「狙え!魅惑の大出世」監修:清松みゆき 著:秋田みやび/グループSNE 出版社:富士見書房
★成長申告〜そして、お買い物
今回の元ネタなんですが、BBSにて通りすがりさんから、島倉千代子さんの「東京だヨおっ母さん」という歌だと教えて頂きました。
最初は分からずに適当に書いたら、ちゃんと指摘して下さる方がいたんです。こういう点がインターネットの利点なのかもしれない。
今回の成長でヒースはセージ3→4にして、エルフ語の会話を習得。マウナはシャーマン3→4。ガルガドはプリースト(マイリー)3→4。
イリーナとノリスはもう4レベルなので、これでパーティー全員4レベルになりました。前回の功績もあるし、もう中堅どころですね。
報酬の相場も{(4^2×5)×50〜200}で4000〜1万6000ガメルと結構な額に!。でも報酬はやっぱり遠慮しがち(笑)
前回手に入れた魔神を召還する壺は魔術師ギルドに引き渡します。すると取り敢えずの手付けとして2万ガメルが支給されました。
どうやら大変貴重で危険なもののようなので、研究の成果次第では追加が支払われます。まったくいい身分になったもんですよ。
ヒース「一人5千ガメルだな」
ガルガド「ここには嘘をつくと鉄拳制裁な正義の神官戦士がいることを忘れるなよ?
ちなみに、その一人足りない分がわしとか言われると、戦いの神の名において立ち上がるがの」
まぁ冗談ですよ冗談、多分ね(多分?)。結局仲良く4000ガメルずつ分けて各自お買い物をします。
ここで入手した新装備は短編集「集え!へっぽこ冒険者たち」に載ってるデータだと思われます。一部抜けてる?ものもありますが。
まずイリーナは1000ガメルを実家に入れて、ロングボウ(24)を購入。ついに遠距離攻撃も可能な装備が入りました。値段は290ガメル。
グレソー、プレートメイル、ロック、クラブに続いてついにボウまで。通称24(トゥエンティーフォー)シリーズです。
しかし必要筋力24って、どんな強力な弦が張られてるんだろう。"ストラトフォートレス二世"みたいにミスリル弦か?(笑)
こんなものが命中すればきっとタダでは済みません。「もののけ姫」のアシタカみたいに上半身だけ千切れて飛んでいくとか(エグ)。
ノリスは高品質+5ハードレザー(7)を購入、780ガメル。そして"プロテクション"のコモンルーンを購入。
マウナも高品質+5ハードレザー(8)を購入、840ガメル。そして"ロック"のコモンルーンを購入。更に魔晶石(3)も購入。
ヒースも同じく魔晶石の(3)(2)を購入。ガルガドは武器を高品質にするそうですが、短編集のデータには載っていない。
★誰も知らないお客様
今回はノリスが主役です。そう言うと途端に不安になりますが、最近の彼はよくやってますよ。第一印象が酷過ぎたので邪険にされてるだけ。
ノリスの家は代々続くウィッチドクター。呪いや占いや薬草の調合などで古くからファンの庶民に親しまれています。
それが一旗上げて来いと家を出され、あれよあれよという間に"魔神殺し"ですよ。もうそれなりに名も知れてきたでしょうね。
全ての冒険者が英雄になる訳ではないし、これぐらいで引退して余生を過ごす人だっている。ノリスは既に一旗上げてるでしょうね。
そこで今回はノリス祖母メリーヌさんが小鳩亭を訪れ、ノリスの様子を見に来たのです。一人前になってれば連れ帰る、という事で。
実際は単純に可愛い孫の様子を見に来ただけです。本気で連れ帰る気はない。ちょっと顔を見て安心したかったんでしょうね。
メリーヌさんは扇子でノリスの頭をビチビチ連打し、早速孫と触れ合っていました。多分これが自然なスキンシップなんでしょう。
ちなみにノリスを冒険に出したのは父親のゼクスさんです。またノリスの甘え癖は母親によるものらしい(嫁姑問題か……)。
さてこのメリーヌさんの登場でヘッポコ内の反ノリス派?のヒースはここぞとばかりにノリスをお持ち帰りして貰おうと腐心します。
「お宅のぼっちゃんのノリス君には、大変ご迷惑をかけられています」「はっはっは、何と申しますか。ノリスくんの妨害にもめげず、よく頑張りましたよ、我々も」
「はっはっは……できれば、お持ち帰り願いたいぐらいでして……」
ひ……酷い。実の祖母の前でそこまで言うか。
しかし親ノリス派のイリーナやマウナは弁護しますよ。
イリーナ「一応前回ノリスはものすごく役に立っていたような気がするんだけど……」
おお、流石はイリーナ。空気を一切読まずに弁護しています。
イリーナ「"ファナティシズム"とか"ファナティシズム"とか"ファナティシズム"とか」
マウナ「そうそう、ノリーナになって、単身魔術師を足止めしてくれたり」
……若干けなされてるような気もしますが、「ネギで殴れば薬効で腫れが引いてキャンセルされる理論」ですよ(キャンセルされてない)。
しかもヒースはメリーヌさんが金持ちっぽくて老い先短そうな気配を察すると、途端に財産狙いでカッコつけ(ストライクゾーン広過ぎ)。
メリーヌ「でも、いいんだよ。ワタシはもう、長生きできても、精々あと30年だろうしね……」
ヒース「……早く死ね」
イリーナ「せいぎのてっつーい」←ぶん殴る
まったく懲りない男です。今回もやりたい放題。フリーダムにも程があります。
ところがメリーヌさんが「ノリスが一人前になってたら連れ帰る」事を知ると。
ヒース「はっはっは!今までのはすべて嘘ですよ、おばあさま!いやーこのノリスくん、役に立って立って!
何しろ我がパーティは彼がいなければ成り立たないという十年に一度の傑物ぶりでして!」
なんだその掌の返しっぷりは。お釈迦様の掌の上の孫悟空が思わず落下しちゃうぐらいの掌の返しっぷりです!
しかし厄介な事になりました。祖母の前でノリスを馬鹿にするのは問題だし、持ち上げすぎるとテイクアウトされてしまう。
逆に言えばノリスを活躍させればテイクアウトです。以後ガルガドとヒースは何としてもノリスを活躍させようと甲斐甲斐しく援護します。
メリーヌさんとしてもノリスの成長を見たいというので、暫くパーティーに同行します。謝礼として1人1200ガメルを払いました。
これでマウナも買収されました。ヒースとガルガドは頼りにならない。そうなるとイリーナだけがノリスの味方か……四面楚歌とは正にこの事。
でもノリスってそんなに役に立ちませんかね?。それは単純に最初の方や時々見られるふざけっぷりが尾を引いてるだけですよ。
確かに知力が低いから探索系は弱い。でも戦闘になったらクリティカルを駆使して活躍するし、敵を引き付けるのも得意です。
言わばイリーナを「天然ボケキャラ」とするなら、ノリスは「すっトボケキャラ」ですかね。本当に第一印象って大切ですね……。
イリーナ「でもでも、みんな。パーティーにシーフがいなくなるのは困るんじゃない?」
ヒース「この街はファンだぞ?俺たちも、色々経験して、勉強したじゃないか……シーフはこいつだけじゃない」
いや確かにそうですけど、こんなにとぼけたシーフは珍しいですよ。信頼できるフリーの4レベル盗賊はファンとはいえ稀だと思うし。
そんなに優秀なシーフなら冒険者としてすでに何処かのパーティーに組み込まれてたりと、それなりの生き方があるでしょうし。
イリーナの反対もあったものの、結局ヒースの主導で話は進みます。メリーヌさんにノリスの活躍を見せる為の冒険に出る事になりました。
しかし1人でできるような簡単な依頼は駆け出しにさせたいのが店側の本音です。ヘッポコももう中堅だし、もっと難しい仕事をして欲しい。
ノリス「あ、じゃあこの依頼にしようよと「ロマールの軍師を暗殺せよ」」
一同「一人で行けー!」
ガルガド「……というかこんなところに依頼すな」
できるもんならいっそ殺って貰えば、あんな事にはならなかったんですけどね。
そこで見つけたのが「謎の猛獣?村人行方不明事件」です。文字通り猛獣と思しき怪しい影が目撃され、森で狩人が行方不明になってます。
情報が少なすぎておばちゃんも判断し難い事件です。実は犯人はジャイアント・バットとトロールで、今のヘッポコにはまぁまぁ妥当な敵です。
報酬は1人200ガメル、ド田舎の村ならそれぐらいでしょう。今回メリーヌさんの謝礼があるので、むしろそっちがメインでしょうし。
★ノリス帰省作戦?
そして翌朝、ヘッポコはメリーヌさんをジェイミーに乗っけて街から旅立ちます。
メリーヌ「あなたたちのかけがえのない仲間を連れて帰ってしまうワタシをこんなに快く面倒見てくれるだなんて、正直思いませんでしたよ」
そう言って目頭をハンカチで拭うメリーヌさん。……言えない、ヒースやガルガドの真意なんて、とても言えない。
ヒース「しかし俺たちのユウジョウは、永遠に不滅っぽい気がする。最後の冒険、精一杯がんばろうなあ!」
ガルガド「我々もノリス君がいなくなることは痛恨の一撃ではありますが、いやはや、まったく残念ですなあ」
そう言ってグイグイグイグイとノリスをメリーヌさんに押し出しています。せめてイリーナだけは庇ってくれる筈……。
イリーナ「ノリス……別れ別れになっても、ずっと友達でいてあげるよ」←誠意ある態度
ノリス「みんな、もっとボクに優しくしてよー!わーん、どうせ2、3回手紙のやり取りをしたら忘れちゃうんだー!」
これはいよいよマズイか。ヒースとガルガドは乗り気。マウナは買収され、イリーナは流されてる。……ノリス(目頭ハンカチ)。
ちなみに道中メリーヌさんは模様を描いた小石をお守りとして持たせてくれます。これもウィッチドクターとしての仕事なんでしょう。
実際こういう風にお守りを作ったり、占いをしたりする人はいたと聞きます。庶民にとっては頼りになる知恵袋といった所です。
しかしここはフォーセリア。神も精霊も魔術も実在するのです。果たして簡単に作ったお守りにどれだけの信頼が集まるのだろうか?
こうして和やかな?旅を終えて、一行は事件の起きているシューイの村に到着します。こういう覚えやすい名前って重宝しますよね。
気合の入った凝った名前はカッコイイんですけど、覚え難いもの。清松先生も簡単なNPCの名前をよく使ったものです。
労働条件としては、10日間フルに捜査する事にします。10日過ぎて何も発見できなくても報酬が発生します。決して日雇いにはしません。
ノリス「日雇いにすると、冒険者は怠けちゃうからね」
適当にダラダラして日にちを延ばすだけでしょうしね。ヘッポコはそういう事ないでしょうが、そういったタチの悪いのもいるでしょう。
それから3名の行方不明者の家族を集めて事情を聞いたり、何か言いたげにしている子供に隠れて話を聞いたり。
ここで挙げられた空を飛ぶ大きな影というのはジャイアント・バットです。翼長は3m、たしかにデカイですね。
そして以前村人が迷い込んで封印された洞窟というのが曲者です。最近子供達が探検に行って、入り口の方で塞がっていたといいます。
実はそれこそがトロールです。何処からか流れてきたトロールは封印を粉砕して洞窟に住み着き、その巨体で洞窟を塞いでいたのです。
行方不明になった狩人達はジャイアント・バットやトロールに連れ込まれ、トロールのエサになってしまったという事件です。
メリーヌさんのインパクトが強いからあまり印象に残らないけど、過去10回程度の冒険の中ではシングの時と同じぐらい悲惨な事件です。
一行はその洞窟を調べに行く事になりますが、当然メリーヌさんもついてきます。仲間もみんなやる気満々。
ノリスは世の無情を噛み締めながら、大人の前ではなかなか喋り難そうにしていた子供達に話を聞きました。
子供たち「兄ちゃん、ハブにされてるみたいで可哀想だから、特別に仲間だと思って教えてやるよ!」
そして打ちひしがれた様子のノリスへかけたこの言葉の切れ味は、"スーパー・ノリス・ブレード"の比ではない(笑)
ここで聞いたのが前述の「浅い洞窟の不思議」です。もし彼らが下手にその壁に近づいていたら、犠牲者の数が跳ね上がっていたかもしれない…。
それから一行は案内人を連れて一度現地に行き、トロールが力ずくで壊したであろう洞窟の封印を確認するのです。
この原因は冒険者+知力でも分かりますが、ガルガドのクラフトマン(木工)+知力の方が低い目標値で分かります。
リプレイが始まって10話にしてついにクラフトマン(木工)が役に立ちましたね。ていうか使った事ないし。
この判定でイリーナは16!、ガルガドは13を出して成功します。封印である柵は物凄い力で引っぺがされた事が分かりました。
なるほど、力ずくという事はイリーナが一番縁深い状態な訳ですね。その後案内人を一度村へ送り、洞窟へチャレンジする事になりました。
★ノリス最後の洞窟探検?
洞窟に入るに当たっての陣形は、ヒースとイリーナが先頭、ガルガドとメリーヌさんが次で、ノリスとマウナが殿です。
ヒースがレンジャー+知力で調べてみると、天井の方にはちゃんとトロールがこすった跡があります。
トロールは3mほどの体長で、背中を曲げて歩くそうです。ヒースの頭より高い所ですから、2mぐらいの位置かな。
それにしても、いくらレンジャーとはいえ魔術師のヒースが先頭に立つなんて。もしもの時は一撃でシバキ倒されかねません。
元より魔術師は他の人より経験点が重めです。できれば軽めの戦士系のキャラがレンジャーも習得している方がいいでしょう。
バブリーズもそうでしたけど、レンジャー技能は低くなりがちです。しかし《危険感知》のような極めて重要な能力もある。
ちなみにメリーヌさんはシャーマン/セージのようです。本人に冒険経験はありませんが、冒険者技能はちゃんと持ってます。
冒険者技能の有無と冒険経験はイコールではありませんからね。本人はウィッチドクターとしてのみその技能を使ってきたんでしょう。
ガルガド「心構えがある分100パーセント純粋素人よりはマシかもしれん」
ヒース「100パーセント足手まといであることは間違いないと思うが」
また年を取ると能力値が減少しますが、知力や精神力は下がらないので魔法使いは得です。あとは彼女が何レベルなのかですね。
これで"ファイア・ストーム"が使えます、とかだったらむしろ戦って欲しいぐらいです。結局今回は終始見物に従事しますが。
洞窟を進む一行がまず出くわしたのは幅2mの激流でした。この時点で「洞窟はすぐ行き止まり」という子供達の情報とは違いますね。
という事はトロールはこの激流を渡ったんですね。体長3mの巨人なら幅2m程度の川は一跨ぎでしょう。仮に落ちても流れないだろうし。
助走ありの《幅跳び》で普通に飛べば、冒険者技能だろうが盗賊技能だろうが、基本の目標値はたったの5で済みます。
更に金属鎧のイリーナ・ガルガドは+4、ハードレザーのマウナ・ノリスは+2、それ以下のヒース・メリーヌは±0です。
おまけに対岸は滑り易いので+2入りますから、一番危なそうなイリーナ・ガルガドは目標値11にもなってしまいますね。
ここではイリーナとガルガドを命綱でつなぎ、順番に跳びました。これで失敗したのは1ゾロ振ったイリーナのみです。
イリーナ「あ〜〜れ〜〜、ごぼごぼごぼごぼ」
ガルガド「おおおおっ、命綱が引っ張られる!」
そのあんまりな有様にヒラリと渡ったメリーヌさんも心配そう。本当に連れ帰っていいんだろうか?と。
これでイリーナの鎧は床上浸水状態。ガシャポンガシャポンうるさいけど、イリーナなら風邪はひかないだろうと構わず前進(厳しい)。
次に襲い掛かったのは、例の黒い影ことジャイアント・バット×3でした。決して怖い敵ではないし、全滅するような相手でもない。
3レベルで打撃点はわずかに6点。空を飛んでいるので《相手の攻撃は−2》で若干当たりにくいものの、大抵の攻撃は鎧で止まる。
しかし攻撃が当たると鍵爪を引っ掛けて《捕獲》され、持ち上げられてしまうのです。そのまま巣へお持ち帰りです。
ただし冒険者+筋力で攻撃点を目標値に脱出を試みる事はできるし、小柄な人間でないと持ち上げる事はできない。
この中ではマウナ、ノリス、メリーヌですね。イリーナとガルガドは金属鎧を着てるし、ヒースは長身で体格もいいので無理。
出会い頭にイリーナに攻撃が命中し、持ち上げようとしますが、この金属塊が持ち上がる訳もない(笑)
イリーナ「むかーっ!なんだかプライド傷つけられたって感じ、ぴょこぴょこ自分からも跳ねてテイクアウトを手伝ってあげよう」←手伝うな
こうして戦闘に入りましたが、元より空を飛んでて−2な上に、地面が濡れていて更に−2。合計攻撃力−4で非常に当たり難い。
GM「では18でバットが動きますね」
ヒース「その前に23でばあさんが動きます」
ノリス「すごい!おばあちゃま最速!」
そんな機敏な婆がいるか(笑)
戦闘にはやはり勝ちます。勝ちはするんですが、攻撃は当たらない、魔法は効かない、1ゾロの乱舞。てこずるてこずる。
面白かったのは攫われそうになったマウナにイリーナがダイビングキャッチ。普通に攻撃する判定でした。急に重くなってコウモリ墜落。
そしてイリーナはコウモリのマウント?を取り、ゲチゲチと撲殺。うっかり一緒に転がっていたマウナも殴ってしまいました。
既に追加ダメージ8点ですからね。打撃力0の素手でも7振って10点!。防御点5の生命点11のバットがほぼ2発で死にますね。
また動物なので精神点が貧弱で"シェイド"が有効。3レベルで精神点6だから、9点以上出せば一撃で落とせますね。
マウナの魔力は6なので抵抗を破って出目7で一撃です。実際そうして1匹気絶させました。
ノリスも同じように"シェイド"を使いましたが、やはり魔力3では一撃とはいきません。7振って6点だから、2発で落ちるかな。
あと"シェイド"やウィスプは任意の場所に召喚できるので誤爆は少ないけど、《組み合い》状態だと全くの無作為に目標を決めます。
またノリスが何かする度にヒースは「おおおお――っ すごいぞノリス――っ!」と絶頂応援ヒートアップ状態。
こんな時にもアピールを忘れません。でもその気の使い方を普段の生活で役立ててくれ(苦笑)
メリーヌ「ノリスを庇ってくださらないでいいのですよ。この子は一匹も倒していないじゃありませんか!」
ヒース「ノリスが引き受けてくれたのは、明らかに連中のボスでした……そう、あれこそ、キング・オブ・バット!
ノリスくんでなければ、到底相手にできなかったでしょう!」
あの恥ずかしい戦いの後にそこまで言えるとは、最早ノリス帰省計画の急進派はヒースですね。
しかしメリーヌさんもノリスが活躍しなかったのが露骨に残念そう。孫の運動会を見に来ているようなものかな。
★ノリス最後の決戦
1匹だけ逃げたコウモリの後を追うように洞窟の奥を目指す一行でしたが、突如コウモリの断末魔の悲鳴を聞きます。
奥にいたトロールにやられたんですね、物凄い力で引き裂かれてます。これには皆の視線が筋肉娘ことイリーナに集中(笑)
イリーナ「ちがうー!わたしじゃないもん」
GM「よく見ると、歯形がついてたり」
ヒース「……イリーナ、合わせてみろ」
イリーナ「ちがうってば!」
ヒースのセージ判定は達成値13と知名度11のトロールを見破る数値ですが、流石に歯形だけで特定はできません。でも巨人族だと断定。
そしてもう少し奥にいて岩に成りすましていたトロールと遭遇し、"センス・イービル"で邪悪と認定。いよいよ戦闘です!
これは割りと正しい使い方ですね。見ず知らずの人に使うのに比べたら、正体不明の謎生物に使うのはアリでしょう。
そしてその正体もノリスが6ゾロ振って判別。17出したヒースは達成値では優っていたのにちょっと悔しそうでした。
トロールは6レベルの巨人族で、岩のような肌を持ち怪力で知られます。「中つ国」のトロールと違って光で石化はしません。
特徴としては石に擬態する《カモフラージュ》です。レンジャー+知力で13を出さないと判別できなくなってしまいます。
今回はイリーナが"センス・イービル"したお陰で存在に気付けましたが、もしそうでなかったら不意打ちを受けていた可能性が高い。
またそのスペックはイリーナとほぼ同等。生命点は21点なので、22点のイリーナに若干劣ります(ていうか劣るのか)。
防御点は11で、イリーナは防御力29+4なので7振って11点。打撃点は13で、イリーナは打撃力29+8で7振って15点!
筋力は{(打撃点−レベル)×3}の公式に当てはめると21、若干劣る。同等どころかイリーナの方が若干強い(笑)
ここで重要な事はトロールを倒せるかじゃなく、如何にしてノリスにトドメを刺させるか?です。それがメリーヌさんの要望です。
何しろ防御点11、非力な盗賊にはかなり厳しい。ノリスの武器は魔力+1のダガー(5)であり、その威力は打撃力5+7です。
魔剣なので"ファイア・ウェポン"はかからない。そこで"フィジカルエンチャント・ストレンクス"をかけて追加ダメージ+1です。
5レーティングでは出目8でも3点、11点でカキン。すると出目9以上出してクリティカルしないとダメージが通らないのです。
お陰で当たるけど通らない、それどころか当たらない。それを庇うように戦うイリーナとガルガドが削られていくのです。
仮に《強打》すればまだ通るかもしれないけど、それをやると13点のハンマーパンチが入って一撃で血達磨にされかねない。
一時はイリーナが慢心アタック(生命力1点)にまで追い詰められ、無理な戦いが祟って微妙に苦戦。メリーヌさんも業を煮やします。
メリーヌ「ノリス!ここで皆さんにご奉公するのです!」
ノリス「よかった、一応見てるだけなんだよね。"ファナティシズム"かけられたらどうしようかって思ってた」
ヒース「恐怖!嫌がる孫に"ファナティシズム"をかけ、戦闘に引きずり出す鬼婆!」
いや女性だから、流石に無理だから(苦笑)
メリーヌ「ノリス!女性を前に立たせて恥ずかしくはないのですか!」
ヒース「はっはっは、イリーナは女性ではありません、メリーヌさん」
ノリス「そう、巨大な物体なんだ」
こんな時でなかったらイリーナのトロール級の一撃が、2人の骨格を面白い方向に曲げていたでしょうね……。
やがてヒースも堪えきれず、魔晶石を使って"ライトニング"を撃とうとします。自分の精神力と併用して。
この時点でヒースはノリスにフィジカルで4点、イリーナにファイアで4点消費し、残り5点になってます。
"ライトニング"は5点消費、魔晶石から1点+自前4点で賄えれば、確かに自分の精神力は1点残る。
でも完全版では併用不可です。旧版ではできたんですけどね。どうやらそれをヒースは素で知らなかったらしい。
かといってここで"ライトニング"すると気絶するので、2点消費で済むエネボルを悔し紛れに発射し、トロールを倒します。
洞窟の奥には食い散らかされた村人の遺体と、辛うじて助かってる犬の姿がありました。犬は救えて人は救えないなんて切ない話です。
10日間捜査すると言っておいて初日で解決する手際は冒険者として素晴らしい。でも遺族の希望は叶いませんでした……。
これでメリーヌさんがいなかったらひたすら悲惨なだけの話になってましたね。シングの時と違って人を救えなかったんですから。
★荷馬と共に去りぬ
これまでの戦いっぷりをメリーヌさんの視点で見れば、コウモリ如きの精神力を大して削れないショボイ"シェイド"……。
チマチマ攻撃するだけで、なかなか傷をつけられないへっぴり腰……。回りから浮いているかのようなチャランポラン具合……。
なんか酷いですね。他の事はともかく、今までは戦闘は本当に強かったのに、今回に限ってどうしてこうも上手くいかないのか?
メリーヌさんの本心はノリスの顔を見たかっただけなんですが、できればカッコ良く活躍する彼の姿を見せてあげたかったな……。
ガルガド「トドメを刺すばかりが戦いのすべてではないのですぞ!」
ヒース「彼が何度も攻撃を引き受け、避けてくれなければイリーナの命は危なかったでしょう」
言ってる事は正論ですけど、黒い黒い野望が見え隠れ。
結局メリーヌさんはノリスの事を頼み、ジェイミーに乗って帰ってしまいました。彼女は彼女なりにノリスの元気な姿に満足したようです。
仮にノリスが活躍していても結果は同じです。「こんなに強くなった孫を、頼りにしてくださる皆さんから引き離すことは出来ません」とね。
ヒース「ま、しょうがないか……4レベルだしな」
ガルガド「4レベルだしの……それに、最近ではお前さんよりも役にたたんでもないし」
ヒース「ぎくぅっ!」
それを言い出したら皆ヘッポコなんですけどね。でもヘッポコはヘッポコなりに、皆頑張ってるから冒険に成功してきたんですよ。
★ 成長申告
今回の元ネタは「はぐれ刑事純情派」ですか。ガルガドとノリスのコンビはベテラン刑事と新米刑事のようにも見える。
今回は成長なし。でも次回にはイリーナがファイター5になる。それでも攻撃力はガルガドに比べると低いままですけどね。
イリーナ:ファイター4+器用度ボーナス1=5
ガルガド:ファイター3+器用度ボーナス3+武器のスペック1=7
イリーナは技能こそ高いものの、平均以下の器用度のせいで2も負けてるんですね。5レベルになっても1負けてます。
これはドワーフの器用度が高いからか、イリーナが不器用だからか。きっと両方なんでしょう(笑)
そこでイリーナは高品質+5クラブ(24)を購入。これで攻撃力+1で5レベルになって使えばガルガドと同程度の命中性になる。
その代わりグレソーと比べると期待値は低くなる。両方とも打撃力は29ですが、クリティカル値はクラブ12でグレソー10なので。
ヒース「いいクラブには『風林火山』と彫ってあるんだ」
車田正美先生の忍者マンガ「風魔の小次郎」にでてくる木刀ですね。十聖剣の1つ。ヴァンの十聖剣とは関係ない。
ちなみに値段は(29×5+10)×2=310ガメルです。いかに重くてもクラブはクラブ、大した額にはなりません。
イリーナは計算間違いで240を算出してました。これは多分24に5をかけて、10を足さずに2倍したんじゃないかと思います。
こういう規格外で博物館行き必至の装備が存在するかはGMの裁量に委ねられます。無ければそれを作れる職人をシナリオに絡めるのも手。
今回は手に入りましたけどね。棍棒だから単純に大きく作るだけなら可能だろうと。しかしこれがイリーナに更なる野性を与える事に……。
ヒースは高品質+5ロングボウ(16)を購入。(21×10+50)×2=520ガメルですか。
ちなみに今までヒースが弓で射たのはイリーナだけで、他は命中していない(いいのか?)。まぁあって困るもんでもないし。
★はじめてのお使い
今回はガルガドが主役です。次回で第一部完結になり、ノリスとガルガドも脱退しますから、最後にメインのシナリオがあってもいいですよね。
マイリー神殿の高司祭様に呼び出されたガルガドは、マイリー神殿御用達の鍛冶屋ブルスさんの説得を命じられました。
ブルスさんはグードン在住の武器職人で、必要筋力の高い武器を高品質に作れる腕利きです。マイリーの神官戦士団への武器も納めてます。
それが最近何故だか怠けているというのです。それを説得し、仕事を再開させるのがガルガドが中央に復帰する近道なのです。
……ていうかガルガドって出世コースから外されてたんですね。ブルスさんのルートも知らなかったし、ヘッポコな連中と付き合ってるせいか?
報酬は無いけど、旅費1000ガメルを支給してくれました。あくまでも神殿のお仕事なので仕方がありませんね。
でも全く実入りが無い訳ではありません。今回の冒険はイリーナの高品質グレソーのコネ作りに繋がるのです。
クラブならともかく、人間の限界の筋力を要するグレートソードとなると普通の職人には作れませんからね。
これもまたGMの裁量です。だから前述通りにそれを作れる職人をシナリオに絡めてきたんでしょう。
また現在グードンでは細工物のコンテストが開かれています。主に新人発掘の祭典であり、街も現在お祭り状態にあります。
そしてその細工師を狙った連続強盗殺人事件が起きてます。犯人は馬車でフットワークも軽く移動し、細工師の作品と命を奪っているのです。
ブルスさんの話を聞いたガルガドは当然イリーナも誘います。
ガルガド「イリーナは来ているかな」
マウナ「イリーナはまだ来てませんよ」
ノリス「その代わりノリーナがいるよ!」
ガルガド「おう、いたのか。ごすっ(蹴り)」
酷い。前回メリーヌさんにテイクアウトされなかったからって(苦笑)
ちなみに現在のイリーナはフル装備で街中を走る名物娘となっています。
ノリス「あー、あのすごい音は……揺れてきた、揺れてきた」
ガルガド「モビ○スーツが来たか」
こんなのが通ってるなら小鳩亭に暴漢は寄り付きませんね。まぁカタギの人も寄り付かない気もしますが。
今回ガルガドは報酬を辞退したので、1人頭250ガメルで全員揃って祭り見物です。珍しくノリスはハブになってません。
ヒース「イリーナを放置するのが怖いので、監視役としてついていこう」
イリーナ「わたしは理性的なファリス神官だよ!」
ガルガド「それは長い議論になりそうだから、置くとして」
まぁ理性が無い訳じゃないですよ。時に本能が理性をぶっ千切って暴走するだけで(それが怖いんだよ)。
おばちゃん「帰りはいつぐらいかね?楽しんでおいでね?(寂しそう)」
マウナ「……やだなあ、何か今生の別れみたいだよ」
あるいは本当にそうなるかもしれませんね……。
★街から街へ
鉱山街グードンはオーファン第二の都市であり、ファン⇔グードン⇔ライナスを結ぶ「エールの街道」の丁度真ん中あたりにあります。
ドワーフが数多く住み、鍛冶師ギルドやブラキ神殿が大きいのが特徴。鍛冶の神であるブラキはドワーフにとっての主神ですからね。
グードンは人間の住む地上の都市とドワーフの住む地下の都市に大別され、今回ヘッポコが活動するのは専ら地上の都市です。
グードンの太守はオーファン騎士モード卿ですが、実質的な権力者はドワーフ族の族長"鉄の髭"コーズです。
彼はアレクラスト最大級とも言われるこのグードンのドワーフ達をまとめ、ヤスガルンの鉱脈を知り尽くし、ミスリル銀すら採掘するとか。
今回ヘッポコが活躍するのは本当にグードンの一片なんですよ。ワールドガイドにはドワーフの集落なんかも紹介されてますよ。
現在のグードンはお祭りの最中であり、人でごった返してます。宿屋が割増料金で50ガメルとかするぐらいですからね。
貧乏性のマウナと、グレソーをギリギリ買える程度の予算しかないイリーナはテントを張ろうとしますが、ガルガドが払っておきます。
シュクバとかでもそうだったけど、本当にこの娘達は………。そんな事されたらガルガドでなくても申し訳なくて払ってしまいます(苦笑)
ちなみに高品質+5グレートソード(24)は{(29×40+60)×2}で2440ガメルです。イリーナの予算は2500です。
すると自由に使えるのは60ガメルか。でも60ガメルも屋台で食えば結構腹も膨れますよ。多分ほんの数ガメルで飴とか買えるだろうし。
当然往来もごった返しているので逸れてしまいそうになりますが、こっちにはランドマーク・イリーナがいるのでまず逸れませんね。
道を歩けば鎧の音、電信柱みたいな棍棒が頭を覗かせ、足跡で石畳の道が抉れてますからね。最早パワードスーツです。
ブルスさんのお店は炉に火すら入っていない有様で、本人は予想以上に重症です。なんというか無気力の極みといった所です。
彼の状態を説明するのは難しい。天才の憂鬱といったところですからね。でも創作意欲は充実感が大きな原動力になると思います。
それは物を創ること自体だったり、人からの評価だったり、できたものの使われ方だったり。彼の場合それが何かは断言できません。
かつては精力的に色々なものを作っていたのですが、投資の対象とみなされ、ネームバリュー目当ての仕事ばかりが舞い込んだようです。
いかにグレソー(26)とか作っても、それを使える人間はいない。精々見世物になるだけで、彼が充実感を覚える事はなかったのでしょう。
その結果彼は「作りたいものが作れない、認められない」となってしまったんですね。要は彼の技術に見合う人間がいないのです。
しかしここには文字通りに人間の限界に迫るイリーナがいます。あと6000点経験点があれば筋力24→26で例のグレソーも振り回せる。
イリーナの資質を目の当たりにしたブルスさんは確かに心が動かされました。でも結局は振り切って逃げてしまいました。
これは多分意固地になっているんでしょうか。ドワーフは頑固です。ドワーフ同士で議論をすると云十年を要するとも言われます。
イリーナを見た時に作りたくて作りたくて堪らなくなったんでしょうね。でも「作らないと決めた」から振り切った。意地っ張りめ……。
この場では彼を説得する事はできませんでした。でもギルドの人も心配してました。腕は本当に良くて、彼に並ぶものはいないのです。
最悪新しい鍛冶屋を見つけるのも手かもしれませんけど、「代わりの人を見つけましたー」では今度こそ本当に中央から遠ざけられる(笑)
ガルガド「もういい。わしは長期戦で挑むつもりだ。腰を据えよう。腹を括ろう。覚悟を決めよう。断固戦うぞ、打倒鍛冶屋ブルス」
ちなみに祭りは今前夜祭のようなもので、数日後に本番があり、あと1週間は続く。あんまり長くかかると宿賃が馬鹿になりませんね。
ヒース「もしかしたら、ブルスさんでなくてはならない秘密があって、そいつに逃げられたらマイリー神殿の暗部が白日のもとになる」
ノリス「説得が失敗したらこの封筒を開けろって言われていて、開けると「殺れ」とか「喜びの野に連行しろ」と書いてある」
嫌だな、そんなマイリー神殿。でもあっちはあっちで引っ込みがつかなくなってる節もある。諦めたら負けだと思うってやつですか。
ちなみに喜びの野とはマイリーにおける死後の世界です。そこでは永遠の戦いと宴が繰り返されるという。ぶっちゃけ北欧神話のパクリ。
でも多分ブルスさんはブラキ信者だと思う。死後は大地の底にある冥界へ赴くとされています。これは公式作品ではあまり見られない設定です。
宿屋に帰ろうとする一行は銀細工師モーリスさんの遺体と遭遇します。身元が明らかなので遺体です。そうでないと死体です(どうでもいい)。
例の連続強盗事件の犠牲者ですね。実は彼は家族への未練が原因でホーントになっていて、ここまでフラフラと歩いてきたのです。
ホーントには3種類存在します。生前の肉体を動かすゴースト、幽体で移動できるスペクター、自縛霊のファントムです。
モーリスさんはゴーストでした。そんな状態で現れたもんだから、驚いた衛視達に肉体を破壊されてしまったんですね。
そしてゴーストは肉体を破壊されるとファントムになる。こうなると最早自力では動けなくなるので、《憑依》を行います。
こうしてモーリスさんは通りがかりのブルスさんに憑依したのです。さぞ未練だったのでしょう。以後彼はコンテストに出場しようとします。
ホーントは強い未練や恨みによって発生しますが、その未練が晴れた時昇天します。必ずしも目的を果たす必要は無い。未練がなくなればいい。
他のリプレイにも度々登場するのでそちらも参照。「ブライト・プライダル」とか、「ホーントたちのからさわぎ」とか。
その後ヘッポコはヒースのレンジャー技能で《足跡追跡》し、殺害現場を大まかに特定して宿に帰ります。
★あんた、だれ?
そして翌日、ガルガドとイリーナは再度説得の為にブルスさんを尋ねます。すると炉に火が入れられ、作業をしているようなので一瞬期待しました。
しかしやってるのは銀細工。真赤な鉄を金槌で鍛えているのではなく、チキチキチキと細かい細かい仕事をしています(駄目じゃん!)。
実はモーリスさんは強盗に作品を奪われているのです。そこでブルスさんの体を使って、コンテストに間に合わせる為に徹夜で作業してたんです。
この時点でプレイヤーの方は彼の正体に気づいてるようでした。でもPC的には分からないフリです。殊勝な事ですね。
特にイリーナの腹芸が凄過ぎる。何気ない会話でモーリスさんの心に鋭いパンチを連打連打連打。何度KOさせたか分かりません。
「……なんだかモーリスさんみたい」「モーリスさんていう人、昨日死んじゃったんですよね(哀しそう)」
「とても銀細工が得意だったらしいんだよ(しんみり)」
これにはモーリスさんダジダジ。
イリーナ「モーリスさんをかわいそうな目にあわせた強盗を、どうにかしてもっとかわいそうな目にあわせてやろうと思っています」
モーリス「ごほごほごほ。本当にかわいそうに……妻子があっただろうに、心配だったろうなあ……うっうっ」
まぁこんだけやられれば如何にPCに正体が分からないと言っても、何かがおかしい事は察しますね。
それからイリーナは「ファリス神殿がんばれマニュアル」で強盗団の情報収集。強盗団が近隣の村からやってくる細工師を狙ってる事が判明。
でもこのマニュアルが読めるようになったのは割と最近です。セージで共通語の読文を習得したから。せめて西方語で書いてくれ(笑)
ガルガドは鍛冶師ギルドでモーリスさんの遺品や住所を入手。それからヒースを呼んで来て、ブルスさんの異常を調べさせます。
ヒースを連れて帰ってきてみると、モーリスさんは相当の修羅場。細工を完成させようと一心不乱で店に入れてもくれません。
ヒース「こら、火ィつけるど!集中力を乱すような不規則な扉の叩き方をするぞ。だん、だだだだん、だだんだだん、だ、だ、だん」
ノリス「あ、それはボクも手伝う。ぼんぼこぼんぼこ。ばぁん。ばぁん。ばばばんっ」
モーリス「ごめんなさい、ごめんなさい。世界中の方々に謝ります。ごーめーんーなーさーいー!」
……ヤクザかこいつら。
それからちょっと顔を出した時にマウナ"センス・オーラ"でアンデッドと判明。ていうか扉越しだと判別できないのかな?
そしてガルガドが誠意ある態度で「モーリスさん」に話しかけ、ついに白状しました。どうやら気の弱い人らしい。
モーリスさんはこの大会に賭けていたんですね。今まで苦労させてきた妻子に報いる為に、会心の出来の作品を作ったんです。
元々彼は細工師になりたい一心で修行を積み、ドワーフ級の器用さもあり、前評判もとっても良かったんですよ。
これで入賞すれば仕事も増えて楽な生活をさせてやれると思ってました。その矢先にこの不幸ですよ。そりゃあ未練にもなります。
しかしひと月かけて作った細工をまた作り直すのは無理。いくらなんでも間に合いませんね。そこでヘッポコは強盗を捕まえる事にしたのです。
アンデッドを放置するのに疑問が無い訳ではない。でもガルガドは強制執行は最後の手段だと考えてます。未練を晴らすに越した事はない。
咽び泣くモーリスさん(in ブルスさん)を前に腕組するガルガドは、正にはぐれ神官人情派といった様子でした(by.イリーナ)。
ちなみにモーリスさんの作品はネックレスや指輪です。乱闘に巻き込まれても壊れ難そうではある。
マウナ「……欲しい」
イリーナ「マウナ、火事場泥棒は…(剣を構える)」
マウナ「いや、そうじゃなくってさ。思わず欲しくなるようないい作品だなってことよ、おほほ」
イリーナ「……(不信の眼差し)」
マウナ「イリーナ。あたしは盗るときは盗るっていうよ?」
いや盗るな(笑)
次はノリスの毎度お馴染みの盗賊ギルドでの情報収集です。以前は相当マトモだったので今回も期待しましたよ。
ノリス「第一ヒント……3、4人乗った馬車です。ヒント2、ゴースト。ヒント3、銀細工」
一同「……(無言で武器の素振り)」
見直した矢先にこれかい。まぁこれで犯人は前評判のいい新人を狙う計画的犯行を行っている事は分かります。
逆に言えば前評判のいい新人を特定し、その人の護衛を買って出ればいい。コンテストの締め切りまであと2日、もうかなり絞れます。
1人は剣の柄のような細かい細工をするポールさん。もう1人はお金持ちで大きな作品を作るスートさん。
ヘッポコはより狙われそうなポールさんを護衛します。鍛冶師ギルドに話を通し、人数分の乗用馬を借りてポールさんの村へ急行しました。
★眠れよい子よ
一行は四半日でポールさんの住む村に到着し、最後の追い込みをかけているポールさんの仕事の完了を待ちます。
その様子は締め切り直前の漫画家の如く。今下手に話しかけると一般技能:クラフトマン(細工師)でノミ・ダーツの的になりそう(笑)
ポールさんの奥さんは護衛がつくという事で嬉しそうでした。肝っ玉の据わった人ですね、それだけ危険があるという事なのに。
やがてポールさんの仕事が完了すると、ヘッポコは村で幌付きの馬車を借りてグードン目指してゆっくりと進みました。
最初はノリスがグードンで偽情報を流すとか、珍しくも面白い策を出していました。正直またちょっと見直しました。
でも敵は既に大会の関係者を装って下見に来ています。使い魔を持ってる恐れもあり。情報が筒抜けの可能性もあるので正攻法でいきます。
道中は昼間はノリスが、夜は暗視持ちのガルガドが御者を務めます。ポールさん他は馬車の中に潜伏。作品も頑丈な箱に保管してます。
しかしそれすらも秋田GMの想定の範囲内です。夜間に御者を務めるガルガドにはレンジャー技能がない。すなわち接近が容易です。
そこで今回の戦闘のコンセプトは「遺失魔法でポン」です。要は魔術師が"スリープクラウド"で眠らせ、襲撃を仕掛けるのです。
如何に初歩的な魔法とはいえ、眠るだけでも相当鬱陶しい事になります。ちなみに到達距離は30m、効果範囲は半径5mと馬車一台楽に包める。
1ラウンド目、不意打ちを仕掛ける強盗団は、コンセプト通りに魔術師の"スリープ・クラウド"で口火を切ります。達成値はなんと15!
うわ、ヒースからは聞いた事のない数値です。ヒースとそうレベルは変わらないだろうに、3レベルの知力+2とすると出目10ですよ。
これに抵抗できたのはノリスのみ。他の面子は皆夢の世界にランナウェイ。馬すらも眠り、馬車はガクンと急停車し、そのショックで起きる。
また御者席から落っこちたガルガドも起床。イリーナは仰向けに馬車の中に転がり込み、ヒースは金属塊の下敷きになり悪夢を見たでしょう(笑)
また敵は魔術師に加え、金属鎧が3名です。前方からプレートとチェインが2名、後方からチェインが1名。特にプレートメイルの大将は強そう。
2ラウンド目、ヒースとイリーナは判定に成功して起床。眠っても戦闘状態なら毎ラウンド精神抵抗できるんですよ。マウナは失敗し。
15で前方から来た2人はノリスに攻撃。プレートメイルの大将は達成値16とかなり鋭い攻撃を繰り出しました。4〜5レベルはあるかな。
後ろから来た奴はイリーナに攻撃。転倒状態なので回避に−2で避けられないけど、ロールだけで9点止めてダメージ帳消し(硬!!)
ノリスはマウナを起こす。敵の魔術師はストーン・サーバントを召喚、後方から「箱を奪う」為にやって来ます。ガルガドは大将を殴ってハズレ。
3ラウンド目、ヒースは本邦初公開の"ライトニング"をサーバント目指して発射。1m×1mの雷を20mに渡って発射する百歩神拳です(笑)
ところがこの魔法は目標の間にいるものにも問答無用にダメージを与えます。この場合チェインの奴は勿論、イリーナも巻き込まれてる(笑)
ヒース「え、ええ?嘘だろ?おおおおおお……!すまん、死んでくれ!」
これがよりにもよって出目10で達成値16。イリーナも出目10以上出さないと抵抗できませんが、ファリスの加護か見事に成功。
ヒース「すまん、イリーナ。俺が浅はかだった!」←流石のヒースもめっちゃ動揺してる
イリーナ「くくく……ヒース兄さん……その愛を背中に受けてあげるよ……(すごく物騒な声音)」
ヒース「根に持つな、お前らしくないぞイリーナぁ……(あせあせ)」
これでチェインメイルの人やサーバントにも大打撃を与えます。しかし味方諸共とは、強盗団なんて目じゃない非情さです(笑)
続いてイリーナは敵を捕獲する為に《手加減》できる鈍器、すなわち例の風林火山を装備してチェインメイルの人を一撃で昏倒させる。
18点とか出してますからね。打撃力29+8だから、出目11で10点だったんでしょう。クリティカル値が12なので回りません。
この際ちゃんと《手加減》していたので、相手はどんなに生命力がレッドゾーンに突入しようとも生死判定では1ゾロ振らなければ生きてます。
ヒース「ふっふっふ、イリーナにかけた"サンダー・ウェポン"の力だ。電池が入ったようだな、イリーナ」
ガルガド「以後、戦闘ごとにイリーナに"ライトニング"を撃つようになる」
そんな魔法はありません(笑)
マウナはウィスプでプレートの大将をチクリ。魔術師は再び"スリープ・クラウド"でイリーナとヒースは再び眠る。
ガルガド「イリーナ、寝て起きて、殴り倒して、また寝る。お仕事終わり」
ノリス「健康的だね」
続いてボロボロのサーバントは箱を狙って接近。ガルガドとノリスでプレートの人と戦うも今ひとつ。
4ラウンド目、ヒースとイリーナは目を覚ます?。マウナはウィスプでまた大将をチクチク。魔術師はまたポンとやってヒース・マウナ・ガルガド寝る。
この時点で魔術師は少なくとも30m以内にいるし、視認できる場所にいる。大体20m以内にはいる、GMの言質が降りました。
ノリスはプレートの大将に背中を切られるのを覚悟でサーバントを破壊。これで当面は作品は守られましたね。いいぞノリス!
5ラウンド目、ヒースは寝てるのでイリーナが最初です。ここでイリーナは風林火山を魔術師にぶん投げる!!
クラブはルールブックでは(投)の武器です。すなわち投げる事もできる。マンドレイクの時も言ったように20m以内にいれば修正もない。
7振れば15点でしたが、出目3だったのでたったの10点。それでも貧弱な魔術師には十分痛い一撃でした。
ノリス「ぶんっ。ごおおーって感じだよねすごい音がしていそうだよ」
ヒース「わははは!向こうもこの常識はずれのパーティ嫌だろうなあ」
そりゃあ味方巻き添えで雷を発射するわ、電柱みたいな棍棒が飛んでくるわ、そんなもん想定できるかってものばかりですから。
ちなみにイリーナの手にはロック(24)の岩もあります。……既に戦い方が神官戦士というか、原人に近い(笑)
魔術師はしつこくぽんっと眠らせようとしますが、知力10同盟は抵抗。結局ノリス一度も寝ず。カフェインでも摂取したか?
それからもノリスはプレート相手に一騎打ちを続け、イリーナを魔術師の所へ行かせるのに一役買いました。
ノリス「イリーナは思う存分戦ってきなよ」
素晴らしい、最近のノリスは本当に頼りになる。
6ラウンド目、魔術師は逃げようとしますが、その前にイリーナはシールドアタックで《体当たり》です。
シールドアタックとは要は盾で相手をぶん殴る攻撃手段(オプションではない)であり、これはファイター技能がなくても使用できます。
打撃力は盾の必要筋力(ラージなので13)になり、攻撃力修正は盾のものを使用(ラージなので−1)。回避に盾のボーナスは得られません。
本来これは逆腕を用いるので−2/−4の修正が入ります。しかし戦士の場合利き腕の武器を使えない代わりに逆腕の修正が入りません。
そして戦士はここから《体当たり》を行えます。これは本来打撃力0で行う戦闘オプションであり、戦士にしかできません。
ダメージを与えた後、攻撃側はファイター+筋力、相手は冒険者+筋力/生命力で判定をします。攻撃側が有利になったら相手は転倒します。
要はこの際イリーナは盾の打撃力で《体当たり》を行ったという事です。クリティカル値こそ12ですが、魔術師相手には十分凶器。
打撃力13+8で7振って12点ぐらいですか。でも出目10で14点。魔術師圧死。流石に《手加減》できませんでしたからね。
こうしてイリーナは魔術師の返り血を浴びつつ、散らかった武器を回収して戻ってきました。
ガルガド「なんて野蛮なんだ、イリーナ」
ヒース「血に酔ってやがる、こいつ……(ガタガタ)」
マウナ「この魔術師、すっごい怖かったでしょうねー。味方巻き込んだ"ライトニング"は飛んでくるわ、クラブは飛んでくるわ」
ノリス「うほうほうほほほ〜(シールドを持って走る仕草)。怖いよー、むちゃくちゃだー」
仲間の言い草も凄い事になってます。こうしてイリーナは"ファリスの猛女"として名を馳せていくのでした。
魔術師は倒れ、全員が起き、最早勝ち目はない。チェインの人は降伏しました。
ヒースはガルガドに"ファイア・ウェポン"。本来こういう当たり目があって打撃力が欲しい人にかけるのが正しい使い方です。
プレートの大将はしぶとく反抗しますが、帰ってきたイリーナの風林火山でぶん殴られて昏倒します。《手加減》されてたので生きてます。
でも流石に魔術師は死んでました。体当たりじゃ手加減はできないようだし。まぁ1人でも生きてれば十分なんですけどね。
★祭りが始まる
強盗団を捕縛したヘッポコは彼らの馬車を押さえ、盗まれた作品の数々を奪還する事に成功しました。
取り戻した作品は既に作者はなくなっていますが、ちゃんとコンテストに出展されます。モーリスさんの作品もね。
モーリス「でも、何で死んでしまうのが私なんでしょう、もっと、もっとやりたいことはあったのに……」
その無念は察するに余りある。本当は子供の頭を撫でたかったでしょう。でも作品の成功を確信した彼は昇天しました。
実際彼の作品はなんと準優勝。たちまち彼の名は知れ渡り、残された作品に買い手がつき、遺族の生活も守られるでしょう。
ところで「成仏」という言い方には色々御幣がありますね。本来「仏」とは如来、悟りを開いた人を意味するのですから。
「仏に成る」とは悟りを開く事です。そういう意味では未練が消えて正しく死んでいくのを「成仏」というのは間違ってはいない。
言葉の意味は変わるものです。死者の事を仏と定義するのも間違ってはいない。でもやはり語弊があるので基本私は「昇天」と表現します。
そして憑き物が落ちて正気に戻ったブルスさんには創作意欲が戻っていました。モーリスさんの意欲が移り火したように。
多分彼は意欲をなくしていたのではなく、押し込めていただけだったんでしょう。「作品を作れる事は幸せな事」ですね。
そしてイリーナを見て目がキュピーンと光ります。割れ鍋に綴じ蓋と言いますか、どんな特異なものにもそれに相応しいものが何処かに在る。
ブルスさんは自分の技術に見合う人間に出会うのが遅かっただけですね。そういう意味ではイリーナの存在は彼にとって救いですらある。
後にブルスさんはイリーナの装備を数多く作ります。そしてその装備がオーファンの危機を救うのに一役買う事を、彼はまだ知らない。
★成長申告をしてもらおう
今回の元ネタはBBSにて霧さんから教えて頂きました。「郵便配達は2度ベルを鳴らす」という1946年のハリウッド映画のようです。
なんでも流れ者がレストランの女房と関係を持ち、保険金目当てに主人を殺してしまうとか。血生臭い所が今回のお話にも似ていますね。
マウナはレンジャー2→3。そして高品質+5ロングボウ(13)も購入。{(18×10+50)×2}で460ガメルです。
ガルガドはカレンさんから魔力+1のスモールシールドを購入。4000ガメルから少し割り引いてくれたそうで、コネって大事ですね。
イリーナはついにファイター4→5になりました。追加ダメージは9!。平均的7レベル戦士と同等、破壊力だけは騎士団長級です。
あと銀製のダガー(5)も購入。銀の武器は定価の5倍の値段になりますから、{(5×10+20)×5}で350ガメルです。
銀でなければ僅かに70ガメルですね。鉛筆みたいなもんです。銀の武器は修正こそ入らないが、《通常武器無効》の敵にも効果がある。
打撃力5では"エンチャント・ウエポン"をかけた状態と変わりませんが、1ラウンドの余裕があるのであって困るものではない。
★ひとりぼっちの娘さん
今回のお話でこの第六部"ヘッポコーズ"の第一部は完結。ノリスとガルガドは脱退してしまいます。
でも彼らの冒険はまだまだ終わりません。次回から新メンバーを加えて更なる冒険へと挑み、最後には2人も帰ってくるのですから。
ところでマウナって娘さんですかね。15歳が成人の世界で20歳だし。娘というよりOLみたいな印象があります。
今回のお話は『青い小鳩亭』の主人夫婦のガーディさんとシャナおばちゃんに関連する事件となります。
2人の馴れ初めは30年前。当時冒険者だったガーディさんは、村娘だったシャナさんと恋仲になり、2人で「青い小鳩亭」始めます。
そして1年前、2人は結婚30年目のフルムーン旅行にカユーマという風光明媚な観光地へと遊びに行きました。
その際ガーディさんの冒険者仲間が集まり、亡くなった仲間の魔術師アドレーさんの遺品整理をしていました。その時災厄が始まったのです。
彼らはうっかり首なし騎士デュラハンが封印してあった魔法の本を開けてしまったのです!
解放されたデュラハンはその時宿にいた人々に、おおよそ1年後の死の宣告をして去っていってしまったのです……。
それから1年が経ったので、当時宣告を受けたガーディさん達は再びカユーマに集まり、駄目元で向かえ討とうとしてるのです。
デュラハンとは7レベルのアンデッドであり、その姿は自らの首を小脇に抱えた甲冑姿の騎士であり、主に剣で戦います。
4レベルの付属物として、乗り物であるチャリオット・オブ・デュラハンと、それを引くヘッドレス・ホース×2を従えています。
戦闘時にはこれら付属物がデュラハンを守ります。チャリオットか馬のどちらかを倒して行動不能にして、初めてデュラハンと直接戦えます。
デュラハンは夜になると街中にチャリオットに乗って現れ、家の戸をノックし、家人がドアを開けると屋内を指差して去っていきます。
この際屋内にいた誰かを殺しにおおよそ1年後に再来し、命を刈り取ります。防衛手段はやって来た時に返り討ちにする事だけです。
まらデュラハンは何処に逃げても必ずそこに現れます。例え引っ越そうが、密室に閉じ篭ろうが、必ず現れてターゲットに刃を向けるのです。
しかし無茶です。3〜4レベルの年寄りが、7レベルのアンデッド、首無し騎士のデュラハンと戦おうなんて。
回りの人たちに迷惑かけたくなかったんでしょうね。でもそういう時にこそマイリー教団を頼ればよかったのに。
上の人と繋ぎが取れなかったようですが、ガルガドに頼めば少なくとも高司祭様には話は行った筈。それで見捨てるようでは教団に価値などない。
王宮に直訴は駄目かな。デュラハンに襲われる国民を見殺しにするのかな?。運良く暇を持て余してればリジャールがお忍びで出張るかも(笑)
いやそういう時こそ冒険者を頼ればいい。冒険者の店の主人なんだから、横の繋がりを利用すればデュラハンとやり合える冒険者も探せる筈。
こうして主人夫婦が出かけているので、「青い小鳩亭」は休業中です。当然マウナは締め出しを食らってます。
近所の人に話を聞くと、既に泊り客や依頼は他の店に回していて、仮に死んでいてもいいように身の回りの整理はつけています。
実は店内にはマウナ宛の書置きなんかもあるんですが、家の中じゃ読めないだろ(苦笑)。せめて近所の人に頼めばよかったのに。
イリーナ「無理して開けると中で一家心中」
ヒース「……中からひっそりと嫌なにおいが……」
マウナ「きゃー!(じたばた混乱)」
死んでない死んでない(手をパタパタ)。いや近い内に死ぬかもしれないけど。
マウナ「ファンは野宿できたっけ?橋の下で暮らせるなら、その場所を取りに行こう」
どうせならイリーナの家に泊めて貰えばいいのに。多分ファンでも野宿できますよ、物乞いさんもいるんだし。
路上で寝泊りするのはマズイかもしれないけど、橋の下ならいいんじゃないですかね。実はミレルも橋の下で老夫婦に育てられたんだし。
こういう時こそレンジャー技能の出番です。今夜の夕飯は焼き魚ですね。そうか、いつ放り出されてもいいように伸ばしたのか(納得)。
しかし逞しいよマウナ。これはアレですね
「パンがなければ賞味期限切れのお弁当を譲ってくれる友達を作ればいいじゃないの」
でお馴染みのマリー様(お前分かってるな!)。……いや実際は彼女が言った言葉ではないそうですが。
イリーナ「せっかくだしファリスに入信するといいよ」
マウナ「いつもごはんをお世話になっているしなあ……入信してもいいんだけどなあ」
イリーナ「これで、平信者をゲット」
人の心が弱くなった時こそ、宗教が介入し易い時だと聞きます。でもちょっと危ないよイリーナ。
イリーナ「ファリスはいつでも門戸を開いてますよ。さあ、ファリスの腕に抱かれなさーい」
マウナ「ファリスの腕?」
イリーナ「さあ、わたしの腕に……(抱きしめる仕草)ごしゅ、ぐしゃ」
マウナ「いやーっ、鋼鉄の処女はイヤー!!」
まさに天然のアイアン・メイデンですね。この場合ちょいと肋骨が砕けるというタイプの(笑)
そうして2人が果てしない漫才を繰り広げている所に、今回の助っ人NPCであるガーディさんの甥子クラウスさんが登場します。
年齢は22歳ぐらい。ファイター4ぐらいのなかなかの腕利き冒険者です。今回に限らず、後にも共闘する事になったりする。
イメージとしては「キノの旅」のシズに近いかも。出来過ぎ侍って感じ。学園モノだったら白いガクランを着てそうなタイプ(笑)
彼はお店の鍵を持っているので中へ入れます。最悪ノリスに《鍵開け》して貰うのも考えてましたが、その必要はない。
中に入るとマウナ宛の書置きがあり、マウナへの感謝の言葉と、クラウスさんに店を継いで貰いたい旨が記されていました。
手紙「食事と寝床とお小遣いのような少ないお給料で働いてくれる姿が、本当に娘のようでした」
……「娘のようでした」という感動的な言葉にマウナは感動して誤魔化されてるけど、サラッと凄い事言ってますよ。
ヒース「はっ、これはまさか伝説の……「甥と一緒になってくれ」攻撃」
いやそういう意味じゃないんですが、後にこれが冗談ではなくなってくる。
この時点で彼らは「1年前」というキーワードを手に入れてます。その頃から明らかに様子がおかしかったのだと。
何しろ1年の長きにわたるロシアンルーレットです。動揺しない方がおかしい。結構な躁鬱状態だったんだとか。
そんな時にヘッポコのような常連さんが生きる活力になったんでしょう。マウナには本当に感謝していたのだと思いますよ。
ところでこのお店って30年もやってるんですよね。まだオーファンが建国される前ですよ、結構な老舗なのかもしれない。
490年にクリシュはモラーナを滅ぼし、494年にファン王国で内乱が起き、495にリジャールの"竜殺し"。そして500年にオーファン建国。
現在が何年なのか分かりませんが、新王国暦525年とするならば495年ですね。まだまだこの辺りは乱世だった筈です。
そして宿屋に残された日記から、1年前に彼らがカユーマの「月夜の狐亭」に泊まった事が判明し、現地に向かう事になります。
……もしこの時ノリスがいつも通り《探索》に失敗していたらどうなってたんだろう。下手すればシナリオ崩壊かな?
どうやら只ならぬ事が起きている事を察したクラウスさんは、ヘッポコにオジ夫婦の捜査を依頼します。
拘束期間は書置きにひと月で帰るとあったのでひと月です。報酬は銀のバッソー(15)です。もし保護できれば魔力+1バッソー(15)。
銀の方は{(15×30+50)×5}で2500ガメル。魔法の方はルールブックに従うと1万1000ガメル相当になりますね。
あとヒースの合流の仕方が酷い。
ヒース「ばばばーんばーんばーん」
マウナ「あの落ち着きのない叩き方はヒースだ」
ヒース「おじさんおばさんはどこへ行ったんだ?埋めた?」
埋めてない。ていうか殺ってない。うっかり「リアルポンキッキー」を思い出した(笑)
★恋の花は、知らないところで、咲くらしい
この通り今回は非常に緊迫したシナリオなのですが、仲間達はシナリオに関係ない所でクラウス×マウナ計画を進行します。
何処まで本気かわからないヒース、ひたすらノリのいいノリス、そして割と本気でくっつけようとしているイリーナ(笑)
もし2人がくっつけばマウナは小鳩亭の女店主になる。そうなれば宿屋を使い放題。そういう打算もあります(勿論ヒース的な意味で)。
イリーナ「なかなか男前だよね、クラウスさん。マウナにピッタリだね」←勘違いイリーナ・アイ
ヒース「……というわけでイリーナとの意思疎通完了。キュピーン」
クラウス「なんかあの二人の目が、やり手婆の目なんですけれど」
悪い顔をするヒースに吹き込まれ、顔を赤らめながらもやたら乗り気のイリーナでした。
手始めにマウナとクラウスさんは2人っきりで宿に放置。いきなり2人で泊まるんですか!?それは駄目だ、フラグが立っちゃう。
でも大丈夫です。後にユニコーンに触れているので、プラトニックだったんでしょう。まぁちょっといい感じになったりはしたかも。
翌朝カユーマへ向けて旅立つ時も、ガルガドは初対面であるにも関わらずかなり飛ばしてます。
ガルガド「ああ、あなたがマウナの婚約者ですな」
クラウス「違います」
この時はまだ芽生えてなかったんですね。
道中もかなり本気でくっつけようとします。
ヒース「テントを2個買っていかないとダメなのかな」
マウナ「1個でいいじゃない」
ヒース「いや、我々が泊まるテントと……」
ノリス「買ってきたよーピンク色のテント」
イリーナ「凝りすぎるのはよくないよ。それより、気を利かせて同じ時間に見張りに立ってたりするんだよ」
こいつら……。ちなみに5人分のテントは300ガメルですけど、2人分はもっと安そうです。
★カユーマ村でも花は咲く
そうして3日ほどの旅程で一行はカユーマ村の「月夜の狐亭」に到着します。この店はデュラハンの風評被害を受けています。
一般人にはその正体は分からないんでしょうけど、首なし騎士なんて不気味ですからね。客足が遠のくのも無理はない。
また店の主人ジールさんとその娘も死の宣告を受けたのでガーディさんと一緒にいます。ヘッポコは留守を守るバイト頭に話を聞きました。
そして当時の目撃者である食料品店のレンさんの口から、デュラハの容貌を聞かされます。これを聞かないと具体的に《怪物判定》できない。
デュラハンの知名度は14、他の付属品も同じなのでデュラハンが分かれば自動的に分かる。これは雑学王ヒースが+3成功します(流石!)。
ヒース「来て来てデュラハーン」
マウナ「やっぱりデュラハーン、とってもデュラハーン」
これでガーディさん達が置かれている状況も察しがつきましたね。これを失敗していたらまた大変な事になってたかもしれない。
しかしデュラハンは一体どういう基準で宣告をしているんだろう。生前はファリスの聖戦士だったという説もあるけど、その関連?
あるいは「魅入られし者」ではカーディスの使者であるという説も出ています。どっちかというとこっちの方が面白いかな。
ノリス「飯屋とか劇場だったら最悪だよね」←まったくだ
しかし何処かにアノスの法王の所へ行って指を差す根性のあるデュラハンはいないんですかね。1年後は神聖魔法の雨あられですよ。
もしかしてデュラハンって強者がいる所を避けてるのかな。あるいはそういうマヌケなデュラハンをコミカルな短編で書けないものか。
またデュラハン達は《通常武器無効》の為に銀か魔法の武器じゃないとダメージが与えられません。クラウスさんの剣はこの為だったんですね。
完全版ではエンチャント等で魔力を付与しても、本来の打撃力は無視されます。エンチャントで打撃力5、ファイアで打撃力10止まりです。
ノリスの剣は魔剣"スーパー・ノリス・ブレード"なので問題ない。イリーナとクラウスさんで剣を分担し、ガルガドは"ホーリー・ライト"かな。
イリーナは正直強過ぎる。彼女にマトモにダメージを与えられる敵を出すと他の人が死ぬ。でもこうすれば彼女の破壊力だけは抑えられる。
勿論戦士としても一流です。甲冑を着込んでるだけに防御点は12。トロール以上です。ノリスじゃ回さない限りダメージ通りません。
付属物も面白いですよ。チャリオット・オブ・デュラハンは飛行能力があり、移動速度30で、しかも全力移動しながら攻撃可能!
攻撃手段は体当たりのみですが、打撃点は15と強烈。しかも別々のキャラを次々に轢き逃げる事もできるので、屋外では危険過ぎる。
またほぼ物体のせいか《一部の武器は無効》《一部の魔法は無効》で、構造物のように細かく有効なものと無効なものが設定されてます。
更にチャリオットに乗ってる限りデュラハンへの攻撃力は−2。そしてヘッドレス・ホースは片方でも潰せばチャリオットも動けなくなる。
よってまず馬を潰すのがセオリーですね。馬さえ潰せばチャリオットは無力化され、デュラハンも重い腰を上げて降りてくるでしょう。
そして首無しの馬ヘッドレス・ホースです。チャリオットを引いてる状態では攻撃できないけど、デュラハンは任意に切り離せる。
ノリス「または"ターン・アンデッド"って叫び続ける。するとチャリオットと馬がトンズラこいて、デュラハンだけポトって落ちる」
それはそれで面白いけど、実はチャリオットにはターン・アンデッドは無効だし、馬はデュラハンが任意に切り離せるから大丈夫。
★再会あれこれ
現在ガーディさんとシャナおばさんは、かつての冒険者仲間3人と宿屋の主人父娘の2人と合わせて、7人で何処かに立て篭もってます。
そこで必要になる食料も半端じゃないと推理したガルガドのお陰で、レンさんから最近の搬入先を聞き出し、割りと簡単に居場所を特定。
マウナ「おばちゃんだ〜〜!!」←抱きつく
シャナ「まあ、マウナちゃん」←抱き返す
まるで実の母娘のようです。この3日後にデュラハンはやって来るので、思ったよりも余裕を持って迎撃態勢を整えられました。
実はヘッポコは現在の小鳩亭の常連の中で最もレベルが高い。本来相談する予定だったんですが、グードンの件があったから。
ノリス「そんなの、聞いてたらこっちを優先したって。ガルガドをほったらかしても」
ヒース「まったくだ」
ガルガド「……おい」
とはいえグードンの冒険があればこそ、メインウエポンのイリーナが5レベルになったんだし。
デュラハンに指差された経緯は既に挙げた通りです。
ヒース「ふ……よくあるミスだな」
ガルガド「よくあるのか?」
ヒース「少なくとも、魔術師ギルドでは日常茶飯事だぞ」
そんな馬鹿な。いやそういう事件が起こる事はあるでしょうが、日常茶飯事で起きるのは揉み消せる程度のものですよ(おい)。
ちなみにデュラハンを召喚した呪いの本は崩れ落ちました。
ガルガド「2回も3回も呼ばれたら、たまらん」
ノリス「ぱらららら。あ、56ページまでめくっちゃった」
ヒース「扉をあけたら、56体のデュラハンがずら〜って並んでるんだな」
そんな事あって堪るか。しかしもしそうなったら、同じターゲットを巡って同士討ちとかになるかもしれない。
ちなみに彼らはひと月ほど前にはまだ3レベルでした。その後色々あってグードンの件があったので話しそびれたのです。
ヒース「ああ、そりゃそうだ。一ヶ月前に言われていたら、俺たち冒険者の宿を変えてるや。「ごめん。明日、またくるわ」とか言ってな」
ノリス「「任せてください」って安請け合い。次の日イリーナだけが店にぽつん」
うん、容易に想像できる。そして挑み、散るでしょう。
ヒース「「おいおい、やつら何レベルになりやがったよ、はっはっは。そろそろ使えるかのう……」そんな感じですね?」
シャナ「……ちょっとだけ(えへ)」
おばちゃんってば正直なんだから(笑)
さてここでこちらの状況を確認しましょうか。
人数は13人:ヘッポコーズ5人、ガーディさん、シャナさん、クラウスさん、元冒険者3人、宿屋の父娘戦闘要員は10人:ヘッポコーズ5人、ガーディさん、クラウスさん、元冒険者3人
非戦闘要員は3人:シャナさん、宿屋の父娘
標的候補は7人:ガーディさん、シャナさん、元冒険者3人、宿屋の父娘
元冒険者は、ガーディさん・コリンさん(4レベル戦士)、メイさん(3レベル女精霊使い)、リチャードさん(3レベルマーファ神官)。
高齢の為に能力値も減り、戦士達はちょっと前衛に立てられない。でも知力と精神力は退化しないので、回復役としては問題なし。
問題はガーディさん達が何処まで戦闘に参加するかですね。下手に前に出てザクーーッ!と殺られたら意味がない。
その人が標的だったら帰るでしょうが、そうでなかったら戦闘続行。そこで戦士2人は最初戦闘に参加せず、標的でないと確信すれば参加。
陣形はイリーナ・ノリス・クラウスの3トップ。場合によってはイリーナの1トップ。その間のやや後方にガーディさんとコリンさんですね。
魔法使い達や非戦闘要員はその後ろに待機。ガルガドはリチャードさんからトランスファーを受けつつひたすらピカピカ光る。
前衛は傷を負えば下がり、マウナやメイさんが"ヒーリング"。ヒースは援護魔法を充実させて、司令塔として皆に指示を送るという事で。
ヒース「まるで馬車に帰る出す、帰る出す」
プレイ経験はないけど、確かにそんな感じかも。
★決戦デュラハン!
デュラハンは必ず夜にやって来ます。そして丁寧にドアをノックして来訪を告げるのです。紳士だ、無駄に紳士だよデュラハン。
ところでこの時デュラハンはチャリオットから降りてるんですよね?それなら素直にドアを開ければ付属物と戦わずに済む?
ちなみに今回は屋内なので、チャリオットも爆走はできません。ドアをぶち壊す勢いを借りて、一度だけ体当たりをかまします。
デュラハンの接近を察すると、戦闘に入る前に援護魔法を充実させます。まずイリーナはガーディさんとコリンさんへ"ホーリー・ウエポン"。
ノリスはイリーナへ"ファナティシズム"。ヒースは前衛3人に"プロテクション"。イリーナ今回も回復役が多いので避ける気は無い。
何しろイリーナは防御力29+(5+1)です。相手の打撃点は14程度、こっちは7振れば13点は止める。防御で1ゾロ振っても即死はない。
1ラウンド目、ヒースは挨拶がてらに"ライトニング"!!。達成値は14で、精神抵抗はデュラハン16(9)、馬と戦車は12(5)です。
これなら付属物には十分効くかと思われました。しかしそこは"ダイス母神の愛娘"秋田GM、驚異的な出目(11)で片方は抵抗しました。
デュラハンは7レベル、付属品は全部4レベル。生命点はデュラハンは20点、戦車は30点、馬も20点となってます。
この一撃でデュラハンは残り18点。戦車は22点。馬(抵抗した)は11点。馬(抵抗しなかった)は14点。まずまずですね。
そして16でチャリオットが体当たり。かわす気のないイリーナはこれを真正面から受け、出目8で鎧だけで8点止め、14点ブロック!!
イリーナ「(小声で可愛らしく)1点抜けちゃった」
ノリス「うそつけーって感じだよね。車輪の跡がついてるよ、イリーナ」
ヒース「どすこーいっ、ばあーん。がしいっ(受け止める)ががががが、ずごごごご(後ろに下がる)」
ノリス「そして、1点ダメージ。デュラハン、真っ青」
ちなみにもし出目が9だったら完全にブロックしてました。最早仔犬の為に新幹線を止めたテリーマンか(笑)
更にイリーナは《強打》で残り11点の馬をぶん殴り、クルクル回って43点斬り!。防御点は7だったので、25点のオーバーキル!
これは防御点17・生命点26のノーライフキングを丁度倒せる威力。最早馬刺しのような状態です。勿論この時の武器はグレソーではない。
これで早くもチャリオットは行動不可能。次のラウンドには戦車から降りたデュラハンがイリーナに挑むでしょう。
続いて14のNPC軍団は基本《防御専念》。13でノリスは生き残った馬を攻撃。12の馬はこのラウンド体当たりしたので動けない。
ガルガドは達成値3倍拡大"ホーリー・ライト"。3点消費なので、3倍がけで9点消費、残り18点。リチャードさんもいるのでまだイケる。
しかしガルガドの魔力は6なので、+2しても8。精神抵抗16(9)のデュラハンの抵抗を破れる確率はロールした場合44%程度です。
威力は打撃力20+6だから、抵抗されると7振って9点。出目5以下だと7点にしかならないので、ダメージが通りませんね。
これで達成値18(出目10)が出た時はいったと思いましたよ。でも秋田GMはやはり10振って抵抗。くっ……毎度毎度。
ちなみに馬の方は16点行ったので、12点削れました。クラウスさんのダメージもあってこれで馬全滅。あとはデュラハンのみです。
デュラハンには10点ダメージ、3点削れて残り15点。1ラウンド目にして1/4削れましたよ。これで戦士ズがフクロにすればもっとイケる。
しかししここで問題があります。攻撃が当たらないのです。デュラハンの回避は15(8)。一方イリーナの攻撃力も戦乙女のお陰で8あります。
同点ならPCであるイリーナの方が若干有利なのですが、そこは出目勝負。同じMSもパイロットによって実力は雲泥の差です。
イリーナ「シャープネス欲しいなー」
ヒース「……今回は見てるだけか」
イリーナ「(凄みの利いた声で、バシンと机を叩き)精神力があまってるんだったら、シャープネスを撃てやぁっ!!」
ヒース「はっ!すんません、シャープネスを唱えさせていただきます、イリーナさん。これでよろしいでしょうか?(平伏)」
イリーナ「ありがと、ヒース兄さん♪」
2ラウンド目、こうしてやや物騒な兄妹愛により、ヒースはイリーナに"フィジカルエンチャント・シャープネス"。
これでイリーナは攻撃力9。およそ66%で命中します。その甲斐あって命中して1点削り、デュラハン残り14点。
またその前にイリーナはデュラハンの一刀を受けているのですが、出目11以上を振って合計16点ブロック。ノーダメージ。
この時点でほとんどイリーナとデュラハンの一騎打ちです。"至高神の猛女"VS"首無し騎士"か……なかなか絵になる対決です。
勿論実際には1人では戦わせません。クラウスさんとノリスも攻撃しますがハズレ。ノリス会心の17点攻撃までかわしますよ。
流石のデュラハンもそんな攻撃は出目10以上ないとかわせないんですが、そこで都合よく10以上出すのが秋田GMです。
マウナは"ヒーリング"待機。ガルガドはまた達成値3倍拡大"ホーリー・ライト"。でもやっぱり抵抗し、ダメージ無し。
全員「……(沈黙)」
ノリス「気長にやろうよ。うちは重戦車が壁になっていることだし、ね」
ガルガド「それもそうだの。お気楽に言われると、悩むのもバカバカしくなる」
なかなかのムードメイクです。こっちの重戦車もあっちのダイスの申し子も規格外なんです。気にしたら負けですよ(笑)
3ラウンド目、デュラハンの攻撃でクラウスさん負傷。下がって"ヒーリング"で回復。この際メイさんに癒そうとさせましたが、それは絵にならん。
イリーナの攻撃は当たらない。ノリスは6ゾロで命中させ、回って14点ダメージ。なんと2点削って残り12点です。
そしてガルガドの"ホーリー・ライト"ですが、やっぱり抵抗を破れない。そしてダメージも消される(以後の応酬から推測)。
チャールズさんのトランスファーがあるとはいえ、やはり出目では勝てません。以後拡大せずに数をかける事にしました。
4ラウンド目、ノリスにデュラハンの攻撃が行きます。いくら貧弱な盗賊でも即死はない。そう思ってましたよ、ええ思ってました。
ところが回避で失敗。そして防御ロールで1ゾロ!、素通しです。14点素通しなので、生命力12のノリスは生命力−2です。
これは生死判定になりますが、ノリスの生命抵抗は6もある。−2の修正を入れても4です。目標値7で生きてるので、1ゾロ以外大丈夫。
ノリス「……(ころころ)……あ」
GM「なに……あ、ってナニ?」
ノリス「うん……その、1ゾロ」
ノリス、連続1ゾロで死す!!
1ゾロの出る確率は1/36です。連続で出る確率は1/1296です。これは筋力24のキャラになる確率と一緒です。
1/1296というのは、確率にして0.077%程度です。奇跡ですね。……いやいやこんな奇跡呼び込んじゃ駄目だよ。
しかも見開き挿絵でスッパリとノリスが掻っ捌かれてますよ。こんな見開き挿絵、ロードス島伝説とかでしか見た事なかった(笑)
まさかのノリス死亡。でも標的ではないのでデュラハンも帰りません。まだ彼の死を知らない一同は、怒りに燃えて猛然と反撃します。
イリーナは根性の出目9で達成値18。珍しく鋭い一撃でズバっといって14点。2点削ってデュラハン残り10点。あと半分です。
ガルガドは"ホーリー・ライト"で抵抗されるも、脅威の出目11で12点。一気に5点削って残り5点。あと1/4ですよ。
5ラウンド目、ヒースはコリンさんに指示を出してノリス回収。首が飛んでいない限り死んだとは思わないという事で。
デュラハンの凶刃はイリーナに向きますが、今度はイリーナが6ゾロで回避!!。何だこの戦闘、1ゾロ6ゾロ乱舞で奇跡の起きる確率高過ぎ。
クラウスさんも当てて1点削り残り4点。マウナもウィスプで1点削って残り3点。ちなみにデュラハンの抵抗は6ゾロでした(またかよ)。
イリーナはまた命中させて14点、2点削って残り1点!!。ガルガドは"ホーリー・ライト"で何とデュラハン1ゾロで抵抗失敗!
最後は14点の聖なる光を浴びて一気に7点削られ、デュラハンは滅びました。長かった、ヘッポコ史上もっと濃い戦闘でした。
★さよなら?ノリス〜それなりに円満解決
こうしてデュラハンは仕留めました。放っておけば誰かが死んでいましたが、その人を守る事はできました。
でもその代わりノリスは死んでしまった。デュラハン恐るべし、まるで死神です。結局のところ、これじゃノリスが身代わりです。
挿絵では物言わぬノリスを膝枕したマウナと、その顔を覗き込むイリーナが泣いてますよ。ヒースも顔を上げていません。
ジェニに"リザレクション"して貰うとしたら10(レベル)×45(基本消費精神力)×20で9000ガメルですね。
金銭的な問題で拡大は精々2倍です。ジェニの魔力が12としたら13になる。目標値は遺体があるので実質14です。
出目3は出るとしたら達成値は最低16。1日経過する毎に目標値は+1で、カユーマからファンは普通に行って3日ですね。
何とか2日以内にファンへ戻って話を通せばほぼ確実に蘇生できる。あとシャナおばちゃん達も半額もってくれるそうだし。
その甲斐あってノリスは蘇生します。しかし自分の未熟さを知った彼はガルガドと共に旅に出ます。短編「ゆく人くる人」参照。
そしてシャナおばちゃんとガーディさんはクラウスさんと相談します。クラウスさんはまだ冒険したいそうなので、意欲のある跡継ぎが必要でした。
ヒース「ということは、マウナを嫁にするんですか?」
クラウス「いや、まだしません。欲しくなったら迎えにいきます」
いつの間にか恋愛フラグが立ってますよ。一体なにがきっかけで?
シャナ「マウナちゃんさえ、よければ……家族にならないかねって思うんだけどねえ」
マウナ「よろこんでっ!」
こうしてマウナは小鳩亭へ養女入りする事になりました。今後2人をお義父さん、お義母さんと呼ぶ仲となります。
ハーフエルフだし、軽く100年以上生きますからね。仕事を覚えれば随分長い間店は安泰ですね。きっと名物女将になりますよ。
ヒース「なんだ、そういうことならクラウスの奴、必要ないや」
イリーナ「……ヒース兄さん」
こうしてノリスとガルガドは新たな道を歩み、マウナも未来へ続く道を見つけました。でも彼らの冒険はまだまだ終わらない。