「滅びのサーペント」著:清松みゆき/グループSNE 出版社:富士見書房
★はじめに
このリプレイは「Role&Roll」のVol.64〜65に2号連続で掲載されたものを文庫用に再編集したものです。
その内容というのがまた特殊なもので、SW2.0における最高レベルである15レベルパーティによるお祭りセッションとなっています。
SW2.0のリプレイといえばぞんざいズのような高レベルパーティも存在しますが、これはそれを遥かに上回るレベル帯です。
そのレギュレーション(規定)は追加経験点18万点、成長回数120回というのだからとんでもない話です。
ぞんざいズですら成長回数は精々30回であることを考えれば、これがいかにとんでもない規定であるかはお察しいただけるかと思います。
これによって成長したPCはラクシア世界において紛れもない英雄であり、2桁の戦闘特技、賦術、練技に高レベル魔法は強力の一言です。
もちろんこんな化け物に対応できるのも化け物だけであるからして、敵として20レベルを超える魔物が当たり前のように登場します。
プレイヤーもGMも、そして読者すらも口をポカンと開けてしまうような展開が目白押しでして、合言葉は「お前は何を言っているんだ」。
フォーセリアでいうとそれこそリジャールとかカーウェスみたいなポジションではないでしょうか。
超10レベルの六英雄と言ってしまうとちょっと過剰な気がしますが。今後ラクシアでも超15レベルキャラが出てこない保証はないし。
かつてSWでもシナリオ集「四大魔術師の塔」に「流星落ちるとき」という10レベルパーティ対応の高レベルシナリオが存在しました。
【メテオ・ストライク】落とし放題の魔法装置を巡り、老竜にノーライフキングにミスリルゴーレム使いの魔術師が入り乱れるシナリオでした。
そのあまりの難易度にテストプレイを行った10レベルパーティ"見つけるもの"は全滅してしまうという衝撃的な結末になったとか。
ただし公式設定では彼らは"魔精霊"アトンに敗北することになっているので、別の10レベルパーティが犠牲になることになっています。
ではこちらのパーテイはどうかというと、結論から言うと全滅はせずにシナリオを完遂してしまいます。
登場する敵は前述通りにとんでもない連中なのですが、こっちはそれに輪をかけてとんでもない英雄達なのです。
その1人はぞんざいズでも御馴染みの"湖の大司教"バトエルデン・エラーだったりするので読者も入りやすいですよ。
舞台はぞんざいズが結成する前、10年ほど前のフェイダン地方。この年にフェイダンはおろか世界を脅かす大事件が起きるのです。
そこに集ったのが大司教をはじめとする15レベルの5人の英雄達です。彼らのSWリプレイ史上類を見ない大冒険が幕を開けます。
なお文庫版ではGMが清松みゆき先生であることが明言されていますが、誌上掲載時には「にしかけみもじ」という名義でした。
これはグループSNEにおける共用ペンネームのようです。サンライズにおける矢立肇のようなものでしょう。
清松先生といえばやはりフォーセリアを舞台にしたSWのイメージが強いので、できる限りそれを隠したかったとのこと。
実際はSW2.0にも立ち上げからずっと参加されていたようです。ケイオスランドを出さなかったのもちゃんと理由があったのです。
名前の由来は「SNE」が三文字であり、これは東西南北を示す「NEWS」のうち西を意味する「W」を除いたアナグラムであるためかと。
しかしSW2.0立ち上げから随分年月も経ちましたし、いい加減表舞台に帰ってきてくれてもいいでしょう。
ケイオスランドは残念だけど、そのアイディアをラクシアに注いでくれているようだし、今後の活躍も楽しみにしています。
★大司教は誰がやる?
さてそれではいよいよ本編です。改めてレギュレーションを確認すると以下のようになります。
・追加経験点18万点(合計18万3000点)・名誉点3000点
・所持金36万ガメル
・成長回数120回
これは「バルバロス・ロワイヤル!」収録の表によると「15レベル超A」にあたるレベル帯ですね。
更に上に2つレベル帯がありまして、それぞれ140回成長の「15レベル超B」と150回成長の「15レベル超C」です。
名誉点で3000点は国家における第一人者として以下のように定義されます。
国家レベルで顔と名前が一致して覚えられている。
どこで何をするにも、顔パスが通じるのみならず、断らない限り、席や順番は、勝手に優遇・優先されてしまう。
伝記をまとめたり、詩歌の題材に使うものが現れる。
現代風に言えばテレビや新聞で当たり前のように話題になるような人ですね。大司教なんて正にそれですし。
実際今回登場するPCは大司教以外の人もそれなりの社会的地位にある人がいるし、コネを得るために名誉点を払ってもいいレベルです。
本当ならラクシア世界において結構な重要人物揃いなのですが、そんな面子のキャラメイクから入るという贅沢なセッションなのです。
ちなみにこの当時は大司教の詳細なデータも不明でした。このセッションで決まったデータが以後公式になるという贅沢さ。
プレイヤーA「それで秋田さんがここにいるわけか。じゃあ、お願いします」
秋田みやび「(にっこりと)パス」
プレイヤーA「パス!?」
秋田「わたしはやらないよ」
曰く「自分でやるとつまんなそう」だから。まぁしかめっ面した中年エルフって感じだし、秋田先生は苦手そうではある。
そこで次に注目されたのはもう一人のぞんざいズの関係者であるプレイヤーC氏です。
プレイヤーC「はっはっはっ。自分が「前科持ち」なのは、秋田さんはよくご存知のはずですが?」
秋田「いいよ」
プレイヤーC「いいんですか?アレやって?」
秋田「うん。作者が公認してあげる」
プレイヤーC「よーし!バッチ来ーい(かぽーんかぽーん)。GM、舞台はどこですか?色街はありますよね?」←あんたか
御存知の方は忘れたくても忘れられないでしょう。ヘッポコ最終巻で大暴れした恐妻家ローンダミスの雄姿を。
そうか、あの人か。推定バスの中の人。ぞんざいズだと誰だろう、メッシュとかジークあたりの中の人でしょうか。
とはいえ今回の舞台はフェイダン地方、大司教の地元です。あんまりヤンチャやってるとパブリック・イメージが。
プレイヤーC「ちっ、今イチ羽を伸ばせない」
GM「名誉点から考えると、国では顔が知れ渡ってるレベルだからな」
プレイヤーC「む、逆に言えば、何も言わなくても、お姉ちゃんに優遇されるというメリットがあるのか。しかも、顔パスでツケ」
プレイヤーB「あーら、バトさんお久しぶり」
プレイヤーC「いやあ、最近、子守がますます忙しくてなあ」←リアちゃんですか
プレイヤーD「それでお見限りだったのね。妬けちゃうわあ。お酒、いつものでいいわね?」
プレイヤーC「おう、頼む」
GM「ただの常連客じゃねえか」
顔が知れることで自由が制限される。いわゆる有名税ってやつですか。名誉点にはそんな側面もあるのかもしれない。
ただし舞台はルーフェリアではない。カイン・ガラでもリオスでもないし、アイヤールでもありません。
今回登場するのはそれらの国家の真ん中に位置するメルドリーネという王国です。ぞんざいズには登場しませんでしたね。
この位置には漢字の「人」という形に似た山脈がありまして、その腿の付け根にあたる位置にあるようです。
アメリアの飛行船が落ちたりした山脈ですね。そういえば通過するばかりであまり詳しく調べたりはしなかったような。
ところがシナリオ開幕の時点でこの国に蛮族の巨大勢力が侵攻するという大事件が発生しています。
時代がぞんざいズの10年前としたのも彼らが関われないようにするためです。当時ぞんざいズは完結していませんでしたし。
まぁそれはそれでこのセッションで大司教が死んだりしたら矛盾が起きるのですが、困るのは未来にした場合も同様ですしね。
地方もPCも完全新規にすればそういうリスクはなくなるけど、それは面白くないというのは清松先生らしいですね。
公式の都合でゲームの展開を捻じ曲げるのはよしとせず、かといって何のリスクも負わないのも面白くない。本当に変わらない。
何らかのリスクを背負いながらもセッションを進めるからこそ、それによって生成された物語には愛着が湧くのだと思います。
プレイヤーC「ヤング・バトエルデンですな。ムフフ」
秋田「10年じゃ、あまり変わらないよ」
GM「本気でヤング・バトエルデンなザイア神官時代とかも考えたんですが、
それだと<大破局>時代なんで、マギテック技能とかに齟齬が出るんですよ。できることが同じである保証がない」
プレイヤーB「というより、今よりもっといろいろできるべきです。ムフウ」
プレイヤーA「魔法の品物も、桁違いにあるはず。ムフウ]
GM「対応しきれません」
大司教は<大破局>の時に神の階梯を昇ったルーフェリアに仕えるべくザイアから宗旨替えをしましたからね。
となるとザイア神官時代は魔動機文明時代になるわけでして、今とは桁違いに魔動機術が発達していた筈です。
フォーセリアでいうとカストゥール王国時代のようなものです。遺失魔法やチートアイテム目白押しでしょうね。
それに合わせてデータを作るのも不可能ではないでしょう。しかしそれだと今の時代のラクシアを遊ぶ人の役に立たないし。
仮にそれを遺跡で発見できるという設定にしても、現代におけるバランスブレイカーになるのは目に見えていますしね。
そんなことしなくても15レベルなんて滅多に遊ぶ機会もないだろうし、それ自体バランスが取れているかも不明ですしね。
実際今後の展開を見るにそういう設定にしなくて正解だったと思います。冗談抜きでGMもプレイヤーも対応しきれなさそうだし。
ということでいよいよ他の人も含めてキャラメイク開始です。ガープス並みに時間がかかりそうですね(笑)
プレイヤーB「ところでGM、キャラクター全員がスカウト技能7レベル以上とかだったら怒ります?」
プレイヤーA「《ファストアクション》、イエーイ」
GM「怒りません。このレギュレーションでやる以上、むしろ、それは覚悟してます」
プレイヤーB「!これは、逆に取らないとダメだってことだ。殺される」
清松先生を持ってしてもここから先は未知数です。それこそ全員《ファストアクション》しても勝てるとは限らない。
何しろ技能の取り方、能力値の成長の仕方、戦闘特技の取り方で同じ15レベルでもPCの個性は全く違ってきますからね。
GM「シナリオの細部は、キャラ見てから決め直しますよっと。「黒の封印」を解くべきかどうか……」
それは本当にPC達が強くて手に負えないときに解禁される秘密兵器です。
そのあまりのスペックに「ルールブックV」にも収録が見送られたという曰くつきのものです。
まぁこのリプレイの後に発売された「バルバロステイルズ」でしっかりとデータは収録されることになるのですが。
★渚の大司教
それではお楽しみのキャラメイク開始です。ここからは1人ずつ順に紹介していきましょう。
なお能力値の成長については120回もサイコロを振ってたら時間がかかり過ぎるので成長パターンを選択する形式です。
これは「バルバロス・ロワイヤル!」にも収録してある方法でして、「15レベル超A」には2種類あります。
A 一点豪華主義型@45 A25 B18 C13 D11 E8
B バランス成長型
@37 A21 B18 C17 D16 E11
このどちらかを選択し、作りたてのPCの能力値に各数値を加算して作るわけですね。
Aパターンの@なんて45ですよ。これだけで能力値ボーナスが+7はされるわけで本当にとんでもない話です。
トップバッターは色々気になるルーフェリアの第一人者"湖の大司教"バトエルデン・エラーです。
先に習得した技能を確認しておきます。
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経験点は丁度使い切っていますね。基本は防御型の神官戦士で騎獣やお薬も使えます。
では気になるキャラメイクの様子を覗いてみましょう。
バトエルデン「さて、これも作者のお墨付きをもらったので、生まれをサイコロで決めますよっと。(コロコロ)げ、コンジャラー」
秋田「あ、そうだったんだ」
バトエルデン「「そうだったんだ」っていいんですか?」
秋田「いい。二言はない」
バトエルデン「了解です。じゃ、これでいきます。(コロコロ……)「貧弱な坊や」だった。筋力5、生命力7」
能力値決定のサイコロは3回振ることができますが、その後の2回も今ひとつなので最初の数値に決定しました。
またなんともエルフらしい貧弱っぷりですね。むしろ平均以下でエアの方がよっぽどいい体格していたでしょう。
バトエルデン「NO!そんなことにはさせませんぞっ。うおおおー!ブル○ーカーじゃあああ!
貧弱な坊やから脱出してやるううう!成長選択、パターンAっ!そして、こうだっ!」
秋田「筋力に「A+25」振ったね」
これで筋力30です。必要筋力30までの装備が使える。カテゴリ<金属鎧>のSSランク装備<インペリアル>とかね。
ぞんざいズのムーテスも欲しがっていたこの逸品。タンクファイターなら是非欲しい装備でしょう。
そして「@+45」ですが……。
バトエルデン「生命力に突っこみいいい!これでビーチの視線は俺に釘付けえええ!」
GM「やりやがった」
バトエルデン「"渚の大司教"とは、この肉体美を表す言葉よ。ふん」
秋田「変わってる、字が変わってる」
バトエルデン「ふおおおお。さあ、俺を落とせるものなら落としてみろ」
これにより生命力52でHP114点に達しました。ジークが90点ぐらいで騒がれていたのが嘘のようですね(笑)
ついでにMP104点とやはりエア以上。さり気なくコンジャラー技能を5レベルにしているお陰でもある。
更に装備としては<インペルアル>と双璧を成すカテゴリ<盾>のSSランク装備<グロリアス>もありますよ。
盾なのに4万7000ガメルもする高級品です。これにより大司教の素の防護点は22点にもなりますね。
戦闘特技《防具の達人》まで取っているのでSSランクを含むあらゆる防具が装備可能なのです。
<グロリアス>の魔法ダメージ減少や、<英雄のマント>によるブレスダメージ減少もあってとにかく頑丈です。
ちなみに装飾品欄にある<野伏の○○マント>は<多機能○○ベルト>のように装備を重複させるための装備です。
これを<英雄のマント>に使い、<ウェポンホルダー>も装備できるようにしているわけですね。
<英雄のマント>は1万ガメル、<野伏の○○マント>は1000ガメルと名誉点20点で入手できます。
ただし<野伏の○○マント>にはレンジャー技能3レベルが必要です。実は<多機能○○ベルト>はスカウト技能3レベルが必要でした。
《ポーションマスター》持ちなので自らお薬で回復もできる。
バトエルデン「ぐびぐび、ぶはあ。もりもりもりー。プロテイン万歳!」
こうして貧弱なエルフの坊やはムキムキエルフの不沈艦となりました。ついでにライダー技能10レベルでドラゴネット持ち。
習得している騎芸の殆どはイスミーと被りますね。一つだけ【呼び笛】という騎芸だけぞんざいズには未登場ですかね。
これは生物系の騎獣を自分のもとに呼び寄せる騎芸です。騎獣が1ラウンドで騎手のもとに移動できることが条件ですね。
以上を踏まえるとジーク以上のHP、ムーテス以上の防護点と薬、エア以上の生命力とMP、イスミーのような機動力もあるわけです。
その分スカウト技能による先制力はないし、《魔法制御》なんかもありませんが、防御に関しては完璧かもしれません。
ちゃんと《かばう》も持っていますし、《魔法拡大/距離》や《魔法拡大/数》で仲間が遠方でも複数でもサポート可能です。
あとはさり気なくファイター技能13レベルにしていて、《マルチアクション》と《バトルマスター》を取っていますね。
これなら《かばう》《魔法拡大》《マルチアクション》といった3つの宣言型戦闘特技の内、2つを選択して同時宣言可能です。
味方をかばいながら《マルチアクション》したり魔法を拡大したり、魔法を拡大しながら近接攻撃したり、色々な場面に対応できるのです。
武器はAランクの<フランベルジュ>ですが、これはオーダーメイド武器にして必要筋力・威力共に−3したものを使用しています。
これにより<フランベルジュ>の必要筋力は23→20となり、《武器習熟》がないと必要筋力は20+10=30となります。
つまり筋力30の大司教なら無理やり持てるわけですね。まぁ今回は他に強力なアタッカーがいるので大司教が殴る場面は少ないんですが。
そういえばオーダーメイド武器ってぞんざいズだとあまり話題になってませんね。誰かがやってたかもしれませんけど。
これは武器の必要筋力を−3〜+3に調整し、それに合わせて威力も−3〜+3の範囲で変動します。
費用はBランクは+1/−1毎に300ガメル、Aランクは+1/−1毎に1000ガメル、Sランクは+1/−1毎に3000ガメルです。
よってAランクの<フランベルジュ>の場合、−3すると3000ガメル余分にかかるわけですね。魔法の武器なので更に1万ガメルです。
元の値段1580ガメルにこれらを加え、合計1万4580ガメルですね。ついでに専用装備なので名誉点も50点ほど払っています。
大司教の主なスペックは以上になりますが、15レベルともなるとやはりデータ量が凄いことになりますね。
ちなみに実際のキャラメイクは休憩や雑談含めて4時間かかったという。これはセッションが終わるまで何時間かかるやら。
★血まみれ伯爵
続いてはこのパーティのメインアタッカーである"闘神"フェルディナント・シュナイダーです。
習得した技能は以下の通り。
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経験点は1500点ほど余らせています。その気になれば他にも取れたでしょうが止めておいたのでしょう。
大司教と違ってこちらは攻撃型の神官戦士で先制力は高く、賦術に練技に操霊魔法と魔動機術と自己強化の手段も多彩。
戦闘では主に強化された《魔力撃》を使用し、高い命中力とダメージを駆使して敵を粉砕するアタッカーですね。
バランス型の成長を取りながらも器用度+9と非常に高く基本の命中力が25もある。《魔力撃》で+5されて命中力30!
ダメージも相当なもので基本は威力70+23点ですが、《魔力撃》すると+18されて威力70+41点にもなる。
威力表の期待値を16点と考えると57点にもなる。練技や賦術、その他様々な魔法で強化すると70点にも手が届きます。
もしクリティカルしようものならダメージ三桁に突入しますね。大司教も大概でしたがこっちもこっちでどうなってるんだ。
装備としてはカテゴリ<ソード>のSSランク装備<ガイスター>が主武器です。禍々しい気を纏った威力70の両手剣ですね。
その威力の代償に使用したラウンドの手番終了時にHP5点を消耗するというもの。お値段9万5000ガメルですね。
防御面はその分薄く、鎧はカテゴリ<非金属鎧>のSランク装備<ドラゴンスケイル>です。防護点6点の4500ガメルの品です。
強化された《魔力撃》を使うと回避力も−2されるわけなので、素の回避力が22あっても20に下がって当たり易くなるのは不安ではある。
彼もまた《バトルマスター》持ちなので《魔力撃》《マルチアクション》《薙ぎ払い》の中から2つを選択して宣言可能です。
この中だと《薙ぎ払い》はぞんざいズにも未登場ですね。命中力−2になる代わりに乱戦エリア内の任意の5体に同時に攻撃します。
ただし習得条件はファイター9レベル以上で、使用できる武器は2Hの<ソード><アックス><スピア><ウォーハンマー>に限ります。
よって彼は《魔力撃》で薙ぎ払ったり、薙ぎ払いながら魔法を使ったり、《魔力撃》でぶん殴りながら魔法を使ったりできるんですね。
装飾品としては【マッスルベアー】のダメージを+1(合計+3)にする<熊の爪>を装備しています。実は3万ガメルもします。
足には転倒してもすぐに起き上がって転倒ペナルティを無しにする<軽業のブーツ>、1万1600ガメルです。
むしろ彼の場合はアイヤールの伯爵位を持っていることの方が大きな特徴かもしれません。
フェルディナント「ありあまる名誉点を爵位に投入。伯爵位ゲット!」
実力だけで爵位を勝ち取ろうとしたらフェイダン地方の場合はアイヤールが最適なので、そこの爵位という扱いになります。
こうして彼は《血風領》シュナイダーの領主となり、「フェイダン博物誌」にもきちんと掲載される有名人になったのです。
フェルディナント「それで。金庫番つきで邸宅ゲット、俺様を描いた絵画を飾ります。さらに俺様を称える戯曲楽曲も作らせました」
GM「楽しそうだ」
フェルディナント「戦って戦って戦い続けて得た地位ですよ。
安息の日は、それを思い出しながら、ゆったりとソファーに座るのです。
「ふう、あのドレイクバロンは強敵だったぜ」」
邸宅のサイズは不明ですが、伯爵様なら大きな豪邸に住んでいそうですね。まさかそっちにお金を注ぎ込んだのか。
ちなみに名誉アイテムの<絵画>は名誉点とお金がかかりますが、<楽曲>や<戯曲>は名誉点のみで作れたりします。
剣の腕で貴族になるなんて、冒険者にとっては一つの到達点にいるのかもしれませんね。何だか楽しそうだ。
バトエルデン「……浸ってるところ、水を注すようで悪いけどな、「自称」伯爵殿」
フェルディナント「「自称」じゃありません!ちゃんと名誉点払って手に入れた爵位です」
バトエルデン「いや、伯爵位を手にするには、名誉点のほかに、150万G必要なんだ」
かといって男爵位でも50万ガメルだし、36万ガメル「しか」もらっていない彼が金で買うことはできない。
フェルディナント「そんな、俺様の夢が……」
GM「……じゃあ、いいですよ。伯爵位、タダで」
フェルディナント「え!?」
GM「これって、お金の使い道がなくてダブつきそうだってんで設定された金額だったはず」
バトエルデン「それでも高いですね」
GM「皆で出し合って、誰か1人を祭り上げるの前提でしょ?
実際、1人36万ガメルを全部突っこむ気になれば、150万は手が届く」
バトエルデン「全力でNo!俺は<インペリアル>を着るんです」
そういった高額アイテムが後で出てきた結果、爵位はあまりにも高過ぎて手が届かない品になってしまったと。
でもぞんざいズでもそうでしたが、彼程の英雄なら色んな戦功を上げているだろうし、報酬で爵位を入手できてもいいと思う。
余談ですが、その辺を受けて「ルールブックU改定版」では爵位のお値段がかなり安くなっています。
伯爵位は30万ガメルで購入可能になっていますね。名誉点は2000点と変わりませんがお求めやすくなりました。
男爵位なんて10万ガメルですしね。あと旧版では収録されていなかった子爵位のお値段なんかも公開されています。
フェルディナント「というわけで、改めてアイヤールの伯爵、"闘神"フェルディナント・シュナイダー見参!」
プレイヤー一同「おー」「カッコイイ」「中学生っぽくていいぞぉ」(拍手)
フェルディナント「今日もまた、数多の蛮族が俺様の剣の錆になる予感がするぜ。ククク」
バトエルデン「うむ、よろしくな、"血まみれ伯爵"」
フェルディナント「こちらこそ……って、違う!そんな二つ名じゃありません」
爵位の値段の狂いっぷりもそうですが、こうして乗せておいた方が面白いというGMの英断があればこそのキャラメイクでした。
★怪異、百変化
次は本パーティきっての戦略兵器、女性グラスランナーの"百変化の"ゆん・ゆん・ぽむです。
習得した技能は以下の通り。
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経験点は1000点ほど余らせています。Bテーブル技能を15レベルにしているのが前の2人との違いですね。
技能の数は少なめですが1つ1つのレベルが高く、練技重視の拳闘士にして密偵といったところですか。
ソーサラー技能を4レベルだけ取っているのは使い魔のMPを使うためです。何しろグラスランナーにMPはないから。
ちなみにグラランの種族特徴は2つありまして、1つは〔虫や植物との意思疎通〕でフォーセリアのグラランと同じです。
もう1つは〔マナ不干渉〕です。MPがない代わりに、魔法であれ特殊能力であれ精神抵抗に成功すると効果消滅になる。
6レベルの強化は一日一回の魔法破りです。主動作を費やして魔法に接触し、精神抵抗に成功すると効果を消滅させます。
11レベルの強化は「知覚」が「魔法」の対象に知覚され難くなる。命中・回避・隠密といった判定に+1の修正が入ります。
戦う時の基本はグラップラーですが、これはエンハンサーの代わりに14レベル止まりとなっています。
これでも《武器の達人》まで取っているのでカテゴリ<格闘>のSSランク装備<ハンズオブグローリー>と<レッグオブオナー>を装備。
前者は<パンチ>を強化する4万5000ガメルの品、後者は<キック>を強化する5万8000ガメルの品で合計10万3000ガメルのセット。
ぞんざいズには未登場の戦闘特技は《跳び蹴り》ですね。10m以上の通常移動の後<キック>で攻撃し、その後普通に攻撃できます。
GM「確認ですが、その《跳び蹴り》の射程距離はいくらですか、グラスランナーさん?」
ゆん「一点豪華主義の「@+45」を敏捷度に突っこんだので、67m」
そう、このグラランの恐るべきところはその敏捷度。なんと敏捷度67なのです。全力移動すると201mとか走れますね。
10秒で201mだから、100mを5秒で走り抜ける計算になる。亀仙人かお前は、時速72kmってどういうことなの(笑)
敏捷度+11はあらゆる場面で活躍します。素の回避力が27もあるし、先制力は24もあるので彼女に先制するのは至難の業。
これは回避力を恒常的に+1する《回避行動》を取っているお陰もある。過剰に見えて今後役に立ったりします。
更にスカウト技能が13レベルもあるので《ファストアクション》&《影走り》で戦場を縦横無尽に駆け回ることでしょう。
なお《トレジャーハント》の上位特技である《トレジャーマスター》も習得しているので、戦利品の判定は更に+1(+2)です。
これはスカウト技能12レベル以上で自動習得します。このリプレイはこういった高レベル前提の特技も拝めて面白いです。
《両手利き》《二刀流》《双撃》のセットはないけど、手数は補助動作で使用できる練技でカバーできるようになっています。
具体的には練技【フェンリルバイト】と【バルーンシードショット】は補助動作で攻撃可能ですね。
エンハンサー技能が高いお陰でグラップラー技能よりも基準値は高くなりますし、グラランのくせに筋力18もあって侮れない。
【フェンリルバイト】は10レベル以上を前提にした練技で、カテゴリ<格闘>のBランク武器<牙>を生やします。
既に<牙>を持つ者はこの練技を使用する毎に命中力+1か追加ダメージ+2を選択し、命中力+2かつ追加ダメージ+4まで累積可能。
つまり【ドラゴンテイル】のような強化が可能なのです。しかも補助動作でエンハンサー技能を基準値に攻撃に使用できるわけですね。
【バルーンシードショット】も10レベル以上を前提にした練技で、補助動作により口でカテゴリ<投擲>の武器を発射できます。
他にもぞんざいズ本編で登場した練技の数々も使えるので、複数使うとグラランとは思えない人外の存在に変貌するのです。
ぞんざいズでは登場しなかった練技もいくつかありますが、これらも10レベル以上を前提とした高位の練技になっています。
【カメレオンカムフラージュ】は体を保護色で覆い、《隠密判定》+4の修正を入れ、かつ10m以上離れると視認できなくなる。
【クラーケンスタビリティ】はクラーケンの触手のような柔軟で強靭な下半身を得て、足を地に付けている限り転倒しなくなる。
【ジィプロフェシー】はジィのように一瞬先の物事を読み、《先制判定》と《危険感知判定》に+2の修正を入れる。
【タイタンフット】は壁・床・扉といった構造物を蹴り破る脚力を得ます。穿てるのは半径1mの範囲までとなっています。
あとは【ファイアブレス】などは5レベルから習得できる練技ですが、これは今回は使いどころが難しいようです。
炎のブレスを吐いて範囲に魔法ダメージを与えられるのはともかく、威力10しかない上に主動作を費やすのは手番が勿体無い。
ゆん「経歴振ったら、「異種族が好き」になりました。
エルフ好きにしたので、バトエルデンとか超あこがれ。生バトエルデン、早く見たーい」
バトエルデン「いいぞお。この肉体に飛びこんでこい」
フェルディナント「あれに飛びこまれると死ぬんじゃ?」
バトエルデン「おっと、そういうのはなしだ」
ゆん「会ったら、照れ隠しに盛大にパンパンしようと思ってたのにぃ」
フェルディナント「そして、盛大に頬を張らして倒れ伏す大司教」
バトエルデン「はっはっはっ、こいつう。ぐは、ぼて」
67m彼方からこっちに気付いて笑顔でダッシュしてきて、そのままライダー○ックばりの跳び蹴りを叩き込まれそうですね(笑)
余った名誉点はコネクションに費やします。これは「ルールブックV」で追加された名誉点の使い方で著名人とのコネを得ます。
コネは「顔見知り」「友人」「貴重な友人」の三段階で、後者ほどより強いコネになる代わりに消費する名誉点は多くなります。
実は大司教もちゃんとリストに出ているんですよ。順に100点、500点、1000点です。ルーフェリア神殿で大司教と握手!
とはいえ名誉点を費やすまでもなくコネができることもあるわけで、その場合はそのコネに必要な点数だけ合計名誉点を増やせばいい。
例えばぞんざいズなんか100点分ぐらいのコネはもうあるわけなので、その分を合計名誉点に加算してもいいでしょうね。
ところがゆんはこれでルキスラ帝国の皇帝ユリウス・クラウゼの「友人」になってしまいます。
GM「年代設定上、まだ皇帝ではないよ?シナリオにも登場予定はないけど?」
ゆん「かまいませーん。あの子、小さい頃から脅かしてたのよ。「いないいないばあ」って」
GM「よくとっつかまって死刑とかならんかったな」
ゆん「魔動バイクでも追いつかない俊足で逃げました」
ルキスラ帝国は大陸の北に位置するザルツ地方の大国です。恐らくはアイヤール以上の武力を持っているでしょう。
10年後の未来でユリウスは若年ながらもその辣腕で国を大きくし、その権力は大陸でも随一でしょう。
実際彼のコネに費やす名誉点は順に500点、1000点、4000点とリストの中でもトップクラスです。
そんな大物にこの無礼千万な振る舞い。グラランに能力を持たせた結果がこれだよ、ていうか妖怪かお前は(笑)
ゆん「このレベル帯では役に立たない<バルバロスフード>がおしゃれなのです」
これは装備者を蛮族と誤認させる5200ガメルの品です。目標値14の《真偽判定》で見破れる程度の性能です。
他にも耳にする5種類の言語を理解できる<翻訳の耳飾り>をつけています。登録されている言語は変更不可で5万ガメルします。
背中には飛び道具に対する回避に+1の修正を入れる<そよ風マント>を装着。3万ガメルと地味なアイテムに金を注ぎ込んでいます。
★踏み倒し常習犯
次は知略を極めたパーティの参謀、"魔神学者"マイザール・フィクスです。
習得した技能は以下の通り。
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経験点は2500点ほど余らせています。基本は真語魔法・操霊魔法の両方をこなせる魔導師ですね。
ただしこのセッションが行われた当時は「ウィザーズ・トゥーム」は出ていないので深智魔法はまだ使えません。
さらにアルケミスト技能を割りと高いレベルでとって色々な賦術でサポート可能。前の3人に対して後衛につきます。
あとファイターやらスカウトやらありますが……。
マイザール「あとは、ファイターとスカウトをたしなみ程度に」
GM「たしなみ程度ってのは、3レベルぐらいかな?」
マイザール「やだなあ、7レベルで《タフネス》自動習得だからこそのファイターですよ。
スカウトも《ファストアクション》できるだけの7レベルです。ほんの、た・し・な・み」
これのお陰で魔導師のくせにHPが98点もあります。回避力11で雑魚相手なら何とかなる程度はありますね。
ちなみにプリースト技能もたしなみです。何故ならル=ロウドの2レベル特殊神聖魔法が【ラック】だからです(笑)
1日1回だけサイコロの振り直しができる便利魔法として、フォーセリアではチャ・ザの特殊神聖魔法でしたね。
そんな彼ですが魔導師としての実力は一流です。知力62で知力ボーナス+10とここに成長@をつぎ込んでいるようです。
これにより真語魔法の魔力は25、操霊魔法の魔力は22になります。セージ技能なんて4レベルしかないのに基準値14ですよ。
戦闘特技の構成は実に後衛らしいもので、当然のように《魔法制御》持ちなので強力な攻撃魔法を遠慮なく乱戦エリアに撃ち込めます。
《ファストアクション》が決まろうものなら魔法ダメージ2連発が敵を襲い、下手したら前衛の出番がなくなってしまう程の火力を誇る。
魔法使い系技能が合計29レベル(MP87点)あり、MP+15点の《キャパシティ》まであるのでMP148点と大変なことになっています。
装備として面白いのはカテゴリ《非金属鎧》のBランク装備<マナコート>です。ランクは低いけどお値段は2万8000ガメルです。
これは非常に特殊な装備で防護点は知力ボーナスに等しくなるという効果があります。マイザールの場合は防護点10点にもなるのです。
SSランクの<非金属鎧>はおろかその辺の<金属鎧>より防護点は上ですね。防護点11点の<ミスリルプレート>に次ぎますよ。
回避が下がらない分それより有利なこともあるでしょうし、魔術師はペラペラという固定概念をひっくり返す存在ですね。
あとは割りとマイナーな賦術を習得していて面白いですね。ゆんがマイナーな練技をいくつか覚えていたのと似た構図です。
【バークメイル】なんかはぞんざいズ未登場なだけで1レベルから習得できますけどね。防護点を上げる効果のある賦術です。
Bランクで+1、Aランクで+2、Sランクで+4、SSランクで+8です。味方にかけるなら抵抗もされずに3分間持続で便利。
もう1つ1レベルから習得できる賦術が【ミラージュデイズ】です。これは対象の命中力を下げる効果がありますが、抵抗されると消滅なので使い難い。
Bランクで−2、Aランクで−4、Sランクで−6、SSランクで−8されます。SSランクなら必中になるけど持続時間は1ラウンドしかない。
【エンサイクロペディア】は《魔物知識判定》の達成値を上げる効果があります。Bランクで+1、Aランクで+2、Sランクで+4ですね。
SSランクになろうものなら自動的に成功するという魅力的な効果になります。しかも対象がセージ技能を持っているなら弱点まで見抜ける。
【ビビッドリキッド】は対象のMPを回復させるというもの。Aランクで2点、Sランクで5点、SSランクで20点で、Bランクでは使用不可。
【ヒールスプレー】は対象のHPを回復させるというもの。Aランクで5点、Sランクで20点、SSランクで50点で、Bランクでは使用不可。
【ディバイドマテリアル】はちょっと変わった賦術でして、手持ちのカード1枚を1つランクの低い同色のカード8枚に分解するというものです。
カードの値段は1ランク上がると10倍になることを考えると金銭面では得をしませんが、緊急時に質より量で賦術を使いたい時は役に立つ賦術ですね。
これとは逆の効果の【コンバインマテリアル】という賦術も存在します。こちらは手持ちのカード15枚を1つランクの高い同色のカード1枚に合成します。
こっちも金銭的に考えると損をしてしまいます。しかしSランクから緊急でSSランクを作ったりもできるわけで役に立つ場面もあるかもしれない。
このように後衛を極めたマイザールですが、そんな彼だからこそ切っても切れない問題があります。
マイザール「GM、爵位はタダと聞きましたが、騎士位もですか?」
GM「……」
バトエルデン「露骨に苦い顔をしましたね」
GM「何考えてるか、丸わかりだから」
マイザール「もちろん、借金踏み倒しまくるんですよ」
名誉点の使い方の1つとして、騎士位、爵位等の地位を利用した借金の踏み倒しというものがあります。
これを行うと合計名誉点・所持名誉点を100点失う代わりに1万ガメルを得ることができます。そりゃあ名誉も傷つくというものです。
マイザールの場合は騎士位を150点で入手したとして、残る所持名誉点は2850点。よって28回、28万ガメル分踏み倒せるのです!
錬金術はお金がかかる。これは某錬金父娘の一件で嫌というほど学んだことです。15レベルの大魔法使いですら例外ではありません。
フェルディナント「でも、限界まで踏み倒すと、合計名誉点3000点の我々とじゃ、名声に差が出ますよね?」
「国の第一人者」に対して合計名誉点200点では「噂の人物」ですね。この場合の噂は悪名でしかないんでしょうね(笑)
フェルディナント「いいぜ?そういうふうに扱ってやるよ」
バトエルデン「我々はオールスター。きみは、町内野球の名手」
ゆん「それは頭が上がらない」
マイザール「うわ、ヒエラルキーの恐怖だ」
そこでマイザールは皆と同じ地位に留まるためにちょっと加減します。「国の第一人者」自体は合計名誉点2000点超でなれるものです。
つまり踏み倒しを9回までに抑えて合計名誉点を2100点にすると何とかなるのです。2000点にしちゃうと1つ下になるんですよね。
結局マイザールはこの金額でやりくりすることにします。これでもSSランクカードに換算すると4枚分でしかないと考えてしまうのが錬金術の恐ろしさ。
こうして不名誉な噂が付きまとう騎士位を得たマイザールはこれを「メルドリーネの騎士位」とします。
現在蛮族の大軍勢によって陥落寸前、スカード並に絶望的な状況に国民は難民化して流出し続ける大混乱で名誉もなにもありませんけどね。
今回彼は借金を踏み倒したせいで居づらくなって田舎に隠れていたという設定です。久しぶりの王都がこの大惨事とはなんてヒロイック……でもないか。
マイザール「ラッキー」
GM「ラッキー?」
マイザール「いやあ、金借りた商店も潰れちゃってそうじゃないですか。
これで本当に返さなくていい。もともと踏み倒した借金ですけど」←なんてやつだ
しかしそれで騎士位が失効してしまうと合計名誉点が減少しちゃうんですけどね。2100点の状態で150点下がると1950点ですね。
これだと格は1つ下がって「国家レベルの有名人」です。順番とかツケとかは強く頼めば通るという微妙なレベルになりますね。
★危険な宝石
最後はパーティ随一の知識の持ち主、"カイン・ガラの宝石"ジュエリィ・ルーティアです。
種族はドワーフ出身のナイトメア。ドワーフ出身なので弱点は火属性です。またドワーフ出身でもナイトメアなのでセクシーな美女の姿です。
習得した技能は以下の通り。
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経験点は丁度使い切っていますね。フェアリーテイマー技能とセージ技能の両方を15レベルまで伸ばしているのが特徴です。
マイザールとはまた違った形で後衛型です。さり気なくマギテック技能を持っていますが、どうやら生まれの技能を伸ばしたらしい。
しかし技能に負けず劣らず恐るべきはその知力の高さです。
ジュエリィ「《叡智の腕輪》で知力強化した分も含んで、知力ボーナスは+11ですよ」
なんとマイザールを上回る知力66です。基本となる妖精魔法の魔力が26、セージ技能の基準値も26ととんでもないことになってます。
これだと達成値にして30越えが当たり前のように出るわけで、マイザールの【エンサイクロペディア】は必要なかったかもしれませんね。
セージ技能といえば豊富な自動習得の戦闘特技ですが、ぞんざいズのソラでさえ未到達の12レベルと15レベルにも存在します。
12レベルで自動習得するのは《マナ耐性》です。マナの動きを見て最適の防御を行い恒常的に魔法ダメージ−5点と強力な効果です。
15レベルで自動習得するのは《賢人の知恵》です。こちらはセージ技能による判定を1回やり直せるというものです。
よって1回目に1ゾロを振ってもまだ諦めるのは早い。本当に自動的失敗になってしまうのは連続1ゾロ(1/1296)のみとなる。
こうなるとセージ技能の基準値の高さもあって本格的に《魔物知識判定》で怖いものなしになってしまいそうですね。
あとはやはり嗜みとしてスカウトもとっているので《ファストアクション》で魔法2連発が可能。マイザールと合せて4連発が可能になる。
さり気なく《鷹の目》を取っているので遮蔽越しに魔法を当てることも可能。《キャパシティ》込みでMP146点とこっちも凄い。
防具はやはり<マナコーチ>なので防護点11点と<ミスリルプレート>に並びました。ただし前衛系技能皆無なので全く回避はできません。
GM「このレギュレーションでナイトメアということは……」
ジュエリィ「ハイ、<異形の面>装備です。これいいよお、ふうううんと異貌してたらあら不思議、HPもMPもいつの間にか全回復」
バトエルデン「俺だって、自分で泉湧かして1時間浸かって全回復できるぞ」
マイザール「見劣りしますね。エルフを水で戻せるのは1日1回だけ」
バトエルデン「水で戻すって、人をわかめみたいに言うな」
これで休憩さえ挟めればリソースは無限ですが、今回はそういうのが有効なリソース削りのシナリオにはなっていないそうです。
お祭り企画なので戦闘は毎回全力が基本。それに高レベルな魔物を操作するGMの負担が半端ではないので数はこなせません。
なにしろ複数系統の魔法をそれぞれ15レベルで使用とか当たり前に出てきますしね。持久戦よりド派手な短期決戦のが面白そうです。
あとは名誉点の使い道ですが、ジュエリィの場合もコネにぶっこんだようです。
GM「誰?」
ジュエリィ「デュボール王国の竜侯爵、バスティアン・ベアールさんです」
デュボール王国はザルツ地方の南方にあるリーゼン地方に存在する国です。竜騎士を擁するのが特徴で、フォーセリアでいうハイランドですかね。
バスティアンはリプレイ「マージナル・ライダー」シリーズに登場する重要NPCであり、次期国王の候補でもある美形の竜騎士です。
どうやらジュエリィは昔リーゼン地方にいたらしく、その時に彼の「親しい友人」になったようです。名誉点にして1000点分のコネですね。
ユリウス同様にあまりにも遠方に住んでいるので今回は出演する機会はありませんが、将来的に拾われなくもないコネになっています。
★困った三択
以上でキャラメイクは終了。終わってみれば5人中4人が《ファストアクション》可能というとんでもないことになりました。
マイザール「違う人がいるんだ」
バトエルデン「いかんかね?きみらと違って俺には、「パブリック・イメージ」というものがあるのだよ」
フェルディナント「壊す気満々のようにしか見えないのに」
実際のところ防御型の神官戦士が《ファストアクション》してもあまり嬉しくないとか。近接攻撃も魔法攻撃も他の人達には劣りますし。
乱戦エリアに突入して【フォース・イクスプロージョン】しようにも《魔法制御》無しでは味方まで巻き込んじゃいますからね。
そういう意味では単身大勢を相手にするボスキャラっていいですよね。味方を巻き込む必要がないから好きなだけ爆発できる。
バトエルデン「その代わり、防御は完璧だぞ。「仲間を癒すためにも、自分は絶対に倒れない」が信条」
ジュエリィ「あら不思議、気がついたら立っているのは自分だけ」
ゆん「ぶらり大司教、一人旅」
マイザール「唐突に単身現れると思ったら、そんな秘密が」
バトエルデン「そ、そんなことはないぞ」
この信条はエアにも受け継がれていますね。何しろ回復役を真っ先に潰すのは定石ですからね、それに耐えるだけの頑強さが大切。
実際敵にしてみれば相当厄介だと思いますよ。物凄い勢いで回復されるのに倒そうにも倒れないなんて悪夢でしかない。
それでは本格的にシナリオに入ります。事前に聞かされている通り、舞台はフェイダン地方のメルドリーネ王国です。
現在蛮族の大軍勢の侵攻を受けて陥落も目前という絶望的状況です。ここに5人の英雄達が集まってきました。
フェルディナントなんかは手勢を引き連れて駆けつけるという伯爵様らしい姿で登場します。
ただしサイコロを振る戦闘には彼らは参加できません。したとしても十把一絡げに殺されるだけでしょうし。
仮に正騎士相当の実力でもモンスターデータで7レベルでしかない。10レベル超が雑魚扱いの今回のシナリオでは本当に死ぬ。
肝心の導入ですが、これは3つのシチュエーションが用意されています。5人はこの3つのいずれかに遭遇するというわけです。
それぞれ強力な蛮族に人族が命を脅かされているという危機的状況です。これに割って入って劇的に活躍するという格好いい導入なのです。
登場する蛮族はいずれもぞんざいズでも一筋縄ではいかない程度の実力はあるのですが、この連中が相手ではいい引き立て役でしかない。
それでは1つずつ順番に確認していきましょう。状況を聞いてから適切な人選を行うというのも一つのゲーム的面白さですからね。
ちなみにいずれのシチュエーションもPCが登場した瞬間に《先制判定》を行えます。
登場する位置は乱戦エリアの中心から10m以上でさえあれば任意の場所から現れることができます。
これを活かして先手を取って潰すのが一番被害の少ない解決法でしょう。幸い《ファストアクション》できる人は多いし。
シチュエーション1
蛮族:オーガバーサーカー(11レベル)×12体
人族:正騎士(7レベル)×6人、その他一般市民が沢山
このシチュエーションでは12体のオーガバーサーカーが市民に襲い掛かり、それを阻止しようと6人の正騎士が立ち塞がっています。
しかし彼我の実力差はいかんともしがたく、命に代えても守るという騎士の矜持すら守れそうにないという絶望的状況です。
GM「1体でも突破を許せば、その向こうの無力な一般市民が犠牲になってしまうでしょう」
バトエルデン「ちょっとGM、何言ってんの?」
マイザール「その状態で騎士を守れと?」
GM「最悪、騎士の1人2人は殺されてもかまいませんが、後ろの市民に被害が及ぶようじゃあ、困りますな」
オーガバーサーカーといえばゼルブリスのレオルズの同族ですよ。そんなのが12体っていきなり何を言っているんだ(苦笑)
具体的にデータを比較すると、オーガバーサーカーの命中力は15(22)で、正騎士の回避力は9(16)で普通は当たる。
《全力攻撃U》をすると2D+26点で期待値33点。正騎士の防護点は10点なので23点は通ることになります。
《連続攻撃U》があるので最大3回命中で69点は削られる。正騎士のHPは66点なので丁度いい感じで1ラウンド・キル。
正騎士の方の命中力は10(17)で、オーガの回避力は《全力攻撃U》で−2されてやはり10(17)、半々命中ってところです。
ダメージは2D+9点なので期待値は16点程ですね。オーガは防護点13点でHP88とかあるのでまず削りきれませんが。
現在乱戦エリアは18体が存在するのでリミットまで2つです。もし手番を取られたら乱戦エリア自体消滅しかねませんけどね。
なにしろオーガバーサーカーは1体の手番で正騎士1人を倒せますから、6体が足止めを食らうだけで正騎士は全滅します。
その瞬間乱戦エリアは消滅するので他の6体のオーガバーサーカーは離脱の宣言の必要もなく、市民に襲い掛かってしまいます。
やはり先手を取って潰すしかありませんね。この無茶振りにこの英雄達がどう対処するのか要注目ですね。
シチュエーション2
蛮族:オーガウォーロード(13レベル)、ヒルジャイアント(10レベル)×2体
人族:王妃様、赤子の王子様
このシチュエーションでは敵の数こそ少ないですが、レベル的にはさっきのそれを上回る強敵が待ち構えています。
王妃様と幼い王子様を乗せた馬車が横転し、従者一同皆殺しにされて護衛もいないという絶望的状況です。
さっきと違ってこっちのボスは知能が高く、すぐに襲い掛かる様子はなさそうですがね。
オーガウォーロード「女王陛下、お教えください。ご存じでないとは言わせませぬよ」
このように脳筋のオーガバーサーカーとは違って賢そう。何やら情報を聞き出そうとしています。
またオーガの王らしく誇りは高いので女子供を人質に取るタイプでないというのは好都合です。
そういえばこいつらはぞんざいズには未登場でしたね。データを確認しておきましょう。
オーガウォーロードは13レベルの蛮族です。変身能力を持たないが普通のオーガを遥かに上回るオーガの上位種です。
外見的には普通のオーガと大差ありませんが、冠や首飾りに王の証となる剣を持っているので判別可能です。
真語魔法10レベルと《魔力撃》を魔力14で使用可能。《魔法適性》持ちで《魔法制御》《マルチアクション》も使用可能。
《複数宣言=2回》という能力は《バトルマスター》に相当します。宣言形の特殊能力を2つまで宣言できるということですね。
ヒルジャイアントは10レベルの蛮族です。身長5mの巨人ですが、巨人の中では小柄で弱く知能も低い種族です。
上半身(コア)、下半身の二部位です。上半身は《怒号》を上げて精神抵抗に失敗した相手の行動判定に−2の修正を入れます。
下半身は御馴染みの《攻撃障害=+4・なし》を持っていて、コア部位である上半身への攻撃を妨げます。
ヒルジャイアントについてはジャイアントゾンビと能力がよく似ていますね。巨人のゾンビだから当然といえば当然か。
とはいえジャイアントゾンビが具体的にどの巨人のゾンビなのかはよく分かりません。他にも色々な種類がいるようだし。
本来はドレイクやバジリスク同様に蛮族の首魁になっていても不思議はないんですが、知能が低いためよく利用されているらしい。
「カルディアグレイス」で追加されたフォモールのように知能が高い巨人もいるようですが、数は少なかったり実権がなかったり扱いは悪い。
十三魔将のアルゴスのような大物もいるし、フォーセリアでは世界の鍵を握る種族だっただけに今後の活躍を期待したいものです。
シチュエーション3
蛮族:ガルーダ(12レベル)×3体
人族:塔に立て篭もった人物が1人
このシチュエーションでは王宮の塔が舞台となります。嵐が吹き荒れる中で最上階に何者かが篭っています。
そこに飛び込もうとしているのが3体のガルーダです。ここは必然的に空中戦になるので何らかの方法で空を飛べた方がいい。
マイザール「ボクなら、【フライト】がありますが」
バトエルデン「ドラゴネットをレンタルしているぞ。うっかり殺したら大変な出費だが。ガルーダ怖え」
ゆん「【ワイドウィング】で飛べるけど、走るより遅くなっちゃう」
バトエルデン「何を言ってるんだ、こいつは」
一応《練体の極意》はあるから持続時間は2倍だけど、それでも持続時間6分でしかありません。
既に足元の王都には万はいようかという蛮族がひしめいていて、略奪の限りを尽くしています。
とてもではないけど陸路で行き来できる状況ではない。この面子にとっては雑魚だろうけど数は脅威です。
ガルーダは12レベルの蛮族です。鳥の頭と翼を持つ体長3mほどの体。尊大な性格で「空の王者」の異名を持ちます。
人族を非常に憎んでいて空を飛ぶことを許さず、戦闘時には部下を用いず単身戦いたがるという特徴を持ちます。
頭部(コア)、胴体の二部位です。頭部は《連続攻撃U》と各種練技を使った嘴攻撃を行います。
胴体は《飛翔U》で空を飛びつつ、補助動作で広範囲の《乱気流》を操り主動作で《切り裂く風》で攻撃してきます。
前者は風を操って風属性魔法ダメージを与えつつ転倒させ、後者は風の刃によって斬撃属性魔法ダメージを与えます。
以上3つのシチュエーションに5人の英雄達がどう対処するか。
★蹂躙する力
話し合いの結果5人の配分が以下のように決まりました。
シチュエーション1:ゆん、ジュエリィ
シチュエーション2:フェルディナント
シチュエーション3:バトエルデン、マイザール
大司教は1人にせずスカウト技能を持つ人と組ませて、前衛3人はバラけるようにしていますね。
1はとにかく先手取って一気に数を減らせるようにジュエリィがいます。まともに乱戦やってたらブロックしきれない。
2についてはオーガウォーロードが人質を取らないなら単独で十分。雑魚はいるけど一騎討ちのようなシチュエーションになる。
3はドラゴネットと【フライト】が揃っているので飛行手段は豊富。マイザールがいればやはり先手を取って数を減らせますしね。
それではシチュエーション1から入っていきましょう。担当するのは女性2人です。
ジュエリィの登場位置は40m地点です。<カトレアの花冠>があるので射程30mの魔法が拡大せずに届きます。
射程10mの魔法でも(10m+10m)×2倍で届くという位置取り。ゆんは67m内なら何処でもいいけどジュエリィの少し前(笑)
知り合いという訳ではなかったので微妙に距離がありますが、互いに有名人なのですぐに分かる。
ゆん「オーガバーサーカーの集団見て、「やばいな、これどうしよう」と思ってたところでした」
ジュエリィ「そこへ魔動バイクをてろてろ転がしてきました。「あらあら、これは大変だわ」」
この時もゆんは<バルバロスフード>をつけていましたが、目標値14では基準値26のジュエリィを騙すことなどできないのです。
その場で偶然遭遇した2人は互いの正体を見抜き、この2人なら彼らを助けられるとアイコンタクトをして戦闘に入ります。
戦闘に入るにあたって《魔物知識判定》ですが、オーガバーサーカーは知名度15の弱点値19でしかありません。
ジュエリィの基準値は26とやはり連続1ゾロでもしない限り見抜けてしまいます。目標値が基準値より低いって何だか変な感じ。
当然ジュエリィは弱点まで見抜いて「魔法ダメージ+2」を得ます。《弱点看破》があるので「魔法ダメージ+4」ですね。
続いて《先制判定》ですが相手の先制値は17でゆんの先制力は24なのでやはり1ゾロ以外で成功でして、当然のように先制します。
1ラウンド目
まずはジュエリィによる範囲魔法2連発です。使用する魔法は【カオススマッシュ】で《魔法制御》持ちなのでオーガだけを狙います。
これは15レベルの妖精魔法で威力60で純エネルギー属性の魔法ダメージを半径6m/20にお見舞いします。
ジークが使っていた【カオスショット】の上位魔法ですね。「ウィザーズ・トゥーム」が出るまで妖精魔法で最も威力の高い攻撃魔法でした。
オーガバーサーカーの精神抵抗は13(20)なので達成値1回振りで全部抵抗を破り、ダメージは個別に決めます。
ジュエリィ「(コロコロ)1つ目、44点」←相手のHPは88点なのに
GM「は?」
マイザール「1発目で、半分持っていきましたね」
魔力26に弱点+4に[異貌]による+1で31点。威力60の出目8は13点なので合計44点ですね。
<マナリング>によるダメージ+1もあると思いますが、多分計算忘れか指輪を外しているかしたのでしょう。
それからも吹き荒れる魔法ダメージはオーガバーサーカー達のHPを容赦なく削っていきます。
結果的にダメージは44、56、45、77、45、56、44、72、42、45、58、45となりました。
これだと残りHPは44、32、43、11、43、32、44、16、46、43、30、43ですね。
ジュエリィにはまだ《ファストアクション》による2発目が残っているので、「もう全部あいつ一人でいいんじゃないかな」状態です。
GM「ゆんにも見せ場を渡してあげたいので、2回目のダメージは、なぜかすべて出目3だったことにしていただけませんしょうか?」
ジュエリィ「ハイ、わかりました。あー、2回目なぜか絶不調〜(笑)。妖精さんたち、疲れたのかなあ?」
バトエルデン「確かに酷使に見える」
出目3だと5点なので36点ダメージですね。これならHP36点以下の5体は消えて、残り7体になりますね。
HPは8、7、7、8、10、7、7と瀕死の状態です。それでもまだ7体いるので普通なら前衛1人では手が足りない筈ですが……。
それではゆんの行動ですが戦闘特技はまず《跳び蹴り》を宣言し、一番HPが残っているやつを蹴飛ばします。
命中力22で出目11なので達成値33と言って攻撃しますが、回避力12(19)の相手に避けられるはずもなし。
続いてダメージは出目3と低かったけど、威力23の<レッグオブオナー>ならそれでも4+20=24点にはなります。
相手の防護点は13でしかないので11点抜けて倒しました。後は多くてもHP8点、防護点を含めて21点出せば倒せます。
それならばとゆんは【ドラゴンテイル】で<尻尾>を生やし、《バトルマスター》で2つ目の戦闘特技《テイルスイング》を宣言します。
威力11なら出目3でも1点は出るので21点以上になる計算です。これでバタバタと5体のオーガバーサーカーが倒されました。
できれば《追加攻撃》で倒したいところですが、《追加攻撃》は目標を変えられないので最後の1体を狙うことはできません。
しかしゆんにはまだ《ファストアクション》による2回目があるので普通に蹴っ飛ばして最後のオーガバーサーカーを倒しました。
もしまだ数がいるようならまた《テイルスイング》できたし、【フェンリルバイト】や【バルーンシードショット】の攻撃もできたという恐ろしさ。
こうして鏖殺は一瞬にして完了。12体相手にたった2人でも余裕たっぷりですね。
ゆん「イエーイ、こんにちは」
ジュエリィ「ハイ、固まって固まって。みんなに【ウィスパーヒール】」
GM「いや、怪我してないし、怪我する間もなかったし」
「魔力」点の回復に過ぎないこの魔法もジュエリィにかかると26点は回復してしまうわけです。下手なキュアよりもよく治る。
一時は死を覚悟していた正騎士達は最初はぽかんとしていましたが、自分達が英雄に助けられたことを理解すると我に返ります。
そしてちょび髭の騎士団長が前に出て彼女達にお願いをします。
騎士団長「王宮に、この国の若き王が単身、残っておいでなのです。何とか助けていただけませんしょうか?」
ジュエリィ「あら、それは大変」
騎士団長「無理な頼みとはわかっていますが、何か、全然無理な頼みでも何でもない気もするので」
どうやら王様は「やることがある」と1人で王宮に残ったらしい。シチュエーション3に繋がるであろう情報ですね。
★伯爵無双、何かずるい
次はシチュエーション2です。こちらはフェルディナント単独です。一応配下もいますが宣言通りに参加はさせません。
フェルディナント「魔動バイクに乗って颯爽と登場だぜ。バックにかっちょいいBGMをイメージしてくれたまえ。チャラッチャー」
オーガウォーロード「何者だ、貴様?」
フェルディナント「アイヤールの伯爵、"闘神"フェルディナントだ。貴様の蛮行、許すわけにはいかん」
オーガウォーロード「ほう、このグラブソーンを遮るか?」
フェルディナント「無論」
グラブソーン「いい覚悟だ、来い」
何だか格好いいやり取りですが、グラブソーンというのは急遽命名しただけで重要NPCという訳ではありません。
来いとか言いつつヒルジャイアントをけしかけるのですが、本来ヒルジャイアントとオーガウォーロードは言葉が通じません。
オーガの方は交易共通語、汎用蛮族語、オーガ語、ドレイク語、魔法文明語と知能が高いだけにマルチリンガルです。
ところがヒルジャイアントは巨人語を話せるのみ。とはいえいくら知能が低くても簡単な命令ぐらいなら教えられるでしょう。
なんならグラブソーンの方が巨人語も喋れるとしてもいいと思う。データ通りの能力でなければならない理由はありませんしね。
戦闘に入る前に《魔物知識判定》ですが、セージ技能が2レベルの伯爵には難しかったようです。
伯爵の魔物知識は7しかなく、知名度/弱点値が16/20のグラブソーンも、15/18のヒルジャイアントもキツイ。
結局見抜けたのはヒルジャイアントの知名度のみでした。グラブソーンはデータの確認ができないまま戦闘に入ります。
《先制判定》ではうっかり出目4を出して達成値19となり、先制値20のグラブソーンに遅れを取りましたが。
フェルディナント「ここは、[剣の加護/運命変転]。コロリン。出目4が10になって、さらに+2されて達成値27。やっぱ、人間最高」
GM「……どうぞ」
ということで先攻です。先制値15だから本来は簡単に取れる筈だったんですけどね。【イニシアティブブースト】は取ってなかった。
1ラウンド目
伯爵の先攻ですが今回は戦闘特技の宣言は特になし。通常移動しないといけないので《マルチアクション》できないんですよね。
グラブソーンは一部位なので《薙ぎ払い》のメリットもないし、真語魔法を使う相手に精神抵抗力が下がる《魔力撃》は躊躇われました。
フェルディナント「オーガウォーロードは、確か魔法を使ったよなあ。《(強化)魔力撃》は、今ひとつ不安か」
GM「使えば否応なく回避抵抗−2。《魔力撃強化》は、実際は《過激化》だからね。リスクとリターンが同時に高くなる」
フェルディナント「見返りを考えると、習得しない手はないすけど」
精神抵抗は−2されて18になります。一方相手は魔力14なので有利ではあるけど、データを参照できなかったので慎重になっているのかな。
こうして伯爵はグラブソーンに向けて移動。途中でヒルジャイアントが立ち塞がりますが《影走り》があるので悠々とすり抜けます。
そして4つの練技を全て使用し、更に【クリティカルレイ】をAランクで入れて準備万端。補助動作でこれだけ色々やると気持ちがいいです。
現在命中力が26にもなっている伯爵は当たり前のように達成値34を叩き出します。これには回避力14(21)の相手はなす術無し。
<ガイスター>の一撃は威力70+26点で、出目は5とショボかったものの賦術のお陰で+2して出目7。40点を叩き出します。
オーガウォーロードの防護点は16点なので24点抜けました。HP121点あるのでこれぐらいではまだ参りませんけどね。
更に《ファストアクション》でもう1度ぶん殴って今度は出目9を出し、43点なので27点抜けます。これだけで51点は削っていますね。
グラブソーンは《複数宣言=2回》を利用して《マルチアクション》と《魔力撃》を宣言します。
魔法は補助動作で【ブリンク】を使いつつ、主動作では【ブレードネット】を使いますが達成値21では伯爵に抵抗されてしまいます。
ぞんざいズには登場しませんでしたが10レベルの真語魔法ですね。【ライトニング・バインド】は登場したんですけどね。
電撃の網と違ってこちらは刃物の網で絡め取るだけです。威力は0と低いし相手が行動しなければダメージは与えられません。
それでも抵抗しても短縮、すなわち1ラウンドは効果があるので魔力分の14点は抜けるというささやかな嫌がらせにはなる。
近接攻撃の方は達成値24とかなので回避力22、【ガゼルフット】込みで23になっている伯爵に当たるわけもない。
ヒルジャイアントも20ぐらいの攻撃をしてきますが悉く回避します。やはり役者が違いすぎますね。
<ガイスター>のせいで5点分はHPが減らされてはいますが、HPの量が違うのでまだまだいけます。
2ラウンド目
今回の伯爵の宣言は《マルチアクション》と《魔力撃》です。ようやく本腰を入れてしばけるようになりました。
使用する魔法はキルヒアの13レベル特殊神聖魔法【コンプレーション】です。10レベルまでの任意の真語・操霊・妖精魔法が使える。
消費MP10点と比較的重く、またその魔法を使うためのMPも別に消費するため燃費は良くないけど色々なことができますね。
幸い<魔法の発動体>とか<宝石>とか発声・動作・装備制限等は無視できるので使用そのものに困ることはありませんが。
今回使用するのは【ディスペル・マジック】です。これでグラブソーンの【ブリンク】を解除してから殴るのです。
この時使用する魔力は神聖魔法のものが使えるので魔力18です。魔力14に過ぎない相手の魔法を破るのは簡単ですね。
とはいえこうでもしないと基本的に1ラウンドに1回しか攻撃できない伯爵は【ブリンク】に振り回され続けるんですよね。
GM「やりたい放題なこと言われた気がする……」
マイザール「ルールはまったく逸脱してませんよ?」
フェルディナント「ひゃっはー命中、そして、ダメージ。(ころころ)あああーっ!!」
GM「どうした?」
フェルディナント「【クリティカルレイ】入れるの、忘れてたー。出目9やったのに」
GM「あれだけやって、まだ宣言足りないとは」
今回は魔力が乗っているので前ラウンドよりダメージは18点多くなり、61点ダメージを叩き出します。
これだと45点は抜けて2ラウンドで96点も削ったことになりますね。同じことをもう1ラウンドやると耐え切れませんよ。
その後の展開も前ラウンドと同じです。有効打は抵抗上等の【ブレードネット】のみで近接攻撃は悉く回避します。
3ラウンド目に同じことをすれば予想通りにグラブソーンは倒れ、ヒルジャイアントは勝負が見えたので倒したことにして戦闘終了。
マイザール「オーガウォーロードが為す術なしか」
フェルディナント「ふっ、また、俺の戦歴に一頁を刻んでしまったぜ」
一応【ブレードネット】2回(28点+α)と<ガイスター>3回(15点)で伯爵のHPも半分ほどなくなってはいるんですけどね。
その傷も【キュア・モータリー】であっという間に治してしまいます。一応"賢神"キルヒアの神官戦士ですから、とてもそうは見えなかったけど(笑)
さて、赤ん坊を抱いた王妃様が話しかけてきます。
王妃「どなたかは存じませぬが――いえ、あなたは名高い、"血まみれ伯爵"」
フェルディナント「"闘神"。"血まみれ"伯爵なんて異名は触ったこともない」
後に彼女はアイヤールのさる領主の娘で、メルドリーネに嫁いできたことになりました。それなら伯爵の勇名を詳しく知っていそうなものです。
王妃「ここにあなたのような高名なかたがいらしたのも、きっと神のお導き。我が王を助けてください。
王は、私とこの王子を先に逃がし、ご自分は『為すべきことがある』と、蛮族の押し寄せる王宮に留まってしまわれたのです」
伯爵はこれを快諾し、王妃様と王子様は配下に任せて単身王宮へと急いだのでした。またもシチュエーション3の情報が出てきましたね。
★大司教の存在感
最後にシチュエーション3です。キナ臭いものを感じて調査に訪れたバトエルデンでしたが、到着した時には既に国はこの状況でした。
そんな中で王が単身王宮に残っていると難民の間に広がる噂で聞いたので、ドラゴネットに騎乗して現地に向かいました。
途中でマイザールを拾って【タンデム】したまま空を飛び、王宮の屋上には何事もなく着陸できたところからスタートです。
ゆん「それを下から見上げてます。「おお、あれは名高い"湖の大司教"バトエルデン」。
やった、初めて見たぞ。おーいおーい、ちぎれるほど手を振るから」
ジュエリィ「すごいね。ドラゴネットに乗ってる」
ゆん「はっこいい。さすが、エルフ。さすがバトエルデン様」
バトエルデン「はっはっは。今度こそ、愛騎の名前はクラウンだ」
今度は馬刺しにされることはないでしょう。実質的にルーフェリアの国のトップにあたる実力者なんだし。
GM「王位簒奪諦めてなかったのか」
バトエルデン「昔も今も、そんなことは考えていません。実質、俺が王みたいなもんであっても」
フェルディナント「不遜な発言来た」
バトエルデン「国のお守りより神様のお守りのほうがよほど大変、いやいや」
いいですね、この慢心っぷり。本当にそれだけの実力はあるもんだから否定できないし(苦笑)
そうこうしていると、こちらに負けず慢心しているガルーダに目をつけられました。
ガルーダA「邪魔しようというなら、相手になろう。まずは、俺が行く。お前たちは手を出すな」
最初はどうなることかと思いましたが所詮は12レベル3体です。今までのシチュエーションと比較したら負ける気は微塵もしません。
《魔物知識判定》は大司教もマイザールも成功、マイザールは弱点まで抜きました。弱点は「衝撃属性ダメージ+3」ですね。
GM「うへ、衝撃属性ダメージ+6ってこと?」
マイザール「いえ、セージ技能は4レベルしかないんで、《弱点看破》はありませんよ」
GM「それで弱点値抜いたの?」
マイザール「知力ボーナス+10ありますから」
ちなみに知名度/弱点値は14/19です。マイザールはセージ技能が4レベルでも魔物知識14、楽勝ですね。
続いて《先制判定》です。ガルーダの先制値は20と、有翼種族のイメージに背かずなかなか高いです。
これに対して先制力11のマイザールは【インシアティブブースト】Sランクを入れて+4です。これなら出目5以上で成功です。
ところが予想外に出目がよくて出目11でした。達成値26で結果的には賦術は要らなかったけど、本当に結果論ですね。
1ラウンド目
マイザールも《魔法制御》つきの魔法ダメージ2連発が可能なので、折角だから【メテオ・ストライク】を使います。
これは15レベルの真語魔法で威力100で衝撃属性の魔法ダメージを半径6m/20にお見舞いします。
フォーセリアの頃から最高の威力を誇る攻撃魔法として君臨する由緒正しい魔法ですね。まさかリプレイで拝める日が来るとは。
威力100というのもぶっ飛んでいていいですね。昔自作のレーティング表で考えたことはありますが公式で実現するとはね。
余談ですがこの魔法、行使に1時間をかけることで効果範囲と威力を上げ、小説のような大規模破壊を実現可能になりました。
射程1km、半径500m/全部に隕石が降り注ぎます。範囲内の構造物や建造物も防護点0のC値8で破壊します。
精神抵抗は固定値で22なので基準値で25あるマイザールの魔力に抵抗できる筈もなく、3体とも巻き込みます。
マイザール「ついに来ました、威力100。まさかこんなの使う日が来るとは」
GM「使われる日が来るとは」
マイザール「1つ目の頭。(コロコロ)回った!回った回った!」
GM「終わった」
マイザール「(コロコロ)78発!」
GM「はい、死んだ。何だこれ」
フェルディナント「でかい隕石、頭に直撃したな、おい」
威力100というのは出目7で20点、出目10で24、出目12なら30点というとんでもない世界です。クリティカル込みの期待値は22点ですかね。
ガルーダのHPは頭部が61点、胴体が72点です。これに対し威力100+29点は出目7だと49点で半分以上を削る感じですね。
その後も降り注ぐ隕石はガルーダ達を削り続け、2体目には43点と43点で瀕死に追い込み、3体目はまた回って72点出して即死させます。
GM「大司教、いかがいたします?まだ、この人《ファストアクション》の2回目残してますけど?」
バトエルデン「……好きにやんなよ」
ゆん「ああ、バト様が悲しい顔を。これはよくない。あ、そうだ、ほら、大司教はまだ出番じゃなかったのよ」
ジュエリィ「そうそう、最終兵器だから。出番はまだ先なんだよ」
バトエルデン「なるほど。この程度の相手、余が動くまでもないってことか」
フェルディナント「「余」とか言い始めたか」
【コール・ゴッド】まで視野に入れたら確かに最終兵器っぽいですね。まぁそれでも確実に滅ぼせるのは15レベルまでなんですけどね。
今回のシナリオは15レベルどころか20レベル超まで視野に入っているので、ルーフェリア様に一掃してもらうわけにはいきません。
もっとも問答無用に滅ぼせるのが15レベル以下というだけで、ルーフェリア様の頑張りによってはもっと上の敵も倒せる……かもしれない。
というわけで残りHP18点を削るマイザールの次の一手ですが、これは【エネルギー・ボルト】です。
ゆん「いきなり超手抜き」
マイザール「(コロコロ)はい、28発」
バトエルデン「それも、【エネルギー・ボルト】のダメージとは思えんな」
威力10+26点なら出目5で28点とかになりますしね。今のは【サンダー・ボルト】ではないエネボルだって感じです(笑)
この一撃で頭部を失った最後のガルーダは墜落していきました。
ジュエリィ「さらば、「空の王者」カッコ笑いカッコ閉じる」
残念ながら大司教の出番はなかったものの、彼らの強さを確認するには十分過ぎるほどでした。
★戦慄の刻
3つのシチュエーションが終わったところでいよいよ本編開始です。英雄達は蛮族達でひしめく王宮に集まってきました。
マイザール「ボクがどんどん焼いていきますよ」
ジュエリィ「積極的?」
マイザール「今までは、借金しては逃げて引きこもる毎日でしたが、今日、何かに目覚めた気がするのです」
フェルディナント「そうだろう、これが「力」ってやつだ。ケンシロウ、暴力はいいぞ!!」
バトエルデン「ちっ、俺も暴力してえ」
そういえば大司教以外の人達の経歴ってどうなっているんでしょうね。彼らだって駆け出しの頃があった筈ですが。
一部は経歴表やコネの内容から推測できますが、15レベルになるほどの経験を積んでいるのなら色々あったでしょう。
いわゆる冒険者として経験を積んでいた時期とかもあったんでしょうかね。マイザールの今の姿を見るとちょっと想像し辛いけど。
さて、3体のガルーダを倒したところで王様が屋上に上がってきます。既に天候は嵐、雷が鳴り雨が降ってきていますが。
国王「ガルーダ3体を前にどうにもならず、このままでは、手を打てないまま終わるのではないかと危惧していたのですが……」
バトエルデン「ガルーダ3体?そのようなものおりましたか?」
国王「しかし、あなたがたの援軍も遅すぎました。見ての通り、この国は、もはやおしまいです」
何体か強い蛮族は倒しましたが、既に無数の蛮族が街にあふれかえっていて、国民も殆ど流出してしまいました。
いくら英雄達でもこの数を掃討するのは骨でしょう。それこそ「魔神戦争」よろしく大規模な軍勢で奪還するような状況です。
しかし王様には何か策がある様子でした。
国王「――どうにかなるかも」
マイザール「そうそう。1時間儀式してから【メテオ・ストライク】すれば一掃」
バトエルデン「街ごとなくなるだろ、それは。むしろ、俺の【コール・ゴッド】ですぱっとさわやか」
GM「残るで。15レベル以下の蛮族だけなんて誰が言った?」
15レベルになりたてよりかなり強いパーティを相手に、15レベル以下の蛮族達では勝負になりませんしね。今までの導入で見てきたから分かる。
これ程の規模の軍勢を率いる以上はかなり強力な蛮族の指揮官がいると思っていいでしょう。
国王「オーガウォーロードやガルーダなぞ、王者気取りなだけで、ただの雑魚です」
ジュエリィ「やっぱり、「空の王者」カッコ笑いカッコ閉じるなんだ」
強力な蛮族であることは確かですけど上には上がいる。蛮族は協調性がない代わりに個体の強さは人族とは比べ物になりませんしね。
それでも人族が勝利できるのは力を合せることができるから。まぁ伯爵みたいに尖がった実力の持ち主も極稀にいるわけですけど。
国王「ですので、あなたがたに託したい。――あれ、戦士はいない?魔法使いのかたと、タクシー運転手のかた?」
バトエルデン「ちょっと待て。この"湖の大司教"バトエルデン・エラーを知らないのか」
国王「おお、名前は聞いたことがあります。ならば、やはり託したい。我が王家に伝えられる1振りの魔剣を」
バトエルデン「しかと預かろう」
国王「ご自分でお使いにならずとも、あなたのような高名なタクシー運転手のかたなら、強き戦士を乗せたこともあるでしょう」
バトエルデン「こら。あくまで運転手かよ。違うっつの」
フェルディナント「さあ、バトエルデン、早く俺様をそのドラゴネットに乗せて飛んでくれ」
バトエルデン「お前もか、お前も、この"湖の大司教"を運転手扱いか」
この状況を打破できるかもしれない魔剣の存在に伯爵は強く関心を示します。これ程の英雄なら強力な魔剣を求めるのも当然のこと。
国王「魔剣は、それを1振りするだけで、万の軍勢を屠ると伝えられています。しかし、その強さゆえに持ち手を選ぶとも」
そしてそんな強力な魔剣だから古代の魔術師によってある所に封印してあって、今から王様が召喚するというのです。
現在王様の手元には召喚のためのアイテムが2つあります。魔剣のための鞘と魔剣封印の鍵である指輪です。
さっきまでは王様自身が一か八か使おうとしていましたが、持ち手を選ぶというのなら強い戦士に託したいというわけです。
フェルディナント「バトエルデン、カモーン!早く、早く、俺様をそこへ連れていけ」
バトエルデン「俺が使うっつーに。お前は、そこでまだ残ってる蛮族の相手でもしてろ」
フェルディナント「くー、畜生。おらー、《強化魔力撃》《薙ぎ払い》じゃー。オーガの首が5つばかりすぽぽぽーんだ、この野郎」
ジュエリィ「【カオススマッシュ】。かわゆくボガード20体ばかり吹き飛ばしてみました」
オーガはHP48点の防護点7点ですから55点で即死です。伯爵が《魔力撃》すると丁度それぐらいのダメージになるんですよね。
言わずもがなHP21点程度のボガードがジュエリィの魔法に耐えられるわけもない。魔力だけでお釣りが来るぐらいの実力差です。
そんな光景が足元で展開する一方、王様は指輪を指に嵌めて鞘を天に掲げ、雷雨が吹き荒れる中で召喚の儀式を行います。
国王「古きより指輪と鞘を受け継ぎし者が求める。汝、呼びかけに応えて来よ。
強き魔剣よ、我は汝を欲す。来たれ、<滅びのサーペント>!」
ジュエリィ「ヤバい、その名前ヤバい。絶対ヤバい」
すると上空の雲が凄まじい速さで渦を巻き、雨は肌を痛いほど打ち、風は竜巻となり、幾条もの雷が天を引き裂きます。
そして渦巻く雲の中心から灰色の大蛇が降ってきます。胴体は王宮の塔より太く、途方もない巨体の持ち主です。
蛇は口を開けて塔ごとその場の人達を丸呑みにしようとします。幸い目標値12程度の《回避力判定》です。
大司教とクラウンは回避に成功です。マイザールも嗜んでいたファイター技能のお陰で命拾い、ついでに【フライト】で脱出。
バトエルデン「国王は?【タンデム】で乗っけて逃げたいんだが」
そう、問題は王様でした。何しろこの人は戦士系技能皆無で回避力0なのです。丁度平目で6ゾロじゃないと避けられないんですよね。
〔剣の加護/運命変転〕はありますが、それを入れても1/36が1/18になっただけ。案の定失敗して王様は蛇に呑まれました。
王様を呑んだ蛇はそのまま塔を飲み込んで地面に激突、無数の瓦礫や土砂を舞い上がらせながら地面にクレーターを作ります。
すんでのところで回避した大司教は、自分のすぐ横でくるくると宙を舞う王様の千切れた右腕だけを回収できました。
ゆん「きゃー」
マイザール「うわあー」
バトエルデン「何てこった。頭と背骨がないと【リザレクション】できない。残念だ」
フェルディナント「あんた、神官でしょう」
バトエルデン「生まれはコンジャラーなもんでな、つい」
実は伯爵もマイザールも神官ではあるんですよね。とてもそうは見えないけど(笑)
とにかく偶然か何かの謀か、大司教は王様が持っていた封印のための指輪だけは入手しました。
ところが異変は終わらない。地面が揺れて蛇が開けたクレーターがさらに大きくなっていくのです。
やがて街全体が巨大なすり鉢状に変化し、街で略奪をしていた大勢の蛮族も地面に吸い込まれたのです。
こうしてメルドリーネの街は大勢の蛮族を道連れに滅んだのでした。
バトエルデン「なるほど、なぜか10年先が未来視できる俺の、記憶にない街だと思ったぜ」
フェルディナント「何だこれは、まるで地獄の釜が開いたかのようだ」
住民は皆避難していたので犠牲になったのは蛮族だけというのがせめてもの救いか。もうこの土地での復興は無理そうですが。
ところがまだ異変は収まっていません。クレーターから甘い香りのする瘴気が立ち昇り魔神の姿が現れます。
《魔物知識判定》で達成値34を叩き出して知名度どころか弱点値まで抜きました。魔神将ゲルダムでした。
ゲルダムは19レベルの魔神です。身長5mの筋骨隆々たる肉体に黒山羊の頭を持ち、グレイブを得物にした魔神将です。
頭部(コア)、上半身、下半身の三部位です。全身を《瘴気の衣》が覆い、近接攻撃をする者に魔法ダメージを与え飛び道具をも逸らします。
頭部は神聖魔法15レベルを魔力21で使用し、乱戦エリアのキャラクター全員に《毒煙の息》を吐いて魔法ダメージを与えます。
上半身は《複数宣言=2回》を持ち、《全力攻撃U》と《命中判定》の達成値を35で固定する《魔法の武器》の宣言形特殊能力を使います。
また乱戦エリア内の全ての敵をまとめて攻撃する《一掃》を主動作で使用できます。ただしこれは連続した手番には使えません。
下半身は御馴染みの《攻撃障害=+4・なし》を持っていて、コア部位である頭部だけでなく上半身への攻撃も妨げます。
ゲルダムといえばロードス島の「魔神戦争」で"赤髪の傭兵"ベルドと一騎討ちをしたことで有名な魔神将ですね。
ぞんざいズが最後に戦ったドッペルゲンガーより更に上位の魔神がラクシア世界にも現れました。
ちなみに知名度/弱点値は22/27なのでかなり楽勝で抜いてたりします。本当にこの魔女ときたら……(苦笑)
「バルバロステイルズ」の時点でラクシア世界でもデータが設定されている魔神将はこのゲルダムのみです。
他にもイブリバウゼンやデラマギドスといった魔神将が「魔神戦争」で確認されましたが、こちらではどうなるか。
フェルディナント「出やがったな。やっと骨のあるヤツと戦えそうだ」
ゲルダム「我は魔神将ゲルダム。迷宮の番人にして、魔剣の封印を預かるもの。汝らは、<滅びのサーペント>に挑むか?」
フェルディナント「もちろんだ」
バトエルデン「若き国王がその身を賭して、託してくれたのだ。退くわけにはいかんな」
マイザール「今なら、何にでも勝てる気がするのであります」
ジュエリィ「これ、放っておいたらよくないような気がするの」
ゆん「何か楽しそうだし。あと、バト様は、ゆんのアイドルなのです」
こうして5人が名乗りを上げたことでパーティ結成。魔神将、謎の魔剣、そして正体不明の蛮族の総大将に挑みます。
★魔神将の知恵
やりたい放題の英雄達の独壇場もいつまでも続かない。<滅びのサーペント>に魔神将ゲルダムと凶悪な存在が立ち塞がります。
ゲルダム「我は、迷宮の番人にして魔剣の封印を預かるもの。封印の象徴たる指輪を寄り代に、汝らの戦いを観察せしもの」
マイザール「うーん、完璧に対策してくるって意味ですかね?」
フェルディナント「あの戦いで俺様のすべてを見切ったと思うなよ?」
バトエルデン「俺など、かけらも実力を見せた覚えがない」
確かに何にもしていませんしね。ドラゴネットハイヤーの運転手として優秀というぐらいです。
そしてその真価を発揮していないという意味では他の面子も同様です。どっちが化け物か分かりませんね。
バトエルデン「おいおい見せてやるよ。さあ来い、魔神将」
ゲルダム「ふふっ……我は、汝らの戦いを、よ〜っく見させてもらったもの……じゃ、サヨナラ」
バトエルデン「待てえい!」
ゆん「待って待って待って」
マイザール「に……逃げた」
ゲルダム「だって、勝てないもん。逃げる」
まさかの逃亡宣言に拍子抜けです。かつてこんなひょうきんな魔神将がいたでしょうか、「魔神戦争」の時の威圧感が嘘のよう。
しかし魔神将である彼がこんな判断をするぐらいこのパーティは危険なのです。まず《先制判定》で勝ち目がありません。
なにしろ先制値26しかないわけでして、先制力24あるゆんなら1ゾロ振らない限り先制できてしまうのです。
そうなると待っているのは攻撃魔法4連発です。実はゲルダムの精神抵抗は24(31)とこちらの魔法使いより低いのです。
素の魔力でもマイザールは55.48%、ジュエリィは65.97%と半分以上の確率で抵抗を破る。【ブレス】等で魔力を伸ばしたらもっとです。
ではゲルダムの頭部のHPはどうなのかというと素で128点、<剣のかけら>で強化して163点です。
これは19個のかけらを頭部・上半身・下半身で7・6・6といった割合で分配しているためと思われます。
さっきの戦闘で見る限り抵抗に失敗すると40点とか50点がコンスタントにくるわけで、それが4回も来たら一瞬でボロ雑巾です。
仮に半分ぐらい抵抗できても100点は削られるわけで、それから前衛3人に袋叩きにされたら1ラウンドで倒されかねない。
ベルドと一騎討ちしただけの実力があるのは確かですが、流石に最高レベルのパーティに袋叩きにあったら一堪りもないという哀しい現実。
フェルディナント「務めを果たせ、魔神将。番人なんだろう?」
ゲルダム「お前らみたいなのが相手じゃなければな」
ということで指輪の中にしゅるるぽんと消えてしまいました。魔神将というかジンみたいなやつです。
そんな魔神将のお茶目な一面を垣間見えた一行はふと気づきます。大地がぬかるみ異臭を放ち始めたのです。
老人「おお、これは、やはり王様の魔剣の呪いなのか」
そこには足元が覚束ない難民の老人が立っていました。分かりやすい状況解説NPCですね。
フェルディナント「では、蛮族のクロスボウを肩に受けたその老人を抱きかかえ、「魔剣の呪いとはどういうことだ?」と聞きます」
老人「え?肩が突然、ものすごく痛い」
フェルディナント「「しっかりしろ、傷は浅いぞ」……ちっ、ひでえことをしやがる」
老人「いつの間にか、生命まで危うくなった」
なし崩しに「北斗の拳」の種籾爺さんみたいなキャラ立てをされてしまった老人は魔剣の言い伝えを教えてくれます。
曰く、例の魔剣の噂は領民の間でも伝えられていた有名なものだったそうです。ただし詳細を知る者は極一部です。
王様亡き今は王妃様か、代々王家に仕えてきた侍従長に聞くか、あるいは王宮の書庫を漁るかといったところです。
王妃様については伯爵が保護しているので話を聞けますね。侍従長はあの現場で死んでたかも、書庫なんて壊滅的でしょう。
そして老人はもう1つ心当たりがありました。
老人「ここの南西に、《石塔の学び舎カイン・ガラ》と呼ばれる街があります。
そこに、"カイン・ガラの宝石"と呼ばれる大賢者様がいらっしゃるとか」
一同「な、なるほどー」
GM「(メモを卓上に投げつける)情報探しシナリオとかできねーっ!」
この地方一の物知りがパーティにいるっていうのは難儀なものです。便利だけど色んなセオリーをぶち壊しです。
まぁこのレベルまで来ちゃったら回り道するよりもその実力とコネを生かして大暴れした方が面白そうですけどね。
老人「彼女なら、すべてをご存じかも……ガク」
フェルディナント「いや、死ぬな。すぐに【キュア・ウーンズ】かけてやる」
GM「お前が殺しかけたんだよ」
ここでジュエリィの判定です。出目9で達成値35があっさりと出て色んなことが分かりました。本当に情報探しシナリオは無理か(苦笑)
ちなみに<滅びのサーペント>のデータについては後に「ウィザーズトゥーム」に収録されました。知名度は24ですね。
正体も分かったことでジュエリィの口から語られるという形式で<滅びのサーペント>の由来が明らかにされました。
この魔剣は古代魔法文明時代にある野心のある魔法王によって作られました。彼の野心とは神になることでした。
そのために彼は第二の剣イグニスを発見するものの拒絶され、神の階梯を昇る魔剣として<滅びのサーペント>を作ったのです。
こうして作られた<滅びのサーペント>はイグニスのコピーとされ、始まりの剣から数えて第二世代魔剣という説があります。
ただし魔法王が発見したイグニス自体がコピーであるという説もあり、それだと第三世代の魔剣ということになってしまいます。
フェルディナント「どっちなんだ?」
GM「自分としては、二代目のつもりだけど、後から、「この程度、二代目じゃぬるい」とか、
言われるかもしれないから、三代目説の余地も残してみました」
あるある、フォーセリアも長いこと展開することで色んな矛盾や疑問が生じたものでしたね。20年を超える経験が生きますね。
実はこの魔剣の世代という概念も「ウィザーズトゥーム」で整理されまして、それによると<滅びのサーペント>は第四世代の魔剣です。
ただしイグニスの直接コピーである可能性も残されています。世代訳は独自の定義によるものであって例え直接コピーでも第二世代にはならないのです。
これについては「ウィザーズトゥーム」にかなり詳細な解説が書いてあって面白い。歴代リプレイに登場した魔剣もナンバリングされています。
各世代の概要は以下のようになります。
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以上のようになっているので<滅びのサーペント>はどんなに強力でも第四世代になるわけですね。
ちなみにぞんざいズに登場した魔剣だと、<パジャリガー・スラッシュ>が第五世代に分類されています。
<パジャリガー・ぷち>が第六世代、<ジークハルト・ブレード>が第七世代ということになっています。
<穢れの剣>なんて第八世代ですよ。高度な研究が行われる中で生まれてしまった失敗作というわけですね。
あと神器だの祭器だのとありますが、これもラクシア特有の定義によるマジックアイテムの呼称です。
フォーセリアだとカストゥール産がアーティファクト、神様が造ったのが祭器といったものがありましたね。
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この定義で分かるように<滅びのサーペント>はアーティファクトに分類される魔剣です。それも第四世代の中でも最高クラスのです。
余談ですが高性能魔動機というのは飛空船や高性能魔動バイクも分類されるので現代でもそこそこ見かけるものではある。
今回のパーティなら祭器ぐらいなら登場するかもしれませんが、流石に人族のまま神器に手を出すことはないでしょうね。
さて問題の<滅びのサーペント>ですが、その威力は凄まじく一振りで街を滅ぼすと言われています。
バトエルデン「いや、振られもしないうちに、街1つ壊滅しとるぞ」
魔法王はその魔剣の力を背景に周辺諸国にも圧政を敷き、諸国は対策を研究しつつ服従するしかありませんでした。
いわば自分の国だけ核兵器を保有しているようなものでした。しかしその魔剣をもってしても神にはなれなかったのです。
神の階梯を昇る条件は力だけではない。ルーフェリアのような自己犠牲の少女が神になる一方、強大な魔法王は神になれないのです。
バトエルデン「強さだけなら、今頃、俺こそが神」
ジュエリィ「確かに」
バトエルデン「おおザイアよ、なぜにあなたは、このバトエルデンを選ばなかったのだ」
ゆん「つまり、大司教様は神様以上」
バトエルデン「慰めありがとう。でも、神になりたいなあ。ここだけの話、中間管理職は飽きた。信者はうるさいし、神様は我がままだし」
なんて俗な聖人なんだろう。良くも悪くもラクシアの信仰は俗でいいですけど。
<滅びのサーペント>で神になれなかった魔法王が晩年を迎えると、もはや自分は神になれないと悟り狂気に陥ったのです。
魔法王は<滅びのサーペント>の力で世界を道連れにしようとしましたが、周辺諸国の魔法王が結託してこれを滅ぼすことに成功します。
それまでに5つや6つの街は滅ぼされたといわれています。しかし事件はそこで終わりません、主を失った魔剣が迷宮を作ったのです。
<滅びのサーペント>は大蛇の姿になって地中に潜り、作ったのは地中深くから大地を腐らせる呪いの「剣の迷宮」だったのです。
迷宮の特性は魔剣と持ち主に依存する。破壊を追及した魔剣と狂気に陥った魔法王の未練が合わさり、そのような迷宮を形成したと思われます。
迷宮の腐敗がどこまで広がるかは不明ですが、10年や20年放置すればフェイダン地方が丸ごとヘドロの海になる程度は確実です。
そこで立ち上がったのが1人の英雄でした。その人物は迷宮を突破して<滅びのサーペント>を封印することに成功したのです。
その時使用されたのが周辺諸国が研究の末作り出した魔剣の鞘でした。魔法王との戦いには間に合わなかったけど十分役に立ちました。
鞘に収めたれた魔剣は結界の中に封印され、封印のための指輪には魔剣が迷宮の番人として召喚した魔神将が監視者として封ぜられたのですた。
以降魔神将は下手な者が指輪に触ろうとしたら返り討ちにするのを使命とし、魔剣を悪用する者が現れないように守ってきたというわけです。
こうして指輪と鞘は英雄の子孫であるメルドリーネ王家に伝えられ、結界を解くための血統の制約と召喚呪が別途用意されました。
ただし召喚呪は一度魔剣を結界から解放して召喚してしまえば無効です。血縁者でなくても鞘に収めて指輪をつければ魔剣を所持可能です。
フェルディナント「寄〜こ〜せ〜。その指輪を俺に(ゴクリ)、寄越すんだ」←やめろスメアゴル
一応血統の制約として魔神将が血縁者でない者を排除する役割を負ってはいるのですが、戦闘を放棄した以上それも役に立ちません。
よって指輪を既に所持する大司教達は、鞘さえ入手すれば<滅びのサーペント>を持ち運べるようになるわけですね。
フェルディナント「タイマンだといい戦いができるかな、ゲルダム?」
GM「さすがに1対1ではどうだろうな。見てみたい気もするが」
フェルディナント「前に迷宮を突破した英雄は勝ったんですよね?」
GM「見事ボコったそうですよ。後に神になったとも伝えられています」
フェルディナント「血が騒ぐぜ。俺も、やりたい」
ベルドみたいなとんでもない戦士だったんでしょうね。神になったとはいいますがどんな神かは不明です。
魔法文明時代の終焉に活躍して神になった"剣神"ヒューレなんていう小神もいますが関連は定かではない。
以上がジュエリィによる解説でした。そうなると彼女もそれを知っててここに来たんでしょうね。
★街の救い主
蛮族があれだけの大軍でこの国を攻めたのもこの魔剣を手に入れるためだったとしたら納得がいきます。
ゆん「王様、魔剣を呼び出さないほうがよかったんじゃ?
遠き結界に置いたままなら、魔剣が蛮族に渡ることはなかったんでしょ?」
GM「で、指輪と鞘を黙って取られるの?向こうは、赤子の王子を人質にできたりもする」
王様か王子様を確保して召喚させられないとも限らない。魔法や特殊能力で人を操る方法があったらアウトですね。
どうせ取られるなら先手取って滅ぼそうとした判断自体は悪くなかったかも。
GM「結局、躊躇してたから、手遅れになっちゃったんだが」
マイザール「それ以前に召喚失敗してますよ」
GM「だね。英雄の子孫でも、「戦士系技能何もなし」は魔剣の危険を損ねたのかも」
ということはそれなりの戦士だったらいきなり食いついたりせず大人しく従ったんだろうか?
それともやはり持ち主に相応しい戦士を求めて迷宮を作って挑戦させたか。こんな凶悪な魔剣なら何をしても不思議はない。
こうなってしまった以上蛮族より早く鞘を入手するしかありませんね。幸い指輪がある分こちらが有利です。
バトエルデン「そして、迷宮の番人で封印の監視者であるはずのゲルダムは尻尾巻いて逃げた」
GM「くっ……不本意だが、その通り。データを作るときはゲラゲラ笑いながら、「こんなの無理無理〜」とか言い合ってたんだけどなぁ」
マイザール「形(データ)あるものは、いつか喰われるのですよ」
そういえばロードス島の"魔竜"シューティングスターなんかもそんな理由でデータが長年無かったんですよね。
それが「ロードス島ワールドガイド」でちゃんとデータを作られた。データが存在する限り倒すことはできます。
例え現行のルールでは難しくても、いずれは公式なり非公式なりで対抗できるだけの新しい何かが生み出されるでしょうしね。
<滅びのサーペント>の経歴が判明したところで鞘を確保するために迷宮に挑戦すべきですが、そこに伯爵の配下が一人走ってきます。
フェルディナント「む、マルコじゃないか。どうした」
マルコ「伝令!オーガバーサーカーの集団が現れました」
フェルディナント「何い!?」
マルコ「託された王妃や難民を守りつつ、退避に移っていますが、このままでは持ちこたえられるかどうか」
フェルディナント「む、くう。見捨てるわけにはいかん」
しかも同時にガルーダやヒルジャイアント等の生き残った蛮族が難民に襲い掛かり、たちまち大混乱になりました。
老人「た、助けてくだされ。皆を救ってくだされ」
フェルディナント「よし、わかった。誰がお前たちを見捨てるものか。俺様に任せておけ」
こういうところは英雄らしいですね。大司教達もそれに協力し、蛮族の残党は間もなく全滅して難民達は救われました。
しかし倒した蛮族の中には大した実力者はおらず、例の蛮族の総大将はまだ見つかっていないようです。
掃討戦が終わると彼らは難民達に囲まれて感謝の言葉を浴びていました。
難民「あなたがたは神のお使いに違いない」
バトエルデン「なぜわかった」
ゆん「有名人なのよ、大司教様」
バトエルデン「自分が怖いな」
確かに5人中3人は神官ですね。ところが難民達が感謝の印に差し出してくるお礼はライフォスやティダンの聖印でした。
これには大司教もご立腹。
バトエルデン「くぉらあっ!いやっ、待て、ここは落ち着いて。あーコホン。
今から、きみたちにとてもためになる、神様のお話をしてあげるから、よく聞くように」
難民の老人「何ともったいないこと。事情が事情ゆえ、これが精一杯でございますが(いくらか包んでくれた)」
バトエルデン「違う。お布施要求してるわけじゃない」
難民の子供達「僕らはこれが精一杯です(聖印を差し出す)」
バトエルデン「いらんというに。それとも、嫌みか?」
ぞんざいズの10年前では、あの時代よりもルーフェリア信仰はまだマイナーだったはず。仕方ないのかもしれません。
メルドリーネとルーフェリアがどんな関係にあったかは定かではありませんが、そんなに交流が盛んだった様子はありませんしね。
割と交流のあるカイン・ガラですら、研究対象としてルーフェリアに関心を示す者はいても信仰しているわけではなさそうだったし。
しかし大切なのは気持ちです。受け渡される品が何であるかは大した問題ではない、少なくともこの場では。
難民の子供達「でも、助けてもらったらお礼をしろって言われてます」
マイザール「教育の行き届いた国家だ」←借金を踏み倒す騎士とかいるけどね
バトルデン「いい王様だったのかな。俺には、大変失礼だったが」
ゆん「じゃあ、ゆんがもらってあげる。子供を断り続けるのも悪いし」
難民の子供達「ありがとー」「お守りー」「持ってってー」
ゆん「うんうん、ゆんは使わないけど、もらっておくね」
住む家を失い、蛮族の脅威に晒されたばかりの子供です。きっと色々目に見えない傷を心に負っているでしょう。
バラバラと手渡される聖印はそんな子供達の精一杯の感謝の印です。それを笑顔で受け取るゆん、ちょっとハートフルな光景です。
しかし後にこの聖印が思わぬ形で役に立つ時が来るのです。情けは人の為ならず、いいことをすれば自分に返ってくるのです。
★正面からウラ技
掃討戦を終えた一行は一晩休んで回復してから迷宮に挑みます。
フェルディナント「さて、迷宮に挑む前に、王妃に確認しておかねばなるまい」
ゆん「と言うと?」
フェルディナント「魔剣を見つけたときの話だ。一応、正統な所有者はここの王家だろ?」
王様が亡くなった以上、<滅びのサーペント>の所有権は王妃様にあるはずですしね。
しかし夫も街も失って心折れたのか、所有権を主張する気はないようです。
王妃「もはや、国は滅んだも同然。そして、そのような魔剣は、もし、戻ってきても手に余ります」
ゆん「諦めちゃうの?」
バトエルデン「誰もが強い心と責任感を持ってるわけじゃないか」
王妃「ここまで破壊された王国を再建するのは、わたしには荷が重すぎます」
これからは実家に戻ってひっそり生きていきたいというのが彼女の願いです。この状況では無理もありません。
仮に再建できたとしても魔剣の存在が蛮族に知られている以上、また同じようなことが起きないとも限りません。
こうしてメルドリーネ王国は滅びた。同時にこの国の爵位や騎士位もなくなるでしょうね。
マイザール「ええーっ!?それダメ!お姉ちゃん、がんばって。イケル、イケルから」
王妃「私は疲れたのです……」
マイザール「諦めるな。もっと熱くなれよ!なっ!」
王妃「実家に帰ります……」
マイザール「ダメ、絶対にダメ!じゃあ、息子だけくれよ!!」
それだけ貰ってどうする気だ。メルドリーネ王国の騎士位がなくなればその分合計名誉点が減少するのは避けられない。
王子様に仕えるということで権威を保てれば減少は免れるとか、そういう抜け道はないものでしょうかね。
本当に騎士位がなくなっちゃうとマイザールは国家の第一人者から有名人に成り下がっちゃうんですが、いや国自体もうないからいいか(笑)
さて、迷宮に挑む前に<滅びのサーペント>の能力を再確認しますと、魔法王は果たせなかっただけで神になるために作られたのは確かです。
バトエルデン「中間管理職脱出が現実味を帯びてきたな」
フェルディナント「最後にはやつと奪い合いか」
バトエルデン「どうした、伯爵?目つきが突然悪くなったぞ」
フェルディナント「そういう大司教も、瞳が妙に濁ってますな」
その化身である大蛇は単純な破壊力・殺傷力は小神以上です。具体的には20レベル以下は抵抗不能で即死させる程度の力はある。
小神より上で大神よりは下というわけです。神になれなかったとはいえ、こんなものを作ってしまう魔法王も大した力の持ち主ですね。
大司教達はもちろん、ドレイクカウントとかジェイドバジリスクとか、そういった高位の蛮族ですら大蛇の前では等しく命を奪われるのです。
そこで必要になるのが魔剣の鞘です。この鞘の持ち主と、それが選ぶ任意の者はこの効果から逃れることができるのです。
多分過去の英雄もこの鞘で身を守りつつ魔剣を封印したのでしょう。よって鞘を入手するという当初の予定は身を守るためにも必須なのです。
まぁ蛮族の総大将が20レベル超あったりするとそれで死ぬことはないんですけどね。それでも魔剣を扱うために鞘と指輪は必須ですが。
それではいよいよ出陣です。まずはクレーターの底にある穴から迷宮に突入です。穴から迷宮の床までは30m程の高さがあります。
今後部位数は気にしなくていいほど広い場所が続くので、大司教はクラウンに騎乗して降ります。ゆんも【タンデム】で一緒です。
マイザールは【フライト】で、伯爵は【コンプレーション】経由の【フライト】で、ジュエリィは【ワールウィンド】で降ります。
クラウンに頑張ってもらえば魔法は使わなくて済んだのですが、下での待ち伏せを警戒して一度に降りようとしたというわけです。
ちなみに【ワールウィンド】は13レベルの妖精魔法です。対象を風に乗せて運ばせることができるというものです。
目的地は術者が指定した場所になります。この場合は術者が知っているか、視界内にある場所ということになります。
持続時間は1時間で最高時速50kmです。移動中は主動作は行えないというので襲撃には注意しないといけませんが。
GM「……何、こいつら」
バトエルデン「何といわれましても。たかだか15レベルですが」
こうして一行が降り立った場所は長い通路の中央です。南北に自然の岩と土の通路が伸びていて、表面はじわっと黒くて異臭を放つ。
ここで一行は北の通路を選んで進みます。隊列の先頭はゆん、次に伯爵、魔法使い2人を挟んで後詰を大司教です。
万が一にも背後から敵が来てもブロックできる布陣ですね。大司教とクラウンの部位数は合せて四部位、よって八部位までは止められる。
そうして迷宮の攻略を始めた一行はやがて目標値24の《危険感知判定》を要求されます。これには基準値16のゆんが成功しました。
通路の壁から腕が生えているのです。何の腕かは《魔物知識判定》で判定できます、目標値は腕だけなのを考慮して知名度+4です。
GM「目標値に+4して16……あ、あほくさ」
当然ジュエリィが軽く抜いて分かりました、オーガの腕です。よく見ると他にも腕やら脚やらが壁から生えています。
待ち伏せにしては間抜けすぎるので、壁に埋まっていると思われます。いわゆる「いしのなかにいる」状態です。
何事かとジュエリィが【センス・マジック】をしてみます。わざわざ彼女がしたのは<異形の面>のお陰でリソース無限だからではないかと思われます。
それによると奥行き30mまでの全てから魔力を感知します。この通路そのものが魔法生物なのではないかという推測ができますね。
本来擬態している魔法生物に《魔物知識判定》はできないようですが、この状況では擬態しきれていないので判定は可能としました。
今度の目標値は24です。普通なら高すぎて成功する気はしない筈なのに、ジュエリィは+10ほど目標値を抜きます。これでも彼女にとっては出目8です。
これで見抜いたのはヒューモンガス・インタスティンという18レベルの魔法生物です。
直訳すると「巨大な腸」という名前の通りに通路に擬態し、通行する者を偽足によって捕食するというものです。
偽足は最大20本、1つの対象には最大3本まで襲い掛かるという仕様です。捕まえた対象には消化液を噴出するらしい。
残念ながら詳細なデータは非公開ですが、シンカーハウスの10増しといった感じらしい。HPは135点に達します。
<剣のかけら>が入っているとHP225点に達しますね。しかも下手に魔法でドカンドカンすると通路が潰れるという色々厄介な相手です。
もちろん不用意に通路に足を踏み入れても大司教が《かばう》をしきれない。この難所を彼らがどう攻略するか。
ジュエリィ「通路の先は、まだまだ続いてる?」
GM「続いてます。まっすぐ伸びて、奥はかなり残ってそうですよ」
マイザール「まっすぐでいいですか?」
GM「まっすぐですが?」
マイザール「ふう……。じゃ、他に方法もなさそうなんで、【ディメンション・ゲート】」
GM「あうっ!」
これは14レベルの真語魔法で、術者が行ったことのある場所か、1km内の術者に見える場所へ通じる抜け道を作ります。
抜け道は半径3mで必ず足元に開きます。フォーセリアの頃から多くのGMを泣かせ、今も泣かせ続ける通称どこ○もドア。
はい、これで無傷でクリアしました。罠と安全地帯が目に見えている限り、このレベル帯では時間稼ぎにもなりませんね。
バトエルデン「GM、寂しそうだな」
GM「しょんなことはありませんじょ」
ジュエリィ「目が泳いでる」
GM「事前にヒントなしで罠にかけても、おもしろくないからなあ」
マイザール「13レベルのスカウトの危険感知判定をくぐり抜けてからお願いします」
基準値で言うとジュエリィのセージ技能程は高くないんですけどね。目標値24だと気づかない確率の方が高かったんですが。
★ドラゴンゾンビが……いくつだって!?
これまで大したピンチにも陥らずに突き進んできた一行でしたが、そんな彼らにもようやく相応の障害が立ち塞がります。
それは道に落ちていたアイテムを拾ったことで始まりました。変則的ながら《鋭い目》や《トレジャーハント》で何を拾ったか判定します。
ジュエリィ「じゃ、ワタシだな。(コロコロ)11になった」
《鋭い目》と《トレジャーハント》を持っている彼女は戦利品の出目+2ですからね。《トレジャーマスター》を持つゆんも同じですけど。
これでお洒落な服とマントを拾います。真っ赤な女性ものの衣装で、戦利品らしく特徴的なものでした。
ここでは戦利品の鑑定を《魔物知識判定》で行います。当然ジュエリィは軽く見抜きました、<おしゃれな服>と<不死者のマント>のようです。
GM「上位のヴァンパイアが落としますよ」
バトエルデン「ヴァンパイアローズか?確か19レベルだったな。やっかいなのがいるなあ」
「バルバロステイルズ」が出ていないこの時期、上位の吸血鬼といったらその辺がまず思い浮かびますよね。
ところがヴァンパイアローズは<不死者のマント>は落としても<おしゃれな服>は落としません。落とすのは<穢れた香灰>ですね。
マントも香灰も売却価格1万ガメルという高級品ですね。もう1つ<バラの紋章の飾り>というものも落としてこっちは2万ガメルです。
ではここで吸血鬼について確認しておきましょう。このラクシア世界における吸血鬼は蛮族の一種であり、アンデッド化寸前まで穢れを得た種族です。
ノスフェラトゥとも呼ばれる彼らの先祖は"不死神"メティシエを奉じ、人族の血を吸うことで永遠の命を得る術を見つけたと言われています。
また彼らはクリューの氏族、フラウの氏族といった様々な氏族の開祖となり、各氏族の子孫はその開祖の特徴を受け継いでいます。
クリューの氏族は靄となって死から逃れる。フラウの氏族は香気を漂わせ、死しても灰から復活するといった特徴を持っています。
彼らの子孫の作り方は通常の生殖行為と異なり、血を受け継ぐための儀式によって執り行われることが知られています。
対象をレッサーヴァンパイアにするための儀式を"血の接吻"といい、一夜に一回、七夜に渡って続けられます。
更に認められたレッサーヴァンパイアをヴァンパイアに引き上げられるための儀式を"血族の契り"といいます。
これらの儀式は氏族の発展に貢献し、その過程で氏族内に分家(一族)が発生します。一般に吸血鬼はこの一族の名前で分別されます。
例えば、フラウの氏族にはローズ、リリィ、デイジーといった一族が存在します。ローズの一族ならヴァンパイアローズと呼ばれるわけです。
「バルバロステイルズ」にはローズとリリィのデータは収録されていますが、デイジーは未収録となっています。
このように設定だけ存在するけど詳細が不明な一族というのもいくつか存在します。そして存在すら明らかにされていない氏族・一族も存在するのでしょう。
まるで「ヴァンパイア:ザ・マスカレード」の世界のようですね。耽美で神秘的で、底が見えない。ドレイクやバジリスクとは違った魅力のある種族です。
なおローズとリリィの能力を比べるとレベルの差こそあれかなり似ています。恐らくは氏族に属する一族に共通する能力と、一族のみの能力があるものと思われます。
例えばフラウの氏族の場合、真語魔法と操霊魔法と神聖魔法を使いこなす《魔法適性》持ちで、多くの吸血鬼がそうであるように《通常武器無効》です。
《再生=○点》で毎ラウンド自動回復しますが、《吸血鬼の身体》は太陽の下でこの能力を失い、魔法ダメージと命中・回避のペナルティを受け続けるという弱点がある。
攻撃手段は爪によるもので、ダメージを2回与える《双爪》と、血を吸うことでダメージを与えて自分のHPを回復する《吸血鬼》を持つ。これらは氏族共通の能力と思われます。
更に氏族共通の能力で《コウモリ化》することで吸血鬼形態からコウモリ形態に変身します。魔法能力はそのままで《再生》や《吸血鬼の身体》はなくなる模様です。
この形態だと《精密射撃》や《魔法制御》を無効化する《撹乱》を常に行い、必中の物理ダメージを与える《コウモリ乱舞》が使用可能です。
しかもドレイクやバジリスクの変身と違い、時間経過しなくても《吸血鬼化》によって吸血鬼形態に戻ることができるようです。本当に多彩な能力の持ち主です。
そして両形態の最大の特徴は《復活》です。倒れても穢れた香灰から7日後に完全な状態で復活するという、開祖から受け継いだ氏族共通の能力です。
これを防ぐには流れる清流に灰を流すか、第一の剣の力が及ぶ神聖な場所に灰を安置すればいい。ただし弱点値を抜かないとこの方法は知らないものとする。
完全に滅ぼす方法自体は簡単だけど、力押しだけではその方法すら取れずに復活するのを阻止できないという嫌らしさ。実に吸血鬼らしい特徴といえますね。
またローズは《バラの芳香》で周囲のものを魅了して操り、リリィは《百合の香気》で周囲のものを魅了して援護・回復を行わせるといった一族のみの能力があります。
もっとも「香気を漂わせ、死しても灰から復活する」という意味では、薔薇と百合の違いはあっても結局は氏族共通の能力と言えるのかもしれません。
後に「カースドランド」で追加されたアンピュルシオンの氏族には「アンピュルシオン基本セット」というデータがあり、そこから各一族に枝分かれしていきます。
しかもその基本セットには魔法と《魔法適性》《飛行》《通常武器無効》《再生》《吸血鬼の身体》《吸血鬼》といったフラウの氏族とも共通する能力が含まれています。
実は後に公開されるクリューの氏族のある一族のデータもそうでして、言わばこれらは「ヴァンパイア基本セット」とでも呼ぶべきものなのかもしれません。
そうなるとフラウの氏族の固有能力とは、本当に「香気を漂わせ、死しても灰から復活する」に限られてきますね。あとコウモリに変化するというのもそうですね。
そんな強い吸血鬼ですが、ローズは19レベルでリリィは17レベル、今の大司教達の相手にはいささか実力不足。ジュエリィなら簡単に弱点値まで抜いてしまうでしょう。
ローズの弱点値は27ですもんね。普通なら絶望してしまいそうな数値ですが、ジュエリィなら1ゾロ以外大丈夫。先制値25と高いけどゆんには勝てないでしょう。
ローズは一部位でHP144点、<剣のかけら>が19個入ると+95点でHP239点あるので開幕魔法4連発だけで即死はないでしょうが、勝つのは無理でしょう。
以上吸血鬼談義が続きましたが、問題は<おしゃれな服>という戦利品を落とす未知の上位の吸血鬼がいて、しかもここで何者かに倒されたということです。
ゆん「危険感知判定していいですか!?」
GM「それは、必要になったら、こちらから指示しますが、今は不要。さあ、目の前にとんでもない光景が現れます」
一同「何だ何だ」
ここで一行は例の魔剣の鞘を発見したのです。思ったより簡単に見つかりましたね。ところが簡単には入手できそうもありません。
鞘の周囲は一層強く瘴気が渦巻き、鞘に他者を近づけまいとする魔剣の意思が複数のアンデッドを鞘の周りに召喚していたのです。
15m先を最初のポイントとし、7m間隔で合計10ヶ所にアンデッドが発生。最後のポイントは鞘のすぐ前なので、鞘までは7×9+15=78mですね。
鞘を発見した上位の吸血鬼がそれを奪取しようとするも、守護者であるアンデッドの群にやられたというわけです。
ここで10ヶ所それぞれにどんなアンデッドがいるか、大司教達が1D6で判定することになります。5人が2週して10ヶ所ですね。
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レベルが低いやつは数で補っていますね。この中だとミニングレスとドラゴンゾンビはぞんざいズ未登場です。
ミニングレスは14レベルのアンデッドです。戦で死んだ人族と蛮族の魂が数千以上も交じり合い、怨念となった存在です。
操霊魔法14レベルを魔力16で使う《魔法適性》持ちで、《通常武器無効》と《修復=10点》の能力を持ちます。
《修復=10点》というのは自らを含めた半径10m内のアンデッドの全部位を毎ラウンド10点ずつ回復するという能力です。
自ら11レベル以下のアンデッドを生み出す《亡霊の召還》の能力もあり、必中の物理ダメージを与える《ゴーストラッシュ》も可能。
ドラゴンゾンビは20レベルのアンデッドです。その名の通りドラゴンの死体が穢れを受けてがゾンビ化した存在です。
頭部(コア)、胴体(コア)、翼×2、尻尾の五部位です。全身が《再生=10点》で、射撃攻撃の回避力+4となる《瘴気の渦》を纏います。
頭部は毒属性の魔法ダメージを範囲に放つ《毒煙のブレス》を使用し、尻尾は乱戦エリア内の任意の5体を狙う《テイルスイープ》が可能です。
翼は打撃点+8・回避−3となる《渾身攻撃》を使用します。胴体は《攻撃障害=不可・+4》で頭部を守り、左右の爪による《2回攻撃&双撃》が可能。
以上のようになっていますが、他のはともかくドラゴンゾンビは強敵ですね。レベルだけならゲルダムさんを上回ります。
しかも五部位ということは体の大きさはグレータードラゴン級ですよ。レッサードラゴンは尻尾が独立していなくて四部位です。
まぁ1つ空があるわけだし、確率的に言って10回振っても2匹出ればいい方でしょう。ブロックはしきれないけど何とかなるなる。
ところがダイスの神様は相変わらず変なところで張り切っちゃうものらしく、10回判定した結果布陣は以下のようになりました。
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なんとドラゴンゾンビが5体です。20レベルの五部位が5体でこいつらだけでも倒すと経験点5000点とかになりますね。
他は15レベルの二部位が2体で600点、14レベルが6体で840点、12レベルの七部位で840点。経験点は合計7280点!
そういえば地上での戦いでも高レベルな部位モンスターを沢山倒しているんですよね。一体どれだけ稼いでいるんだ。
しかしこうなると高レベル帯での追加経験点というのも考え物ですね。"バブリーズ"よりもインフレが激しくなるのかも。
しかも放っておくと毎ラウンド鞘のある場所にアンデッドが増えていくという鬼畜仕様。早く止めないと大変なことになります。
それを止める手段は鞘の入手です。鞘を掴んだ人が目標値30の精神抵抗に成功するとそれ以上アンデッドは増えなくなるらしい。
既に召喚されてしまった連中は消えないので、どの道今出ているやつらは倒さないといけないんですけどね。大変だけど経験点おいしいです!
マイザール「魔物は直列?」
GM「一直線です。迂回の余地はありません」
マイザール「何でそんな配置なんだか」
GM「囲まれてるほうがよかった?」
マイザール「そんなことは言ってません!【ディメンション・ソード】おいしいなあ、と」
射程50mの魔法だから距離2倍拡大で鞘の位置にいるゴーストシップまでまとめて切り裂けますね。しかも2連発で。
GMがこの数を二次元で管理できないという理由もあります。いっそサブマスターでも呼んで管理を任せるべきだったかもしれませんね。
あと【スニーク】によって鞘をとってきてもらうという手もあります。上手くすれば戦闘の必要がないかもしれません。
これは11レベルの操霊魔法で、知覚が魔法や機械のキャラクターから姿を隠す効果がある。魔法で発動する罠まで欺けます。
持続時間は3分間、全力移動すると効果は消えてしまいますが、ゆんなら78mの距離も通常移動で2ラウンド程度で行けますからね。
鞘を取って抵抗するのに手番を使ったとしても、行って帰ってくるのに18ラウンドもかからないでしょうね。
GM「……バラしてやる」
マイザール「は?」
GM「指輪の中のゲルダムがさ。「ここだ、ここにいるぞー」って叫ぶの」
ジュエリィ「えー!?」
GM「ありがちでしょ。悪魔なんだから、そういうことすると思わない?」
ジュエリィ「します。しますけど、それってインプのやり口ですよ?」
フェルディナント「ゲルダム、俺様の中でのライバルランキング、貴様は最下位転落だっ!」
どこまで落ちていくのこのゲルダム。まぁそういう事いわれるとこの手はもう使えないんですけど。
仕方ないのでゆんが全力移動の《影走り》で鞘の位置まで走ることにします。どうせ気づかれるなら確実に入手できた方がいい。
《魔物知識判定》と《先制判定》を当たり前のように成功させ、戦闘開始です。
1ラウンド目
伯爵は制限移動で3m前進しゆんにカンタマ。《ファストアクション》でクリポンを使って<ドラゴンスレイヤー>を出します。
これはカテゴリ<ソード>のAランク武器で、威力43と最大の威力を誇ります。回避と抵抗が下がる《魔力撃》を自粛しつつダメージを追求します。
大司教もそれと歩調を合せて3m前進して壁を作りつつ、【フィールド・プロテクションU】を使ってドラゴンゾンビ(略してドラゾン)に備えます。
ゆんは全力移動の《影走り》で一気に鞘を入手。ところが精神抵抗の達成値は29と失敗してしまいました。
ゆんの精神抵抗は20で、カンタマで+2されて22。あと何らかの効果で+1されて23あるらしいので出目7でいけたんですけどね。
+1はよく分かりませんが<信念のリング>とかを借りるなり、実は持っていたものを装備するなりで強化していたのかもしれません。
精神抵抗は主動作に含まれないので《ファストアクション》ではできず、全力移動すると練技も使えないのでここで手番終了です。
マイザールは前衛とは対称的に制限移動で3m後退し、距離2倍拡大の【ディメンション・ソード】2連発です。
達成値は1回振りで33出しましたが、精神抵抗が27(34)あるドラゾンは抵抗します。他は軒並み抵抗を破りましたが。
これにより1発目は38点、2発目は37点のダメージ。75点出すとドラゾン以外の連中のコア部位のHPは半分以下になります。
抵抗したドラゾンは半減なので38点です。ただしHPは頭部が147点、胴体が178点と流石に頑丈なのでまだまだです。
ちなみにゴーストシップのコア部位以外のHPは軒並み75点以下なので船体しか残っていない(笑)
マイザール「それって何かできましたっけ?」
GM「10レベル操霊魔法が使えるぞ。魔力13だが(笑)。……ただの置物になったかもだな」
【バインド・オペレーション】で行動を制限移動に限定されたら逃げられませんね。抵抗しても1ラウンドは効くし。
ただしゆんには〔マナ不干渉〕があるので抵抗したらどんな魔法でも効果消滅ですけどね。精神抵抗23あるゆんならまず成功する。
実は操霊魔法には必中の魔法ってないんですよね。《魔法拡大/距離》もないから大司教達にちょっかいをかけることもできない。
ついでに陸に上がってしまうと移動できない。このゴーストシップって仮に戦闘で生き残っても今後どうなっていたんでしょうね。
ジュエリィは【トルネード】2連発です。距離の拡大はしませんが<カトレアの花冠>で射程60m、後ろのドラゾン×2と置物には当たらない。
これは14レベルの妖精魔法で威力40の風属性魔法ダメージを貫通させます。妖精魔法では最も射程の長い攻撃魔法だったりします。
この1発目が達成値34でやはりドラゾンの抵抗を破れませんでしたが、32点出したのでジャイアントゾンビとミニングレスを倒す。
次は達成値38でドラゾンの抵抗を破り34点。これでドラゾンには50点は通したのでマイザールと合せて88点、前3体の胴体は半減したぐらいです。
いよいよドラゾンたちの攻撃が始まります。
バトエルデン「しまったぁ!クラウンを《かばう》の忘れてた」
先頭のドラゾン1号は乱戦を仕掛け、ブレスを全員に発射。《双撃》による鉤爪×2と《渾身攻撃》の翼×2は大司教と伯爵に1発ずつ分けます。
そして尻尾は大司教・伯爵・クラウン(三部位)なので丁度全部を狙えます。これは《かばう》とか言ってもかばい切れるものじゃない。
これによりクラウンの翼のHPは0になり、胴体もピンチ。大司教は40点、伯爵は67点のダメージを受けます。2D+20点台の攻撃は凄まじい。
そしてドラゾン2号が移動します。現在の乱戦エリアの中心は最初の位置から3m前なので、最初のポイントまで12mの位置と思われます。
ここから7m先ならドラゾン2号は19m先にいるわけなので、移動速度20あれば乱戦に入れそうですね。
しかしどうも乱戦エリアの中心は初期位置にある模様。これだとドラゾン2号からの距離は22mなのでギリギリ乱戦には入れない。
この巨体で2mなんて誤差でしょうけどルールだから仕方ない。その代わりブレスだけはしっかり吐きますけどね、射程20mなので。
このブレスはクラウンが奇跡的に抵抗で6ゾロ振って耐えますが、ドラゾン3号も9m距離まで移動してブレスの追い討ち。
バトエルデン「ダメだ。九死に一生と思ったが、クラウン詰んだ」
フェルディナント「GM容赦なしだ」
この時点でクラウンのコア部位のHPは5点程度。そこに31点とか食らっては一堪りもありません。
ブレスの抵抗は25(32)でダメージ2D+20点ですもんね。普通抵抗できなくて27点とかくるわけです。
コア部位のHPは61点しかないわけで、そこに2D+22点の尻尾とブレス3発とか来たら1回ぐらい抵抗できても焼け石に水です。
HP−26になって《生死判定》です。生命抵抗力13では6ゾロのみ。
バトエルデン「(コロコロ)死んだ〜。ルーフェリアの国庫に大穴が」
ジュエリィ「税金で穴埋めなし」
この攻撃で伯爵もHP−8で倒れます。《生死判定》には成功したものの、流石にドラゾン3体はキツイですね。
フェルディナント「さすがにきつかったすよ。大司教はよく立ってますね」
バトエルデン「物理ダメージは24点カットして、ブレスも2回は抵抗したからな。84点しか減っとらんよ」
マイザール「やはり、ひとりだけ生き延びる男なのか」
ジュエリィ「ワタシたち、危険?」
バトエルデン「だ、大丈夫だぞ。余の本領発揮はこの状況からだ」
一方伯爵は108点とか減っているわけですか。伯爵の回避力は22、ドラゾンの翼や胴体の命中力は23や26だから何回かは避けたかな。
続いてゆんの方です。ゴーストシップは1ゾロを期待して【バインド・オペレーション】しますがやっぱり抵抗。そこにドラゾン5号が襲い掛かる。
バトエルデン「死ぬんじゃないぞ」
ゆん「大司教様がおっしゃるなら、がんばる」
ドラゾン5号のブレスは抵抗できず27点食らい、鉤爪・鉤爪・翼・翼・尻尾の近接攻撃5連発がゆんを襲います。
現在のゆんは全力移動のペナルティ−4が入っていますが、相手の知覚は魔法なので〔マナ不干渉〕による回避力+1が入ります。
これによりゆんの回避力は24はあるわけでしてドラゾンにも負けていません。それがまさかの全攻撃回避です、ファンタスティック。
続いて4号が同様にブレス&近接攻撃5連発をお見舞いしますが、やっぱり近接攻撃は全回避。ブレスの29点だけ食らいます。
それでも56点は削れているので深刻ですけどね。最後に今回召喚されるアンデッドですが、ジャイアントゾンビ×2でした。
GM「何と、ここには、ドラゴンゾンビ2体とジャイアントゾンビ2体とグラスランナーの乱戦エリアが形成されました」
ゆん「でかいでかい〜。何にも見えない〜。怖いよ怖いよ」
マイザール「何でしょうね、あれ」
置物も入れると十六部位とかありますね。《影走り》で脱出できるとはいえエライことになっています。
2ラウンド目
マイザールは攻撃より建て直しを優先し、伯爵を【アウェイクン】で起こして賦術【バークメイル】Sランクを大司教に。これで防護点28。
伯爵は起き上がって、練技を一通りかけておきます。自前のMPは使わず3点の<魔晶石>をパンパン割って。あと【クリティカルレイ】Aランク。
フェルディナント「さっきやっとけー」
バトエルデン「忘れるよなあ。いろいろできすぎて」
今回の戦闘特技は《マルチアクション》と《薙ぎ払い》です。使用する魔法は【ホーリー・ライトU】です。
通常の【ホーリー・ライト】は5レベルの神聖魔法で、半径5mの空間/15のアンデッドにのみ威力20でダメージを与えます。
【ホーリー・ライトU】は11レベルの神聖魔法で、半径6mの空間/20のアンデッドにのみ威力50でダメージを与えます。
しかも抵抗に失敗すると以降の精神抵抗に−2のペナルティ。フォーセリアの頃からの対アンデッドの常套手段が強化されてて嬉しいものです。
この状況だと1号と2号に届きますね。抵抗こそ破れないものの13点ほど通します。《薙ぎ払い》は《攻撃障害》のある頭部以外に命中です。
フェルディナント「ダメージは1回振り?」
GM「【クリティカルレイ】乗ってるときは微妙だけど、ま、ここはいいですよ。まだ、雑魚戦なんで」
フェルディナント「雑魚戦……なのか」
ここで伯爵は〔剣の加護/運命変転〕まで使ってクリティカルさせ、54点の魔法ダメージで翼を落とします。尻尾はあと9点で胴体元気。
ゆんはその移動力を活かして中間地点まで移動。41m以上離れればブレスは届かず、かつ35m先の大司教の回復魔法を受けられます。
ゆん「ここで鞘の判定?」
GM「お願いします」
ゆん「(コロコロ)8。23+8=31なので、成功〜!」
これには一同拍手。これで鞘の所有者はゆんとなり、これ以上アンデッドは湧かず、かつ<滅びのサーペント>に抵抗できる。
あと練技もかけておきます。
ゆん「練技連打。【ガゼルフット】【キャッツアイ】【ビートルスキン】【マッスルベアー】【アンチボディ】」
フェルディナント「パパパパパーン!<魔晶石>の割れる音がうるさい」
こうして魔晶石を割りながら練技をかけまくるのは今後も恒例となります。何しろ状況に応じて色んな練技を組み合わせていますので。
大司教は<スカーレットポーション>を《ポーションマスター》で飲みます。HPの最大値・現在値+10とする1400ガメルの品です。
バトエルデン「これもさっきやっとけですよ。伯爵を笑えない」
そして《魔法拡大/数》で対象3倍【レストレーション】。はい、これで前衛3人は全回復しました、ドラゾンさんの頑張りは無駄になりましたね。
射程50mもあるのでゆんまで楽々届きます。ただし消費MP18点と重いですけどね。《MP軽減》あっても51点とか使っています。
あと《バトルマスター》で《マルチアクション》の効果を利用し、ドラゾンの胴体に近接攻撃をしておきます。26点出ました。
GM「6点通った」←防護点20
バトエルデン「固いな」←防護点28
GM(お前が言うな)
最後にジュエリィが【カオススマッシュ】でドラゾンを全部巻き込みますが、抵抗されて17点。直接通すのは期待できませんね。
そしてドラゾン1号〜3号の怒涛の攻撃の始まりです。これで伯爵のHPは32点にまで削られます。"血まみれ伯爵"の名は伊達じゃない。
そのくせ大司教は被ダメージが32点しかない脅威の鉄壁っぷり。2D+22点程度ではもう殆ど通りませんからね。
3ラウンド目
【カオススマッシュ】、【ブリザード】、【ホーリー・ライトU】に大司教と伯爵の近接攻撃でドラゾン1号撃破。
空が見えない状況ではマイザールの【メテオ・ストライク】は使えず、伯爵の回避・抵抗が下がる《魔力撃》も使えず、いささか攻撃力不足。
【ブリザード】は10レベルの真語魔法です。半径6m/20に威力30の水・氷属性魔法ダメージを与えます。
メテオと同等の効果範囲を持つ攻撃魔法の中では2番目の威力ですね。流石に威力50の【サンダーボルト】を数拡大は無理がありますし。
ゆんは《影走り》を活かしてゾンビ達を右往左往させています。圧倒的な移動力の差があるので捕まえるのは不可能。
4ラウンド目
ここでドラゾン2号と3号撃破。まだドラゾン4号と5号、ジャイアントゾンビ×2がいますが、勝負ありとして戦闘終了。
終わってみればたった3ラウンドと半分の戦いでした。冷やりとさせられる場面もありましたが結局はこれですよ。
とはいえ犠牲は出てしまったので完勝とは言えませんが。
バトエルデン「ああ、クラウン。どうしよう、大変な損失だ、10万G」
マイザール「【リザレクション】可能ですが?」
バトエルデン「してくれ」
ジュエリィ「即答?」
バトエルデン「1回なら。ほら、【イレイス・ブランデッド】という魔法もあることだし」
フェルディナント「うさんくさい大司教になってるぞ」
バトエルデン「それは元から。あ、いやいや。分かっていても、辛いのだよ」
しかし前者はともかく後者は行使に1日かかります。本来ダンジョンアタック中に使うような魔法ではないのです。
そもそも生き返ってくるかも疑問です。大抵の生物は魂の循環に逆らったりしない、逆らうのは訳有りの人族等ぐらいです。
バトエルデン「蘇生は、延期しましょう。変な蘇りかたしませんように。パンパン」
ジュエリィ「魔動バイク仲間になる?作ってあげるよ」
バトエルデン「お願いできますか」
フェルディナント「一緒にBGM背負おうぜ。チャラッチャー♪」
この状況だと小さいドラゴンゾンビとして蘇りそうで怖いけど、置いていくしかありません。死亡しても<騎獣縮小の札>って効くんでしょうかね。
抵抗する意思があると効かないけど、その意思どころか生命すらないわけですが。無機物扱いで効果なしということになったりするんでしょうかね。
★レベル11コボルド
魔剣の鞘を入手した一行は引き続き迷宮の探索を続けます。すると広い部屋に出たところで12体のレッサーヴァンパイアと遭遇します。
レッサーヴァンパイアは11レベルの蛮族です。吸血鬼の中でも最下層に位置し、上位の吸血鬼の"血の接吻"によって誕生します。
神聖魔法10レベルと真語魔法・操霊魔法8レベルで使用し、上位の吸血鬼同様に《飛行》《通常武器無効》《再生》《吸血鬼の身体》の特徴を持つ。
また噛み付くことで血を吸い、適用ダメージ分HPを回復する《吸血鬼の牙》を持つ。これは上位の吸血鬼の《吸血鬼》に似た能力です。
補助動作で対象を1ラウンド麻痺させる《視線》を使えます。これは抵抗の達成値が低いと6ラウンドの間相手を魅了して自分を守らせることができる。
上位の吸血鬼がいるという情報はあったからこの程度は驚くに値しませんね。彼らは床や壁を熱心に調べている様子です。
ジュエリィ「ぷっぷぷ……」
GM「どうしました?」
ジュエリィ「いけない、コボルドに見える」
GM「おい」
ジュエリィ「だって、コボルドがわきゃわきゃ探し物をしているように見えちゃうんだもん」
既にドラゾン5体を屍に戻した後では雑魚感が拭えない。それ以前に彼らよりレベルの高いオーガバーサーカー12体を皆殺しにいていますし。
これでもフォーセリアでは基本が3レベルだったことを考えればかなり出世したんですけどね。最下層でもヒラのドレイクとかより強いし。
フェルディナント「貴様ら、こんなところで何をしている?」
マイザール「ちゃんと教えてくれたら、乱暴しないよ?」
Lヴァンパイア「たった5人の人族ごときが、我々に立ち向かうつもりか?」
こっちの実力を見抜けていない時点で役者が違う。やはり上位の吸血鬼でないとお話になりませんね。
20レベルぐらいでは歯が立たないことを考えるとドレイクカウントとかも経験点のオマケにしかならない次元です。
相手はこちらが<滅びのサーペント>を探していると知ると襲い掛かろうとします。
フェルディナント「……やらないほうがいいと思うよ?パンツ1枚で土下座させられるのはイヤだろ?」
マイザール「何、それ?」
フェルディナント「むかしむか〜しの話だ。無謀な挑戦はときに身を滅ぼす。あの屈辱感たるや……」
ゆん「自分で食らったの!?」
バトエルデン「PTSDものだな。パンツ1枚で土下座」
今はこんなに強い伯爵にも若い頃があったんですね。
フェルディナント「な、だからやめとけ。忠告だ」
Lヴァンパイア「何を世迷言を。"暗黒の将軍"の名にかけて、貴様らをここで潰す」
フェルディナント「それが、お前たちの首領か?」
これ以上聞き出すには痛い目にあわせないといけません。当たり前のように先制値18を抜き、戦闘開始です。
レッサーヴァンパイアのHPは77点とオーガバーサーカーよりは少ない。ジュエリィの【カオススマッシュ】2連発のいいカモです。
その1ラウンド後、そこにはパンツ1枚で土下座させられるレッサーヴァンパイアLさんの姿がありました。A〜Kは綺麗に焼かれました。
ちなみにレッサーヴァンパイアとは美形揃いのようですよ。そんな美形がパンツ1枚で土下座させられる姿は色々と滑稽なものです。
こうなれば尋問し放題です。今回メルドリーネに攻め込んだ軍勢について色々聞き出します。
フェルディナント「いったい、どの程度の戦力を繰り出したんだ?この迷宮にはどれだけ入りこんだ?言え」
ヴァンパイアL「街は1万の軍勢で攻めました」
さらっととんでもないことを言っています。むしろその数をどうやってアイヤールを飛び越してこの土地に送り込めたのか。
しかしその軍勢も殆どが大蛇の開けた穴に飲まれてしまいました。蛮族軍の将軍はそれを更に2つに分け、片方を地上に、片方を迷宮に投入します。
バトエルデン「我々が地上で相手してたのは、地上掃討部隊か」
ジュエリィ「地上(で)掃討(された)部隊」
ヴァンパイアL「それも将軍様の計算のうちかと」
つまり大司教達の足止めをするための陽動です。生き残った難民を見捨てることもできず、まんまと計画に嵌ってしまいました。
相手の方が数が圧倒的に多く、またこちらと違って犠牲を出すことを厭わない。防ぐのは不可能だったでしょう。
仮にその逆に大司教達を先行させ、難民を皆殺しにしてから後を追うのはシナリオ的にも戦略的にも問題ですしね。
指輪を大司教達が持っている時点で蛮族に不利なのに、この上先に鞘と魔剣を取られたら本格的に軍勢の無駄遣いです。
フェルディナント「そこは、入り口で帰りを待ち伏せが常套手段」
そうすると大司教達が【ディメンション・ゲート】なり【エスケープ】なりで脱出したことに気づかず、待ち惚けを食らうことになります。
このレベル帯になると想像し得ることは大抵実現可能です。小細工を弄するより実力を活かして目的に邁進するのが結局は近道ですね。
例えそれが迷路の壁を突き破って出口まで一直線で進むようなことであっても、目的を達成してしまえばそれが正規ルートになってしまう。
それで問題の"暗黒の将軍"の正体ですけどね。
バトエルデン「ヴァンパイアローズとか、19レベルだから、鞘がなければ、剣見て即死だろ?」
GM「ふふふ、よくぞ聞いてくれました。将軍は23レベル、ヴァンパイアノワール様におわします」
マイザール「はぁ!?23レベル!?」
あれほどルールとデータに熟知したマイザール(の中の人)が素で驚くのだから、これがどれだけ恐ろしいことか分かりますね。
これこそが「黒の封印」の正体です。そのあまりのスペックに「ルールブックV」の収録を見送られた曰くつきのモンスターです。
後に「バルバロステイルズ」にデータが収録されましたが、そこでも25レベルのエルダードラゴンに次ぐ高レベルとして君臨しています。
GM「ようやく陽の目を見ることになりました」
ジュエリィ「ヴァンパイアは、太陽の下に出てきちゃいけないと思うの」
ゆん「んだんだ」
GM「本気で強いんで、正直、今回も使うかどうか迷ってました」
でもそれを使わせるだけ彼らが強いとGMが判断したのです。他にもこういう没モンスターは色々いるそうですが。
ちなみに鞘のところで倒されていたのは21レベルの"真紅の女将軍"ヴァンパイアルージュという吸血鬼だったそうです。
GMはデータを用意していたようですが、これでは実力不足だろうと巧みに演出で退場させてノワールを出したようです。
残念ながらこちらは「バルバロステイルズ」にも未収録です。ローズとリリィのようにノワールとルージュも能力は似ていると思われますが。
例の氏族の話を持ち出すと、ノワールもルージュも吸血鬼の氏族の中でも最大の氏族であるクリューの氏族に属する一族です。
ノワールはクリューの氏族の中でも最強の一族。よってノワールは吸血鬼全体でも最強の一族ということになります。
ただし名前を持つ魔物だと別の氏族でもその上に行っちゃう可能性はあります。実は「カースドランド」に既にそういうのが登場しています。
そいつはアンピュルシオン氏族最強の個体、25レベルのスウェヴンヴァンパイアアペティーです。その実力は小神に匹敵するという。
アンピュルシオン氏族の吸血鬼の一般的なレベルは21であることを考えると、一族としてはノワールが最強というのは破られていません。
そうなるとディルフラム王カーツの種族が気になるところ。彼も吸血鬼ですが今回登場するノワールより強い設定です。
それこそ名前を持つノワールなのか、あるいは別の一族の中でも飛びぬけた実力を持つ個体なのか、吸血鬼の世界の闇は深い。
個人的にはアンピュルシオン氏族の一族を疑っています。この氏族は《七つの鍵》という特殊能力を持ち、各一族は七つの内一つを担当しています。
ところが現在公開されているのはその内六つの一族のみ。まだ見ぬ七つ目の鍵を持つ一族がどうも怪しい気がするのです。
氏族に属するとある吸血鬼はカーツのことをカーツ君とか呼んでて親しげだったし、同じ氏族でも不思議は無い気がするんですよね。
余談ですが他のクリューの氏族の吸血鬼にはグリューンやジュアンといった一族もあるそうですが、彼らのデータは設定されていません。
グリューンはドイツ語で緑なので、クリューの氏族が色の名前で統一されているように思えますね。しかしそれだとジュアンが謎です。
そこで色々調べたところクリュ(Cru)が葡萄酒の産地を意味することを知りまして、実はワインの用語で統一している可能性があります。
ノワールはピノ・ノワール、ルージュはフランス語の赤ワイン(ヴァン・ルージュ)、グリューンはグリューワインというのがあるそうです。
またマクシミーン・グリューンハウスというワインの製造元もあるとか。するとジュアンも同様にワイン造りのオリヴィエ・ジュアンとか。
そうなるとフラウの氏族はフラウ(Frau)だとするとドイツ語で女性になりますね。Flowerにイントネーションが似ているのが気になるところ。
ローズ(薔薇)、リリィ(百合)、デイジー(ヒナギク)はいずれも花の名前であり、また女性の名前としても使われますね。デイジーダッグとか(そっち?)
アンピュルシオン(impulsion)はフランス語で衝動ですかね。ここに属する吸血鬼はいずれも何らかの衝動の名を冠しているので多分そうなんだろうと思います。
現在明らかなのはアペティー(暴食)、トリステス(悲哀)、リール(哄笑)、キュリー(好奇) 、アムール(情愛)、アンドラン(怠惰)ですね。
あと既に滅びたものにシャムロックという一族もあったそうです。「ルールブックV」のヴァンパイアローズの説明によるとフラウの氏族らしい。
それはともかく今はノワールです。弱点を抜けないと滅ぼせなくなるので《魔物知識判定》は重要。
GM「震えるがいい。知名度24、弱点値31……ん?ん??」
マイザール「2万G使って【エンサイクロペディア】自動成功を覚悟してたけど、いらないかも」
ジュエリィなら出目5でいけますね。連続で出目4以下になるのは1/36、なかなか事故を暗示する確率です(笑)
それでも一発で弱点まで抜いたのでアッサリとデータを確認できました。まぁ出目5でギリギリではあったんですけどね。
ヴァンパイアノワールは23レベルの蛮族です。クリューの氏族は数ある氏族の中でも最大の氏族であり、ノワールはその筆頭といわれます。
真語魔法、操霊魔法、神聖魔法15レベルを魔力28で使用する《魔法適性》持ちで、《飛行》《通常武器無効》《吸血鬼の身体》の特徴を持ちます。
《再生=12点》の高い治癒能力を持ち、1ラウンドに爪による《4回攻撃》と、噛み付いて血を吸うことでHPを回復する《吸血鬼》を使用します。
また手番の最初に補助動作で2回だけ対象1体を睨みつけることで、その対象を1ラウンド麻痺させて補助動作を封じる《視線》を使用できます。
なおこの能力への抵抗時に達成値30以下で抵抗に失敗した場合、1分(6ラウンド)の間ノワールに魅了されて操られることになります。
ノワールはMPが0になる前にHPが0になると《靄化》して逃亡します。この時は《生死判定》は行わず、一切のダメージを受けません。
靄はやがて薄れて見えなくなり、ノワールが定める聖域に逃げ込んで復活を遂げます。ただしHPより先にMPが0になると《靄化》はできません。
この時にHPが0になると通常通りに《生死判定》を行います。《魔物知識判定》で弱点を抜けない場合はダメージでMPを削ることはできません。
なおノワールには《剣の罰》という弱点があり、第一の剣に連なる神の聖印を装備して攻撃することで、物理ダメージをMPにあてることができます。
最後にノワールのHPとMPですが、これがまたとんでもないものでHP199点、MP199点と潤沢にも程があります。
<剣のかけら>が23個入るとHP+115点、MP+23点となります。よって最終的にHP314点、MP222点にもなるのです。
この両方をダメージで削ろうとしたら536点にもなる。実際は相手が魔法を使ってMPを消耗したり、《吸血鬼》や《再生》でHPが回復したりしますが。
以上がノワールの主なスペックです。さり気なく魔力28とか言っていますね。ジュエリィを上回る知力+13(78以上)ということですか。
《視線》なんて抵抗の目標値27(34)で達成値30以下だと操られるなんて、普通は抵抗し続けるなんて不可能な数値です。
よって戦闘時には【ブレイブハート】が必須ですね。使用が手番の最初に限定されているのが救い、後だったらディスペルでブレイブ解除→視線のコンボで詰む。
あとは前情報通りに「靄となって死から逃れる」という氏族の特徴をちゃんと再現しています。先にMPを削らないとこれまた詰みますね。
相手がMPを使い切ってくれるのは期待できないわけなので、弱点値を抜いて《剣の罰》の弱点でMPを削るのが基本戦略になるわけです。
ただしわざわざ物理ダメージに限定しているのが周到ですよね。これなら今までのような開幕魔法4連発で倒される危険はありませんね。
地上で助けた子供達が渡してくれた聖印がここで役に立つわけですね。もっとも大司教は既に第一の剣に連なるルーフェリアの聖印を持っていますけど。
あと物理ダメージを出す伯爵とゆんにも必須。物理ダメージを出す魔法があるようなら後衛2人にもあった方がいい。
フェルディナント「もともと用意してある俺様には、関係ないが」
GM「本当に?」
フェルディナント「え?」
GM「『ルールブックT』を読み返してみんしゃい。キルヒアは、第三の剣説が濃厚」
フェルディナント「マジっすか?」
GM「大マジ。マイザールの信じるル=ロウドにいたっては、第二の剣説がある始末」
実はそうなんですよね。後に設定が公開されますけど、この時点ではこれらの神がどの剣に連なるのか不確定でした。
既にGMはその設定を確認しています。彼らがキルヒアやル=ロウドの聖印だけを装備してノワールを殴れば真実が分かるでしょう。
もし第一の剣に連なるのならMPを削れて良し。しかしもし第二・第三の剣に連なる神だったとしたらMPを削れず、良くて敵を取り逃がすことになる。
バトエルデン「さあ、ルーフェリアに改宗するなら今だよ?」
フェルディナント「しませんよ」
バトエルデン「では、あくまでも信仰を貫いて負けるか?」
ノワールも馬鹿じゃない、自分からMPを空にするような真似はしないでしょう。こちらが自発的にMPを削るのはトドメを刺すために重要です。
それに200点を超えるMPで各系統の魔法を使われたりしたら、それこそマイザールやジュエリィが可愛く見えるエゲつないことをしてきそうです。
逸早く物理ダメージでMPを削ればそれを制限することができるわけで、ここは是非とも《剣の罰》の弱点を突く戦い方をしたいところです。
伯爵は悩んだ様子でしたが決断します。
フェルディナント「……GM、「剣の罰」を与えるための聖印は装備しているだけでOKですか?信仰いらないっすよね?」
GM「いいですよ。キルヒアの聖印を装備からはずす必要もありません」
フェルディナント「キルヒア様ごめん。ザイアの聖印、こっそり背中に装備した」
このパーティで物理ダメージを通すメインアタッカーは伯爵ですから、立派な決断です。キルヒア様も許してくれるでしょう。
それとマイザールはティダンの聖印を貰っておきます。これは【ショック】を使うことを想定しています。
これは12レベルの真語魔法で、対象のHPとMPに威力30の衝撃属性物理ダメージを与えるというものです。
この魔法で《剣の罰》を与えた場合、MPに2発分の衝撃を与えることができるのです。しかもこの魔法は必中なので抵抗できません。
ノワールの防護点は25点と非常に高いのでマイザールの魔力とほぼ相殺、威力30の分が適用ダメージとなるとそう大ダメージにはなりませんが。
マイザール「なので、ボクも譲れません。世界の真相は、もう少し謎のままにしときましょうよ」
しかし後に公開された設定で、キルヒアは第三の剣カルディアに連なること、ル=ロウドは第二の剣イグニスに連なることが確定しました。
現在は第三の剣に連なるキルヒアも長年の信仰のお陰で第一の剣の神と同じような魔法が使えます。対蛮族用のセイクリッド系とかですね。
一方ル=ロウドですがこれがまた特殊な神でして、使用できる神聖魔法は技能の習得時に第一側と第二側を選択できたりします。
だから人族の社会と蛮族の社会、どちらでも見ることができる信仰なんですね。まぁ常時どちらも使えるラーリスの特殊性も大概ですが(笑)
最後にこの迷宮に投入された軍勢の規模を聞いておきます。
ヴァンパイアL「総数は100体ぐらいです。人数押しで迷宮突破を試みようと」
ジュエリィ「どっかで聞いたような話だね。主役パーティしか残らないぞ」
ヴァンパイアL「まさにそんなつもりでした。我々もオーガを捨て駒に使いました」
ジュエリィ「キモい通路のとこか」
GM「義足20本避けるためには、7つ捨て駒」
実際は100どころか500はいたそうですけどね。ただし百の勇者は負傷や戦意喪失で脱落することもあり、全滅というわけではない。
しかし今回の蛮族軍はそうなりそうな感じなんですよね。大司教達にも<滅びのサーペント>にも遭遇しなければ生存できるかもしれませんが。
例のオーガ達も罠を踏み潰す捨て駒になったという点では百の勇者に似た境遇かもしれません。しかしどうも全く同じと言うと勇者達に失礼な気がします。
同じ捨て駒でもオーガ達は自ら命を捨てたのではなく、ただ捨てられただけいう気がします。例えるならサイ○イマンの自爆とベ○ータの自爆の違いですかね。
吸血鬼とオーガ以外に入り込んだ蛮族はリャナンシーとか、リャナンシーアサシンとか、ヘカトンケイレスといった種族です。
バトエルデン「ドレイクカウントとかはいないのか?」
ヴァンパイアL「この襲撃、ノスフェラトゥが出し抜きをかけたものなんですよ……」
よってドレイクとかバジリスクのような他のリーダー的存在の蛮族は参加していません。このように協調性の無いところが蛮族の弱点ですね。
もし彼らが団結していたら人族なんてとっくに滅ぼされていたかもしれませんね。一部の英雄が戦うだけで勝てるほど規模の小さい戦いではないし。
あと協調性が無いということは知識や技術を後世に伝えたり、大規模な生産活動を行ったりといった人族には当たり前のことができないということでもある。
リャナンシーはぞんざいズが倒したことがありますが、他のはぞんざいズにも未登場ですね。実は結構高レベルだったりします。
リャナンシーアサシンは15レベルの蛮族です。リャナンシーの中でも高い体術を身につけた者だけがなれる暗殺者です。
リャナンシーと同様に《密偵の心得》で<守りの剣>の結界を無視し、《誘惑の吸血》によって相手を魅了してしまいます。
アサシンはそれに加えて記憶を奪う《変化の吸血》を使用します。血を吸う回数を重ねることでより重要な記憶を奪っていきます。
最初は姿を真似る程度ですが、次第に口調・仕草・癖・交友関係・日常の記憶を入手して完全に相手に成りすませるようになります。
そしてついには技能・戦闘特技・能力値までアサシンのものとなり、記憶を奪われた対象は生ける屍と化してしまうまでになります。
ヘカトンケイレスは15レベルの蛮族です。12本の腕を持つ身長6mの巨人です。正々堂々を好む性格で、戦闘時には6本の剣と6つの盾を装備します。
データ上は上半身(コア)、腕×6、下半身の八部位です。6本の腕は1ラウンドに同じ対象に2本までしか使用できない《攻撃限界》を持ちます。
また使用できる全ての腕の手番を使用して必中の物理ダメージを与える《武器乱舞》を使います。下半身は《攻撃障害=+4・なし》で上半身を守ります。
いずれも強力な蛮族ではありますが<滅びのサーペント>の前では等しく無力です。鞘を持たない蛮族側で生き残れるのがどれだけいることか。
★暗黒の将軍
蛮族の首魁が"暗闇の将軍"ヴァンパイアノワールであることを突き止めた一行は決戦に備えて一晩休息を取りました。
迷宮に潜る前もそうでしたが毎回フルパワーの真剣勝負が基本なので、休息がペナルティになるようなシナリオではないでしょうしね。
翌朝、決戦に備えて大司教は自分に【ジハド】を使っておきます。相手は23レベルの強敵なので手加減無用です。
これは14レベルの神聖魔法で、術者と同じ神を信仰している者に祝福を与え、戦士系技能を+3レベル強化するというものです。
効果範囲は半径500m、持続時間は6時間というスケールの大きい魔法です。ただし消費MP40点ととっても重たいのですが。
フォーセリアだとファリスの特殊神聖魔法でしたね。しかしラクシアにおいては宗派を問わず使えるようになっています。
この場合はルーフェリア信者のみ有効なので大司教本人にしか効果はありません。それでも一時的にファイター技能16レベルになりました。
バトエルデン「ほら、他にもルーフェリアを信仰したい人はいないか?」
ゆん「はい!」
GM「ちょっと待った」
信仰の定義にプリースト技能の所持こそ含まれていませんが、いきなり信仰に目覚めるというのはさすがに駄目でしょうね。
事前にヒラ信者であることを宣言していれば違ってきそうですが。ただしルンフォやタビット、他の神のプリースト技能を持つ者は除外されます。
となるとキルヒア信者の伯爵はどうやっても除外されます。もしかけていれば一時的にとはいえファイター技能18レベルになっていたんですけどね。
それが終わると消耗したMPを【ファンテイン】による水浴で回復。回復に1時間使っても残り5時間は効果が持続します。
起床が《剣の加護》が回復する朝6時とすると、水浴が終わるのは7時でお昼の12時までは効果が持続している感じですね。
6時間ということは睡眠前に使用して全回復というわけにはいかないんですよね。薬なりトランスファーなりで補充してもいいでしょう。
それから一行は再び迷宮の探索を行い、幸いにも午前中に迷宮の最奥に到着します。そこには灰色の大蛇が蠢いていました。
そして既にヴァンパイアノワールの姿がありました。古式で高貴な黒い服の男性です。服もマントも売却価格1万ガメルの高級品です。
他の蛮族は大蛇が放つ瘴気によって全滅していました。リャナンシーアサシンやヘカトンケイレスの死体が足元に転がっています。
既にここは危険地帯ですがゆんが鞘を持っているので皆平気です。効果範囲は瘴気の影響がある全域であり、厳密な効果範囲を気にする必要は無い。
GM「持ち主が死んだら知らん」
ゆん「持ち主ってゆんのこと?」
もしゆんが死亡したら1ラウンド以内に主動作を費やして他の人が指輪を拾い、精神抵抗に成功すれば鞘の持ち主の資格を引き継げてセーフです。
気絶は大丈夫ですが、もしゆんが《視線》で魅了されて操られたら指輪と鞘を差し出せとか言われる可能性があるので、それも阻止しないといけない。
フェルディナント「【テレポート】で吹っ飛ばされるとかは?」
GM「【テレポート】は、「抵抗:なし」。望まぬ相手は飛ばせません」
魅了されていたら抵抗しないでしょうが、その時はそんな回りくどいことをせずに普通に取り上げればいい。
ジュエリィ「【コピー・ドール】の可能性は?」
GM「それは、ますますないよ。必死こいて魔剣を手に入れても、その前に、秘密の寝室に賊が侵入したら、一発で水の泡」
これは14レベルの操霊魔法で、人形を術者そっくりにして動かせるようになるというもの。いわゆるリモート義体的な魔法です。
変化した人形は術者と同じキャラクターとして扱われ、術者が望めばいつでも肉体に帰れますが、その間肉体は無防備です。
自分の肉体の状態は分かりますが、周りの状況は知覚できないし、肉体が死ぬと術者自身も死ぬというリスクのある魔法です。
ちなみにその効果時間は1年と大変長いので長期間に渡って活動することは可能ではあります。身辺警護に自信が必要でしょうが。
あと使用する特殊神聖魔法はやっぱりメティシエです。
マイザール「【アンホーリー・ソイル】がうざいな」
これは13レベルのメティシエの特殊神聖魔法で、術者が肉体を失った時に復活の寄り代となる邪な土を作成するというものです。
死亡、もしくは肉体を喪失すると魂が土のある場所に戻り、土から新たな肉体を作って復活します。この際距離や遮蔽は障害にならない。
復活時はHP全回復でMPそのまま、精神効果属性と呪い属性以外の効果は全て解除されます。ただし通常の蘇生と同様に穢れはたまる。
しかし例外がありまして、術者がノスフェラトゥなら穢れはたまらない。よって吸血鬼は土がある限り弱点を突かれて滅ぼされても復活するのです。
フォーセリアだと吸血鬼を完全に滅ぼすギミックでしたが、ラクシアでは魔法の一種です。穢れを省みないなら吸血鬼以外の術者が使えないこともない。
バトエルデン「こまったな。俺の【リムーブ・カース】は、届きそうにないし」
マイザール「ボクの、【パーフェクト・キャンセレーション】も、魔力3つも負けてて、かかる目は薄いし」
これは15レベルの真語魔法であらゆる特殊効果を解除できる。魔法だけでなく練技や賦術や呪歌、魔物の特殊能力までです。
また行使に1時間かけることで恒常的な魔法のアイテムの効果を解除することも可能。マジックアイテムをただの道具にしてしまうわけですね。
その際に必要となる達成値はマジックアイテムの作成時期によります。現代は25、魔動機文明時代は30、古代魔法文明時代は40です。
世代が遡るほど強力な魔力がかかっているわけです。なお神紀文明時代のアイテムには無効です。この魔法が成立した古代魔法文明時代以前の文明だからかと。
最後にノワールの装備ですが、持っているマジックアイテムは15点の<魔晶石>のみです。所持数は「倒した時に使い切っていただけ」。
《剣の罰》の弱点を突かれた場合、魔法を制限するのはいいとして全く使えなくなってしまうのも面白くありませんしね。
かといって18点のものを持たせたとしたら、<レストレーション>でHP全回復という暴挙に走らない理由がなくなるのでこういうことになりました。
それではいよいよ最終戦闘開始です。
フェルディナント「黒の貴人よ、"闘神"フェルディナント、参る!」
《先制判定》では先制値30を抜いて先制奪取。《魔物知識判定》では弱点値まで抜いて「物理ダメージ+2」を得ました。
1ラウンド目
マイザールは【プロテクションU】を全員に、【ソニック・ウェポン】を前衛3人にかけ、ノワールにパラミスSランクで回避力−3です。
GM「何すんねん」
マイザール「手を抜いてて勝てる相手じゃないんで、後先考えませんよ」
なお【プロテクションU】は9レベルの操霊魔法です。【プロテクション】の上位魔法であり、被ダメージ−3ですね。
【ソニック・ウェポン】は12レベルの操霊魔法です。武器を風属性にして、ダメージ+2とクリティカル値−1の効果があります。
ジュエリィは全員に【ブレイブハート】です。消費MP5点、《MP軽減》あっても5倍拡大で20点消費ですが、ここでまさかの1ゾロ。
ジュエリィ「《ファストアクション》で、かけ直し」
マイザール「あ、危なー」
これがなければいきなり詰んでいたかもしれない。結構大きな<魔晶石>が無駄になってしまいましたが。
ゆんは《跳び蹴り》をするもはずれてしまいます。達成値30出してもノワールは回避力28(35)とかありますしね。
パラミスで−3、《飛行》で+1なので26(33)といったところ。命中力22のゆんキックでも11%程度でしか当たらない。
ゆん「ここで、練技全部いきまーす。<魔晶石>の残り80個切っちゃった」
この当時は練技の使用を移動後に限定していましたが、「ウィザーズトゥーム」では移動前でも使用できるよう明記されました。
そもそも補助動作は手番中のいつでも使えるのが強みですしね。これでゆんは【キャッツアイ】で命中力+1して次の攻撃に備えます。
ゆん「【フェンリルバイト】で噛んでから、パンチパンチ、《ファストアクション》でパンチパンチ」
計5回の近接攻撃を叩き込みましたが、命中したのは1回のみでMP8点減。低くて30、高くて34の達成値ではまだ厳しいですね。
パンチも噛み付きも命中力は24程度と思われます。これでも命中する確率は24%程度、5回攻撃して1回しか当たらなくても仕方ない。
大司教は前衛全員に【セイクリッド・ウェポン】です。命中力+1でダメージ+2とまた当たりやすくなりました。
バトエルデン「あ、おれが行動するのが先だったな」
ゆん「だったね」
バトエルデン「ええい、反省は後。今の俺は人間を越えた16レベル!」
魔動バイクに騎乗して【バランス】を活かして突っ込み、《ポーションマスター》で<デクスタリティポーション>で命中力+2です。
これで現在の大司教の命中力は26にもなっていて出目勝負。達成値34と固定値は抜く数値を叩き出し、命中しました。
これが<跳躍の羽>の効果もあってダメージは38点にもなりました。ノワールは防護点25なので13点MPを削りましたね。
そしてお待ちかねの首位打者伯爵の登場です。練技は全部入れて【クリティカルレイ】SSランクで出目+6します。
フェルディナント「そして、《強化魔力撃》宣言!【プレコグ】入れるぜ、(コロコロ)命中39!」
【プレコグ】は10レベルのキルヒア特殊神聖魔法。1ラウンドの間行為判定の出目を1D+5に固定するというものです。
伯爵の命中力は素で25です。《強化魔力撃》で+5、【キャッツアイ】と【セイクリッド・ウェポン】で+2して命中力32!
出目が1D+5ということは1D+37が命中の達成値になるわけでして、39というのは決して高い数値ではないのです。
例え【プレコグ】がなくても命中力32は回避力26のノワール相手でも9割以上の確率で当たりますけどね。恐るべし伯爵。
しかし驚くのはまだ早い。ダメージの算出では1回目は当たり前のように6ゾロ相当クリティカルです。
フェルディナント「二廻り目(コロ)7……ここは〔剣の加護/運命変転〕行く。ナイスだ【ソニック・ウェポン】。
ひっくり返して出目+2ならば9になってクリティカル継続!(コロコロ)さらに回ったぜ!」
GM(お……おい?)
フェルディナント「(コロコロ)くそ、ここで1ゾロは悔しい」
GM「少しは助かったか」
フェルディナント「ダメージは、110点です」
GM「はぁ!?」
これには一同爆笑。まさかSWでこんな数値が聞ける日が来ようとは。最後に1ゾロ振らなければもっと伸びていたわけですよね。
素の威力が威力70+41点で、【マッスルベアー】で+3、【セイクリッド・ウェポン】と【ソニック・ウェポン】で+4。
弱点が+2で威力70+50点とかなんですよね。1回クリティカルする毎に20点近く加算されていくとはいえなんてことだ。
しかも伯爵には《ファストアクション》の2回目がある。今度は達成値38でぶん殴り、相手は出目11出しても37で妖怪1足りない。
フェルディナント「あ、全然回らない。66点」
GM「何を言っておるのかね、きみは」
1発目は85点、2発目は41点削りました。大司教とゆんも入れると222点中147点も削れたわけですね。その殆どは伯爵ですけど。
ノワールは《マルチアクション》を宣言して伯爵の【ブレイブハート】をディスペルします。ついでに自分に【ブリンク】です。
そして《4回攻撃》が伯爵を襲いますが出目が悪くなかなか当たらない。【プレコグ】がまだ効いているので普段より避けやすくなっています。
とはいえノワールの命中力は《飛行》込みで30(37)もあるわけで、《強化魔力撃》で回避が下がっている伯爵は本来殆ど避けられないんですけどね。
結局命中したのは4回目のみ、これを《吸血鬼》にして48点ダメージをお見舞いします。【プロテクションU】込みで38点ほど抜けました。
ノワールの近接攻撃は爪によるもので、これは2D+26点です。ところが《吸血鬼》による噛み付き攻撃だと2D+40点に跳ね上がるのです。
2ラウンド目
ジュエリィは伯爵に【ブレイブハート】をかけ直します。彼我の距離は25mなので《魔法拡大/距離》が必要な状態ですね。
マイザールは今回もパラミスSランクをノワールに入れ、【ライトニング・バインド】をかけて抵抗されます。それでも1ラウンドは行動判定に−2。
これで回避力は24(31)とゆんでも当てられそうになってきました。5も下げられてようやく当たりが見えてくるというのも凄い話ですけど。
大司教は《マルチアクション》《かばう》を宣言して伯爵をかばいつつ【キュア・モータリー】で回復し、【ブリンク】を近接攻撃で解除して完璧に支援します。
伯爵は【コンプレーション】から【ブリンク】で保険をかけつつ、【プレコグ】を継続して《マルチアクション》《強化魔力撃》を宣言。
ゆんに【ファナティシズム】をかけて命中力を上げます。これでゆんの命中力は26程度になったのでノワールの回避力を上回りました。
ただし本来は【ブレイブハート】中は精神効果属性の魔法は無効です。ナチュラルに熱狂していたので誰も気づかないというのはよくあること。
そして《強化魔力撃》は達成値38とまたやたら高くて命中し、70点で45点通し。またも【クリティカルレイ】を忘れてこの破壊力。
ゆんはキック、キック、【フェンリルバイト】、【バルーンシードショット】の4回攻撃が全部命中しました。
これでノワールのMPは0になりました。既にダメージはHPに浸食、この状態でHPも削りきれればこの場では滅ぼせます。
これにはGMも意気消沈。
GM「では、ここで禁断の奥の手を」
一同「ざわ」
GM「魔剣を取り出してごっくんと呑みこんで、ドレイクヴァンパイアノワール竜形態を宣言して、全回復……」
フェルディナント「な ん だ と?」
GM「ダメ?」
むしろいいわけがない。仕方なく堅実に《マルチアクション》を宣言して《4回攻撃》で伯爵を血まみれにします。
【ブリンク】と大司教の《かばう》で2回は防いでいるはずですが、2回も当たると50点以上食らってもおかしくない。
魔法は【レデュース・マジック】を使って【ライトニング・バインド】のダメージを利用してMPを回復します。
これは9レベルの真語魔法で最初に受けた魔法ダメージの適用分MPを回復します。ただし効果は1日1回のみですが。
マイザールの魔法なら30点以上MPを補充できたでしょう。【ライトニング・バインド】を上手く逆手に取りましたね。
3ラウンド目
しかしその貯金もゆんと伯爵にあっさり持ってかれ、かつHPをゴリゴリ削られる状態に戻ってしまいます。
ジュエリィは地味にカンタマで皆を援護し、マイザールの【ライトニング・バインド】はまさかの抵抗失敗で6ラウンド効きます。
精神抵抗29(36)あっても出目4では33。これならマイザールは出目9で抵抗を破れますね。
そしてノワールの番です。《マルチアクション》を宣言し、伯爵に《4回攻撃》をお見舞いするのは同じです。
しかし使用する魔法は【イレイス・マジック】です。9レベルの真語魔法で、特定系統の6レベル以下の魔法の使用を封じる。
丁度次のラウンドで伯爵以外の【ブレイブハート】のかけ直しがあります。これでジュエリィの妖精魔法を封じれば《視線》が使えて逆転可能です。
ここまで圧倒している状況でも1回でも《視線》を許すと逆転できてしまうというのだから、魔法よりよっぽど恐ろしい能力かもしれない。
ゆん「伯爵の<ガイスター>がこっち向いたら困る」
フェルディナント「いや、きみが操られたら終了だったろう」
ジュエリィ「抵抗する自信ないなあ」
魔力28で【ライトニング・バインド】が入っていて《行使判定》の基準値は26ですね。ジュエリィの精神抵抗はカンタマ込みで24です。
これはかなり危険な勝負になりそうですが。
バトエルデン「距離届きます?」
そう、現在彼我の距離は25mあります。【イレイス・マジック】の射程は10mで、消費MP6点です。
《魔法拡大/距離》の3倍拡大でようやく届くわけですが、その場合の消費MP18点は15点<魔晶石>しかない今は使えない。
そもそも《複数宣言》を持たないノワールは《マルチアクション》と《魔法拡大/距離》を併用できないんですよね。
宣言については《マルチアクション》をやめればいけますが、もっと根本的な問題がありました。
GM「いや、それ以前に……あーっ!!」
ここでノワールが持つ《魔法適性》の内容を確認してみましょう。
魔法適性
戦闘特技《マルチアクション》《魔法誘導》《魔法収束》《魔法制御》《鷹の目》《魔法拡大/数・時間・範囲》《ワードブレイク》を習得しています。
なんと《魔法拡大/距離》がないのです。時間とか微妙なものを拡大できるくせに距離はできないとか、ノワールの一族はどうなっているんだ。
実はローズとかリリィもこれはないんですよね。吸血鬼全体の掟で何か制限でもあるのかと疑いたくなる。この土壇場でとんでもないことが発覚しました。
GM「ば、ばかな……」
バトエルデン「何という中途半端な魔法適性」
GM「ふつう、数の次は距離だろ。何だ、この時間てのは」
仕方ないので【ショック】でジュエリィのMPを大きく削りますが、【ブレイブハート】を阻止する程ではありませんでした。
4ラウンド目
ジュエリィは【ブレイブハート】をかけ直し、マイザールは【デスルーテリィ】で魔法の行使そのものに制限をかけます。
これは13レベルの真語魔法で《行使判定》に−4の修正を入れるというもの。抵抗しても1ラウンドは効果があります。
これでノワールの《行使判定》の基準値は更に下がって22になりました。こうなるとジュエリィの魔法をディスペルできるかも微妙です。
それからは《4回攻撃》で多少伯爵が血まみれになろうとも、大司教がアッサリ全回復させて吸血鬼より不死身っぽかったです。
そしてMPが0になると魔法ダメージを遠慮する必要もないので、マイザールとジュエリィの攻撃魔法による大火力も投入されます。
ノワールの300点を越えるHPはみるみる内に削られていき、伯爵の「89点〜!」という宣言でノワールは滅ぼされたのでした。
★そして、それぞれの道へ
ヴァンパイアノワールは滅ぼされ、体は腐れた土のように崩れてしまいました。
彼のその後については「フェイダン博物誌」に書いてありまして、やはり【アンホーリー・ソイル】で蘇ったそうです。
同時にディルフラムの十三魔将の一人であり、カーツの右腕とまで言われた大物であったことも明らかになりました。
データが明らかな他の十三魔将が20レベル未満であることを考えると彼はかなりの実力者だったはずです。
しかし万の軍勢を失う大失態を犯した上に、おめおめと邪な土に縋って蘇った彼をカーツは見放したようです。
かつては右腕だった彼をカーツは容赦なく名前剥奪刑に処し、社会の最下層に放逐します。
以後彼は自らの名前と能力を明らかにすることも許されず、"名前奪われし者"として人族の奴隷達に紛れて生き永らえているとか。
確かに彼はゲーム的な「名前のある魔物」ではなかったけど、本当に名前まで奪われてしまうとは皮肉なものです。
さて、見事<滅びのサーペント>の所有権を獲得した大司教達ですが。
バトエルデン「では、魔剣の争奪戦だな。来いよ、血まみれ」
フェルディナント「くく……。貴様が倒れるのが早いか、俺様が自爆するのが早いか、試してみるか?」
ジュエリィ「やめい(頭コンコン)」
フェルディナント「そっすね。まだ、怪我残ってるんですけど?(手揉み)」
魔剣を入手したのでまずは鞘に封印して持ち歩けるようにします。方法はジュエリィが知っていたことにして簡単に済ませられます。
GM「封印と同時に、迷宮が揺れ、崩れ始めます。脱出まではわずか1ラウンド」
バトエルデン「【エスケープ】!」
GM「脅しになりませんな」
脱出先は最寄のルーフェリア神殿でした。最寄といっても既にルーフェリア国内っぽいので結構な距離を移動していそうですけどね。
マイナーな神様だからこそ、いざ使用する時には"テレポート"並みの移動距離を稼げますね。ライフォスとかだと本当に近所への移動になりそう。
ゆん「やっほう!エルフたくさんだ。はあはあ」←エルフフェチを思い出す
ジュエリィ「どうどう、落ち着け」
ここで彼らは魔剣の管理を分担します。鞘に入った魔剣本体はルーフェリア神殿であずかり、湖に沈めて封印しておきます。
魔神将が入った指輪はジュエリィが持ち帰り、カイン・ガラで管理します。ゲルダムとの共同生活とか気が狂いそうですがきっと大丈夫。
フェルディナント「あれ?俺様、手ぶら?」
マイザール「ボクが、伯爵についていきますから」
フェルディナント「何だと?そんな趣味はないぞ」
マイザール「王妃様と王子様ですよ。絶対、王国、再興させないと」
メルドリーネの生き残りが伯爵の《血風領》に身を寄せると。確かに保護者としてはこれほど頼りになる人はいないでしょうが。
伯爵にしてもマイザールを仲間にできればディルフラムとの戦いも楽になりそうですしね。結構いい話だと思いますよ。
マイザール「ここだけの話ですけど、旦那。王国再興したら、魔剣の正統な持ち主を主張できるかもですよ。よ、この後家殺し」
フェルディナント「なるほどぉ!」
バトエルデン「おい、何か言ったか?"血まみれ伯爵"?」
フェルデオィナント「いえいえ、何にも。魔剣をよろしく頼む、大司教。ちゃんと保管しといてくれよ」
バトエルデン「もちろん、たちの良からぬやつは決して近づけさせんよ」
フェルディナント「はっはっはっ……」
バトエルデン「はっはっはっ……」
何だか未来が怖くなりますが、少なくとも10年後までは魔剣は悪用されることもなく、女神の御膝元で清浄な眠りについています。
大司教は神殿の仕事を続けるし、ジュエリィはカイン・ガラでの引き篭り生活を続ける。
フェルディナント「来いよ、マイザール。お前にもっと暴力のよさを教えてやるからな」
マイザール「はーい。頼んます、師匠」
この2人についてはこれまでとは違った生活になるでしょう。何だか蛮族の方が可哀想になります。
ゆん「さて」
バトエルデン「迷惑かけなければ、いつまでもいていいぞ?」
ゆん「うーん、でも、毎日見てると、慣れて飽きちゃうかも。それはもったいないと思うの」
だから彼女も旅立ちます。今までのように、グラスランナーらしく世界の各地を放浪するのでしょう。
その機動力をもってすれば本当にどこに出没しても不思議はないでしょうね。どんな秘境も蛮族領も平気で横断するでしょう。
ゆん「生バトエルデン見れて幸せだった」
バトエルデン「この肉体美を見に来たくなったら、またいつでもおいで」
ゆん「うん。じゃね。みんなもまたねー」
こうして5人の英雄達はそれぞれの道に戻っていきました。英雄だからこそ、それぞれやるべき事があります(グラランは除く)。
しかしこの5人が集結するのはこれが最後ではありません。今後も世界を揺るがす大事件があれば再び集って挑むことになるでしょう。
バトエルデン「しまったーっ!クラウン回収してくんの忘れてたー!!」
世界を揺るがす大事件以前に、負債を返済するという私的な事件に戦慄する大司教でした。
★夢を見たんだ
このリプレイは「滅びのサーペント」が文庫化するにあたり、文庫収録用に書き下ろされたものになります。
最強のPCが大暴れした前作とは逆に、最弱のPCが蛮族の街で生き延びるというのがコンセプトとなっています。
使用するPCの種族は「バルバロステイルズ」で追加されたコボルドのみという、正に薄氷の上を踏むかの如く危ういものです。
コボルドはPCとしても最弱の名を欲しいままにする種族でして、能力値的には生命力と筋力が極端に低い以外は平均的です。
しかしそれは当然HPや装備の貧弱さを招き、乱戦エリアに巻き込まれようものなら儚く散っていく可能性が高くなるのです。
他に強い味方がいるならパーティのマスコットとして生き残る道もあるかもしれませんが、今回は全員コボルドなのでそれもない。
またコボルドをPCにした際の種族特徴は3つあります。メジャーなものは器用度を使った非戦闘判定に+2の修正が入る〔小さな匠〕です。
実はこれはスカウト技能の《解除判定》などにも使用できるため、家事以外の場面でも使える種族特徴だったりします。
他には戦闘で攻撃の対象となった時に攻撃を他のPCに逸らす〔軽視〕があります。弱い種族ならではの苦肉の生存術といえます。
そして地味に大きいのが〔種の限界〕です。あらゆる冒険者技能は5レベルが成長の限界になるという種族的な枷があるわけですね。
よってコボルドには種族特徴の成長なんてありがたいものもなく、どんなに鍛えてもどこかで限界が来てしまうわけですね。
その脆弱さと愛らしい姿、そして蛮族としては珍しい勤勉さのお陰で人族社会に受け入れられる余地があるのがせめてもの救い。
ちなみに穢れは1点と少ないので<守りの剣>の結界内でも活動可能。蛮族の工作員になる道もあるかもしれないけど非常にリスキーです。
ヴァンパイアノワールを完封した前作とは物凄いギャップですね。
元フェルディナント「……という夢を見たんだ」
GM[何だ、いきなり?]
元フェルディナント「いえ、このセッションの話を聞いて、最初のセリフはこれにしようと決めてたんです。ああ、いい夢を見た。わん」
元バトエルデン「銀色の煌きではなく、薄汚れた灰色が我が身を覆っている悲哀」
作成直後の筋力が7とか8のコボルドに<インペリアル>なんて夢のまた夢。精々革鎧でしょうね。
元マイザール「ああ、GMが思い切り清々しそうな顔をしている」
GM「いやあ、今日という日が楽しみで」
元バトエルデン「GM!TRPGというのは、GMとプレイヤーの共同作業です」
元フェルディナント「そうそう。決して敵対し合う存在ではありません。ね?」
GM「ふふふ、この間は、よくも好き放題やってくれたのう」
元フェルディナント「聞いてやしねえ……」
今回のレギュレーションは作成直後なので成長もない。初期経験点1000点で所持金600ガメルです。
生まれ表は任意に選んでいいことにして、心技体の基礎能力値以外の技能も任意に決めることができます。
しかし普通のコボルドでも初期所有技能含めて3000点はあることを考えるとこれは本当に低い。
何しろ初期所有技能もない状態なのでAテーブル技能を1レベルで1つか、Bテーブル技能を1レベルで2つしか取れません。
つまりどうあがいても1レベル。前回に比べるとキャラメイクが簡単そうでよかったですね(笑)
元マイザール「回復が……。【キュア・ウーンズ】も【アースヒール】も【ヒーリング・バレット】も2レベル」
GM「【ヒールウォーター】があるだろ」
元バトエルデン「実質的に戦闘中に使えませんよ、それ」
これは1レベルの妖精魔法で、威力10で回復する効果がある水を作成します。ただし回復を受ける本人は主動作で飲む動作が必要。
コボルドには習得する技能の制限はないけど、1レベルでは魔法を覚えても高が知れていますしね。攻撃魔法もエネボルが精々。
いっそシューター技能なしでマギテック技能を取るという手もありますが、そんなのが候補に挙がる時点で色々危険ですよね。
元バトエルデン「ようし、俺、サイコロ振っちゃうぞ〜。(コロコロ)ソーサラー(笑)
いいや、技能もソーサラーにしとこ。1レベル、終わり。うわ、すげえ簡単」
GM「一応、戦闘特技も1つ選べるが」
元バトエルデン「ああ、なるほど。生涯で3つしか選べない、任意獲得の戦闘特技ですね」
GM「そうね」
元バトエルデン「《魔法誘導》。終わり。名前は、マナ・エラーで」
GM「何だ、その偉そうな名前は」
どっかの大賢者を髣髴とさせる名前ですね、犬っころの分際で。しかしこれは本当に簡単なキャラメイクです。
他の人達も元のキャラを連想させる名前にして個性を出すことにします。そうでないと差別化は難しい、犬だし。
その後各人もキャラメイクを終え、今回活躍?するコボルドPC達が揃いました。
マナ・エラー
シベリアンハスキーっぽいコボルドの元バトエルデン。習得技能はソーサラー1、戦闘特技は《魔法誘導》。
意外と賢く知力18あるので魔力4で真語魔法を使える。MP19点と1レベルの割には結構高い。
フェル・イヌキチ
柴犬っぽいコボルドの元フェルディナント。習得技能はフェンサー/スカウト1、戦闘特技は《全力攻撃》。
本パーティの先制要員で敏捷度18と素早い。ダガーとクロースアーマーという貧弱装備で《全力攻撃》をする男前な犬っころである。
ぽむ
マルチーズっぽいコボルドの元ゆん。習得技能はシューター/セージ1、戦闘特技は《精密射撃》。
本パーティの魔物知識要員で<ノーマルクロスボウ>を使う。上手く当たれば威力20+4点でコボルドらしからぬ破壊力を発揮する。
マイズ
チワワっぽいコボルドの元マイザール。習得技能はフェンサー/エンハンサー1、戦闘特技は《武器習熟/ソード》。
こう見えても敏捷度19と素早い動きをする。戦闘特技でダメージの底上げを図るが所詮は威力5のショートソード使いである。
ジュリィ
パピヨンっぽいコボルドの元ジュエリィ。習得技能はシューター/レンジャー1、戦闘特技は《精密射撃》。
ぽむと同様にクロスボウを扱う。<ヘビークロスボウ>とより凶悪になっているので威力25+4点の射撃攻撃が可能。
以上のように限られた経験とお金でできる限りのキャラメイクをしました。
ジュリィ「矢筒と太矢12本とクロースアーマー買ったら、残り15Gになった。太矢、足りるかな?」
<ヘビークロスボウ>が530ガメル、矢筒が20ガメル、太矢12本が20ガメル、<クロースアーマー>が15ガメルですね。
本当にそれだけの買い物で残金15ガメルになってしまいますね。所持金の九割近くを注ぎ込んだだけにクロスボウには期待したいところ。
エラー「金の貸し借りはありですか?」
GM「まだダメ。シナリオが始まらないと出会えません」
エラー「オープニングで殺されたりして」
イヌキチ「ありえる」
GM「よくあることだな。最初にブリーフィング・ルームに着く前に、クローンナンバーが上がっちゃうのは」
エラー「何で、お前ナンバー3なんだ?とか」
ジュリィ「6回死ぬと終わり」
近未来ディストピアRPG「パラノイア」はPCが簡単に死んでしまうことで有名なゲームのようです。
各PCには6人のクローンがいて、死んだら順繰りに投入され、全滅するとPCはロストするというもの。
GM「あ、実は、本当に6回死んだら終わりです」
一同(ざわ)
今回は貧弱なコボルドボディであることを考慮して死んでも続行できる救済ルールが用意されています。
ただし死ねば死ぬほど後で重いペナルティが課せられることになるため、死なずに進行するのがベストではあります。
こうして色々不安なゲームが開幕しました。しかし忘れてはいけません、これは「滅びのサーペント」の続編なのだと。
★GMはニヤニヤしながら言った。「さあ、どうする?」
キャラメイクが終わったところで導入ですが、今回は一人一人別々の導入になります。
GM「さあて、やるか。(コロ)」
一同「びくぅ」
ただでさえ弱っちいのに個別に導入なんて嫌な予感しかしません。最初に選ばれたのは幸か不幸か前衛技能のあるマイズでした。
それは彼が気がつくと白くて四角い部屋にいたというもので、室内には扉が1つ、おどろおどろしい紋様の刻まれたチェストが1つだけあります。
まったく事情の分からない導入に困惑気味でした。
マイズ「は、はあ」
GM「さあ、どうする?」
一同(ざわ)
マイズ「えーっと、腹這いになって床からチェストに近づきます」
イヌキチ「らしくっていいな。僕ちゃんも真似しよう」←弱気らしい
このように今回は随分慎重に振舞っていますね。前回の大味っぷりが嘘のようで、GMの反応を見ながら手探りで進めている感じがいいですね。
力で解決できないことの方が多いからこうせざるをえないとはいえ、同じゲームでもレベル帯が変わるとこうもプレイスタイルも変わるものかと感心。
マイズ「で、側面を「コンコン」」
GM「ガタッ」
マイズ「こ、こえーっ!」
たまらず扉までダッシュして3つ数えて様子を見るも反応なし。いっそ何か出てくれたほうがまだ逃げる決断をしやすいというもの。
恐る恐るドアノブを後ろ手に握って逃走をはかりますが。
イヌキチ「罠があるかも」
マイズ「どうしようもないよう(泣)」
フェンサー/エンハンサーな彼には罠を調べようにも平目しかないわけで、やむをえずショートソード片手に扉を開けたところで導入終了。
どうやら罠は発動しなかったようですが、これはこれで気になる引きです。いっそ平目でもいいから何かやっておいた方がマシかも。
次の導入はジュリィでした。状況はマイズとよく似ていて、白くて四角い部屋でチェストが1つだけあります。
ところが今回は彼女がコンコンしてもチェストが動く様子は無い。導入によって微妙に変化があると思われます。
ジュリィ「じゃ、じゃあ、思い切って蓋を開ける」
GM「ボンという音とともに、あなたの顔に毒ガスが噴射されました」
これには一同思わず笑う。幸い生命抵抗の目標値は8と低かったので生命抵抗2の貧弱ボディでもなんとか抵抗できました。
GM「では、死なずにすみました」
ジュリィ「きゃーっ」
エラー「ダメージじゃなくて、即死?」
本当に導入から殺しにかかっていますね。期待値で抵抗できるとはいえ、ある意味前回よりも緊張感のある展開です。
一応罠の発見と解除も目標値8でできるというので難易度は低い罠のようですが、まさか躊躇なくデストラップを仕掛けてくるとはね。
そうして毒ガスが消えた後のチェストの中には宝石が1つ入っていました。ここでGMは1D6を振るように宣言します。
ジュリィ「(ころ)5」
GM「では、紫色の宝石です」
ジュリィ「そーっと手に取る。ご主人様に持って帰ろう」
イヌキチ「ご主人、いたんだ」
ジュリィ「うん。カイン・ガラで引きこもってる。これで誉めてもらえる〜」
宝石の中には魔法文明語が刻まれていて、種類をランダムで決定したことといい、今回のシナリオのキーアイテムであると推測できますね。
しかしジュリィには魔法文明語は読めないので宝石だけ持って退室します。彼女の言うご主人があの人なら大抵の言語はスラスラ読めたんですけどね。
次の導入はエラーです。やはり白くて四角い部屋からスタートですが、大きいチェストと小さいチェストがありました(笑)
エラー「そーっと杖を伸ばして、小さいほうをコンコン」
GM「シーン」
エラー「大きいほうをコンコン」
GM「ガタッ」
この反応を見たエラーは大きいほうには触れないようにして、小さいほうだけ抱えて退室しました。そっちも蓋は開けないようにします。
次の導入はぽむです。今回は前3人とは状況が違って屋外にいました。正面には広くて大きな道、左側には崖伝いの細い山道があります。
ぽむは取り合えず正面の道を進みます。すると目の前には身長5mで角を生やして巨大な武器を持ったマッチョマンの姿がありました。
イヌキチ「か、怪物だー」
マイズ「ダメっす。怖すぎ」
一応セージ技能を持つぽむは《魔物知識判定》をしましたが達成値8では足りないらしく正体不明です。
ぽむ「ぽむは、箱入りわんこなのだ。だから、物怖じとか知らない。「どちら様ですか?」」
マッチョ「この先に進むことはならぬ」
ぽむ「では、どっちに進めばいいですか?」
すると彼は崖伝いの道の方を指差したので、微妙に育ちの良さそうな彼女はお礼を言ってその言葉に従いました。
ちなみにマッチョは汎用蛮族語で話しかけてきました。相手に言語を合せている様子から高い知性も伺えて、同時に強そうでした。
最後の導入はイヌキチです。彼は崖伝いの山道の途中に立っていて、周囲には焼け焦げた匂いがします。
イヌキチ「な、何で僕ちゃんこんなところにいるんだろう」
崖は目も眩むほど高いのでここを降りるのはナシですね。かといって前後に伸びる道も先はカーブしていて何があるか分からない。
本当にどうやってここまで来たのかすら謎です。悩むイヌキチでしたが突然片方のカーブの先から火傷の痕が酷い太い腕が突き出されます。
その腕は(というかGMは)人差し指だけ伸ばし、先を鉤にして前後に揺らす動作をします。
イヌキチ「それは、「あっちへ進め」という意味?」
GM(指で○)
イヌキチ「いいんですか?僕ちゃん、何もしなくても……はあ、「○」ですか。じゃあ、行くか」
これまた素直なコボルドだったので素直に言葉に従って反対側の道を進みました。
背後の親切な太い腕の人が稲妻に焼かれる音と匂いがしましたが確かめたりせず、頭を両手で抱えて無我夢中で走ったのでした。
以上で全員分の導入が終わりです。屋内と屋外で大きく2つに分かれた導入でしたが、1つ共通していることがありました。
それは自分がどうしてここにいるか分からないという点。誰かに連れてこられたのか、自分で移動してきた記憶をなくしているのか、現時点では不明です。
★謎の街、謎の住人
それぞれの導入を終えたコボルド達は気がつくと街の中央広場にいました。東西南北に道が伸び、広場には井戸があります。
印象としては人族の街で、石畳が続く道はよく整備されています。どこか見覚えのある街並みという気もしますが思い出せません。
GM「あたりには霧が立ちこめてます」
一同「……」
GM「どした?何、そんな顔になってんの?」
イヌキチ「き……霧の街っすか?」
マイズ「もうダメだあ」
エラー「鐘が鳴り始めて、ボガードが出てくるんだ」
「ミストキャッスル」のイベントですね。「スピタのコピタの!」でも取り上げられたイベントだけに比較的知名度は高いかな。
しかし霧の街だったらこんな綺麗な街並みは期待できないでしょう。何しろあそこは蛮族が支配する世紀末っぽく荒んだ街なのですから。
とにかくまずはこの場所が何処なのかを特定しようと通行人に声をかけます。ところがその相手は推定シザースコーピオンだったりする。
サソリ「ああん?コボルドが何用だ?」
ジュリィ「ここは、ど、ど、どちらでございましょう?」
サソリ「俺たちの街だよ、街。ふっへっへっへ」
ジュリィ「そ、そうですよね」
サソリ「せいぜい気をつけるんだな」
ジュリィ「は、はいい」
エラー「見かけによらずいい人だった」
蛮族が支配する街ということは判明しましたが、具体的な地名は教えてくれませんでした。それに蛮族の街にしては綺麗過ぎて不審ですね。
さて、ここで改めてコボルド達は互いに自己紹介をして情報を交換します。エラーが持ってきたチェストはイヌキチが開けます。
目標値8でイヌキチの《解除判定》の基準値は3ですが、非戦闘の器用度判定なので〔小さな匠〕も使えて基準値5、1ゾロ以外で成功です。
期待通りに危なげなく罠を解除してチェストを開けると宝石が1つ入っていました。1D6を振るとジュリィの宝石と同じ紫色の宝石でした。
早くも被ってしまったのは残念でした。でもエラーなら魔法文明語が読めるので例の文字も分かります。
「神ににボてく果ろ」
紫色の宝石には2つとも同じ言葉が刻まれていました。<魔晶石>のような効果はなさそうですが宝石なので売ることは可能のようです。
しかしこれだけではよく分かりません。他の種類の宝石と合せれば意味が分かるだろうと推測して、今のところは保留にしておきます。
そうなると街を移動して色々調べたいところ。ここで一行はサソリが北の道に向かったということもあり、真逆の南の道を進みます。
すると道は下品で派手な看板が立ち並ぶ区画に至ります。どうやら歓楽街らしく、怪しい飲み屋や劇場や賭博場が軒を連ねます。
ただし人通りがないのは不気味です。夜ではないようですが、それにしてもおかしい。今のところマッチョとサソリにしか遭遇していない。
ところがそんな彼らは不意に何者かと目が合います。それは赤い格子の張り出しがあるお店で、美女が手招きしています。
エラー「この偉大なるマナ・エラーに何のようですかな」
ジュリィ「やめろ、関わろうとすんな」
ぽむ「ここ、お金がいるようなお店なの?」
マイズ「いると思います」
ジュリィ「ここは、罠の専門家に行ってもらうべき」
イヌキチ「そういう罠は管轄外だー。コボけんで決めよう。最初はグー」
どう見てもヤバそうなお店ですが、スルーしたりはせずに本当にジャンケンという名のコボけんで代表を決めてアタックです。
結果一見人間に見える美女のお相手はこのコボに決まります。
ジュリィ「めそー」
美女「さ、入ってらっしゃいよ」
ジュリィ「もじょもじょしながら、お店入ります」
美女「お友達は?」
ジュリィ「もうちょっと待ってるって言ってます」
美女「呼んでらっしゃいよ」
ジュリィ「ハーイ!ハイ!ハイ!」←元気
ということで結局全員で入店します。ちなみにこの時点の所持金はジュリィが15ガメル、イヌキチが17ガメル、エラーが13ガメルです(笑)
少ない所持金と貧弱なボディながら結構ギリギリまで購入しているようですが、これだと仮にこの店がマトモな店でもお代に足りないかもしれない。
目安として一食あたりの食事代は軽食で3ガメル以上、ランチセットで8ガメル以上、ディナーで15ガメル以上程度になっているようです。
普通の飲食店ではなさそうな雰囲気ですし、お酒なんかも入ると予算はもっと要りそうです。ちなみにワインは一杯2ガメル以上、一瓶20ガメル以上です。
美女はコボルド達を隅っこの丸テーブルの案内します。
美女「お茶?お菓子?お酒もあるわよ?」
イヌキチ「僕ちゃん、10Gしか持ってませんから」←少なく申告
美女「またまた。そんなことないでしょ」
イヌキチ「本当ですって。つーわけで、僕ちゃんたち、帰りますね」
ところがそうはいきません。金がないと知った美女は恐ろしい形相になり、合図とともに黒服の蛮族達が奥から現れます。
暴力店員(イヌキチ)「おい、兄ちゃん、席ついたら、テーブルチャージいうものがつくんやで」
暴力店員(エラー)「テーブル拭いたて用意するのも労働なんやで」←やたら上手い
ということで《魔物知識判定》です。判定の結果レッドキャップスレイブが4体とレッドキャップ1体と判明します。
レッドキャップは2レベルの蛮族です。赤い頭髪が帽子のように見えるのが特徴で、残忍な性格をしています。
レッドキャップスレイブは1レベルの蛮族です。レッドキャップの奴隷種で《徒党を組む》ことを得意とします。
自分以外のレッドキャップ(種類を問わない)2体につき命中力とダメージ+1です。これは+4まで累積します。
スレイブは1レベルの蛮族という意味ではコボルドと並ぶ最弱種族ですね。素の能力だとコボルドの方が若干強い程度です。
何しろ命中力1(8)とダメージ2D点という底辺っぷりですからね。これ以下というのもそうそういませんよ。
ところが+4まで累積しようものなら3(10)/2D+3点のレッドキャップを凌ぎ、5(12)/2D+4点のレッサーオーガに並ぶ。
幸い今の状況だと+2が精々なので3(10)/2D+2点ですね。それでもコボルド達にはなかなかの脅威ですけどね。
1体でも沈めると+1に軽減し、もう2体沈めたところでボーナスなしになるわけですね。低レベル帯だからこそ細かい作戦が必要。
数は同じ、レッドキャップが2レベルな分レベル的にはちょっと負けてる感じです。
ぽむ「お金払う?」
レッドキャップ「お1人様、40G、いただきます」
イヌキチ「えへへ、質問していいですか?お金、払えないときはどうなります?」
レッドキャップ「毛皮と肉で払っていただきます」
テーブルチャージで40ガメルですか、清々しいまでにぼったくりですね。最安値ならディナーとワイン一瓶を注文してお釣りが来るのに。
もし払うなら5人(というか5匹)で200ガメルにもなる。内3匹の所持金が揃って20ガメル以下だし、他2匹も同様なら払えないでしょうね。
マイズ「上等だーっ!やってやるーっ!」
ということで《先制判定》です。レッドキャップの先制値が9でこっちのメインスカウトの先制力が4、勝ち目はあります。
ところが肝心のイヌキチがまさかの1ゾロ、これはマズイかと思ったらエラーが平目で10出して先制をもぎ取りました。
なんだかノワールと戦った時よりも緊張感のある開戦ですね。あっちの方が遥かに危険な相手の筈なのにこっちも弱いと大分違いますね。
1ラウンド目
まずは1体を落とそうとエラーは【エネルギー・ボルト】でスレイブの1体を狙い、抵抗されて4点だけ通しました。
エラー「俺の、【メテオ・ストライク】が」
イヌキチ「やったか!うわあ、平気で立ってやがる」
マイズ「くそう、化け物め」
この底辺同士の戦いにはお姉さんも失笑。ちなみにスレイブのHPは12点、防護点1。物理ダメージでもほぼ素通しです。
イヌキチ「畜生、やってやる。次鋒レオパルドン、行きます」←負けフラグ立てるな
これは命中しますが肝心のダメージがまたしょっぱく、威力表・技能レベル・能力値ボーナスがオール1の3点ダメージでした。
それに実は抜いていた弱点値のお陰で「物理ダメージ+2」が入って5点ダメージ。4点抜けて残り4点です、弱点様様ですね。
次にマイズが攻撃して命中。威力5のショートソードでも出目4以上なら弱点込みで5点ダメージになって落とせますが。
マイズ「(コロコロ)……あっ。1ゾロ」
イヌキチ「てめーっ!」
マイズ「きゃいんきゃいん」
エラー「ダメだ、コボルド、弱すぎる」
次のぽむが<ノーマルクロスボウ>を当ててすこぶる出目がよく、弱点込みで15点ダメージを叩き出して1体を倒します。
でも威力20+4点だと13点というのは出目11が必要で、本当ならクリティカルしている筈なんですよね。
まぁ仮に弱点を二重に計算していて出目9だったとしても11点で、弱点込みで13点ならHP満タンでも即死させますけどね。
あとジュリィも<ヘビークロスボウ>を当てて9点ダメージで、8点通して瀕死に追い込みます。前衛よりも後衛のクロスボウ組が強い。
次に生き残っている4体の敵による攻撃です。悲鳴を上げつつも上手いこと避けて当たったのはマイズが1回だけ。
6点ダメージだったので防護点2点なら4点の適用ダメージですね。それでもHP13点だと1/3持っていかれてますが。
2ラウンド目
このラウンドには主にクロスボウ部隊のお陰でスレイブは全滅。エラーの魔法がショボかったり、マイズが1ゾロ振ってたりした穴を埋めます。
イヌキチ「どうだい?「この辺にしといてやる」とか言ってみないか?」
レッドキャップ「コボルドごときにそんな負け台詞吐けるか」
マイズ「無理しなくていいって、な。ボクのために是非そうして」
圧倒的に優勢とはいえレッドキャップのダメージは2D+3点あるわけでして、出目8で11点です。これでもマイズだと9点抜けて倒れちゃうんですよね。
それでも何とかなるもので犠牲者もなくレッドキャップ軍団撃破。自動取得の戦利品<赤い髪>を5つほど手に入れ、1つ10ガメルで50ガメルの収入。
ジュリィ「ここのお支払い……、この赤い髪で何とかなりません?」
美女「150ほど足りないわね」
マイズ「レッドキャップからいい武器が出れば……(コロコロ)3。何もない」
エラー「アホー」
イヌキチ「で、やっぱりテーブルチャージは払わないとダメなんですか?」
美女「払って」
もうちょっと出目がよかったら、出目5〜9で30ガメルの<武器>、出目9以上で150ガメルの<意匠を凝らした武器>が手に入りました。
スレイブも出目9以上で<武器>を落とすとはいえ、それでは5体全部<武器>でないと150には届かない。<意匠を凝らした武器>が出ていればね。
イヌキチ「そんな金、持ってねーよ。くそ、開き直るっちゃる」
美女「なくても払いなさい」
ここで美女は自分の正体を現します。ぽむが《魔物知識判定》で14とか出したお陰でラミアだと判明します。
6レベルの蛮族で真語魔法/操霊魔法5レベルの強敵ですね。レッドキャップ相手にヒイヒイ言ってたコボルド達では勝ち目はない。
仕方ないので例の紫色の宝石の被ったやつと、<赤い髪>と所持金を合せてどうにか200ガメルにして解放してもらいました。
宝石は100ガメルで売れたので所持金から50ガメルほど捻出したことになるわけで、もう殆どお金は残っていないでしょう。
★奇妙な蛮族たち
お店ではぼったくりなりにお茶とお菓子、あとお土産を貰いました。小さな袋に入っていて、中身は出目4で青い宝石でした。
「むぜもコにないか」
「神ににボてく果ろ」
2つ合せるとコボとか見えてきますね。これはやはり全種コンプリートで文章が浮かび上がる仕掛けでしょう。
イヌキチ「もう呼ばれても店に入ったりしないようにしような」
ジュリィ「でも、お店入らなかったら、2つ目の宝石、手に入らなかったよ」
イヌキチ「……お前、何、人が迷うようなこと言ってんの?(言葉ふるふる)」
ジュリィ「きゃんきゃん」
紫の宝石は罠つきの宝箱の中にあって、青い宝石はぼったくりバーのお土産でしたしね。何らかのリスクを冒さないと手に入らないのかも。
あとさっきの戦闘でマイズはHPを、エラーはMPを消耗しているので、できれば宿屋等で休息したいところではあります。
イヌキチ「どっか休めるとこあるかなあ」
GM「宿屋の看板がすぐそこに」
イヌキチ「ないみたいだね(白々しく)」
でも値段だけでも確かめようと結局入店。すると店主としてゴブリンシャーマンが出てきます。
5レベルで妖精魔法5レベルと神聖魔法2レベルを使いますね。ラミア程ではないにしろ逆らわない方がいい相手ではある。
そもそも1レベルの彼らが余裕を持って絡める相手なんてそうそういない。ゴブリンだって2レベルあってレッドキャップと大差ない。
店主「ハエの浮いたスープとシラミの湧いたベッドで、お1人様20Gですじゃ」
マイズ「ぼったくりだー」
エラー「ハエとシラミのサービスいらないんで5Gぐらい負かりません?」
店主「ハエとシラミは取れませんのじゃ」
イヌキチ「馬小屋だといくらですか?」
店主「ご案内しているのが、馬小屋みたいなものですじゃよ」
実は1日あたりの宿泊費にも色々目安がありまして、馬小屋の隅で15ガメル以上、スタンダードで30ガメル以上、スイートで100ガメル以上です。
よってベッドがある分ちょっと15ガメルより高くなっても割と適正かもしれません。それに上記が食事無しの素泊まりであると考えるとお得……か?
一応宝石を売ると丁度5匹分になるとはいえ、最後に実物が必要になる可能性を考えると文字だけメモって売るのは躊躇われるところです。
結局この場の宿泊は諦めて店を出ます。
店主「ですが、どうせこの街、宿屋はここしかございませんぞ」
最初は結構綺麗な街並みだったし、宿泊設備ぐらいあると思っていたんですけどね。そういえば蛮族の街でガメルが普及しているというのも少し不思議かも。
それから5匹は街中をうろつきました、あわよくば休める場所を見つけようと。どこかの赤貧ハーフエルフみたいに橋の下で休めればいいけど見つからない。
そうしていると路上で大道芸をしている青い服の手品師と遭遇しました。《魔物知識判定》の結果ディープグレムリンだと見抜きます。
グレムリンは2レベルの蛮族です。小さな羽と牙を持った毛むくじゃらの幼児のような姿をしています。
真語魔法2レベルを魔力4で使用し《飛行》しています。悪戯好きの性格で原因不明の機械の故障で彼らを引き合いに出すのは現実世界と同じ。
ディープグレムリンは4レベルの蛮族です。グレムリンの亜種で体は一回り大きく人間の子供程度で肌は紫色。
性格はより残忍で狡猾、悪戯では済まないことを仕出かします。使用できる魔法は操霊魔法4レベルになっていてやはり《飛行》しています。
また微妙に戦いたくない相手です。レベルの割りに防護点0とペラペラですが魔法を使われるだけで怖い。
エラー「うかつに近づくと、あれだな。「お前ら、俺の芸をタダ見していくつもりか?」」
ジュリィ「顔を背けて、顔を手で隠して、でも、横目で見る」
手品師「おいおい、そんなふうにしてないで、ちゃんと見ろよ。せっかくやってやってるんだから」
結局絡まれるのでした。芸を見ろというだけで戦闘を仕掛けてくる様子はないとはいえ、また面倒くさそうな相手です。
イヌキチ「僕ちゃんたち、お金、ないですから」
手品師「金なんか取らないよ。いいからこっち向け。それとも、おれの手品なんか見る価値がないとでも?ああん?」
イヌキチ「お金、本当に取りません?生命取ったりしません?」
手品師「いらねえよ、そんな安いもん。いいから、俺の手品を見ろ、俺の技を称えろ」
すると手品師は空のコップに水が溢れる手品を見せます。
手品師「わかるか?ん?わからんだろう。頭の弱いコボルドどもだからな」
ぽむ「……言い返したい!危ないけど、言い返したい!」
手品のタネを見抜くには目標値11の冒険者+知力の判定です。これに成功したのはイヌキチのみ、指摘するかどうかは彼次第です。
色々葛藤はあったようですがドヤ顔でなじってくる手品師に我慢できませんでした。
イヌキチ「それ、服の内側に管、通ってますよね?」←あるある
手品師「手品のタネを明かすとか、何のつもりだー!」
一瞬で鬼の形相になった手品師は逆上し、何かを投げつけてきます。これは目標値11の回避だったのでイヌキチはあっさり回避。
手品師「ふざけんなあっ!手品ってのはお行儀よく見るもんだ!コボルドの分際でタネ見破るんじゃねえ!」
道具箱をひっくり返したり、テーブルを叩いたり大暴れです。それでもこっちに戦闘を仕掛けてくることはなく逃亡は容易でした。
逃げる時にさっき彼が投げたものを拾ってみると案の定宝石でした。今度こそ被らないよう祈ったものの青い宝石で宿代として売却。
それでもこの6時間の休息でエラーのMPは回復したので無駄ではない。まあハエのスープを嫌って保存食で済ませたりしたコボもいたようですが。
★おめえ、何言ってんだよ!?
宿屋に泊まったコボルド達でしたが、中空に光り輝く魔法陣が現れて、その光がそれぞれに降り注ぎます。
一体何事かと驚いた一行でしたがこれは悪いイベントではない。この光を浴びることで何らかの冒険者技能を習得できたのです。
何を習得できるかはシナリオで決められているらしく、2D6の出目に応じてそれぞれ別の技能を習得していきました。
エラー:ライダー0→1
イヌキチ:スカウト1→2
ぽむ:スカウト0→1
マイズ:アルケミスト0→1
ジュリィ:ソーサラー0→1
イヌキチが2レベルになりましたね。これでHPが3点増えてやや生き残りやすくなりました。
他の人達は技能の使用にアイテムが必要なものが多くて微妙です。ジュリィの場合は<魔法の発動体>をエラーに貸してもらえれば何とかなりますが。
しかしマイズはアルケミスト技能には<アルケミーキット>とマテルアルカードが必須。エラーのライダー技能には<騎乗証>と騎獣が必要ですね。
それでもマイズは賦術【パラライズミスト】を選んでおきます。エラーも何か騎芸を覚えたはずですが騎獣が手に入らないと使えないので謎のまま。
イヌキチ「ふう、俺さ……僕ち……俺様、みんなより、ちょっと抜きんでた感覚」←ちょっと偉そう
ジュリィ「あ、宝石の文字が読めた。嘘、ついてなかったんだ」
エラー「ついてへんわ」
なかなか謎のイベントでしたが深くは追求せずに6時間休息し、宿を後にします。
これだけ時間を過ごしても街に夜が来る様子はありません。ずっと霧がかかっていて薄暮のように薄暗いままらしい。
ここからは仕切り直して最初の十字路に戻り、サソリが向かった北の道を進みます。するとそこはスラム街でした。
こちらの区画で最初に遭遇したのは赤い服を着たドレイクでした。粋がった様子で正面から歩いてくるので平伏してやり過ごします。
イヌキチ「ははー」
ドレイク「はん、雑魚に関わってる暇はない」
なかなか横柄な感じですね。特にお咎めなくやり過ごせたのは好都合でした。
次に遭遇したのは最初に会ったシザースコーピオンでした。
ぽむ「助けて、サソリマン」
マイズ「サソリマーン。話を聞いてくださーい」
サソリマン「何だ?お前ら、まだこんなところをうろうろしてたのか」
微妙にいい人っぽいサソリマンにこれまでの事情を話して街から出る方法を聞きましたが、彼は知りませんでした。
彼はこの街に定住しているようでしたが、自分がいつから街にいるのかは覚えていないようです。
1つだけ教えてくれたのはさっきのドレイクとサソリマン自身が着ている赤い服の意味でした。
サソリマン「赤い服は力の象徴。俺も着ている。力こそが正義だ。お前たちも、強くなれ。それが生き残る道だ」
イヌキチ「ありがとうサソリマン。このなけなしのワインをあげます」
サソリマン「もらっておこう。そして、お前たちも強くなれ。強くなって、今度は、他のやつからもらえ」
イヌキチ「わかったよ、サソリマン。マジカッケー。いつかサソリのしっぽ生やすよ、俺」
エラー「死んで魔改造か?」
そう言い残してサソリマンは去っていきました。コボルド達は改めてこの街の異常さと、宝石集めの重要さを察するのでした。
それからも探索を続け、次に遭遇したのはボガードでした。
ぽむ「ギリ戦えそうな相手が出てくるのは、かえって絶望感が」
ボガード「何だ、お前ら、やる気か?」
マイズ「待ってください旦那、許してくだせえ。ボクら何も考えてませんから」
ぽむ「早くここを出たいだけで、ふえーん(泣)」
ボガード「ふん。まあ、よかろう。口と態度には気をつけるんだな。俺の連続攻撃舐めんじゃねえぞ」
打撃点は2D+5点なので出目7で12点、このコボルド達だと10点ぐらい抜けますね。
もし《連続攻撃》にも当たったとしたら同じぐらい食らうわけで、あっという間に《生死判定》ですね。
戦闘を避けられそうなので一安心ですが、そこにぽむの導入で登場した5mマッチョが現れます、少し焼け焦げた匂いと共に。
マイズ「ねえ、この街なんなのですか?宝石は、やはり手がかりなのですか?」
5m「ああ、そうだ。手助けしてやろう」
イヌキチ「おい、そこのボガード。このコボルドたちが、「お前なんか一捻りだ」とよ」
ぽむ「え、え、ちょっと待って」
マイズ「おめえ、何言ってんだよっ!」
5m「「連続攻撃がどうした?最初にかわせばそれまでじゃん。双撃に比べたらヘボ過ぎて泣くね」だとよ」
それを聞いたボガードは顔を真っ赤にして戻ってきて戦闘突入。先制値11ですが、ぽむが達成値14で先制をもぎ取ります。
さっき生えてきたスカウト技能のお陰で先制力3で出目11ですか。やはり複数人数が先制力を持っている方が安定しますね。
1ラウンド目
まずはマイズが攻撃しますがハズレ。ボガードの回避力は4(11)なので固定値だとこちらは達成値12出さないと当たらない。
なのにこっちの前衛の命中力は3とかしかりません。これでは出目9でようやく当たるという世界、ボガードがえらい強敵に。
GM「エンハンサーで【キャッツアイ】取ってないのか?」
マイズ「この夜のない街で、なぜ、ボクの練技は【オウルビジョン】なんでしょうね?」
これはフクロウのように瞳が金色に輝き暗視を得るという練技です。持続時間3分と比較的長く地味に便利な練技ではあるんですけどね。
イヌキチ「次鋒レオパルドン、行きます。(コロコロ)6ゾロ」
GM「おいおい。掛け声には従ってくれよ」
イヌキチ「(コロコロ)ダメージは、5点」
GM「2点通ったな」
これには一同愕然。HP21点なのでこのペースではまだまだかかる。防護点3点なんて薄い方の筈なのに(笑)
続くエラーの【ブラント・ウェポン】も、ぽむとジュリィのクロスボウも当たらず、結局2点削っただけで手番を譲ってしまいます。
ボガードの攻撃はレオパルドンに行きましたが同値回避。命中力は4(11)で回避力5の彼の方が有利とはいえ冷や冷やさせます。
2ラウンド目
レオパルドン(次鋒)はマイズに任せてイヌキチは先鋒で殴ります。今度は当たって4点ダメージ、1点だけチクリで残りHP18点。
レオパルドンことマイズは命中させた上にまさかのクリティカル。合算ダメージ10点なので7点抜けて残り11点、いい感じです。
ところがクロスボウ部隊は揃ってハズレ、そろそろ太矢の残りが気になるところ。エラーは【ブラント・ウェポン】に抵抗されて倒しきれず。
今度もボガードはレオパルドンを狙います。前のラウンドとは中の人が違うんですがね。
イヌキチ「何だ?マイズにレオパルドン任せてたら、俺様、《全力攻撃》いけんじゃね?」
マイズ「ボクがここで死ななければいいですね〜。(コロコロ)避けた!避けたー」
《全力攻撃》すると回避力−2で回避力3になりますね。すると出目8ないと避けられなくなります。
3ラウンド目
攻撃を当てたのはマイズのみで2点削って残りHP9点。エラーは抵抗上等でエネボルを使うようにします。
エラー「く・た・ば・れ、(コロコロ)おっ13」
一同「おおっ!」
精神抵抗4(11)なので抵抗は破りましたが5点削るのみ。これで残りHP4点でもう一息です。
ボガードはイヌキチを狙いますがまたハズレです。《全力攻撃》をしていたら危なかったらしい。
4ラウンド目
エラーのエネボルが抵抗されながらも4点を削りきります。こうしてボガード相手の死闘に勝利したのでした。
戦利品として150ガメルの<意匠を凝らした武器>を入手。レッドキャップと違って出目7で入手できます。
勝利するとボガードの懐から宝石が転がり出ます。出目3だったので緑色の宝石を入手しました。
出目3(緑色の宝石):「望などう姿事失よ」
出目4(青い宝石) :「むぜもコにないか」
出目5(紫色の宝石):「神ににボてく果ろ」
多くなってきたので整理します。「なぜに」とか「姿にて」など意味がありそうな言葉が浮かんできました。
続いて中空に魔法陣が現れてまた技能が生えてきます。
エラー:ライダー1→2
イヌキチ:ファイター0→1
ぽむ:グラップラー0→1
マイズ:ソーサラー0→1
ジュリィ:セージ0→1
イヌキチに続いてエラーも冒険者レベルが2になりました。イヌキチはフェンサーとファイターで前衛技能が被りましたね。
5匹中3匹がソーサラー技能持ちで、発動体は1つしかないという謎のパーティになりつつありますね。
それと例の5mマッチョはまたも謎の電撃に焼かれて消えていきました。
ぽむ「ああ、若干、優しい人が」
マイズ「いや、ボガード挑発はないっすよ」
エラー「絶対に「いい人」じゃない」
この区画にはまだまだ赤い服を着た剣呑そうな蛮族がいますが、ボガードはその中でも一番格下っぽい。
もう次に絡まれたら本格的に危ないので中央広場に戻ります。残る道は東西方面、今度は何があるのかな。
★犬、お断り
中央広場に戻った一行は今度は東の道を進みます。こちらは怪しい商店街です。タブーに引っかかりそうな肉が吊るして炙られたりしています。
肉屋「一切れ恵んでやるよ、犬」
イヌキチ「……」
肉屋「どした?」
イヌキチ「宝石もらえるかも、……誰か食べないかな」
一同「……」
そう黄色い服の肉屋に勧められるも沈黙。ぞんざいズのゼルブリスの食堂でいう「肉」にあたるメニューかと思われます。
マイズ「……炙ってんなら、もう肉だよな。はむ」
意を決して食べてはみたものの、肉の中から宝石が出てくるといったイベントもなくハズレだったらしい。
イヌキチ「肉をまるごと売ってといったらいくら?」
肉屋「ああん?コボルドごときが、まともに買い物しようってか?
いいか、お前らなんざ、お情けのお恵みってのが似合いなんだ、思い上がってんじゃねえ」
そう唾を吐かれて追い払われました。ただ不愉快な目にあっただけでしたね。
次に遭遇したのは「マーマンビキニショック」というお店です。店内の大きな水槽でビキニ姿で泳いでいます。
エラー「ブーメランパンツのマーマンか。想像しがたい」
GM「マーメイドだよ」
要は水着ショップですか。ところが水槽のマーメイドはコボルド達を見ると嫌な顔をして、店先の一角を指差します。
そこには「犬、お断り」という文字が黄色いペンキでデカデカと書かれていました。まぁ犬に水着を着せても飼い主しか得しませんしね。
エラー「お、俺、介助犬だから、大丈夫」
ジュリィ「何でダメなんですかあ?」
しかし答えることはなく、盛大に水しぶきを跳ね上げてこちらをずぶ濡れにしてくるだけ。水族館のイルカかお前は。
ぽむ「ふえーん、ごめんなさい。引き上げましょう、皆さん」
ジュリィ「ぽむ、どうしたのよ」
ぽむ「ぽむはダメなんです、ダメな犬っころなんです」
エラー「いかん、ぽむが壊れかけてる」
ぽむ「もう、精神的に限界です(サメザメ)」
元々育ちの良さそうな犬でしたからね。飼い犬が野良犬に転落したかの如く悲哀を感じます。
次に見つけたのはぽつんと地面に立てられた看板です。「中古品買い取りはいたしません」、ただこれしか書いていません。
何かあるのかと《探索判定》をしたところ、看板のすぐ近くの地面に落とし戸を発見。階段があって地下のお店に繋がっていました。
ここには武器や防具、<魔法の発動体>や<アルケミーキット>など主なものは大抵売っている万屋です。しかも店主は例の5mマッチョ。
イヌキチ「あんた、こんなところで何してんの」
5m「ここで店を経営している。何でも売ってやるぞ。値段表はルール通り」
エラー「騎獣は借りられます?」
5m「<騎乗証>を買えば、レンタルしてやるぞ」
エラー「ダメ元で聞いたのにあんのか」
どうやらライダーギルドやらマギテック協会やらと、人族の街にある色んな施設の代わりをしているらしい。
中古買い取り不可というのはこの店で買ったものを売るのが駄目なだけで、戦利品や宝石などを売ることはできるらしい。
<騎乗証>とホースのレンタルには350ガメル必要なのでお金が足りませんが、上手くアイテムを売れれば工面できるかもしれない。
お金を用意してまた来ると言い残して一行は最後の西の道を進みます。ところが歩き出して早々に一行を呼び止める者がいました。
それは紫色の服を着たレッサーオーガでした。4レベルで真語魔法3レベル、また戦うと微妙に勝てなそうなのが出てきました。
マイズ「ボクらの心臓食べてもコボルドにしかなれないっすよ?」
オーガ「余計な口を利くんじゃねえ。口を閉じろ、雑魚どもが。いいか、お前らは、俺のためにパンの配達をしてくるんだ」
エラー「どちらまで?」
オーガ「西の住宅街にあるゴブリン御殿だ」
一同「ゴブリン御殿!?」
エラー「ゴージャスなゴブリンでも住んでるんですか?」
懐かしいですね、SWの昔のシナリオ集とかPCゲームに出てきましたっけ。今回のはそこまで悪趣味な成金ゴブリンではありませんが。
そのゴブリン御殿に住んでいるゴブリンは払いが悪くてツケが100ガメルほど溜まっているので、配達のついでに回収するよう言われます。
イヌキチ「あの、1つ聞いていいですか?その紫の服の意味は?」
オーガ「俺様が偉いという証だ」
イヌキチ「つまり、この街の偉いさんは、紫の服を着ると?」
オーガ「自分が偉いと思っている者が、これを着るのだ」
本当に偉いかどうかは別問題ということですか。色つきの宝石と関連があるかのように登場するカラフルな服の蛮族たちも謎の1つですね。
それぞれ特徴的な性格をしていて、揃いも揃ってあまり褒められたものではない。まるで悪い性格の見本市のように多種多様です。
★そして、ついに……
西の道を進むとそこはレッサーオーガが言っていたように住宅街でした。その中でも特に目立つのが緑色のゴブリン御殿です。
早速配達に行くとゴブリンシスターが出てきました。それほど強い蛮族ではないけど、よくこんな御殿に住めたものですね。
ゴブリンシスターは3レベルの蛮族です。黒い法衣を纏った雌のゴブリンで、神聖魔法3レベルを魔力5で使用します。
イヌキチ「あの、お代をいただかないと僕ちゃんたち、帰れないんですけど」
マイズ「ツケも貯まっているとか」
シスター「お金を人に払うつもりはないね」
イヌキチ「え?じゃあ、このパンも渡せないです」
シスター「何だって?そのパンは私が注文したものだよ。もらうよ」
やっぱり面倒くさい客でした。ていうか客じゃない。むしろレッサーオーガはこうなると推測できたろうに何故注文を受けた?
マイズ「困りますぅ。では、お金を」
シスター「だから、私は、お金は人に渡さない主義なの、わかる?」
エラー「手ぶらで帰ったら、俺ら、オーガの人に殺されます。お金くれへんかな?」
シスター「金、金、金って、お前ら、ひどく強欲じゃないかえ?」
これほど自分を棚に上げられると最早どう言い返していいものやら。なんという見事なブーメラン。
しかし戦うとなると怖い相手です。ボガードと同レベルとはいえ、命中力と回避力は1高く、神聖魔法まで使いますからね。
こっそり《魔法拡大/数》《魔法誘導》を持っているので【フォース】を全員に拡大とかやられたら一瞬で阿鼻叫喚。
エラー「な、一度引き下がって、相手が背中を向けたときにやらねえか(小声)」
イヌキチ「お前、頭いいな」
不意打ちの一種ですが、ルールにあるのはPCが魔物に不用意に近づいて《危険感知判定》に失敗したら不意打ちになるというものです。
相手が背中を向けた時に攻撃するのとは勝手が違うので、ここはスカウト+敏捷度と魔物レベルを基準値に判定することにします。
ところがこちらの達成値は最高でも8しかなく、シスターに気づかれて戦闘に突入します。こっちの《先制判定》は14とか出して楽勝でしたが。
1ラウンド目
折角の先制ですが前衛もクロスボウ部隊も軒並みハズレ。有効打はエラーの抵抗上等エネボルの5点のみ、HP26点なので残り21点。
なにしろシスターは回避力5(12)もあります。対するこちらは命中力3程度。固定値だと出目10出さないと当たらない。
シスターの方は本当に【フォース】5倍がけをしてきました。これによりクリティカルを受けたエラーはHP2点の崖っぷち状態に。
他の面子も軒並みHP半減といったところです。ただしシスターはこれで4点×5で20点消費。MP26点なので残り6点になりました。
2ラウンド目
MPが尽きたエラーは乱戦エリアに突っ込んで主動作でマイズに発動体を渡します。マイズはそれを補助動作で受け取りエネボルで攻撃。
これも抵抗されて2点しか通らず残りHP19点です。ぽむは目標分散と新しく覚えた《投げ攻撃》を使うために前に出ようとしますが。
ぽむ「あ、でもよく考えたら鎧が<ソフトレザー>のまんまだ」
GM「それは、グラップラー技能使えんな」
正確には《回避力判定》に使えなくなるだけで攻撃は可能らしい。この状況で回避できなくなるのは自殺行為ですけどね。
ぽむはクロスボウを撃ってハズレ。他の人達の攻撃もやっぱり全部ハズレです。さっきから抵抗されたエネボルしかダメージが通っていない。
シスターは近接攻撃をエラーにします。
エラー「〔軽視〕使います」
残りHP2点では仕方ない。すると目標は別の誰かになるのでランダムでマイズになりました。
ここでマイズも〔軽視〕をするとイヌキチに行きますが、もう他に目標がいないのでイヌキチは〔軽視〕できません。
マイズ「残りHPから考えて……あえて、ボクが受けます」
シスターのダメージはボガードよりは低いとはいえ、2D+2点あります。どうやら出目が高かったらしく大きく削られて《生死判定》です。
これでマイズは昏倒となり発動体が無駄になりましたね。MPを残したまま倒れた上に、肝心の<アウェイクポーション>を本人が持っていて色々残念。
3ラウンド目
今度の有効打はイヌキチが6ゾロで当てた1発のみ。削れたHPは1点のみで残り18点です。削りきるまで耐えられそうにありませんね。
シスターはイヌキチに【フォース】をしますがダメージ1ゾロで無傷で済みました。残りMP2点、キュアもできなくなりました。
4ラウンド目
やっぱりこっちの攻撃は当たらず、前衛技能を持たないエラーが離脱宣言をして終わり。
シスターは的確にエラーを狙って攻撃を当てて、HP−6点で《生死判定》です。こちらも成功してエラーも昏倒で済みましたが既に残り3匹。
その後も攻撃を外し続けたコボルド達は順繰りにシスターに殴り倒されていき、しっかりトドメを刺されてまさかの全滅です。
「…おお こぼるどたちよ しんでしまうとは なさけない…」。でもこれで終わったりはしません、全員クローンナンバーを1つ上げてコンティニューです。
★再起動に躓く男
コンティニューするにあたってPCの技能と能力値の変更が許されます。一度全滅しているだけに色々と対策を練りたいところでしょうしね。
ただし例の魔法陣のイベントで習得した技能はいじれません。あくまでも初期経験点1000点で取った分のみです。戦闘特技なんかも変更可能です。
GM「エラーは、ライダー1レベル習得しておけば、なんと3レベルに」
エラー「いりません」
それだけ3レベルにしても騎獣がないと本格的に役立たずですからね。
これによりエラーは初期技能をコンジャラーにして《魔法拡大/時間》に変更。真語魔法は他に2人も使えるので任せることにしたらしい。
イヌキチは初期技能をスカウトとエンハンサーに変更。前衛技能はファイターのみにして練技は【キャッツアイ】、戦闘特技は《牽制攻撃》でとにかく命中力を向上。
ぽむは初期技能をスカウトとシューターにして鎧をイヌキチと交換。<クロースアーマー>を装備したのでグラップラー技能で戦えるようになりました。
また能力値を決めなおして起用度18に、ただし他の能力値は不明です。マイズは練技を【キャッツアイ】に変更してやはり命中力を向上。ジュリィは変化無しです。
全体的に強化されてコンティニューするとまた最初の導入を繰り返すことになりました。
まずエラーは大きなチェストのある部屋です。
エラー「俺は、宝石を手に入れないといけない。開けるぜ、おりゃ」
GM「そうすると、中からレッドキャップスレイブが飛び出してきて、襲いかかってくるのだが?」
ジュリィ「コンコンしないとダメだよー」
エラー「ま、まずい」
何がまずいって前衛技能がないばかりか、コンジャラー1とライダー2だけでは攻撃すらできないのです。
一応【スパーク】はありますけど乱戦エリアを形成している状態で使うと自分までビリビリしちゃいますからね。
基準値が1ある分スレイブの方が色々有利ですね。エンチャントやプロテクをかけようにもその間に殴られ続けるわけだし。
それでも決死の覚悟で戦いましたよ。その低レベルな激闘は5ラウンドにも及び、エラーが殺されて終了。
一応相手のHPを残り3点程度まで追い詰めたんですけどね。後半は攻撃を食らい続けてあっという間に倒されました。
いくら底辺でもダメージは2D点でエラーの防護点は3点。期待値で4点ほど抜けてエラーのHPは13点だからタイトでした。
早くもクローンナンバーを3にしたエラーのコンティニュー先は山道です。火傷した太い腕の導きに従って導入終了。
エラー「後で買い物行くからよろしく。くそー」
続いてマイズは大きいチェストと小さいチェストの部屋です。大きい方から物音がするので開けずに小さいほうを抱えて退室。
ぽむはまた平坦な道と山道の二択なので同じようにします。ジュリィは大きいチェストの部屋、やっぱり音がするので無視して退室。
最後にイヌキチは大きいチェストの部屋ですが、今度は音がしないので《探索判定》で毒ガスの罠を発見しました。
そうなると《解除判定》は〔小さな匠〕の効果もあるので成功させて宝石を入手。出目6で黒い宝石を入手しました。
出目3(緑色の宝石):「望などう姿事失よ」
出目4(青い宝石) :「むぜもコにないか」
出目5(紫色の宝石):「神ににボてく果ろ」
出目6(黒い宝石) :「の弱渡ル気自てう」
やっぱりコボルドっぽい単語がありそうですね。あとは出目1と出目2を出すことができれば全部揃いそうです。
その後中央広場で合流。マイズの持ってきたチェストを開けて宝石を発見、出目1で赤い宝石を入手です。
出目1(赤い宝石) :「我座きせドづらる」
出目2(○○の宝石):「○○○○○○○○」
出目3(緑色の宝石):「望などう姿事失よ」
出目4(青い宝石) :「むぜもコにないか」
出目5(紫色の宝石):「神ににボてく果ろ」
出目6(黒い宝石) :「の弱渡ル気自てう」
こうなると大分見えてきますね。コボルドの文字も折り返しが入ってちゃんと見えてきました。
適当に改行するとこんな感じですね。
我○望む神の座○なぜに弱き○どもに渡せ○う。
コボルド○姿にて気づ○事なく、自ら○失い果てる○よかろう。
もう殆ど解けたようなものですが、この世界から抜け出すには最後の宝石を入手しないといけません。
それでもこの時点で色々なことが分かりました。
イヌキチ「これ、俺様たち、コボルドじゃなかったりしなくね?」
ぽむ「神の座を望む人が、ぽむたちをコボルドにしたってこと?」
イヌキチ「そう。そして、そのまま死ねってこと?」
ジュリィ「ここ抜けられないまま、何度も死んだら、コボルドのまますり切れるっぽい」
エラー「まずい、俺、もう半分コボルドだ」
ここで一行は戦力の充実を図って例の地下の万屋に向かいます。イヌキチは<ライトメイス>を購入しました。
必要筋力5と軽量ながらも命中力+1ですね。これで練技や戦闘特技と合せると命中力6程度にはなってかなり当たりやすくなりました。
あとマイズは自分のお金を出してジュリィに<魔法の発動体>を買ってあげました。クロスボウと合せて後衛として充実しました。
ジュリィ「ありがとう。でも、昔は宝石使って妖精さん呼んでたような。ソーサラー技能なんて持ってたっけ?」
GM「あったよ。6ゾロとか振るから、自分で持ってたか思い出せないような技能になるんだよ」
エラー「何か、俺のコンジャラー技能って、ピンポイント的な正解?」
ぽむ「前世の記憶が蘇ってくると、自分は何で人に飼われてた設定なのだろうと」
既に大司教達がコボルドにされている説が当たり前のように囁かれるようになっていますね。まだ確定ではないけど想像はつきますから。
ということは魔法陣で習得した技能は前世の技能で、出目が極端になる程にマイナーな技能から思い出していくということですね。
出目が同じでも習得する技能が微妙に違ったのも技能構成は人それぞれ違うから。これって〔種の限界〕を越えて思い出せるんでしょうかね。
そうして買い物をした一行がお店を出てしばらく歩いていると、懐にさっき払ったお金が戻っていることに気づきます。
イヌキチ「……だから、売っちゃダメなのか?」
マイズ「無限に買い物できたりします?」
この不思議なシステムを検証すべくもう一度店に戻り、マイズが<アルケミーキット>とBランクの緑カード2枚を購入します。
すると<アルケミーキット>の代金である200ガメルだけ戻ってきました。これで一行はこのシステムの実態を理解します。
この店では所持金以下のアイテムは何でも買える。ただし消耗品は例外です。壊すというオプションのある指輪や腕輪も消耗品扱いです。
ということは<騎乗証>はともかく、騎獣なんかは死んでしまう可能性があるので代金は戻ってこなかったりするんでしょうか。
ここで一行は浮いたお金で例のレッサーオーガに100ガメルを払うことを思いつきます。そのご褒美で宝石を貰えることを期待して。
オーガ「遅かったな」
イヌキチ「ちょっと1回死んでたもんで」
オーガ「さすがコボルド、雑魚いのう。ナンボ死んでもいいと思ってるか?あと1回2回も死んだら、詰むぜ」
6回までは大丈夫というのは理論上の限界であって、実際は3〜4回も死ぬと後々非常に厳しいことになるわけですね。
自殺を繰り返して宝石を入手しようという案が出ていたので、GMはそれを避けるように忠告したかったとのこと。
イヌキチ「はい、100Gです」
オーガ「うむ、ご苦労」
一同「……」
ぽむ「あの、お駄賃は?」
オーガ「はん?紫の服を着た、この偉い俺様が、お前らみたいなコボルドに何かしてやれと?傲慢こいたらあかんぞ」
マズレ「ハズレかよ〜」
どうやらここはゴブリンシスターかレッサーオーガを倒すのがクリア条件だったそうです。
あくまでもリスクを冒さないと宝石は入手できないのかもしれませんね。戦闘なり罠なり命の危険がある方法でないとね。
かといってレッサーオーガはゴブリンシスターと同程度に強敵なので戦闘は避けたいところですがね。
シスターは3レベルにしては強く、レッサーオーガは4レベルにしては弱い傾向にあり、数値的には甲乙つけがたい。
使用できる魔法がより攻撃的な真語魔法で、打撃点とHPが高い分レッサーオーガの方がコボルド的には強敵かもしれない。
エラー「ここは勘弁しといたらあ」←聞こえないように
マイズ「見逃したらあ」
イヌキチ「元の姿に戻ったら見てやがれ」
それぞれ聞こえないように捨て台詞を吐き、住宅街に移動しました。今度はゴブリン御殿より更に奥へ進みます。
すると今度は紫色の服を着たケンタウロスと遭遇します。住宅街を爆走する彼は案の定こちらに絡んできました。。
ケンタウロスは3レベルの蛮族です。馬の首の部分から人間の上半身が生えた姿をしていて、部族で連携するのを得意とする。
妖精魔法2レベルを魔力4で使用できます。また通常移動と同時に近接攻撃を繰り出す《突撃》でダメージを5点上乗せしてきます。
実力的に勝てない相手ではないので、この喧嘩を買う方向に対応します。
ケンタウロス「俺様の行く手を遮るんじゃねえよ、雑魚ども」
イヌキチ「おい、街中でパラパラいわすんじゃない、迷惑だ」
ケンタウロス「コボルドごときが何を。俺様のほうが偉いんだぞ。見てわからんか?」
イヌキチ「汚い服を見せびらかして吠えるんじゃねえ。俺様のコボルド神拳の前には、貴様なぞ、ただの馬っころに過ぎん」
ケンタウロス「ぬ・わ・ん・だ・と・う」
先制は問題なくもぎ取って戦闘開始です。
1ラウンド目
エラーは【ダーク・ミスト】を時間3倍拡大でかけようとするも、抵抗を破れずMP霧散。使う魔法が変わってもコボルド目は変わらない。
これは1レベルの操霊魔法で、魔法の霧で遠近感を狂わせて回避力−2にします。範囲にかかりますが持続時間は抵抗を破っても1ラウンドと短い。
消費MP3点を3倍拡大で9点無駄遣いしてしまいました、抵抗されると消滅ですしね。《魔法拡大/数》でプロテクやエンチャントの方が良かったかも。
ケンタウロスの回避力は3(10)なので命中の達成値は11必要ですが、以前の戦いが嘘のようにこちらの攻撃は当たり続けます。
実は同レベルのシスターは回避力5(12)とかありましたしね。ケンタウロスの方が俊敏っぽいのにこの差はどうしたのか。
ケンタウロスの防護点は2点、HPは25点です。前衛2人が4点ずつ、後衛2人がクロスボウで9点ずつ抜いてまさかの1ラウンドキル。
★明かされた呪い
ケンタウロスを倒すと宝石が転がり落ちてきました。最後の1個はサイコロを振らずに出目2の黄色い宝石になります、ランダムだと切りがないから。
出目1(赤い宝石) :「我座きせドづらる」
出目2(黄色い宝石):「がを者よのく力が」
出目3(緑色の宝石):「望などう姿事失よ」
出目4(青い宝石) :「むぜもコにないか」
出目5(紫色の宝石):「神ににボてく果ろ」
出目6(黒い宝石) :「の弱渡ル気自てう」我が望む神の座をなぜに弱き者どもに渡せよう。
コボルドの姿にて気づく事なく、自ら力失い果てるがよかろう。
やはり予想通りにコボルドになる呪いをかけられていたようです。宝石をコンプリートしたので次の段階に進めそうですね。
あとは魔法陣チェックです。
エラー:プリースト(ルーフェリア)0→1
イヌキチ:セージ0→1
ぽむ:はずれ
マイズ:アルケミスト1→2
ジュリィ:フェアリーテイマー0→1
エラーやジュリィは元の技能が戻ってきましたね。むしろランダムなのにこれまでよく出なかったものです。
ぽむは1ゾロを振ったので何も戻ってきません。もし6ゾロだったらジュリィと同様にソーサラー技能が戻ってきていたとか。
さて宝石をコンプしたのはいいのですが、それだけで元の姿に戻りそうな気配はありません。念のため街中を回っても何もなし。
そこで中央広場にあった井戸を調べてみると、10mほどの深さの底に横穴を発見。その手前の6m地点にも横穴がありました。
早速これを調べようとイヌキチは体にロープを巻きつけて降ろしてもらいます。まともに登攀すると基準値が筋力ボーナスなので不利ですから。
まずは6m地点の横穴を覗くと、そこには魔法文明語で書かれた看板がありました。
イヌキチ「読めん」
すぐに選手交代、エラーが代わりに降りて「もう十分か?ならば、下の道を進め」というメッセージを確認します。
それならばと今度は全員で底に降りて横穴を進みます。すると今度は「弱気を自覚せよ。さすれば、救われん」とありました。
かまわず先にある赤い絨毯を進もうとすると、「ならぬ!」という大音声とともに酷い揺れが起き、例の電撃の音がして静かになります。
それでも警戒しながら進むと横穴を抜けて豪華な寝室に出ます。そこには5つの小さなベッドと「休むがよい、弱き者たちよ」という看板が。
さっきから色んな意思が働いているような感じがしますね。そして揃いも揃って魔法文明語の看板があるのが気になるところ。
エラー「弱いから寝たほうがいいのかなあ?」
ジュリィ「誰か使ってみる?」
ここはさっきの【ダーク・ミスト】3倍無駄うちのせいでMPが減っているエラーが横になりました。すると彼の姿は消えてしまいます。
1D6で出目6を出して移動先を決定すると、丈夫そうな鉄橋と細い吊り橋がかかった断崖に出ます。退路はないのでどっちかを進まないと。
ここでエラーは鉄橋を渡るとまた5mマッチョが立ち塞がります。
5m「先へ進むことはなん」
エラー「は……はい。帰ります」←素直
毎度おなじみの電撃退場を背負いつつ戻り、細い吊り橋の方を渡ってみることにしました。
こっちはとっても怖いので冒険者+敏捷度と冒険者+精神力による目標値8の判定に二重で成功しないと渡れません。
この判定に辛うじて成功したエラーは渡った先でもう意味のない赤い宝石を入手し、気づいたら井戸の上に戻っていました。
仲間達と合流したエラーが事情を話し、今度はイヌキチが別のベッドで試してみることにします。
予想通りに姿が消えたイヌキチは1D6で出目1を出して、毎度お馴染みの大きいチェストがある部屋に来ました。
イヌキチ「あれ?コンコン」
GM「ガタッ」
イヌキチ「いるな。確かレッドキャップスレイブ。今の俺様ならいけるだろ、開ける」
予想通りにスレイブが出てきましたが難なく撃退。やはり井戸の上に戻って仲間達と合流しました。
イヌキチ「これ、ぐるぐるスタートをループするんなら、試したいことがある」
ぽむ「何?」
イヌキチ「毎度毎度、通行を邪魔するあのおっさんだ。無視して進んだらどうなるか。みんなでベッド使ってみない?」
ジュリィ「おもしろい、やってみよう」
ところが例の鉄橋に行けたのはエラーだけでした。仕方なく進むとそこにはやはり5mマッチョがいて引き返すよう言います。
構わず進もうとすると鼻先に巨大なグレイブを振り下ろされ、それでも進もうとすると魔法の詠唱を始めます。
GM「先に《魔法制御》確認。よし、可能」
エラー「自分の横に「コボルド」って書いた石を置いておきます」
GM「うん、ありがとう。【フォース・イクスプロージョン】だな。魔力28ぐらいで炸裂」
魔力28ってノワール級ですね。実際こいつの正体を知った上で魔力を見ると21(28)なので達成値換算でしょうか。
これによりコボルド石は木っ端微塵となりますがエラーは無傷。彼にはコボルド達を殺せないと判断して更に進みます。
すると電撃退場で5mマッチョが消え、代わってミスリルゴーレムが立ち塞がります。コンジャラー技能があるので判定無しで分かる。
ミスリルゴーレムは20レベルの魔法生物です。魔法金属でできた全長10mの人型ゴーレムで、単純な肉弾戦では地上最強の部類です。
上半身×2、下半身×2の四部位です。全身を構成する《ミスリルの身体》はあらゆる武器と魔法によるクリティカルを無効化します。
上半身は《2回攻撃&双撃》と命中力+4・打撃点−8になる《狙い定め打つ》による拳の攻撃を行います。
下半身は乱戦エリア内の全ての敵に対して、蹴りによる《同時攻撃》か、大地を蹴りつけて《揺るがす》ことで転倒させることが可能です。
ただしこれらの能力はいずれかの下半身のHPが0になると《支えの喪失》で使用できなくなる。また上半身に対する《攻撃障害=不可・4》もある。
各部位は防護点30点という鉄壁の守りと150点を優に超える屈強なHPを持ちます。打撃点が2D+22点とか24点という凄まじい破壊力もある。
とにかくこんなところで出てきていい相手ではありません。「バルバロステイルズ」における最高レベルの魔法生物ですよ。
エルダードラゴン(25レベル)とノワール(23レベル)を別格として、20レベルとはそれに次ぐ高レベルですね。ドラゾンなんかと同じレベル帯です。
エラー「け……〔軽視〕」
GM「他の目標がおらん。命中力判定固定値は31ね」
エラー「(ころころ)いや、そんな数字聞く必要ないっすよ?」
GM「当たったら……(コロコロ)26発ね」
マイズ「ボク、人生で初めて見ますよ。コボルド対ミスリルゴーレム」
この一撃でHP−13点で《生死判定》で、生命抵抗力3なので出目10以上で助かったのですが死亡。3回目の死亡ですよ、ウルフマン並に死にますね。
つまりこのハンマーパンチで即死して鉄橋からダイブしたわけです。死に際に「あほー、人の忠告は素直に聞くもんだ!」という言葉が聞こえたとか。
GM「きみがころころ死ぬのは、いろんな意味で非常にまずいんだが」
エラー「いやあ、ラクシアの歴史に大きな矛盾ができるだけですよ」
歴史の矛盾だけで済めばいいんですけどね。レッサーオーガの忠告通りに最後に詰む可能性があるんですよね。
その後クローンナンバーを更に上げたエラーは大きなチェストの部屋に行くもこれをスルー。井戸に戻ってきて仲間と合流します。
以上の探索で井戸の底の横穴は一通りみたとして、6m地点の横穴の先に行ってみます。看板を見ただけでスルーしちゃいましたからね。
その先に皆で行くとそこではサハギンウォリアーと遭遇します。そういえばサハギンってぞんざいズでも未登場のままでしたね。
サハギンは2レベルの蛮族です。魚から手足が生えた姿をした《水中適性》持ちで、ギルマンという蛮族の奴隷種として知られます。
サハギンウォリアーは3レベルの蛮族です。サハギンを戦士として育てたもので、ギルマンの命令には忠実です。
このタン○君もどきがなんで地上の横穴に1匹でいるのかは謎ですが、コボルド達はこいつを難なく退治します。
それによりまた技能がにょきにょき生え、スカウト技能が伸びてきたイヌキチの《探索判定》で隠し扉を発見します。
さぁここからコボルドの冒険としての最終局面です。隠し扉の先は生体を連想させる凹凸がある部屋で、まるで何かの生物の体内のようです。
ここからは赤黄緑青紫黒の六色の通路が伸びていました。その配色はこれまでの冒険で見てきた宝石や住人の服の色を連想させます。
一行はまず赤い通路を選びます。すると色々なゴーレムが殴り合っている場面に遭遇します。操霊術師がいるから判定不要で全種類分かる。
先程見たミスリルゴーレムもいれば、ロックゴーレム、ブロンズゴーレム、アイアンゴーレムといった各素材を揃えていますね。
この中だとブロンズゴーレム以外はぞんざいズに登場していましたね。ゼルブリスの侵攻作戦の時とか、オクタンを見つけた遺跡とか。
ブロンズゴーレムは9レベルの魔法生物です。青銅でできた体長3〜4m程度のゴーレムです。
右半身、左半身の二部位です。左右の拳は《狙い打つ》ことで命中力+2、打撃点−4で攻撃可能。
《青銅の身体》は刃のついた武器や、純エネルギー属性以外の魔法からのクリティカルを受けつけません。
こいつらがお互い派手に殴り合っているそうですが、もしガチでやってたらミスリルゴーレムの一人勝ちでしょうね。
アイアンゴーレムですら打撃点が2D+18点では6ゾロ振っても防護点を抜けない。《狙い定め打つ》すれば多少は通るでしょうが。
そもそもまともにやっても命中力12(19)では回避力22(29)の下半身に攻撃が当たりませんね。
逆にミスリルの命中力は22(29)とかなので、回避力9(16)のブロンズは到底避けられないでしょうね。
当たったとして期待値で29〜31点が4連発で来るわけで、防護点16点では13〜15点は抜ける。HP60点では長くは耐えられない。
コボルド達がこれを潜り抜けようとしたら目標値10で回避しないといけません。失敗したら無作為にどのゴーレムに殴られたか決めます。
下手したらまたミスリルゴーレムにぶん殴られるわけでして、これは危険すぎるので後回しにして先に別の通路を調べます。
次に向かったのは黄色い通路でした。ここは茨で塞がれた通路で、冒険者+敏捷度で目標値8の判定に成功すれば上手く抜けられる。
冒険者レベルが基準なら前衛系技能も必要ないので全員成功します。その先には宝石を嵌め込める祭壇が置いてあったので、黄色い宝石を嵌めます。
「我が心の闇は何ぞ?」
全員の心の内にそう問いかける声が響きます。これこそが最後の試練、これまでの冒険で見た色から連想させる心の闇を答えればいいのです。
黄色の場合は肉屋やビキニショップの「犬、お断り」の看板でしたね。それぞれが連想しながら答えていくと「差別」が正解だったようです。
これにより祭壇は光を放って宝石はがっちりと嵌めこまれます。通路にあった茨も消えて安全に元の分かれ道に戻れるようになりました。
イヌキチ「それなら、ゴーレムのところ、全員で行く必要ないよな。答えだけ打ち合わせておこう。
俺様は「暴力」だと思う。赤と言えば、赤い服着たドレイクやサソリマンが「力こそ正義」とか言ってた」
マイズ「ゴーレムとか、いかにもそれっぽいですし」
赤い通路を抜けるのはイヌキチが立候補します。回避力5なので出目5で抜けられますからね。
ところが案の定失敗した上にミスリルゴーレムに殴られます。ダメージは29点と期待値通りでした。
エラー「ふう、井戸まで迎えに行くか」
マイズ「ミスリルゴーレムでコボルドを攻撃するGM再び。死ぬしかないよなー」
GM(俺が極悪人みたいじゃねーか)
でも防護点3点なので26点通して、HP−10点で《生死判定》です。生命抵抗3なので出目7で助かりますね。
エラー「無駄な抵抗すんなよ」
イヌキチ「するーっ!(コロコロ)セーフ。セ――――フ。うぎゃー、どこ、ずさー。
ボロ雑巾になって、みんなの足下に。【キュア・モータリー】かけて〜。ぴくぴく」
マイズ「ねえよっ!」
ジュリィが応急手当をして思い出したばかりの【ヒールウォーター】で回復してあげて、再挑戦すれば今度は成功しました。
奥にあった祭壇はやっぱり赤い宝石で「暴力」と答えると正解だったようです。ゴーレム達も消えて悠々と歩いて帰ってこれました。
次は緑色の通路です。しばらく進むと平原に出るのですが、そこでは緑色のポイズンモールドが凄い速さで広がっていました。
ポイズンコールドは8レベルの植物です。猛毒を持つ深緑色のカビで、通常は半径10mほどの範囲に広がっています。
その《かびの領域》に足を踏み入れる者には人数制限を無視して乱戦を仕掛けることが可能で、気づかずに入ると不意打ちを受けます。
通常のHPは120点ですが、《かびの領域》を半径5m〜半径20mの範囲で調整することでHPも60点〜240点の範囲で変動します。
《毒の胞子》を撒き散らして毒属性魔法ダメージを与えます。ダメージを受けるとHPとMPの最大値/現在値が10点減る《病気の胞子》を出します。
もし《かびの領域》を駆け抜けようとすると、1回は乱戦を仕掛けられて足止めを食らい、次のラウンドに離脱宣言をし、その次のラウンドに離脱。
その間最低2回は攻撃を受けてしまうのでコボルドボディでは耐えられないでしょう。近接攻撃手段はありませんが《毒の胞子》を使われますね。
生命抵抗の目標値11(18)ではまず抵抗できないでしょうし、その時は2D+10点の魔法ダメージで期待値にして17点が2回も来ますしね。
しかし移動速度0で自ら動くことはできないので、《かびの領域》が拡大する以上の速度で大きく回り込むことで無傷で回避できました。
その先にあった祭壇には緑色の宝石をはめこみ、ゴブリン御殿のゴブリンシスターが口にしていた「強欲」を回答すると正解でした。
次は青い通路です。こちらは本と紙のみで作られた部屋に出ます。食卓の上の料理すらも本と紙でできています。
ここでは特に危険もありませんでした。青で連想される心の闇ということで手品師を思い出して色々連想して「過信」が答えでした。
それは知識万能という思い込みであり、頭のよい自分への盲目的な自己愛です。知識と手品の違いはあっても手品師の態度の正体がこれですね。
GM「そろそろ、正体、わかってきましたでしょうか?」
ジュリィ「魔法王……?」
エラー「魔剣の製作者か?」
神の座を望み、大司教達に恨みを抱き、こんな謎の世界を作り出せる程の存在なんて限られています。
次は紫色の通路です。ここには遥かな高みに煌びやかな玉座があり、その根元には無力な虫が蠢いています。
ここの答えはコボルド達をひたすら見下すレッサーオーガやケンタウロスの態度から連想できますね。「傲慢」です。
最後は黒い通路です。ここは脈動する黒い淵穴で底が見えない。
マイズ「黒って何か出ましたっけ?」
GM「出てきてないはずです。というわで、ヒント。「魔法王。<滅びのサーペント>を作った彼が、最後にどうなったか」を思い出してください」
黒い服といえば黒服のレッドキャップ達がいましたけどあれはノーカン。これはなかなか難しく難儀しますが正解は「恐怖」でした。
それこそが魔法王が神の座を望み魔剣を生み出した理由の一つであり、他の魔法王に滅ぼされる最期の時に彼の心を満たした死への思いです。
まとめると以下のようになります。
赤 :「暴力」
黄 :「差別」
緑 :「強欲」
青 :「過信」
紫 :「傲慢」
黒 :「恐怖」
これらこそが魔法王の狂気の理由であり、これを解き明かす事がこの不思議な世界から抜け出す鍵だったのです。
気づいた時には全員屋外にいました。霧は晴れて街は消え、目の前には杖を持った老人の姿がありました。
魔法王「お前らごときが、我が心をすべて見透かしたというのか!認めん!お前らごときが神への階段を上ることなど認めん!
<滅びのサーペント>は、我がもの!今すぐ、この王に傅け、悔いよ、不遜を詫びよ!我に捧げよ!」
ぽむ「いやっ」
ジュリィ「あげません」
イヌキチ「だが、断る」
この時点でコボルドの呪いは半ば解けます。実は全ては夢の中で起きていたことで、魔法王との戦いは日と場所を改めて行われます。
決戦場所はメルドリーネ跡地です。思えば例の街並みは蛮族に蹂躙される中で見たメルドリーネの街並みだったのかもしれませんね。
ぽむ→ゆん「よし、全力疾走だ。テラスティア大陸の端から端まで」
ジュリィ→ジュエリィ「遠くに行ってたんだ」
ゆん「ゆんだもの」
何日ぐらい猶予があるか分かりませんが、普通に移動していたら数ヶ月かかりそうですね。空を飛べればなんとか。
イヌキチ→フェルディナント「俺たちも出発の準備だ、マイザール」
マイズ→マイザール「わかりました、師匠。よくも、ボクにあんなことさせたな。許さん」
肉の一件を気にしているらしい。夢の中のこととはいえ酷いイベントでした。
エラー→バトエルデン「さあ、余も動くか。ゆるゆると」
GM「うん、2ラウンドに1回くらいね」
バトエルデン「え?」
GM「きみ、3回死んだだろ?だから6ラウンドに3回の割合でしか、行動できないから」
一同「え、え、えーっ!?」
レッサーオーガが言っていたのはこのことだったんですね。他の人達も6ラウンドに1回は動けないタイミングがありますね。
コボルドの呪いが半ばしか解けていないのもこれが残っているからです。この呪いは魔法王を倒さないと完全には解けません。
★大決戦!半分休んでるおかたもいますが
そもそも今回の事件は<滅びのサーペント>がメルドリーネに作った迷宮で魔法王が霊体として蘇ったことで始まりました。
死して滅びなかった妄執が魔剣の復活に引き寄せられて彼を現世に呼び戻し、その野望のために活動を再開させたのです。
そのための最初の障害にして魔剣を奪った憎い相手として大司教達に目をつけ、夢の中でコボルドとして擦り切れる呪いをかけたのです。
しかしそれに気づいて大司教達の味方をしてくれたのが5mマッチョことゲルダムでした。
GM「しかし、呪いを直接解くことはできません。何せ、19レベル「しか」ないんで」
フェルディナント「おいおい、足りないのかよ」
GM「ノワールが23レベルだったんだから、今回、奮発して25レベル設定だし」
バトエルデン「ぶほぉ!それって、もう「神」って言いません?」
GM「神になれなかった男なんだよ」
力だけが神の階梯を昇る条件ではありませんからね。つまりゲルダムからしたら魔法王は神になれないことが確定した存在です。
しかしゲルダム自身が<滅びのサーペント>の守護者の任を解かれるためには、それこそ誰かが神になるしかないらしい。
だからゲルダムは大司教達の誰かが神になることに賭けたのです。どんなに低い確率でも0%の魔法王よりはマシですからね。
そのために夢の世界に度々介入して力を取り戻す手助けをしていたのです。魔法王にバレる度に電撃退場してはいましたけどね。
フェルディナント「それで、いつもいつも、「そんなチョイスで大丈夫か?」って警告を与えてくれてたんだ」
バトエルデン「「大丈夫だ、問題ない」。どがしゃ、ぐしゃ」
マイザール「問題大あり」
バトエルデン「改めて「一番いい忠告を頼む」」
GM「してたがな。無視して死んだんじゃないか」
フェルディナント「「あいつは、人の話を聞かないからなあ」」
当時はこれが流行っていたらしい。バブリーズのSARSネタといい、時事ネタは本当に風化しますね。
しかしその企みも半分は打ち砕かれました。夢から脱出した5人の英雄達がメルドリーネ跡地で再結集、魔法王に挑みます。
前回の戦いから時間が経っていますが装備品の変更はなしとします。ただし例によって戦闘はフルパワー前提なので消耗品は補充されます。
あとは成長ですが、これは前回の分の能力値成長1回と経験点1万500点によって行えます。予想通りとんでもない経験点ですね(笑)
1万500点ということは倒した相手のレベル合計が1050になる計算ですね。
|レベル |部位数 | 数 |経験点
---------------------|--------|--------|-----|-------
オーガバーサーカー | 11 | 1 | 12 | 1320
オーガウォーロード | 13 | 1 | 1 | 130
ヒルジャイアント | 10 | 2 | 2 | 400
ガルーダ | 12 | 2 | 3 | 720
ドラゴンゾンビ | 20 | 5 | 5 | 5000
ジャイアントゾンビ | 15 | 2 | 4 | 1200
ミニングレス | 14 | 1 | 6 | 840
ゴーストシップ | 12 | 7 | 1 | 840
レッサーヴァンパイア | 11 | 1 | 12 | 1320
ヴァンパイアノワール | 23 | 1 | 1 | 230
-----------------------------------------------------
合計| 12000
倒した魔物だけを計算したら以上のようになって計算が合いません。
倒してこそいないもののシナリオの展開上障害になる筈のゲルダムやヒューモンガス・インタスティンの扱いに困ります。
それを言い出すと導入で出てきた連中は障害にすらならなかったので計上すべきではないとか、色々とややこしいですね。
1万500点というのはAテーブル技能を12→13レベルに、Bテーブル技能を13→14レベルにする程度の経験点です。
ゆんならスカウト13→14とかにできるし、マイザールならコンジャラー12→13とかにできるわけでちょっと悩みますね。
ちなみに大司教はライダー、コンジャラー、セージなどを上げました。前回散々な目に遭ったドラゴネットちゃんが少し強くなりました。
ジュエリィはマギテック9→10と上げました。これで10レベル魔動機術【リピートアクション】が使えるようになりましたね。
この魔法は<マギスフィア>を自分の分身に変形させて自分の行動を繰り返させることができます。武器や魔法を2回分使えるわけですね。
この魔法自体は補助動作で行使するので直前で行った行動を繰り返すわけですが、この魔法に使った<マギスフィア>は壊れて使い物にならなくなる。
MPに余裕があっても<マギスフィア>がなくなると使えなくなってしまうわけですね。使いようによってはそれでも惜しくない程の成果を上げますが。
マイザール「プリースト技能を上昇させて、違う神様ってのもダメですよね?」
GM「聞くことか?」
マイザール「冗談です、冗談ですよ」
バトエルデン「「いいよ」と言われたら?」
マイザール「7レベルが魅力的なのは……」
GM「かーっ!」
Aテーブル技能を2→7レベルにする経験点が丁度1万500点ですからね。これもまた嗜みとして上げておく手はありますが。
ちなみにル=ロウドの7レベル特殊神聖魔法は【パスト・ヒアリング】です。過去24時間以内にその場所で起きた音が聞けるというもの。
これまた戦闘中には役に立ちそうにないですね。あと4レベル特殊神聖魔法は【アンラック】です。決してチャラ・ザ様の魔法ではない。
これは呪いの一種でして、魔法をかけられた後最初に行う判定で2回サイコロを振り、より悪い結果を採用するというものになります。
固定値の場合は達成値に−2の修正が入りますけど抵抗されたら効果消滅だし、それをするぐらいなら他にやることがありそうなものです。
メルドリーネ跡地に行くと既に魔法王は手勢を従えて待ち構えていました。ミスリルゴーレムが1体とミニングレスが5体です。
ジュエリィ「魔物知識判定していいですか?目標値は?」
GM「魔法王については設定してない(胸張り)」
マイズ「何と、【エンサイクロペディア】をSSで使えと!」
GM「いや、無駄な抵抗はしないって意味だ。さっさとトドメ刺してくれ。あー、1296分の1の奇跡とか起きないかなあ?」
案の定達成値36とか出して全部見抜きました。手勢も弱点までお見通しです。
ミスリルゴーレムにはゴーレムの命中力を+4する<琥珀の目>が入っています。額に第三の目として装着される1万ガメルの品です。
ミニングレスは魔法の能力と《修復=10点》と《亡者の召還》の能力がなく、《ゴーストラッシュ》する程度に劣化しています。
もし《修復=10点》が残っていたら毎ラウンド50点回復し続けてしまいますからね。それでも伯爵なら一気に刈り取れそうなのが恐ろしい。
魔法王は25レベルの神族です。半霊体・半実体でHPとMPが融合して500点という特殊な存在となっています。
本人は物理的攻撃能力を持ちませんが真語魔法・操霊魔法15レベルを魔力27で使用し、《魔法拡大》系は全て持っています。
《魔法制御》《鷹の目》もありますし、《MP軽減/ソーサラー》《MP軽減/コンジャラー》《マナセーブ》があるので消費MP−2点。
また回復魔法は一切無効という特徴もあります。
GM「そういう存在なので【イモータル】なんかもかかりません」
これは15レベルの操霊魔法で、ダメージに屈しない体になるというものです。効果時間中はHPが0以下になっても《生死判定》は行わない。
また「毒」「病気」「呪い」「精神効果」属性の効果は無効という無敵っぷりですが、その間は回復できないというネックもあります。
それ以外に厄介な特殊能力の類は持っていない、まさに魔法王の名に相応しく魔法能力に特化しているといえます。
バトエルエン「中途半端な下位神より強いかもだなあ」
GM「25レベル設定なんでね」
マイザール「下手すればルーフェ……」
バトエルデン「おっと、それ以上口にしてもらっちゃ困るな」
もちろんこれだけではノワールみたいに伯爵にフルボッコにされるだけなので、自ら開発したアーティファクトを装備しています。
円盤・杖・胸当て・篭手・兜の5つを装備していて、魔法王本体と合せて六部位として扱われます。部位毎には騎手と騎獣のように扱われます。
各部位の数値をまとめると以下のようになります。
|
全体的にノワールに勝るとも劣らないスペックですね。抵抗力は悉くこちらの魔力を上回るのでまともに通すのは難しそうです。
回避の高さもなかなかですが、伯爵なら十分当たり目はあります。パラミス前提で色々やらないとゆんは厳しそうですけどね。
頑丈さという点でもなかなかなのでいかな伯爵でも一撃で粉砕できるほど脆くはない。まぁ200点程度では数発で持っていかれますが。
アーティファクトなので当然1つ1つには特殊能力があり、それぞれ厄介なものばかりです。
浮遊する円盤は魔法王を搭載することができます。移動力72でゆんよりも速く移動します。
ゆん「何だと。ムカ」
つまり魔法王がこれに乗ると72m通常移動しながら魔法が使えるのです。ただし《影走り》はないし、攻撃能力もない。
杖は魔法王が自発的にMPを使う時に消費MP−20点にすることができます。つまり無限に使える20点<魔晶石>といったところです。
マイザール「くれ」
ジュエリィ「くれ」
ゆん「ゆんも欲しい」
《MP軽減》と《マナセーブ》も考慮するとさらに効率がいい。何しろ魔法王はMPを消耗すると自分の体も削れるので色々考えていますね。
胸当ても能動的な能力はありませんが、防御に特化した以下の能力を持ちます。
「すべての部位に対し、与えられる魔法ダメージを『10』点軽減する」「『部位:本体』に物理ダメージ、魔法ダメージが与えられるとき、防護点など減算する直前に半減する」
つまり魔法王に魔法ダメージを40点与えて抵抗されたりすると、半減の半減で10点になり、更に10点軽減でノーダメージになるのです。
物理ダメージでも半減するとなると、24点程度では半減して12点になり、防護点を引いてやっぱりノーダメージになってしまいます。
伯爵が100点ほど出しても半減して50点、防護点を引いて38点程度に軽減されてしまうのです。これを壊さないと魔法王に大ダメージは与えられない。
篭手は自発的に殴ることができます。命中力30(37)、打撃点2D+30点です。
フェルディナント「その「2d」の意味は?」
GM「バトエルデンに通る数字に影響すると思うぞ」
《追加攻撃》と《牙折り》を持ち、部位のどこに対する近接攻撃にも《カウンター》ができる「どこでもカウンター」が可能です。もちろん命中力30で。
兜は主動作で使用する「恨み返し」という能力を持ちます。これは部位のいずれかが魔法ダメージを1点以上受けて恨みをチャージすることで使用できます。
もし六部位全てに魔法ダメージが入ると6点、2人が同じことをしたら12点の恨みをチャージすることになるわけです。
「恨み返し」をするとチャージの原因になった対象に基準値25の精神抵抗を行わせます。距離は無限、視認の必要なしで飛んでいきます。
成功すると効果消滅、失敗すると無作為に選んだ能力値をチャージ点数減少させる。もし12点チャージしていたら12点も減らされてしまうのです。
ジュエリィ「呪いってことは、【ブレイブハート】必須?」
GM「くくく、今回は【ディスペル・マジック】してから、これをやることができるんだぜ」
ジュエリィ「あうう」
GM「対処の方法はもう1つ。魔法ダメージ使わなきゃいいんだよ」
フェルディナント「物理で殴ったら牙折りカウンターしようとか思ってるくせに」
ただでさえ魔法ダメージは胸当てのせいで効き目が悪いのにね。ちなみに【ブレイブハート】は「ウィザーズトゥーム」で呪い属性は防げなくなりました。
以上のアーティファクト達は分類上魔法生物として扱われるため、【アース・ヒールU】によって回復することは可能です。
これは10レベルの操霊魔法で【アース・ヒール】の上位魔法です。威力30で分類がアンデッドや魔法生物も回復させられます。
魔力27なので軽く30点以上回復させることができるわけですよ。消費MPは8点から軽減して6点なので、同時に3ヶ所まではMP消費なしで回復可能。
以上のようにどこから攻略するか悩ましい相手ですが、その上例のコボルドの呪いのせいでハンディがありましたね。
大司教は6ラウンドに3回、他の人達は6ラウンドに1回お休みがあります。具体的には主動作できずに補助動作と移動は可能です。
どのタイミングでお休みが入るかは毎ラウンド1D6で決めるという案もありましたが、事故が怖すぎるのでボツになりました。
GM「それをやると、誰かさんが3ラウンド続けて行動不可、パーティ全滅とかいうパターンが楽勝ありえる」
バトエルデン「大丈夫ですよ。1〜3とか振らなきゃいいんでしょ。(コロ)……1」
そこでGMはお休みチャートを作ってなるべくお休みのタイミングが分散するようにしました。
まず大司教が奇数ラウンドと偶数ラウンドのどちらで休むかは任意に決められるとし、援護を期待して偶数ラウンドお休みとします。
1 2 3 4 5 6
バト ○ × ○ × ○ ×
?? × ○ ○ ○ ○ ○
?? ○ ○ × ○ ○ ○
?? ○ ○ ○ ○ × ○
?? ※ ※ ※ ※ ※ ※
1・3・5ラウンド目にお休みする人は残り4人の中からランダムで決めます。残った1人がどのラウンドに休むかはまたランダムで決めます。
ではダイスの神様に運命を委ねた結果がどうなったか。
1 2 3 4 5 6
バト ○ × ○ × ○ ×
ジュ × ○ ○ ○ ○ ○
マイ × ○ ○ ○ ○ ○
ゆん ○ ○ × ○ ○ ○
フェ ○ ○ ○ ○ × ○
よりにもよって後衛2人が揃って1ラウンド目お休みになりました。主動作そのものがなくなるので《ファストアクション》も効果はない。
確率的には、まず4人中2人が1ラウンド目休みを引く確率で1/2。もう1人が※行を引く確率で1/3。
その上1ラウンド目休みになるのが1/6なので、1/2×1/3×1/6で1/36ですね。丁度1ゾロと同じ確率ですよ。
バトエルデン「そうだ、ドラゴネットのブレスの属性決めないと」
騎獣としてのドラゴネットのブレスの属性は固定されていないというのはぞんざいズのミニの一件でも話題にしましたね。
ここで大司教は湖の国から来たので水・氷属性としますが、ミニングレスの弱点は炎属性なのでまたちょっと不利に、というか有利な条件を逃した。
前回のドラゾン5体もそうでしたけど、不利な方、不利な方に動きますね。そのくせその不利をひっくり返すあたりは流石ですけど。
こうして色々不利な状況で集まった5人は魔法王の指ぱっちんによって一瞬で眼前まで引き付けられる。微妙に奇跡が使えるらしい。
ジュエリィ「10レベルも上の敵なんて無理だよ。ほら、1レベルのパーティに11レベルの魔物ぶつけたら、みんな怒るでしょ?」
一応ただの15レベルより数段強いのでそこまでの実力差ではありません。だからといって簡単に勝てる相手でもありませんが。
当たり前のように先制を取って戦闘開始です。
1ラウンド目、マイザールとジュエリィお休み
大司教はドラゴネットに騎乗した状態で10m通常移動、【バランス】を活かして【ホーリー・ブレッシング】を5倍拡大で全員にかけます。
バトエルデン「ここで中間の壁になっときます。すまんなドラゴネット、ちゃんと供養塔は建ててやる。
ミニングレスやミスリルゴーレムを一瞬でも止めんとな」
あとドラゴネットにブレスを吐かせます。魔法王に当たらないよう端っこの2体に発射し、抵抗されるものの12点ずつ削りました。
バトエルデン「補助動作で<魔香水>飲みます。ぐび」
GM「それは振りかけるものであって、飲むものじゃないよ」
バトエルデン「これは、大司教の秘密のブレスケアですよ。今、設定されました」
GM「作者の前でしれっととんでもないことを」
香水をがぶ飲みしていると考えるとなかなかシュールな絵面です。何も知らない人が見たらびっくりするんでしょうね。
マイザールは主動作はできないまでも補助動作で賦術を使って援護します。今回使うのは【ヴォーパルウェポン】SSランクです。
これによってゆんの追加ダメージ+8点です。あと自分に【ブリンク】と【メディテーション】を使って3m後退します。
賦術と練技は補助動作で使えるので主動作が使えなくても色々できていいですよね。ジュエリィは何もできなくて3m後退するだけ。
そしてお待ちかねの伯爵です。攻撃する前に賦術【クリティカルレイ】をSSランクで使用し、全ての練技をかけておきます。
この時伯爵は以前は覚えていなかった【メディテーション】を使っていました。さっきの成長でエンハンサー技能を伸ばしていたんですね。
そして戦闘特技《魔力撃》《薙ぎ払い》を宣言し、5つのアーティファクトを対象に攻撃です。現在の命中力31、全体的に有利です。
《命中力判定》もダメージ決定も一括にはせず別々に行います。まずは篭手に38と言って攻撃です。
GM「カウンターは9必要か……。どうせ、回避失敗しても【クリティカルレイ】SSだから、ミス覚悟でカウンターしちゃう手もありかなあ」
普通なら命中力30が高すぎて怖くて攻撃できない篭手でもこの有様です。ここでは8振れば回避はできると考えて回避を試みましたが命中します。
これに対して伯爵は当然のように6ゾロ相当クリティカルしますが2回転はせず。2回目は出目4で9点だったようですが、先を見据えて〔運命変転〕は温存。
フェルディナント「というわけで、19+9で28がスタート。追加が23で、51」
GM(来るなあ)
フェルディナント「……に《魔力撃》で18足して」
GM(《魔力撃》前だったのかよ!)
フェルディナント「それに【マッスルベアー】+<熊の爪>。72点」
ゆん「伯爵は何のゲームをしているんだろう?」
現在の伯爵は威力70+44点ですからね。防護点20なので52点通って篭手の残りHP98点です。早くも1/3持っていきました。
次は円盤に37と言って攻撃。これでも回避には出目9必要であっさり命中。ダメージ58点で防護点15点なので43点通り、残りHP107点。
杖に41と言って攻撃してやっぱり命中。上手いこと回って77点ダメージでした。防護点15点なので62点通り、残りHP88点。
胸当てには38と言って攻撃して命中。61点ダメージなので、防護点25点を引いて36点通りました。残りHP164点と比較的元気です。
流石の強打者っぷりを披露する伯爵は最後に兜に38と言って攻撃してやっぱり命中しますが。
GM「(コロコロ)やってもーたーっ!」
まさかの防御ファンブルです。結果は「最終的な算出ダメージを2倍」になりました。3桁は確実に行くであろう会心の一撃になりました。
この時の算出ダメージは60点なのでこれを倍にして120点ダメージで記録更新。防護点20点を引いて100点抜けて残りHP50点です。
GM「ぐへえ。50点残った。耐えた」
フェルディナント「何を勘違いしているんだ。まだ俺のターンは終了してないぜ」
はい、《ファストアクション》による2回目がありました。同じ対象に《魔力撃》《薙ぎ払い》で攻撃します。鬼かあんたは。
2回目の篭手への攻撃は40と更に高くなりました。命中力30だと出目11必要、とうていカウンターも回避もできず命中。
うっかりダメージ1ゾロを振りますがゆんのことを考えて〔運命変転〕して76点です。56点通って残りHP42点と1/3切りました。
GM「これ、こっから先の攻撃でカウンターをミスったら即死ってこと?」
フェルディナント「俺様はいつでも受けてたつぜ?」
1回でも回ったら2回目の出目が低くても50点ほど抜けるのはさっき検証済みです。冗談抜きで即死するタイトな状態。
続いて円盤は56点ダメージで41点通って残りHP66点。杖も同じダメージで41点通って残りHP47点とやっぱり伯爵相手にはレッドゾーン。
胸当ては回避に成功し、兜には34と達成値が低かったのでカウンター発動して34点ダメージ。【ホーリー・ブレッシング】が剥げました。
ゆん「長い戦いだった」
バトエルデン「だが、勇者たちはついに勝ったのだ」
GM「まだ終わってねえだろ」
マイザール「いやあ、すっかり堪能しました。何もしないで見てるだけのビールうめえな」
ジュエリィ「化け物だよね、伯爵」
GM「観戦モードしてんじゃねえよ」
胸当て以外のアーティファクトをは大分削れましたね。最初はどうなるかと思いましたが伯爵なら十分魔法王相手でも削れますね。
続いてゆんの出番です。いつものように練技を一通りかけて尻尾と牙を生やし、《テイルスイング》《ファストアクション》で尻尾一往復攻撃です。
ところがこれは胸当てへの1発の命中以外全部ハズレでした。ノワールの時もそうでしたけど命中力が敵の回避力より低すぎるんですよね。
グラップラー技能の素の命中力が22で、<尻尾>自体は命中力+1で【キャッツアイ】込みで命中力24にはなるんですけどね。
ノワールの時のようにパラミス等の援護を色々入れて貰わないと厳しいところ。伯爵の高すぎる命中力と張り合える回避力を設定するとそうなる。
ちなみに胸当てへのダメージは34点で9点抜けて残りHP155点。ようやく他のアーティファクトの初期HPと並んできました、頑丈なことです。
その後ゆんは【フェンリルバイト】で杖に噛み付いて6ゾロ出して命中。しかもクリティカルまでして40点ダメージを出しました。
これで25点通って杖の残りHP22点ですね。これがなくなると魔法王は身を削って魔法を使わざるを得なくなるのですが。
それではいよいよ魔法王の番です。まずは【ヘイスト】を自分と篭手にかけ、自分は上手いこと追加行動ができるようになりました。
GM「地味で狡猾を望むゲーマー諸氏も多いかもしれないけれど、でも、楽しいこともやっとこうよ、ね?」
このフリー行動で魔法王は【メテオ・ストライク】を前衛・中衛に使用します。達成値37とアホみたいに高くて誰も抵抗できず。
これがゆんと大司教のブレッシングを削り、ドラゴネットを瀕死に追い込みます。即死はしなかったものの非常に危ない。
この時大司教は<消魔の守護石>でダメージをカットしてHP1点で残したりしていました。ゴーレムやミニングレスをブロックするためだけに。
篭手は伯爵を殴って34点ダメージです。うっかり《牙折り》を入れ忘れたことで次のラウンドのダメージ−8点の機会を逃しました。
【ヘイスト】は効果を発揮せず、ミスリルゴーレムが動きます。まずは下半身の《同時攻撃》による右回し蹴りと左回し蹴りが前衛2人を襲います。
ゆんは上手く回避しましたが伯爵は両方命中してHP0で気絶。<琥珀の目>のせいで命中力26(33)とかあると伯爵では回避は無理でしょう。
続いて上半身がゆんに《狙い定め打つ》です。これで命中力は更に+4されて命中力32(39)と最早ゆんでも回避が覚束ないレベルになっています。
当然当たった上に防御ファンブルで「ダメージに、攻撃者の「レベル」が追加される」が出たのでダメージ+20点と強烈な一撃が入りました。
《狙い定め打つ》のお陰でダメージ−8点でも41点、もう1発も当たって21点です。さっきの【メテオ・ストライク】もあって前衛瓦解のピンチ。
正直<琥珀の目>は過剰だったというのがGMの独白でした。お陰で今後もコンスタントに前衛が殴る蹴るの暴行を受け続けることになりそうです。
劣化ミニングレスが後衛に殺到しようとして大司教とドラゴネットがブロックし、《ゴーストラッシュ》5連発に晒されます。
物理ダメージなので大司教は無傷と相変わらずの鉄壁っぷりでしたが、ドラゴネットは片翼が機能停止して頭部も重傷です。
2ラウンド目、バトエルデンお休み
大司教は補助動作でドラゴネットから降りておきます。ドラゴネットに離脱を宣言させ、頭部に《かばう》を宣言しておきます。あと<魔香水>グビリ。
マイザールはパラミスSSランクを兜に入れて回避力−4にし、敵全部に【メテオ・ストライク】をお返しします。達成値は一発振りで33でした。
抵抗を抜いたミニングレスの1体にはクリティカルして75点削ります。HP101点なのでこれだけで瀕死ですね、いやもう死んではいますけど。
1体には残念ながらダメージ1ゾロで無傷。それ以外のミニングレスと、やっぱり抵抗を抜いたゴーレムの各部位に45点前後のダメージを振り撒きます。
肝心の魔法王とアーティファクト達は当然のように抵抗しますが、杖だけはうっかり抵抗できませんでした。
マイザール「では、魔法王から。(コロコロ)出目いいぞ。43発!」
GM「抵抗成功で半減22、胸当ての能力で半減11。胸当ての能力その2で−10。1点通し」
マイザール「ボ、ボクの最強魔法が!」
ジュエリィ「どかーん、煙もうもう、煙晴れたら……」
バトエルデン「ん?今、何かやったのか?ぱっぱっ(埃払う)」
マイザール「ダメだ、ボクの力では、とてもアレにはかなわない。結構、そんな気分」
円盤には24点ダメージでしたがやっぱり−10点なので14点通し、残りHP52点。杖は残りHP22点のところに38点素通し、杖は折れた。
胸当てには7点通しで残りHP148点。篭手には14点通しで残りHP28点と更に崖っぷちに立たされます。兜には9点通しで残りHP41点です。
ただこれで兜は恨みを6点ほどチャージしているんですよね。「恨み返し」されたらどこかの能力値ボーナスを−1される可能性があります。
ジュエリィは制限移動で3m前進し、前衛2人に【エクステンドヒーリング】を【リピートアクション】で2回かけます。
これは8レベルの妖精魔法でHPを魔力+12点回復させます。ジュエリィの場合は38点なので、2回分で76点も回復する。
ここでは40点となっていますけどね。〔異貌〕と<マナリング>かとも思いましたがこれらはダメージを与える魔法のダメージ+1なので多分違う。
これで<マギスフィア>が1個壊れたとはいえ、大司教が動けないこのタイミングとしては結構な量のHPを回復できましたね。
ゆんは伯爵に主動作で<アウェイクポーション>をかけて起こし、補助動作で【バルーンシードショット】を使い<バルーンシード>を兜に発射します。
これはカテゴリ<投擲>のBランク武器で、刺激を与えると細かい種子をばら撒く種です。威力40もありますが2400ガメルで使い捨てです。
現在の兜の回避力はパラミスが入って26(33)ほどです。対するゆんは練技を入れても24とまだ低く、34を出しても回避されました。
まだ【フェンリルバイト】がありますけど篭手がある限りはカウンターを食らう確率が高いのでやめておきました。
伯爵は立ち上がって《魔力撃》《薙ぎ払い》を宣言。転倒状態だったので命中力−2になる分はタゲサで+1して、【クリティカルレイ】Sランクを使用。
【コンプレーション】経由の【ブリンク】でゴーレムの攻撃に保険をかけておき、残る4つのアーティファクトと魔法王を狙います。
まずは篭手に41とえらい高い達成値で攻撃します。回避なら出目11、カウンターなら6ゾロが必要。ここは確率3倍の回避を選ぶも案の定命中。
クリティカルもして72点ダメージでした。防護点20点を引いて52点、残りHP28点だったので篭手は壊れた。これでゆんも遠慮なく攻撃できますね。
兜には37と言って攻撃。パラミスで下がっている状態で回避できるはずもなく命中。その上防御ファンブルで「防護点無視」が出て兜も壊れた。
胸当てにも当然のように当てて76点ダメージです。51点通して残りHPは97点です。やはりこれだけ他のアーティファクトより頑丈ですね。
円盤は外れたのか忘れたのか飛ばされて、最後は魔法王です。39と言って攻撃です。
GM「なぜ【ブリンク】入れとかなかった、俺。(コロコロ)当てられました」
フェルディナント「(コロコロ)56発」
GM「胸当ての効果で半減した後、防護点12。16点通し」
フェルディナント「半神とはいえ、俺の<ガイスター>は通るらしいな(ニヤリ)」
マイザール「ボクの【メテオ・ストライク】の立場がない」
これで残るアーティファクトは円盤と胸当てです。円盤はともかくやはり胸当てを壊さないことには大ダメージは難しいようです。
ミスリルゴーレムは左右の回し蹴りで前衛2人を攻撃し、伯爵は1回は【ブリンク】で避けるももう1回は《魔力撃》が程よく効いて命中。
さらに上半身の攻撃も伯爵に集中してワンツーパンチが入って伯爵はフラフラです。一方ゆんは全部避けて無傷でした。
ミニングレスは前ラウンドと同じく大司教とドラゴネットに殺到します。ドラゴネットはもう片翼も折られるも大司教にかばわれて生き残ります。
バトエルデン「俺自身は、うーん残りHPが100になりました」
フェルディナント「俺様に少し寄越してくれ」
魔法王は魔法使い3人に【マナ・シール】です。距離3倍・対象3倍で9倍拡大でかけて3人とも抵抗できませんでした。
消費MP16点で消費MP−2点があっても14点消費。9倍拡大ならMP126点消費、自分の体の1/4を削る荒業でした。
しかしこれで自分のMPを11点以上消費できなくなります。特に回復役の大司教の働きに支障が出る痛い一手でした。
あと【ブリンク】は入れておいてヘイストチェックに成功。ドラゴネットを除く全員に【エネルギー・ジャベリン】で攻撃です。
<消魔の守護石>やブレッシングを盛大に消耗させて被害をばら撒き、伯爵は血反吐を吐いて倒れてまた血まみれになりました。
消費MP9点が7点になって、5倍拡大で35点消費ですね。このラウンドだけで178点も体が削れていて相手も決して楽ではない。
3ラウンド目、ゆんお休み
大司教は<魔晶石>を使いつつ伯爵に【レストレーション】で全回復させます。ドラゴネットは全力移動で離脱成功。
バトエルデン「お疲れ〜。国民の血税に手をつけずにすんだぜ」
既に翼は折れているので走って逃げたようです。先代と違って死なずに済んで良かったですね。あと<魔香水>グビリ。
マイザールは【ヴォーパルウェポン】SSランクを伯爵に入れます。そして距離を拡大した【アウェイクン】で伯爵を起こします。
ジュエリィは【カオススマッシュ】を乱戦エリアに撃ち込みます。円盤と魔法王は成功しますが胸当てとその他は抵抗に失敗。
胸当てには39点通しで残りHP58点です。円盤は11点通しで残りHP41点。この辺も終わりが見えてきましたね。
魔法王には43点ダメージでしたが、半減の半減の−10点では43点→22点→11点→1点とマイザールと同じ結果になりました。
ゴーレムの各部位には40点強のダメージを振り撒きほぼ半壊。ミニングレスは2体が落ちます。残る3体中2体はボロボロ、1体は比較的元気。
ゆんは【フェンリルバイト】【ドラゴンテイル】を重ねがけして命中力を上げ、【バルーンシードショット】で<バウンドボール>を発射します。
これはカテゴリ<投擲>のBランク武器で、乱戦エリア内でバウンドして最大2体までに命中します。実は魔力+1の魔法の武器で5300ガメルします。
《精密射撃》があれば2回分の対象を任意に選べますが、ない場合は2回分誰に当たるかを無作為に決定することになります。
ゆんはこれを大司教とミニングレスの乱戦エリアに撃ち込みます。1回目からランダムで対象を決定し、運よく一番弱っているミニングレスを倒します。
それがバウンドしてなんと2番目に弱っていたミニングレスに命中するもダメージ1ゾロ。最後に【フェンリルバイト】で魔法王に噛み付いて【ブリンク】解除。
主動作が使えないとは思えない活躍ぶりで伯爵に手番を譲ります。今回も【コンプレーション】経由の【ブリンク】をして、《魔力撃》《薙ぎ払い》を宣言。
今回の目標は魔法王とアーティファクト2つ、あとゴーレムの下半身です。【クリティカルレイ】Sランクと【プレコグ】も入れておきます。
胸当てへの攻撃は回避されたものの、円盤は両断しました。ゴーレムの下半身にも36点や31点を通します。むしろアーティファクトよりゴーレムが鬱陶しいし。
そして魔法王には38と言って攻撃し、回避に1足りずに命中。ダメージはクリティカルして83点でした。
GM「半分になって42の防護点が12で……あかん、こいつ生かしておけん」
ゴーレムの下半身の回し蹴りを伯爵とゆんは1発ずつ受け、更に上半身のワンツーパンチが伯爵に行って残りHP22点とまたも血まみれに。
そこに魔法王の【メテオ・ストライク】が入ってゆんは残りHP4点と瀕死に。伯爵はHP−22点になって気絶します。大司教は44点ほどありますが。
今回は幸いにもヘイストチェックには失敗して手番終了。残る2体のミニングレスは大司教にじゃれついて2点だけHPを削りました。頑張った。
4ラウンド目、バトエルデンお休み
前衛を回復しないとトドメを刺される、ミスリルゴーレムを倒せればそもそも倒れない、やりたいことは沢山ありました。
しかし回復の要の大司教が動けない上に【マナ・シール】で魔法の使用にも制限があるこの状況。一同は長考の末に行動を決めました。
まずゆんが【リカバリィ】でHPを15点回復し、【フェンリルバイト】【ドラゴンテイル】を重ねがけして命中力を上げます。
ゆん「後ろの弱ってるほうのミニングレスに《跳び蹴り》」
GM「何でいきなり背中から。乱戦エリアを何と心得る」
フェルディナント「まるで弾丸」
この一撃でそのミニングレスを倒し、最後のミニングレスもキック・キック・噛み付きのコンボで倒します。これでミニングレスは全滅です。
マイザールは補助動作の賦術【ヒールスプレー】SSランクでゆんのHPを50点回復。これでゆんのHPは69点ほどになりました。
マイザール「そして、伯爵に【アウェイクン】。(コロコロ)オハヨウ」
フェルディナント「やあ、さっきから、いい夢と悪夢を交互に見てるんだ」
マイザール「師匠、まだ続いてますって」
ここでジュエリィは伯爵に【エクステンドヒーリング】で40点回復。これで伯爵のHPは41点です。
伯爵は1ラウンド目と同じ練技をかけ直します。4ラウンド目なので切れていましたから。
フェルディナント「あれ?ゆんは?」
ゆん「ゆんは《練体の極意》持ってるのだ」
あとは【コンプレーション】経由の【ブリンク】、【プレコグ】、タゲサを入れて、《マルチアクション》《薙ぎ払い》を宣言。
以前のドラゾン戦と同じようにクリポン武器の<ドラゴンスレイヤー>を作って、胸当て、魔法王、ゴーレムの下半身を攻撃です。
胸当てへの攻撃は命中し、またも防御ファンブルです。ファンブル表の結果は「この表を2回振り、その両方を適用する」が出てしまいます。
これで「ダメージ決定を2回行い、より高い方を採用する」「最終的な算出ダメージを2倍」という結果になりました。
今回は《魔力撃》ではないので基本のダメージが低いのですが、それでも84点の魔法ダメージが胸当てを襲います。
一応魔法ダメージなら−10点にできるとはいえ、残りHP58点のところに74点も当てられては耐えられず胸当ても壊れた。
これでアーティファクトは全壊です。ようやく魔法王にまともにダメージが通るようになりました。まぁ回避されましたけどね。
ゴーレムの下半身にも命中しますが、片方はダメージ1ゾロに終わり、もう片方は38点素通しするも倒しきれず。
大司教はフリーになったので前進して伯爵に《かばう》を宣言します。<ヒーリング・ポーション+1>をグビリと飲んで20点回復。
魔法王は前衛3人に【メテオ・ストライク】でゆんに46点。伯爵にも46点でまた血まみれになって気絶。大司教には回って75点。
バトエルデン「うむ。(コロコロ)にこやかに笑いながら立ってるぞ。HPはマイナスだが」
《生死判定》には成功して《不屈》で耐えることもできましたが、この状況ではミスリルゴーレムの4連発を受けることになります。
ゴーレムの攻撃は2D+22点とか2D+24点。大司教の防護点は22点。大体1発受けると2D6の分が通ることになります。
HP61点のところに75点通ったとしたらHP−14点ですね。そこに期待値7点が4発来ると28点ダメージでHP−42点です。
生命抵抗力23の大司教でもこの状況になると6ゾロのみ成功ですね。<奇跡の首飾り>で振り直したところで危険な博打です。
マイザール「ここは、あえて倒れるのもありです。ボクらなら大丈夫です」
バトエルデン「そうか……くっ、まったくもって不本意。倒れよう」
こうして無敵の不沈艦だった大司教がついに気絶しました。メテオが回って75点とか来なければ耐えられたんですが。
ここで魔法王がヘイストチェックに成功するとまたメテオが来て本当に全滅コースですが、幸いそれは回避できました。
ミスリルゴーレムは倒れた人は狙わない設定だったので、ゆんか少し前に出ていたマイザールが標的になりますが、案の定マイザールにいきます。
マイザール「いやあ、まさかミスリルゴーレムとタイマンとは。貴重な体験ですね」
まぁタイマンで殴り殺されたコボルドとかはいましたけどね。この猛攻を1回は【ブリンク】で回避します。
残り3発は命中してしまいますが、それでも残りHP48点で耐えました。こう見えても防護点11点あるのでそこそこ頑丈ですしね。
5ラウンド目、フェルディナントお休み
マイザールは自分に【ヒールスプレー】SランクでHPを20点回復し、ミスリルゴーレムに【メテオ・ストライク】です。
この一撃で下半身の片方が瓦解します。続くジュエリィの【カオススマッシュ】でミスリルゴーレムは全壊、残るは魔法王のみです。
ゆんは【フェンリルバイト】【ドラゴンテイル】を重ねがけ、<アウェイクポーション>で大司教を起こし、魔法王に噛み付いて【ブリンク】解除。
大司教は自分のHPは薬で18点ほど回復し、伯爵とゆんに【キュア・モータリー】です。大きい<魔晶石>がないのでこれが精一杯。
バトエルデン「【メテオ・ストライク】が2回来たら知らん」
GM「そのときは、前後に分けてあげるよ」
このラウンドはそもそも伯爵はお休みなので【アウェイクン】せずやり過ごすつもりですね。
そこでまたも前衛3人に【メテオ・ストライク】です。ゆんは辛うじて耐えましたが、大司教と伯爵はまたもHPがマイナスになりました。
伯爵は例によって血まみれで気絶状態が続行しますが、今回こそ大司教は《不屈》で耐えます。HP−21点で結構危ない状態ですけどね。
バトエルデン「お前の攻撃はその程度か。それでは、我が不屈の魂、砕くことはできぬ」
魔法王(マイザール)「えー?《不屈》持っていたとは見えなかったのに」
バトエルデン「馬鹿め、さっきのは狸寝入りだ」
これで魔法王のHP/MPは残り170点ほどです。アーティファクトも手勢も全滅して彼に残されたものはたったこれだけ。
6ラウンド目、バトエルデンお休み
マイザールはパラミスSランクを魔法王に入れて伯爵に【アウェイクン】です。ゆんパンチで【ブリンク】解除。
ゆん「その後、追加攻撃。(コロコロ)あう、1ゾロ」
GM「これぞ秘術【ダブルブリンク】」
【フェンリルバイト】と【バルーンシードショット】は回避され、【リカバリィ】でHPを15点回復させます。
伯爵は《マルチアクション》《魔力撃》を宣言し、自分に【キュア・モータリー】で35点回復。【クリティカルレイ】SSランクで攻撃しますが。
GM「(コロコロ)ごめん」
バトエルデン「6ゾロってる〜」
フェルディナント「半神め」
マイザール「これだけ振ってればしかたないかなあ。1ゾロでだいぶ助けてくれてますし」
大司教は自分のHPを薬で16点回復。ジュエリィは大司教と伯爵に【エクステンドヒーリング】で40点ずつ回復させます。
フェルディナント「よし、これで76まで回復。「ベジータ、お前の【メテオ】にもこれなら耐えられるぜ、界王拳3倍だ〜」」
GM「誰がベジータやねん」
魔法王は毎度お馴染みの【メテオ・ストライク】で前衛3人を攻撃。ゆんは<消魔の守護石>で奇跡的にHP1点の慢心アタック状態に。
GM「次は伯爵(コロコロ)あ、回った(コロコロ)69点」
フェルディナント「ベジータ、お前やるじゃねえか。残り7点」
大司教はHP−3点で《不屈》で耐えました。なんと伯爵が初めて気絶していない状態で手番を迎えますよ。
7ラウンド目、マイザールとジュエリィお休み
大司教は自分のHPを薬で回復し、伯爵とゆんに【キュア・モータリー】です。
バトエルデン「俺ね、いろんなことを忘れてました。<インペリアル>が魔法ダメージカットすることとか、
<消魔の守護石>いくつか持ってたこととか、<治癒適性>持ちだったこととか」
GM「おーい」
あと《マルチアクション》で魔法王の【ブリンク】を解除しますが、これもそうですね。やっぱり色々できすぎても忘れちゃうんですよね。
しかし一度やってしまったことは例えルールに間違いがあっても巻き戻せません。ラクシアになっても現状保存則は変わりませんね。
マイザールは補助動作でパラミスSランクを魔法王に。
GM「お前ら、主動作縛るぐらいでちょうどいいんじゃねえか?」←それじゃあ伯爵が動けない
ゆんは6ラウンド回ったので練技をかけ直し、【リカバリィ】で15点回復しつつパンチ・パンチ・噛み付き・投擲の4連コンボです。
これがようやく命中し始めて4発中3発命中。20点越えのダメージをそれぞれ与えて、魔法王の残りHP/MPは70点弱になりました。
そんな絶好のタイミングで伯爵に手番が回ってきます。今回は得物を<ガイスター>に持ち直して《マルチアクション》《魔力撃》です。
【クリティカルレイ】SSランクと練技一式とタゲサも忘れずに入れ、魔法は【コンプレーション】経由の【ブラスト】で攻撃です。
これが抵抗されながらも13点ほど削って残り50点台に。肝心の《魔力撃》は41とすこぶる出目がよく魔法王を狙います。
フェルディナント「また奇跡が起こったらお疲れ様でいいです」
GM「ここまで削られると、もうやれることも残ってなさそうだが……(コロコロ)失敗」
フェルディナント「神、倒したりー」
魔法王「ぎゃあー。よもや、こんな連中に〜」
85点ダメージなので防護点を引いて70点通して魔法王消滅!これでコボルドの呪いは完全に解けたのでした。
終わってみれば今回はとにかく【メテオ・ストライク】の多い戦闘でした。魔法王が5回、マイザールが2回ほど落としましたね。
いったいこのメルドリーネ跡地にはどれだけのクレーターが空いているんでしょうね。これはもう古戦場として伝説に残るレベルでしょう。
あと目立ったのはマイザールの【アウェイクン】の多さです。5回行動中3回は伯爵を起こすのに奔走するという甲斐甲斐しさ。
前もそうでしたけど伯爵の起き上がりこぼし状態が目立ちましたね。彼を起こすのに誰かの手番が使われるのも考え物でした。
それを補って余りある活躍をしてくれましたが、個人的にはお休みラウンドでも補助動作で働き続けたマイザールとゆんの功績も大きいと思います。
GM「むしろ、アルケミストとして獅子奮迅だった気もする」
ゆん「補助動作いいよねー」
ジュエリィ「うらやましかった。ワタシも考えよう」
ジュエリィは補助動作で打てる手がないので暇な時は本当に暇になってしまいました。
妖精魔法には補助動作で行使できる魔法が12レベルの【インビジビリティ】しかないんですよね。
「ウィザーズトゥーム」の妖精を召喚するルールなら補助動作で妖精に指示を出せますが、本人は妖精魔法を使えない。
フェルディナント「さて、俺様は1つ思ったことがある。考えを改めよう」
バトエルデン「どうした?やっぱり、自分がキルヒア信者はおかしいと気づいたか?」
フェルディナント「そうじゃねえっす。神への道を探すのもいいが、人のまま、神を倒すのも格別」
バトエルデン「ほほう、俺とは道を違えるわけだ」
フェルディナント「何だ?大司教はどう考えたんだ」
バトエルデン「25レベルとか、まともに戦いたくない。大神になって、プチっとひねり潰す道を探す」
どちらも英雄が歩む道としては悪くないと思いますよ。大神なんていったいどれだけかければなれるのか分かりませんけど。
ジュエリィ「じゃ、<滅びのサーペント>は、今ひとつ役に立たないわね。ワタシが預かっとくから」
バトエルデン「え?」
フェルディナント「もう諦めろよ大司教、お前にはお前の役割があるはずだ。
俺様も、自分の領に帰るよ。亡命王子に剣術を教えないとな」
マイザール「ボクもいろいろ悪いことを教えてあげないといけません。謀略とか政略とか。
王子を剣豪と魔術師が教え導くって、どっかで聞いたような話で楽しくありません?」
それは下手をすると王子に色んな責任が集中して悲劇を生むことになるのですが、亡国の王子だからこそ英才教育も必要かも。
フェルディナント「これからアイヤールは楽しくなるぞ」
マイザール「いいっすね。裏からしばしば工作しますよ。任せてください」
バトエルデン「このろくでなしどもめ」
下手をしたらアイヤールの現在の体制をひっくり返すことも可能かもしれない。楽しみなような、不安のような(苦笑)
ゆん「ゆん、ちょっとついていけないかも」
ジュエリィ「また、旅に出る?」
ゆん「うん、またテラスティア大陸の端まで旅してこよう。また、何かあったら呼んでね」
ジュエリィ「うん。塔に引きこもって、また会う日を待ってる。ゲルダムと一緒にね」
こうして英雄達の2度目の戦いは終わりました。魔法王の野望は今度こそ完全に潰えて<滅びのサーペント>を巡る事件も一応の解決です。
しかし彼らの戦いはこれで終わったわけではありません。フェイダン地方はおろか世界の危機があれば再び結集することでしょう。