「ロマールの罠」編:安田均 水野良他 出版社:富士見書房

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「ロマールの罠」作:水野良

★1・2

いきなり表題作な羽根頭第3弾!

ファンドリアをすっ飛ばしてロマールです

いやはや、うっかり森で迷ってココまで来るのに随分苦労したもんです

素直に街道を通ってたらこの話は2話目になってたんですよね(笑)


この短編集には他にない特徴がありましてね、3つの話が全て微妙にリンクしてるんですよ。

直接話したり、全然お互いを意識してなかったりとね。羽根頭、デュダさん、そしてシラルム。SWの有名キャラばかりです。


ああ、それとここんところの事件でレベルアップしたようですよ

ライスはプリーストを1→2

チェペルはセージを1→2

リーライナはシャーマンを1→2

にそれぞれ上げました

オスターはレベルは上がってません


さて、ライスたちは今・・・・・・

闘技場で戦おうとしてたりします(爆笑)

いきなりかい!(裏拳ツッコミ)

本当にこの連中ときたら、危機的状況に陥ってばかりですね

前回遭難してる所から始まったと思ったら、今度は闘技場ですか


本当に冒険者なんですかね?

まともに依頼受けることなくいつも巻き込まれてばかり

多分見えないところでちょっとした仕事をしてたりするんでしょうけど

早い所盗賊を仲間に入れたほうがいいと思います

冒険暦2年超えててまだ2レベル、一体どんな冒険をしてきたんでしょう


何でこんな事になったか?

分かりやすく噛み砕いて言うと「ハメられた」から(笑)

いえね、単純な事件なんですよ

酒場で余裕ぶっこいて盗賊兼吟遊詩人なんて呼ぶもんだからお金をスられたんですね

無銭飲食ということでここに引き出されたんですよ


これってもしかして・・・・・・吟遊詩人までグル?

店が丁度良いカモを見定めて、スリができる吟遊詩人を回すんじゃ?

そいでもって無銭飲食で闘技場に引き渡して、コッソリとお礼を貰う・・・・・

ありえる、アリエール(そういう洗剤がある)


一から追ってみますと

前回ラブ・ラビリンス(仮)でレイスを救済しましたね

その時いくらかの宝を手に入れたそうなんですよ

なにしろ付与魔術師のお坊ちゃんが作ったラビリンスでしたからね

マジックアイテムだってあったと思いますよ

それを売っ払って、装備やら備品やらを色々揃えてもまだ蓄えがあります


それで酒場で豪遊しようとした矢先

リーライナがガラにもなく吟遊詩人を呼んじゃうんですよ

どうやら酒場の方に要請したらしいんで、スリの吟遊詩人と酒場はグルですかね

しかも恋歌をせがんどいて、すぐに飽きる

まるでゴージャスなだけが取り得の女優みたいなことしますね


吟遊詩人は散々リーライナに罵られてスゴスゴと帰ろうとしました

が、わざと転んで金をスリました

吟遊詩人「いい仕事をさせていただいたと・・・・・」

まったくもってその通り

スリにとったらいいカモでいい稼ぎでした(笑)

盗賊がいればね・・・・・・気づく余地もあったのに


その直後、シラルムがフラリと表れます

本当にフラリとね

これって水野先生と高井先生と下村さんの3人が話し合ったんでしょうかね?

そうでないとこんな事にはなりませんし


せっかくのコラボなのにまたもリーライナが出張ってきます

やれ人間の男はダメだの、やれエルフの男は高貴だの

偏見に晒されるハーフエルフなのに誰よりも偏見に囚われているとは

冗談にもなりませんね。ていうか酒癖悪すぎ


何だってこうも短慮な女性が多いんでしょうね、初期の短編集

もっと落ち着いていて、穏やかな心を持つ人はいないんだろうか

ユウは大抵のキャラは好きになりますが、ウザいキャラだけは好きになれませんね

そういうキャラが出る時はイライラしますので、ご注意ください

ああ・・・・・ロードスを書きたい・・・・・

ニースとか、レイリアとか、フラウスとか、ディードとか、シーリスとか

大好きな女性キャラが沢山いるんですよね


しかもリーライナ曰く人間やドワーフは下品で、エルフやハーフエルフは上品・・・・

いやいや、君なんてすこぶる下品だよ、ハーフエルフのくせに

ああ・・・・・棘がある言葉がスラスラでる(笑)


もういい加減にして欲しい時

シラルムは迎えに来た女の人と一緒にある場所へ連行されます

これは最後の話「立ち枯れの森」を見てね

ということでシラルム退場、お疲れさまでした〜(礼)


お勘定を払おうとしたら案の定お金がない!

あ〜あ、だから盗賊を・・・・・・

怖そうな人に連れられて裏へ

うわ・・・・新宿のぼったくりバーみたいな展開

いやいや、ユウはそういう店に行ったわけじゃないんですけどね


ライスはこれを試練だとか、自分の修行が足らないだの言いますが

聖職者ってこういう時強いですね

神様と結びつけちゃえば何でも受け入れられるんだから

簡単にスられるのもそうですが、本当に盗賊を仲間にした方がいいですよ

遺跡に潜れないくせにシティー・アドベンチャーも苦手


★2

やっぱりこれは罠ですよ、吟遊詩人と店との(次の話でもそう書いてるし)

何故かといえばこのお話が「ロマールの罠」だからです(笑)

こんな風に闘技場で使えそうな冒険者を捕まえてきたんでしょうね

半ば闘技場で成り立ってる国ですから、こういう事もあるでしょう

熟練の冒険者なら引っかからず、未熟な冒険者ばかり引っかかる罠ですね

ということは怪我したり死んだりする可能性も高いわけです


まさかバブリーズクラスの超一流が引っかかるとは思えませんし

仮にそうなって、闘技場に出したところでゴブリン程度なら瞬殺ですし

そうなるともっと強い相手が欲しいわけですが

そういう相手は観客にも危険だから出すわけにもいかない

カシュー陛下ことルーファス並の戦士がいるかどうか

アーチー並の冒険者に勝てる剣闘士がいるかどうかも怪しいものです


こうして羽根頭は闘技場に立つ事になったわけです

何年前かはよく分かりませんが、かつてここで伝説が始まりました・・・・・

丁度いい機会です

他に語るべき場所もなさ気なのでこの場で"剣匠"と呼ばれたルーファスの伝説を語っておきましょう


実を言えば今回はあまり喋る事がないんですよ(苦笑)

ロマール闘技場での羽根頭たちの闘いを見ていると猛烈にカシュー陛下の事が書きたくなったんです

ユウがこのサイトを立ち上げる目的のひとつに、カシュー陛下の事をハッキリさせたい!

というのがありましたしね

ロードスとSWの架け橋となった英雄のことを語らせてくりゃりゃんせ・・・・・・


★読みやすいように分けます

新王国暦482年、城砦国家プリシスで彼は生まれました

プリシスには成人した際に名づけ親から「真の名前」というものを貰う習慣があります

それまでの名前と新の名前の二つを持つ事になるんですね

そしてこの名前は朋友や夫婦のように親しい間柄にしか明かしません

真の名を明かす事は自分の命を預けるような物だからです

逆に言えば、これを教えてもらった人は本当に信頼されているという事です


彼はそれまでのルーファスという名前に加え

真の名前である「カシュー」という名前を貰いました

ああ・・・それとルーファスが子供時代からの名前かどうかは断言はしません

もしかしたらまた違う名前があったのかもしれませんし


それから彼は傭兵となり、類まれな剣の腕を持って活躍します

が、ロマールとの戦争に敗れたレイドの傭兵だった事が彼の不幸でした

彼は捕らえられ闘技場の支配人ランス卿の剣闘士となりました

これが新王国暦500年、オーファン建国の年でした(当時18歳ぐらい)


ルーファスを剣闘士として抱えたのは1つの狙いがあったからです

それは次の宰相の座を争うデュナスという貴族がチャンピオンであるケイドを抱えていたからです

それだけで王様へのイメージがよくなると言うのは納得できかねますね

ここでルーファスが勝てばたちまちの内にランス卿は有名になるんです


そして数年チャンピオンの地位を守り続けていた剣闘士"無敵にして華麗な"ケイド

そして新星のように現れたヒーロー"剣匠"ルーファスの一戦が行われたんですよ

2人は随分と長い間戦いましたが、見た目重視な装備をしていたケイドは敗れ去りました

こうしてチャンピオンとなったルーファスは1年間王座を守り続け、引退しました

それからは冒険者となり、ロマールの街の創設者の宝など数々の成功を収め巨万の富を得ます


その後、ルーファスは占い婆の言葉を聞き海を渡って呪われた島ロードスへ渡りました

これが新王国暦504年の事です(22歳)

風の部族の傭兵としてその知恵と財宝と剣を遺憾なく振るい

2年後の新王国暦506年には風の塔の精霊王ジンを解放します

そうして、砂漠の王国フレイムは建国しました


彼は"傭兵王"カシューと呼ばれ、ロードスの歴史に大きな功績を残します

新王国暦510年、英雄戦争の折には暗黒皇帝ベルドを討ち

愛弟子とも親友とも呼べる自由騎士パーンとの出会いを果たします

512年には風と炎の両部族をまとめ

515年には魔竜シューティングスターを討ち果たします

525年の邪神戦争においてもフレイムは最も多くの戦いと犠牲でマーモを倒すのに尽力しました


ユウの中ではカシュー陛下は本当に英雄なんですよ

ベルド陛下の卓越した強さ、パーンの曇りのない戦い、アシュラム様の生き様

どれも大好きですけどね

脳内人気投票ではカシュー陛下がややリードしてますかね

ということで、サラっとカシュー陛下の経歴を書いてみました

間違っている所とかあったらガンガン言って下さいね(やや不安)


★4

さて、本編に戻りましょうかね

最初に聞いた段取りではゴブと戦うと聞いていたわけです

が、出てきたのは確かにゴブだけど数は10匹!

2レベルパーティーには厳しいんじゃないですか?


まずはチェペルが"スリープ・クラウド"でゴブを5匹も眠らせます!

が、内1匹は倒れた拍子に目を覚まします

3点消費で残り15点

どうやら重い装備でゴブたちは動きが鈍っているらしく

1匹1匹をライスとオスターが倒していきます


城外の冒険者の魔術師さんがこっそりと"シールド"の援護をしてくれます

有り難いことです

あまりにも憎々しい道化の口上もあったからでしょうね

戦いの前にピエロみたいなヤツが冒険者を面白おかしく嘲笑を込めて紹介したりするからですよ


あまりにも多勢で眠ったゴブたちも起き出します

ついにはリーライナもゴブと戦う状態に、ついでにチェペルはゴブと地獄の鬼ごっこをやってたりします

実はチエペルって敏捷度が9しかないんですよ

でもゴブの移動速度は8だから差が開く事はあっても追いつかれる事はない筈

でも追いつかれそうだったりします


そんなこんなでゴブたちは戦意喪失し、ネットを持った男に捕獲されます

可哀そうに・・・・・これからどんな目にあうんだか。遅かれ早かれ、ゴブたちは長生きできないでしょう。

確かにゴブは人間とは相容れない間柄ですが、かといってこんな形で弄んでいいはずがない


これで終わったかと思ったら今度は同業者と戦えといってきます。冒険者対冒険者、やはり見世物にすべき事ではない。

"ウィンド・ボイス"で交渉を持ちかけてきます。どうやらお互いハメられたらしい


要は魔法使いがお互いを潰しあって、残った戦士が適当に戦ってやり過ごすと。最善の手だと思いますよ

とりあえず戦わないと両方助かりませんし。で、羽根頭たちが一応買勝った事になるわけですね。

魔法を使った色々な技能者たちの集団戦闘。剣闘士の戦いでは見られないジャンルなせいか客は満足そう。


しかし、主賓である隼騎士団長ラロール伯爵は置きに召さないらしい

腐っても騎士団長ですから、お互い殺す気はないことを察したんでしょう

主賓は闘技者に対する裁定を下す、つまりは生殺与奪権を持ってます

生かすも殺すも気分次第

そしてこの男は敗者である相手冒険者から生を奪い、死を与える裁定を下しました


異議を唱えるライスたちにも同様です。なんてヤツでしょう

あまりにも理不尽な物言いに死んでも死にきれない心境ですよね

しかし、闘技場のアチラコチラからも「異議あり」の声が次々と

皆冒険者ですよ、羽根頭たちと一緒の


内1人なんて"ファイア・ボール"と"テレポート"まで使います!

あひィ、最低7レベルですか!

超一流どころがこんな所に・・・・・

他にも多くの冒険者たちが次々と降りてきます

そして衛兵との壮絶な集団戦闘に入ろうとしています

同じ冒険者なら初対面でも皆仲間、ライスの言葉に同調したんでしょうか


こうして仲間を守ろうとする冒険者たちは羽根頭たちを逃がしました。会場は大混乱、大混乱

冒険者の力を見くびった団長はどうするでしょうね。こんな失態を犯した以上もうタダではすまないでしょう。

下らない裁定を下した事を後悔することでしょう


実は、この会場にデュダさんがいるんですよね(苦笑)

もちろんこの混乱に揉まれてます

その辺は次の「サラマンダーの憂鬱」でね


羽根頭たちは人ごみに紛れ逃げ出します。次の進路は東、「自由人の街道」を通ってオランを目指します。

そのお話はまた別の機会にね。それにしても、この連中は一体どこに行き着くんでしょうね


「サラマンダーの憂鬱」作:高井信

★1〜2

デュダ短編の第2弾です。「鏡よ、鏡!」から8年の歳月が流れ、デュダもリュークも、ついでにゲランとバルンも成長しています。

この8年の間にもビムラの村では色々な変化がありました。まずはリュークが住み着いた事です。完全にデュダの家に居着いちゃってます。

賢者に憧れるリュークは身の回りで唯一の賢者であるデュダに夢中なんです。「賢者は賢い→デュダは賢者→デュダは賢い」という三段論法です。

誰かが「例外もある」と教えてやれば良かったものを。まぁ2人ともこの共同生活を楽しんでるようだし、いいんじゃないですか。


もう1つの変化はゲランが結婚した事です。相手は「ミス・だんご鼻コンテスト」で3年連続グランプリの美人ライラです。

どうやらドワーフの美観では「だんご鼻」が美しさのステータスらしい。2人は(ドワーフ的な)好青年と美女という理想的なカップルですね。

村中で酒盛りが行われて2人を祝いました。デュダだって親友の幸せを嬉しく思っていますが、ちょっと嫉妬と羨望もあったりする。


ある日その新婚2人がロマールに新婚旅行に行く事になったのです。ライラが闘技場に行きたがってるんだとか。

闘技場は結構なんですが、マイリー神官でもある彼女としてはそれでいいんだろうか。見世物試合はマイリー的にはNGかもしれないし。

実際どうなのかはよく分かりませんが、不純が混じるという理由で嫌う信者も多いと思いますよ。「SWサポート1」でもそういうキャラがいる。


旅に出るのは当然ゲランとライラですが、それにゲランの弟のバルンも加わります。あとデュダとリュークも同行します。

親友とはいえ、何だって新婚旅行にデュダまでついてくるのかと言うと、バルンが1人では余りにも酷だからです。

目の前で双子の兄貴にイチャつかれ、挙句に自分が独り身だとしたら悲惨じゃないですか。友達も一緒にいれば大分マシです。

独身同士、友情パワーで寂しさを補う事もできるでしょう。……本当は自分より悲惨な連れ(まだ無職)がいると頑張れるからかもしれませんが(笑)


デュダとしても遠い異国に好奇心がくすぐられて、行くにはやぶさかではではありません。闘技場、闇市、見所は色々あります。

リュークもロマールや闘技場の事は分からないけれど、旅が好きな彼としては凄い楽しみだったりします。

腕を組んでスキップでもしたい2人でしたが、体格が違うのでそれぞれ勝手に部屋の中で踊ってました。いいコンビですよ(苦笑)

デュダは変人だ奇人だと言われますが、リュークはある意味それ以上に変わり者なんじゃないですかね。この凸凹コンビ大好き。


それでは今回の主要キャラの紹介です。ドワーフ達のクラフトマン5は面倒なので省略。


デュダ 28歳

セージ3→4。8年かけて2000点分しか成長してませんよ。


リューク 16歳?

シャーマン1→3、ソーサラー1。こちらは5000点分成長しています。


ゲラン 28歳

ファイター3→4。こちらは3000点分成長。


バルン 28歳

シーフ1→3、プリースト(ブラキ)2。こっちは3500点分成長。デュダは格別低いらしい。


ライラ 23歳

プリースト(マイリー)4。初登場の彼女ですが、8年前は15歳でしたね。あと知力が15もあって、やはりデュダよりも賢者向き(笑)


★2

ロマールに行くと簡単に言っていますが、長旅ですよ。ワールドガイドの記述などを参考にすると、おおよそ2ヶ月かかります。

まず「ドワーフ村殺人事件」よりピムラ⇔オランが10日ほど。そこから「自由人たちの街道」を西に進みますが、そこからが長い長い。

オラン⇔エレミアが3週間、エレミア⇔ザインが2週間、ザイン⇔ロマールが2週間。冗談抜きで2ヶ月ですよ。往復4ヶ月

しかも実際にはザインからロマールまで14日かかってるんですよ。この日にちは目安でして、健康な冒険者を基準にしています。


「自由人たちの街道」はかなり安全な街道で、宿泊用の空き地などもあり、整備状況もいい。一般人も普通に旅ができるぐらいですからね。

「SWサポート2」によると、舗装率はほぼ100%。道幅も広く、一定距離毎に道標があり、休憩・野営用の空き地も用意されています。

安全性はというと、勿論100%安全とは言えない。山賊やモンスターが出る可能性もあるけど、基本的には安全です。


実際デュダ達も大したトラブルに巻き込まれる事なくロマール近郊まで来れましたしね。戦闘もなかったと思いますよ。

もっともエレミアでカーン砂漠を見物しようとか、ザインでエア湖で泳ごうとか言った賢者がいましたがね。死にたいのか(笑)

カーン砂漠は危険過ぎますよ。砂漠の民に見つかったらどうなるか。エア湖は大陸最大の湖ですが、何がいるか分からないので。

エア湖の連奇岩は一度見てみたいですけどね。かつてリジャールVS邪竜クリシュが繰り広げられた地です。「湖岸の国の魔法戦士」参照。


しかしロマールまであと少しという所でライラが破傷風(ロックジョー)に罹ってダウンしてしまいます。デュダは珍しくまともに診断してました。

異常な発熱を起こす病で、傷口に泥などをつけたままにしておくと、ウンディーネやノームが錯覚を起こし、高い確率で発病します。

熱が出る事から分かるように、この病はサラマンダーの力が強くなる事で起こります。故に今回のお話は「サラマンダーの憂鬱」なのです。

知名度はたったの7、基準値が5のデュダなら1ゾロ以外で分かる。進行速度/進行強度/治癒値はそれぞれ2日/8/9(18)です。

平目で8(41.7%)というのはなかなかキツイし、致死深度が4なので3回連続失敗(7.2%)すると一週間持たずに逝く事もある。


彼女は前々からちょっと調子が悪かったんですが、ずっと我慢していたんですね。もうかなり深度も深くなってるでしょう。

仮に彼女が病床で"キュアー・ディジーズ"を使えても、魔力が6では拡大しない限り6ゾロしか成功しません。限界まで拡大しても10以上。

リュークは精霊使いとしてサラマンダーに呼びかけ、緩和しようとしますが、憂鬱そうなサラマンダーはそっぽを向いています。

精霊使いが力を貸せば進行/治癒判定に+1されますが、それだって治癒に向かわせるには平目で8以上。やっぱりキツイです。


デュダは賢者らしくアルニカの花を使う事を提案します。「トライアル・トラブル」でも出てくる解熱作用のある、高山に咲く多年草です。

2〜3日しか保存できない足の速い品で、取引価格は600ガメルとなってます。ロマールの闇市でも売ってるようですね。

進行/治癒判定に+2のボーナスが入るので、出目7以上で治癒に向かう事になりますね。それだって出目7以上が必要ですが。


神聖魔法は駄目。薬草も近くのユセリアス山脈に採りに行くのは大変。そこでデュダはユニコーンの角を使おうと提案します!(笑)

確かにユニコーンの角は高い治癒力を秘めていますが、何だってそんなご禁制の品を。ロマールなら神官も治癒師も薬も見つかるのに

しかし一度考えたら梃子でも動かない、それがデュダです。デュダ、リューク、バルンはロマールにユニコーンの角を求めて旅立ちます。


ユニコーンの角といえば知られざる生命の精霊の力を借りた精霊魔法を使用できます。"ヒーリング"や"レストア・ヘルス"ですね。

しかしその値段はべら棒で、残り精神点×1100ガメルもします。10点〜200点なので、1万1000〜22万ガメルですね。

"レストア・ヘルス"するには最低20点が必要ですが、それだって値段は2万2000ガメル。現在の彼らの所持金は2万ぐらいだとか。

魔力は10扱いだから、試みたとしても出目8以上が必要ですね。やはり41.7%ですが……別の方法を頼った方がいいと思う(苦笑)


仮に神聖魔法に頼るとしたらどうなるか。4レベルの神官がいたとして、普通に"キュアー・ディジーズ"して貰うには1600ガメル

仮に魔力が6だとしたら、出目3で9。より確実に治そうと思えば+9ですから、10倍拡大。1万6000ガメルですね。

一度成功すれば失敗するまで行えますから、仮に彼女が深度3だとしても、3回連続で出目3以上なら助かりますね。91.9%ですよ。

ユニコーンの角に頼るよりも、神官に頼った方が値段も確率もいい。ロマールなら4レベル程度の神官は沢山いるでしょう。


★3〜4

固定観念に捉われたままロマールに来た3人は闇市でユニコーンの角を探しますが、何処に行っても品切れでした。

仮にあっても2万2000ガメル以上の品でないと買えないんですが、値段の事は考えてもいない。流石はデュダです(苦笑)

品切れだというのを余所者だから売ってくれないのだと勘違いしてましたが、闇市では金さえ出せば誰にでも売ってくれますよ。

いっそここでアルニカが店頭に並んでいれば良かったんですけどね。リュークも力を貸せば判定に+3で出目6以上(72.2%)で回復するし。


闇市には彼らも興味津々ですが、あの"小人の鏡"はないだろうとデュダは得意そうでした。8年前の栄光のみで満足してますよ。

未だにそんな昔の事で幸せになれるとは、なんて幸福なドワーフなんでしょう。その狂態には流石のリュークも引き気味でした。

その頃盗賊ギルドに顔を出したバルンは、彼らの勘違いのせいで赤っ恥をかいていましたがね。無知って怖い。

バルンがギルドで話した相手はなんと「鑑定の長」である"灰色の目の"ベントリーでした。ロマール盗賊ギルドの最高幹部の1人ですよ。

8レベルのシーフ/セージでソーサラーも6という高レベルキャラです。よくそんな大物が通りがかりの盗賊なんかと話してくれましたね。


しかしバルンが赤っ恥をかいたのも無駄ではありませんでした。バルンはラダという古株盗賊を紹介してもらいました。

山手に住む(という事は成功者)薀蓄盗賊であり、家の中には様々な品や発明品が雑多に転がっている発明家でもある。

ラダは次の「立ち枯れの森」にも登場するのでそちらを参照。家に行ってみると、彼は都合よくユニコーンの角も持ってました。


彼は22万の角を18万で譲ってくれるそうですが、金がないデュダ達にそんなもの買える訳がない。4万値引きして貰ってる時点で十分ですが。

では貸してくれと迫るデュダですが、何の担保も信用もなしに貸せる訳がない。ではついて来いと言いますが、彼は客を待ってるので無理。

それから2人の賢者は「一緒に来い」「無理だ」「無理でも来い」「駄目だ」という心の底から無駄だと思える問答を繰り返します。

デュダが絡むとどんな場でもドリフのコント風の空気になってしまうのです。リュークですら呆れるのだから凄いですよ。


ラダはそこでもう1本、あと1回使うと崩れてしまいそうな角がある事を思い出しました。……ラムリアースの聖獣なんですけど(密猟者多!)。

これならもっと安価で譲ってやれるのですが、金以外で何かの代償があるのではないかと考え込みました。

一時は今起きている事件「立ち枯れの森」参照)をリュークに手伝わせようと思いました。精霊力の異常ですが、エルフ2人なら都合がいい。

ぶっちゃけシラルム(2レベル)よりリューク(3レベル)の方が高レベルですが、急ぎの彼らにいつ終わるとも知れない仕事をさせるのは酷です。


そこでもう1つの事件を頼みます。そちらの事件は期限が明日なので、どう転んでもそれ以上延びる事はない。

その事件を解決できたらユニコーンの角を譲ってくれるというのです。2万で譲れないものをそんな仕事で譲るとは、損してますけどね。

4レベル1人、3レベル2人を雇うと1700〜6800ガメルかかりますね。そんなんで2万以上する品を譲ってくれるとは、太っ腹です(笑)

彼らは去り際にシラルムと一瞬だけ顔を会わせますが、特に話をするでもなく別れてしまいます。実に微妙なコラボでした。


★5〜6

デュダ達が紹介されたのはビンセントという男でした。彼はヨーゼルという札付きの暴れん坊から脅されているのです。

ビンセントは酒場で自分が錬金術ができると吹聴してしまったばかりに、ヨーゼルからショートソードを銀製にしろと言われたのです。

勿論彼にはそんな能力はありません。そもそもフォーセリアにおける錬金術師は科学者のようなもので、そこまではできないし。

明日までにヨーゼルのショートソードを銀にしないとボコられるという、自業自得な状況に追い込まれているのです。


そこでデュダ達は奇抜な案を出します。ショートソードを銀製っぽく加工し、《通常武器無効》のモンスターを倒してみせるというのです。

ショートソードを加工するのはデュダです。一応ドワーフなので、クラフトマン技能を使って銀製に見せかけるのは簡単でした。

そのモンスターはリュークが鎧と大剣を装備し、インビジで姿を消して見せかけたアンデッド・ナイトでした。……大丈夫かな?


一時それで騙せたとしても、実戦で使えば本物ではないとすぐバレそうですけどね。まぁその時は彼が冷たくなってる可能性もありますが(笑)

あと近所にアンデッド・ナイトが出る家なんて、常識的に在り得ないでしょう。ここはロマールの市内ですよ。……成功しちゃうんですけどね。


実はヨーゼルもビンセントが錬金術をできるとは思ってません。脅して銀製のショートソードを買わせるのが目的だったのです。

ショートソードの値段は高品質を除けば60〜110です。銀製で5倍にしても300〜550ガメル、大した額じゃないですがね。

下手したらリュークの装備した鎧と大剣の方が高くついたかもしれませんよ。鎧をプレートメイル、大剣をグレートソードとしましょう。

必要筋力も一番低くしたとしたら、プレートメイル(13)は1400ガメル。グレートソード(16)は700ガメルです(笑)

鎧も大剣もビンセントが用意したようですが、赤錆の浮いた年代ものなんですよね。買ったのか、借りたのか、倉庫から出してきたのか。


概ね上手くいきましたが、リュークがヨーゼルに刺されたのは計算外。腹を刺されて苦しそうで、今回最も割を食ったのは彼に違いない

いやもしヨーゼルがその偽銀製ショートソードを実戦で使ったとしたら、もっと酷い目に遭うのは彼かもしれない。

リュークはビンセントが神聖魔法で癒します。ビンセントとしても恩人の傷を癒すのは当然の事でしょうね。むしろ申し訳ないぐらい。


それよりも重要なのは彼が癒しを行えるという事。そう実は彼は高位の神官であり、高位の治療師だったのです。

そうと知ればユニコーンの角なんて用なしです。ビンセントに頼んでライラの治療を行ってもらえばいいのです。いい恩返しになるし。

ここまできてようやくデュダもユニコーンの角に拘らなくていい事実に気づいたのです。……もう笑うしかないか(苦笑)


ビンセント 38歳

プリースト(マーファ)/ヒーラー5。知力21、精神力23もある。相当スペックの高い癒し手だったりする。


神聖魔法で癒そうと思えば、彼の魔力は8ですね。拡大して+3で11。バルンが儀式に参加して+1で12。出目6以上で治癒に向かう

それが駄目でもヒーラー技能を使って治療できます。この場合はヒーラー+知力で神聖魔法と同様の判定を行います。

この場合基準値8ですが、何度でも行える点が大違い。進行速度と同じスパンで1回ずつですが、失敗してもレベル上昇を待たなくていい。

これに加えてアルニカとリュークの緩和も同時進行で行えば完璧、何とかなるでしょう。実際ライラはあっという間に全快してしまいます。


全快したライラも一緒に5人は噂に名高いロマールの闘技場を訪れます。その日の対戦は冒険者VSゴブリンズでした。

しかしその試合はとんだハプニングに見舞われ、デュダとリュークは他3人とはぐれてしまいます。詳しい事は「ロマールの罠」参照。

仕方なく2人だけでビムラに帰る事にします。帰るって、ゲラン達は探してるんじゃないですか。宿屋とかは取ってなかったんだろうか。


「立ち枯れの森」作:下村家恵子

★1

最後のお話は「死せ神」短編第2弾です。主役はシラルム。バートとリザンと出会う前、そしてプラムとの出会いのお話です。

彼のデータは小説と一緒です。この時点で既に森を出てから大分経っているのですが、レベルは駆け出しの頃のままです。

昔一緒に冒険した仲間は既に5レベルとかになってるんですけどね。エルフは鍛えるもゆっくりなんでしょうか。


彼はつい最近里帰りをしていたようです。従兄弟の手伝いで村の見張りや木の世話をしていたのですが、退屈でしかなかったとか。

シラルム「エルフってどうしてあんなに頭が堅くてつまんないんでしょうね?」←そういうアンタは何なんだ(笑)

このように彼はエルフにしては大分砕けた人です。むっつりしていても詰まらない。明るく楽しくがモットーの軟派エルフです。

それはそうと彼の故郷ってどの森なんでしょうね。ロマールから近い森といえばマエリムの森ですが、そことも限らないし。


物語はシラルムがロマール在住の人間の友人ラダジーンに呼ばれた事から始まります。かつての冒険仲間で、今でも親交がある。


ラダ 32歳

セージ5、シーフ4、プリースト(ラーダ)2。かつては盗賊ギルドに所属していたが、今は色々な発明をこさえています。

発明家?なだけに知力は18もあり、小太りな体形に似合わず敏捷度19もある。ジーンとはラブラブな夫婦関係を築いている。


ジーン 30歳

シーフ5、ファイター/レンジャー3。ラダの奥さんであり、彼を「ダーリン」と呼ぶ。30超えてもラブラブなオシドリ夫婦である。

器用度は18もあって流石に器用で、敏捷度は16となかなか。それ以外の数値は全て平均の14で分かりやすい能力値です。


しかしまだ時間はあるからと、シラルムは「雄羊の角亭」に入ります。そこでもウェイトレスの女の子に声をかけるのを忘れません。

また彼はここで羽根頭達と遭遇するのです。「ロマールの罠」の冒頭にあるように、リーライナが吟遊詩人を傍若無人に扱っていたのが縁。

この吟遊詩人は割りと美形なのですが、シラルムは髭が気に食わないらしい。エルフの美観では髭はNGなんでしょうか。

シラルムは肉感的な女の子の方が好みらしいけど、リーライナみたいな少年体形もOKらしい。ストライク・ゾーンは広めなエルフです。


興味を抱いて彼らの輪に入りますが、リーライナは人間の男に対する愚痴を並べ、最後にはシラルムに自分のエルフ像を押し付けてきます。

口の上手いシラルムも彼女のマシンガントークには手も足も出ませんでした。そんな時にジーンが迎えに来てくれて大助かりです。

最後には神妙な顔で頷きながらお酌をするという、上司に人生論を説かれる日本のサラリーマンみたいになっていましたもんね(笑)

素面では酔っ払いには適いませんが、リーライナの場合は素で負けそうでもある。半分はエルフの血が入ってる筈なのに、偽エルフめ(偽?)。


それからシラルムはラダとジーンの愛の巣(死語)に向かいますが、今度はそこでデュダさんやリューク(他1名)とも会います。

とはいえこちらはちょっと会釈をした程度です。会釈をしたのは主にリュークでした。一応シラルムは同族の年長者だし。

彼らが何をしていたかは「サラマンダーの憂鬱」参照。ストーリーに力を入れたいのか、さっさとコラボを済ませてます(邪推)。


あと今回の話では時を告げる鐘の描写がよく出てきます。ラーダ神殿の鐘楼から聞こえる鐘で、シラルム達はこれで時を計っていました。

どうやら長い鐘短い鐘があるようです。シラルムが酒場に入ったのは長い鐘4つと短い鐘1つ。待ち合わせ時間は長い鐘5つです。

また翌日の昼過ぎには長い鐘3つが聞こえていました。これは単純に長い鐘=1時間、短い鐘=30分という程度かもしれない。

そうなると待ち合わせ時間は夕方5時だった事になりますね。丁度その時は夕方だったようなので当たりかもしれない。

フォーセリアの時間は現実と殆ど同じです。ただし分単位までしか数えられることはないようなので、この程度なら問題はないでしょう。


細々とした導入を終えて、いよいよ本題に入ります。シラルムを呼び出したのは、一口に言うと未帰還の冒険者の捜索です。

ラダは4人組の新米冒険者に手付かずの遺跡の在り処を教えたのですが、何時まで経っても帰ってこなくなってしまいました。

パーティー構成は人間の戦士、盗賊兼ラーダ神官のラウダ、グラスランナーの女、若いエルフの精霊使いでした。

ラウダはラダの発明に感動して弟子入りを志願してましたが、ラダは断ってきました。それでも顔を出してきたので、遺跡の場所を教えたのです。


それから一度は捜索隊が出たのですが、彼らが連れ帰ったのはグラスランナーの女の子だけでした。実は彼女がプラムなんですよ。

ところが何があったのかプラムは心此処に在らずといった様子で、どんなに言葉をかけても反応をしないんですよ。

それどころか遺跡周辺の木々が枯れていたり、明らかに何かの非常事態に巻き込まれたようなのです。

遺跡の奥に行こうにも、奇妙な木や草が進路を妨害していて進めない。そこで精霊力に詳しい精霊使いのシラルムを頼ったのです。

頼るもなにも、2レベル精霊使いにそんな一大事を任せなくてもいいと思いますけどね。彼は駆け出し同然で、その駆け出しが全滅したんだから。


シラルムはプラムの心を取り戻そうとレプラコーンを介して心を覗きます。いきなり凄い事やってますよ、本当に2レベルなのかな(苦笑)

心や記憶を覗くレプラコーンの精霊魔法はないし、魔法ではないデフォルトの能力にしても強力過ぎる。ルールが整備されていない初期ならでは。

治そうにも神殿が匙を投げるようなら2レベル精霊使いじゃ無理でしょう。病気や精神魔法の影響下だとしても、シラルムでは力不足です。


病気なら"レストア・ヘルス"ですがこれは女性専用だし、仮に病気だとしても恐ろしく達成値は高そうで手に負えなそうです。

精神魔法だとしたら同じ精神魔法の上掛けで解除できますが、やっぱり達成値は高そう。6ゾロが出るまで繰り返すとか?

ラダは昔気が狂い掛けたのをレプラコーンで治してもらったそうですけど、具体的なシチュエーションが分からないので何をしたかは不明です。

精霊使いは精霊力に干渉し、病気の進行/治癒判定に+1できますからそれかもしれない。するとレッド・キャップかな。

あるいは何かの精神魔法で狂い掛けていた時に、レプラコーンの精霊魔法を上掛けして消したか。いずれにしろプラムはそんなんじゃ治りません。


プラムの心を覗いた時、シラルムが何よりも驚いたのは激しい恐怖でした。そして悲鳴を上げる黒い柱ですかね。

他にも動物の姿とダブった小人とか、仲間同士で殺しあう様子とか、彼女の身に起こった重要な事がここに集約されています。

そして口を開いたプラムは「私の中に」とか「わたしがわたしでなくなる」といった事を呟きます。これは彼女の言葉ではないのかもしれない。

今のプラムは蜂蜜とかを食べさせて命を持たせている状態です。原因を突き止めて元に戻してやらないと長くは持たないでしょうね。


★2

翌日シラルムとジーンは問題の遺跡がある森へ行ってみました。ラダは発明があるし、体を動かすのが面倒なので家にいます(出不精?)。

森の中には動物や小鳥も見かけないのが不審です。あと木々の植物の精霊力は衰弱あるいは混乱しています。精霊力は無関係ではないらしい。

遺跡の中に入っても木の根の壁が行く手を阻んで進めません。傷つけても短時間で根が再生するし、火を炊くのも危険なので引き返します。

分かった事は精霊力が狂っているという事。そしてその狂った精霊力を押さえつける魔力があるという事。益々力不足な気がしてきます。


シラルムとジーンは帰り道で何故かプラムの姿を発見します。何でこんな場所にと追いかけてみると、このプラムは偽者だったのです。

実は正体はプーカでした。プーカとは森に住む妖精の一種で、動物に変身する能力を持ちます。性格は悪戯好きですが友好的ですよ。

その姿は基本的にマッパです。変身できる動物は狼や熊などの大き目の動物ではなく、リスやネズミのような小動物です。


彼らは以前この森に来たプラムと友達になっていました。ところがそのプラムが先日変なエルフに襲われているのを目撃して助けに入りました。

そのエルフは彼女の仲間の1人だったのですが、プーカの仲間を殺したりしたので、彼らは完全に敵視しているのです。

プラムはその後迎えに来た人間達に渡しました。そしてシラルムとジーンをエルフの仲間と勘違いして襲い掛かってきたのですね。


彼らは特別強い妖精ではないけれど、"ストーンブラスト"を使ったり、虎に変身したりと、多彩な攻撃で2人を苦しめます。

本来は虎にだって変身できないと思いますが、昔なので。何より数が多くてこのままで殺られそうになります。

しかし匂いが違うという、何とも野生溢れる判断基準で勘違いだと気づき、攻撃を中止します。プーカとはいえ侮れませんね。

でも事情をちゃんと話すと警戒を解き、地面にちょこんと座って話をしてくれるのは微笑ましい。彼らは決して邪悪な妖精ではないのです。

それにプラムが元に戻るのかと、心底心配そうでもありました。彼らは悪戯好きだけど、とても友達思いの気のいい妖精なのです。


プーカの話で仲間の筈のエルフがプラムを襲っていた事が分かりました。恐らくはソイツが原因なんだろうと当たりもつけられました。

しかしそのエルフは厳密にはプラムの仲間ではないのです。何故かというと彼はホーントに憑依されているからです。そのホーントが真犯人。

では何故精霊使いでもある筈のプーカが、エルフから滲み出る負の生命の精霊力に気づかなかったのか。多分深い意味はないと思う(笑)

この時点ではそんな事は分からないので、錯乱したとか、実は腹黒かったとか、その程度の予想しかできないのが悔やまれる。


帰り際にジーンはプラムの姿をまた見かけましたが、今度もプーカだろうと思ってスルーしていました。でもそれは本当に本物なんですよ。

ラダが発明に夢中になっていて抜け出したのに気づかなかったんですね。彼女が何故動いたのかは、真相を知れば明らかになる……かな?

ていうかプーカがグラランに変身できるのはOKなんでしょうかね。いくらグラランが小さいとはいえ、小動物扱いはちょっと(苦笑)


★3〜4

一度ラダの家に帰って根の壁を取り除く道具を調達しようとしますが、そこで都合よくラダの新発明が完成していました。

必要になるんじゃないかと作っていたようですが、気が利き過ぎ。ジーンが惚れ直すのも無理はない。博士ですね(安い例え―笑)

この道具は所謂刈払機のようなもので、山形に凹凸した金属の円盤で植物を伐採します。機械的にこんなものを作るとは、本当に凄い。


ところがここに来てプラムがいない事に気づき、大慌てで森に戻るのです。発明に夢中になるのも程々にね。折角上げた株が下がっちゃう(苦笑)

もう夜なのでジーンはコモン・ルーンで"ライト"をつけ、シラルムもウィスプを浮かべます。どうやら光の精霊は普通に使えるらしい。

道中あのプーカが倒れていました。どうやらプラムを守って変なエルフと戦って敗れたらしい。ラダの神聖魔法で一命を取り留めます。


そのプーカの話の中で「女王」という存在が明かされます。結論から言うと、この「女王」とはマグナ・ロイという魔法樹です。

マグナ・ロイは魔力に満ちた不思議な樹です。古代王国時代に乱伐されたので今では数も随分と減ってしまったようです。

その枝や葉や実にも魔力があり、物凄い値段で取引されるので、今なおその数は減少の一途を辿っています。また年を経ると意思を持つらしい。

その「女王」がこの森に恩恵を与えていたのです。しかし今は犯人によって苦しめられているから、悲鳴が木々を弱らせているのです。


一説には"すべての植物の母"である古代樹の末裔だそうですが、それは世界樹なのか黄金樹なのかハッキリしない。

"すべての植物の母"なら世界樹っぽいんですが、マグナ・ロイでなくても全ての植物は世界樹の末裔なので、それは自体は驚くに値しない。

驚くべきは魔力を秘めた樹だという事。これは世界樹の枝から派生した黄金樹と同じであり、同位かちょっと下だと思われる。

元々の絶対数でいえば黄金樹の方が少ないと思う。黄金樹は乱伐するほどないでしょうからね。もしかしたらマグナ・ロイはその更に子供なのかも。

またクリスタニアには"世界樹の不肖の息子"というのがあって、魔力的には黄金樹よりも上。生物を産む時点でマグナ・ロイとも一線を画する。


傷が治ったプーカ(イリーガルな狼形態)も仲間に加え、シラルム達は遺跡に再挑戦します。今度は根の壁も突破できました。

紐を引っ張っただけで刈払機は動いていたのですが、どういう原理なんでしょう。まさかエンジンとかついてませんよね。

先に進むほどに精霊使いのシラルムとプーカは辛そうになります。精霊力の異常がかなり強く、気持ち悪いんですよ。

奥にはシェイドが充満していますが、こいつらはジーンの"ライト"で消します。全員にかけていたから計12点消費、残り2点


その先にはホーントに憑かれたエルフと、グッタリと床に倒れるプラムの姿がありました。エルフは既に友達思いの狼プーカと格闘を演じています。

また巨大な部屋の中央には魔法陣に囲まれ、色々な金属や石などが埋め込まれたマグナ・ロイが鎮座しています。

エルフの中の人は魔術師であり、"ファイア・ボール"などを使って応戦してくるので、シラルム達も割りと本気で戦いました。

「石を返せ」と喚き、半狂乱で暴れまわってチョーク攻撃も行ってきて、シラルムなんて一度窒息死しかけましたよ。

その戦いでプーカはウィスプかなんかを食らって動かなくなりました。死んでしまったのかな。あと憑依しても宿主の魔法は使えない


この時シラルムは初めて死を意識しました。長い寿命を持つ彼でも、自分が永遠に消える恐怖を味わったのです。

しかし危うい所でマグナ・ロイの声を聞きました。「死なないで」と訴えて美しい幻なども見せますが、実質何の役にも立ってない

でもシェイドを自身の強い植物の精霊力?で弾いていたし、そういう意味では役に立ったかな。別に弾かなくても"ライト"で消えたでしょうが。

どうにも手がつけられないので、最後はラダがエルフの首を刎ねます。すると中からホーントである魔術師の老人が姿を現すのです。

この老人はスペクターとなっていますが、スペクターは《憑依》した体を壊されるとファントムになるのに注意。魔法は使えないし動けない


そして老人はシラルムに《憑依》を試みるのです。ホーントの《憑依》の抵抗の目標値は12ですが、生前のレベル次第ではもっと高い。

シラルムの精神抵抗は5で微妙ですが、《憑依》自体は失敗したようです。しかし魂が重なった時にその老人の記憶を見ました。

彼は死の恐怖に覚え、あらゆる延命策を試みたカストゥール王国の魔術師でした。当時の彼らは神を否定し、死後の世界も否定していました。

だから死ねば虚無となると信じていて、それを恐れていたのです。しかし何をやっても死は確実に歩み寄ってきたのです。


そこで彼はこのマグナ・ロイから溢れる魔力を浴びて命を繋いでいたのですが、それすらも限界を感じ、最後の手段に出るのです。

それはマグナ・ロイに心を移す事でした。ところが自分の魂を物体に移すのは付与魔術の高位の技であり、彼には非常に困難でした。

それでも彼は苦心の末装置を作り上げ、もう少しという所でタイムリミットを迎えました。彼の体は生きる事を放棄したのです。

その時彼は底知れない死の深遠を覗き、必死に足掻いた挙句スペクターとなりました。しかし部屋は魔法的に密閉され、閉じ込められます


それから長い年月が過ぎ、プラム達4人の冒険者がドアを開けたので、彼は一目散に装置に走って(飛んで)マグナ・ロイに入ろうとしました。

ところが既にプラムが装置の一部である魔晶石を外していたので適わず、返せと要求しても断ったので強硬手段に出ます。

戦士に憑依して魔晶石を奪おうとしたのですが、その戦いで戦士とラウダは死亡し、プラムに入ろうとして弾かれます(精神抵抗高いから)。

そこで彼は仕方なくエルフの体を奪ってプラムを追いました。その後はプーカの話した通りで、プラムは逃げ切ってしまったのです。


この話で気になったのはエルフの技能です。彼はどうやら発動体を持っていたようですが、彼って精霊使いでしたよね?

それともソーサラー/シャーマンだったのか。仮にそうだとしても、スペクターは憑依しようがすまいが発動体は要らない


そこまで探った所で老人の魂はシラルムの体から弾かれます。ラダが"ホーリー・ライト"を使っていましたが、それで弾いた訳じゃないと思う。。

このままここを密閉し、高位の司祭に頼んで"イクソシズム"をかけてもらおうとします。このホーントをどうにかしないと異変は収まらないから。

ところがその時プラムが急にマグナ・ロイに走り出します。さっきまでの自失状態は何だったのか、その目には明らかに意思があります。

そしてマグナ・ロイは彼女の心を通して声をかけてくるのです。それは優しく臆病なマグナ・ロイの告白でした。


マグナ・ロイも最初はこの老人を受け入れていました。そうでないと彼は生きていけないから、独り占めにしても責める気にはなれませんでした。

しかし魔術で縛りつけ、あまつさえ体を乗っ取ろうとしてきたのです。優しい彼女?もこれには怯えますが、既に声も出せない。

そこでやってきたのがプラムだったのです。プラムはマグナ・ロイを解放しようとしましたが手に負えないので、仲間を呼びました。

仲間を呼んだのは結構なんですが、確かこの遺跡ってラダの紹介で訪れたんですよね。探索中に別の場所にいた仲間を呼んだ、という事かな?

この時からマグナ・ロイとプラムは心で繋がっていたのです。例のプラムの言葉も恐らくはマグナ・ロイの訴えだったんでしょう。


それからは老人の記憶にある通りです。また老人がプラムに憑依しようとした時に感じたという別の意思はマグナ・ロイのもの。

その時マグナ・ロイは恐怖し、プラムの心ごと樹の中に引き篭もってしまったのです。だからプラムはボケっとしていたんです。

マグナ・ロイもまた体に取り付けられた魔法装置のせいで声を封じられていましたが、今ならプラムを通して言葉を出せるのです。


そこで気になるのは今のプラムはどっちなのか?という事。今のプラムの目には明らかに意思がある、ではその意思はどっちなのか?

マグナ・ロイの中にある彼女自身の意思なのか、それともマグナ・ロイの意思が口を通して出ているだけなのか。非常に微妙です。

ただ本編ではプラムの口から出たセリフとマグナ・ロイ自身のセリフの表記が違うし、口調も違うので前者っぽいんですよね。


するとまた疑問が湧きます。マグナ・ロイ自身のセリフがプラムの口から出ている訳ではないなら、何処から出ているのか?

さっきから虚空から精霊の声が聞こえるように書かれていますが、それは今魔法装置で封じられている筈でしたよね。

どうやら側にプラムの心があるからOKらしいんですが、そんなんで解決するような事なのか。これも魔法樹の神秘なのか(笑)

さっきシラルムに「死なないで」と言ったマグナ・ロイの声も同じように虚空から出てきたようなのですが、もう訳が分かりません。

いずれにしろプラムは長い間マグナ・ロイのモバイル体のようなものだったんです。小動物扱いされたり、心を持ってかれたり、散々ですね。


多くの死や哀しみを目の当たりにし、マグナ・ロイはこの老人に体を明け渡す決心をしたそうです。

仮に老人を消滅させても十数年で樹は枯れ、本人は精霊界に戻るそうだから、どうせなら老人に譲ろうと思ったようです。

譲ったとしてもやっぱり精霊界に還るだけだし、マグナ・ロイにとっては遅いか速いかの違い。何処まで人がいいのやら。

精霊界に還るって、やっぱり彼女?は精霊の一種という事でしょうか。長い年月を経て樹に精霊が宿るか……まるで九十九神です。

「スウィート・フォレスト」にもそういう樹が出てきましたが、ひょっとしたらエントやドライアードの一種なのかもしれない。


魔術師は戸惑いながらも装置を発動し、樹の中に入ったようですが……十数年後に枯れたらまたファントムになるだけだと思う。

マグナ・ロイの意思もドライアードのような姿で現れ、精霊界へ還っていきました。また会おうとか言ってるけど、多分そんな日は来ない。


このフォーセリアでは死は終わりではない。きちんと幽霊が存在する以上、単純に土に返るだけという訳ではないでしょう。

死後の世界の概念は宗派によってまちまちですけどね。ファラリスなんて虚無に還るそうだし。あるいはG・Sのコミューンみたいなものかも。

生に執着し、死を恐れ、ホーントになったり樹に乗り移ったりしてまで存在しても辛いだけだと思いますが、あの老人はこれで幸せなんだろうか。

いずれにしろ人の死亡率は100%である以上、死は遅かれ早かれ訪れる。どうせなら楽にそれを迎えられるよう生きたいものです。


プラムはまたも自失してしまいますが、時間が解決してくれるそうです。もっとも魔法樹の時間の感覚は人間とは全然違うので不安ですが。

そこでシラルムは彼女を連れて東へ行く事にしました。まずはエレミアへ行って、それでも駄目ならオランです。

きっと治す方法が見つかるからと、ラダとジーンが馬車の手配までして送り出してくれました。相乗りになりますけどね。


その相乗りの相手が「奇跡の店」のオヤジさんだったんです。息子にロマール店を任せて、オランに2号店を開くつもりなんです。

オヤジさんは"剣匠"ルーファスの親友であり、彼が南の"呪われた島"で王国を建てたらすぐに行って商売をするつもりです。

大丈夫、その日は訪れます。ロードスの砂漠の王国フレイムの建国王カシューからの連絡が来るのを待っていればいい。


出発間際にプラムは初めて自分の口で喋り、名前を告げます。それがシラルムが初めて彼女の名前を知った瞬間でした。

そう遠くない未来に彼女は心を取り戻します。そしてシラルムは新たな仲間と出会い、「ミルリーフ事件」に挑むのです。






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