「新米女神の勇者たち(7)」著:秋田みやび/グループSNE 出版社:富士見書房

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第十九話 暴れる坊やを育てる方法

★親しい仲間と新たな仲間。成長申告と

今回のキャラクターシート


今回の能力値の成長は以下の通り。

ジーク:筋力19→20、精神力22→23

エア:生命力24→25、知力20→21

メッシュ:敏捷度17→18、知力18→19

前回申告がなかった分を含めると多分こうなる筈です。

エアは本編では敏捷度が伸びたと申告していますが、それだと計算が合いません。


技能の成長ではジークがファイタ8→9にして戦闘特技《足さばき》を習得。

これは制限移動の移動距離が10mになるものであり、魔法等の使用時に役立ちます。

開戦時に敵との距離が10m以内だったら、いきなり《マルチアクション》しながら乱戦できますしね。

あとは<カイトシールド>を専用にして、刃物の効かない敵に対抗する為に<魔法のヘビーメイス>を購入。

威力と命中力が高くなって安定性があるが、その代わりクリティカルが起こり難いのがカテゴリ<メイス>の特徴。


エアはレンジャーが5レベルになってムーテスに続いて《治癒適性》を習得しました。

アイテムは<祈りのアミュレット><不撓のバックル>を購入。装備欄にはないけど所持しているらしい。

前者は装備者がHP回復魔法を使うとその回復量が+1されるというもの。1万ガメルですが回復役なら便利です。

後者はカテゴリ<ガン>の攻撃を受けた時、回避ではなく精神抵抗を行えるという1万2300ガメルの品です。

確実に命中するものの、抵抗に成功すれば<ガン>の魔法ダメージを半減できる。元から回避力0なので役立ちますね。


エア「そして!名誉点ががっぽりなので、160点と四千ガメルを費やして、
    ルーフェリア様のお姿を描いたタペストリーとか作ってもらったりしました!(挙手)」

メッシュ「……なんか。信者というよりもキモいファンのようですな」

エア「違います!これは、神殿に飾る用です!(キーッ)」

ちなみに160点の4000ガメルというのは「ルールブックU」に書かれている規格外のものですね。

大きさ的には大(80点の2000ガメル)と特大(200点の5000ガメル)の中間、こだわりの品ですね。

多分大を何らかの形で倍額にしたものなんでしょう。ちょっと大きいか、いい職人に頼んだか。あるいは原画代かも。


メッシュ「大きな枕に被せたりとかしないんですか?」

エア「しません!そんなの抱いてごろごろしたり、わきゃわきゃしたりしません!」

ジーク「なんか、リアルに浮かんだぞ」

エア「涎で汚したりするようなことしません!不敬な!
    それにルーフェリアの生地は耐水性ですから何度洗っても大丈夫!

ルー様抱き枕カバーか、これはコ○ケとかで売ってたら摘発しそうですね。もちろん自分が購入した後で。


メッシュはグラップラーが7→8と上昇。こっそり足の装備を<パワーアンクル>に変更しています。

これは足首を強化してキックの爆発力を高めるアンクレットです。「リングにかけろ」とかに出てきたアレですね。

威力は<スタンパー>に及ばないがカテゴリ<格闘>の、それもキックを強化する武器にしては珍しくクリティカルしやすい。

この武器と<ハードノッカー>とあわせて専用装備の+1となっていますが、魔法の武器で+1ということですかね。




さて、今回から新章突入という事でパーティメンバーに変更があります。

ソラとムーテスが一時的にパーティを抜けます。代わりに2名ほど新キャラが加入します。

この2人が抜けてしまうのは本当に残念ですが、ノリスとガルガドよろしく後で復活するので大丈夫。


イスミー(イスミーシャ)13歳

赤毛のタビットであるマギシュー(マギテック&シューター)。魔動バイクを駆るライダーでもある。

シューターの家に生まれ、占い好きの両親に祈祷師の道を勧められるも反発。

冒険者となって良い仲間に恵まれるが、ある遺跡での事故で仲間と初恋の人を失う不遇のタビット。

一時期グレて「風華ぞんざい隊」という族を率いるものの、ぞんざいズの有名を聞いて冒険者に復帰。

一人称はおいら。愛用する魔動バイクは亡き初恋の人の形見で、彼女の名をとって「シフェナ」という。


可愛い見た目の割りにヘビーな過去を背負っていますね。

イスミー「ちなみに初恋の人はルーンフォークでやして」

エア「……変態?」←あんたが言うな

イスミー「抱き枕でごろごろしてる姐さんにいわれたくねえんでさあ」

エア「してない!」

似たようなことはけっこうしてきましたけどね。主にコボルドやルーちゃんを相手に。


イスミー「しゅっとしたうさぎ耳の綺麗なお人だったんで。
      お陰で、ルーンフォークには殊更思い入れがありやす」

メッシュ「……ふ。私のファンが増えたようですね」←おまえじゃない

あくまでも彼は故シフェナが好きだったわけで、別にルンフォフェチというわけではないらしい。

あとは形見の魔動バイクに並々ならぬ愛情を注ぐところもあるが、別にメカフェチというわけでもない。


パーティ内の役割としては射程50mの<ジェザイル>を使って魔法の弾丸を撃ち込む火力担当

《鷹の目》があるので乱戦エリア等の遮蔽越しの射撃が可能。《武器習熟/ガン》が火力を底上げ。

ソラが抜けたことによる魔法ダメージの穴を補えるだけの威力はありますね。当たりさえすれば素通しだし。

ちなみに<ガン>は命中力判定はシューター+器用度なので、8レベルの彼はそれなりに当てていけますね。

ダメージは各魔法毎に固有の威力にマギテック技能の魔力を加えるが、5レベルの彼の魔力はちょっと低目かも。


あとはライダー技能を駆使した数々の騎芸と、魔動バイク「シフェナ」の移動力や《グレネードランチャー》も侮れない。

騎芸の詳細はその時にするとして、グレネードは文字通りのものを発射して半径3m/5に炎属性の魔法ダメージを与えます。

その威力は通常威力0でMP10点消費ですが、高性能魔動バイクの場合は威力30のMP15点消費と過激になります。

ライダー技能は《魔物知識判定》に使えるのでそういう意味でもソラの代わりですね。ただし弱点までは抜けませんけどね。


ニゲラ(ニゲラ・オリエンタリス)16歳

学者だった父に育てられ、供に旅をしながら父親のボディガードとして絡み武器の腕を磨いた女の子。

錬金術師である父親譲りの賦術の使い手でもあり、武器と防具の両方に習熟した上に練技も使いこなす実力者。

生来の習得言語がザルツ地方語であることから大陸の反対側から旅をしてきた模様。現在ははぐれた父親を探している。

性格は初期こそオドオドとしているものの、徐々にこのパーティに相応しいぞんざいさと腐属性を発揮するようになる。

ちなみに名前の由来は黒種草の学名であるニゲラ。"茂みの悪魔"という異名を持ち、後に彼女もこれを二つ名とする。


ジーク「アルケミスト、初めてだ」

ニゲラ「なので、金食い虫なんです。いじめないでくださいね」

ジーク「いいよ。うちのパーティ、ぱかぱか気安く指輪割ってるから、気にするなって」

メッシュ「……誰のことでしょう(視線逸らし)」←おまえだよ

錬金術師はこの世界でもとにかくお金がかかる。錬金術師の特技である賦術はマテリアルカードが力の源ですから。


カードはB級A級S級SS級の四段階存在し、使用する賦術の種類により赤・緑・白・黒・金に分かれる。

これはマギテック協会で購入することもできるし、魔物から得た戦利品から粗製のカードを作ることもできる。

級が上がれば同じ賦術でも効果は上がっていきますが、当然お値段も上がるので購入時や使用時には悩ましい限りです。

特にSS級は最早暴力的効果。ちなみに購入する場合は順に20ガメル、200ガメル、2000ガメル、2万ガメルとなる。


ニゲラ「アルケミストだったせいか、金の商人と呼ばれていた父を捜して旅をしてます。
     もともと、その父の護衛のようなことをしてましたので、腕にはそれなりに覚えがありますー」

実際ジークと同格の9レベルだし、見かけによらず《武器習熟》と《防具習熟》で純粋に強い戦士です。


特に「アルケミストワークス」で追加されたカテゴリ<絡み>の武器の数々は単純な威力とは違う脅威です。

これは敵の様々な部位に絡める事で動きを制限することができ、Bランクが存在しないというテクニカルな武器です。

特にメイン武器の<チェイン&シックル>鎖鎌であり、鎖で絡めたまま鎌で攻撃できるという凶悪な武器です。

また補助動作で賦術"パラライズミスト"を使い、回避力を下げつつ仲間と一緒に攻撃するという戦法も可能。


ジーク「……金の商人……ムーテス?」←ちがう

メッシュ「彼奴の娘?そういえば、同じファイターですよ」

エア「ちょっと待った!種族違う!」

ジーク「ムーテスは練技でしっぽを伸ばしてた。
     エンハンサーの高レベルともなればしっぽを収納できるに違いない!

メッシュ「さすが慧眼でございます、ジーク様!」

ニゲラ「は!この人たち、お父さんの行方を知ってる!?

エア「勘違いVS勘違い」

こうして新たな仲間を加えたぞんざいズの新たな冒険が始まります。

それは後に極めて大きな事件に繋がっていくのですが、それはその時のお楽しみ。


★湖の国の日々

カナリスの街を包囲していた蛮族軍を蹴散らすきっかけを作ったぞんざいズは救国の英雄となりました。

大司教からお褒めの言葉と報奨金を貰い、現在もルーと一緒にカナリスの街に留まっていました。

ジーク「ついでにルーフェリアを嫁にくれ」

エア「だめです、許しません」

ジーク「……はい、すいません」

メッシュ「ジーク様、そういうことはもっと水面下でひっそりと」

ただしムーテスは期限付きの国外追放となったリャンの保護者としてアイヤールへ行っています。

相変わらず苦労しているようですね。でもルーフェリアの国にアイヤールの商業権を買ってもらいました。

これにより2人で新しいビジネスを立ち上げているようです。向こうに行けばいつでも会えますよ。


ソラについては皆と一緒にカナリスにいるのですが、自宅に引き篭もって何やら楽しくやっている様子。

ジーク「ソラー、ソラー何やってんだー」

ソラ「うふふー。秘密。しばらく一人にしておいて。あ、次の冒険、パスさせてもらうかも

ジーク「それなら、もうソラのことは忘れた。一人にしてやろう」

GM「うわ、早ッ!」

エア「……ちょっと妹が不憫になったわ(ほろり)」

元々ニートだったとはいえ、引き篭もりではなかったので何をやっているか気になりますね。

一応魔術師だから怪しい実験とかしていても不思議はないんですがね。本人より自宅が心配ですが。


エアも自宅があるし、ジークとメッシュは「水晶の欠片亭」で気楽に過ごしているようです。

ルーは自分の生まれ故郷を知っておきたいという希望があるため、ジークが案内してあげているとか。

ジーク「普通の女の子として、手を引いて街の中を案内してやろう。俺もよくは知らないんだけど」

お出かけにお洒落しているルーちゃんの可愛らしさといったらもうね。絶対領域とか誰がコーディネイトしたのやら。


しかしそれを見逃せない変態神官が1人。

エア「もちろん、こっそりついていきます

ジーク「堂々とついてくればいいじゃん」

エア「だめ。ルー様が嬉しそうになさっているのは邪魔してはいけない。
    が、もし万が一何か不埒を働こうとすれば、そのルー様本人の拳が
    "ゴッド・フィスト"となって顔面に突き刺さるのを覚悟するように」

ジーク「こ、怖ぇえ!」

メッシュ「神の拳とは、そんな物理的なものだったのですか」

物陰から「ぐぎぎぎっ!」とばかりに2人を見張る彼女は、職務質問されても不思議はないレベルです。


ところがそんな平和を謳歌する彼らに新たな事件の依頼が舞い込みます。

リッタ「やあ。こうして真っ当に依頼を持ってくるのも久しぶりだねえ。いやーちょっと仕事があるんだよ。
     ま、さすがに世界の危機とはいかないけれど、一つの村の危機にはなってるかな」

ジーク「え、しょぼい仕事でもするよ、俺。街中にいるのも、そろそろ飽きてきたし……って、マジで危機?」

リッタ「マジでマジで」

それは以前行ったアエドンの街の西にある風と親しむ村カラハという所で起きている事件です。


ルーフェリアの国の北にはかつて大草原が存在し、多くの遊牧民達が暮らしていました。

ところが「大破局」によって草原は砂漠化し、避難してきた遊牧民達によってできたのがカラハです。

かつては遊牧民として軍馬等を育成してアエドンに収めていた伝統を引き継ぎ、今でも騎獣の育成が主産業です。

軍馬だけでなくイルカのような水中騎獣もいるし、大陸広しといえどケルピーを騎獣用に育成しているのはここだけです。


余談ですが、ルーフェリアの国は湖を囲む地形上水路が発達し、街道はあまり盛んではありません。

ところがカラハとアエドンの間には「くつわの道」という街道が整備され、軍馬を走らせる事もできます。

これは質のいい軍馬をアピールするためのデモンストレーションも兼ねており、ライダー技能持ちには堪らない村ですね。


リッタ「何だかね、その村の主な産業である騎獣が、消えているらしいんだよ

消えているのは軍馬だけでなくカマウェトなどの水の幻獣も含まれ、被害額はかなりのものです。

暇を持て余していたジークは即これを受けたのですが、現在彼らは百科事典会計士が抜けている状態です。


エア「妹は、ついに冒険者という職業に見切りをつけたのです。……ええ、いいことですとも」

ジーク「姉貴のほうはすっかりと冒険者なのにな」

エア「違います!……は、本当、わたし何でここにいるのかしら?妹がいないのに」

最初にメンバー入れ替えと聞いた時、いなくなるのは姉妹だとばかり思っていたんですけどね。


そこでリッタさんは《魔物知識判定》要員として新たな仲間を紹介してくれます。赤い耳を引っ張って。

イスミー「いたいいたい。女将さん乱暴はよしてくだせえー」

エア「タビット!(狂喜乱舞)」

GM「タビットです!待望のタビットです」

エア「物も言わずに突進して、小脇に抱えて額から耳の間にかけての毛をシャーッとこすっています

イスミー「熱い熱い!摩擦で熱い!」

<とんがり帽子>を装備した彼の魔物知識は12にもなる。基準値だけなら妹より高い。


メッシュ「タビットということは、確かに知識系は心配の必要がなくなりましたな」

イスミー「おいらが背負っているのは銃でやすが」

メッシュ「……キャラかぶってる、帰れ

エア「キャラかぶってない!可愛いのは正義!

イスミー「おいら、腰にかけてるだけじゃなくて、ちゃんと撃ちやすんで」

メッシュ「わ、私だって撃ちますよ!……主に自分のこめかみを

マギテック技能のレベルは大差ないけど、シューター技能すらないメッシュとはマギシューとしての実力が違う。

前回ウォードゥームに悩まされた《鷹の目》による遮蔽越しの射撃がこちらも使えるとなると心強い限りです。


メッシュ「言っておきますが、私もセージ技能は習得しておりますよ」

エア「(キャラクターシートを覗き込み)……ハ」

メッシュ「なんで、鼻で笑うんですか、失礼な!」

エア「そんな焼け石に水レベル!ソラーソラー帰ってきてその必要性を見せ付けてやりなさいー!」

だって基準値4ですしね。最早このレベル帯では分からないやつの方が多いでしょうに。


イスミー「噂に名高いぞんざい勇者団憧れてたんでやす。お供させてくだせえ」

ジーク「うんうん。ソラのいない分、エアの癒しになってやってくれ」

こうして赤ウサギのマギシュー兼ライダーのイスミーが仲間となりました。


あとは《かばう》の代わりですが、それとは別の方向性で腕の立つ戦士を紹介してもらえます。

リッタ「はいはい、それの代わりにこの子はどうかねえ。父親を探して旅をしてるらしいんだけど」

ニゲラ「こそっと、リッタさんの後ろから顔を出しますぅ……(びくびく)」

なにやら小動物系の怯えっぷりですが、腰に下げているのは<チェイン&シックル>、いわゆる鎖鎌です(笑)


ジーク「怖ぇ!何だかひしひしと怖いぞそれ」

メッシュ「ふふふ、小娘……見極めてやろう」

PCのレベルを見極める際は冒険者レベル+3が目標値。彼女の場合12で、メッシュの場合出目8が必要。


もちろんメッシュはお約束通りに出目が2足りずに失敗してしまいますが。

エア「つまり、彼女はあのポンコツでは測りきれないほどの実力を秘めているということ!」

メッシュ「ちょっと待った!ぱっりーん!<知性の指輪>ブレイク!

これによりメッシュは彼女の実力を見抜きました。同時にメッシュの実力も見抜かれた気がするけど。


エア「ちょっと待ったー!」

イスミー「ええー!ここで割りやすか!」

メッシュ「新入りにここで舐められるわけにはいかん!いかんのだ!……あ、じゃあちょっと指輪買ってきますので

ニゲラ「……な、なんか、目が合ったと思ったら、いきなりあの人の指輪が弾けたんですけどぉ……

ジーク「ふ、この指輪に対するぞんざいさが、俺たちのふたつ名の由来!」

今のメッシュは指輪なしでも知力+3なので完全に割る用ですもんね。いっそ箱で買えば値引きしてもらえないかな。


こうして彼女の実力を見抜いたメッシュは早速彼女を抱え込もうとします。

メッシュ「はっはっは、お嬢さんもう何も心配する必要ありませんよ。
      私たちが、お父さんと引き合わせてあげましょう」

エア「うさんくさー」

ニゲラ「ど、どうしよう、どうしよう、変なタイミングで指輪が弾けるし
     でも、お父さんと引き合わせてくれるって言うし……(あせあせ)」

ジーク「そうか、父ちゃんが「金の商人」か。あいつならアイヤールにいったらしいぞ」

いやそのトカゲじゃないから。まぁ彼女のお父さんについてもその内シナリオで使えるでしょう。


ジーク「じゃあ、ニゲラ、お前アルケミストだしすごく金使うよな?
     お前にパーティ財産の管理してもらっていいか?」←いきなりですか

メッシュ「今まで、そういった細々とした計算は、ムーテスに一任してましたしね」

ニゲラ「え?え?いいの?ニゲラまだ、新米なんですよぅ?そんなあっさり信用していいの?(おろおろ)」

ちなみにムーテスのキャラクターシートは所持金0のパーティ財産2万9000ガメルという男前っぷりでした。


そのお金も既にムーテスに持ち逃げされたことにしてしまいます。

イスミー「まさに、パーティの財布はおいらの財布」

メッシュ「ジーク様なりの餞別なのでしょう」

ニゲラ「……この人たち、噂以上にぞんざい過ぎる……」

そういえば<ミスリルプレート>もパーティ財産で買ったんですよね。気づけば5万ガメル以上持ってかれてる!


しかしアルケミストにとって銭力=戦力、この連中に任せるぐらいなら自分で管理した方がいいかもしれない。

ニゲラ「わかりました!皆さんの財産は、ニゲラがきっちり管理させていただきます!」

色々勘違いもありますが、こうして絡み戦士兼錬金術師のニゲラも仲間になりました。

彼らが"ぞんざい勇者団"を名乗るなら名誉点を払うことになると思いますが、それを賄える程度には稼いでいる筈。


こうして誕生した新生"ぞんざい勇者団"は早速アエドンまでの船のチケットを用意してもらいました。

一応ソラにも声をかけてみましたが、「ちょっと出てきます。心配しないでね」という書置きを残して留守でした。

エア「あの子どんどん母親に似てくるわー!」

ジーク「心配だったらリッタさんに依頼出しとけよ。「妹を捜してください」

イスミー「本当に、駆けだしの仕事っぽいでやす」

ただし捕獲しようと思ったらかなり厄介ですけどね。


エア「ジーク、わたしの妹のことが心配にならないの!」←指ぴしっ!

ジーク「……えーと」

ニゲラ「こ、これは……思ってもみなかったという顔のような気がしますー」

エア「……不憫なリ、妹。歯牙にもかけられてなさげ」

最初の頃は色々フラグを立てようとしていたんですけどね。すっかり忘れてましたが。


ジーク「なんで心配なんだ?だって、ソラなんだぞ?

エア「だからといって、本当に心配しないというのは違うでしょう!」

ジーク「じゃあ、エアは俺にどうさせたいんだ?」

イスミー「兄貴、これはいわゆるツンデレというやつでさあ!エアの姐さんと築く新たな世界!」

ジーク「何だそうか。じゃあ、エアの手をとって……外に飛び出そう。「さあ、冒険だー!」ときゃっきゃうふふ」

エア「何の話!妹のことを置き去りにするなー!」

そしてこのまま妹はPCとしてはフェードアウト。NPCとしては出ますが、PCとしての参加は最終回となります。

どうやら中の人の仕事が忙しいという事情があったようですね。できれば最後まで参加して欲しかったけど仕方ないかな。


メッシュ「うわぁああ、今この瞬間、あの二人の映像を撮るためだけに、マギテック技能を上げたい!」

静止画像を撮るだけなら8レベル魔動機術の"マナカメラ"ですが、動画となると10レベルの"ホログラフィ"ですね。

これなら1回の行使で持続時間3分で録画可能。<マギスフィア>1つにつき合計1時間まで録画可能、しかも永続的に。


ニゲラ「あらあら、仲良しさんなんですねぇ」

イスミー「あの二人、ねんごろだったんでやすか」

GM「新人ズに誤った認識を植えつけてるようですが」

イスミー「つまり、ぞんざい勇者団は春真っ盛りと」

エア「春じゃない!お花畑にいるのは、あの男だけ!

新しい仲間と新しい関係を築きつつ、ぞんざいズは湖を渡ってカラハへ向かいます。


★騎獣の村、カラハ

定期便でアエドンまで渡ったぞんざいズは、そこからは「くつわの街道」でカラハを目指します。

ジークは馬のポピーちゃんを連れています。ポピーちゃんは久しぶりのご主人とのお出かけなので上機嫌。

そういえば前巻では蛮族に捕まってから出番がなかったですね。ずっと<騎獣縮小の札>で小さくしてたのかな。


いざという時は囮作戦にも使えますが、村に近付くにつれ尻込みする様子を見せます。

何しろこの村には格上の軍馬やら幻獣やらもいますし、同じ馬からすれば修羅の村。繊細な生き物なんですよね。

イスミー「どー、どどどど。どうどうー」←「風の又三郎」っぽい宥め方

ジーク「馬を宥めるのは、持ち主の俺よりもこいつのほうが上手そうだから任せておこう」

メッシュ「なんだ。ただのエアの抱き枕かと思っていましたら、結構使える奴ではありませんか」

ライダー7ですもんね。普段魔動バイクばかり乗っていますが、別に非生物専門というわけではないし。

ジークは結局ライダー技能は1レベルのままですね。今後も伸ばす様子は無いので本当に馬を扱うだけです。


ちなみにカラハの村ではワイバーンなども育成しています。お金を払えばタンデムで国内を移動できます。

ニゲラ「……ワイバーン・ハイヤー……?」

そんなのがいたら普通の馬であるポピーが怯えるのも当然か。ということはワイバーンライダーもいるんですね。

騎芸"空中騎乗"と"大型制御"を習得した7レベル以上の人が。前巻で出てきたフロリダス級の人ですか。


イスミー「ワイバーンはよしなせえ。アレは危険ですぜ。何しろ奴ら腹具合で襲いかかってきやすんで

ニゲラ「え、でもちゃんと躾されてるでしょ?それなのに、危ないの?」

イスミー「おいらは、何度も齧りつかれたことがありやす」

ジーク「しょうがないよな。お前食物だし

イスミー「がーん!しかも真顔!おいらは非常食じゃねえ!

それは野生のワイバーンなら仕方ないけど、騎獣だったら問題ですね。御し切れていないし。

タビットなら種族特徴〔第六感〕により冒険者+知力で《危険感知判定》できるんですが、失敗したか逃げ遅れたか。

なおこの種族特徴は6レベルになると《罠感知判定》にも使用できるようになる。足の遅いタビットの生命線です。


ニゲラ「え。ジークさん……仲間を食べるんですか?(びくびく)」

ジーク「あ、大丈夫、女の子は食べないから

メッシュ「さすがジーク様!……あれ?」

エア「……えーと。すごく、複雑な心境に」

イスミー「なんか、それって違う意味の発言に聞こえやしたが」

ニゲラ「じゃあ、ニゲラは大丈夫なんだぁって、いきなり気が軽くなっちゃった」

ジーク「イイコだなーニゲラ」

エア「ここで色々と問い詰めておきたい。とりあえず、うちの妹は女の子に含まれるのかどうか。
    そして、ルー様がそれに含まれているのかどうか。それによって回復魔法に制限が掛かります
    ああ、でも、うちの妹やルー様を女の子として見ていなければ、見ていないで腹が立つような微妙な心境が!」

ああ、ソラとフラグが立たないのはそのせいか。でもルーちゃんは嫁なんですね、人間じゃないから?


エア「いいですか、ジーク。ちょっと会ったばかりの女の子に
    ちょっかい出すのは好きにすればいいのですが、相手にも……」

ニゲラ「いいんだ?……ルーフェリアって大らかな神様だなぁ」

イスミー「水の神様だけに、水に流してくれるんでさあ

エア「誰がうまいことを言えと言いました!」

ジーク「さ、村で話を聞くかー!」

エア「逃げるな、諸悪の根源!」

ニゲラ「噂どおり、つっこみの忙しい方ですねぇ」

メッシュ「我がパーティのつっこみクイーンなのですよ」

この短時間で物凄い勢いで突っ込んでますしね。そうか、だからエアは交代せずに残ったのかな。

もし彼女が抜ければ残ったのはボケのみ。突っ込み役不在になるといつまで経っても話が進まない。

まぁ突っ込んだら突っ込んだで話が発散して進まないこともあるんですけどね。まだ村にすら入っていないし。


さて、そうして漫才をしながら何処かピリピリした様子の村に入って、村長さんから話を聞きました。

騎獣の消失については村長は盗難事件だと考えており、今のところ発覚している被害は7匹です。

いなくなった順に馬、馬、軍馬、カマウェト、ワイバーン、淡水イルカ、ケルピーです。

ちなみにこの村では馬やカマウェトのペアリングが行われていますが、ワイバーンはまだ成功していない。

よって調教用の幻獣については冒険者に捕獲を依頼しているとか。もし繁殖に成功すれば快挙ですね。


この中ではイルカ(ドルフィン)とケルピーが初出ですね。


ドルフィンはモンスターとしては2レベルの動物であり、騎獣としての適正レベルは2〜5レベルです。

乗りこなすには騎芸"水中騎乗"が必要でお値段5000ガメル。水中を移動力25で移動できます。

特徴は《水中専用》。水中でしか使えないが、その代わりに騎手と騎獣には移動や行為判定のペナルティなし。


ケルピーは3レベルの幻獣で、上半身が馬、下半身が魚の姿をしています。

《水中特化》のため水中ではペナルティなし。専用ではないので地上でもペナルティありで活動可能。

騎獣としての適正レベルは3〜5レベル。やはり"水中騎乗"が必要でお値段1万ガメルです。

特徴は《水中特化》に加え、騎芸"探索指令"に+2のボーナスが入る《澄んだ目》を持っています。


馬は5000ガメル、軍馬は1万ガメル、ワイバーンは4万ガメルします。

カマウェトは騎獣としてのデータが見つからなかったので不明です。何処かにあるのかな?

以上を踏まえると被害額は7万5000ガメル以上にもなります。これはなかなか深刻ですね。


ワイバーンまで盗む奴を犯人と想定しているのでぞんざいズのような高レベルが派遣されたと。

ただし流石にワイバーンには手こずったと見え、現場には血痕が残されていたらしい。

それでも攫えちゃうのだから只者ではなく、水棲の騎獣まで盗まれるに至って神殿に相談したのです。


エア「ということは神殿経由の冒険……やる気が湧いてきた。ルーフェリアの名のもとに!」

ニゲラ「この人、アップダウンがはげしーです

ジーク「そのうち慣れる」

ここでジークは<騎獣縮小の札>を使用した可能性について述べますが、これには制限があります。

例えボコって弱ったところに使っても、騎獣に抵抗の意思があると小さくする事はできないのです。

よって野生の魔物に対してモンス○ーボール的に使って捕獲する事はできないんですね。


ニゲラ「特殊な技術を使ったとか、ないかなぁ。アルケミストみたいに。
     騎獣をこてんぱんにして、瀕死になったところを赤と白に塗り分けたボールに捕まえる

イスミー「「ワイバーン、君に決めたー!」……憧れやすな、それ」

逆に言えばその騎獣を扱えるだけの能力があるライダーなら穏便に連れ出すのも不可能ではない。

イスミーだとレベルは足りていますが、騎芸"空中騎乗"と"大型制御"を取っていないので無理ですが。


ジーク「おっさん、おっさん」

ニゲラ「……!この人、依頼人をおっさん扱いしていますぅ!

ジーク「あ、気にするな、それもそのうち慣れるから」

イスミー「これがぞんざい勇者団の真骨頂でやすね!」

エア「慣れるけど、染まっちゃダメよ」

ジークが尋ねたのは村人が全員顔見知りであり、部外者はすぐに分かるかということです。

これはその通りで、騎獣の買い付けにきたライダーギルドの人や騎士や好事家などはすぐに分かる。

大司教なんかも騎獣を借りにくるらしい。大司教の騎獣ってドラゴネットなんですがそんなのいるのかな?

あるいはもっと別の騎獣を借りに来ているのか。ギルドを利用するより直接交渉の方が安くなるイメージはあるけど。


ジーク「最近怪しい客は来たか?」

村長「ええ、おいでになってます」

メッシュ「あっさり認めた!」

その人は外国の騎士であり、ケルピーの調教風景を涎を垂らさんばかりに見ていたらしい。

なんだかトランペットに憧れる少年みたいですが、その騎士はペガサスライダーという事もあって上客です。

本当は国外にはケルピーなどは出したくないのですが、実力も財力もある客なら騎獣を売る甲斐はありますしね。


エア「……まだ帰ってなかったんだ、ジャスティ」

確かに彼女とコネができれば上客なんてものじゃない。お歳暮を贈るレベルですね(あるのか?)。

ただ水棲の騎獣を扱うには騎芸"水中騎乗"が必要なんですよね。必要に迫られないとなかなか取らない。


ジーク「まずは、取っ掛かりを探すためにも、見張ってる素振りを見せないように、騎獣たちを見張るか?」

メッシュ「そうですね、騎獣を下見に来た有名冒険者を装いましょう。我々はすでに、そのくらいの顔はできるはずです」

ジーク「俺、ライダー1レベルなんだー。俺でも乗りこなせるワイバーンはいるかなー?とか言いながら」

ニゲラ「……それは、門前払いフラグだと思いますぅ」

エア「「原付免許しかないけど、ナナハンくださいー」みたいな」

それならイスミーの方が適任、何しろ7レベルです。これからワイバーンに手を出そうとしても不思議はないレベル。


追加の情報として、水棲の騎獣は河口で育てていたということも教わります。

これは河から蛮族などが侵入しないよう見張らせるためでもありましたが、逆に言えば水中から侵入可能。

ワイバーンはものがものなので相応の実力がある調教師しか近付かないようにしているらしい。

ということは必然と周囲に人気がなくなり、実力のある者なら近づくことはできるという事でもある。


以上の情報を得たぞんざいズは、まずワイバーンがいなくなった現場を調べてみました。

<ひらめき眼鏡>を装備したメッシュはワイバーンが抵抗した痕跡を発見。しかしそれ以外は見つからない。

イスミー「そいつぁ、面妖な」

メッシュ「いえ、一つの仮説が立ちました」

ニゲラ「どんなですか……?」

メッシュ「犯人は、ワイバーン!
      ワイバーンがワイバーンを襲い奪おうとしたために、ワイバーン以外の形跡が残っていないのです!
      そして伏線として、この村ではまだワイバーンのペヤリングには成功していないとのこと、
      発情期の野良ワイバーンの嫁取り大作戦だったのです!」

これはちょっと感心しましたが、いつもの超理論を展開するにつれ無理が出てくるのがメッシュですね。


案の定ニゲラにアッサリ突っ込まれます。

ニゲラ「……他の馬さんとかぁ、ケルピーさんも……?」

メッシュ「…………。ふ。よく気付きましたね、ニゲラさん。
      今私は、貴方がこのぞんざい勇者団に相応しいかどうか、試していたのですよ」

ニゲラ「わぁ、合格しちゃった」

まぁ敵は空を飛べる可能性が高いってことですかね。地上に足をつけることなくワイバーンを倒したか?


こうなると本気で囮作戦をやりたくなりますね。

エア「イスミーシャのバイクを、その辺に放置しておびき出すってのはどう?」

メッシュ「無生物の騎獣に興味があるかは謎ですが」

イスミー「やめてくだせえ!奪われたらおいらの彼女との思い出がー!

ジーク「何だよ、未練がましいなあ。指紋つけちゃえ、ぺたぺた」

ニゲラ「わぁ、ニゲラもお手伝いしますぅ。ぺたぺた」

イスミー「あああー!勘弁してくだせえ、シフェナを汚さないでー!」

何のために騎獣を攫っているのかにもよりますが、もし餌なら流石に食べないでしょう。

その場合はただのバイク泥棒が引っ掛かって終わりそうな気もしますね。


ジーク「まあ、囮はポピーでいいよ、俺は護りきる自信があるから

イスミー「……………………う。そ、そう言われると、おいらがまるで甲斐性ナシのようじゃねえですか!」

それを聞いた村人達が一斉にポピーちゃんにおめかししてくれます。本業だけあって手馴れたものです。

体に油を刷り込んだし、磨いたり、たてがみを編んだり。売りに出す時はこういう風にしているんですね。


ジーク「うわ!こんな可愛いポピーはじめて見た!写メを撮れ、写メを!」←ありません

メッシュ「惜しい、マギテック技能が、もうちょっと足りません」

ちょっとどころじゃない。イスミーですら5レベルなので3レベルも足りない、道は長いな。


あとは村人への聞き込みです。おばさんの井戸端会議に参加して怪しい人の話を聞きます。

その人物は調教師のノートンという若い男性です。最近妙に付き合いが悪くなったらしい。

メッシュ「それは、女ができたんでしょう。飲みに誘っても、
      麻雀に誘っても何のかんのといって断られてしまうのです!」

ニゲラ「それは男性だけじゃありません、女もですー!」

おばさん「あー。そういえばそうねー。じゃあ女性関係なのかしらー」←納得したらしい

今のところ手がかりらしい手がかりもないので、その人を訪ねてみることにします。


イスミー「許されざる関係なら、おいらたちが後押しして差し上げねえと!」

エア「うん、どんな関係よりもタビットとルーンフォーク以上の茨の道じゃないと思うしね」

イスミー「……すんすん。シフェナー……みんながおいらを苛めるんでやす(バイクに頬擦り)」

恋人になるだけなら不可能ではありませんが、そこから色々な障害がありそうですしね。


★騎獣調教師ノートンさん

ノートンさんの家は建物ではなく天幕でした。これは遊牧民を先祖に持つこの村の特徴ですね。

ジーク「……しまった、中を覗けない。そして、ソーサラーがいないってことは使い魔もいないってことだよな?」

エア「そうなるわね」

ジーク「しまったなあ。初めてソラの重要性に気が付いた

あとは言語面でも不安が残りますね。何だかんだで妹のマルチリンガルっぷりは地味に便利でした。

読むだけなら9レベル魔動機術に"マナディクショナリー"というのがありますがレベルが足りない。


エア「何言ってるの、ジークの持ってる使い魔を使えばいいじゃない」

メッシュ「はいはいはいはーい!私、なんと覗きも忍び足も得意でございまーす!」

ジーク「うん、確かにちょっと使い魔的ではあるけど、別に心は繋がってないしな

メッシュ「がーん!」

しかしまずは正面から堂々と聞き込みです。アポなしで天幕をバーンと開いて突撃です。

ノートンさんは痩せた中年男性で独り暮らしらしく、主に馬の調教をしているようでした。


ジーク「馬だけなのか。ワイバーンとかは?」

ノートン「そりゃあ、いつかは育ててみたいねえ。
      でも、やっぱり騎獣の最高峰といえば……ね。アレだろう」

一同「ドラゴン?」

ノートン「そう!ドラゴン!いつかは育ててみたい、
      ライダーとしてもテイマーとしても夢の騎獣だと思わないかね!」

多分彼は一般技能のテイマー(調教師)技能の持ち主なんでしょう。幻獣とかでもそれでいいのかな?


竜騎士といえばフォーセリアの頃からある概念ですが、そちらでは一般技能ドラゴンテイマー技能によるもの。

こちらではドラゴンであってもちゃんとライダー技能で扱えますし、騎獣としてのデータも存在しますよ。

この世界の竜もフォーセリアと同様に、あるいはそれ以上に神秘的な"最強にして華麗なる幻獣"です。

まだSWの頃ほど種類毎のデータが揃ってはいませんが、いくつかフォーセリアにはない種類が確認されています。


現在判明している限りでは以下の通り。

ドラゴンインファント

4レベル

30歳未満の竜の赤ん坊
ドラゴネット

10レベル

100歳未満の竜の幼体
レッサードラゴン

13レベル

500歳未満の成竜になって日が浅い若い竜
グレータードラゴン

18レベル

2000歳程度の成熟した竜
エルダードラゴン

25レベル

数千歳から数万歳の伝説級の竜
エンシェントドラゴン 詳細不明


フォーセリアでいうインファントドラゴンがレッサー未満の二種にあたりそうですね。

ドラゴンインファントはあくまでも赤ん坊で、レベル的にはレッサーオーガと同等で一部位です。

それとレッサードラゴンの間に子供の竜としてドラゴネットが追加され、以降は複数部位です。

そしてレッサードラゴンとエルダードラゴンの間に壮年の竜であるグレータードラゴンがいると。

フォーセリアの頃はレッサーからエルダーになると一気に知性も上がったものですが、その過渡期ですね。


この中で騎獣としてのデータがあるのはレッサー以下の3種類です。

インファントには騎芸"空中騎乗"が必要で、ドラゴネット以上だと更に"大型制御"も必要になる。

これは部位が2つ以上の騎獣を扱う時に必要なもの。ワイバーンにも必要でしたね。


ジーク「いいよなー、ドラゴン。男の憧れだ」

ノートン「わかってくれるかね!」←握手

イスミー「……おいらは、魔動バイクやスカイバイクもクールでいいと思うんでやすが」

ノートン「ああ、そういう無機質の黒光りの浪漫を追い求める嗜好もあることを知っているよ。
      しかし!やはり僕としては生きた、躍動感溢れる暖かい騎獣が一番だね!

どうやら生物系の騎獣に浪漫を求めるタイプの人のようですね。気持ちはよく分かります。

しかしこの時メッシュが天幕の中を見渡すと、馬以外を育てている形跡を発見しました。

何しろ肉の形跡がありますからね。自分の食用でないのなら肉食の何かに手を出している可能性がある。


これにはぞんざいズも調査の必要性を認め、身辺調査を決めました。

イスミー「もしかすると、単なるマニアかも知れねえですぜ」

メッシュ「まあ、フェチ臭いという意味では、うちのパーティにもいますしね。抱き枕つくってるのとか」

エア「ああ、いるわね。知ってる、主人フェチって奴でしょ?」

メッシュ「……目の前のエルフを、可哀想なものを見る目で見ています」

そしてエルフは女神フェチと。あるいはかぁいいものフェチ


しかしそれとは別にポピーの囮作戦も平行して行います。

エア「パーティ分割は危険の兆候じゃない?」

ジーク「ある意味、メッシュはいつも危険な奴だから。最前線においても、探索においても」

エア「あ、すごい説得力」

メッシュ「はっはっは、ハードボイルド・メッシュと呼んでください」

ポピーを見張るのはジーク、エア、ニゲラです。ノートンさんの調査はメッシュとイスミーの人外コンビ

イスミーにはスカウト技能はないので、ノートンさんの天幕を見張るメッシュを遠くから見張ります。

間にワンクッション挟むことで盗賊や密偵系の技能がなくても追跡・監視できる。ある意味伝統的な手法ですね。


ジーク「エアとニゲラの真ん中に立って、馬も気になるんだけど、
     彼女たちのほうがもっと気になるんだーという、莫迦息子を演じておこう」

メッシュ「くくく、よいですよ。英雄色を好む、その調子でございますジーク様!」

ニゲラ「色を好んだ英雄も多いと思いますけどぉ、
     色を好んでいる人が英雄かというと、そんなこともないんですよね」

エア「そうね、ニゲラ。あなた気の利いたことを言えるじゃない」

折角の両手に華状態なのに特に心情に変化のないジーク。仮にソラがいてもそんな感じっぽい。


一方メッシュはノートンさんの天幕から50mほど離れて監視。イスミーは更に30m離れておきます。

イスミー「旦那の観察日記を付けてやす。ルーンフォークは気になる存在」

この時"マナサーチ"を使ってみましたが、各天幕と本人達に魔法の反応がありました。

天幕の中のやつは<騎獣縮小の札>でしょうね。騎獣の調教師には必要不可欠な道具でしょう。


そうして監視をしていると夜半にノートンさんが天幕から出てきました。

メッシュ「やはりこちらが当たりだったようですね。うさ男に合図して、後をつけます」

《隠密判定》の達成値は14と低かったものの、一般人のノートンさんは気付いた様子はない。

そうして後をつけていると、やがて彼は村を出て森の中へ入っていきます。どんどん怪しくなりますね。


ところが森の中は村の狩場でもあったので罠が設置してあり、メッシュは《罠感知判定》で回避します。

GM「あ、イスミーも「罠感知」しておいてくださいね」

エア「失敗すると、ビジュアルが実にしっくりくる羽目に……」

イスミー「ひー、そんな殺生な!」

しかし〔第六感〕で《罠感知判定》のできる彼はこれを回避しました。流石はタビット、知力の塊。

基準値だけならメッシュより上ですしね。メッシュは10、イスミーは12もありますし。


そうして尾行を続けるとノートンさんは川を遡り、森の中の洞窟へと入っていきます。

手には途中の罠から外した得物を持ち、例の肉食の何かが潜んでいる可能性が非常に高いです。

メッシュは洞窟の入り口を慎重に調べて鳴子の罠を発見したのですが、入るとなると勇気が要りました。


メッシュ「私この洞窟に入りたくてしかたがなくなってるんですか」

イスミー「ミートゥー!」

メッシュ「好奇心ルーンフォークを殺す。わかってはいるのです……わかってはいるのですが!(悶絶)」

ジーク「メッシュの奴、遅いなあ。どこにいるんだ……って、なんであいつどんどん北上してるんだ!」

そういえばメッシュは<誓いのアンクレット>をつけているからジークには居場所が分かるんでしたね。

これで万が一に捕まっても居場所が分かる。うっかり死んだりしても遺体は回収してブレインウォッシュ。


ここでもメッシュは慎重に洞窟の中を覗き、《聞き耳判定》で様子を探ります。

ノートン「やあ。大人しくしてたか?そろそろお腹が空いただろう」

エア「ごらん。あそこのルーンフォークはおいしそうだろおおおお?」←脅かすな

メッシュ「ぎゃー!やめてください!今一瞬びくっとしましたよ!」

話を聞くにやはり何かを飼っている様子ですね。しかも低い唸り声が聞こえてきて余計に不気味です。

ちなみにこの洞窟の入り口はとても広い。ゲーム的にいえば複数部位でも入っていけるぐらいに。

よってイスミーが魔動バイクに乗ったまま侵入できますね。良かったですね、相手もデカイけど(笑)


イスミー「これは……何か、確実にやばいモノが中におりますよ、旦那!」

メッシュ「赤うさ、赤いくせに紫になってますよ

ノートン「よーしよしよし。いい子だなあ。もうしばらく大人しくしていてくれよう」

それなりにいい関係を築いているっぽい。そんなに危険ではないのか、大人しくしているだけなのか。


ところがここで彼らは大変なことに気付きます。ノートンさんの言葉が分からないのです。

ジーク「……つ、使えねえ!

メッシュ「そ、そんな、ここまできて使えない呼ばわりとは屈辱でございますよジーク様!」

エア「大丈夫よ、ポンコツ。使えるなんてはじめから思ってないわ!

ニゲラ「も、もうちょっと温かい慰めの言葉をかけてあげましょうよー」

エア「慰めてないから!(きっぱり)」

ニゲラ「うわーん!ぞんざいな上にいたわりの精神が希薄すぎるぅ!

一般人が普通に喋っているならフェイダン地方語でしょうしね。メッシュはセージ持ちなのに知らない。

ちなみにルーンフォークの初期言語は魔動機文明語と交易共通語。タビットは神紀文明語と交易共通語です。

ということはメッシュがデーニッツ家にいた頃は交易共通語で会話をしていたんでしょうね。

家族内ならともかく、近所の交易共通語を知らない一般人と話をする時とか困ったでしょうね。


さて、こうなると人外コンビとしてはどう振舞うべきか。

メッシュ「やばいですよ。彼は何やら怪しい言語で話をしています

イスミー「なんと!そいつぁ、蛮族の言葉でやすか?旦那」

メッシュ「……いや……汎用蛮族語なら、私にもわかるのです」

イスミー「てぇことは……もっとヤバイものの……」

うっかり言葉が分からないだけでこの始末。次にセージを上げたときには必修ですね。


やがてノートンさんは用事を終えたのか鼻歌交じりに帰っていきましたが、当然その歌詞も地方語。

イスミー「それを覚えておかねえと、扉とか開かねえんじゃねえですかい?
      歌がコマンドワードになってるてぇのは、よくある話でさあ」

メッシュ「貴方……鋭いですねえ」

イスミー「おいらも、様々な修羅場を乗り越えてきたもんで(にやり)」

ここまで大真面目です。そして真面目にその歌を覚えてジーク達の前で披露しました。

しかしそれは英語も分からないのに何となく洋楽を覚えてネイティブに聞かせるようなもの。


メッシュ「奴は怪しい言語を喋っておりました!」

ジーク「何だって!どんな言葉だ!」

メッシュ「は!このような言葉が、コマンドワードになっている可能性がございます!」←歌った

ジーク「わからんわー!なんだその、ほにょほにょした不気味言語は!(卓袱台返し)」

それでも怪しい洞窟を見つけたのは収穫ですね。ジーク組なんて何の異変もありませんでした。


★忘れられていた助っ人

朝になるとぞんざいズは全員で例の洞窟へ向かい、いつものようにメッシュが斥候として1人で入ります。

GM「では「隠密」の判定をお願いします」

メッシュ「む。……これは達成値14。しかし、この出目は危ない。<俊足の指輪>を割ります!」←2個目の指輪破壊

イスミー「そして、その破壊音で、中の何かに気付かれるんでやすか?」

メッシュ「そんなでかい音はいたしませんよ!」

ところが単純に達成値が足りていなかったらしく、中の何かは気付いていました。

洞窟に入ったメッシュは頭の上から何か巨大なものに圧し掛かられたのです。


ニゲラ「……割ったのに」

GM「上空から、ごろごろごろっという低い音が聞こえてきて……」

ジーク「甘えてる?」

GM「巨体が、ひゃほーい!という感じで、メッシュに突進してきます。
    一見、テラでっかいムーテス君。三部位くらいあります」

メッシュ「脱皮後とはいえ、育ちすぎでしょうムーテス!」

これは近接攻撃扱いです。ただし相手に害意はないらしく、不意打ちとかではありません。

それでも21と言って殴ってくる以上只者ではありません。メッシュは《カウンター》を宣言します。

現在のメッシュの命中力は15なので出目7で殴り返せますが、出目は4で普通に失敗。しかもMAXダメージ(笑)


イスミー「よかったじゃあねえですか!指輪の関係ない世界の出目ですぜ!」←3も足りないしね

メッシュ「下手糞な慰めをありがとう!さようならジーク様、
      靴下は箪笥の下から二番目に新しいのを買ってありますので!」←自分の心配をしろ

こいつのデータを見る限り翼による攻撃ならダメージは2D+9なので21点とかきますね。

メッシュの防護点は3点なので18点抜けました。まだ半分以上残っているもののメッシュだから心配

ちなみにこいつの命中力は10(17)なので、21というのは出目11。流石は秋田GM、さり気なく鬼ですね。


そうしてメッシュを捕獲した相手はメッシュの顔を嘗め回す

GM「ちっちゃい子が、お人形にするみたいな感じ。……抵抗する?」

メッシュ「うおお……白目を剥いてます。肉体にダメージがなくても、精神的なダメージが入っている気分です。
      ここは……下手に逆らうと危ない気がする、大人しくしています」

ジーク「ど、洞窟の前で待ってたけど、中からぼくっというすごい音が聞こえたぞ」

ニゲラ「靴下の替えを心配する声も聞こえた気が……」

そうしてジーク達も洞窟に突入。イスミーの"フラッシュライト"で相手の正体も判明、ドラゴネットでした。


前述通りにドラゴネットは10レベルの幻獣で竜の子供です。思考は幼稚で機嫌を損ねると大変です。

しかし知性は高いのでドラゴン語の会話は可能。胴体、翼×2の三部位で全身が《炎無効》です。

胴体は範囲に《火炎のブレス》を吐けますが、中には氷や雷、毒のブレスを吐ける亜種も存在するらしい。

翼は回避が−3になる代わりに打撃点+8になる《渾身攻撃》が可能。あとは御馴染みの《飛翔U》です。


騎獣としての適正レベルは10〜15レベルで、お値段は10万ガメルと大変お高くなっています。

騎獣の時は属性は個体毎に異なることを強調して《ブレス》となり、ライダー技能で達成値とダメージを求める。

翼による攻撃は《2回攻撃&双撃》として扱われ、1回の主動作で左右の翼が別々の敵を攻撃できます。


ジーク「ドラゴンの子供……うわ、初めて見た」

エア「その初めて見たドラゴンの赤子に、あんたの執事が頭から味見されかけてるんだけどね」

ドラゴネットは玩具を見つけた子供よろしく大変上機嫌ですが、このパーティにドラゴン語ができる人はいない。

ムーテスだったらネイティブなんですけどね。ソラも覚えてたし、よりによってなんでこの2人が抜けているんだろう。


ジーク「どうしようもないから、よーしよしよし、と虚しく宥めてみよう」

ニゲラ「ニゲラも、ジークさんの真似して逃げ腰にドラゴネットちゃんを宥めるー」

エア「すごいわ。仲間が二人抜けただけで、私たちまるっきり初心者パーティよ。それで、どうする?諦める?

イスミー「え、何をでやすか?」

エア「この子供ドラゴンと意思疎通を図るのを」

メッシュ「……び、びっくりした。私の命を諦められたのかと思いましたよ

しかし無邪気に遊んでいるドラゴネットちゃんを攻撃する気にもなれない。

洞窟内に攫われた騎獣の遺骸でもあったら別ですが、どうやらそういうものもなさそうだし。

やがてドラゴネットはぐったりしたメッシュに飽きたのか放り出します。良かったですね、首とかもがれないで。


ぞんざいズはノートンさんがドラゴネットを隠していたことを知ったわけですが、犯人とは考えがたいようです。

ニゲラ「ノートンさんは捨て猫拾ってきて隠して育ててる……
     っていう程度の後ろめたさしかないみたいに見えるのですけれどぉ……」

イスミー「捨て猫のグレートさはこの際置くとしやして、おいらも同感でさあ」

詳しく話を聞く必要はあるでしょうが、それならドラゴネットとも会話できたらいい。


そこで彼らは考えました。今この村にドラゴン語を話せる人はいないのかと。

ジーク「天馬騎士のジャスティ!あいつ少なくとも
     ペガサス乗りのライダーだよな!あいつ、ドラゴン語話せるんじゃないか?」

エア「きっと高貴な授業を受けてるに違いないわ!……ドラゴン語がノーブルかどうかはわかんないけど!」

メッシュ「ムーテスとソラが習得してるという一点で、ノーブルなはずはないでしょう

ジーク「そうだな」

そうと決まれば村までダッシュです。ジャスティは水辺でケルピーを愛でていました。


ジーク「おう、ジャスティ!お前なんでこんなところにいるんだ。早く国に帰れ!」

ジャステイ「何いってるのよ、騎獣の村があるっていうなら、見ていかないと失礼というものでしょう!(握り拳)」

メッシュ「つまり観光旅行と」

ジャスティ「否定はしない。っていうか、なんで貴方たちがこんなところにいるの。こんにちは、お久しぶり

ニゲラ「順番間違ってるけれど、礼儀正しい方です……」

騎士団の偉い人なのに、いつまでも留守にしていていいものか。本人は隠していますがお姫様だし。


ニゲラ「お知り合いですかぁ?」

ジーク「うん。アイヤールのお姫様」

ニゲラ「えええっ!」

ジャスティ「そんなことは一言もいってない!」

と言いつつペガサスがジークに向かって騎芸"トランプル"をかまします。

5レベル以上で習得できる騎芸であり、騎獣で駆け抜けて進路上の全てのものに近接攻撃を行います。

形状「突破」という「ルールブックV」で追加されたもので、乱戦エリアもぶっちぎるが全力移動扱いとなる。


ジーク「で、何かお眼鏡にかなった騎獣はいたか?ていうか。ドラゴンとかどうだ?」

ジャスティ「ドラゴン?もしかして……ここにいるの?そしたら即金で買う!

ニゲラ「もしかして、乗れるんですかぁ?」

ジャスティ「ごめん。それには1レベル足りない……あと一歩だから、どっかで経験点稼いで帰るわ」

ということはライダー9レベルですね。ペガサスライダーなので"空中騎乗"もあるでしょうね。

あとは"大型制御"ですが、もし今習得していなくても10レベルになった時に覚えればいいでしょう。

10万ガメルをポンと出せるあたりやっぱりお姫様なんですね。一国の騎士団長だとしてもお金はあるだろうし。


エア「って、忘れかけてた!本題、ドラゴン語は喋れる?喋れなければ、早く国に帰れ

ニゲラ「エアさん、ぞんざいな仲間たちを、ことあるごとに責めてるけど、実は結構自分もぞんざい……」

エア「ちがう!心に余裕がないだけ

ジャスティ「うん。喋れるけど?やっぱりいつかは目指したいじゃない。ドラゴンライダー」

エア「じゃあ、来なさい。ドラゴン語のスペシャリストの真髄を見せるのよ!」

GM「いえ、べつにライダーだからといって、スペシャリストというわけでは……」

とにかくこれでドラゴネットとの交渉役も確保。あのまま忘れ去られていたらどうなってたかな。


★ノートンさんのお宅にて

ジャスティを確保したところで、次はノートンさんを問い詰めることにします。

メッシュ「では、ノートンの天幕にお邪魔して中で夕食を食べていましょう」

ニゲラ「人様のお宅で!

エア「別に家の台所で食事を作るわけじゃないから。自分たちの持ってる保存食を食べてるだけ」

天幕だから鍵もかかってないし、入りたい放題ですね。普段は必要ないぐらい顔見知りしかいないんでしょうけど。


すると帰宅してきたノートンさんは愕然。ていうか通報されてもおかしくない、官憲とかいそうにないけど。

ノートン「な、何なんだ君たちは!」

一同「おかえりなさーい!」

エア「ささ、どうぞ中へ。狭くてむさくるしいところですが

ノートン「あんたが言うなー!」

この時点では常識人なのはニゲラのみ。うさぎはとっくに馴染んでいる始末。

かつては風紀委員だったお姉ちゃんもいつのまにこんな事になったのやら。


ジーク「さてさて……かわいいっすね。……ドラゴネット。
     もうちょっとでうちの使用人が食べられるところだったんだよなあ。
     慰謝料は誰に請求すればいいんだ?」

ニゲラ「いきなり恐喝したぁ!

ノートン「そ、そんなことっ、そんなことするわけないですよ、あの子はあんなに可愛くて素直で……は!」

メッシュ「ちょっとねえ、こんなところに野良ドラゴネットとかいると、やばいのですよねえ。
      冒険者の流儀としては退治しないといけないのですが……」

ノートン「ああーっ、それだけはっ、それだけはやめてください、あんな貴重な子を!」

もうこうなればノートンさんも言い逃れはできません。どんどん白状していってしまいます。

まず何処であの子を見つけたかというと、北の砂漠でひとりぼっちでいるところを保護したらしい。

親か飼い主と逸れた迷子なのか、途方に暮れていたそうですが、人間に慣れているのは確かです。

そうでなければテイマーとして未熟なノートンさんが面倒をみれるわけもない。それが二ヵ月半ほど前のこと。


イスミー「その時点で、村に報告するという思考は働かなかったんで?」

ノートン「だ、だって……わたしは調教師としては未熟ですから、
      村に報告なんかしたらドラゴネットの世話なんて任せてもらえるはずないですよ。
      一度でいいから、ドラゴンを育ててみたかったんです!」

ちなみに名前はミニというらしい。確かに竜としてはミニサイズだけど、それでも三部位は人間よりデカイ。

犬にチビとかつけてもすぐでかくなるのに似ていますね。人間も動物も命名は大きくなってからのことを考えろと。

あとエサはワイバーンと同じぐらいは食べさせていますし、ノートンさんはミニが騎獣を攫った犯人とは考えていません。


そうなるとあとは本人に話を聞くのみ。ジャスティとノートンさんを連れてミニの洞窟へ向かいます。

ジャスティ「わぁ、ドラゴネット!」

目を輝かせてミニと「がうがう」と通訳してみると、確かに複数回外へ出ていると証言しました。

狩りではなく、子供らしく遊びに出かけているらしい。洞窟の中に篭りっぱなしでは無理もないか。

ノートンさんは自分が留守の時には外出してはいけないと言ってあったんですが、完全に制御できてはいないらしい。


メッシュ「ドラゴネットは「け、無邪気な縁起は骨が折れるぜ」的な表情はしてないですか?」

流石にそう露骨な顔はしていません。ミニが嘘をついている可能性を疑っているんですね。

知性があれば嘘をつく可能性はある。人間の子供だって嘘をつく、無邪気だからといって正直とは限りません。


ジーク「じゃあ、ワイバーンって知ってるか?」

ニゲラ「お外で怖いモノに会ったりいてない?」

ジャスティ(通訳)「わいばーん?よく知らないけど……怖いモノになんて会わないよ。優しい人になら会うよ

ニゲラ「それはなぁに?」

ジャスティ(通訳)「いいこいいこしてくれてね。素敵なものをくれるの。ほめてくれるの」

いきなりホラーな雰囲気になってノートンさんも蒼白。彼の知らない所で事件に関わっているのかもしれない。


イスミー「で、その優しいのは、どんなお人なんで?」

ジャスティ(通訳)「大きい人なの。水の中にいるの

色々特徴を聞いてみると、どうやらそいつはメルビズらしい。


メルビズは10レベルの下位魔神です。身長2.5mで緑色の鱗と背びれを持っています。

上半身(コア)と下半身のニ部位で、《水中適性》を持ち水中での移動速度は20という半漁人っぽい魔神です。

上半身は《2回攻撃&双撃》と《酸の唾液》の能力を持ちます。特に《酸の唾液》は地上と水中で効果が違ってきます。

地上では1体に対して毒属性の物理ダメージを与えつつ、1発毎に鎧の防護点を1点減少させ、0になると破壊されます。

水中ではメルビズを中心とした範囲に対する必中攻撃となり、地上のそれより威力の劣る毒属性の物理ダメージを与えます。


フォーセリアではロードス島の「魔神戦争」の時にスカード城の地下に現れましたね。フラウスに殴られてたのが印象深い。

何となく「深きもの」っぽいビジュアルをしているイメージがありますね。ラクシアにも現れたか、しかも結構強敵。

何しろ水中だと色々ペナルティも入るので非常に戦いたくない相手です。地上に引きずり出す策が欲しいものですね。


ちなみに河川や運河から街に侵入するのを得意としており、このルーフェリアでは活動し放題の恐ろしいやつです。

しかしこのカラハでは河口に水棲の騎獣を飼っています。そのせいで湖には侵入し難くなっているのが幸いです。

どうやらこのメルビズはそれを取り除く為にミニを利用し、水棲の騎獣を襲わせていたと思われます。

ミニも「ぬるぬるぴちぴち」したものを連れて行くと褒めてもらえたと証言していますし、全く悪意なく事件に関わってます。

最初の方に馬とか攫っていたのは上手く意思疎通ができていなかったから。7匹の失踪はメルビズの試行錯誤の賜物だったのですね。


ちなみにメルビズは竜であるミニの持つ光物を収集する癖を利用し、宝石やメルビズの戦利品<翡翠の鱗>を与えていたらしい。

イスミー「ドラゴネットの坊やを手懐けるために、身を削ったと!」

メッシュ「涙ぐましいですな。「イタ、イタタ」とか言いながら、綺麗な鱗を剥いでいる魔神の姿……」

ニゲラ「想像すると涙が出ます。……笑いの」

ちなみに<翡翠の鱗>は1600ガメルとかするレアな戦利品。ニゲラならSランクカードにできますね。


しかしこうなってしまうと、やはりミニのことはノートンさんだけに任せてはおけませんね。

ニゲラ「この子が未熟な貴方に育てられて、うっかりと歪んだ育ち方をして……
     人間を襲うようになったら、責任取れるんですか?」

エア「蛮族をうっかり襲っちゃって、村がその報復に……とかいう可能性だってあります」

他の人に預けられてしまう可能性はありますが、それはミニのためを思えば仕方のない事です。

ぞんざいズがメルビズを倒せれば事件の犯人として追及されるのは何とかなるかもしれないし。


ニゲラ「この子の幸せのためなんですよー?それに、ドラゴネットは長寿ですから、
     貴方が成長するまできっとミニちゃんは待てると思うんですけど……。
     ずっとここにいさせると、やっぱり危険な幻獣ってことで討伐されちゃう可能性だって」

ジーク「すごい、はじめてまともに情に訴えるって手段を見た気がする

イスミー「台無しですぜ、兄貴」

それに今ならジャスティがいます。彼女がミニを身請けして本国に連れ帰ればいいのです。

その際ノートンさんも同行し、調教師としての腕を磨きながらミニとの約束を果たす日を待つのです。

一応本国に一流の調教師がいるみたいなので、その人に弟子入りすれば将来は皇室御用達の調教師です。


ジャスティ「調教師として未熟な間は、やっぱり下働きになると思うけど、それでもいいなら」

ノートン「もともと私は遊牧民の末裔です。暮らす場所はどこでも構いません、面倒を見る馬や騎獣がいれば十分です」

お姫様の鶴の一声で結構いい条件で進路が決まりましたね。調教師として最高の環境かもしれません。


では問題のメルビズをどうするかですが、これは堰を作って川の水を引かせる作戦を取ります。

イスミー「ドラゴネットの坊に協力してもらやあ、すごい勢いで堰を築く材木を集めてくれるかもしれやせん」

エア「そして、干上がった水の上で、ぴちぴちしているメルビズを叩く!いける!」

GM「言っておきますが、ぴちぴちはしないと思いますよ」

しかしいい作戦です。水中でまともに活動できるのはエアぐらいですしね。


ただし堰を作る作業をミニに手伝わせるのにも一苦労。テイマーもライダーもレベルが足りてません。

GM「キラキラちょーだい、っておねだりしてますよ」

ジーク「大丈夫、このお姉さんが後で山ほどくれる」

ジャスティ「無茶いうなー!あんただって耳に宝石付けてるじゃないの!」

ジーク「これは今から使うんだよっ!」

竜は光物が好きなもの。これはフォーセリアはおろか、北欧神話やゲルマン神話のファフニール以来の伝統です。

もしかしたらもっと前からそんな習慣を持った竜がいたかもしれない。それがラクシアにも受け継がれていると。

フォーセリアの竜はカストゥールに宝を守らされていたことから、光物を集めるのが習慣になっているという設定でした。

それではこのラクシアの竜達は何故光物を集めるのか。もしかしたら何か重要な秘密があるのかもしれません。


★決戦&そして……

ミニの協力もあって短時間なら水をせき止めておけそうな堰ができました。

実際の戦闘が仮に20ラウンドかかっても200秒ですしね。そんなに立派なものは要らない。

下手したらメルビズを見つけるまでの方が時間がかかる。傍観者からしたら戦闘なんてあっという間ですね。

「ガープス」だったら1ラウンド=1秒と本当にあっという間ですし、最早漫画のような世界です。


ぞんざいズはジャスティをノートンさんとミニの護衛に残し、メルビズを捜しに川を降ります。

するといきなり水嵩がなくなってしょんぼりした様子で立ち竦むメルビズの姿がありました。

ジーク「なんだよその、物悲しい風景は!」

未練がましく水を体にかけていたり、なんだか悪いことをした気になります。

まぁ魔神は高い知性を持つが精神構造が異なるということですので、その真意はよく分かりませんけどね。


それでは新メンバーになって初めての戦闘ですね。メルビズの先制値は16、メッシュなら期待値で取れますが。

メッシュ「……ふ。それならあまり怖くは……。(ころころ)14。……(沈黙)……ぱりーん!

イスミー「ちょっと待ってくだせえ、そいつは本日三回目の指輪では!」

メッシュ「ふははは!形あるものはいつか滅びる!すなわち、指輪は壊れるために存在するのですよ!」←哲学である

一応ニゲラは賦術"イニシアティブブースト"を持っているんですが、今回は使いませんでしたね。

これは《先制判定》の達成値を上昇させる賦術で、Bランクで+1、Aランクで+2、Sランクで+4の効果がある。

壊すこと前提なら指輪よりこっちの方がいい。何しろ200ガメルで購入できるAランクで+2ですもんね。

しかもSSランクだと自動的に先制を取れるという凄いもの。お金で安全を買うと割り切ってしまえばいいかも。


1ラウンド目

エアが"フィールド・プロテクションU"を唱えます。これで大抵のダメージを−2、ただし毒属性の《酸の唾液》には無効です。

続いてイスミーは実は高性能魔動バイクだった「シフェナ」の《グレネードランチャー》を発射します。

威力30+11点の爆撃は抵抗されながらも8〜9点を通し、続けてイスミーは自前で"グレネード"を発射します。

こちらは5レベルの魔動機術、魔動バイクのそれと同様に威力30で炎属性のダメージを与えます。

これが9〜10点を通しました。抵抗しても両部位を20点近く削りましたよ。魔術師とは一味違う魔動機師の攻撃でした。


ちなみにメルビズの素のHPは75点と62点です。<剣のかけら>が5個ずつ入っていれば+25点ずつですね。

続けてニゲラが"キャツアイ"を入れつつ、<チェイン&シックル>の絡み攻撃を下半身へ使います。

これでニゲラの命中力は推定15、それで達成値25とか出されたら回避力11(18)では回避できない。

これで23点となかなかのダメージを与えますが、ここからが絡み攻撃の面白いところです。絡み状態となりましたね。


絡んだのならまず絡んだ部位をランダムに判定します。今回は「特殊」なので尻尾に絡みついた事になりました。

「特殊」は人間にはない器官に絡んだ場合です。対象が行う判定には−2のペナルティを受け続けます。

しかも絡んだ状態では移動できないので逃げられない。もちろん脱出する方法はありますが、それはまたその時に。

なお絡める部位は任意に選ぶこともできますが、その場合は部位毎に決められたペナルティで《命中力判定》が必要です。


メッシュは果敢に《投げ攻撃》をしますが回避。《ファストアクション》でもう1回やってもやっぱり避けられました。

続けてジークがおニューのメイスで上半身をぶん殴ります。実は下半身が《攻撃障害》を持たないので普通に攻撃できる。


これなら楽勝かと思われましたが、ここでメルビズは口笛のようなものを吹きます。魔神も吹けるんだ。

ジーク「まさか……ドラゴネットを呼んでるとか?

メッシュ「ははは、そんなバカな」

GM「あたり。空からばさばさと大きな羽の音が近付いてくるかもしれません」

ニゲラ「ええっ!本当に!?」

ジーク「お前くんなー!飼い主何やってんだー!」

所詮テイマー技能のレベルが足りてませんしね。ジャスティもレベルが足りていないし。

それが補助動作だったので、上半身は《酸の唾液》をイスミーに発射して革鎧の防護点を減らします。

下半身は絡み状態のまま攻撃しますが失敗。−2入ると命中力は10(17)ですから仕方ないか。


2ラウンド目

ニゲラの攻撃が当たるものの、主従の《投げ攻撃》と《魔力撃》が揃って失敗。メルビズは生き残りました。

ドラゴネット参戦フラグが立ったことで後衛のイスミーはエアを魔動バイクに乗せて移動できるようにします。

これは「ふたり乗り」という状態になり、本来なら騎手を含む同乗者は全ての行為判定に−4のペナルティ。

しかも同乗者は騎獣から降りるという選択以外に主動作ができなくなるので本当に乗っているだけになる。


ところがイスミーは騎芸"タンデム"を持っています。これだと−4のペナルティが入らなくなるのです!

しかも同乗者であるエアは片手で体を支えながら主動作が可能。ただし片腕が使えないので−2は入る。

それでも味方に回復魔法を使うだけなら、どんなに達成値が低くても発動すればいいので問題なし。


エア「達成値が必要な魔法は、補助動作で飛び降りる」

イスミー「かっこいいでやすね。走行中のバイクから飛び降りるエルフ

エア「やりたくはないけどねー」

本当は同乗者が騎獣に乗り降りするには主動作が必要です。例えライダー技能を持っていても。

騎手の方は乗るには主動作が必要ですが、降りる場合は補助動作でいい。流石にいい事ばかりではないんですね。

それでも移動力の低いイスミーにはありがたい存在ですね。今回もこうしてエアを連れて逃げながら戦えるし。

ちなみにドラゴネットの空中の移動速度は25です。高性能魔動バイクが50なので接近されることはまずない。


それではメルビズの行動ですが、ここで絡み状態から脱出する為に引っ張り合いを発生させようとしました。

これは文字通り絡み武器を引っ張りあう状態で、冒険者+筋力(魔物は生命抵抗)で勝負します。負けると転倒。

ニゲラの基準値は11で、メルビズは13です。しかし複数部位の場合、部位数がボーナスになるので15になる。

基準値の差は4にもなるのでニゲラは引っ張り合いを諦め、絡み武器を手放す。でも絡んだままになります。

これでメルビズは絡みの効果は受け続けるが、移動する事は可能になりました。武器を持ち逃げされる可能性がある。

ただこの場合「それを試みようとしたものは、自動的に絡みを解くことができます」という記述もあるので疑問が残るけど。


そしてドラゴネットのミニが参戦。痛くした人に反撃するという設定です。メッシュにじゃれかかりました。

これでメッシュは一回攻撃を受けるものの、もう一回には《カウンター》を炸裂。ミニの目は野生に戻ります

これでムカっとしたミニは乱戦エリアにブレスを発射。メルビズ含む全員が炎を浴び、抵抗に失敗したメルビズは大ダメージ。

メッシュも毎度のことながら抵抗に失敗してHP7点と危険が危ない。ジークは<陽光の指輪>を割ってニゲラと一緒に抵抗。


3ラウンド目

まずエアが全員に"キュア・ハート"。イスミーは味方を回復させるか、メルビズを仕留めるかは、前衛の成果で判断します。

GM「ちなみに、メルビズは上半身は結構喰らっていますが、下半身は元気です

メッシュは少しでもダメージを与えようと殴りかかるも回避。ニゲラは武器を<レザーリボン>にして攻撃。

ジークは《マルチアクション》の"カオスショット"が6ゾロの上に回りましたが、メルビズを倒しきれません。


この時ニゲラはミニの牙に賦術"クラッシュファング"を補助動作で使用。物理ダメージを減らしにかかります。

こちらはBランクで−1点、Aランクで−2点、Sランクで−5点、SSランクだと−10点にもなります。

今回は補助動作でSランクを使ったのでこのラウンドのみ物理ダメージ−5点。多少はマシになりました。


ちなみに賦術は主動作で使う場合と補助動作で使う場合があり、ニゲラは大抵補助動作で使いつつ攻撃します。

これだと達成値は0扱いなのでほぼ確実に抵抗されますが、抵抗が短縮の場合は1ラウンドは効果を発揮します。

味方にかける場合や抵抗前提の場合は補助動作ですね。主動作だと達成値を求められる上に対象を拡大することもできます。


ニゲラ「でもまだ下半身は立ってるんですよね。倒しちゃえば、当たりやすくなるのかなあ」

イスミー「……なんか。わかってるんでやすが、さっきから戦闘の会話が微妙に……」

GM&ニゲラ「だまれ!」

メッシュ「下半身が立っているとか絡んでるとか……」

部位名がそうなっているから仕方ない。攻撃方法で尻尾と鉤爪と呼び分けることもできますがね。

そうこうしているとメルビズにトドメを刺そうとしたイスミーの弾丸はハズレ、やはりメルビズは生き残った。

ところがメルビズは絡み攻撃を嫌がってニゲラに攻撃するも、《酸の唾液》は〔運命変転〕で回避、尻尾も回避。


続けてミニは牙でメッシュを攻撃し、メッシュは《カウンター》で迎え撃つも失敗しました。

メッシュ「……足りません、こうなったら指輪を割ります!」

エア「ちょっと、ちょっと!」

確かにそれなら殴り返せるし、今攻撃を受けたら《生死判定》だからそうしたい気持ちは分かる。

しかしこれだと次の翼の攻撃もメッシュに向かう事になり、《渾身攻撃》となればより深刻な状態で《生死判定》かも。


今攻撃を受ければ次の攻撃は他の人に行く可能性がありますが。

メッシュ「よければよかろうですよ!」

ジーク「……エア、何か考えてるか?」

エア「多分ジークと同じことじゃないかな」

ジーク&エア「「このまま喰らって倒れておけばいいのに」」

GM「ハモった」

結局殴り返したメッシュは右の翼の《渾身攻撃》に晒され、またも《カウンター》に失敗して24点とか喰らいます。

《渾身攻撃》だと2D+17点ですが、防護点がエアの魔法を入れて5なのでMAXでも24点の適用ダメージという訳です。


メッシュ「カモン。今度は避けます」

これが17といい感じに低い目でした。これなら回避力12のメッシュは出目5で避けられますね。

しかしそこはメッシュ、よりにもよって出目3で命中しました。指輪もさっき割ったからないはず。


ニゲラ「ええええっ!」

ジーク「メッシュ、生きてるか」

エア「マスターの優しい気持ちを踏みにじったわけね」

メッシュ「くそー!もう優しさなどいらぬ!ダメージをください!」

これでまたも6ゾロのMAXダメージで24点削られました。HPは−15点で《生死判定》です。

生命抵抗力が11なので出目4以上で生き残りますね。まぁ何とかなりそうな数値ではあります。


ところがそこで運命をダメな方に引っくり返すのがメッシュでして。

メッシュ「そう。あーびっくりした……。(ころころ)……って、ええええっ!」

一同「げ!」

メッシュの出目は……3でした。1ゾロではないけど、3。つまりメッシュ死亡確認!


イスミー「……奇跡の兄貴と呼ばせてくだせえ」

さっきのブレスで<消魔の守護石>使っとけ、という意見もありましたがやり直しは効きません。

ニゲラの"クラッシュファング"がどちらかの翼にも入っていたら、というのは結果論でしかない。

あの牙のダメージは2D+14点、Sランク"クラッシュファング"が入って翼と同等という強力なもの。

そこに修正を入れるのは当然の判断ですし、補助動作で使いつつ攻撃するのもメルビズを倒す戦略上当然のこと。


GM「……ここでなんで、6ゾロ出すかな、わたし……」

故メッシュ「ここでなんで、3を振るかな私……。ていうか、私もこれで、皆さんと同じ新キャラも同然ですよ」

イスミー「まさしく、新展開開幕!」

故メッシュ「くそー!今回の買い物で<真・ブラックベルト>を買っておけば生きていましたよ!」

GM「購入迷ってましたよね。そういえば」

ニゲラ「たかが1点。されど1点……としかいいようが」

これは通常の<ブラックベルト>に更に+1点、計2点防護点を増やすもので、グラップラー技能が3レベル以上必要です。

特殊装備なのでお値段2万ガメルに加えて名誉点が80点必要となりますが、今のメッシュなら買えたんですよね。


気を取り直して4ラウンド目にジークの《マルチアクション》でメルビズは倒れました。

ジーク「くそぉおお!あとちょっとで動きを止められるはずだったのに!」

メルビズが倒れたことでミニは大人しくなり、ジャスティもやってきます。


ジャスティ「大丈夫だった?急にドラゴネットが暴れだして……」

ジーク「抑えてろよ!」

ジャスティ「しょうがないじゃない、見逃さないとノートンが乱戦エリアに巻き込まれるところだったんだから!」

ペガサスと合わせてニ部位だから止めること自体はできたんでしょうけどね。位置がまずかったかな。


そのジャスティもメッシュの惨状を見ればそれ以上何も言えません。

ジーク「ちょっと混乱するなあ。死ぬ死ぬ言いながらも、まさか本当にメッシュが死ぬとは思ってなかった。
     ガキの頃から一緒だったし……ドラゴネットに涙目で言うぞ。
     「これ、おまえやった。これ、おまえやった」身振り手振りで」

エア「それは、ドラゴネットに後始末をしろってことのような……」

ジーク「うわああっ、死体を食うなああっ!」

喰わずの殺生はいけない、という野生動物らしいルールですね。


イスミー「そうでやす、そんなモノに食わせるぐらいなら、せめておいらに解剖させてくだせえー!

ジーク「あほかー!」

ニゲラ「ニゲラ泣きそうです。さすがに、会ったばかりとはいえ、変な人とはいえ……

本当に新メンバーにもショッキングですよね。仲間になったばかりの人がいきなり死亡とか、ドラマチック過ぎる。

とりあえずメルビズの死体は事件の犯人として確保。ミニはジャスティが確保し、ノートンさんと一緒にアイヤールへ。

失踪した騎獣達の死骸は、どこぞのホラー小説よろしく重石をつけて川底に沈んでいたのを発見。一応の解決は見ました。


ルーンフォークは穢れがたまらないので、神官であるエアも強くは反対しなくていいのですが。

ジーク「いや、何とかならなくても……ここに<蘇生無料券>が二枚……くくく」

エア「それはゼルブリスにいかないと使えないでしょうがー!」

しかも魔改造つきで。いっそガン○ンクみたいに下半身キャタピラにするとか、早い・安い・奇抜な改造を望む(コラ!)。


故メッシュ「よいのですよ、ジーク様。新しいルーンフォークをお雇いください」

エア「ああ、弟の従者とか」

ジーク「…………。……メッシュにかわるじゅうしゃなんていないぞっ(棒読み)」

メッシュ「なぜそこで一瞬沈黙したのです、ジーク様!そして、さらになぜ棒読みなのですか!」

まぁ蘇生については前向きに考えることになりそうですが。


ジーク「くそー。ニゲラ、お前のお父さんがいれば、
     きっと庇ってくれてメッシュはしななかったんだぞー。……と、八つ当たり」

エア「しかも、勘違い」

ニゲラ「がーん!お父さん……いつのまに《かばう》を習得していたの……」

新章が始まって早々にショッキングすぎる出だしとなりましたね。

それでも新メンバーとなったぞんざいズの冒険は始まったばかりです。


第二十話 も一度人生を始める方法

今回のキャラクターシート


今回の能力値の成長は以下の通り。

ジーク:敏捷度21→22

エア:知力20→21

メッシュ:敏捷度18→19

ニゲラ:生命力19→20

イスミー:知力25→26

申告がないので今後のデータから推測したものになります。技能の成長は無し。


★おはようメッシュ&……。

前回衝撃の死を遂げたメッシュの遺体には蘇生を視野に入れてエアが9レベル神聖魔法"プリザーベイション"をかけました。

レイクリスの時にも少し触れたことですが、蘇生をすれば穢れがたまり、死後の日数によってリスクが増します。

ところが"プリザーベイション"で腐敗を止めてしまえば以後の経過日数は穢れ表上は数える必要がない

ただし目標値は経過日数となり、こちらには"プリザーベイション"の効果がないので蘇生は早いに越した事はない。

フォーセリアの頃も経過日数で目標値が上がり、それに伴い金額も上がるため、それを抑える役割を果たしていた魔法ですね。


あとはその蘇生の魔法"リザレクション"が使える7レベル以上の操霊術師が必要ですね。

これについてはリッタさんがこっそりと紹介してくれました。その操霊術師がなんとあのモーブ君だったのです!

ジーク「なんだ、遠慮する必要ないじゃないか。押しかけるぞ!」

エア「モーブ!その毛並みのお腹に顔を突っ込ませなさい!

イスミー「姐さん、タビットなら本当に誰でもいいんでやすなあ」

ぞんざいズは懐かしのリビの村へ急ぎました。メッシュの遺体は戸板に乗っけてポピーに引きずらせて爆走しつつ(笑)


そして覚えのある家に行くと懐かしい顔が。あれから1年近く経っているらしいし、文庫的な意味でも久しぶり。

モーブ「おやぁ、みなさんお久し振りです。ご無事で何よりですよー」←1人無事じゃない

エア「……ていうか、あなた7レベルになったんだ」

モーブ「はい。お陰さまでみっちりと修行しなおしてきました。
     ……まあ、弟はかなり適性が高かったらしくて師匠に気に入られてまだカイン・ガラに残ってますけど」

これについては「フェイダン博物誌」でちょっと触れられています。ちょっとした有名人になっているらしい。


ジーク「あ、そうだ!モーブ、メッシュを生き返らせてやってくれ!ちゃんと金は用意してきたから!」

イスミー「無理だったら、おいらが責任もって解剖しやすんで……

ジーク「すんなっつってんだろ!」

モーブ君はぞんざいズに恩がありますから、蘇生そのものはすぐに行ってくれます。


モーブ「わかりました。じゃあ、どっちからにしようかなあ……」

ニゲラ「は?どっち……って、先客がおいでだったんですかぁ?」

モーブ「ええ、そうなんですよ。でもまあ……こっちは依頼人がいるわけでもないし」

そう言いつつ彼はぞんざいズを以前ゴーレムがいた地下室へ連れて行きます。あまり表沙汰にできない魔法ですからね。

そこには既に別の遺体が横たわっていました。問題はその顔がメッシュと同じ、パジャリガー・セカンドの遺体でした!


一同「嘘おおおぉっ!」

故メッシュ「なんですか、これは!シンクロニシティですか!

エア&ジーク「ぶははははは!死んでるしー!」

ニゲラ「すごい、メッシュさんと同じ顔ですー!」

イスミー「二つあるなら一つはおいらがもらっていいでやすか?」←いいわけないだろウサギ

この導入は前回には既に考えられていたらしく、そこでメッシュが死んだのは本当に偶然。間違った方に奇跡の男です。


モーブによると、彼は村の外れで墜死しているのを発見されて大騒ぎになったそうです。

所持品として高価な指輪を持っていて、これを報酬代わりに蘇生してあげようとしていたらしい。

ルーンフォークだから蘇生しても記憶が飛ぶだけで穢れはたまらないし、嫌だったら拒絶されて終わりですからね。


モーブにすればMP20点がコストとしてかかるだけだし。

故メッシュ「通りすがりの辻リザレクションはご遠慮ください」

モーブ「何しろ身形が戦士風ですし、この世に未練を残している可能性も大きいかと思いました。
     ……それに、見捨てるには、知った顔過ぎて心苦しくて……

主従「……お世話を掛けます」

こっちはこっちで何があったのやら。1年間の記憶が消えるから覚えていないでしょうね。

それどころかジーク達の事も覚えていない。1年前はまだゾンビ事件の頃ですからメッシュはムーテスの事も忘れている。

それでも技能や経験点が減少する訳ではない。技能は記憶に基づいているわけではないということですかね。

ということはメッシュからしたら気付いてみれば急激に強くなっている事になりますね。ちょっとお得な気分。


墜死したという件については不可解です。何しろ現場にはそういう高い建物がない、カイトさんの事件とはそこが違う。

それなら何らかの方法で飛行中に墜落した可能性があります。彼は戦士なので魔法で飛んでいた訳ではないでしょう。

そういうアイテムも持っていなかったそうです。それなら空飛ぶ乗り物から落ちた可能性が高いでしょう。

ただし彼にはライダー技能がなかったので、誰かに乗せてもらっていたか、何かにしがみ付いていたか。


彼が持っていたという指輪については《宝物鑑定判定》をすると1万5000ガメルの価値がありました。

それなら5000ガメルほどお釣りがきますね。マジックアイテムでもなく純粋な装飾品ならかなりの値打ちモノです。

指輪の内側には「我が心の花嫁へ」と彫られていたので、アイシャへプロポーズする時の婚約指輪として用意したものでしょう。


イスミー「え、それじゃあ……その指輪を持ったままってことは」

ニゲラ「思いっきり振られた?

イスミー「ってこたぁ……そいつぁいけません!男の情けとして、生き返らせちゃあなんねえ!」

自殺だとしてもこんな凝った死に方は異常ですが、嫌なら拒否するだけなのでやるだけやってみたらいい。

もし本人が過去を忘れて生きていくことを選んだのなら、それはそれで生き返ってきてめでたしめでたし。


ということで結局二人とも蘇生させます。まずはメッシュが蘇生、びっくりするぐらいすんなり蘇りました。

フォーセリアだと蘇生後は一日安静でしたが、こちらにはそういう制限がない。一応一日は安静としましたが。

ジーク「しょうがない。目を覚ますまでは枕元にいてやるか。……おっと、こっちパジャリガーだった

エア「ひどすぎる!(笑)」

折角のチャンスだから遊ばない手はありませんしね。


メッシュ「おはようございます、ジーク様。何だか急にご成長なさった上に、
      立派な鎧を身につけられて、一体どこからパクっておいでになったので」

ジーク「メッシュ、お前も自覚はないだろうけど、成長してるんだよ」

ここからのメッシュはゾンビ事件までの記憶しかないとして振舞わねばなりません。

例えプレイヤーが知っている事でも、例えその結果不都合が生じようとも、知らない振りのロールプレイです。

モンスターとの戦闘で《魔物知識判定》に失敗してデータを知らない振りをすることがありますね。

それはそれで難しいものだけど、こちらは常時そう振舞わなければならないので別の難しさがありますね。


メッシュ「(ニゲラに向けて)やあ、ソラさんもおはようございます。
      おや、イメチェンされましたか?何だか急にがっちりとなさって……

ニゲラ「……とりあえず、物も言わずに足を踏みますー」

エア「きっと、メッシュの知ってるソラと、実際のソラにははるかな隔たりがあるんでしょうね。
    でもそれを説明するのも面倒くさいので、ニゲラ、あなたは今から私の妹です!

ニゲラ「えええーっ」

実際ソラは1巻と6巻ではかなり変わりましたしね。最初は魔法使いっぽかたのに、気付いてみれば魔法戦士だし。


イスミー「姐さん、そいつは無茶ってもんでしょう」

メッシュ「おやおやジーク様。いつの間に非常食を手に入れられましたので?」

イスミー「ぎゃー!」

ジーク「メッシュ、お前は忘れちまったけど、俺たちは成長してるんだよ」

メッシュ「はっはっは、ご冗談を

ニゲラ「メッシュさんは日記とか付けてなかったの……?」

エア「こいつがそんな男に見えると思う?ぞんざいの代表格よ」

その"ぞんざい勇者団"というパーティ称号すら忘れちゃってるんですよね。でも名誉点には影響なし。


蘇ったのはいいけど、あまりのウザさにエアが決断を下します。

エア「……わかりました。このままでは超うざいということがわかりました。
    カナリスに戻ったら、一度バトエルデン大司教にかけあってまいります」

ジーク「え、何で?だってバトちゃんは神官だから蘇生は反対派だろ?」

エア「いえ、生き返らせるのは反対だと思います。
    でも、このままだと、このポンコツは生き返ってもポンコツが加速したまま!
    だから記憶を戻していただくの、神の奇跡で

穢れや記憶喪失は蘇生のペナルティのようなものですが、それにも救済措置があります。

それこそが"コール・ゴッド"です。もちろんそれ以外の方法も世界の何処かには存在しているかもしれない。

いずれも一つのキャンペーンのネタにしてもいい題材ですね。既に大司教にコネのあるぞんざいズは運がいい。


ジーク「すごい!エア、お前、日頃から散々メッシュの悪口言ってるのに、
     何だかんだ言って、気にかけていてくれたんだな……」

イスミー「これってツンデレっていうんでやすね」

エア「見捨てたら寝覚めが悪いだけです!ジークはいつまでも湿っぽいだろうし」

ジーク「そうだな。エア、是非頼んでくれ。
     「ルーがメッシュに忘れられて哀しがって泣くから、一回だけでいいから!」って」

メッシュ「はっはっは。おや、この可愛らしいお嬢さんは誰の娘さんで?」←ルーちゃん泣くね

ぞんざいズは救国の英雄ですからね。多少の無茶なお願いも聞いてくれる可能性は高い。

これが即死する大神だったら流石に問題ですが、《生死判定》とMP減少がリスクなら何とかなりますね。


その場合は《生死判定》を一度やり直せる<奇跡の首飾り>も必須。1万ガメルでリスクヘッジです。

エア「た、確かに、このポンコツの記憶回路を修正するためにだけ、一国の要が死んだりなんかしたら
    ルーフェリア中から恨まれる挙句、この国あっという間に滅びる気がする

フィルゲンがその好機を逃す訳がない。まぁいまはフォルミカの地下帝国との戦争で忙しいでしょうが。


"リザレクション"の行使には1時間がかかるので、準備含めて数時間後にはパジャリガーも蘇生します。

ジーク「よう、パジャリガー」

ニゲラ「おはようございますー」

パジャリガー「お、おう、はじめまして」←初対面の反応

エア「貴方は一度死にました」

パジャリガー「はっはっは、ご冗談を

エア「うわー!うざい!ここだけ反応同じとは超うざい!

でもこれも仕方のないことです。彼には《青嵐領》での冒険の記憶がないのですから。

だからこれから聖地巡礼に向かおうとしていますしね。二度手間ですが、本人の心の問題だから仕方ない。


イスミー「パジャリガーさんとやら、あんたは運命の恋人とやらに
      こっぴどく振られて、どこか高い場所から飛び降りたんで」

パジャリガー「バカを言うな。俺様が振られるはずがないだろう、非常食!何しろ運命の恋人なんだぞ」

ニゲラ「なんで、こんな根拠のない自信に無駄に満ち溢れてるんでしょう……」←そういう人なんです

彼については過去を知る術があります。実は自分の行動の覚え書きをちゃんと残していたのです。

帳面の最初には「いつ死ぬかわからない俺のために……」とか書いてあって、意外と几帳面ですね。


内容は以下のようになっています。

「俺様の偽者が現れた」

「ジークとかいうヤツに、パジャリガーの名を奪われる。屈辱」

「心の花嫁を迎えに、俺様はリオスに旅立つ」

「デーニッツの家にいた女ルーンフォークに、心の花嫁を教えてもらった。
  花嫁の本当の名前はアイシャではなく、シフェナというらしい」

「そして家から蹴りだされたので、シフェナを追いかけることにする」

うさぎ耳のちょっと変わったヤツだ。正直想像と違ったが、運命の花嫁だ。どこまでも追跡しなければ

どうやらアイシャにはウザがられて追い出されたようですが、問題はその後ですね。

シフェナという名のうさぎ耳のルーンフォークに押し付けられた彼はストーキングしていたようですが。


この名前にはイスミーも反応します。

ニゲラ「その名前、たしかイスミーの魔動バイクの名前と一緒のような気がする……」

ジーク「そういえば、イスミーはルーンフォークが初恋の相手だったんだっけな」

イスミー「へ、へい。すんなりとしたうさぎ耳の魅力的な、
      きゅっぼんきゅっのラブリーなルーンフォークの女性でやした。……あれ?」

ニゲラ「確かに、それタビットの人たちに近い体形のような気がする。
     変態なのかと思っていました、ごめんなさい……」

イスミー「うわー、間違えやした!ぼんきゅっぼんなんでさあ!」

それはそれでタビットとしては変態なんですが、これは不思議な事になりましたね。

遺跡で仲間と一緒に死んだはずの彼女が何故いるのか。実は生きてたか、死んで蘇生したのか。


それを尋ねてもパジャリガーには分かりません。記憶がないのですから。

イスミー「うおおおお、もどかしい!タビットぱーんち!」

ジーク「お前の暫定心の花嫁だ、パジャリガー」

パジャリガー「おお!それは俺様も居所を知りたいぞ!」←イスミーにコブラツイストをかけつつ

記憶を失っても熱血漢なところは変わりませんね。それが彼の長所であり、短所というかウザい所でもある。

しかし真剣だからこそ不憫ですよね、アイシャに別人を押し付けられているだけなんですから。


ニゲラ「話を聞くだに、別人だもの……一生懸命だけに、かわいそう……」

イスミー「一生懸命なお人を、否定しねえでくだせえやしー!」

ニゲラ「否定はしないけれど、走る方向を間違えていたら、一生目的地にはたどりつけないものぉ

イスミー「大丈夫!この世界は丸いんで、そのうちスタート地点に戻りやす」

となるとパジャリガーの過去を探ってシフェナの正体を調べるのが今後の方針になりそうですね。

でもメッシュの記憶を取り戻すのが優先です。いい加減モーブ君にも迷惑なのでぞんざいズはカナリスの街に帰ります。


パジャリガーも成行きで一緒です。

ジーク「……うわ、同じ顔二人を連れていくのか。ちょっといやな気分になったな

ニゲラ「でも、双子ですって言っておけば、通用するし……」

メッシュ「誰が双子なのですか。失礼な」

パジャリガー「ああまったく、腹立たしいことだ」

メッシュ「不愉快な話です」

パジャリガー「本当だ。受け入れがたいことではあるな」

エア「もういいから、挟まないでくれる?位置関係的に」←2人の間に座っています

同じ顔がステレオで色々喋っていると考えるとなかなか鬱陶しいですね。


★某所、壊滅

カナリスの街に帰ってくるとエアは一人神殿に向かい、ジーク達は「水晶の欠片亭」に戻ってきました。

ジーク「店に帰ったら「半分に割って蘇生させたら増えた」って言いふらしておこう」

店の人達「うわああ、ルーンフォーク丈夫過ぎ!」

メッシュ「おやおや、やめてくださいよ、くすぐったいなあー。などとささやかにアイドル気分満喫」

切ったら増えるって、プラナリアかお前は(笑)


ついでにメッシュの快気祝いをしようとすると、リッタさんは心配そうな顔をします。

リッタ「え、そんなことしてていいのかい?エアちゃんは大丈夫なの?」

ニゲラ「へ?エアさんなら、神殿ですけどぉ……」

リッタ「あらぁ、神殿?てことは、お葬式?」

ニゲラ「え?え?え?お葬式?誰のですかぁっ?」

ジーク「ちょ、ちょっと待った。人死に多すぎるぞ!誰が死んだんだ?鉄壁父?爆裂母?それともソラか?」

メッシュ「一体何があったのです、我々がリビの村のゾンビを倒しているうちに

ああ、そこで記憶が止まってるとそうなるのか。これは本当にムーテスの事も忘れているレベル。


リッタ「あーびっくりした。てことは、まだそういう状況には陥ってないんだね、よかったよ。
     ソラちゃんがついに死体で見つかったのかと思っちゃった。
     だって、あの姉妹の家が壊滅したって聞いたから

それはぞんざいズがリビの村に行くのとすれ違いに起きた事件でした。

夜中にソラの罵声や破壊音が聞こえ、朝になると屋根が吹き飛んだように壊れていたのが発見されたそうです。

ぞんざいズが現場に行くとルーフェリア様タペストリーが揺れた無残な姿を晒し、破壊はソラの部屋が中心のようでした。


そこでメッシュが新米スカウトとして《探索判定》です。本人からすれば急激に目敏くなった気分。

メッシュ「む、何だか見覚えのないこの眼鏡をかけてみましょう。<ひらめき眼鏡>装着!

イスミー「やるべきことは、意外と覚えてるんでやすね」

その結果やはり家の中から破壊された事が分かります。死体の類いは幸い見つかっていません。

気になるのはソラの罵声を理解できた人がいないということ。つまり地方語やエルフ語や共通語とかではないと。


ここでジークはちゃんと気にかけていました、ソラの部屋にワイバーンの彫像があるかどうかを。

メッシュ「なんですか、それは。あの娘に骨董趣味とかあったのでしょうか?
      いやいやまさかそんなはずはありますまい。似合いませんからな」

ジーク「うわ。もうそこから説明するの、うざい」

フロリダスと戦った時に彼の騎獣であるワイバーンを<騎獣縮小の札>がついた彫像のままパクった事がありましたね。

札の効果は1日だけ。それを過ぎれば適正な広さに晒された瞬間彫像は元の大きさに戻ってしまいます。

もし今回ソラがうっかり扱いを間違えて、ていうかワイバーンを愛でるのを我慢できずにそれをやらかしてしまったら……。


一方実家がそんな事になっていると知らないエアは、周囲の哀れみの視線を気にかけながら大司教の部屋を訪れます。

エア「大司教の部屋をノックします(正拳突きの構え)」

イスミー「ちょっと待ってくだせえ!その構えは、絶対ノックじゃねえでしょう!」

メッシュ「どう見ても扉を打ち破ろうとしていますな」

エア「あら、いけない。ちょっと染まってきたのかしら、そろそろあの連中との付き合いを考え直さないと……」

妹が離れているのに何故お姉ちゃんの方がどっぷりなのか。むしろ彼女のぞんざいさは時に他の連中以上かもしれない。


エア「じつは大司教、うちのカラクリ従者が死にまして」

バトエルデン「ああ。話は聞いている。お悔やみを申し上げたい」

エア「いえ、生き返ったんですけどね」

バトエルデン「ああ、それも知っている。だから、お悔やみを申し上げたかった、本来なら」

ジーク「希望かよ」

そしてエアはリアを呼び出して愛でつつ、大司教にメッシュの記憶を戻してくれるようお願いします。

エアとしてはいつかは自分が15レベルになって大司教の手を煩わせないようにしたいらしい。

でも今回はまだそれだけの力がありませんからね。まぁ次の機会がないことを祈りたいものですが。


エア「リア様、わたしが15レベルになったら、個人的に無茶なお願いをするかもしれませんが、聴いてくださいね」

リア「?はぁい、覚えておくね」

エア「これで15レベルを目指さなくてはならなくなりました。気合が入ります」

ジーク「……エア、優しいなあ。あれほどぼろくそに言ってる癖に、メッシュの記憶を戻してやろうとするなんて」

ていうかまた死ぬのが前提ですか。身内に小神の"コール・ゴッド"ができる人がいるというのは凄い頼りになるけど。


エア「そうなったらもう、三回目の人生だし一からやり直させても、もういいかと思う。……てゆーか、死ぬなぁあ!!

ジーク「うわ、なんかそれ愛の告白みたいだぞエア」

イスミー「ラブい感じでやすな」

ニゲラ「流行のツンデレというやつですね!」

エア「ちがう!面倒くさいから!」

メッシュ「おやおや、私が何か面倒をかけましたか?一度くらい馬から落としたかもしれませんが?

エア「ああああ、もう!(地団太)」

それを覚えているという事は、ムーテスの事はやっぱり辛うじて覚えているのか。結構微妙なラインになってきました。


バトエルデン「お前たちは、カナリスの外の蛮族を混乱させ"アイス・ドーム"を解いて反撃する機会を作ってくれた。
        それはルーフェリア神殿の代表として、一つくらい無茶な願いを聞き届けるほどの価値があることだ。
         その度量を疑われては困るな」

つまり遠回しにOKってことですね。やったねメッシュ、記憶が戻るよ!


それはいいとして、大司教はエアの実家が崩壊した件について話を始めます。

バトエルデン「家が壊滅したと聞いたが、妹さんも行方不明とか」

エア「は?何ですか、それ。うちの母親がアイヤールから帰ってきたということですか?
    いや、家が壊滅というのは、すでにしていることなので気にしませんが」

バトエルデン「いや、まあ、家庭が壊れているのは置くとしよう。プライベートには口は挟まんよ」

意外と事情通の大司教に話を聞いたエアは急いで家に帰り、「なんじゃこりゃああああぁー!!」と松○優作風に絶叫。


既に現場調査をしていた仲間達と情報を共有し、やはりワイバーンが原因ではないかと推測します。

実際街で聞き込みをしてみると複数回ワイバーンの目撃情報があり、背中や爪に女性の姿があったとか。

爪の方はソラっぽいですね。うっかり大きくしてしまったワイバーンに引っ掛けられて飛んでいったと。

更に背中に乗っていたというのがなんとウサギ耳の女性であり、またもシフェナの影がチラつきます。

イスミーは彼女の影響でライダーの道を歩んだのです。ワイバーン程度を操る実力があってもおかしくはない。


するとパジャリガーもワイバーンとかから転落した可能性がありますね。

どの程度の高さを飛んでいたかは謎ですが、30mぐらい飛ぼうものなら90点とか食らうので即死でしょう。

問題はソラが彼女と関わっているのかという事。ソラの件が事故なら二人は無関係になりそうですが。


ニゲラ「イスミー、そのシフェナさんのこと、わかっているだけでいいから教えてくれないかなぁ……?」

エア「そうね、あたしたち、あなたの捜している対象のことを、ほとんど知らないから」

イスミーの昔の仲間は3人。ルーンフォークのシフェナ、ドワーフのセドリナ、グラスランナーのウィンプです。

シフェナはセドリナをご主人として仕えていて、イスミーは彼女にライダー技能を教わっていたようです。

彼らは主に魔動機文明時代の遺跡に潜って成果を上げていたのですが、ある遺跡で強力な蛮族と遭遇してしまいます。

その戦闘の中で遺跡は崩れて仲間達は離れ離れになり、〔第六感〕の働いたイスミーだけが幸運にも助かりました。

それから仲間達が遺跡から戻る事はなく、イスミーは告白もできずに魔動バイクだけを形見として受け継いだのです。


彼だって色々心配したでしょうにね。そしてシフェナが生きている可能性があるなら尚更です。

ニゲラ「情報があるなら地道に辿れば……」

ジーク「……いや、あのさ。もっと近道があるんじゃないか?」

ニゲラ「え?」

ジーク「……パジャリガーの記憶が戻れば……
     ソラのことも、そのシフェナのこともわかるかもしれない。……レッツ大司教

一同(大爆笑)

イスミー「ちょ……本気ですかい兄貴!」

エア「うそおおお!それはないわー!」

でも確かに現在のシフェナの動向は分かってしまいますね。GM的には予想外もいいところですが。

しかしそれだとメッシュの記憶は戻らない。2人まとめて戻らないのかとも思いましたが、小神だし無理なのかな?

メッシュの記憶については将来エアが15レベルになった時に自力で何とかするという考え方もありますが。


ニゲラ「でも、ソラさんが無事に戻ったら、エアさんはきっとすごく嬉しいと思う……」

エア「まあ、まさにそのとおり」

ジーク「つまり、メッシュのことは……」

エア「それは二の次(きっぱり)。……あれ?結論出ちゃった」

一同(爆笑)

メッシュ「ひどい、今一瞬全然迷いませんでしたね、貴方!いや、しかし私は自覚がないので、
      皆さん何か議論が紛糾しているなあとにこにこしておりますよ」

ジークからしたらパジャリガーの記憶を戻しても何のメリットもないんですけどね。

ソラのことはエアが、シフェナのことはイスミーが気にしている事であって。


ジーク「俺としてはメッシュは何だかんだいって、俺のことを覚えてるからうざくても許せるんだ
     でも、パジャリガーは俺のこと覚えてないだろ?それが余計に面倒くさいんだよ」

エア「……わかりました。ジークがそう言うのなら、バトエルデン様にお願いしましょう。
    パジャリガーの記憶を戻してくださいと。執事の記憶は、いつか頑張ってわたしが戻しましょう

ジーク「ありがとうな、エア」

問題は50年という短いルーンフォークの人生を考えると、それまでに15レベルになれるのかということ。

大雑把に計算すると、9レベルまでの累積経験点は2万1500点。15レベルだと8万点といったところです。

1年間で9レベルになったことを考えると、今後も同じペースで経験を積むとあと3年ぐらいになる。結構余裕ですね。


もちろんそれは一本伸ばしの場合です。「バルバロス・ロワイヤル!」に付属している表を参照すると少し違う。

こちらでは他の技能も含めて、14〜15レベルには80回の成長と11万5000点の追加経験点が必要です。

成長回数については現時点で20回程度なのでやはり全体の1/4を消化していますね。

それでもそれをリプレイにしようとすると30冊近い大長編になってしまうのは流石に長い道のりですが。

経験点は他の技能を伸ばすことと、逓増するモンスターの経験点を加味するとそれぐらいになるんでしょうかね。

ちなみに今のぞんざいズは18回成長で8〜9レベル、追加経験点は2万3000点ぐらいのレベル帯らしい。


どうしても駄目な時はルーンフォークだけに休眠カプセル的な何かを頼れるかもしれません。

ニゲラ「エルフさんの寿命からすると、修行を終えた頃にはジークさんのほうはいない可能性があるんじゃ……?」

ジーク「…………ルー、ルー!神様になるには、どうすればいいんだ?そうしたら寿命が延びるよなあ?」

イスミー「決意した!」

ジーク「神様同士なら結婚できるよな?

エア「こらぁあああっ!」

ぞんざいの神様が未来のラクシアに誕生するかもしれませんね、この世界はそれが洒落にならない。


イスミー「好いた同士なら結婚しちまえばいいじゃあねえですか」

エア「てめぇ、このうさぎ、殴るぞ!"神の拳"で!

イスミー「ぎゃー!だって、神様って、意味わかんないでやすよ〜〜」←タビットは神の声が聞こえない

エア「ああ?そのあと、一日中耳の後ろの毛をそりそりそりそりするぞ!

イスミー「ああー、いい塩梅〜〜」

ニゲラ「エアさんが怖いー」

それは今の時点でも普通にやりかねない。ていうかやってるし(笑)


ジーク「なあ、メッシュそれでいいか?」

メッシュ「かまいませんよ、ジーク様。
      そろそろ私も死んで記憶が失われたのだということを意識しましたが、
      思い出はこれからまた、積み重ねていけば良いのです
      まあ、その失われた記憶の価値がさっぱりわかっておりませんが」

ジーク「記憶は大事だけど、そう言うほど大切なものなんかじゃないよ。
     お前がちゃんと生きてるってことに比べたら

仲間達「おおー(拍手)」

ニゲラ「主従愛をみました……」

メッシュ「ジーク様!……一生ついていきます。もう、軽く二生目に入ってますが」

こうして結論が出ました。パジャリガーの記憶を戻すと。GMの苦悩を他所にどんどん話が進みます。

このまま行くと想定していたボスまで一直線だそうですが、まぁハプニングはいつもの事ですしね。


大司教も「え、そっち?」という顔をしましたが、ぞんざいズの功績を考えると断る理由はない。

バトエルデン「……まあ、よかろう。お前たちには色々と
        恩はあることだし、一度くらいは我侭を聞こうじゃないか

メッシュ「待ってください、そこのエルフの上司、
      何をするのか知りませんが<奇跡の首飾り>を装着してからにしてください」

GM「ち」

メッシュ「なんで、そこで舌打ちがでますか!」

GM「いや。それはそれで、色んな状況が変わるかと思って……」

変わるでしょうけど、それはより厄介な方に転がるだけな気がします。


GM「いっそ、魔法の行使に1ゾロってくれないかと思ったんですよね。
    はいはい、"コール・ゴッド"。(ころころ)成功。女神降臨ー

ニゲラ「……あの。世界で一番軽い"コール・ゴッド"でしょうねぇ、それ」

こうしてパジャリガーの記憶が戻りました。シナリオ的には色々台無しですがそれだけ今後が楽しみです。


★うさぎ耳の花嫁候補

神殿の偉い人達に嫌味を言われそうな奇跡の行使でパジャリガーの記憶が戻りました。

ニゲラ「なので、メッシュさんの記憶は、戻りませんでしたぁ……」

メッシュ「何を仰います。ちゃんと、覚えていますよ。貴方の名前はソラ・ニゲタさんでしたね」

ニゲラ「……おしい。惜しいけど違うの……」

別にソラは逃げたわけじゃない。うっかり連れ去られただけです。


一方パジャリガーの方は急に記憶が戻ったことで混乱していましたが、やがて記憶がハッキリしてきます。

パジャリガー「おお、思い出したぞ、この一年のことを!」

ジーク「よし、説明しろ」

エア「そう、ソラはどこなの?」

パジャリガー「ソラ?確かに一度垣間見たが……。いや、それよりも大変なことがあるのだ!

そうしてぞんざいズと別れたあとの経緯を話してくれました。


大体は推理した通りで、リオスに行った彼はアイシャに指輪を買ってプロポーズするもウザがられた模様です。

そこでアイシャは通りすがりのルーンフォークことシフェナに彼を押し付け、パジャリガーはストーカーと化します。

ところがシフェナの方は次第に彼を受け入れ、傍に置くようになっていったようです。良かったね、通報されなくて。


イスミー「んだとぉ、こいつ、表に出ろ!(むきー)」

ニゲラ「……外でないと、魔動バイク乗れないものねぇ?」

イスミー「へい。ちなみにおいらシューターなんで」

今の状況だとボコられますしね。こう見えてもメッシュと同程度のスペックを持ち、ジークと同程度の戦士になっている筈。

もっともシフェナはパジャリガーのそういった戦士としての実力があればこそ、彼を傍に置いていたようですが。


そして彼女は他にも仲間を集めていたのですが、そこでパジャリガーは大変なことを知ってしまいます。

パジャリガー「いやしかし、アレはやばい」

メッシュ「ほほう、何がどうやばいというのですか」

パジャリガー「呼び寄せた仲間を、船に乗せようとしてるんだが……あの船は見るからにやばい。超やばい。
        何しろ、帆はボロボロだし、船体はでろでろだし、櫓をこいでいるのは骨っぽいし」

彼のこの証言でその船はゴーストシップというアンデッドの一種であると判明します。


ゴーストシップは12レベルのアンデッドで、穢れの影響を受けた船が意思を持ちアンデッド化したものです。

大きさは個体差がありますが、平均的なものでも船体(コア)、砲塔×2、オール×4で計七部位という巨大さです。

船体は操霊魔法を10レベルで使います。砲塔は<ガン>を装備し、着弾点で爆破する範囲攻撃の《榴弾砲》を使用できます。

オールは船体と砲塔への《乗り込み阻止》の能力を持ち、部位の数に応じて威力を増す必中の《一斉攻撃》を使用します。

なお他のアンデッドを船内に収容しているケースがあり、巨人や竜のアンデッドを乗せていることもあります。


そのヤバさはセージ技能を持たないパジャリガーも察し、シフェナを止めようとしました。

パジャリガー「俺様とて、神官でこそないがライフォスの英雄パジャリガーとして生きるもの!
        アンデッドに人間を乗せることなど許してはおけん!」

そこでワイバーンに同乗して説得したところ、突き落とされて墜死したというわけです。

ソラともその時会っていますが、それは彼女が別のワイバーンに引っ掛かっているのを見かけただけ。

そっちのワイバーンは南に向かったところまでは見ましたが、シフェナとは直接関係ないというわけです。


エア「うわー……本当に、ルーフェリア様の奇跡無駄遣い……」

ジーク「ごめんな、メッシュ。お前の記憶を戻しておけばよかったよ」

メッシュ「はっはっは、何を仰っているのですジーク様。誰かが死んだわけじゃなし。OKですよ!」

本当はもう3〜4セッション後に知る筈の情報だったんですけどね。当面はソラを追わせる筈でした。

しかしこれでゴーストシップが以前はカイン・ガラにいて、次はリオスへ向かっている情報を掴みました。


更にシフェナがパジャリガーを突き落としたのは、ある男を迎えに行く途中だったようです。

パジャリガー「アレンという男を迎えに行く予定だったらしい、この国の、一番高い白い山にいるそうだ」

これはルーフェリアの南西、国境沿いにる火山のことです。名前を白竜山といいます。

山頂には万年雪が積もっていて、温泉やら上質の宝石の鉱脈やらと名物も多いことで知られています。


ここでぞんざいズはシフェナを追って白竜山に行くか、ソラとゴーストシップを追ってカイン・ガラに行くか悩みます。

しかしゴーストシップの方は放っておくとリオスに行くらしいし、ミルリーフ事件のような大惨事になりかねない。

イスミーはシフェナを追いたがっていましたが、結局は彼女もゴーストシップに関わっているのでカイン・ガラでも問題なし。


ソラのこともありますし、ぞんざいズはカイン・ガラを選びました。

ジーク「パジャリガー、お前どうする?ちなみに心の花嫁は、この国の白竜山だ」

パジャリガー「よぉーし!白竜山だな、今度こそ説得するぞ!もうワイバーンには乗らん!」

ニゲラ「追い払った……?

ついでにGMの白竜山観光シナリオの予定も粉砕しました。これでまた暫く彼とはお別れですね。


出発前にエアは大司教にゴーストシップの件を報告しておきます。ついでに予算も申請します。

バトエルデン「いや、考えておく。少々気になっていることがあってな。
        実は今、ルーフェリアで数人行方不明者が出ているのだ。そして街の噂でも
        『死に別れた人に会える船』とか『幸福な船』という都市伝説のようなものが拾えている」

もしそれがゴーストシップのことならば、行方不明者を救出することで家族と神殿から報奨金を出せますね。


あとルーはそろそろ《白峰領》に帰ってしまうらしく、ぞんざいズを寂しそうにお見送りします。

エア「大丈夫です、不良娘の首根っこを捕まえたら、すぐにわたしもアイヤールに戻りますのでっ!」

ジーク「そうだな、あそこには俺たちの家もあるし」

エア「ちがう、わたしの家!わたしがお金と名誉点を出した家!」

メッシュ「どうせ、ムーテスに乗っ取られてますよ」

ニゲラ「素敵な未来予想図。ニゲラも、お邪魔させてもらおうっと」

こうして急遽ゴーストシップ追跡に乗り出すぞんざいズでした。早くもラスボスの影もチラホラと見えてきました。

ソラの行方、シフェナの真意、アレンの謎。色々な人物が気になりつつ、できることから順に片づけていきます。


★石塔の国の大騒ぎ〜今君に会いに行きます

こうしてぞんざいズは久しぶりにカイン・ガラへ向かう事になりました。


その道中でも「幸福な船」の噂を聞いて故人に会えることを期待して乗合馬車で旅をする未亡人に会ったりもしました。

ただしそれは本当に噂にすぎず何の裏づけもなく、「やめとけ?」「会えるわけねーだろ」と素敵な笑顔で説得しました。

しかしその噂に踊らされている人は彼女だけでなく、故意に流された噂で人を呼び寄せているかのようです。

この噂のポイントは「生き返る」のではなく「会える」ということ。蘇生すれば穢れがたまるので都合のいいことです。


やがてカイン・ガラにつくと噂はより具体的なものになっていきます。

「だれそれが、その船に乗っていってしまったらしい」

「大好きな人が、その船に一緒に乗ろうと迎えに来るらしい

だんだんホラーっぽくなってきましたね。本当にそれを体験した人がいればいいんですけど。


ここでぞんざいズはこの街の知り合いを頼って情報を聞こうとします。

ニゲラ「この街でのお知り合い……何か捜査をしたことがあるのなら、その依頼人とかはどうかなぁ……?」

エア「そうね。そんなところかも、あの女はアイヤールだし、ソラはいないし……」

ジーク「あ!ソラの元彼!

メッシュ「そういえば、その方を生き返らせたそうですね。さすがはジーク様、お優しいことです」

ジーク「よし、そうだな。恩を売ったんだ、そいつに会いに行こう」

懐かしいですね。レイクリスは蘇生させただけで結局会わなかったから、会話するのは初めてですよ。


エア「ちょっとレイクリス!こっちにソラがこなかった?ソラの匂いはしない?
    ゴーストシップの噂とか、どうなってるのかキリキリ吐きなさいー!」

ジーク「なーなー。イスミー、ニゲラ。このおっさん、ソラの元彼なんだぜー?

レイクリス「え、え、え……あ、その……話には聞いております。その節にはお世話になりました」

ニゲラ「おじさま。……エアさんの妹さんの。元彼……えーとぉ。……犯罪?」

イスミー「愛に年齢も、性別も、過去も、年収も種族も関係ねえんでさあ!」

エア「いやー、うちの妹ああ見えて、四十だからー

彼は街で起きているゴーストシップ騒動の経緯を知っていました。曰く、お祭り騒ぎのようなものだとか。

カイン・ガラでは街中の魔法の使用は制限されますが、外敵に関してはそれが解禁になります。

実際に船が目撃されてもいるので、各学部でこぞって船を用意し、迎撃準備を整えたりもしているとか。


レイクリス「今から、なんとか《魔法拡大/距離》を習得しなければと、必死に修行しているものもいるくらいで。
       一回くらい遠慮なく"エネルギー・ジャベリン"をぶっ放してみたい
       とかいう阿呆も現れ、収拾が付かない状態です」

ジーク「……た、楽しそうだな。想像以上に」

ニゲラ「別の意味でお祭り騒ぎ……?」

レイクリス「イベント……というには不謹慎ですが、
       そういった騒ぎでモラルを失いがちになっていて嘆かわしいものです」

"エネルギー・ジャベリン"は8レベルの真語魔法。そんな高レベルでマッドな魔術師がいるのがカイン・ガラらしい。

ちなみに威力40と強烈な純エネルギー属性の対個人用攻撃魔法です。SWでいう"バルキリー・ジャベリン"的存在。


カイン・ガラは多く魔法使いや魔動機械を擁していることから、ある意味とてつもない戦力を持つ街です。

だからこそみだりに外に打って出るのを自粛しており、ゴーストシップが攻めてくるでもないなら討伐も難しい。

まして自主的に「幸福な船」を頼って国を出て行く人がいる分には、街としては対応しにくい状態です。


ジーク「てことは、ちゃんとここでも行方不明者は出てるんじゃないか」

メッシュ「ジーク様、英雄になれるチャンスです!」

イスミー「いや、もう結構なってるんでさあ。旦那が覚えてないだけで」

メッシュ「覚えてないんですよ!私はジーク様の格好いいところを見逃しているんですよ!もう一回やるんだー!(駄々っ子)」

既に名誉点にして500点を越え、1000点に到達するのも時間の問題ですしね。

実際はルーフェリアの国を救ったし、大司教とかともコネがあるし、追加で名誉点を与えてもいいレベルです。


続いて街で情報収拾をしますが、どうもブームが去った感がする状態でした。飽きるの早いなカイン・ガラ。

強いて以前との変化を挙げるなら紫色の<着ぐるみリルドラケン>が目立つぐらいですよ。

どうやらルーフェリアで英雄になったことでムーテスブームが再来しているらしい、ライセンスで儲けられそうですね。


それでも情報を集めようと「赤い背負子亭」という裏通りにある寂れた酒場に入ります。

ここで会いたい人がいるという演技を悲壮な様子で行うことで何らかの接触があることを期待しました。

ニゲラ「おとうさんにあいたい〜〜って言いながら、テーブルで飲んでる。
     いっそ、この機会に会えるなら、ドサマギでもいい〜〜」

イスミー「おいら、シフェナに会いたいでやす〜〜
      あんなわけわかんないルーンフォークには会ってるのに、おいらは何でだめなんでやすか〜」

エア「むぅ……心底会いたい人。……ルーフェリア様にお会いしたいぃいいいっ!(握りこぶし)」

メッシュ「そこでオチをつけてどうするのですか、貴方は!」

しかし生きている人でもいいんですかね。


ジーク「……あー、どうでもいいけど、そらにあいたいー(超棒読み)」

メッシュ「って、こっちが真の落ちだった!」

エア「ソラを乞う位置を譲り渡してみたのに、なに、その超適当!」

ジーク「あー。すごく、あいたーいなー」

ニゲラ「そして、超大根」

しかしちゃんと効果がありました。店のマスターがそういった人がフード姿の美形の人物に連れて行かれるのを見たとか。

「そんなに会いたい人がいるのかい?」とか言われて連れ出されるくせに、「化かされた」と笑いながら帰ってくるのが大半ですが。

そういった人はフードの人と会いたい人との思い出話をしつつ、街の西側の海岸で篝火を焚いて何かを待っていたそうです。

しかし結局何も起きずに寝落ちしてしまうことが多いようですが、それって何かが来た場合の人は行方不明になっているのでは?


★誘う姿の来た場所は……

ぞんざいズがカイン・ガラの海辺にやってくると、そこには篝火を焚いた形跡が複数残っていました。

そして今まさに篝火を焚いているくたびれた様子の老人と、その孫娘と思しき女性の姿がありました。

既にブームは去った感がするものの、まだ噂を信じる人が少数残っているという状況なわけですね。


ここでメッシュは近付かないように《聞き耳判定》をします。

老人「ここで待ってれば、ばあさんに会えるんかのぉ」

イスミー「もうすぐ会えると思いやすよ。こんなところで待たなくとも

エア「こらぁ!(キー)」

その場合お迎えの意味がちょっと違ってきますけどね。ヘブン的な意味で。


ここでジークは"サイレントムーブ"を使用してメッシュと供に老人と孫を見張り、仲間達は遠くで待機します。

これは5レベルの妖精魔法で、1時間の間対象の出す音を消すことができるという便利なものです。

ただし自ら声を出したりしたら魔法の効果は切れるし、対象に触れていない場合に発する音までは消せません。


しばらくすると老人と孫を観察する様子のフード姿の人物が現れます。

GM「美女です。装備は……フード、じゃなくて、ええとローブは着てないか」

ニゲラ「ローブは着てないけど、フードだけ?

エア「うわー変態」

GM「ち、ちがいます!じゃあ、男にします!男に!」

エア「いや、そこで無理矢理男に性別を変えたって、ストリーキングであることは変わらないでしょう!」

GM「ちがう!フードはしてるけど、装備はローブじゃないと言いたかったんです!」

ここでジークは《魔物知識判定》でフードの美女の実力を見抜きにかかります。

すると達成値13だったので、NPCなら10レベル程度までは実力を見抜けるはずでした。


GM「うん、わからない」

ジーク「わからない!(驚愕)」

メッシュ「化け物じゃないですか。いや、或いは蛮族」

GM「……レベル的には近いくせに」

ここで果敢にもイスミーが匍匐前進で接近し、ライダー技能で《魔物知識判定》をしました。

今回はフードの美女が老人の方に気をとられていたということで《隠密判定》は免除されました。

その結果達成値18を叩き出し、彼女がサキュバスだと見抜きます。ちなみに知名度17とギリギリでした。


サキュバスは12レベルの蛮族であり、女性の淫魔です。男性の淫魔の場合はインキュバスといいます。

美しい容姿に蝙蝠のような羽を生やした姿をしていて、眠っている異性の精気を吸い取って衰弱死させます。

これは《淫夢》という特殊能力で再現され、半径20m内の全ての対象を眠りに誘ってしまいます。

HPかMPのどちらに呪い属性のダメージを与えるかを選択し、適用ダメージ分淫魔のHPかMPは回復します。

また本人は操霊魔法と神聖魔法12レベルの能力を持ち、《魔法適性》持ちで《魔法制御》や《魔法拡大/数》を使えます。


この強敵の存在をイスミーはジークとメッシュに伝えようとします。

イスミー「では……うっふん(お色気ポーズで淫魔と伝える)」

ジーク「ぶふぉ(吹いた)。やべ、声出した。"サイレント・ムーブ"解けた」

メッシュ「こ、これは気付かれたら不味いでしょう!」

ニゲラ「ここは、恋人同士の振りでしょ……定番っ」

メッシュ「え、え?じゃ、じゃあ……おいおい、声を出すなよジーク……(渋く)」

エア「そ、それはひく!近寄りたくない」

野郎と野郎とウサギしかいない状況でこのアドバイス。さり気なく腐の片鱗を見せていたんですね。

もしこれでこのサキュバスも腐だったら余計に興味を引いてしまったところですよ(笑)


まぁ気付かれちゃうのは仕方ないんですけど。

サキュバス「ね、坊や。お姉さんといいことしない?」←それでも果敢に誘惑

メッシュ「こちらはこちらで、いいことをするはずだったのですよ!貴女の出番なんてありません!」

サキュバス「あ、どうもすいませーん」

ジーク「ごめん!超嘘!俺、野郎よりもカテゴリ女性のほうがいい!

ニゲラ「そうか、ジークさんは女の子は食べないっていってたっけぇ」

こうしてニゲラは大人しい顔をしてとんでもない方向に話を誘導するのでした。むしろ高度な淫魔です。


ということで戦闘です。今回はニゲラがAランク"イニシアティブブースト"を入れます。

ニゲラ「先制値が+2されるのよ?」

ジーク「ナイスサポートだ、ニゲラ。……で、結局は届かなくて指輪を割る未来図が見えるけどな」

メッシュ「不吉なこと言わないでくださいませ!(ころころ)……あ、低い。17」

GM「サキュバスの先制値19」

一同「ナイス予言!」

元々サキュバスの先制値は高かったけど、ニゲラのお陰で期待値で勝てたんですけどね。


1ラウンド目

エアはカンタマを全員にかけ、ジークはバンシーの時にできなかった"ブレイブハート"で《淫夢》対策。

これで3ラウンドの間は《淫夢》を完全に防げますね。ただし消費MP6点と重たいので何度も使えない。

現在のジークのMPは43点なので自力だと7回分。前衛だけにかければ6ラウンドは使えますね。


ただしその分"カオスショット"は制限されるし、かけ直しには《魔法拡大/数》がいるので主動作を使わされる。

こうなると《淫夢》は本来の効果ではなく、ジークのリソース削りとしての効果を発揮することになりますね。

イスミーは"グレネード"を撃ち込み、ニゲラは〔運命変転〕まで使ってサキュバスの羽を絡めます。

そこでメッシュの《投げ攻撃》&《踏みつけ》が炸裂し、《ファストアクション》でもう2回踏まれます。


開戦早々に見事にフルボッコにされたサキュバスは、転倒状態で《行使判定》にペナルティを食らいながら反撃です。

ここでは"フォース・イクスプロージョン"を使います。SWから御馴染みの気を炸裂させる範囲攻撃魔法ですね。

こちらでは9レベルの神聖魔法で威力30です。実はエアも使おうと思えば使えます。ただし味方も巻き込みそう(笑)


2〜3ラウンド目

エアが前衛3人に"キュア・ハート"を使い、"フォース・イクスプロージョン"のダメージを完治させます。

エア「このレベルまで来れば、死にさえしなければ回復するのよ!

メッシュ「…………ほほう」

エア「ごめん。思いがけず傷つけたかも」

ジークは"ブレイブハート"のためにMPを温存して《マルチアクション》は自粛し、《魔力撃》で戦います。


サキュバスはイスミーの銃やメッシュの《投げ攻撃》を食らい続け、ニゲラに絡まれ続けて劣勢ですね。

特にニゲラはこの状態で更に補助動作で"パラライズミスト"を使ってくるのでとっても当たりやすくなっている。

更に"マッスルベアー"でパンプアップして本人のダメージも上がっているし、魔法が使えなくても色々できるものです。


ただしサキュバスは一部位なので<剣のかけら>の修正でHPが+60点もされてとっても頑丈です。

それでもHPがキツくなったら"キュア・インジャリー"で回復をしたりもします。

こちらは10レベルの神聖魔法で威力50で回復できるという優れものです。

魔力16のサキュバスの場合は期待値で26点も回復しますしね。まぁセルフ回復だけだとジリ貧なんですが。


4〜6ラウンド目

ジークは"ブレイブハート"をかけ直しますが、次にかける余裕はない。あと3ラウンドで倒さないといけません。

GM「さっきの手番で"マナ・シール"を撃っておけばよかった。
    そうすれば、二人にしかジークは"ブレイブ"掛けられなくなるのに。
    あ、でも、それやったらニゲラとイスミーに落とされただろうし……悩む」

"マナ・シール"は12レベルの操霊魔法で、1ラウンドに使えるMPを10点までに制限できます。

"ブレイブハート"は6点消費なので2倍拡大もできませんが、<魔晶石>は制限に含まれないので。

ジークが8点未満、2点以上の<魔晶石>しか持っていなかったとしたら2倍拡大が限界になりますね。


それからもサキュバスは回復しつつ"フォース・イクスプロージョン"を使って頑張りました。

しかしイスミーの火力がなかなか驚異的でHPをどんどん削られていきます。

そうしてあと1ラウンド凌げれば《淫夢》を使える6ラウンド目までは耐え続けました。


メッシュの《投げ攻撃》とジークのメイスによる《魔力撃》で弱ったサキュバスにイスミーが追撃です。

エアが"ファナティシズム"でイスミーの命中力を+2にし、本人もタゲサで+1する念の入れよう。

ここでイスミーは4レベル魔動機術の"クイックローダー"を使って<弾丸>を装填します。

本来<弾丸>の装填には主動作が必要ですが、"クイックローダー"を補助動作で行使すれば一瞬で再装填可能です。


使用するのは"クリティカル・バレット"。現在のイスミーの命中力は12+3だとしたら15です。

これが期待値通り22でサキュバスに命中し、この一撃が決め手となってサキュバスは倒れます。


サキュバス「……さま、申し訳ありません……」

誰の名を口にしようとしたのかは、咳き込んでしまったので分かりませんでした。

ついでに蛮族は聖印なしで神聖魔法が使えるので、彼女の宗派も不明のままでした。


しかし彼女の懐からフェイダン地方の海図を発見します。

それは海の向こうにある"帳の島"エイデルとリオスを繋ぐように航路を書き込んでありました。

更にイスミーがその筆跡を見ると、それはシフェナの筆跡にそっくりだったのです。


ジーク「確実に悪人なんじゃないか?あいつ」

イスミー「ちがうー!ちがうんでやすー!」

しかし蛮族と繋がっている確率は高くなったし、ゴーストシップとの関連もより確かになった。


エイデルはカイン・ガラと海を挟んで向かい合うように浮かぶ島です。

古竜を頂点とした幻獣達の住む島であり、その脅威から魔法文明や魔動機文明からも隔絶されています。

人間も少数住んではいますが、集落単位に別れた部族社会を営んでいて大陸とは違った文化が根付いています。

騎獣狩りのスポットで原住民との間に軋轢があるようだし、まだまだ人間が知らない領域の多い島でもある。


そういえばソラはカイン・ガラには来ていませんでしたね。

カイン・ガラにいないとなると、海を越えてエイデルまで行ってしまった可能性もあります。

何しろエイデルにはワイバーンも生息している。騎獣にされたワイバーンに帰巣本能が働いたのかもしれないし。

ゴーストシップとの関連もあるようだし、次の目的地は海の向こうにあるエイデルということになりそうですね。


第二十一話 八百長試合を始める方法

★成長申告&おさらい?

今回のキャラクターシート


今回の能力値の成長は以下の通り。

ジーク:精神力23→24

エア:知力21→22

メッシュ:知力18→19

ニゲラ:生命力20→21

イスミー:精神力19→20

意外と精神力の高いジークがついに+4にボーナスブレイクです。あとエアは腕輪で知力+4にブレイク。

エアについては指輪を購入したとありますが、それは既に持っている上に今回の成長で知力22のはず。

ブレイクさせるには腕輪を購入する必要があり、9巻あたりからそのようになっています。


技能の成長ではエアがレンジャー5→6、イスミーがマギテック5→6と順調に上げています。

ニゲラはアルケミスト5→6とし、賦術"マナダウン"を覚えて敵の魔法ダメージを減少できるようになりました。

Bランクで−1、Aランクで−2、Sランクで−4、SSランクで−8点となって魔法使い等の嫌らしい攻撃を軽減します。


そしてメッシュはついにグラップラー8→9とし、戦闘特技《牙折り》を習得しました。

この戦闘特技を宣言した攻撃が命中すると、1ラウンドの間近接攻撃や射撃攻撃の物理ダメージを−8点できます。

《カウンター》ほどのリスクはなく、高い命中力を生かして積極的に敵の勢いを削ぐ事ができるようになりましたね。

他にもグラップラー9レベル以降に習得できる特技に《飛び蹴り》《インファイト》がありますが堅実な選択です。


お買い物ではジークが<ウェポンホルダー>を購入。お値段1000ガメルでした。戦闘時にはメイスを装着するようです。

通常武器を荷物として収納するには主動作が必要ですが、このアイテムがあればいかなる武器でも補助動作で収納可能です。

カテゴリ<ソード>なら鞘、<ガン>ならホルスター等がその役割を果たしますが、それ以外の武器を収納できる便利アイテムです。


メッシュは前々回買い損なった<真・ブラックベルト>を購入。しかも多機能かつ専用装備です。

お値段は基本の2万ガメル+名誉点80に、多機能化で1000ガメル+名誉点20と専用化で+名誉点50ですね。

合計2万1000ガメル+名誉点150という大きな買い物ですが、それで防護点が恒常的に+2点されますね。


★幻獣の島へ

前回入手した海図は写しを取っておいて、オリジナルはレイクリスに渡して報奨金を貰いました。

これが計6万ガメルと結構な額でして、1人1万ガメルずつ分配して残り1万はパーティ財産とします。

今後何かパーティ全体に役立つ買い物があればそちらから出します。どこかのトカゲみたいに持ち逃げしないように(笑)

ニゲラのカードやメッシュの指輪もそっちから出してもいいぐらいです。特に《先制判定》絡みの出費はケチれませんしね。


ジーク「そうだ、レイクリス。もう一回聞いておくけど、ソラのこと何かわからないか?
     これこれこんな状況で飛んでったって証言があるんだけど」

レイクリス「そ、それはまったく、ソラらしいなあ」←吹いた

この時ばかりはちょっと少年の頃の顔が見れた気がしました。彼も色々振り回されていたんでしょうね……。


それからぞんざいズがお買い物をしている間に彼は関連がありそうな情報を集めてくれました。

ジーク「早ッ!」

メッシュ「意外とやるではないですか、一見ロリコン、実は年上趣味

その情報はぞんざいズが前回助けた老人と孫娘から得られたものです。人助けは巡り巡って自らを助けるものですね。


レイクリス「数日前にすごい勢いで空を飛んでいく飛行物体と、
       それに引っ掛けられて楽しそうに笑っている少女の姿が……」

ジーク「笑ってた!いやまあ、安心だけど……」

エア「一体どういう状態ー!飛行物体ってー!」

ニゲラ「飛んでるうちにハイになったんじゃないかなぁ?」

ワイバーンだって一般の人には正体が分からないでしょうしね。そしてその向かった先がエイデルというわけです。

エイデルには定期船は出ておらず、カイン・ガラの学者が調査のために時折船を出す程度の交流しかありません。

そこでぞんざいズは賢人学部と交渉して船に乗せてもらうことにしました。渡るだけなら簡単そうなので安心です。


ただし以前も紹介した通り、大陸から渡る人間と向こうの住人との間には色々と軋轢があります。

何しろ彼らは幻獣と共存する部族です。幻獣狩りをする大陸の人間を警戒するのは当然ですね。

私のイメージだとエイデルの人族はクリスタニアの神獣の民みたいな生活をしていますね。

自然の中に散在する集落に住んでいて、部族毎に幻獣と交流していて、体制も原始共産制っぽいし。

もっとも動植物とも交流しているあたり、ルナル世界のエルファに近いところもある気がしますが。


イスミー「幻獣の島かあ。……また言語で苦労しそうな予感でさあ

賢人学部の人「言語で不自由してるの?それならうちの学部からガイド代わりの通訳を一人連れてく?」

ジーク「え、あ、いや……一応、向こうで通訳は拾って帰ってくるつもりなんだけどな」

ニゲラ「何故か冒険を重ねるごとに、いなくなってはいけない人がいなくなったような気が……」

仮にその人を雇うと身の安全を保証しないといけないので断ってしまいました。

ただのセージでは多少レベルが高くても戦闘に巻き込まれたら面倒なことになりますしね。


ジーク「でもニゲラは初めての年下の女の子の仲間だから、新鮮で嬉しいぞ。妹ができた感じ

ニゲラ「えへへー……」

エア「すいませんね。今まで四十歳五十歳の女が幅を利かせていまして」

ジーク「だって、エアはすっかりとぞんざいの水に染まりきってきたしなあ

エア「染まってない!」

いや、既に手遅れな気が……(苦笑)




エイデルまでは船で2日がかかりましたが、途中で幽霊船や海賊船と遭遇することなく無事到着しました。

エイデルの港は港というか船着場のような質素なもので、時折毛皮を着た原住民の姿が見えます。

フェイダン地方はラクシア世界の中でもかなり南に位置するので、ここまで来ると結構寒いようです。


彼らの視線は船を降りたぞんざいズを警戒するように張り付いていましたが。

ジーク「そのずっとこっちを見てる連中に近づいて行こう。
     よう、こっちにワイバーンが来なかったか?

ニゲラ「うわ、直球過ぎ!」

エア「相変わらず暴投直前よね」

原住民「お前たちも幻獣狩りの冒険者か」

ジーク「ちがう。女の子狩りに来た

女性陣「ちがぁああう!」

素直にワイバーンに連れ去られた女の子を捜しに来たと訴えると、多少話は聞いてくれました(子……?)。

この島では集落単位で交流する幻獣が違うので、ワイバーン担当ではない彼らは詳しい事を知りません。

それでもグリン村がワイバーンと親しいという情報は教えてもらえます。交渉するのは自力になりますがね。


原住民「お前たちをどう判断するかは、彼ら次第だろう。
     ただ、忠告しておくが、外から来たというだけで、なかなか信用されるまい。
     彼らに信用される証を立てるのは、行動のみだ

もちろんこの人達もぞんざいズを信用していないので、信用を得られる具体的な方法などは教えません。

これがワイバーンだからいいけど、ユニコーンとかリュンクスのような幻獣だと絶対教えてくれないでしょうし。


また何故幻獣狩りを忌む彼らがこんな船着場を作っているかというと、ちゃんと打算があってのことです。

集落の人達は親しい幻獣に子供を預けてもらえるよう交渉し、その幻獣の子供を大陸の人に融通しているのです。

完全に持ち出しを禁止してしまうと密猟者が出るので、争わずに幻獣を手に入れる方法を与えていたわけですね。

実際それである程度上手く行っていて、カイン・ガラの方でも協定破りは罰するようにしているらしい。


それでもこう警戒されているということは、協定破りの密猟者が絶えないということですが。

原住民「最近どこかの集落で、ドラゴンの子供が攫われるという事件も起きたばかりだしな」

メッシュ「ははは!私はさっぱり覚えていませんが……討伐すべきでしょうか」

ニゲラ「……め。あのドラゴネットちゃん、ここの島から持ち出されてきた可能性が大きいかもぉ」

それが何で砂漠に放置されていたのかは謎ですね。逃げ出したんだろうか。


★馬車競争と、証の関係

今や6レベルレンジャーにもなったエアもいるので、ぞんざいズはグリン村へ迷わず進めました。

すると微かに弓を引く音を立てつつ、「止まれ」とそれ以上の接近を阻む声が聞こえてきました。

メッシュ「……ふ、そんなに殺気だっていては、バレバレですよ」

イスミー「何者だ!」

GM「いや、むしろそれはこっちの台詞な訳ですが」

ぞんざいズを狙っているのは天然の鱗っぽい革鎧をつけた青年が数人です。

スケイルメイルというと鱗状に金属片をつけた鎧ですが、こちらは本物の鱗のようですね。


エア「わたしは、妹を捜しにきました」

青年「そんなものは知らん。帰れ」

エア「いいえ、知っているはずです!

ニゲラ「エアさん、何でそんなに無駄に自信満々なの……根拠とかは?」

エア「女の勘です!

ところがこれが外れではなかったりするから困りものです(苦笑)


青年「ここから先は、ワイバーンを友とするグリンの村の土地。これ以上立ち入ることは許さない」

一同「ばんざーい、着いたー」

GM「な、何なんですか。その無邪気な喜びっぷりは!思わず緊張が解けるじゃないですか」

先程の原住民もそうでしたが、この連中と会話を成立させたらあっという間にペースに巻き込まれますね。


とにかく会話さえ成立させればこっちのもの、すかさずソラのことを聞きます。

ジーク「なあ、これこれ、こーいう感じの女の子を見なかったか?
     多分、こっちに流れ着いてると思うんだけど。こんな感じで、こんな感じで、胸がなくて……

メッシュ「すごく抽象的だったのに、最後だけ明文化されましたな」

ジーク「じゃあ、口が悪くて、すぐ"ファイアボール"撃ちたがる……

イスミー「それ、敵だと思われやせんか?」

ジーク「……あれ?いや、悪いヤツじゃないから」

ところがソラがワイバーンに連れ去られたから捜しにきたというと彼らは困惑する様子を見せます。


ジーク「もしかして、あいつが何かしたか?それだったら謝る。エアが」

エア「ごめんなさ――い!うちの不出来な妹がご迷惑をお掛けしまして!(土下座)」

青年「いや、その方が何をなさったかなど、問題では……」

イスミー「なぜ丁寧語?」

メッシュ「このあたりでは、ナイトメアは神の使いとして祀られているとか」

青年「……ともあれ、村まで来ていただこう」

どうやらエアの勘が当たったらしい。急に集落まで案内してくれるなんて一体何があったんだソラ。

集落は100人規模の小さなもので、村の広場では村長と思しき老人が待っていました。


ところが彼はぞんざいズが事情を話しても、密猟者と思っているのか取り付く島もありません。

ジーク「狩らねえって言ってるのに。女の子狩りにきただけだって……」

エア「ジーク、その言葉もすごく誤解を招くと思うわ、っていうかうちの妹をどうにかする気!?
    前のときもそういう不穏当な発言をしてたわね、今この場で、皆さんの前ではっきりと申し開きをしなさい!」

ニゲラ「(野次馬に向かって)あ、ニゲラは他人なんで……」

イスミー「あ、おいらも」

エア「妹を狩ってどうする気なの!何かするつもりなの!」

メッシュ「……そりゃもう、ナニをする気に決まってるではないですか(悪人顔)」

エア「……そこの執事は……バカは死んだら酷くなった!」

ジーク「え、そんなの決まってるじゃないか、エア。
     あれやこれやで、役に立ってもらうんじゃないか。通訳とか、通訳とか。弱点看破とか

セージ技能ばかりでソーサラー技能には執着してなさそうですね。ていうか技能以外の理由はないのかと(苦笑)


なかなかのカオスに摘み出されそうなった時でした、一人の若者が飛び出してきます。

若者「待ってくれ長老。彼らはどう見ても外国人、我々に信用されるべき、証を立てる方法を知らないのだろう。
    追い立てる前に、ここは一度、わたしに託してくれないだろうか

どんな下心があるのか分かりませんが、証とやらを立てるには彼に任せてみるのも手ですね。

ソラについても「知らない」ではなく「答えられない」と返されたし、まずは信用されることですね。

このままだと摘み出されてお終いだし、多少の面倒事を抱え込むぐらいでないと受け入れられそうにないですね。


イスミー「この集落に歓迎されて迎え入れられればいいんでやすね?」

ジーク「なるほど。じゃあ、ここで嫁をもらえばいいのか?

一同(大爆笑)

実際それも一つの手段ではあるらしい。「混沌の夜明け」のエイクみたいになりそうですね。


エア「……っていうか、何だか、こう……彼の弟の苦労がわかってきたというか……」

メッシュ「おやおや、成長しましたね」

エア「誰にでも、嫁嫁言うなって言ってるんです!モラルの問題です!」

ジーク「え。俺、エアに言ってないよな。ソラにも

エア「わたしは、いいんです。しかし……ルー様のことはどうするんですかと、言いたい!」

ジーク「ああ、浮気はダメって言いたいんだな。わかった」

エア「……あああああっ、ここで、そうだと言っても、違うと言っても、
    何だか葛藤が晴れない論理の袋小路!こんな男にルー様を任せられない〜〜〜(悶絶)」

本当に初期に比べると女性関係でどんどんぞんざいになっていますよね。

神様に嫁嫁言ってたかと思うと、その気もないのに嫁嫁言いだし、そのくせ仲間にはアプローチしないという。

これで仲間にまで嫁嫁言い出すと色々面倒なことになるという、リウイ並みの処世術なのかもしれませんが。




ぞんざいズは集落の若者ラシーが後見人になってくれたお陰で追い出されずに済みました。

ジーク「それで恩を売ったと思うなよ」

ラシー「買ってくれよ。君たちの知りたいことについて、幾許かの情報がある。
     けれど、それを信用できない相手には話すことはできない。
     何しろ君たちは、幻獣を根こそぎ狩ってしまう可能性のある冒険者だから」

ではどうすれば信用してもらえるかというと、ラシーが現在抱えているある問題を解決してあげればいいのです。

これが港で会った人達の言っていた証ってやつですね。他にも色々なパターンがありそうなものです。


ラシー「実は二日後に、とある証立てがあるんだ」

ニゲラ「それに出ればいいの?」

ラシー「いや、それはいいんだ。それに出るのは僕だから。
     ええと、その……じつは僕には結婚を申しこんでいる女性がいる

相手が同じ集落なら問題ないのですが、その女性はお隣の集落の女性です。

別の集落から嫁を貰う場合は、それに相応しい男であることを証明しなければならないのです。

とはいえ別にロミジュリ状態ではなく、両集落の関係は良好で有事には一致団結する事も多い。

だからこの縁談も良縁なのですが、一応の儀式としてレースによって証立てを行う風習があるのです。


このレースというのが曲者でして、ぶっちゃけてしまうと八百長レースなのです。

参加するのは3組。1組は婿(ラシー)、1組はこの集落一番のライダー、もう1組は嫁の身内です。

普通なら集落一番の乗り手にラシーは勝てませんが、そこは華を持たせる意味でわざと負けてあげるのです。

嫁の身内も婿が気に入っていれば同様です。ただしそうでないならゴール目前で爆走して破談になるという(笑)


ちなみに婿であるラシーが使用する騎獣はキャリッジ(馬車)です。「ベン・ハー」みたいな絵面になりますね。

キャリッジの適正レベルは4〜8で、馬(コア)と荷車という2部位扱いなので騎芸"大型制御"が必要です。

騎手以外に4体までのキャラクターを《搭載》することができ、《頑丈な荷車》は物体なので毒等は無効です。


ただし集落一番のライダーが使う騎獣は村の象徴であるワイバーンです。

一同「だめじゃん!」

イスミー「それ、遠まわしに死ねって言ってやすよ!」

それでも大丈夫だから八百長なのです。もう何年も続いていて、上手い具合に婿に負けてあげてきたんです。

それはそれで技術の要りそうな仕事ですし、村一番のライダーでないと務まらないのでしょう。

ちなみに今回の花嫁はヒポグリフと交流する集落の出身なので、そちらの騎獣はヒポグリフです。


ヒポグリフは4レベルの幻獣で、鷲の前半身と馬の下半身からなる姿をしています。

馬とグリフォンの間に生まれるとされ、性格は比較的温厚のため騎獣にも適しています。

その飛行速度は50とエルダードラゴン(60)に次ぐものであり、このレベル帯ではぶっちぎり。

騎獣としての適正レベルは4〜6でお値段1万5000ガメル。もちろん"空中騎乗"が必要です。


速度を比較すると、ヒポグリフ(飛行50)、ワイバーン(飛行30)、キャリッジ(18)ですね。

GM「ラインナップ的には、もし、本気レースなら卓袱台ひっくり返して暴れてもいいレベルです」

メッシュ「レースコースに山越えとかあった場合、何一ついいところを見せることができませんよ、それは」

ラシー「レースコースは、そういう儀式を行う場所がありますので、そこで行います」

何が酷いって速度で負けてるだけでなく、一人だけ空すら飛べないなんて勝てるわけがない。

まぁスピード自慢の幻獣がいる集落ならいいですよね。騎乗すらできない幻獣の集落だったらどうするんだろう。

その場合は別の証立てがあったりするんですかね。レースはレースでもトライアスロンみたいになったりして。


イスミー「「あんな腐れラシーになど、うちの娘をやるもんかい」
      とかいう主義のお父さんだった場合、大変なわけでやすな」

ラシー「儀式ですので、あまり心配はしていません。
     していませんが……今回の嫁とりを失敗するわけにはいきません!
     何しろ、リーリはもてるんです!美人なんです!」

挿絵を見る限り確かに美人ですね。むしろ縁談まで漕ぎ付けた時点でラシーは十分頑張っています。


メッシュ「わかりました、事前にその村に潜入して、毒を盛ってくればいいんですね?」

ラシー「あ、いや……そこまでは……」

メッシュ「なぁーに、ちょっとお腹が痛くなるだけですよ」

ニゲラ「「そこまで」のことはしなくていいけれど、それに近いことはしろということかなぁ?」

エア「つまり、わたしたちは「配慮」すればいいわけ?」

ラシー「はい!」←即答

ジーク「きたねえ……!なんだよ、この政治的判断!
     集落っていうから結構文化レベルは低いのかと思ってたけど、甘かった!」

むしろ村社会だからこそ色々配慮するスキルが必要なのかもしれません。

しかし集落の人達に聞き込みをしても皆から祝福されているようだし、一体何が不安なのやら。

村の子供達の評判では「石橋を叩いて渡る」タイプの優しいけど慎重なタイプのようだけど。


となると花嫁側の様子が気になるので、ラシーの手紙を届けるお使いとしてリーリに会ってみることにします。

そのお隣の集落、ティースの村に行くと最初は警戒されましたが、手紙を持っているので本人に会えました。

彼女は楚々とした美人でした。ラシーの手紙を受け取るとぎゅっと抱きしめたりと、何だか普通にラブラブな様子。


ニゲラ「馴れ初めを聞いたりして、ちょっと冷やかしてみたくなるかもぉ……
     久し振りに、初々しいコイバナという気がしますしー」

イスミー「なんでやすか!おいらのコイバナは初々しくないと!」

どうやら怪我をしていた時に出会って、逢引を重ねて愛を育んでいったんだとか。古典的だけどいい話です。


ところが誰がレースに出るのかと聞くと、僅かに表情を曇らせます。

メッシュ「もしかして、元彼とか」

ジーク「父親とか」

リーリ「……父、です」

エア「ん?それは……個人的には、父親を応援してしまいたいところだけど。お父さん、結婚反対だったとか?」

リーリ「いえ、そんなことはありません。多少頼りないが、狩人としては悪くないし、優しい若者だから、
     嫁入りの条件としてはいいだろうって……村を出ることには心配をさせてしまいましたが、賛成でした

ニゲラ「でした?何で過去形なんですか?」

リーリ「……結婚は、来年でもできますから」

一同「無理でしょ!」

何か事情があるらしく、お茶を御馳走になるという名目で家にあげてもらいます。ここではできない話らしい(笑)


リーリ「じつは……弟が行方不明になったのです
     そして、今度のレースでは一位をとるようにという脅迫状が……!」

エア「誘拐されてるー!」

彼女の弟はまだ成人していない狩人で、安全な林へ弓矢を持って出かけたそうです。

一晩帰らないぐらいなら心配しないのですが、翌日の夕方になっても帰ってこなかったのです。

そうこうしていると集落の子供が知らないお兄さんから預かったと、脅迫状を持ってきたのです。

父親は悩んだ挙句、息子の命にはかえられないと全力でレースに挑むことにしたのです。


ここでぞんざいズは積極的に誘拐事件の解決に乗り出します。それがラシーの願いでもあるのですから。

メッシュ「冒険者という職業は、貴方がたから信頼のおけない略奪者に見えるかもしれませんが……
      一つ良いことを教えて差し上げます」

リーリ「はい……?」

メッシュ「冒険者というのは、金でどうにでもなるものなのでございます

エア「あほかー!さらに不信感持たせるでしょうがー!」

つまり報酬を貰って責任を持って解決すると言いたいわけです。回りくどいわ(笑)


エア「報酬、子ヒポグリフ!子ヒポグリフ〜〜!ふかふか〜

ニゲラ「そういうのを防ぐ立場の人なんだから、わがまま言っちゃダメでしょう。め」

エア「抱っこするだけでいいの〜」

ジーク「……一応、ソラとの血の繋がりがあるんだなーと、妙に感心した」

実際はごく安い報酬で引き受けました。誘拐現場の木には鉤爪の痕が見つかったのみでした。

ところが脅迫状を持ってきた子供に話を聞くと、鱗っぽい上着を着た吊り目の男だったと証言します。

これだけだとグリンの村の内部に犯人がいるように見えますが、証拠が露骨過ぎるのが気になりますね。


リーリ「わたしは、本当は歓迎されていなかったんでしょうか」

ジーク「いや、それはない

イスミー「向こうの村長も、子供たちの目から見ても大喜びだったらしいんで、それだけはありやせん。
      もし、下手人があっちの村の人間だったとしても、そりゃ個人的な感情だと思いやす」

ニゲラ「でも、それで完全に安心できるかなあ。弟が脅かされて、その不届きモノがいるっていう
     村にこれから嫁ぎに行くとしたら……ニゲラなら、すごく心配」

エア「普通はそうでしょうねえ。でも、それを安心して嫁げるようにしてあげるのが、
    今回のわたしたちの、ぼう……(ごほん)ルーフェリア信者としての役目!」

ニゲラ「えへへー、エアさん、今一瞬、冒険者って言おうとしたでしょー?

エア「しりません。気のせいです(ぷい)」

未だに冒険者でないと言い張るか。何だかんだですっかり染まっているっていうのにね(苦笑)




続いてぞんざいズはグリンの村に戻り、レースに参加する村一番のライダーであるザックさんを訪ねます。

ジーク「いい男?」

GM「……うーん……残念?」

ニゲラ「残念な人なんだ。あ、ちなみに、目は吊り目?」

GM「ううん。どんぐり目。くりくりして、つぶら」

ジーク「すまん、疑った(肩ポン)」

一同「早ッ!」

儀式とはいえ、いつも負けさせられている彼がリーリの気を惹こうと犯行に及んだという仮説ですね。


確かに残念な人ではありますが、色々聞き出そうとしても犯行を裏付ける証言は出てきません。

メッシュ「優秀なやつが、儀式とはいえわざと負けなきゃいけないなんて、
      本当は、すごくむかっ腹が立ってるんじゃあないのかい?ん?この私に言ってごらん

エア「……あの男は、どっかで頭を打ってきた?」

ザック「いや、別に負けないさ。あ、あ、いや。それは……もちろん、本気でやったらっていう意味だがね」

しかも話を聞くと本人は難しい役割を任されているという誇りを感じている様子でした。

ラシーとリーリの結婚についても特に執着はなく、ちゃんと祝福する様子も見せて普通にいい人っぽいですね。


ザック「ああ、あんな嫁がもらえるなんて、ラシーの奴は果報者だ」

ところが彼もそこで表情を曇らせます。リーリの時とよく似ていますね。

ジーク「で、誰になにを頼まれた?

メッシュ「ジーク様、単刀直入にも程があります!」

ジーク「じゃあ、もうちょっと遠まわしに……誰が行方不明になった?

エア「さらに予備動作なしで短刀ぶちこんだように思えるんだけど」

ザック「……母だ

一同「こっちもかぁあ!」

誰もが若いカップルを祝福している仲良し集落なのに、もし両者がこぞって勝ちに出たらどうなるか?

きっとお互い疑心暗鬼になるでしょう。これまでの協力体制も崩れて、幻獣のガードも甘くなるかもしれない。

これは仲違いを狙う第三者の犯行の可能性が高い。あるいは幻獣狩りに積極的な原住民も一部にはいるのでその線かも。


となると例の現場に残されていた鉤爪の痕や、逆に争った形跡のない状況からワイバーン以外の幻獣の存在も想像できます。

それこそドラゴンとか。この島にはちゃんとドラゴンと交流する集落もあって、ザックさんの母親はそこの出身らしい。

ザック「ドラゴンを擁した部族なんて、戦闘力が半端じゃないからな。
     なんでも自分たちだけで片付けられるって感じでいるのか、あまり協力ってことはしないね」

ちなみにドラゴンと言ってもドラゴネットです。流石にレッサー以上は気安く飛んでいたりはしませんね。


ここでニゲラは実行犯が地元の人間で、やり口は外の人間っぽいことからドラゴネット誘拐事件を思い出します。

ニゲラ「それって、絶対に、地元の人間が絡まないと、無理な事件だと思うんだけどぉ
     あんな大きくて強いの、それを護ってる人から平和的に持ち出せることって、難しいと思うし……」

つまり今度はドラゴネットのライダーと事を構えることになりかねないと。嫌な予感しかしませんね。


そうして話しているとキャリッジに乗ったラシーがやってきて、コースの下見に行くと声をかけます。

ぞんざいズはそれに同行してコースの様子を確かめるのですが、走行中に《危険感知判定》が発生します。

これに成功したイスミーは馬車が通るあたりにゆるくロープが張られていることに気付きました。

首の位置にワイヤートラップとかいう凶悪さはないものの、一歩間違えれば大怪我を負っているかもしれません。


ジーク「おい、ラシー。お前今日はとりあえず帰れ。練習は明日にしろ。怪我したくないだろう」

ラシー「え、ええ?わかりました。では、皆さんお気をつけて。食事は作っておきます

イスミー「わりといい人でやす」

彼が帰ってからメッシュが《探索判定》をすると、ロープは地元の人が洗濯で使うありふれたものだと判明。

しかも森の中に続く足跡を発見しました。初めての具体的な手がかりを得たぞんざいズはこれを追跡します。




森の中に入ってしばらく進むと斜面に掘っ立て小屋を発見します。見張りに戦士が1人ついていました。

イスミーが<望遠鏡>で観察すると明らかに地元民ではない冒険者風の男性で、8レベル戦士と見抜きます。

ちなみにこの<望遠鏡>は5倍ぐらいの倍率で1000ガメルの品。魔動機文明時代に軍隊や船乗りに愛用されたとか。


彼を警戒させないよう、こちらは前衛3人だけで接触してみることにします。

ジーク「おやおや、あんなところに人がいるぞー?(ほがらか)」

メッシュ「やあやあ、ご同輩!」

ニゲラ「……登山客同士みたい」

ジーク「お前仕事中?一人でいると危ないだろ?」

戦士「あ、ああ。仲間は別のところにいるんでね」

流石に警戒されているので、いつものようにメッシュが煽てて情報を聞きだしていきます。


メッシュ「最近こちらで、高価に売れる幻獣を狩れると聞いてきたのですが、そちらの調子はいかがですか?」

戦士「なんだ、お前たちもそっち系か

ニゲラ「……「も」って言った」

メッシュ「こちらの人たちは朴訥で騙しやすいですから仕事がやりやすいですよー」

戦士「ああ、そうだな。警戒心は強いけどな」

ジーク「でもあれだよな。結束は強いよな。それが面倒なんだけど」

戦士「そうそう、幻獣は友人とか間の抜けたこと言ってるけど、もうちょっと賢く生きればいいのになあ」

同類だと思わせることであっさり警戒を解き、その上密猟を働く冒険者であると白状させてしまいましたね。


こうなってしまえばもうこちらのもの。同業者のよしみでどんどん喋らせます。

メッシュ「貴方がた、相当儲かってるようですね、その口ぶりですと。
      ちょっと、あやからせてもらいたいものですよ。
      何しろ、こちらは三人ですからね。部位数の多い幻獣と戦うのは辛いのですよ」

ジーク「……すげーな。記憶なくなってもあっても、やることは同じだ

ニゲラ「口開くと失敗するので、大人しくしてますー」

相手はこちらのレベルを確認して感心すると、自分のパーティには強力な火力の後衛がいると自慢し出します。

特徴を聞くにルーンフォークの女性で「きゅぼんきゅ」なので明らかにシフェナてす。……ていうか本当にその体形なの?

あと例の掘っ立て小屋には「協力者を預かって護衛中」とか言っていましたが、誘拐した人を監禁している場所っぽいですね。


戦士「ああ、はやくがっぽり稼いで大陸に帰りたいよ」

ジーク「ここで一人だけでいるのも、大変だもんな」

戦士「そうなんだよなあ、暇だし」

ジーク「……そうか。一人か(にやぁり)

一人なら遠慮は要りません。8レベル1人で9レベル3人の猛攻に適う筈もなく、アッサリと倒されてしまいました。


そして例の掘っ立て小屋の中を調べると、やはりそこには誘拐された母親と弟君の姿がありました。

メッシュ「わたし、あなたたち、たすけにきた。いっしょにGO

ジーク「なぜボディランゲージなんだよ!」

ところがこの時罠を調べるのを忘れてしまい、《罠感知判定》にも失敗してしまいました。

これにより鳴子が発動してしまい、メッシュは急いで人質を連れて小屋から脱出しました。


その間に聞き覚えのある羽音が近付いてきて、なんとドラゴネットライダーがニ騎も登場します。

ドラゴネットは三部位、騎手も入れると四部位。それがニ騎で八部位相当の戦力です。

しかも片方には1人の魔術師が相乗りしてまして、この人がなかなかの高レベルで結構脅威です。

"エネルギー・ジャベリン"どころか10レベル真語魔法の"フライト"とか使ってきますしね。


今回は事前に接近を察知できたので、《先制判定》の前に2ラウンドの猶予を貰えました。


1ラウンド目

メッシュは人質を避難させるのに専念。ニゲラはジークと自分にBランクで賦術"ヴォーパルウェポン"です。

Bランクで+1、Aランクで+2、Sランクで+4、SSランクで+8点対象が与える物理ダメージを強化します。

エアは御馴染みの"フィールド・プロテクションU"。ジークは"ウォータースクリーン"で1ゾロを振りました。

これは3レベルの妖精魔法で、炎属性のダメージを3点減らします。ドラゴネットのブレス対策だったんですけどね。


そしてイスミーは"クリエイトウェポン"でメッシュに<ハードノッカー>を作ってあげます。

これは6レベルの魔動機術で、Aランク以下の近接武器を作るというもの。持続時間は6ラウンドです。

なんとこの武器の生み出すダメージは魔法ダメージとなるので、メッシュが使うと素通しでゴリゴリ削れるのです!

そのあまりのチートっぷりに「ウィザーズトゥーム」で物理ダメージになった曰く付くの魔法でもある。

<マギスフィア>にオプションをつけると今まで通りに魔法ダメージになるんですけどね。僅か600ガメルです。


2ラウンド目

エアが前衛3人に"ホーリー・ブレッシング"を唱えて準備完了。《先制判定》に入ります。

今回の敵はGMがPCデータを作成した強敵です。ニゲラはSランク"イニシアティブブースト"で安全をお金で買います。

これで+4で、指輪を割ると+6にもなる。現在のメッシュの先制力は10なので16にもなりますね。

ドラゴネットが先制値17で、相手にも7レベルスカウトがいるようですが、かなり有利な判定になりますね。


ところがお約束通りにメッシュが1ゾロを振って台無しです。

ニゲラ「……あとで、ニ千ガメル返してもらおうっと

メッシュ「い、生きていればね!」

7レベルスカウトにいたっては《ファストアクション》が働くのでとっても怖いですね。

こっちが取っていたらメッシュによる魔法ダメージ4連発で誰か落とせていたかもしれませんが。


3ラウンド目

ドラゴネットの《ブレス》は前衛全員抵抗して被害軽微。騎手はニゲラと同じ<チェイン&シックル>でジークに攻撃。

これが命中しかかりますが、ニゲラの戦いを知っているジークは指輪を割ってまで回避。絡み状態を回避しました。

もう一騎のドラゴネットは後衛に《ブレス》を吐き、エアとイスミーは仲良く抵抗失敗&クリティカルで被害甚大。

騎手の方は《ファストアクション》でニゲラに2回攻撃しましたが悉く回避。前衛の被害が思ったより軽かったですね。

相手の魔法使いも《魔法制御》入りの"ファイアボール"を撃ちますが、ジークへのダメージ1ゾロもあって軽いものです。


ジーク「いよーし!反撃だ!」

ニゲラ「絡み武器相手です、アレ絡まれると鬱陶しいです!自分でいうのもなんだけどぉ」

メッシュ「あいつを放っておくと、戦力が格段に落ちる可能性があります」

ジーク「よし。絡み戦士に集中砲火だ」

まずニゲラが動きます。練技"キャッツアイ"、"マッスルベアー"、"ガゼルフット"に賦術パラミスをAランクで入れます。

意外と"ガゼルフット"って初出ですね、回避力+1です。前衛には便利な練技セットとして御馴染みになります。

この攻撃が達成値26という驚異的な数値で命中し、騎手の腕に絡み付いて命中力に−2のペナルティを入れます。

もっともこの騎手は騎芸"人馬一体"を持っているため、手を使わずに騎獣を操れるから落馬もとい落竜はしませんが。


続いてメッシュはタゲサと《牙折り》で騎手に攻撃。魔法ダメージニ連発がクリティカルもあって43点も素通しします。

ジークの攻撃も命中し、イスミーもタゲサ入りで射撃で絡み戦士撃破!この時使用したのは"バースト・ショット"でした。

これは<弾丸>を3発も消費する代わりに、命中力+2で威力30という強烈な攻撃をする6レベルの魔動機術です。

これで絡み戦士は〔運命変転〕を使って気絶状態となります。騎芸"騎獣の献身"を持っているので落ちませんがね。

この騎芸があれば戦闘中に一回攻撃からかばってもらえるのですが、気絶状態だとこういう効果を発揮します。


2ラウンド目

生き残ったドラゴネットが主人の仇とばかりにジークに攻撃し、ジークは回避で1ゾロを振ってしまいます。

これにより「アルケミスト・ワークス」で追加された選択ルール、防御ファンブル表を振ることになります。

これで「ダメージに、攻撃者の「レベル」が追加される」が出てしまい、30点ものダメージを食らいます。

続いて敵の魔術師は前衛3人に"エネルギー・ジャベリン"を拡大してかけ、メッシュが回って35点とか食らいます。


この時敵の方向から聞きなれない飛行音が聞こえてきたので、セージかマギテック技能で音を聞き分けました。

ところが達成値が足りないのか、実際に姿を見るまで《魔物知識判定》はできないことになります。


こちらの反撃ですが、なかなかもう1人の騎手を倒せません。今度は相手に防御ファンブルがあったんですけどね。

内容が「ダメージに、攻撃者を強化している「剣のかけら」の数が追加される」だったのでジークには無効でした。

メッシュ「実はこう見えても、ジーク様には剣のかけらが十一個はいってるのですよ!」

ジーク「ははは、HP150が見えてくるなあ」

それからも凄まじい応酬が続く長期戦になりました。こっそり敵の魔術師は"フライト"で逃げる準備をしたりして。

やがて例の飛行音の正体が肉眼で確認できる程度に接近してきました。スカイバイクでした。


スカイバイクは適正レベル11〜14の騎獣で、魔動バイクの一種ですが移動速度50で空を飛ぶことができます。

またMP10点消費で《レーザーガン》を発射できます。威力30の純エネルギー属性の魔法ダメージを与えます。


乗っているのはもちろんシフェナです。

イスミー「おいらは、彼女に攻撃はできねえでやす!っていうか、おいらは彼女が助けにきてくれたと思ってやす

ジーク「あほだ。このうさぎ、あほだ……」

ちなみに実力はイスミーの師匠のようなものなので技能の構成はほぼ同じ。ライダー技能は11レベルですけどね。

となると10レベル以上で習得できる騎芸"バランス"とかを持っていて、飛行中に<ガン>で射撃できそうですね。

通常騎手の行動は騎獣の移動方法に制限され、騎手が魔法や射撃攻撃を行おうとしたら騎獣は制限移動が必要です。

しかしこの騎芸があれば騎獣が通常移動しながら、騎手は制限移動の行動が可能となる。移動速度50のマギシューですね。




そうこうする内にもう1人の騎手も気絶し、ドラゴネットズは御主人を守るように翼を広げます。

イスミー「やったー!やったでやすよ、シフェナ、もう大丈夫ー!(おててぶんぶん)」

シフェナ「そうで。もう大丈夫、すぐに楽にしてあげる

そう言うとシフェナは魔術師が空を飛んで逃亡するのをフォローするように《レーザーガン》を発射。

幸いイスミーに直撃することはありませんでしたが、吹っ飛ばされたウサギは呆然とします。


イスミー「……え、これどういうこと?」

メッシュ「誤作動ですよ」

イスミー「なーんだ。はっはっは、シフェナは相変わらずクールにドジッ子でやすぁ」

シフェナ「これだけ引っ掻き回せば十分よ」

これでシフェナは魔術師と逃げようとしますが、魔動バイクで追いかけようとするイスミーには反応します。

「いっしょにくるの?」と言いながら怪しく微笑んだり、彼の事を無視しているわけではないらしい。


メッシュ「待て!こやつの命が惜しくないのですか!……と言いつつ、銃を突きつけたら降伏してくれませんかね?」

ニゲラ「雰囲気からして「うん、惜しくなーい」とか言って、あっさり見捨てそうだってニゲラは思うー」

エア「執事のマギテックレベルを看破されれば
    「あなたの銃で彼を殺すのと、私の銃が貴方の脳天を撃ち抜くのとどっちが早いかしら」
    とか言われて抜き撃ちとかね」

ニゲラ「あ、それかっこいいですぅ」

イスミーとしてはついていきたいようです。死んだと思っていた彼女が急に現れたら無理もないかも。

しかし理性ではそれはまずいとわかってもいるという、アンビバレンツな状態で苦悩するのでした。


イスミー「とりあえずシフェナに追いついて乱戦宣言してみるとか考えちまうんでやすよー」

ジーク「あいつが前衛技能を持っていないとは限らないんだぞ!あっという間にボロ切れにされる可能性だってあるんだ」

メッシュ「「ふ……今までは、力をセーブしていたのよ」と、ファイター13レベル

イスミー「そんな逞しいシフェナに惚れ直しちまいそうでやす」

まぁ追いかけるてもいいし、見送ってもいい。それはイスミーが決めることです。勿論責任も付き纏いますが。


イスミー「おいらでやす!シフェナ、イスミーシャでやすよ!覚えてやせんか?」

シフェナ「覚えているわよ、イスミーシャ……相変わらず、ころころとして」

イスミー「生きてたんでやすね!ぼろぼろぼろ」←泣いているらしい

シフェナ「……さあ、どうかしら

見た限りではアンデッドになっているわけではなさそうです。やはり蘇生して記憶がないのが濃厚かな。


イスミー「ご主人は、どうしやした!一緒じゃねえんですかい?」

シフェナ「知らないわ。イスミー……くるの?こないの?」

イスミー「うわああっ、どうしよう」

シフェナ「……もう一度、私を見捨てるの

恨み言とはちょっと違うような気がする。なんだか素っ気無い振りをしてついてきて欲しいような。


かと言って彼女を引き止めることはできない。どうやら彼女には別の主人がいるようなので。

シフェナ「イスミーシャ……あなたは、無理よ。あの方の役には立てないもの

イスミー「シフェナ、そんないかがわしい宗教みたいなこと言っちゃダメでやす!おいらたちと一緒に……!」

シフェナ「……残念。宗教じゃないわ。でも、私にはすでに仕えるべき神がいるということ

エア「何ですって!」

イスミー「ルーンフォークが神?」

エア「そこのポンコツ、見習いなさい!

イスミー「そっちじゃねえんでやすよ、姐さん!」

シフェナ「あなたのところには、もうつまらない神の神官がいるみたいだから。もう道はまじわらないわ」

エア「(ぶつ)んだとぉ!コラ!喧嘩売りやがったな、降りてこいー!」

神の声が聞こえないルーンフォークが神に仕えるなんて、普通なら考えられないことですね。

しかしイスミーが役に立たないというのも、同じく神の声が聞こえないタビットだからだとしたら……。


それでも渋るイスミーにシフェナは"ワイヤーアンカー"を垂れ下げてあげました。

これは5レベルの魔動機術で、<マギスフィア>をフック付きのワイヤー発射機に変形させるというものです。

ワイヤーは30mの長さを持ち、200kgまでの重さを支えながら巻き取れます。キャラクターを絡めることも可能。


しかしここでついていってしまったら、イスミーは悪事に加担することになる。仲間は色々な言葉で忠告します。

ジーク「しょうがない、俺が止めてやるよ
     お前が彼女……シフェナを追いかけるのをやめられないけど、理性はやめたほうがいいっていうなら、俺が止めてやる。
     俺が邪魔して彼女のところに行けなかったんだって、言い訳にしろよ

イスミー「兄貴!」

ニゲラ「ジークさん、かっこいいですー」

ジーク「というわけで、イスミーに駆け寄って乱戦宣言。一回素手で殴りにいく。目を覚ませ、この色ボケうさぎ!

イスミー「ぎゃー!」

こうしてイスミーは律儀にダメージを食らいましたが、追いかけずに済みました。次に会った時はどうなることか。


★嫁とり物語の後始末と……

敵が去れば人質だった母親がボロボロ泣きながら事情を話してくれます。

母親「こんなことになるなんて……ごめんなさい」

ニゲラ「もしかして自主的に?」

母親「はい。じつは……うちの息子は、優秀なライダーですが……見ての通り、見てくれは少し残念です

エア「残念て」

母親「しかし、でも、とてもいい子なんです。なのに、嫁の来手は全くなくて……

ラシーには美人の嫁が来るのに、その一方でレースでは噛ませ犬をやらされるのが悔しかったのです。

そこで同じ村出身の人達の甘言に乗り、狂言誘拐に加担したつもりが本当に誘拐されて大事になってしまったと。


彼らの狙いは空を飛べる騎獣を多く集めることでした。

母親「徒歩では向かうことのできない場所にある、神紀文明時代の遺跡に向かうとか……」

シフェナ達が向かったのもそこですかね。本人だけならスカイバイクで行けるでしょうし。


今回の事件については、この母親のことは秘密にしてあげることにします。その代わりちゃんと祝福することです。

ニゲラ「残念な人は、残念な人なりに自分の役目を全うしようとしているんです。それを、お母さんが認めてあげなくちゃ」

母親「そうだった……わたし、大切なことを忘れていました」

ジーク「もう、すんなよ」

これでラシーの依頼も果たせそうですね。ソラにもちょっと近づけそうです。


ところがここで母親に変なスイッチが入ったのか、ニゲラの手をとります。

母親「そんな風に色眼鏡なしであのこのことを見てくれる人こそ、うちの息子にふさわしいわ」

ニゲラ「は?」

母親「ぜひとも、うちの息子の嫁に……

ニゲラ「いや!それは、いやーっ!

母親「なぜ!それは、残念だからなの!?」

イスミー「たんに、思い込みの激しい人でやした」

まぁその内彼の良さが分かる人が見つかりますよ、残念でも。


ラシーは思いがけず大きな事件になったことで驚いていました。

ラシー「わかりました。僕たちのレースに協力してもらえた、
     信頼できる方として、グリンの村長に責任を持って進言します。
     ……そして、ソーラリィム様のところまでご案内いたします

一同「様付け!」

エア「ナニやったの、あの子!」

次回も舞台はエイデルです。更に奥地、神秘の神紀文明時代の遺跡に挑戦します。

ソラにシフェナ、そして謎の多いアレンと神の関係等、色々な謎を残して新生"ぞんざい勇者団"の冒険は続きます。






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