「狙われたヘッポコーズ」編:安田均 作:秋田みやび 他 出版社:富士見書房

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★はじまりに

とうとうソードワールド短編集も20冊目を数えるに至りました。今まで本当に様々な作品があり、どれも思い出深いものばかりです。

短編のみのキャラもいたし、長編やリプレイから輸入されたキャラもいた。一度きりのものもあれば、何度も繰り返されるものもあった。

出来のいい作品があれば、そうでもないものもあった。でもそのいずれもが愛しく、大切な、フォーセリアの一部であるのは間違いない。

今回のテーマは今までありそうでなかった「冒険者」です。各短編の副題を見れば、主題となる技能や役割は一目瞭然という訳です。


「愛があれば大丈夫――神官を導く作:藤澤さなえ

オランとカゾフを結ぶ街道から離れた人口1000人にも満たない小さなロサーグの町がこの話の舞台です

決して盛んではなく、かといって貧しいというわけでもなかったようです

しかし、新しく赴任してきた領主は贅沢三昧のバカ貴族でした

そんな次第に深刻になっていく町にあって2人の若いマーファの神官を軸に話は進みます

その2人とは


セギー 15歳

気が弱く色白で猫背気味な人間の少年です

イメージとしては身体の弱くないリザンです(笑)

能力値を見る限りでは決して身体が強いとは言えませんけどね

筋力は11、生命力が9というのがその辺を如実に現しています

作品中で1レベルのファイター/プリースト(マーファ)に成長したりします


ニニ 14歳

脳天スカピーなドワーフの女の子です

ちと頭が弱いのか精神年齢が低いのか、突飛な事をしでかします

それというのも、道端で談笑する男女を見つけては執拗に愛の祝福をして回るんですよ(苦笑)

本人は善意の塊だから邪険にもできず、なかなか扱いに困ります

マーファは結婚を司るという一面も持ちますから、彼女としては仕事熱心なんです

そして彼女も作品中でプリースト(マーファ)が1になります


一応今回の主役と思われる2人ですが、実に面白い展開なんですよ

ゲーム上ではプリースト技能なんて経験点にしてたった1000点で習得できる物です

しかし、世界的には神の声を聞くに至った限られた人だけが使えるのが神聖魔法です

実を言うとこの2人、最初はプリーストなんて持ってませんでした

しかし、愛に触れ愛を考える事によりマーファの声を聞きます

そう考えると、この作品は2人の人として神官としての成長の記録なのではないでしょうか


ニニは今日も町行く男女に愛の祝福をして回り、見事に苦情をいただいています(笑)

この町の神殿の司祭様であるゼナム司祭から今日もお目玉を食らいます

が、彼女としては何がいけないのかサッパ分からない状態です

第三者から見たらまるでコントのような問答が続きます


幼馴染のセギーが何とかしようとしますが、どうにもなりません!(笑)

気の弱い子なんです、どもりだし

小さい頃からの癖なのか自分よりも全然小さいニニの後ろに隠れたりとちと情けない

ニニもね〜悪気はないんだよね、悪気は

相手が断っても遠慮してるんだ!と勘違いしてさらに強引に祝福します!

女の子でも流石にドワーフ、筋力も19ですから一般ピープルじゃ抵抗できません


常識さえあればね・・・・・・

原因は明らかです、心の機微を理解できない!

一生懸命すぎるというのもあるんでしょうけどね

そのせいで相手の心境もおかまい無しに突撃するんですよ


ということで、罰として聖書の書写などを命じられました

もちろんセギー君も巻き添えです(笑)

なんとかニニに愛を説こうとしますが本人だって経験ないんだからハッキリ言えるわけもなく

不毛・・・・・

そんなセギー君も神殿一の武闘派ことメイスの使い手であるラフィーサさんに恋してるんですよ

しかし、性格がたたってかどうにも出来ず、ニッチもサッチもいかないマッチ!


19歳の美人でファイター3、プリースト(マーファ)2のお姉さまです

こんな田舎町にしたらそれなりの使い手ですね

神官戦士長という役職はないんですけど、それに近い感じです

快活で武闘派な美人神官、フラウスみたいですね(笑)


セギー君にとったら高嶺の花、町中の多くの人が注目するマドンナです(古いかな?)

もちろん、まともに話せるわけもなく・・・・・・

ニニに至っては一発でセギー君が恋している事を看破します、それも大声で!

うわ〜恥ずかC!もとい恥ずかしい(こっちが恥ずいわ!)

どうするセギー君!地獄の愛の伝道師に気づかれちゃったよ!

かくして、翌日からニニによる「セギーを幸せにしよう計画」は発動されます(哀悼)


・・・・・・気づかれるべきじゃなかったんですよね、やっぱり

祈りの時間はセギーとラフィーサさんを近づけるために低い位置からのタックルを見舞い!

食事の時間はセギーとラフィーサさんを近づけるために邪魔な神官を吹き飛ばす!

さらにドワーフの感覚からかセギー君を武装させます(何故!)

しかもその鎧はニニが作り直した物だったりするんですよね

ドワーフが手を加えるんだからさぞ立派な物に・・・

「と思ったら甘かったよコンチキショー!」(by,セギー)

必要筋力が3も上のチェインメイルを作られちゃった


ロクに身動きもできずにヨタヨタ、ついたあだ名は"鋼おばけ"!

イリーナとはえらい違いですよ、しかし(やすし師匠)

ところで、データをみるとチェインメイルの防御力が+5の修正を受けていないんですよ

誤植?


しかし、そのおせっかいもココにきて超いい働きを見せます

ラフィーサさんにメイスの稽古をしてもらおうという、素晴らしい計画です!

これは本当に当たりでしたよ!

敏捷度ボーナス+3のおかげかわりといい感じで動けるんですね

しかも、憧れの人が汗だくになって稽古をつけてくれるなんて・・・・・・

健全な青少年にとったらメルヘ〜〜ンゲットォォォ!!(笑)


最初は無理かと思ったんですけどね

虫も殺さない優しいセギー君がメイスでシバきあうなんて出来るのかと

でも意外と肝は据わってたようです

身体を動かす喜びも知り、少しずつですが変わっていきます

人よりも変声期や成長期が遅かったのか、青年らしい風体になってきたようです

正直言って驚きました、この手の少年は一皮向けるまでに苦労するものなんですけどね


そしてその変化は風体だけに止まらず

少年は本当に青年へと成長しています

愛しい人を見る彼の目は最早、何も知らない子供のそれではないです

でも・・・・・そうなると今度はニニが不憫になってくるんですよね

まるで、セギーが遠くに行ってしまったかのような寂しさ

ニニもまた、彼へ特別な想いを抱き始めています


今度はニニが寂しげになってしまいました

毎日のように町に繰り出し、愛の祝福をばら撒いていた昔が嘘のようです

何か・・・・・可哀そうですね

司祭様もホッとする反面寂しそうです

まるでイタズラっ子が急に大人しくなって叱れなくなった先生のようです


あんなに一緒だったのに〜♪セギー君は稽古に夢中で前のようにかまってもらえない

今まで当然のように隣にいた幼馴染が急に違う世界の住人になってしまったようで・・・・・

寂しいですよね、アレは(誰だってそういう時があるさ)


さて、そんな神殿の風景もなんのその、町はもっと深刻になっています

バカ領主が贅の限りを尽くした城を作るために税を上げ、男手を拉致同然で働かせる

そのせいで町はまるでゴーストタウンです

典型的な、それでいて極端なダメ領主ですよ

元々奢侈な(度を越えた贅沢)性格がこんな田舎に満足するわけがありません


ニニにとったらそれよりもセギー君のほうが深刻な問題のようです

子供はいつか大人になる、半人前もいつかは一人前になる

分かりきっている事なのに、分かっていたはずなのに

いざ直面すると何ともいえない寂しさが身を切るように吹き荒びます

変わってしまうことは、仕方のないことなのにね


一方、セギー君はといえば愛しい人との稽古の真っ最中でした

本当に強くはなってるんですけどね

まだまだ彼女には敵わない

でも、最後まで稽古を続けてもらったり、自分の至らなさに苛立って何度も挑む姿勢は本当に立派ですよ

こんな真人間になるなんて思ってもいませんでしたよ(そりゃいい過ぎだよ)


そしてその姿勢は自信を生み、希望へと繋がります

セギー「頑張れば、彼女は僕を見てくれる」

ポジティブ・シンキング、ここに極まれり

そして、その時でした

彼が神の声を聞いたのは


心境の変化のおかげか、努力の賜物か、とにかく彼は神聖魔法が使えるようになりました

もちろん、これは大事です

神殿中の皆が祝ってくれます

そして、彼の目に映るのはラフィーサさんであり、ニニではなかった

少なくとも彼女はそれを痛感し、その場から走り去ることで何とかしようとします・・・・・・

大好きな幼馴染はもう・・・・自分だけのものではない、自分なんか視界に入っていない、そんな恐怖ですかね


ニニはセギーもラフィーサさんも好きだけど、顔をあわせたくない

それは嫉妬のようで、畏れでもあるんでしょうね

セギー君はといえばそんなことはないんですけどね

すれ違いか・・・・・


町人の方もいよいよ大事ですよ

ついに一斉蜂起を決意したようです

ますます酷くなる圧政、命の危険すら感じ取れるほど深刻です

既に1人一生モノの怪我を負わせられ、我慢もいよいよ限界ですよ

町人たちとしては、神殿にも協力して欲しい所です


マーファは自然な生き方を奨励しています

それは文明を否定するのではなく、あくまでも生き方です

そしてそれは支配することへの反対にも繋がります

魔神戦争の時、ロードスはアラニアでは多くの村が一斉に納税を拒否するという事件が起きました

当時ロードス中を跳梁跋扈する魔神たちへの対応があまりにも悪いアラニア王家への対抗です

そして、マーファ教団も少なからずそれに加担しました、ていうか原因ですね

自分の命を投げ打って魔神と戦う神官戦士の姿に心打たれ、民衆は戦う決意を固めたんです


いつの世にもいる無能な、それでいて我侭な統治者たち

何故彼らは民衆の力に気づかないのでしょうか、何故刹那的な享楽の為に自分の首を締めるのでしょうか

恐らくそれすら気づいていないんでしょうね

人の上に立つものの責任をないがしろにし、恩恵だけを享受しようなんて虫が良すぎですよ


この村の場合、ここで動かないといよいよヤバイですよ

もう限界を超えてます、領主は陳情にも耳を傾けません、戦うしかない!

もちろん、被害も出るでしょう

でもこれは民衆の望んだ戦いです、生きる為の最後の手段です


クリスタニアではレードンパパのハーヴェンがクーデターを起こす事を避け自害しました

でもあれは貴族同士の勢力争いという不毛な戦いだからです

民衆が貧困に喘ぎ、生活が出来ず、救いの手を求るようだったらきっと先頭を切って戦っていたと思いますよ


神殿の神官たちも戦うことにはやぶさかではなく

もうやるしかない状況です

ここまで戦闘ムードが漂うとは、よっぽど酷い状況なんですね

民衆とマーファ神殿が腹を括った時点でこの蜂起の結果は見えていますよ

所詮領主を守るのは金で雇われた烏合の衆

大挙して押し寄せる鬼気迫る民衆の前にはほとんど無力でしょう


しかし、セギー君は何とかしてこの戦いを止めさせようとします

最初は「何言ってんだ?このオカッパは?」と思ったんですが・・・・・・

彼は戦いを止めたいんじゃなくて、ラフィーサさんが戦うのを止めたいんですよね

神殿一の武闘派が先陣をきって戦うのは火を見るより明らか

しかし、そんな個人的な理由を主張する事も出来ずに皆から「口撃」を受けます

事情を知らなければ、ただ駄々をこねているように見えたでしょう

事情を知っていても駄々をこねているように見えますけどね(笑)


事情を知るニニはセギーに散々貯めてきた不満を爆発させ、走り去ってしまいます

恋は愛ではなく嫉妬を呼ぶこともあります、ニニの心に吹き荒れたのは愛ではなく嫉妬

セギー君の事情を知るとはいえ、それは表面だけでもっと深い内面については考えていなかったようです


恋心に理論なんて無用ですからね

ラフィーサさんの身を案じるあまりあんな事を言ったセギー君

そして、その想いに気づかずに自分の想いだけを考えていたニニ

祝福するといったのに、セギーを幸せにするといったのに

自分は愛について本当に何も分かっていなかった、それを痛感した彼女はただただ泣き咽ぶだけでした


何とか謝りたい、でもどうすれば?

そんな時彼女の心に福音が響きます

『愛があれば大丈夫』

マーファはこの娘にもまた、その声を届けたのでした


彼女の答え、それは愛する事

今まで通りでいいじゃないか、大好きな人皆を愛せばいいじゃないか

例え自分以外の恋人を見つけたとしても、やはりその相手を愛せばいい

その人の抱く愛も根こそぎ愛せばいい

彼女らしい、素直で真っ直ぐな啓示と答えですよ


戦いは思いのほか優勢のようですね

やはり、金で雇われた有象無象では命がけで生活を取り戻そうとする民衆には及びませんよ

セギー君もニニに発破をかけられ、例の重い鎧で武装して戦場に向かっています

とうとうラフィーサさんたちは領主のもとへ辿り着くという快進撃!

なんか上手くいきすぎですよね・・・・・(ニヤリ)


ちなみに領主はハゲでデブです、なんかイヤ!

やけに無防備、やけに自信有り気、絶対罠だ!そう思うでしょう

案の定、伏兵がいましたよ

う〜ん、騎士でも兵士でもなくて暗殺者の類のようです


なかなか強いらしく、ラフィーサさんですら心臓に短剣を突きたてられるところでした

しかし、そんな危機を救ったのがセギー君でした!(快哉)

カッコイイ〜!後ろからメイス一撃で昏倒させましたよ

普通だったら頭蓋骨が陥没しそう・・・・・・

まだセギーが未熟でよかったですよ

これほど純粋なセギー君にキルマークがつくのはちょっと・・・・(苦笑)


さてさて、お待ちかねの告白ターイム!(ねるとん風)

セギー「あ、あの、ラフィーサさん。僕、僕・・・・・・・。ラフィーサさんのことが大好きです!」

ラフィーサさん「ごめんなさい」

・・・・・まさに大ドン・デン・返し!!(泣爆笑)

いや、別にひっくり返ってはいないか

でもでも、ここはカメラからスームアウトする感じで走り去って欲しいですね(合掌)


戦勝ムードもなんのその、場は一気に寒くなります

トボトボと歩み去る少年の後姿は、どこか悲しく

快哉をあげていた村人たちもただただ生温かい目で見送るだけでした(泣)

それでも、不恰好な鎧に肉を挟まれ悶絶するセギー君は既にギャグキャラ?

1人で場を白けさせ、また笑わせる

なんて奇特な男でしょう・・・・・・・


その後、ニニは無差別に愛を祝福するのはやめました

その代わりに「愛ある生活」促進に余念がありません(笑)

町でであった人に愛を植え付け、よさそうな異性と引き合わせます

なんか、規模が大きくなった分前よりもタチが悪くなったような・・・・・・(苦笑)

もうけっこうな年の司祭様と色んな意味でギリギリの追いかけっこもしたりと、元気になってよかったですよ


セギー君はといえば、愛するラフィーサさんに稽古をつけてもらい

神殿に帰ってきたニニの土産話を聞くのを楽しみにしています

これからも色々あるでしょうけど、愛があれば大丈夫!きっとね


「ギルドの掟――盗賊を縛る作:秋口ぎぐる

★今回は区切りがないんだよね

ということで、この話に限っては★で下手に区切るわけにも行かないんですよ

舞台はロマール、その同名の首都の南東に位置するミラースという中堅都市です

盗賊ギルドの勢力は街の繁栄具合によってその上限が決まってくるわけですが

この街はまあ、そこそこ普通、ボチボチ普通、ゴッツイ普通(懐かしいCM)

豊かな方という事ですよ

人口数万だそうで、首都であるロマールの人口は12万だそうですからけっこう大きいんですよね


ロマールといえば盗賊ギルドの規模が大きいという事で有名ですが、この話の主人公はそんなギルドに属するしがない下っ端盗賊です

一人一人紹介していくと


ウェイン 17歳

元々はいいとこのお坊ちゃんで賢者である親のコネで魔術師ギルドに入学したものの退学

そのあとはゴロゴロ転落人生、1レベルのソーサラー技能を使って盗賊に

シーフとしては2、そして1レベルのソーサラー/セージですね

作りたての魔術師が落ちぶれた感じですよ(笑)

ダガーを魔法の発動体にしていまして

"クリエイト・デバイス"はダガーそのものではなく、ダガーに埋め込まれた石にかかっているようですね(効果あるんだ)


コンロイ 18歳

シーフ2、セージ1、そして一般人出身なのか3レベルのマーチャント技能まで持ってます

性格としては粗雑、チンピラ風味なエスカルゴBOYですね(長いものに巻かれろ―上手い!)

ギルドの命令には忠実に従おうとしますがそれは忠誠心ではなく、出世の為、粛清を恐れる為のように思えます

最初はウェインと友情パワーを見せてくれるかと思いきや、そうでもなかったです(笑)


キーラ 19歳

わりと可愛い系の女の子です

3レベルのファイターにとってつけたような1レベルのセージ/シーフ

実は彼女、衛視でして・・・・・・・(苦笑)

いわゆる一つの潜入捜査官というやつですね

しかし、他の2人は微塵も疑っていません


ギルドの方は当然内通者の存在を感じていまして

チームとして働く彼ら3人の誰かが内通者であろうと見当をつけています

そんな彼らは密輸部門に属する盗賊です

そして、ハーフエルフを扱った人身売買を利用して正体を暴きにかかるんですよ

もちろん彼らはそんな事知りません

ギルドに話を通していないモグリの密輸犯をシバいて、代わりに取引をしろと、それだけなんです

ウェインなんかは新しい密輸ルートの開拓だの何だのと都合よく騙されてくれてます(笑)


盗賊には向かなそうなウェイン君、でもミソッカス魔術師として一応頑張ってます

件の密輸犯をシバクためにとある宿屋に侵入する時なんか3人に"プロテクション"をかけてくれます

頑張るね〜精神力は14点しかないのにね

これで3点×3人=9点消費、残り5点!

うわ、もうギリギリじゃないですか


と思ったら、明かりをつけようと"ティンダー"!(笑)

またも3点消費、残り2点!!?

また・・・・・ギリギリだぁ〜(苦悶)

頑張りすぎだよ、ウェイン君

ていうか"プロテクション"が要る状況になったらもう仕事失敗じゃないですか?

それすなわち罠にかかったか、戦闘に入ったか、ですから


まあ、それでいいというなら〜これ以上何も言いませんけどネ〜(アイダホ訛り)

・・・・すんません、活字じゃこの絶妙のネタは表現しきれないっす(ガクン)

よくよく考えたら変な話ですよ、何故に制裁を密輸部門の下っ端にやらせるのか?

まあ、そういうこともないとは言いませんけど、普通は専門家にやらせません?

相手が小物であろうとなかろうとギルドの威厳を保つにはやはり専門家じゃないと

この時点でギルドの計略ではないか、と訝しんでもよかったのにね(読者が)


実際彼ら(主にコンロン)はよくやりましたけどね

刃物で脅す、なんてセコイことはせず

火のついた松明で足の骨がコナゴナになるほど叩き続けます!

うわ〜確かに制裁としてはコレぐらいやらないといけないのかもしれません

少なくとも、これ以上勝手に密輸しようなんて気にはさせないでしょう


ちなみに彼らの密輸するはずだったブツはハーフエルフです

やはり耳が半分長くて可愛らしいですよ

でもね、彼女はギルドの諜報部門の幹部なんだよね(笑)

名前はジル、シャーマン4でシーフ3ですからそれほど地位が高いともいえませんね

なにしろ、ここはロマールですから

この街に限っては偉い人かもしれませんけどね


ところで、今さっきコンロンが足をコナゴナにした連中って、ギルドの人間じゃないですよね?

ということは、彼女はウェイン君たちがこの連中を狙うであろうと当たりをつけて、わざと売り物になったの?

そうですよね?そうじゃなかったら彼らギルドメンバーになっちゃいますよね

泣く子も黙る盗賊ギルドとはいえ内通者を見つけるために足をコナゴナにさせるなんてことは・・・・・・

いや、ボーナスが出るのかも(んなわけあるか!)


でも、ちょっとやり方がマズかったっすね

足を砕くなんてそんな事したら悶絶絶叫必至!

当然宿の人たちも起きてきますし

売り物(だと思っている)ジルを連れて脱兎の如く離脱!

とはいかないんですよね


坊ちゃんなウェイン君としては人身売買という事実に愕然

どうしていいか、分からず硬直

人の売り買いもギルドの仕事ではあるんですよね

西部諸国のドレックノールでは奴隷商ギルドという組織が存在します

盗賊ギルドの一部ではないんですけど、ギルドへ保護料を払ってる所を見ると力関係は明らか


ところで、この街のギルドってロマールのギルドの支部のようなものなんですかね?

大陸最大のギルドを目の前にして独立を保つなんて、ねー?

密輸ってあまりメジャーな部門じゃないんですかね、ここにきて初めて取り上げられてるのを見ましたし

ロマールギルドの組織図にも密輸なんてないし

多分、売買関係の部門から派生するのかと


色々会ったけど何事もなく逃げ切り、ひと時の休息を得ます

ここでウェイン君はジルを"スリープ・クラウド"で寝かせるんですけど

これって・・・・無理ですよね?

さっき魔法を使って精神力は2点にまで減ったのに

でもかけます!そしてかかります!(笑)

本当にかかったのかな?たかだか1レベルソーサラーの魔法が

タヌキかもしれませんよ、彼女レベル高いし


ウェイン「だれだって自分にできる範囲でやっていくしかないじゃないか」

そうだよね・・・・・そうなのかもしれませんね


潜入捜査官のキーラにしろ、それは同じです

彼女は以前、走り去る密輸犯の馬車に飛び乗り

"フォース"で撃たれるのもお構い無しに車輪にレイピアをつっこんで転倒させるという根性を見せました

何故そんなことをしたのか?と尋ねれば

キーラ「出生したいから」

だそうです


最初読んだ時は、盗賊ギルドでのし上がりたいんだな〜と思ってました

でも今は違います

彼女は潜入捜査官として、衛視として出生したかったんです

奇しくもギルドメンバーとしても衛視としても、果たすべきミッションは同じだったんです

ハングリーというか、なんというか


彼女の生い立ちを聞く限りでは、なかなか大変だったらしいです

生まれつき隷属しなければいけないような家に生まれ、生きてきた

だから認められたい、特別な人として皆に

うん、その辺よくわかりますよ


私も前はそう思ってましたし、無茶をして気を引こうともしました

でも、そんなバカな事をしたときに「大丈夫?」と本気で心配してくれた友達がいました

その時気づきました、大勢に認められなくてもいいじゃないか、1人でも2人でも大切な仲間がいるなら十分特別な人間だと

漠然とした欲のために目の前にある確かな宝に気づかないのはなんとも悲しい事だと


特別な人間、それは代えがきかない人間です

友達の代えは、ききませんからね(苦笑)

・・・・・・彼女だって、そうなんじゃないですかね?


その後、4人揃って食卓を囲み質素な朝食を済ませます

ウェイン君はやはり優しいのか、ジルのことをとにかく気にかけます

いい子だね、本当は盗賊なんて修羅道には向いていないんじゃないですかね

落ちこぼれだっていいじゃないですか

世の中ウルトラマンやゴジラだけじゃない!(by.キン肉スグル)

私はこのセリフ好きですよ、実際そうですし


途中階段の上でうっかり"スリープ・クラウド"が効いちゃってジルが落下しかかるという微笑ましい光景もありましたし

ウェイン君はやはりジルが心配なんですよね

誰に買われていくんだろう?

何処ぞの変態貴族に買われてゴニョゴニョ・・・・・・

それとも闇司祭に買われてゴニョゴニョ・・・・・・

そんな感じですね(笑)


怖い想像をしたのか急にジルを逃がそう!などと主張し始めちゃったよ

うう・・・・やっぱり盗賊には向かないね

盗賊辞めろとはいいませんから冒険者にでもなったほうが良さそうな気がします

こうしたドロドロとした事よりもそっちの方がまだ性に合いそうですし

ダメかな〜部署変えは

上納金をちゃんと納めるならなんとかなりそうですけど


あまりにも煩いので後頭部へ一撃を見舞われ昏倒

気づいた時には緊縛状態(笑)

コンロンにしてみれば仕方ないといえば仕方ない

ウェイン君はいいとしても自分まで暗殺部隊に粛清を受けるのは嫌でしょうし

いままで一緒にやってきたコンロンたちに縛られるのはやるせないかも知れませんけどね


でもウェインってば思わぬ所で根性見せるんですよね

床板をガリガリかじり、釘を露出させロープを切ろうとします!

小林くん並の根性だね

でも痛そう、すっごく痛そう(痛そうな顔)

しかもジルを連れてギルドから逃げ切ろうとまでします!

急に男前になっちゃって(笑)

中途半端で終わるのは嫌だ、でもジルを売り飛ばすのも嫌だ

こんどこそやり遂げようと腹を括った仕事がギルド脱走・・・・・・難儀な物です


それからは取引現場で大立ち回り!

とても2レベルとは思えないです

ウェイン君ここにきて超いい動き!!(笑)


でもそれってコンロイたちを巻き込むって事ですよね

ウェインはコンロイのことを利己的だのなんだのいいますけど、自分だって十分自分勝手ですよ

そう、ウェインだって自分勝手、自分のワガママのために人を巻き込もうとしてるんですから

潔癖症なんでしょうかね、利己的ということに嫌悪を表したり


何も人に迷惑をかける人は嫌いだ、といってるわけじゃないですよ

自分のしている事を棚にあげて、人のしている事をあーだこーだ言うのが嫌いなだけです

自分だって誇れるものじゃないんだから、無理に正義漢ぶらないで自分の行為を素直に認め、人のすることにケチはつけるなということです


何か勘違いしている感のあるウェイン君、その勇気は素晴らしいですけどまだ青い

既に自分の我侭を通す為に仲間の命も賭けてるということは分かってるようですけど

だったら無駄に説教垂れずに黙ってやりたいことを遂行しなよ

ここまできてまた逡巡してちゃ同じ事の繰り返しです

利己的だっていいじゃないですか、独善だっていいじゃないですか


今だってそうです、連れて行くなら力づくでもさっさと連れ出せばいい

でもそうせず、あくまでも引渡しを要求するだけ

明らかにキーラへの遠慮ですよ


ジルの引渡しを要求するウェインを尻目に取引を早く成立させようと必死なキーラ

キーラは行く先々で仲間の衛視に情報を漏らしていますからね

当然ここにも来るわけです

キーラとしては早い所取引を成立させて、取引相手を捕まえさせて人身売買のルートを暴きたいと思ってるわけです

だから焦っている、だから必死なんですね彼女

それもまた、出世に繋がるから


あくまでもジルの引渡しを要求するウェイン

1人で逃げようとするコンロン

仕事をひたすら成功させようとするキーラ

・・・・・3人とも、盗賊ギルドの掟に照らし合わせれば十分お仕置きモノですね

そして、ジルは演技をやめました

キーラを"スリープ"で眠らせて、内通者を燻り出す作戦を終了させます・・・・・

正直言ってスカっとしました

三者三様の醜態には正直ウンザリしてたんですよ


何故今回はこんなにもからむんでしょうね、私は

多分、少し前までの自分に似てたからじゃないですかね、彼らが

心にゆとりがないというか、平静さがないというか

本当にクールな人が実は一番熱い

それは、本当に冷たい霜焼けはむしろ熱いという事と一緒です

ただ、自分の感情を剥き出しにして、垂れ流しにして

無様なまでに叫び続ける

そんな昔の自分に似てたからでしょうね


ここでネタ晴らしですよ

さぞかし鳩が豆鉄砲食らったような顔をしてるんでしょうね(笑)

まるでドッキリカメラを仕掛けられた上に逐一採点されているような気分ですよ

こういう「実はこうでした」的な話は結構好きですよ


これをレビューにする場合は最初にネタばらしをしてしまうのがコツです

話の流れに従ってその度に驚いてたんじゃ白々しいですし

それは程度の差こそあれ他のタイプの作品レビューにも該当します

はじめに大まかなレールを敷いておいて、話に沿って補強をしていく

このサイトを開いてから身につけた苦肉の策です(笑)


問題は、どのタイミングでどの程度ネタをばらすかです

それはもう、自分の感です(勘じゃないよ)

『その部分を語る上で公に使えたら便利な情報』を基準にします


さてさて、そんな彼らの後日談ですが

なかなか痛々しい格好をしてるんですよね

3人ともギルドの掟に従って腕を折られるという罰です(キーラは見せしめ)

でも、聞く限りでは綺麗にポッキリ折れているようですし

普通より早く治るでしょうし、治ったら前よりも太く丈夫になりますよ(笑)


これから彼らは別々の道を歩む事になるわけですね

追う側と、追われる側

なんかやるせないけど、このままずっとこの関係が続きそうな気がします

次に彼らが会うのは現場か、酒場か、はたまたお城の牢屋か・・・・・・

出来れば、一杯飲める所である事を祈りますよ(笑)


「ひとひらの歴史――魔術師を誘う作:秋田みやび

★この話にも区切りがないんだよね

そう、このお話も区切りがなく、ラストまで一直線です

特にドラマチックな話ですから、レビューとして書きにくい話ですね


今回の目玉は秋田さんの二つの作品のコラボですか

一つ目の作品は「冒険の夜に翔べ!」に収録されていた秋田さんの作品「季節の巡るたびごとに」に登場したパーティーの過去の話です

皆さんは覚えているでしょうか、名称不明のこのパーティー

ドワーフのマギおばちゃんがリーダーっぽくて、ハーフエルフのシェレアがその次に古株で

新しく入った戦士のダドリーとグラスランナーのティンからなる騒がしいパーティーでした


このパーティー、どうも出入りが激しいらしくそれまでにサイレンス、サノイ、トール、リリィ、ナッシュといたそうですが皆逝ってしまったようです

今回はその内サイレンスとサノイがいた頃の話です

精霊使いが逝ってしまった後、シェレアが仲間になる時の話です


この時は

サノイ 21歳

ファイター3、バード2

サイレンス 23歳

シーフ3、レンジャー2

マギ 66歳

ファイター1、プリースト(マーファ)3だそうです


前の話ではマギは71歳でしたから、約5年前ですね

この時はまだあの噂の故サイレンス氏もご存命だったようです(笑)

あと今回の主人公ともいえるシェレアはまだ19歳!

ソーサラー1、セージ2とまだまだ新米だったんですね


そして、もう一つの作品は言わずもがな、新リプレイです

とはいってもイリーナたちが出るわけではないですよ

この話の舞台はラムリアース、シェレアもラムリアースのギルドに所属していました

さてさて、ラムリアースの魔術師ギルドといえば・・・・・・・皆さん覚えておいででしょうか

あの悪名高きマット・ソーサラー、ファンガス菌を悪用しようとしたアルミンが出るんですよ!!

うう・・・・・できればもっと違うのに出てきて欲しかったです

ルーシィとかね


この二つがどう絡むかといえばそのジョイント部分をこなすのは他でもないシェレアです

この時シェレアは杖と教本を貰ってますから、一応正規の魔術師です

でも、古代書は貰ってないから正魔術師として扱われるかは疑問です

彼女は不幸にもアルミンと同じ導師についてしまったんですよ(いや、導師も不幸か―笑)

いってみれば先輩後輩なわけです


アルミンの傍若無人な性格からすぐに察しもつくかと思いますが、コキ使われてるんですね

この時のアルミンは既にファンガス菌にまで手を出しています

その為の資料を集めさせられてるんですよ、可哀そうに

しかも、そのファンガス菌を騙されて運ばされたのが故サイレンス氏たちです(笑)

いやはやアルミン1人勝ち?って感じですよ


この時のアルミンは既にソーサラー5、セージ4です

もしかして、新リプレイとそう時間の隔たりはないのかも

ということは、「季節の巡るたびごとに」は新王国暦525年ぐらいだったりして・・・・・

うわ〜思ったより近代だったんですね

ロードスでは邪神戦争の前後ですよ


★ここから本編

謎に包まれたラムリアース魔術師ギルドの内部が描写されたのはなかなか貴重です

しかもギルドの誇りともいえる図書館です!

日差しは古書にとって天敵ですからね、窓なんてありません

風を通す為に一ヶ所設けられているようですが

実際の所どれ位の規模があるんでしょうね、ギルドの図書館

その辺の市営図書館なんて目じゃないぐらいですかね


かといってそう暗くもないようです

なにしろここは魔術師ギルド、"ライト"が明かり代わりです

火を持ち込むのはね、危険だからね

ランタンだって何処そのホラ吹き魔術師はよく壊すんです、長い歴史の中で誰一人小火を起こさないと誰がいえましょう

暖かくはないでしょうけど、無難です


そんな部屋の中で1人調べものに勤しむのが今回のヒロイン、シェレアちゃんです

調べものというよりも写本を作ってるんですけどね

何の為かといえばアルミンの為です(笑)

うわ〜労働意欲が掻き消されますよ

移す事に熱心で本の内容なんて読んでないようですけどね


ラムリアースは一年を通して決して温暖とはいえません

なんでも1年の半分は冬なんだそうです

だからこそ、ウンディーネの季節である春を歓迎し、お祭りまで開くんですね

そんなお祭りに彼女を連れ出してくれるのが友人であるパオラです

21歳、ソーサラー3でセージ2です

彼女もアルミンと同じ導師につく不幸な後輩です(笑)


もっとも、彼女はアルミンなんかとは全然違います

引っ込み思案なシェレアを引っ張ってくれる良き友人です

女同士の友情ってドラマとかでは妬みに変わる物ですがここではそんなことありません

純粋に春の祭りに連れ出そうとしてくれます


でも、ウッカリ者のシェレアちゃんは外出届を出すのも忘れてたんですね

真面目ですね、某ホラ吹き魔術師とマット・ソーサラーにも見習って欲しいですよ

ちなみに、この時シェレアが写していた本は『獣人化現象における生態考察』だそうです

・・・・・そういえば、アルミンってファンガスだけじゃなくてライカンスロープにも手を出してたんですね

この鬼畜魔術師ときたら、この祭りを隠れ蓑にして人をさらって獣憑きの実験なんてしてるんですよ!

最低ですね、かつてこれほどの鬼畜魔術師がいたでしょうか(何人か思い浮かぶから嫌です―笑)


何だかんだで連れ立って王都ライナスを歩く様は楽しそうですけどね

その辺の女子高生みたいに「チョ〜カワイイ〜」を連呼しない分凄く共感が持てます(うなずく)

そうしてたまたま入った店にいたのが故サイレンスたちです

アルミンもいるよ(嫌そうに)


丁度ファンガス菌を引き渡していた所です

やはりというか、なんというか、何を運んだのか気になるらしくシェレアたちに尋ねてくるわけです

ここから接点ができたんですね

いえね、実際の事アルミンみたいに人相が悪い魔術師が目の色を変えて喜ぶような物を運ぶのは複雑ですよ

一体何を運んだのか・・・・・・猫の死体?みたいに思うわけです(思うか!!)


菌だけに重量感はないらしく、箱も軽いようです

箱を風袋にして重量を測ったらいったい何グラムいくんでしょうね

思いのほか会話は弾むらしく、和みますね

さて、ギルドに帰ってからが不幸の始まりです

パオラがうっかりアルミンの研究室なんて覗くから・・・・・・


しかし、実力はやはり本物らしく、たくさんの資料に囲まれていてパオラとしては幸せそうです

ところで、パオラがうっかり"アンロック"を使って扉を開けたことになってるんですけど、できるもんですかね

知っての通り、古代語魔法は複雑な身振り手振りと正確な発音が揃わなければ発動しません

こんな冗談半分の詠唱で魔法が働く物でしょうかね

仮に上位古代語を使って発音していたとしても、上位古代語を軽はずみに使うのは非常に危険ですよ

ちょっとした事で思いもよらぬ効果が発揮されるそうですから


ともあれ、やはり研究室は凄かった

パオラの考え方なんですが『歴史の一片』と呼ぶべきであろうモノがあるようです

『一片』それは『ひとひら』とも読めます

そう、それこそが今回のタイトルです

彼女は魔術師ギルドに蓄えられている知識は多くの人々の努力や思考の賜物だと考えます

そして、そうして紡ぎ出された知識は次々に積もり、広がり、継承されていく

それはあたかも、知識の系譜のようであると


うん、実に素晴らしいビジョンです

自分の研究も先人の知識を受け継ぎ、また伝えていく系譜の一部であると考えると荘厳さすら感じます

苦労ばかりの研究もそう考えるととても神聖な、崇高な行いのように思えて感慨を覚えます


実をいうと、私も同じようなビジョンを持ってこのサイトを運営しています

フォーセリア作品も魔術師の知識と同じく、多くの人の思いによって積み上げられてきたものです

延べ100冊を超える本が形成するフォーセリアに触れ、その世界に関われる事に歓喜する

共有世界が売り物のフォーセリアですが、それは作家さんだけではありません

こうやってフォーセリアを楽しむ私たち読者にもそれは言えることです

特にSWは多くのプレイヤーから寄せられる質問によってつくられるQ&Aなしには今の形はありえなかったです


そして、こうやって各作品のレビューを書くこともまた、そうしたモノの一種のように思えます

知識や思考のやりとりもまた、この世界を広げていきます

こんな労力の要るサイトを運営し続けるのも、フォーセリアの形成のほんの一片を担うことができていると考えるからこそです(一片というより一滴ですけど―笑)


しかし、悲しいかな

その知識は必ずしも有効利用されるとは限らないんですね

アルミンの手によって獣人にされた人々を目にしたパオラは、アルミンの"スリープ・クラウド"で眠りに落ちていきます・・・・・・


一方、まだ写本をつくっていたシェレアによってパオラを担ぎ出すアルミンが目撃されました

シェレアとしてはどうしていいか分からず、右往左往・・・・・・・

知識はある、でもその使い方が分からなければ意味がない

皮肉なものですね

そんな彼女のとった苦肉の策、それはこうした自体の経験豊富な冒険者に訴える事でした

まあ、妥当ですけどね

相手は腐っても5レベル、1レベルのシェレアじゃよっぽど上手く立ち回らないと返り討ちですよ


泣きついたシェレアは

シェレア「でも・・・・・わたし、がんばりますから。なんでもしますから」

サノイ「何を言ってるんだ。折角の美人なんだから、自分の身体は大事にしないと・・・・・」

(大爆笑)

サノイってば・・・・・そういうことじゃないんだよ(照れ)


危うくファンガスにされそうだったパオラでしたが、胞子が効くまで1週間ほどかかるのが幸いしましたね

助けに来たシェレアたちによってどうにか救出!

でも・・・・・・ファンガス菌の毒性値は16もあるんですよね

魔力が4しかないマギおばちゃんじゃ、6ゾロ振らない限り解毒できませんよ

拡大したのかな・・・・・・

それでもせいぜい+2が限度ですから、出目にして10以上!

ギャンブラーですね


アルミンが苦し紛れにけしかけたワー・ウルフもどうにか倒せました

でも、可哀そう・・・・・・

完全なライカンスロープになる前なら目標値16で"キュアー・ディジーズ"で治りますけど

完全に変身してしまったらどうにも・・・・・・


一方、アルミンは"フライト"で逃げようとした所に"ディスペル・マジック"をかけられて落下!!

でも生きてます、ここで死んだら続きません(笑)

かくして、この事件はなんとか解決したんですけど・・・・・・

シェレアにも責任の一端があるとか何とかで放逐される事になってしまいました・・・・・

何処の組織も、蜥蜴の尻尾きりですかね

その後、彼女はマギたちと一緒に諸国を巡り、季節も巡りました・・・・・・・


そして数年後、シェレアたちはオランに来ていました

ティンがいるということは最低でも5年は経ってるんですね

もうサノイもサイレンスも逝ってしまいました

ダドリーも生きてますかね、他にも新しいメンバーが入ったんでしょうかね

マギおばちゃんは相変わらず元気そうですけど(笑)


そこで手に取った本は『獣人における変化因子除去の可能性』

著者はパオラ・モニーク・・・・・・・・・

例の事件が彼女の道を決めたんですね

さて、この本には彼女の生まれや経歴が記されているそうですが、初稿?では享年も書いてあったそうです(笑)

うう・・・・それはそれでドラマチックですけど、なんか嫌です


ということで、彼女は生きてます(多分)

またいつか・・・そう季節が巡り、人が巡ればいつの日か逢えるかもしれません

その時は『やあ』『早かったのね』と数年の隔たりを感じさせずに笑いあえるでしょう

彼女たち冒険者パーティーの過去から始まって未来へ続く物語は、ここで一先ずの幕となります


「狙われたヘッポコーズ――冒険者を脅かす作:篠谷志乃

★プロローグ

今回のトリはお馴染みの"ヘッポコーズ"の物語です。時系列は第20話の直後、丁度前の短編集と同じぐらいですね。

ていうかこの短期間にどんだけ事件があったんだ。リプレイ本編よりもある意味波乱万丈。ドサクサに紛れてレベルアップしてそうだ(笑)


ヘッポコは一連の事件でファンドリアの敵意を受け、後に工作組織"顔のない"クランズを差し向けられてしまうのは本編でも周知の事実。

今回のお話はその発端となる物語です。冒頭ではファラリス神殿?のお歴々と思しき人々が、ヘッポコ抹殺計画を練っていました。

彼らは黒いローブに身を包み、闇に閉ざされた一室で密談を行っていました。光源と言えば仄かな蝋燭の光のみ、多分趣味でしょう(笑)

メンバーは4名です。低音がよく響く男、しわがれ声の老人、澄んだ声の女性、カマっぽい男。見事なまでに悪の組織の幹部っぽい


彼らのローブにはファラリスの聖印が刺繍されているのでファラリス神殿だと書きましたが、本当のところは微妙です。

ファンドリアの国政は複数の組織のパワーバランスによって成り立っている。また国政会議という最高意思決定機関も存在する。

問題は彼らが明らかにファラリス神殿っぽいのに、後に貿易商ギルドの下部組織であるクランズに指令を出していた、という点です。

ファラリス神殿は貿易商ギルドを「敵視」しているし、逆に貿易商ギルドはファラリス神殿へは「中立」であり、あまり友好的ではない。

そういえばミシェイルは賢者の学院とのコネであの事件を起こしたようだし、対外的共通の敵という事で協力体制をとっていたのかな?


会議を行った結果、彼らの内カマっぽい声の持ち主であるリスリーが、ヘッポコに謀略を仕掛けて抹殺する算段を練りました。

使用するのは放棄する予定の隠れ家と、切り捨てる予定の構成員。失敗しても構わない、上手くいけば儲け物というスタンスです。


リスリー 33歳

ダークプリースト(ファラリス)5、ソーサラー/セージ4、シーフ1。何かと多才でカマっぽい長髪の男です。どうも司祭位らしい。

柔らかい物腰と中性的な物腰を持ち、何故かイリーナへ執心している。本人はイリーナを抹殺するより手に入れるつもりのようでした。


アニカ 21歳

シーフ5、ダークプリースト(ファラリス)1。エキューが思わず目を惹かれたダークエルフのお姉さん。でもリストラ予備軍


フェス 16歳

ソーサラー/ダークプリースト(ファラリス)2、セージ1。金髪でおキャン(死語)な少女。切捨て組の中では唯一挿絵がある。


パギス 27歳

ファイター5、ダークプリースト(ファラリス)1。大柄でぞんざいな口調の神官戦士。見た目は三十代半ばの老け顔?


こうしてリスリー司祭とリストラ予備軍によるヘッポコ抹殺計画が始まりました。それはある意味今までで一番恐ろしい罠でした……。


★一〜三

その日もヘッポコの面々はいつものように小鳩亭でたむろしていました。

イリーナ「こんばんわ〜。今日はいつもより多く、倒立指立て伏せをがんばったから、お腹すいちゃった」

ええ、こんな会話も「いつもの事」です。流石は1分間に100回腕立てできる女です。最早修行方法が北斗神拳の域に達している(苦笑)


そこでイリーナに差し出されたのが一通の手紙でした。差出人はメラリア・ヴァルサス、ファリス神殿に礼拝にくる若い貴婦人です。

ファリス神殿の配給のお手伝いなどもする優しい女性であり、マウナやヒースとも顔見知り。特にマウナは配給で並ぶ事が多いから(笑)

ていうかあんな大仕事を終えて大金を手に入れたのに、まだ並んでいるのか。それは最早貧乏性というか、ただの可哀想な人です。


手紙の用件は、メラリアさんの息子の病気についての相談でした。翌日馬車を遣すので、屋敷に来て欲しいというのです。

イリーナからすれば顔見知りだし、その人柄の良さも知っているので当然相談に乗ります。マウナとエキューも一緒です。

ただしバスは盗賊ギルドに呼び出されているし、ヒースも学院の「導師の心得講座」に出席しないと出席日数がヤバイので行けません。

既にヒースは実技だけなら導師級です。そこでハーフェン導師の勧めもあって、近々導師の試験を受ける為に出席しなければいけません。


しかしそれこそはリスリーの罠だったのです。実はメラリアはファンドリアとの内通者だったのです。

バスを盗賊ギルドへ呼び出したのは"穴熊"の頭領です。"穴熊"とはオーファン盗賊ギルドにおける、冒険者をする盗賊の符丁です。

しかも呼び出した部屋には"犬"の頭までいました。"犬"とは密偵の事で、国内外の情報収集や特定個人の監視等を行っています。

王宮とも深い繋がりのある部門であり、"犬"の頭といえばオーファン盗賊ギルドの副頭領の1人です。リウイにも出ていましたね。


現在オーファンの中流階級以上の数名が、ファンドリアの闇司祭や犯罪者の入国の手引き・入国後の世話・情報の流出を行っています。

当然"犬"の頭もその件について詳しく調査を行い、既に数名に目星を付けています。その中にメラリアさんの名前もあったのです。

バスを呼び出したのは、彼の手を借りたいから。既にバスは王宮の依頼を受けた腕利き、今は1人でも優秀な手勢が欲しいのです。

この時点でヘッポコはファンドリアの謀略をいくつか潰していて、報復の危険もある。"犬"の頭もそういう理由で情報を教えてくれたのです。


まぁ結果的には遅かったんですけどね。せめてあと1日早ければメラリアさんへの警戒もできただろうに、もう3人行っちゃったよ(苦笑)

バスはヒースにこの事を伝え、3人を追いかける事にしました。ヒースも学院に休暇届を出して講義を放棄する決意を固めました。

ヒース「……落ちたな。ハーフェン導師には、あとで謝るか」

でも導師の資格よりも仲間を選んだのは立派な決断です。日頃から名誉を重んじる男が一切迷う事もなく……。


一方罠に嵌った3人はパギスが御者を務める馬車に乗り、トマリ方面の山脈寄りにある屋敷へと連れて行かれました。

馬車の内部は完全な密室でした。窓はカーテンを鋲で止めて閉ざされ、扉も外から閂をかけられてチョイとした監禁状態です。

既に怪し過ぎるこの状況で、イリーナは予備の武器であるダガーで扉の下部をこじ開け、エキューの書いた地図を落としました。

これは冒険者+筋力で目標値にして17ぐらいは要りそうですね。それでも基準値10のイリーナなら期待値でこじ開けられる(笑)


★四〜五

屋敷に案内されたヘッポコは、そこで変わり果てた様子のメラリアさんに出迎えられ、夕食をご馳走になります。

ところが食事の後で使用人に扮していたリストラ3人組の奇襲を受け、フェスの"スリープ・クラウド"で眠って捕らわれの身となったのです。

ちなみにリスリーは執事、女性2人はメイドに変装してました。屋敷にいるのは彼ら4人と、彼らにアジトを提供したメラリアさんのみです。


メラリア・ヴァルサス 25歳

ノーブル1。元はファン王国の貴族の家柄の出身であり、美しく優しい女性でした。またイーディリーという息子がいました。

ところが彼は生まれつき病弱で、若干8歳で病死。息子の病気を治そうと方々を頼り、その過程でファラリスに傾倒しました。


メラリアさんは息子を溺愛していました。騎士になるのを夢見た息子に鎧や木剣や木馬を買い、本当に可愛がっていたようです。

イーディリー君が病魔に蝕まれると、病気を治したい一心で様々な高価な買い物をし、様々な神殿の奇跡に頼ったけど、駄目だったのです。

高価なガラスを嵌め込んで光を射れ、効果があるという噂だけで白い花やルビーを買い求め、"ユニコーンの角"も頼ったのです。


しかし自然に得た病は神聖魔法では治らない事が多い。それが天命だから。正直"ユニコーンの角"も効果があるかは微妙ですね。

角の魔力は10扱い。でも病気を治す場合の目標値は治癒値の倍。結果目標値が20弱の病気だったりするとかなり難しい。

それでも母子は"ユニコーンの角"に希望を持っていました。それが手に入れば治るかもしれないと、生きる糧にもなった。

ところがその最後の希望もヘッポコが《金目の猫》を退治した事で途絶え、息子は死亡。ご禁制の品を扱った為に当局に疑われました


そんな彼女が頼ったのがファラリスでした。どの神殿も何の役にも立たないのに対し、ファンドリアの闇司祭は彼女に惜しみなく協力した。

一切の金銭を要求せず屋敷に常駐して魔法も使った。当局の処罰もファンドリアの手引きで免れた。それでも生活の自由はなくなったけど。

そして彼女は大切なものを奪ったヘッポコへの復讐の為に作戦に協力したのです。屋敷に満ちる怒りと悲しみの精霊力は復讐を意味する。

かつてエキューは似たような精神状態になった傭兵仲間を見たそうです。彼は騙まし討ちで殺された友達の仇を討つ為に傭兵を辞めたとか。


メラリア「でも、私のどこが悪いの!自分の子供を助けて何が悪いの!!

その為にアジトの提供や情報の流出といった危険な橋も渡った。それでも祈っても役に立たないファリスより、現実に力を貸すファラリスを選んだ。

なお現在イシュリー君の遺体は棺に収められたまま腐乱してます。5レベルのリスリーでは腐敗防止の"プリザーベイション"はできないから。


そして彼女は今1つの希望を持っています。イリーナを生贄に捧げて息子を蘇生させるという希望を。

実は9レベル暗黒魔法"リコール・スピリッツ"で可能です。死者に生贄の身体を与えて蘇生させるという高位の奇跡です。

イリーナの身体を乗っ取る形で蘇生しますが、性別・姿形・能力値・技能等は蘇った死者のものを受け継ぐそうです。

生贄のお陰か"リザレクション"のような蘇生そのものの目標値はありませんが、達成値が20を上回らないと記憶を失う

当然リスリーにできる筈もない高位の奇跡だけど、本国のペイル最高司祭なら可能でしょうね。この作戦はそのコネ作りという事かな。


しかしリスリーにそんなつもりはありません。

リスリー「蘇らせることができるかもしれない、と言っただけです。生かしたまま活用することになりました。……そう、私の思い通りにね

メラリア「思い通りって、あの、どういうことですか?あんなに、あんなにわたくしはあなた方に便宜を図って差し上げたのに」

リスリー「それは、あなたがしたくてしたことでしょう?それに関してはお礼申し上げますよ。でも、それはそれです

メラリア「そ、そんな……」

リスリー「我々は命じたことは一度もありませんよ?助言はいたしましたが、すべてあなたが勝手にしたことです

メラリア「ひょっとして、最初からイーディリーを生き返らせる気なんてなかったのね、そうなんでしょう?」

リスリー「ええ、あたりまえでしょう。私の望みを叶えるに決まっています。暗黒神の教義をお忘れですか?」

それは"汝の為したいように為すがよい"です。ファリスと違って約束を反故にしても何のお咎めも神罰もありません。


以前の短編でアネットはファラリス信仰の落とし穴に嵌りました。それは完全に自由な人間は邪悪になるという、内的なものでした。

こちらはそれに対する外的な落とし穴といえますね。何をしても許される、故に強き者には支配が弱き者には従属あるのみ

いずれも信者に自由を与えるだけで、責任を要求しないファラリスの性質が原因でしょうか。完全な自由とはそういうものです。

逆に法と秩序でガッチガチに固められてしまっても別の問題が発生しますがね。人は秩序無しには生きられないが、自由という混沌も欲するから。


ファラリスの言うように、究極的に人は「何をするのも自由」です。しかし本人が望まなくてもその責任は自分に返ってくる

法の世界で生きれば、法に反すれば法で裁かれるでしょう。無法の自由な世界で生きれば、その身に何かがあっても法に守ってもらえない

どっちを選ぶかもそれこそ自由だけれど、よっぽど力と覚悟がなければ後者は避けた方がいい。普通の人は大抵前者で一生を終える。


こうして用済みになったメラリアさんは別室へ監禁され、リスリーはヘッポコ3人に毒薬であるゾンビ・メイカーを投与します。

これは黒い粘液状の毒薬であり、ある種の麻薬でもある。一度抵抗に失敗すれば精神は麻痺し、能動的に意思や感情を働かせる事はなくなる。

更に約1時間をかけて暗示を与えると、命令通りに動くロボットと化す。魔法は使えないけど、家族や友人すら平然と殺してのけます。

持続時間は24時間ですが、非常に強い肉体的・精神的ショックを与えると持続時間が切れる前でも目を覚ます事もある(確実ではない?)。


毒性値は11なので生命抵抗8のイリーナなら1ゾロを振らない限り抵抗できる。生命抵抗7のエキューとマウナは出目4以上ですね。

それでも何度も何度も飲ませれば最後には失敗するもの、3人はついに毒に屈します。しかしP.297のイリーナは何かエロイ(笑)

リスリーはまず彼らにユニコーンを捕獲させるつもりです。森林衛視隊を蹴散らし、自慢のグレソーを遺留品にして嫌疑をかけさせます。

そうすればファリスの威光も、オーファン・ラムリアースの友好関係も、ヘッポコが築き上げてきた名声も木っ端微塵に砕け散るでしょう。


★六

ロボットと化したイリーナ達はアジトの撤収作業を手伝わされますが、ロボット化しているので不平不満は零しません。

リスリーは一足先に国境へ向かい、リストラ3人組はイリーナ達を連れて彼の後を追います。メラリアも何かの役に立つだろうと一緒。

既に今の彼女はリスリー達にしゃぶり尽くされ、資産も残っていないし、当局にも睨まれてる。それでも一応貴族なので利用はできなくもない。


そこにヒースとバスがやって来たので、リストラ三人組はイリーナ達に2人を「捕らえる、できなければ殺す」よう命令を出しました。

そうするとイリーナ達は従順にそれに従うのです。捕らえるのが最優先だから、最初イリーナは攻めません。殺しちゃうから。

魔法も使えないので、マウナは弓を射るだけだから大して怖くない。すると直接の脅威はエキューだけど、1人だけならバスが辛うじて防げる。


この時ヒースは目標値11のセージ判定に失敗し、意外な事にバスが3人の状態を判別しました。ただし毒そのもののデータはかなり曖昧。

しかし基準値2のバスが成功するとは、出目9以上出したのか。逆にヒースは基準値7なのに失敗したという事は、出目3以下。

ちなみに達成値が知名度+4を上回ると、毒と解毒剤の製法も分かる。バスは盗賊の秘薬だと言っていましたが、そんな事はない(筈)。


後日バスがこの毒が魔法の毒でディスペルも有効だと言っていましたが、ゾンビ・メイカーは魔法の毒薬ではない

でも種別が《精神》なのでバスの"サニティ"や呪歌が有効ですね。神聖魔法は魔力2と微妙なので、基準値8の呪歌の方がいいでしょう。

幸いバスの呪歌は《精神》系の呪歌が多い。"キュアリオスティ"は4ラウンドかかるけど、他の呪歌ならそのラウンドに即効果を発揮する。


やがて痺れを切らしたフェスが殺害許可を下したので、いよいよイリーナが発進します。

フェス「ああん、もう、まどろっこしい。やっちゃえ!

イリーナ「殺す!」←空振り

ヒース「お、俺は、初めてイリーナの敵になったやつらを可哀想に思ったヨ(滝汗)」

バス「ワタクシもです(滝汗)」

続いてエキューの槍がバスの脇腹を貫き、その状態でヒースを庇ってイリーナの一撃を受け止め奮戦しますが、正に絶体絶命

イリーナとエキューにフェスがカンタマをかけたので、ヒースの"パラライズ"やウィークネスも効き難い。最早万策尽きたか……。


でもヒースは諦めなかった。1つだけ精神と肉体に強い衝撃を与える手段を思いついたのです。

ヒース「万物の根源、万能の力。電光となりて迸れ!」←"ライトニング"を発射!

イリーナ「ころ……!」←直撃

バス「……鬼ですな、アナタは」←リストラ三人組にも命中

ヒース「ほら、イリーナ思い出せ。雷付与の魔法だ!前のときも痛かったろう!

バス「前にもしたことがあるのですか!?むむむ、なんと仲間にも厳しい

ああ、あの"サンダー・ウェポン"の時ですね。あの時は本当に爆笑衝撃的でしたね……(遠い目)。


でもこれが意外に効果的だったりする。肉体的ダメージは勿論、精神にも大きな衝撃を与えました。

イリーナ「ひ、……スに……」

ヒース「目を覚ませ、イリーナ!!」

バス「イリーナ!!」

イリーナ「痛いじゃないですかっ、ヒース兄さん!!もう『初めてだから』って言い訳は聞かないですからねっ!」

戦闘中に味方から食らった電撃の思い出は、彼女に意識を取り戻させるのに十分だったようです。素敵な仲間ですね(苦笑)


ヒース「待て、落ち着け、イリーナ!お前の敵は、誰だ!?

イリーナ「……私の、敵(三人組をロックオン)。暗黒神の信者。………汝らは邪悪なりっ!

こうして意識を取り戻したイリーナが三人組を蹴散らし、マウナとエキューも解毒し、悪党どもは官憲へ引き渡されました。


そして連行されたのはメラリアさんも同じでした。いかに利用されていたとはいえ、彼女の犯した罪は赦されません。

メラリア「……私は息子の生命を守りたかった。その願いを叶えてくれるなら、暗黒神にだって帰依できました。
     自由にしていい、自由に望んでいいといわれ、これで何の気兼ねもなく、息子に最善のことをしてやれると思ったんです」

イリーナ「はい」

メラリア「でも、自由なんてなかったし、……何も得られなかった。結局は上からの命に従い、怯えながら仕事をこなしてる人もいました」

それがファラリス信仰の外的落とし穴。自由であるが故に、恐怖と力による支配を受け、見えない鳥籠の中にいただけです。


メラリア「どこが今までと違うんでしょう?犯罪を犯すことが自由だったんでしょうか?」

イリーナ「……法を破ることが、必ず自由に繋がるとは私には思えません

メラリア「自分のしたいことをするのが自由。自分のしたいことに正直なのが自由。
     ……イリーナさん、私には、あなたがここにいた誰よりも自由な人に見えました」

連行され行くメラリアさんにイリーナが言えたのはそれだけで、とても歯痒い気持ちを味わっていました。

アネットの時は必死の訴えで彼女を救えたけど、それが及ばない事もある。せめてキリング司祭やガルガドなら他に言いようもあったろうに。

でもイリーナは自分の行動でもって「自由」を体現している。パーンやリウイもそうですが、自分の心に正直になるのは、簡単に見えて難しい


★エピローグ

そして後日、ヒースは導師の資格を取り損ねて自棄酒をかっ食らってました。結局休んで落とした例の講座が致命的でした。

イリーナ「ごめんなさいっ、ヒース兄さんっっ」

ヒース「いいんだ。さよなら、俺様の導師用ローブ

どうやら事前に注文していたらしい。結局無駄になったけど、本当に導師になりたかったんだ……。

でも後に5レベルになるし、"吸血鬼殺し"の英雄にもなるし、きっとそう遠くない内に導師の資格だって取れますよ。


こういう気の滅入った時はバスの歌に限る。幸い新曲があるらしいし。

イリーナ「あ、聞いたことない曲です。新曲ですか?」←話を逸らそうと必死

バス「はい。披露してもよろしいかな?」

マウナ「どうぞ、どうぞ」←同じく

エキュー「わー、楽しみー」←以下略

バス「では、『伝説の魔法、雷付与』の物語。どうぞ、ご清聴くださいませ」

イリーナ「清聴できるか〜〜〜〜〜〜〜!!」←鉄拳制裁!

どうやら例の戦闘の事を聞いて作ったらしい。『至高神の猛女』に引き続き、何でそうイリーナが微妙に恥ずかしい話ばかりを(苦笑)


一方失敗したリスリーは消されました。例の暗闇の部屋で「ぎゃぎゃっ」と鳴く謎の有翼生物にやられたようでした。

ていうか「駄目で元々」という計画だったのに、失敗したら結局駄目なのか。それともそれすら彼を貶める謀略でもあったのか……。

しかし彼らは1つの特徴を見出しました。ヘッポコは「自分達には厳しいが、味方には甘い」。一度でも友好的になれば信じてしまうのです。

そこで彼らはヘッポコに"顔のない"クランズを差し向け、かつての仲間であったノリスとガルガドを利用する計画を進行させるのです。








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