「RPGリプレイ ロードス島戦記〜英雄騎士スパーク〜」作:水野良とグループSNE 出版社:角川書店

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★はじめに

このリプレイは「月刊コンプティーク」の97年9月〜12月に渡って短期連載され、角川mini文庫で出版されたものです。

雑誌掲載時のタイトルは「ロードス島戦記スペシャル マーモ開拓編」。小説の新ロードスで言えば第2巻の第V章〜第W章に当たります。

同誌上にて88年9月〜89年9月に渡って連載されたリプレイ第三部の続編に当たり、お馴染みのスパーク達が主役のリプレイとなります。


ちなみに角川mini文庫とはこんなサイズの本です。

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他にも「太陽の王子、月の姫」「暗黒の島の領主」などもこのサイズで出版された事があります。

ただこのサイズを見ても分かるように今ではあまりお目にかかれないもので、文庫に再録された他2編はともかくこのリプレイはやや希少。


ロードスは小説もそうですが、ゲームにもそれなりの歴史があり、今まで数多くのシステムで遊ばれてきました。

大きな転機となったのはコンプティーク誌上に掲載されたD&D誌上ライブです。元々は日本に上陸したD&Dの紹介としてのものでした。

連載が進むに連れて人気が上がり全三部に渡って連載され、独自の小説やらゲームやらも発表され、今日のような超人気作品となったのです。


第一部は「灰色の魔女」に当たるエピソードで1986年9月号〜1987年4月号に渡って連載されました。

第二部は「火竜山の魔竜」に当たるエピソードで1987年6月号〜1988年7月号に渡って連載されました。

ただしこれらはD&Dルールのものであり、版権の問題上文庫化はされていません。非常に残念ですが、こればかりは大人の事情です(苦笑)


そういう事情で始まった第三部は、「ロードス島戦記 コンパニオン」等に記載された独自のシステムで遊ばれたのです。

勿論これは「ロードスの聖騎士」に当たるエピソードであり、前述通りに88年9月〜89年9月に渡って連載されたものです。

これは後に角川スニーカー文庫(後に角川スニーカーG文庫)で出版され、更に後に富士見ドラゴンブックより新装版として出版されます。

第一部と第二部もこのルールで遊び直されて同じく出版。よって文庫で読めるロードスリプレイの第一部と第二部はこの焼き直し版なのです。


これらロードスリプレイのルールを図にすると以下のような感じですね

雑誌掲載時 文庫収録時
第一部 D&D コンパニオン(遊び直し)
第二部 D&D コンパニオン(遊び直し)
第三部 コンパニオン コンパニオン(そのまんま)

ちなみに角川スニーカーG文庫から出ている「ロードス島伝説」のリプレイ版は、更に別の「ロードス島RPG」で遊ばれました(ややこしい)。

ルールブックは「コンパニオン」では全三冊、「ロードス島RPG」ではベーシックルールとエキスパートルールの二分冊となってます。


このリプレイが発表された時点ではこの「ロードス島RPG」も出ていたのですが、ルールは昔ながらのコンパニオンです。

コンパニオンそのものを入手しなくても、リプレイ第一部の巻末に簡易的に収録されているので気になる方は参照して下さい。


★システムについて

私はSWについてはかなり詳しく言及してきましたが、ロードスについては深く触れるつもりはありません。正直ブランクも大きいし。

でも2つだけSWとの大きな違いを明記しておきましょう。これはシステムの最も根本的な事なので、どうしても触れておきたいのです。




まずコンパニオンはクラス(職業)システムであるのに対し、SWがスキル(職能・技能)システムであるという点です。


前者はドラクエとかFFでもお馴染みのシステムですね。むしろ一般的にはこちらの方がずっとメジャーなシステムでしょう。

クラスシステムでは一度職業を選ぶと、経験値を得て成長すれば諸パラメーターが一定の割合で成長していくという傾向にあります。

言わばPCを作成した時点でレールを敷いているようなもので、転職のようなルールを使わない限り基本的にはレールの上を進み続けます。


それに対して後者は経験点で技能を買うシステムであり、PCがどう成長するかはプレイヤーの匙加減ひとつです。

よく言えば自由度が高く、個性が出るシステムですね。ただしパーティーの他のメンバーとのバランスも考えないといけない。


コンパニオンはSWと同じフォーセリア世界を扱っているだけに、魔法などはかなり共通しています。クリスタニアでも同様です。

ソーサラー・シャーマン・プリーストなどは両方に存在し、SWでいうファイターはコンパニオンではウォリアー/ナイトとして存在しています。

SWのシーフにあたるスカウトもありますしね。ただしコンパニオンのウィザードや、SWのレンジャーのような一方にのみ存在するものもある。


ちなみに「ロードス島RPG」も基本的にはクラスシステムですが、上級職への転職が大きな特徴となっています。

司祭が癒し手となる事で回復力が上がったり、精霊使いが風使いとなって特定分野の魔法に突出したりと、一見の価値ありの豊富さです。




もう1つは判定の方法です。コンパニオンではD100であり、SWでは2D6なのです。


前者は百面体のダイスを用いるもので、判定毎に定められた技能以下の目を振る事で判定が成功となります。

例えば知覚技能が60のPCがいたとしたら、そのPCは知覚に関係する判定ではD100で60以下を振ればいいのです。

つまり技能の値がそのままデフォルトの成功確率であり、様々な修正を加えたものが最終的な確率になります。非常に分かり易いですね。

ただしこれは絶対的判定です。成功したか否かは本人にも傍目にも明らかであり、GMが隠れて振らない限り秘密の判定ができないのです。


後者は2つの六面体のダイスを用いるもので、各PCの基準値+2D6の値(達成値)が目標値に達すれば判定が成功となります。

基準値5のPCが目標値12の判定で成功するには、出目7が必要だという事です。これはSWのリプレイを読んで貰えば分かりますね。

これは相対的判定となり、プレイヤーは自分の達成値を他の達成値や目標値と比べる事でようやく成否がハッキリするものになります。

逆に言えば達成値や目標値を隠せばプレイヤー本人に振らせても成否は本人にも不明。達成値を比べれば成功の度合いの順位付けも可能。


確率分布でも両者には大きな違いがあります。前者は00〜99までの一様乱数であり100の数値が全て等確率で出ます

対して後者は平均値7の正規乱数となり、最小値の2から最大値の12までの11の数値が釣鐘状の確率分布で出ます

別にどちらが優れているとは言いません。ただ特徴がそれぞれあり、クレバーなプレイには確率分布の把握が必要だというだけです。



第1章 マーモの若き騎士

小説でもリプレイでも、邪神戦争におけるスパーク達の冒険の概略は同じです。詳しい事情は「ロードスの聖騎士」を参照。

フレイムの騎士(見習い)スパークは仲間達と共に盗まれた水晶球の探索をはじめ、ひとつの扉であるニースを救い出す事に成功しました。

しかしその細部は小説とリプレイでは大分違う。リプレイではアシュラム様が竜騎士になったり、オルソンが普通に邪神戦争に参加したり……。


そこで今回は世界設定は小説準拠キャラ設定はリプレイ準拠で始められました。勿論冒険の舞台はフレイム領マーモ公国です。

既に邪神戦争から1年が経過し、フレイム領となったマーモはマーモ公国となり、この暗黒の島の困難窮まる統治が始まったのです。

この辺の事情は「暗黒の島の領主」を参照。リプレイが好きな人には残念だけど、やはりより多数の人が知ってる小説の設定の方が無難です。

また当時は「英雄騎士伝」のアニメが放映中だった事もあるので、進行中だった新ロードスの小説との繋がりがあった方がいいでしょうしね。


ただしキャラのノリはリプレイの命。あの大人気リプレイで培われたスパーク達のノリは、小説とは違う意味で魅力的です。

ある意味「ようこそロードス島へ」の更に上を行くノリですからね。シリアスなキャラもいいけれど、スチャラカなキャラも大好きです。

これを見ると、いかに水野先生がリプレイのスチャラカキャラを超絶ヒロイックに書く才能に長けているか分かりますね(クリスタニアも然り)。


ちなみにそのノリはこんな感じ。

ギャラック「おさらいは、おしまいかな」

グリーバス「食器棚にですか?」

GM「この生ゴミ、シンクに流していいか?」

ライナ「パイプが詰まるわよ」

リーフ「生ゴミは肥料としてリサイクルするといいのよ」

アルド「植物が枯れてしまいそうだね」

そうそう、こんな感じ(懐)。


ちなみに性格づけとして、グリーバスはダジャレ好きだという点が際立ってます。

グリーバス「それで、どういう導入なんですか?」

GM(ギャグかもしれんが、聞き流そう)

グリーバス「ヴァリスの聖騎士が、神殿で死んでん

GM「がっくし」

ギャラック「ほんとにおまえ、聖職者か?」

グリーバス「ギャグでもって、人々を震撼(神官)させてるんです」

ギャラック「う〜ん、絶好調」

……どうよ?(笑)


勿論小説でも使われたスパークの不幸ネタは相変わらずです。何しろこのリプレイでの彼は王位継承権は持ってない

スパーク「がび〜ん、いきなり!」

リーフ「不幸よね」

そう、スパーク君不幸!


現在マーモの公王は炎の部族出身の貴族の誰かです。ルゼナンかもしれないし、別の誰かかもしれない。

スパークは騎士隊長にして傭兵隊長として城下の館で暮らし、ギャラック・ライナ・リーフも傭兵として一緒に暮らしてます。

小説のギャラックは近衛騎士隊長で、ライナはその夫人。リーフは"公王の友人"だったけど、その辺の設定は基本的にない。

ちなみにリーフはお母さんと再会を果たして一緒に傭兵家業を続けていて、ライナは拷問係の女王様となっているとかいないとか(笑)


同じくグリーバスはマイリー神殿の司祭……の補佐。アルドも宮廷魔術師……の補佐として他の皆と相変わらずの仲です。

2人とも小説では責任者だったけど、全体的にクラスダウン。ちなみにニースはマーファ神殿の司祭なのでむしろクラスアップ(小説では侍祭)。


これに対するGMのコメントはというと

GM「補佐じゃないと、冒険に出られないでしょ

……それじゃあ小説のこいつらは……いや、何も言うまい(苦笑)


ちなみにレベルは全員4です。ニースも4なので、小説ほどの無敵キャラではない。まぁ気楽でいいじゃないですか。


さて、そういう設定で始まったこのリプレイ。その導入は公国の建国を祝うべく、各国の使節団がやってくるところから始まります。

丁度小説第1巻の第T章「祝福なき始まり」でもそういう宴が開かれましたね。ああいう宴を数日後に控えたある日から始まります。

ただし小説での使節はそんなに大物がいなかったけど、こちらでは何とモスの公王レドリックが直々にやって来るというのです(ゴージャス)。


そういう状況でスパークは領地を授かりました。公都から南に2日ほどの村で、彼はこれを受領しました。

ちなみにこの村の周辺には妖魔が出没し、ファラリス大神殿の廃墟もあります……。そう、小説でいうベリル村ですね。

スパークは使節団が来る前にそういう不穏なものを払拭すべく、仲間達と共に現地に赴いて調査・討伐を行うのが今回のお話なのです。


ベリル村は小説では竜熱とかにも見舞われた不幸っぷりですが、ある意味このリプレイではその上を行く

スパーク「面倒だから、ブリン村と命名しておこう」←ゴブリンが出るからね

ライナ「なんて、安直な……」

アルド「そのうち、反乱起こるだろうね」

まぁそんな領地を拝領するスパークが一番不幸だという説もありますがね(苦笑)


現地に赴くに当たり、スパークは水戸のご老公よろしく身分を隠し、傭兵として赴きます。

GM「げっ、騎士の鎧はつけないわけ?」

スパーク「なにか問題でも?」

GM「あ、いや、ボクはかまわないんだけどね(出渕さんがね)」

結局何かを察したスパークはいつもの鎧の色を塗り替え、紋章を塗り潰す事にします(それは不名誉印に通じるのでは?)。


そして城に帰ってくればもう一度元の色に塗り潰す。

スパーク「上級騎士なんだから、それぐらいの余裕はあるはず」

GM「領地から税金を取ればね」

スパーク「ふっふっふっ、搾取してやる〜

リーフ「スパークくんってば、暴君」←不幸ネタの派生

このスパークに領地を任せるのは危険な気がする……(ゴクリ)。


何しろブリン村の税率でもこんな事を言ってるし。

GM「納める税は七公三民ってところだったかな」←帝国統治時ね

ライナ「税率70パーセント。それは、ひどいわね」←普通だったら暴動が起きるね

スパーク「なるほど。70パーセントより、ほんの少しだけ税率を低くすればいいわけだ

ギャラック「おまえ、オニだな

リーフ「今日のスパーク、こわいよ〜!」

小説のスパークも、いっそこの性格だったら気苦労が減ってたかもしれない。別の多くのものを失うだろうけど(苦笑)


あとニースもNPCとして連れて行きます。戦争が終わっても、マーモの民は苦しい生活に喘いでいるのだから。

スパーク「そのために、オレのニースが活躍しているんだ」

GM「だから、ニースはボクのだって

出た、ニース贔屓。水野先生は本当にマーファ一家が好きですからね。特に魔術師とのカップリングが好きらしい。

よって大ニースXウォートや、レイリアXスレインは自然な流れ。そんな中戦士野郎に小ニースを持ってかれるのは業腹でしょう。

スパークがひたすら不幸に、小ニースが薄幸になるのもそういう理由なのかもしれない。……今でこそ大先生だけど、実はヤバイ人なのでは……。


こうして赴いたブリン村では既に謎の病が流行っていたので、治療のできるニースを置いて一行はゴブリンの住処へと向かいます。

小説と同じく小川に沿って険しい山道を登り、道幅も狭く左右の斜面も切り立ってきたあたりで事件が……という感じで次章へ続く。


第2章 砦のゴブリン

山道を行くスパーク一行に襲い掛かったのは、小説版と同じく様々な特殊技能を身につけた一芸ゴブリンズの罠だったのです。

ただし小説版と違ってゼーネアやカイレルは出てきません。ちょっと賢いゴブリンロードとシャーマンが彼らのボス、ただそれだけ。

彼らはこの山に住み着いていたゴブリンズであり、この土地に侵入する余所者を排除すべくそのようなゲリラ活動を用意していたのです。


まず一行に襲い掛かったのは斜面を転がる大きな岩の上に乗った玉乗りゴブリンズです。玉の数は5つ、乗ってるゴブも計5匹です。

ゴブ「聞いて驚け、見て驚け。オレたちはゴブリン一族が誇る秘密特殊精鋭部隊ゴブリン・レンジャーズなのだ!」

彼らも一応ゴブ界(?)においてはエリート集団なのかもしれない(苦笑)


しかも種族の確執からか、5つの玉は全てグリーバスへ突撃。サイコロで誰に向かうか決めただけなんですが、グリーバス不幸!

ライナ「ひとりに集中攻撃して、お互いに岩をぶつけたりしないの?」

GM「一列に並んで転がしてたんでしょ」

ギャラック「おおっ、ジェッ○ストリームアタック!ゴブリンな五連星だったのか?」

6人いるので彼にいく確率は1/6で、その五乗にもなります。1/7776で、確率にして0.012%程度に過ぎないのですがね。


その後ゴブの内3匹は制御判定に失敗して転落。スパーク達と白兵戦を行ないました。この際スパークは生け捕りにすべく格闘です。

スパーク「喰らえ!アキレス腱固め!!」←地味だけど痛い技

こうして1匹は生け捕りにされ、残り2匹もグリーバスとギャラックのGGコンビに倒されたのでした。


拷問、もとい尋問は女王様なライナが担当します。それがこのパーティーの常識。

ライナ「あなたの棲み家には何匹の仲間がいるのっ!さっさと白状おしっ!!」

鞭でビシバシ叩き、ハイヒールで背中をギューギュー踏む姿をご想像ください(笑)


ゴブ「仲間、たくさん。王様が率いている」←ボスはロードってことね

リーフ「たくさん?」

グリーバス「大根を漬けたもの……」

スパーク「それは"たくあん"。う〜ん、イマイチだな〜」

ギャラック「コクはあってもキレがない」

GM「まるで気の抜けたビールだね。熟成しすぎて酢になったか?」

グリーバス「来月までに新酒を注ぎ足して、若返っておきます」

GM「沖縄の焼酎じゃないんだから」

本当にこの連中は隙あらば脱線するな。


そしてゴブはこの土地の所有権を主張するのです。

ゴブ「この土地、王様のモノ。おまえたち余所者、出てけ!」

スパーク「なにを言う!オレ様こそ、この土地の領主なんだぞ!」←それは人間側の事情だけどね

ゴブ「王様、おまえより、強い」←それがゴブ界のステータス

スパーク「オレのほうが強いわい!そりゃ、サソリ固め〜!」←意外とテクニシャン

ゴブ「のおぉ〜!」

このマーモにおいて人間と妖魔の住み分けは非常に重要な命題なのですが、それは小説の方に譲りましょう。


そして捕虜は斬首、それもかたこのパーティーの常識。

スパーク「フッフッフッ、守るべきは伝統」

GM「あ、やっぱり?」

ギャラック「悪・即・斬!ズバッシュッ!!」←お前は何処の新撰組三番隊組長だ

ゴブ「あんぎゃあ〜!」

可哀想だけど、逃がしてもまた悪さをするだけだろうし。領主としては当然の判断かな。


続いて山道を歩く一行は道の途中に藁敷きのエリアを発見します。……はい、落とし穴ですね。子供の悪戯か。

当然こんなあからさまに怪しい罠に引っかかる筈もなく、ギャラックが藁を避けて落とし穴を露出させて難なく回避。

穴の底には毒塗りの短剣と槍を装備した穴掘りゴブリンズが控えていました。穴の底での戦いならバッチ来いという連中です。

この辺は小説と同じ設定ですね。小説と違うのはスパーク達は罠にかからず、這い出そうとするゴブを簡単に全滅させたという事です。


GM「う〜ん、伏線、張り損ねたもんな。最初から山道には湿った落ち葉が積もってることにすればよかった」

そうすれば小説と同じくナチュラルに引っかかってたかもしれない。毒塗りの短剣は地味だけど恐ろしい罠ですし。


スパーク「ブチブチ、言うんじゃない」

GM「おまえだって、王位継承権うんぬんで、ネチネチ言ってたじゃねーか!」

スパーク「あれはオレのせいじゃない。伏線、張り損ねたのはおまえのせい」

GM「うぐぐぐっ、スパーク許すまじ!不幸にしてやる。してやるぞ〜!

こうして小説でのスパークは不幸の権化となったんだとか(そんな馬鹿な!)。


そしていよいよ一行はゴブの棲み家に到達しました。山肌に穿たれた大きな洞窟で、左右には岩を削った見張り台まであるゴブリン砦です。

洞窟正面には3匹のウルフがいて、それぞれの背中にはゴブリンが跨っています。これはウルフライダー・ゴブリンズですね。

更に見張り台にはスリングをビュンビュン回してこちらをロックオンするゴブリン・スリングシューター。ゴブのくせになかなかの陣形です。


戦闘に入る前にグリーバスが"バトルソング"を唱えて攻撃力を上昇させ、リーフが"シャドウボディ"で回避力を上昇。

グリーバス「だって、○時間なんだもん♪」←そういう歌詞

戦闘が始まるとアルドが"スリープ・クラウド"で右のシュターを眠らせ、ライナがボウ(弓)で左のシュターを逆に射殺す。

そしてスパークとギャラックが真正面からウルフライダーを駆逐し、4ラウンド目には前衛は最初の陣形は崩壊していたのでした。


そして5ラウンド目になると、洞窟から20匹以上の子供ゴブリンズが脱出!。ゴブリン側からすれば子孫を残す為の苦肉の策でした。

一応スパークとギャラックが3匹ずつブロックして倒しましたが(スパーク君、冷酷!)、残り16匹あまりは逃げてしまいました。

ゴブリンの繁殖力はゴキブリ並みであり、これだけ生き延びてしまえば短期間でまた群れを成す。そして何処かでまた事件を起こすのでしょう。


その作業に3ラウンドほど費やし、8ラウンド目には洞窟に突入。ロードとシャーマン、そして用心棒のホブゴブリン×2と戦闘です。

しかし彼らは奮戦むなしくアッサリと全滅。一応こっちは4レベルですからね、ゴブリンズではもう歯が立たない程度には強いのです。

コンパニオンルールでは4レベルのスパークは2回攻撃できるし、ゴブの貧弱なダメージではこちらの装甲はほとんど貫けないから仕方ないかな。


スパーク達は領主としての務めを果たし、ゴブリン征伐の土産話を手に公都へと帰還したのでした。

モスの公王レドリックも到着し、その歓迎式典にはスパークも出席。スパークは彼と話す機会にも恵まれたのでした。


ところが彼はスパークの顔を見ると驚いた表情を浮かべたのでした。

レドリック「キミって、もしかして、竜に乗ってたりする?」

スパーク「乗ってない、乗ってない!」

レドリック「そんなこと言っちゃって、こっそり乗ってるんでしょ?」←指でツンツン

スパーク「乗ってないって!」

レドリック「おかしいなあ……。
      その体の熱っぽさとか、目の奥にかいま見える炎のような輝きは
      オレから見ると竜熱にかかっているとしか思えないんだけどなあ

……はい、こんな所まで小説と一緒ですね。


しかし小説と違ってスパークまで実際かかってるのが違う。あとギャラックとライナも陽性でした。

グリーバス「人間ばかりが"よーせー"(陽性)とは、こりゃまた愉快」

スパーク「聞いてるこっちは不愉快だ」

グリーバス「そういうダジャレは"よーせー"(よせ)ですって?"よーせー"(妖精)とあれば、しかたありませんね」

ギャラック「悪・即・斬!ズバッシュッ!」

グリーバス「あ〜れ〜」

ここぞとばかりに生き生きしてるよ、このドワーフ。


ここでは竜熱にかかると耐久力(そういうステータスがある)が毎年1ずつ減り、0になると死亡するという設定です。

ちなみにスパークの耐久力は12、ライナは11、ギャラックは10です。つまり3人ともあと10年ぐらいは生きられるのです。

リーフ「な〜んだ、みんなまだ10年ぐらいは生きられるんじゃない」

スパーク「残念そうに言うんじゃない〜!」

ギャラック「こうなりゃ、残りの余生は太く短く、おもしろおかしく生きるしかないな」←ポジティブ

グリーバス「神の力にすがるってのはどうです?今、マイリー教団に入信すれば、半額で病魔退散の護符を差し上げますよ」

スパーク「え〜い、突然、霊感商法なんか始めるんじゃない!」

しょげない連中だ。でもまだ希望はある、例のファラリス大神殿の調査がまだなのですから。


第3章 暗黒神神殿の廃墟で

竜熱が蔓延しつつある事を知ったスパーク達は、その原因があると思われるファラリス大神殿の調査へと赴きます。

ただしこのリプレイ版ではオルフェスは出てこないし、それ以前にヴェイルや新生マーモ帝国も出てきません。いないとは限らないけど。

このあたりからの展開は小説版とはかなり違ってくるし、事件の真相も殆ど違うものになるので、小説を知っている人でも要注目ですね。


しかし中には「いっそこのままでも……」とか考えてる奴もいたりする。

グリーバス「どうせなら、死ぬ前に領地をグリーバスに譲渡するという遺言状でも書いたらどうです?
       墓守ぐらいは、ちゃんとしますよ。酒を飲んで、どんちゃんと……」

ギャラック「それは酒盛り。お約束だな〜」

スパーク「10年あるんだから、妻もできればば子もできる!誰が腐れドワーフなんかに、領地をやるか!」

リーフ「できる人には、ね」

スパーク「ぐさっ!」

小説ではニース相手にちゃんとできるんでしょうけど、このリプレイ版ではGMがGMだからな……(苦笑)


グリーバス「残念、せっかく、このマーモにドワーフの新たな故郷を作ろうと思ったのに」

ライナ「あんただってひとりなんだから、どうやって繁殖するのよ!」

グリーバス「そりゃあ、もちろん細胞分裂して……」

スパーク「ええいっ、そんなに分裂したいなら、このオレが頭からまっぷたつにしてやるわい!

グリーバス「あんぎゃあ!」

でも直後普通に復活、プラナリアかお前は(笑)


あと今回もニースを連れて行きます。状況が状況だし、連れて行かないほうがおかしいし。

スパーク「ニースに慰めてもらわないと」←マーファ神殿へ直行

ニース「わたしも、お手伝いをさせてください。泥棒はまだできないけど、神聖魔法なら使えます」

スパーク「ダメだ(間)、キミまで事件に撒きこむわけには(間)、いかない!」

ライナ「不幸ぶって、彼女の点数を稼いでいるわけ?」

グリーバス「そして、繁殖ですね。ムフフフフ……」

ギャラック「何度、斬られても更正せんな」

何故だろう、リプレイ版のニースはある意味小説より薄幸に見える。


スパーク「ニースとの子供なら、ロードス島戦記の続編にも登場するだろうし、マーファ神殿のバックアップだって……」

リーフ「ス、スパークくん、ひそかに壊れてない?」

GM「スパークと結婚だなんて、スレインが許しても、このGMが許しません!

やっぱり無理か。実の父親よりもある意味頑固だ。

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なにしろこんな挿絵があるぐらいだし(笑)


ファラリス大神殿の設定も小説とだいたい同じです。邪神戦争の折には降臨した暗黒神がファリスの聖騎士団を壊滅させた激戦区でした。

その後多くの死者は不死生物となり、神殿の財宝を求める冒険者が訪れ、神殿を建立しようとしたファリスの神官戦士団が全滅した謎の土地。

ただし神官戦士団の死因は刀傷が殆どだったので、オルフェスのような格闘家の仕業ではない。基本的に新生マーモ帝国は関わらないのです。


更に黒翼の邪竜ナースが飛び去る直前にこう言い残したと言います。

「我が棲み処には、汝らへの置き土産あり」

実は冒険者達もこの置き土産を探していたのです。ただしそれが本当に財宝だという保証はない……。


一行は昼間の内に村人への聞き込みや神殿の探索をするも成果は上がらず、亡霊に話を聞こうと夜の神殿へ乗り込む事になります。

ところがこれが不死生物のオンパレード。小説版では気配だけで登場しなかった亡者どもが百鬼夜行さながらにゾロゾロ登場するのです。

彼らは昇天する事もできずこの世に留まり続け、安息を得る事もできず終わらない戦いを繰り返している……。何とも哀れな連中でした。


まず神殿の入り口の門ではヴァリス兵の亡霊軍団が現れます。ただし反応は友好的。

ヴァリス兵「フレイムの騎士よ、共に神殿を攻め落としましょう!」

そして横一列に馬を並べて突撃するも、門の直前で神殿の上空を見上げて絶叫。

ヴァリス兵「わあっ、暗黒神が〜!」

小説では神殿の奥に行った所でショーデルが降ろしたファラリスに石化させられましたが、ちょっと違う形で全滅したらしい。

こうして彼らは毎夜毎夜邪神戦争時の戦いを繰り返し、決して終わる事のない戦いを続ける……。何とか昇天させてやれないものか。


続いて神殿の中庭でも終わらない戦いを続けている亡者達がいました。今度はヴァリス騎士とマーモ騎士の馬上槍試合さながらの一騎打ちです。

しかし白騎士も黒騎士も霊体なので、何度突撃してもすり抜ける。最早武器を交える事すらできないとは、とことん哀れな連中です。


ギャラック「白騎士と黒騎士だもんな。そりゃあ、すれ違うわ」

GM「ゲームが違います」

アルド「彼らも、楽しそうだね」

スパーク「観光名所にして、村の収入源にするという手もあるかも……」←なるか

リーフ「スパークくんってば、邪悪!

だけどこの連中の手にかかれば一瞬でコントに見えてしまう。色んな意味で不幸な亡者達です。


ここからは分岐です。礼拝所宿舎裏庭の3つの通路に別れます。

ギャラック「やっぱ、祭壇になにかあるというのが、ファンタジーの定石だよな」

GM「だから、それはプレイヤーの常識だって。ロードス世界の住人には、そんな常識はないの!」

とはいえ小説ではコンクァラーの玉座の下にちゃっかりバグナードがいたし。


結局は祭壇のある礼拝所に行くと、そこには首なし騎士デュラハンがいて、その背後からは女性の声が聞こえてきました。

女性「伝えなければ……でも、入り口には……」

デュラハン「たとえ屍になろうとも、ここを通すわけにはゆかんのだ!」←喋れるんだ

スパーク「あんた、もう屍だって」

ライナ「昼間は素通しだったくせに」

デュラハン「聞く耳、持た〜ん!」

グリーバス「頭ごと持ってるじゃないですか〜」

しかしデュラハンといえば強敵。ファリスの神官戦士団もこいつに倒されたようなので、先に他の2ヶ所を回ります。


宿舎は既に跡地となっていて、建物は完全に焼け落ちた瓦礫の山です。昼間は多くの白骨が散乱していた場所です。

ところが今は白骨がスケルトンとして動き回っています。しかもそれぞれ骨格が足りず、パーツ争奪戦を展開していたのです。

その内1体のスケルトンの骨格が完成して「骨の次は、肉体をよこせ〜!」と襲い掛かってきますが、ギャラックが瞬殺して争奪戦に逆戻り。

ここでは誰かしらの骨格が完成しては生者に襲い掛かり、返り討ちにあっては争奪戦を繰り返す。ここにもまた終わらない戦いがありました。


裏には元冒険者のゾンビが5体ほどいました。ナースの置き土産とやらを死んでも探していたのです。

ゾンビ達はこちらもナースの財宝を狙っていると早合点して襲い掛かってきますが、僅か5ラウンドで全滅します。

構成は戦士3人に魔術師と司祭までいたのですが、早々にリーフが魔術を封じ、グリーバスが司祭を退散させたのが功を奏した。

魔術はともかく、神聖魔法はアンデッド化すると使えなくなるのがSWのルールですが、コンパニオンではその限りではないらしい。


倒された元冒険者のゾンビは最後の最後に正気に戻った様子でした。

ゾンビ「今まで、ソンビを倒す側だったオレたちが、まさか自分がゾンビになって倒される側になるなんて、な」

それは彼らだけの例外ではない。冒険者がモンスターになってしまう事例は数多くある。


こうしてデュラハンのいる場所に戻ってきた一行は、事前に魔法でドーピングしまくって強敵デュラハンに挑みます。

アルドが"プロテクション"、グリーバスが"バトルソング"、リーフが"シャドウボディ"、ニースが"ホーリーウェポン"です。

これで前衛のスパークとギャラックは防御力、攻撃力、回避力、打撃力がアップ。できる限りの準備は整い、いよいよ戦闘です。


デュラハンは脅威の1ラウンド3回攻撃でこちらの生命力をガンガン削りますが、2人の司祭が回復に専念して何とか持ちこたえます。

そしてこちらも"バトルソング"と"ホーリーウェポン"の効力で敵の生命力をガンガン削り、6ラウンド目にはデュラハン退治に成功します。


スパーク「だーっ、勝ったぞ!」

GM「首じゃなく、盾を持ってればよかったかも」

ギャラック「防御力はあがるだろうな」

首がない状態でも周りの様子が分かるんだろうか。SWでは知覚は「擬似」なので、五感に相当する器官を失えば感覚は封じられるのですが。


こうしてデュラハンを倒した一行は、その奥にいたファリスの女性司祭の亡霊と話ができました。彼女もまた首なし騎士の犠牲者です。

彼女が祭壇の下に地下への通路がある事を伝えてくれましたが、昇天はできない。未練はないんですが、多分ファラリスの影響でしょうか。

彼女は光の神の降臨がなければ神殿を浄化できないかもと言っていたので、今後ヴァリス王であるエトが来訪するという展開もあるのでしょうね。


これでナースの置き土産とやらへの道も分かりましたが、地下への突入は一度村へ帰って休息してからとなります。


最終章 邪竜の置き土産

ファラリス大神殿の探索を一通りこなしたスパーク一行は、竜熱の原因と思しき邪竜の置き土産を目指して地下通路へと突入します。

地下通路は暗闇と静寂に包まれ、どういう訳だか松明の明かりを通さず音も聞こえない。何とも不思議な雰囲気に満ちた場所でした。

自然の明かりを通さずグリーバスの《暗視》は効くという点は古代語魔法の"ダークネス"にも似てるけど、ファラリスの力なのかもしれない。


そして通路を進む一行にこんな声が聞こえてきます。

「汝の心の声に耳を傾け、汝の欲するところを為せ……」

それはファラリスの教義です。ここから一行には様々な欲望の呪いが降りかかる部屋を通る事になるのです。


最初は食欲の呪いです。腹の突き出た小鬼(インプ?)に魔法をかけられ、急激な空腹感に見舞われました。

魔法に抵抗できなかったのはグリーバス、ギャラック、ライナ。彼らはどれだけ食べても空腹感は満たされなくなってしまいました。

この欲望に耐えようと思えば精神力を消耗する訳です。しかも以後食欲に関係する刺激を受ける度にこの欲望は湧き上がってくるのです。

当然手持ちの食料には限りがあるのでこの場でも消耗するし、以後「お腹減った〜」とか言うとその都度消耗するという恐ろしい罠ですね。


次は性欲の呪いでした。両性具有者の像が飾られた部屋で、像には夢の精霊インキュバス/サッキュバスが封じられています。

フォーセリアにおける彼らは純粋な夢の精霊ですが、ここでは淫夢がクローズアップされているので部屋に入る者の性欲を刺激するのです。

部屋には理想の異性が全裸で誘う幻影が現れ、この呪いに抵抗できないと幻影を振り払う為にやはり精神力を消耗してしまうのです。

食欲の場合は空腹感に苛まれるだけだけど、こっちは欲望を振り払わないと部屋から動けなくなりますからね。必然と消耗してしまうのです。


失敗したのはスパークとリーフだけでした。

スパーク「やめてくれ、ニース!貴方はそんな女性ではないはずだ!!」

GM「幻覚だからいいけどね。ニースって、たしかまだ13歳だぜ」←それを言っちゃ……

リーフ「スパークくんってば、ロリコン!

スパーク「仕方ないだろ。今まで散々、彼女にこだわってきたんだ。ほかの女性の幻覚を見るようじゃ、ただの節操なしだ」

ちなみにニースは512年生まれなので、邪神戦争の時点で13歳。今はもう14歳にはなってる筈(どの道ヤバイけど)。

当然今後性欲を刺激される度に欲望を振り払う必要が出てくるので、下手にニースとスキンシップを取るとそれだけで消耗する。


次の部屋は物欲の呪いでした。部屋には魔法の鞄がポツンと置いてあって、中には無限に物を入れられる。推定"無限のバッグ"です。

この部屋では望みのものが無限に湧き出てくるのです。それが本物か偽物かは分かりませんが、第三者にも見える程度ではある。

しかし魔法の鞄は部屋から持ち出す事はできないし、持ちきれない物を置き去りにすると物欲を振り払う為にやはり精神力を消耗します。


この部屋ではアルド以外が抵抗に失敗しましたが、一番被害が酷かったのはライナでした。

ライナ「魔法のムチでしょ、装飾品でしょ、オシャレな服に、綺麗な鍵とか錠前なんかも欲しいわね」←欲望に忠実

大量に欲しい物を思い浮かべたのが祟り、部屋から出る時に昏倒。仕方ないので部屋から遠ざけてからトランスファーしました。

しかも彼らは以後欲しいものがあってもそれを我慢すると消耗し続けますからね。ある意味今までで一番厄介な呪いかもしれない。


次は権力欲の部屋です。皇帝の玉座と冠がセットになって安置してある部屋です。

スパーク「皇帝の座はオレのものだ〜!うわっはっは〜、これで世界は朕のものじゃ〜!

リーフ「王位継承権がなくなったのがよっぽどショックだったのね」

ライナ「綺麗な王冠はわたしの物欲も駆り立てるんだけど……」

スパーク「いかん、それも朕のものじゃ!」

でも抵抗に失敗したのはリーフとライナのみ。まったく欲の皮の突っ張った連中です。


しかし一連の呪いを全く受けていない男もいたりする。それはアルドです!

ライナ「あなたには欲望というものがないの?

ギャラック「それはそれで、寂しい人生だと思うぞ」

アルド「魔術師だから理性的なんだよ」

まぁそのお陰で彼はベスト・コンディションですがね。戦士野郎はともかく、魔法使いが精神力を消耗してるのはキツイ。


そして最後の部屋には特に呪いはありません。巨大なファラリス像がそびえ立つ地下神殿の本殿でした。

最早魔法の暗闇もない通路の両脇には邪神像が立ち並び、さながら闇の神の万神殿。多分主な闇の神は殆どあるんでしょう。

しかしその中に破壊の女神カーディスの像だけがないようでした。これも将来への伏線であり、小説を読めば何となく推測はできる。


部屋を抜けた一行は更に螺旋階段を下りて地下深くまで潜ります。そこはナースの棲み処だったと思しき大空洞でした。

ここにはリザードマンが5体ほどいて、内1人は貴族種でした。彼らはナースに召喚され、邪竜の残した卵の管理者だったのです。

既に卵からは幼竜が孵っているので、彼らはその養育者でもある。この辺からもう小説の第3巻のエピソードに突っ込んでいますね。


彼らは幼竜を養っているだけで決して邪悪ではないし、敵対もしない。でもナースの伝言を言付かっていました。

「汝らに送ろう、我が憎悪と復讐の心を形として。
 ……邪竜ナースは祖先竜(アンセストラルドラゴン)の魂を竜の卵に降臨せしめ、マーモの征服者たちに災厄をもたらさん。
 この地に呼ばれしは疫病竜(プレーグドラゴン)。病は強気種を育むための試練でもある」

ここでいう祖先竜とは古竜王の事でしょう。一部(いやかなり)設定が違っていますが、肝心な所は小説と大体同じですね。

しかし大きな違いがあります。召喚した魂は1つじゃない。このマーモには疫病竜の他にも複数の古の竜の魂と災厄が潜伏しているのです!


リザードマン達は幼竜こそ保護していますが、疫病竜の魂は擁護していないので、幼竜の安全を約束するのなら協力的です。

そこでスパーク達は具現化した疫病竜だけを倒し、幼竜をリザードマン達に任せる形で交渉をまとめ、協力関係を築き上げました。


こうしていよいよ最後の戦闘が始まりました。魔法使い達が消耗しているのが痛いけど、幸い直接攻撃はしてこないので即死の心配はない。

敵は霊体なので小説と同じく魔法の武器しか通用せず、動きは鈍いがHPは絶大。そして病のブレスを吐いて嫌らしい効果を重ねてきます。

ブレスに抵抗できないとD6を振り、地・水・火・風・精神のいずれかに変調を来たし、その効果は累積するに連れて悪化していきます。

例えばスパークは出目が4だったので「風+1」となっていました。多分これがある程度積み重なると病死してしまうのでしょうね。


咳や鼻水に苦しめられながらも前衛のスパークとギャラックは仲間達から援護を受け、9ラウンド目に霊体を消滅させる事に成功しました。

幼竜はリザードマン達に委ねられ、スパーク達やブリン村の人達にかけられた呪いや病気は知らせを受けて駆けつけた神官戦士団が完治させます。

しかし物語がこれで終わった訳じゃない。他の祖先竜の魂、呪われたままのファラリス大神殿、消えたカーディス神像……伏線は沢山ある。

しかも疫病竜の棲み処の更に奥には更に巨大な縦穴が……。つくづくこの島は呪われていますね。ある意味小説よりも厄介かもしれないし。


こうしてスパーク達は公王から竜の卵の発見と祖先竜の魂の鎮魂を命じられたのでした。

リーフ「もしかして、このキャンペーンって続くわけ?」

GM「リプレイとして掲載されるのは今回まで。でも、ボクたちだけで遊び続けるのは問題ないだろ?」←それがフォーセリアの醍醐味の一つ。

グリーバス「ええ、こちらは大歓迎ですよ」

スパーク「RPGは"終わりなき物語(ネバーエンディングストーリー)"だからな」

終わりがないのはTRPGだけじゃない。小説のロードスの物語にだって、一段落はあっても終わりなんてない。

フォーセリアは共有世界であり、意思の数だけ道がある。我々はそのほんの一端だけを垣間見ているだけなのです……。





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