複数の系統を組み合わせる事で行使され、言わば古代語魔法の奥義とも言える究極の系統です。
カストゥール王国では勃興期にこそ用いられましたが、中間期では各門派の派閥争い故に廃れていました。
しかし王国の末期では各門派は解体され、統合魔術の門主にして魔法王であるファーラムによる集権体制へ移行。
この滅亡間近の最盛期においては、魔力の塔の供給する無限の魔力と合わせて王国をこの上なく発展させました。
残念ながらクリスタニアではこの系統に属する呪文は存在せず、例も少なく謎の多い系統です。
その中で統合魔術の産物であると判明している例を2つほど挙げます。魔法の本と、魔獣支配の秘術です。
魔法の本は「魔法戦士リウイ9」で登場した「英雄の試練」といったタイトルの本です。
これは人間を本の中に作られた異空間に誘い、体感時間にしてひと月半程の英雄譚の仮想現実を追体験できます。
異空間の作成は召喚魔術、英雄譚のバーチャルリアリティは幻覚魔術、それを本に付与するのは付与魔術。
恐らくはこういった系統の複合によって、単独の系統では到底できないこのようなアイテムを作成したのでしょう。
ここで気になるのは付与魔術の扱い。基本的に他の系統の魔力をアイテムに付与する際も付与魔術が必要です。
ならば付与魔術以外の系統も利用したアイテムは全て統合魔術の産物と言えるのではないか?
例えば炎晶石や雷晶石も四大魔術による精霊力を、付与魔術で魔晶石の素材に付与したものと考える事ができる。
そもそも各門派が派閥争いを繰り広げていた時のアイテムの作成はどうしていたのか。付与魔術師に頼み込んだのか?
これは魔法装置にも言える事です。そういった統合魔術の定義と当時の慣例に謎が多く、この系統の謎も深まる。
このようなアイテムの謎がある一方、呪文として統合魔術だと判明しているのは魔獣支配の秘術です。
詳細はそちらに譲りますが、魔獣を"ファミリアー"による使い魔のように、しかも複数掌握できる恐るべき術です。
十分な魔力(無限の魔力?)があれば強大な存在を支配する事も可能で、あの五色の魔竜もこの術で支配してました。
また「傭兵伝説クリスタニア」のリプレイによると、魔力次第では神獣すらも支配可能だというからとんでもない……。
では具体的にどの部分にどの系統を使っているのかというと、それは公式の情報はなく、推測するしかない。
リンク先では基本は"ファミリアー"同様に召喚魔術で、支配に精神魔術、複数操作に拡大魔術だと推測しています。
しかしこの呪文を行使できるのは世界でも魔獣使いのエレーナのみという設定なので、遺失中の遺失魔法と言えます。
断片的ではありますが、呪文にしろアイテムにしろ、統合魔術というのは正に古代語魔法の可能性そのものと言えます。
何しろ統合魔術で操れるマナは万物万象の根源です。極端な話、神々の世界創造も究極の統合魔術だと解釈できます。
しかも無限の魔力があれば、本来人間の精神力の限界によって実現不可能な呪文やアイテムだって実現できてしまうのです。
無限の魔力と万能の魔術……それは人が擬似的に神の力を得たと言え、王国がフォーセリアを席巻したのも当然の結果です。
しかしその統合魔術が発展したところで、ある事件を完全に回避する事ができず、王国は滅びてしまったのですがね。
古代語魔法は神々も操った力であり、それそのものは万能と言える。しかし万能の力も人間が操れば何処かに限界ができる。
魔力は無限でも、魔術は万能でも、人間の力は有限。それを忘れた時、統合魔術は発展ではなく滅びとなる諸刃の刃です。 |