「新ロードス島戦記3 黒翼の邪竜」作:水野良 出版社:角川書店
★1〜3
魔獣使いのエレーナは、黒翼の邪竜ナースを探そうと探知の糸を伸ばしていました。支配できないまでも、精神と接触すれば所在は割れる。
この島に招かれてから、彼女は多くの魔獣を支配して鎮めてきた。そして自分の存在を認められ、多くの喜びも味わってきたようです。
あの悲劇を味わった時と比べれば別人のように幸せそうです。人の幸せは人それぞれと言うけれど、暗黒の島だからこその幸せもある。
そうして探知をする内に、彼女はリザードマン・ノーブルのアブロスとの接触を果たします。
リザードマンはロードスでは滅多にお目にかかれない種族ですが、大陸には少なからず存在しています。西の未開地や大湿原等に。
始原の巨人の体毛より世界樹が生まれ、そこからエルフ達が生まれた。同じく鱗より竜族が誕生し、リザードマンはそこから生まれました。
そうして生まれたエルフ達が神々ではなく世界樹を信仰?するように、リザードマン達は(善悪個体問わずに)竜族を信仰しています。
また彼らは知能が低く魔法も使えない奴隷種(スレイブ)と、人間並みの知能と竜語魔法の能力を兼ね備えた貴族種(ノーブル)に分かれる。
アブロスはその貴族種なんですね。大陸で確認されるリザードマンの多くは奴隷種なので、彼と全く同じだとは言い難いでしょう。
ルールブックでは貴族種のデータは竜語魔法5レベルとなっていますが、あくまでもこれは平均的な能力に過ぎないので個体差がある。
彼らはダークエルフやケンタウロスと同じく、PC作成可能な程個体差が大きい。アブロスは確認できた限り最低6レベルですね。
また彼らはさり気なく筋力の高い種族です。何しろ最低値10の最大値30で平均は20と、ドワーフをも上回る力持ちなのです!
彼は探知の糸を伸ばすエレーナと同じく探知を行い、その糸が絡み合う事で一瞬で彼女と意志疎通を果たしていました。
魔獣支配の秘術は一応召喚魔術をベースにしていて、《召喚》の魔法と違って空間を超越する事はなくても基本は同じと思われます。
そして竜語魔法にも《召喚》に属するものが多いので、恐らくはそれが絡んだのです。ヘッポコのヤムヤルも同じように糸を伸ばしてた?
そして彼の目的こそが黒翼の邪竜ナースの奪還です。ナースを彼の故郷へと連れ帰るのが使命なのです。
およそ700日前にナースは彼の住むリザードマンの島に飛来したそうです。以来彼らはナースを守護者として崇めたそうです。
闇竜を崇める事に多くの人間は抵抗を持つかもしれないけど、彼らに竜の種別は関係ないのでしょう。老竜とくればきっと強い尊敬を抱いた筈。
ところがおよそ300日前に島から飛び去ってしまいます。これは"竜爪の錫杖"の力でロードスに呼び戻されてしまったからですね。
ちなみにフォーセリアではひと月は一律30日で、1年は360日です(うるう年もない?)。よって既に「邪神戦争」から約2年が経過。
その際ナースは奴隷種のリザードマンを1人呼び寄せ、幼竜の水竜種を拉致してる。彼らを連れ戻すのもアブロスの役目です。
しかしこの「呼び寄せる」というのも竜語魔法なんだろうか。一応ルールブックにはリザードマンを召喚するような魔法はない。
でも老竜だし、"サモン・リザードマン"的な魔法が使えても不思議ではないかな。あるいは普通に命令を与えただけかもしれない。
なお竜語魔法の多くは持続時間が3分しかなく、それが過ぎれば元いた場所に送還される。もしかしたら持続時間を延ばす手段もあるかも?
そういう事情があるので、彼は公国と共闘しうる。
スパーク「邪竜なんか味方にしたくもないな。支配の方法が分かってこちらのものにできたなら、早々にこの島から退散願うさ」
エレーナ「その言葉に偽りはありませんね?」←"テレポート"で出現
こうしてアブロスはエレーナを仲介してスパークに紹介され、以後共闘します。
ただし基本的に彼らに人間の習慣や礼儀作法などは通用しません
アブロス「歓迎は不要だ。人間に敵対する気はないが、同盟も交易も、我々は望んでいない」
賢明な貴族種だからこそ、両種族の違いを把握し、可能な限り相互不可侵を取ろうとしているのでしょう。
一応彼らに「アルラッハ」という仲間意識があり、人間と仲良くなる事もある。しかし種族単位で理解し合うのは難しいでしょうね。
でも彼の登場は公国には有難い筈です。何しろ邪竜、妖魔、竜熱、帝国の密偵、そして闇司祭と多くの問題を抱えているのです。
ナースは当面の最強の敵であり、これを退けられれば他の問題にも手が回る。そうして1つずつ解決すれば、いずれは解消する……筈。
公国は今正に存亡の岐路に立たされているのですね。もっとも、この国の場合は今はって言うか、常に存亡の危機なんですがね(苦笑)
しかしそのリザードマンの島って何処にあるんだろう。アザーンの方にそんな島あったかな。小さい島なら腐るほどあるらしいけど。
クリスタニアとロードスを分けるようにして存在する謎の大地の一部かもしれないし、本当に小さくて世界地図に載ってない島かもしれない。
フォーセリア世界には数多くの大陸や島があり、メジャーなものは概ね判明している。しかし全てが解き明かされている訳では決してない。
★4
ここでようやく帝国の密偵ボイドが登場します。彼はヴェイル配下の腕利きの密偵であり、また手練の暗殺者です。
諜報・防諜活動をして帝国に有利になるよう計らい、帝国公国問わずに邪魔者を暗殺してきた、言わばヴェイルの目と手足なのです。
既に彼によってライナ率いる公国の密偵も何人か葬られている。逆に言えば彼を除けば帝国の密偵は大した実力者はいないそうです。
普段は感情や欲望を決して見せず、言わば己を殺せる男です。しかし何故か信頼や裏切りという言葉には敏感。
ボイド「クラートという魔術師、信用できません。このところネータ様の側近とよく接触しております」
ヴェイル「信用などしない。信用すればこそ、裏切られる。有用なあいだは、使っていればいい。
無用と思えば、あるいは有害と判断すれば、始末すればいいだけだ。監視を怠らなければ、先んじられることもない」
ボイド「信用するから裏切られる……。わたくしに対しても、同様にお考えですか?」←感情が見えた
ヴェイル「おまえをもっとも有用に使える人間は、オレしかいないと自負している。それがおまえに対する信用だと思うことだな」
ボイド「仕え甲斐のない主人ていらっしゃる(裏切り甲斐のない主人でもある)」←楽しそう
それこそボイドの実力なら裏切るも殺すも可能でしょう。しかしヴェイルはそのメリットを与えない、それが裏切りを防止する方法です。
そうしてボイドは再び竜熱の噂を広げ、公国を確実に脅かしていくのです。
★5
一方レイエスことフィオニスの元には転生者が集いつつある。彼らも幾度も転生を重ねてきた、ナニールやフィオニスの配下なのです。
彼らは「フィオニス」という合言葉によって無条件にフィオニスに迎えられ、ボイドですらその素性を突き止められずにいます。
ネータは既にフィオニスの奴隷も同然。昼間こそ威厳を保っているけど、夜になれば慰み物。そして本能的にその脅威を感じている。
今まで彼らロードス本島で布教活動を行い、既にロードス全土で1万もの信者を抱えている。長い戦乱が人々の心を蝕んだのでしょう。
「魔神戦争」の時の百の勇者も最大で1万2000を数えたそうだし、公国の騎士が3000騎と考えると驚異的数ですね。
その殆どは一般人です。しかし「終末信仰」故に死を恐れないという点、ある意味不死生物や魔法生物のように厄介な存在でもある。
何しろ犠牲を省みず戦う事ができますからね。ゴブですらある一線を越えると逃げ出すのに、それすらない。「数は脅威」、それも一つの真理。
ただしナニールがニースとして転生した事には動揺を隠せない。何しろマーファといえばカーディスの天敵なのだから。
彼らにとってナニールとは永遠の最高司祭。敬愛と羨望の的であり、ある意味彼女の声は神の声にも等しい絶対的存在です。
一応ニースにはナニールの記憶が戻っている事は判明しているので、彼らは彼女が"亡者の女王"として覚醒するのを待つつもりです。
★6
夜も更けたウィンディスの街で、エレーナは自宅にいながらボイドの存在を察知していました。
彼女の支配するリュンクスには《透視》の力があり、魔法的なその感覚は半径100mをカバーするので接近は困難極まりない。
実は既に何度かその存在を感知してはいたけど、今までは探りのみでした。しかし魔獣の感覚を通せば、今夜は殺意を抱いている事は明白。
そこでエレーナは今では親友となったライナに連絡を取ります。彼女の家にある羊皮紙を"アポート"で呼び寄せ、言伝を記述。
この魔法で呼び寄せた物体は3分後には自動的に送還されます。これを利用すれば掲示板のようにメッセージをやり取りする事が可能です。
ただし通信費(消費精神力)はそれなりでしょうね。そう何度も使うと疲れちゃうし。あとここでは呪文を唱えて送還してましたが、本来不要です。
エレーナ「この島がどういう場所か、どういう人々が住んでいるかを教えてくれたのは、あなただったわね……」
それは今は亡き恋人ランディスへの言葉でした。あの時は拒絶したマーモ行きを、今は幸福に思う彼女を彼はどう思うでしょうね。
エレーナ「もしものことがあったら、あなたはわたしを喜んで迎えてくれるかしら……」
自ら死にフラグを立てまくっていますよ。しかしこうも立てまくると、かえって生存フラグでもある。
そして翌朝、エレーナ暗殺の知らせがスパークに届きます。その時彼は帝国に対する強い憎悪を抱いたという。
ライナ「エレーナが殺されたわ……。犯人はあの暗殺者よ……」
スパーク「どうして……、エレーナ師なんだ……。なぜ、オレを狙わない……。
滅ぼしてやるぞ!貴様らのような人間には、この島は絶対に渡さない!!」
今やお馴染みとなったスパーク・シャウト。しかし彼はこの時、既にある策略にかかっていたのです。
★1
人の価値はその葬儀の時に分かるという。その正否はともかく、エレーナを送る国葬には多くの参列者が集いました。
この島では魔獣の存在こそが自然であり、マーモの民はずっとその脅威に晒されてきた。それを緩和したエレーナの偉業への敬意でしょう。
しかし葬儀が済んでもスパークの怒りは収まらない。リーフはそのスパークと2人っきりで放置されていました。
スパークも機嫌のいい時はニースと居るくせに、こういう時だけリーフがスケープ・ゴートにされる。リーフちゃん不幸!
周囲の人間も、それが"公王の友人"という謎の称号の代償だと思ってる節がある。いっそ怒られ係として給料を出すべきです。
美樹本先生の描かれるビクビクするリーフは本当に愛らしい。内心のビビリ具合がよく出ています。
リーフ「エレーナのためにも、暗殺者を捕らえないと………(ビクビク)」←さもないと、次はスパークが標的
スパーク「望むところだ。そうしたら、オレの手で始末がつけられる」
殺す気満々ですね。普段マジメな奴ほど一度キレると怖いものですね。最早法を超越して斬首に処しそうです。
そこでギャラックとライナと共に登場したのが、あのセシルです。非常に気まずい人がきました。
スパーク「何と言えば、いいのか……。お怒りのことでしょうが、仇は帝国を滅ぼし、暗殺者を捕らえることで……」
リーフ「ひとつ、増えているよ」
スパーク「おまえは黙ってろ」←クワッ!
この期に及んでなお突っ込みを忘れないリーフは、いっそ凄い人材なのかもしれない。
しかしこの人物はセシルではないのです。彼が魔法を唱えた時、そこにいたのはエレーナでした。
スパーク「エ、エレーナ師……」←指を差して絶句
はい、この通りに生きていました。殺されたのは9レベル古代語魔法"ポリモルフ"で影武者にされた使い魔の猫だったのです。
身の危険を察した彼女は影武者を仕立てて脱出。以後セシルの姿に"シェイプ・チェンジ"し、命を狙われる事無く活動していたのです。
勿論羊皮紙にしたためたメッセージはライナにこの事を伝えるものであり、現在は"ディスガイズ"で本来の姿の幻影を映しているのみです。
つまりギャラック・ライナ夫妻がリーフにスパークを任せていたのは確信犯。スパークを怒らせる事で、暗殺の成功を世に知らしめたのです。
ちなみに"ディスガイズ"は幻覚魔術であり、自分に幻影を被せて変装するのみの2レベル魔法。この際あまり劇的な変化はできません。
"シェイプ・チェンジ"は創成魔術であり、自身が変身する5レベル魔法。知っている対象なら身長体格も、肉体的能力も再現します。
"ポリモルフ"も創成魔術で、他者を変身させる7レベル魔法。要は他者にかけられる"シェイプ・チェンジ"で、クリスタニアではポルモリフ。
エレーナは知り合いも友達もいなかったからセシルな訳ですが、好意を抱いている相手にそれは酷い。あとその姿で女言葉は男色家に見える。
スパーク「それにしても……騙されたのが、こんなに嬉しいなんてな」
まぁセシルをよく知らないから騙せた訳ですが、彼を知る人からすれば仕草などですぐバレるでしょう。演技は盗賊技能の領分です。
そもそも本物のセシルだったら、取り合えず杖で殴りかかると思う。それこそ荒川コーチに鍛えられた王選手級の見事なスイングで(笑)
そして既にエレーナはアブロスの知識のお陰で竜熱の正体を掴んでいます。それこそは古竜王である疫病竜です。
文字通り疫病をもたらす力を持った竜で、ヴェイルはナースの闇司祭としての力を使い、その霊体を拉致した幼竜に降臨させている。
竜王の魂も神と同じく不滅なので、そういう事ができる。老竜なら"コール・ゴッド"を竜王の魂で行う事も可能かもしれませんね。
ただそれをやると幼竜の魂が砕けるような気がする。あるいは竜の夢の力を使ったのでしょう。詳しい事はもっと後に分かります。
ベリルの村で目撃された透明の怪鳥こそがその疫病竜の霊体であり、噴出してきた煙は精霊力を乱す力でもあるのでしょう。
そういえば「自由人の歎き」でも、精霊力を狂わせて病気にする魔法が出てきました。そういう能力を備えているのかもしれない。
他にも病を振りまく7レベル下位魔神ガガロンガーなんてのもいましたね。いずれも精霊力に干渉できる能力の持ち主という事でしょう。
ここで疫病竜という存在について考えてみました。恐らくは闇竜に属するのでしょうが、どうもそれだけとも思えませんね。
「火竜山の魔竜」でも触れた事ですが、古竜以下の竜は水・火・風・地・氷・光・闇のいずれかの精霊力を宿しています。
内前5つの種類は、対応の精霊力による攻撃が無効化される。そして光竜は神聖魔法が、闇竜は暗黒魔法がそれぞれ使える仕様です。
それでは疫病竜に宿る精霊力とは何なのか。それを解き明かす一つの鍵が『神殺し四神竜王』です。
これは「西部諸国ワールドガイド」に載ってるものであり、竜王の中でも最強で真の"神殺し"であったと言われています。
この四神竜王は以下の4匹です。
天竜王ファルトアール:西を守護する光と知性を司る虹色の竜王邪竜王グラブロルド:東を守護する邪と闇と力を司る黒い竜王
冥竜王マトン:北を守護する亡者と氷の力を司る白い竜王
海竜王マリーナ:南を守護する聖と慈愛を司る水色の竜王
この通りに疫病竜のように大雑把に分類できません。例えばファルトアールの鱗の色を見るに、単純な光竜とも思えません。
そういえばクリスタニアで暴れた百の目を持つアルゴスも微妙な存在だった。まさか彼らは複合精霊力を宿した竜、という事では?
つまり、重力の竜や磁力の竜や溶岩の竜といった個体もいたかもしれない。そうなると古竜と古竜王の隔たりが大きくて、それも疑問ですね。
あと神話の時代の竜は"神殺しの竜"、古竜王、ドレイクと色々呼ばれますが、これを解き明かす鍵が「ロードス島コンパニオン3」です。
ドラゴンには大別して4つの種類があります。レッサー・ドラゴン、エルダー・ドラゴン、エンシェント・ドラゴン、エンシェント・ドラゴンロードの4種類です。さらにこのうち、レッサーとエルダーに分類されるドラゴンをレッサー種、エンシェントとエンシェントロードに分類されるものをドレイク種と呼びます。神話の中で"神殺しの竜"といわれているのはエンシェント・ドラゴンロードです。(中略)エンシェント・ドラゴンたちは(中略)"神殺しの竜"とは比べるべくもありませんが、それでも現存するドラゴンの中では、彼らは飛び抜けて強力な存在です。
以上の記述がまだ有効だとしたら、"神殺しの竜"=古竜王であり、ドレイク=古竜&古竜王ですね。
そしてQ&Aの記述で古竜は上位種だと明言されているので、それなら古竜王は最上位種と呼んでもいいだろうと考えている訳です。
更に古竜と古竜王が明確に隔たりのある種族ならば、古竜以下のような単独の精霊力の竜ではなく、複合精霊力の竜だという仮説も成り立つ。
竜とは神々や世界樹に並び、始原の巨人より生まれたもの。その正体は奥が深く、未だに謎が多いのです。
★2
こうしてエレーナがアブロスと共にナース探索に赴いた一方、ライナは何もできない自分に無力感を感じていました。
ライナ(それが、わたしの実力ってことね)
たった1人の密偵にきりきり舞いですからね。そもそもスパークと出会えなかったら、しがない盗賊に過ぎなかった訳だし。
ところがライナが自宅に帰ってみると、あのフォースがいたのです。パーンの戦友にして現ライデン盗賊ギルドのマスターです。
データ上でも最低盗賊8レベルの強豪であり、その実力は大陸最強と言われたロマール盗賊ギルドで最上級の幹部が務まる程です。
彼はもう数日前にライナの要請でマーモに来ていて、ずっと様子を伺っていたのです。そして見込みありだと判断し、協力しにきたのです。
ライナ「長……脅かさないでよ」←胸に飛び込もうとする
フォース「それ以上、近づくんじゃねぇ」←短剣を突きつける
そしてこの女嫌いの性癖も相変わらずだ(笑)
このままじゃ一生結婚できない男ですね。もっとも彼の場合「女がおらん」ではなく、「女は要らん」なクールな姿勢です。
彼の性癖故にライナをはじめ、多くの女盗賊はブレード支部へ移されたのです。そんな彼も今年で38歳で、既にオッサンの仲間入りです。
ちなみに現在でもフレイムへ密偵を貸していて、その代償に組織の存在を黙認してもらってます。ただし逮捕された時に恩赦はない。
既にフォースは腕利きを20人も連れてきている。
ライナ「わたしが密偵の頭を務めて、問題ない?」
フォース「腕も上がったようだし、認めてやろう」
ただし盗賊ギルドそのもののマスターは別の人がやります。勿論ライナと密に連絡を取り合うのでしょうが。
既にボイドとその部下によって竜熱の噂が広まっている。病死するまでに長い期間があるという情報を伏せられて。
しかし彼らの協力があればその噂を根絶し、逆に密偵を捕らえる事もできる。今公国は諜報戦で反撃に出たのです!
フォース「苦境が大きければ大きいほど、それを乗り越えたときに、国は磐石となってゆくのさ」
ライナ「王城に戻ります……」←やる気が出てきた
フォース「苦境は、人間も成長させるってことだ」
僅か2年前は冴えない女盗賊だったのに、今は仲間の為に命をかけている。それはまるで、昔のパーンとフォースのようでした。
★3
ボイドの情報操作がいかに恐ろしいかを知らしめる事件が起きました。それは公都から北西に3日のティエナ村での事件です。
村人A「わたしたちの病は、竜の呪いだそうだ。あんたたちが、この島に来たせいで!」
村人B「この島を追われた黒翼の邪竜の呪いだ!」
村人C「いや、フレイム王に殺された火竜山の魔竜の呪いだとも聞くぞ」
領主「いったい何のことかわからん!」
複数の異なる情報を流す事で、かえって混乱を起こす。実に効果的で、エゲつない情報操作です。
混乱の中、石をぶつけられた領主が村人を斬り捨てたところで、彼(ボイドとは限らない)はこう喋りました。
密偵「石を投げたのはそいつじゃない。オレだったのに……」
そして不満と怒りを爆発させた領民たちは領主を惨殺。村人が石を投げたのに便乗したか、自分で石を投げて村人を身代わりにしたか。
とにかく竜熱という病気の不確かさが噂に噂を呼んでこの状況になってるんです。人は未知の物をとにかく恐れるものですから。
アルド「竜熱のことをもっともよく知る者に語ってもらったら、どうでしょうか?」
スパーク「それは、まさか……。ハイランドの竜騎士に来てもらうってことかい?」
アルド「その通りです」←自信なさ気、でも妙案
スパーク「妙案を思いついたときは、自信満々に進言してくれ。でないと、安心して意見を採用できないからな」
アルド「も、申し訳ありません……」←ペコペコ
まぁそれがアルドの性格だから。これで彼がヴェイル並の自信家になったら更に心強いけど、それは最早アルドではない(笑)
こうしてアルドからスレインを介してモスの公王レドリックに便宜を図ってもらい、なんとシーリスがきてくれるんですよ!
今回は懐かしのキャラが次々と登場して、「戦記」ファンには堪りませんね。そして「伝説」のファンにも嬉しい事がありました。
薬草師のラーフェンが『不味い薬を飲みたくなければ、病気になるな』という教えを口にしたのです。それは明らかにタトゥスの教えです。
ナシェルが後にタトゥスに教わって薬草師になって、スパークと面会していたと考えると嬉しい。まるで彼も影ながら力を貸してくれたようで。
そのラーフェンはニースと協力し、神殿を療養所として解放します。今や病に罹る国民の多くは、自分が竜熱だと思い込んでいる。
その不安を解消する為のものですが、実際に竜熱にかかってる人の方が軽症だったりする。微熱が続くだけの病気ですからね。
昔から天下統一には天の時、地の利、人の和が必要といいますが、少なくとも公国は『人の和』には恵まれているようですね。
そんな中1人無力感に苛まれているのがリーフでした。この時にはリーフにもフラグは立ちつつある。
リーフ(かなうはずがない)
フレイムの語らいの時のキスから進展はしてないけど、既にニースはスパークの嫁として認識され、当人達も満更ではない。
一方リーフは彼女の人柄の良さ等を見て、彼女が本物の聖女だと感じて、自分では到底敵わないと思い込んでしまっているのです。
★4
しかし当のニースは決して心穏やかではない。フィオニスとの邂逅でナニールとして覚醒するのではないかという恐怖を覚えている。
だから彼女はスパークに依存している。彼なら絶対自分を守ろうとしてくれるし、彼女自身も彼の力になりたいと本気で思っている。
その好意が愛情になれば、次は彼を巻き込んで転生しようという衝動が起こるかもしれない。それ程に彼女は自分が信じられないのです。
ナニールは利己的・支配的・奔放・本能的な女性でした。今のニースは利他的・従属的・禁欲的・理性的な女性です。
そしてマーファとカーディスという対の神格に仕えている。それはベクトルを正反対にしただけで、本質は変わらないからでは?
同じコインの表と裏のように、今はニースの面が上になっているけど、何かの拍子でそれがひっくり返らないとも限らないのではないか?
不安に駆られながら地下神殿へと降りていくニースを待ち受けていたのは、転生者サーキス。彼女のよく知る男でした。
彼もまたカーディス教団の高位の司祭の1人であり、共に遥かな過去から転生を繰り返してきた部下の1人だったのです。
ニース「わたしは、もはやナニールではありません」
サーキス「否定もまた、カーディスの司るところですからな。しかし否定すべきはこの世界ではありませんか?」
永遠の生を願うが故に終末信仰に走る事もあるし、自己否定から世界を否定する事もある。誰の心にも破壊神への窓口がある……。
幸い今回は様子見といった程度で、すぐに終末信仰の"リターン・ホーム"で帰ってしまいました。でも彼女の心は間違いなく揺れていた。
★5
帝国が竜熱の噂で混乱を煽る一方、フォースとその部下達は真実を伝える事でその噂の沈静化を図っていました。
フォースは吟遊詩人に扮してマイセンのサーガを歌い、彼が竜熱に罹ってから数年生きた事実で聴衆を驚かせていました。
フォース「マイセン王が病を得たのは、今歌った物語より十何年も前のこと」
客「な、なんだって!それじゃあ、マイセン王は竜熱に罹ってから、十年以上も生きということか?」
マイセンが金鱗の竜王と対決した後、およそ7年後に死んでいる。それより十数年前に罹ったなら、20年前後は生きた事になる。
そしてこの行為の目的はもう1つある。この情報操作にケチをつけてくる帝国の密偵を誘き寄せる事です。
実際フォースが歌った後に1人の密偵が喧嘩を売ってきて、数名の部下に連行されていきました。彼がどうなったかは、知りたくもない。
盗賊の実力は街の豊かさに比例する。それ故にライデンやアランの盗賊が優秀で、マーモの盗賊は残酷ではあるが実力はそれ程でもない。
こうして彼らはクモの足をもいでいくように、帝国の密偵を次々に捕まえていき、最後には諜報戦を制するでしょう。
★6
そしてエレーナとアブロスの幼竜捜索も順調でした。ちゃんとナースや幼竜の所在を割り出しましたよ、何て心強いんだろう。。
ちなみにアブロスは幻覚で人間に変装しています。本来"ディスガイズ"は術者にしか効かないんですが、手があるんでしょう。
元々のナースの住処はファラリス大神殿の地下でした。しかし地上にはそれらしい出入り口がないので、水中を調べます。
その際に彼女が偵察員に選んだのはスキュラでした。彼女を駆使して方々を探させると、滝の裏側に該当する洞穴を発見します。
エレーナ「邪悪だからではなく必要だから、おまえに行ってもらう。もしも人間を見つけたら、喰らってもいいから……」
そんな約束してもいいのかと思いましたが、いたとして帝国の人間だろうから別にいいかな。
そうしてスキュラの感覚を通して洞窟を抜けると、そこには巨大な空洞があり、クラートとナース、そして幼竜と奴隷種がいました。
ここではスキュラにも暗視があると書いてありますが、赤外視はあっても暗視はない。サーモグラフィーのように見えた筈です。
また洞窟には硫黄臭が満ちていた。「湖岸の国の魔法戦士」でも書かれていましたが、竜の住処には必ずこの匂いがあるのだという。
スキュラはクラートに襲い掛かり、クラートは慌てた様子もなくナースに命令を与えました。そうしてブレスがスキュラに襲い掛かる。
そこでエレーナは回線切断(切れるんだ)。この炎でスキュラは哀れ蒸発したでしょうね。利用して捨てたようで、後味が悪くなりました。
こうして幼竜の居場所は割れた。しかし表から行けばオルフェスと遭遇し、裏から入ればナースと遭遇するのは悩ましい限りですね。
★7
ついにハイランド王妃シーリスが到着。魔竜との戦いから12年経ちますが、今年で29歳。本当に当時は若かったんですね……。
スケイルメイルを身に纏い、竜騎士として戦いながらも、王妃として世継ぎも産んでいる。今や完全にハイランドの住人ですね。
本当に美人になりましたが、中身は変わりません。セシル(エレーナ)やフォースとの会話も相変わらず。
シーリス「……セシルにフォース?なんで、あなたたちが」
スパーク「彼女はアラニアの宮廷魔術師殿の友人なんです。事情がありまして、師の姿を借りていまして……」
シーリス「(いったいどんな事情よ)あなたも偉くなったものね」←気を取り直してフォースに
フォース「それは、お互い様ってもんだ。あんたのような女を好きになるのは、あの物好きだけかと思ったがな」←オルソンね
シーリス「レドリックには、見る目があったってことね」
そういえばフォースとはかつて一緒に海賊のアジトを襲撃し、一緒に捕虜になった仲です(嫌な仲だ)。
そして小ニースと握手した時の(父親に似なくてよかったわね)に爆笑。誰もが思っていた事だろうに。神様ありがとう(笑)
一見高貴な振る舞いに対して俗っぽい本音。それがシーリスのキャラです。元カノン貴族で、傭兵暮らしが長かったせいでしょうか。
事情を聞かされたシーリスは配下の竜騎士達と一緒に各地に飛び、国民に竜熱の詳細を伝えていきます。
シーリス「レドリックは正直不安に思っているけど、公国の行く末はどうやら安泰のようね。国王には決断力があり、人も揃ってる」
フォースもそういう所に感じ入って、力を貸してくれていますからね。
そして駄目押しとばかりに、公都の住人を集めて演説します。これは呪いに過ぎず、逆に言えば解く事ができるのだと。
シーリス「それができなかったときには、公王は運命を共にされます。
なぜなら、スパーク公もまた、竜熱にかかっているからです!」
なるほど、これなら一蓮托生です。スパークは自分の為にも呪いを解かねばならず、それが国民への安心にも繋がる。
奇麗事だけじゃ王は務まらない。それでも不満そうなスパークにシーリスは呟きます。
シーリス「民衆に嘘をつきたくない。その気持ちはとても大事よ。しかし、ときにはその覚悟も必要なの」
今の公国にとって大切な事は誠実な統治じゃない、マーモが脅威にならないような統治です。
スパーク(オレはこの思いをいつまでも持っていよう)
多くの国民が彼に信頼と激励の歓声を送ってくれている。そんな彼らを欺く事は辛くて、心が切り刻まれるようでした。
いつかまた彼らを欺かねばならない時が来たとしても、スパークならきっと同じように顔で笑って心は締め付ける事ができる筈です。
★1
シーリスやフォースの活躍で竜熱の噂は沈静化し、公国は一応の落ち着きを取り戻しました。
一方例の農園にある帝国の宮殿(仮)で行われた宮廷会議では、クラートを筆頭にヴェイルの糾弾が行われます。
彼は今までの策にすべて失敗している。今こそナースで直接攻撃をするべきだというのが、彼の言いたい事なのでしょう。
確かにそれで王城を落としたり、公都から人を追い出す事はできるかもしれない。でもその後本島の連合軍がやって来るでしょう。
ヴェイル「勝てるのですか?」
クラート「か、彼らとて、国内のことで手一杯であるはず。そう簡単には、攻めてこれまい」←めっちゃ動揺
ヴェイル(その程度だから、バグナード師はあなたをわたしより下位の席次においたのだよ)
だからヴェイルは統治を諦めさせて自主的に撤退させようと苦心している。それがこの愚かな兄弟子には理解できないらしい。
暗黒騎士も彼に同調して糾弾し、皇帝レイエスはそれを承認するのみ。ネータは毅然と振舞いながらも、毎夜の件で意気消沈。
公国に比べると、帝国の人材不足は深刻ですね。これじゃあ仮に公国がいなくなっても統治できるのかが非常に疑問です。
確かにヴェイルは失敗してるけど、彼の考え方や策は間違ってない。ただ相手がそれ以上の働きをしているので、無能に見えるだけ。
逆に言えばヴェイルだからこそ公国に食いついていられるのです。もし彼がいなかったら、彼らは最初の合戦で全滅して終わっていたでしょう。
しかし"竜爪の錫杖"を持って調子に乗ってるクラートは、あくまでも直接攻撃をするつもりです。
ヴェイル(自分を越えた力を手にしたとき、無能な人間ほどそれを過信すると、バグナード師は仰せられていたが……)
今のクラートが正にそれですね。彼の力はアイテムとナースの力であって、彼自身の力ではない。
でもヴェイルはそれを承認し、クラートには自滅して貰う形で手を打ちます。そして彼は別の策を既に講じています。
本島からの介入があるから困っている、ならば本島との交流を断絶し、マーモを孤立させてしまおうという大胆な作戦です。
食料は不足して贅沢品が手に入らなくなるけど、それは昔と一緒。あとは鎖国を続けて力を蓄え、いずれ攻勢に出るというビジョンです。
その為に使用するのが魔法の軍船です。"竜爪の錫杖"と一緒にバグナードから授かった強力なアイテム。細菌兵器の次はUボートですね(笑)
ヴェイル(夢や理想など、この島には不要なだけでなく、危険でさえあるのだよ)
希望は絶望を引き立てる最高のスパイスであり、高ければ高いほど落ちた時に激しく壊れる。それは民衆も一緒です。
今やマーモの民は希望を抱きつつある。かつての自分達がどん底だったと知ってしまった。そんな時にまたどん底に落とされたらどうか?
裕福さや高みを知っているからこそ、貧困と絶望の真の意味を知る。例え同じ状況であろうとも、結局は主観で物事を判断するものだから。
それでも人は希望を抱くものだし、夢や理想を求めるもの。ヴェイルだって夢や理想を抱き、その実現という希望を持っている。
どんな苦境に立たされても最後まで持つ事を許されるものが希望です。そして状況を変える為に追い求めるものこそが夢や理想です。
かつてのマーモの民はそれを持たないからこそ、どん底の中でも生きてこれた。しかしそれは本当の意味で生きていると言えるのだろうか?
★2
こうしてクラートの命令でナースは公都を襲撃。そして公国の人間にはこの島からの退去を勧告するように指示を与えました。
その際好きなだけ人間を食っていいと許可を貰っています。確かに破壊や人肉は好きだけど、ナースは経験上人間からの報復が怖い。
実はナースは今まで度々人間に支配されてきたし、人間は脆弱だが決して無力ではない事も分かっています。
カストゥール王国が滅亡するよりも前の話です。暗黒神の加護を得る彼を守護者にしようと、ファラリス教団は彼の頭上に神殿を建てた。
休眠中でそれに気づかなかったナースは激怒して周辺の集落を焼き払おうとしますが、当時のファラリスの最高司祭によって支配されます。
最高司祭は強い魂を育む少女を生贄に捧げてファラリスを降臨させ、その名前で彼を束縛したのです。まさかナースという名前はその少女の?
続いてカストゥールの魔術師の魔獣支配の秘術で支配され、バグナードの"竜爪の錫杖"で支配され(倒してなかったんだ)てきました。
でも彼らは人間の中でも超越的力の持ち主だから、まだ我慢できた。そもそも竜は名前や目的を与えられる事を喜ぶ場合もあるし。
しかしクラートは極めて凡庸で愚かな人間。ハッキリ言ってプライドが許さない。その上このままでは使い潰される恐れまであるのです。
人と竜は生活圏を共にできない、これは大前提です。だから住み分けを行い、もしもの時だけ武力行使に出るべきです。
例えばシューティングスターも、自分の狩猟場を冒された時のみ攻撃を行った。ナースも最低限の生活圏は確保するつもりです。
また人間の方も命や生活を守る為に戦う事がある。フレイムの魔竜退治や、リウイがクリシュを呪縛した事なんかがその好例ですね。
あるいは竜の守る財宝を手に入れる為に戦う場合もある。それだってアシュラム様は野望の為、大ニースは救済の為という理由があった。
竜騎士は特例です。特に竜の心を掴んだ竜騎士は。あれは目的の一致です。名前と目的が与えられ、自主的に協力してるだけなので。
そこでナースも知恵を使います。元より彼は老竜、人間以上の知能の持ち主なのですから。クラートを除くぐらい簡単です。
与えられた命令は公都を攻撃する事と、退去を勧告する事のみ。それ以外は自由です。例えそれが支配者を破滅させる事であっても。
★3
邪竜ナースが公都に迫る!しかしウィンディスの住人は至って冷静。彼らにとっては、竜の襲撃は自然災害のようなものです。
特に恐慌を来たす事もなく、街の各所に配備された兵士達と協力して消火活動。そして建物を遮蔽物にして飛び道具で攻撃準備。
未知の疫病は確かに怖いんだろうけど、竜の襲撃ならそれほどでもないらしい。良くも悪くもこの島は暗黒の島だという事ですか(苦笑)
かつてライデンはシューティングスターの襲撃で混乱し、評議会はそれを収拾できずにフレイムに帰属した。それに比べれば複雑な状況です。
竜の炎はこの世で最も高温と言われる。しかしゲーム的にはそれほどでもないし、実際ナースは石造りの建物を溶かす事もできないらしい。
でもクリシュは青銅を溶かした。青銅の融点は約800℃で、岩石の融点は約1500℃……。多分その辺は適当に決めているのでしょう。
しかし溶かす事はできなくても、破壊する事は可能だと思われます。SWでは構造物破壊ルールがちゃんと定められています。
石の場合は防御点が3〜30、破壊点は15〜25。厚さによって変化しますが、今回は防御点17の破壊点20と仮定しましょうか。
これはダメージが16点以下だと壊せず、37点以上だと一撃粉砕。その間だと攻撃を重ねる毎に両数値は少しずつ減っていきます。
防御点を上回るダメージなら防御点が1減り、防御点が0になったら破壊点が15まで減る。そして防御点+破壊点を上回れば壊せます。
ナースの打撃点は牙が26、爪と尻尾は25点です。これなら1撃で破壊できないまでも、何度か繰り返せばその内壊せますね。
爪や尻尾に合わせるのなら、防御点が5で破壊点が20になれば壊せます。つまり12回城壁に攻撃すればいいんです(防御点17→5)。
ナースは4回攻撃ですから、たったの3ラウンドです。30秒弱しか耐えられず、4ラウンド目で粉砕。城壁も簡単に崩せそうですね。
もし牙で粉砕するとしたら、防御点は6でいい。つまり11回攻撃で済みます。なんと3ラウンド目できっかり壊れる、恐るべきナース。
あるいは体当たりとか。時速30kmで全長20mの生き物が体当たり。下手に爪で攻撃するより破壊力がありそうです。
しかしそれだって城壁の厚さが最高で、防御点が30とかだったりすると流石に難しいかな。モンスターにクリティカルはないし。
そもそも、単純に王城を落とすつもりなら"メテオ・ストライク"で十分ですけどね。チマチマ肉体で攻撃するなんてナンセンス(笑)
一方、公国はナースにクレインクィン・クロスボウで狙いをつけます。いかにナースの防御点が21でも、十分鱗を貫ける筈。
仮に最高の威力を誇る打撃力50のバリスタを使ったとして、打撃ロールだけで得られるダメージは7振ったとしても10点。
必要筋力は42だとすると追加ダメージ14(+射手のファイター/レンジャーレベル)。筋力14(平均)の人が3人いれば連射も可能。
一撃で殺す事はできなくても、十分怖い。この辺はクリシュにおいても言える事です。竜は最強の生物だけど、決して無敵ではないのです。
スパークも肝が据わったもので、バルコニーに出てナースの退去勧告を聞き届けます。
ナース「この島から早々に退去せよ!」←わざわざロードス共通語
スパーク「退去しろと言われて、大人しく従うとでも思っているのか?」←呆れ顔
多分今頃ヴェイルもそう思っているんでしょうね。これじゃあナースは道化です。
またこの時ナースの《咆哮による恐怖》でリーフや数名の近衛騎士が遁走。アルドに至っては恐怖のあまり硬直(笑)
恐怖表に照らし合わせると、逃げるのは出目7〜9、硬直は10〜11です。そもそも精神抵抗に22が必要なので、抵抗できる方が凄い。
そしてグリーバスの"バトルソング"で彼らは平静を取り戻す訳ですが、多分6ゾロでも振らない限り咆哮の強制力を破る事はできない。
しばしば竜の咆哮は魂を砕くとか言われているけど、実際そこまでの力はありません。精々失神したり、バーサークする程度です。
★4
クラートはナースの被害が微妙に温い事に不満を覚えていましたが、それはナースが本気ではないというのもあるでしょう。
攻撃しろと言われただけで、全力を尽くすかどうかは自由ですから。本気だったら魔法も使ってより深刻な攻撃を行っているでしょう。
それこそ他の成竜を召喚したり、"メテオ・ストライク"を使ったり。以前も考えたように、卑怯な手はいくらでもある。ささやかは反抗です。
そしてナースは限られた自由をフルに活用してクラートの頭上で旋回し、公国側にクラートの居場所をリークします。
これを読み取ったスパーク達はいつものメンバーで現場に急行です。ただしグリーバスは足が遅いのでニースに任せてお留守番。
一応彼も最低7レベル魔術師。"テレポート"で逃げる事もできるし、攻撃に出られたらなかなか怖い。まぁそれ以上にアホなんですが。
その最後は呆気ないものでした。スパーク達の姿を見てアワワしている隙に、リーフの"ミュート"(推定)が飛んで魔法封印。
咄嗟に逃げようとしたら、今度は"スネア"で転倒。その衝撃で錫杖を落とし、スパークに取り上げられておロープ頂戴です。
これで錫杖は確保したけど、問題は本当にナースを支配できるかです。下手したらブレスで無駄死にです。
スパーク「みんなは逃げてくれ。まとまっていたら、炎の一息で全滅だからな」
でも誰も逃げない。
スパーク「無駄死になんだがな……」
一応手に持つだけで支配できるとはいえ、老竜が迫り来る中逃げないとは。いい仲間を持ったものです。
そしてスパークは錫杖の力でナースに最後の命令を与えます。
スパーク「黒翼の邪竜ナース!この島から疾く立ち去れ!そしてふたたびこの島に帰ることを禁じる!!」
ナース「承知……」←今度は遠慮なく下位古代語
こうしてナースは喜んで元いたリザードマンの島に帰りました。きっと多くの信望者に囲まれ、悠々自適のスローライフを送るでしょう。
★5
クラートが自滅した事はむしろヴェイルの想定の範囲内。問題は生きて捕まり、多くの情報を公国に漏らしたという事。
ナースはクラートを殺そうとしていたし、ヴェイルもそう思っていた。だからクラートが勝手に自滅するだろうと放置した。
しかしナースは高い知性を持っている。ここでクラートを殺さずに捕らえさせれば、帝国への復讐になると咄嗟に判断したのでしょう。
これで宮殿(仮)の場所も、街で酒場を経営するヴェイルの正体も分かってしまった。間もなく手入れが入るでしょう。
一応レイエスやネータは、例の暗黒騎士団が落としたという闇の森の砦に避難しました。まさかこんな形で役に立つとは(苦笑)
ボイド「他人事のように言うが、あなたの身にもいつ危険が及んでもおかしくないんですよ」
ヴェイル「危険ならすでに及んでいるかもしれない。たとえば、おまえがわたしを裏切るつもりであればな。
若き日の黒衣の将軍アシュラムに対し、かつてそうしたように。アラニア生まれの盗賊オーエン」
オーエン(ボイド)「知っておられたか……」
彼はかつてアラニアで信頼していた人に裏切られてマーモに流された過去がある。
そしてマーモでは自分を信頼していたアシュラム様を裏切った。その直後姿を消しましたが、3年前にヴェイルの前に現れました。
当時からヴェイルは密偵達の元締めであり、ヴェイルはオーエンの暗殺者としての優秀さを認め、密偵の頭にしたという訳です。
ちなみにオーエンが姿を消したのは499年で、現在が527年とすると姿を見せたのは524年。その間約25年、何をしていたやら。
しかしヴェイルは、オーエンの裏切り癖を信頼したいという気持ちの裏返しだと言います。
ヴェイル「信頼するという行為の意味を真に知るには、他人から手痛い裏切りを受けるしかない。
ヴェイル「そして裏切りという行為の真の意味を知るには、他人を信頼するしかあるまい」
結局彼は他人から裏切られた時に失った何かを、自分が裏切る事で取り戻そうとしただけなのかもしれない……。
しかしヴェイルはそんなボイドにクラートの暗殺を命じるのみです。それは死を覚悟する必要がある、危険な任務。
ヴェイル「信頼なくして、裏切りはありえない。オレは誰も信頼しないゆえに、裏切られることもない。
おまえにできるのは、オレを裏切ることではなく、新生マーモ帝国を裏切ることだけだよ」
ボイド「わたしを試しているのですか?それとも、挑発しているのですか?」
これはボイドにとっては裏切る好機。しかしヴェイルを裏切る事はできないというジレンマ。
ボイド「今が裏切りの好機と言いながら、わたしに死ねと命じられる。あなたの考えていることが、まったく分かりませんね」
ヴェイル「命懸けの仕事だからこそ、すべてを伝えておきたかった。ただ、それだけだよ。
おまえを信頼しているからではない。命を捨てる覚悟のない者では、送りだすだけ無駄だからだ」
ボイド「わたしが裏切ったらどうします。すでに公国と内通しているかもしれない……」
ヴェイル「オレには代案はない。覚悟をするしかあるまいよ」
ボイド「おとなしく捕まる覚悟ですか、それともわたしに殺される覚悟ですか?」
ヴェイル「試しているのかな、それとも挑発しているのか」
結局最後までヴェイルはボイドを信頼しなかったし、裏切りを止めもしなかった。ただ主人として命令を与えただけ……。
ボイド「世の中には、どうやら二種類の人間がいるようです。
自分が何者であるかに関心を抱く者と、自分が何を成し得るかに関心を抱く者と……」
前者はボイドで、後者はヴェイルです。そしてボイドはこの命令を実行し、瀕死の重傷を負って川に身を投じて姿を消す。
それはヴェイルが彼に裏切りのメリットを与えなかった為か、あるいはボイドが彼に信頼して欲しかった余りの犯行だったのか……。
こうして帝国の密偵組織は壊滅。ヴェイルの正体は知られて酒場に手入れが入り、公国は諜報戦で勝利を収めたのです。
以後帝国は主に闇の森の砦を最後の拠点とします。それはやはり公国に知られているけど、まだヴェイルの謀略は全てが潰えた訳ではない。
★1
ナースが去り、帝国の密偵組織は壊滅しました。残る問題は竜熱、オルフェス、そして幼竜。その全てはファラリス大神殿にある。
ナースが去った事でオルフェスを除けば問題解決だと、スパークもご機嫌でした。お陰でリーフも何の心配もなく傍にいる事ができる。
しかしエレーナとアブロスの持ち帰った情報は最悪のものでした。なんと疫病竜が肉体を手に入れて復活しようとしているのです!
疫病竜は正真正銘の古竜王、ぶっちゃけナースとは比較にならない程強い。マイセンやシューティングスターでも勝てないでしょうね。
敢えて比較するなら魔神王でしょうか。不滅の魂を持つ魔神の王と、不滅の魂を持つ竜族の王。いずれも邪神にも匹敵する存在ですから。
「マーモでは状況はいつも最悪の方に向かう」という言葉があります。マーフィーの法則よろしく、あながち否定もできない法則ですね。
これで荒れ狂うスパークでしたが、リーフに部屋から追い出されてニースの所に駆け込みます(注:彼は王様です)。
ニース「あなたの怒鳴り声が、ここまで聞こえてきたわ」←冗談
しかも大神殿には300人ほどの信者と神官が集まっているとか。スパークが荒れるのも分かる気はする。
古竜王が肉体を取り戻す、そんな事は俄かには信じ難い。しかし竜の眠りは魔法の眠りといって、夢に見たものを物質化できるという。
「伝説」にもあった話ですが、夢見る竜の生み出した竜殺しの英雄の物語があります。その英雄は眠れる竜を殺した瞬間消滅したという。
ひょっとしたら今まで竜熱を広められたのも、幼竜の夢によって疫病竜の魂なり能力なりを具現化していたからかもしれない。
もしかしたらナシェルが復活できたのも、ワールウィンドの夢のお陰かもしれない。竜とは、かくも神秘的で奥の深い生き物なのか……。
とにかくファラリス大神殿を攻撃し、疫病竜復活の儀式を阻止しないといけない。
スパーク「しかし、あの闇司祭オルフェスがいる。剣で斬りつけても死なない不死身の闇司祭が……」←苦悩
ニース「スパークが悩んでいたのはそのこと?」←安堵
実は既にニースはオルフェスの不死身の秘密を掴んでいる。本当にいい嫁です。
2人は「諸王国歴訪の旅」でウォートに魔神戦争の追体験をさせてもらった。その時の経験で"禁呪"の存在を知っている。
これは魔神将ゲルダムが使っていたもので、特定の武器では絶対に死なない代わりに、それ以外の武器ならダメージが増加する呪いです。
問題はこの魔神将はライデンに出現したのであって、「最も深き迷宮」には出ていない。多分迷宮以外の場所の幻影も見せたのでしょう。
オルフェスはショーデルにこの呪いをかけてもらったのです。この際"コール・ゴッド"か、その廉価版の"イモレイト"を使ったらしい。
こうする事で「自らが武器を禁じる代わりに武器は効かない」という特殊な禁呪を施したのでしょう。彼が徒手空拳に秀でてるのもその為です。
逆に言えば彼は素手の攻撃に打たれ弱い。具体的には+2点ダメージでしょう。少ないように見えて、積み重なると馬鹿にならない。
その際はギャラックに任せた方がいいでしょう。スパークは剣はともかく、体格はそれ程でもない。いっそリウイがいれば(苦笑)
ニース「もう一人忘れているわ。肉体を使った戦いなら、おそらく公国で最強の戦士のことを……」
スパーク「最強の戦士?」←素で分かりません
ニース「アルド・ノーバよ。彼は間違いなく、公国で一番の力持ちだわ」
うん、普通に分からなかった。データ上筋力16とか言ってますが、きっと本来は20を越えているんでしょう。
オルフェスにはギャラックとアルドがステゴロを挑む。泥臭いように見えて実は的確だったりする。これにはスパークも感激です。
そして彼女を抱き締め、ニースの方も満更ではない感じ。既に彼女は今生で輪廻を終わらせるつもりです。その最後の伴侶がスパーク。
しかしそうするとあぶれてしまうのが1人。
ニース「スパーク……リーフに謝ってくださいね」
スパーク「分かっている。いつも、八つ当たりしてばかりだしな」←分かってない
やはりスパークに自覚はない。でもニースは教えない。気づかせれば、スパークはリーフの方へ行ってしまいかねないから。
今やニースにとってスパークは安全弁。彼と一緒にいればこの業に潰されずに済むと思えるから。それが一種の略奪愛であっても……。
★2
かくしてスパークはファラリス大神殿への親征を行いました。近衛騎士200に兵卒500、数の上では倍ほど優っています。
先陣を切ったのがエレーナの支配するヒッポカンポスと、アブロスが"サモン・ワイバーン"で召喚したワイバーンです。
そして神殿に突入した公国軍は左右から迫り来る伏兵の不死生物を兵卒でブロックし、真正面の神官達は近衛騎士達で打ち破りました。
この際エレーナは9レベル古代語魔法"ルーン・シールド"をスパークにかけ、彼は攻撃魔法を弾きまくって突入しました。
ただし本来"ルーン・シールド"は術者にしかかけられない。他者にもかけられる"ルーンバリア"かもしれませんね。
ただしこっちは10レベルな上にウォートしか知らない筈のもの。やはりエレーナは超英雄ポイントを使っているのかもしれない。
ただし弾けるのは魔法だけなので、スパークは毒矢を受けました。でも戦闘の興奮で一切気づかずに奮戦し、敵を何人も切り捨てます。
スパーク「なんか、身体が痺れるような気がしてたんだ」
ニース「致死性の猛毒よ。放っておいたら、たぶん命はなかったわ」
スパーク「だったら、即効性の毒を使うべきだったな」←死ぬけどいいのか
まぁマーモの王様なんだし、毒に怯んではいられないかな。ちなみに毒は闇というか混沌に属するもので、一般に使用は忌避される。
こうして戦闘には勝利し、次はアルドの番です。彼はやはり血の気が失せた様子でしたが、覚悟は本物でした。
アルド「わたしにしかできないことならば、わたしがやります。わたしにできないことは、精一杯お手伝いします」
アルドは確かに臆病ですが、ヒュドラ戦でのグリーバスやニースの言葉で勇気も奮い起こせるようになりましたから。
実はアルドがこういう性格になったのも理由がある。彼は風の部族の有力な家の生まれで、体力にも知力にも恵まれていました。
それでも彼は温厚で優しい性格だったのですが、ある時喧嘩で2歳年上の子供を持ち上げて地面に投げ、運悪く殺してしまったのです。
それ以来優しいだけでなく臆病になり、慎重な性格になった。それが周りの人間には鈍重と見られ、父親は彼に魔術師の道を歩ませたのです。
アルド「本心を言えば、わたしは誰にも傷ついてほしくありません。敵であっても、悪人であってもです。
しかし、それを言い訳にして、逃げてはいけないことは分かっているつもりです……」
何て優しい男なんだろう……。これ程の力を持ちながら、相手を気遣う事ができるなんて。ニースが兄のように慕うのも分かる気がする。
そして優しさ故に強い。それが必要だと分かっているから、恐怖に抗い、勇気を振り絞る事もできる。最早彼に迷いはないようでした。
★3
いよいよ公国の誇る2大マッチョマンことアルド&ギャラックが、オルフェスに決死の格闘を挑みます。
オルフェス「どうした、震えてるではないか。怖いのなら、逃げればいい。王の命令などに従う必要はない」
アルド「確かに、命令は受けました。しかし、それに従うと決めたのはわたし自身の意志です」
臣下とて盲目に命令に従う訳ではない。もし賛同できないのなら、心の内で為政者を非難するでしょう。
そしてアリシア司祭がオルフェスの本質を言い当てました。
アリシア「あの男の本質は、自由などではなく邪悪なのです。
自分の邪悪さを肯定するため、秩序を否定しているにすぎません。
自由を真に尊重するというなら、他人の自由を侵害しようとは思わないはず。
秩序とはすなわち、万人に自由を保障するために必要最小限の束縛なのですから。
完全なる自由など、互いの自由を喰らいあうだけの無秩序でしかありません!!」
オルフェス「生命の数だけ、意思の数だけ、秩序とは無限に存在しうる。無限個の秩序と無秩序に何の違いがあろう!」
多分ずっと考えて出した答えなのでしょう。今回は自由と秩序の共存の仕方も考えていて説得力もある。
今回の議論ではアリシア司祭に分があるように見える。オルフェスの本質が邪悪だというのは、正鵠を射ているから。
完全なる自由は人を邪悪にするとはヘッポコでも言われているけど、オルフェスの場合その逆を自己正当化の為にしてるのです。
無限に存在しうるのは正義や欲望といった私的なものであって、秩序のような公的なものは、少なくとも意思の数だけ存在する訳じゃない。
ファラリスとは私的なもの、ファリスとは公的なものを守護するように思えます。しかし以前も言ったように、両者を両立させる事が大切。
完全なる自由は逆に理想や欲望といった私的なものの共食いに過ぎず、完全なる秩序もまた法や規則といった公的なものの独裁に他ならない。
ファリス・ファラリスの論争は極論に走った時点で負けなのです。秩序とは自由を保障する為にあると考えたアリシア司祭の勝ちですね。
いざ戦ってみるとやはりオルフェスは強い。1人でギャラックとアルドを圧倒する点、本当に恐ろしい格闘術です。
しかしアルドが体当たりをしただけで吹っ飛ぶ脆さもある。"ワードパクト"とは祝福ではなく、あくまでも呪いなのですから。
そこでアリシア司祭がオルフェス動きを止めようと走り出し、グリーバスが庇ってくれたお陰でだっこちゃん的に抱きつく事に成功。
彼女はオルフェスの殺人パンチを何発も喰らい、重傷を負いました。
アリシア(意識のあるかぎり、いやたとえ命を失っても離れはしない)
その隙を突いてギャラックが正面からかかって吹っ飛ばされ、更にその隙を突いてアルドが背後から首をホールド。
本来アルドの怪力なら、そのまま首をへし折る事も可能です。またそっちの方が楽だったでしょう。
アルド「あなたの手足は、人の痛みというものを感じないのですか?」
オルフェス「他人の感覚を、いかにして感じることができよう……」
アルド「人に苦痛を与えている実感が、伝わらないのかと聞いているのです。
骨を砕き、内臓を破裂させ、消えてゆく命の炎を感じたことはないのですか?」
オルフェス「感じるとも……。そしてそれは我が喜び……」←結局快楽殺人者か
アルド「わたしは、これからあなたの命を奪います。その痛みと苦しみは、この手に刻まれ、一生忘れないでしょう……」
こうしてオルフェスは首をへし折られて絶命。アルドはこんな外道の命すらも尊び、涙を流しました。優し過ぎる……。
★4
ナースの住処であった地下空洞への入り口は祭壇の下にあり、一行は近衛騎士を20名ほど連れて儀式の現場に殴りこみました。
そういえばウィンドレストの玉座の間にも同じような仕掛けがありましたね。でも本来の通路は埋められ、庭に新しく作られました。
地下には10名の神官戦士と、儀式を執行する5名の比較的高位の闇司祭がいました。しかし近衛騎士によって殲滅。
闇司祭の中には7レベルの"フォース・イクスプロージョン"を使う奴もいたんですが、消耗が激しいのか討ち取るのは簡単。
問題は疫病竜の霊体です。普通のアンデッドとは違うような感じの微妙な状態で、実体化はしてないけど物質界に影響を及ぼせるらしい。
また魔剣や魔力を付与された武器で攻撃する事で少しずつ薄くなっていくので、一応効いているのでしょう。非常にタフでしたがね。
攻撃法は病のブレスでした。精霊力を狂わせる黒い霧状のブレスです。直接ダメージは負わないけど、彼らを地味に苦しめます。
スパークは高熱を出し、ギャラックは咳が止まらず、グリーバスは関節が石のように硬くなり、思うように戦えないまでも頑張りました。
アブロスは"ワイドウィング"で翼を生やし、"ファイアブレス"で火を吐き、ミスリル製の曲刀と円形盾で獅子奮迅の戦いを見せました。
病気は効かない様子でしたが、竜語魔法に毒無効はあっても病気無効はない。竜は《毒、病気に冒されない》だからあっていいと思うけど。
こうして霊体は消えたものの、魂は不滅。決して滅びた訳ではなく、まだこの世界に存在しているようです。
もしかしたら霊体は生命力というか、エネルギーというか、そういった特殊の力に包まれた魂なのかもしれませんね。
そしてそのエネルギーを全て剥ぎ取られたら剥き出しの魂のみになり、神々の魂と同じく不滅ではあるが物質界へ介入する手段を失う?
こうして疫病竜の霊体は消え、幼竜は無事に保護されました。アブロスはスパークに感謝し、幼竜と共に故郷へと帰っていきました。
疫病竜の呪いも解け、彼らがかかっていた病も、公国中に蔓延していた竜熱も消えた。公国は今度こそ山積みの問題を解消したのです!
ちなみに"竜爪の錫杖"もアブロスに渡したので、ナースが暴れても大丈夫でしょう。ただこれでヴェイルは多大な負債を抱えました(笑)
でも奴隷種のリザードマンは殺されていたようです。幼竜が疫病竜復活の扉として使い捨てにされると知り、命懸けで守ろうとしたのです。
スパークは過労で倒れた。呪いの影響ではなく、心身を極限まで消耗させた結果です。でもニースに看病して貰った。
ぶっちゃけ「ニースに看病して貰えるなら病気になってもいい!」という一部病んだ方もいるでしょうが、気持ちはよく分かります(笑)
まぁこれも多くの問題を解決したご褒美でしょう。
スパーク「すまないが、オレが眠るまでここにいてほしい」
でもニースはスパークが眠ってもずっと傍にいたそうです。でもリーフは……。
しかし公国の危機はまだ続く。ヴェイルは魔法の軍船を使って海峡を渡る船を沈め、マーモを孤立させたのです。
これは彼にとってもう後がない最後の策でもある。これを破れば帝国は今度こそ滅びるでしょうが、「真の敵」は別にいる……。