「三眼のサーペント(上)」著:清松みゆき/グループSNE 出版社:富士見書房

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第一話「悪夢の再訪」

★〔剣の加護/英雄変転〕その2

このリプレイは大人気15レベルリプレイ「滅びのサーペント」「双頭のサーペント」の続編にあたります。

今まで数々の強力モンスターを倒してきた5人の英雄達が三度集結し、新たな世界の危機に挑むことになります。

吸血鬼、魔法王、魔動機文明の兵器、神より古い獣に劣らず、今回の敵も強大なものになります。

ちなみにあるハプニングのせいで一話増えて全四話構成となり、上下巻に分かれて出版されることになりました。


例の如く前回までのサプリメントに加えて夏サプリメント第五弾「イグニスブレイズ」も導入されてPCは強化されています。

このサプリメントの最大の特徴は戦闘特技の改訂ですね。既存の特技を色々改訂しつつ、新たな特技も追加されています。

これによって従来の「常に効果を発揮する戦闘特技」は「常時特技」に、「宣言の必要な戦闘特技」は「宣言特技」に改名されました。

更には一定条件を満たすことで特技をより強力な特技に上書きできる「置き換え」という概念も導入されました。


なお2014年6月の時点で夏サプリメント第六弾「ルミエルレガシィ」の発売も発表されています。

このサプリメントによって騎乗ルールやライダー技能が大幅改訂されるらしく、バトエルデンに影響しそうです。

何しろ騎獣はお金がかかる上に死ねば折角の騎芸も使えなくなるし、下手に部位数が増えようものなら回復でひと手間です。

このレベル帯になると厳しかっただけに期待したいですね。今度こそ大司教と活躍するクラウンが見られるかもしれない。

これを踏まえたリプレイ第四弾も発表して欲しいところですが、帯によると今回が最後らしいのが残念です……本当に最後なんだろうか。


とはいえGMに多大な負担をかけているのも事実なので、続きを求める思いが強いだけに複雑な心境です。

マイザール「これやっちゃうと、またしばらく感覚狂うんですよねー。正常復帰できるかなー」

GM「なら、降りる?」

マイザール「バカ言わないでください。こんなチャンスめったにないんですから。ウヒヒ

ジュエリィ「笑顔がやばい(笑)。満ち足りてる」

ですよねー、実際プレイする人には堪らないでしょうね。読者に過ぎない私ですら思わずニヤケてしまうぐらい楽しみでした。


さて、今回の規定は以下のようになります

・追加経験点20万9430点(合計21万2430点)

・名誉点3508点

・所持金36万ガメル

・成長回数125回

経験点は前巻の分が1万5340点としていますね。あと成長回数は最初のものに無作為が5ヶ所に増えました。

名誉点は前巻の分が340点としています。これは前巻の各話でボスだった4体の合計だと思われます。

つまりディープフォレストの23個、グランドトレイドンの24個、"イグニスの輪環"の25個、"希望の鋼麟"の25個です。

合計97個の<剣のかけら>の期待値は97×3.5=339.5なので340点というのはとても納得のいく数値です。


では経験点はというと、一話のディープフォレストが23レベル七部位で1610点、タイラントレギレクスが18レベル三部位で540点。

二話のグランドトレイドンは24レベル八部位で1920点。フライングヘレボラスが15レベル四部位の2体で1200点。

三話の"イグニスの輪環"が25レベル八部位で2000点。"希望の鋼麟"も同じく25レベル八部位で2000点。

これだけで合計9270点になりますね。その他にスカイシップなんかもありましたが細かいのを入れても6000点は増えないでしょう。

実は巻末にあるオマケだとこの経験点は既刊分+温情とか書いてありますし、GMがオマケしてくれたのかもしれません。


しかも実際にリビルドしてから噴出した不満にも対応します。

ゆん「ああ、経験点が70点足りない〜」

マイザール「端数430点ってのが微妙ですよね」

GM「じゃあ、100点たしてもいいよ。1ゾロ2回ぐらいは出てるやろ」

バトエルデン「2回どころではございませんが」

かといって12回も出ているかというと微妙なのでプラス100点です。合計21万2530点になりました。

こうもすんなり増やしてくれるのもそれはそれで怖いですけどね。この分だとこのシリーズ終了時には「15超B」の帯域に入りそうです。


それとお金は最初から増えていないんですね。これは彼らがSSカードを切りまくっていた分を相殺しているらしい。

更に「ルールブックU改訂」で伯爵位が30万ガメルと手が届きそうなぐらい値下げしたことも含めて全部チャラにしています。

マイザール「いや、そこは、伯爵だけ30万G減らすってことで」

フェルディナント「俺様、<ガイスター>縛り食らってるんだが(笑)」

そうです、実は今回の規定に伯爵は<ガイスター>を購入して主武器とするというものが入っているのです。

前巻で「ガイスターにしておいた方がいい魔剣」とか散々ネタにされた伯爵の剣ですが、どうやらGMはちゃんと拾ってくれるらしい。


フェルディナント「なので無理だ。<イグニタイト加工>もするし」

GM「ぐは」←予想外

これも「イグニスブレイズ」の追加要素ですね。イグニス鉱というものを利用した加工法で、武器の威力を上げてくれます。

SSランクの場合は威力+10にして加工費4万ガメルもしますが、これで<ガイスター>は威力80で13万5000ガメルになりました。

武器でここまでの威力のものはそう多くありません。まぁそういうのも同じように加工すれば威力90も見えてきたりするんですが。

これだけで予算のおよそ1/3を持っていかれるのです。他にも色々買わないといけないしやっぱり伯爵位購入は無理でしょうね。


他の人達も改訂された戦闘特技の影響で色々変わっているので、また1人ずつ変化を確認していきましょう。


★闘神は語った――もっと強くなるなとは聞いてない

今回のキャラクターシート

今回は事前にプレイヤー諸氏にキャラメイクを済ませてきてもらったようですが、そこからの調整に4時間ほどかかったらしい。

やはり他の人の様子やGMの感触を見ると色々考えてしまうようですね。必要そうなアイテムとか出たらまた考え直さないといけないし。


キャラ紹介ですが今回は伯爵から始まります。まずは今回の技能構成は以下のようになります。

技能

レベル

テーブル

累計経験点

ファイター

15

A

80000

プリースト(キルヒア)

15

A

80000

スカウト

9

B

17000

コンジャラー

9

A

21500

マギテック

4

A

5000

エンハンサー

4

B

4000

アルケミスト

4

B

4000

セージ

1

B

500

合計

212500

経験点は30点残しという絶妙の匙加減です。前回と比べるとスカウト技能の《影走り》が復活しましたね。

そしてかなり伸びているコンジャラー技能。その代わりマギテック、エンハンサー、アルケミストは4レベルにまで下がりました。

コンジャラー技能の急成長のお陰かMPは120点ほどになりましたね。それと地味に筋力ボーナスがブレイクしています。


肝心の戦闘特技ですが、まず習熟系は《武器習熟A/ソード》《武器習熟S/ソード》《武器の達人》で<ガイスター>装備可能。

習熟系は名前からローマ数字がなくなり、その代わりに装備できるランクをストレートに表現するようになって分かりやすい。

《魔力撃》《魔力撃強化》《マルチアクション》はそのままですが、《薙ぎ払い》は改訂されて《薙ぎ払いU》になりました。


このようにローマ数字を使うものが「置き換え」の特技ですね。《薙ぎ払いU》は《薙ぎ払いT》を置き換えて習得するものです。

Tだとファイター技能3レベルから習得可能と便利になっています。対象は3体に限定されてダメージも減少してしまいますが。

これがファイター技能9レベル以上で置き換えてUになります。対象5体はそのままで命中力へのペナルティがなくなったので強化されました。

正確には《薙ぎ払い》自体の改訂は《薙ぎ払いT》という扱いのようで、それだけだと弱体化ですがレベルを上げると以前より強化されるわけです。


そして習得枠を消費する8つ目の特技ですが。

フェルディナント「畜生ー!どうすんだこれー!」

バトエルデン「どうした?」

フェルディナント「戦闘特技の枠が足りねえ。《全力攻撃》!何で、お前「Vで+20点」とかになったんや。取ってまうやないか」

このように《全力攻撃》も改訂されて《全力攻撃T》になりました。これが置き換えで《全力攻撃U》《全力攻撃V》と2段階成長します。

回避力へのペナルティ−2を維持しつつ、追加ダメージが+4→+12→+20と成長するわけで、ダメージだけだと伯爵の《魔力撃》と同等です。

もし《バトルマスター》で《魔力撃》《全力攻撃V》とか宣言したりすると、従来より更にダメージが20点跳ね上がるわけで色々楽しみです。


マイザール「今までは、《魔力撃》に見劣りしてましたからねえ」

確かに+12が限度だった以前は伯爵ぐらい魔力が上がってしまうと見劣りする。あと《魔力撃強化》のお陰で命中力も上がりますしね。

とはいえ《魔力撃》の使用には魔法使い系技能も必要なわけで、その経験点を浮かせて別の技能が取れるというメリットもある。

あとはペナルティが抵抗力には影響しないというのもありますね。ただ《全力攻撃V》の習得にはファイター技能15レベルが必要ですけどね。


こうして伯爵は《全力攻撃V》を新たに習得し、その代償に《防具習熟》は消滅。鎧は<イスカイアの魔動鎧>になりました。

一応<マナタイトの追加装甲+1>という「イグニスブレイズ」の加工方法で強化はしているようですが。

これはマナタイトという金属を鎧に貼り付け、必要筋力を+3する代わりに防護点を+1するというものです。

加工を入れて防護点8、【ビートルスキン】で10点程ですか。それと大司教がかばってくれることも考えて再び紙装甲に戻ったようです。


あとは流派も変わっていますね。《全力攻撃V》を活かせる2つの流派に入門しました。


まずは【アゴウ重鎚破闘術】です。開祖であるダークトロールのアゴウが蛮族に伝わる闘技を源流として作り上げた流派です。

アゴウは「より強い敵と戦う」ために人族の陣営につき、現在では人族社会に受け入れられてアイヤールに居を構えています。

その秘伝は2Hの近接攻撃武器を使用したものばかりで、《全力攻撃》や《魔力撃》に対応したパワフルなものが特徴。


今回伯爵が習得した秘伝は3つで、それぞれ《全力攻撃T》《全力攻撃U》《全力攻撃V》を基礎しています。

いずれも回避力のペナルティが−3になる代わりにダメージを上げずに敵の防護点を下げるのが特徴。あとダメージを衝撃属性に変えます。

《全力攻撃T》を基礎とする《重破・骨喰み》防護点−6。《全力攻撃U》を基礎とする《轟破・地断ち》防護点−16

《全力攻撃V》を基礎とする《爆破・神鳴り》に至っては防護点−24にもなり、敵にある程度防護点があれば適用ダメージが更に増えます。


マイザール「それ、もはや「防護点無視」と大して変わらなくないですか?」

GM「それまでの割合から言うと、まだ控えめなほうだけど、確かにこれ以上にしても意味がほとんどないうというね」

今までの25レベルの敵でも防護点30点とか当たり前だし、40点に届くやつもいるので多いに越したことはありません。

ポイントは下げるのはあくまでも防護点という点ですね。クリポン武器なんかで初めから防護点無視の魔法ダメージを与えても意味がないわけです。

ちなみに置き換えても置き換え前のスペックで特技を使うことはできます。もちろんそれを基礎とする秘伝も使えます。


そしてもう1つの流派は【クラウゼ流一刀覇王剣】です。これはルキスラの皇族に伝わる流派で、入門だけで名誉点が150点もかかる名門です。

この流派では威力を損ねて命中させるものを虚剣、回避や防御を捨てて命中や威力を上げるものを奇剣と呼んで戒めています。

そのため秘伝はいずれもダメージ・回避力・防護点等を下げることを良しとせず、命中力を下げることでバランスを取っています。

あとは秘伝はいずれも<ソード>を使ったもので、《武器習熟/ソード》を前提としたものばかりです。正に威風堂々とした覇王の剣です。


今回伯爵が習得した秘伝は3つで、やはりそれぞれ《全力攻撃T》《全力攻撃U》《全力攻撃V》を基礎しています。

いずれもダメージはそのままで回避力ではなく命中力を下げるものばかりです。下がった分は自力で当てろという清々しさがいいですね。

《全力攻撃T》を基礎とする《覇王・剛斬剣》、《全力攻撃U》を基礎とする《覇王・輝斬剣》、《全力攻撃V》を基礎とする《覇王・煌斬剣》

どれも命中力が−2されるだけでダメージは基礎特技のままですね。元から命中力の高い伯爵にはうってつけの秘伝といえます。


あと秘伝装備の<ドミネイターズマント>を装備しています。これを装備すると《精神抵抗力判定》《生命抵抗力判定》《生死判定》に+1です。

秘伝もそうですが、徹底して自分がダメージを負うリスクを減らしているんですね。皇族という立場を考えれば当たり前のことですけど。


これで大体の変更点は出揃いましたね。

フェルディナント「でも、どっか引っかかる。装飾品、何か大事なものを忘れてる気がする。何だろう……」

ジュエリィ「悩むよね。あれもこれもで」

フェルディナント「……あ、これだ。はは、何やってんだ俺様。これ忘れたらいかんわ。最初に買っとけだ」

マイザール「何だったんですか?」

フェルディナント「聖印

これでも15レベルなんですよね。世界のどこかにいるであろう他の15レベルキルヒア神官と比較したいものです。


フェルディナント「キル・ヒアー様は寛大だからこのくらいは許していただける」

それキルヒア様と特殊神聖魔法が似ているだけの別の神様ですよね。チャラ・ザ様よりもタチの悪そうな神様です。


★大司教の告白――俺、三つ子だったんだ

次は大司教です。こちらは1つの改革を行っています。

技能

レベル

テーブル

累計経験点

プリースト(ルーフェリア)

15

A

80000

ライダー

11

B

28000

ファイター

10

A

27500

レンジャー

9

B

17000

ウォーリーダー

9

B

17000

セージ

9

B

17000

エンハンサー

7

B

10000

ソーサラー

5

A

7000

コンジャラー

5

A

7000

アルケミスト

2

B

1500

合計

212000

最大の変化はファイター技能が10レベルに下がったということ。その代わりにセージとエンハンサーが急成長しました。

更にソーサラーとアルケミストも生えてきました。これにより深智魔法も5レベルの魔力11で使用できるようになりました。


このファイター技能の変更には色々な葛藤がありました。

バトエルデン「正直、今までを振り返ってファイター技能に何にも期待できんのです。当たらないし、まれに当たってもダメージ出ない」

GM「そら、オフェンス方面の戦闘特技を習得していないバトエルデンが、攻撃でも機能するような敵、出すだけ意味がないからなあ」

元々大司教には「新米女神の勇者たち」で培われたイメージがありました。神聖魔法15レベルに加えて1人旅ができるスペックはあると。

そうなると前衛系技能は必要となり、前線に貼り付いて仲間をかばうタンクファイターとして現在のムキムキエルフが完成したわけです。


ところが多少技能レベルが高くても特技枠は《かばう》や神聖魔法を役立てるもので圧迫。攻撃面では伯爵やゆんには及びません。

バトエルデン「俺がちみっと1体に10点ばかり通してる横で、100点近くが5体まとめてとか、30〜40点の尻尾が一往復とか」

GM「当たり前だが、てめえのディフェンス能力は非常にうざいんだぞ

敵からしたらそうですし、パーティの生命線と言ってもいいでしょう。でも他の人の派手なダメージの影に隠れがちであったことも確かでした。


そこで今回中の人は大司教を3パターン作ってきました。ファイター技能が7レベル、10レベル、13レベルの3つです。

秋田「7レベルはないと思う」

マイザール「大司教、ボクとチャンバラしますか?」←嗜みで7レベルの人

バトエルデン「では、10レベルで。その代わり、このことによって多大な恩恵が皆様に。お約束しますよ。
        ワタクシが支援に徹することで、相手のダメージ高を是正し、皆様方のダメージは2%インフレですよ」

ジュエリィ「バトノミクス(笑)」

ゆん「何だろう、このうさんくさい期待感」

ファイター10→13にする経験点は2万7000点ですから、これを他の技能に割り振れるメリットがある。

これによって《バトルマスター》が消えてしまいましたが、その代替案もちゃんとあってのことです。


実は戦闘特技の改訂で魔法使い系技能を1系統11レベルにすると自動的に《ルーンマスター》という常時特技を習得するようになりました。

効果としては《バトルマスター》のように宣言特技を2つ宣言するものですが、片方は《魔法拡大/**》に限定されます。

これで殆ど代替できますし、《バトルマスター》と《ルーンマスター》は重複しないので《バトルマスター》は必要ではなくなりました。

よって《バトルマスター》を自動習得するファイター技能13レベルを維持する必要もなくなり、この決断に至ったのです。

なお伯爵も当然ながらこの特技を自動習得してはいますが、《バトルマスター》がある以上は逆に《ルーンマスター》が無用でしょうね。


では戦闘特技の構成ですが、《防具習熟A/盾》《防具習熟S/盾》《防具の達人》の3点セットは健在。名称は変更されていますが。

あと《魔法拡大/数》も健在。《かばう》は《かばうT》に改訂され、《かばうU》《かばうV》と2段階成長しました。

《かばうU》は先制を取れずに後手に回っても例外的にこれを宣言できるというもので、戦闘時の安心感が増しました。

《かばうV》はそれに加えてかばう時に限り防護点+2となり、かばう側の安心感も増すように強化されたのです。


そしてそのディフェンス能力を活かすべく《鉄壁》《ガーディアン》も習得して漏れなくカバー。

GM「ぐへ。それきつい。あかん、何も通らん」

しかも《鉄壁》も地味に改訂されて3体までしかかばえなかったものが何体でもかばえるようになりました。

加えて《ガーディアン》でそれぞれ最大5回までガードできるわけで、前回までとは比べ物にならないほどの鉄壁の守りを実現。


そして習得枠8つ目ですが、これは改訂で追加された宣言特技の《ダブルキャスト》というものを選びました。

これは魔法を2回行使できるというものですが、魔力は−10されて使用できる魔法は本来のレベルやランクの半分までに限定されます。

よって高レベルの魔法を使うことはできないし、魔力が著しく下がってしまうので敵の抵抗を抜くことも難しくなります。

それでも2回の行使で使う魔法は自由に切り替えられるため、味方を支援するような魔法を一気にばら撒くことが可能になるのです。

神聖魔法なら8レベルまで、真語魔法・操霊魔法・深智魔法なら3レベルまで。【タフパワー】や【フィールド・プロテクションU】等が可能ですね。


これで大司教の宣言特技は《魔法拡大/数》《かばうV》《ダブルキャスト》の3つになり、《マルチアクション》は消えました

このことを大司教は気にしている様子でした。神官戦士の花形のような特技ですもんね、切るのは苦渋の決断だったでしょう。

あと地味に《MP軽減》も消えていますが、これはセージ技能を伸ばして《マナセーブ》を取ったことで上手くカバーしています。

これにより《ルーンマスター》で《魔法拡大/数》《かばうV》や《魔法拡大/数》《ダブルキャスト》というのが可能になりました。

前者は今までも散々やってきたものです。後者は今までにない速さで魔法をばら撒くことのできる手段で、支援役として充実しましたね。


練技は今回7レベルで習得したわけですが、【ストロングブラッド】や【メディテーション】のような防御に使えるものも取りました。

一応【キャッツアイ】と【マッスルベアー】は取っていて<フランベルジュ>も持ってはいますが殆ど使わないでしょう。

【リカバリィ】も取ったので7点HPを回復できます。《ポーションマスター》に加えて補助動作による回復手段が増えましたね。


鼓咆は9レベルで【堅陣の構え】を除くと「攻撃系」5つに「抵抗系」3つを取って、前作で主だった「回避系」「防御系」は取っていません。

これは《かばう》が非常に強化され、回避や防御の優先度が下がったためと思われます。何しろ自分が殆ど受け止めるつもりでしょうし。

それならば「攻撃系」で伯爵とゆんを更に強化し、《かばう》が使えない抵抗関係を強化した方がいい。一応銀鱗の秘伝は前作同様にありますけどね。

ちなみに「イグニスブレイズ」を反映させると銀鱗の秘伝にも《かばうU》《かばうV》の効果が乗る。《かばうV》があれば魔法ダメージも−2点します。


その流派ですが今回は更に2つの流派に入りました。1つはルキスラ帝国の名将が編み出した【ファルネアス重装馬闘術】です。

これは騎手・騎獣共に重装で身を固め、その圧倒的な存在感で戦場を支配する流派です。当然全ての秘伝は騎乗状態で使用します。

今回大司教が習得したのは《巨象守護の型》のみ。これは《かばう》を基礎とし、【騎獣の献身】を前提として使用できます。

これは騎手及び騎獣の任意の部位が《かばう》を宣言するというもので、効果発動時は防護点+2の効果があります。

「ザルツ博物誌」に収録されている流派ですが、「イグニスブレイズ」を反映させると《かばうV》の防護点+2が更に増えて+4点になります。


もう1つの流派は【ジアンブリック攻盾法】です。これはザルツ地方のダーレスブルグ王国(現公国)で生まれた盾を武器とする流派です。

今回習得した秘伝はいずれも基礎特技を持たないもので、1つは《選ばれし鋼の一打》です。これは一部の武器としても使える盾を使用します。

通常この手の盾は武器として使用したら回避力や防護点のボーナスは発揮されなくなりますが、この秘伝ではその防御能力を維持したまま盾を武器に使える

2つ目の秘伝《完全なる鋼の一打》は《選ばれし鋼の一打》を前提とし、防御能力を維持したまま任意の盾を武器に使えるようになります。

もし<銀鱗の煌盾>をこの秘伝で武器として使った場合は威力20になりますね。<エターナルロード>なら威力34にもなりますね。


ただし今回大司教は【ジアンブリック攻盾法】の流派装備である<スチールハート>というSランク<盾>を購入しています。

これは命中力+1で威力24の武器として使える盾で、これを使うのであれば《選ばれし鋼の一打》で十分ですね。

しかも防護点+4となかなか優秀。回避力への修正がないけど防護点への修正のみ<グロリアス>に匹敵する。

更に大司教はこれに<マナタイトの追加装甲+1>を施しているため、防護点+5と<エターナルロード>に次ぐ防御力を発揮する。


なお装備ですが<グロリアス>や<エターナルロード>は予算の都合上購入していません。メイン盾は<銀鱗の煌盾><スチールハート>です。

これにより<ブラックベルト>を装備しているとしたら素の防護点は21点か23点。《かばうV》を使う時に限り23点か25点になります。

数値的にはちょっと下がってはいるものの、かばう役としての安定感は以前よりも増していますね。何しろかばえる回数が段違い。

あと装備することで防護点+1の効果がある<ディフェンダー>というAランク<ソード>もあるので、これまで使うと24点か26点でかばえる。

ただしこれはランク効果で大司教には《武器習熟A/ソード》がないため、特技を【ウェポン・マスター】で付与されない限りは無効ですが。


それにしてもお金がない。今回は巻末に大司教のキャラメイクの概要が載っているのですが、36万ガメルあっても本当にカツカツなんですね。

バトエルデン「ええい、予算が足りぬ。国防費をもっと上げるのじゃ」

GM「おい」

バトエルデン「これ、買い物してると、国家予算決める気分になるんですよ」

実は最初に何も考えずに欲しいものをリストアップしたところ、武器防具だけで30万2160ガメルになったそうです。

残り6万ガメルではロクな買い物ができないので半分の15万ガメルまで削減。<エターナルロード>なんかが消えたわけです。

何しろ従来の魔晶石・魔符・薬に限らず、今回アルケミストにも手を出していますしね。ドラゴネットを10万ガメルで購入なんて夢のまた夢。

結局今回使う騎獣はレンタルのスカイバイクになったようです。そのためにライダー技能11レベルにしてレンタル料6000ガメルで我慢。


バトエルデン「神殿をうろつき回って「おう、経理係、ここにいたか。さあ、俺にもっと予算を回せ」」

経理係「ああ、またバトエルデン様がご乱心なされた」←またですか

バトエルデン「ああ、増税してえ。薬品だけで、予算を4万2160ガメル計上しておるんだぞ」

増税して潤うのはあくまでも神殿の財政であって大司教の懐ではありませんけどね。もし潤ったらまた別の事件になる。


★カイン・ガラの宝石は歌う――ワタシ、悪いことしてないよ

次はジュエリィです。こちらは若干のマイナーチェンジが入っています。

技能

レベル

テーブル

累計経験点

フェアリーテイマー

15

A

80000

セージ

15

B

67000

ソーサラー

12

A

44000

スカウト

7

B

10000

アルケミスト

5

B

4000

コンジャラー

3

A

3500

マギテック

1

A

1000

合計

209500

主技能はそのままでソーサラーが12レベルになりました。それと入れ替わるようにコンジャラーは3レベルになりました。

これで使い魔の金色の瞳のトパーズちゃんは上位の使い魔になって続投です。MP15点も使えますね。

あとはアルケミストが生えてきましたね。生まれのマギテックは相変わらず1レベル安定でミスティックは消えました。


戦闘特技は《魔法拡大/数》と《魔法誘導》《魔法収束》《魔法制御》の3点セットはそのままです。

《武器習熟A/スタッフ》も取っているので装備している<マナスタッフ>のランク効果を使えて魔力+1です。

《キャパシティ》は消えましたがトパーズちゃんがいるし<異貌の面>もある。《鷹の目》と《魔法拡大/距離》も消えましたね。


それと入れ替わる3つの特技はいずれも改訂の影響を受けたものです。まずは置き換え特技の《魔力強化U》です。

前巻でマイザールの取っていた《魔力強化》が《魔力強化T》に改訂され、それを置き換えて習得します。

以前は魔法使い系技能を2系統8レベル以上で習得するものでしたが、改訂で6レベルでTを習得できるようになりました。

この時点で全ての魔力+1なのに、2系統10レベルでUに置き換えると全ての魔力+2と強化されるのです。


これによりジュエリィの妖精魔法の魔力は素で26、特技で28、<マナスタッフ>を装備するとなんと魔力29になる!

魔力だけなら魔法王やノワールを超えましたね。しかも〔異貌〕すると《行使判定》の基準値が30にもなります。

あとは【ブレスU】とか【スペルエンハンス】もあるし。ここまで伸びると25レベルの敵の抵抗すら抜ける目も出てきました。


もう1つは追加された宣言特技の《ディフェンススタンス》です。回避力・生命抵抗力・精神抵抗力のいずれかを+4します。

フォーセリアの頃でいう《防御専念》《抵抗専念》をパッケージしたような特技ですね。もちろん宣言する毎に任意のものを選べます。

ただし選ばなかった2つと《生死判定》以外の行為判定に−4ものペナルティを食らうので、敵の抵抗を抜きたい時等は不利になります。

最後も追加された宣言特技の《クリティカルキャスト》です。魔法のクリティカル値を−1にするというものです。


もちろん《ルーンマスター》も自動習得しているので、複数の宣言特技を組み合わせて宣言することができるようになりました。

今までは専業魔法使いが宣言する特技といえば《魔法拡大》と《魔法収束》ぐらいしかありませんでしたが、色々と選択肢が増えましたね。

ジュエリィの場合は《魔法拡大/数》《クリティカルキャスト》や《魔法拡大/数》《ディフェンススタンス》が可能になります。

前者は単体攻撃魔法を拡大する時にやっといて損はないし、後者は味方を支援する魔法をばら撒くついでに弱点をカバーできる。

《魔法収束》は対象が「半径○○m/△」の魔法に使うので、対象が「1体」等に使う《魔法拡大/数》と原理的に排他関係になる。

《ファストアクション》で別々の魔法を使ってそれぞれに適用するようなケースがあれば役に立つかもしれませんね。


ジュエリィ「あれ?いいのかな?マギテック1レベル、魔力15

GM「あ?」

ジュエリィ「レベル1+知力ボーナス11+《魔力強化U》+<マナスタッフ>。合ってた」

GM「わけがわからないよ……」

フェルディナント「何もかも吹っ飛ばしておいて、「今のは、余の【ソリッド・バレット】じゃ」」←バーン様!

妖精魔法15レベルで魔力29ということは、レベル以外で計上する数値が14もあるということですもんね。

昔は経験を積んでレベルを上げることで魔力を上げるのがセオリーだったのに、今や才能があれば平気でそれを覆してしまう。

世の中には10レベルあっても知力+5ない人だって多いだろうにこの魔女は。何というかこう……ずるいな(笑)


今でも他学部の授業に出席して教師達を悩ませているようです。

ジュエリィ「さ、魔動機術初等科の講義を受けに行くぞー

GM「授業荒らしヤメロ」

ジュエリィ「荒らしてないよ。1レベルにふさわしく、丁寧にノート取ってるよ」

GM「最悪だ。教師残らないんじゃないの?」

マイザール「どう見ても、粗を見つけてメモってる姿ですよね」

その甲斐あってかソーサラー技能は12レベルにもなってますね。代わりに何故かコンジャラー技能が下がっていますけど。

ここまで来てるならいっそ【ポリモルフ】でも使って変装して出席してあげた方が伸び伸び授業を受けられそうです。


妖精の契約の詳細は不明ですが光と炎を中心に契約している様子です。

ジュエリィ「【バーチャルタフネスU】大事だと思う。40点以上、HP増やすよ

GM「それ、《タフネス》《頑強》《超頑強》のセットに迫る量なんだが」

魔力29なら41点も増えますね。比較的HPの低いジュエリィですら100点を越え、大司教なら150点を越えます。

ちなみに《超頑強》は《頑強U》を改訂したものです。流石にこれは置き換えではなく別々に習得枠が必要なんですね。


あとはアルケミストも5レベルだけ取っていますね。これは5レベルで【イニシアティブブースト】を取るためと思われます。

実は戦闘特技の改訂で《ファストアクション》が弱体化しまして、自力で先制を取らないと発動しないようになったんですよね。

今までのように嗜みでスカウト技能を7レベル止まりにしておいて、先制はメインスカウトに任せるという方法は通じなくなりました。

しかし【イニシアティブブースト】があれば最悪SSランクカードで強引に先制をもぎ取ることも可能になります。お高い手段ではありますが。

実は伯爵もそんな理由か【イニシアティブブースト】を取っていますが、本来4レベル止まりではこの賦術は取れないんですよね。


★百変化の工夫――何でもメモする

次はゆんです。こちらは殆ど変わりません。

技能

レベル

テーブル

累計経験点

エンハンサー

15

B

67000

グラップラー

14

A

66500

スカウト

14

B

55000

ソーサラー

9

A

21500

マギテック

2

A

2000

アルケミスト

1

B

500

合計

212500

地味にスカウト技能が14レベルになりましたね。あとソーサラー技能も9レベルに上がりました。


戦闘特技としては《魔力撃》《テイルスイング》《跳び蹴り》《頑強》《練体の極意》は引き続き取っています。

特に《練体の極意》はMPのないグラスランナーの練体士としては非常に重要です。何しろ練技一回で300ガメルの<魔晶石>が要る。

《武器習熟A/格闘》はありますが《武器習熟S/格闘》《武器の達人》は消え、<ハンズオブグローリー><レッグオブオナー>は買っていません。

やはり資金的問題で高価な装備をケチったわけですが、代わりに《防具習熟A/非金属鎧》を取って<リュンクスベスト>を着ました。

これはSランクの<非金属鎧>で回避力+2の効果があるグラップラー専用装備です。これで回避力は素で27になりましたね。初期を思い出します。


そして習得枠を埋める8つ目の特技は《命中強化U》です。《命中強化》を改訂して《命中強化T》になったものを置き換えて習得します。

これで命中力+2と当たりやすくなりました。素の命中力は24、前巻のように練技とタゲサで+4したら命中力28にはなりますね。

やはり伯爵ほどではありませんが他の支援も入れれば十分当たる水準です。習熟系を削ってでも取っておく価値はあるかと思います。

ちなみに武器はAランクの<パワーリスト><パワーアンクル>です。いずれも威力では以前に劣りますが、<格闘>には珍しくクリティカル値9と回りやすい。


技能的にはアルケミスト技能を1レベルだけ取って【クリティカルレイ】を習得しています。

ゆん「それにしても、びっくりするくらいお金がないよ。Sカード7枚と、SSカード4枚って少なくない?」

ジュエリィ「SSカードは、5枚だけ」

マイザール「ボク、2枚だけですよ」

それだけで2000×7+20000×4=94000ガメルにもなる。資金の1/4もつぎ込んでいます。

しかも<魔晶石>には10万ガメルほど計上しています。これはMPのないグラランとしては仕方のない面もある。

【ブリンク】1回で10点消費なので2000ガメル。タゲサを毎ラウンド使うだけで3点消費で300ガメルですもんね。

《練体の極意》や使い魔のMPが使えるとはいえ、やはり自前のMPがないというのはそれだけでリソースに大きなハンデです。


ゆん「そんなものか。でも、ゆんは《鎧貫き》をメインに考えてるんだよね。ちょっと足りなくない?」

マイザール「いや、毎ラウンド使わないといけない【クリティカルレイ】を、
       SS前提で考えるのはさすがに無理筋です。基本、Aカードが似合う賦術ですよ、あれ」

この《鎧貫き》というのも追加戦闘特技です。それも「イグニスブレイズ」でも唯一の自動習得の宣言特技です。

グラップラー技能5レベルで自動習得する上に、その効果はクリティカルすると防護点無視という決まれば派手な技ですね。

クリティカル値の低い<パワーリスト><パワーアンクル>にしたのも、【クリティカルレイ】を習得したのも、これを役立てるためでしょう。


ゆん「<イグニタイト加工>はしたけど」

GM「おう……」

バトエルデン「<イグニタイト>のワンツーパンチが結構効いてません?」

Aランク武器だと1万ガメルで威力+5。<パワーリスト>で威力15、<パワーアンクル>で威力20ですね。

クリティカル値9だから【クリティカルレイ】をAランクで使えば出目7でクリティカル=防護点無視ということになります。


追加ダメージは素の19に《魔力撃》で+12、練技を熊・巨人・スフィンクスと入れると<熊の爪>もあって+7だから38点です。

仮に威力20で出目7+2で回ったとすると7点、2回目も出目7だとすると5点で計12点。50点素通しということになります。

相手の防護点と強化状態にもよりますが、伯爵の適用ダメージとそう変わらないかもしれない。手数の多さが幸いすれば総量で越えるかも。

あくまでも単体攻撃なので前巻の《魔力撃》《テイルスイング》のようにダメージをばら撒くことはできないけど、なかなか楽しみな新特技です。


安価なAランク武器でこんな戦い方ができるのは幸いですが、それでもお金がないのは変わりません。

GM「追い打ちかけるようで悪いけど、<魔符>は買っておいたほうがいいと忠告しておく」

つまり抵抗をする場面が多くなると。消耗品なので装飾品欄を圧迫せず、かつ達成値を確認してから使用できる魔符は本当に便利ですしね。

ここでは+3を数枚持つよりは、それを1枚買うお金で+1や+2を1〜2枚増やす方が役に立つ場面が多く、財布に優しいとあります。

+1(500ガメル)を2枚と+2(1500ガメル)を2枚なら4000ガメル。+3(5000ガメル)1枚より確かにお安くなりますね。

【タフパワー】【ブレスU】をかけていれば+3、更に+2の魔符を使えば抵抗力+5にもなり、基準値でいうと各人25を越える程度にはなりますね。


ゆん「大体できた!そして、これから「補助動作チェック表」を作る。
    ラウンド始まったら何をするのか、一覧にしておかないと、自分でもわからなくなる」

ゆんは補助動作でやることが多いから仕方ない。練技だけでも6ラウンド持続するやつと2ラウンド持続するやつが混在してますしね。

更に重ねがけする牙と尻尾。状況に応じてかけ直す【ブリンク】。毎ラウンド使うタゲサ、【クリティカルレイ】、宣言特技に練技の投擲と牙。


ゆん「パーティで1、2を争うかな?」

バトエルデン「いや、争うとかじゃなく、疑いもなくトップ

ゆん「何でだろう?変なキャラ作って変に遊ぶだけのつもりだったのに」

《テイルスイング》や《追加攻撃》も考えると判定やダメージ決定の回数も多いし、間違いなく一番時間を食う。

そう考えると単体攻撃の《鎧貫き》《魔力撃》という戦い方は多少は負担を軽減することにもなるかもしれない。


★魔神学者、訂正す――計画に不備が認められました

最後はマイザールです。

技能

レベル

テーブル

累計経験点

ソーサラー

15

A

80000

コンジャラー

12

A

44000

デーモンルーラー

9

A

21500

フェアリーテイマー

8

A

16500

アルケミスト

7

B

10000

ファイター

7

A

12500

スカウト

7

B

10000

セージ

7

B

10000

エンハンサー

5

B

5500

プリースト(ル=ロウド)

2

A

2000

ミスティック

1

B

500

合計

212500

最大の変化はフェアリーテイマー技能をいきなり8レベルで習得したことです。これで魔動機術以外の魔法は全て習得したことになります。

習得している技能の数は11種類にもなり、「イグニスブレイズ」の時点で公開されている全19技能の過半数を習得していることになります。

これにより魔法使い系技能が合計46レベル(138点)でMP187点になりました。あと何かしら5レベル上げると200点越えますね。


あとは地味にミスティック技能を1レベルだけ取りました。習得したのは戦利品の出目をプラスする【幸運は富をもたらす】です。

使用する能力値は精神力なので1レベルでも基準値8。1ゾロを振らなければ出目+1、7(達成値15)以上なら出目+2にできます。

これを《トレジャーハント》《トレジャーマスター》のゆんか、《トレジャーハント》《鋭い目》のジュエリィに使えば出目+4も夢じゃない。

その場合は平目で7でも11以上の戦利品が剥ぎ取れますね。9が出れば13以上の時だけのレアな戦利品すら剥ぎ取ることができます。


戦闘特技は《魔法拡大/数》《魔法拡大/距離》《魔法拡大/確実化》《魔法誘導》《魔法収束》はそのままです。

《魔法制御》はなくなって必要なときは【マジシャン】で付与するなどで対応する予定。《キャパシティ》も消えました。

その代わりにジュエリィと同様に《武器習熟A/スタッフ》で<スパイラルホワイトロッド>装備可能。《ダブルキャスト》も取りました。

これで真語魔法は8レベル、操霊魔法と深智魔法は6レベル、召異魔法は5レベル、妖精魔法は4レベル、神聖魔法は1レベルで2回行使可能。


《魔力強化》はジュエリィと同様に《魔力強化U》に強化されました。これで素の魔力は真語魔法や深智魔法で27、練技も入れると29になる。

《ルシェロイネ魔導収束》で+4すれば基準値で33にもなります。ジュエリィもそうでしたが抵抗を抜けそうな程度に強化されましたね。

もちろん《ルーンマスター》もあるので《魔法拡大/○○》《ダブルキャスト》という宣言も可能です。秘伝だって組み込めます。

例えば《魔法拡大/数》《ティルダンカル光魔二条》と宣言すれば擬似的な《魔法制御》といった感じで範囲魔法を任意の対象に当てられます。


マイザール「知力ボーナスが+11いきませんでした。というか、新規成長5回分が、全部知力にいかなかった」

GM「あれから12年、マイザールの知力はまったく伸びなかったと」

マイザール「王子を苛めるのをがんばりすぎましたね

1D6で5/6の確率を10回連続で引き続けたとすると確率的には16%ほど。また微妙にありえるから困る。


それにしてもトラヴィス君の教育はかなり力を入れて続けられているようです。

フェルディナント「いいか、お前は王になるのだ。王の心得の一番は「必ず勝つ」。これだ。
          負けたやつには誰もついてこない。だから、王は、勝って勝って勝ち続けなければならない。それが義務だ」

マイザール「いいですか、王子。勝つための心得なんて簡単なもんです。「勝てばよかろう」です。
       砂を噛んででも勝つ、泥水をすすってでも勝つ、体面など気にせずに勝つ。
       それだけの覚悟を持って、それから初めて戦略や戦術を語ってください」

フェルディナント「人間、負けたらゴミだ。頭に、いや、身体に刻み込んでおけ」

マイザール「どうしても優しさを見せたければ、勝った後にしなさい。それでも十分間に合いますからね」

トラヴィスは故郷を蛮族に滅ぼされ、父親も自分の弱さが原因で死んだわけで、勝つことが大前提というのは当然ではある。

でもこのままでは優しさを見せようにも、その優しさを持たない人間になりそうで、将来が心配になります。

孟子でいう徳で人をまとめる王道ではなく、武力や恐怖で人をまとめる覇道をこの年で歩ませている感じですかね。

カシューなんかもどんなに卑怯でも勝つという覚悟はありましたが、人間的魅力があったおかげで王道を進んでいましたね。




以上で一通り終わったわけですが、まだ微調整が残っていました。

ジュエリィ「みんな魔符はどのくらい買った?」

ゆん「買ってない」

マイザール「手が届きませんでした」

GM「……」

フェルディナント「おい、GMの顔が変だぞ」

ジュエリィ「ええと……それ……「はぁ?何だと?もう一度言ってみろ」の顔?」

どうやら本格的に抵抗が重要な場面があるようです。危機感を抱いたのか一同買い物を見直しました。

ここまでお金がないことの原因はやはりマテリアルカードのようです。流石にSSランクを何枚も使うことを前提にするのは無茶ですか。


何しろ2万ガメルです。魔符の+1なら40枚、+2なら13枚、高い高い言われる+3でも4枚も買える。消耗品にあるまじき高級品ですね。

組み合わせでいうと+1を2枚、+2を2枚、+3を1枚のセットで買っても9000ガメル。陽光と月光をそれぞれ買っても1万8000ガメル。

なんと2000ガメルもお釣りが来ちゃう。その金で+2と+1魔符を1枚ずつとか、Sランクカード1枚とか、10点の<魔晶石>1個とか買えちゃいます。


SSランクのカードとは文字通り切り札ですね。何枚も使えるようでは新たな"バブリーズ"と呼ばれかねない。

ゆん「うーん……あ、お金節約できる方法見つかった」

マイザール「このタイミングで?」

実はゆんは秘伝の《鋼鷹》で【バルーンシードショット】できる近接攻撃武器として<ミスリルアックス>を購入していました。お値段8000ガメルです。

威力33/43の高威力ですが、それ以上の威力45というスペックの<メイス>Bランク装備の<オーガモール>を使えばいいのです。お値段640ガメルと安価。

必要筋力30と高いので筋力18のゆんには本来使えないけど、【ジャイアントアーム】を使うことを前提とすれば丁度使えるんですね。

ただし《鎧貫き》《魔力撃》をしていると《鋼鷹》まで宣言する余裕がない。どうしてもやりたいならどちらか諦めないといけませんが。


そもそも<ミスリルアックス>自体が<アックス>Sランク武器なので習熟の問題でゆんには使えないんですけどね。

以前は《武器の達人》があったから必要筋力18以下なら使えたんですが、それも【ウェポンマスターU】でやってやれないことはない。

既に《武器習熟A/格闘》は持っているので【ウェポンマスターU】を1回で《武器習熟S/格闘》、2回で《武器の達人》になる。

【ジャイアントアーム】が前提なら《武器習熟A/アックス》だけ付与して、必要筋力18+10=28になるのを強引に持つことも可能。

ていうか必要筋力28だの30だのという重量武器を口で咥えるというのが改めて凄い秘伝です。まさか顎を鍛えるのが本質の秘伝なのだろうか。


★モヒカンの中に咲く花?

今回の時代設定は「双頭のサーペント」からほとんど進んでいません。「新米女神の勇者たち」や「from USA」なんかと同じ時代ですね。

"ぞんざい勇者団"は修学旅行で出てたりするし、"ガッデムガーディアンズ"は蛮族軍の襲撃を受けたリオスのために奮戦しました。

特にリオスの被害は結構なものになっています。間違いなく歴史に刻まれるレベルの戦争で、首都ラスベートや第二の都市リリオの被害も凄い。


GM「お前ら、なんでちょっかい出してあげないの?」

マイザール「しょせん、他所の国ですから。目の前の我が領の経済危機のほうが問題ですよ」

フェルディナント「モヒカン部隊が飯喰うばっかりで何も育てねえからな」

ジュエリィ「リオスはお金持ちだから何とかなるよ」

バトエルデン「ウチみたいな田舎国家が危惧してやってもしかたありませんな」

実際のところ蛮族の軍勢は数だけでいえば結構なものでしたね。ディルフラムにとって「滅びのサーペント」事件以来の大出兵ではないでしょうか。

でも首魁はそこまで強力ではなかったので10レベルぐらいの"ガッデムガーディアンズ"の活躍で何とか討ち取れました。やはり大将首こそ戦の華。

4レベル強化のレッサーヴァンパイアなので15レベルでそれなりの強敵ではありましたが。もし十三魔将が出てきていたら流石に無理だったかも。

ノワール程ではないにせよドレイクカウントとかはまず勝ち目がないでしょうし。15レベルのダークナイトなら何とかなるかもしれないけど。


フェルディナント「ん?ひょっとして、今、俺様のところのモヒカン部隊を労働力に送ったら結構稼げる?

GM「災害救助に軍隊送るなら、無償でやってもバチ当たらなくない?」

それはそれで疲れ果てている現地の人がちょっと怖がりそうですね。何しろ見た目は肩パッドつけたモヒカン部隊なわけで。

でも意外と働き者で「ヒャッハー!瓦礫を撤去するぜ!」「ヒャッハー!負傷者には手を貸すぜ!」とかやってそう(笑)

精鋭揃いの《血風領》の兵士達なら労働力は凄そうだけど、別の国に派遣するとなるとまた国同士で色々面倒なんでしょうけどね。


今回のシナリオはそんな《血風領》にある伯爵の屋敷から始まります。

フェルディナント「屋敷なんだよなあ。「城」と言いたいが、金が足りん」

GM「爵位の価格見直すついでにそこも直せばよかったかなあ」

なにしろ城は名誉点が1200点かかる上にお金が50万ガメル以上もかかる。ていうかそれぐらい爵位とセットでいいと思う。

かといって「大きな屋敷」でも名誉点が400点とお金が10万ガメル以上。そんな金額を36万ガメルから割けるとは思えない。

それの次は「中規模の邸宅」になりますね。名誉点が150点と2万ガメルなので多分この辺で手を打っているのではないかと。


というわけで小城ということになりました。まぁ何と呼ぶかは本人の自由なので。最近は王子の悲鳴が聞こえることで有名になっていそう。

マイザール「うーん、記録用の<バーサタイル>の消費が激しくて困ります

バトエルデン「お前、それ……」

マイザール「いつか来るであろう戴冠式用ですよ。成長記録。ほら、結婚披露宴で流したりするでしょ?ああいうやつ」

それならもっとハートフルでアットホームな映像を記録してあげて欲しい。同じ教師でもウォートとは大違いのスパルタっぷりです。

しかし記録時間10分の<バーサタイル>では不便ですね。場所は取る、金もかかる、ホームビデオにするにはコストがかかり過ぎる。

1枚5000ガメルだから1時間記録するだけで3万ガメルもかかるんですよね。金欠の《血風領》には厳しい出費でしょう。


静止画でよければそこそこレベルの高い魔動機師を使うか、自分がマギテック技能を上げて【マナカメラ】で撮影しまくればいいんですがね。

<マギスフィア(大)>なら1000ガメルで1000枚も撮影できる。これだけあればアルバムとしては結構なボリュームですよ。

しかも<オプション>をつければなんと記録量が2倍になるのです。8レベルの魔動機術なら800ガメル追加で2000枚記録可能。

<マギスフィア(大)>を2個買うよりも200ガメル安く済みます。これを倉庫一杯になるまで撮り貯めれば結構な情報量ですよ。


しかしそのあまりに愛の溢れる?マイザールの教育方針には流石の伯爵も心配そう。

フェルディナント「なあ、少しは自重したほうがいいかもだぞ。こないだ、王子の私室で剣を研ぐ音が聞こえてたぞ

マイザール「師匠は少し嫌われるぐらいで丁度いいんです

一同「少し?」

フェルディナント「最近、グルグル眼ん玉で「義父上、僕もそろそろ戦場に出たいです」とか言い始めてなあ」

ジュエリィ「こ、壊れかけている?」←既に壊れてます

マイザール「かわいらしいもんじゃありませんか。父親超えを果たしたいんですよ。イヒヒ」

積極的なのはいいことですが、戦場の混乱にまぎれて誰かを刺さないか心配です。誰をとは言いませんがね。


という一部不穏な小城を歩いていた伯爵とマイザールは見慣れないシャドウの女兵士がいることに気付きます。

シャドウ「初めまして!この度、入隊させていただきました(敬礼)。
      "闘神"様のお噂はかねがね聞いております。お力になれることを誇りに思います」

彼女の名前はズミーヤといってユーレリア地方の出身でした。装備は<ソフトレザー>に<ディフェンダー>という軽戦士タイプ。

特徴的なのは十字に鉄の補強が入った<バックラー>を2つ持ち歩いているということです。実はこれユーレリア地方の流派なのです。


【ラステンルフト双盾護身術】
といって両手に<盾>を構えた状態で敵の攻撃を受け流し、身を守ることを得意としています。

通常<盾>を2つ構えただけでは効果は累積しませんが、それを可能にする秘伝や、身を守りながら蹴り技で攻める秘伝があります。

十字に鉄の補強が入った<バックラー>は流派装備の<スタウトバックラー>です。通常のものと違って回避だけでなく防護点にもボーナスがある。


またズミーヤの<ソフトレザー>は袖なしなのですが、左腕だけは布で覆うようにして露出を防いでいます。

フェルディナント「それは、訊いてもよいか?」

ズミーヤ「1回、死んでますので

彼女が見せてくれた左腕には鱗に似た痣がありました。それは蘇生をして穢れを受けた代償によるものでした。

シャドウといえば傭兵や密偵として有名な種族ですが職業柄危険も多い。そのせいか彼女は蘇生を受け入れるタイプの人のようですね。


ズミーヤ「マイザール様の<苗床>にはなれませんので、よろしく」

マイザール「どういう噂を聞いてるんだ、お前」

バトエルデン「<苗床>にしては、地下十階の迷宮に投げ込んでるとか、だろ?」

マイザール「やだなあ、そんな根も葉もない噂」

噂も何も自分で言っていましたけどね。例え噂でも真実としか思えない説得力を感じるし。


フェルディナント「我が領は完全な実力主義、人族のために戦う意思と能力があるなら、穢れのあるなしなど、些細なことだ

ズミーヤ「よろしくお願いします」

実際それで蛮族なんかもいるようですしね。何よりこんなにも危険な魔法使いを抱えているんだし、穢れ持ちなんて可愛いもんです。


そうと決まれば早速配属先を決めようと、伯爵は腹心のマルコを呼び寄せます。彼も息の長いNPCですね。

マルコ「わかりました。さて、この子の実力のほどは……」

マイザールが達成値26を出して余裕で見抜きました、なんと13レベルです。技能はフェンサーとスカウトという典型的軽戦士です。

目標値16を10も上回っていますよ。そもそもセージ技能をちゃんと取るようになって魔物知識17あるから基準値で抜いている。

伯爵とマイザールが強過ぎて霞んでしまいますが、普通に考えたら彼女も相当の実力者。組織のトップに居座っていても不思議のないレベルです。


ところがマルコも伯爵も見抜けませんでした。伯爵の場合は魔物知識5しかないので出目11必要では無理だったか。

フェルディナント「マイザール、ちょっと来い。おい、お前の目にあやつはどう映った?」

マイザール「なかなかやりますね」

フェルディナント「お前の眼鏡に「も」かなうとは相当だな」←見栄っ張り

しかし実際強いですよ。アイヤールだとセラフィナとかジークと冒険者レベルだけなら互角じゃないですか。

そのあまりの実力に伯爵とマイザールは彼女に警戒心を覚えました。こんな実力者が何か企んでいるのではないかと。

流派からして本当にユーレリア地方出身なのかもしれませんが、そんな遠くからフェイダン地方にまで来るのは何故なのか?

それこそ伯爵の実力を見込んで何か厄介事を持ち込んだ可能性もある。2人は現時点では彼女を監視しつつ泳がせることにしました。


マイザール「何であの子、<苗床>にならないとかで安心してるんですかね?
       13レベルフェンサーなんて、「自分を供物にゲルダム呼んでください」って言ってるようなものじゃないですか」←言っていません

魔神の召喚には色々な供物が必要ですが、ゲルダムの場合は13レベル以上のファイター、フェンサー、グラップラーいずれかの死体が必須です。

こういう非合法の供物を必要とすることもあるのだから、召異魔法が忌避されるのは仕方ないと改めて実感させられますね。


もっとも召喚するだけなら可能でも実際に契約を結ぶにはレベルが足りませんけどね。生け贄とか星辰とかで修正を入れることはできますが。

やっぱり犯罪になるようなことも多いし、NPC専用の条件もあるので、ゲルダムと契約するにはもうちょっとレベルを上げてからでもいいでしょう。

ただマイザールの魔力なら現時点でもゲルダムの精神抵抗24(31)を抜くことは不可能ではない。召異魔法の魔力が素で21ありますしね。

【スフィンクスノレッジ】も使えば23、他にも色々方法はある。レベルを上げようものならもっと確率が上がり、再封入も苦ではなくなるはず。


そうこうしているとマルコはズミーヤを連れて訓練場へ向かいます。模擬戦闘で実力を確認して配属先を決めるつもりです。

マルコ「さあ、どこからでも打ち込んできなさい」

フェルディナント「やめとけマルコ」

マイザールの使い魔(猫)と「可愛い新人の腕を見てやるぜ」というモヒカン達が見守る中、模擬戦闘は行われました。

ちょっとマルコが心配になりましたがズミーヤはあからさまに手を抜き、随所に媚びるポイントを作るというあざとい戦い方を見せます。

ていうかこれだけモヒカン達がいて実力を見抜いているのがマイザールだけですか。伯爵以下脳筋の集まりなのか《血風領》(笑)


ジュエリィ「やーん、当たらなーい。マルコさん強ーい。ズミーヤ、『きゅん』ってなっちゃう」

フェルディナント「そんなシャドウいねえだろっ!」

そこまで露骨ではないけど、不自然に足を跳ね上げてお尻を見せるとか、男所帯のモヒカン達には好評な様子。

《血風領》は確かに出身を問わず門戸を開いているんでしょうが、それでも男社会っぽいし。これは部隊のアイドルも夢じゃない。


少なくともマルコやマヒカン達に取り入るという意味では大成功を収めた模擬戦闘でした。

マルコ「実力のほどは大体わかりました。そうですね、あなたは私の隊に配属……

フェルディナント「おい、マルコ」

ズミーヤ「ありがとうございまーす。ちょっと、剣の握りかた教えてもらっていいですかー」

マルコ「そうだね、そんな風に握りしめるんじゃなくて、こんなふうに柔らかく、ちょっと手を触っちゃうよ

フェルディナント「思い切りハニートラップに引っかかりやがって

少なくともこれでただの入隊希望者ではないということは察しがついた。後は何を企んでいるかですが。


マイザール「操霊と妖精をもっと鍛えてれば【スティール・メモリー】【マインドリード】に届いたんですけどね」

前者は14レベルの操霊魔法で、指定した時間の記憶を奪う。対象は記憶を奪われたことにも気付きません。

ただし魔法の行使には奪う時間に等しい時間がかかる。解除されたら対象は記憶を取り戻しますが、術者は持ち続ける。

後者はランク14の妖精魔法(闇)で、対象に1つ質問を投げかけ、心に浮かんだ答えを読み取るというものです。

質問は、はい/いいえで答えられるものか、5W1Hの内1つだけを答えられるものである必要があり、そこに頭を使います。


いずれも使い方次第ではシナリオをひっくり返しかねない魔法です。ズミーヤの抵抗力はかなり高いので簡単にはいきませんがね。

11レベルを越えるズミーヤは〔月光の守り〕で精神抵抗力+6の状態にあるはず。後に精神力ボーナス+6と判明します。

13レベルの彼女の精神抵抗力は素で25にもなる。更に+3<月光の魔符>や《ディフェンススタンス》も持っているらしい。

すると最大で精神抵抗力は32ぐらいには上がりますね。ここまでいくとマイザールでも抵抗を抜くのは難しいでしょう。

もっとも《ディフェンススタンス》は宣言させなければいいので実質28ぐらいでしょう。それでも結構いい勝負ですね。


仕方ないので当面は使い魔の猫に監視させて様子を見ることにします。


★大司教の思い出箱

一方ルーフェリア大神殿では大司教が相変わらず経理係に金の無心をしていました。何やってるんだ聖人。

バトエルデン「なあ、経理係、もうちょっと国防費増やそうよ。国の防衛って大事だよ。示威行動も必要だよ。ドラゴンを買おうよ、経費で

経理係「無茶言わないでください」

バトエルデン「しかたないなあ。レンタルペガサスの桜花を連れてすごすご引き揚げよう。こいつじゃかわいそうなんだけどなあ

フェルディナント「何て名前だ」

ゆん「何て台詞」

マイザール「潰すつもりにしか見えない」

ジュエリィ「そのあと鍋まで確定」

潰したらレンタルだろうと賠償金がかかりますけどね。しかも普通に購入した場合より多く。


レンタル料は購入価格の1/10で、11回レンタルしたら自分のものになるという、レンタルと分割払いを兼ねたシステムです。

ところが途中で死なせてしまった場合は11回分のレンタル料と、それまで払ってきたレンタル料の差額で賠償しないといけない。

これが1回目だったら更に購入価格と同じ金額を払います。ペガサスの場合は2万2000ガメルとSSカード1枚Sカード1枚分ですよ。

折角借りた騎獣を「死んでもいいや」という感覚で使うと損をするわけですね。多分この辺は「ルールブックV改訂版」で変更が入るかと。


こうして大司教は「やめてほしい」と眼で訴えるペガサスを連れているわけですが、そこに手紙が届きます。

差出人はジャリルデン・エラー、大司教の実妹でユーレリア地方に在住しているザイアの神官戦士です。

「堕女神ユリス」シリーズに出演していて、兄譲りのタンクファイターっぷりを発揮して活躍しました。


バトエルデン「うっずらと百年前ぐらいの記憶に引っかかる名前だ」

マイザール「兄妹会わなすぎ」

大司教がルーフェリアに改宗したことが妹にも引っかかっているようだし、当時は色々あったんじゃないでしょうか。

何しろ手紙の書き出しが「小娘ごときに目が眩んで偉大なるザイアを捨てた兄貴に今さら手紙もないと思ったが」ですし。

本人は実兄の夢を見たりする程度には気にしていますけどね。あと信仰こそ捨てないものの別の可愛い神様を愛でたりしてるし、やはり血か。


肝心の手紙の内容はとても簡素なものでした。「三ツ目の蛇に気をつけなさい」というものです。

バトエルデン「「何だこの手紙は。意味深なもの送ってきやがって」などと吐き捨てつつ、「大事な妹思い出箱」に収納」

マイザール「シスコン!?」

バトエルデン「まったく何十年ぶりだ。……夜になったら読み返そう」

そんなに気になるのに連絡は取らないという、微妙な兄心。既に唯一の肉親になっているようですが今後どうなるやら。


それから災いが起こらないようルーフェリアに祈りを捧げるという、実に聖人らしい一面を見せたりもします。しかしその背後には。

リア「神殿守るの、バトエルデンのお仕事だよ」

バトエルデン「そう考えると有り難みねーなー。妹が毒づくのもわかる気がする」

GM「分体は分体だし。端末みたいなもので本体じゃないから」

そんなことを言う妹も、こっちの可愛い神様を見たら愛でずにはいられなくなるんでしょうけどね。あの可愛いものハンターが。

しかしこうなると本体の人格が気になるところです。人間だった頃とは変わってしまったんだろうか。

某堕女神を見ていると神様といえど人間とそう変わらない面がある一方、人間には分からないものも持っていたりするし。


それともう一度経理係に絡みます。

バトエルデン「なあ、大変だよ。またあいつが来るって。国防費増やそうよ」

経理係「何が来ると?」

バトエルデン「サーペント的な何かだよ。今のうちに予算を増やしておこう」

経理係「それならば、大司教がここにいてくださることが、一番の防衛だと思うのですが

ぐぅの音も出ない正論ですね。前回はそれで神殿も王宮も酷いことになりましたしね。未だに壁の修理でお金がかかるし。


仕方ないので《血風領》とカイン・ガラに「三ツ目の蛇」について訪ねる手紙を出しておきます。

マイザール「先に言って欲しかったなー」

フェルディナント「だから、この順番なんだね、GM」

あのズミーヤの特徴とばっちり合致するんですよね。三ツ目で蛇のような鱗の痣があったし。あと密偵を蛇に例えるのもお約束。

もし事前に知っていたら何か理由をつけてズミーヤを拘束していたでしょう。判定に持ち込まれたらまず勝てないのでこうせざるを得ない。


バトエルデン「何か、予感が走るので、俺、ちょっと出かけてこようかな。ここにいると窮屈だし」

ゆん「今、扇の要と言われたばっかりなのに」

バトエルデン「新しい愛車を披露しにいきたいなあ」

フェルディナント「「わ」ナンバーだろ、それ」←レンタカーの番号

それにしてもフットワークの軽い聖人ですね。でも世の大抵の偉い人は自分が動けなくてやきもきするのがお約束です。

それで部下や冒険者に話が回ってくるのもお約束なんですが、今回ばかりは本人が出張らないといけない事件になりそうです。


★蛇の名にかけて

大司教の手紙が《血風領》に届くと伯爵とマイザールはズミーヤを尋問します。

マイザール「【カウンター・センス】と【スケープ・ドール】は、かけておきます」

【カウンター・センス】は6レベルの操霊魔法です。術者に何らかの魔法がかけられるとそれを感知します。

その際は魔法の分類、名称、効果、相手の術者の居場所まで分かります。効果時間は1日と長いが1度効果を発揮すると解除される。

見たところズミーヤに魔法使い系技能はなさそうだけど、何かしらのアイテムや仲間の存在もあるので用心に越したことはない。


現在のズミーヤは兵士宿舎でモヒカン達に囲まれてキャピキャピ話していました。平時のシャドウは意外と気さくでもいいと思う。

マイザール「やあ、盛り上がってますね」

ズミーヤ「ハイ、軍師殿。皆さん、よい人ばかりで」

モヒカン「いやあ、いい新人が入りました」

そういえば《血風領》でのマイザールの立場は軍師なんですね。本人ウォーリーダー技能はないし、セージ技能も特別高くはないけど。

これが王宮とかだったら宮廷魔術師という身分でいいんでしょうけどね。伯爵位だと顧問魔術師とかになるのかな。


マイザール「そのお嬢さんと話があるんでね。来てもらえますか?」

ズミーヤ「え?そんなあ」

モヒカン「ちっ軍師殿もか、強敵だ」

モヒカン「立場使って……ずるい……」

マイザール「何かな、そこのモヒカン1号くん。君が代わりに、ボクのダンジョンに来るというのかな?いいよ、それでも」

モヒカン「ないです。まさか、軍師殿に異を唱えるわけがありませんよ!(敬礼)」

マイザール「うむ、お互いに笑っているうちに済ませたいところだな

そりゃあこんなことしていたら噂にもなるでしょう。ていうかダンジョンはやっぱりあるんですね。


こうしてズミーヤは連れ出しました。伯爵は近くの物陰に隠れて尋問の様子を伺います。

フェルディナント「フードかぶって「ぼくははくしゃくじゃないよ」と書いた手紙を貼り付けて」

ズミーヤ「ちらっ」

フェルディナント「ぼくはあやしいものじゃないよ」

マイザール「あれは気にしなくていいから

ズミーヤ「……じゃあ、気にしないことにしまぁす(は〜と)」

背中に<ガイスター>をつけているのでバレバレですけどね。一応スカウト技能9レベルなんだから、そこそこではあるんですけどね。

とはいえ相手は13レベル。真面目に《隠密判定》しても基準値15。知力低目のシャドウとはいえ、能力値の成長を考えると流石に負けるでしょう。


マイザール「さて、そちらも仕事かもしれませんが、仮面を被り続けは疲れませんか?」

ズミーヤ「え?私、いつもこうですのよ。のよ。のよ」

マイザール「く、この女」

ゆん「わたし、怪しくないのよ」

ジュエリィ「信じてにゃん

今までにないノリの相手に流石のマイザールも苦戦しています。かといって強引な手段に出るのもね。

正直なところ何か企んでいるだけでここの人間に害意がないのなら、全部告白した方が面倒はない。

いつまでもこの態度を続けていると、本当に強引な手段を取らざるをえなくなるかもしれませんしね。


フェルディナント「こっそりをやめて、俺様も出て行くか」

マイザール「こっそりのつもりだったんですか」

フェルディナント「俺様、一応スカウト9レベルなんだぜ」

バトエルデン「だったら、ふつうに隠密しろよ」

フェルディナント「モヒカンどもはあれで十分ごまかせるんだよ

どんだけ脳筋なんだモヒカンども。スカウト技能とかレンジャー技能なんて気の利いたものは持ってなさそうではあるけど。

能力値の成長は知力の優先度が最も低く、技能は戦士系技能でガッチガチ。《全力攻撃》《武器習熟》《防具習熟》という典型的前衛揃いとか。


フェルディナント「お前のやっていることは、明らかに不自然なのだ」←お前が言うな

真面目な話、これほどの実力者がただの志願兵として、それもその実力を隠して居座ろうとするのは不自然ですもんね。


フェルディナント「悪いが、信用できないものを手元には置けん

マイザール「そもそも、それだけの実力を持っていて、ただの流浪人のわけがないでしょ」

ズミーヤ「ユーレリアは紛争の地です」

ここでズミーヤは「ユーレリア博物誌」にある現在のユーレリア地方の情勢を説明していきます。

現在のユーレリア地方は東には蛮族領カルゾラル高原、西には人蛮混合のレンドリフト帝国に挟まれ、常に侵略の危機に晒されています。

加えて地方の中でも12の都市国家と1つの教団が互いに複雑な関係で結ばれていて、いつ紛争が起きてもおかしくないのです。

何だかフォーセリアのモス王国や西部諸国のようですね。あちらでは盟約を結んで外敵に備えていましたが、ユーレリアにはそれすらない。


ズミーヤ「そうした紛争の中、私はつい最近、仕えるべき主をなくしたのです」

フェルディナント「ほう?その主の名を聞いてもよいか?」

ズミーヤ「ナレス様です」

残念ながらこの名前はマイザールも知りません。そもそもこの時点ではズミーヤがどこの勢力に属していたのかも謎です。

ただしこのナレスという名前は「ユーレリア博物誌」にもちらっと登場します。既に故人ですが、それでズミーヤの出自も分かりますね。


ここまで話したズミーヤはもはや誤魔化せないと、断片的に自分の本音を告白します。

ズミーヤ「私が今流浪の身であることは偽りではありません。ですが、ご推察の通り、ただここに志願兵として来たわけでもありません」

フェルディナント「やはり、真の目的が別にあるのだな?」

ズミーヤ「はい。伯爵はその背の大剣で『神をも倒す』と聞き及んでおります」

フェルディナント「神に限りなく近いものは倒したことがあるが、神そのものはまだだ。だが、いずれ、神殺しは達成したいと思っている

自分自身が神に仕える最高司祭の身でありながら、別の神を倒したいと思っているのだから、なかなか面白い話です。

実際のところは小神ですら「15レベル以下は即死」というのがあるので簡単にはいかない。そこにまず神と人の境界がある。

しかしそれを克服することができれば、それこそが神に挑戦する機会を得られたも同然。<滅びのサーペント>の指輪みたいなアイテムとかね。


ズミーヤ「是非、その力を見せていただきたいと思い、参上いたしました。その上で、お頼み申し上げるかもしれません」

神を倒すという噂の男を頼るのだから、何らかの神を倒して欲しいという依頼なのだと推測できます。

伯爵ほどの実力者ですら場合によっては「依頼できない」と判断することになるのなら、相手が神というのは信憑性もあるし。


マイザール「このレベルの人間を密偵として派遣してくる以上、ありえなくはないですが、あ、でも主人はいないのか、今」

フェルディナント「自分で主人になっちゃえってレベルだがなあ」

ズミーヤ「私は、そういうタイプではありませんので。"蛇"の通り名のまま密偵としてしか生きられない人間です」

やっぱり蛇か。伯爵やマイザールにしたら不吉極まりない名前に聞こえるんでしょうね。


あとはどうズミーヤに伯爵の実力を認めさせるかですが、これはもう実際に戦っている姿を見せるのが一番でしょう。

フェルディナント「いいだろう、ここしばらく平和に倦んでいたところだ。久々に心踊る話になりそうで、燃えてきた
          マイザール、行くぞ。肩慣らしついでに、この女に俺様たちの実力を見定めてもらおうじゃないか」

マイザール「いつもの場所っすね?」

フェルディナント「おう、ディルフラム遠征だ

そんなバッティングセンター感覚でシバかれるんだから、ディルフラムも堪ったものじゃありませんね。

こんだけ暴れまわっていて未だに十三魔将を1人しか倒していないんでしょうか。誰か出てきてもおかしくないのに。


この遠征でズミーヤはマルコの隊から外されて伯爵の隣に立つことになります。傍目からは大抜擢です。

ズミーヤ「謹んでお受けいたします。で、この辺ですか?」

マイザール「ちょ、やめ。そこ防空圏だから。領海侵犯だから

そこで彼女はマイザールの斜め後ろに立ちます。息のかかるレベルで接近してきます。どうやらハニトラの標的を変更したようです。


フェルディナント「おお、マイザールが久しぶりにイラッとした顔だ。大喜び」

マイザール「ちょっと伯爵」

フェルディナント「俺様がじゃないよ。少し離れたところにいる某美少年さ」

トラヴィス「わあ、師匠あんな顔するんだー

マイザール「おい、性格悪いぞ、トラヴィス」

フェルディナント「当たり前だ。誰が育てたと思ってるんだ」←凄い説得力だ

あとはルーフェリアとカイン・ガラに手紙を出しておきます。「ユーレリア地方にて、邪神降臨級の危機発生?」と。

こうなるとゆんと連絡が付かないのがもどかしい。<通話のピアス>を持たせておいても、偶然装備していなくて気付かないとかありそうだし。


★蘇る悪夢

ここで場面はゆんに移ります。世界のどこかを放浪していたゆんでしたが、気が付いたらコボルドになっていました。

マイザール「え?また?」

ゆん「ぽむになってる?」

ぽむになったゆんは大きな道のど真ん中に立っていて、前の時とは違ってちゃんとゆんの意識はありました。

すると前方に身長5mでグレイヴを持ったマッチョが現れます。今回は最初から正体が分かりますね、魔神将ゲルダムです。


ゲルダムはジェスチャーで両手を組んでバッテンにしています。

ジュエリィ「来るなのサインだ」

マイザール「あれ無視して進むとひどい目に」

バトエルデン「保証するぞ」←ひどい目に遭った人

以前もこの世界に迷い込んだ時はゲルダムはこちらのサポートをしてくれました。今回もそれを信じたいものですが。


ゆん「さて、何かな?押〜して押して、掛けて掛〜けて♪

GM「うわあ、いらつく。これだからグラスランナーってやつは」

ゆん「動作に合わせてぴょんぴょん。3分ぐらいやってから気がつこう

マイザール「心底、ゲルダムに同情しますね、これ」

ゆん「そっち行くなってことだよね?オッケーオッケー、ばいば〜い。引き返します」

そういえばぽむは比較的ゲルダムの忠告に従っていましたね。そうして引き返すとゲルダムはまた電撃に焼かれて退場します。

あの時ゲルダムは魔法王の仕掛けた悪夢からゆん達を救うために介入し、バレる度に魔法王に電撃で焼かれていましたっけ。

これがあの時と同じようにたたの悪夢ではないのなら、そしてゲルダムを撃退する存在がいるのなら、魔法王復活の可能性があります。


ゆん「あ、これか。ようやく思い出した、てへ」

思い出してもいなかったのかよ、とゲルダムは泣きそうな顔で退場していきました。また身体を張ってくれたのに可哀想に。

そうしてゆんは悪夢から目覚めました。あのままだったらまた夢の世界に囚われていたかもしれません。ゲルダムさんに感謝しないとね。


ゆん「おかしいな。リャグの頭を増やすごっこして遊んでたのに」

一同「え?」

ゆん「リャグの頭に自分の顔を乗っけて増やす。ほうら、2つになったよ〜。リャグサグに乗っかって3つだよ〜、リャグイサグで4つだよ〜」

リャグたち「帰れっ!!」

フェルディナント「何という侵略」

リャグイサグはおろか、魔神イグナヴでもゆんには勝てそうにないので強くは出れないでしょうね。こっちもこっちで可哀想に。

何しろ命中力18(25)程度の近接攻撃はゆんに当たらない。16程度の魔力だと抵抗を抜けずに効果消滅ですもんね。


これはまた異変かもしれません。ゆんは大司教に会いに行くことにしました。

ゆん「途中でレッサードラゴン捕まえて、「乗せてよ、乗せてよ」」

レッサードラゴン「や、やめれー」

ゆんはこういう風に物怖じせずに色んな相手に絡んで日々を楽しく過ごしていそう。並みの冒険者では真似できない生き方ですね。

こうしてゆんは強引にフェイダン地方に戻ることにしました。飛行速度30程度だと走った方が速いけど疲れるし、飛ぶ方が楽しそうです。


一方カイン・ガラのジュエリィの部屋でも異変がありました。飾ってあったゲルダムの指輪がぴかっと光ったのです。

ジュエリィ「ゲルダム君、どうかしたの〜?」

指輪を覗き込んでみると、中にある謎の空間でゲルダムは電光に焼かれていたのです。

きっと以前も魔法王に電撃を食らうたびにこうして1人苦しんでいたんでしょうね。あの時は誰もそばにいなかったから気付かれなかったけど。


ジュエリィ「どうしたの?こんがり揚がってる」

ゲルダム「……気を……つけろ……お前……たちも……これ……は……」

そう言い残して深淵に消えていったのです。ただの退場ではなくもっと重い処分を受けたような感じですね。

指輪自体に魔力がなくなったわけではないし、ゲルダムも消えてしまったわけではなさそうです。

それでもジュエリィは「魔法王復活」の可能性を他の皆に知らせるためにルーフェリアと《血風領》に手紙を出しました。


これで「三ツ眼の蛇」「邪神降臨」「魔法王復活」という3つの情報が英雄達の間で共有されました。住所不定のゆんを除いて。


★英雄たち、揃う

3つの情報が揃ったことで英雄達は三度集結すべく動き出します。

バトエルデン「これは、余自らが出るしかないな。ウキウキしながら、荷物を背負うぜ」

神殿員「バトエルデン様がまた逃げま〜す」←またですか

バトエルデン「「ことはルーフェリア一国、いやフェイダン一地方に留まらず、世界の危機なのだ、許せ」。ヤッホー飛び立つ大司教。行くぞ桜花、全速だ」

こういう時集合場所に困りますね。ルーフェリアかアイヤールかカイン・ガラか、事前に打ち合わせをしてないと。ゆんなんて所在不明だし。


ジュエリィ「ワタシ、ユーレリアに関して心当たりはありますか?」

何でも知っているジュエリィもユーレリアに関しては一般的な情報や噂しか知らないらしい。

具体的には北沢先生の「堕女神ユリス」シリーズや、藤澤先生の「ルーン・うぉーかーズ」とかですね。この時点での公式作品はこれぐらいです。

流石のジュエリィも文献や伝聞で知識として学べることしか知りようがないとは思うので、あまり込み入った情報までは知らないと思いますが。


ジュエリィ「つまり、腰みのセグウェイは知ってるんだな、ワタシ」

フェルディナント「ひょっとして魔境か、ユーレリア?」

そういう事件があったのです、誇張でもなんでもなく文字通りのものがPCの前に現れました。流石は藤澤先生ですね、いい意味でおかしい(笑)


一方伯爵とマイザールは【テレポート】という手段があるので積極的に仲間を集めて回ることにします。これが一番早い方法でしょう。

ディルフラム遠征は止むを得ず中止です。ズミーヤも同行させて3倍拡大の【テレポート】でまずはルーフェリア大神殿へ向かいます。

ジュエリィ「トラヴィスの顔が輝いてるだろうなあ」

トラヴィス「やったー!これでしばらくはポ●モン三昧だ!

マイザール「ボクが帰ってきたときに課題残ってたら、【ギアス】でソレ封じるから
       そして、どうしても言うことを守れないなら、もう【デモンズシード】だから

ゆん「鬼だ」

ジュエリィ「悪魔だ」

もうちょっと息抜きをさせてモチベーションを維持するのも教育の一環ではないかと思いますが、まぁそれはまた別の問題ということで。


ルーフェリア大神殿では今まさに窓から飛び出そうとしていた大司教を捕まえて、桜花は<騎獣縮小の札>で小さくしておきます。

次は【テレポート】4倍拡大でカイン・ガラに向かうわけですが、この時点でMPの消費が凄いことになっていますね。

【テレポート】の消費MPは15点。既に7回分使っているのでそれだけで105点ですよ。自前のMPを使ってたら残り82点。

潤沢に見えてもやっぱり限度がある。特に急いでいるわけでもないなら、消費MP23点の【ディメンション・ゲート】の方がいいですね。

効果時間は30秒しかないけど、この程度の人数なら余裕で門をくぐれる。戦闘中の逃亡手段にするなら工夫が要るでしょうけどね。


そしてカイン・ガラのジュエリィの塔で4人+ズミーヤは合流しました。

ジュエリィ「最近ね、ゲルダム君が元気ないの」

マイザール「ちゃんと餌あげてんですか?」

ジュエリィ「ちゃんと見てるよ。面倒見てるよ」

バトエルデン「飼ってる金魚みたいに言うなよ」

ここまで揃えば最後の1人も来るだろうと構えていると、予想通りに何かの羽音が聞こえてきます。


住人「バカな!こんなところにドラゴンだと!?」

住人「撃ち落とせ!」

住人「対空魔動砲用意!」

バトエルデン「待て、街の人たち!あれは生け捕りにするんだ。俺の騎獣にする」

ゆん「みんなー、おーい」

ということでゆんも合流。いつもの5人が無事に揃いました。大変な迷惑をかけられたドラゴンさんは無事に帰りました。

大司教の騎獣になったとしても初代クラウンのようにド派手な範囲攻撃に巻き込まれて殉職する未来しか見えませんしね。

そもそもレッサードラゴンの騎獣としての適正レベルは13〜15レベルなので大司教にはまだ乗りこなせませんが。

仮に乗れても13レベルの頭部のHPは79点です。流石にドラゴネットよりは頑丈だけど乱戦に飛び込ませるには心許ない。


★明かされた<ガイスター>の秘密

ゆんの情報も加わったことで、彼らは<滅びのサーペント>を狙って何かが仕掛けられているのではないかと推測しました。

ゆん「皆で寝てみるってどう?夢を見られるかもよ」

フェルディナント「なるほど」

ゆん「そのときは、リャグサグの上に顎を乗せるのがいいよ

ジュエリィ「それは何のまじないだ(笑)」

実はゆんがその夢を見てから数日経過しているので、大司教達も何度か睡眠は取っています。

そういう悪夢を見た記憶こそないものの、それを覚えていないだけではないかという漠然とした不安はあるようです。

するとちゃんと記憶の残っているゆんは何が違ったのか。ゲルダムの干渉がないことで何かが変わったのでしょうか。


フェルディナント「ズミーヤ、お前はこの件について何か知ってるんじゃないのか?」

ズミーヤ「いえ、まったく。そっちの魔剣については、私は無関係です

マイザール「そっち?」

ズミーヤ「あ……」

マイザール「それって、「こっち」もあるって意味?もう洗いざらい喋ったほうが身のためですよ。
       きみは、ゲルダムとザンガルズボストールの全部の供物になれる、願ったりかなったりの人材なんですからね。
       人に材料と書いて人材ですよ。わかりますか?」

ザンガルズは17レベルの魔神でいわゆる上位魔神です。供物には9レベル以上のファイターもしくはフェンサーの腕が必要です。

ボストールは10レベルの魔神で「イグニスブレイズ」で追加されました。供物には3レベル以上の人族のスカウトの死体が必要です。

他にも供物に人の犠牲が必要な魔神はいますが、明確に技能レベルが指定されているのは「イグニスブレイズ」の時点でこいつらだけです。


こうまで言われたズミーヤはついに観念して喋りました。伯爵が使っている「ガイスターにしておいた方がいい魔剣」が目的であると。

ズミーヤ「それがただの<ガイスター>なのか、それとも、私が見込んだ通り、神を断つ剣、<絶神剣ゴッドスレイヤー>なのか」

フェルディナント「何だ、その<絶神剣>って!?」

マイザール「おっとバレちゃいましたか」

ジュエリィ「もう仕方ないなあ。こう書くのよ。黒板にカッカッカッ」

フェルディナント「うわあ、「絶神剣」って書いてある」

ジュエリィ「それがあなたの愛用するそれ。ぷークスクス

鑑定に失敗することがまずないこの2人が「<ガイスター>ですよ(ニヤニヤ)」とか言っていたのはこの恥ずかしい名前のせいでした。

何とも中二病臭く香ばしい名称ですね。これは例え正体が分かって正直に教えても「ふざけてるのか?」と言われかねません。

なおマイザールとジュエリィの中の人がこの名前を知ったのはこの瞬間です。瞬間的にGMに合わせるノリの良さには拍手を送りたい。


しかしこうなるとその魔力が気になりますね。本当に名称通りの力がある魔剣なのか。

ズミーヤ「その<絶神剣>をもってして、神をも打ち倒す力があるのかどうかを、この目で確かめたいのです

マイザール「ボクらの実力が信頼できないと言うならば、いくらでも見せてあげられますけど。ディルフラム行きましょうか」

ジュエリィ「ルーフェリアが近いよ。神を絶てるか試すだけなら

バトエルデン「!!」

ジュエリィ「ね?」

バトエルデン「【コール・ゴッド】で消すぞ、こら」

神といっても色々いますしね。小神が限度なのかもしれないし、大神や古代神までいける本当に物凄い魔剣である可能性もある。

この世界の魔剣は本当に何でもありですしね。まぁあんまり強力なものになると神器になって、人族には使えない可能性もありますが。

大神や古代神由来の祭器なら格下の神ぐらい何とかなりそうな気もしますね。アーティファクトだったら殺すのは難しくなるかもしれない。


★さて、そはどこに?

何らかの異変が起きているのは理解しましたが、では具体的にどうしたらいいか。そういう時は調べ物をするのも冒険者です。

問題はこのパーティにジュエリィがいる限り大抵のことはすぐに分かってしまうということです。

今回は大司教の「三つ眼の蛇」という情報から《文献判定》をすることになるのですが、これもセージ技能+知力ボーナスですしね。


ジュエリィ「目標値は?」

GM「正直、具体的な数値を設定する気がしないんだよ。
    ジュエリィが成功するかしないか微妙な数値設定するのは不自然に思える。
    「30」とか、十分高いだろ?打ち止めだろ、こんなの」

バトエルエン「ふつうは、「アホか、そんな数字言うぐらいなら、『できない』と言ってくれ」ですね」

その30ですらジュエリィからしたら出目4でクリア。指輪を割ることも考慮すると1ゾロ振らなければクリアです。

しかも《賢人の知恵》がある以上本当に失敗するのは連続1ゾロ、つまり1/1296という低確率でのみ起きる。

仮に指輪を割らずに挑戦するという舐めたことをしたとしても、連続3以下は1/144でこれすら1%未満の低確率。


ジュエリィ「(コロコロ)あ、出目4とかひどかったので30。テヘ

GM「これで終わらんしね」

ジュエリィ「《賢人の知恵》で、もう1回。(コロコロ)6ゾロった

マイザール「GMが何かの暴力で殴られている。そんなふうに見える」

15レベルかつ能力値の成長を集中させたとなると、世界的に見てもこれ以上の基準値というのはそうそうありませんね。

何らかの魔法やアイテムでドーピングをすると伯爵の命中力みたいにもっと上をいきますが、それでももう敵に回避の目は殆どない。


この判定によってジュエリィは<滅びのサーペント>の本体が封印されていた場所の伝承を見つけました。


元々この魔剣はメルドリーネ王国から離れた場所に封印されていて、あの事件の時王様がそこから召喚しましたね。

それは魔剣が万が一暴走した時に国への被害を防ぐためであり、また魔剣と指輪を同時に奪われないようにするためでもあった。

その封印されていた場所はモルスタット山脈というフェイダン地方唯一の山脈のどこかにあったことが判明しました。

ルーフェリアを長いこと他の国と隔離していた山脈ですね。てっきりもっと遠い場所かと思ったら意外と近くにありましたね。


その伝承というのが以下のものです。

鳥と獣が蛇を見張り、蛇が蛇を封じる
滅びの蛇は、三眼の蛇によって封じる
滅びの蛇は、正義と平和を求める強き力と心によって封じる
汝は、悪に阿ることがあってはならぬ
汝は、隣人を愛さねばならぬ
汝は、易きに流されてはならぬ

この内「鳥と獣が蛇を見張り」の降りについては、そういう特徴的な地形を表しているようでした。

両側から崖が迫る曲がりくねった道があって、崖の片方は鷹の頭、もう片方は獅子の頭に見える奇岩になっているとか。

問題は「大破局」の影響で大きな地殻変動が起きているため、そういう地形は既にモルスタット山脈にはないかもしれないのです。


ここから色々な知恵を出し合ってこの場所を探すことになります。地方全土を巻き込んだウィルダネス兼シティアドベンチャーです。

ここでは閾値を設けて1D6でその値を出すことで正解に行き着くということになっています。問題は閾値の初期値が7であるということ。

当然普通にやっていたら1D6ではそんな値は出ません。そこで一行が何らかの条件を満たす毎に閾値を下げていくことができます。

虱潰しに当たるだけでも閾値は下がっていきますが、その度に事件が起きるので積極的に場所を絞り込める方法を出していきたいところです。


フェルディナント「メルドリーネに何か伝わってないのか。一度血風領に戻ってトレーシーに訊いてみるか?」

ところが彼女はアイヤール出身で嫁入りした身です。そもそもメルドリーネは「大破局」の時にそれ以前の記録を殆ど失っているのです。

それでも残っていた記録も12年前の王都崩壊で完全に失われました。肩に矢を受けた老人が書庫か侍従長を当たれとか言っていましたがそれも無理。


ゆん「でも、メルドリーネゆかりの一番物知りって、メルドリーネ王国の元騎士さんじゃないの?」

マイザール「あ、ボク」←メルドリーネ王国の騎士位持ち

フェルディナント「さあ、知っていることを洗いざらい話してもらおうか」

マイザール「いや、同時からボクの知識はいかに快適なダンジョンライフを作り上げるかに注がれていまして……」

つまり全く知らないと。冗談抜きでマイザールでも駄目ならメルドリーネの生き残りに当たるのは駄目かもしれない。

例の侍従長とかも助からなかったんでしょうかね。せめてトレーシーに誰か心当たりがないか聞いてもいいと思うけど。


フェルディナント「他に手段はと言えば……人海戦術で攻めるか?頼りになる冒険者の知り合いなどおらんか」

一同「チラ」

フェルディナント「ルーフェリアには高名な冒険者の一団がいなかったか?

バトエルデン「最近《バトルマスター》を習得した凄腕が、とんと帰ってこないんだな。
        絵はがきだけ届いたわ。エンジョイ学園生活とか、わけわからん」

ゆん「13レベルが素人ばかりの学生にこっそり交じって」

マイザール「俺TUEEEEですね、わかります。まさに学園ラノベ的展開」

「新米女神の勇者たちリターンズ2」と同時期なんですね。ていうか殆どアイヤールで活動しているんですけどね。


フェルディナント「俺様もやってみるか」

ジュエリィ「年齢考えろ

GM「そもそも顔売れすぎ。アイヤールの軍学校行ったら、即英雄歓迎祭だ」

フェルディナント「特別講習:ヒャッハーの心得

バトエルデン「それでも客が来るレベルだな」

でも「冒険者を使って人海戦術」も閾値を下げる条件だったりします。"バブリーズ"みたいですね。

問題は"バブリーズ"と違って冒険者を雇うお金がないということです。名誉点とかコネで何とかならないかな。

それこそもっとセラフィナにかけあって予算を出してもらえれば結構な数を動員できるでしょうが、交渉次第でしょうかね。

大司教なんかは正当な理由があれば周りを納得させられるんじゃないでしょうか。本来依頼を出す側の人なんだし。


フェルディナント「ここはどうだ?さっき、GMは完全に消えたと言ったが……」

指したのは「メルドリーネ跡」でした。記録は残っていなくても何か掘り出せないとも限りません。

他に当てもないので7人はマイザールの【テレポート】で向かってみることにしました。

この上7人飛ばすとまたMP105点とか使うので休憩を挟んでMPを回復させてから向かいます。


それにしても105点はマイザールでもやっぱりきつい。3時間休憩でも90点ぐらいしか回復しないのに。

大司教が<魔香草>を使うと威力0+14点だから期待値で16点回復。7回使うと大体回復しますね。

1回使うのに10分かかるから70分ですか、3時間休憩よりは早く回復できますね。700ガメルかかるけど。


★そして、ヤツが見ている

こうして大司教達は12年ぶりにメルドリーネ王国の跡地にやってきました。既に迷宮は潰れ、クラウンの遺体も埋まっています。

バトエルデン「墓標を立ててやるか。「ドラゴンゾンビに挑んだ勇敢なるドラゴン、湖の大司教の友、クラウンT世、ここに眠る」

あれは可哀想でしたね、ドラゾンのブレス三連発に尻尾まで食らいましたもの。伯爵も気絶していたしノワールよりダメージ量は多かったような。


実は「ルールブックV改訂版」のルールなら騎芸で全部位のHP20点上乗せできまして、クラウンも生き残れたかもしれない。

まぁ1ラウンド目の猛攻を耐え抜いて【レストレーション】を受けられて離脱宣言しても、2ラウンド目の猛攻もあったので分かりませんけどね。

今ならジュエリィの【バーチャルタフネスU】でコア部位だけでもHPを40点以上上乗せできますし、そこまでやれば生き残れそうですが。

それでも駄目そうなら<騎獣縮小の札>で彫像にしてしまう手もあります。これも改訂ルールだと補助動作でできるようになったので緊急脱出が可能。

クラウン含めて五部位にして合計十部位のドラゾン2体をブロックする考えもありますが、知能が低いため後衛に突破という手は打たなかったようですしね。


この跡地には最早住む者はいませんが、近くに1つテントが立っていました。物好きなことに誰かが寝泊りしているらしい。

ゆん「こんにちはー、バサ」

フェルディナント「まず入っていいか尋ねないか?」←それがグラランです

中には1人のハイマンがいました。突然の訪問に驚いた様子でしたが、どうやらここで遺跡の発掘調査をしていたらしい。

ちなみに実力的には3レベルです。一応ここは迷宮の跡地なわけで、もし強力なアンデッドの生き残り(死に残り?)がいたら対処できそうにないですね。

ついでに古戦場でもあるので多くの人族や蛮族が死んだ場所でもある。それこそアンデッド化した奴がいても不思議はないのですが今まで何もなかったのかな。


ジュエリィ「発掘?ここに何かあるの?」

ハイマン「私は、かつて魔法王国メルドリーネの住人だったのです」

マイザール「え?ボクもメルドリーネの人間でしたが、こんな人に見覚えはありませんよ。
       なぜなら、あの頃は、ハイマンなんて一人もいなかった(笑)」

そりゃあ「ルールブックU改訂版」や「イグニスブレイズ」なんてなかったわけで、当然そこで追加されたハイマンは影も形もなかったでしょうね(笑)

実はハイマンには前世の記憶がフラッシュバックすることがあるという特徴がありまして、これは種族特徴としてもルール化されています。

その名も〔デジャヴ〕です。1日に1回だけ知力を使う判定に+2することができるのです。魔法の行使には使えないものの色々なキャラ付けに使えますね。


つまりこのハイマンさんが住人だったという魔法王国メルドリーネは、本当に魔法文明時代のメルドリーネ王国のことなんですね。

魔法文明時代の終わりがおよそ3000年前なのでそれ以前。<滅びのサーペント>が封印されて王国が建国された頃よりは後という凄い昔の話です。

そう考えるとメルドリーネという国は色々あっても3000年以上存続していたわけで、アラニアの千年王国なんて目じゃありませんね。

ところが当時のメルドリーネというのはよりラスベートに近い位置にありまして、「大破局」の時に今の跡地の場所まで移転したことになっています。

魔法文明時代のメルドリーネの住人なら今の跡地には馴染みはないはずですが、その辺は深く追求すると面倒なことになりそうなので今は気にしない。


ジュエリィ「どのくらい調べてたの、ここを?」

ハイマン「ここ1、2年です」

ゆん「魔物とか出ないの?」

ハイマン「見ませんねえ。本当、枯れちゃってます」

収穫もなければ危険もない、何とも味気ない日々ですね。ところが最近の変化としてよく眠れない感じがあるらしい。

夢見が悪いようで、起きたら何も覚えていないとか。彼自身は直接関係ないけど場所のせいで何か干渉を受けているのかもしれませんね。


そこで一行は思い切ってここでテントを張って一晩眠ってみることにします。すると期待通りに悪夢を見ました。

コボルドの姿になって追いかけられる夢です。頭には「見・つ・け・た・ぞ・き・さ・ま・ら」という声が響きます。

今度は全員が同じような夢を見て記憶もありました。やっぱり場所が場所だけにより強く異変の影響を受けているのでしょうか。


フェルディナント「朝、ハイマンさんの淹れてくれたコーヒーを飲みながら、「……という夢を見たんだ」」

マイザール「ボクも見ましたよ」

バトエルデン「3回死んでしまうとは」

ハイマン「おや、あなたがたも前世の夢を見るんですか?」

フェルディナント「あれが前世の夢だとは思いたくないな。前世だったとしたら大出世だが

コボルドは穢れも少ないし、本当に生まれ変わったら穢れのない人族になったりするかもしれませんね。


ハイマン「そうなんですか。私は、昔々のメルドリーネの夢を見るんですよ」

それは魔法文明時代の街並みの中、初代の王様が剣を掲げて皆で称えている光景だそうです。

初代の王様ということはゲルダムをボコった例の英雄でしょうか。剣は<滅びのサーペント>は封印済みだと思われるので普通のものでしょうか。

なお彼はこの辺りを歩いているとふと当時の光景が見えると言っていますが、ここは建国時の土地ではない。

あと文字通りの前世なら3000年以上も輪廻していなかったんだろうか。それとも何度か輪廻した前世の1つということでしょうか。


★正義か、それとも財宝か

メルドリーネ跡地では大して収穫を得られなかった一行はカイン・ガラに戻りました。やはり調べ物やアイテムはここが一番ですからね。

ちなみに例のハイマンを連れてくるというのは閾値を−3にする凄い条件でしたが、見事にスルーされて以降出番はありません。

あとは冒険者を使うという案はやはり出ました。実行にも移したようですが、閾値には影響しない程度のものだったようです。


カイン・ガラで頼ったのは評議長のハル・クードでした。前作でもちらっと登場しましたね。

ジュエリィ「ねえねえ、何かいいものない〜?」

すると事態の重さを理解してくれたのか高性能魔動機やアーティファクトの使用許可が出ます。


ハル・クード「貸すだけだよ?持ち出しも禁止だし。使用記録はちゃんとつけて報告書にしてね」

ここで目をつけたのが<スーアグルーグの水晶眼>というアーティファクトです。28万ガメルの非売品という貴重なものです。

その効果は大陸を高度から俯瞰するというもので、特定の座標を拡大することもできます。フォーセリアの遠見の水晶球の凄いやつですね。

元ネタであるグーグル○ースと同様に静止画しか見えず、個体の識別は困難ですが、現在の地形を確認するのには役に立ちますね。

なお座標の特定には《見識判定》で目標値25が必要になるため扱いは難しい。ジュエリィならまず失敗しませんけどね。


水晶眼を使うことで5〜6箇所ほど候補地の目星を付け、一番行き難そうな場所に【テレポート】で移動します。

ところが【テレポート】の使用要件は「術者が行ったことのある場所」「1km以内で術者から見えている場所」です。

これだと座標を特定しただけだと瞬間移動はできないようです。フォーセリアの魔術師みたいに水晶で場所を確認して瞬間移動は無理なのか。

でもこの「一番行きにくそうな場所から回る」という判断と「<スーアグルーグの水晶眼>を使う」というのは閾値を1ずつ下げ、5にまで下がっています。


GM「では、代表者、1dしてください」

バトエルデン「(ころ)5」

なんと1発で正解を引き当てましたよ。前作でルーフェリアを爆撃し続けた引きの良さがいい方に働きました。

瞬間移動した先は両側に崖が迫る細い道でした。ここで《探索判定》をすると魔法使い2人とゆんが達成値22〜23を連発します。

ゆんはスカウト技能14レベルに知力ボーナス+3で基準値17。マイザールやジュエリィは7レベルに知力ボーナス+10や11で17〜18。

なんと頭の良さが持ち前の技能レベルの差を見事に埋めているんですね。それで22とか23というのはあまり出目が良い方ではありませんけどね。


すると彼らは三眼の蛇の石像を発見します。三つの眼のうち額と左目はつぶられ、右目のみが開いています。

ぼろぼろに風化して苔むし、頭部だけ地上に出ているといういかにも何かありそうな石像でした。一行は当然胴体も掘り出してみました。

すると魔法文明語で「おう、悪の王を追い詰めし勇者よ。王が汝に取引を持ちかける」と書かれたプレートも一緒に出てきました。


それを読み上げた次の瞬間、一行は宝物庫にいました。床までぎっしり金銀財宝で覆われたいかにもな宝の山です。

そこには王冠をかぶった越後屋顔の男がいました。例のプレートにあった悪の王なら、この宝物庫は彼が私服を肥やした証でしょうか。

ゆん「越後屋顔って……悪人ってこと?守銭奴な」

越後屋「待て、ここで私を殺しても何の特にもならんぞ。半分やろう、半分。それで手を打ってくれ」

マイザール「殺せば、全部ボクらのものですよね?」←なんという巨悪

この宝物庫に瞬間移動したという感覚すらありませんでした。これは高度な幻覚か何かで、一行の道徳を問う試練でしょうね。

ここで例の伝承が役に立つ。似たような言葉が最後に3つ並び、その最初のものは「汝は、悪に阿ることがあってはならぬ」でしたね。


バトエルデン「まず、こいつは「悪」なのかどうか?」

フェルディナント「雰囲気は「悪」っぽいよな」

ゆん「おじさん、「悪」なの?」

越後屋「ちょっとブラックな経営しただけだよ、わしは。ちょっと下層階級から搾取しただけだよ。ちょっと情報弱者を詐欺っただけだよ」

なんて分かりやすい悪党なんでしょう。ここまでハッキリと悪事を羅列するなんてGMからしてこいつは「悪」と判断しろと促していますね。


バトエルデン「出るとこ出て、裁きを受けなさい。俺は、金の力には屈しない

一同「え?」

バトエルデン「俺、横領はしてないよ。ちゃんと予算手続きしてからもらってるよ」

確かに越えてはいけない一線は越えないようにしていますね。それをやったら聖職者以前に人(エルフ?)として駄目ですから。


これが大司教の回答だとしたら他の面子はどうかというと。

ゆん「ゆんは、もともと半分いるとか言われても、いらんし」←無欲

フェルディナント「お前が罪を償うことは、お前の金を俺様に差し出すことではない」←公正

ジュエリィ「正当に稼いだお金以外はいらないの」←正直

マイザール「全部ボクのものにしてはいけない理由がわからない」←この悪党が

ということで約1名を除いて「悪に阿ない」回答でした。これによって「汝ら、80%正解」という声が聞こえます。


ゆん「つまり、5人のうち1人おかしいってこと?」

マイザール「誰ですか?そんな不届きな人は」

フェルディナント「お前だ」

声「悪に阿る者1人あり。そは咎められねばならぬ。力と心のうち、心は計った。次は力を計らせてもらう」

マイザール「やれやれ、ようやく本領を発揮できるときが来ましたか

フェルディナント「お前がハードルを上げた感がひしひしとするぞ」

トレイドンの時もそうでしたね。多少の失点は力で挽回できるという、脳筋が得をするシステムです。


今回の相手は魔物ではありません。それは石の壁でした。構造物破壊ルールに従ってこれを破壊するのが力の試練です。

フォーセリアの頃にも構造物破壊ルールはありましたね。素材毎に防御点と破壊点が決まっていて、攻撃手段に応じた耐性なんかもある。

SW2.0でも似たような感じです。素材毎に防護点・HP・耐性の目安が決まっていて、構造物の厚みによって調整することになっています。

破壊の仕方は普通に魔物を攻撃するのと同じ。基本的に構造物は回避しないし、魔法ダメージにも防護点は半分有効という違いはありますが。


ではこの石壁はどんなものかというと、なんと防護点32のHP320です。厚さ10cmで防護点18のHP60だから数倍の厚みでしょう。

しかも1ラウンド経過する毎に能力値を1減らす呪いが襲い掛かります。減る能力値は成長の時と同じように決定します。

呪いは達成値31として扱われて、解除の時もこれが目標です。この面子なら魔符込みでそれなりに抵抗できるし、解除も容易というバランスですね。

先制は自動的に取れますが《ファストアクション》は無効です。戦闘というかタイムアタックのミニゲームという感じの試練ですね。


1ラウンド目

さぁ久しぶりの戦闘です。まず大司教は《ダブルキャスト》《魔法拡大/数》で【カウンター・マジック】【ファイア・ウェポン】を配ります。

マイザールは賦術【アーマーラスト】をSランクで使用します。これは対象の防護点を減らす賦術で、抵抗されても短縮です。

Bランクで−1、Aランクで−3、Sランクで−5、SSランクで−10もの効果がある。これで石壁の防護点は27点になりました。


更に【スフィンクスノレッジ】を使いつつ《ダブルキャスト》を宣言して、まずは【ブラスト】で26点ほど出しました。

石壁は炎属性や雷属性にはクリティカル不可の耐性があるので衝撃属性ですね。メテオもそうだけど《ダブルキャスト》だと使えない。

これでも魔力29が−10されて魔力19程度はある。威力30の【ブラスト】なら出目7で丁度26点ですね。

ただし防護点27の半分である14点が有効なので適用ダメージは12点。これ程防護点が高いと半減でも結構止めますね。

そして2つ目の魔法として妖精魔法の【サモンフェアリーU】を使用。ランク2の風の妖精エコーを召喚します。


エコーは5レベルの妖精です。山岳地帯に住む少女の姿をした風の妖精で、恥ずかしがりやだけど声をかけられると返事をします。

声真似を得意としていわゆる山彦現象を起こしますが、音や声で現れる現象をそのまま再現するという驚くべき能力を持ちます。

これは《こだま》といって、周囲で行われた「呪文詠唱を伴う魔法の行使」「呪歌」「鼓咆」の中から任意のものを再現できるのです。

また妖精魔法限定5レベルで風属性を使用する《魔法適性》持ちで《飛行》していて、《斬撃無効》《風無効》という特徴を持ちます。


マイザール「よし、今から俺やジュエリィのやることをよく見ておくんだぞ

《こだま》で使えるのは直前の自身の手番終了以降、現在の自身の手番開始までに行われた行動のみです。

このラウンドはジュエリィを、次のラウンドでマイザールの行動を見ていれば、その直後にそのいずれかの魔法を使ってくれるわけです。

しかもその効果は元の術者の数値を引き継ぐというのだから実質魔法をもう1回使ってくれるようなもの。

代償は一律でMP10点なのでMP42点のエコーなら最大4回使える。今回は召喚された3ラウンドの間だけしか活動できないけど。


ジュエリィは《ディフェンススタンス》で精神抵抗力+4にしつつ、【エネルギー・ジャベリン】で39点ほど出しました。

やはり耐性を考慮して純エネルギー属性かつ威力40の魔法を使いました。真語魔法でも魔力26はありますしね。

《異貌》していたら追加ダメージは27点にもなるし。これで14点減らすと25点抜けて、マイザールと合わせて37点ほど削っています。

なお精神抵抗力は素の23にカンタマの+2と《ディフェンススタンス》の+4も合わせて29。1ゾロ振らない限り呪いに抵抗できますね。


そしてお待ちかねの伯爵です。【プレコグ】、【ヴォーパルウェポン】Sランク、【マッスルベアー】を使って《魔力撃》《爆破・神鳴り》を宣言します。

GM「早速来たか」

これで威力80+51点で防護点−24です。出目はあまり良くないようで合算ダメージ60点でしたが、防護点−24が大きい。

何しろ現在の石壁の防護点は27点なので防護点3まで下がる。すると適用ダメージで57点ですね。この時点で合計94点ほど削っています。


最後はゆんです。【フェンリルバイト】【マッスルベアー】【スフィンクスノレッジ】【ジャイアントアーム】と練技を連発。

宣言するのはやはり《魔力撃》《鎧貫き》です。【クリティカルレイ】Sランクも使って準備万端で石壁を貫通せんと攻撃します。

使うのは<パワーアンクル>で威力20+40点です。相手は避けないので【キャッツアイ】【デーモンフィンガー】【ターゲットサイト】の必要なし。


ゆん「【クリティカルレイ】のおかげで抜けました。52点、防護点無視で

GM「ぐへえ」

フェルディナント「俺様と大差ないな」

しかも《追加攻撃》【フェンリルバイト】もありますしね。この時点で合計146点も削っていて半減まであと一息です。

続けて《追加攻撃》も<パワーアンクル>で蹴って回らずに45点。18点抜けて合計164点、あっという間に半分を越えました。

【フェンリルバイト】は43点だったので16点抜けて合計180点ですよ。このペースだと次のラウンドで破壊しますね。


呪いについては全員抵抗しました。ただし伯爵は変転を使ってしまいました。さっきから存在感のないズミーヤも抵抗しましたね。

なにしろ《ディフェンススタンス》、〔月光の守り〕、カンタマで精神抵抗力+12。素の抵抗力が19なので31にもなるのです。

前線に出ずにずっと《ディフェンススタンス》で亀になっていればそうそう魔法も効かないし、足手まといにはならない。

もっとも彼女自身の目的があるので場合によっては意図的に足を引っ張るかもしれませんが、その時はその時です。


2ラウンド目

大司教は前ラウンドでこっそり使っていた【堅陣の構え】を【強靭なる丈陣U:精定】にして精神抵抗力+1。

【ブレスU】も全員に使って火力を増しつつ精神抵抗力を更に+1。合計+4なら一番抵抗力の低い伯爵でも24ですね、《魔力撃》で−2だけど。


続いて伯爵の《魔力撃》《爆破・神鳴り》、ゆんの《魔力撃》《鎧貫き》と防護点を感じさせない猛攻が容赦なく石壁を削ります。

後衛の火力も健在でジュエリィの【エネルギー・ジャベリン】と、それを真似したエコーの追撃が入ります。

その前にもマイザールの【マナ・コンバージェンス】込みの【ブラスト】があったので、あっさりと石壁は破壊されました。

ちなみに【マナ・コンバージェンス】は5レベルの深智魔法です。射程が「接触」の魔法行使時に魔力+1という効果があります。


石壁を破壊すると「心に力を兼ね備えたものの通過を認める」という声が聞こえて元の道に戻されました。

ジュエリィ「さ、MPを回復するか。仮面で」

バトエルデン「いいなあ、あれ」

マイザール「妬ましい。吸いたい。あれ?ボク、【スティール・マインド】使えますね

ジュエリィ「いいよ」

この瞬間時間さえあればマイザールはいくらでもMPを回復できるようになったのでした。


一度に回復するのは対象の最大MPの1/10なのでジュエリィでも15点ほどですね。消費MP2点なので差し引き13点回復。

ただしジュエリィ自身は普通に威力0+魔力のダメージを受けるため、マイザールの魔力だと1発ごとに30点ほどMPが減る。

その辺は《ダブルキャスト》であえて魔力を減らして連発すればロスは少なくなるし、回復するのも速くなるでしょう。

いくら無限に回復するといっても1ラウンド(10秒)に2点ですもんね。あんまり大量にダメージを与えると回復待ちの時間が長くなる。


では《ダブルキャスト》で【スティール・マインド】2連発とかするとどういう風に回復していくのか?

まずマイザールは魔力27として−10して17ですね。出目7で19点、《マナ耐性》も有効だとしたら14点ダメージです。

これだと2連発で28点ほどジュエリィのMPが減って、マイザール自身のMPは差し引き24点の回復になりますね。

28点なら28ラウンド/2×10秒=2分20秒で回復しますね。このサイクルを8回ほど繰り返すとマイザールは192点も回復する。

ジュエリィ自身が146ラウンド/2×10秒=12分10秒で全回復できるため、戦闘直後に2人がガス欠でも30分で2人とも全回復可能。


実際には魔法の行使時にも回復するし、そもそも大司教が薬を使ってくれたらもっと速くなったりしますけどね。


★正解が不正解で不正解が正解で

折角の休憩時間なので各自持続時間の長い魔法をかけておくことにしました。

マイザール「5点魔晶石を生け贄にドゥナエー召喚。2回やって、全員に「〆月の舞い」の効果を与えておきます」

このように急激に伸びた妖精魔法は妖精を召喚して何かしらの特殊能力を使わせることで役立てているわけですね。


ドゥナエーは3レベルの妖精です。光と闇の属性を持つ古代種妖精であり、ぼんやり発光しているのが特徴です。

妖精魔法限定3レベルで光・闇属性を使用し、《月の光》に共振して発光が強くなりHP・MP・魔力が増強されます。

また《月の舞》によってキャラクター1体を祝福し、あらゆる行為判定で1度だけ振り直せる加護を与えます。


このようにドゥナエーは自分自身は強い妖精ではないものの、《月の舞》がとにかく便利な能力なのです。

加護を得られるのは1日1回だけで使ったら効果は消えますが、いざという時の保険になりますね。

召喚の持続は3ラウンドのみなので6人にかけようとすると2回召喚しないといけませんが、5点<魔晶石>2個も惜しくない。


バトエルデン「俺も、長時間魔法入れておくか。【レスキュー】を誰か1人」

これは12レベルの神聖魔法で対象のHPを常に把握し補助動作で呼び寄せることができるようになります。

当然逃走手段に乏しい伯爵にかけておきます。マイザールは【テレポート】が、ゆんは驚異的移動力の《影走り》がある。

伯爵にも《影走り》はありますがゆんよりも優先度は高いでしょうね。いざという時には呼び寄せて《かばう》できるし。


ジュエリィはどうかというと、実は彼女にも瞬間移動系の魔法があります。ランク15の妖精魔法(炎)の【ファイアポート】です。

対象を一瞬炎で包み、視界内で1km以内の場所に瞬間移動させます。攻撃系の多い炎属性の頂点にしては意表を突いた便利魔法ですね。

【テレポート】のように行ったことのある場所なら距離無限という効果はないものの、いざという時の脱出手段に使えますね。

もっとも相手にもこれらの魔法があったら使用できる条件は同じなので追跡可能ではあるんですけどね。


さて、準備を終えた一行は細く曲がりくねった道を進みます。するとまたも三眼の蛇の石像を発見します。

三つの眼のうち額と右目はつぶられ、左目のみが開いています。ところがこの石像が道に沿った深い亀裂の上で真っ二つになっていました。

この亀裂は非常に深く、底は霧で閉ざされて見通せないという怪しいものでした。何者かの意思で石像ごと切り裂かれた跡かもしれませんね。

今度も《探索判定》でプレートを発見します。「非があるのはお主たちかもしれぬが……」という文字を読んだ瞬間また謎空間に移動しました。


今度の一行は全員まとめて1人のダークドワーフの姿になっていました。またも「イグニスブレイズ」の追加種族ですね。

彼らは神々の戦いの折に人族を裏切り、蛮族の陣営についたドワーフ達の子孫です。能力値の傾向はドワーフに近く、若干優秀です。

ただし地下世界の生活が長いためか肌は青白く、体毛は白・銀・淡い金などの薄いものが多く、瞳の色は赤・黒などの濃いものが多い。

種族特徴〔剣の加護/炎身〕は失われていますが、その代わりに〔黒炎の遣い手〕として黒い炎を武器に纏わせて戦えます

ダメージは増えて炎属性となり、なんと〔剣の加護/炎身〕や《炎無効》といった炎への耐性も無効化するという特殊な炎です。

更に彼らは分類上はあくまでも人族で穢れは0、そのくせメンタリティは蛮族のそれというなんとも面倒な性質を持っています。


そんな姿になってしまった一行の背後には酷く怯えた様子のダークドワーフ達が固まっていて、眼前にはサイクロプスがいました。

これまた「イグニスブレイズ」で追加された蛮族ですね。いまいち待遇の悪い巨人族の一員ながらなかなか強力な種族です。


サイクロプスは20レベルの蛮族です。単眼で身長10〜15m、イグニタイトの加工技術を持ち、その装飾品や武器で身を固めています。

頭部(コア)、上半身、足×2の四部位です。全身が《炎無効》でダークドワーフ同様に《黒炎の遣い手》でもあります。

頭部は真語魔法、操霊魔法、深智魔法15レベルを魔力20で使う《魔法適性》持ちで、《単眼の畏怖》特定能力値の判定を自動失敗させられます。

胴体は《複数宣言=2回》《複数宣言=+1回》で宣言能力を3つまで併用し、《全力攻撃V》《薙ぎ払いU》《斬り返しU》等を使います。

加えて《種族殺し》という特定の分類・種族を宣言することで追加ダメージ+4〜+12点にするという宣言型能力も持っています。

足は《蹴り上げ》てダメージを与えつつ強制移動させます。足は頭部と胴体に、胴体は頭部に《攻撃障害=不可・+4》を持ち効果は累積します。


なお《斬り返しU》というのも「イグニスブレイズ」で追加された宣言特技で、PCも《斬り返しT》を習得した上で置き換えて習得できます。

《斬り返しT》は攻撃が回避されてももう1回攻撃できるというもので、《斬り返しU》になると初撃で命中するとダメージが増える

もしこれを《薙ぎ払いU》と組み合わせようものなら、同時に5体に攻撃して初撃を回避した人のみもう1回攻撃できることになりますね。

結果として当たり目は増すし、そこに《全力攻撃V》なり《種族殺し》なりも乗っていたら伯爵のような恐るべきアタッカーになりますね。


以上のように本当に強力な蛮族なのですが、彼らは昔ダークドワーフから黒い炎の遣い方を盗まれたことがあります。

このためサイクロプスはダークドワーフを敵視ししています。ダークドワーフが地下で生活してきたのもそれを恐れてのことのようです。

ただしこれによってダークドワーフは蛮族社会での鍛冶屋としての地位を確立し、イグニタイトの加工までこなすようになったのです。

実は伯爵やゆんの<イグニタイト加工の武器>も彼らダークドワーフとのコネに名誉点を割かないと手に入らない品物だったりします。

ダークドワーフの中にも人族の心を取り戻す人もいるようなので、そういったダークドワーフの加治屋さんが作ってくれたのかもしれない。


とはいえサイクロプスの技術も大したものです。実は《複数宣言=+1回》《斬り返しU》《種族殺し》はサイクロプス自身の能力ではない。

彼らの持つ《イグニタイトの魔剣》によって付与された能力なのです。これがないと《全力攻撃V》《薙ぎ払いU》の組み合わせになります。

この魔剣の効果はあくまでも1つのサンプルのようで、個体によっては違う能力の魔剣を持っていてもいいそうです。

これだけ強力な魔剣の代わりなのだからどんな恐ろしい能力がついていても不思議はありませんね。実に欲しくなる魔剣です。


ちなみにこの魔剣は戦利品として自動的に入手可能で3万5000ガメルします。ただし刀身6mにも及び巨人族でもないと使えないのが残念。

それにしてもこんなに凄い魔剣の売値が3万5000ガメルというのも安いですね。第五世代から第四世代級の強力なものなのに。

やはり人族には実用的ではないから武器としての値がつかないのでしょうかね。するとこれは美術品としての価値でしょうか。


そんな歴史的因縁のある両者が対峙しているわけです。実際にあった場面なのかは不明ですがね。

サイクロプス「さあ、そこをどけ。お前の仲間が炎を盗んだ

状況的に非はダークドワーフ側にありますね。例の伝承によると「汝は、隣人を愛さねばならぬ」の試練でしょうか。

1つ目の試練と違って非が自らの側にある場合の正しい対応はどういうものなのか。ちょっと難しい試練ですね。


ゆん「盗んだんじゃないよ、勝手に鞄に入ってたんだよ

マイザール「あかん、この試練。ボク、絶対、裏目引く。畜生な言葉しか頭に思い浮かばない

フェルディナント「ゆん、マイザール、お前らは何も言うな。ただ、俺様に合わせて"me too."とだけ言ってくれ」

今回は全員で1人の身体なので話し合いで回答を決めます。ダークドワーフの脳内会議って感じですね。


バトエルデン「「隣人を愛せよ」なら、ここは通しちゃダメだろうが、「悪に阿るな」だと、非があるのは確かにダークドワーフだぞ」

ここに1つの誤解がありますね。今回は2つ目の試練なので2つ目の「隣人を愛せよ」だけ考えればいいようです。

しかし3つの言葉に3つの試練を個別に当て嵌めるというのは、PCからしたらただの勘でしかありません。これはクス神殿の悲劇を繰り返すか。


それでも今回は道徳を問う問題なのでそう間違った方にはいきません。

ジュエリィ「非があるのはこちらかもしれませんが、仲間を売るわけにはいきません」

フェルディナント「贖罪の方法があるなら、それを訊こう

バトエルデン「だが、仲間のためにもここを通すことだけは断じてできん!

マイザール「Me,too!(えらくいい発音で)」

安易に仲間を庇うわけではなく、かといって見捨てるでもなく、あくまでも贖罪の方法を探る姿勢はいいですね。

すると謎の声は「仲間を庇う汝らの正しき心、しかと見届けた。正解である」と響きます。まぁいい方法でしたから納得の正解です。


ところが続いてこうも響きます。「よって、入り口にもどれ」と。

一同「は!?」

これは一同納得いきません。なんで正解なのに不正解のようなペナルティを食らわなければならないのか。

実はこれには例の石像の状態が関係していまして、真っ二つになったことで正解が不正解となるというややこしい状態になっているのです。

これはまた分かり難い謎ですね。石像の状態からこれを推理するのはかなりの難関。クス神殿の悲劇はやはり繰り返されてしまうのか。


というわけで一行は1つ目の石像の場所に戻ってきました。この石像も真っ二つになってしまったのでやはり正解が不正解になります。

仕方なく一行はまた同じ試練を受けました。越後屋と対峙して、買収を持ちかけられて、毅然とした態度でこれを拒否しました。

すると越えは「正しき心は確かめられた。お前たちは100%正しい。では、通せぬ」と今度は以前より強固な石壁が現れます。

今度は防護点40のHP400というとんでもない壁でした。フル強化の大司教級の硬さに、歴代ボス達にも劣らぬ頑丈さ。


1ラウンド目

今度は魔法でも20点は減らされてしまうのでゆんの《鎧貫き》に頼った戦い方をします。

まずマイザールは【ソニック・ウェポン】です。ゆんは素でクリティカル値8、【クリティカルレイ】Aランクなら出目6でも回る。

大司教は《ダブルキャスト》で皆に【カウンター・マジック】を、アタッカーに【エンチャント・ウェポン】を配りました。


そして伯爵は適用ダメージ50点に対し、ゆんが65点も出して逆転するという珍しい現象が起こりました。

《鎧貫き》は防護点無効だから敵の防護点が高いほど決まった時の恩恵は大きい。それがこのレベルになって逆転を起こしたと。

しかもゆんは《追加攻撃》の分まで回して合計120点越えのダメージを出します。伯爵と合わせて170点以上削ってますよ。

ジュエリィは【エネルギー・ジャベリン】でクリティカルを起こして30点近く削り、なんと1ラウンドで半分の200点ほど削りました。


2ラウンド目

呪いをものともせずに更に前のめりになります。大司教は鼓咆を【怒涛の攻陣U:烈火】にして更にダメージを上げます。

主動作ではゆんに【スペル・エンハンス】で魔力+1です。地味に《魔力撃》のダメージを上げてくれました。

これによりまたも2回の攻撃共にクリティカルを出して1人で120点超の適用ダメージ。ヌキップラー兼マリョップラー恐るべし。

ジュエリィとマイザールの魔法が突き刺さり、伯爵の《爆破・神鳴り》もあってなんと2ラウンドでこの牙城を崩してしまいました。


こうして2回目の石壁も粉砕して再度サイクロプスと対峙しようとする一行でしたが、次はどう答えるか悩みました。

一緒に逃げようにも既に乱戦状態で逃げる余裕はない。離脱宣言をしたら次のラウンドが回ってくる前に殺される。

仲間の罪を被ろうにもサイクロプスは誰が犯人かを知っている。いっそ仲間と運命を共にしてしまうというのも……。


そんな感じで延々と悩んだ末の答えは。

フェルディナント「後ろの連中を突き出して「一緒に謝る」です」

GM「それをやるとですね……」

フェルディナント「すんませんしたー。パンイチ土下座ですー」

マイザール「Me,too!Me,too!」

すると声は「それは不正解である。よし、力を示して通れ」と次の段階に進みました。一緒に謝るのは駄目なんだ。

さっきの答えは本当にしっかりしていたんですね。その道徳がかえって話をこじれさせるという皮肉な試練です。


今度の試練はまたも石壁が出てきますが破壊するわけではない。巨大な石壁が倒れてくる状況で、支えるか逃げるかを選択します。

相談はなしで各自同時に答えを出します。逃げるとどうなるか、支えるとどうなるかはやってみないと分かりません。

マイザール「ちょっと待って。悩ませてください

フェルディナント「こいつ、本当に悩んでやがる」

マイザール「マイザールはどうすべきかってことですよ」

どうするもこうするも、今までの言動を考えると現実的な答えを迷わず出すんじゃないでしょうか。


結果として支えようとしたのは伯爵と大司教、そしてズミーヤでした。

ズミーヤ「マイザール様〜」

マイザール「だから、ボクは逃げますって。キャラ的に」←ですよねー

非力なジュエリィとゆんも当然逃げました。まぁ仕方のない判断でしょうね。


実はこの石壁、6人から支えが1人足りないごとに物理ダメージ20点が支えた人にかかるというものでした。

もし全員が支えようと残っていたらノーダメージだったわけですね、筋力関係なしに。相談なしでそれは難しいことでしょうが。

今回は3人足りないので支えた人は物理ダメージ60点を食らいました。逃げようとした人は判定不要で逃げられました。

この程度なら大司教や伯爵は耐えられますが、ズミーヤは駄目でした。HP−2点で《生死判定》に追い込まれます。成功しましたがね。


フェンサーとスカウトだけだと《タフネス》はない。《頑強》もないならHPは生命力+39点ですね。専用装備があれば+2点。

それで−2点になるということは生命力と防護点の合計が19点ほどです。レベルの割には貧弱ですね、あまり成長させてなかったのかな。

もし5人全員が逃げていたら1人で100点も食らっていたわけで、HP−42点とかになって即死だったわけですね。

しかし彼女は穢れを受け入れるタイプの人でした。【リザレクション】すれば蘇ってくるというのがGMの予想だったようです。


石壁は砕けたので潰された人達を救出するのは簡単です。ズミーヤには回復に加えて【アウェイクン】も必要ですが。

マイザール「それはないよ、キミはボクを誤解している」

ジュエリィ「ごめんね。じゃ、皆固まって。29点治る【ウィスパーヒール】かけるから」

以前オーガバーサーカーから救った騎士達にかけようとした時は26点回復で驚いたものですが、あれから3点も伸びましたね。

60点の物理ダメージだと防護点を考慮すれば精々50点台の適用ダメージ。2回も【ウィスパーヒール】すれば全回復でしょう。


この時点で一行は正解を求めるとかえってよくないことが起こるということは察していました。


★複眼のロースカツ

更に道を進んだ一行は三つめの三眼の蛇の石像を発見します。今度は両目をつぶり額の目だけ開いていて、亀裂諸共に真っ二つです。

今度の試練は道を分断する深い渓谷でした。向こう岸までは10mあって、遠回りすれば迂回できそうな道もあります。

一気に飛び越えてしまうか、地道に迂回するかという問題ですね。当てはまる伝承は「汝は、易きに流されてはならぬ」でしょう。


フェルディナント「これは、「易きに流されてはならない」そのまんまか?」

バトエルデン「いやいや、我々の積んできた修練あればこそのこと。それを「易き」とは言われたくない」

飛び越えとうと思えばいくらでも手はありますもんね。【フライト】なり【エアウォーキング】なり色々と。


魔法を使わなくても《冒険者判定》の「幅跳び」で文字通り跳び越えることも不可能ではありません。

バトエルデン「現実世界じゃ、10m幅跳びできる人はいません(笑)」

幅が3mまでは目標値10、以後1m毎にペナルティ−2だから実質的には目標値24で跳び越えられますね。

ゆんとかは楽勝でしょう。他の人達は基準値20前後でほぼいけますが、金属鎧を着ている人は−4なので難しいかな。

大司教は基準値19で金属鎧だから実質15、出目9必要です。それも桜花に乗ってしまえば解決ですけどね、もう1人《搭載》できるし(笑)


というわけで何ら障害でもないのですが、今までのパターンからするとわざと安易に跳び越えてしまう方が楽になるはず。

案の定ゆんが軽く跳び越えると「安易なる道は不正解である。よって力を示して通るがよい」と聞こえて最後の力の試練に挑めます。

ジュエリィ「善人やるべきじゃなかったのかなあ?」

バトエルデン「……はっ!さすがマイザール、そこまで読んでのことか!」

マイザール「当然ですよ。ボクを誰だと思ってるんですか?

バトエルデン「……根っからの卑怯者

最後の相手はちゃんとした魔物です。「イグニスブレイズ」で追加されたサイクロンローカスツ23レベル強化版ですね。

その名もスーパーサイクロンローカスツです。前作と違って没モンスターというわけではありませんが強化されている点は同じ。


マイザール「げっげえ」

バトエルデン「悪名高きロースカツか

イナゴは英語でlocust(ローカスト)というそうなので、そのイナゴの群れからなるこの魔物は複数形でローカスツとなりました。

ところが字面からロースカツと読み間違えることが多いことでよくネタにされます。この本と同時発売だった「from USA」にも登場しました。


スーパーサイクロンローカスツは23レベルの動物です。通常の2倍の数のイナゴの群れからなるサイクロンローカスツです。

群れ×8の八部位でコア部位はなし。毎ラウンドの頭に《合流と分散》を繰り返して全部位のHPをなるべく均等に保ちます。

《撹乱》によって乱戦エリアを対象とした《精密射撃》《魔法誘導》《魔法制御》を無効化します。

《おびただしい群れ》は近接攻撃や射撃攻撃の適用ダメージを最大20点までしか受けず、乱戦エリアの半径は部位数に依存します。

そして対象1体を《食い尽くす》ことで現在のHPが多いほどに破壊力の増す物理ダメージを必中で与えてきます。


以上のようになっているので今までのように伯爵とゆんが大ダメージをぶち当てることはできません。

よって魔法使い達の火力が鍵を握ります。弱点が「炎属性ダメージ+3」なのでその手の攻撃魔法を使うといいですね。

ただし《魔法制御》が無効なので乱戦エリアを形成する前にできるだけ落としておきたいところです。


マイザール「ところで遭遇距離は?こいつとの戦いは、それ決定的な条件です」

GM「みごと不正解したので、30mです。うっかり正解してたら、5mでした」

乱戦エリアの半径は八部位だと24mにも及ぶので、30mも距離があれば後衛は巻き込まれずに済みますね。

今回はジュエリィのみ【イニシアティブブースト】SSランクを使用します。実は5枚も持っているそうです。

一方2枚しかないマイザールは自重しました。ジュエリィが2回も焼き払えば自分がもう1回攻撃すればほぼ削れるという予想です。


1ラウンド目

早速ジュエリィが《クリティカルキャスト》を乗せた【ファイアストーム】を2連発でお見舞いしました。

これはランク10の妖精魔法(炎)で威力40で半径5m/15に炎属性魔法ダメージを与えます。

抵抗を抜いたら《弱点看破》込みで威力40+36点にもなるので、出目7で45点ほどになりますね。

案の定40点を越える魔法が2回も吹き荒れたことで80点以上を削り、HP126点の各部位は残り40点未満となりました。


そこでマイザールは【メテオ・ストライク】でトドメを刺そうとします。

マイザール「降れよ流星!」

ところが抵抗は抜いたもののダメージ決定を一括でやろうとして1ゾロを振ります。

ダメージの決定は行為判定ではないので《月の舞》も【ラック】も使えず、止むを得ず〔剣の加護/運命変転〕です。


マイザール「こんなのあんまりだー!(コロコロ)威力だけで49(笑)」

威力100が6ゾロだと30点で2回目は出目7で19点だったようですね。合算ダメージは81点にもなりました。

練技込みで魔力29なので何かしら3点上乗せされていますね。<スパイラルホワイトロッド>と<マナリング>でしょうか。


マイザール「滅べ世界よっ!!これぞ【メテオ・ストライク】!!」

フェルディナント「おお、流星群だ。きれ……んー?どごどごどご」

バトエルデン「俺ら、埃だらけだな」

ゆん「マイザールの流星はロマンチックじゃないよー

マイザール「星なんて近くで見るもんじゃないんですよ」

というわけでローカスツは何をするでもなく滅ぼされました。ちなみに戦利品は何もありません、何せイナゴの群れなので。


ジュエリィ「MP回復しまーす。マイザールもほしい?」

マイザール「ください、チュウチュウ。もうジュエリィから離れられない

多少の休憩時間さえあればリソース削りもできないか。まぁ〔剣の加護/運命変転〕はこれだけでは回復しませんけどね。

何にせよ見事に3つの試練をクリアした一行は更に奥を目指します。いよいよ何かしら本命が姿を見せそうです。


★ドクター改め大元帥

一行は祭壇のようなものがある岩場にやってきました。そこには昔戦ったサーペントの魔法王の姿がありました。

バトエルデン「再生怪人か」

再生魔法王「12年前はよくぞやってくれたな」

バトエルデン「他人のそら似では?」

再生魔法王「お前らを見間違えるわけがあるか」

フェルディナント「というか、お前、倒されたはずだろ。俺様たちが、完膚なきまでに打ち砕いたはずだ。なぜ、ここにいる」

再生魔法王「ふっふっふっ……よくわからん

彼の復活自体はある程度予想はついていましたが、本人にもその理由が分からないというのは不可解ですね。

かといってアンデッド化したわけではなさそうです。相変わらず分類上は神族ですね。挿絵はアンデッドっぽいけど。


バトエルデン「これはあれか、背後にゴーゴン大公とかいる口か?」

前作のラスボスが新シリーズでは敵幹部として出てきて、背後に更なる大ボスがいるというパターンですね。

いわゆる魔王ハドラーと魔軍司令ハドラーの違い。それこそ25レベルの彼を利用できる大魔王バーン的なやつがいるのかも。


再生魔法王「前は不覚を取ったが、今回はそうはいかんぞ」

前回のように配下もつれています。ミスリルゴーレムは2体に増え、ミニングレスの代わりにドラゴンゾンビを2体です。

4部位のミスゴ(ミスリルゴーレム)が2体、5部位のドラゾン2体、本人が6部位だから合計24部位ですね。

乱戦エリアの上限は20だというのに、こいつらとまともに乱戦エリアを形成したらややこしいことになりそうですね。


再生魔法王「さらに余は、毎ラウンド25点の再生能力を手に入れた。いつの間にか

フェルディナント「は、予感が走ったぞ。これは、何かの邪神?邪神なの?」

再生魔法王「これは、このままであってはいかんという……ラクシアの意思。余は、ラクシアの意思によって蘇ったのだ」

マイザール「え?」

再生魔法王「きっと

まったく確信はなさそうですね。冗談抜きで彼を傀儡にできる存在なんて、それこそ神とかでしょうが。


さて、今回魔法王との再戦にあたって正式にデータが公開されました。基本的なスペックは前と変わりません。

ただちゃんと部位モンスターとして部位名や能力名が定義されています。その辺を改めて確認してみましょう。


再生"サーペントの魔法王"は25レベルの神族です。魔物としての知名度は32で弱点はありません。

本体(コア)、復讐者の兜消魔の胸当て猛る篭手マナの杖浮遊の円盤の六部位です。

本体以外の部位は《魔法生物同等》として扱いますが、《装具》のため【バインド・オペレーション】等の効果は受けません。

また部位でありながら《独自抵抗》の特徴を持つため、本体とは独立して生命抵抗力や精神抵抗力を持ちます。

なおマジックアイテムでもあるため【パーフェクト・キャンセレーション】の対象になります。行使に1時間、目標値40が必要ですが。


本体の体質は《半神の身体》と定義されました。《毒無効》《病気無効》。MPを持たず、MPの消費やダメージは500点のHPで代用します。

この辺はHPとMPが融合という考え方はそのままですが、データ上はどちらかにする必要があってHPにしたという感じですね。

《再生=25点》が追加されましたが、これを除く回復効果はやはり無効。【イモータル】等のHPが0以下になった後や死亡後に得る効果も無効。

魔法は真語魔法、操霊魔法15レベルの魔力27で使用。加えて「ウィザーズトゥーム」環境下なら深智魔法も15レベルの魔力27で使用可能。

各種魔法使い系特技は《古代魔法王》とし、各種《魔法拡大》《MP軽減》及び《魔法制御》《鷹の目》《マナセーブ》《ルーンマスター》を習得。


アーティファクトの能力ですが、まず兜の「恨み返し」は条件型の《恨みチャージ》と主動作型の《恨み返し》と定義されました。

胸当ての本体のダメージ半減は《万全の守り》、全ての部位の魔法ダメージを10点軽減するのは《消魔の守護》になります。

篭手の能力は条件選択型の《どこでもカウンター》とされました。《追加攻撃》と《牙折り》も持っています。

杖は《MP維持》《MP供給》とされ、前者で杖自体のMPを常に20点に保ち、後者でそれを上限20点で本体に融通できます。

円盤は《浮遊移動》しているため全ての部位は通常移動後に制限移動の動作が可能。破壊されると《機動力喪失》で移動力72の浮遊は失われる。

あと魔法王自体の先制値は34もありますが、これも《機動力喪失》によって24にまで下がることになります。


以上のようにアーティファクトのスペックはそのままですね。ただ本体に謎の《再生=25点》が増え、深智魔法が使えるようになったのが特徴。

それと本体にはもう1つ特殊能力があります。それが《コボルドのトラウマの呪い》というこのパーティ専用の能力です。

相手陣営の手番になると魔力27を基準に達成値を求め、それを目標値としてPCは精神抵抗を行います。

失敗すると1D6を振り、大司教は1〜3、他の人達は1を振ると主動作を封じられる。移動や補助動作は可能です。

それだけだと以前のように連続休憩で全滅の恐れもあるため、1度主動作を封じられたら続く1ラウンド/5ラウンドは判定不要になります。

以前はお休みチャートで定期的に動けなくなりましたが、今回はいつ起こるかは分からないものの連続して主動作不能になるのは回避しています。


こんな能力があるのだからGMが<月光の魔符>を勧めるのも当然ですね。いくら連続行動不能がないとはいえ、行動不能自体嫌ですし。

フェルディナント「ミスリルゴーレムは、前回、<琥珀の目>で命中強化されていたが?」

そういう強化アイテムはありません、過剰だったと前回も反省していましたしね。それに「イグニスブレイズ」でゴーレムの強化アイテムが増えましたし。

これによってアイアンゴーレムでは《かばうV》《鉄壁》《ガーディアン》とかつけられるし、HP+30とか《属性耐性》とかもつけられる。

現在のルールでは13レベルのゴーレムまでしかサポートされていませんが、魔法王なら20レベルのミスゴを超強化することも可能でしょう。

しかしそれはやり過ぎでしょうから自重した模様です。あくまでもゴーレム達は取り巻きです、質よりも数で勝負する壁役で十分でしょう。


マイザール「ゴーレムとドラゴンゾンビは、魔法王の支配下という扱いですか?」

GM「【コマンド】で支配権を取りたいという意味でなら、そうです。ただ、手番と行動は完全に独立です」

マイザール「なるほど。博打だな。取れれば一気に楽になるけど、失敗したときの手番喪失は半端なく痛い」

この辺は基本的に術者に追従する普通のゴーレムとは違いますね。自律しているなら魔法王の魔力ではなく、魔物の精神抵抗力と達成値の比較でしょうか。

その場合は精神抵抗力+4されるので、ミスゴで29(36)、ドラゾンで31(38)になる。今のマイザールでも確実とはいえませんね。

《ルシェロイネ魔導収束》で+4まですれば基準値では有利になりますが、やっぱり失敗した時の手番喪失が怖いですね。


GM「ズミーヤはどうしますか?」

フェルディナント「下がれよ(笑)」

近接攻撃を受けない位置で《ディフェンススタンス》で精神抵抗力+4していれば何とかなるでしょう。

魔符も用意していれば精神抵抗力32相当。魔法王の魔力にも十分対抗できますね。


マイザール「あ、ヤバイ。ボク、《魔法制御》ない」

何しろ敵の部位数が20を越えていますからね。メテオだと24部位の中から20部位だけをランダムで選ぶことになります。

最悪魔法王に攻撃が集中して《恨みチャージ》だけしてミスゴとドラゾンを残すことになりますね。

かといって《魔法拡大/数》《ティルダンカル光魔二条》のコンボでやるには敵の数が多すぎて消耗が凄い。

誰かが【マジシャン】で《魔法制御》を付与する手もありますが、前衛がそれをやると制限移動しかできなくなりますね。

敵が多すぎるので先手取って移動して敵陣で乱戦エリアを構築し、後衛を守る必要もあるのでやはり手番喪失は痛い。


それならばとマイザールは《魔法制御》にはこだわらない手を考えます。

マイザール「【マルチターゲット】で全巻きこみだな。1m間隔で2発打ち込んだら、全部いける」

GM「厳密には「それぞれ20対象を無作為に選んで、重なりがあってもそれには1回しか当たらない」という処理になるね」

つまりこれでも当たらない部位が出る可能性はあるわけですが、その時は全当たりでいいというGMのお許しが出ました。

《恨みチャージ》覚悟で絨毯爆撃するつもりですね。そういえば前の戦いでもそんな風にやって、《恨み返し》前に兜を破壊しましたね。


先制はゆんだけ自力で取って、他のスカウト組は赤のSSカードで強引に取って《ファストアクション》発動。大司教のみ1ゾロです。

マイザール「では、ボクから参ります。蘇ってきたお祝いだ、きれいな花火を見せてやるよ

とはいえ前の戦いでは本体にメテオをぶつけて1点ダメージという屈辱的結果でしたからね。胸当てはやっぱり厄介ですよ。

アーティファクトの精神抵抗力は以前と同じなので今のマイザールならいい勝負ですが、魔法王のみ33に増えています。

しかし本体以外は半々ぐらいで抵抗を抜けそうなので前の戦いより大分マシですしね、今だとどの程度いけるのか楽しみです。


★第1ラウンド表――3倍に成長したマイザール

最初の《コボルドのトラウマの呪い》の達成値は31となりました。魔力27だから出目4だけど抵抗の目標値としては低くはない。


まず動くのはマイザールです。精神抵抗の達成値は29だったので魔符を破って抵抗です。やっぱり買ってて良かったですね。

各種練技を<魔晶石>を割りつつ入れて、【ヴォーパルウェポン】Sランクをゆんに入れて物理ダメージ+4です。

お馴染みになった【デモンズタックス】【アンチマジックバリア】も入れ、《ティルダンカル光魔再起》を宣言して保険をかけます。

そして【マルチターゲット】からの【メテオ・ストライク】2連発で敵を全部巻き込む。達成値は36と魔力29としては期待値でした。

この結果雑魚は全部抵抗を破り、魔法王も胸当てと円盤が抵抗失敗。もうドラゾンやミスゴでも欠片なしなら抵抗が覚束ないレベルなんですね。


マイザール「ザコから(コロコロ……)47!51点!51点!52点!51点!あ、50点」

GM「ん?」

マイザール「今の50点は経験点です。1ゾロです。紛らわしい〜」

バトエルデン「ダメージと区別がつかんとか、どういうことだ」

固定値で30点越えてるようだし、威力100の出目7が20点ならそんな感じですね。もう何がなにやら(笑)

あと今回から敵に与えたダメージと残りHPを明記してくれるようになりました。減り具合が一目瞭然で助かりますね。


47−117、51−113、51−137、52−136(ミスゴA:上半身/上半身/下半身/下半身)

51−113、0−164、50−138、40−148(ミスゴB:上半身/上半身/下半身/下半身)

47−100、44−134、68−58、50−76、40−114(ドラゾンA:頭/胴体/翼/翼/尻尾)

77−70、50−128、105−21、44−82、44−110(ドラゾンB:頭/胴体/翼/翼/尻尾)

例の1ゾロはミスゴBの上半身で起きたようですね。ミスゴはコア部位がないので1つでも残っていると活動するから面倒です。

ドラゾンAの翼とドラゾンBの頭と翼にはクリティカルがあった模様。こちらはコア部位が頭と胴体なのでいい感じです。


そして肝心の魔法王。

マイザール「まずは、兜!(コロコロ)52点だと?」

GM「抵抗成功で半減して26の、胸当ての能力で10引いて16」

何だか懐かしいですね、この胸当ての鬱陶しさ。多少魔力が上がっても抵抗されて《消魔の守護》があるとこんなもんです。


その肝心の胸当ては折角抵抗を抜いたのに痛恨のダメージ1ゾロです。

マイザール「痛い。50点」

GM「その50点は、自分がもらう分?

マイザール「その通り、経験点です。くー」

抵抗に成功した篭手には14点、杖には10点を通し、抵抗に失敗した円盤には40点を通しました。

本体には経験点ではない50点を与えましたが、抵抗して半減で25点、《万全の守り》で半減で13点、《消魔の守護》で−10点で3点でした。


魔法王「ふ、12年前に比べれば3倍の成長か

マイザール「ム・カ・つ・く。てめえ、絶対ぶっ殺す!」←口調変わっとる

とはいえ半減・半減・−10ではこんなもんですよ。例え抵抗されている以上6ゾロ振っても威力表では30点でしかない。

それでダメージ60点ぐらい出しても60→30→15→5点ですもんね。2桁出そうと思えば80点ぐらい要るけどクリティカルなしではキツすぎる。


今回のダメージも雑魚のように表記するとこんな感じ。

16−134、0−300、14−136、10−140、40−110、3−497(魔法王:兜/胸当て/篭手/杖/円盤/本体)

魔法王は使用したMPの量によっても減るので計算は難しくなりそうですけどね。


それから怒りに燃えるマイザールは《ファストアクション》でもう1発メテオを敵全部にぶち込みました。

達成値は低めだったようでドゥナエーの《月の舞》で振り直し、まさかの6ゾロで雑魚は全部抜けました。

GM「うへ。まあ、魔法王の抵抗は振るか。(コロコロ……)あ、胸当てが抵抗してしまった」

マイザール「本当に、そいつ感じ悪いっすよ」

これによって雑魚は以下のようになりました。


50−67、47−66、47−90、50−86(ミスゴA:上半身/上半身/下半身/下半身)

59−54、0−164、52−86、59−89(ミスゴB:上半身/上半身/下半身/下半身)

47−53、50−84、61−7、54−22、52−62(ドラゾンA:頭/胴体/翼/翼/尻尾)

90−X、52−76、51−X、56−26、44−66(ドラゾンB:頭/胴体/翼/翼/尻尾)

どういうわけだかダメージ1ゾロで無傷のミスゴBの上半身。この分だとここだけ他の部位が破壊されても活動し続けそうです。

それ以外は本当にいい感じですね、既に2桁に突入しました。ドラゾンBの頭と片翼は既に落ちていて、他のコア部位ももう一息。


そして魔法王ですが、折角抵抗を抜いたのに篭手と円盤の2箇所でダメージ1ゾロという始末。

バトエルデン「メテオ荒稼ぎだったな」

GM「このラウンドダメージ記録は5箇所空白」

マイザール「ええ、ボクの自動失敗チェック欄もそう言ってます

これで経験点にして250点稼いでいますね。振っている回数も多いとはいえ確率以上に出ていますね。

そして早くも魔法王のダメージ計算が正体不明になりました。抵抗を抜いた兜と杖は40点ぐらいは抜けているはずですが。


次はジュエリィです。今回も【ファイアストーム】2連発ですが、対象は15までなんですよね。

ジュエリィ「ワタシは《魔法制御》持ってるから選べるんだけど、どう選ぼう。魔法王には当てない。減らされるし、兜の呪いもあるし」

そこで狙うのはドラゾンAの頭と胴体、及びドラゾンBの胴体です。そしてミスゴの残っている8部位全てで11部位、あと4つ。

そこで一番HPの多いドラゾンBの尻尾を外し、ドラゾンAの翼・翼・尻尾、ドラゾンBの翼を標的とします。


達成値は指輪も割って35を出して雑魚はやっぱり全部抜きました。

47−20、41−25、40−50、40−46(ミスゴA:上半身/上半身/下半身/下半身)

38−16、38−126、35−51、42−47(ミスゴB:上半身/上半身/下半身/下半身)

55−X、53−31、42−X、38−X、42−20(ドラゾンA:頭/胴体/翼/翼/尻尾)

X、39−37、X、39−X、66(ドラゾンB:頭/胴体/翼/翼/尻尾)

ようやく減ったミスゴBの胴体。ドラゾンAは頭と両翼が落ちて胴体と尻尾もあと少し。ドラゾンBも胴体と尻尾のみ残っています。


そして2発目の【ファイアストーム】はミスゴの全部位とドラゾンの胴体2箇所、及び魔法王の本体以外を狙います。

ジュエリィ「(コロコロ)あ、これダメだ。ドゥナエーの力借りて振り直します。(コロコロ)下がっちゃった。ごめん。達成値32」

雑魚の抵抗すら抜けませんでした。胸当てのみ抵抗で1ゾロを振りました、さっきの6ゾロと相殺するかのような出目です。

でも魔力29で〔異貌〕していたら出目3でも33は出ますよね。〔異貌〕か<マナスタッフ>を使っていなかったのかな。


21−X、22−3、22−28、19−27(ミスゴA:上半身/上半身/下半身/下半身)

19−X、22−104、18−33、20−27(ミスゴB:上半身/上半身/下半身/下半身)

X、21−10、X、X、20(ドラゾンA:頭/胴体/翼/翼/尻尾)

X、21−16、X、X、66(ドラゾンB:頭/胴体/翼/翼/尻尾)

ミスゴの上半身を1つずつ潰しました。もし抵抗を抜いていたらドラゾン2体を落とせていましたね。

魔法王のアーティファクト達は10点前後、胸当てのみ29点。雑魚はともかく魔法王は先が長そうです。


次に動くのは伯爵です。呪いチェックは失敗しましたが1/6の確率を潜り抜けて動きます。ていうかジュエリィのチェックは忘れてましたね。

各種練技と【ヴォーパルウェポン】Sランクを自分に入れて《魔力撃》《薙ぎ払いU》を宣言します。

今回狙うのはドラゾンの胴体2つとミスゴの下半身でそれぞれHPの少ない方を、そして魔法王の杖も狙って全てを乱戦エリアに巻き込みます。

《命中力判定》は一括で達成値37。今回は魔法のバフを殆ど積んでいないのでこれでも低い方なんですよね、前回は命中力が37とかあったし。


GM「杖の回避力が28で、篭手の命中力が30。これは「▼どこでもカウンター」だなあ。8ぐらい振れるさ。(コロコロ)ぐばっしゃあ」

フェルディナント「よし」

GM「じゃ、ダメージ決めて。最後の篭手に与えるダメージは威力表6ゾロスタートで」

フェルディナント「これ、回るんですよね?」

バトエルデン「回るよー。《カウンター》は、威力表使う相手にうかつにできるもんじゃないよ

これでドラゾン2体は何もすることができないまま倒されました。ミスゴの下半身2つも沈めて狙い通り。

篭手には威力80+49点で1回目6ゾロで23点、2回目も回ったらしく、算出ダメージで105点をぶち当てました。

防護点20なので85点抜けて残りHP41点になったらしい。またもこれから先はカウンター失敗で一撃で落とされる状態です。


フェルディナント「くく、まだ俺様のターンは終わってないぜ?さっきと同じか?」

バトエルデン「ミスリルゴーレムの攻撃は、俺の《鉄壁》《かばう》で、ほぼ完封できる」

というわけで次は魔法王の円盤以外の全てを狙います。円盤は一度乱戦に入ってしまうと無害ですから。

《命中力判定》の達成値は低く、《月の舞》で振り直して36でした。今回は移動する必要があったから【プレコグ】が入ってないんですよね。


今回命中したのは兜と杖と本体でした。

31−53、?、41、47−41、?、18−?(魔法王:兜/胸当て/篭手/杖/円盤/本体)

胸当てと円盤以外のアーティファクトは即死圏内に入りました。今やゆんの攻撃も洒落にならないのでやっぱり危険。

ここでちょっとしたイベントが挟まります。伯爵の攻撃が本体に入ると、何やら凄いいい手応えで魔法王の顔が驚愕の表情になります。

半霊半肉の身体なのに、剣が命中した瞬間だけ命中箇所が完全に肉化して腐れ落ちたのです。これが<絶神剣>の魔力なのでしょうか。


フェルディナント「おおっと、ゴッド、スレイヤー、してしまったか。けど、この「ゴッド」のとこ、別の言葉に変わらねえ?」

ジュエリィ「変わらない」

魔法王も神族ですからね。<絶神剣>が効いても不思議はないけど、どういう能力なのか。特にダメージが増えている様子はないけど


次はゆんです。呪いには魔符を破って抵抗し、各種練技と【クリティカルレイ】Sランクを入れて《鎧貫き》《魔力撃》で杖を狙います。

ゆん「パパパパパパパパパパ。爆竹のように魔晶石を爆ぜさせ、あんちょこを懐にしまって、前進」

バトエルデン「確かにあんちょこないと辛い量だなあ」

命中を考えて<パワーリスト>の方で殴りかかり、1発目は回避されるものの《追加攻撃》分は命中しました。

【クリティカルレイ】が効いて《鎧貫き》発生、52点素通しで杖は折れた。練技の牙と投擲攻撃は回避されました。


最後に大司教です。呪いにはやっぱり魔符を破って抵抗。鼓咆【堅陣の構え】と必要な練技を使い、自分には【バークメイル】Sランク。

装備していた<スチールハート>は<ウェポンホルダー>にしまい、代わりに<銀鱗の煌盾>を出して装備しました。

そして乱戦エリアに入って《銀鱗の魂》を宣言。《鉄壁》効果で伯爵とゆんをかばいつつ、《ガーディアン》効果で5回かばいます。


バトエルデン「移動したので魔法は使えないので終わり。ん?俺、主動作してないな」

GM「お前、それ呪いかかってたほうがよくない?」

近接攻撃はしない、魔法も使えないのなら主動作は要りませんね。色々やってるように見えて全部補助動作なのが凄い。

そこで魔符を破かなかったことにしてあえて1D6を振らせてもらいました。あまり裁定を巻き戻して覆すのは良いことではありませんけどね。


その結果見事に1/2を引き当てて主動作を封じられました。お陰で次のラウンドの主動作は保障されます。

バトエルデン「おっと、思い出した。補助動作で<アンチマジックポーション>ぐび」

ジュエリィ「動いてるよ。身体バリバリに動いてるよ

フェルディナント「大司教、パねえ」

敵は魔法王ですから、魔法からもかばえる《銀鱗の魂》を活用できるように魔法ダメージを軽減できるようにやっていますね。

これで<インペリアル>で5点、ポーションで3点、<銀鱗の煌盾>で1点減らせて9点カット。《かばう》時には更に2点で11点カット。

ちなみにこの秘伝にも通常の《かばう》の効果が含まれているので、ミスゴや篭手の近接攻撃からもちゃんと仲間をかばえます。


★第1ラウンド裏――深智魔法はダテじゃない

敵の手番になるとまずミスゴ2体が攻撃します。それぞれ上半身と下半身が1つずつ残っていましたね。

上半身は片方でも《2回攻撃&双撃》ができますが、下半身の《同時攻撃》は両足残っていないとできないので普通の蹴り。

この計6回の攻撃を全部伯爵に注ぎました。以前も痛い目に遭ったし、さっきもおかしな効力の魔剣で斬られましたしね。


バトエルデン「では、5回分は俺が受けます」

しかしこの猛攻も殆ど大司教がカット。防護点は煌盾装備時の21点に練技で+2、《かばうV》で+2、賦術で+4で29点ほどです。

ミスゴのダメージは以前も散々扱ったように2D+22点とか24点とかなので殆ど抜けません。下半身でも期待値で2点ですね。

しかもその回数だけ<渦巻き鉱のお守り>で1点ずつ返していくのだから本当に嫌らしい。早速《ガーディアン》を取った甲斐がありましたね。

そして6回目の攻撃は伯爵が自力で避けてしまいました。以前の戦いでのミスゴの鬱陶しさに一矢報いることはできました。


次は魔法王のアーティファクト達です。まずは兜が《恨み返し》です、実際やるのは初めてですね。

現在《恨みチャージ》はマイザールの1回目の魔法で5点、2回目の魔法で4点、ジュエリィの2回目の魔法で5点貯まっています。

初めから5ヶ所を狙っていたジュエリィはともかく、魔法王の全部位を狙ったマイザールは1ゾロの数だけ回数が少なくなっています。

よって抵抗に失敗したら何かしらの能力値が14点も下がるんですね。筋力に来たら防具の重量オーバーで主動作が封じられる


実際狙えるのはマイザールかジュエリィですが、やっぱり狙うのはマイザールです。

マイザール「俺っすか?」

GM「お前のほうが痛いし、お前のほうが悪いことする手段が多い。魔法王は知ってる」

マイザール「誤解っすよ。ジュエリィさんのほうが圧倒的に痛い。サイコロ的に。そもそも前回、ボクは主動作の半分【アウェイクン】でしたよ

GM「俺はオカルトには従わん。それに、その【アウェイクン】がキーだったろ」

半分どころか5回行動中3回は【アウェイクン】でしたね。あれがなかったら伯爵は起き上がりこぼしにすらなれなかったかもしれない。

ところが折角の《恨み返し》もまさかの出目3で達成値28。マイザールは魔符を破ることすらなく普通に抵抗して無駄に終わりました。


次は篭手です。《ガーディアン》が剥げた以上、狙う相手は決まっていますね。

GM「お前が一番痛いことはよく知ってるんだ!

フェルディナント「やめてー。もうかばってもらえない」

前回忘れていた《牙折り》もしっかり乗せて殴りました。達成値38とか避けられるはずもなく、38点ほど食らいます。

これを受けた伯爵の適用ダメージは29点だったようです。つまりこの時点で防護点は9点ほどですね。

【ビートルスキン】が入っているなら10点のはずですが、多分マナタイトの分を忘れていますね。


それにしても本当に防護点が前々回に逆戻りしましたね。輪環の時なんて色々入れて30点ぐらい止めていたというのに。

あの時のように【プロテクションV】【バークメイル】SSを入れると+12点はされますが、今回はその余裕はまだない。

ちなみに今回は【鉄壁の防陣】系は取っていないので使えない。【フィールド・プロテクションU】が使えれば同等の効果は得られますが。


他のアーティファクトに攻撃能力はないので魔法王が動きます。折角の機会なので15レベル深智魔法【オーバーブロウ】を使います。

これは対象に魔法ダメージを与えつつ吹き飛ばす力場を作る魔法で、一度使うと18ラウンドの間半径30mの空間にかかり続けます。

術者の手番終了毎にこの効果は発揮され、威力20で30mも任意の方向に吹っ飛ばせます。しかも《魔法制御》なしで対象は任意に選べる。

一見地味だけど、清松先生が「範囲・対象選択」+「ダメージ」+「特殊効果」+「継続」と複合している点を「とんでもない」と評価しています。

継続しているから次ラウンドから術者は別の魔法を使えるわけで、魔法使いが苦手な前衛を追いやりつつ、2重に魔法ダメージを与えることもできる。


正に深智の極みというに相応しい恐るべき魔法です。これを使った魔法王はミスゴを対象から外し、大司教達5人にのみかけてきました。

抵抗できてその場に踏みとどまれたのは大司教のみ。他の人達は30点オーバーのダメージを受けつつバラバラの方向に飛ばされました。

マイザール「クリティカルして39点食らってサヨナラしたボクですが、
       【デモンズタックス】で5点返した上で、【レデュースマジック】でMP39点回復します

上手く逆手に取った人もいましたが、これで伯爵とゆんは乱戦エリアから飛ばされて、《かばう》の届かない場所にいることになります。

術者を挟んで30m離れた位置に飛ばされたとすると、マイザールやジュエリィとは60mほど離されたわけで届かない魔法も多いでしょう。

幸い大司教からは30mなので大抵の魔法は届くし、なんなら伯爵のみ【レスキュー】で手元に呼び寄せてまた《かばう》できますが。


これで魔法王は手番の終了です。最後に《再生=25点》があるわけですが、なぜか再生しない

魔法王「なぜだ、なぜ再生しない

フェルディナント「ニヤリ。ギラ」

魔法王「そ、その剣は、まさか、あの」

何だというのか。こういう思わせぶりなことを言う人は大抵自分の口からは明かさないんですよね。


★第2ラウンド――巨星堕つ

今回の呪いの達成値は32、さっきよりは1上がったけど期待値より低くて助かりますね。


各自ダメージを受けて離れ離れのこの状況にどう対処するかですが、最初は呪いのチェックがない大司教です。

バトエルデン「今、《かばう》する味方がおらん。なら、《ダブルキャスト》で支援重ねるか」

マイザール「支援もいいですが、ダメージ回復も必要ですよ」

フェルディナント「俺様、結構食らってます。残りHP27です

バトエルデン「《ダブルキャスト》だと【キュア・ハート】止まりだが、やむをえんな」

《ダブルキャスト》だと魔力が−10されるわけで、大司教の場合は威力30+11点でしかない。

これだと精々20点、HPが50点にもなりません。ところが魔法王はその気になればメテオを撃ってくるんですよね。

【オーバーブロウ】もあるので両方食らって抵抗できないと80点はくるわけで、回復量に不安が残りますね。

あと《かばう》の剥げたこのラウンド、伯爵が再度乱戦エリアに入るとミスゴと篭手が近接攻撃を最大7回叩き込んでくるし。


大司教か伯爵は【レストレーション】を使ってでも伯爵のHPを最大まで回復させた方が良さそうですが。

それでも大司教は《ダブルキャスト》で【キュア・ハート】と【タフパワー】を全員に入れることにしました。

あと鼓咆を【強靭なる丈陣U:精定】で抵抗力を上げ、パラミスのSランクを胸当てに入れました。あくまでも前のめりです。


バトエルデン「(ころころ)俺だけ50点かよ」

マイザール「飛ばしますねえ」←ローカスツ込みで既に300点の人

バトエルデン「今日のキミほどじゃないんじゃない?」

最後にMPは《ポーションマスター》の<魔香水>で、HPは【リカバリィ】で7点回復しました。


次のマイザールは呪いの抵抗に29で失敗。+3の魔符もないので【ラック】で振り直して抵抗しました。

このラウンドも【スフィンクスノレッジ】と【デモンズタックス】をかけ、自分のHPは【ヒールスプレー】Sランクで20点回復。

1m制限移動で後退して【オーバーブロウ】の範囲から逃れつつ、《魔法拡大/数》で【デスルーテリィ】を魔法王にかけました。

【デスルーテリィ】は30m届くので僅か1m届かない分を2倍拡大で補っている。力場から逃れるのは重要ですからね。

肝心の達成値は魔力29に出目7で達成値36。流石に抵抗力33(40)では抵抗されましたが短縮なので1ラウンドは効きます。

呪いはラウンド開始時に決定されるのでこのラウンドは下がらないし、【オーバーブロウ】は行使時の達成値33を維持しますが。


次のジュエリィは+1魔符を破りつつ呪いに抵抗。【タフパワー】のお陰で精神抵抗力25にはなっているので出目6だった模様。

やはり制限移動で1m後退しつつ、【ウェポン・マスターU】で自分とマイザールに《武器習熟S/スタッフ》を付与

抵抗を抜きやすくするためらしいので、どうやら2人とも<ソーサラースタッフ>を持っていたようですね。

これなら《行使判定》に+2だからマイザールもジュエリィも基準値で31にはなる。魔法王相手にはまだ不利だけど大分マシになりますね。

能動側が4負けている時の成功確率は11.88%、それが24.69%になってなんと2倍以上!……それでも抜けるのは4回に1回程度ですが。


次は伯爵です。呪いには抵抗して30m通常移動して乱戦エリアに帰ってきました。通常移動ばかりでさっきから【プレコグ】が使えない。

【クリティカルレイ】Sランクを入れて《魔力撃》《薙ぎ払いU》で魔法王の残り全部位を攻撃。達成値は37でした。

まず胸当てから狙って篭手は《どこでもカウンター》を発動しましたが、あえなく失敗。伯爵の火力に耐えられる筈もなく篭手は壊れた

ところが残る兜・円盤・本体が悉く回避に成功します。現在の命中力は29程度と思われるので37は低くはないんですけどね。

仮に【プレコグ】を入れていても期待値で37.5だし、やっぱりバフはもうちょっと積んでおかないといくら伯爵でも安定しませんね。


次のゆんも呪いには抵抗して【クリティカルレイ】Sランクを入れて《魔力撃》《鎧貫き》で胸当てを狙いました。

ところが命中力重視で<パワーリスト>にしても2発とも空振りし、牙もハズレ。唯一命中したのは【バルーンシードショット】でした。

今回飛ばしたのは威力15の<ショートスピア>でした。賦術は乗るけど投擲攻撃では近接攻撃が要件の《魔力撃》や《鎧貫き》は乗らない。

そもそも《鎧貫き》はグラップラー技能の使用が前提なので、エンハンサー技能を基準値とする【バルーンシードショット】には乗りません。

ダメージ決定の出目は6で、賦術で+3しても9。<ショートスピア>はC値10なので回らず、合算ダメージ23点では防護点で弾かれました。


こうしてPCの手番は篭手を破壊したのみで終了。気付いてみればフリーの伯爵が集中攻撃に晒されました。

ミスゴは《狙い定め打つ》まで入れて達成値35とか出しつつ伯爵を袋叩きにしていきました。

1体目のパンチは1回は避けたのですが、2体目の1発目のパンチで倒れます。《生死判定》には成功しました。

しかしこのミスゴにはまだパンチとキックが1回ずつ残っています。このまま伯爵を死ぬまで攻撃してもいいわけですが……。


バトエルデン「うおおお、怪我が重い、あとちょっとで俺は倒れてしまう。俺が倒れてしまうと、このパーティはもうおしまいだ」

ここで魔法王側には2つの戦略があります。1つは遠慮なく伯爵を殺して確実に戦力を削ぐというもの。

伯爵の火力と謎の魔剣は魔法王にしたら脅威ですから当然の判断です。あと1回でも手番を渡すと自力で【レストレーション】するし。

もう1つは伯爵をあえて生かさず殺さずの状態に置き、敵パーティの手数を割かせることで集団戦闘を有利に運ぶというもの。

まるで標的をあえて殺さずに転がすことで他の敵を誘い出すスナイパーのようですね。実際マイザールは【アウェイクン】で忙殺されたこともある。


PCからしたら1人でも死んだら敗北も同然という感じはするし、何より伯爵抜きで魔法王に勝てるのかという問題もあるわけですが……。

バトエルデン「バッチこーい。かぽーん」

結局残りのパンチはゆんに向けて命中、18点ほど抜きました。キックはお望み通り大司教に行って、なんと8点も抜けましたよ。

自分がダメージを受ける分には《かばうV》効果はないので防護点27、ミスゴは出目11で35点だったわけです。頑張った。


次に魔法王ですが、篭手はもうないし兜は《恨みチャージ》できていないのでいきなり本体が動きます。

ここで自分に【ヘイスト】をかけました。前回もこれをやられて酷い目に遭いましたね、メテオ2連発とかやられる可能性があるし。

案の定このラウンドにヘイストチェックに成功して追加行動が起こり、当然のように【メテオ・ストライク】を使いました。

【デスルーテリィ】がかかっているので達成値は31と低目で、ゆんは抵抗して〔マナ不干渉〕で無傷、大司教も抵抗して16点程と軽かった。


ところが伯爵はよりにもよって出目3、魔符を破っても届きません。《月の舞》も〔剣の加護/運命変転〕ももうない。

フェルディナント「HP−40から生死判定。6ゾロのみっす。(ころころ)失敗」

バトエルデン「死んだか」

マイザール「まずいですね」

フェルディナント「待て待て、俺様には<奇跡の首飾り>がある。振り直し。(ころころ)無理〜」

ということでまさかのフェルディナント死亡。仮にここで《生死判定》に成功しても【オーバーブロウ】があるので無理だったでしょう。

こんな英雄でもこんなにあっさりと死んでしまうものなんですね。リジャールのように激戦の末に立ち往生とはまた違った形の死に様でした。


次に【オーバーブロウ】が起きて、ゆんはまたも抵抗して無傷。大司教は失敗して吹っ飛び、30点ほど食らいました。

当然伯爵の死体も吹っ飛ばされたようです。丁度マイザールと大司教と伯爵で正三角形になるように、上手いことバラけさせています。

それぞれ中心点から30mなら、各自は30mより少し遠く離れている感じですね。ちょっと距離拡大すれば届く程度ではあるけど。


★ハクシャク ハ テキ ノ メテオ ニ アタリマシタ ガ……

一度は勝った魔法王相手にまさかの伯爵戦死。彼が死んだ状態でどうこの強敵とやり合うか作戦が練られます。

バトエルデン「死んだのをどうにかする魔法が召異魔法になかったか?」

これは7レベル召異魔法の【ダークソウル】ですね。気絶している対象を操ることができます。

HPが0以下なら1になるし、手番終了時には目を覚ますので【アウェイクン】の変形のような魔法です。

<アウェイクポーション>も【アウェイクン】もなしに覚醒させられる便利な魔法ですが、やっぱりX印つきの犯罪魔法です。


しかし死亡している相手には効果がありません。戦闘中に伯爵を蘇らせるのは無理っぽいですね。

バトエルデン「そうすると、伯爵抜きであいつに勝てるか?という話だが」

現在魔法王のHPは439点、胸当ては155点です。《万全の守り》があると《鎧貫き》でも半減するのでやっぱり胸当ては壊さないと。

しかしゆん1人でこれを削るのは相当大変だし、その間に【メテオ・ストライク】やら【オーバーブロウ】やらを何発も食らうことになります。

下手したら【ヘイスト】も発動してメテオ2発&吹き飛ばしで魔法ダメージ3連発を食らった上に引き離され、《かばう》と回復が満足にできなくなる。


ジュエリィ「ある程度なら、ワタシが回復できる」

確かに妖精魔法(光)でも回復できますが、問題は射程の短さです。【アルティメットヒーリング】なんかは10mなんですよね。

<カトレアの花冠>をつけていても20mしか届かない、【マジシャン】では《魔法拡大/距離》を付与することはできません。

素で届く中で最も強力なものはランク10の【リッチヒール】ですね。射程30mあるから冠があれば拡大無しで届きます。

回復量は「魔力+6」点と固定値なのでジュエリィの場合は35点ですね。回復なので〔異貌〕のダメージが増える効果は乗らない。


マイザール「ボクが魔力を押さえつけるために、毎ラウンド【デスルーテリィ】ってのもきついんですよ」

2倍拡大だと18点消費ですね。しかし30m以内に踏み込むと漏れなく【オーバーブロウ】を食らうことになります。

達成値33だったらマイザールが解除することもできるでしょうが、魔法王はかけ直すだけでしょうね。


バトエルデン「それに、俺は、あの剣を命中させるのが絶対的条件な気がするんだ」

マイザール「そうなると、大司教が攻撃せざるを得ない?」

バトエルデン「《武器習熟》系の戦闘特技をいっさい持っとらんぞ」

マイザール「それは、何とか。ゆんとジュエリィさんとボクとで、【ウェポン・マスター】【ウェポン・マスターU】
       【ウェポン・マスターU】もう一丁、と三重ねすれば《武器の達人》ですよ。何と1ラウンドでいけます」

それをクリアしたとしても、回避力28(35)の魔法王や胸当てに大司教が攻撃を当てるのは無理でしょうね。

素の命中力が15で<ガイスター>で+1、<デクスタリティポーション>で+2しても18ですよ。【ファナティシズム】を入れてようやく20。

能動側が8も負けていると受動側が1ゾロを振るか、能動側が6ゾロを振るかしないと当たらない。パラミス込みでも現実的ではありません。


マイザール「それに、回復がまったくダメになる。無理か」

バトエルデン「これは、退却か

ジュエリィ「立て直しみたいね」

バトエルデン「タンクにして回復役としては忸怩たる思いだ。奢ったとは、思いたくないが、伯爵のHPを把握してなかったのは凡ミスだ」

不幸中の幸いか瞬間移動系の魔法はゆんとズミーヤ以外使えるから逃走手段は豊富。崩壊する迷宮から一瞬で脱出とか散々やってきましたしね。

ここで問題になるのはまたも【オーバーブロウ】によって吹き飛ばされた距離です。大司教の【エスケープ】で全員飛ばそうにも遠いのです。

自分とゆんはいいでしょうけど、30m強離された伯爵やマイザール達には射程30mの【エスケープ】は届かない。《魔法拡大/距離》もない。


マイザール「《魔法拡大/距離》で拾えますけど、ボクは位置的にジュエリィさんとズミーヤも担当ですよね。
       4人×2倍×15、いや、《ティルダンカル光魔再起》やらないと1ゾロで破滅するんで×17。(電卓)136点。ぐはあ

ところが【テレポート】の射程は10mなので、伯爵まで届かせるだけで4倍拡大になるんですよね。

全員に同じだけ積まないと数拡大できないとしたら、更に倍で272点とかになりますね。うん、無理ですね(笑)


バトエルデン「……あ、そういえば【レスキュー】を伯爵にかけてたよな、俺。あれで呼び寄せられるんじゃ……うん、補助動作で可能。
        ああ、さっき使っておけよ。そしたら、伯爵を《かばう》できたし、伯爵も魔法使いながら戦えたじゃないか」

後悔先に立たず、今はできることをやるしかありません。


というわけで3ラウンド目です。今回の呪いはGMが出目11とか出しました。

マイザール「鬼ですね

GM「まだ【デスルーテリィ】効いてる状態だから、34」

大司教の精神抵抗力は【タフパワー】込みで25、+3の魔符があるので出目6以上で抵抗できますね。

すると出目7を出して+2の魔符で済みました。前ラウンドにどちらかでも魔法が欠けていたら抵抗できなかったかもしれませんね。

大司教の場合は半々で呪いで動けなくなるのでマイザールより更に危ないんですよね。まぁ今日のマイザールの出目を見ていると別の意味で怖いんですが。


こうして大司教、(故)伯爵、ゆんの3人は脱出に成功します。移動先は《白峰領》にある方のルーフェリア神殿です。

次はマイザールです。こちらは抵抗に出目9が必要らしい。精神抵抗力は【タフパワー】込みで24のはずなので、<信念のリング>でもつけているのか。

魔符が+2しかないので出目7以上が必要でしたが、案の定出目6で抵抗に失敗。更に1/6の確率を潜り抜けて呪いにかかって主動作不能


マイザール「今日はね、何かひどいんですよ。(コロ)ね?信じられねーよ

確率的には出目6以下は15/36で、その上で1/6となると7%ぐらいですか。本当に何かに憑かれているように裏目引き続けますね。

止むを得ずこのラウンドはジュエリィの【ファイアポート】で距離を取ることにします。次のラウンドは確実に動けるので1ラウンドの辛抱です。

マイザールはミスゴが来る可能性を考えて【バークメイル】Sと<マナコート>の防護点を+2するために【スフィンクスノレッジ】。これで+6です。


続いてジュエリィは魔符を破りつつ呪いに抵抗。自分、マイザール、ズミーヤを【ファイアポート】で視界内1km先まで瞬間移動させます。

GM「すいませんな、視界内1kmという条件は同じなんで、【テレポート】で追いかけますわ。(コロコロ)ばぁ」

マイザール「げげ」

GM「【ヘイスト】チェック。(コロ)なし」

マイザール「あぶあぶ。ここで追い討ち【メテオ・ストライク】とかマジ勘弁」

次のラウンドには《魔法拡大/数》《ティルダンカル光魔再起》で3人も逃亡に成功しました。

魔法王を野放しにするのは怖いけど、幸い彼はこの時代の土地勘がまるでないのでいきなり各国爆撃とかはないはず。

マイザールは《白峰領》には行ったことがないので近場の《赤砂領》に行きます。同じ前線同士交流があったようです。


ということは彼らの合流にはちょっと時間がかかりますね。その間大司教とゆんは伯爵の遺体と気まずく過ごすことになる。

ゆん「ルーフェリア神殿で伯爵の泥を拭ってます。うう……しくしく……」

バトエルデン「プリーストの矜持とか丸投げしてコンジャラーのところに運びこむぞう」

マイザール「【リザレクション】なら、ボクが使えます」

バトエルデン「いやあ、すぐに続いて来なかったということは、きみはダメだったんじゃないかという予感がね

確かにマイザール自身は駄目でしたね。一応【プリザーベイション】はかけておいて合流を待つことにはしますが。


こうして英雄達の久々の戦いは惨敗に終わりました。伯爵は死に、初の敗走ですよ。なかなか衝撃的でしたね。

今までの彼らの戦いを見ていると最後は何とかしてくれると思っていたけど、対処をミスるとあっさりと負けることもあるんですね。

思えばあのパーンだってD&Dリプレイだとあっさり死んでるし、イリーナも死んで話が伸びたりしましたよね。

何があるか分からないからゲームは面白い。この事件によって当初3話構成だったものにリベンジ回を入れて全4話構成になったわけです。


第一・五話「悪夢との決別」

★ミッションは失敗したけど3500点

今回のキャラクターシート

前回のミッションは失敗となるので基本の経験点は500点です。問題は魔物の経験点ですが、相変わらずこれが凄い。

GM「魔物の分が、23レベルサイクロンロースカツが2040点、ドラゴンゾンビが2000点」

23レベルで八部位なら1840点ですね。あと本文でも素でロースカツと書いています。

ミスリルゴーレムは全部位を倒しきれていなかったので計算しません。同様に魔法王のアーティファクトの分も計算しない。


GM「ということで、3540点です」

そこは4540点ですね、本来の経験点では4340点。ミラルゴの時もこんな計算間違いがありましたっけ。

しかし魔物の分が大きすぎて基本経験点の半減が殆ど痛くありませんね。しかも肝心のボスを倒せていなくてこれですし。

もしミスゴ2体を倒せていたら1600点、魔法王を倒せていたら1500点が上乗せされ、もう3000点増えていたわけですか。

ちなみに巻末のデータだと魔法王が23レベルになっていますね。他のスペックは前回と同じだし、ローカスツのコピペミスと思われます。


そして能力値の成長もありますよ。

マイザール「(コロコロ)ぐああああー。知力がー」←一度も上がらない人

ゆん「(コロコロ)やったー、器用度上がったよ、器用度」←ボーナスブレイクの人

このレベルになっても悲喜交々ですね。ボーナスが上がれば嬉しいし、不本意な成長でどうするか悩むのも乙なものです。


あと2回成長があることを考えて経験点を温存するのも手ですね。このペースだとあと8000点ぐらい増えても不思議はないし。

バトエルデン「戦力は勝ってたはずなのになあ。まさかのエース大炎上

マイザール「血風領に【テレポート】で帰って、2万Gぐらい金庫から取ってこようかなあ

ジュエリィ「マルコさんが大変だ」

蘇生自体はマイザールができるので軍資金ですね。こういう堂々としたのも横領になるのか。


マイザール「さあ、金庫を開けろ」

マルコ「やめてください。それは、今月の兵士の給料です」

マイザール「よ・こ・せ・は・な・せ」←もうやめてマイザール、血風領の財政は真っ赤よ!

マルコ「故郷に仕送りしてるヤツもいるんですよ」

そんな殊勝な人が《血風領》にもいるんですね。故郷ではゴロツキ同然でもここでは立派な戦力とかそんな背景がありそう。

これで実はアイヤールに帰化した蛮族の戦士だったりすると和みますね。送金先はもちろんディルフラム(駄目じゃねえか)。


マイザール「心配ない。次帰ってきたときに、預金下ろして補填する

バトエルデン「どこに預金があるんだ」

マイザール「ディルフラム銀行

バトエルデン「蛮族領をATM扱いすんな」

発想が完全に強盗じゃないっすか。でも真面目な話で名誉点を使った借金の踏み倒しまで考えているようです。


しかしGMの方でお金が手に入る予定がシナリオにあることを匂わせているので自重しました。

兵士「よかった、これでおっかさんがコートを買えるよ。よかった。寒い冬にならなくて」

親孝行な息子ですね。マイザールもこんなこと言われてお金を巻き上げるほど鬼では……いや必要ならやるかこの男。


それでは成長申告です。

バトエルデン:生命力53→54

フェルディナント:知力28→29

ゆん:器用度47→48

マイザール:精神力47→48

ジュエリィ:精神力48→49

なんと3人もボーナスがブレイクしましたよ。大司教は生命抵抗力が、マイザールは精神抵抗力が伸びました。

特にマイザールは知力が伸びなくて嘆いていましたが、コボトラの呪いがあることを考えてもいい成長でしたね。

ゆんはいざという時に指輪を割れるようになったのが地味に大きい。伯爵と違ってゆんの命中力は割とタイトですしね。


技能としては伯爵がエンハンサー4→6と一気に上げて練技【デーモンフィンガー】【リカバリィ】を習得。

マイザールはエンハンサー7→8と上げて賦術【マナダウン】を習得。魔法ダメージを軽減できるのは魔法王相手には嬉しい。


マイザール「手持ちに金色カードはないんですが、GMがお金をくれるっぽいのをあてにしてます。
       さもないと、某兵士の母親には寒い冬を過ごしてもらいます

兵士の母親「あのやんちゃが、「次の仕送りでニュイムイシープの毛皮のコートを買うといいよ」
       なんて手紙を寄越すようになったんだよ。あたしゃ、涙が出てきちゃってね」

ニュイムイシープというのはフェイダン地方の固有種で、アシカに似た水棲哺乳類です。2レベルの動物ですね。

倒すと自動で手に入る戦利品に<なめらかな毛と皮>という60ガメルのものがあるので、これを使ったコートがあるんでしょう。


ちなみにこれは<潜水服>という水中でも呼吸できる<非金属鎧>の材料にすることもできたりします。

その場合は一着作るのに5つ必要らしいので、コートにするとなるとやっぱり同じぐらい使うんじゃないでしょうか。

60ガメルはあくまでも売却価格なので購入価格だと120ガメル、それが5つだと600ガメルの価値がある。

他の材料費や職人の工賃なども含めると1000ガメル以上するでしょうね。これは庶民にとっては馬鹿にできない額ですよ。

何しろ<自宅住まいで自炊>でそこそこな暮らしをすると30ガメル以上かかる。一月の生活費以上の贈り物、本当に孝行息子です。


買い物では大司教が<フランベルジュ>を、伯爵は<ガイスター>をそれぞれ<魔法の発動体>にしておきました。

本当なら最初の時点でやっておくべきでしたが、忘れていて前回普通に真語魔法や操霊魔法を使ってしまったのを埋め合わせ。

それに伯爵の<ガイスター>こと<絶神剣>は由来を考えると発動体ではない方が不思議なぐらいらしいので丁度いい。


★グレータードラゴン、アイヤールを飛ぶ

前回大司教達と離れ離れになってしまったマイザールとジュエリィは《白峰領》まで急いで移動することにしました。

マイザール「これは、空飛べる魔物に変身して飛ぶのが一番速いな。何に遭ったことあるかな?」

ジュエリィ「こないだアインベフにあったよ」

GM「ツヴァイベフです」

飛行速度40のグレータードラゴンなら上等ですね。あとは最終決戦で散った桜肉(ペガサス)も同じ速度で飛べますよ。


マイザール「よし、【ポリモルフ】で、グレータードラゴンに変化

ジュエリィ「ワタシもやろう」←12レベルなので使える

GM「何だよ、これ。いいのかよ」

こうしてズミーヤとやっぱり面倒臭かったジュエリィを背中に乗せたマイザールは《白峰領》へ向かって飛びました。

しかし白昼堂々とグレータードラゴンが飛んでると途中で大騒ぎになりそうですね。下手な蛮族よりよっぽど強いわけで。


一方ルーフェリア神殿の大司教ですが、蘇生について思い悩んでいました。

バトエルデン「さて、どうしよう。【コール・ゴッド】で生き返らせるべきか」

マイザールがいつまでも来ないので自力で何とかしようとしていますね。確かにそれなら蘇生もできるでしょうね。

小神でもルーンフォークを記憶つきで蘇生させた実績はあるわけで、蘇生と同時に穢れの除去とかできそうではある。


ちなみに現在の神殿はルーちゃんもぞんざいズも修学旅行で留守なので残念ながら登場はしません。

バトエルデン「留守番は、えーっと、苦労性のおっさんがいましたね」

秋田みやび「うん。えーっと、ガ……ガ……」

GM「ガ某さん?」

忘れてますね、ガアラですよね。まぁ影の薄い人ではありましたが。


そうこうしていると留守番をしていたガアラがやってきます。

ガアラ「これは、本国の大司教様!これは、どういうことですか?」

バトエルデン「ああ、【エスケープ】がちゃんとかかるかどうか、試してみたんだ」

ガアラ「いや、もっと悲惨な状況のような……」

そういえば死体でもちゃんと【エスケープ】ってかかるんですね。【レスキュー】もかかっていましたね。

それぞれ対象は「1体#」や「1体○」ですが、死んでいてもキャラクター扱いでも良いという裁定のようです。

それと抵抗は「なし」なので本人の同意がないとかかりませんが、これも結局は状況次第で死体でもかかるのかも。

難しいところですが死にたてで蘇生の可能性もありますしね。その可能性すらない状態だと流石にキャラクター扱いではないかも。


しかしまずい所を見られました。人の口に戸は立てられない。

ガアラ「このお方は、ひょっとして、け、け、血風領の……」

バトエルデン「いや、違う。お前は何も見なかった。いいな、わかるな」

ガアラ「え、でも」

バトエルデン「お前、これが世間に知れたらどういうことになるか、わかってんの?神職剥奪されたいの?

ガアラ「えー、どうしたらいいんでしょう?は!?もしかして、殺っちゃったんですか?

バトエルデン「殺ってねーよ。ちょっと大怪我してるだけだ。伯爵は我慢強く、息を長く止めているだけだ」←無理です

普段はあれほど空気を読んでお勤めをしているガアラですらこの狼狽ぶり。今更ながら本当に大変な事態だったんですね。

伯爵の死が公になればすぐに噂になるし、ディルフラムを勢いづかせたり、ルーフェリアとアイヤールの国際問題になるかもしれない。

そうなるとその辺の操霊術師に蘇生を依頼するわけにはいきません。身内のマイザールが医療行為に見せかけてやるのが最善か。


バトエルデン「いいから、人目を避けられる部屋でも用意せんか。
        いつまでもぐずぐず言ってるんじゃない。【クエスト】かけられて、地の果てまで左遷されたいか

ゆん「パワハラだー」

そうこうしているとマイザールなグレータードラゴンが飛来。ゆんの時のように大騒ぎになりました。

「弓兵隊、構え」「あれはルーフェリア神殿の私物だ」と軽くギャグで流していますが、これで確実に住人に注目されましたね。

それはともかく《ティルダンカル光魔再起》つきで【リザレクション】をかけてあっさりと伯爵蘇生。穢れは1点のみで他に影響なし。

この穢れは【イレイス・ブランデッド】で消せますが、伯爵は己への戒めとして残しておきます。事件が解決したら禊を終えたとして漂白する。


フェルディナント「今、キルヒア様にすごい怒られてきた」

バトエルデン「ふむ」

フェルディナント「短絡的な暴力は、お前が最高神官だから見逃してやってるのに、それで負けるとは何事だ

GM「ええ――――っ!?」

マイザール「それでいいんだ」

GM「え?え?それ、俺の知ってるキルヒア様と絶対違う(笑)」

どこのヤク○の親分だ、ていうかそれキル・ヒアー様でしょう。どっちかというとファイブリアにいそうな神様になってきました。


まぁそれは冗談として、魔法王と再戦するために体勢を立て直さないといけません。具体的には金が欲しい。

マイザール「ここは、どこでしたっけ?」

バトエルデン「何を今さら、白峰領のルーフェリア神殿だよ」

マイザール「はっはーん。これでお金の問題は解決ですね」

バトエルデン「は?」

マイザール「少しぐらい名誉点に余裕あるでしょ、ちょっとここの金庫をつついてくださいよ

バトエルデン「ないわー」

実際魔符が足りずに吹っ飛ばされたりもしてましたしね。GMの忠告は思っていたよりも重いものでしたね。


ガアラ「あの、お取り込み、終わりましたか?」

バトエルデン「うむ。ところで、お前、へそくりどのくらいある?

ガアラ「え?」

ゆん「パワハラその2」

GM「というか、強要だよね」

恐喝というか、カツアゲっぽいような。名誉点を崩して借金を踏み倒すよりタチが悪い、何しろ借りる形式ですらない(笑)

ただお金については成長申告の時のGMの言葉を信用するなら調達するイベントがありそうなので、それほど深刻に考えなくていいでしょう。


そうこうしていると《白峰領》領主のダンフォースが駆け込んできます。ぞんざいの最終決戦の時依頼の登場ですね。

ゆん「わーい、もふもふー、もふもふー」

ダンフォース「今はそのようなことに興じておられる場合ではござらんのではありませぬか?緊急ホットラインが皇城領から来たんですけど?

どうやらガアラがこっそり持っていた<通話のピアス>でルーちゃんに報告し、そこから更に《皇城領》の女帝に伝わったらしい。

こういう世界の情報は精々早馬の速度で広まると言うけれど、マジックアイテムがあれば現代の情報機器と大差ない速度で伝わるものですね。


バトエルデン「ふ、そうか。キミ、エイギアがいい?それともレンドリフトプロセルシアとかもあるよ?
        ああ、いっそ、新大陸発見の旅に出るとかどうだろう?」

どれも別の地方じゃないですか。小神の神聖魔法にペナルティがかかるレベルで離れていますね。ソラより重い追放刑ですね。

ちなみにエイギア地方はテラスティア大陸ですらなく、ザルツ地方のダーレスブルグ公国から北に渡ったレーゼルドーン大陸の最南端にあたります。

「ザルツ博物誌」でちょっとだけ触れられていますが、未だ蛮族が多く住み、人族が入植や開拓に勤しんでいるある意味ホットな地方です。

レンドリフト地方は例のユーレリア地方の西にある大陸最西端の地方ですね。人族と蛮族が共存するレンドリフト帝国が侵略の手を広げています。

プロセルシア地方は大陸の最東端から更に沖に出た列島で、所謂イーストエンド的な地理関係にある。北沢先生の小説やベーテ先生のリプレイの舞台でもある。


また揃いも揃っていい感じに不安を煽る地方ですね。同時に冒険者的には面白そうですが、あと宣教師とかにも(笑)

ダンフォース「ガアラ殿を責めないでいただきたい。確か、冒険者に号令をかけたりもしましたよね、あなたがた」

フェルディナント「そう言えば、そういうことやったな」

ダンフォース「そういうもろもろが重なって、結局、女帝の知るところとなったらしく、
        「超大急ぎで来られるなら、来てほしい」と伝えろと、私めに下命がありました」

何だか面倒臭そうですが、これは同時に国に予算を出させるチャンスでもある。GMの言っていたのはこれですね。

そうと決まれば早速マイザールの【テレポート】で《皇城領》まで飛びます。流石に行ったことはあったらしい。


★女帝、苦労してます

城の門前まで【テレポート】した一行はすぐに謁見の間に通されました。

セラフィナ「何が起こっているのか、聞かせてもらえるか?」

フェルディナント「端的に答えるなら、世界の危機です

普通なら突拍子もないけど、この面子が揃っていると信憑性が高くなりますね。

「滅びのサーペント」の事件はセラフィナが女帝になる7年前の出来事でしたが、彼女だって事情は知っているでしょう。

セラフィナからしたら伯爵は自分が少女時代には既に英雄だった人なんですよね。それが今は身分の上では自分が上です。


フェルディナント「だが、口惜しいことに、一度不覚を取った」

セラフィナ「不覚を取るのは、人にはままあること。それは責められない」

バトエルデン「大事な魔剣を落としたとか

セラフィナ「それ、誰に聞いた?」

バトエルデン「「ぷれいやあ」と名乗る人物に」

これは「from USA」であった事件ですね。うっかり魔剣を落としたドジっこ女帝が拝める稀有なリプレイです(笑)


セラフィナ「まあよい。恥ずかしいのは、倒れることではなく、倒れた後立ち上がらないことだ

現在セラフィナは2つの事情から自ら動くことはできず、まして国を挙げて動くことができない状態にあります。

1つは「from USA」であったリオスとの外交問題です。元々両国の関係は微妙でしたが、今は慎重さが必要な様子です。


もう1つは「新米女神の勇者たちリターンズ」にあった女帝の暗殺計画。

セラフィナ「その事件に関しては、信頼のおける別の冒険者たちが解決に向けて奔走、奮闘中……のような、そうでないような」

何だかこんな風に別のシリーズの事件が原因で国や組織が動けない状況って、"バブリーズ"の魔術師ギルドを思い出します。

ミルリーフ事件とアトン事件が原因で偉い人達がてんてこ舞いな状況。あっちは逆に10レベルパーティがその原因でしたね。


もちろんそれなりの援助はしてくれますがね。

フェルディナント「謹んでうけたまわった」

バトエルデン「うむ、任せてもらおう。あ、一応ね、俺は立場対等なんだからね。伯爵は臣下だけどさ」

マイザール「そうですね、対等ですね」

GM「アメリカと日本が対等というぐらい、対等だね

バトエルデン「対等な独立国どうしですよ。はっはっはっ」

そういえばアーメス事件ではこの2人は対等っぽく話し合っていましたっけ。名目上でもそう振る舞えるんだから大司教も偉い人ではある。

ぞんざいズの初期の頃は国交があるか怪しい印象だったけど、ルーフェリアは鎖国してたわけではないし交流があっても不思議はない。

それに大司教は「大破局」以前の大アイヤール帝国があった頃を知っていますしね。何だかんだでアイヤールとの付き合いは長そう。


援助としては1人あたり1万5000ガメル、あと【トランスファー・マナポイント】によるMP回復。

マイザール「1万5000か。それだけあれば、何とかなるかな」

バトエルデン「MP回復はありがたい」

ゆん「おばちゃん、ありがとうー」←おいばかやめろ

セラフィナ「!」

フェルディナント「おいい、ゆん〜」

おばちゃんってあんた、多分セラフィナの方が年下なのに(笑)


セラフィナ「河海は細流を厭わず。河海は細流を厭わず。河海は細流を厭わず。3回唱えて心落ち着かねば、もう3回」

マイザール「これは見事なセルフコントロール」

器の大きなものは選り好みせず色々なものを受け入れるという、皇帝の心構えのようなものでしょうか。


MP回復があるなら【ジハド】みたいに消費MPが大きい魔法をかけておくのもいいですね。

フェルディナント「半径500m内の信徒にも波及してしまうが」

マイザール「キル・ヒアーなんて信仰してるの一人だけですよ」

GM「キルヒア信徒も、本来なら「戦士系技能?いらんす」って人多いと思うんだよな」

フェルディナント「損はないからかかっとけばいいのに」

任意の戦士系技能が選べるのでシューター技能とかでもいいんですけどね。戦闘特技が増えたりはしないけど。


セラフィナ「ところで、それと関係があるのかはわからぬが、"闘神"よ」

フェルディナント「何か気になることが、おありか?」

セラフィナ「鎮森領モートンの領主……」

トレーシーのお父さんですね。伯爵がいつまでも彼女を返すでも嫁にするでもない態度なのが問題になってましたね。

それがついに痺れを切らしたのか「もう紛争にしちゃっていいですか?」という書状を送ってきたそうです。


セラフィナ「書状は書き出しは平穏だ。だが、書き進むにつれて、感情が噴出してきたようで、途中からは愚痴と悪口のオンパレードだ」

書いている内に鬱憤が噴出してくるのは分かる。それで筆が滑ることもあるでしょう、人間だもの。

そうして何かを捌け口にすることは悪いことではない。でもそれを握り潰さずに本当に送ってしまうのは只事ではありません。


セラフィナ「そして、これは、あくまで私の持つ印象に過ぎないのだが、このアイヤール、いや、フェイダンでというべきか、事件が起きすぎる

マイザール「それは、表に決して出ることのない神、オトナノツゴウのせいですよ

セラフィナ「そんな神は知らん」

テラスティア大陸では今のところフェイダン地方とザルツ地方を扱った作品が多く、必然と事件も起きちゃいますからね。

アレクラスト大陸でいうオランとかオーファンとか、その辺のスポットがよく当たる土地柄といいますか。


★ゆん・ゆん・すぽーん

セラフィナからお金を貰って買い物を済ませた一行は魔法王との再戦に臨みます。現在一勝一敗、次勝てば結果オーライ。

マイザール「事が終わったら、いろいろ上書きしましょうね」

ゆん「上書き?」

マイザール「名誉点を持ち寄って、盛大に詩歌を作ってもらうんですよ。我々の栄光を称えるものを。最高級の詩人に作ってもらいます」

バトエルデン「その詩歌の中では、我々は、負けたことなどないことになっているんだな」

それを広めてしまえばそれこそが世間一般での真実ですからね。事の真相なんて調べようがありませんからね、多分。

特に伯爵の戦死は国防上絶対に知られてはいけません。ディルフラムに対する抑止力としてこれからも頑張っていかないといけませんから。


フェルディナント「ということは、真実を知るズミーヤは生かしておけないことになるな」

ズミーヤ「え?」

マイザール「ま、終わってから考えましょう」

ちなみに<詩歌>はその長さに応じて種類があり、<短詩><バラード><エピック>と後者になるほど長く、作成には多くの名誉点がかかります。

<エピック>だと名誉点200点で数十分〜数時間の叙事詩になります。今回の事件はそれぐらい長大な物語になっても不思議はないでしょう。

しかもこういった作品は作家の質によって必要な名誉点も変動します。一流作家に手がけてもらう場合は5倍を要するので1000点ですね。

5人なので1人あたり200点ほど出せばいいでしょう。それで今回の事件は世界を脅かす魔法王と正々堂々戦い勝利した偉大な英雄譚となるのです。


そうと決まれば早速現在の魔法王の居場所を調べます。一行はカイン・ガラに【テレポート】し、<スーアグルーグの水晶眼>をまた借ります。

ジュエリィ「ただいまー。ハル・クード君。また、いろんなもの貸してね」

ハル・クード「まあ、やむをえんか。返してね」

ジュエリィ「うん返す返す。大丈夫。多分。売らない、売らない

ハル・クード「「売らない」ってどういうこと?わざわざ口に出すようなこと?」

ジュエリィ「ちょっとお金に困ってるからね」

ハル・クード「不安を煽るの、キミの悪い癖だと思う

マイザールがヤバすぎて隠れがちだけど、ジュエリィもなかなかですね。実力者に相応の振る舞いをやりたがらないタイプ。


一方伯爵は学食で腹ごしらえをしていました。こっちもこっちで自分の身分を考えろと(笑)

マイザール「あれが、学術の都に来た、キルヒアの15レベル神官の姿とは

学生「なあ、あの人、ひょっとして……」

学生「やっぱそうかなあ」

学生「でも、あんな有名人がこんなとこで食べるかなあ?」

ゆん「ゆんは、気にしないで食べてるよ」←お前もか

こうなるとマイザールはプライベートがヤバすぎるだけで意外と場を弁えますね。そっちの方がより厄介なタイプという気もしますが。

そして大司教は自分の騎獣に桜花とかいう名前をつけたり、1ヶ月国を放ったらかしにしたり、ロリ神のお守りをしてると。まともな15レベルはいないのか。


マイザール「では、<水晶眼>で捜しますか。ん?待てよ。これ、【カウンター・センス】で感づかれます?」

GM「感づかれるだろうね」

それでは魔法王に気付かれた瞬間【テレポート】で攻め込まれると考え、逆にこっちから全員で【テレポート】で襲撃することにしました。

ところが以前も話題に上がったように【テレポート】は場所が特定できるだけでは使えません。例え見えていても1kmを越える場所にも飛べない。

今回についてはこれで進められるので、事前に3分以上持続する魔法等の準備をしてから<水晶眼>で候補地を当たり、見つけ次第瞬間移動することにします。

候補地として挙げられるのは「最初の遭遇地点」「最後に逃げた場所」「石像のあった場所3つ」「一番近くの集落」の6ヶ所です。


これだけあたって見つからなかったら<水晶眼>で虱潰しにするのも無理がありそうですね。地方全体を調べていたら何年かかるんだ。

マイザール「ゆんさん」

ゆん「何?」

マイザール「《両手利き》《二刀流》《双撃》のセットは欲しくありませんか?」

ゆん「欲しい。欲しい欲しい」

これもまた【アナザーフォーム】で得られる特殊能力です。以前マイザールはダルグブーリーの姿になって《影渡り》を使っていましたね。

これらの能力が得られるのはスポーンの姿です。ロードス島の「魔神戦争」でお馴染みのやつですね、雑兵のくせにいいもの持ってます。

でもこれを得られるならゆんの手数は更に多くなる。《追加攻撃》込みで3回攻撃、《ファストアクション》で6回攻撃。その上練技の攻撃もある。


ところがこれは召異魔法にありがちな犯罪魔法です。誰かに見られるわけにはいかないわけですが……。

マイザール「では、ハル・クード評議長にお願いです。我々がこれから挑むのは非常に危険な敵、かつて魔剣<滅びのサーペント>を鍛えた魔法王です。
       仮にその魔力が逆流してきた場合のことを考えると万全の備えをしておくべきだと思います

そういうもっともらしい名目で頑丈な密室の提供と人払いを依頼します。建物からも完全に人を追い出して召異魔法使い放題の環境を作るのです。


相手が相手だけに万全の備えという言葉自体に偽りはないし、安全をうたわれると評議長としては反対する理由はないわけで。

ハル・クード「心得た。場所は用意しよう。ちょうど魔法実験室用の部屋が一つ空いている」

でもこれって【テレポート】が通用するような部屋だったらあまり意味がありませんよね。何かあっても精々10秒の時間稼ぎが精一杯。

もし【テレポート】で出入りできないような部屋だったらこっちからも瞬間移動できないし、事前に人を避難させる方が重要な備えだと思います。


マイザール「よーし、【アナザーフォーム】をゆんにかけちゃうぞー」

ゆん「お、変身した」

フェルディナント「お前はもはや、ゆん・ゆん・ぽむではない。ゆん・ゆん・すぽーんだ」

ゆん「おー。すぽーんすぽーん」

マイザール「楽しんでもらえて何よりです」

魔物データなので正確には《2回攻撃&双撃》を習得しました。効果としては《両手利き》《二刀流》《双撃》のセットと同じですけどね。

スポーンの姿は「魔神戦争」の時と同様に色々なものがありますが、魔神を模しているものが代表的なのでやっぱりそういう姿なんでしょうね。


マイザール「さて、大司教」

バトエルデン「アルマジロにはならねえぞ

これも【アナザーフォーム】の一種で魔神アルガギスの姿に変身し、《丸まる》という特殊能力を手に入れます。

これによって防護点+3、移動力+15、追加ダメージ−3です。アルガギスはこれを活かして味方を《かばう》タイプの魔神なのです。

その姿はやはりアルマジロのようで、丸まって体当たりをかましてきます。大司教にとっては非常に役に立つ能力なわけです。


しかし聖職者として受け入れるわけにはいかないジレンマ。

バトエルデン「うぉー欲しいー。いや、やめろ。それは悪魔の囁き」

マイザール「どうです?さ、ここにサインするだけ」

バトエルデン「断る。さすがに、"湖の大司教"の二つ名を背負ってそれはできん」

マイザール「背中に甲羅背負って河童になるだけですよ。お似合いですよ」

バトエルデン「なるほど……違うだろ。ええい、父と子と精霊の名において、悪魔よ去れ」←別の宗教じゃないっすか

マイザール「気が変わったらいつでも言ってくださいね」

というわけでアルマジロになるのは抵抗しました。自由人のゆんと違って色々背負うものがあるし、仕方ないでしょうね。


ここで一行はかつてない量の準備を行います。あまりにも多すぎてリストアップされています。


大司教の【フィールド・プロテクションU】【ウォーター・シェル】とマイザールの【プロテクションV】で全員防護点+6かつ魔法ダメージ−11

更に伯爵は自分に【バークメイル】SSを、マイザールはそれ以外にSを入れて防護点を更に+8/+4にして前回とは比べ物にならないほど硬くなります。

当然の如く大司教の【タフパワー】で生命・精神抵抗力+2、ジュエリィの【バーチャルタフネスU】でHP+41点と輪環との戦いの本気で硬くしています。

ここではHP+45点となっていて、【ブレスU】も入れているので全員HP+51点です。


これで伯爵は防護点が+14で【ビートルスキン】も入れれば防護点+16、防護点24程度にはなっていて前の戦いとは比べ物になりません。

大司教は自分に【ウェポン・マスター】で《武器習熟A/ソード》を付与しているので<ディフェンダー>も使えるようにしています。

これによって防護点は<銀鱗の煌盾>で22、<スチールハート>で24、そこに支援魔法と<ビートルスキン>を入れると+12で34/36にもなる。

《かばうV》発動時は防護点36/38になって最早物理ダメージは殆ど通りませんね。もし賦術をSSで使っていたら40/42と輪環との戦いを越えますよ。

あとは魔法ダメージも<インペリアル>を着る大司教や《マナ耐性》のあるジュエリィなら16点もカット。<銀鱗の煌盾>かつ《かばうV》なら19点もカット。


【ブレスU】も入れているし、魔法使い3人には【スペル・エンハンス】も入れて魔力+2。後衛2人には【ウェポン・マスターU】で《武器習熟S/スタッフ》も付与。

これによって<ソーサラースタッフ>も使えるので《行使判定》の基準値は+4されますね。マイザールとジュエリィは《行使判定》の基準値33程度で魔法をかけられます。

ゆんの【マジシャン】によって大司教には《MP軽減/プリースト》を、マイザールには《MP軽減/ソーサラー》も入れてます。

更にマイザールは自分に【マジシャン】で《魔法制御》を付与しておきます。これでコストを最低限に抑えて範囲魔法をぶち込めますね。


攻撃面では伯爵が自分に【ジハド】と【ヴォーパルウェポン】SSを、更にマイザールの【ソニック・ウェポン】【ファナティシズム】で徹底強化。

これで【マッスルベアー】しながら《魔力撃》すれば命中力36で威力80+60なのであの殆ど避けられない伯爵が帰ってきた感じです。

【ソニック・ウェポン】と【ヴォーパルウェポン】Sはゆんにも入れて《鎧貫き》は更に凶悪に。【ドラゴンテイル】と【フェンリルバイト】は最終段階直前。

安全策として大司教は伯爵に【レスキュー】を、ジュエリィは<絶神剣>に【アポート】の印を刻んで回収可能にしておきます。

ゆんは戦闘中にかける余裕のない【ブリンク】を予めかけておいて、《先制判定》に+2のボーナスが入る【ジィプロフェシィ】も入れておきます。


魔法は以上のようで、それに加えて大司教は<熱狂の酒>を飲んでおきます。これで1度だけHPへのダメージをMPで肩代わりできます。

通常これは24時間に1度しか服用できず、それを破ると即座に昏倒するのですが、《不屈》があればこのペナルティを無視できます。

しかもポーションの一種なので《ポーションマスター》で補助動作で飲むことができる。いざという時の保険に使えますね。

あとマイザールは<覚悟の粉薬>を飲んでおきます。これでHPを削ってMPに代用できます。ただし倍の数値が現在値どころか最大値からも引かれる。


これで準備は万全ですね。輪環の時ですらここまではやらなかったのに、余程敗戦が堪えた様子。

マイザール「ところで、最終確認ですが、本当に防護点+3と移動力+15はいりませんか?」

バトエルデン「む、むう」

マイザール「さあ、10秒で決めてください」

バトエルデン「……今は、なりふりかまっておれんな」

ゆん「ああ、エルフさんのお姿が〜」←お前が言うな

このまま人目がなかったら決行していたかもしれませんが、ハル・クードが責任者として残っていたので話が違っておきます。

ゆんならまあ事情が事情だけに分かってくれるでしょう。この人だって魔術師だし、召異魔法がどういうものなのか分かっているでしょう。


しかしそれはこの情報を利用することもできるということです。

バトエルデン「ゆんはともかく、俺は、さすがにまずいかも」

ハル・クード「いやあ、いい外交カードがもらえそうな気配だ

ジュエリィ「やったねハル・クード君。ルーフェリアとの交渉が捗るよ」

バトエルデン「やめとく。ルーフェリアの最高司祭は魔神だった!とか、万一にでもそんな噂になったら内乱誘発ものだ」

マイザール「もう、覚悟ができてない。おめえ、そんなんでどうすんだよ。ビシっとしとよビシっと。ああ?

バトエルデン「いきなりなんでそんなヤバい目つきになってんだよ」

<覚悟の粉薬>でガンギマリ状態なのです。ていうかそんなに危険なものなのか。


結局大司教の変身はなしです。準備にはゲーム内時間で1分(6ラウンド)程度をかけています。実時間で1時間弱ですが。

ここからは更に細かい支援を重ねつつ<水晶眼>を操作していきます。上手く見つからないと伯爵のSSカード2枚が無駄になる。

まずマイザールが全員に【ヘイスト】を、ゆんは自分に【シャドウボディ】をかけます。大司教はスカイバイクに伯爵と【タンデム】です。


バトエルデン「向こうでは使ったら即スフィアに再収納するんで落馬するけど、いいか?」

フェルディナント「俺様、<軽業のブーツ>なんでまったく気にしないな」

バトエルデン「何だ、完璧なコンボじゃないか」

今回は桜花ではないんですね。ただ移動する足に使うだけなら移動力50あれば上等です。


その直後にマイザールは最後に逃げた場所を<水晶眼>で調べてハズレ。続いて<ヘイスト>が発動して最初に遭遇した場所を見ます。

マイザール「カカカカ、目にも留まらぬマウスクリック」

すると魔法王の姿がありました。ミスゴ2体を完全に修復し、現在は杖を修復中。ドラゾンは失われたままらしい。

しかしこのタイミングで飛び込めば篭手と杖は使えないものになります。他のアーティファクトは完全に修復されていますが。

ただ魔法生物のHPを回復するだけなら操霊魔法でいけますが、破壊されたものまで修復してしまうとは流石は魔法王です。

魔法生物の中でも魔動機を復活させるアイテムなら「ルミエルレガシィ」で<レストアキット>というのが出ましたが。


★1ラウンド表―英雄達の本領発揮

魔法王に【カウンター・センス】で気付かれたところから《先制判定》です。

バトエルデン「こんな超長距離間で先制判定とか。初めての経験だ」

マイザールとジュエリィは例の如く【イニシアティブブースト】SSランクで強引にもぎ取り、ゆんは自力で取りました。

伯爵は財布的に厳しいので普通に振って負けて《ファストアクション》は発動せず。大司教は無駄に6ゾロとか振って取りました。


まず動くのはマイザールです。【ブリンク】【デモンズタックス】と各種練技を入れます。今回パラミスは届かない。

GM「その辺は、かけてなかったのか」

マイザール「ボクは、ゆんと違って、まず移動不要な立ち回りしますからね」

そして主動作で《魔法拡大/数》《ティルダンカル光魔再起》で【テレポート】を全員にかけて魔法王のいる場所に移動します。

この場合全員同じ座標になるので魔法王から32m離れた場所にします。制限移動すれば30mの距離に踏み込める位置取りです。

ヘイストチェックは失敗。その上《ファストアクション》を忘れていたので手番終了です。SSカードが全くの無駄になりましたね。


次はジュエリィです。制限移動で3m後退して35mの距離をとりますが、花冠のお陰で射程30mの魔法なら届きます。

そして敵全部を巻き込んでの【ファイアストーム】です。魔力が跳ね上がっているので達成値39を出して魔法王本体以外は抵抗を抜きました。

〔異貌〕状態なら素で基準値が29ですね。【ブレスU】【スペルエンハンス】で+2、<ソーサラースタッフ>装備なら更に+2で33にもなる。

もしダメージ重視で<マナスタッフ>の方でも32なので期待値で出る達成値ですね。基準値ではアーティファクトですら負けています。


41−123、45−119、46−142、43−145(ミスゴA:上半身/上半身/下半身/下半身)

44−120、43−121、43−145、45−143(ミスゴB:上半身/上半身/下半身/下半身)

クリティカル耐性があるせいで出目が良くても回らないのがもどかしい。威力40にしては上等なダメージではありますが。


続いて魔法王の兜には上手いことクリティカルして56点、《消魔の守護》で−10して残り104点。次は胸当てですが。

ジュエリィ「あ、《クリティカルキャスト》の宣言忘れてた。ああ、もう。9振って45点」

威力40の出目9は11点なので追加ダメージが34点になっていますね。31までは分かりますが、残り3はどうしたのか謎です。

これで《消魔の守護》で−10して35点抜けて、胸当ては残り165点。続いて円盤は出目が振るわず38点だったので残り122点。

それと今更ながらデータ上は胸当てのHPが300に増えていますね。でも今後の展開を見るに200のままだと思われます。


そして本体ですが、抵抗したので41→22→11→1でやっぱり1点ダメージ。

魔法王「ふっ。それ、もしかして魔法?」

マイザール「こいつめ」

ジュエリィ「割と周りはぼうぼう燃えてるよーだ」

そして《ファストアクション》で2回目の焼きを入れるついでに《クリティカルキャスト》を宣言します。


ここでGMからの宣言特技のガイダンスが入りました。「イグニスブレイズ」や公式サイトには載っていないので参考にしたいものです。

1.有利な効果を遡って適用しない

2.不利な効果を受けずに行動した後では宣言できない

3.命中力判定や行使判定から、ダメージ決定などに至る一連の流れの中に差し込んでは宣言できない

1は1回目の【ファイアストーム】の結果に後から適用してはいけないということですね。今回は結果が確定しているので問題なし。

2は例えるなら《ディフェンススタンス》のペナルティを受けずに行動してから宣言することはできないというわけです。

しかし《クリティカルキャスト》にはペナルティはないので今回の場合は問題なし。こういう特技はとりあえず宣言しといて損はなくていいですね。

3は伯爵やゆんの方が身近な問題でしょう。敵に命中したのを確認してから《魔力撃》、外れたらペナルティ回避で宣言しないというのはNGというわけです。


その2回目の【ファイアストーム】はまたも達成値39で魔法王本体以外抵抗を抜きました。

44−79、45−74、45−97、47−98(ミスゴA:上半身/上半身/下半身/下半身)

0−120、44−77、40−105、40−103(ミスゴB:上半身/上半身/下半身/下半身)

1ヶ所1ゾロでしたね。ミスゴでなければ3ヶ所クリティカルしていたそうなので、45点以上出すケースがそれに当たるようです。

魔法王のアーティファクトへのダメージは全部43だったので適用ダメージは33点でした。残りHPは兜は71、胸当ては132、円盤は89です。


魔法王本体にも43ですが、抵抗したので43→22→11→1とさっきと同じ結果でした。

魔法王「それぇ、もしかしてぇ、魔法ぅ?」

ジュエリィ「周りジュウジュウ言ってるやろー」

ヘイストチェックは残念ながら失敗でした。でもこのペースなら次のラウンドにマイザールと魔法を連発すればミスゴは一掃できそう。


次は大司教です。伯爵と【タンデム】して魔法王まで一直線です。移動力50のスカイバイクなら32mも走破可能。

バトエルデン「伯爵をケツに乗せ<スカイバイク>で前進。手には<ディフェンダー>と書いたバット持って。パラリラパラリラ

GM「柄悪ーう」

ジュエリィ「世紀末の臭いがする」

マイザール「あれこそは、血風領で突撃する正騎士の姿ですよ

移動したら《かばうV》を宣言しつつスカイバイクから降りて<魔動バイク収納スフィア>に収納。これ全部補助動作でできますね。

伯爵は転げ落ちます。この場合「直前に移動した距離の20分の1」の高さから落ちたことになります。最低でも2m扱いですが。

この場合は端数切り上げで結局2mなので落下ダメージ6点ですが、受身を取って無傷な上に<軽業のブーツ>で即座に起き上がってペナルティ無し。


通常は同乗者が騎獣から降りるには主動作を使うわけですが、こうすれば補助動作で降りることができるんですね。

<魔動バイク収納スフィア>だからいいけど、生物系の騎獣の場合は<騎獣縮小の札>が騎手の主動作を使ってしまいます。

しかしそれすらも「ルミエルレガシィ」の改訂ルールでは<騎獣縮小の札>を補助動作で貼れるようになったため可能になりました。


それから大司教は<栄冠の軍師徽章>で【強靭なる丈陣V:心清】によって精神抵抗力+2、【タフパワー】と合わせて+4です。

でも大司教が習得している鼓咆って【強靭なる丈陣V:整身】だったはずなんですよね。実はこっちだったんだろうか。

続いて【ビートルスキン】等の練技を入れつつ、胸当てにパラミスS。《ポーションマスター》で<アンチマジックポーション>です。


これでまたも主動作が余ってしまいましたね。

GM「またかよ。あれ?」

バトエルデン「コボルドの呪い、忘れてません?

GM「忘れてたわ。今からでもチェックして。先の2人はもういいや」

呪いの達成値は36とまた高くて大司教は抵抗に失敗、1/2の確率も潜り抜けてやっぱり失敗して主動作不能になりました。


バトエルデン「次ラウンドの主動作が担保されたんで、ある意味これがベスト。うん、何かデジャブ」

GM「そうっすね」

バトエルデン「いや、いかん。【ホーリー・ブレッシング】忘れてた

一応【バーチャルタフネスU】もあるし、滅多なことでは1ラウンドでは落ちないはず。ダメージは相当でしょうが。


次は伯爵です。呪いには+3の魔符を破って抵抗し、各種練技と念願の【プレコグ】も入れて《魔力撃》《薙ぎ払いU》です。

今回は【デーモンフィンガー】と【ターゲットサイト】まで入れているので命中力39ですよ。【プレコグ】で1D+44です。

これを魔法王の4つの部位と一番弱っているミスゴの下半身を対象とし、達成値46という驚異的な数値で襲い掛かりました。


当然の如くミスゴには命中。回避力22(29)でどうしろと。

GM「魔法王の回避力判定をしますよ。兜(コロコロ)3足りない、胸当て(コロコロ)2足りない、円盤(コロコロ)3足りない。本体(コロコロ)2足りない」

バトエルデン「結構ギリギリじゃないか」

ジュエリィ「いや、今の、出目9で3足りないとか、10で2足りないとか言ってましたよ」

マイザール「それ、6ゾロに足りない数言ってたんですか

GM「達成値勝負になるわけねーよ、こんなの」

ゆん「あれが純粋に数字の戦いだったら、ゆんは一個も当たらないよ

だって魔法王の中で一番高い回避力は30(37)とかですよ。仮に【プレコグ】使わないで出目3でも42では6ゾロ振らないと避けられない。


そして肝心のダメージです。まずは【クリティカルレイ】を発生させる部位として胸当てを選びました。これが2回りして97点とか出しました。

適用ダメージ72点で残り60点。ミスゴには65点だったので35点抜けて、この部位は残り62点ほどと思われます。

兜には68点で48点抜けて残り23点。円盤には74点で59点抜けて残り30点。本体には《万全の守り》が効いて18点だけ抜けました。


魔法王「ぬわああ、身体が、身体が崩れる。またか、その魔剣の効果か」

しかもヘイストチェックに成功して《ファストアクション》を補えました。同じ部位にまたも47で攻撃して全く避けられません。

今度はミスゴに72点で42点抜けて残り20点。胸当てには58点で33点抜けて残り27点。兜と円盤は壊れた

そして本体へは61点でしたが、《万全の守り》と防護点で19点抜け。やはり胸当てを壊さないことにはなかなか抜けませんね。

あとダメージが少ないですね。《魔力撃》込みの追加ダメージが43で、そこに【ヴォーパルウェポン】SSで+8、【ジハド】で+3ですよ。

更に【マッスルベアー】【ソニックウェポン】【ブレスU】で各+2ずつされるとしたら、追加ダメージだけで60は行っている筈ですが。


フェルディナント「お前には不覚を取らされたが、残念だったな。
          俺様を止めたければ、頭を潰し、心臓を潰し、残った体を灰になるまで焼いて吹き散らすことだ

魔法王「わかった。今度はそうしてくれるわ」

ルール上は頭部と脊髄さえ破壊すればいいようですが、それでも小神の【コール・ゴッド】で復活できそう。


最後はゆんです。呪いには抵抗できなかったけど1/6を潜り抜けて主動作が可能になり、例によって大量に練技を使います。

バトエルデン「呪文が始まった」

ジュエリィ「わかるけどわからない」

ゆん「……と練技を使って、魔晶石を10個割りました」

全部3点だとしても3000ガメルの出費です。何だかラーメン屋のオーダーみたいですね、「ヤサイマシマシアブラマシマシカラメニンニク」的な。


そして【クリティカルレイ】Sを入れつつ、移動力の半分でゆっくりと32m前進して胸当てに《魔力撃》《鎧貫き》です。

達成値は35でパラミス効果で命中。上手いこと回って59点素通しで胸当ても壊れた。これで魔法王のアーティファクトは全滅です。


これでもまだ《追加攻撃》《2回攻撃》《ファストアクション》で5回も殴れるんですよね。練技も入れると7回。

バトエルデン「グラスランナーにボコられる魔法王か」

マイザール「いえ、今の姿はスポーンです」

魔法王「その魔法は犯罪なんだぞう」

マイザール「魔法王の時代も犯罪だったんですか?」

魔法王「……そんな余の知らぬ魔法は認めない

マイザール「なら、自分のアナクロニズムを呪いながら滅びてください」

ところが《2回攻撃》の2回目と《追加攻撃》共にはずれ。《ファストアクション》の《2回攻撃》1回目は命中で回らず51点。

でも防護点12では《鎧貫き》できても劇的効果はない。《2回攻撃》2回目ははずれ。なかなかいい勝負になっていますね。

今のゆんは素の命中力25に【キャッツアイ】【デーモンフィンガー】で+3、【ブレスU】【ファナティシズム】で+3で31程度と思われます。

タゲサも入れると32になりますが使っている様子はない。これなら28(35)の魔法王相手なら有利になっている筈ですが。


そして最後の《追加攻撃》がまさかの防御ファンブルです。ダメージ2倍で102点、90点ほど抜けました。

ジュエリィ「すごーい、伯爵みたい」

牙と投擲もそれぞれ命中して適用ダメージで64点ほど。結局1人で魔法王相手に193点ほど削っていますね。

ジュエリィが2点、伯爵が37点抜いたから、合計で232点ほど削っているはず。残り268点だともう次のラウンドで削りきりますね。


★第1ラウンド裏―HPを削られるより痛い攻撃

圧倒的暴力の海に呑まれそうになって迎えた魔法王の手番ですが、とにかくPCのバフを消さないことには次のラウンドで殺されることは理解していました。

そこで使うのは【パーフェクト・キャンセレーション】です。これを自分を中心にかけて半径6m以内のあらゆる特殊効果を解除してしまえばいいのです。

魔法はもちろんのこと練技や賦術も消えるし、後に追加された鼓咆だって効果の対象です。ポーションのようなアイテム類も一時的効果なら解除されるらしい。


この場合解除されるのは前衛だけですね、後衛には届かない。【マルチターゲット】で意図的にマイザールとジュエリィも巻き込むように使えばいけるでしょうが。

ただこの魔法って消費MPが33点もあるんですよね。《MP軽減/ソーサラー》《マナセーブ》で−2しても31点も使うわけで、これだけで残りHP237点です。

後衛にも使うとしたら射程30mと半径6mを活かせば36m先まで巻き込めますね。でももう31点使う上に【マルチターゲット】に6点で合計68点もHPを削る


今回は結局前衛だけを巻き込むように使い達成値34でした。達成値がこれ以上なら消えないで済みますが。

バトエルデン「俺のかけた魔法は全部消えた」

マイザール「ボクのかけた魔法は全部残ってますよ」

ジュエリィ「ワタシのも消えてないよ」

結局消えたのはマイザールとジュエリィがかけた魔法以外の全てでした。

マイザールのものでも【バークメイル】等の賦術は補助動作でかけていたら達成値0扱いなので余裕で消えますね。

主動作で使っていたとしても基準値17では6ゾロでも振っていないとやっぱり消えちゃうんでしょうね。


バトエルデン「俺の支援はバースデーケーキの蝋燭か

ジュエリィ「一息で全滅」

マイザール「うまいこと言ってる場合ですか」

実際まずいですね。【フィールド・プロテクションU】【ビートルスキン】【バークメイル】S等も消えたし、【タフパワー】【ウォーター・シェル】も同様。

【ウェポン・マスター】も消えて<ディフェンダー>のランク効果も消えたわけで、大司教の防護点が9点も下がって《かばうV》の時の防護点も27/29に下がった。


ジュエリィの【バーチャルタフネスU】やマイザールの【プロテクションV】は残ってるのが不幸中の幸いか。しかし最も痛かったのは……。

フェルディナント「【ヴォーパルウェポン】と【バークメイル】が。SSカードぶっこんだのが両方消えたー

ゆん「うわあ、4万G」

フェルディナント「【ジハド】も消えたんだぜ」

これだけの支援をするには相応にリソースもつぎ込んでいるわけで金銭的被害が甚大。寝れば回復する自前のMPは本当に有り難いリソースなんですね。


もちろん練技に<魔晶石>をつぎ込んでいたゆんの被害も大きい。折角最終段階まで上げていた牙や尻尾も消えた。

ゆん「お金ー!お金ー、お金ー、泣けるー」

マイザール「財布に厳しい攻撃。これは、新しい」

バトエルデン「俺なんて<栄冠の軍師徽章>の分、名誉点もダメージだぞ」

<栄冠の軍師徽章>に使った名誉点はこれを使ったからといって失われるわけではないんですけどね。


これで魔法王の手番は終了。次にミスゴのフルボッコタイムです。まずは下半身の《同時攻撃》が2体2部位で4回。

こちらは範囲攻撃扱いなのか《かばうV》が効かないのです。達成値そのものは29程度なのでゆんは軽く避けられます。

しかし【プレコグ】が消えて回避が更に覚束なく、当たったら当たったで防護点が下がっている伯爵にはなかなか痛い。

31点ダメージに対して18点とか抜けてます。すると防護点は13点で、【プロテクションV】を除けば9点。微妙に計算が合わない。


続いて上半身の《2回攻撃》がやはり2体2部位で8回伯爵に集中しますが、こっちは《かばうV》が効くので大司教が5回カット。

バトエルデン「さっきまで36点あった防護点が27点になっちゃったんで、ちょっと抜ける不安がありますな。ハハ」

そして残り3回も伯爵を打ち据えていきました。計7回もの攻撃を受けた伯爵はそれでも気絶には至りません。

でも90点ほど減って残り55点というのだから被害甚大。【ブレスU】が消えて最大HPが100+45=145点になっているんですね。

もし【バーチャルタフネスU】がなかったら残りHP10点になっていたわけです。結果的に気絶には至りませんが、出目によっては簡単に覆る程度の余裕です。

一方大司教は25点ほど減少、防護点が減ってもこの程度か。全部回避したゆんは無傷。この辺の対処を今回は間違えなければ勝てそうですね。


★第2ラウンド表―猛る"宝石"

魔法王の残りHP237点、伯爵の残りHP55点で迎えたこのラウンド。伯爵は今度こそ自分で【レストレーション】することも視野に入れて作戦を練ります。

伯爵が自分で回復できる以上は大司教に期待されるのは【タフパワー】のかけ直しです。呪いや【オーバーブロウ】等でまた体勢を崩されるのが怖いのでね。

そして魔法使い達がミスゴを掃討すれば大分楽になりますね。何しろ下半身を1つ潰すだけで《同時攻撃》がなくなるし、上半身を1つ潰せば《2回攻撃》がなくなる。

そこでまずはジュエリィがミスゴを焼き払った結果を見てみることにします。押し切れそうならマイザールも掃討に参加すればいいし、駄目そうならまた考えればいい。


今回の呪いの達成値はよりにもよって出目11で38と高く、ジュエリィは抵抗できませんでしたが1/6の方で回避。

残っている全ての敵に《クリティカルキャスト》つきの【ファイアストーム】を使い、脅威の達成値43で魔法王の抵抗まで抜きました。

45−34、41−33、38−X、39−59(ミスゴA:上半身/上半身/下半身/下半身)

45−75、44−33、43−62、41−62(ミスゴB:上半身/上半身/下半身/下半身)

伯爵の攻撃で弱っていた下半身が1つ潰れました。これでミスゴAの《同時攻撃》はなくなり、攻撃回数も減りましたね。

そして魔法王には《クリティカルキャスト》がよく効いて2回転。いつかの【トルネード】連続クリティカルに匹敵する大ダメージです。


ジュエリィ「あー、ここで止まった、残念」

GM「残念、残念と言ったか、お主」

ジュエリィ「えへ。83点

GM「ぶふぉ。胸当てー、助けに来てくれー」

フェルディナント「残念だが、ヤツは死んだ」

これで残りHP154点、一気に1/3持っていきましたね。胸当てがなくて抵抗を抜いた瞬間エゲつないダメージに(笑)

そして続くヘイストチェックにもあっさり成功し、また【ファイアストーム】で焼こうとしたら6ゾロ振ってまたも全部抵抗を抜く始末


38−X、40−X、X、45−14(ミスゴA:上半身/上半身/下半身/下半身)

43−32、46−X、45−17、44−18(ミスゴB:上半身/上半身/下半身/下半身)

今度はミスゴAの上半身を2つ共潰し、ミスゴBの上半身も1つ潰しました。これで《2回攻撃》が3回分なくなりましたね。

するとミスゴAのキックとミスゴBの《2回攻撃》は大司教がカットできるとして、伯爵にとっての脅威はミスゴBの《同時攻撃》2回のみ。

そもそもこれだけ減らされるとマイザールのメテオで全部潰すのも不可能ではない。一番残っている32点のやつでも抵抗さえ抜けば落とせますし。


そして魔法王には普通の出目で41点です。1点ではなく41点。これで残りHP113点。

マイザール「さあ、魔法王、言ってみなよ。「それ、もしかして魔法?」って」

GM「言えるわけねーだろ」

続くマイザールは呪いの抵抗には失敗するもののやはり1/6を潜り抜けて動きます。今回は《魔法拡大/確実化》で【メテオ・ストライク】です。

余談ですがこの特技もこっそり改訂が入っていまして、以前は拡大できる倍数に限度がなかったものが2倍拡大が限度になりました。

よってマイザールは《行使判定》を2回行います。1回目は8とまぁまぁの出目、2回目は今までの出目の悪さの反動が来たかのような6ゾロです。


マイザール「さあ、抵抗できるもんならやってみろ。「それ、魔法?」だと?そうとも、これが魔法だよ!

余程腹に据えかねていたようです。初めて魔法王にメテオをぶち込んだ時の1点ダメージのショックをようやく払拭できそうです。


X、X、X、0−14(ミスゴA:上半身/上半身/下半身/下半身)

47−X、X、47−X、56−X(ミスゴB:上半身/上半身/下半身/下半身)

ミスゴBの残る部位を全て吹き飛ばしました。また地味に1ゾロで稼いでいますが、これだけなら大司教がかばっておしまい。

そして本命の魔法王本体には51点ダメージで残り62点です。大司教が《かばうV》を宣言するまでもなくこのラウンドでカタがつきそうです。

結果的に【パーフェクト・キャンセレーション】で前衛のバフを消したのは延命にはなりませんでしたね。後衛の火力がそのまま残っていたのが致命的でした。


次は大司教です。念のためにできる限りの支援はしておきます。<栄光の軍師徽章>を使って鼓咆【強靭なる丈陣U:精定】で精神抵抗+1。

練技は全て入れ直して【リカバリィ】で回復し、<アンリマジックポーション>を飲んで、パラミスSを魔法王にかけます。

そして主動作では《魔法拡大/数》《ダブルキャスト》で前衛に【タフパワー】【ウォーター・シェル】をかけておきます。


締めは伯爵です。呪いにはやっぱり抵抗できなくて1/6をクリアし、【マッスルベアー】【デーモンフィンガー】【プレコグ】に【クリティカルレイ】S。

フェルディナント「で、お待ちかねの戦闘特技の宣言ですが、もう、ここまで追い込んだ以上、《マルチアクション》はありませんよ」

バトエルデン「質問だ。《魔力撃》か《全力攻撃V》か、当ててみな

GM「ま、まりょくげき?」

マイザール「No!No!No!」

GM「じゃあ、ぜんりょくすりぃ?」

マイザール「No!No!No!」

GM「もしかして、両方ですかー!?

一同「Yes!Yes!Yes!

というわけで《魔力撃》《全力攻撃V》を宣言して魔法王に攻撃。防護点が12点しかないからアゴウの秘伝は旨みがないんですよね。

バフは色々消されたものの、素の命中力25に練技で+2、《魔力撃強化》で+4して命中力31は確保。しかも【プレコグ】で1D+36ですよ。

結果として達成値37を出して攻撃しました。魔法王の回避力28(35)もパラミスSのせいで25(32)では6ゾロのみ回避です。

そんな目が都合よく出るはずもなく命中。追加ダメージは素の24に《魔力撃》で+19、《全力攻撃V》で+20、練技で+2で65点です。


ダメージのバフは色々消してるのに《全力攻撃V》を使えれば余裕で取り戻せましたね。

フェルディナント「(コロコロ)軽く回って、(コロコロ)何だここで終わりか。低かった。96点」

魔法王「そんなバカな。ぎゃあああ」

フェルディナント「お前のおかげで、俺様は忘れていた感情を取り戻した。やはり、俺様、神を倒す!

そして伯爵は魔法王の首を刎ねました。残された体は腐れ落ち、濃汁となって地面に染み込み、ミスゴも活動停止。

これって経験点にはなるんでしょうかね。1体で800点も違うんですよね。せめてゆんにミスゴのトドメだけ刺してもらっても良かったかも。


★じゃ、本当に神様倒してくださいナ

こうして英雄達は魔法王を再度討ち果たすことができました。そこに《ディフェンススタンス》を宣言し続けていたズミーヤが駆け寄ってきます。

ズミーヤ「さすがです。やはり、その剣は<ゴッドスレイヤー>!」

フェルディナント「その名前、何とかならんのか。<絶神剣>だけなら、まだ許容できるんだが」

ズミーヤ「そうですか。では、そう呼びます」

実は真の名前は他にあるそうなのでそっちに期待したいところですが、それが<ゴッドスレイヤー>よりマシな名前であるという保証はない。


ズミーヤ「そして、先ほど、フェルディナント様の思いも知ることができました。
      神を倒す意思を持つものが、神を殺す力を持つ剣を手にしている。となれば、もはや頼むしかありません」

フェルディナント「うむ」

ズミーヤ「戦勝神ユリスカロアを殺してください

よりにもよって古代神を倒せとか無茶言っていますが、彼女にもそれなりに事情というものがあったのです。

まず彼女がユーレリア地方で所属していた勢力というのは<ドラゴンオーダー>という竜を崇める教団でした。


事の起こりは神紀文明時代のことです。ユーレリア地方には"竜王"ハーヴリーズという強大な古代竜が存在しました。

神々の大戦ではダルクレムの陣営について多くの神を殺し、最後はキルヒア、ユリスカロア、クスといった第三の剣の神々によって封印されたとされます。

最後は封印されたとはいえ、ハーヴリーズは神々の大戦に巻き込まれた竜の中でも最大最強とされています。フォーセリアでいう"神殺しの竜王"ですね。


なおユーレリア地方はキルヒアがカルディアを発見した地とされ、第三の剣の陣営には縁の深い土地とされています。

フェルディナント「ほほう、そうだったのか。それは、一度訪れたほうがいいかもしれんな」

マイザール「危険神キル・ヒアーには関係ないでしょ」

フェルディナント「おいマイザール、そこへ直れ」

ユリスカロアの本拠地であったフォルトベルクもまたこの地方にあったのですが、ハーヴリーズとの戦いで大きなダメージを受けました。

これによって古代神でありながらその信仰を大きく減じることとなり、消滅の危機に立たされるほどに信者の数を減らしてしまったのです。

その古代神とは思えないほどの弱体化は「堕女神ユリス」シリーズで赤裸々に語られています。事情を知ってから読み返すと色々切なくなる。


そして時代は魔法文明時代に移ります。この時代に封印されていたハーヴリーズに魔剣を埋め込んで神格を与えることを考えた魔法王が現れます。

彼はユーレリア地方のオルブリュークを中心に領土を持っていたことから現代にはオールブリュークの魔法王と伝えられ、結果的に彼の試みは成功します。

こうして竜神となって復活したハーヴリーズでしたが、無理矢理眠りから覚まされた怒りからこの魔法王を消滅させてしまったのです。


マイザール「自業自得の極みですね」

ゆん「うん、わかる。リャグたちも寝起きは機嫌が悪かった

ジュエリィ「それはちょっと違うと思う」

その一部始終を見ていた魔法王の腹心や弟子達はその強大な存在に感銘を受け、ハーヴリーズを絶対神として崇める<ドラゴンオーダー>を設立したのです。

ただしハーヴリーズ自身は封印の中で眠り続けることを望んだという説もあります。それでも<ドラゴンオーダー>の信仰は彼を神として存続させたのです。

ハーヴリーズの神格を用いた神聖魔法を行使し、ハーヴリーズの眷属である竜を戦力として抱え、一つの勢力としてユーレリア地方に確立したのでした。

その後魔法文明時代には同じ地方の魔法王ユレヒトと戦い、魔動機文明時代には表舞台には出ずに秘密結社化し、「大破局」では蛮族と戦うといった変遷を乗り越えてきました。


そういう事情があるので<ドラゴンオーダー>にとって元々ユリスカロアは宿敵というべき存在なのです。

フェルディナント「だが、あえて言うぞ、なぜ他所の地方の俺様を頼る?自分たちでやればよかろう」

GM「そら、ぼっこぼこにされたからだよ」

これは現代の話ですが、「堕女神ユリス」の物語において<ドラゴンオーダー>はハーヴリーズの完全復活を企んで活動していました。

ところがあと一歩というところでユリスカロアとその信徒達によって阻止され本拠地は壊滅。教団の主力であった戦闘竜50頭は全滅

しかもハーヴリーズが神格を失ったことでプリースト技能が0になって神聖魔法も行使不能という、どん底まで追い詰められることとなったのです。


ちなみに以前ズミーヤの言っていたナレスという人物は<ドラゴンオーダー>の最高司祭でした。現在の最高司祭にある少女の母親でもありました。

ただ「ユーレリア博物誌」では娘の出産の際に亡くなったことになっているんですよね。ズミーヤの口ぶりだと紛争で亡くなったようでしたが。

あとここでいうハーヴリーズの神聖魔法は博物誌にすら載っていません。フォーセリアの竜語魔法みたいな感じなのかもしれないし、違うかもしれない。


そんな事情があるので生き残った教団の人間にとってもユリスカロアは憎き宿敵となったのです。

フェルディナント「待て待て、つまり、ユリスカロアはドラゴン50頭を屠るほどの実力ということか?」

ジュエリィ「勝ち汚い方法で」

マイザール「あれ、教義が「勝てばよかろう」です」

フェルディナント「何だ、お前のことじゃないか」

そもそも古代神なら35レベル以下の相手なんて瞬殺ですけどね。まぁユリスカロアは今弱体化しているのでその限りではありませんが。

それに戦闘竜にしても全部を彼女1人で倒したわけではない。罠を使ったり、人海戦術で圧倒したりと、ちゃんと頭を使って討ち取っていきました。


ちなみにこの戦闘竜については「ユーレリア博物誌」にデータが載っています。14レベルの幻獣ウォードラゴンとして。

こいつは教団に協力する竜を母体として人工的に複製した竜で、大体レッサードラゴン程度の実力を持っています。

通常のレッサードラゴンより知能は低く魔法は使えないものの、それ以外の戦闘力は高くて衝撃属性のブレスを吐いてきます。

最大の特徴は仲間との連携です。仲間を鼓舞して敵を弱らせる《戦闘竜の咆哮》や、仲間を倒された時に攻撃力が増す《戦闘竜の激昂》がある。


そんな崖っぷちの<ドラゴンオーダー>にもまだ人は残っていて、復活の道を探しています。

ズミーヤ「しかし、そこに派閥争いが生まれ、この先どうなるか、わからない状態です。私は、今のそんな状況に嫌気がさし抜け出したのです。
      <ドラゴンオーダー>の誇り、ハーヴリーズへの信仰心、それらは失っていません。しかし、今の教団にはいたくありません」

フェルディナント「純粋な信仰心ゆえに組織を捨てたと言いたいのだな」

ズミーヤ「その通りです」

マイザール「思い切り、独りよがり狂信者のパターンじゃないですか」

そうして放浪している時に伯爵の話を聞いてやってきたというわけです。伯爵の強さをあてにして近づいたというのなら分かりますね。


問題は<絶神剣>です。この剣についてはマイザールもジュエリィも隠していたのに。

ズミーヤ「その剣は、我々<ドラゴンオーダー>と因縁浅からぬ剣なのです」

ここで魔法文明時代に話は戻ります。当時のユーレリア地方には魔法王ユレヒトという人物がいました。彼は当時のユーレリア地方でも最強の魔法王でした。

彼がユーレリア地方統一を目論んだ時、それを阻止しようとしたのが例のオルブリュークの魔法王でした。後に<ドラゴンオーダー>がユレヒトと戦ったのもそういう事情です。

ところがユレヒトはオルブリュークの魔法王がハーヴリーズに神格を与えようとしていると知ったことで、竜神となるハーヴリーズを倒すための魔剣を作っていたのです。


バトエルデン「なんとドラゴンスレイヤーにしてゴッドスレイヤー」

ズミーヤ「その通りです。その剣は、より正確に言うならば、<絶竜神剣ドラゴンゴッドスレイヤー>です」

一同(爆笑)

フェルディナント「それ、何てライトノベル?」

バトエルデン「すげえ、ダサカッコイイ。まさに「ボクが考えた最強の武器」

<ゴッドスレイヤー>だけでも恥ずかしいのに、こんな名前を真顔で説明されたら噴出さずにはいられない。「笑ってはいけない魔剣」シリーズ。

しかし神格を得た竜を殺せる魔剣なら、神格を得た人族を殺すこともできるかもしれませんね。もっとも小神とかならともかく相手は腐っても古代神なので微妙なところです。

多分魔剣の世代で言えば<滅びのサーペント>とかと同じ第四世代が精々でしょう。いくらユレヒトが強大な魔法王であっても本当に古代神を殺せるほどの力があるのか。

<滅びのサーペント>ですら小神に勝る殺傷力を持っている程度なんですよね。そしてこれが第四世代の魔剣の中でも最高級なわけで、アーティファクトでどこまでいけるんだろう。


フェルディナント「ちょ……ちょっと、考えさせてもらっていいかな?おい、マイザール、どうするよ?」

マイザール「戦利品剥ぎながら、考えますか」

魔法王には戦利品がなく、ドラゾンからも取れないと裁定してミスゴ2体のみ。実はミスゴには自動で入手できる戦利品しか設定されていません。

1つは2600ガメルの<ミスリル>×2D個、もう1つは8800ガメルの<高純度ミスリル>×1D個。期待値では前者で7個、後者で3.5個ですね。

前者で1万8200ガメル、後者で3万800ガメル、つまり1体でも合計4万9000ガメルも剥げる。2体なら9万8000ガメルぐらい入手できるはず。

今回は前者で21個も剥げて大盛り上がりでしたが、後者は僅かに2個でクールダウン、合計7万2200ガメルでした。期待値とはSSカード1枚分の差がある。


その後一行はまず《白峰領》のルーフェリア神殿に【エスケープ】。

ガアラ「今回は、やり遂げたという顔ですね。大司教」

バトエルデン「まあな。悪いが、少し人払いをしてもらえるか」

更に《皇城領》のセラフィナに報告がてら報酬をもらいにいきます。

今度はマイザールの【テレポート】ですが、MPがきついのでジュエリィから貰います。


ジュエリィ「何?欲しいの?ほら、それなら取りなさいよ」

マイザール「くっ……」

ジュエリィ「く?」

マイザール「ください

バトエルデン「ダメだな、あれは」

フェルディナント「ああ、ダメだな」

マイザール「人を【テレポート】でこき使っておいて、言う台詞じゃないでしょう!」

そんな彼が【ディメンション・ゲート】でMPを節約する方法を学ぶのはもうちょっと後のことでした。


フェルディナント「ただいま戻りました。復活した魔法王を倒して参りました」

セラフィナ「それを倒してもらったことは安心するし、感謝もする。しかし、復活を遂げてしまっていたということは、穏やかではないな」

何だかんだであんなのに対抗できる人なんて世界でもそういませんしね。これがもし他の地方だったり、彼らが気付かなかったりしたらどうなるか。

しかも魔法王自身が自分はどうやって復活したのか分かっていない様子でした。その辺の調査も含めて伯爵は黒幕の討伐をセラフィナに打診します。


セラフィナ「そうか。では、改めて頼もう」

バトエルデン「その件、ルーフェリアも協力を惜しみませんぞ」

ジュエリィ「カイン・ガラも協力するよ」

セラフィナ「では、三国共同での依頼としよう。これで少しは報酬を出しやすくなるな。ついでだから、リオスからも予算を出してもらうか?」

バトエルデン「外交問題にならない程度にしてくださいよ」

というわけで今回の報酬と支度金として1人2万ガメルをくれました。戦利品と合わせて1人3万4400ガメルか、SSカードの多用は禁物ですね。


こうして次の足がかりができました。ではどこから調べようかと相談していると、1匹の猫が窓から入ってきます。上位の使い魔です。

ジュエリィ「あなた、どこの子?」

使い魔「強いて言うなら、私はあなたの妹弟子みたいなものです

ゆん「あ、じゃあ、こないだゆんに伝言ゲーム頼んだ子じゃ?」

使い魔「そうです」

ゆん「ふかふかの師匠さん、元気?」

使い魔「殺しても死なないぐらいに

毎回思うんですが使い魔だけでこんな遠くまでお使いに来れるんですね。【テレポート】で近くまで送り込まれているんだろうか。

それでも帰りは大変だけど、一応その場で魔法を解除してしまうこともできるんですよね。大抵愛着があったりしてやらないけど。


今回も師匠からの呼び出しです。またも凶兆を掴んだようです。

使い魔「大いなる災いが迫っている。至急話し合いたいと。我が占いは「神の死」を予言した」

その神とはユリスカロアなのか、それとも別の神なのか。詳細を知るために一行は再度幻獣ククを訪ねることにします。







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