「双頭のサーペント」著:清松みゆき/グループSNE 出版社:富士見書房
★〔剣の加護/英雄変転〕
このリプレイは15レベルセッションで大好評を博した「滅びのサーペント」の続編にあたります。
前作では"湖の大司教"バトエルデン・エラーをはじめとした5人の英雄達が結集し、20レベル超の凶悪モンスターを打ち破りました。
ある意味で世界の限界を垣間見せてくれた彼らでしたが、今回はそれに輪をかけて凶悪な魔物が世界を脅かすという大事件が発生します。
英雄達の実力は前作をご覧になった方ならお分かりでしょうが、そんな彼らに対抗できるような存在がラクシア世界にはまだまだいるのです。
しかしパワーアップしたのは敵だけではありません。SW2.0がサプリメントの更なる充実によって大きく進化したことでPCも強化されています。
実は前作が雑誌に掲載された頃は夏の大型サプリメントは第一弾の「アルケミスト・ワークス」しか出ていなかったんですよね。
それからノワールのデータも収録された第二弾「バルバロステイルズ」によってモンスターデータが大幅に追加されました。
更に第三弾「ウィザーズトゥーム」の発表により深智魔法の追加、妖精魔法の大幅改訂、魔動機術のオプションなど魔法が充実しました。
そして第四弾の「カルディアグレイス」で新種族・新技能が追加され、戦闘ルールが大きく改訂されるなどSW2.0は驚くべき速度で進化してきました。
あとは冬のサプリメントの「フェイダン博物誌」によってフェイダン地方の設定が充実し、流派と秘伝といった新要素が追加されていたりもします。
このリプレイはこの段階までの新しいルールやデータを総動員してPCをリビルドすることで英雄達を更なる段階に引き上げているのです。
SWの頃は長い歴史の割にはサプリメントの類が少なく、どちらかというと読み物で世界を拡張していたことを考えると大きな変化ですね。
ちなみに翌年には「イグニスブレイズ」の発表で新種族の追加、戦闘特技の改訂、ゴーレム・妖精・魔神の使役等更なる進化がありました。
是非ともそういった後発のサプリメントも加えたリプレイ第三弾も発表して欲しいところです。GMの負担が半端じゃないでしょうけどね。
実際今の時点でもあの続きのシナリオを考えるというだけでもとっても大変です。
GM「たとえば、トラヴィスを主人公にすげ替えて、少年の心の成長ものとかどうだろうと」
トラヴィスというのは「滅びのサーペント」事件で滅びたメルドリーネ王国の王子様のことです。あの時はまだ赤ん坊でしたね。
しかし今回の時系列はぞんざいズとそう変わらないので彼は10代の少年に成長し、アイヤールのミスティン姫の許婚になっていたりします。
この辺の事情は「フェイダン博物誌」のアイヤールの項目で書かれています。現在は伯爵の《血風領》で母親のトレイシーと一緒に保護されているとか。
マイザール「見事に、感情のないマシーンみたいに育ってますが」
GM[彼があんなになったのは、主に誰かさんのせいだが]
マイザール「し、知りませんよ。後から生えた設定じゃないですか」
伯爵とマイザールによって英才教育を施されてかなり優秀な少年に育っているようですが、内面には色々問題を抱えているらしい。
思えばナシェルはその辺も含めて本当によくできた子でした。能力以上に心が立派でしたが、あんな完璧超人そうそういるもんじゃありませんね。
GM「じゃあ、そうはならなかったと?」
マイザール「バッチリっす」
GM「ほう」
マイザール「「いいか、他人は利用してナンボですからね」「ハイ、先生」。素直ないい子でした」
フェルディナント「「王にとっては敵は全て下郎」「ハイ、義父上」。帝王学もバッチリだぜ」
やっぱりこいつらが犯人か。しかも母親は伯爵に依存していて実家に帰りたがらないというダメ親っぷりのようです。
伯爵も彼女を妻に迎えることを躊躇っているようで、彼女の実家である《鎮森領》モートンの領主は困り果てているとか。
そんな状況で子供には義父扱いというのはいかがなものか。本当に結婚してしまえば問題はないのですが、政治的に難しいらしい。
そんなトラヴィスが成長する物語というのを考えたようですが、小説の主人公ならともかくゲームのPCとしては難しそうですね。
しかもその場合は大司教達は客演回のウルトラマンよろしくピンチの時に駆けつけるNPCになるわけで、NPC頼りになるのも如何なものかと。
ゆん「ゆんが毎回助けに現れるのも変だしね」
ジュエリィ「PCに混ぜたら?おっと、自分で無茶言ったとわかった」
バトエルデン「PC内にレベル格差が出るのは好ましくありませんな」
フェルディナント「格差どころの話じゃねえ」
歴代リプレイに見られるオーソドックスな情報集めをするシナリオだとしても、ジュエリィがいたら話にならない(笑)
トラヴィスに合せた敵を出すと英雄無双になるだけだし、逆に英雄達に合せた敵を出すとトラヴィスが死ぬ。
マイザール「あ、今なら《魔法制御》つき【カオスイクスプロージョン】2連発か。憧れちゃうな」
ジュエリィ「結論:やめたほうが吉」
これは「ウィザーズトゥーム」で追加された妖精魔法でして、威力100で必中という妖精魔法最高威力の攻撃魔法です。
丁度前作でジュエリィが多用した【カオススマッシュ】の上位魔法にあたります。15レベルにならないと使えない大変扱いの難しい魔法です。
でも抵抗すらできない点ではメテオより恐ろしいかもしれない。制御つきなら対象毎に炎、水・氷、風、土、純エネルギーの各属性を割り振れたりもする。
ジュエリィの魔力でこんなことされると出目7でも〔異貌〕込みで47点、2連発だと94点の魔法ダメージが抵抗できずに襲い掛かるわけですね(笑)
そんなこんなで色々悩んだ挙句、やっぱり読者は強いPCが大暴れするリプレイを期待しているのでそれに応えることにしたわけです。
もちろんそんなことをしたらその強いPCに合せたシナリオ作りが半端じゃなく難しい。前回の展開を見ても戦闘以外は大した障害にもならなかったし。
GM「情報収集は全部ジュエリィにショートカットされるし、ダンジョンの壁とか、何か役に立つんだろうか」
ゆん「【タイタンフット】するよー。どかーん」
GM「罠とかさ、どうやっても引っ掛けるの、無理なんじゃね?」
「魔剣の迷宮」であることを理由にそういった手段は効かないことにもできるけど、それはPCを弱くしているだけになってしまいます。
あくまでも強いPCがその能力を駆使してすらも難しい、そんな障害を用意しないと高レベルでやる意味がないというこだわりがあるようです。
PCの能力的には何だかんだで戦闘が一番の花形だし、分かりやすい障害だと思います。プレイヤー的な障害ならリドルという刺客もありか。
フェルディナント「だが、世界観的に、俺様たちが出張るような話がころころあるのか?」
GM「ほら、「名探偵の行くところに殺人事件あり」ですよ」
バトエルデン「なるほど、「英雄のいくところ」」
GM「「世界の危機あり」と」
マイザール「世界の危機!?」
GM「何か不満かね?世界の危機じゃあ役者不足だとでも?宇宙の危機のほうをご所望かい?」
マイザール「誰も、そんなことは言ってません」
ご都合主義結構。前回の暴れはっちゃくっぷりを見るに、それぐらいの事件でないと彼らが集結するのは不自然ですしね。
GM「……さて、その前に」
マイザール「来た。何か来た。ビクビクゥ」
バトエルデン「まだ、何かあるんですか?」
GM「何か勘違いしているだろ、お前ら」
ここでさっきのPCのリビルド(再構築)の話になります。このパーティは常に全力全開が条件です、それはルール的な意味でも同様。
"バブリーズ"とかもそうでしたけど、こういった高レベルでやりたい放題させるのはそれだけでデバッグにもなるんですよね。
普通ならまず起こらないアクションでシステムを苛め抜き、それによって欠陥を浮き彫りにするのはなかなか面白いものです。
GM「このパーティには、とにかく最先端を突っ走ってもらいます」
マイザール「宣戦布告来た」
フェルディナント「畜生、全力でいかねえと殺される」
まぁその分またキャラメイクが大変なんですけどね。前回からの成長ではなく、リビルドなので1から考えることができますから。
特に妖精魔法の改訂が凄まじいものがあるのでジュエリィは特に大変そうです。
ジュエリィ「確かに【カオスイクスプロージョン】は、強いんですけど、11〜15ランクの属性系がどれも使えないのは、寂しい」
今までの妖精魔法は技能のレベルも使用できる魔法もレベルという指標だけで表現できました。真語魔法や神聖魔法と同じようにね。
今後の妖精魔法は技能の「レベル」に応じて契約できる妖精の「クラス」が決まり、それに応じて行使できる魔法の「ランク」が制限されます。
これにより六属性の契約を自由に組み替えて使用できる魔法をカスタマイズすることができ、同レベルでも全く違う性能の妖精使いになれるのです。
そんな中で【カオスイクスプロージョン】を使おうとすると、妖精との契約は六属性全てクラス5以上の妖精と契約しないといけません。
つまり30クラス分です。しかし契約できるクラス数は技能レベル×2となるため、30クラスを得ようとするのなら15レベルが必要になるという仕組みです。
これによって六属性で使用できる魔法のランクは10までになってしまうというルールです。詳細は「ウィザーズトゥーム」を参照ですね。
以前と違って属性毎にランク1〜15まで1つずつ魔法が設定されたのに、折角の新しい高レベル魔法の大半が使えなくなるのは確かに寂しいかも。
ただしリビルドする際は元のPCのイメージを崩さないように、メイン技能や能力値はそのままで、装備やサブ技能や習得練技等は変更可能とします。
GM「あ、マイザールはメイン技能変えてもいいよ」
マイザール「え?ボクだけ限定解除?」
GM「お前が、デーモンルーラーをやりたがっているという話は、先刻承知よ」
これこそ「カルディアグレイス」で追加された新技能デーモンルーラー技能です。その使い手は召異術師あるいは魔神使いと呼ばれます。
魔法使い系技能の一種であり、魔神の力を使用する召異魔法という系統の魔法が使えます。強力ですが生贄などの人道に反する魔法も存在する曰くつきの魔法です。
別の生物の力を宿すという点ではフォーセリアの竜語魔法やタレントにも似ていますね。犯罪になりやすいという点では暗黒魔法にも似ていますが。
確かに"魔神学者"なんて謎の称号を名乗っていましたしね。その理由がハッキリするわけです。
マイザール「いやあ、それ、まだテストデータ段階で、【ソウルサクリファイス】に、「以降NPCになる」って追加される前の話ですよ」
これは15レベルの召異魔法で心身ともにドッペルゲンガーになるというものです。能力はそのままで分類は魔神になってしまいます。
一応目標値40の【パーフェクトキャンセレーション】で解除できるようですが、本人は心まで魔神になるわけなので戻ろうとしないかも。
ドッペルゲンガーになれば自動的にソーサラー技能15レベルもついてくるので、経験点を大幅に節約できるわけですが。
マイザール「これは、お得。TV通販並みにお得」
ゆん「今なら、15レベルソーサラー技能もついて、お経験点はそのまま!ドン!」
ジュエリィ「もちろん、送料も無料」
GM「送料ってなんだよ」
召異魔法の中には使用するだけで問答無用で犯罪に問われる魔法もいくつかあります。PCが使うには色々リスクはありますが。
マイザール「いろいろ、ルール処理を先に確認しときたいところもあってですね。
たとえば、【ポリモルフ】なんですが、ボク、大司教の能力値、上4つコピっていいすか?」
GM「何……だと」
バトエルデン「む、このブル●ーカーで300年以上鍛えた肉体を簡単にコピられるのか」
これは12レベルの真語魔法で術者の姿を変えられるというものです。フォーセリアの"シェイプ・チェンジ"に似ていますね。
PCが対象なら知力と精神力以外の能力値をコピーできます。ただし技能や戦闘特技に関連する能力まではコピれません。
変身する対象は《魔物知識判定》で見抜けないといけませんが、大司教でも目標値18とかなので割りと簡単にコピーできますね。
マイザール「生命力が目当てですけどね。ぐひひ、有効利用してあげますよ」
バトエルデン「ぬう、身体だけが目当てなのか」
ジュエリィ「まさしく都合のいい男」
マイザール「くくく、他人は利用するもの。くくく」
これじゃあトラヴィス君も歪むというもの。武術や魔術以外の教養・道徳を担当する真人間の教育係をつけるべき。
あと経験点は18万点に前回倒した敵の分も加算されます。
フェルディナント「これで、俺様のキルヒア様への帰依がもっと深まる」
ジュエリィ「伯爵が信仰しているのって、キルヒアに似た別の神様じゃないかしら、と思わなくもない」
マイザール「何言ってんですか。特殊神聖魔法の効果が同じだけで、似ても似つかない別の神様ですよ」
フェルディナント「おい、マイザール、ちょっと校舎……兵舎裏へ来てもらおうか」
"賢神"の名の通り謎を探求し、知識を研鑽することを美徳とするのがキルヒアの教えです。フォーセリアでいうラーダ的存在ですね。
一応蛮族や魔神といった知識や文化を破壊する存在との戦いは推奨していますが、衝動による暴力は慎むべきだという考えもある。
伯爵自身は主に戦う相手が蛮族なので戒律違反はないとは思います。では一般的キルヒア信者の態度かというとそうでもない。
GM「……まあ、このシリーズは、そこは大目に見ることにしてるんだけどよ。ときどきは、思い出してね。キルヒアからのお願い」
フェルディナント「大丈夫ですよ。俺様、敬虔な信徒ですから」
GM「だと嬉しいけど」
フェルディナント「キルヒア様の一の子分っすよ。キルヒア様の右腕」
ジュエリィ「どこのヤ●ザだ」
バトエルデン「もう、その言い方が信徒じゃねえ」
これはあれですね、人に暴力を振るってはいけない、暴力を振るっていいのは邪教徒と蛮族だけですよ的なスタンス。
この世界の人族の神官は蛮族やアンデッドという明確な敵対者がいるわけで、教えを説くより戦うことに専念する人がいてもおかしくはない。
さて、今回の規定は以下のようになります
・追加経験点19万4090点(合計19万7090点)・名誉点3168点
・所持金36万ガメル
・成長回数122回
経験点は前回の敵の分を1万4090点としています。能力値の成長は前作最初のそれに無作為に決めた2ヶ所です。
名誉点は<剣のかけら>をノワールから23個、魔法王から25個手に入ったとして、48個の期待値168点を加算していますね。
あとは「フェイダン博物誌」の流派も使えます。丁度地元なので習得するのに問題はない。
流派というのはかつてテラスティア大陸で伝承されていた武術や技術の体系です。「大破局」の際にそれらの多くは断絶してしまいました。
しかし中には一部の地域で伝承されていたり、過去の記録から復興されることで現代でも使用されていることがあります。
フォーセリアの頃もそうでしたが、本来技術というのは国や地方によって様々な特徴があって然るべきものです。
例えばカノン王国の貴族はフェイントを多用した剣術を得意としていますが、ゲーム的にはそれらを全てファイター技能で包括しています。
この場合の流派とはそういった技術的な特色をゲーム的に再現することが可能になるわけです。戦闘特技とは違う形でPCを個性的にできますね。
フェイダン地方にはそんな流派が12ほど確認されています。これらに名誉点を払って入門することで様々な特典が得られます。
1つは流派装備です。その流派の門下生にのみ販売される特殊な装備で、もう1つの特典である秘伝の使用に適したものが伝えられています。
もう1つの秘伝とは宣言形戦闘特技の派生です。既存の戦闘特技に対応し、様々な強化・変化を施すことで流派の特色を再現します。
これは入門とは別に更に名誉点を払うことで習得することができます。例えば《牽制攻撃》は命中力の向上と引き換えにクリティカル値が上がります。
それを前提とした秘伝の中にはクリティカル値の上昇を免れる代わりに、敵の攻撃を受けた時のダメージが上昇する形でバランスを取っているものがある。
マイザール「流派……流派か。ボクなら、ルシェロイネだけど……GM!」
GM「何かな?」
マイザール「ここに、なぜか、ザルツ地方に存在する12の流派データのプリントアウトがあるんですけど」
GM「なぜかも何も、それは現在テスト中の『プレイヤーズ・ハンドブック ザルツ博物誌』のデータだろうが、テストプレイヤー」
マイザール「【ティルダンカル古代光魔党】いいっすよねえ」
GM「……」
マイザール「……」
GM「OK、わかった」
実は今回ザルツ地方にも行く予定があるのでその時に習得できるということでGMのお許しが出ました。
秘伝の使用には前提とする戦闘特技・技能・装備があるのでそういったものに注意していれば習得できます。名誉点はあるんだし。
★新生の英雄たち
キャラメイクにはやはり3時間半以上かかったようです。いくらリビルドでも本当に0から作るわけではないのにこの凝りようです。
それでは生まれ変わった英雄達の能力を確認していきましょう。まずは大司教から。
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経験点はギリギリまで使っていますね。基本的には前回と変わらない、戦闘特技の構成もそのままですね。
そんな中大きいのはウォーリーダー技能を習得したことです。これも「カルディアグレイス」で追加された技能ですね。
ウォーリーダー技能の持ち主は軍師や戦旗師と呼ばれ、発声によって仲間に指示を出して援護する鼓咆という能力を使用します。
これはMPやお金を消費することなく使用できますが、自分自身には効果はなく、合計名誉点の量で効果範囲が変化するという特徴があります。
またウォーリーダー技能はスカウト技能と同様に《先制判定》に使えるので、密偵はやらずに先制力を得たい人には嬉しい技能と言えます。
よくよく考えれば大司教はずっと神官戦士団の先頭に立って戦ってきたのだから、兵法を嗜んでいたとしても全く不思議はないんですよね。
ちなみに大司教の場合、合計名誉点が「2001〜5000点」の範囲なので半径500mに効果あり。神官戦士団を率いるだけのことはある。
鼓咆には「攻撃系」「回避系」「防御系」「抵抗系」「基本」「独立」という6つの系統と、1〜5のランクが定められています。
使用時には低いランクから順番に宣言してより高いランクの鼓咆を使用します。条件によっては別系統への変更も可能です。
今回大司教が習得した鼓咆は全部で8つ。【堅陣の構え】は「基本」の系統に属するランク1の鼓咆ですね。
【流麗なる俊陣U:陽炎】【流麗なる俊陣V:浮身】【流麗なる俊陣W:残影】は「回避系」のランク2〜4の鼓咆です。
【鉄壁の防陣U:堅体】【鉄壁の防陣V:甲盾】【鉄壁の防陣W:反攻】は「防御系」のランク2〜4の鼓咆です。
【怒涛の攻陣U:旋風】は「攻撃系」のランク2の鼓咆です。ちなみに「抵抗系」は【強靭なる丈陣】という名称で統一されます。
あとは装備品の盾を<グロリアス>から「カルディアグレイス」で追加された<エターナルロード>に変更しています。
これもSSランク装備です。扉ほどの大きさがある盾で、回避力への修正はないものの防護点+6もの効果がある7万5000ガメルの品です。
<グロリアス>が回避力+1で防護点+4だったので、回避を捨てて更に防護点に特化した感じですね。元々避けないならその方がいいかな。
<ブラックベルト>の装備が確認できないものの、<エターナルロード>への変更で魔法等の援護がなくても防護点23点になりましたね。
更にこっそりエンハンサー技能も取って【ビートルスキン】を習得。自力で防護点25点まで上げられます。
GM「1点通したらGMの勝ちでいいか?」
それ以外のプロテクション系の魔法や賦術の援護も全力で行うと軽く防護点が30点を越える。最早ミスリルゴーレムでも通らないかも。
あと<渦巻き鉱のお守り>も装備しているらしい。<奇跡の首飾り>と装備部位が被るので使い分けているのでしょう。
ジュエリィ「GMのヘイト貯めるよ、あれ」
バトエルデン「タンクですから、ヘイト稼いで殴らせるのは、当然でしょう」
GM「プライヤーがGM挑発しても、関係ねえだろ」
《かばう》をするとダメージをカットした挙句に敵に1点ダメージを与えるという、非常に嫌らしい壁になりつつあります。
流派はザルツ地方の【ルキスラ銀鱗隊護警術】に入門予定。ルキスラ帝国の要人警護を担当するエリート部隊の流派ですね。
入門には70点の名誉点が必要ですが、その秘伝はどれも《かばう》に対応してより鉄壁の守りを実現させるものばかりです。
ちなみにその秘伝の使用には流派装備の<銀鱗の盾>か<銀鱗の煌盾>という魔法ダメージ−1点にする魔法の盾が必要です。
前者はカテゴリ<盾>のAランク装備で2000ガメルと名誉点30点で購入でき、後者は同じくSランクで5400ガメルと名誉点50点で購入できる。
その違いは使用できる秘伝の種類です。前者は秘伝《銀鱗の誓い》と《銀鱗の矜持》を、後者はそれに加えて《銀鱗の魂》を使用できます。
大司教はもちろん煌盾の方を購入して3つの秘伝を全て習得する予定です。必要名誉点は全部合せると80点程になりますね。
《銀鱗の誓い》は魔法からもかばえるようになる。ただしかばえる魔法の形状は射撃のみ、対象は1体のみ等の制限がある。
更に抵抗すれば半減、短縮、消滅といった種類からしかかばえない。つまり必中の魔法や範囲魔法等からはかばえないわけですね。
《銀鱗の矜持》は《銀鱗の誓い》に加えて必中の魔法からもかばえる。《銀鱗の魂》は《銀鱗の誓い》に加えて形状が基点指定からもかばえる。
よって大司教は【サンダー・ボルト】や【ライトニング・バインド】、【ショック】といった魔法からも仲間をかばえるようになったのです。
ちなみにどの秘伝の効果を使うかは宣言時に決定できるので、宣言時の選択肢が増えたといった感覚ですね。
ただし基礎となる特技を等しくする秘伝は例え《バトルマスター》を習得していたとしても同時に宣言はできません。
秘伝を使わずに基礎の特技のみ使うことは可能です。この辺は一度強化したら融通が利かなくなる《魔力撃》とは違います。
以上のように大司教は入門に70点、装備に50点、秘伝に80点、計200点ほどの名誉点を流派に注ぎ込みました。
<銀鱗の煌盾>は<エターナルロード>に比べると防護点が低いのですが、使う時はどうせ防護点が役に立たない魔法ダメージです。
戦闘特技の枠は決まっていますが、流派と秘伝は名誉点の限り習得可能なので15レベルでも成長の余地が生まれて面白いです。
もっとも対応する戦闘特技を習得していないといけませんけどね。一応戦闘特技の習得を必要としない独立した秘伝も存在はしますが。
次は伯爵です。こちらはかなり構成をいじっています。
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技能の数は多いけどメイン2つ以外は7レベル以下に抑えているので経験点の範疇での構成ではあります。
本にはライダー技能10レベルというのもありますけど経験点的に考え難い。多分前ページの大司教のコピペミス。
そういう意味では一切習得に触れていないウォーリーダー技能もちょっと怪しいけど、数値的にはしっくりくるので保留。
習得している鼓咆のラインナップは他の人とは被らないし、ただのコピペミスで切り捨てるのも疑問が残りますしね。
スカウトとマギテックを下げてプリースト15レベルにしているのが特に大きな変化です。前線に張り付きなので《影走り》は捨てたらしい。
習得練技からは【ガゼルフット】と【マッスルベアー】が消えました。その代わり防御系の【ビートルスキン】や【メディテーション】を取っています。
アルケミストをちょっとレベルを上げていますね。でもパラミスはマイザールがいることを想定してか捨てたようです。
その代わりスカウト技能の低下をカバーする【イニシアティブブースト】と、前回ネックだった防護点を上げる【バークメイル】を習得。
全体的に前回の教訓を活かし、仲間に任せられるものは任して弱点の防御を補強。あと「防御系」の鼓咆も取っています。
しかしそれすら霞んで見えてしまうほど大きな変化はやっぱりプリースト技能15レベルですよ。大司教と並んでしまいました。
フェルディナント「これで、俺様も「キルヒアー、神様!」などと叫びながら【コール・ゴッド】可能」
GM「わかった、してくれ」
バトエルデン「俺はHP0ですむが、お前は死ぬぞ」
死ぬというか、PCとしてロストして蘇生も不可能な状態になりますね。魂は神様のもとへ旅立っていくらしい。
でもこれで35レベル以下は問答無用に滅ぼせるようになりましたね。本当に本当の最終手段ではありますけど。
それにしても戦士系技能と魔法使い系技能を共に最高レベルというのはフォーセリアでもちょっと見ない逸材ですね。
フェルディナント「ま、主な用途は《マルチアクション》しながらの【レストレーション】ですけどね」
GM「……」
マイザール「目に見えて、GMの顔が曇った気が」
GM「それ、ズルくね?」
フェルディナント「ノンノン、15−15の特権ッすよ」
やはり前回防御が紙だったのが気になっていたようですね。これなら気絶していない限り自力で立て直しができますね。
その代わり前回のように【プレコグ】やら【コンプレーション】やらも組み合わせるとMP消費が半端じゃなくなります。あえていえばそこが弱み……なのか。
さらに鎧を見直しました。<ドラゴンスケイル>から<ミスリルプレート>にして、《防具習熟》は非金属鎧から金属鎧にしました。
こっそり<ブラックベルト>もつけているので防護点13点。【ビートルスキン】も使えば防護点15点にはなりますね。7点だった前回の倍ですよ。
まだ賦術もあるので【バークメイル】SSランクまで使おうものなら防護点24点には届く。もう起き上がりこぼしとは言わさない。
流派では【ライロック魔刃術】に入門しました。その名の通り魔法と剣を両立させた流派で、魔法戦士向けの流派といえます。
その秘伝は《魔力撃》もしくは《マルチアクション》に対応したもので、流派装備は《魔力撃》使用時に効果を発揮します。
<ライロックエッジ>と<ライロックソード>といって魔力を+2する効果がある+2魔剣なのですが、伯爵は購入していないようです。
ただし3つある秘伝は全て習得しています。《魔力撃》に対応した《魔光壁》と《呪陰刃》、《マルチアクション》に対応した《光陰魔刃術》です。
《魔光壁》は主動作を放棄して魔力点を防護点に加算するというもので、《魔力撃》を攻撃ではなく防御に転用した秘伝のようです。
ペナルティは《魔力撃》と同様ですが、《魔力撃強化》を習得している場合は回避力に知力ボーナスを加算することができます。
《呪陰刃》は武器に呪いをこめて攻撃してHPには通常の物理ダメージを与え、MPに魔力点の呪い属性魔法ダメージを与えるというものです。
《光陰魔刃術》は近接攻撃で敵の気を引き魔法をかける秘伝で、命中力−1になる代わりに《行使判定》に+1の修正が入ります。
いずれも使いどころがあればといった程度のつもりで習得したようですが、現在魔力19ある伯爵がやると凄まじいものがありますね。
《魔光壁》をやると回避力+4で《魔力撃強化》分の−2を入れても回避力+2で防護点+19にもなるわけで、瞬間的に防護点が大司教を超える。
《呪陰刃》だってMPを19点も削るわけで、魔法を使う相手のリソースを物凄い勢いで削っていくことが可能になりますね。
消費名誉点は入門に50点、秘伝にそれぞれ20点で合計110点ですね。流石にルキスラのエリート部隊よりは安く済むようです。
得物は前回も愛用した<ガイスター>のままです。弱点を克服し、アタッカーとしての実力も健在です。
GM「いつでも、【コール・ゴッド】してくれていいからね」
そういえば清松先生は昔、魔剣"ソリッドスラッシュ"に対して持ち主のカシュー諸共封印したいものだというコメントを残していましたね。
ここまで来てしまうといっそ消えてくれた方が楽だというのも分かるけど狂気の沙汰ほど面白い。強化された伯爵の戦いが待ち遠しくなる申告でした。
次はゆんです。
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メインとなる3つの技能は前と変わりません。ソーサラーを一気に8レベルに上げ、知力の上昇もあって魔力12になりました。
上手い具合に既存の技能をいじらずに成長という形にしました。これだけ取って残る経験点は90点のみというのだから買い物上手ですね。
戦闘特技の変更は1つだけです。《回避行動》を捨てて《魔力撃》を習得しました。
ゆん「ちょっと攻撃力不足だった気がして。そのせいで、回避力が26に下がっちゃったの」
GM「何を言っているのか、よくわからないよ」
単純にダメージが12点上乗せされましたね。あと練技は前回死に練技だった【ファイアブレス】を【デーモンフィンガー】に変更。
更にタゲサ目当てでマギテック技能にも手を出したので、【キャッツアイ】と合せて自力で命中力+4程度には上げられるようになった。
前回のゆんは伯爵が凄すぎるのもあって攻撃が散々でした。なかなか当たらない、当たっても通らない。そんな攻撃力不足を解消です。
もちろん伯爵ほどの超火力ではないのですが、前回大活躍だった手数の多さと芸の多様さは健在で上手い具合に弱点を克服しました。
あとは大司教の援護用にウォーリーダー技能を取って【堅陣の構え】と「防御系」の【鉄壁の防陣U:鉄鎧】を習得しました。
ゆん「鼓咆は自分で自分に効かないから、大司教のために、ゆんもウォーリーダーを取ったよ。2レベルだけど」
GM「2レベルだけど、半径500mに響き渡る鼓咆か」
バトエルデン「誉れ高き英雄の声ですからな」
ちなみに【堅陣の構え】は制限移動+2m、【鉄壁の防陣U:鉄鎧】は防護点+2と大司教を更に堅くするようサポート可能です。
【堅陣の構え】は大司教も取っていましたけど「基本」の1ランク鼓咆です。開戦時に制限移動を僅かに伸ばして次に繋げる正に基本の鼓咆。
流派は2つに入門しました。1つはフェイダン地方の【アードリアン流古武道・メルキアノ道場】です。
これはアードリアンというリルドラケンの里に伝わっていた格闘術で、翼と尻尾を使用した秘伝が特徴です。
アードリアン自体は大破局で滅亡しましたが、後世に拳闘士にして練体士であるメルキアノという人物が復興しました。
流派装備はグラップラー技能でも使えるカテゴリ<非金属鎧>のAランク装備<スケイルガード>ですが、ゆんは購入していない様子。
ゆんが習得した秘伝は3つ。1つは翼の使用と《投げ攻撃》に対応した秘伝《飛空投げ》です。
翼を活かして重心をずらすことで単部位の相手なら二足歩行でなくても転倒させられます。威力は10に強化されますね。
もう1つは《テイルスイング》に対応した《転がしテイルスイング》です。ダメージ−4になる代わりに転倒効果がある。
ただし普通の《投げ攻撃》と同様に転倒させられるのは単部位で二足歩行の相手のみ。他部位や二足歩行でない相手には通じない。
最後は他2つの秘伝を前提とした《大転がしテイルスイング》です。これは《転がしテイルスイング》の効果を強化したものです。
二部位までの相手まで転倒させられるし、翼を活かしているので二足歩行でなくても大丈夫。ただし両部位に命中しないといけません。
そういえば前作のゆんは《投げ攻撃》とか使いませんでしたね。敵を転倒させて攻撃を当てやすくする拳闘士らしい戦い方ができるかも。
バトエルデン「自前の尻尾も翼もないのに(笑)。あの流派はリルドラケン専用と思っていた」
マイザール「百歩譲っても、翼だけはあるドレイクとか、尻尾だけはあるラミアとかまでですよねー」
フェルディナント「それを魔晶石叩き割りながらグラスランナーが使ってくるんだぜ」
ゆん「今日も魔晶石は100個用意してるよ!」
メルキアノは人間だったそうですが、やはり練技で翼と尻尾を生やして秘伝の復興に尽力したんでしょうね。
この<魔晶石>が練技用の3点だとしたら1個300ガメル、100個で3万ガメル。思ったより安くリソースを確保していますね。
もう1つ入門する予定なのはザルツ地方の【ハーデン鷹爪流投擲術】です。その名の通り<投擲>武器を使った流派です。
流派装備は毒を仕込めるカテゴリ<投擲>のAランク武器<インジェクター>です。<カイエンベノム>という毒も扱っているらしい。
ただしゆんはこれらを購入せず、《武器習熟/投擲》を前提とした2つの秘伝を習得するのみです。この前提は《武器の達人》で代用可能。
1つは後退しながらの投擲を可能とする《旋鷲》です。この際の移動距離は10mか通常移動距離のより短い方になります。
通常は制限移動に限定される投擲を相手から遠ざかりながら使えるわけですね。ただし「カルディアグレイス」の改訂ルールでは投擲のみ通常移動が可能。
この秘伝を使った時には移動距離だけ武器の射程が延びることになるので、改訂した戦闘ルールでも習得する価値はある秘伝ですね。
もう1つは近接攻撃武器の投擲を可能とする《鋼鷹》です。射程は一律10mになるものの武器のスペックそのままで攻撃可能です。
何が便利かってゆんの場合はこれらの秘伝を【バルーンシードショット】に利用できるのです。
ゆん「それで、<ミスリルアックス>や<ヘビーメイス>をぶっ飛ばす予定」
GM「本当に、何を言っているのか、よくわからないよ」
口からゴツイ武器を発射するグラランか、もう立派な芸ですね。
【アードリアン流古武道・メルキアノ道場】は入門に50点、秘伝は1つ20点の合計110点の名誉点を消費していますね。
【ハーデン鷹爪流投擲術】も入門に50点、秘伝は1つ20点の合計90点。2流派合せて200点ほどの名誉点でこうも多芸になりました。
次はマイザールです。
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ソーサラー技能とコンジャラー技能は前のまま。アルケミスト技能は11→7と下げて必要なものだけを厳選しました。
その代わりにデーモンルーラー技能を9レベル習得です。これにより魔法使い系技能が合計39レベル(117点)でMP178点!
あとセージ技能も7レベルに伸ばしたので基準値17判定可能、《弱点看破》自動修得。それ以外に色々嗜んでいるのは前回と同じです。
戦闘特技では《精密射撃》を捨てて《魔力強化》を取りました。これは2系統以上の魔法使い系技能を8レベル以上にすると習得できます。
全ての魔力+1なので真語魔法は魔力26、操霊魔法は魔力23、召異魔法は魔力20で使用可能。あと深智魔法は魔力26ですね。
深智魔法の魔力は真語と操霊のより高い方になり、使える魔法のレベルはより低い方ですから。つまり使用できる深智魔法は12レベルまで。
更にエンハンサー技能も取っていますね。主に防御関係の練技を多数習得していますが、【スフィンクスノレッジ】はちょっと毛色が違う。
これは【デーモンフィンガー】や【ジャイアントアーム】の知力版で、1ラウンドだけ知力+12されるという5レベル以上前提の練技です。
これも使うとなると真語魔法や深智魔法は魔力28にもなる。なんと一瞬とはいえ魔法王を越えてあのヴァンパイアノワールに並びますよ。
あと初出なのは【ストロングブラッド】ですかね。血流を操作して炎属性と水・氷属性のダメージを−5点にします。
賦術としてはジュエリィに期待して【エンサイクロペディア】は切りました。
GM「魔物知識判定は失敗する可能性が出てきたと」
マイザール「だって、ジュエリィさんがいますもん。達成値30近くで2回判定は、1296分の1以外じゃ失敗しないですよ」
GM「確かになあ。目標値50とかバカは言わないよ」
伯爵がパラミスをマイザールに託したように、マイザールもまた《魔物知識判定》をジュエリィに託しているのです。
前作と違って一度は一緒に戦った仲ですからね。互いの何を補うことができるかというのを踏まえてキャラメイクをしているわけです。
その代わり【グレイテストフォーチュン】という賦術を習得しています。これもまた5レベル以上前提のマイナー賦術ですね。
これは判定に使用する2D6を1D6×2に変更するという変わった賦術です。ランクによって変わるのはその持続時間ですね。
Bランクでは使用できず、Aランクでは1ラウンド、Sランクでは3ラウンド、SSランクでは18ラウンドです。
これにより出目1で1ゾロ、出目6で6ゾロになるわけです。通常1/36で起こるものが1/6になり幸運と不運を同時に呼び込むのです。
余談ですが、今回マイザールはこの賦術で大活躍?するのですが、それが問題になったのか使用できるのが威力の決定のみになりました。
ついでに同じ相手には1日に1回しか使用できないようになりました。"バブリーズ"の魔晶石問題と同じような感じで改訂されたわけです。
装備では<風車の盾>を新調しました。カテゴリ<盾>のAランク装備で、必要筋力16を+10して持っています。お値段2200ガメル。
これは飛び道具に対する回避力+2の効果があります。そうでなくても回避力+1で防護点+2と結構優秀な盾だったりします。
<ブラックベルト>も装備するようになったので防護点は13点ほどになりましたね。実は頑丈さでは伯爵と大差なかったりする。
流派は2つに入門しました。1つはフェイダン地方の【ルシェロイネ魔導術】です。
カイン・ガラの地下遺跡から発掘された文献から復興した流派で、真語魔法・操霊魔法・深智魔法の使用を前提としています。
秘伝はどれもいずれかの《魔法拡大/○○○》に対応し、使用時には発動体として流派装備の<スパイラルロッド>か<スパイラルホワイトロッド>が必要。
今回マイザールが購入したのは前者です。カテゴリ<スタッフ>のBランク装備で、お値段105ガメルと名誉点20と安価です。消費税でも入っているのか。
ちなみに後者は4500ガメルと名誉点30が必要なAランク装備です。魔法が与えるダメージを+2するというなかなか強力な品ですね。
習得した秘伝は2つあって、1つは《ルシェロイネ魔導優越》です。《魔法拡大/確実化》に対応していて《行使判定》の達成値を上げることができる。
消費MPを2〜5倍にすることで達成値を+1〜+4にできるのです。フォーセリアの頃の達成値拡大に似たことができるようになりますね。
もう1つは《ルシェロイネ魔導収束》です。《魔法収束》に対応していて範囲魔法の対象を1体に絞ることで魔力+2されるというものです。
この場合の範囲魔法とは対象が「半径○○/△」で表現されるものです。つまり【メテオ・ストライク】を収束させて威力を上げることすら可能になるのです。
もう1つ入門する予定なのはザルツ地方の【ティルダンカル古代光魔党】です。フェンディル王国に本拠を置く魔法研究の一派です。
その内容は【ルシェロイネ魔導術】に類似しています。光魔党自体はこの流派を古代魔法文明時代の技術の再発見であると主張しています。
そのためルーツを同じくする技術を共に再発見したのかもしれないし、収斂進化として似たようなものになっているのかもしれません。
真語魔法・操霊魔法・深智魔法の使用を前提としていて、秘伝の使用には流派装備にして発動体の<光魔の印>という指輪が必要な点も似ていますね。
今回マイザールが習得する秘伝は2つです。1つは《ティルダンカル光魔再起》で、《魔法拡大/確実化》に対応しています。
この秘伝では消費MP+2点にすることで行使時の1ゾロを出目3に変更することができます。絶対失敗できない時の保険になるわけですね。
もう1つは《ティルダンカル光魔二条》です。《魔法収束》に対応していて範囲魔法の対象を2体に絞ることで魔力+1されるというものです。
《ルシェロイネ魔導収束》と非常によく似ていますね。対応する戦闘特技も同じなので掛け持ちしやすくより細かい魔法の使い分けができます。
【ルシェロイネ魔導術】も【ティルダンカル古代光魔党】は入門に50点、秘伝は1つ20点、2流派合計180点の名誉点を消費していますね。
ゆん「掛け持ちは想定外?」
GM「想定はしてるよ。でも、ふつうは、優先度低い選択かな。どっちか1つで十分な気がする」
マイザール「そうですね。【ルシェロイネ】と【ティルダンカル】は、ちょっと使い分け効いて嬉しいぐらいです。ぐふふ」
GM「最後の「ぐふふ」は何だよ(笑)」
マイザールが言うと何かとんでもない裏技があるんじゃないかと怖くなる。
最後はジュエリィです。
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マギテック技能は生まれの1レベルのみとなり、代わりにコンジャラー技能が11レベルにまで伸びていますね。
マイザール「やったね、GM、【リピートアクション】できなくなったよ」
GM「うん、そうだね」
ジュエリィ「代わりにコンジャラーを11レベルにしました。自分だけの【リピートアクション】より、みんなの【ヘイスト】」
GM「そっちのほうがきついわ」
マイザールも12レベルだし、地味に援護魔法が充実しましたね。伯爵と大司教、マイザールとジュエリィで同系統を分担できる。
ジュエリィ「真語術の初級学科を荒らしていたおかげで、ソーサラー3レベルです。地味に【タフパワー】が使えますよ」
マイザール「深智魔法は便利ですよねぇ」
これは2レベルの深智魔法で操霊魔法2レベルの【カウンター・マジック】と真語魔法2レベル【バイタリティ】の効果を同時に与えます。
つまり生命抵抗・精神抵抗+2です。消費MP3点と両魔法を合せただけ消費し、1回の手番で両方の効果を与えられる地味に便利な魔法。
深智魔法にはこういった便利魔法が色々ありますね。フォーセリアではお馴染みの【スリープ・クラウド】とか【リプレイス・サウンド】もある。
ジュエリィ「もちろん、まだ真語術の教室には出入りしてますよ」
真語術教室教官「来るな」
ジュエリィ「またまた〜、先生、ワタシ、真語術は素人ですから。あ、この調子で魔動機術教室も荒らしてます」
マイザール「これって、ノーベル賞とった物理学者が「専門外」とか言いながら、化学や生物の授業に生徒として出ているようなもんですよね?」
ジュエリィ「うん。我ながら、超うざいと思う」
この初級教室荒らしは「フェイダン博物誌」にも書かれていますね。最早教師に対する嫌がらせかと。でも他の生徒の出席率は高くなりそう。
あとミスティック技能を1レベルで取りました。これも「カルディアグレイス」で追加された新しい技能ですね。
ミスティック技能の持ち主は占者と呼ばれ、占いによってよりよき未来へ自分や仲間を導く占瞳という能力を使用します。
占瞳は《占瞳判定》の達成値によって結果と代償が変動するというのが特徴です。これは占瞳毎に表が用意されています。
《占瞳判定》で使用する能力値ボーナスは占瞳毎に決められていて、器用度・知力・精神力のいずれかになります。
判定時には占具というものを両手持ち扱いで装備しなければならず、能力値毎にロッド・カード・オーブと異なっています。
今回ジュエリィが習得した占瞳は【幸運の星の導きを知る】です。占瞳はいずれもこんな感じのミスティックな名前です。
その内容はその日のラッキーアイテムなどを占うというもの。これはGMは任意でシナリオ解決のヒントを提示することが可能。
ただし幸運の鍵を占えるのは達成値10以上が必要。14以上だとそれを身に着けていれば1回だけ任意の判定の達成値に+1の効果もある。
面白いことに達成値14〜17だとHPとMPを合計して10点払うことになりますが、18以上だとMP3点だけで済むようになる。
占具自体は3種類のいずれでも使えるので、ジュエリィの場合知力ボーナスを使えるカードを選べば基準値12。
ジュエリィ「【幸運の星の導きを知る】で、毎日どの教室に行くべきか、占ってます」
GM「占瞳は、《自己占瞳》の戦闘特技なしで自分に使うと−4ペナだぞ?」
ジュエリィ「案外失敗しない」
マイザール「ふつうは、1レベルのミスティックが自分占うとか、ありえないんですけどねえ」
ペナルティがあっても基準値8ですもんね。1ゾロ以外で達成値10を越えて幸運の鍵を占えることになります。
魔法使い系技能が合計30レベル(90点)でMP155点。流石にマイザールには一歩及ばす。
肝心の妖精魔法の契約クラスは土8、風8、光8、闇3、水・氷2、炎1です。ちゃんと合計30になるように契約しています。
使用できる魔法のランクでいうと土15、風15、光15、闇6、水・氷4、炎2です。特殊妖精魔法はランク2ですね。
これは威力20の【カオスブラスト】ですね。ランク5のイクスプロージョンはもちろん、4のスマッシュも3のボムもなし。
マイザール「【カオスイクスプロージョン】なしですか」
ジュエリィ「悩んだけど、やっぱり11〜15何もなしはねー。それに火は嫌い」
以前ほどの攻撃力はないけど援護・回復は凄いですよ。特に光のランク15【アルティメットヒーリング】が使えるのは心強い。
これはHPを全回復させるという【レストレーション】に似た魔法です。ただし射程10mと短く、魔法等の悪影響までは解除できない。
ちなみにこのルールだと前作でも多用した【トルネード】は風のランク15になっているので使えますね。威力40でちょっと物足りないけど。
流派はマイザールに誘われたので【ティルダンカル古代光魔党】に入門予定。秘伝は《ティルダンカル光魔二条》しか使えないけど。
★風のように"百変化"
アレクラスト大陸に新王国暦という暦があったように、テラスティア大陸にも大陸新暦という暦があります。
「滅びのサーペント」事件が起きたのは新大陸暦298年のことでしたが、今回の舞台は新大陸暦310年となります。
これが「現在」の時間になるわけですね。よって全員12歳ずつ歳を取ることになります。女性陣は年齢不詳ですけどね。
ちなみにアーメス復活事件が起きたのは308年。310年というのは「フェイダン博物誌」の設定年を踏襲しているようです。
大司教にとっては誤差のようなものですけど、人間2人はもう中年ですよ。
マイザール「いきなりっすか。晴れて本物の魔法使いになってしまいました」←38歳
フェルディナント「マジに結婚考えないとやばいな、俺様」←44歳
《血風領》は伯爵がいればこそ保っているようなものなのに、跡継ぎのことなんて何も決まってませんからね。
伯爵に限って滅多なことはないでしょうけど、戦場に身を置き続ける限り何があっても不思議ではありません。
かといってトレイシーと結婚すると色々面倒なことになる。
フェルディナント「俺様は、基本的に蛮族と戦ってられれば幸せなんだ。変な野心は持っちゃいねえ」
なのにいつまでも関係をハッキリさせずにズルズルいるものだから、邪推する人がいるのも無理はない。
フェルディナント「困った。困ったぞ。助けて、マイえもーん」
マイザール「え?ボクは、あなたの城の地下に、10階層のダンジョン作ってて忙しいんですが」
ワード○ーかお前は。高レベル魔法使いの嗜みみたいなものがあるのかもしれないけど勝手に何作ってるんだ(笑)
マイザール「ブルーリボンの冒険者をどんどん送り込んでくださいよ」
フェルディナント「どーゆーことだ?」
マイザール「知らないんですか?デーモンルーラー9レベルには、
他人を魔神の封入具や生け贄に使うための、【デモンズシード】って魔法があるんですよ」
召異魔法では1レベルの【デモンズゲート】で魔神を召喚し、封入具というアイテムに魔神を封入して使役できます。
そのための準備として召喚したい魔神に応じた供物と封入具を用意するのですが、それに使用できる生け贄を<魔神の苗床>といいます。
これは<魔神の種>というアイテムを穢れを持たない人族に埋め込むことで作成できます。苗床は種を埋め込んだ者の従順な僕となるのです。
この<魔神の種>を作成するのが9レベル召異魔法【デモンズシード】です。もちろん使用したことが露見すると即犯罪に問われる魔法ですね。
<魔神の苗床>でなくても供物や封入具は務まりますが、そちらの方が何かと優秀な生け贄ではあります。
ジュエリィ「犯罪だ、思いっきり犯罪だ」
フェルディナント「待てこら、俺様は許可した覚えはないぞ」
確かにアイヤールの前線は比較的種族や信仰に肝要な土地です。蛮族や第二の剣の神の神官が傭兵として戦っているケースはままある。
魔神使いだってそうなんでしょうけど、いくらなんでも領主お抱えの魔法使いが生け贄の儀式をやらかすのはマズイでしょうね。
完全にPCのパーティに討伐される悪役の構図。今回借金の踏み倒しが必要なくなって名誉点を維持できたせいか態度がでかくなってます。
そんなアイヤールの将来が心配になるフェイダン地方は置いておいて、今回の導入はテラスティア大陸周遊中のゆんから始まります。
ゆん「きーん」←アラ○ちゃんだ
彼女がリーゼン地方の宿に立ち寄ると窓に猫がやってきます。
ソーサラー技能があるので分かりますが【ファミリアU】で作った上位の使い魔のようです。
ゆん「お、ゆんの蛙より高級だぞ」
使い魔「伝言です。「『師匠が"ティラの樹海"で待つ』と、お前の物知りな知り合いに伝えてくれ」以上」
つまりジュエリィの師匠が"ティラの樹海"で待っているから、それをジュエリィ本人に伝えて欲しいと。それだけ伝えて使い魔は去りました。
使い魔自身がジュエリィの師匠の伝言を持っているのに、それを更にゆんに伝言として頼むというややこしい状態になっていますね。
この伝言を正直にジュエリィに伝えることにしたゆんは、飛空船で大陸を縦断してフェイダン地方に向かうことにします。
リーゼン地方は大陸の北側の地方で、南側にあるフェイダン地方との間にはかなりの距離があります。いくらゆんでも陸路では時間がかかる。
それに途中には蛮族領であるカルゾラル高原があるし、ディルフラムだってある。ゆんなら行けそうな気もしますが面倒でしょうね。
そこで陸路でリーゼン地方からザルツ地方に移動し、港湾都市ロシレッタに行きます。この街とルーフェリアの間には空路が確立しているのです。
この国は小国ながらザルツ地方で一番の商業国家でもあります。フェイダン地方でいうところのリオスのようにお金持ちなんですね。
運賃1000ガメルを払って搭乗すればあとは乗っているだけ、楽なものです。ところがこの飛空船は何故か乗客が少ないのです。
ゆん「気にせず、探検してよう。おっと、押しちゃいけないボタン発見。うずうず」
船員「お客さん、そこ立ち入り禁止です!」
ゆん「む?そんなこと言われたら……【カメレオンカムフラージュ】」←ですよねー
グラランにやるなと言うのはやれという振りです。「押すなよ、絶対に押すなよー」みたいなものです。
しかし自分が15レベルの英雄であることを思い出して自重。正直なところグラランならレベルとは無関係にやりそうな気はしますが。
ゆん「落ちても、ゆんは困らないけど〜♪他の人は困るかも〜♪」
フェルディナント「ひでえ歌だ」
仮に落下しても【ワイドウィング】で飛べばいい。現在地上からどの程度の高さかは不明ですが、着陸できる程度の時間は飛べるでしょうね。
通常の持続時間は3分のところ《練体の極意》があるので6分持続。移動力10は全力移動すれば10秒で30m飛行が可能。
つまり6分飛べると1080m程の移動になりますね。1回使うだけでこれで、<魔晶石>が100個もあるなら余裕で着陸できるでしょう。
そもそもゆんなら自由落下して墜落直前に翼を出して軟着陸とか平気でやりそうです。グラランに能力を持たせた結果がこれだよ(笑)
そんな歌を歌っていると他の乗客がびくっとして声をかけてきます。
乗客「やっぱり落ちますかね?」
ゆん「うん、飛空船が無事に飛び終わったリプレイのほうが少ないよ」
乗客「やや、やっぱりぃ?知ってます?この飛空船、もう2回落ちてるって話なんですよ」
どうやらアメリアの飛空船だったらしい。ちゃんと業務に使えるレベルにまで持ち直していたんですね。
ちなみにこの乗客はロシレッタの商人で、アメリアと提携して高速郵便・貨物便サービスを始めようとしていました。
その商談のために乗っている様子ですが、実際乗ってみると墜落したという実績からくる怯えを隠せないようです。
商人「<リトルウィング>とか買ってみたんですけど、役に立ちますかね?」
ゆん「高さ的に無理かも。でも、落ちそうになったら、1人ぐらいなら助けてあげられるよ」
商人「ああ、ありがとうございます」
ゆん「いーよいーよー」
仮に高度100m程度としても落下ダメージは300点。20点程度の軽減なんて焼け石に水もいいところです。
【ワイドウィング】がどの程度の重さに耐えられるかは不明ですが、人間1人くらいならぶら下げて滑空とかできそうですね。
この辺はクリスタニアのタレントとかは細かく決めてありしました。同じ翼でもものによって差異がありました。
鷲の翼は100kgまで大丈夫、カラスやオウムは自重と装備品が精一杯、白鳥は人間1人程度なら追加で大丈夫といった具合に。
ところが大方の予想を裏切ってルーフェリアには無事に到着しました。あとはジュエリィに会いに行けばいいのですが。
ゆん「ん、そうだ。ねえねえ、商人さん」
商人「はい?」←まだ一緒にいます
ゆん「商売するなら、ここの偉い人に会わせてあげるよ、おいでおいで」
商人「ええー?」
ということでルーフェリア神殿に一直線。敏捷度66かつ《影走り》を駆使して一気に大司教の部屋まで突貫。
ドアをぶち破って入るとそこでは大司教が『最新騎獣カタログ』を読み耽っていました。仕事しろよ大司教(笑)
バトエルデン「いーなー欲しーなー」
フェルディナント「俗っぽい聖人だな」←何だって15レベル?
ゆん「こんにちはー。おー、久々の大司教の耳ー。はぁはぁ」
バトエルデン「おや?ゆんか?10年ぶりじゃないか。どうしたんだ?」
12年ではなく10年と言っているのはセッション中は新大陸暦308年を想定していたからです。
ゆん「カルゾラル高原を<バルバロスフード>かぶって、突っ切ってリーゼンまで行ってた」
フェルディナント「蛮族領を縦断か。俺様でもやらんぞ」
マイザール「<バルバロスフード>じゃ、ごまかしきれない蛮族もいるでしょ、あそこ」
バトエルデン「うっかり見抜いた高レベルだけが殺されたんだな」
ゆん「ゴブリンとか気づかなかったから、味方の振りしてレッドキャップから縄張りぶんどってあげたりしたよ」
どうやら既に一度は通ったルートだったようです。どの程度の時間と戦闘で縦断できたんでしょうね。
地図で見る限りかなり広大な土地が広がっています。大陸の内陸部を殆ど占拠しているようなものです。
ここでゆんは約束通り商人さんを大司教に紹介します。名前は急遽トルネ●さんとされました。
バトエルデン「安く騎獣は売っておらんですか?」
トル●コ「いや、騎獣は扱っておりません」
バトエルデン「そうですか。<アステリアの守り>でもいいんですが、安く」
大司教のくせに金はないんですかね。伯爵とかもそうですが地位を考えるともっと収入があっていいと思うんですよね。
それから5分程度旧交を温めたゆんは当初の予定を思い出し、ジュエリィがいるカイン・ガラへと向かいました。
★地下の魔動機
一方カイン・ガラではジュエリィが発掘部門の教授であるルメットとムンドゥの呼び出しを受けていました。ゆんはまだ到着していません。
ルメット「えっと、ジュエリィさん、あのう、魔動機械学科のほうですね、
授業荒らしだけでなく、少しはこっちのお役に立っていただけないかと思いましてですね」
ジュエリィ「えー?荒らしてないよ?マジメに授業を受けてるだけ」
ルメット「若い教師がプレッシャーでボロボロです。傍から見ててもかわいそうです」
ジュエリィ「精神修行にもなっていいね(親指立て)」
ともかくその穴埋めとして彼女の知識を借りたいというのが教授のお願いでした。具体的には最近発掘された巨大な魔動機械の鑑定ですね。
ノワールの弱点や<滅びのサーペント>の詳細まで知っていた彼女の知識を持ってすれば、マギテック技能が1レベルでも力になれるでしょう。
実際のところ魔動機械について詳しく研究しようとするとマギテック技能は要らないんでしょうかね。セージ技能の代わりに使えてもいい気がする。
さて、このカイン・ガラには魔動機文明時代・魔法文明時代・神紀文明時代の遺跡が地層のように折り重なって埋まっていることは有名です。
今回発見された魔動機械は当然のことながら魔動機文明時代の遺跡から発掘されたものですが、それが作られた時代が問題なのです。
カイン・ガラの土地には魔動機文明時代にはヤーリカルハイドという都市国家がありました。この遺跡をヤーリカルハイド遺跡というそうです。
ところが遺跡が発掘されたのはそれよりも深いが魔法文明時代に至る手前の地層でして、これはヤーリカルクドレカ遺跡と命名されました。
魔法文明時代からヤーリカルハイドができる前に別の都市が存在したわけです。そして何らかの理由で滅びたということになりますね。
専門の教授が2人も揃って他学部の人間に助けを求めるぐらいです。これはとんでもない発見かもしれません。
鑑定を承諾したジュエリィは2人の教授に先導されて発掘現場まで向かうのですが、道中気になるのは2人の教授の仲の悪さでした。
ジュエリィ「他に学生とかついてきてるなら、尋ねてみよう。「何であんな空気悪いの?」」
学生「あのお2人は年中手柄争いしてまして」
学生曰く、ルメット教授は魔動機術研究にかけては一流の人物であり、どちらかというと慎重な態度のようです。
ところがムンドゥ教授は客観的には劣るのにルメット教授に対抗心を燃やしており、無茶をする積極的な性格のため衝突することが多いらしい。
ジュエリィ「ふむ。ま、どっちもかわいいものね」
学生「そーですねー。もちろんです。あなたが一番コワイです」
ジュエリィ「えー。お外には迷惑掛けてないのに。たまにしか」
GM「その「たまに」が半端ないんだろう?」
ジュエリィはひたすら研究に打ち込むタイプで、実力の割には政治関係には無関心なタイプです。派閥争いなんて尚更でしょうね。
そもそも研究者なんて社交的ではない人の方が多そうだし、彼女だけが特別というわけではないと思いますがね。実力は特別ですけど。
やがてジュエリィは例の魔動機械の前に到着します。機械そのものというより大がかりなコンソール一式といった外見です。
これに対してジュエリィは《見識判定》を行い、出目5で達成値31を出します。普通に考えて凄い数値ですが本人は低いと不満そう。
出目がその判定への自信の表れとするなら確かに低い方なのかもしれない。それでも一般的には物凄い出来栄えではあるんですけどね。
そこで《賢人の知恵》の効果で振り直して今度は出目11で達成値37を叩き出します。今度は文句なしに正体を見抜きました。
鑑定の結果、極めて大きな魔動機械の制御装置と判明します。その大きさはドラゴンフォートレスの比ではないと思われます。
ジュエリィ「100人乗っても大丈夫なドラゴンフォートレスを子供扱い」
GM「です」
ジュエリィ「うわあ、ワクワクしてきた。ここは、ただの端末なんですね?本体は別?」
GM「別です。まったく別だと思います」
ジュエリィ「掘って、もうちょっとこの辺掘って。いや、もう自分でやるか。【トンネル】で」
これはランク10の妖精魔法(土)で土や石を穿ってトンネルを掘るというフォーセリアの頃からお馴染みの魔法ですね。
ちなみにサイズは2m×2m×10m内で任意です。持続時間3分と短時間しか効果がないのは昔から変わりませんね。
掘った結果、残念ながら本体はここにはなさそうでした。
ルメット「見て欲しいのは、これなんですけどね」
それは正面に彫り込まれた魔動機文明語で「最後の希望を鱗を持つ鋼に託す」というものでした。
更に学生が偶然モニタの下にも彫り物を発見しました。こちらは「私の嫌いな言葉。『拙速は巧遅に勝る』」というもの。
特徴としては前者は丁寧に彫り込まれているのに対し、後者はガリガリと刻んだ雑な彫り物だという点ですね。
どういうことかと考えていると地上からもう1人学生が降りてきます。
学生「あの……ジュエリィ様にお客様です」
ゆん「だだだだだー「おひさー」」
学生「上で待っててって言ったのに降りてきた」
ジュエリィ「わー、久しぶりー、10年ぶりー」
ここでゆんは例の伝言をジュエリィに伝えます。師匠からの呼び出しに懐かしさを覚えます。
ジュエリィにはデュボール王国のバスティアンとのコネがありますし、リーゼン地方に住んでいたこともあります。
だから師匠が同じリーゼン地方にある"ティラの樹海"に住んでいても不思議はないのですが、その用事は彼女にも不明です。
そんな風に隙を見せているとゆんは珍しい機械に心を惹かれます。グラランに珍しいものを見せてはいけない。
ゆん「キラキラー」
ジュエリィ「触っちゃダメだよ、ダメだよ。ダメなんだよ」←振りか
ゆん「探索判定ー」
ところが出目4と不調です。それでも基準値17なので達成値21になり、モニタの更に裏側に別の彫り物を発見してしまいます。
「『理性的に判断』などという言葉を自分より頭の悪いやつに言われたくはないものだ」とありました。何か嫌なことでもあったのかと。
更にキーボードの裏には「政治家に呪いあれ」ですよ。これは政治的判断で研究に支障をきたしたとか、そういう感じですかね。
それにしてもその愚痴を日記とかではなくコンソールに彫るとはご苦労なことです。柱に自分の名前を彫り込む宮大工かお前は(笑)
ゆん「これ、動かしていい?押しちゃいけないボタンとかある?」
ルメット「ダメに決まってるでしょ。何が起こるかもわからないのに」
ムンドゥ「私がやるんだから、部外者は引っ込んでろ」
ここでは2人の性格の違いがよく出ていますね。特にムンドゥは積極的なだけならともかく、どうも手柄欲しさに先走っている感がある。
ルメットに先んじることができるのなら危険なんて度外視。本当に結果を気にせずこのコンソールを勝手にいじってしまいそうです。
いずれにせよ部外者のゆんはもちろんのこと、授業荒らしのジュエリィも手出し禁止が言い渡されます。ここだけは意気投合。
GM「文句があるなら、学長へどうぞ」
ジュエリィ「うーん、あの人には責任たくさん押しつけちゃってるからなあ」
GM「遠慮する?」
ジュエリィ「もう1個ぐらい押しつけても大丈夫かもしれない」←鬼か
学長というのは"紳士"ハル・クード・オルセンですね。「フェイダン博物誌」にイラストつきで紹介されています。
正確にはカイン・ガラ評議長であり、真語魔法学部の学部長。魔術師には珍しくお洒落で社交的な正に紳士的な人物のようです。
交渉術を変われて三年交代制の評議長を既に三期も務めているとか。きっとジュエリィが何かやらかす度に火消し役になっていたんでしょうね。
★危険の予兆
更に場面は変わってアイヤールの《血風領》です。伯爵とマイザールが蛮族領への遠征から帰ってきていました。
マイザール「欲を言えば、あと2、3本、魔剣が欲しかったですねえ。ドレイクバロンごときを取り逃がしたのは痛恨でした」
フェルディナント「まあ、それでも見入りはあった。これでまたしばらく、兵士たちを食わせていける」
GM「ひでえ国。どっちが蛮族かわかったもんじゃねえ」
蛮族というか山賊というか、そうでもしないと領の運営が立ち行かないほど貧しいというのもあるのでしょう。
何しろこの領は人口に占める非生産階級の割合がとても高い。つまり軍人が多すぎて自給率が低いのです。
幸いフェルディナントの溢れ出るカリスマっぷりがあるので領民の「打倒蛮族」の士気は高く、戦利品を対価に輸入に頼っている様子。
そういえば同じ前線の領である《赤砂領》もお金がないといつも言っていましたっけ。本当に中央から補助金とか出てないんでしょうかね。
そんな血生臭い領にミスティン姫が表敬訪問にやってきます。伯爵からしたら養子の婚約者、未来の義理の娘になるかもしれない人です。
GM「思い切り政略結婚ですが」
ゆん「その結婚って、伯爵が皇帝さんに刃を向けやすくならない?」
ジュエリィ「外から見える動機をあえてつけることで、牽制してるとか」
マイザール「結婚じゃなくて婚約の段階だと、実は、今イチ動きづらいんですよねえ」←何する気だ
フェルエィナント「俺様は、そういうことしない。俺様の野望は、自らが神になる、or自ら神様打倒だ。皇帝位「ごとき」には興味がない」
そう言う発言が出るのも無理はないほどに伯爵には実力がある。冗談抜きで現在の体制をひっくり返すことも可能でしょう。
しかし本人がそう思っていても回りが納得するとは限りませんしね。色々な思惑が絡んでいそうな政略結婚です。
好意的に見るのなら伯爵にミスティン姫を守らせようとしている可能性もある。何しろ彼女は一度誘拐されていたりしますしね。
事情はともかく伯爵は宴席を設けてミスティン姫を歓迎しました。
マイザール「余興で決闘の始まるようなやつですね」
フェルディナント「こらあっ!今日は、「よそ行きの」パーティだと念押ししただろう、このモヒカンどもめっ!」
バトエルデン「モヒカンなのか?」
フェルディナント「脳筋ばかりなのは間違いないっす」
ああ肩パッドと魔動バイク装備で「ひゃっはー!種籾をよこせ!」とかいう感じで蛮族領に襲撃を仕掛けてそうですね(笑)
そんな彼らも伯爵に憧れて志願してきた者が多いそうなのでまとまりはあるはず。まぁやってることは略奪なんですけどね。
そして宴の翌朝、ミスティン姫は顔色を悪くして言いました。
ミスティン「夢を見ました」
毎度お馴染み予知夢です。今回彼女が見たのは海からやってくる双頭の蛇でした。
互いの頭を噛み合い、噴出す血は大地を溶かし、海を沸騰させるという恐ろしいビジョンだったそうです。
ミスティン「とても怖かったです。ちょっと近年にない怖さでした」
マイザール「え?そこまで?だって、え?」
バトエルデン「神様刺される夢とか見てたでしょ、アンタ」
ジュエリィ「山崩れたり、邪神蘇ったりしてたはずだよ」
それに劣らない程恐ろしい夢だったそうです。実際は2年ほど前のことになりますが、セッション中は同時期ということになります。
マイザール「率直に言って的中率はそんなもんです?ご本人的に」
ミスティン「的中率、ですか?シナリオに出てきてはずれたことはありませんよ」←メタ発言
ゆん「はずれたときには、シナリオにならないもんね」
回避されたことは何度かありますが、それでも放置しておいたらそうなっていたことは想像できました。
蛇というと色々嫌なことを思い出す伯爵とマイザールです。今は予知夢を回避すべく努力することをミスティン姫に約束しました。
★ザルツ地方へ
最後は大司教の導入です。相変わらずカタログを読み耽っていました。
バトエルデン「いーなー。【デモリッシャー】かっけえ」
デモリッシャーとは「ウィザーズトゥーム」で追加された騎獣ですね。
適正レベル10〜12で象に攻城兵器を牽かせたも、いわば象戦車です。象・頭部(コア)、象・本体、破城塔の三部位です。
頭部は敵を《鼻で投げる》ことで強制移動させつつ落下ダメージを与え、胴体は《両足踏みつけ》で2体に攻撃し《攻撃障害》で頭部を守ります。
騎芸【トランプル】を使用するとその重量を活かしてダメージが10点上昇する《ひき潰し》もあり、象だけでもかなりの戦闘力を発揮します。
更に破城塔は座席が用意されているため《搭載=3体》が可能。搭載しているキャラクターに対する《攻撃障害》を持っています。
あと範囲物理ダメージを与える《投石器》や、構造物を対象とした【チャージ】時に100点の物理ダメージを与える《破城槌》を装備。
この浪漫溢れる騎獣は「from USA」のベーテ先生の琴線に触れたらしくリプレイにも登場しました。
お値段8万ガメルとなかなかお高い。ちなみに象だけの騎獣データもエレファントという名称で存在しています。
こちらはお値段2万2000ガメルです。適正レベル6〜9で能力的にはデモリッシャーの象部分と大体同じですね
個体が優秀なのかデモリッシャーの方が数値は微妙に上ですが、エレファントは移動速度20でデモリッシャーは15という差はある。
流石の象さんもこんな重たいもの牽かされたら鈍くなるというもの。多頭牽きで強化したデータとか作ると面白そうな題材ですね。
そんな大司教の部屋にアメリアがやってきます。
バトエルデン「いつぞやは世話になったな。今度、業務提携するんだって?」
アメリア「はい。いつぞやはお世話させていただきました。大司教のご要請で飛空船を用立てたことがあったと思います。落ちましたけど」
バトエルデン「あ、そうだったね」
アメリア「その後、ロシレッタとの航路を開いたのですが、「2回も落ちた」という噂が広まって、客足が伸びないんですよ」
その内1回は彼女の責任ではありませんけどね。当時の持ち主にとってはある種の自然災害といいますか、仕方ないことではありました。
しかし2回目は多分に自業自得だった気がするんですよね。いくら要請があっても処女飛行もまだなのに強引に飛ばして墜落ですし。
バトエルデン「それはいかんな。では、「もう落ちない」と書いたルーフェリア印のお札とか買ってくといいよ」
マイザール「いやあ、大司教もなかなか外道ですね」
フェルディナント「そのうち壺や翡翠の判子も売り始めるな」
今回アメリアが訪れたのはその風評被害を払拭するために大司教の力を借りるためでした。
どうも世間の噂では墜落の原因が魔動核そのものにあるというのが主流らしく、新調した今の船まで疑われてる状況です。
そういう意味では1回目は状況が、2回目は船の状態が悪かったのであって、それさえ改善されれば安全そうではあるんですよね。
ここでアメリアは以前要請に応えたことを持ち出して強く主張します。
アメリア「私の船の安全性をアピールするために、VIPを乗せてデモンストレーション飛行などしてみたいかと」
バトエルデン「おっと、いやな香りが」
フェルディナント「おすぷー。おすぷれい?」←当時話題だったらしい
アメリア「どうでしょうか?私、いつぞやは便宜を図りましたよね?」
実はゆんを乗せていることには後で気づいていました。しかし宣伝もせずにただ乗せても広告効果は薄いでしょう。
帰りにも利用してくれるよう頼んではみたものの、「ゆんがどこをどう旅するなんか、ゆんでもわかんないよー」とのコメント。
どうも嫌な予感はしますが大司教とその愉快な仲間達なら仮に落ちてもなんとでもなるでしょう。その時は評判は地に落ちますが、船ごと。
そこで大司教はカイン・ガラのジュエリィとアイヤールの伯爵とマイザールに手紙を出して呼び寄せます。コネって凄いですね。
バトエルデン「カタログをぴらぴらさせながら、「リベート出ない?」」
アメリア「う……」
バトエルデン「とかやると、パブリックイメージに傷がつくかな」
結局ロハで受けてあげました。かつての英雄5人をまとめて乗せるとなると物凄い宣伝効果でしょうね。名誉点的な意味でも。
カイン・ガラまでは片道1週間なのでジュエリィとゆんがルーフェリアに来るまでは2週間ほどあればいいでしょう。
彼女にしてみれば大陸北部に渡ることができれば師匠の呼び出しに応じることができるので都合のいい話です。
アイヤールまでは片道半月(2週間)ですが手紙さえ届けばマイザールの【テレポート】で一瞬でルーフェリアに来られる。
《血風領》に手紙が届いたのとミスティン姫が予知夢を見たのを大体同時期ということにすれば2人が招待に応じる動機にもなりますね。
フェルディナント「マルコ、後は任せたぞ」
マルコ「わかりました。しばらく徹底的に防戦してればいいんですね」
フェルディナント「おう。俺様が帰ってきしだい、反撃だ」
マルコ「任せてください」
この人は「滅びのサーペント」にもいましたね。留守を任されるということは伯爵の副官的な存在なのか。
それから2週間後にはルーフェリアに5人の英雄達が三度集結しました。情報交換すると大司教だけは浮いていました。
バトエルデン「え?何それ?何でみんなそんな深刻なの?
俺、業者からの陳情にかこつけて、「外遊と書いてバカンスとルビ」ぐらいにしか考えてなかったのに」
実際のところジュエリィは特に深刻ではありませんけどね。何を言われるかはともかく呼び出されているだけだし。
伯爵が聞いた予知夢にしろまだ明確な形にはなっていない以上動きにくいし。ゆんは……いつだって元気そうで何よりです(笑)
マイザール「ちなみにディルフラムはこっぴどくシバいてやったんで、しばらくは大丈夫です」
フェルディナント「領の金庫が、ちょっと底板が見えかけてたんでな、気持ちいつもより強めにやらせてもらった」
それなら安心ですね。この2人にシバかれたとなると蛮族が可哀想になりますが。
出発当日、盛大にイベントを開いて英雄達が飛空船に乗り込む場面を民衆が見送りました。
ただし伯爵だけは不在がディルフラム側にバレるのがマズいので搭乗している情報は非公開としました。
それを言うなら大司教不在でフィルゲンが動くのが怖いんですけどね。ぞんざいズもアイヤールにいて戦力が……。
バトエルデン「改めて考えてみれば、空飛ぶ首脳会談状態だな」
ジュエリィ「リオス以外全員いますね」
バトエルデン「いつ落とす?」
ジュエリィ「あそこ経済勝ちすぎてるよね」
バトエルデン「国交を開いて以来、累積赤字がひどいんだよ」
フェルディナント「俺様の《血風領》なんて、生産と交易だけだと立ちゆかないんだぜ」
そういえばあそこだけいませんね。そもそも15レベルの英雄が1つの地方にこれだけ集まること自体異常ですけどね。
大陸全体でどの程度の数がいるかは不明ですけど。アレクラスト大陸なんかは10レベルが20人程度しかいなかったような。
それではいよいよ離陸です。
GM「アイヤールの有名服飾デザイナーに特注した衣装でタラップ上がってくださいねで」
バトエルデン「法被着たビートルズみたいだな。……て、アイツのデザインかよ」
ゆん「凄い服だねー、これ」
また地味にしっかりとキャリアを積んでいますねリャン。何だかんだで事業は上手くいっているようで何より。
こうして一行は花火を上げたり紙テープをばら撒いたりと派手に旅立ちました。ロシレッタまでは3日の旅程です。
そこまで行けばザルツ地方を移動してリーゼン地方に入り、"ティラの樹海"までは陸路での旅になるでしょう。
もちろん飛空船は落ちるものというジンクスへの対処として落下対策は万全にしておきます。
マイザールは【ラック】と【スケープドール】をかけておきます。ジュエリィも自前で【スケープドール】は使えます。
そもそもこの2人は【フライト】とか【ワールウィンド】で飛べますけどね。ちなみに【ワールウィンド】はランク13の妖精魔法(風)です。
大司教と伯爵だって最悪【エスケープ】で地上まで移動できますしね。そこまでしなくても【フライト】をかけてもらえばいいし。
ジュエリィ「そこで買った、木彫りのルーフェリア人形」
バトエルデン「え……何かあったら」
ジュエリィ「ルーフェリアがバキっと」
バトエルデン「……もともと自己犠牲の神様ですから。皆様のために御姿が木っ端微塵になるのもしかたないですな、ハハ(涙)」
そこまでダメージを受ける状態になる前に自力で脱出できそうだから大丈夫ですよ、きっと。
さて、ここでジュエリィは伯爵から予知夢の話を聞いたことに対する《見識判定》を行います。
当然のように成功し、魔動機文明時代に世界を破壊する蛇の魔物が現れたという伝説があることを思い出します。
またそれに対抗するために当時の技術で巨大な蛇型魔動機械を製造し、魔物と戦わせた結果大陸が一つ沈んだといわれています。
GM「沈んだ大陸の名前ですが、ムーランティスとか名付けようとしたら、どっかのリルトカゲンを思い出したのでやめました」
結局詳細はジュエリィをもってしても不明です。大陸がどの位置にあったのかも諸説あるものの確定してはいません。
テラスティア大陸とは関係ない惑星の裏側の半球という説もあるし、フェイダン地方の南洋という説もあります。
言ってみればゴジラ対メカゴジラ、ウルトラマンA対エースキラー、キングボンビー対メカボンビーのようなものです。
ちなみに魔物の方は当時の人達からしても正体不明でしたが、コードネームは"絶望のサーペント"というそうです。
魔動機械の方は"希望の鋼麟"というらしく、例のコンソールに彫られていたメッセージはこれを示していた可能性が高い。
両者の戦いは「互いに互いを噛み合い、共に海に沈んだ」ことで終結したそうですが、ヤーリカルクドレカは恐らくその余波で滅びた。
こうなると<滅びのサーペント>との関連が気になりますが、あれは魔法文明時代の産物なので偶然の一致でしょう。
フェルディナント「おい、指輪の魔神、お前知らんか?」
GM「ゲルダム連れてきた?」
ジュエリィ「連れてきてます。家に置いてても全然安全じゃないので」
ゲルダム「我は知らん。基本、指輪に封じこめられていて、ごく狭い世界しか見ておらん。
最近はお前の顔ばかりだ、さっさと神になれ」
ジュエリィ「日々努力してるよー。真語魔法も習ったりしてるし」
ゲルダムも知らないようでは本当に無関係なのでしょう。もし関連があったら魔法文明時代から見張っている彼が知らないはずがない。
そうなるとその2匹の蛇の《魔物知識判定》をしたいところですが、今の時点では判定自体不可能という処理です。
人族や蛮族の「知識」の中にない存在であり、文献記録口伝あらゆる手段で伝えられていないのでジュエリィですら知りようがないのです。
よってキルヒアの7レベル特殊神聖魔法【インスピレーション】をもってしても不可能とします。
これは知力を用いる判定を1日1回だけ自動的成功にする魔法です(魔法や賦術等除く)。フォーセリアではラーダの特殊神聖魔法でしたね。
判定自体不可能なら神の力による閃きの奇跡も起きようがないのでしょう。これは何かしらのフラグを立てないと判定できないパターンですね。
それから3日後、予想とは裏腹に何事もなく船はロシレッタに到着しました。
マイザール「ゲームでもして、飛空船の旅を楽しみますかね」
ゆん「あー、パス3回目ー」
マイザール「誰ですか!8止めてるのは!」
フェルディナント「俺様じゃないよ」
バトエルデン「ぐふふ」←お前か
GM「着いたから、さっさと降りやがれっての」
降りた先でも一行を歓迎するイベントに大勢の人が集まっていました。
ちなみにこの国は人間、ドワーフ、エルフの人口比率が同じという非常に珍しい国です。エルフ3割のルーフェリアよりも珍しい。
フェルディナント「最近、モヒカンしか見てなかったから、違和感バリバリだな」
GM「それは、お前のほうがおかしい」
実はロシレッタがリプレイに初登場した記念すべき瞬間でもある。ただし今回は特にイベントもなく通過するだけですけどね。
ここからは陸路でリーゼン地方まで抜けて"ティラの樹海"を目指すわけですが、ゆんとジュエリィ以外は多分土地勘がないでしょう。
ゆん「案内しようか?ユリウス君に馬車用意させてもいいよ」
GM「皇帝を「君」呼ばわり(笑)」
フェルディナント「俺様でもセラフィナ女帝には「様」つけるのに」
ゆんが知り合った時点ではまだ子供でしたから。そして出世しても態度が変わらないというのはゆんらしい。
「剣をつぐもの」の性格を見る限りユリウス自身もそういうことは気にしなさそうですしね。むしろ喜びそうですらある。
結局この先の旅費についてはアメリアやユリウス等便宜を図ってくれる人が沢山いるので自腹を切る必要はなくなりました。
そうしているとザルツ地方の各流派の人達がやってきます。
流派の人「是非うちに入門して、我らが流派を広めてくれ」
彼らほどの英雄になると向こうからやってくるんですね。これで当初の予定通りにザルツ地方の各流派に入門し、秘伝を習得しました。
大司教だけはルキスラ帝国に入ってから銀鱗隊へ入門になりますけどね。この場合は名誉隊員として籍だけ入れることになるようです。
合計名誉点3000点というのはスポーツで言えば海外リーグのスター選手のようなものなので多少の無茶は通るようです。
入門はPCから志願して入門を許可されるケースと、PCの実力をあてこんで流派の方から勧誘する場合があるので、これはその混合ですかね。
実際のところ大司教ほどの英雄を名簿に加えることができれば流派の方としても箔がつくわけですし、ゆんのコネもあれば問題ないでしょうね。
ゆん「<ミスリルアックス>と<ヘビーメイス>3本ずつ買っておくよ」
ジュエリィ「……、【バルーンシードショット】で使う予定なんだよね」
フェルディナント「本当、光景が想像つかんなあ」
前者は威力33/43で8000ガメル、後者は威力20/30で450ガメル。必要筋力18以下に収まる中で威力の高いものを選んでいますね。
★樹海に待つもの
ロシレッタに到着した一行はそのままザルツ地方とリーゼン地方を旅し、特に事件が起きるでもなく"ティラの樹海"にやってきました。
ここは魔動機文明時代ですら開拓はされず未だに古代の珍しい動植物が生息している古い森です。現代でも一般人は外延までしか足を踏み入れません。
それはエイデルのように開拓が困難な危険な土地ということでもあります。樹海と呼ばれるだけあって迷いやすく、危険な魔物もうようよしています。
冒険者にとっては冒険しがいのある秘境ではあるでしょう。
GM「奥地の高原ではロック鳥も見られたとか」
ゆん「ロック鳥か。一緒に飛んでみたい」
GM「そんが、ごくふつうの冒険者にとっては危険がいっぱいな森ですが、あなたがたにとっては、さほどでもなく……
なんかさ、道に迷うような仕掛けとかある?川にぶつかったら足止まる?崖があったら困る?」
ここまで特に何の事件もなくこれたのもそういう事情のようですね。多少のことはあっという間に解決するでしょうし。
ロックだって強豪モンスターのはずなんですけどね。このパーティが相手では開幕10秒で美味しく調理されるのが関の山です。
ちなみにロックは14レベルの動物です。全長30mにも及ぶ巨大な鳥です。頭部(コア)、胴体×2、翼×2、足×2の七部位です。
頭部は嘴の攻撃が命中した対象に《連続攻撃》を行います。胴体はそんな頭部を守る《攻撃障害=不可・不可》を持ちます。
翼は自らを中心に半径30mに《暴風》を吹かせ、物理ダメージを与えた上に転倒させてきます。当然《飛翔U》を持っています。
足は鉤爪の攻撃が命中した対象を《鷲掴み》にします。以後対象はその足しか攻撃できず、逆に足もその対象しか攻撃できませんが必中です。
というわけでこの秘境ですら一行はずかずかと奥地に向かっていきました。
ジュエリィ「師匠ー、来たよー」
GM「おっと残念、「そうそうはない」が「まったくない」わけじゃないぞ。ちゃらららっちゃらーん。「ハイ、ボツモンスタァ」」←の○代の声で
このパーティは既に「バルバロステイルズ」でも最強格だったヴァンパイアノワールを倒しています。最早相手が務まる魔物はそうそういるものじゃない。
そこでノワールと同様に諸々の事情で発表されることなく消えていった没モンスターを敢えて登場させ、ボスキャラとして戦わせるのが今回の企画です。
彼らが没になった理由としては、単純に強過ぎるとか、処理が煩雑過ぎるとか、斬新過ぎてバランスが取れないとか。なかなか曰くつきのものばかりです。
そんな中で今回登場するのはディープフォレストという植物モンスターです。データは本来18レベルとして作成されたようです。
ところがそれでは単純に実力不足なので5レベルあげて23レベルにされました。各数値は単純に5ずつ増やして強化されています。
レベルだけで言えばノワールと同格というとっても強いやつです。ちなみに「バルバロステイルズ」最強の植物モンスターはユグドラシルの若木です。
実はこいつは20レベルもあってレベルだけならノワールに次ぎますね。ミスリルゴーレムとかドラゴンゾンビと同レベル帯だったりします。
改めて紹介するとディープフォレスト(改)は23レベルの植物です。正体は深く広大な森そのもので、迷い込んだ者を取り込むようになった存在です。
中枢にあたる部分には直径3mの花と、人間大の蠢く植物の集合体である分体×6がいて、データ上は七部位として扱われてコア部位はない。
その全身は《広大な影響範囲》を形成し、全てのキャラクターは自動的に乱戦エリアに巻き込まれ、戦闘終了までは抜け出すことができません。
花は主動作で《眠りの花粉》を乱戦エリア全体にばら撒き、《再生=10点》でHPを回復します。補助動作で《分体再生》をして倒された分体を復活させます。
分体は枝葉を使ってイミテーションを作ったり視界を遮ったりする《撹乱》によって《魔法制御》を無効化し、花に対する射撃系の攻撃や魔法を封じます。
また部位の数に応じて必中の物理ダメージを与える《無差別攻撃》を使用可能。ただしは花のHPが0になると《指令喪失》により分体はこれしか使用できなくなる。
つまり後衛であろうとも容赦なく近接攻撃に晒される相手というわけです。《影走り》も無効だし、《魔法制御》による開幕魔法4連発も封じられました。
ちなみにHPは<剣のかけら>の強化も考慮して各部位を20点ずつ増やしているようです。23レベルなら23個で115点、それに25点ほど加えて割り。
それでもHPは花が158点で分体が117点しかない。魔法王との戦いを思い出せば伯爵にとっては何てことのない数値ではあります。
あとは植物のくせに防護点が20点もありますが、範囲魔法が使えない以上はやはり《薙ぎ払い》と《テイルスイング》で一気に削るしかない。
マイザール「いっそ、こいつに【ポリモルフ】したろか」
GM「え?」
マイザール「分類:植物、魔物知識判定成功なので、条件は満たしてます」
GM「うへえ……おい、面倒くさいぞ、それ」
マイザール「ですよねえ。最後の手段ということで」
もしやったら森の中に森ができるという訳の分からないことになりそうですね。いくらデータ上七部位でも森の一角自体がこいつなわけだし。
なお知名度24の弱点値26ではジュエリィにあっさり弱点まで抜かれてしまいました。それどころかマイザールにまで弱点を抜かれました。
弱点は「炎属性ダメージ+3点」。更に分体は弱点とは別に《炎に弱い》という特徴があって炎属性ダメージは自動的に+3点されます。
《弱点看破》を持っている人が分体を攻撃するとそれだけで+9点、そうでなくても+6点と植物モンスターらしい弱点を持っていますね。
GM「あ、タイラントレギレクスが1体、共生しているんでそれもよろしく」
バトエルデン「イソギンチャクとクマノミのように……クマノミにしては、ちとでかくありませんか?」
また添え物のように高レベルモンスターを出してきますね。ミスリルゴーレムに比べれば可愛いものですが後衛には脅威です。
実は「バルバロステイルズ」収録の動物モンスターの中では最もレベルが高い。どことなくティラノサウルスっぽくて格好いいかも。
タイラントレギレクスは18レベルの動物です。「暴君」の異名を持つ体長10mの直立したトカゲであり、地上最強の肉食獣とも呼ばれる。
頭部(コア)、胴体、尻尾の三部位です。全身が《全力攻撃》可能です。頭部は牙の攻撃が命中した対象に《連続攻撃》を行います。
胴体は《攻撃障害=不可・不可》で頭部を守り、鉤爪による《2回攻撃》が可能。尻尾は《テイルスイング》ができます。
ただし体が大きすぎるので頭部や胴体が攻撃した対象には《向きが合わない》ため、尻尾による攻撃は当たらなくなります。
GM「あ、戦闘ルールのレギュレーションを言い忘れてました。今さらだけど、熟練戦闘ルールです」
これが「ルールブックT改訂版」や「カルディアグレイス」に収録されている改訂戦闘ルールの1つです。
改訂戦闘ルールには「簡易戦闘」「標準戦闘」「熟練戦闘」の3種類があり、主に位置の管理という観点で使い分けられます。
「簡易戦闘」では戦場を「自軍後方エリア」「前線エリア」「敵軍後方エリア」の3つに分類し、それぞれの距離を10mとします。
SWのSEコンバットに似ていますね。それ以外の判定等は従来のルールとそう変わりませんし、これは他の2つのルールでも同様です。
ただし構築される乱戦エリアは常に1つであり、それを突破するということは《影走り》を持ってしても不可能です(後退は可能)。
「標準戦闘」はそれに距離の概念を入れて戦場を一次元で管理します。例えるなら一本橋の上で戦っているような感じです。
これだと各キャラクターは線上のどの位置にいるかということを常に管理する必要があり、これは座標という用語で呼びます。
座標を同じくするキャラクター同士で乱戦エリアが構築されるため、複数の乱戦エリアが構築されうるし、それを突破することも可能。
「熟練戦闘」は更に方向の概念を入れて戦場を二次元で管理します。こちらはだだっ広い原っぱを縦横無尽に駆け回る感じですね。
こうなると従来のルールと殆ど変わりません。乱戦エリアは中心となる点と円によって図示されるようになります。
本では図を交えた説明にかなりのページを割いていたりと、分かり難いと不評だった乱戦エリアの明確化に努めていることが伺えます。
以上のようになっているので、高レベルの戦闘が醍醐味のこのパーティでは「熟練戦闘」なわけです。
ただし初期配置は「標準戦闘」のような一次元の管理となります。開戦後に横に広がるのは自由です。
GM「ことこの戦闘に限っては、簡易戦闘ルールより簡易になっちゃうわけですが」
バトエルデン「乱戦エリア1つにみんないる、移動できない、以上終わり」
今まではあまりなかった後衛を交えての乱戦です。部位合計15は半径5mですがこれも意味がない。
★2往復とか酷くない?
ディープフォレスト(改)の先制値は23ほどありましたが、それを10ほど上回って先制を取りました。
1ラウンド目
ジュエリィは前衛3人に【ファイア・ウェポン】です。炎属性ダメージ+2点なら弱点込みで花には+5点、分体には+8点もの効果があります。
《ファストアクション》分の行動で全員に【バーチャルタフネスU】です。【バーチャルタフネス】の上位魔法ですね。
ランク13の妖精魔法(光)で、対象のHPの現在値と最大値に「魔力+12」点を追加します。ジュエリィの場合HP+38点もの効果があります。
更に大司教は全員に【ブレスU】で全能力値+6点。これでHP+44点、ジュエリィですらHPが100点越えました。大司教は150点弱。
ジュエリィ「大司教と順番逆だったら、HPあと1点多かったな。地味にちょっとミス」
バトエルデン「まあ、このレベル帯でHP1点は、かなり誤差ですから」
大司教は更に鼓咆【怒涛の攻陣U:旋風】を使用、大司教以外の命中力+1です。何しろ敵の回避力は26(33)とかあります。
伯爵はともかく基本の命中力が22とか23のゆんは厳しく、練技やタゲサで+4するとやや有利。魔法と鼓咆で更に+2すれば安定してきます。
もちろんジュエリィに対して《かばう》のも忘れない。
バトエルデン「では、<栄光の軍師徽章>を使います。ぱりーん」
GM「博物館行きか」
通常鼓咆は低いランクのものから順番に使用していくため、ランク2である【怒涛の攻陣U:旋風】はいきなりは使えません。
そこで役に立つのが<栄光の軍師徽章>です。これは通常鼓咆を使う際に使用する<軍師徽章>の強化版ですね。
これを使用すればいきなりランク2から鼓咆を宣言可能。ただしお値段1000ガメルに名誉点が20点ほどかかります。
更に上位にランク3から鼓咆を使える<栄冠の軍師徽章>というものもあります。こちらは1万ガメルに名誉点が50点ほどです。
ここでは博物館行きと言っていますが、正式に発表されたルールでは普通の<軍師徽章>として使えるようになるだけです。
このリプレイではあくまでも「カルディアグレイス」のルールを先行して使っているだけで、製品版とは異なる点があるわけです。
博物館行きというのは多分名誉アイテムとして陳列するだけのものになる予定だったのでしょう。ちょっと有利になりましたね。
マイザールは練技を一通り使います。特に【スフィンクスノレッジ】で知力+2されているのが特徴。【ブレスU】も入れて魔力+3されています。
補助動作で【ブリンク】と、8レベルの召異魔法【デモンズタックス】も使用します。召異魔法は補助動作で使えるものが多いのです。
これは術者がダメージを受けると5点の呪い属性魔法ダメージを相手に返すという嫌らしい魔法です。<渦巻き鉱のお守り>よりダメージは多い。
ただし1回効果を発揮すると効果消滅。お返しできるのは近接攻撃・射撃攻撃・魔法の行使による物理・魔法ダメージのみで魔物の特殊能力には無効。
あとは毎度お馴染みのパラミスですが。
フェルディナント「俺様はそれなしでも当たると思う。分体1〜5を攻撃予定」
マイザール「では、あえて分体6に。信じてますよ、伯爵」
主動作の魔法では《魔法拡大/数》で【プロテクションV】と【タフパワー】を全員に。後衛2人は攻撃を自粛してひたすら援護に徹しましたね。
ちなみにこの時点でマイザールには【ビートルスキン】も入っているので【プロテクションV】と合せて防護点+6点という状態にあります。
ついでに【ブレスU】の効果で知力ボーナス+1なので<マナコート>の防護点も上がり、合計で防護点20点というなかなかの鉄壁っぷりです。
伯爵も練技を一通り入れておきます。【ビートルスキン】も使っているのでやはり防護点+6点で防護点19点程度にはなっています。
バトエルデン「あ、《ポーションマスター》忘れてた。GM、<魔香水>飲んどいたでいいっすか?」
GM「飲むのは認めん。振りかけて使うもんだと言っておろうが」
バトエルデン「厳しいなあ。シュッシュ」
あと伯爵はタゲサも使って【ヴォーパルウェポン】Sランクでダメージ+4点にしつつ、《魔力撃》と《薙ぎ払い》で分体1〜5を攻撃します。
達成値36と低めで分体4と5は回避します。現在の伯爵の命中力は基本の25に《魔力撃強化》で+4、魔法と練技と鼓咆で+4で33程なので出目は悪かった。
フェルディナント「2つもはずしたのは計算外。ダメージ決めます。(コロコロ)73発」
GM「え?」
フェルディナント「73発っす(とても、すがすがしい顔で)」
GM「クリティカルしてないよね?」
現在の伯爵は基本の追加ダメージが23点で、《魔力撃》で魔力19が加算されて42点です。そこに【ヴォーパルウェポン】で+4して46点。
【ブレスU】で筋力と知力の両方が伸びているので+2して48点。【ファイアウェポン】は弱点込みで+8して威力70+56点とかあります。
威力70の出目9は17点なので73点になるわけですね。これで分体1は53点も削られてHPが半分ぐらいになりました。他のも似たようなものです。
《ファストアクション》でも同じことをして今度は全部に命中。分体1はクリティカルで88点とか食らって倒されました。
分体2は残りHP18点と虫の息、植物だけど。分体3はまさかの1点残しで慢心アタック状態です。1点とか誤差のはずなのに器用に残ったものです。
分体4〜5は初撃をかわせたおかげでまだ半分以上残ってはいますけど、それでも次のラウンドにも殴られると耐えられそうにないですね。
次はゆんです。練技を一通り使ってタゲサも使用。
ジュエリィ「ゆんがよく分からない生き物に」
マイザール「どんな呼吸したら、あんなふうに変わるんですかね」
《魔力撃》と《テイルスイング》で残った分体2〜6に攻撃しますが、GMの回避の出目が走って分体5と6のみに当たりました。
ダメージは46点と47点でした。伯爵ほどではないにしても26〜27点抜けていますし、《魔力撃》を取った甲斐がありましたね。
基本の追加ダメージが20点で、《魔力撃》で魔力12が加算されて32点です。そこに【マッスルベアー】で+2点して34点。
あとは伯爵と同じように【ブレスU】と【ファイアウェポン】で+10点されて追加ダメージ44点程。<尻尾>自体は威力11程度なのでこんなものです。
しかしゆんの恐ろしさはその手数の多さだということを忘れてはいけない。
ゆん「続いて、《追加攻撃》の《テイルスイング》行きます。目標は皆同じ」
GM「ねえ、あの尻尾って、2往復してきそうなんだけど?」
バトエルデン「しますね」
GM「厳しくない?」
バトエルデン「何がですか?」
宣言した戦闘特技は1ラウンドの間有効なので《追加攻撃》にも《ファストアクション》にも適用されます。よって2往復4回攻撃が可能なのです。
1発あたりは26〜27点ほどしか抜けなくてもそれが最大4回命中するとなると、与えるダメージの総量では伯爵を上回りかねません。
この2回目の攻撃は全部に命中。分体2〜3は倒されました。続いて3回目と4回目の攻撃は分体4〜6に花とタイラントレギレクスの胴体も狙います。
こうして尻尾がぶんぶん唸った結果、分体は1つを残して全滅。それも【バルーンシードショット】で<バルーンシード>を当てて倒し、分体全滅です。
最後に【フェンリルバイト】で花に噛み付いておきました。
ゆん「《鋼鷹》で<ミスリルアックス>飛ばしたかった」
GM「《魔力撃》《テイルスイング》で、宣言2つ使ってるからダメですよ」
こうしてわずか1ラウンドでディープフォレストは花を残すだけの状態に伐採されてしまいました。ゆんが攻撃で活躍してくれて嬉しい限りです。
★地上最強の肉食獣(笑)
敵のターンではまずタイラントレギレクスが動きます。ターゲットはランダムで決めた結果、頭部は大司教に《全力攻撃》で噛み付きます。
これが達成値29となかなか高く、【ブレスU】を入れても回避力16の大司教では6ゾロのみ成功という厳しい状況。初めから避ける気はないだろうけど。
バトエルデン「(コロコロ)惜しい、13に2足りない」←でも11出している
GM「ダメージは35点、どや?」
バトエルデン「痛い。5点も通ってしまった」←30点止めてる!?
GM「何てやつだよ」
今の大司教は【ビートルスキン】と【プロテクションV】の効果で防護点+6点されて防護点29点にはなっているんですよね。
実際は30点も止めているので<ブラックベルト>はやはり装備していると考えていいと思います。
頭部のダメージは2D+22点で《全力攻撃》を入れても2D+26点。6ゾロ振っても38点で8点しか抜けない、これじゃあお薬で完治しますね。
続いて胴体の鉤爪はゆんに31と言って攻撃しますが、現在のゆんは【ブレスU】と【ガゼルフット】の効果もあって回避力28です。
GM「《魔力撃》で−1だと指摘させてもらおう」
ゆん「お、出目3でも当たってしまう。これはピンチだ。(コロコロ)躱した」←ですよねー
《2回攻撃》の分も当たり前のように回避。続いて尻尾は残った3人に《テイルスイング》しますが伯爵は6ゾロで、マイザールは【ブリンク】で回避。
ジュエリィは大司教が《かばう》をしたお陰で無傷で済みました。ちなみにダメージは33点でした、抜けたのは僅かに3点。合計8点とお薬で治る範囲。
ついでに大司教を殴った頭部と尻尾には<渦巻き鉱のお守り>で1点お返しと散々な結果でした。
GM「これ、「地上最強の肉食獣」やねんで?」
ジュエリィ「頭に「自称」を付けるべき」
マイザール「どう見ても、伯爵のほうが強いですよねえ」
GM「了解だ。この称号、フェルディナントにくれてやる」
フェルディナント「待て、俺様はパンも食べる。さっき噛みついたゆんに譲る」
ゆん「ゆんが噛みついたのは花だよ。どう見ても草食だよ、ゆんは」
マイザール「どこをどう見ても草食じゃありませんよ」
どこぞの空の王者(笑)もそうでしたけど、この連中と絡むとプライドを粉々にされて無残に倒されていきますよね。カリスマブレイカーもいいところです。
続いて花です。まずは《分体再生》で分体を1つHPが完全な状態で復活させます。主動作では《眠りの花粉》を生命抵抗の目標値33で使います。
抵抗の目標値は28(35)なので期待値よりは低いんですけどね。これは【ブレスU】と【タフパワー】で生命抵抗力+3されてても厳しいところ。
ところが【アンチボディ】込みで生命抵抗力+7されて基準値27のゆんはギリギリ成功。ジュエリィは6ゾロで抵抗。伯爵は<赤の眼鏡>を装備していたので大丈夫。
一方大司教は生命抵抗力23に+3されて基準値26でしたが失敗しました。<陽光の魔符>を破れば抵抗できましたが高級品しかなかったので自粛。
バトエルデン「何か寝てても大丈夫そうだよな」
GM「ゆんに尻尾で撫でてもらえばー?」
バトエルデン「あ、それもありだな。15点前後みたいだし。じゃ、それ頼むわ、ぐー」
マイザール「ボクもそれでお願いしますー。ぐー」←抵抗失敗
ダメージは45点ぐらいなので大司教なら15点程度ですからね。マイザールは25点ほど抜けますけど。
本当なら敵の攻撃をもっと恐れるべきなんでしょうけど、既に危機感を感じないぐらい舐めきっています。
ちなみにタイラントレギレスクスも眠ってしまいました。生命抵抗力24(31)と決して低くはないけど厳しかったか。
最後に復活したばかりの分体がジュエリィを殴って33点ダメージです。
ジュエリィ「16点抜けた。痛ーい。【バーチャルタフネスU】で増やした分の半分以下だけど」
防護点13に【プロテクションV】で+4されて防護点17点ですね。本当はマイザールと同様に【ブレスU】で<マナコート>の防護点も+1ですけど。
2ラウンド目
まずはゆんが《魔力撃》と《テイルスイング》を宣言し、大司教とマイザールを狙います。
バトエルデン「ちょっと待てよ?あの尻尾、往復か?だと、30発ぐらい来るな」
《追加攻撃》は攻撃対象を変えることができない。《テイルスイング》は攻撃対象を任意で選ぶことができる。
つまり《追加攻撃》の時に対象から外すことは可能なので、大司教とマイザールは1回撫でるだけにしておきます。
標的は5体まで選べるので花と分体とタイラントレギレクスの胴体も狙います。
ゆん「一緒くたに寝たタイラントレギレクスの胴体。起こしていいよね?」
マイザール「きっと伯爵がまた寝かせてくれますから。永遠に」
どうせ起こしても大した被害にはなりませんしね。どう見てもゆんの尻尾の方が凶悪です。
これが分体以外には命中です。まずは目覚ましにマイザールのダメージが47点とか出ました。
マイザール「ぐばあ。26点通った。20点以上防護点あるのに、何すか、これ」
バトエルデン「身体がくの字に折れ曲がっとる」
GM「痛いだろう。でも、伯爵はこれの倍は痛いんだぜ」
ゆん「あ、ごめん。炎が弱点とか、炎に弱いとかないよね。6点減らして」
あとは【ストロングブラッド】も入っているので更に5点減らせます。15点だと思うけど本編では13点ダメージになっています。
大司教には41点ほど叩き込んで11点通りました。やっぱり地上最強の肉食獣(笑)よりこっちの方がよっぽど効いています。
この攻撃でゆんには<渦巻き鉱のお守り>のお返しがありますね。
バトエルデン「あ、メンゴメンゴ。1点」
ゆん「それは、【プロテクションU】で消えるよね?」
バトエルデン「メンゴメンゴ、呪い属性」
ゆん「痛ーい」
ついでにマイザールの【デモンズタックス】もまだ効いているはずです。持続時間3ラウンドありますから。
その後もう1発尻尾で花、分体、胴体をしばきます。今度は全部命中して花には50点とか大ダメージを与えていました。
ゆん「そして、【フェンリルバイト】で花を攻撃。(コロコロ)命中35」
GM「(コロコロ)また、「妖怪1足りない」だよ(がっくし)」
この妖怪、サイコロを扱うゲームではあらゆる場面で出てきますよね。いるはずがないのに不思議と存在感がある。
「百鬼夜翔」的に言えばCP350点ぐらいで限定しまくった《祟る》の妖力の持ち主って感じ。一芸に秀でているタイプのイメージ。
ダメージ47点で残りHP14点。伯爵の手番を残してこれはどう足掻いても絶望。
フェルディナント「(声を作って)「2番、指名打者フェルディナント」(声を戻して)ガム、くっちゃくっちゃ」
バトエルデン「どう見ても、2番タイプじゃないだろ、お前」
フェルディナント選手の《魔力撃》《薙ぎ払い》によるフルスイングで花とタイラントレギレクスの胴体が落ちました。
ダメージは102点ほどだったとか。ノワールの時のように【クリティカルレイ】で無理やり回してとんでもないことに。
フェルディナント「ライネンは120打点打つネ。ガム、くっちゃくっちゃ」
マイザール「契約金よろしく」
残るはディープフォレストの分体とタイラントレギレクスの頭部です。まだ分体があるので《魔法制御》は無効です。
しかし《魔法収束》は有効ですし、それに対応した秘伝も有効。そこでマイザールは《ティルダンカル光魔二条》を宣言します。
マイザール「分体とタイラントレギレクスの頭部に、【メテオストライク】!」
バトエルデン「メテオって収束できたんだ」
ついでに【スフィンクスノレッジ】と【ブリンク】も使用。これで【ブレスU】の効果も含めて魔力は+4されて魔力30!
マイザール「(コロコロ)達成値40」
GM「(コロコロ)妖怪1足りない。どゆこと?さっきからずっとなんだけど」
固定値のタイラントレギレクスも抵抗できませんでした。これによるダメージは48点でディープフォレスト撃破!
この時点でタイラントレギレクスの頭部は残りHP62点。心許ない状態で残った人達の猛攻に晒されます。
大司教はジュエリィを《かばう》しつつ《マルチアクション》による【ゴッドフィスト】と近接攻撃でシバき倒します。
ジュエリィは【トルネード】をお見舞いします。その結果残りHPは頭部が1点で尻尾が5点と器用に残りました。
相手に手番が移りますが、どう考えても次のラウンドはもたない。それどころかこのラウンドも危うい。
GM「大司教かジュエリィにいったら、<渦巻き鉱>エンド」
フェルディナント「バッドエンドも極みだな」
GM「(コロ)ゆんだ」
マイザール「そこは《カウンター》エンドですよ」
頭部の命中は固定値だと29でしかない。さっきから余裕で達成値30を越えているゆんには餌でしかありません。
仮にマイザールに行っていたとしても【デモンズタックス】エンドですね。結局無傷で済むのは伯爵だけというこの絶望感。
案の定ゆんの《カウンター》は成功しました。しかも<レッグ・オブ・オナー>によるキックのカウンター。
フェルディナント「想像してみよう。噛みついてきたタイラントレギレクスの顎を蹴り上げるグラスランナー」
バトエルデン「しかも、上顎まで割れてるで」
GM「砕かれた何かが脳髄までぶっささりそうな勢いだったな」
タイラントレギレクスからは<鋭い牙>という戦利品が自動で2D個取れますが、これが僅かに2個でした。
どうやらゆんが牙を蹴り砕いてしまったようですね。それに対してディープフォレストの戦利品は豊作でした。
自動で<救命草>と<魔香草>を2D個落とす上に、出目7以上で<森の奇跡>という高級食材が1D個取れます。
ただし売却価格2000ガメルだったのでその場で粗製のカードにしてしまいました。緑のSランクカードになってパラミスに役立つ。
★そして、師匠はもっふもふ
戦闘後、大司教は【ファンテイン】で1時間水浴をして回復します。
バトエルデン「ふー、戦闘が終わるとルーフェリアでよかったと思うんだぜ」
マイザール「温泉回復便利ですよね」
バトエルデン「でも、ここだけの話、戦闘中はザイアのほうがいいなあ、何でやめちゃったかなあって思っちゃうんだぜ」
GM「本当、神様ないがしろなパーティだな」
ザイアの特殊神聖魔法は仲間を守ることに特化したものばかりですしね。
回復後に一行は更に森の奥深くへと進み、そこでジュエリィの師匠である体長2mの巨大なフクロウに遭遇します。
マイザール「何です、それ?」
GM「ボツ魔物シリーズその2です。魔物知識判定してください。ちなみに知名度は20で、弱点はなし」
ジュエリィ「ちっ」
GM「今、舌打ちした?」
ジュエリィ「弱みを握れないなんて」
これで師匠がククという幻獣であうことが明らかになりました。
ククは17レベルの幻獣です。カルディアに生み出されたとされ、極めて高い知能と豊富な知識を持つことから「神翼の賢者」と呼ばれます。
真語、操霊、深智、神聖、妖精、召異の各系統の魔法を15レベルの魔力22で使用し、全ての占瞳を基準値22で使用できます。
また《魔法制御》《鷹の目》《マナセーブ》《ワードブレイク》に各種《魔法拡大》《MP軽減》を網羅した《魔法の化身》を持ちます。
何かを隠したり偽ろうとする判定を自動的に失敗させる《完全なる知》を持ちます。その代わり近接戦闘手段は皆無、防護点0でHP9しかない。
ただしククに与えられる適用ダメージは「クリティカルの回数」点のみになるという《叡智の守り》という特殊能力を持ちます。
乱数を伴わない効果や、HPの最大値を変更する効果、ダメージ以外でHPの現在値を変更する効果等は一切無効。適用ダメージが0なら特殊効果も無効。
仮にHPが0になったとしても即座にHPが9点に回復し、しかもこの効果を生涯に9回まで使える《九つの生命》を持ちます。
以上のように力押しは通用しません。仮に伯爵が100点以上の物理ダメージを叩き込もうとも、クリティカルが1回なら1点ダメージ(笑)
フェルディナント「負けはしないが、勝てないなあ」
GM「いや、勝つ必要ねえだろ」
多少HPが減ってもちょっとキュアすればやり直しですしね。1回の手番で9回クリティカルを起こしてようやく残機を1つ減らせる。
仮に【クリティカルレイ】SSランクを山のように持った集団が襲ってきても、その時はすぐに気づかれて魔法で逃げられるでしょうしね。
能力的にも厄介ですが、もっとマズイのは元ネタが同名のイタリアのカードゲームであることがすぐにバレるということ(笑)
このゲームにおいてフクロウの絵が書かれたカードがククであり、「私は全てを明らかにする」のコピー通りに原則的に最強のカードらしい。
ただしククのデータについては後に「イグニスブレイズ」に収録されました。ディープフォレストはまたも見送られたようですがね。
ジュエリィ「というわけで、これが師匠です。相変わらず反則ですね」
クク「お前もたいがい反則に育ったようだがな」
バトエルデン「さすがジュエリィさんの師匠、強烈ですな」
ジュエリィ「でしょー。この脇の下のもふもふがいい感じなんだよ。もふもふー」
ゆん「ゆんもゆんもー、ふわふわー」
これはエアとかソラに見つかってもモフられること必至ですね。反応としては友好的でも敵対的でもない種族なのでいきなりモフるのは微妙ですが。
ただこのククという幻獣はへりくだると知識を授けてくれることがあるらしく、付き合い方によってはジュエリィみたいにいい関係は築けるでしょう。
もっともスフィンクスよろしく謎めいた答え方をする習性があるらしいので、結局は付き合う側も理知的でないとその力を活かせないでしょうが。
ちなみに多くのククはカルディアに連なる者としてなのか、キルヒアを信仰しているらしい。
フェルディナント「同じ賢神キルヒアに仕えるものとして、挨拶しておこう」←一応15レベル
クク「あ、わしはクスだから」
フェルディナント「何でえ。後ろ向いて、ぺっ」
クク「隠し立ては結構だが、「後ろ向いて、ぺっ」とか、わしには全部見えてるからね」
フェルディナント「おおう」
バトエルデン「ちなみに、クスはキルヒアゆかりの女神だぞ」
フェルディナント「あうあう」
"秘隠神"クスは第三の剣カルディアに連なる女神であり、キルヒアに神格を授けられたとされる大神です。
神紀文明時代においてはカルディアのありかを知り、謎かけや迷宮といった知恵によって始まりの剣を守っていたとされています。
そのため信者も謎かけやパズルを好み、易々と真実を知られないように謎めいた言い回しをすることを好みます。
特殊神聖魔法も物事を隠すことに特化したものが多いようです。そういう意味ではククにぴったりの神様ですね、偶然にも名前も似ているし。
ジュエリィ「ごめんね師匠、失礼な友達で」
クク「わかっているよ。古人に曰く「類は友を呼ぶ」」
マイザール「他人事みたいに。そういう弟子を育てちゃったことに対する責任をどうお考えです?」
クク「ん?古人に曰く「お前が言うな」」
トラヴィスのことも知っているようですね。《完全なる知》は何かを隠す判定を自動的に失敗させるのであってここまでの力はないはず。
あるいは特殊能力として明記していないだけで、クリスタニアの悟りの民のように物事の真実を知る力まであるのかもしれない。
確かに説明文にはあらゆる未来を見通し真実を明らかにするとはありますが、本当に文字通りその力があるなら便利なんてものじゃありません。
クク「師匠が悪いと弟子も悪く育つな、気をつけような」
マイザール「今さらですけどねー」
クク「今さらかもしれないなー」
バトエルデン「何でそこが意気投合しとるん?」
何だかこのククは種族一般の性格よりも大分砕けた性格を持った個体のようですね。彼とジュエリィが出会った経緯を知りたいものです。
さて、今回師匠がジュエリィを呼び出したのは"絶望のサーペント"と"希望の鋼麟"に関することでした。
クク「ジュエリィはわしの一番の弟子と言っていい。古今のあらゆる記録伝承に通じているだろう。
だが、わしは記録されていないことまで知ることができる。どや」
バトエルデン「どやって」
クク「この能力ないと、もう師匠ヅラとかできんわぁ。妖精魔法とか、完敗だし」
ククの知力ボーナスは推定+7ですから、魔力だけはジュエリィに分がありますね。それにしても魔動機術以外の全系統を15レベルは凄いですよ。
一系統あたり経験点にして8万点ですから真語、操霊、神聖、妖精、召異で40万点分。更にミスティック技能15レベルとすると6万7000点加算。
合計で46万7000点分の能力は最低限あるわけで、それに加えてセージ技能関係の判定には基準値すら必要としないと考えると凄まじいものがある。
魔法使い系技能を持つあらゆる人の師匠になれるだけのスペックはありますね。実際2匹の蛇についてはジュエリィですら自力では正体を見抜けないし。
ククの説明は神話以前に遡ります。それは始まりの剣が神はおろか人を生み出すよりも前の世界創造の時代です。
始まりの剣はこの惑星に植物、動物、幻獣という順番に生命を生み出していきました。人が生み出されたのはその後で、神は更にその後というのが面白い。
これは始まりの剣が自分達を手にすることができる存在を求ていたからだと言われています。剣である以上は使い手が必要ですからね。
しかし植物は自ら動くことができず、動物は剣を扱うだけの知能がなく、幻獣は剣を握るための手がなく、足りないものを足し合わせた結果が人でした。
その過程で始まりの剣は一匹のおぞましい幻獣を生み出してしまいます。剣と幻獣の間では"イグニスの輪環"、後の人族には"絶望のサーペント"と呼ばれるものです。
フェルディナント「ドクン。神より古き獣だと。心拍と体温が上がるぜ」
蛇は世界を食い尽くそうとしましたが、始まりの剣は新たに"カルディアの碇"という封印の能力を持つ幻獣の群を創造し、蛇を封印することに成功しました。
ところが蛇の封印が魔動機文明時代に破られてしまいます。蛇は長い年月をかけて自らを繋ぎ止める幻獣を食い続けて戒めを解いてしまったのです。
しかし既に始まりの剣は行方不明、古代神や大神といった強大な存在も戦で力を使い果たして天界で眠りについていたので、彼らが蛇を止めることはできません。
バトエルデン「せやな。世界には木っ端みたいな小神しかいな……何やと!」
クク「その頃には、君の女神は、まだ存在すらしていなかっただろう?」
バトエルデン「ああ、そうだった。いれば、楽勝だったのに。残念」
マイザール「ルーフェリアが某ダメ神みたいになってますよ」
ルーフェリアはまた微妙なところですね。ぶっちゃけるとまた相手は25レベルなので魔法王と同様に勝てないかもしれない。
ダメ神ことユリスカロアの場合は一応古代神ですし、本気で戦うことができれば35レベル以下は瞬殺できますから本当に楽勝でしょうね。
そんな状況で世界を守ろうとした魔動機文明時代の人族は"希望の鋼麟"を建造し、"絶望のサーペント"と戦わせようとしたというのは既知の通り。
ところが「拙速は巧遅に勝る」といった言葉に押し切られる形で不安定なまま実戦に投入され、暴走してしまったというわけです。
ジュエリィ「制御盤の愚痴はそういうこと?」
バトエルデン「早すぎたんだ、腐ってやがる」
そして2匹の蛇はお互いを食い合いながら海に没し、近々地上に戻ってくるという未来をミスティン姫が夢に見たというわけです。
クク「わしの占いでも、近日のうちに2匹の蛇は復活する。蛇の輪は解けた」
バトエルデン「何で?」
クク「顎が疲れたのだ」
ジュエリィ「師匠ー」
これは「互いが互いを封じ合う魔力が衰えた」ことをクス風に、判じ物みたいに言っただけのようです。
ということは300年以上に渡って2匹の蛇は互いに顎を離さなかったわけで、千日戦争みたいな感じになっていたんですね。
いくら幻獣と機械だからってその間補給無しで戦い続けたとすると物凄い話です。特に魔動機械の方は耐用年数とかどうなってるんだ。
ククが弟子とその仲間達を集めたのは2匹の蛇に対抗する手段を見つけてもらうためです。
それはフェイダン地方の"帳の島"エイデルにあるクスの古い神殿にあるそうです。
なら初めから使い魔に情報を持たせてゆんを動かせばわざわざリーデン地方まで来る必要はなかったんですよね。
でもこのメンバーだけに直接話をしかったというのと、回りくどいのが好きだという習性があるから仕方ないのです(笑)
★まずは成長申告
前作と違って今回は毎回成長申告があります。能力値の成長はあるのかないのか不明ですが技能の伸びはあります。
貰える経験点はぞんざいズと同様に「基本の1000点+倒した魔物の経験点」なのですが、このパーティだとそれが凄い量になります。
前回倒したのは23レベルで七部位が1体で1610点、18レベルで三部位が1体で540点。合計して2150点にもなりますね。
ついでに前作で倒したミスリルゴーレムの分を渡し忘れていたらしくそれも加算。20レベルで四部位が1体なので更に800点追加されます。
よって合計は1000+2150+800=3950点です。1ゾロやこれまでの端数を入れると4000点を越えるぐらいです。
マイザール「これのセッション参加しちゃうと、しばらく普段の感覚が狂っちゃうんですよね」
4000点もあるとAテーブル技能なら7→8レベルに、Bテーブル技能なら8→9レベルにできちゃいますね。
ぞんざいズですらそれだけ貯めようとすると数回のセッションとかなりハードな戦闘があったものですが、それがこうもあっさりと。
どうやらこれでマイザールはデーモンルーラー技能を10レベルにできるらしい。そのためには6000点必要なので微妙に計算が合いませんが。
マイザール「【デモンズオーラ】が使える。大司教、ボクの《魔神の苗床》になってくれません?」
バトエルデン「何を言い出すんだ、お前は!」
マイザール「大丈夫ですよ。セッション終わる時に【パーフェクト・キャンセレーション】で消しますから」
バトエルデン「自分の身体でやれ」
しかし自分で自分に埋め込むのはできないらしい。それをやると命令系統がややこしくなりそうだし、止めておいたほうがいいでしょうね。
ルール上は10分間対象が動かないでいる必要があるらしい。そのため植え付けには拘束したり、寝込みを襲ったりといった手間をかけるんだとか。
そこまで難しい作業だと自分で自分に埋め込むというのも純粋に難しそうですね。自分で自分をオペするブラックジャック先生でもないとね。
マイザール「15レベルのピュア・ソウルなんてなかなかないんですよ。お願いします」
フェルディナント「大司教、ボクと契約して<魔神の苗床>になってよ」
バトエルデン「メリットないだろ、メリット」
マイザール「だから、【デモンズオーラ】ですって」
これは10レベルの召異魔法で、<魔神の苗床>もしくは魔神を強化することができます。命中・回避・行使・物理ダメージに+2点です。
更に物理ダメージと魔法ダメージを−2点します。特に制限されていないので毒・病気・呪い属性にも有効だとしたらプロテクよりいいですね。
バトエルデン「やったっ!って、揺らぐなよ、俺。ルーフェリアが破壊される」
マイザール「しかたないな。では、今回の成長は保留です」
同様にジュエリィとゆんも保留。あと1回成長の機会があるので様子を見ます。この分だと次も同じぐらい貰えたら7000点ぐらいになるし。
伯爵はエンハンサー5→6にして【アンチボディ】を習得しました。何だか昔は使えていた気もしますが気にしてはいけません。
大司教はウォーリーダー8→9にして【鉄壁の防陣W:無敵】を習得しました。
バトエルデン「まあ、全員に《カウンター》つける【反攻】のほうが使う機会がありそうですが」
GM「何を言っているんだ、お前は」
ランク4の鼓咆を受けると、通常の効果に加えて覚醒効果というものを使用する権利が得られます。
鼓咆の効果を受けているキャラクターは任意のタイミングで覚醒効果を使用できますが、1回使えばそれで権利は失効してしまいます。
ちなみにランク5になるとかなり強力な効果を得られる代わりにその持続時間は短く、一瞬とか1ラウンドといった時間しか使えません。
もっともランク5を習得するには最低でも10レベルが必要なので今の大司教には手が届きませんけどね。ランク3〜4は5レベル以上で習得できますが。
【鉄壁の防陣W:反攻】は防護点+3点に加えて、任意の武器で《カウンター》を使えるようになる覚醒効果が得られます。
【鉄壁の防陣W:無敵】は防護点+2点と魔法ダメージ−2点に加え、【ホーリー・ブレッシング】と同様の追加HPが加算される覚醒効果を得られます。
同じランク4でも前者は物理攻撃に対する方向に特化し、後者は防護点の追加こそ少ないものの魔法に強くなる上に追加HPまで得られる。
例えば反攻の効果を受けた伯爵に殴り返されたらひとたまりもないし、手っ取り早く全員を頑丈にさせる無敵も捨て難く、状況に応じて使い分けたいところです。
★カイン・ガラの誓い
"ティラの樹海"で幻獣ククから2匹の蛇の真実を教わった一行でしたが、今回の導入ではまだククの住処にいます。
ジュエリィ「ワタシ、嬉しそうに羽根の中に潜り込んでます。「ここがいいのよ、ここが」」
クク「大きくなったなあ。昔は小さかったのに」
ジュエリィ「その「昔」がどのくらいかは言っちゃダメだからね」
クク「まあ、クスの神官だから。隠すべきは隠すよ」
フェルディナント「ジュエリィにも小さい頃があったのか」
マイザール「奇遇ですね。ボクも同じことを思ってましたよ」
ナイトメアの年齢は分かり難い上に寿命自体不明ですしね。中には魔動機文明時代から若い姿のまま生きているナイトメアだっているので見当もつかない。
ジュエリィがどういう人生を歩んできたのか非常に興味深いけど本人は絶対に明かさないんでしょうね。経歴が不明という点では大司教以外は全員そうですけど。
追加で質問したいことも特にないのでマイザールの【テレポート】でフェイダン地方へ帰ることにしました。
マイザール「なあに、ここはもう覚えたんで、忘れ物あっても一瞬で取りに帰れますよ」
クク「引っ越そうかな」
マイザール「ちょ。何で?」
クク「居場所を知られてるの気持ち悪いもん。わし、クスの神官だし。あと、ここ、番人いなくなっちゃったしね」
番人と言ってもディープフォレストはククが作ったものではありません。流石のククもそこまでのことはできないようです。
ただ面倒な訪問者を寄せ付けない場所を選んで引っ越しているだけです。ククの今までの能力を見る限り難しくはないでしょうね。
あとマイザールは今後自由にザルツ地方やリーゼン地方に来られるようになりましたね。これだから高レベル魔術師というのは厄介です。
それ以上に恐ろしいのは引きこもることに対するこのククの執念です。
クク「引きこもることに関しては、誰にも負けんぞ」
ジュエリィ「さすが師匠」←研究で引きこもる人
マイザール「引きこもりマイスターの技か」←迷宮に引きこもる人
ジュエリィ「塔とかダンジョンとか、かわいいものなのよ」
訪問する人にとっては堪ったものではありませんけどね。もっともその訪問者すらいないのが真の引きこもりですが。
この分だとジュエリィは自分の意思で師匠に会えなくなりそうですけど、これまでもそれで特に問題なかったので別にいいでしょう。
どうせまた用事がある時は師匠の方から呼び出してくるだろうし。ただ今回の難易度を見るにジュエリィ1人で訪問するのは危険なんですが。
【テレポート】で移動する先はカイン・ガラです。どうやらマイザールはエイデルには行ったことがないらしいので直接は飛べないのです。
これは平和な時に積極的に各地を歩き回った方がいいですね。カイン・ガラは流派に入門した時に行ったことがあるらしいので大丈夫。
マイザール「では、飛びます。拡大して一発振り。(コロコロ)成功〜」
ゆん「どさどさどさ〜」←ベタな瞬間移動
フェルディナント「折り重なるようにして現れる俺様たち」
ジュエリィ「ただいまー。友達連れて来たよー」
カイン・ガラの住人「な、何事!?」「わー、有名人だ」「ざわ……ざわ……。何事なんだ?」
これだけの英雄が一緒に行動しているとなると一般人には不安でしかない。どう考えても大きな事件の前触れです。
しかし彼らを無視して一行は例の地下遺跡へ向かいます。既に結構長い期間留守にしていたので制御盤の状態が気がかりなので。
何しろ飛空船でロシレッタまで3日で、そこから2つの地方を旅してきたのだから半月から一月ぐらいは余裕で経過しています。
そうなるとルーフェリアの国をその間がら空きにしていたのはかなりマズかったですね。国のトップが一月不在とか危険過ぎる。
フェルディナント「俺様は、マルコに後を託してきたぜ」
ジュエリィ「もともと、責任者じゃない」
ゆん「そういうしがらみ、何もない」
バトエルデン「ひょっとして俺だけ?」
マイザールは例のダンジョンを放置していることになりますね。いっそ崩落してくれていた方が世のためですが。
幸い留守中にフェイダン地方で大きな事件は起きなかったようです。フィルゲンが攻め込んできたり、2匹の蛇が暴れたりとかもない。
地下遺跡ではルメットとムンドゥの2人が未だに不毛な議論を続けていました。一月ずっと続けていたとすると逆に仲いいだろあんたら(笑)
まぁ殺伐とした方向ではあるんですけどね。
ムンドゥ「お前のやり方では、5年、いや10年かかっても何もわからん。実験に移るべきだ」
ルメット「バカを言うな。取り返しのつかないことが起こったらどうするんだ」
ムンドゥ「恐れすぎだ。こういうものはトライ&エラーだ」
ルメット「貴様!俺の一番嫌いな言葉を言ったな」
ある程度試行錯誤するのも時には必要ですが、今回はリトライできないどころか、また文明をリセットすることになりかねません。
2人の教授にはこれが非常に危険なものであることを説明しておきます。今後のことも考えると協力してもらうべきでしょうし。
しかし授業荒らしに過ぎないジュエリィの信頼は薄かったのかすぐに信じてはもらえない。日頃の素行って大切ですよね。
ルメット「……本当ですか、大司教?」
バトエルデン「もちろん、本当です」
ルメット「なんと、大司教もそう言うなら間違いないか」
ジュエリィ「ちょっと、何で大司教だけ特別?」
確かに名誉点という意味では5人は同格です。しかし日頃から築き上げられる社会的信用というのはそれだけで決まるものじゃない。
大司教にはルーフェリア信仰と一つの国家のトップという絶大な信用があります。いくら実力があっても引きこもりの授業荒らしとは違う。
逆に言えばその一言は非常に重いものなんですが、大司教は公的には上手いことやっているようです。冒険中はとてもそうは思えないけど。
同様に怪しいダンジョンを作り続けるマイザールや、流れのグラランであるゆんも大した社会的信用はないでしょうね。名誉はあるんでしょうけど。
フェルディナント「この"闘神"フェルディナントも、大司教の言葉を肯定しよう」
ルメット「アイヤールの伯爵までそう言うなら、ますます間違いなさそうですね」
マイザール「この2人「だから」信じられるって?そんなバカな。逆でしょ、逆」
社会的信用、それは外面の良さと同義なのかもしれません(笑)
ルメット「は!?伯爵がそう言うということは、ついにディルフラムが侵攻してきましたか?」
フェルディナント「ディルフラムだったら、まだ楽だったんだが、もっとヤバい」
ルメット「えー!?」
フェルディナント「それが、このコンソールに関わっている。だから、触らないほうがいい」
バトエルデン「そうだな。唯一、それで「よいこと」があるとしたら、ディルフラムもろともになくなることかな」
ルメット「な、な、何と。どういうことです?」
ここで2人の教授にはククから教わったことを全部話してしまいます。その反応は2人とも違う感じでした。
ルメットは顔を真っ青にして驚いている様子で普通の反応といえます。しかしムンドゥはむっつり俯いて顔は紅潮している。
ことの大きさをルメットは正しく理解してくれたようですが、ムンドゥはこの期に及んでまだ変なことを考えている様子ですね。
問題の制御盤ですが、未だに使用方法等は不明です。見た感じではあちこち壊れている様子なのでマトモに動かないでしょう。
修理するにしても相当研究しないと不可能だし、その研究自体もさっぱり進んでいない。一流の教授をもってしてもオーバーテクノロジー。
唯一の進展は別の書き込みを見つけたということです。内容は「応急緊急停止回路は逆鱗」という、これだけではよく分からないものでした。
ルメット「抜いてみたプラグの裏だったんだがね」
バトエルデン「いや、プラグ抜いたりすんなよ。抜き差しで再起動するとかありえるだろ」
ルメット「あ、うん、そうだね。ちょっと軽率だったね」
こういう会話を見ると魔動機文明時代というのは現代の地球とそう変わらない文明だったように思えますね。
普通のファンタジーだったらプラグとか絶対に出てこない類の言葉です。抜き差しで再起動とかも普通は出ない発想です。
一度そういう文明を経ているからこそ、現代が中世欧州っぽい世界であっても知識や常識はかなり進んだものが残っているのかな。
そうなると当時を知る大司教とかは凄い生活レベルのギャップを経験していそうですね。きっと大破局当時は色々なことが不便で仕方なかったでしょうに。
ジュエリィ「とにかく、その手のことは二度とやらないでください」
ルメット「わかりました。絶対にやりません。わかったな、ムンドゥ、絶対にやらんからな」
ジュエリィ「ちょっと」
それこそ振りでしかない。どこのダチョウ倶楽部だあんたら(笑)
真面目な話、これまでのムンドゥの言動を見ていると口約束では全く信用できないんですよね。信用は実績から来るものだから。
フェルディナント「なあ、マイザール、お前【ギアス】使えたよな?」
マイザール「やっといたほうがいいですよね。内容、どうします?」
これは12レベルの深智魔法で対象に何らかの禁止命令を与える。それを破ると威力0で呪い属性の魔法ダメージを受けます。
これもまたフォーセリアの頃からお馴染みの魔法ですね。バグナードがこの呪文のせいで魔法を封じられたのはあまりにも有名。
ただの行動不能状態ではなく明確にダメージを受け続けるように改訂されたという点は【クエスト】と同じですね。
もしかけるならどういう禁止命令を与えるかを明確にしないといけません。穴があったら突かれるかもしれないので慎重にね。
マイザール「【ギアス】だけでいいですかね?何なら、ボクととても仲良くなれる魔法があるんですが」
GM「まだ言うかお前は!」
マイザール「大丈夫大丈夫、生け贄にも依り代にもしませんから」
GM「何が大丈夫だ。いいか、それは「×印付き犯罪魔法」なんだぞ。発覚即逮捕もんなんだぞ」
あと行使に1時間、植え付けるのに10分と時間もかかる。特に時間もかからずかけられる【ギアス】とは違います。
まぁ種自体は事前に準備して携帯してたというのなら、後は植え付けるだけなんですけどね。絵面は完全にショッ○ーに改造される人ですけど。
マイザール「じゃあ、《血風領》に連れ帰ってやりますよ。地下で」←バレなきゃ犯罪じゃない
GM「おい、領主、最近、お前のとこの兵士の様子が変だともっぱらの噂かもな」
バトエルデン「なぜか2レベルぐらい高くなった感じ」
ゆん「「伯爵様万歳」がいつの間にか、「マイザール様万歳」に」
フェルディナント「おのれ、マイザール」
それはともかく【ギアス】はかけることにしました。口約束で世界を滅ぼされたら洒落になりませんからね。
ムンドゥ「私はここの教授だぞ。私に何かすることは、カイン・ガラとアイヤールの外交問題にさせていた……いただく……ぞ?」
バトエルデン「ジュエリィさん、ここの偉い人にはよろしく伝えておいてくださいよ」
ジュエリィ「任せて」
ムンドゥ「な、何ー!ふだんは引きこもって何もせんくせに、こんなときだけ実力者面かー!!」
そう、バレなきゃ犯罪じゃないんですよ。世界平和のためには犠牲が出ることもある、無情な話ですね。
早速ジュエリィはハル・クードのところにお願いに行きました。
ハル・クード「え?それ、人権問題って言わない?」
ジュエリィ「でもね、ことがことだからね。トライ&エラーとか言われると正直、怖いの」
ハル・クード「うーん……ムンドゥなら仕方ないか」
やっぱり評議長にもそう思われていたんですね。実は彼の素行は教授会でも問題視されていたようです。
次に何かやらかしたら懲戒解雇という話もあったぐらい崖っぷちでした。いっそその時解雇してくれていたら面倒は避けられたのにね。
マイザール「では、行きますか。「この魔動装置を起動させることに関わってはなりません」は、OKですか?」
GM「それは、厳しいなあ。ベッドであれこれ考えただけで引っかかる。死ぬぞ」
ムンドゥにとって新発見の魔動機械というのは考えずにはいられないぐらい大事なことなのです。そういうところは研究者らしいですね。
仮にダメージを受けるとしたら魔力だけで26点もあるわけなので、2回食らうと50点は余裕で越えるダメージを受けるわけですよ。
彼は9レベルでHP増強系の戦闘特技は持っていない。HPは生命力+27点となると、生命力25以下だと2回で《生死判定》突入ですね。
研究者である彼にビーチの視線を釘付けにするマッスルボディなどあるはずもなく、本当に2回以上考えたら死ぬ。
マイザール「じゃあ、「この魔動機から半径500m以内に近づくな」で」
フェルディナント「上空も地下もダメだぜ」
彼にとっては自分で起動させるから意味があるのであり、仮に弟子に命じて起動させたとしても意味がないようです。
よって本人を制御盤に近づけないようにすれば悲劇は防げると判断しました。人権無視するなら監禁しても良かったかもしれないけど。
というわけでムンドゥを学長室まで呼び出して宣誓させ、同時に【ギアス】をかけることにします。
マイザール「そして、頭をぐわし」
ムンドゥ「ぐわあ」
マイザール「食らえ、【デモンズシード】!」
GM「違うだろっ!」
一応精神抵抗はしたものの、魔力26に対して精々12〜13といった精神抵抗力では抵抗できるはずもなく、魔法は成立しました。
あとはルメット教授にも念押しして、看板を立てて部外者の接近を牽制します。学長とジュエリィの連名で「破ったらひどいよ?」と。
これならいくら好奇心旺盛なカイン・ガラの学生でも立ち入れないでしょう。
ゆん「それでも、ゆんは入るけど」
バトエルデン「やってくるのは妖精王か、はたまた魔神将か」
フェルディナント「ゆけ、ゲルダム」
ゆん「キミに決めた」
ゲルダム「待てこら。俺は、お前らの味方じゃないぞ。あまつさえ、カプセル怪獣とかポケモン扱いとか、どういうことだ」
ここでポケモンよりカプセル怪獣を先に出すあたりは流石です。清松先生分かってる。
★エイデルへ
クスの神殿についてはジュエリィが連続1ゾロを振らなかったので知っていました。エイデルの未開地を抜けた先に遺棄された神殿があるらしい。
バトエルデン「いっそ、ここでクラウンU世号をレンタルしようかとも思うが、金がなあ……」
騎獣は高価なのでお金がない場合はレンタルという方法もあります。レンタル料は購入価格の1/10になります。
ドラゴネットの場合は価格10万ガメルなので1万ガメルでレンタルできますね。レンタルを11回行うと騎獣を自分のものにすることができます。
ただし途中で死なせてしまった場合はやはり11回分の賠償金を支払わねばなりません。一括でお金を用意する場合と違って余分にかかるんですね。
でもU世って魔法王と戦った時のあいつですよね、多分。リビルドしたのでリセットされてはいるものの、あいつがいたという歴史まで消えた訳ではない筈。
それはともかく出発前にお買い物をしておきます。アメリアからも1人5000ガメルの謝礼が出ています。
GM「彼女には、これがギリギリだろう。何と言うか、「1人2人ゲストに来て」と言ったら、「グループで来た」勢いだったな」
バトエルデン「「中居君来て」と言ったら「SMAPみんな来た」」
本来このレベル帯の報酬の目安というものはありません。「ルールブックU」には10レベルぐらいまでは載っていますけどね。
10レベルでも1人あたりの報酬は1万ガメルですが、アメリアの依頼自体は飛空船に乗るだけなのでこんなものです。
当時は「ルールブックV」に11レベル以上の相場が載るかと思っていたんですけどね。フォーセリアの頃のように計算式とかないものか。
あとは前回の戦利品を売って購入資金の足しにします。実はタイラントレギレクスから<暴竜の牙>という4200ガメルする戦利品を剥いでいました。
マイザール「1人あたり2400です。いつの間にか物言わぬ骸になっていた爬虫類から拾いました」
ゆん「尻尾振ってたら、たまに当たってたの。「あれ?今、違うのに当てた?」」
バトエルデン「全然そういう思想じゃないんだが、動物保護団体の気持ちがちょっとだけわかった」
完全に通りすがったトカゲ扱いです。地上最強の肉食獣(笑)というイメージがもう離れなくなりつつありますね。
それとジュエリィは今更ながら【ルシェロイネ魔導術】に入門します。主に<スパイラルホワイトロッド>目当てに。
マイザール「ずっとカイン・ガラにいたのに、【ティルダンカル古代光魔党】のほうが先とか」
ジュエリィ「ふんふん、なーんだ簡単だね。ザルツの【ティルダンカル古代光魔党】に似てますねー」
GM「道場荒らしにしか見えん」
ジュエリィ「あれ?壁にマイザールの名札が掛かってる。「名誉師範」って何これ?」
GM「生意気言ってすみません。流派の宣伝のために、是非お名前をお貸しください(平伏)」
秘伝はどうしたかは不明です。習得するにしても戦闘特技の取り方から言って《ルシェロイネ魔導収束》しか使えませんけど。
<スパイラルホワイトロッド>はAランク装備ですが、ちゃんと《武器習熟/スタッフ》を取っているジュエリィなら使えますね。
最初は杖なんて持ってないのに何で取っているのか疑問でしたけど意味がありましたね。まさかこういうことを想定していたんだろうか。
買い物が済んだところで船をチャーターします。どこでも顔パスな上に優先されるので全く問題なし。
ゆん「どっぽーん」
ジュエリィ「飛び込んだ!?」
ゆん「ゆんは、横で泳ぐよ。<カエルの足>だよ」
《冒険者判定》の「水泳」に+2の効果がある4000ガメルの品です。ゆんってこういうの好きですよね、ソラみたいに。
試しに判定させてみると達成値36とか叩き出します。基準値28なので出目8、さして高くもない筈なのにこの出来栄え。
ゆん「船の横をざばざばぴょーんぴょーん」
GM「いいから、さっさとオリンピックでも行きやがれ、だな」
波の高い海では目標値13ぐらいで1分ごとに判定するわけですが、これなら1ゾロ振らない限り嵐の海でも泳げそうですね(笑)
バトエルデン「俺は、海を渡るのは初めてかもしれん。ずっと鎖国してたからな」
フェルディナント「そうか、淡水の大司教だったな」
マイザール「塩水だと生きられない」
最近海賊達にも信仰されはじめているそうだし、その内どっちもいけるようになりますよ。
そうこうしている内にエイデルの波止場に到着。本当に移動時には事件が起きませんね。
ゆん「シャチを抱えて上陸」
ジュエリィ「ビチビチしてる、ビチビチしてるよ」
バトエルデン「ちょっと動物保護団体の気持ちがわかってしまった俺が言う。帰してやりなさい、海へ」
ゆん「せっかくトモダチになってたのにな。じゃ、またね〜」
「海へお帰り」とばかりに放流してもどこぞのアライグマと違って感動は微塵もない。海の王者(笑)もこんなものか。
さて、ここから目的の神殿までは道なき道を行かねばなりません。
GM「現地の民を探し出して案内を頼むか、何か大胆な方法でショートカットするかだな」
マイザール「【ディメンションソード】!ずばぁ」
バトエルデン「大胆すぎるだろう」
ここで大司教はアインベフを頼ることにします。実はぞんざいズから報告を受けていたので知っているらしい。
フェルディナント「行くのはいいが、ここの幻獣たちは、ここの住人みたいなものだからな。
あんまりバシバシ倒してしまうのもどうなんだ?」
バトエルデン「倒すとか言ってねえし。血が騒ぐのはわかるが」
フェルディナント「だって、経験点と戦利品が」
バトエルデン「こらこら」
フェルディナント「は、俺は何を!?いかん、この<ガイスター>の呪いか。血を求めている、こいつが」
バトエルデン「ストームブリンガーか、それは」
この島の竜は幻獣達の守護者なわけで、そんなことをすると確実に案内はして貰えない。それどころか敵対しますね。
とはいえ名前のあるグレータードラゴンであるアインベフでも精々20レベル。このパーティなら楽勝ですけどね。
バトエルデン「全然いけるな」
ゆん「ごめん、勝った」
バトエルデン「僕の騎獣になってよ。とか一度言ってみるか」
GM「改めてとんでもねーな、お前ら」
今のところグレータードラゴンの騎獣データはありませんね。その内解禁される時が来そうではありますが。
ただ25レベルのエルダードラゴンが出てくると分かりませんね。名前のある個体となるとなかなか危ないかもしれない。
エンシェントドラゴンにいたってはどれだけの力があるか未知数ですね。流石にそこまで行くと本当に勝ち目はないかもしれない。
フェルディナント「では、この<ガイスター>を抜いておくか。むにょーん。むにょーん。おん、うぉん、おん、うぉんうぉん」
マイザール「何ですか、その怪しい音は」
フェルディナント「魔物が近寄らなくなるんだぜ、これで」
ゆん「怖い、怖いよ伯爵。ゆんでも怖いよ、それ」
実はこの<ガイスター>は以前使っていたのとは別物です。ディルフラムで入手したものらしい。
フェルディナント「俺のお抱えのセージ、カッコ2レベルカッコ閉じるに鑑定させたら、
「んー、<ガイスター>じゃねっすかねえ?」と言いやがるから、前のと交換したんだが。
ちなみに、マイザールは何も言ってくれない」
マイザール「<ガイスター>ですよ。ニヤニヤ。ね、ジュエリィさん」
ジュエリィ「うん、<ガイスター>だよ。そういうことにしといたほうがいいよ。王宮に接収されるの、イヤでしょ?」
フェルディナント「え?あ、うん。そうだな」
ジュエリィ「それはそれとして、鞘にしまってね。その<ガイスター>にしといたほうがいい魔剣」
そもそも普通の<ガイスター>だって使うとHPを削るわけで、ある意味呪いの魔剣なわけですけどね。
しかしこの魔剣はそれに輪をかけて危険な様子です。ていうか勝手にとんでもない設定を生やしちゃってどうするんだ(笑)
そうしていると魔剣の気配を察したらしいグレータードラゴンが飛んできます。アインベフではないようです。
ドラゴン「あの、仲間が怯えてるんで、それ、遠慮してもらえません?」
フェルディナント「おおっと。そんなにヤバいのか、この剣」
ドラゴン「私でも怖いくらいです」
フェルディナント「なら、鞘にしまおう。「これでいいか?」」
ドラゴン「ありがとうございます」
随分腰の低いグレータードラゴンですね。多分実力では勝てないということを察して下手に出ているのではないかと。
ここでアインベフではなくこのグレータードラゴンに案内を頼んでみます。
バトエルデン「では、ツヴァイベフ殿、カクカクシカジカでな」
マイザール「え?そんな名前?」
それじゃあ他にもドライベフとかもいるんだろうか。
事情を話してみるとツヴァイベフはクスの神殿の場所を知っているらしく、乗せていってもらえることになりました。
ツヴァイベフ「だって、ここ荒らされたくないし」
ジュエリィ「荒らしてないよ」
ゆん「そうだよ。シャチは海に帰したよ」
バトエルデン「弱い幻獣が怪しい波動に当てられたぐらいですよ」
ツヴァイベフ「とりあえず、それはここでは抜かないでください。ほら、プーカが泡吹いて倒れてるじゃないですか」
放っておくと仲間がやられるし、かといって実力で排除することはできないとなると、積極的に協力して早々にお帰り願うのがいいですからね。
ちなみにプーカは4レベルの幻獣です。人間の子供の姿をしていて、基本的には人懐っこく友好的です。悪戯好きなのは玉に瑕。
妖精魔法4レベルと呪歌を使用できます。《動物変身》によってあらゆる種類の動物に変身することができます。
この島ではかなり弱い幻獣でしょうね。グレータードラゴンですら嫌がる波動に当てられたらひとたまりもないでしょう。
バトエルデン「かわいそうに。やはり、我々はここに来るべきではなかったのか。人族と幻獣の溝は深い」
ツヴァイベフ「連れていったげるから、さっさと事を終わらせて帰ってください」
フェルディナント「では、背中に乗るか」
バトエルデン「自前のクラウンU世号に乗る。くそ、あっちがいーなー」←乗ればいいだろ
ゆん「頭に乗るよー。そうじゅうかーん」
バトエルデン「おい馬鹿やめろ」
ツヴァイベフ「まともに飛べないんでやめてくださーい」
ドラゴネットの飛行速度は25なのに対し、グレータードラゴンは40もある。素直に乗せてもらったほうが早く着きますね。
ちなみにエルダードラゴンになると60にまで上がります。まぁゆんの走る速度の方が上ではあるんですけどね(笑)
そうして飛んでいると遺跡が見えてきます。これが例の神殿ですが既に建物の体をなしていない程に壊れています。
ツヴァイベフが知る限りでは神殿の地上部分には何も残されていません。
本命は近くにある毒の沼です。伝承では沼の底に入り口があり、その先にクスが匿う何かがあるんだとか。
沼となると大司教の出番ですが、毒まであると生身で潜るのは危険かもしれない。
バトエルデン「【ピュリフィケーション】できる大きさじゃないですよね?」
GM「とてもじゃないが無理。ユニットバスの小さな浴槽ですら200リットルぐらいだったはず」
バトエルデン「そうすると、100リットルはかなり少ないですな」
2リットルのペットボトル50本分と考えると沢山ありそうですが、立方体なら一辺が46cmしかありませんしね。
25mのプールですら25×13×1.5mと考えると48万7500リットルにもなるのでもう無理ですね。
しかもこの沼はプールなんて問題にならないぐらい深さもあります。自力で浄水するのは本当に不可能と言ってもいい。
バトエルデン「【エアタイトアーマー】でもあればなあ」
GM「以前はあったような気がしたんだが」
ジュエリィ「消えちゃった」←消しちゃった人
これは8レベルの魔動機術です。<マギスフィア>を毒を無効化して水中呼吸を可能とする防護服に変形させます。
あったとして人数分<マギスフィア(大)>が必要なので色々面倒ではありますがね。ジュエリィはその辺が辛くて魔動機術は捨てたらしい。
★奇獣マイザブレパス
毒沼という戦闘以外の難所を前にした一行でしたが、ここでマイザールが一つの策を出します。
マイザール「そうだ、ツヴァイベフさん、ちょっと待って。カトブレパス、連れてきてくれない?」
ツヴァイベフ「はぁ?」
フォーセリアだと伏せ目カバという名称で存在しているようでしたが。結局データは非公開のまま終わった幻獣ですね。
カトブレパスは9レベルの幻獣です。頭部が豚、胴体が水牛の姿をしていて、体長は3mほどです。
《毒無効》《病気無効》《呪い無効》という珍しい耐性を持ち、睨んだ相手を石化させる《石化の瞳》を持ちます。
ツヴァイベフ「そいつなら、この沼にいますよ」
マイザール「え?マジ?」
幻獣の島の毒沼ですからね。外敵から身を守る上でも住処にしていておかしくない場所ではあります。
試しに《探索判定》してみると沼の向こう岸に姿を見つけます。またあっさりと見つかりましたね。
ちなみにこの時の達成値はマイザールが28なのに対し、より高レベルのゆんは21しかありませんでした。
実はスカウト技能のレベルではゆんの方が圧倒的に上ですが、知力ボーナスの差で基準値は両方とも17なんですよね。
ここでマイザールは《魔物知識判定》で達成値27を出し、弱点値の20まで軽く抜きました。
この時相手は《石化の瞳》を《探索判定》をした2人に飛ばします。実は1ラウンドに2人まで睨めるのです。
しかし12(19)程度の目標値でこの2人を相手に抜けるはずもなく、カトブレパスの奥の手はいきなり破られました。
GM「効かない、ダメだ勝てない。本能的にヤバい。毒沼の中に潜って逃げる」
マイザール「放っておきますよ。9レベルの魔物を今さらどうこうする理由はない。欲しかったのは、お前を見たという実績よ。
あらよっと、【ポリモルフ】。どろん。はい、カトブレパスに変化。マイザール顔したカトブレパス」
一同「キモ」
これこそがマイザールの狙いです。《毒無効化》の特徴を活かして悠々と水中を探索しようという算段です。
ところがカトブレパスには何故か《水中適性》がない。そのくせ水中でも陸上と同じ移動力15で泳ぐことができます。
恐らくは水中でも呼吸できないし−4のペナルティも入るけど、それは息を止めて潜水するという涙ぐましい努力の結果なのかもしれない。
実際のカバも水中で呼吸はできず、鼻や耳を閉じることで4〜5分の活動が可能だそうです。重量のため泳ぐこともできないんだとか。
カバそのものではなく幻獣なんだからもっと水中活動が達者でもいいかもしれないけど、現状のデータだとあまり水中は得意ではないことになる。
となるとマイザールはこの身体でも毒は耐えられても呼吸はできず、活動時間には限度があることになってしまいますね。
仮に《探索判定》するなら10分(60ラウンド)必要なので、ジュエリィに1時間持続の【ボトムウォーキング】をかけて貰えばいけますね。
水底で活動する限りはペナルティも入らないので探索も可能。ちなみに今回のルールだとこの魔法はランク4の妖精魔法(水・氷)になります。
ただ彼1人に行かせるのも不安なので沼の毒を調べてみます。どうやら目標値25の生命抵抗に失敗すると1D6の毒属性魔法ダメージが入るらしい。
これなら生命抵抗力23の大司教は1ゾロ振らなければ耐えられる。ゆんだって【アンチボディ】を使うとやっぱり1ゾロ以外は耐えられるようになる。
今回はその「1ゾロだけ失敗」という状態なら致命傷にはならないので生命抵抗は省けます。そうでないとちゃんとサイコロを振ってもらいます。
バトエルデン「いいよいいよ。2人で行こう。手を繋いでやるから、【ボトムウォーキング】なしでいけるよ。……手を繋げるのか、こいつと?」
マイザール「今は、カトブレパス形態です。手はありませんね」
GM「ややこしいことしやがって(ボソ)」
接触していればいいような気もしますが、GMとしては「手」というキーワードが引っかかるとのこと。
これは片手を使えないというゲームバランス上の要請と、〔剣の加護〕という世界の設定からくる連想です。
そうなると剣を使うこと自体できない幻獣という種族には〔剣の加護〕が完全には及ばないという考え方だってできるわけですね。
もしそういう裏設定があるなら安易に接触でも可としてしまうのは後に矛盾を生むかもしれない。
ジュエリィ「じゃ、やっぱり【ボトムウォーキング】かけます。面倒のないように」
GM「助け舟ありがとう」
そういえばラクシアではフォーセリアの"ディクリース・ウォータープレッシャー"的な水圧軽減の魔法がないんですよね。
水中でもペナルティが入らない手段が水圧を軽減していると解釈すると、【剣の加護/優しき水】は大丈夫ということですかね。
【ボトムウォーキング】が水底でも水圧を軽減できる魔法だとしても、深海が舞台だとそこに行く前に水圧で潰されそうですね。
【エアタイトアーマー】にもペナルティまで軽減されるという記述はないし。そういう特殊神聖魔法を持つ海の神が追加されないものか。
ゆん「じゃ、ゆんの使い魔カエル連れてって。これ、魔法生物で毒無効だし。水の中動けるし」
マイザール「はいはーい……あれ?」
ゆん「……あれ?」
マイザール「これって……」
ゆん「最初からカエルに行かせればよかった?」
マイザール「ぶくぶくぶく……」
ただし沼の中は真っ暗なので暗視は必要です。ゆんの使い魔である"ぴょん"もその点では役に立ちませんね。
その点も【暗視】を持つ大司教なら問題ありませんが。
バトエルデン「マイザールもじゃないか?」
マイザール「大丈夫。ボクには召異魔法【デモンズセンス】があります」
これは2レベルの召異魔法で、目と耳が魔神ズゥールーのように大きく奇形に変化し、暗視を得るというものです。
《聞き耳判定》と《危険判定》に+2のボーナスが入るという効果もありますが、やっぱり人前で使うと犯罪になる。
なおズゥールーは12レベルの魔神で、直径30mの目玉と透明なゼリー状の身体が特徴。「カルディアグレイス」で追加されました。
マイザール「(コロコロ)目と耳が魔神ズールーのものになりますよ」
一同「キモい!」
ジュエリィ「カトブレパスの身体にマイザールの顔、ただし目と耳は魔神」
フェルディナント「どんどん危ない生物になっていってるな」
バトエルデン「並んで歩いてる俺に同情してくれ」
直視すると正気度を減らされそうですね。これは蛮族や幻獣に遭遇しても向こうから逃げてくれるかも(笑)
さて、そんな怪しい生物と化したマイザールと大司教が水底で《探索判定》をすると、クスの聖印が描かれた石碑を発見します。
そこには神紀文明語で「ここに守り隠す」とありました。しかしその周りに入り口らしきものは見当たりませんし、他に石碑もありません。
止むを得ず石碑に手を触れてみるとこれが正解でした。どうやらテレポーターだったらしく、長い廊下の端っこに瞬間移動しました。
廊下の壁にもクスの聖印が描かれていたこちらに触れると水底に戻ります。もし知らないで触ったら大変なことになる仕掛けですね。
バトエルデン「水面からここまで直接潜ろうと思うとどのくらいの時間ですかな?」
真上まで【ウォーターウォーキング】で移動し、そこから垂直に潜水するとおよそ3ラウンドで辿り着けるようです。
この程度なら呼吸も暗視も毒の耐性もなくても耐えられるでしょう。ここまで分かった時点で2人は仲間のところに帰りました。
マイザール「はいはーい。帰ってきましたよー。ざばあ」
フェルディナント「何だこのおぞましい魔物は!」
ジュエリィ「思わず魔法を準備」
ゆん「新手!?先制判定だ」
バトエルデン「待て待て、こいつは悪い魔物じゃないんだ」
マイザール「そうそう……って、ボクですよ」
確かに新手のキモい生物ではありますね(笑)
こうして毒沼の攻略法を編み出した一行はクスの神殿に突入しました。この時点でマイザールはキモい生物のままです。
★15レベルを苦戦させるもの
クスの迷宮に突入した一行は真っ直ぐな通路を進んでいくことにします。
バトエルデン「とりあえず、皆さんがかぶった沼のどろどろは、【ピュリフィケーション】できれいにしておきます」
ジュエリィ「あ、ワタシ自分でかけられる。じゃあ、<異形の面>回復できるワタシが請け負うね」
実はこの魔法って2レベルのルーフェリアの特殊神聖魔法と、ランク1の妖精魔法(水・氷)の両方にあるんですよね。
データ上も全く同じものが別系統にあるというのはちょっと珍しいかも。今までは似た魔法でも名前が違ったりしたものですけどね。
隊列の先頭はゆんではなくマイザブレパスが担当します。
マイザール「今、いろいろ耐性ついてますし」←毒・病気・呪い無効
GM「【ポリモルフ】、ヤバすぎるだろ、これ」
フェルディナント「せっかく「ウィザードリィ」気分だったのに、前がカトブレパスってどうなんだ」
バトエルデン「「W」だと思えば」
このパーティは「滅びのサーペント」事件でも一応ダンジョンアタックはしましたけど、あの時は戦闘がメインでしたね。
それに比べると今回はクスの迷宮、きっとリドル等の頭を使う障害が多いでしょう。それだけで逆に新鮮な気がします。
まずダンジョンアタックの作法として真っ暗な通路を進むにはどうするか。
フェルディナント「じゃあ、ここで」
GM「ここで?」
フェルディナント「こんなものがあったなあ、と」
GM「あったなあ、と?」
フェルディナント「冒険者セットからたいまつを取り出し、火をつける」←基本
ジュエリィ「素晴らしい」
ゆん「見えるようになったー。凄い。MPいくら使うんだろ」←使いません
何だか魔法を使った強行突破が当たり前になり過ぎていてこんなことでも新鮮。彼らだって駆け出しの頃はそうしてた筈なんですけどね。
ところが<ガイスター>は2Hな武器です。両手が塞がってしまうので戦闘中にたいまつは持っていられません。
フェルディナント「……では、前を行くカトブレパスの頭に挿しときます。『八つ墓村』みたいに」
マイザール「熱っ!熱いっ!」
ジュエリィ「ワタシが持つよ。火、嫌いだけど。あと、【フェアリーウィッシュ】で光の妖精呼んでおきます」
この魔法は今回のルールでは1レベルの基本妖精魔法という扱いです。基本の魔法は契約クラスとは無関係に従来通りレベルと表現されます。
ちなみにこの魔法は呼び出しておく妖精の属性に応じて色々な付随効果が得られるようになりました。光の妖精だと周囲10mを明るくする。
ただし戦闘中は妖精さんが帰ってしまうのは変わりません。よってこれを唯一の光源とすると開戦直後に真っ暗になってしまいます。
ゆん「ゆんは<妖精のランタン>つける」
ジュエリィ「あ、ワタシに見えない光だ」
ゆん「蛮族の中に入って遊ぶのには必須だったのよ、これ」
これは穢れ持ちには見えない光を発するランタンです。使用時には合言葉とMP消費3点を必要とする1万ガメルの品です。
穢れがあればコボルドやナイトメアといった軽度の穢れ持ちにすら見えなくなりますからね。蛮族やアンデッド相手には便利な光源です。
ただ今回の迷宮は剣の迷宮ですらなく、クスの迷宮ですしね。幻獣とか動物なんかが守護者として徘徊していたら見つかってしまうでしょうね。
これで光源は3つも確保しました。あと通路は結構広いので大司教はドラゴネットを出しておきます。
バトエルデン「前はカトブレパス、後ろはドラゴネットです。いい感じに「ウィズW」に近づきました」
これで今度こそ準備完了。いよいよ本格的なダンジョンアタックの開始です。
通路を進む一行がまず遭遇したのは十字路でした。正面・右・左のいずれも通路を少し進むと扉のない部屋になっています。
正面にはおもちゃの散らばる部屋。左には木箱の積み上げられた部屋。右には蜘蛛の巣が張ったがらんどうの部屋です。
十字路の真ん中には台座があって、神紀文明語で「逃げ込みしもの」「長く潜みしもの」「隠れ獲物待つもの」と刻まれています。
そしてその脇には猫・鼠・兎の木彫りの像が置かれています。やはりクスの迷宮だけにいきなりリドルが出てきましたね。
これは部屋・言葉・像がそれぞれ3つあることから、それぞれの関連を整理して像を言葉に合った部屋に置く類のリドルですね。
それ自体は単純で結構なのですが、実際彼らがやってみるとなかなか難航しました。戦闘よりもよっぽど強敵という気がします(笑)
部屋の中は一応《探索判定》をして達成値27とか叩き出したりしました。しかしそれでも何も見つかりません。
強いて言うなら部屋の中には像を置くのにピッタリの台座があったりしますが、それ自体は予想通りなので驚くことではない。
これだけの達成値で見つからないのなら「何もない」と考えていいぐらいです。このレベルになると話が早くていいですね。
まず言葉と像の組み合わせについては割りと簡単に決まります。
「隠れ獲物待つもの」「猫」
「長く潜みしもの」「鼠」
「逃げ込みしもの」「兎」
獲物を待つというフレーズ自体はこの中では猫が適役です。逃げ込むというだけだと鼠と兎はどちらともつきません。
しかし長く潜むのはどちらかと考えると、まぁ鼠ですかね。兎は隠れるよりダッシュで逃げて身を守る方ですし。
問題は部屋と像の組み合わせです。各部屋を調べた上で一行が最初に考えた解答は以下の通り
「蜘蛛の巣」と「猫」
「木箱」と「鼠」
「おもちゃ」と「兎」
これはこれで良さそうなものですが、残念ながら不正解です。何処からともなく「ブー」という音がしたので明白です。
ゆん「何か出てくるぞ」
GM「いや、魔物は出てきませんよ」
ジュエリィ「ちっ」
バトエルデン「経験点の亡者がいる」
今更彼らを脅かせるモンスターなんてそうそういません。いたとしてまた25レベルとかになって長期戦必至ですしね。
言葉を無視して部屋と像の組み合わせを考えると全部で6通りです。もし戦闘をやってたら最悪5回戦うことになりますね。
では何が起きるのかと言うともっと分かりやすい罰でして、GMがサイコロを振って全員に40点の魔法ダメージを与えます。
マイザール「属性はありますか?」
GM「ないよ」
マイザール「毒とか呪いとか」←自分だけ助かる気だ
GM「ないよ、そんなによければ、永遠にカトブレパスになっちまえ」
実際は各自の近くで爆発が起きる罰ゲームです。その衝撃で像も吹っ飛んでやり直しを余儀なくされます。
ダメージはリソース無限のジュエリィが【ウィスパーヒール】して直します。魔力分だけでも2回の行使で全快です。
ちなみにダメージは2D×5点なので出目8でした。ただし失敗する毎に係数が1ずつ上がっていくので間違い過ぎると大司教でも危険。
バトエルデン「さすがに痛いな。あれ?騎獣も喰らいました?」
GM「あ、そうだね。……まあ、マケとくか」
バトエルデン「もう<騎獣縮小の札>貼っときます。ぺたり」
ライダー技能10レベルの大司教の場合、ドラゴネットの頭部のHPは63点、翼のHPは41点。
今回の爆発にしてももし出目があと1つ高ければ翼が折れていましたね。次は2D×6なので出目7でも折れる、しまって正解ですね。
次に出した解答は以下の通り。
「蜘蛛の巣」と「鼠」
「木箱」と「猫」
「おもちゃ」と「兎」
はい、これも不正解です。今回は2D×6点で出目10だったので60点ダメージです。【ウィスパーヒール】3回で回復します。
次に失敗した時のダメージを警戒して、ジュエリィは以降【バーチャルタフネスU】をかけてから解答するようにします。
他の人はともかくジュエリィはHP77点ですからね。今まで20点ずつダメージが増えているので80点来ることを予想しています。
実際は2D×7点なので出目11出しても《マナ耐性》の分でギリギリ耐えられるんですが、そんなことは彼女には分かりませんから。
バトエルデン「我々も脳筋ではないところを見せないと。2回失敗している時点で、かなり脳筋ですが」
ジュエリィ「知性派で売ってるのに」
バトエルデン「結果的に全通り試すことになったりして。むしろ、そのほうが難しいですが」
確率的には1/6ですね。しかし1ゾロの6倍と考えると十分あり得ると思えてしまうのは何だかな(苦笑)
次に出した解答は以下の通り。
「蜘蛛の巣」と「猫」
「木箱」と「兎」
「おもちゃ」と「鼠」
今度も不正解です。今回は2D×7点で出目10だったので70点ダメージです。さっきから出目がやたら高いですね。
期待値なら35点→42点→49点で合計126点なのに、現在のところ40点→60点→70点で合計170点ですよ。
マイザール「たかだかあと3回で成功ですよ。ダメージもたぶん大丈夫でしょう。
問題は、全国ン万人の読者に「こいつらアホやなあ」と思われることで」
GM「俺も、ちょっと不安になってきたんだが。感性ズレ過ぎとかになってんのかと」
同じリドルでも論理パズルと違って解答の根拠が連想という主観的なものですしね。出題者と回答者の感性が違い過ぎると大変ですよね。
今回は総当りをすればその内解けるからいいものを、もし選択肢すら提示されていないタイプの問題だったら挫折するかもしれない。
解答者は「提示された手がかりによる解答」を心がけるべきだと思いますが、逆に出題者には「解答に必要な手がかりは全て提示する」義務もある。
主観を根拠とするリドルの場合はそれ自体が難しいものですから選択肢を提示するとも考えられますが、今回はそれすらもミスディレクションですね。
次に出した解答は以下の通り。
「蜘蛛の巣」と「兎」
「木箱」と「猫」
「おもちゃ」と「鼠」
今度も不正解です。今回は2D×8点で出目5だったので40点ダメージです。これで次は1/2ですね。
既に「おもちゃ」に「鼠」と「兎」を2回ずつ当て嵌めているのではずれ確定。「おもちゃ」には「猫」が入ることが確定しています。
そうなると「蜘蛛の巣」「木箱」に「鼠」と「兎」をどう当て嵌めるかです。最後ぐらいは当てたいところですが……。
次に出した解答は以下の通り。
「蜘蛛の巣」と「兎」
「木箱」と「鼠」
「おもちゃ」と「猫」
残念ながら不正解です。今回は2D×9点で出目4だったので36点ダメージです。合計246点になりましたね。
期待値だと2D×35点なので245点ですから、後半の出目の低さのお陰で期待値とニアピンですよ。良かったですね、いや良くはないけど(苦笑)
最後に以下のように解答すると正面の部屋の奥にあった扉が開きます。
「蜘蛛の巣」と「鼠」
「木箱」と「兎」
「おもちゃ」と「猫」
組み合わせの根拠としては、長く潜んでいたのは時が過ぎて蜘蛛の巣まみれの部屋ということで、他2つはどっちもどっち。
つまりGMとしては不正解を出しても精々1回だろうという予想だったようです。結果は見事に間違った方に全弾命中ですけど。
ジュエリィ「反省会、しよっか?」
フェルディナント「若い頃は、こういう謎かけは必死になって考えたもんだが、力押しになれて雑になってたな、反省」
マイザール「伯爵、自分の持ってる<聖印>をもう一度じっくり見直してみては?」
フェルディナント「お、おお!?」
こうして最初の関門を突破したわけですが、敗北感しかない。しかもまだ最初の関門でしかないというこの絶望感。
★ペーパー試験と実技試験
通路を更に進むとまた十字路がありました。
バトエルデン「もういいよ。さあ、マイザール【ディメンションソード】と言いたまえ」
ゆん「それなら、ゆんが【タイタンフット】するよ。するよ」
マイザール「それで抜けられたとしても、すごく負けてる気分です、それ」
今度の十字路もさっきのやつと同じようなリドルのようです。十字路の先に部屋と台座があります。
また十字路の中心には問題文があるのも同じですが、今回は像ではなく絵の描かれたプレートが置いてあります。
部屋はそれぞれ壁が一色に塗られているのが特徴です。正面は灰色の部屋、左は黒い部屋、右は白い部屋です。
問題文は「道に眼が光る。見つめる先は楽土」「覆い隠すものは、夜の黒、雪の白、霧の灰色」というものです。
そして3つあるプレートにはそれぞれ石畳の舗装、黒猫、派手な赤い衣が描かれています。本当にさっきの問題に良く似ています。
ただ問題文が明確に3つに分かれていたのとは違い、更にややこしくなっています。
ゆん「石畳は雪が積もったら見えなくなるんじゃないかな?黒に黒猫は、それ以外ない気がして、派手な衣の楽土は、霧に見えなくなる」
ここで出された推理はプレートの内容を覆い隠す色の部屋を選択するというものでした。基本的な考え方としては当たっていそうですね。
問題はその組み合わせですね。組み合わせはやっぱり全部で6通り、もしまた逆パーフェクトを出すとあと5回ダメージを受けます。
ダメージは前の問題から引き継いでいるので現在2D×10点が来ます。最大5回失敗で2D×14点にまでなりますね。
そうなると期待値で98点、最大値で168点もの大ダメージです。【バーチャルタフネスU】があっても本当に即死する人が出るかも。
最もHPの低いジュエリィがHP+38点しても115点ですね。あくまでも最大値ですけど本当にそんなダメージが来たら死にますね。
ちなみに大司教の場合は152点です。<インペリアル>で5点カットしてもHP−11点で《生死判定》です。この場合は死にはしないでしょうが。
ということで今回の解答は以下の通り。
「白」と「石畳」
「黒」と「黒猫」
「灰」と「赤い衣」
ところがこれが不正解です。今回は2D×10点で出目8だったので80点ダメージです。補正がなければジュエリィは《生死判定》必至ですね。
バトエルデン「こんな追い詰められたのは久しぶりだぜ」
マイザール「黒猫は黒で確定だと思うんですよね」
ノワールの時よりも、魔法王の時よりも、こんなリドルの方がよっぽど強敵というのはどういうことなのか(苦笑)
強いて言うならコボルドになった時以来のピンチですね。ただあの時はコボルドボディだったから危なかっただけで、今回は事情が違います。
次の解答は以下の通り。
「白」と「赤い衣」
「黒」と「黒猫」
「灰」と「石畳」
これも不正解です。今回は2D×11点で出目5だったので55点ダメージです。この時点で「黒」=「黒猫」はハズレ確定です。
バトエルデン「クスがクスクス笑ってる声が聞こえる。キルヒアに何とかしてもらえるよう言ってくれんか、伯爵」
マイザール「キルヒアって、娘の躾もできなかったような人ですし」
バトエルデン「まさかのキルヒア家庭崩壊説」
キルヒアの娘といえば「堕女神」シリーズで活躍した"戦勝神"ユリスカロアです。
神々の対戦の折には第三の剣に連なる神は中立を保っていましたが、そんな中で一番早く第一の剣の陣営に加勢した女神といわれます。
そう言うと聞こえはいいけど、一説には勝手にカルディアに触れて神格を得てダルクレムに奇襲を仕掛けたんだとか。
結果として父をはじめとした他の神々も大戦に参加せざるを得なくなったと伝えられていますが……本人の性格を見るにやりかねない。
次の解答は以下の通り。
「白」と「石畳」
「黒」と「赤い衣」
「灰」と「黒猫」
これがなんと正解です!なんと3回目の挑戦で扉が開きましたよ、前回の半分ですね。
さて今回の問題ですが、実は問題文は以下のように補足できます。
「(石畳の)道に(黒猫の)眼が光る。見つめる先は(派手な赤い衣の)楽土」
そしてそれぞれをどう隠すかというのは推測した通りで、石畳を雪の白で覆い隠すのは正解でした。
ところが黒猫を闇夜のカラス効果で黒で隠そうとしたのがマズかった。眼が光るのなら暗闇でも見えてしまうのです。
ならば黒猫は霧で覆い隠し、赤い衣は夜の闇で隠すというのが今回の問題の答えです。分からなくもないけど難しい問題でした。
こうして2つのリドルを見事……ではないものの一応解いた一行は先へ進み、大きな部屋に差し掛かります。
GM「入り口に文字があります。「あなたがたの知恵は確認できました」」
バトエルデン「ないことがわかった」
合格ではあるけど赤点ギリギリって感じでしたもんね。最大12回解答のところを9回も解答しているわけで。
そしてこう続きます。「援助者となるには力も必要。それを試験させてもらいます」と。有り体にいうと戦闘で勝てというわけです。
フェルディナント「ゴキゴキ、ゴキゴキ。全身の関節をめいっぱい鳴らしてやるぜ」
マイザール「よっしゃあ」←待てや魔術師
ゆん「得意分野です」
バトエルデン「形ばかりのペーパーテスト、真剣本番の実技テスト」
フェルディナント「「2番、留学生、フェルディナント君」。ガム、くっちゃくっちゃ」
というわけでボツ魔物シリーズその3です。例によって知名度25、弱点値29を楽勝で抜いてグランドトレイドンと判明します。
元はタイラントレギレクスをも凌ぐ20レベルの動物でしたが、やっぱり強化して24レベル。レベルだけならノワール以上です。
グランドトレイドン(改)は24レベルの動物です。地上最大の草食動物で体長は最低でも30mを越え、最大で100mを越えたとも言われます。
頭部(コア)、胴体×2、足×4、尻尾の八部位です。足は胴体と尻尾に、胴体は頭部に《攻撃障害=不可・不可》を持ち二重に頭部を守る。
頭部は半径20mに《火炎の息》を吐いて炎属性の魔法ダメージを与え、《長い首》は半径10m内を乱戦エリアを無視して攻撃できます。
胴体は《攻撃障害》に加えて《魔法障害=−4》の効果を持ち、頭部に対する《行使判定》に−4のペナルティを与えます。
足はHPが0以下になると《機動力低下》を起こし、1つ毎に移動力−6です。通常の移動力は27なので4つ潰すと3にまで落ちます。
尻尾は《長い尾》によって半径10m内を乱戦エリアを無視して攻撃でき、《吹き飛ばし》によって乱戦エリア内の全ての敵を狙いかつ50m吹き飛ばします。
また全ての部位の主動作を費やして全力移動で突破する《巨体暴走》により、必中の物理ダメージを残っている胴体の部位数だけ与えて転倒させます。
ただしこれを行うには胴体と足が最低でもそれぞれ1つずつ残っていなければなりません。乱戦エリアからは脱出できますが連続した手番には使えません。
以上のようになっています。外見はキプロクスに似ていますが凄まじく大きい。4本の足が別部位とか大木みたいですね。
面白いのはダルマ落としよろしく2段回で落とさないとコア部位に届かないという点ですね。《薙ぎ払い》や《テイルスイング》があってもすぐには届かない。
GM「このレベルやサイズになると、「畜生、止められねえ」感を出したいやん」
数を揃えただけだと《巨体暴走》で弾き飛ばされるだけですからね。これを防ごうとしたら足か胴体のどちらかでも全て潰さないといけない。
しかし胴体は足に守られているから魔法を使わないのなら足から攻めないといけない。その足も4つあるわけで、落とすまでの間に首や尻尾で狙われ放題です。
ただし足の《攻撃障害》は4本ある足の内2本を落とせば消滅しますから、馬鹿正直に4つ全部落とすまで胴体への攻撃を遠慮することはありません。
それとおまけとしてフライングヘレボラスという植物モンスターが2体ほどついています。
フライングヘレボラスは15レベルの植物です。葉を広げて風に乗り、自由に飛び回る毒草です。長い花柄の先に大きな花を咲かせています。
花、花柄、葉×2の四部位でコア部位はない。花は攻撃を与えた対象に《幻覚毒》を与え、自身の周囲にこの魔物の幻覚を見るようになります。
相手は命中力と回避力に−2のペナルティを受けます。更に対象が1体となる魔法を全ての部位に行使することができなくなります。
花柄は《攻撃障害=+4・なし》で花を守ります。また毒属性の魔法ダメージを与える《毒の棘》を持ち、《細い》ため射撃攻撃の回避力+2です。
葉は攻撃が命中した相手を包んで《叩き付ける》ことで転倒させ、かつ《毒》で毒属性の魔法ダメージを与えます。また《飛翔》の効果も持ちます。
普通ならそこそこ怖い相手ですけどこのパーティにとってはただの葉っぱです。それどころかグランドトレイドンにとっては餌でしかない。
グランドトレイドンは草食らしいし、本当にこいつらは食料として配置されているだけだったりして。どこぞの地上最強の肉食獣(笑)より立場は悪い。
さて、こいつらと戦う前に今回は事前に準備を行えます。ただしまだ敵の正体が分からないという前提で。
今回の場合は敵に精神抵抗を必要とするような相手がいませんが、一般的にカンタマは必須なのでかけておきます。
例え今は必要ないとしても戦闘中に何が出てくるか分かりませんしね。大した消費でもないならかけておくでしょうね。
ただし持続時間には注意が必要です。3分持続するのならともかく、【ヘイスト】のように6ラウンドとかしか持続しないのは勿体無い。
これでゆんは事前に4ラウンド貰って【フェンリルバイト】と【ドラゴンテイル】を重ねがけしておきます。
生やすのに1ラウンド、以降最大4回強化のところを3ラウンド分だけ強化しておいて、戦闘開始のラウンドで最後の強化を行うわけです。
ついでに【ブリンク】をかけておいて、《先制判定》で有利になるように【ジィプロフェシー】も使っておきます。全部補助動作でできますね。
ジュエリィは【ヘイスト】を戦闘開始時に温存して【バーチャルタフネスU】を全員に。あと自分に【スペルエンハンス】で魔力+1です。
大司教は《火炎の息》対策に【ウォーターシェル】と【フィールドプロテクションU】です。あと伯爵と分担して【ブレスU】もかけておきます。
マイザールは生命抵抗が大事なので【タフパワー】と【プロテクションV】です。それと前衛3人に【ソニック・ウェポン】も使います。
ゆん「ゆんは、自分強化、全部補助動作でできるので、主動作でできることないかな」
マイザール「【ウェポンマスター】で《必殺攻撃》を伯爵に渡しておくと面白いかもです」
ゆん「じゃ、それやっとくね。伯爵、とんがれー」
フェルディナント「おお、来たぞ来たぞ。最長不倒距離を更新してやるぜ」
GM「……瞬殺されそうな気がしてきた」
【ソニック・ウェポン】で−1と下がっている上に更に−1だとクリティカル値8まで下がりますね。
基本は《魔力撃》《薙ぎ払い》なんでしょうけど、《薙ぎ払い》が必要なくなったら特大ホームランに賭けてみるのもいいかも。
ちなみに威力70でクリティカル値10の期待値は16点で、クリティカル値8の期待値は22.86点といったところです。
あくまでも期待値ではそんなに劇的に増えるというわけではありませんが、確率を無視しているかのように何度も回る時ってありますしね。
★1番ゆん2番タイタン4番フェルディナント
グランドトレイドンの先制値は26です。ゆんが1ゾロを振らなかったので当然のように先攻を取りました。
最初に動くのはゆんです。今回は彼我の距離が35mあるので、【堅陣の構え】で制限移動を5mにして30m地点まで動けるようにするためです。
練技を一通り使って強化を完全にしてから《魔力撃》《テイルスイング》でトレイドンの足×4とヘレボラの花を狙います。
現在のゆんは基本の22に練技と魔法で+7して命中力29程度になっていると思われ、達成値40とすこぶるいい攻撃を繰り出します。
+7の内訳は【キャッツアイ】で+1、【デーモンフィンガー】で+2、【ドラゴンテイル】で+2、【ブレスU】で+1。あと多分タゲサも使っている。
これには回避力26(33)ある足も回避できずに全部命中。固定値のヘレボラも《攻撃障害》があっても避けられませんでした。
これによるダメージは大体50点前後でした。足は防護点23のHP150点なので、1発で30点弱抜けて5〜6発が当たると落ちる感じですね。
ただこの時点でゆんの追加ダメージは推定40点ほどです。前回の戦いと違って【ファイア・ウェポン】はないけど【ドラゴンテイル】を最大強化してますから。
それだと回らない限り50点前後には届かないんですよね。多分【ヴォーパルウェポン】あたりをかけてもらったのを省略しているんじゃないかと。
その後《追加攻撃》でまたも同じぐらいのダメージを振りまき、足のHPは半減といった具合で《ファストアクション》分の攻撃に入ろうとしましたが。
GM「あれ?《追加攻撃》するとき命中力判定した?」
一同「あれ?」
GM「やっときましょう。命中したら、さっきのダメージをそのまま適用で」
こういう書き方をしているということは録音を聞いても判定をしている様子がなかったんじゃないかと。これだけ振ってたらかえって忘れるのかもしれません。
そして3回目の攻撃は命中が今ひとつな上にダメージ1ゾロもあって足1本にのみ痛手。4回目は足の1本だけ回避して他命中、ヘレボラの花は散りました。
こうして4回尻尾がぶんぶん唸った結果、4本の足の残りHPには結構バラつきが出ました。1発当たるかどうかで30点違いますしね。
ゆん「では、一番減っているところに噛みつきます」
GM「足3号だな」
ゆん「では、足3号に、「この足は食べられる足か〜」」
バトエルデン「骨付き肉(笑)」
ジュエリィ「ギャートルズ(笑)」
命中したので上手くすれば喰いちぎれると思ったものの、またもダメージ1ゾロでした。最後に<バルーンシード>を当てて45点とか出して終了。
《命中力判定》だけで5回×4往復+2で22回もやっていて、ダメージも入れると30回以上。1ラウンドにこれほど時間を要する人はそういないでしょう。
次はジュエリィです。全員に【ヘイスト】する予定ですが、その前に大地の妖精タイタンを召喚します。妖精魔法は使えなくなるけど操霊魔法は使えますから。
この妖精の召喚は「ウィザーズ・トゥーム」で追加されたルールでして、召喚したい妖精のクラスに応じた基本妖精魔法を使用することで実現します。
クラス1の妖精を召喚するなら2レベルの【サモンフェアリー】、クラス2なら4レベルの【サモンフェアリーU】といった具合に高レベルほど高ランクを召喚できます。
このネーミングはクラス7を召喚する14レベルの【サモンフェアリーZ】まで続き、クラス8を召喚するなら15レベルの【フェアリーロード】になります。
ちなみにクラス8までの妖精は「モンスターレベル=クラス×2+1」という法則があるので、クラス8は17レベルという高レベルモンスターになるわけですね。
タイタンはクラス8なのでこの【フェアリーロード】を使用することになります。この際消費MP51点に10点の<魔晶石>が必要とコストも高い。
しかもクラス7までの魔法は3ラウンド持続するのに比べて、こちらは1ラウンドしか持続せずに送還されてしまったりと使い所が難しい。
「イグニスブレイズ」で追加された戦闘特技《マリオネット》があればもうちょっと持続します。それだけクラス8の妖精が強いということでもありますが。
ただ殴らせるだけでなく、100点を越えるMPを使い切る勢いで15レベルまでの妖精魔法を代わりに使ってもらえればMP的にはお釣りが来ますしね。
データ的にはタイタンは17レベルの妖精です。身長5mほどの美麗な巨人の姿をしています。上半身(コア)、下半身の二部位です。
全身が《土無効》の代わりに《風に弱い》。《2回攻撃&双撃》持ちで上下合計4回攻撃が可能。《土の魔力撃》でダメージ+23にできます。
上半身は妖精魔法限定15レベルで土属性を魔力23で使用できる《魔法適性》持ち。補助動作で周囲に土属性魔法ダメージを与える《大地の鳴動》を使用できます。
また視界内の任意のキャラクターの〔剣の加護/運命変転〕を打ち消す《大地の王》の能力を持つ。下半身はそんな上半身を《攻撃障害=不可・+4》で守ります。
更に下半身は手番終了時にHPが最大値の半分以下になっていると、自動的にHPを20点回復する《大地の活力》という能力を持ちます。
ジュエリィはこのタイタンを召喚した直後に《ファストアクション》で【ヘイスト】を自分以外にかけてからタイタンを進撃させます。
なにしろタイタンの素の移動速度は24なのでトレイドンに届きません。【ヘイスト】して+12mならギリギリ届きます。
ちなみに妖精・魔神・ゴーレム等の召喚した魔物の手番は術者の直後です。この場合ジュエリィの《ファストアクション》の後になるわけですね。
ところがトレイドンに辿り着く前に無傷の方のヘレボラがタイタンをブロック。やむをえずタイタンは《土の魔力撃》を《2回攻撃&双撃》で叩き込みます。
タイタンのダメージは素で2D+19点で、魔力が乗ると2D+42点にもなる。大体ゆんぐらいのダメージをヘレボラに与えて葉の一枚を散らし、もう一枚にも大打撃。
こうして足のHPをそこそこ削り、ヘレボラの部位もいくつか潰しましたが、まだ一掃には至りません。
マイザール「さて、どうしようかなあ」
フェルディナント「俺様的にはフライングヘレボラスが邪魔なんだ。《影走り》できなくなってるから」
マイザール「よし、弱点を考慮して【マルチターゲット】で【ファイアボール】します」
これは10レベルの深智魔法で広範囲の魔法を複数同時に行使することができるようになる魔法で、補助動作で使用するものです。
今回の場合はこれで【ファイアボール】を2ヶ所に炸裂させることにより、合計10部位を対象にダメージを与えることができるのです。
この場合は効果を重複させることができないので二重にダメージを与える真似はできません。あくまでもより多数に範囲魔法を使えるようになるわけですね。
その前に補助動作で練技と魔法を使っておきます。【ブリンク】【デモンズタックス】は安定、あと今回は【アンチマジックパリア】も使います。
9レベルの召異魔法で射撃系の魔法ダメージを−5点します。射撃系に限ると今回の敵には無意味ですが、多分当時のデータでは制限がなかったんでしょう。
あと賦術では【バインドアビリテイ】Sランクをトレイドンの頭に使用。《火炎の息》に−3のペナルティを与えておきます、流石にこれまでは防げないだろうし。
それだけ使って宣言通りに【マルチターゲット】で【ファイアボール】です。対象は残ったヘレボラの部位6つとトレイドンの足4本です。
達成値は36となかなかのものでしたが、トレイドンの抵抗は抜けませんでした。<剣のかけら>の補正込みで精神抵抗33(40)とかあっては仕方ない。
<剣のかけら>が16個以上だと抵抗力+4だから素の抵抗力は29(36)ぐらいでしょう。丁度ノワールの抵抗力と同じぐらいですね。
マイザール「ここは、そこまでの場面じゃないので、無理に通しに行くのはやめときました」
GM(何か、裏技持ってやがんのか、こいつ?)
実はヘレボラの弱点は「炎属性ダメージ+3」なので《弱点看破》込みで+6点。抵抗を抜いた場合マイザールの魔力と合わせて追加ダメージだけで35点。
これにより低くて39点、回ると50点に届くダメージはヘレボラの残された部位を容赦なく燃やしていきます。とても【ファイアボール】のダメージとは思えない。
一方抵抗に成功したトレイドンの弱点は「魔法ダメージ+2」なので《弱点看破》込みで+4点。これにより抵抗で半減しても20点程のダメージを与えます。
次の《ファストアクション》でも同じ事をしてヘレボラの部位を2つと足を1本燃やし尽くしました。《攻撃障害》消滅まであと足1本です。
バトエルデン「足がもう1本もげると、伯爵のやることが楽になるんだが」
フェルディナント「ぶうんぶうん(素振り)。ガム、くっちゃくちゃ」
マイザール「なら、この【ヘイスト】は大事。(コロ)よっしゃ、「6」!」
フェルディナント「F・B!F・B!」
マイザール「では、リクエストにお答えして、【ファイアボール】です。1ラウンドに3発ファイアボールとか、ボクかっけー」
フェルディナント「しかも【マルチターゲット】で2発ずつ。ドババババ……」
バトエルデン「両手乱射。まるでベジ●タだな」
ということでまたも同じ事を繰り返すわけですが、部位が3つほど落ちているのでトレイドンの胴体、胴体、尻尾を追加します。
これによりヘレボラは一部位を残して燃え尽き、トレイドンの足の1本は残りHP6点にまで追い込まれています。
こうなると伯爵が胴体を薙げるように、大司教にはその足を落として欲しいところですが、攻撃面で色々問題がありました。
まず大司教には《魔法誘導》がないので【フォース】や【ゴッドフィスト】で足をピンポイントで狙えないということ。
現在乱戦エリアにはトレイドンの部位が7つにヘレボラ、ゆん、タイタンの部位が2つあって合計11の部位があります。
この中からランダムで決めて足に当てるのは至難の業。《魔法拡大/数》で拡大なんてしてたらMPの消耗が激し過ぎます。
かといって近接攻撃でも当たるか微妙です。トレイドンの足の回避力は26(33)で大司教の素の命中力は19です。
【ブレスU】で+1、《ポーションマスター》で<デクスタリティポーション>を飲んで+2しても22ですね。
能動側が3つ負けていると言っているので何かでもう+1して23のはず。指輪で器用度ボーナスをブレイクさせているとか。
その能動側が3つ負けている状態の成功確率は17.28%ですね。当たったとして29点以上ダメージを出す必要もあります。
それでも大司教は行きました。まず【ビートルスキン】を使いつつ伯爵に《かばう》をし、<デクスタリティポーション>を飲む。
鼓咆は【鉄壁の防陣U:堅体】を使います。これにより大司教以外の人達は防護点+1かつ魔法ダメージ−1です。
肝心の攻撃は出目がよく達成値33、トレイドンの方は逆に出目があまりよくなく命中しました。
その後のダメージ決定の出目もよくクリティカルを起こして35点、見事に足を落として《攻撃障害》を解除しました!
フェルディナント「大司教カッケー」
ゆん「かっこいー」
フェルディナント「待たせたな、みんな。「4番〜、指名打者〜、フェルディナント」
みんなの作ったチャンスを生かすのが4番ってもんだ。俺に任せな。ぶうんぶうん」
《薙ぎ払い》《魔力撃》で狙うのはトレイドンの足・足・胴体・胴体・尻尾です。今更葉っぱには用はありません。
補助動作でできることを一通りやって<ガイスター>を一閃すると、【ソニック・ウェポン】の補助もあってクリティカル連発。
低くて60点、高くて100点弱のダメージによって足2本も消し飛ぶ。これで《巨体暴走》は使えなくなりましたね。
《ファストアクション》でも同じことをするつもりですが、まだ胴体の《攻撃障害》があるので頭は狙えません。
フェルディナント「では、胴体胴体尻尾、と、何かさっき余ってたやつ」
ゆん「ああ、あの葉っぱが落ちるとき、わたし、死ぬの。はらはら」
この攻撃で葉っぱは消し飛び、尻尾には脅威の4回転クリティカルをしたことで136点を記録しました。
防護点25点のHP160点なので111点抜けて、さっきの攻撃と合わせて尻尾はもがれた様子です。
ゆん「わたしの生命は終わったの。ひら、ひら」
GM「ようやくこちらの番……何、このトレイドンの頭と胴体しか残ってないという状況は」
マイザール「これで慢心するなってほうが無理ですね」
仕方なく《火炎の息》で攻撃しますが大したダメージにはならず。それどころか大司教は無傷という始末。
抵抗に成功した上に【ウォーター・シェル】で−5点、【フィールド・プロテクションU】で−2点、【プロテクションV】で−4点。
更には<インペリアル>で−5点できるので魔法ダメージを16点もカットできるんですよね。これだけやると銀鱗の秘伝も使い甲斐がある。
あと胴体は大司教と伯爵に体当たりを仕掛けます。《かばう》をしている大司教に両方ともいきました。
GM「(コロコロ……)37点と39点」
バトエルデン「1点と3点通しです。<渦巻き鉱のお守り>よろ」←36点止めてる!
防護点24点に【フィールド・プロテクションU】と【プロテクションV】で6点、【ビートルスキン】で2点止めますからね。
それだけだと32点しか止めないけど、多分【バークメイル】Sランクを事前に使ってもらっていたんでしょう。
これでトレイドンの攻撃は終了です。
マイザール「GM、どうします?スコアボードがめちゃくちゃですよ」
フェルディナント「1回終わって4―136(笑)」
こうなってはコールドゲームと認めるしかない。次のラウンドにはなす術なくトレイドンは倒されました。
ちなみに戦利品は7690ガメルの<肥大した火炎袋>を6つに、2万2500ガメルの<錦の火炎袋>を2つゲットしました。
これだけで売却価格9万1140ガメルにもなり、ヘレボラも合わせると売却価格10万ガメル以上の戦利品となりました。
★カルディアの碇
グランドトレイドンを倒した一行は更に奥の扉を抜け、遺跡の最奥に辿り着きます。そこには幻獣の集団がいました。
マイザール「おっと、怪しいものじゃないですよ」
バトエルデン「いや、十分怪しいだろ」
そういえばマイザールが変身を解いた描写はない。まさかキモいままでトレイドンと戦っていたんだろうか?
真語魔法を使う都合上、腕を動かす必要があるわけですが、カトブレパス形態ではそういうのは無理でしょうね。
かといって竜のようにその必要なく真語魔法を使う幻獣もいます。もっともカトブレパス自身は魔法を使いませんけどね。
挿絵では普通に人間の姿をしていましたし、変身を解いて戦闘後にまたキモくなって先頭に立って進んでいたのかもしれませんが。
幻獣「我々は"カルディアの碇"です」
マイザール「封印するために創世の剣が作った幻獣でしたっけ」
幻獣「そうです」
それは前足が大きな鉤爪になった黒トカゲの姿をしていました。大きさは人間より少し小さい程度です。
言語はドラゴン語を使っています。出自から人族や蛮族の言語を話すとは考え難く、他に幻獣固有の言語がなかったためです。
一応クスに神紀文明語を習ったという設定も考えはしたようですが、神紀文明語には話し言葉はないのであえなく没になりました。
フェルディナント「なぜ、お前たちがこんなところにいるのだ?」
ゆん「魔動機文明時代に封印が解けたって聞いたよ?」
幻獣「その通りです。"輪環"は、我々の束縛を断ち切り、地上に出ました」
封印を破られた後の彼らに"イグニスの輪環"を止める術はなく、当時エイデルにいたクス神殿の人々に匿ってもらったのです。
しかし彼らが匿われていることを知った"イグニスの輪環"は神殿を滅ぼしました。それでも彼らは神殿の更に奥で生き延びました。
どうやら最後の最後に神殿の人々が彼らを更に奥に隠すようクスに祈ってくれたんだとか。【コール・ゴッド】でも使いましたかね。
幻獣「我々はカルディアに連なる種族、クス神はそれを大切なことと思ったのでしょう」
フェルディナント「カルディアに連なるというなら、俺様も同じだ。好きに頼ってくれ」
マイザール「え?」
フェルディナント「何かな、マイザール?くっちゃくっちゃ」
どっちかというとグレンダールとかダルクレムといった体育会系の神様の信徒っぽいのにね。
そうして匿われて力を蓄えること幾年月、彼らは再度数を増やして"イグニスの輪環"を封じるだけの力を取り戻したのです。
幻獣「あの鉄の蛇が"輪環"と食い合って時間を作ってくれたことは僥倖でした」
フェルディナント「しかし、もはや、その時間の猶予は消えようとしている、そうだな?」
幻獣「そうです。宿命づけられたものとして、我々は、それを感じています」
大司教達は彼らの手伝いをすればいいわけです。ところがその為には幾つかの障害があるのです。
幻獣「しかし、クス神に知恵と力を認められた英雄ならば、乗り越えることができるかと」
バトエルデン「悪いが、知恵には期待しちゃいかん」
マイザール「(頭を)叩いてごらん、中まで肉がぎっしりだよ」
ゆん「ゆんは、すっかすかだよ」
幻獣「それでも、きっと大丈夫です。大丈夫ですよ。ね?」←不安になってきたらしい
障害は大きく2つです。1つは"希望の鋼麟"です。これを破壊しないことには封印する余裕はありません。
彼らには魔動機械なんていう未知の原理で動く存在に対抗する術はなく、しかも"イグニスの輪環"と同等の力があっては手に負えない。
そしてもう1つの障害は"イグニスの輪環"の持つ《攻撃障害》です。相手は頭部(コア)、胴体×6、尻尾の八部位です。
"カルディアの碇"は頭部に封印を施すわけですが、胴体には頭部に対する《攻撃障害=不可・不可》があるので直接狙うことはできないのです。
しかし胴体を3つ潰せば《攻撃障害=+4・+4》にまで緩和され、《命中力判定》が可能になるというわけです。
更に、胴体を全て潰せば《攻撃障害》は消滅します。いずれにせよ封印は《命中力判定》に成功しないと施すことはできないのです。
ちなみに"カルディアの碇"の命中力は25(32)で"イグニスの輪環"の頭部の回避力は29(36)です。《攻撃障害》があると33(40)ですね。
能動側が4つ負けていると11.88%でまず当たらず、8も負けてしまうと5.32%ですね。
マイザール「全然ダメじゃないですか(笑)。成功しませんよ、そんなの」
幻獣「失敗するたびに、命中力1上がりますから」
バトエルデン「なぜだ?」
幻獣「「もう1回がんばろう」って、気合です」←まさかの根性論
ゆん「ポジティブシンキングだ」
すなわち受動側自動失敗、または能動側自動成功しか期待できないわけです。それでも1ずつ上がるなら見込みはありますね。
それにパラミス等の補助も可能ですし、4ラウンド失敗して5ラウンド目にパラミスSSランクとか使えば同値になって出目勝負ですよ。
ただし"カルディアの碇"に対する補助は無効です。彼らには命中力以外のゲームデータはない、言わばイベント用モンスターですから。
マイザール「なかなか封印まで厳しいですね」
フェルディナント「だが、別に倒してしまってもかまわんのだろう?」
マイザール「死亡フラグ立てないでください(笑)」
わざわざこんな手段を用意するということは、GM的には倒しきることができないことを想定しているということですよね。
今まで戦ってきた規格外モンスター達は何だかんだで倒してきました。そんなこのパーティですら完全勝利を前提にしていないと。
ゆん「万一だけど、こっちが負けたら、凄いことになるよね?」
マイザール「世界の危機がそのまま世界の終わりですね」
バトエルデン「ラクシア、完。創世の三剣の次回作にご期待ください」
もしかしたら他の英雄が戦うかもしれないし、カーツやエンシェントドラゴンのような高レベルの蛮族・幻獣が動くかもしれない。
例えそうであっても「大破局」のような大惨事に繋がるかもしれませんから、必勝の覚悟で挑むべきだと思います。
こうして手を組んだ英雄達と"カルディアの碇"は二匹の蛇との決戦に臨みます。その日は目前に迫っています。
★カイン・ガラの危機
前回倒したのは24レベルで八部位が1体と、15レベルで四部位が2体です。これによる経験点は3120点になります。
それに基本の1000点を加えて4120点ですね。最終決戦を前にして前々回の分と含めて8000点ほどは稼げましたね。
これに加えて前回の戦利品が10万ガメルを越える。これらを活かして成長と買い物をするべく【テレポート】でカイン・ガラに戻ります。
それと帰る前に"カルディアの碇"に"イグニスの輪環"について聞いておきます。
曰く、全身を光る鱗に覆われ魔法は効き難く、光るブレスを吐き、うかつに攻撃するとしっぺ返しを食らうらしい。
幻獣「滅ぼすことは可能かも知れませんが、胴体が生きている間は、まず頭部が倒れることはないでしょう」
マイザール「マジすか?」
GM「多分倒れない、倒れないんじゃないかな、倒れないといいなあ」
それを保障するかのように高い再生力も持っているらしい。本当に倒すより封印した方が楽そうな相手です。
質問が終わると"イグニスの碇"達は謎のゲートを潜って先に行ってしまいました。敵のいる場所に直通する謎通路のようです。
さて、カイン・ガラに帰ってくると大司教は自分の<インペリアル>に防弾加工を施します。"希望の光鱗"は<ガン>を使ってきそうなのでね。
問題は加工が終わるまで1週間もかかるということ。もしその前に蛇が暴れだしたら引き上げるしかない。その場合は効果は得られないだけ。
バトエルデン「バクチになるけど、それは頼んでおこう。<ガン>は、タンクの天敵」
技能の成長ではエンハンサー1→4で【キャッツアイ】【アンチボディ】【ストロングブラッド】を習得しました。
ついでにアルケミスト0→1で【バークメイル】を取って自力でも防護点を上げられるようにして経験点を使い切りました。
ウォーリーダー8→9で4000点、エンハンサー1→4で3500点、アルケミスト0→1で500点で丁度8000点ですから。
伯爵はスカウト7→8、エンハンサー6→7で【デーモンフィンガー】習得。既に命中力は十分なので必要なさそうですけどね。
スカウト7→8で3000点、エンハンサー5→7で4500点で7500点を使っています。スカウト技能9レベルには足りませんでしたね。
ゆんはソーサラー8→9、ウォーリーダー2→4で習得鼓咆不明。あとバード0→1で呪歌【サモン・フィッシュ】習得です。
ゆん「エイデルでシャチと泳いだ楽しい思い出をもう1回」
GM「わしはほ乳類やねんで〜。ビチビチ」
これは文字通り魚を集める呪歌ですね。ただし集められるのは凶暴ではないものだけなのでサメ等を呼ぶことはできない
ソーサラー8→9で5000点、ウォーリーダー2→4で2500点、バード0→1で500点でやはり8000点を使い切っています。
マイザールはセージ7→9に上げようかと悩んでいました。
マイザール「うーん、セージを上げるのは、ボクのパブリックイメージに反するかなあ」
バトエルデン「お前のパブリックイメージは、何だ?知力でごり押しか?」
フェルデオイナント「「有利だったら何でもあり」だろ」
マイザール「そうなると、やはりやっときますか。やっぱり、ソーサラーの王道はセージですよね(さわやか)」
GM「てめえ、どの面下げてそんなことを言ってやがる」
これで《マナセーブ》を自動修得しました。それとウォーリーダー0→1、ミスティック0→1で経験点を使い切ります。
セージ7→9は7000点、ウォーリーダー0→1は500点、ミスティック0→1も500点で8000点ですね。
あとこれでマイザールが習得している技能の数が11種類になりました。全19技能の過半数を習得していることになりますね。
この成長で占瞳はジュエリィと同じ【幸運の星の導きを知る】を、鼓咆は【軍師の知略】をそれぞれ習得しました。
【軍師の知略】は独立系1ランクの鼓咆です。《先制判定》の基準値に知力を使えるようになるというものですね。
これにより1レベルなのにスカウト技能と同じ先制力11になるのです。指輪を割ることを考えるとこっちの方が有利ですらある。
ジュエリィはソーサラー3→6にして使い魔ゲット。金色の目のトパーズちゃんというそうです。
それとマギテック1→2、エンハンサー0→1で【ストロングブラッド】を習得したりしています。
ソーサラー3→6は6000点、マギテック1→2は1000点、エンハンサー0→1は500点で7500点ですね。
それから消耗品の補充を行います。大きな買い物ではジュエリィとゆんは<英雄のマント>を購入しています。
ゆん「どう、似合う?おそろい」
ジュエリィ「みんなとね」
フェルディナント「俺様たち、英雄過ぎるな」←この人も装備している
それと大司教もつけているのでマイザール以外はみんなお揃いですね。
さて、カイン・ガラに帰ってきた一行は早速地下のコンソールの様子を見に行きます。ムンドゥは大人しくしていたようです。
そこには腕組をして難しい表情をしているルメット教授と、何やらピコピコ動いているコンソールがありました。
マイザール「動いとる!」
バトエルデン「何か触った?」
ルメット「触ってない。動き出したんだ。ついさっき」
ゆん「これ、光ってるとこ叩けばいいゲーム?」
マイザール「違います。やめて」
そこには「推定深度」「XYZベクトル」「制御不能期間」等の文字が表示されていました。
解析にジュエリィが《見識判定》で達成値36を出すと、"希望の鋼鱗"の現在の状態を読み取ることができました。
それによると現在は海中で戦闘中であり、じわじわと水面に上昇しているようです。ただし制御不能で今後も復旧の見込みなし。
水圧から深度は測定できていてトレースもしているものの、位置情報が一度リセットされているので正確な現在位置は不明です。
マイザール「GPSとかないんかな」
GM「魔動機文明時代ならねえ」
当時ならGPSそのものでなくても現在位置を知る技術はあったようですが、そういったインフラは「大破局」で壊滅しています。
この分だと当時の文明レベルというのは本当に現代の地球とそう大差なかったのかもしれませんね。それこそ携帯やらネットやらもあったのかも。
当時のことは大司教なら知っているはずです。そんな世界がある日崩壊してこの文明レベルにまで落ちてしまったのだから、そのギャップは凄まじいでしょうに。
ここでジュエリィとマイザールはルメット教授と協力してコンソールの更なる解析に挑みます。
マイザール「もう1人はどうします?【ギアス】解きます?」
ジュエリィ「……やめとこう」
ゆん「このボタン、押す?」
ジュエリィ「押すな(笑)」
ゆん「きっとゆんと同じだよね、あの人」
そうして作業を続けること1週間、解析の成果はありませんでした。でも大司教の防弾加工は仕上がっていました。
GMとしては本当ならすぐにでも事件を起こしても良かったでようですが、折角の防弾加工を無駄にしたくはなかったので時間を置いたようです。
そうなると鎧さえ受け取ってしまえば事態を進展させるのに躊躇いはないわけで、大司教が街を歩いていると早速イベントが発生します。
それは街の上空を狂ったように飛び回るスカイシップでした。コマのように回転し、急ブレーキをかけて大司教に襲い掛かります。
バトエルデン「ねじ伏せます」
GM「はい。ねじ伏せられました」
バトエルデン「経験点おいしいです」
GM「やらねーし」
14レベルの単部位なので140点ほどですね。HPは200点と多いものの、データと同じなら戦闘能力はない。
これはあくまでも移動専用の小型船のデータであって、世の中にはちゃんと戦闘能力のある機体だって存在しているでしょう。
しかも同じ形状のスカイシップが複数空を飛んでいて、フェイダン地方の色んな方面にかっ飛んで行きます。
バトエルデン「風流ですな。そろそろスカイシップが巣に帰る季節」
ジュエリィ「ないない」
ここで大司教が落とした機体の《構造解析判定》を行います。ジュエリィを呼ぶのが面倒なので伯爵が【インスピレーション】をします。
これはキルヒアの7レベル特殊神聖魔法です。知力を用いる行為判定に自動成功します。ただし魔法や賦術を除くし、使用は1日1回のみです。
どうせ戦闘になるとこんな魔法使わないし、たまにはキルヒア信者らしいことをしておかないとね。
フェルディナント「きゅぴーん、キルヒアの叡智よ、我に宿れ」
バトエルデン「こんにちは、グレンダールです」
マイザール「ども、ダルクレムです」
ゆん「やっほー、ヒューレだよー」
フェルディナント「違う!何で、そんなのが来るんだ」
魔法の効果でこのスカイシップが戦闘特化の無人機と判明。既存のデータにある機体とは別もののようです。
しかもその特徴から地下のコンソールと同じメーカーによるものと思われます。やっぱり魔動機械にも色んなメーカーがあったんですね。
同じような魔動機械でもメーカーによって微妙に性能やデザインが違ったり、競合商品同士で切磋琢磨していたりもしたんでしょうね。
それらが無秩序に空を飛び回り、地面に激突する機体や無差別に攻撃する機体が見受けられます。
マイザール「いいですねえ、この世界の終わり感」
時を同じくして地下のコンソールの解析が進み、新しい表示が出ていたことが判明します。「浮上」「艦載機を展開」「管制不能」と。
やはり"希望の鋼鱗"と同じメーカーで製造されたスカイシップだったようです。それが本体と同様に制御不能で暴れまわっていると。
挿絵を見るとスカイシップと言っても今までのような飛行船形ではなく、なにやらアダムスキー型UFOっぽい外見の機体です。ちょっと角ばってますが。
それらのスカイシップが飛んでくる方向は大体一緒です。南の方から飛んでくるらしい。
フェルディナント「よし、行くか。しかし、どうやって行く?」
マイザール「ここへ、燦然とアメリアの飛空船が。「手助けに来ました」」
ゆん「落ちる(笑)」
既に無人機ではありますが似たようなものがどんどん墜落しているんですよね。この事件だけで何機墜落するのやら(笑)
真面目な話で現在どこにあるかも知れないアメリアの飛空船を徴発するのは難しいでしょうね。場所が分からないと【テレポート】も無理ですし。
駄目元でルーフェリアに行くという手もありますがあるかどうかは半々です。【テレポート】前提なら一瞬なので試してもいいですが。
ちなみに現場まではおおよそ100kmといったところです。カイン・ガラから南だと海上でしょうね。
バトエルデン「それは、俺のペガサス便で往復ってわけにはいかんな」
マイザール「今日はペガサスなんですか?」
バトエルデン「ドラゴネットとか戦わせても死ぬだけだと思ったんだ」
それなら安価で《搭載》持ちのペガサスの方が便利だという算段。馬刺し前提で借り出すのも可哀そうなことに変わりはないんですけどね。
お金の問題をいうならアメリアの飛空船も同様です。下手したら国家賠償で大変な負担をルーフェリアの国庫にかけることになるでしょう。
結局はリソース無限のジュエリィが【ワールウィンド】で運ぶことにします。見えている範囲に飛んで、着いたらかけ直すという手法です。
飛んでいる間は主動作が行えないのでジュエリィは大司教のペガサスに乗せてもらい、マイザールは【フリー・フライト】でついてきます。
となると実質飛んでいるのはフェルディナントとゆんだけですね。【フライト】をかけてもいいけど自由に飛べない上に常に全力移動で危ないかも。
ちなみに【フライト】と違って【フリー・フライト】は術者にしかかけられません。いっそマイザールがツヴァイベフに【ポリモルフ】するとか。
★戦闘準備:なぜかルーフェリアがピンチです
時速50kmの【ワールウィンド】で2時間かけて移動した一行は海上で空中戦を行う2匹の蛇の姿を発見しました。
片方は光り輝く鱗の幻獣、もう片方は銀色に輝く鱗の魔動機械。2匹の周りには例のスカイシップがホヴァリングしています。
制御不能のスカイシップは思い出したように幻獣の方に突っ込んだりもします。相手にならずにぶっ飛ばされてしまっているようですが。
今回の戦闘開始距離は50m以上の任意の地点です。また毎ラウンドの頭にスカイシップの「どこ行った?」「どうなった?」チェックを行います。
前者の1D6によって「ルーフェリア」「カイン・ガラ」「リオス」「アイヤール」「エイデル」「ディルフラム」のいずれかが決定します。
後者の1D6によってイベントが決定されます。中には人的被害が出てしまうものもありまして、有名NPCがどうにかなる可能性もあります。
なんとなく「六門世界RPG」の「エレメンタルストーム」の世界変動表を思い出す。まぁあっちの方がより深刻な被害に繋がるんですけどね、街が消滅とか。
バトエルデン「《血風領》に飛んでってトラヴィスがやられるとかあるわけですな」
フェルディナント「いや、ちょっと待て大司教。ルーフェリアかもしれんだろう」
マイザール「それって、【セーブ・ザ・ワールド】で防げません?」
これは15レベルの真語魔法で半径500mの空間の外周に沿って決して破壊できない殻を作成し、世界を内外で分断することができます。
この殻を挟んであらゆる魔法・特殊能力も効果を及ぼすことはできず、通過もできず、【パーフェクト・キャンセレーション】で解除も不可能です。
ただしこれを維持する限り術者はそれに専念せねばならず、一切の主動作・補助動作・移動を封じられます。ちなみに持続時間は1時間です。
確かにこれを実行すればスカイシップの被害は出なくなりますね。
マイザール「少し、英雄的行為をやってもいいかな、と思って。どうです?」
GM「できるね。でも、その魔法、維持してたら他のことできないって書いてあるよ?」
マイザール「じゃ、お疲れ(笑)。ボクに英雄的行為は似合わない」
確かに英雄的ではありますけど、2匹の蛇を相手にマイザール抜きで戦うのは流石に無茶ですから。まぁ最後の手段ということで。
あと今回は事前準備にラウンドは消費しないようにします。それをやると1ラウンド毎にスカイシップチェックが入るので。
その代わりに効果時間が1時間ぐらいある長いやつは事前にかけておいたことにします。それはそれで到着が遅れそうですがペナルティはなし。
マイザール「ひゃっほう。【アナザーフォーム】しときます。ダルグブーリーに変化」
バトエルデン「【ジハド】かけときます」
フェルディナント「じゃあ、俺様も」
バトエルデン「何っ!?」
ジュエリィ「そう言えば、15レベルだ」
そういえば今回は伯爵も【ジハド】できるんですね。これでファイター技能18レベルになって色々強化されましたね(笑)
あと【アナザーフォーム】というのは8レベル召異魔法で魔神の姿に変身することができます。当然×印つきの犯罪魔法ですよ。
これにより1時間だけ姿は魔神のものになり、特殊能力を1つ身につけることができます。それ以外のデータは元のままです。
ダルグブーリーの姿で身につくのは《影渡り》です。移動時に影に潜んで半径20m内の任意の影から出現。乱戦エリアや遮蔽は無視できます。
消耗したMPは大司教がお薬で回復します。固定値で9レベルの知力ボーナス+6で15点を回復させることができますね。
【ジハド】の消費MPは40点なので僅かに3口で全回復ですよ。<魔香水>は1つ600ガメルなので1800ガメルの出費で済みますね。
さて、それではお待ちかねの《魔物知識判定》です。長いこと気になっていた2匹の蛇のスペックを暴く時がきました。
知名度は"イグニスの輪環"が30で"希望の鋼麟"が32、弱点値は両方とも35です。ノワールの24/31以上に厄介な連中です。
ところが2匹揃って弱点値まで抜いてしまいます。出目9以上でも《賢人の知恵》で2回振ることができるならそこそこ出はします。
具体的には2回連続出目8以下は52%程度なので1匹だけなら48%ぐらいで抜けます。2匹まとめてだと23%程に落ちてしまいますね。
ただし【イニシアティブブースト】Sランクでも使えば出目5以上だし、これなら9割以上の確率で2匹とも弱点まで抜くことができますね。
"イグニスの輪環"は25レベルの幻獣です。頭部(コア)、胴体×6、尻尾の八部位です。胴体には前述通りの《攻撃障害》があります。
全身が《水中適性》で《再生=25点》です。《光る鱗》は純エネルギー属性を無効化し、魔法ダメージを−10点にします。
また各部位はHPに魔法ダメージを受けると《エネルギーチャージ》を行い、適用ダメージ分MPを回復させます。
頭部はMPの消費量に応じて威力を増す《残光のブレス》を貫通で発射し、尻尾は《テイルスイープ》で乱戦エリア内の任意の5体を攻撃します。
胴体には他にも補助動作によって任意の点数だけ《MP変換》を行いHPを回復し、任意の点数だけ頭部に《HP融通》をすることが可能です。
更に胴体は近接攻撃を受けた時に、その適用ダメージと同じ点数だけ相手に魔法ダメージで《攻撃反射》をすることが可能です。
"希望の鋼麟"は25レベルの魔法生物です。頭部、逆鱗、右足、左足、胴体前部、胴体中部、胴体後部、尻尾の八部位です。コア部位は逆鱗以外の全て。
全身が《水中適性》で《機械の身体》は刃物からのクリティカルを受け付けず、《魔法防護膜》はあらゆる魔法ダメージを−15点にします。
頭部は範囲に純エネルギー属性の魔法ダメージを与える《波動砲》を装備。尻尾は《テイルスイープ》で乱戦エリア内の任意の5体を攻撃します。
右足と左足は攻撃が命中した相手を《鷲掴み》にして拘束し、以後対象はその足しか攻撃できず、逆に足もその対象しか攻撃できませんが必中です。
胴体の前部と中部は大砲を、後部は機関砲を装備。それぞれ<ガン>として攻撃してきます。ちなみに機関砲の方は1体の対象に《2回攻撃》が可能です。
逆鱗は《極小部位》のため近接攻撃以外では対象になりませんが、破壊されると《応急緊急停止回路》が起動して全ての部位は1ラウンドだけ主動作と補助動作不可。
以上が2匹の蛇のスペックです。以後は長いのでそれぞれ輪環と鋼麟という風に略します。
戦闘中はこの2匹もお互いに敵同士なので、PCを狙うか相手を狙うかはランダムで決定されます。
スペックを確認した上でまず衝撃を与えたのは輪環の方の《攻撃反射》でした。
フェルディナント「俺様に死ねと?」
GM「《薙ぎ払い》や《テイルスイング》は、やったら死ぬでしょうね」
ちなみに輪環の胴体の防護点は30点ほどです。今までのダメージを考えると40点とか平気で抜けますね。
それを五部位に対してやると本当に魔法ダメージで200点とか返ってきかねない。《攻撃反射》で自滅ですね。
これは手数の多いゆんだって同じことです。いくら攻撃する回数を調整できるとはいえ、防御ファンブルとか起きたらどうなるか。
かといって魔法なんてそれこそ33(40)とかいうふざけた精神抵抗力に阻まれてまともに抜けないでしょうね。
抜けたとして《光る鱗》でダメージを減らされ、《エネルギーチャージ》でMP回復→《MP変換》でHP回復で痛手にはならない。
そうして回復したり《再生》した胴体のHPを頭部に《HP融通》されようものなら《攻撃障害》を無視して直接魔法で頭部を狙っても無駄無駄。
何もしなくても胴体と頭部で毎ラウンド合計175点もHPが回復するわけで、それ以下のダメージでは一瞬で完治してしまうというこの絶望感。
ちなみに胴体のMPは50点です。最大で1ラウンドに300点ほどHPを融通できますね。そして頭部のHPは300点とかなので一瞬で全回復可能。
そう考えると自己修復機能のない鋼麟はよくぞ今まで戦ってこられましたね。2D+25点とかの大砲があろうと魔法ダメージでは痛手にならないし。
《攻撃反射》があるから下手に近接攻撃しようものなら自滅するでしょうし、本当にどうやって今まで互角の戦いを続けてこられたんだろう。
準備のラウンド
事前準備に1ラウンド費やすことにしたので、その前にスカイシップチェックを1回だけ行います。
バトエルデン「南極へでも行ってくれ、(コロ)6」
GM「あ、ディルフラムや」
ジュエリィ「よし!」
バトエルデン「ならばよし」
フェルディナント「カーツのやつ、目にもの見せてくれるわ。(コロ)4」
これは「冒険者、もしくは有名NPCの活躍により、被害を免れる」と出ました。十三魔将が頑張ったらしい。
これに限らず出目4〜6は実害の出ない結果になるらしい。仮に人族の国にスカイシップが行こうとも半々で被害を免れるわけです。
それでは準備を始めます。まずジュエリィが【サモンフェアリーZ】を唱えてランク7の風の妖精スレイプニールを召喚します。
スレイプニールは15レベルの妖精です。8つの蹄を持った馬の姿をしたランク7の風の妖精です。
移動速度44/飛行速度88!の俊足を持つことから疾風の妖精とも呼ばれ、ランク13までの妖精魔法(風)を使用する《魔法適性》持ちです。
その《風の身体》は刃物に対する防護点+5の耐性を持ち、《斬撃無効》《風無効》で《土に弱い》という特徴を持ちます。
全力移動で132mを駆け抜けて風属性魔法ダメージを与えた上に転倒させる《疾風移動》という攻撃を主動作で行うこともできます。
わざわざこいつを召喚したのは他でもない。【フリーフライト】ができるマイザール以外の4人に【エアウォーキング】をかけてもらうためです。
これはランク10の妖精魔法(風)で、中空に足場があるかのように動けるようになるという、空中戦にはもってこいの魔法です。
消費MP10点なので4人にかけるとMP40点消費です。それを【サモンフェアリーZ】のMP30点消費と5点の<魔晶石>で賄えるわけです。
しかも持続時間は3ラウンドなのでもう2回行動させられます。MP87点なのでまだ47点もあるし、それも使わせれば更に元を取れます。
大司教は【ウォーターシェル】を、マイザールは【プロテクションV】をそれぞれ全員にかけます。これで魔法ダメージ9点カット。
ゆんは伯爵に【ウェポンマスター】で《必殺攻撃》を付与。自分には【ブリンク】【フェンリルバイト】【ドラゴンテイル】を使用します。
伯爵は自分と大司教に【バークメイル】SSランクで防護点+8です。この時点で2人は防護点+12相当のブーストですね。
加えて【ビートルスキン】も使うと防護点+14点です。大司教で防護点38点、伯爵で防護点27点というとんでもないことになっています。
フェルディナント「ゆん、すまん、大司教に《かばう》頼んでくれ」
そこで大司教もゆんに【バークメイル】Sランクを使っていたことにしてもらいました。
ゆんが自力で【ビートルスキン】も使うと防護点+10点で防護点14点にはなりますね。拳闘士とは思えぬ堅さです。
あと状況に応じて鼓咆も使うともう2点ぐらい防護点を増やせるので、前衛3人は場合によってはもうちょっと伸びますね。
準備はこれまで、次は《先制判定》です。今回は鋼麟の先制値31を目標値とします。
ゆんの先制力は24なので素だと出目7が必要。そこで【イニシアティブブースト】Sランクを入れて+4にします。
これなら出目3でも先制できますね。1ゾロが出た時は仕方ないけど、出目は9と幸先よく達成値37を出して余裕で先制しました。
それではついに最終決戦の1ラウンド目ですが、その前にスカイシップチェックです。
フェルディナント「(コロ)1」
GM「ルーフェリアに飛んでったー」
バトエルデン「あそこはバトエルデンがいるから、大丈夫だよ。……お・れ・だ」
フェルディナント「(コロ)2」
GM「ルーフェリア神殿に着弾」
バトエルデン「ノー!マイザール、【セーブ・ザ・ワールド】だ」
マイザール「負けるから、ダメです」
1発だけなら軽微な人的被害です。もしもう1発来ると本格的被害になるそうです。
バトエルデン「おお……」
ジュエリィ「リア呆然」
リア(ゆん)「バトエルデン、どこ行っちゃったのよ」
神官(マイザール)「大司教様は、先月、「ちょっとザルツとリーデン外遊してくる」と言って飛空船に乗ったきり、帰ってきていません」
バトエルデン「ホンマや。伝言するの忘れてたわ」
リア(ゆん)「この大事なときにー」
バトエルデン「やってもうた(頭抱え)」
これは勝って帰っても責任問題に発展しかねない。いくら大司教とはいえ失態が過ぎれば更迭ということも……。
先制が取れた時は幸先いいと思ったのに、大司教限定で思いっきり気の重くなる開戦になってしまいました。
★1ラウンド目:ずるいよマイザールさん
彼我の距離を30mとして戦闘開始です。
まずはジュエリィが【ヘイスト】を全員にかけます。妖精召喚中は妖精魔法を使えないだけで他の系統の魔法は使えますから。
続けて《ファストアクション》で【スペルエンハンス】を自分に。直後にスレイプニールが動いて全員に【ミサイルプロテクション】です。
鋼麟の<ガン>対策ですね、半々の確率で弾丸を逸らします。消費MP5点なので5人にかけて25点消費。残りMP22点ほどになりますね。
大司教はペガサスに騎乗して30m前進。【バランス】を活かして【ブレスU】を全員にかけ、ジュエリィに【バークメイル】Sランク。
バトエルデン「【ビートルスキン】と<魔香水>ぐび」
GM(もう、<魔香水>飲む癖は直らんのだな)
ペガサスに《かばう》をし、<栄光の軍師徽章>を使っていきなりランク3の鼓咆【鉄壁の防陣V:甲盾】です。防護点+2、魔法ダメージ−2です。
この時点で伯爵は防護点29点になりました。かつての薄さはどこへやら。あと魔法ダメージ−11点にもなりますね。
ただし後の展開を見ると実際は防護点30点として扱われているらしく、残り1点がどこから来ているのかは謎です。
《マナ耐性》を持つジュエリィに至っては魔法ダメージ−16点にもなる。ブレスのダメージなら<英雄のマント>でもう2点ずつ減らせます。
マイザール「では、ボクが動きます。何をすべきですかね」
GM「やりたいことをやりたいようにやったらいいと思うよ」
マイザール「では、お言葉に甘えて」
GM「やっぱり怖い、やめて」
いつものように練技と補助動作で使える【ブリンク】【デモンズタックス】【アンチマジックパリア】をかけておきます。
いつもと違うのは賦術【グレイテストフォーチュン】Aランクを使用したということです。1ラウンドの間判定の出目は1D×2です。
マイザール「【メテオストライク】を《魔法拡大/確実化》3回振りさせていただきます」
GM「何……だと」
マイザール「3回のうち、1回でも1か6が出れば、ぐふふのふ」
GM「いや、待て、思い直せ、な」
6が出れば6ゾロだし、1が出ても1ゾロを〔剣の加護/運命変転〕すれば6ゾロになり、いずれの場合も抵抗を破れる。
確率1/3を3回も振ることができれば、およそ7割ほどで出るはずです。
マイザール「行くぞ!(コロ)5、(コロ)2、頼む、(コロ)1。来たっ!ひっくり返して6ゾロ!」
GM「……やれやれだぜ。HPあと100点ずつ増やしとくべきだったかな」
マイザール「ないっす。それはないっす」
これには2匹の蛇も抵抗失敗。全部位に対して隕石が降り注ぎ、その多くに40〜50点の魔法ダメージを振りまきます。
中には1度回って72点とか、2度回って101点とか出した部位もありました。これには「魂とろけるで」みたいなセリフもあったとか。
物理ダメージで3桁を何度か出した伯爵に続き、ついに魔法ダメージでも3桁を記録するようになりましたね。
マイザール「……あ」
GM「どした?」
マイザール「威力の決定も1d×2でした」
慣れないものを使うと誰も気づかないこともある。今回についてはこのダメージをこのまま通します。
ただしキャラメイクの時の繰り返しになりますが、これが原因なのか以後この賦術は威力の決定にのみ使えるようになりました。
続いて《ファストアクション》でもう1発メテオを使おうとしますが、出目1で1ゾロです。今度は確実化もない。
マイザール「MPがさすがに。せめて、《ティルダンカル光魔再起》しとけばよかったか」
GM「それは《魔法拡大/確実化》の変形系だから、確実化と同時には宣言できないぞ」
同様の理由で《ルシェロイネ魔導優越》も使えませんね。【ヘイスト】もなしで手番終了です。
次はゆんです。いつものように練技を沢山使い、《魔力撃》《跳び蹴り》で輪環の尻尾を狙います。《攻撃反射》もないし。
これは当たって46点ダメージですが、防護点30点の壁は厚く16点しか抜けない。しかもHP200点ですね。
続けて久しぶりに<ハンズ・オブ・グローリー>で4回殴り、妖怪1足りないの活躍もあって内2回命中しました。
1回目の命中は53点ダメージとなかなかでしたが、2回目の命中では妖怪1ゾロのせいで無駄に終わりました。
続けて恒例の【フェンリルバイト】と【バルーンシードショット】の攻撃です。
ゆん「(ころころ)どういうことだ」
【フェンリルバイト】はまたも1ゾロ、【バルーンシードショット】に対しては1足りない、【ヘイスト】も不発と散々でした。
これで39点ほど尻尾のHPを削ってはいますけど、1回手番を渡すと25点も回復するんですよね。
そこで伯爵が動きます。【キャッツアイ】【デーモンフィンガー】【ビートルスキン】に【ヴォーパルウェポン】SSの大盤振る舞い。
GM「やだな、この人」
フェルディナント「《(強化)魔力撃》《必殺攻撃》で幻獣の尻尾、殺らせていただきます」
GM「胴体殴って自爆してくんないかなー」
フェルディナント「(コロコロ)42」
GM「13振ったらいいんやろ」←回避力29(36)
現在の伯爵は基本の25に、《魔力撃強化》で+4、【ブレスU】で+2、【ジハド】で+3、練技で+3で命中力37とかありますよ。
ダメージ自体は派手に回らずに76点とかでした。46点抜けてゆんと合わせて85点は削っています。
期待の《ファストアクション》分の攻撃ははずれでした。多分伯爵が出目3でGMが出目11とかいう感じだったのかと(40で同値回避)。
こうして1ラウンド目の行動が終わりました。珍しくまだ敵の部位は一つも落ちていません。
いつものように《薙ぎ払い》《テイルスイング》ができず、前衛の出目が悪いとあっては仕方ない。
★蒸発する2万ガメル
全ての部位を残して相手の手番です。まずは鋼麟の頭部が大司教とペガサスに《波動砲》を発射します。
大司教に行ったのはこいつが《鷹の目》を持っていないせいで後ろが狙えないから。ノワールの時といい地味に困ります。
その抵抗の目標値は34(41)と極めて高く、今回は40だったので大司教もペガサスも抵抗できませんでした。
バトエルデン「仕方ないなあ、2万ガメルの馬肉だと思って連れてきたんだし」
ジュエリィ「馬肉言うな」
ゆん「この戦い終わったら、さくら鍋だね」
そのダメージは2D+25点で今回は31点でした。大司教は<インペリアル>の効果も含めて14点ほどカットするので大事には至らず。
ただペガサスには素通しです。HP41点しかないのに31点とか食らったら残り10点。この戦いではもう何を食らっても即死しそうです。
続けて鉤爪、大砲×2、機関砲といった攻撃は何故か悉く輪環の方に行きました。
GM「あっち(PCたち)殴れよ。メテオ痛かったろ」
完全ランダムでかつ《鷹の目》がない以上、狙えるのは輪環の八部位、PCの前衛3人(+馬肉)で、ある程度向こうに行くのは仕方ない。
これにはヘイト(敵対心)の概念を入れても良かったとGMはコメントしています。つまりダメージを入れてきたキャラクターを狙いやすくすると。
ちなみに輪環が《攻撃反射》しようとも鋼麟は《魔法防護膜》で防ぎます。鋼麟の鉤爪のダメージは2D+30点で輪環の胴体の防護点は30点。
これだと2D分しか抜けず、《魔法防護膜》で15点を安定してカットできるなら無傷で済むのです。逆に言えばその程度しか抜けないということですけど。
最後に《テイルスイープ》が伯爵とゆんに行きますが、ゆんは【ブリンク】で回避。伯爵は当たるも適用ダメージ14点と軽微。
フェルディナント「以前の俺様とは違うんだぜ」
GM「"血塗れ伯爵"の称号返上だな、名誉点減らそう」
フェルディナント「いや、それ、名誉称号じゃないっす」
相手のダメージは2D+29点となかなかですけど、今の伯爵は防護点30点ですもんね。微妙に計算合わないけど頑丈になったものです。
続けて輪環の番です。頭部が《残光のブレス》を発射。貫通するので直接狙う対象以外は半々で命中です。
GM「必ず当たるかわいそうなほうは……(コロ)うん、さよならペガサス」
バトエルデン「骨は拾ってやるぞ。この下、海だけど」
PC側は一直線状態から左右に展開していないので全員チェックしてゆん、伯爵、ジュエリィが巻き込まれました。
鋼麟も巻き込まれチェックをしますが何故か一部位残して全部位命中(逆鱗?)。上手いこと直線になったタイミングで発射したか。
ちなみにダメージは「2D+消費MP×2」点です。消費MPは25点までしか使えず、今回はそうしたので2D+50点!にもなります。
ゆんは奇跡の6ゾロ抵抗で比較的軽微で済みましたが、<英雄のマント>込みで18点止めたジュエリィですら40点通しという火力。
バトエルデン「残念だが、ペガサスにブレスを耐えるHPはない。しかしクラウン、無駄死にではないぞ」
マイザール「大司教、助けてください、大司教ー!」←大気圏に突入する感じで
せめてもう1ラウンド耐えてくれたら乱戦エリアまで大司教を運べたんですけどね。あと20mなら通常移動で到達できますが魔法は使えない。
輪環は各部位を回復したりしつつ、胴体と尻尾の攻撃がやっぱり鋼麟に向かいます。結局2匹の蛇は互いに食い合い続けていたようです。
★2ラウンド目:野生のゆん
2ラウンド目のスカイシップチェックもルーフェリアに行きました。
ゆん「ぞんざい来て」
ジュエリィ「リアたんを守って」
ところが現在アイヤールにいるのでした。他に実力のある冒険者パーティはいてもいいとは思うんですけどね。
思えば新米女神はそのタイトルとは裏腹にルーフェリア本国ではあまり冒険はしていませんでしたね。
それも外の世界に向かおうとするルーちゃんの護衛をしようと思えば必然的にそうなるんですけどね。
マイザール「ここは大司教自ら、被害を決めてください。「2」じゃなければ、大丈夫ですよ、きっと」
バトエルデン「(コロ)うん、2」
ということで本格的な被害が出てしまいました。ここでは「SWツアー@ ルーフェリア」収録のNPCから犠牲者を決めます。
ここでは大司教を除く16人からランダムで決定し、"女主人"フランソール・シルヴィリさんが重傷を負うことになります。
カナリスの街で網元を夫から引き継いで頑張っている未亡人で、敬虔なルーフェリア信者です。それがまさか大司教の出目で被害を受けるとは。
バトエルデン「お、俺のせいじゃないよ?俺のせいじゃ……俺の……」
確率的には1/36だったのに本当にここぞという時に出しますね。ちなみに出目3だとアエドンの王宮に着弾する筈でした。
しかもこの非常事態に一番働かなくてはいけない大司教は行方不明。これは冗談抜きで帰ったら問題になるのでは……。
さて、実際の行動ではジュエリィが自分と大司教に【アース・ヒール】をかけて32点HPを回復します。回復量から言って多分Uの方。
ゆん「ゆんは、【リカバリィ】で大丈夫だよ」
フェルディナント「俺様は大けがだが、《マルチアクション》で、【レストレーション】するから気にするな」
GM「何だこの、シドーがベホマ使った時のような絶望感」
今までのように《薙ぎ払い》を使う必要がなくなったので《マルチアクション》《魔力撃》を使うのに躊躇いなし。
続いてスレイプニールの最後の行動で【トルネード】を使わせます。《魔法制御》はあるので味方をはずします。
ただし《魔法制御》とは対象が「半径○m/□」の魔法に効果があるのであって、対象が「任意の地点」であるこの魔法には本来無効と思われます。
ここで狙うのは輪環の胴体の内最もダメージの大きい部位です。多分マイザールが100点ぐらい叩き込んだ部位ですね。他のところに当たるかどうかは半々。
ジュエリィ「(コロコロ)1ゾロ。何しとん、スレイプニール」
ゆん「びびったんだよ、きっと」
マイザール「何だよ、ここ。こんなの聞いてないよ」
GM「まあ、ただの15レベルには荷が勝ちすぎる光景ではあるな」
ジュエリィ「3ラウンド経過で帰ります。「じゃあ、帰る。バカヤロー!」」
とはいえこれでMP13点消費で残りMP14点ですよ。元の消費MP30点に対して70点以上MPを使って働いてくれました。
ちなみに送還されるのは厳密に言えば次のジュエリィの手番の開始時です。このラウンドの敵の手番が終わるまではここにいる点は注意ですね。
マイザール「地道に魔法で幻獣胴体のHP削るのかなあ」
しかしそれをやったところで《エネルギーチャージ》→《MP変換》で回復されてしまいますしね。
どうしてもやるのなら胴体のMP最大値である50点を越えるダメージを1ラウンドで与え続けないと。再生込みで考えると75点ですね。
【グレイテストフォーチュン】のような奇策がいつも成功するとは限らないし、抵抗前提と考えるとマイザールとジュエリィでも厳しいでしょう。
仕方ないので《影渡り》を駆使して制限移動20mという荒業で距離を詰めます。30m距離まで近づきましたね。
しかしこれは2重にミスがあります。1つは《影渡り》は本来移動妨害も離脱宣言も要しない移動をするだけの能力という点です。
それでも20m移動するのならやはりそれは通常移動になるのです。もう1つはそもそも空中に影はできないという根本的な問題(笑)
そしてこの距離で再度【グレイテストフォーチュン】です。今回は《魔法拡大/確実化》で3倍拡大【スロウ】です。
これは11レベルの真語魔法で対象の通常移動と全力移動の距離を半減させ、手番でD6を振り出目が2以下だと主動作を封じる。
これを輪環の頭部にかけて1回目の判定で6ゾロが出ました。これで今後は《残光のブレス》を封じられるかもしれません。
続いてヘイストチェックにも成功してもう1回主動作が可能になりました。
フェルディナント「なあ、マイザール、俺様《必殺攻撃》してるとこなんだ」
マイザール「わかりました。【ソニック・ウェポン】ですね」
ここでマイザールは前衛3人にまとめてかけようとしましたが、【グレイテストフォーチュン】のせいで1/6で1ゾロになることに気づきます。
こういう時のための《ティルダンカル光魔再起》なんですけどね。このラウンドにも《魔法拡大/確実化》を使っているので使えません。
もし使えたらたったのMP+2点で1ゾロ回避できたのに、拡大するとなると一気に重くなる。消費MP8点で《マナセーブ》があっても7点ですしね。
3倍拡大の時点で21点も使うわけで、2倍拡大で42点とこの時点でも結構キツイ。それ以上となるとますますかけ難くなります。
バトエルデン「俺は、どうせ武器攻撃はほぼ役立たずだから、はずしていいよ」
トレイドンの時は活躍したものですがラッキーヒットでしたし、多少回っても今の伯爵とゆんのダメージには及びませんから。
そこで数対象2倍&確実化2倍で合計4倍拡大で【ソニック・ウェポン】をかけます。どちらかでも1以外ならOKなので1ゾロは1/36と普通の確率に。
ところがこれが上手いこと6で6ゾロになりました。
マイザール「6ゾロ振ったらMP消費軽減とかいう流派なんですか?」
GM「ないよ」
流派ではありませんが「ルールブックU改訂版」で追加されたハイマンという種族の種族特徴にそういうのがありますね。
その名も〔魔法の申し子〕です。常時魔力+1される上に《行使判定》で6ゾロを振ると、なんと消費MPが0になるという素敵な能力。
強化されると1ゾロの時も消費MPが0になって保険になるし、更に強化されると常時魔力+2になる。タビットとは別の意味で魔法の専門家なのです。
大司教は回復の必要がなくなったので【エンチャント・ウェポン】を同じく伯爵とゆんに。少しでもダメージを底上げするためにね。
あと鼓咆は【鉄壁の防陣W:無敵】にランクアップ。自分の手番の任意のタイミングで【ホーリー・ブレッシング】と同様に追加HPを得られます。
マイザール「それはもう、順番が来しだい使いますね。温存する意味がほとんどない」
最後に<魔香水>をグビっと飲んでおきます。もう本当に直りそうにありません。ヘイストチェックは失敗でした。
フェルディナント「では、俺様いくぜ。幻獣尻尾さん、もう少し俺様と遊ぼうぜ」
前のラウンドは出目3とかでかわされたので【プレコグ】を入れて安定させ、《マルチアクション》《魔力撃》で尻尾を狙います。
フェルディナント「尻尾を殴りつつ、自分に【レストレーション】。ぎゅいーん、全回復」
GM「理不尽だ。こんなの絶対理不尽だ」
フェルディナント「食らえやー。(コロ)命中力判定は44です」
GM「15振ったらええんや、15振ったら」
これには10ほど足りずに思いっきり命中して回らずに77点ダメージです。これでも47点抜けましたね。
続けてヘイストチェックにも成功して更に高い45と言って殴って命中。今度は75点で45点抜け、合計92点とか抜けていますね。
前のラウンドでは前衛が85点、マイザールが50点程抜いているので135点減少。25点回復して残り90点ぐらいとするなら既に瀕死のはず。
なお現在の伯爵は基本の追加ダメージが23点で、《魔力撃》で魔力19が加算されて42点です。そこに【ヴォーパルウェポン】で+8して50点。
【ブレスU】で+2して52点。【ジハド】で+3して55点。2種類の武器強化で+3して威力70+58点とかありますね。
回らないということは最高でも出目8で16点で74点ではちょっと足りませんね。何か私に見落としがあってもう3点は追加ダメージは多いはず。
続いてゆんです。いつものように練技で尻尾と牙を命中力重視で強化しつつ、【リカバリィ】で回復して【ブリンク】とタゲサで保険もかける。
今回は《魔力撃》《テイルスイング》で輪環の尻尾と鋼麟の残りHPが少ない部位4つを狙います。《攻撃反射》がないなら遠慮は無用ですね。
これが達成値40といい感じでしたが輪環の尻尾は回避して他命中で45点前後のダメージ。そして復路では尻尾と鋼麟の部位2つの命中です。
ところがまたも妖怪1ゾロの介入があって上手くダメージを出せなかったり。それでも回復しない鋼麟の方は殴るだけダメージが蓄積するのでまだいい。
ここでゆんも鼓咆を使います。大司教のために【強靭なる丈陣U:精定】によって精神抵抗力+1。実はこんなのを取っていました。
それから毎度お馴染みの【フェンリルバイト】で尻尾に噛み付きます。今度も上手く当たり、奇跡の連続クリティカルで68点を叩き出します。
GM「落ちた」
ゆん「がぶー」
ジュエリィ「食いちぎった」
フェルディナント「野生だ。俺様もワイルドにいったほうがいいかな」
こうして最初の撃墜マークはゆんのものになりました。まさか尻尾を喰いちぎるとは。【バルーンシードショット】はハズレでヘイストもなし。
次は蛇の番です。ところが伯爵が鋼麟の足に《鷲掴み》になった程度で相変わらず2匹の蛇は食い合っています。
GM「うわあ、面倒くせえ。誰や、こんな特別ルール作ったのは」←あんたや
足のダメージ自体は33点でした。30点止める伯爵には3点しか抜けないので痛くはありません。
ただし掴まれている限り伯爵はこの足しか攻撃できないので地味に困りました。足は防護点30のHP100なのでそう頑丈ではないけど。
ちなみにダメージは2D+30点で2D6分しか抜けないので今後も大した脅威ではありませんが、やっぱり鬱陶しいことに変わりはない。
GM「なお、すでに落ちた尻尾と、最初に大ダメージを受けた部位を除いた6部位、幻獣はHPが全回復してますよ」
一同「えー!?」
既に2回手番を渡しているので50点は回復していますからね。胴体に至っては《MP変換》もフルに使えば最大50点は治せる。
マイザールが苦労して抵抗を抜いて50点ほどの魔法ダメージを叩き込んだところで、後に続かなければこうなってしまうのです。
★3ラウンド目:野生再び
さっきから10秒置きにカナリスを攻撃し続けるスカイシップチェックのお時間がやって参りました。
バトエルデン「では、場所を振ります。ルーフェリアへ送り続けて幾星霜。てい!(コロ)1」
GM「またかよ」
バトエルデン「着々と振っているぜ。被害は(コロ)3」
こちらは「重要建築物に着弾。軽微な人的被害」です。この場合は例のアエドンの水上宮殿に着弾ですね。カナリスは避けられましたね(笑)
ちなみにこの水上宮殿は「SWツアー@ ルーフェリア」の折り込みイラストに採用されていて、イズマル王国時代から残る国宝級の建築物です。
このイラストが実に見事なものでして、湖の青を背景にしてすら映える瑞々しい青い屋根が特徴的です。これが爆撃とか大事件ですよ。
マイザール「滅びは近いですよ、あの国」
バトエルデン「ルーフェリアもスクラップ&ビルドの時期だな」
このままだとただの廃棄物になって終わりそうな勢いですけどね。
さて今回の行動ですが、大司教は乱戦エリアに突入して伯爵に《かばう》。一応弱っている部位を殴ろうとしましたが回避。
マイザールはゆんに【ヴォーパルウェポン】SSランクでダメージ+8点。幾つか練技をかけ直して敵の全部位に【メテオ・ストライク】です。
GM「抵抗たくさんか……」
ゆん「1ゾロありがとうございます」
バトエルデン「さすが、このGMだなあ」
GM「オカルトの口車には乗らねえ」
マイザール「指輪を壊したら抜ける場合には教えてください」
達成値36だったので精神抵抗力33(40)の輪環は1ゾロ以外抵抗しますね。鋼麟は30(37)と少し低いので多少可能性は高い。
ところが上手いこと幾つか抵抗を抜いてしまいます。更に指輪を割って輪環の頭部と胴体1つ、鋼麟の尻尾まで抜いてしまいました。
この絨毯爆撃により鋼麟の右足、左足、胴体中部を破壊しました。これにより伯爵は《鷲掴み》状態から脱出、自由に動けるようになったのも大きい。
多少魔法ダメージを減少する機能があっても回復しなければさほどでもありませんね。胴体中部なんてHP200点あったのにこの有様ですし。
ジュエリィは1mだけ後退して【トルネード】です。これで乱戦エリアの中心から51mの距離なので2匹の蛇のブレスの射程外ですね。
実は《波動砲》も《残光のブレス》も射程50mなんですよね。鋼麟の機関銃は30mで大丈夫。大砲は100mなので届きますね。
【トルネード】の射程もやっぱり50mですが<カトレアの花冠>で+10mなので届く。いつかのアンデッド軍団との戦いと同じです。
しかし今回の【トルネード】は敵の部位の内4つにしか当たらず、1つだけ抵抗を抜くも大したダメージにはなりませんでした。
解放された伯爵はまず鋼麟から潰しにかかります。今回の宣言は《薙ぎ払い》《マルチアクション》でクリポン武器を作ります。
鋼麟には<ガイスター>ではクリティカルしないので、クリポンで作るのはカテゴリ<ウォーハンマー>Bランクの<マトック>です。
<ウォーハンマー>は尖ったピックと堅い鎚頭を備えているため、刃物と打撃武器の両方に使い分けることが可能になります。
<マトック>はBランク武器ながら威力40あります。<マトック>というと聞こえはいいけど要はツルハシですがね。
伯爵は【プレコグ】と【デーモンフィンガー】を持続させつつ、【クリティカルレイ】Sランクで逆鱗以外の四部位を狙います。
命中力が下がっているので頭部と胴体後部にのみ命中し、頭部には上手いこと回って77点、胴体には50点魔法ダメージです。
頭部も胴体もHP200点なので結構削れましたが、やはり<魔力撃>がないと多少回っても今まで程派手にはいきませんね。
次はゆんです。大司教向けに【鉄壁の防陣U:鉄鎧】に鼓咆を変更。これで大司教は防護点40点相当の防御力を手に入れました。
そして尻尾と牙を強化しつつ【デーモンフィンガー】とタゲサで命中力を維持し、《魔力撃》《テイルスイング》で伯爵と同じことをします。
さっきの【ヴォーパルウェポン】のおかげでダメージがコンスタントに50点を越えるようになったので更に驚異的殲滅力を誇ります。
基本の追加ダメージが20点で、《魔力撃》で+13で33点。【マッスルベアー】で+2して35点。【ブレスU】で+2で37点。
そこに2種類の武器強化で+3で40点になり、【ヴォーパルウェポン】で+8で48点。更に尻尾を1回強化して+2で威力11+50点ぐらいかと。
尻尾が往復することで胴体後部を破壊。両足に胴体中部もないので下半身が機能停止といったところです。しかも頭部は残りHP2点です。
ここで頭部には当たりさえすれば落ちそうな【バルーンシードショット】で追撃しました。ところがお馴染みの妖怪1ゾロのせいで倒しきれず。
ゆん「くー、じゃ、やっぱり【フェンリルバイト】で噛みつく。(コロコロ)37」
GM「(コロコロ」あー、うん。当たり」←妖怪1足りない
ゆん「がぶがぶがぶー」
ジュエリィ「野生だ」
これでゆんは鋼麟の頭部を喰いちぎった。でもコア部位は他にもあるので動ける、頭なんて飾りだ。残るコア部位は胴体前部と尻尾ですね。
これで蛇の番になりましたがやっぱり鋼麟は輪環にじゃれついてPCガン無視です。あんだけ身体を破壊した相手なのに自衛もできないのか。
輪環の頭部は《残光のブレス》を発射します。標的はジュエリィが射程外、他の人達は皆乱戦エリア内なので自動的に中間にいるマイザールです。
マイザール「【スロウ】お願いしますよ」
GM「へっへっへっ確率3分の1なぞ(コロ)あう」←3分の1が出たらしい
マイザール「ありがとうございましたー」
ということで【スロウ】で《残光のブレス》発射中止。あくまでも中止なので次のラウンドには発射する権利は残っているようですが。
あとは輪環の胴体が動きます。1発目は伯爵に行ったので《かばう》をしていた大司教に自動的に命中。
GM「(コロコロ)44発」
一同「おおーっ」
バトエルデン「さすがに来るなあ。4点抜けました」
GM「ん?」
バトエルデン「あ、<アルケミーキット>のために<渦巻き鉱のお守り>はずしてたので、しっぺ返しはありません」
GM「「うるさい黙れ」と言いたくなるな(笑)」
実は輪環の胴体の体当たりは2D+32点でしかないのでGMは6ゾロ振っているんですよね。それでもこの軽傷。
ちなみに同じレベルの幻獣であるエルダードラゴンの牙のダメージは2D+29点でしかなく、こちらも6ゾロ振ってようやく1点通ります。
翼が《渾身攻撃》すると2D+34点で多少マシではありますが、大司教相手に物理ダメージでは防御ファンブル無しには落ちそうにない。
2発目はまた伯爵に行って今度は命中して37点とか食らいますが【ホーリー・ブレッシング】が剥げただけで済みます。
GM「(コロ)あ、また伯爵だ」
バトエルデン「やめろよ。こいつは悪くないんだ、俺を殴ってくれ」
GM「どう見てもそいつが悪いだろうが。どんだけぶち当ててんだ」
3発目も当たって39点ダメージだったので9点通し。その後大司教にも2回ほど行きますが抜けたのは1点だけですよ。
この巨体と3回ほど戯れて適用ダメージは僅かに5点とか、一体どうなっているんだ。フォーセリアのエルフ像を完璧に覆す頑強さ。
ようやく鋼麟の部位が減ってPCにも矛先が向き始めたかと思いきや、大司教と伯爵に体当たりを数回当てた程度ではお話になりませんね。
★4ラウンド目:本当は怖い確率の話
今回のスカイシップチェックはアイヤールに行きました。
フェルディナント「何だと。それは大変じゃないか(棒)」
マイザール「トラヴィスー」
GM「お前ら、むしろ期待してないか?」
ところが出目4で誰かが阻止しました。アイヤールは人材豊富そうでいいですね、ルーフェリアと違って。
折角なのでここはぞんざいズがスカイシップを破壊したことにします。
バトエルデン「(経験点)140点、おいしいです」←ぞんざいズのプレイヤー
秋田みやび「あれー?」
これがリターンズに反映されているかどうかは不明ですけどね。
行動の方はマイザールが【グレイテストフォーチュン】を使いつつ練技かけなおし。【デモンズタックス】もかけなおしです。
そして《ティルダンカル光魔再起》を宣言して輪環に【メテオ・ストライク】です。既に《魔法拡大/確実化》の余裕はないらしい。
今回は出目3だったので6として扱って達成値35です。今度は全部抵抗された上に《光る鱗》もあって大した成果は出ず。
ダメージは抵抗されると20点台になりますしね、そこから10点も引かれたら軽傷でしょう。魔法王の胸当てみたいに。
ヘイストチェックには成功してまた同じことを繰り返しました。今度は1を振ってしまいますが秘伝のおかげで発動はします。
達成値33ということは出目4扱いですね。1ゾロを出目3にするのが《ティルダンカル光魔再起》ですが、出目+1にするという解釈でしょうか?
なお2発のメテオともまたダメージをD6×2ではなく2D6で振ってしまった模様。やはり慣れないことをする時は注意が必要ですね。
お次はジュエリィが【トルネード】を発射して部位2つに当たります。片方は抵抗1ゾロでちょっと抜けた様子です。
ヘイストチェックに成功してもう1発【トルネード】を撃って部位5つに命中。殆ど抵抗されましたが1つだけ抜くことができました。
ジュエリィ「ラストは抵抗失敗してるからクリティカルしたい!(コロコロ)」
一同「よしっ!」
ジュエリィ(コロコロ)
一同「おおっ!」
ジュエリィ(コロコロ)
一同「ええっ!?」
ここでまさかの連続クリティカルで魔法ダメージ85点を叩き出します!
これには一同愕然。
マイザール「ちょ、今、信じられないことが目の前で起こったんですけど?」
フェルディナント「お前も見たのか?俺様の白昼夢じゃなかったんだな」
ゆん「ジュエリィさんの本気を見た」
バトエルデン「確率は46656分の1ですな。そのあと、また10を振ったことを評価すると、さらに6分の1ですか?」
46656分の1ということは出目10以上を6連続で出していますね。その後また10なら7連続でしょうか。
これにより鋼麟の尻尾は消し飛んだ。残るは胴体前部のみですね。もうボロボロで何だか分からない状態でしょうに。
次はお待ちかねの伯爵の番です。輪環の胴体の1つが弱っているので意を決して殴りに行くつもりです。
フェルディナント「《マルチアクション》宣言しといて、怪我の具合で自分で治す」
バトエルデン「よし、やれ。骨は拾ってやる」
今度は輪環の方なのでクリポン武器は解除して<ガイスター>に戻します。練技全部入れなおして【プレコグ】も持続。
これがまた達成値46と今までにまして鋭い一撃でした。
GM「18振ったら躱せるな。(コロ)無理」←ですよねー
フェルディナント「ダメージ決定。(コロコロ)ふう、クリティカルしなかった、怖いぜ」
マイザール「ジュエリィさんと同じことしたら死にますもんねえ」
フェルディナント「やめろ、冗談じゃねえ(笑)」
ダメージは77点だったので適用ダメージ47点です。大体最大HPの1/4を一撃で持っていけますね。
その分《攻撃反射》で返ってきますがプロテク系のお陰で11点止められるので、実際に食らうのは36点です。
つけるのが自然な呪い属性を持たせないのはこの手の防御魔法を活かせるようにするためのGMの配慮のようです。
思ったほどではないので《マルチアクション》の【キュア・モータリー】で全回復です。【レストレーション】の必要なし。
次はゆんです。牙と尻尾を最大強化して伯爵と同様に胴体を狙います。
フェルディナント「ゆんのほうが安全かもしれんな。俺様、うっかり回るととんでもないところに行ってしまうから」
宣言するのは《魔力撃》《テイルスイング》です。狙うのは今伯爵が殴った輪環の胴体と鋼麟の胴体前部です。
ところがここでまさかの防御ファンブルにGM戦慄。
バトエルデン「よし、やっと来た、待ってました」
GM「いやまずい。これ、結果によってはゆんが死ぬ」
防御ファンブル表をゆん自身が振ったところ「最終的な算出ダメージを2倍する」が出ました。
GM「一番危ないとこ来てしまった」
ゆん「イエーイ。行っくぞー」
ジュエリィ「穢れ1点ぐらいなら、全然平気だから。平気だから」
ゆん「ジュエリィさんとお友達になれるかも〜」
ダメージは57点だったので2倍にして114点。防護点を引いて84点通しです。これで輪環の胴体が1つ落ちた。
それはいいんですがこのダメージが反射するんですよね。
ゆん「11点減るから、73点。ぶふおっ。あ、でも【ホーリー・ブレッシング】30点がまだ無傷で残ってた。うん、平気」
マイザール「立ってた」
フェルディナント「立ってる。よかったよ、ゆん」
合計41点も減らせるから自前のHPに響くのは43点ですね。大怪我ではありますが助かりました。
鋼麟の胴体前部には58点を食らわせました。続けて《追加攻撃》で更に追い討ちをかけて胴体前部を破壊、"希望の鋼麟"機能停止!
魔動機文明時代からずっと戦い続けていたのがようやく休む時が来たんですね。宿敵を倒すことはできなかったけど十分働きました。
ここでゆんは【リカバリィ】で15点回復し、【バルーンシードショット】を次に弱っている輪環の胴体に発射。
射撃攻撃なら《攻撃反射》もないので安心して撃てますね、はずれましたが。あとは【フェンリルバイト】があるけど怖いのでやめておきます。
GM「そっち終わり?」
バトエルデン「終わりです」
ところがそう言っている本人が何もしていなかったりします。伯爵は全回復したからいいけど、ゆんの怪我は治してあげられたのに。
さて1匹になってしまった輪環の番です。頭がスロウチェックを掻い潜ってマイザールに《残光のブレス》を発射。
他の人が巻き込まれることなく59点ダメージを出しますが、まだ【ホーリー・ブレッシング】が残っていたので大事に至らず。
他の人達と同じように11点減らせて、ブレッシングで30点減らせて、その上<英雄のマント>で2点減らせるので16点です。
それに対しては【レデュース・マジック】を使ってHP回復に利用します。ヴァンパイアノワールもそんなことをしてましたっけ。
マイザール「【デモンズタックス】で5点お返しです。あれ?あいつこの程度の魔法ダメージは効かないんだっけ?」
これ自体はいかなる効果でも減少できないので《光る鱗》も貫きますが、もっと根本的な問題でブレスにはお返しできません。
有効なのは近接攻撃・射撃攻撃・魔法の行使による物理・魔法ダメージのみですからね。魔物の特殊能力には効きません。
残った5つの胴体は大司教に3回、ゆんに2回分体当たりを食らわせます。大司教は例によって無傷でした。
ゆんは1発は【ブリンク】で回避。もう1発は達成値33に対して達成値35を出して尻尾で《カウンター》です。
GM「《カウンター》なら、俺に防御ファンブルやられる可能性もないし、安全って?」
ダメージは59点だったので29点通し。それが反射して11点カットして適用ダメージ18点。やはり結構いけますね。
当たりやすい上にクリティカルしにくい尻尾はなかなか有効です。回っても元の威力が低いからあまり大ダメージにはならないし。
★5ラウンド目:妖怪のターン
鋼麟は倒れましたがスカイシップチェックは続きます。今回はエイデルに行きましたがアインベフが撃墜して被害がない模様。
バトエルデン「何だろ、何でルーフェリアだけ守ってくれるやつがおらんのだ?」
マイザール「いやあ、それは……」
ジュエリィ「守るべき人がここにいちゃうからじゃ?」
マイザール「人材少なすぎますね、ルーフェリア」
バトエルデン「戦力流出してるんだよ。アイヤールに引き抜かれたんだよ」
15レベルの英雄がいるだけマシですけどね。リオスなんてそれすらいないようだし。まぁ他の地方ではそれが普通なんでしょうけどね。
行動ではジュエリィが【トルネード】を発射するも1ゾロに終わり、ヘイストが発動してやり直しても抵抗されて被害軽微。
マイザールは弱っている胴体にパラミスSを入れつつ《ティルダンカル光魔再起》の【メテオ・ストライク】で攻めます。
1ヶ所だけ抵抗1ゾロで抜くものの出目悪く42点止まり。他の部位は20点台なので《光る鱗》で10点台に留まります。
大司教は【ホーリー・ブレッシング】を前衛2人に入れつつ、ゆんの方に《かばう》。伯爵が頑丈なお陰で余裕が出てきましたね。
しかもヘイストチェックにも成功したので【キュア・モータリー】で回復もします。ゆんのダメージは大きいけど【リカバリィ】があるので十分。
伯爵は《マルチアクション》《魔力撃》で胴体を狙います。過剰な命中力と【プレコグ】を活かして確実に命中させますが、ダメージの出目低し。
フェルディナント「ここは、あえていく。相手のHP残量的に、1回のクリティカルは条件だ。〔剣の加護/運命変転〕で、クリティカル!」
ギリギリ2回りを避けて97点ダメージを叩き出し、67点の適用ダメージです。それが反射してブレッシング込みで41点引いて26点ダメージ。
その怪我も《マルチアクション》の【キュア・モータリー】で全回復します。
バトエルデン「何て言うんだっけ、これ?自作自演?」
モータリーで回復できるのはブレッシングの援護があればこそ。そうでなければ流石に50点台のダメージには【レストレーション】ですね。
その後ヘイストチェックに成功した伯爵は2発目を叩き込みますが。
GM「(コロコロ)すまん!」←防御ファンブル
ゆん「やーっ!」
バトエルデン「ヤバい!」
ジュエリィ「ここでその目は外道」
マイザール「自分の出目の悪さまで戦術に織り込むとか、やり過ぎですよ」
GM「そんなこと考えちゃいねえ!俺はオカルト否定派だっての」
ここで伯爵が自分でファンブル表を振った結果出目1で2回振り直しが出て阿鼻叫喚。振り直した結果は出目2と3でした。
すなわち「ダメージに、攻撃者を強化している「剣のかけら」の数が追加される」と「ダメージに、攻撃者の「レベル」が追加される」ですね。
伯爵にかけらはないので冒険者レベルの15点が加算されるだけ。どうなることかと思ったらちょっと嬉しいボーナス程度になりました。
バトエルデン「絶妙。2倍とかは、伯爵、本当にフルHPから即死できるからな」
マイザール「防護点無視でも+30相当ですもんね。一番いいところです」
フェルディナント「一瞬、「4」「5」を幻視したっすよ」
GM「やめて」
それは「ダメージ決定を2回行い、より高い方を採用する」と「最終的な算出ダメージを2倍する」ですね。
下手すると回って100点、倍にして200点とかになりますね。回らなくても100点超のダメージが反射してくるでしょう。
このダメージはクリティカルせずに87点でした。57点通して、反射したものを11点減らして46点負傷。
フェルディナント「これ、《マルチアクション》乗ってますよね?」
GM「乗るね。【ヘイスト】は主動作追加だから」
フェルディナント「では、【レストレーション】します。全回復」
バトエルデン「やっぱり、自作自演じゃないか」
ただしMPの消耗が凄いことになっているので大司教のトランスファーが欲しくなってきました。
大司教自身は《ポーションマスター》でちょっとずつMPを回復できるので多少の融通は可能です。
思えばフォーセリアではそういう手段もないし魔晶石も使えないしで、トランスファーは回復役のリソースが削れて不安でした。
続いてゆんは【リカバリィ】してから《魔力撃》と《鋼鷹》を宣言。まずは尻尾で殴って56点ダメージを叩き込みます。
これで2つめの胴体を潰す。あと1つ潰せば頭に手が届きますね。26点反射してブレッシングを残り4点まで削りました。
ゆん「今度は《鋼鷹》の効果で<ヘビーメイス>を投擲武器として、【バルーンシードショット】します」
マイザール「何あれ?」
バトエルデン「凄い光景を見たぞ。口から<ヘビーメイス>を撃ち出すグラスランナー」
妖怪1足りないのお陰で命中して46点ダメージで16点抜け。《魔力撃》が乗らないので控えめですが反射もしない。
続けて【フェンリルバイト】で噛み付いて、また妖怪1足りないで命中。回って62点ダメージ、32点通しです。
今度は32点が反射してブレッシングで4点だけ削り、更にいつものように11点減らして17点抜けましたね。
しかもヘイストチェックにも成功です。
GM「おい、えらく再稼働率高くないか?」
ジュエリィ「ほら、さっきまで少なかったから」
バトエルデン「相手が相手だけに悩ましいとこだが」
今度も尻尾で殴り、3連続目の妖怪1足りないで命中。58点ダメージで28点通して反射。また17点抜けました。
ゆん「だいぶチキンレースになってきた」
ここでさっきは自重した《追加攻撃》でもう1回殴ります。すると4連続目の妖怪1足りないで命中、呪われているのか(笑)
今度は55点ダメージだったので25点通しました。それも反射して11点減らして14点抜け。合計48点の反射でやりきりました。
輪環の攻撃です。今度はブレスはないので頭部が大司教に噛み付いてカーンと全部弾いてノーダメージ。2D+33点ではそんなものです。
胴体1はゆんにいって大司教が《かばう》でカーン。胴体2もゆんにいって【ブリンク】で回避。胴体3は大司教にいってカーン。
胴体4はゆんにいき、果敢に《カウンター》を狙いますが同値失敗で最大ダメージの44点が物理ダメージでゆんに入りました。
防護点は17点相当なので27点の適用ダメージです。反射ダメージと合計して75点になりますが事前に全快しておいたので立っています。
ここで輪環の再生をしてからのHPを確認しますと、頭部は300点で無傷です。胴体3つも200点で完全に再生しています。
ただしさっきからゆんが殴っていた4つめの胴体は残りHP96点で半分削れています。これを落とせれば《攻撃障害》が軽減されます。
★6ラウンド目:封印の幻獣の始動
今回のスカイシップチェックはカイン・ガラに行きました。
GM「重傷者発生。誰だ、誰ぇだ、誰ぇだ」
マイザール「2番目の人あたりどうですか?」
ジュエリィ「こら」←2番目の人
フェルディナント「いないからセーフってことですよ」
今回の被害者は"看板娘"アズ・リーン・ヒッグスでした。定食屋の看板娘にして大食いチャンピオンです。
フランソール・シルヴィリさんに続きまたも一般人の被害者が出てしまいました。マイザールの手が空けば【セーブ・ザ・ワールド】できるんですが。
今回もジュエリィは【トルネード】です。ヘイストチェックにも成功して連発でじわじわと削ります。
マイザールは【グレイテストフォーチュン】と《魔法拡大/確実化》3倍で頭部に【ライトニング・バインド】をかけて継続ダメージ&弱体化を狙う。
ところが3回振っても1や6は出ない。【ラック】で振り直しても出ない。結局自前の運で出目10出して抵抗を破ってかけました。
ヘイストチェックにも成功して【メテオ・ストライク】を使いますが、全部位に抵抗されてまたも20点台のダメージに終わります。
伯爵は今回も《マルチアクション》《魔力撃》で一番弱っている胴体を狙います。【クリティカルレイ】Sランクまでぶっこむ恐れ知らず。
これは当然のように命中して1回回って96点でした。66点の適用ダメージで3つ目の胴体も落ちて《攻撃障害》軽減に成功します。
この瞬間"カルディアの碇"達がついに動き出しました。彼らは毎ラウンドPCの手番の最後に封印のための《命中力判定》を行います。
伯爵は【レストレーション】で傷を癒しつつヘイストチェックに成功し、いよいよ頭部を狙います。
フェルディナント「「攻撃障害」はたかだか+4ですよね?そして、反射ダメージはない。狙う!」
GM「一気に潰しに来たか」
バトエルデン「ヘイヘイ、幻獣びびってる」
ジュエリィ「幻獣びびってる」
一同「ヘイヘイヘイ」
頭部の回避力は胴体より1つ高い29(36)で+4されて33(40)です。命中力が推定37もある伯爵なら十分当たる。パラミスもあるし。
ここで伯爵は命中させて75点ダメージを出します。防護点40と大司教並みに頑丈なので35点しか抜けません。これで300点削るのは大変そうですね。
バトエルデン「しかし、頭のダメージは胴体がHP融通するんですよね?」
GM「するよ。胴体のHPから好きなように渡すよ」
バトエルデン「で、胴体は再生するんですよね?」
GM「するよ」
バトエルデン「つまり、どういうことだってばよ?」
胴体を3つ潰したとはいえまだ3つ健在なわけで、頭部と合わせて1ラウンドに合計100点もHPを回復。
1ラウンドにこれ以上のダメージを毎回与え続けることができるのなら、輪環にとっては赤字が続くことになりますね。
胴体に魔法ダメージを与えたらMP経由で回復されますが、それを避けて実現可能ならば長期戦になるがリスクは低い。
もし今までのように胴体から潰そうとするならリスクはあるけど早くて確実ですね。ある程度潰したところで頭部に移ってもいいし。
どっちを選ぶも自由ですが、自力で倒す前にカルディアの碇"の封印が成功する可能性もある。ていうかこっちの方が早そう。
マイザール「怖いのは息切れですねえ。正直、ボクはかなり苦しい」
フェルディナント「俺様もほぼすっからかんだ」
ジュエリィ「もう魔晶石でがんばっている状態」
ゆん「ゆんの魔晶石はあと40個」
バトエルデン「俺は、<魔香水>も半分残ってるし、もう少し戦えるが」
正直なところ封印されるまで耐えたほうが楽で安全ではあります。しかしできることならこいつを倒したいと思っています。
封印してもまたいずれかは復活するだろうし、ただ問題を先送りにするぐらいなら、いっそ倒して後腐れをなくしたいというのもある。
しかし伯爵はそれ以上にこいつを倒して、"神より古き獣を倒した者"の称号と200名誉点を手に入れたいという思いがある。
あとは"カルディアの碇"をどうするかです。倒そうと思うなら先に封印されるのはまずいんですよね。
バトエルデン「うるさい、寄るな。ずばあ」
ジュエリィ「ダメー」
マイザール「それで万一僕らが負けたら大惨事じゃないですか。ここは、【セーブ・ザ・ワールド】で閉め出すだけにしましょうよ」
もし負けそうになったら解除して入ってきてもらって封印させるんですね。保険として確保しておく方法です。
マイザール「早く、早く入ってきてー、あんたらの仕事でしょー」
バトエルデン「お前ら、サボってじゃねえよ」
GM「甘えが過ぎる(笑)」
フェルディナント「ナレーション「人間は身勝手である」完・結」
流石にそれはやり過ぎなので手は出しません。彼らは彼らで黙々と封印させておけばいい。
というわけで頭部狙いで戦闘を続行することにします。封印が先か、倒すのが先か。倒せたら嬉しいボーナスステージです。
マイザール「まあ、一撃300点は出なくもないですよ。伯爵とこのGMの組み合わせだと」
フェルディナント「頭には攻撃反射ないからな。《必殺攻撃》遠慮なしに使っていくぜ」
マイザール「それで、150点ぐらい叩き出してもらって、防御ファンブルで、2倍&防護点無視。ありえます」
もの凄い確率は低いし狙ってやれるものでもありませんけどね。一撃でなくても少しずつ弱らせて仕留めてもいい。
時間とリソースに余裕があるなら胴体を先に潰したいんですけどね。このままだと封印が先になりそうなので。
大司教は【レストレーション】しつつ<魔香水>で回復です。以後《かばう》はずっとゆんに。
バトエルデン「ぐびぐびい。もはや、俺の体液はすべて<魔香水>よ」
ジュエリィ「ちょっと齧らせて」
マイザール「一口いいですか?」
続いてゆんは《魔力撃》で頭を狙いますが当たらない。《攻撃障害》が残っているので厳しいようです。
ゆん「うーん。当たらなければ意味がない。ゆんは、胴体を狙う」
《鋼鷹》で<ヘビーメイス>を当てて運よく回って56点ダメージ。これで26点抜けたので再生分は削れています。
続けて【フェンリルバイト】で噛み付いて妖怪1足りないで命中。また回って31点抜けて、反射ダメージ20点は【リカバリィ】で回復。
ヘイストが発動して尻尾でぺしぺし。また妖怪1足りないで30点弱の適用ダメージを当てていきます。運がいいのもあって90点弱も削っていますね。
ここで封印チェックです。まだ命中力25なので出目5で30です。これでは33(40)ある輪環の頭部には到底当たりませんね。
パラミス等の補助を無視すると同値の33まで命中力が上がるのは8ラウンド後です。それは待ちすぎだとしてもあと数ラウンドはかかりそうですね。
輪環はスロウチェックを掻い潜って《残光のブレス》を発射。マイザールとゆんに50点超のダメージを与えます。
胴体の攻撃は大司教の防護点と《かばう》に阻まれ、ゆんに1発行ってもそれだけでは【ブリンク】で回避されてノーダメージ。
回復してHPは頭部300点、胴体200点、200点、114点という状態です。先にもう1つ胴体を潰した方がいいかもしれない。
最後に【ライトニング・バインド】が40点のダメージを頭部に与え、《光る鱗》で10点軽減して残りHP270点にしました。
★第7ラウンド〜:そして戦いは終わる
今回のスカイシップもエイデルに飛んでアインベフに落とされました。
ジュエリィは【ヘイスト】が切れたので自分にのみかけ直し。他の人は遠すぎて射程30mあっても届かない。
これによりヘイストチェックを行って成功して【トルネード】です。今回は全部位を巻き込み、1つ抵抗を抜いて削ります。
マイザールは頭部にパラミスSランクを入れつつ、《ルシェロイネ魔導収束》で頭部に【メテオ・ストライク】をぶち当てます。
魔力+2で一点集中するつもりでしたが抵抗されて適用ダメージ10点と振るわず。大司教はゆんに【レストレーション】で全回復です。
伯爵は《マルチアクション》で【ファナティシズム】をゆんに入れつつ、【クリティカルレイ】入りの《魔力撃》で頭部を殴ります。
フェルディナント「これでSカードなくなりました」
GM「そうか」
フェルディナント「次からSSカードです」
GM「何でやねん」
ダメージは79点で39点の適用ダメージでした。これだけ出しても半減しちゃうんだから堅いですね、大司教もそうですけど。
ゆんは練技を全部入れ直して、命中力が向上したので《魔力撃》の攻撃を頭部に集中させ、《鋼鷹》の<ヘビーメイス>のみ胴体に。
ところが出目が悉く悪く3や4ばかりという絶不調っぷりでした。結局命中は1回のみと振るいません。
封印チェックの命中力は26に上がって出目6で32です。輪環はパラミス効果で回避力30(37)に下がっているものの回避。
輪環の攻撃は伯爵に集中して10点台の適用ダメージを出しますが、大した痛手にもなりません。
回復してHPは頭部300点、胴体200点、200点、116点という状態です。若干黒字になっていますね。
思えば今までは地味にヘイストの再稼働率が高かったけど今はそれももうない。これはお互い決め手を欠いているような気がします。
そしてラウンドは巡って第8ラウンド、今回もまたルーフェリアにスカイシップが飛びました。
GM「結果は?」
バトエルデン「(コロ)4。これは……」
GM「ついに業を煮やした女神が降臨したか」
しかもスカイシップを落とすだけという、神様にさせるにはショボい仕事です。リアがどんな顔をしているか。
ここに来てマイザールはついに【セーブ・サ・ワールド】の使用を決断します。既にMPも魔晶石も限界なのです。
マイザール「マイザールらしくないんですけど、長引かせたら被害が出続けるわけで。
もう、ここ閉じます。その上で、伯爵がラッキーヒットするならしろです」
フェルディナント「悪魔の姿して正論だな」
マイザール「赤の他人の生命を種銭にしてバクチをするのは気分がよくないんですよ。
トラヴィスが死んだら、メルドリーネ騎士位失っちゃいますし」
やっぱりトラヴィスがいるお陰で地位はギリギリ保持できているんですね。すると伯爵は主君の義父になるわけですか。
魔法自体は残り少ないMPを振り絞って《ティルダンカル光魔再起》もかけて確実に発動させ、これにてスカイシップチェック終了。
ジュエリィは相変わらずヘイストの再稼動もあって【トルネード】2連発を叩き込んだりしますが決定打にかけます。
一方伯爵は【クリティカルレイ】SSランクまで使ったのに回らず、ゆんは口から<ミスリルアックス>を発射するも外して海に投棄する始末。
頭部をなかなか削ることができずにラウンドは進み、その間大司教が敵の物理ダメージを弾き続け、戦いは膠着状態に陥ったかに見えました。
しかしそうしている間も封印の精度は少しずつ上がっていきます。
フェルディナント「封印の命中力、(コロコロ)うお、37」
GM「(コロコロ)うむ、1足りない。ちゃらっちゃらっちゃー」←ボッシュートの音
ということで"イグニスの輪環"は"カルディアの碇"に封印された。このパーティが倒しきることのできなかった初の魔物となったのです。
流石のこのパーティもリソースには限度があるわけで、輪環の再生力を打ち破るだけのリソースには足りていなかったように思えます。
もっと国家レベルの大作戦にして魔晶石もカードも回復アイテムもしこたま用意することができていたら、封印するまでもなく倒せてはいたと思う。
そんな輪環がまた何百年後かに復活する日が来るのかもしれません。その時はその時代にまた新たな英雄達が誕生していることを祈るばかりです。
★そして、英雄たちは
"イグニスの輪環"を倒すことはできませんでしたが、封印には成功したのでミッションは達成です。GMも倒せるとは思っていなかったそうだし仕方ないか。
さっきまで鬱陶しかったスカイシップも今度こそ役目を失ったせいなのか、最早飛行することすらなく海へと落下していきます。
これって回収すれば結構な稼ぎになるんじゃないですかね。それぞれ魔動核を積んでいるだるし、今回出た被害の補填に使えるのでは。
それとそろそろ【エアウォーキング】の持続時間も切れますね。
フェルディナント「おい、マイザール、【テレポート】だ」
マイザール「MP足りないっす」
フェルディナント「何!?」
バトエルデン「あーわかったわかった。みんなでルーフェリア神殿帰ろうな。このシリーズの伝統だ、伝統」
ということで【エスケープ】で一気にルーフェリ神殿に帰ってきました。流石にカナリスの本神殿より近い位置に祠とかありそうですけどね。
しかし帰ってくると神殿はボロボロ、リアはカンカンで視線は冷たい。
ゆん「知ってるルーフェリア神殿とちょっと違うね。模様替えした?」
バトエルデン「あ……ぼとり(荷物を取り落とす)」
リア「今までどこにいたのかな?」
バトエルデン「せ、世界を救ってきたんですよ。本当だよ」
ここの挿絵がまたいい味を出しています。遺跡かと思うほど荒廃した場所で遠目にも口をポカンと開けている大司教。
末弥先生の美麗な挿絵でここまで間抜けな雰囲気を出すのも珍しい気がする。クリスタニアのリプレイですら挿絵だけは格好よかったのに(笑)
怒っているのはリアだけじゃない。大騒ぎの中で大司教不在という大失態に王宮側もルーフェリア批判を強めているらしい。
フェルディナント「あー、こほん。大司教殿、我々は、自国の被害が心配なゆえ、ここで失敬させてもらうよ。うん」
マイザール「そうですね。さっさと帰りましょう。じゃ、2人だけ【テレポート】」
ジュエリィ「ワタシもカイン・ガラが心配。地下の魔動機も気になるしね。ごめんね。ゆんは?」
ゆん「ゆんは、エイデルもう1回行ってみたいかな。なので、途中までジュエリィさんと一緒に行くよ。じゃねー」
バトエルデン「え?あれ?おい、誰か俺の無実を証言してくれないの?」
以前のドラゴネットの弁償なんて目じゃないぐらいの危機が大司教に襲い掛かります。ていうか何故か毎回酷い目に遭っていないか大司教。
この後どうなったかは不明ですが、特に大司教が更迭されたという話もないので多分何とかなったのでしょう。
個人的にはあれだけの偉業を成し遂げておいて立場が悪くなるというのは可哀想でならないけど、それはそれで英雄の宿命という気がしないでもない。
こうして<滅びのサーペント>と魔法王の事件に続き、双頭のサーペントの事件も無事に……いや無事ではないけど解決しました。
初めて彼らの活躍を見た時の衝撃と興奮を忘れることができなかった私にとって、この書き下ろしリプレイは以前にも増して面白かったです。
世界の危機を救うエクストリームリプレイとか、"サーペントの英雄たち"とか、色々なキャッチコピーが生まれている様子で評判もいい。
その人気に応えてなのか、このレビューを書いている途中で、何とこのシリーズの第三弾の発売が明らかになりました(2013年12月現在)。
その名も「三眼のサーペント」です。しかも今度は上下巻の分冊という大ボリューム。これはまた期待せざるを得ない、早く読みたい。
多分今度は「イグニスブレイズ」の改訂戦闘特技とか、場合によっては現時点で発売したての「ユーレリア博物誌」のデータなんかも導入されると思われます。
こうして蛇の特徴が1つずつ増えていく名物シリーズとして完全に定着してくれると嬉しいですね。それこそ「八岐のサーペント」とか出るぐらい続いて欲しい。
実際問題、折角発売したサプリメントも公式リプレイでは出番がないとか、レベルが足りなくて使えないといったことが多いので需要はあると思うんですよね。
彼らにはそうして常に最先端を走り続けて欲しい。そしてフォーセリアの頃にはできなかった高レベル帯での面白さをリプレイを通して伝え続けて欲しいです。
それでは次の英雄達の活躍の時まで、大司教の立場が改善していることを祈って楽しみに待ちましょう。