「魔法戦士リウイ1」 作:水野良 出版社:富士見書房
★はじめに
私がこの「魔法戦士リウイ」を読み始めたのは割りと遅いです。フォーセリア全体で見れば一番遅いといえます。
初めて世に出たリウイはSWの一つの作品としての「剣の国の魔法戦士」でした。当時はSW自体がまだ黎明期とも言えました。
それがやがて半ば独立したシリーズとなります。私が初めて読んだのははそのシリーズとして確立された「魔法戦士リウイ」でした。
しかし最初にリウイを知った頃は「剣の国の魔法戦士」を詳しく読んでいなかったので、時間関係がよく分かりませんでした。
最初に出た「剣の国の魔法戦士」はシリーズ全体として見れば第二部にあたります。でもこの「魔法戦士リウイ」は第一部です。
時間を遡って過去の話を語っているということを最初知らなかったんです。後に出た作品が必ずしも続きであるとは限らない。
「剣の国の魔法戦士」の主人公がリウイであることを中途半端に知っていただけに混乱しました。どういう関係なんだろう?と。
未来の作品であり先に出版されていた「剣の国の魔法戦士」ですが、忠実にそっちから読んでてもそれなりに謎ができたと思う。
例えばアイラの存在。これほど濃いキャラが未来の話で何故出なかったのか?。それは第1部が完結するまで分かりませんしね。
未来を知ればこそ過去の話がそれに繋がるか気になる。ロードス島伝説がどうやって英雄戦争の時代まで繋がるか気になるようなものです。
水野先生は「伝説」のあとがきで「伝説」を「戦記」のパラレルにしてもいいと仰ってましたし。多分この話もパラレルかと訝しんだでしょう。
この『リウイ・サーガ』は水野先生のシリーズ全体で見ても、単独の主人公によるものとしては歴代最長の作品です。
そして20年以上に渡る『フォーセリア・サーガ』のフィナーレを飾る事にもなる、極めて重要な作品でもあります。
当サイトでは整理し易いように時系列に沿ってリウイのレビューを並べていますが、その順に読まねばならない理由はありません。
出版順に読もうが、時系列順に読もうが、好奇心で取捨選択しようが。大切な事は結果としてそのシリーズを楽しむ事だと思います。
★1
物語は"竜殺し"の英雄王リジャールの興した"剣の国"オーファン、その首都であるファンの街を主な舞台に展開します。
オーファン新興の王国であり、冒険者達のメッカとして知られます。詳細は「ソード・ワールドRPGツアー1 オーファン」を参照。
年号で言えば新王国暦520年の春先から初夏であろうと思います。ワールドガイドでお馴染みのラヴェルナたち諸国行脚隊がまだ旅路にある。
当シリーズの主役であるリウイは今年19歳になる筋骨逞しい青年です。現在正魔術師として魔術師ギルドに在籍しています。
冒頭では10年来の知り合いである4人の同期生と共に、正魔術師になったお祝いで酒場でエールのジョッキを交わしていました。
魔術の研究を行う魔術師ギルドは魔術師の育成も行っています。しかし現在ギルドに残るリウイの同期生はなんとこの4人だけ!
リウイは正魔術師として認められたのが一番最後になってしまいました。でも同期の9割以上は脱落してるんだから、大したもんだと思う。
入るまではコネと金だけど入った後は実力です。詳しい事は後に「ソードワールド サポート」で解説されています。
オーファン魔術師ギルドでは古代語魔法を発動させられて初めて正規の魔術師(多分、見習い)として認められます。
この際発動体である杖とマナ・ライの教本を授かります。その教本を修めれば"古代魔術書の授与"を経て本物の古代の魔術書が与えられる。
そうなれば正魔術師として担当の導師がつき、研究も出来ます。多分他国の魔術師ギルドもこれと似たようなシステムだと思います。
ラムリアースの賢者の学院を除けば、大陸中の全ての魔術師ギルドはオラン魔術師ギルドのマナ・ライの弟子が起こした姉妹校だし。
またリウイは、10レベル魔術師にして大陸全体から見ても有数の魔術師である"偉大なる"カーウェスの養子です。
カーウェスは昔リジャールと共に邪竜クリシュと戦った魔術師であり、現在のオーファン魔術師ギルドの最高導師でもあります。
しかし幼いリウイにホムンクルスや魔法の玩具を与える点、養父として何かがズレている。ていうか学研の教材についてそう。
無論血の繋がりはありません。一気にネタバレをして結論に行くと、リウイはリジャールの妾腹の王子ですからね。
妾腹、つまりは妾の子であり正妻の子供ではない庶子なんです。とはいえ王の血を引いてる限りは王位継承権も持ち得ます。
本人が望もうが望むまいが派閥が出来てしまう。それ故戦士として類まれな体格を持ちながら、魔術師として育てられたんです。
ところがそれが彼に正体不明のジレンマを植えつけてる。今のリウイは彼自身にも正体の分からない不完全燃焼感を引きずっているのです。
実際勿体無い素質です。大陸最強と言われるオーファンの「鉄の槍騎士団」ですら稀有な体格を持ちながら、その才能を遊ばせてるのだから。
あとここでの「魔術師は皆カストゥールの人間の血を引いてる」という話は勿論デタラメです。
カストゥール人(と言うべきか)も今の人間も、種族としての違いはあっても基本的には同じ人間ですから。
魔術の素養というのは血筋に関係なく使える人は使えます。"荒野の大賢者"ウォートによれば、おおよそ5人に1人。
まぁ「きわめて才能ある魔術師はカストゥール人との血縁がある」と考えることもできるかもしれませんけど。
リウイがカーウェス爺さんから貰ったのは基本魔術の本です。古代語魔法は10の系統(ブランチ)に分かれます。
そしてその10の系統を著した事こそが魔術師ギルドの開祖マナ・ライの最大の偉業だそうです。
別に彼が作った訳ではなく、カストゥール王国の時代にもあった概念です。それが一時失われ、マナ・ライはそれを再発見したのです。
単に魔術師ギルドを立てたり、高位の魔法を習得するだけでは所詮自分だけしか研究ははかどりません。
マナ・ライなくして今日のように魔術師たちの存在が認められる事はなかったでしょう。魔術師たちもやや社交的になったもんです。
基本魔術はそのまま、魔術の基礎。スポーツで言うところの走りこみや筋トレです。多分魔力の制御とかでしょうか。
具体的にどんな魔法があるかといえば、"カウンター・マジック"、"センス・マジック"、"ディスペル・マジック"なんてのがあります。
凄いのになると"ディスペル・オーダー"や"コマンド・ゴーレム"なんてのもあります。クリスタニアRPGの"ロア"という魔法もそうです。
これはSWRPGでいうところの"アナライズ・エンチャントメント"にあたるでしょう。そこからこの魔法も基本魔術かと予想できます。
でもリウイの気持ちも分かります。基本魔術はいまいち地味だし華がない。普段使える拡大魔術の方が魅力的ではあります。
拡大魔術は"フィジカル・エンチャント"、"タング"、"ヘイスト"、"シースルー"みたいに身体能力の向上です。
"テレポート"とか"ビジョン"も羨ましい限り、夢溢れる魔法ばかりでドーピングし放題。
こうやってみると某ネコ型ロボットみたい。死霊魔術とか創生魔術とかも凄いんですけど、気味悪いですし。
色々あって筋力20のリウイは無理やり型に納まっています。そこで憧れるのが冒険者、物語で聞くような甘いものではない。
でもそんなハードボイルドな世界こそ彼がもっとも生き生き出来るところです。それはもう水を得た魚状態に。
「抗竜雲雨あらば、終に地中の者にあらず」(漢字は微妙)という言葉があります。
抗竜という竜は普段こそ地べたを這いつくばっているが一度雨雲があれば空に駆け上り、悠々と泳ぐ。
つまり、本当に才を持っている者はその機会に恵まれれば花開くものだ。リウイはまさに抗竜であったと思います。
★2
酒宴も終わってお開きです。ベロンベロンに酔っ払った他の4人と違ってまだまだ元気なリウイ。
流石は生命力が22で抵抗力+3なだけはあります。実際リウイはこの辺の常連です。夜の帝王です。
それも何かを満たす為だったのでしょう。そうして日々夜の街を遊び歩き、"女殺し"とまで言われる程になりました。
その日もいつもと同じように歓楽街を闊歩するリウイでしたが、彼は運命に導かれるようにケンカの現場に遭遇します。
そんな時に「血が騒ぐ」ということは乱入して完全に鎮圧しちゃうタイプなんでしょうね。鬱憤をケンカで晴らしている節もあるし。
しかしそれが彼の岐路でした……。運命の分かれ道というのは、振り返ってみれば確かにあるんですね。これで彼の運命が動き出すのです。
そこでケンカしていたのは2人の騎士見習いと、後の仲間となる3人の女性女戦士ジーニ、マイリー神官メリッサ、盗賊のミレルでした。
騎士見習い程度では彼女達のような中堅冒険者には勝てないでしょうね。誰かが助けないと危ない、見習いが!(笑)
どうしようかと悩んでいるとこに衛視がきてしまいます。オーファンは新興の王国、こういったケンカ沙汰には治安維持の為警戒します。
ケンカなんかしてたらしょっ引かれて留置所行きでしょう。そこでリウイはなんと見習いとジーニをぶん殴ります!
リウイ「歯ぁ食いしばれやぁぁぁぁ!!!」
ビターン!!見習いA「ぐあっ!」
ビターン!!見習いB「ぐっっ!?」
ビタンビタ〜ン!!ジーニ「ガハッッ!・・・ってなんで私だけ往復なんだ!」
てな具合でジーニは一発で壁までふっ飛びます、凄いなリウイ。ミレルのローキックも足の筋肉で跳ね返します!
こんなマッチョマンな主人公もたまにはいいか。同じマッチョでもベルドとは毛色が違いますがね。ベルドは手加減しない人ですし。
こうしてリウイはジーニ達を逃がし、衛視には見習いを殴ったのは自分であると主張し、留置所へブチ込まれます。
ちなみに騎士見習いは貴族の家系なのでノータッチです。下手に触れると後が怖いし。役人なんてものは一切の責任問題に弱い。
当然そういう権力に弱い役人ですから、宮廷魔術師でもあるある養父カーウェスの名前を出せばアッサリと釈放してくれますけどね。
しかし開始直後にいきなりパクられる主人公というのもオツなものです。これが後に勇者になるんだから運命とは本当に奇妙なものです。
後にカーウェス爺さんはリウイがブタ箱にぶち込まれた事よりも、リジャールと会ってなかったかをひたすら心配しました。
会ったからって何がどうなるというわけでもなさそうですけど、なにがどう発展するか分からないのがリウイという男です。
そして帰り道に例の3人娘に待ち伏せされます。リウイの目にも一目で分かる「彼女たちは冒険者、そして怒ってる」と。
でも葬式代は出さなくて済みますよ。メリッサは戦の神マイリーからリウイこそ勇者だと啓示を受け、仲間に迎えに来たのだから。
マイリーの神官というものは自分が勇者になるか、あるいは勇者に仕えることを目指すものです。
遥かな時に名を馳せた勇者・英雄に敬意を表し、自分もまたそんな人物や事件に巡り合う事こそが理想でしょう。
ロードスのホッブ司祭なんて、その信仰に従って3人もの勇者・英雄に仕えましたしね。そんなマイリー司祭は本当に幸せでしょう。
カシュー、パーン、アシュラム様と歴史に名が残るで人物ばかりですよ。大陸のマイリー神官が見たら涎を垂らす事請け合いです。
この啓示って"ディビネーション"でしょうかね。
自分の信仰する神様にお伺いを立てるという使えるんだから使えないんだかよく分からない能力です。まぁ基本GMの為にある能力です。
でもメリッサとしては不可解です。今世紀最大のブラック・ユーモアです。こんな筋肉魔術師の何処が勇者なのか?
気持ちは分かる、よく分かる。でも勇者なんてものは騎士道精神に溢れる人格者とは限りませんし。
しかし勇壮なるマイリーがそういった以上、そうなんですよ。現にリウイは大陸どころか世界の運命を握る冒険に出ますしね。
そしてメリッサがリウイに仕えるなら、ジーニとミレルも自動的についてきます。今ここにオーファン一仲の悪いパーティー結成!
★1
あれから十日、リウイはいよいよ冒険に出る為、ミレルたちに郊外の物置に呼び出されます。
いきなり呼び出し食らうんだから、リンチにでもされるのかと心配になった。ここは何処の不良高校だ。
それはそうと郊外の物置って家賃は普通の宿代と比べてどうなんでしょうね。備品も置いてるそうなんですけど、わざわざ借りるほどかな?
まぁ後々冒険でゲットしたマジックアイテムの隠し場所になるんで結果オーライかな。やっぱり拠点があると最終的には便利かも。
リウイはミレルが来るまでジーニに稽古をつけてもらう訳ですが、稽古というよりこれはイジメに近い。アリド族(ジーニの出身)は皆こうなのか。
さり気なく悪意も感じるけど。ジーニはこの時点では本気でリウイを強くしようとは思ってないでしょうからね。
「剣の〜」の時点でジーニは戦士レベルが6あります。この時点では幾らか低いでしょうが、恐らくは5レベルはあると思う。
それとジーニって西方語は喋れないんですよね。「剣の〜」のデータを見ると、ジーニは共通語と北方蛮族語しか喋れません。
ヤスガルン山脈に住むジーニたちの部族であるアリド族で使われているんでしょう。でもそれはアリド族だけかな?。他の部族もいるけど。
新リプレイのスゲーナ(ヤムヤル)もヤスガルンの部族出身ですが、アリド族ではなかったですし。まぁ昔の設定ですからね。
結局北方蛮族語とはどういう定義でいっているのか不明です。もしかしたら部族ごとに言葉は違って、それらをあわせて北方蛮族語かも。
ジーニは何だかんだで屈強の戦士です。いくらアメフト選手ばりのマッチョマンとはいえ、ド素人のリウイが剣で叶うはずも無い。
稽古の相手どころかサンドバックの方がまだマシって感じですか、頑張ってはいるだけに切ない。
でも根性入れて繰り出した拳は何故か当たる。このジーニの吹っ飛び方からいって、結構な破壊力です。相当なハードパンチャーです。
SWでは逆腕で攻撃するだけなら攻撃力に−2の修正となります。両手で同時攻撃する時は。利き腕−2の逆腕−4の修正になります。
このときリウイは右腕は剣、左腕は素手で攻撃しているとみなすべきでしょうね。同格、あるいは各上の相手にこの修正は結構厳しい。
ジーニが1ゾロでも振ったか、あるいはリウイが6ゾロでも振ったかのように、リウイの拳は確実に当たる。これは以後も続くセオリーです。
不思議不思議なリウイの拳、拳の方が剣を振るう時より強いんじゃないかと思います。……本当に魔術師なのかこいつは(苦笑)
こうしてリウイは非常に殺伐とした汗を流しました。メリッサはそんな勇者様の姿に凄い不安げ。
あと「コボルドの巣に踏み入る」とか「コボルドの巣穴を覗いた」とか、そういったことわざってあるのか。
踏み入る、という方は「清水の舞台から飛び降りる」みたいなものかな?。いっそそのまま墜落死でもすれば楽になるものを。
ちなみに清水の舞台じゃ江戸時代では自殺の名所だったそうです。人が確実に転落死するには20メートルは必要らしい。
でも、清水の舞台は13メートルほどしかないので大怪我するだけ。確率にして約15パーセント程で死ぬそうです。全くもって不吉です。
当時は運試しに飛び降りる人もいたそうです。SWに換算すると、20メートルは60点ダメージ、13メートルは39点ダメージです。
SWなら13メートルでも十分死ねそうですけどね。特に盗賊ならともかく、一般人は10メートルも要らずに死んでしまいそうです。
なおシーフ技能の持ち主ならかなりダメージが減らせます。落下した高さから盗賊レベル+敏捷度ボーナスを引いて計算できるのです。
バブリーズのパラサを例にすれば、シーフ技能8レベル+敏捷度ボーナス4で12を引けます。20mでも8mで済みますね。
すると24点ダメージ、冒険者レベルを引いて16点、鎧も考えれば致命傷にはなりませんね。即死はないでしょう。痛い事に変わりはないけど。
それぐらい思い切って、半ばヤケッパチでリウイを勇者としたわけですけど、メリッサにとってみたらイチかバチかどころか、既にバチです。
メリッサは3度も"キュアー・ウーンズ"に失敗したらしい、1ゾロ連発ってことですかね?
迷いがあると成功しない、そんなこともあるかもしれませんね。でも従者が自分の仕える勇者様の傷を治せないって結構深刻だと思いますよ。
特に神聖魔法は神と信仰心に依存している分デリケートっぽいですから。でも3回って酷くない?(苦笑)
気分も悪くなったというのは精神力の限界なのか。それともリウイを治すと思っただけで具合が悪くなったのかな?(笑)
メリッサもまたお嬢様なだけにデリケートっぽい。ちなみにメリッサの精神力は14、冒険者の平均値ではあります。
この時点でメリッサが何レベルかはわかりませんが、1レベルでもない限り3回で精神力が底をつくことはないとおもいます。
ここで三人娘にならに重要キャラなアイラ登場です。リウイにとっては幼馴染のグラマーな眼鏡っ子です。趣味はマジックアイテム収集。
オーファン一の商会アウザール商会のお嬢さんでもあります。何なんでしょうねこの世の男性が羨む関係は(笑)
冒頭の酒宴でもいましたしね。堂々と全裸のリウイに近づいてくる辺り、姉弟よりも親しげです。ていうか最早恋人級?
リウイも真裸でも平気らしいし、この世界ではそれほど恥ずかしくは無いそうですけど、それにだって限度があると思う。
ここでアイラの取り出したものは"四つの眼"という眼鏡型アイテムであり、付与者はカストゥールの名門付与魔術師シェラル・ル・フェイン。
このアイテムには4つの魔力が付与されています。"視力拡大"、"暗視"、"透視"、そして"邪眼"の4つの魔力です。
"視力拡大"は通常レンズで発揮する魔力で、自由に調節できる"ビジョン"といったところでしょう。まだ本来の眼鏡の能力に近い。
"暗視"の黒いレンズと"透視"の赤いレンズは"シースルー"ですかね。この魔法には暗視と透視の両方の力があるのです。
そして最後の"邪眼"というのは視線で相手を殺すという凶悪極まりないもの。本来なら所持することすら許されないようなアイテムでしょう。
しかし通常状態が普通の"ビジョン"では、何キロも先が見えてしまって不便です。
アフリカ人の中には視力4.0の人もいるといいます。どれくらい凄いかといえば、視力検査を21メートルの距離からできるらしい。
ビジョンは視力に換算すると一体いくつになるのか。10.0とか?。流石に視力2.0とかに調整できるとは思いますが。
ていうか"邪眼"ってアンタ、本当ならアイラの導師であるファイエットの管理する"禁断の宝物庫"行きの品です。
そんなヤバイものを普通に所持するとは、流石はマッドマジックアイテムコレクター……。なんか放っといていいのかな?
ちなみにシェラルは呪いで感覚を五感全部を失ったそうです。視覚、聴覚、味覚を失ったナイチンゲール以上の五重苦ですよ。
どうやって魔術を修めたんだろう。感覚を補う拡大魔術とかを使って意思疎通は出来たんだろうか?
ていうか意識しか残っていない状態ですね。それは苦しかったでしょう。まるで乙女座の聖闘士の天舞宝輪を食らったかのように。
最終的に第六感まで消されてセブン・センシズに目覚めるとか。そうなればある意味魔術師として新たな領域に到達できるかも。
しかし彼女は今後のリウイの良い後援者(パトロン)になるでしょう。何しろ彼女は大金持ちですからね。
今後見つけるであろう数々のマジックアイテムのいい引取り手になるでしょう。金は出す、これならミレルは引っ付きますね。
★3
オーファンの国教はマイリーです。リジャールの冒険仲間の"剣の姫"ジェニがいるからでしょうね。
今年45歳になるプリースト10レベルのマイリー最高司祭です。中原のだそうですけど、他にもいるんだろうか?
こういった教団では最高司祭と言っても世界全体で見れば複数存在します。例えばロードスではモス地方にマイリーの最高司祭がいるらしい。
アレクラストのように広ければ、同じ大陸でも複数最高司祭がいてもおかしくない。ファリスの場合東西に2人、マイリーはどうなんだろう?
一応中原以外には、北東、極東、オラン、西部諸国とかが地域としてあるかと思います。
オランと北東、極東は東として考えて、西部諸国もまた別と考えれば3人になっちゃいますね。
でもジェニが西方も兼ねてるとしたら西方の最高司祭と書かれそうです。あながち本当に3人いたりして。
祈りを捧げるメリッサはジェニおばさんに思うところをぶちまけます。
確かにあの筋肉魔術師が勇者になるというのは信じがたいでしょうよ。でもメリッサの場合リアクションが過剰です、ヒステリック過ぎる。
メリッサは勇者に対して幻想を抱いている。物語に出てくる勇者に憧れているのですが、そういったものは美化された勇者です。
やったことは偉業かもしれませんが、だからといって現実の勇者が神の如く人格者であるはずがない。勇者だって人間なのですから。
男に対しても似たようなものです。集団の印象がそのまま個人の性格という訳ではないのは何だってそうです。
世の中にはサッカーの嫌いなブラジル人もいるでしょう。人見知りするイタリア人もいるでしょう。男性が全て汚らわしい訳じゃない。
つまりメリッサは勇者に幻想を抱き、同時にそういう勇者を理想の男性としている訳です。だから現実(リウイ)とのギャップに苦しんでる。
ジェニおばさんの「抱かれてみろ」発言はメリッサには刺激が強すぎたかな?。でも一皮剥けるべきですよね、人間的にも、聖職者としても。
しかしメリッサのおかげで若い男が寄進をしてくれるそうです。だからちょっと放置して利用している感もあります。
それでいいのかって気もしますけどね。これじゃ若い娘が売りのお店じゃないですか。そんなんでいいのかマイリー教団(苦笑)
メリッサはジェニのように本物の勇者に仕えたいとかいってますけど、ジェニはリジャールに仕えろなんて神託は授かってないです。
リジャールは強引にジェニとカーウェスを仲間に引き込んだんです。その他凄まじい勢いで幾つもの武功を立てて王になりました。
ジェニが独身で通したのも、リジャールという常識ハズレの男と関わってしまったせいらしい。
あんなにインパクトが強い男の前じゃ普通の人には興味も湧かないでしょうね。剣に対しても女に対しても、リジャールは勇者です。
リウイが勇者だというのはジェニにとって初耳なようです。そりゃあ驚く、何しろリジャールの血を引いている子が神託の勇者なのだから。
あまりにも出来すぎていて運命と考えたくもなります。同時に次の世代の大変動の主役こそはリウイやメリッサのような若者です。
ジェニとしてはその中心に居られないのが残念でしょう。いくつになっても大冒険への血の高まりは湧いてくるものです。
★4〜8
いよいよリウイの初冒険です。ミレルが盗賊ギルドで5000ガメルで買った冒険のための情報、これがとんだパチ情報なんですよね(苦笑)
5000も出しといて思いっきり損をする冒険、そんなこともよくあるもんですね。冒険なんて宝くじみたいなもんだし。
ところでオーファン盗賊ギルドの符丁というのは面白い。これってオーファンだけですかね。多分他のギルドにも似たようなものがあるでしょうが。
"兎"は娼婦、"猫"はスリ、"蛇"は暗殺者、"穴熊"は冒険者、"狐"は詐欺師、鼠は"情報屋"、"犬"は密偵ってワクワク動物王国か。
ちなみにリウイはファンからはじめて出るそうですね。国を指してるんじゃなくて、街を指してるんですよ。
今までの人生で一度も街の外へ出たことないっていうのは普通の事なのか。あるいはカーウェス爺さんの差し金か?
中世欧州では街の外は無法地帯。街道も整備されておらず、行商人や巡礼者以外が出る事は殆どなかったといいます。
しかしアレクラストでは結構街道が整備されているし、人の行き来も盛んです。国外はともかく、街から出た事もないというのは珍しいかも。
目的の遺跡までは王都から5日。街道に近くて既に荒らされてるけど、実は地下に取りこぼしがある灯台下暗しな遺跡ですね。
「誰も開けたことのない扉」とはなんて魅力的な言葉でしょう。秘密の扉を開くなんて冒険心をくすぐるでしょうね。
その為なら使いっぱしりとして大量の瓦礫の撤去に従事するリウイも少しは気が楽かな。早速冒険の役に立ったじゃないですか(笑)
あとリウイがさり気なく遺失魔法の"ディクリース・ウェイト"使ってるんですが、オーファンでは遺失ではないらしい。
一応"ディクリース・ウェイト"は基本消費精神力が3、リウイのレベルによっては何度か使えます。
リウイの精神力は18なんで1レベルなら6回、2レベルなら9回、3レベルなら18回程で倒れます(笑)
しかしこんな筋肉マンが動かせない石という事は云10s、下手すれば100s超えるかもしれません。最早岩です。
重さが1割減るだけですから、100キロだと90キロ、90キロだと81キロになります。筋力20でもちょっとキツイでしょう。
ジーニが交代しようとしても男の仕事だとつっぱねますけど、ジーニにとったらそれが嫌なんでしょうね。
だったら始めから手伝えって感じですがね。リウイ1人を働かせるのも嫌ってるのも、リウイが大嫌いな男だからでしょう?
もしも女だったら1人でやらせやしませんし、女への差別とやらは許さないくせに男は平気で差別する。
またミレルにとってみたら、このパーティーは家みたいなもんなんです。リウイがその妨げになろうものなら殺るつもりです。
仲間に殺意を抱かれるなんて、ここまで不幸な出だしの主人公はそうそういない。リウイじゃなかったら胃に穴が空くのも時間の問題。
ようやく瓦礫がどけ終わればミレルの出番です。ミレルは水の染み込み具合で扉の輪郭をハッキリさせるなんていう盗賊テクを使ってます。
水野先生の書かれるこういった技術って史実には関係あるんですかね。盗賊というか、最早考古学の発掘作業っぽいですが。
ゲームではサイコロ振るだけの探索ですが、実際のキャラは見事な技術を披露してるんでしょうね。
そしてリウイの"アンロック"で扉は簡単に開きます。こんな大掛かりな機械的構造でも開くのは便利、ただ閂(かんぬき)とかには無力です。
遺跡に侵入する際の隊列では、リウイはあの"四つの眼"の"暗視"の効果を使って最後尾を歩きます。
まったくの素人を後ろに歩かせるのも危ない気がしますけど。眼鏡をかけたその姿はどこか情けない。
やがてジーニはレンジャー技能で腐敗臭と獣の匂いを感知(受身ってことね)し、ミレルとリウイが後ろへ移動します。
リウイは魔法が打ち止めですから、いざという時はジーニが戦って、メリッサは援護かな。4人パーティーじゃ戦力面で心配です。
奥には扉があります。しかしリウイは入り口になっている階段脇にもう一つ扉を発見、しかもあっさり開けた!
なんて無茶な、こういう時は仲間に知らせなって。これで巨大なモーニングスターに頭を割られたら笑えない。いや笑えるけど(どっちだ)。
扉の向こうには大量のゴブリンズが犇いていました。ここから乱戦ではなく乱闘へ突入します、カラーページの挿絵です。
私は初めて見ましたよ、ゴブリンの群れに飛び込んで杖を叩き折りつつ素手でゴブリンを撲殺する魔術師(遠い目)。
それは知識を尊ぶ魔術師の話かい?。それとも何処ぞの蛮族の話かい?。いや蛮族だってせめて道具道具ぐらい使うでしょうに。
かくして、ゴブリンは全滅しました。ゴブリンが入れるくらいですからきっと別経路で入った冒険者に荒らされているんでしょう。
4500ガメル払って収穫は全くなし!。ミレルたちにとってみたら厄日ですけど、リウイにとったら十分面白い冒険でした。
★1
ものの見事に杖を折ってしまったリウイ。発動体がなくても魔法は使えることには使えます。
でもその時には魔力に−2の修正を受けた上、2Dの目が4以下で自動的失敗となります。
そんな大変な状況なのに部屋でせっせと筋トレに勤しむ我等がリウイ。まったく……すっかり歩くヘルスセンターですね(笑)
ちなみに彼らの使う杖は、500年以上を経た古木に三日がかりの儀式で魔法をかけて作られます。古木というのがいかにも魔術師っぽいです。
当然古木だから非常に硬い。メイジ・スタッフの打撃力が「必要筋力 + 5」という程の硬度ですから、ちょっとした凶器になります。
ちなみに別に古木を使わなくても、6レベルの古代語魔法"クリエイト・デバイス"をかけてやれば大抵のものは発動体になりますよ。
必要な条件は「均質な一本の棒状なもの」あるいは「指の動きを阻害しないもの」です。指輪や腕輪、手袋や剣も発動体になります。
でもなんで三日の儀式なんだろう?"クリエイト・デバイス"は非解除に属する魔法です。
"パーフェクト・キャンセレーション"を除けば解除は不可能です。儀式で達成値を上げて解除出来ないようにするという解釈もない。
かけようとおもえば儀式なんて要らないし、その場でかけられますし、多分それなりの強度にもなる。
この際指輪かなんかを発動体にしてしまったほうが早い気がする。いや、でも正魔術師の身分でそれはマズイのかな……。
しかしリウイは細かい事は気にしない。発動体の材料となる古木を探しに"争いの森"ターシャスへ行くことになります。
ターシャスは古来より妖精と妖魔が熾烈な争いを繰り広げています。具体的にはエルフとゴブリンですね。
リウイ1人じゃベリーベリーデンジャラスな所です。生きて帰れる保障はない。それでも行くしかないのです。
冒険者として、魔術師として、どうしても発動体が必要です。何よりも怒ったカーウェス爺さんの方が怖いかもしれないし。
★2
マイリー神殿では涙ながらにリウイの出来の悪さを愚痴るメリッサの姿がありました。ジェニおばさんもうんざりでしょうね。
協調性がない、それはむしろアンタらでしょう、手伝わないし。自分勝手、あんたもそうでしょう。
わざわざ裸に、一人でやれば汗の一つもかきます。冒険者が上半身裸程度でうろたえてるんじゃありません。
しかしジェニおばさんってけっこうナルシスト?美しさが必要ってあんたはユダか!。お前の血で化粧がしたい!とか。
こう見えてジェニおばさんは元踊り子です。ロードスの炎の部族より伝わった情熱的で惚れ惚れするような踊りを得意としました。
それにしても凄い従者ですね。こんなに自分勝手で相手を理解しようとしない従者は初めて見ました。
こんだけされて文句一つ言わないリウイは、実はとっても懐の深い男なのかもしれない。でももっと怒っても良いと思う。
一方ミレルも情報屋サムス相手に筋肉魔術師の話題で盛り上がってました。
結局カス情報を売った事になったせいか、リウイについて面白い情報を教えてくれます。
その情報とは「何もない」という情報です。ズッコケそうですけど、これって凄いことですよ。
盗賊ギルドの情報網を持ってしても両親や生まれが分からない、それが何を指し示しているのか?
それを探る代わりにサムスから200ガメルほどの宝石を手付けとして貰います。
情報を探ることへの手付けで200っていうのはなかなか高いような気がします。
まぁ触れてはならないモノだったとしたら、このヤマに首を突っ込む事自体が高い代価を払うことになるんですけど。
また一方ジーニは、元傭兵仲間にして現オーファン近衛騎士バーブと酒をかっくらってました。
新興の王国だからこそ余所者でも腕のいいバーブは近衛騎士なんていう重職につけたんですね。普通の国は家柄で選ばれますからね。
オーファン騎士団が大陸最強と噂されるのも身分を問わずに人を集めたからでしょう。新興の王国ではそうせざるを得なかったのです。
そうでなければ8レベル戦士なんて希少な人材であるローンダミスも近衛騎士にはなれなかったわけですし。
まぁローンダミスの場合は最初から家臣になろうとしたわけでなく、大会に乱入した結果リジャールに命を助けられ召抱えられた訳ですけど。
★3・4
街に繰り出したアイラとリウイはジーニたち3人と相席する事にしました。リウイにとったら店選びで1ゾロ振ったような気分でしょうね。
こんな白けたようであり、無言の罵声が飛んでいるような状況は見ていて辛い。
きっとクリスタニアの沈黙の民がいたら"声なき声"が聞こえたでしょう。それはもう聞くに堪えない罵詈雑言を。
気まずい雰囲気の中お食事会は続き、杖の話題へ。ターシャスの森はやはり危険な場所である、という認識が強いようですね。
でも「一緒に行ってやる」なんて奇特なことをいうジーニたちじゃないです。それができたらこうも苦労はしません。
そんな皆へジャパネット・アイラの面白アイテム紹介です。冒険に出るリウイへの餞別です。
まずは"エルヴンマント"。森妖精であるエルフから名前を頂戴しているだけに身につけたら姿が消えます。
でも音や匂いは消えない辺り、"コンシール・セルフ"ではなく、精霊魔法の"インビジビリティ"ですね。
でも実際の"インビジビリティ"は集中を続ける必要がありますけど、これは多分全力で移動していようとも効果あります。
もう一つは名称不明の二本の棒。片方を地面に刺すと、もう片方は何処にあっても刺さってる方を指す。
でも棒のどちらが相方を指しているか?という目印がついていないので確率1/2。どっちか北か分からない方位磁石のようなもの。
自分で印をつけても棒のどっち側が目標を指すかは毎回ランダムなので無意味。この辺から怪しくなってきました。
最後は"妖魔の呼び子"。そのまんまこの笛を吹けば妖魔が寄ってきて戦闘に入れます!。何処のコンピューターRPGのアイテムだ。
ターシャスで使ったらさぞたくさんのゴブリンが来るでしょうね。でも、ゴブリン退治の依頼なら使えないことはないですよね?
微妙に使い勝手が悪いアイテムばかりです。これならいっそアイラの"四つの眼"を借りた方が良さそうです。
そしてアイラはトドメの一言を放ちます。「その場にはいない人間より、確実に役に立つと思うけど」
……言っちゃったよ、これじゃジーニたちが黙ってない。アイラとリウイがそそくさと帰った後、3人は2人を語彙の限りなじります。
そりゃあ怒るよね。そんな3人をちょっとナンパしてみせた男衆、君たちは既に死んでいる。きっと彼らの頭上には死兆星が(笑)
かくして意図したかどうかは別として、アイラの計略により3人もリウイと一緒についていくことになりました。
あれほどついていくといって聞かなかったアイラがアッサリ引き下がった所を見るとやっぱり確信犯です。
★1
"争いの森"ターシャスに樹齢500年の古木を採りにきたリウイたちですが、さっそく捕まってます。
いやはや期待を裏切らない男ですねリウイ、天然のエンターテイナー。その経緯も面白カッコイイです、それはもう突っ込みようがない程に。
リウイは古木を切ったという罪でエルフ娘セレシアにまんまと騙されて集落に拉致監禁、現在に至る。……何やねんこいつら(溜息)。
古木を切った時、彼らはエルフ語を聞きました。しかしこのメンバーにはエルフ語を話せるバイリンガルな人間はいなかったりします。
博識であるはずの魔術師リウイも「剣の〜」の時点で話せるのは人間の言葉のみ。ていうかそもそもセージ技能は低いし。
東方語や北方蛮族語以外に話せるのは、魔術師やオーファン人として話せて当然の上位・下位の古代語と西方語、共通語です。
しかもこの時点ではまだ東方語すら覚えてません。それじゃあ異種族であるエルフさんと話せないのは当然です。当然ですが、釈然としない(苦笑)
リウイはまだ4レベルにはなってないんで、未知の言語を解する魔法"タング"で無理やり話すこともできません
リウイが唯一使えるエルフ語が「とても残念なことに、私はエルフ語を話すことができません」です。
I can't speak English!とか言って外国人から逃げる日本人旅行者か。「とても残念なことに」の辺りに紙一重のこだわりを感じます。
そういえばこの森ってダークなエルフさんもいるんですかね?
新リプレイではイリーナたちと熾烈な戦いを繰り広げてましたけど、あのダークエルフたちってこの森出身かな?
それともファンドリアの方に住むダークエルフだったのかな。黒幕はファンドリアだったようだし、そうだったのかな?
リウイは落ちたらそのまま逝ってしまう程の高い樹によじ登り枝を切ります。
こういう時こそシーフ技能を持ったミレルが行くべきだと思うんですよ、落下しても受身取れるし。
リウイは魔法は使えないことになってますから"フォーリング・コントロール"も使えません。
いっそエルフさんに狙撃してもらえば何処にいるかわかるのに(無茶言うな)。ほら、勇者と書いて下僕と読む!(読みません)
リウイは一応魔法に備えて抵抗に専念。これで抵抗に+4の修正が入りますが何処から魔法が来るかある程度意識しなければなりません。
さらにこの状態では回避に−4、狙撃されたらまずかわせません。危ない、本当に危ないよリウイ。しかも仲間は助けてくれそうにないし。
そうそうエルフの身体能力ですが、昔からずっと気になっていたことがあります。
セレシアはもちろんのことディードとかも、アニメでは風魔忍者みたいな身のこなしをみせますけど、あれゲームではできませんよね。
あの動きをゲームに適応するんなら敏捷度とかグラスランナーを数倍上回りそうです。ノミみたいに跳ねるエルフなんてカッコイイけど。
しかし特に攻撃する事無く姿を見せたセレシアは流暢な西方語(勉強家め)で説明します。リウイが切ったのは"いにしえの者の木"、要は墓です。
この森のエルフは土葬というか、木葬というか。死んだら土に埋めてその上に苗を植えるそうです。なかなか興味深い風習です。
この大木が育つ年月を考えると、いったい何千年前のエルフなんでしょう。そのエルフの身体の輪郭で草が生えたら怖いですね。
ていうかここでいう古の者ってハイエルフですか?。多分この森には昔ハイエルフ達も大勢いたでしょう。
そして妖魔との戦いで命を落としていった……のかもしれない。普通のエルフの木も混ざってるんでしょうけどね。
つまりエルフさんから見たらただの墓荒らしです。ていうかセレシアもそうなる前に声をかけてくれればいいのに。
見張りとしてどうですかこの体たらく。さらに、リウイたちをハメようとするかのような集落へのお誘い。
普通は引っかからないでしょうけど、リウイはエルフに対して変な幻想を抱いてます。このエルフフェチめ、何処まで面白いんだ。
しかしリウイもまだ青いですね。世の中には"白いダークエルフ"とまで呼ばれたエルフもいるんですよ。まぁ水野先生がそのエルフ本人ですが。
ここでリウイがそのエルフへの感想が気になります。
リウイ「集落から追放されたんだろ」
・・・・・もしかして、スイフリーって追放されたの?
スイフリー「いや、自主的に出てきただけだ!」
とご本人は言ってます(言ってない)。
無知さとアホさの同居したアダルトエルフフェチのおかげで、リウイたちはエルフさんに監禁されるという貴重な体験ができました。
まったく、リウイが余計な事をしてくれやがったおかげです。仲間も大概だと思いましたが、リウイも大概ですよね。駄目だコイツら。
★2
こうして監禁状態になったリウイ達でしたが、そんなに厳重な警戒ではありません。だって普通の丸太小屋だし。
所詮木ならメリッサが"フォース"を乱発すれば出れそうです。でもなんかスマートじゃないですね。
リウイが発動体無しで魔法が使えたら、"ディンダー"で小屋を……いや、放火は駄目です。ていうか脱出する前に煙に巻かれて死ぬかも。
しかしこれはエルフ的にはどれぐらいの罪になるのか?歴史的にも民族的にも貴重な遺産を傷つけられたし、保守的なエルフとしては罪は重そう。
禁固刑で済まそうというのは甘そうです。かといって、情状酌量の余地もあります。見張りは何度も機会があったのに声をかけなかったし。
リウイ自身にもには悪意はありませんでした。エルフの価値観を人間に押し付けるのも問題です。敢えて言うなら無知なのが罪。
しかし、郷に入っては郷に従え、とも言います。う〜ファリス様この世界に「治外法権」という概念をください!(笑)
リウイたちは外国元首でも外交官でも外交使節でもないですけどね。いやリウイはギリOKかな、一応王家の人間だし(本人は知らず)。
妖魔なら話す余地無しに斬首で「いくかね?ポトリと……」かもしれない。いやいや貼り付けにして"シンク"で水に沈めるとか。
やぐらを組んで"ファイアストーム"で盛大に燃やすとか。"シュートアロー"で狙い撃ちにするとか。
"スピリット・ウォール・サラマンダー"へ突っ込ませるとか。なんて野蛮なんだエルフ(んなこたぁない by.タモリ)!
普通ならこのまま静かに奇跡を祈るだけですね。そのまま"バカ喜びの野"に逝くのを待つだけかもしれません。
しかし!、リウイたちは普通の人間じゃないです。こういうときに信じられない発想をするのがリウイという生き物です。
きっと"迷探偵判定"でもできるんですね。困った時は必ず妙案が浮かぶのです。ある意味デュダよりもタチが悪いですけどね。
なんと"妖魔の呼子"を使って集落に妖魔の大群を呼び寄せ、それを退治することで信用を得るという詐欺まがいのマッチポンプ。
信じられないことしますね。エルフさんにも犠牲が出ただろうに、でもそんなのもありですかね。
新リプレイのエキューだったら断固反対したでしょうけど。それはそれ、アダルトエルフフェチなリウイはその辺割り切れます。
古木も小枝つきで貰えましたし、ターシャスの森でWANTED!になる事も避けられた。こういう裏技的な解決法にスイフリーの影が見える。
★1
お昼時のファンの街を馬に乗って闊歩するラムリアースの騎士コンラッド。彼こそはメリッサの婚約者です。
挿絵を見ても分かるとおり、まるで役者のような人です。肌は新雪のように白かったりと本当に男なのか?と疑ってしまう程。
一角印のユニコーンはラムリアースの象徴です。「魔法戦士リウイ0」を見れば分かりますが、黙ってればいい男なんですけどね(苦笑)
そんな彼と店で相席した時から、今回のリウイの災難は始まります。しかしローブを着たリウイとは珍しい。ていうか似合わない。
現在自称自由騎士のコンラッドですが、アシュラム様じゃないですけど、やはり真の自由騎士とは言い難いですね。
アイラ曰く「自意識過剰」「精神的な露出狂」。自分の今の身の上を主張したくてしょうがない。要はバカですね(笑)
しかし中身とは裏腹に、見た目だけは本当に立派なものです。アイラの鑑定眼によれば、装備品は一級品のようですし。
鎧はなんとドワーフ作のミスリル鎧!。剣は"動かざる者"エル・アライメンの作品。あのアイラが感嘆するほどの逸品なのです。
弱いくせに装備は立派、駄目貴族の典型ですね。そして盗賊に取ったら格好の獲物です。そんな彼が無事に旅ができるのには秘密がある……。
ところでこの剣は魔力の塔建設後に作られた為、塔の恩恵が得られるように黒水晶がはめられてます。
これはデザイン的に塔の建設後か前かを見極められる材料ですね。素人目にもここだけみればそれぐらいは分かる。
このままでも魔力は発揮できますけど、もしも塔が建っていたらその力は強まるんでしょうかね?
中には塔の魔力に依存しきっていて、塔がなければ魔力を発揮出来ないものもあるかもしれません。
外部からエネルギーを取り入れないと動かないなんて最早電化製品か。力を一つ所に集中させるのも考え物ですね(カーラ理論)。
ちなみに今のリウイ達が何で徹夜明けかというと、「剣の国の〜」で登場するあのフォルテス導師のせいだそうです。
廊下で談笑してたら罰として古文書の要約を作らされたそうで。少しは"仏の"ハーフェンを見習って欲しいです(笑)
多分神経質すぎるんでしょうね、フォルテスって。魔術のみを基準としている人ですし。友達も奥さんもいなさそうですね。
それはそうとリウイ達が翻訳した古文書には色々な種類があって興味深い。役立つかどうかは別として。
ゾンビーの適性なんてのは死霊魔術師の研究ノートとかかもしれません。実際にはどういう死体が適性があるんだろう?
ヘルハウンドの餌なんてのは、その辺の本屋で売ってる「子犬の育て方」みたいなものかな。餌の項目が凄い気になる。
貴族の日記……ってもう魔術師の研究対象じゃない(笑)。そういえばアンマント財宝編でも似たようなものがありましたね。
会話も終わって席を立つコンラッドでしたが、アイラは剣と鎧に分かれの挨拶をします。あくまでも剣と鎧にね。
この分だとアイラが「目の保養」といったのも、コンラッドは自分のことだ!と勘違いしてそうです。
★2
一方メリッサはマイリー神殿でメリッサ目当ての若い男に説法をしていました。
中には説法なんてまるで聞いていない人もいるんでしょうね。もうアイドルみたいなもんです。
一応マイリーは国教なんですけど勢力はどんなもんでしょうかね?。マイリー神殿自体の規模は大きいんでしょうけど、
わざわざ説法を聞きに来るほど熱心な一般信者はそんなに多くなさそうです。
そもそも建国からたった20年しか経ってないんだし、国教としての意識はそれほど普及してないんじゃないでしょうか。
いくら国が優遇してくれているとしても、マイリー自体はちょっと一般的ではないし、ファリスやマーファほど普及させるのは難しいかな。
ここで挙げられているマイリー教団の定めた勇者というのも非常に興味深いです。具体的に名前がないのが残念。
多分、リジャールはもちろんのこと、西部諸国のサーラやグラックスなんてのも入ってるんでしょうね。
あと目ぼしいのをワールドガイドより二人ほど抜粋しましょうか。
まずはラムリアース建国王アレスタス。蛮族の娘ラフィニアと共に国を興した、カストゥールの生き残りでもあります。
ヴァンブレードを持っていたという事はそれなりの家柄だったかと思います。
具体的なデータは勿論不明です。どれぐらい剣の腕がたったかすら書いてませんが、優れた策略家であったようです。
優れた知識や技術を有し、不思議な歌(ということはバード技能持ち?)を歌ったという、なかなか魅力的な人です。
リジャールみたいな剣豪として名を馳せてはいませんが、勇者といって差し支えないと思います。
もう1人はアノス建国王ファーズ。その名前が現在のアノスの首都名にもなっている、紛れもない勇者です。
生まれは不明ですが、行商人の下働き時代に護衛の戦士から剣を学び、当時隆盛を誇っていたハーム王国の傭兵として活躍。
しかしそんな自分に疑問を持ち、ファリスの教えに触れてから神聖魔法を使うまでになります。つまり神官戦士でもあった訳です。
後に剣闘士として多くの剣闘士仲間を癒し、信頼を得て退廃したハーム王国を打倒。その偉業の後に王位を捨て、新たなる戦いに身を投じました。
現代では"剣匠"ルーファスや"巨人殺し"ハーディなんてのも資格ありかと思いますけどね、実力的に。
でもルーファスはカシューとしてロードスに渡りますし、ハーディはアトンに殺されてしまいます。
この辺は歴史的な英雄性は低い気がします。そういえば「呪縛の島の魔法戦士」でもルーファスの名に反応したのはジーニでした。
もしもマイリーの定めた勇者なら、勇者オタクのメリッサが脊髄反射していたように思えます。何となく全て暗記してそうですし。
それとロードスの英雄は多分載ってないかな?ロードスのマイリー教団なら載ってそうですが、資格はありそうなのはベルドやファーン。
それとアラニア建国王カドモスやヴァリス建国王のアスナーム。時間さえ経てばパーンやカシューやレオナーも資格ありでしょう。
あんなことがなければナシェルもね。マーモ側としてはアシュラムは微妙。ベルドはマーモの皇帝でなく、六英雄としてならOKでしょう。
フレーベも資質はあるでしょうね。でも異種族まで認めるのだろうか。マイリー的には種族は問わないとは思いますけど。
そういう英雄たちと今のリウイを比べてもしょうがないです。ていうかどうしようもないです(酷)。
今勇者と呼ばれなくても将来勇者・英雄と呼ばれてばそれでいいと思う。どんな勇者・英雄だって、日の当たらない時期はあるのだから。
ところがメリッサは比較症ですね。過去の勇者・英雄達に溜息を漏らすばかりで、リウイ自身の良い所を見ようとしません。
色々と混乱して真の勇者とはなんなのか見失ってしまったんですかね。いつもは麗しいばかりの説法も、今では火が消えたようです。
「勇者とは資質であり、英雄とは結果である」という水野先生のコメントがありました。
資質とはいってもそれは能力だけでなく、その人間を全部根こそぎ含めたものです。
その人間自身が勇者と呼ばれうる「何か」を持っていれば、その人は勇者じゃないかと思うんですよ。
前回の事件の時にリウイに肩を掴まれたとき、メリッサは不快感を覚えなかったそうです
気持ち悪いという先入観なしで、ありのままのリウイの喜びを感じられた。
それならそう不快感はしないものです。赤い実はじける胸キュンであったかどうかは別としてね。
★3
そんなメリッサは露骨に変です。メリッサラブな信者たちも不審がってます。
ジーニやミレルにしてもそれは頭が痛いようです。神託により、メリッサの使命はリウイに仕えることです。
でもそのリウイが原因でメリッサは悩みに悩んでます。構造的な悪循環ですね。
リウイはリウイ、無理して変わる必要はないです。むしろメリッサが心を整理しないと今の状況は抜けられません。
リウイと関わり続ければ自然とリウイの資質に気づきます。ミレルがリウイを殺るなんてのは問題外。
そのメリッサに追い討ちをかけるように、リウイがコンラッドを連れてきてしまいます。これには喉から心臓が出るほど驚くメリッサ。
コンラッドは一応婚約者です。しかし既にメリッサは彼に生理的嫌悪感を覚えています。その経緯は「魔法戦士リウイ0」です。
「メリッサの為に魔術を捨て、剣の道に身を投じ騎士となった」と書くと凄いイイヤツですけど、彼はそんな真人間ではないんですよね。
そこでメリッサは一芝居打ちます。リウイがお仕えする勇者であり、身も心も捧げていると。普通なら遠回しにフられてる事に気づくでしょう。
しかしコンラッドはこれで引き下がるような普通の人間ではありません。なんと手袋をリウイに叩きつけて決闘を申し込みます!
日時は七日後の正午です。場所はマイリー神殿の中庭です。闘えリウイ!マイリー神の名の元に!「喜びの野」は受け入れ態勢万全!
★4〜5
こうして今回も災難に遭ったリウイは、アイラの私室で彼女と二人っきりで話し込んでいました。
リウイの葛藤がありありとわかります。リウイって顔に出るタイプなんですね。まぁ腹芸ができるとも思えないけど。
断ればいいのに、リウイはそういうこと嫌いですから。喧嘩を売られた以上買う、例え不本意でも。
余談ですが、アイラの私室には座ってる者を拘束する椅子や、ウッド・ゴーレムに変形する椅子なんてものがあります。
何を思ってそんなものを置いてるんでしょうかね。実用する日が来ないことを祈るばかり。でも発動する所を見てみたい。
あとリウイの女性との付き合い方もどうかと思います。言い寄ってきた中から一番の女を選ぶ。なんて奴だリウイ、昔刺されたってマジ?
ちなみにアイラは端々にリウイにアタックをかけてますが、リウイは気づきません。なんてじれったいんだリウイ。
自分から告白しないのがアイラの流儀、言い寄ってこないと受けないのがリウイの流儀。何故そこまで頑なに?(笑)
またこの時点でアイラはコンラッドの剣の秘密に気づいてるんですね。コンラッドの剣は"ダンシングソード"といいます。
"踊りの相手"というコマンドワードを唱えると、自動で相手に切りかかるという便利な剣です。
その剣のお陰でコンラッドは宿屋に押し入ってきた賊を一刀の元に切り伏せられたんですね。
剣を使うわけでなく、剣に使われるわけです。一流の戦士だったら魔力を発揮したいとは思わないでしょうね。
多分本来は非力な子供や婦女子が護身用に使ったりするのでしょう。こんなものを平気で使う専業戦士がいたら見てみたい。
そうとは知らず、宿屋事件を聞いて驚くリウイたち。オーファンの騎士ですら舌を巻くような性能ですね。
ファイターレベルに換算すれば6や7ぐらいあるかもしれません。流石はメルセリア侯爵家、金とコネだけはありそうです。
アイラはそんなコンラッドの剣に対抗する為、もう一本の"ダンシングソード"を探します。何て献身的な幼馴染眼鏡っ娘でしょう。
その経緯は新リプレイの第0話 「新米冒険者、旅立ってみる」に載っています。勿論リウイ達の預かり知らない話です。
★6
決闘当日、マイリー神殿には大勢の見物客が押し寄せてます。彼らは賊を退治したヒーロー、コンラッドこそがお目当てです。
リウイなんて気にもしてません。そんなに見たいですかね、誰かが死ぬところを?。その感覚が現代の日本人には分からない。
多分彼らは正義の騎士VS悪のチンピラとかだとでも思ってるんでしょうね。あるいはこういう刺激に飢えているのかな。
リウイにとってはホームのはずなのに、まるでアウェイにいるかのような冷たい視線。本当にコイツは主人公なのだろうか?
リウイもリウイでやる気だけはあります。それは闘いたいという得体の知れない衝動。さすがリジャールの息子です。
でも普通の人間じゃ長生きできませんね。まぁそういう闘志が湧くだけでも十分非凡だと思います。非常識なのかもしれませんが。
ちなみにアイラは間一髪決闘に間に合いました。コンラッドと同じ魔力を付与された剣をリウイに渡します。
こっちは"暗闇で踊れ"がコマンドワードです。それにしても何故こんなにも恥ずかしいコマンドワードばっかり。
あとジーニやミレルだけでなく、ジェニおばさんまでも見に来てます。
ジェニおばさんに「ウーくん頑張って〜」なんていわれたら吉本的ズッコケを見れそうです。
かくして決闘は始まります。魔法の剣であると知っていれば何てことはないコンラッドの実力でした。
一方リウイは変なところで実力を発揮します。筋肉の動きを見極めるなんて高等技術、一体何処で習得したのやら。
やがてコマンドワードを唱えられた二振りの兄弟剣は勝手に空中で戦いだします。剣の舞という表現がこれほど似合う事も珍しい。
このまま何時果てるともなくこの二振りの剣は戦い続けるんでしょうね。止めるコマンドワードもあるはずですけど。
ブーイングを挙げる客を他所に、リウイはコンラッドを拳一発で沈めます!
コンラッド耐久力なさ過ぎ。冒険者技能持ってるのか?打撃力0の拳一発で落ちるなんてモロいにも程がある。
よくこんなのがラムリアースの騎士になれましたね。いくら魔法の国とはいえ、魔法の剣で強いからよしとはならないでしょうし。
騎士というのは自称かな?。それとも家柄を利用してなれたのかな?。侯爵家ならその辺の融通はいくらでも利きそうですが。
ちなみに誰を騎士にするかは、結局は為政者の匙加減一つです。これほどの名家なら実力関係なく自動的に叙勲ですかね。
勝ったはいいけど、この白けようは何?。確かに劇的な勝利ではありませんでしたよ。一部コントだったし。
しかしリウイは普通なら見切ることも出来ないコンラッドの最初の一撃で死にませんでした。強盗を一撃で葬った剣をね。
これだけでも褒める価値はあるかと思いますけどね。同じ事をやれといわれてできる人間はそういない筈。
ジェニおばさんもリウイの実力ではなくて、決闘に挑む態度や姿勢を褒めた訳ですし。駆け出しでこれだけできれば上等ですよ。
メリッサは「不本意です!」と叫んでますが、誰のせいでこんなことになったか忘れたのか。
でも「結果以外は本意かもしれない」と言う辺り、少し成長したようにも思えるからまぁよし(笑)