。
4ラウンド目、グラランズはやはりストーン・サーバントを止められず、マイスはタウちゃんを庇って生命力が1/3減少!(いや6→4だけど)
何しろストーン・サーバントの筋力は30もある。2人合わせて10もないグラランでは止められんでしょうね。引きずられるだけ。
あとサーバントの打撃点は13点もあるんですよね。それで2点だけ食らったという事は、11点ブロック。鎧だけで7点止めた?
いやしかしマイスの筋力はたかだか4です。防御力4のソフトレザーが精々だとすると、6ゾロを振っても5点が精々なのに。
そしてミンクスがそっちを助けに行ったので、ラーンと"風"が一騎打ち。ところが"風"は剣を振り下ろす事ができない……。
一方ラーンも攻撃を当てるも、やる気がないのかダメージは軽微。しかし"風"の生命力もボロボロで、もう決着はついています。
そして運命の5ラウンド目、"風"は「やはりだめだ、俺はお前たちと戦うなんてできない」と言って、ヨロヨロと滝壺へ(ああ…)。
ステラはグレゴリーから1点トランスファーされて目を覚まして説得しますが、流石の舌先三寸もこの状況では役に立ちません。
マイスも精神力がなくて"ホールド"できないし、他の連中もサーバントにかかりっきり。グレゴリーはやはり止めないし、頼みはラーンのみ。
これでグレゴリーが「止めるんじゃない」とか言ってラーンを止めたら、本当に最低になっちゃう。そんな形でライバルを倒してどうする。
ラーンは"風"/エースを止めようとしたんですよ。これは攻撃判定と同じようにして判定したんです。
ラーンはちょっと出目が低くて12で助けに走ったんですが、エースは回避が11で助かった……と思ったら、クイックネスがあった!!
同点では、回避側が勝ちます。だからラーンは"風"を止める事ができず、彼は一度だけ振り返って……滝壺に身を投げたのです。
しかしドラマチックです。届いたと思ったら、ギリギリ同点で助ける事ができない。まるで指が触れ合っただけで離れてしまったようで。
これは決して作為的にやった事ではありません(多分)。サイコロの目によって紡がれた、カオスの神様の采配です。
清松先生はTRPGを「GMとPLが共同で物語を生成するゲーム」だとしていますし、私も同感です。予定調和でシナリオをなぞる訳じゃない。
オープンダイスで誤魔化しようのないマスタリングをするのもその現れです。こうした無作為の偶然こそが、感動や驚愕や、時に悲劇を生む。
今回エース/"風"は、基本的には説得を受け入れたりはしなかった。ただ全く受け入れないわけじゃないし、気絶させて捕獲する手段もあった。
彼を取り戻す方法はあったんです。ただ各々の判断と出目が相互に干渉しあい、残念ながら結果的にそれができなかった。
……しかし、滝壺に身を投げたキャラは生きてるもんです。某呪われた島の"黒衣の将軍"は、火口に身を投げて生きてたぐらいです(笑)
彼は一応退場ですが、別の舞台でまた登場しますとも。実を言えば「SWツアー4 パダ/堕ちた都市」にも彼が出ていたりして……。
★
今回の成長は、ラーンとミンクスが仲良く?ファイター3→4。結局ミンクスがレベルを上げてもラーンも上げるから、差は縮まらない(笑)
あとチップがシーフ3→4。着実にレベルは上げてるし、2レベルのピルペより有能の筈だけど、何故か存在感は薄いままです。
マイスはシャーマン2→3。うなずいてばかりで目立たないように見えて、何故か実力と存在感だけはあるから不思議です。
最後にグレゴリーがプリースト(チャ・ザ)3→4。こっちも強くなってる筈なのに、やはりエースに存在感で適わない。ステラは成長無し。
★ミンクス理論、席捲〜ラーン、頭を踏まれる
"風"/エースを倒して「裁きの洞窟」を脱出した一行は、目前となった王都ヴァンカーを目指す事にしました。
"四元素"が全滅した以上、もう妨害もない筈。あとは「短い尻尾」の部族の居所を突き止めて、タウちゃんを届けるだけ……かに見えた。
しかし敵はまだいたのです。その名も"光"と"闇"です。いや四元素は地・水・火・風の4つだけの筈ですが、いたもんは仕方ない(笑)
このフォーセリアには四大精霊の他に、氷や光や闇といった主要な精霊が存在します。四元素ではないけど、世界を構成する要素ではある。
"光"と"闇"の細かいレベルなんかは不明。"光"は若いお姉さんで、"闇"は中年のシブいオジサンで、2人は親子という事になってます。
キャラとしての特徴は、"光"は毒薬の調合が得意で、"風"が好きでした。だからラーンの事が憎くてたまらない、ちょっと高ビーなお姉さん。
"闇"は元素部隊の長で、それだけに理性的な人のようです。あと敵を罠に嵌める為に自ら毒を服用する根性の持ち主でもある。
この2人も単純な戦闘力では一行には適いません。ていうか力ずくが通るようなら、そもそも謀略なんて仕掛けませんしね。
実力でタウちゃんを奪い取ればいいだけの話。この設定だけは崩す訳にはいかないので、やはり彼らも謀略で一行を嵌めるのです。
その謀略とは、まず"闇"が親切な人を装って一行に接触し、"短い尻尾"の所まで案内してあげようと持ちかけるのです。
勿論"闇"は顔にペインティングしてるので、一行は警戒しまくりです。完全にいい人だと信じてくれる訳がありません。
それでも「罠は嵌って踏み潰す」というミンクス理論に則り、彼についていっちゃうんですよね。……いつか全滅するぞ(苦笑)
道中ステラが"センス・エネミィ"をかけて警戒はしたんですよ。でも1ゾロ振って分からず終い。かけなおせるけどそのまま放置です。
この際前回一行を洞窟に放り込んだ部族の人の紹介で会ったのですが、彼も謀略に加担していたかは不明。完全に善意だったのかもしれない。
その部族の人が言うには、本当はステラ達を疑っていなかった人も結構いたそうです。でも族長がキレてたから仕方なかったんだとか。
そうして旅を続けていると、"闇"はいきなり脂汗をダラダラ流してぶっ倒れる。傍目には病気っぽく見える。でも病気じゃないんです。
これが先に述べた、自ら毒を飲んだ効果です。命に別状はないのか、解毒薬があるのか知りませんが、なかなかいい根性してますね。
毒であれ病気であれ、セージ技能で調べれば分かる可能性はある。ところがステラがまたも1ゾロを振って、毒か病気かすら不明。
グレゴリーが達成値3倍拡大"キュアー・ディジーズ"で16を出しましたが、毒なので効かない。ちなみに病気でも酷いものだと16でも治らない。
続いて"キュアー・ポイズン"しますが13では足りない。はい、これだけでグレゴリーの消費精神力は12点で、残り3点(笑)
そして困り果てている所に"光"が通りすがりの旅人を装って現れ、これは伝染病だと騒ぎ立てて、一行に薬を調合するのです。
"闇"を物々しく隔離するし、嘘を見破る知識もない。こうなっちゃうとこっちとしては怖いですよね。本当に伝染病だったらどうなるやら。
そして薬を飲んでしまうのですが、勿論これは予防薬なんかではない。毒性値14の麻痺毒だったのです。ルールブックには載ってない。
同じ麻痺毒でも、グールの麻痺毒に似たブルー・ネイルが毒性値10ですから、単純な強さだけで行ったらこっちの方が優秀ですね。
実はここで"光"がペインティングをしている事をGMは告げなかったんですよね。なんとまぁ引っ掛け満載のシリーズですよね。
とはいえ自発的に警戒する事も必要ですがね。グレゴリーみたいに、"ラック"をかけ忘れて抵抗できなかった、なんてのは言語道断(笑)
ラーンとミンクスは抵抗に成功したのですが、それ以外は全員失敗。結局全員ロープでグルグル巻きにされ、タウちゃんを奪われる。
そういえばタウちゃんを奪われるのって初めてですよね。今までの敵はこっちを倒す事に躍起で、タウちゃんだけを連れ去ろうとしなかったし。
部族の為を思うなら、無駄に戦闘はせずに連れ去る方に力を尽くした方が良かった筈。諜報部隊でなく暗殺部隊だから間違えたのかな(苦笑)
"光"なんて"風"への恋心からから、ラーンをメチャクチャ敵視して、頭まで踏む。思いっきり私情で動いています。既に暗殺者ですらない。
こうなった以上グズグズしてられません。毒に抵抗したラーンとミンクスは、自分の武器でロープを切ろうと努力します。
これには冒険者+器用度で16という、ちょっと厳し目の判定を行います。達成値が10以下の時は間違って手を切って1点ダメージ。
ラーンは基準値7で、ミンクスは6。それぞれ出目にして9以上と10以上を出さないといけない。まぁ何度もやればその内成功しますがね。
ロープを解いて痺れもなくなった一行は、1人残ってテントの中で火を炊いて何かを調合する"光"から、タウちゃんの行く先を聞き出す事にします。
その為にチップが《忍び足》で18とかいう優秀さで中を確かめ、更には思い切ってテントを倒して"光"を捕獲する事に成功します。
しかし中では火を炊いていたから大変です、うっかり殺すところでした。テントに着火していたら旧版"ヒート・メタル"級の大火傷だったでしょうね。
★トバコ岩を目指せ〜やっとこやっとこ岩登り
捕獲した"光"から、タウちゃんは見せしめの為にトバコ岩に連れて行ったという情報を聞きだし、一行は急いで後を追う事にします。
早く行かないと、タウちゃんの死体を岩に吊るされる事になります。もう相手も大分追い詰められてますよね、相手の怒りを買うだけなのに。
ちなみにトバコ岩というのは、オーストラリアのエアーズロックのような、超巨大な一枚岩です。高さは最大で21mにもなる。
なお本物のエアーズロックは高さ348mなので、その1/10にも足らない。それでも頂上から落下したら普通に死ぬ(63点ダメージ)。
"闇"とその部下は、タウちゃんを頂上まで連れて行って、そこに棒を立ててタウちゃんを吊るしています。まだ生きてるけど、急がないと。
これから彼らはこのトバコ岩を登っていく事になります。この登攀こそがこのシナリオ最大の目玉となります。その分目立った戦闘はないけど。
GMはこの為だけに、なんと5カートン(50箱)のタバコを用意したのです。それを積み上げて、立体的にトバコ岩を再現します(笑)
1つあたり3mで、最大で7箱で21m。アスレチックのように複雑な段差になっているので、自分で登攀ルートを設定する訳ですね。
当時清松先生は喫煙者だったので、いくらタバコを買ってもゲーム用の器具としてはタダです。ちなみに現在は禁煙を続けてるとか。
さて登攀の設定ですが、まずトバコ岩は基本的に垂直に切り立っているけど、一面だけ崩れて登れそうになっています。これをタバコで再現。
その面は、縦が(O)とA〜E、横は0〜5という6×6マスになっていて、上手くルートを選べば3mか6mの段差を複数登るだけで済む。
その面は、ロープ無しではシーフ+敏捷度で目標値12で登れて、ロープ有りなら冒険者+敏捷度でやはり12で登れる事になってます。
《登攀》に失敗しても「2D6−2mだけ登れる」ルールがあるので、3mなら5以上(83%)、6mなら8以上(42%)出せばセーフ。
ロープ無しだとシーフ以外は登れないんだから、チップとピルペが先行してロープを垂らし、残りの人達が続く事になりますね。
鎧や荷物で目標値も増えるかもしれませんが、もし落ちてもステラの"フォーリング・コントロール"で助かる筈(1ゾロ振らなければ)。
なおその面以外は21mの切り立った崖ですから、目標値は14に跳ね上がり、しかも2回連続で成功して更に1m登る必要があるので問題外(笑)
1回目ならともかく、2回目で失敗すると最低でも10m(30点ダメージ)を食らう事になりますからね。最悪20m落下で60点ダメージ!!
更に敵は上から岩を転がしてくる。具体的なダメージは不明ですが、食らったらきっとタダでは済まない。落下ダメージ+岩ダメージでしょうね。
岩がどう転がるかはリーダーマイスがサイコロを振って決めます。1なら左に、6なら右に、それ以外なら真っ直ぐ進みます。
それと登攀時には、岩が1回転がってくる間に《登攀》と特殊な行動(魔法)を1つずつ取れます。これのお陰でステラは魔法を使えます。
もし厳密に1ラウンドに1つずつ岩が降ってくるとすると、ステラは登攀しながら"フォーリング・コントロール"なんてしてる暇はない。
……という具合にGMはお膳立てをしてくれた訳ですが、ぶっちゃけ登らずに済むなら登りたくないですよね(笑)
そこで"ウィンド・ボイス"で"闇"に交渉してみたんですが、やっぱり聞く耳持たない。娘のヒカリちゃん(仮)も見捨てる覚悟です。
次に"光"を説得してみる事にしますが、これのネックは"風"です。彼女の想い人である"風"を倒したステラ達が、どう彼女を説得するか。
取り合えずラーンは黙っとくのが重要。ラーンが喋ると意地を張って素直にならないとちゃんと設定されてるから、それを読み取る力が必要。
彼女を説得するのにステラは得意の口先三寸で、"風"は生きている、"風"は戦いの虚しさを悟って身を引いたのだと説得するんです(流石!)。
ステラ「"風"がこんな女(ラーン)にたぶらかされたりするわけないじゃろ。な?そんなことがあるか?」
"光「ありえるからいやなのよ」←きーと興奮(爆笑)
あー、"風"ってそういう人なんだね。いくつも愛を持っている、愛の狩人か。でもラーンには(エースとしては)本気だったのかな?
結局ラーンが口出しして話はこじれ、一行は岩を登る事になったのです。まぁ折角用意してくれたんだから、登らないとね(見も蓋もない)。
登攀はなかなか大変でした。時に誰かがその場に取り残され、落下してはステラに助けられ、降ってくる岩もステラが魔法で直撃を防ぎ。
ミンクスが精神力を融通してなおステラはヘロヘロになりましたが、10回ぐらい岩が落ちた頃にはグラランズが頂上に到着。
もうチョモランマを制したヒラリー隊長の気分です。結局上には"闇"と部下2人しかいなかったので、戦闘らしい戦闘にもなりやしません。
タウちゃんを救出した頃になると、岩の麓に「短い尻尾」の部族がやって来て、タウちゃんはお父さんと無事?再会する事ができました。
お父さんは頭に金の輪を嵌めていて(この人もか)、タウちゃんとの涙ながらの再会は感動的なシーンでしたね。長い苦労も報われます。
さてこれからどうするか。既に敵部族は元素部隊も壊滅しています。「短い尻尾」は小部族とはいえ、戦力では優位にある。
報復をしようと思えばできますが、ステラ達はそれは思いとどまるよう説得しました。やはりここでもステラの口先三寸大活躍です。
族長「もし、あなたの幼い子がさらわれ……(中略)どんな気持ちになるか、おわかりでしょう?」
ステラ「そりゃわかりますじゃ。昔、商売敵に子供を誘拐されたこともありますじゃ」←本当?
方便だか本当なんだか分かりませんが、結局誘拐犯は殺しはしなかったそうです。旦那が謀って一文無しにしたそうですが。
そうして説得された族長は、どうしたものかと考えてしまいます。しかし今争いを止めないと、本当に取り返しのつかない事になるかもしれない。
次回はいよいよ最終回。両部族の和平の為に、冒険者達は最後の冒険に挑みます。
★
最後の成長はグレゴリーがファイター1→2。あとステラがようやくソーサラー2→3、でも最後だからか使い魔は無しです。
今回はプレイ前に、全員の晩御飯の出前の予算を計算する場面も見られました。こういうのが挿入されるのはSWでは珍しいですよね。
筆算もままならず3000円以上計算間違いしているリーダーもリーダーですが、経験点の計算を思いっきり間違ってるGMもどうかと思う(笑)
★報酬は前払いで
ついに元素部隊の暗殺者を全て退け、タウちゃんを無事に親元へ届けた冒険者達。役目を果たしたのでピルペは前回でさよならとなりました。
しかしまだ全てが解決した訳ではありません。「短い尻尾」の部族と相手の部族との仲を取り持つという、重要な仕事が残っています。
その前払いとして、全員がマジックアイテムを貰えます。前払いって言うか、これまでのタウちゃん護衛の分の報酬はどうなったのやら?
これまで何度も死ぬ思いしてタウちゃんを守っても、ず〜〜〜〜っとタダ働きだったんです。その分を還元しただけという気もする。
そういえばゴブに捕まっていた子供を助けた報酬を貰った事もありましたっけ。でもあれはタウちゃん護衛の件とはまた別ですからね。
さてその報酬ですが、グレゴリーとステラは魔晶石を貰いました。それぞれ16点(2万5600ガメル)、15点(2万2500ガメル)。
これは0レーティングで出目7で2個ある事にして、更に中身は2D+2Dを振って決めたんです。平均を僅かに上回る、なかなかいい目です。
本来魔晶石の中身をランダムで決める場合は2D+10点で平均17なんですが、"火"が出奔する時漁っていったので平均14になりました。
チップは、借金残高1万3592ガメル分……なんかは貰いません。その借金ってキャラの性格付けで、返す必要の無い借金だし。
結局貰ったのはクリティカル値−1のダガー(3)。一時は"猫の爪"という超強力なものも候補に挙がりましたが、13万ガメルなので却下。
更には身長が1/2になる代わりに敏捷度が2倍になるという、シナリオ集「猫だけが知っている」に登場したものも挙がったけど却下。
ところでこの敏捷度が2倍になるっていうアイテムは、本当に「猫だけが知っている」に収録されているのか。データセクションには無い。
ところがこのダガー、マジックアイテムの価格計算式にかけてみると、たったの2124ガメルなんですよね。こっちの方がunfairです(笑)
いくら回り易くても、打撃力が小さいと大した威力にはならないんです。これを魔力+2にしたら1万5480ガメルといい感じになる。
面白いことに攻撃力+2にするだけだと2915ガメルにしかならないんですよね。追加ダメージも+2にしてはじめてこの値段になる。
ラーンは魔力+1のスピア/2H(18)で、ミンクスは同じく魔力+1のアックス/2H(16)。やっぱり差は縮まりませんね(苦笑)
ルールブックにも魔法の武器の値段は載っているけど、あれはソードのデータなんですよね。スピアやアックスはスペックが違うから値段も違う。
なお1Hも2Hも同じ値段となっていますが、ちゃんと同じになるんですよ。魔力+1の1H(14)と2H(14)は同じ8871ガメル。
2Hだと当然打撃力+5だからその分高くなるんですが、両手が塞がる分を考慮して、1Hと同じ値段に落ち着くよう修正が入ります。
ではスピア/2H(18)はいくらかというと、1万7055ガメル。ソードに近い数値ですね。ちなみに1Hだと1万3376に下がる。
アックス/2H(16)は1万7639ガメル、スピアより少しだけ高い。これを1Hにすると1万8892ガメルで上がったりする。
実はミンクスの方が若干得をしてるんですよね。でも600ガメルやそこら得をしただけで埋まる程、能力値ボーナスは甘くないのかも(笑)
最後にリーダーことマイスは"能力値上昇の秘薬"を貰います。文字通り能力値を上げる薬で、マイスは知力+1のものを貰いました。
これは1万ガメルと他の人達よりかは値段は安いけど、非買の品なんですよね。普通に流通してると金持ち冒険者が馬鹿みたいに強くなるから。
これで合計9万4918ガメル(計算式の端数込み)。1人頭の平均1万5819ガメルを貰いました。割にあってるのかどうか。
★ただでものをやるわきゃない〜正面から堂々と潜入作戦
報酬を貰った冒険者達は、最後のひと働きとして、相手の部族に謝罪させるという任務に就く事になります。
「短い尻尾」の族長(タウちゃんのお父さん)には積もる恨みもあるけど、向こうから謝るなら許してもいいと言っているんです。
これから相手部族(名称不明)に侵入し、向こうの偉い人に謝罪するよう説得する。交渉が遅れると全面戦争に突入するので急がないと。
なお相手の部族への案内役は"闇"のおっさんが務めます。ヒカルちゃん(仮)だと、ラーンの一言で簡単に裏切りそうなんで(笑)
"闇"なら計算ずくで裏切るから、こっちも対処し易い。何よりずっとラーンと喧嘩されたら話が進みませんしね、精神衛生上良くないし。
ちなみに敵の残存戦力は130人ぐらいです(笑)。でもケンタウロスの戦闘員は200人ほどいるので、数からして有利。
しかも人間とケンタウロスだと、基本的にはケンタウロスの方が強い。影の主力の元素部隊も全滅してるから、尚更にケンタウロス有利。
しかしいくら勝てるとはいってもそんな事になれば双方大勢の犠牲が出ます、戦争だから。そんな事はやはり避けられるなら避けるべきです。
村に近づいた彼らは、まずこっちの顔を知る唯一の人物"氷"を呼び出します。………いた、本当に"氷"実在したよ(笑)
彼は実力は"地"と同じようなものですが、ジミー大西のようなズレた人なので、最後まで留守番させられていたという愉快な人です。
あと"地"の事を「兄さん」って呼んでるんですよね、実の兄弟なのかな。他にも"笑い"とか"怒り"とかの感情の精霊がワラワラいたら嫌だな。
結局"氷"には口止めをしただけでさっさと帰します、何の当てにもならないから。これで彼の出番は終了、元素部隊の未来も暗いですね(笑)
ていうか幹部がほとんど全滅した以上、今後の元素部隊はどうなるんだろう。候補生とかがいて、そういう人達が幹部の名前を継ぐのかな。
さてこの人を呼び出す手段がなかなか面白いんですよ。"闇"が秘伝の粉を火にパッパッと撒くことで、特殊な色の狼煙を上げるんです。
なんでも狼煙を連絡手段に使う部族は沢山いるそうなので、元素部隊の下っ端が「幹部への呼び出しだ」と分かる程度のリスクだそうです。
狼煙というのがいかにも遊牧民らしくていいですよね。部族や用途によって色々種類があるのも面白い。色が被ったりしないのかな。
その後通りすがりの冒険者として彼らの居留地に侵入しました。こうして入ってみると、結構普通に生活してるんですよね。
今までこの部族の人間とは元素部隊としか接触してなかったから忘れていたけど、こういう風に普通に生活してる人が大多数なんですよね。
自分達が「短い尻尾」と物騒な関係にある事は知っているけど、元素部隊がどんな事をしてきたか知らない人ばかりなんでしょうね。
★派閥抗争でばーらばら〜極道息子をひっかけろ
さて、この部族内でのシティーアドベンチャー(なのか?)の鍵は「対立」です。小さな共同体の中で、対立する人や派閥が色々あるんです。
重要NPCの中で対立していないのは族長のオーサぐらいです。最終的には彼を説得して和平を成立させる形になります。
対立関係は若年・中年・老年の3世代にそれぞれあり、ステラ達は3世代から1人ずつ的確な協力者を見つけて、一緒に族長を説得します。
若年層の対立関係はスコームVSナジミです。スコームは族長の息子で、ナジミはその幼馴染。互いに派閥を作って微妙に対立している。
スコームは具体案も無しに「俺が族長になれば戦争に勝てる!」と信じてる系統の馬鹿で、冷静に戦力を分析するナジミとは雲泥の差。
彼らの取り巻きとの付き合い方も全然違いますね。スコームは昼間から宴会してるけど、ナジミは大勢で真面目に議論を戦わせている。
これはスコームの取り巻き達も彼が次期族長だからヨイショしてるだけで、別にカリスマがあってそれに惹かれてる訳ではないんでしょうね。
ここではスコームを選ばずにナジミに協力を求め、一緒に族長を説得して貰う事にします。スコームは別の形で利用する事になる……。
中年層の対立はキナVSゴルド。キナさんは旅人相手に食料を商っているオバさんで、ゴルドは彼女の元旦那で今は犬猿の仲。
ゴルドの方はよく分からないけど、結局は頭の良さそうなキナさんの方に協力を頼みました。それはそうとゴルドの名前の元ネタが分からない。
そして老年層はチョウロVSバーバ。チョウロは長老で、バーバは口寄せ(あるの?)の人でちょっとボケている。
バーバはチョウロに昔プロポーズされたと思い込んでいて、一方的に彼につっかかっている。色々面倒なのでしっかりしてるチョウロをチョイス。
しかし口寄せって、そんなのがこの世界にもあるのかな。口寄せをするイタコはシャーマンの一種ですが、この世界のシャーマンとは大分違う。
それにしても、随分と安直なネーミングが多いですね。まぁ覚え易いというメリットはありますから、それでいいと思いますが。
彼らに話を聞いたところ、全ての元凶は"火"でした。彼は放逐された恨みを晴らす為に、族長にある事ない事吹き込んでいったんです。
それに"水"あたりが「もっともです、もっともです」と、どっかの"うなずきエルフ"みたいな形でフォローしたもんだから厄介です。
すっかり族長の中には「ケンタウロス憎し!!」みたいな固定観念が植え付けられ、絶対に許すまいと意固地になってしまったんですよ。
そこで考えました、ショックを与えて一気に畳みかけようと。ええ、この手合いには訥々と説いても効率は良くないですから。
その方法とはスコームのスキャンダル。彼から族長の暗殺依頼を受けて証文を受け取り、それを族長に見せてショックを与えたのです。
しかしいくらなんでも自分の親父を暗殺しようとするか。親父もショックでしょうね、まさか自分の息子が殺そうとしているなんて。
ちなみに報酬は2000程度の宝石ですが、随分安いような。あとチップの「殺しを引き受けるには1万3500ガメル」って元ネタがあるのかな?
結局協力者達の力添えもあって、族長の説得に成功。「短い尻尾」には正式に謝罪し、両部族の間に平和が戻りました。
文庫にして丸2冊分の冒険も無駄ではなかった訳です。バブリーズのような英雄的大冒険ではないけれど、立派な冒険でした。
★蛇足の戦闘で大事件〜冒険者たちの別れ
こうして彼らの冒険にも一区切りついた訳ですが、このままでは終わりません。シリーズ最終回なだけにラスボスがいるのです。
それはスコームです。彼は部族から追放され、その恨みを晴らす為に、5人の部下を引き連れてステラ達を待ち伏せして襲い掛かってきたのです。
彼らはラスボス用に設定された過去最強の敵です。多分1人1人が元素部隊の幹部級に強いんでしょうね。ただの馬鹿息子じゃなかったのか。
この戦闘で厄介だったのは"貪欲の魔晶石"というアイテムです。スコームが持っていて、周囲で魔法が使われると精神力を吸収して無効化する。
詳細なデータは不明。これのせいでステラ達は散々ビビり、魔法を使うに使えない、使っても効かないという、かなりヤバイ状況に陥ります。
何しろ"ストーン・ブラスト"みたいな攻撃魔法だけでなく、"キュアー・ウーンズ"まで無効化しますからね。回復すらできやしない。
勿論弱点もあります。一定量吸い込むと爆発するとステラがセージ技能で見抜いたので、ミンクスの最大出力トランスファーで爆発させます。
ミンクスなら21点消費の"トランスファー・メンタルパワー"が使えますからね。多分もっと少なくても爆発したんでしょうが、匙加減が難しい。
これで何とかなると思いきや……GMのオープンダイスが冴えまくる!。次々にクリティカルが出て、一気にこちらは追い詰められます。
ラーンはボロボロ、チップはまた気絶。清松先生のオープンダイス主義はTRPGへの敬意もあるんでしょうが、こういう時はやはり焦る。
そしてついにそれが起きてしまった。ミンクスへの2連クリティカルが入り、生命力−10で生死判定。生命抵抗7なので出目10以上で生存。
ところが出目が足らず、ミンクス死亡!!。そしてパーティー全滅ムード!!
ああ……そういえばグイズノーが死んだ時も、蛇足の戦闘でしたよね。蛇足なだけに気が抜けるか、戦略を誤るかしてしまうせいでしょうか。
前衛が2人欠けて、こちらの前衛はラーン1人。6人の敵を抑えられる筈も無く、後衛が一気に後ろに雪崩れ込んで全滅……。
にはならなかった。何処からともなく投げ込まれた小石がストーン・サーバントに変化、彼らを守ったのです。……エースぅっ!!!
ちょっと背筋が寒くなった後だけに結構グッと来ました。"風"だかエースだか知りませんが、生きていたし助けてくれたんですね。
エースの援護を受けたラーンはスコーム達を倒し、全滅だけは免れました。でもミンクス死んじゃいましたね。
エースがもっと早く出てきてくれていたらミンクスも助かったかもしれないけど、彼が出たのはミンクスが死んだからだし(笑)
サーバントにハグするラーンとか見ていると、「ああ、グレゴリーはもう蚊帳の外だな」という思いがこみ上げてくるし。
しかしミンクスが死んだままなのも寝覚めが悪い。そこでステラはちょっと無茶をしました。最終回ですしね。
ベルローズ商会の手形を差し出し、蘇生にかかる莫大な費用の借り入れができるようにしてくれたんです。最終回だし、それぐらいね。
ステラはもう引退、アザーンに帰ります。チップはそのお供をする事にし、グレゴリーはラーンに似合う男になるよう修行の旅に出ます。
結局グレゴリーはラーンにフられちゃったんですよね。最後までエースに見せ場を持ってかれましたしね。いつか彼も帰ってくるのかな。
とか言いつつ、陰からラーンを助けたりしたら面白い。こっちからはキュアー、こっちからはサーバント、そして顔を見合わせる馬鹿2人(笑)
こうしてラーンとマイスはミンクスを蘇らせる為に奔走し、蘇ったミンクスを含めた3人は借金を返済する冒険に出るのです。