「ギャンブル・ランブル」 監修:清松みゆき 著:藤澤さなえ/グループSNE 出版社:富士見書房

4.3話 4.7話 21.5話 0話 戻る

★はじめに

この本はSWリプレイ第七部ペラペラーズの外伝リプレイ集です。幻の第0話をはじめ、書き下ろし含む4篇のリプレイが収録されています。

外伝的な話なだけに、話数が小数点つきというものが多いですね。ラインナップは比較的初期のものか、結構後期のものかに二分しますね。

特に異色なのは第0話ですよ。外伝どころかパラレル・ワールドで、本シリーズのペラペラーズとは一部著しく性格の違うキャラも混じっています。


思えばペラペラーズはヘッポコーズの終了前に平行して始まったシリーズでした。当時は色々と複雑な思いで読み始めたものですよ。

しかし今となっては掛け替えのないシリーズです。その狡猾な立ち回りと戦術はある意味バブリーズを超えていますしね(笑)

外伝リプレイのみで本になる事自体もSW史上初ですよ。ヘッポコーズですら0話は本シリーズと抱き合わせだったのに。

それだけペラペラーズの人気もあるという事でしょう。そのペラペラーズも今(2007年4月現在)は最終巻間近であると思われます。

今はまだそのラストは分からないけれど、SW史上に一時代を築いたシリーズとして完結するであろうと、今から期待しています。


第4.3話 ブライト・ブライダル

最初のお話は4.3話です。つまり時系列で言えば第4話と第5話の間にあった話ですね。データは第5話の時のものになっています。

初出は「ドラゴンマガジン」2005年9月で、改題前は「ヘルシング・ウェディング」です。実は私はこの話の存在自体知りませんでした(笑)

05年9月というと、4巻「ファンドリア・ファンクション」が出ていますね。クレスポなんてもう5レベルになってる頃ですよ。

それで何でこのレベルかと言うと分かり易いから。いきなり高レベルで登場されても、SWを知らない人は混乱するだけだという配慮です。


あとレベルはこんな感じ。


クレスポ

シーフ3、セイラー3


ベルカナ・ライザナーザ

ソーサラー2、ファイター/セージ/レンジャー1


マロウ

プリースト(マーファ)3、ファイター2、レンジャー1


シャイアラ

シャーマン3、シーフ1


ブック

セージ4、シーフ2、レンジャー1


★冒険者のお仕事

導入は既に依頼を受けて現地に赴いている所から始まります。短編読み切りなので、余計な部分は全部すっ飛ばしてるのがいいですね。

今回の舞台は古城です。怪しい雲行き、草が伸び放題の城内、風にガタガタなる鎧戸。空では黒い鳥がキャッキャッ言ってます。

つまり「幽霊が出るぞ〜」という雰囲気が漂いまくりな城なんですよ。某ネズミの国でこういうアトラクションがあったら人気出そうな。


ベルカナ達(そう、ベルカナ主役)の目的は人探しです。ベルカナの兄弟弟子であるレクトという青年がこの城に入ったまま帰ってこないのです。

彼はふとした事で200年前のご先祖様の日記を見つけ、書き手の弟カインがこの城に家宝を持って婿入りした事を知りました。

ところが強盗が入って一家は惨殺されてしまったそうです。しかし不思議な事に、カインの遺体と家宝は見つかりませんでした。

彼はそれを知り、自分が調べてやろうとこの城に入ったのです。ちなみに城主は魔法生物の研究もしてたらしいので、その資料も目当てです。

それで本人も帰って来れなくなったんだから、ミイラ盗りがミイラですよね。ベルカナ達が捜しに来なかったらどうなってたやら。


そういう怖い怖い背景がある事から分かるように、今回のテーマはホラーハウス。とにかく怖がってもらおうというサービス精神です。

実際城の中には様々な怪奇が待っていました。怪奇とは言ってもここはフォーセリア、そしてこいつらはペラペラーズです。

フォーセリアで怪奇と言っても神様も精霊も魂も実在する事は認知されてる世界だし、冒険者はそういう物と縁深い人種です。

今更お化けの一つや二つでキャーキャー言える程でもないんですよね。まぁここは雰囲気を楽しむのが大事ですから、それでいいんですけど。


★不気味な古城へようこそ〜ファントムなんて怖くない

いよいよ古城へ突入です。まずは玄関の古びた大扉を開けます。クレスポの《罠発見》で罠は見つからず、堂々と入りました。

すると鳴子がカランカラン(笑)。ナチュラルに難易度判定に失敗したらしい。それで誰も出てこないのが、お化けよりもよっぽど怖かったりして。


こういう扉は入ると自動的に閉まるというのもセオリーですね。それで「出られない〜!」と驚く人は、過去のホラー物に何人いたか。

そういう事にならないように、クレスポが周到にもを打ち込みます。お陰で本当に扉が閉まろうとしたけど慌てる必要はなし(苦笑)

気になったのは、その扉が閉まる原動力が不明という事です。魔法も、精霊も、カラクリも発見できませんでした。


ホラーでは各自バラけて探索し、1人ずつ消えていくというのがセオリーです。こういう場合はまずはブックが消える気がしてならない(笑)

いやいや、こういう場合は嫌な事を言う不良が先に消えるのがセオリーですよね。極めて初期の「でろでろ」を思い出す。

まぁそんな無用心な事はしませんけどね。だって戦力分散なんて危ないじゃないですか。……そう考えると情緒もへったくれもないけど。


入城したペラペラーズは奥へ奥へ向かい、寝室を調べていると、後ろから階段を上ってくる足音がしてきます。早速来ましたね。

ベッドなんかをバリケードにして観察してみると、そいつは女性のファントムでした。5レベルのアンデッド、所謂自縛霊ってやつですね。

《ほとんどの攻撃が無効》という厄介な能力を持ち、神聖魔法ですら殆ど無効。6レベルの"イクソシズム"などが数少ない対抗手段です。

逆に相手も何もできないんですけどね。生前の能力は失われ、魔法も使えない。唯一怖いのは精神抵抗の目標値12の《憑依》でしょうか。


ブックが解説で古代語魔法8レベルとか言い出した時は何事かと思いましたが、それは2ページ先のレイスのデータですよ。

丁度2ページまとめてめくると、ファントムの解説があるべき場所に、丁度レイスの解説が来るんですよ。

8レベルと聞いた時はビビりまくりだったくせに、ただ《憑依》してくるだけと聞くと途端に安堵するのは何でだろう。同じ幽霊なのに(苦笑)

それどころかむしろ強気です。鎧戸は片っ端から破壊し、新鮮な空気と光を入れてやりたい放題。結局怖がる対象は能力のみなんですね。


さてここで注目すべき点は2つ。まずファントムにはポルターガイストやラップ音を起こす力があるという点。

さっき扉が閉まったのもこれのようですが、ポルターガイストってどの程度までできるんでしょうね。あんまり大きいと動かせなかったりするのか。

もう1つはファントムは基本的に自力で動けないという点。ある場所や物に呪縛されていて、スペクターのように移動はできないんですよ。

なのにこの女性ファントムは移動している。多分彼女は城というもの自体に呪縛されてるから、その内部では動ける……のかな?


それからも一般人なら腰を抜かしそうな事が色々ありますが、笑いと冗談で突破していきました。こうなるとただのアトラクションです。

例えば謎の光の玉に遭遇した時は、構わず破壊しました。破壊するとゼリー状の燃えカスが体にこびりつくのが唯一の脅威です。

多分珍種の魔法生物だったんでしょうね。一見人魂とかウィスプっぽいけど、かなり失敗作っぽい魔法生物です。


クレスポなんてファントムの女の子が着替えをしてると知ると、現場に突入。そしてポルターガイストで宝石箱を投げられます。

普段生身の女の子にやってるのと同じような事をしてますよ、幽霊なのに。何と言うか……ある意味天晴れなスケベ根性です。

この男なら相手が幽霊だろうと魔神だろうと、女の子ならルパンダイブで襲い掛かりそうです。その内痛い目に遭わないものか(遠い目)。


また宝石箱に擬態したイミテーターに襲われても、ダメージが通らないので小動物扱いです。一応モンスターなんですけどね。

イミテーターなんて家屋にあるものなら何でもなれるから、そういうのもいるでしょう。チェストというか、ジュエリーケース・イミテーター


★悲しみの花嫁〜亡霊たちの結婚式

十分に楽しんだペラペラーズは、ようやく事件の真相に辿り着きます。正装の紳士の幽霊に導かれ、礼拝堂に行くと、そこは結婚式場でした。

ずらっと20名ものファントムが並び、正装をして式に参加していました。そして花婿の場所に収まってたのがレクト先輩でした。

つまりレクトは花婿と間違えられているんですね。本当の花婿であるカインさんはご先祖様ですから、多少は似ているんでしょう。

またレクトの2人の冒険仲間は花嫁の両親に憑依されている。親父はともかく、母親に憑依されてる方は悲惨ですね。


このファントム達では話が通じないので、式場の隅でさめざめと泣いている花嫁のリリア嬢から話を聞けました。

酷い話ですが、賊が彼らを殺したのは結婚式当日だったようです。賊は客を装って現れ、彼らを皆殺しにして金品を強奪したのです。

カインは賊と戦ったのですが、彼の行く末を知る事無く彼女は殺されてしまった。以来ずっとずっと花婿を待っていたのです。

痛々しい事に、その事を思い出すと、リリアの幽体の腹の辺りが赤く染まって内臓が出てきます。宝石箱なんかよりもよっぽど怖い。


彼女は他の連中と違ってカインとレクトの見分けがついているので、本物のカインでないと彼女は結婚できつ筈がありません。

つまりカインの遺体を捜すのが、このファントム軍団を昇天させる唯一の方法なのです。まさか一体ずつ"イクソシズム"する訳にもいかないし。

カインの居場所は大体検討はついています。脱出用の隠し通路です。城内は自由に動ける彼女達も、何故かその一角には近づけない。

それはカインが"対魔のアミュレット"を持っているから。これこそが例の家宝であり、アンデッド避けのアイテムでもあるのです。


ペラペラーズはこの哀れな人々を救う為に隠し通路に踏み込んで、カインの遺体とファントムを発見します。彼はここで殺されたんですね。

でも何故隠し通路で死んでいるのか。賊との戦いでもつれ込んだのか、あるいは逃げようとしたのか。

また彼はアミュレットの力を受けながらも結婚指輪に固定されてしまってるらしく、逃げるに逃げられない苦痛を味わっていました。


彼に近づくと、ペラペラーズは《不意打ち》を受けそうになりました。幸いブックがいい目を出して虚を突かれる事はなかったけど。

天井から落ちてきたのはやはり珍種の魔法生物でした。人間大の青白いゼリー状の生物、その名もにゅるるんちゃんV号です(笑)

攻撃手段は触手で、出目の数だけ攻撃してきます。打撃点は9点もある。また青白い炎も吐いて、食らうとさっきのゼリー状の燃えカスが付着。

この触手攻撃は同じ魔法生物のシングを思い出しますね。あと形状では金属を腐敗させるブロブを思い出す、そんな能力はないらしいけど。

また攻撃を受けて体が裂けてもすぐ塞がるのですが、徐々に再生速度は遅くなるので物理攻撃は効くモンスターらしい。


戦闘そのものは当然勝利に終わります。クレスポに6回攻撃(出目MAX)が行った時はどうなるかと思いましたけどね。

生命力1にまで減ってたし、あと一発食らったらヤバかった。でもシャイアラがその前に潰そうとしてくれたのが、ちょっと嬉しかった。


これでカインを救出し、リリアと引き合わせてハッピーエンド……かに見えた。しかし指輪交換ぐらいしたいから、生身が欲しいですよね。

カインに体を貸すのはレクト、そしてリリアに体を貸すのはベルカナとなりました。勿体無い、これでクレスポを花婿にすれば面白かったのに(笑)

ベルカナが普段見せないような乙女な顔を見せてくれたようですが、挿絵に無いのが残念。頬を染めて嬉し泣きするベルカナ……可愛いだろうに。

それはそうとアンデッドの結婚式と言うと、「瀬戸際の花嫁」思い出す。花婿が失神して黒子に操られる形でないだけマシですが。


流石にキスはNGでしたけど、抱擁で2人は愛を交わし、参加者もまとめてあの世にハネムーン旅行(ていうか親族旅行)に旅立ちました。

しかし残されたレクトはいつまで経ってもベルカナを抱き締めたままでした。何かと思えば「ベルカナ君、可愛かったよ」と命を捨てた発言

当然ギッタンギッタンにされるレクトでした。こっちのベルカナは挿絵にありますが、本来そのポジションはクレスポのものですよね。


第4.7話 スウィート・フォレスト

今度のお話は4.7話です。つまり第4.3話の「ブライト・ブライダル」よりは後で、5話よりは前という微妙な時期。

初出は「ドラゴンマガジン」2006年9月号。タイトルは掲載時と一緒。このレビューは当時書きましたが、今回は微妙に加筆修正します。

レベルは「ブライト・ブライダル」と一緒かと思いきや、ブックが微妙にレベルダウンしてますね。シーフ2が1になってる。

実際にはブックがシーフ2になるのは8話なので、こっちの方が正しい。前の話では一体何を思って2レベルにしたのやら。


★お仕事しましょ

今回はシャイアラが主役っぽい役所です。前々からやりたいやりたいと言っていた青空遺跡が登場しますよ。

依頼人はアドニスというエルフの少年。友達のライネを助けて欲しいという依頼です。ちなみにライネ君は人間です。

ライネは猟師の家の子なので、エルフとは少し折り合いが悪い。しかし種族を超えて2人は友達でした、なかなかいい話です。


ところが、そんな2人も種族の違い?が原因で喧嘩をしてしまったのです。子供ですから、そんなに深刻な思想の相違とかではありませんが。

最近ライネの身長がアドニスのそれを追い越し、足も大きくなったので、靴の大きさを自慢されたアドニスはライネの靴を投げてしまったのです。

しかし投げた先が悪かった。そこは森の中の遺跡。カストゥールの魔術師が住んでたらしい、今では廃墟となっている町です。

塀に囲まれた町で、そこへ靴を取りに行ったライネがいつまで経っても戻ってこないのです。誰にも相談できず、冒険者を頼ったのです。


エルフと人間は、子供こそ授かれるものの、寿命が違えば体格も違います。子供の内とはいえ、差ができてしまうのは無理も無い。

エルフをはじめとする妖精達は、成長速度は人間と変わらないそうです。しかし手足が伸び切ってからの老化速度が違うのです。

つまり人間の10倍ほどを生きるエルフですが、だからといって成長速度まで1/10という訳ではないのです。そんな種族滅ぼされそうだし(苦笑)

もしそうなら、10歳ぐらいのアドニスは、人間で言えばようやく1歳ですからね。2人とも成長具合はそんなに変わりません。

とは言え、やはりエルフは華奢で小柄な種族です。同年代の人間の少年に比べたら、背や体格が劣るのは当然といえます。

種族を超えた友情は後々軋轢を生む事もあるでしょうが、友情があればこそ、それを最後には乗り越えられると信じたいものです。


アドニスが報酬として提示したのは銀のレイピアでした。もちろんお家からパクってきました。それが精一杯だったんですよ(苦笑)

しかし銀製とはいえレイピア1本ではね。5人の冒険者を雇うにはどう考えても不足ですよね。普通なら断ってしまうんでしょうね。

仮にこのレイピアが一番重い筋力14だとしても230ガメル。それを5倍して1150ガメル。売ったら1人辺りは230の半分で115ですよ。

でも善意だけでは動かないとか普段から言っていても、最後には動いてくれるのだから、何だかんだで皆人がいいんだから(笑)


★森の奥の遺跡〜不穏な影

そしてやってきたのは例の森の中の遺跡。500年以上放置されていただけに、町中に木々が茂っている。これがポイントです。

町に入った一行は早速精神抵抗ロールを行う事になります。実はこの町には、木々を利用した"メイズ・ウッズ"がかかっているのです。

ライネが町に入ってきた時、どういう訳だかこの町には魔神がいたのです。その魔神からライネを守る為に、エントが迷いの森にしたのです。


精霊王が何だってそんな物質界の問題に首を突っ込むのか、深く考えても仕方ありません。きっと優しいエントだったんですよ、多分。

あるいは「立ち枯れの森」に出てきたマグナ・ロイのような樹が、エントであるかのように振舞っているだけなのかもしれません。


しかしそうなると魔神は勿論の事、ライネもペラペラーズも外に出れません。町中に"メイズ・ウッズ"の結界が張り巡らされているのですから。

精霊王の魔力は一律13、魔法強度にすると20ですからね。これじゃあペラペラーズの面々が抵抗できないのも無理はない。

一行はやがて噴水や水路のある広場に辿り着きますが、どう移動してもループしてしまいます。ここにも木々が茂っているのでね。

またいくら木に登ったとしても、森は視界を閉ざします。青空遺跡の欠点である自由度の高さを、結界を張る事で解決しているのです(感心)。


"メイズ・ウッズ"は8レベルの植物の精霊魔法。種別は幻覚です。対象を迷わせるに十分な森が茂っている限り、何処までも幻覚の虜です。

ドライアードにシャイアラが尋ねてみても、答えてはくれません。そこで一行は、地下を通る事にしたのです。地下には木がありませんからね。

"メイズ・ウッズ"が効果を発揮する為にはそれなりの木々が必要、その外へ出てしまえばもはや結界は無力です。

そういえばヘッポコーズでもそういうシチュエーションがありましたっけ。森の木々が無い空中や地下なら大丈夫ってやつ。「黒い巨塔」


地下道を通って色々な所へ出ますが、やはり地下道でないとまともに歩く事すらできません。多分この地下道のマップとかもあったんでしょうね。

地下道の探索を進める内に、ペラペラーズにネズミ大の魔神獣が襲い掛かってもきました。でもシャイアラのウィスプでプチッ

この分だとレベルにして1ぐらいの最弱の部類に入るヤツだったんでしょうね。体の大きさと強さに因果関係があるのかは分かりません。

しかしこれで魔神系がいる事は分かりましたね。ていうか、本当になんで魔神がいたんだろう。ずっとここで野放しだったんだろうか。


★ドライアードの願い〜仲直りのエンディング

その戦いを見たからなのか、ドライアード達はペラペラーズに助けを求めてきました。魔神を倒して少年を助けてくれ、と。

どうやらエントの力が尽きかけているそうなのです。そうなってしまっては迷いの森が解除され、ライネが殺されてしまいます。


精霊王であるエントの力が尽きるとはどういう事なのか?現在エントが宿っている木が寿命を終えようとしているという事でしょうかね。

"メイズ・ウッズ"の使い過ぎで精神点が尽きる、というのも考え難い。何故ならば、エントは植物の精霊魔法は無限に使えるから。

そもそも精霊というのは、精霊使いの召喚に応じて精霊界からやって来るものですし。それが自力でここまで動ける事自体ビックリネタです。

木が枯死してもエントが死ぬ訳じゃないでしょうし、一体どういう事なのか。その辺は細かく考えてたら切りが無い(笑)


ペラペラーズはドライアード達の話から、敵がグルネルである事を知ります。下位魔神で良かったじゃないですか、しかも最弱の部類の。

5レベル下位魔神グルネル。青銅色の肌をした人型の魔神で、武器と尻尾の他に5レベル古代語魔法と3レベル暗黒魔法も使ってきます。

今のペラペラーズは3レベル前後のパーティー、最弱とはいえ5レベル魔神は微妙にキツイ。実際魔法でしかダメージを与えられなかったようだし。

それでもペラペラーズはグルネルの所へ向かいます。ドライアード達が道を作り、その先にグルネルがいました。


グルネルは"シェイプ・チェンジ"でライネに変身していて、相手の同情を買おうとしますが、"センス・マジック"でアッサリ看破。

仕方ないので"アポート"で魔剣を召喚し、戦闘を始めます。多分自作の魔剣でしょうね、魔力は精々+1ですが。

しかしこれでグルネルは精神点を消耗してるんですね。前者に4点、後者に5点。精神点は20なので、既に残り11点ですよ。

しかもマロウに"ライトニング"まで使ったので、3点消費。彼は自分で精神点を8点にまで削ってしまったのですね。


そこを見逃すペラペラーズではありません。シャイアラの"シェイド"ぶつけまくり作戦が功を奏し、グルネルを倒せました。

ライネは倒れた巨木に守られるようにして無事でいました。正にエント(見た目爺さん)が守っていてくれたんですね。

やがてエントは消え去り、その後から新芽が芽吹いていました。生まれ変わりですかね。一人感動するシャイアラが妙に可愛かった。


グルネルの魔剣を売っ払おうとしていたベルカナですが、"アポート"の持続時間は18ラウンド(3分)なので消えてしまいます。

そういえばバブリーズでは、同じようにして手に入れた魔剣をグイズノーが売り払ってましたね。本来はできないことです。

それはつまり、グルネルを倒したぐらいで魔剣が手に入ると思うなよ、という事でしょうかね(感じ悪!―笑)

こうしてペラペラーズはライネを助け出し、ライネとアドニスは仲直りができました。めでたしめでたし、短いながらいいリプレイです。


第21.5話 ギャンブル・ランブル

今度のお話は21.5話です。この本の中では時間系列がやたら突出していて、且つ唯一の書き下ろし作品でもある。

21.5という事はレイド編の直後です。レイド編は旧レイド帝国の最後の皇帝シェザール一派との戦いでした(「レイド・レボルト」参照」)。

この冒険でペラペラーズは盗賊ギルド内での推定bPルーキーとなったのです。この頃は既にクレスポは7レベルで幹部なんですよね……。


レベルはこんな感じ。前2つと比べると本当に別格ですよね。クレスポなんてパラサに次ぐ歴代第2位の盗賊だし。


クレスポ

シーフ7、レンジャー1、セイラー3


ベルカナ・ライザナーザ

ソーサラー5、セージ3、ファイター/レンジャー1


マロウ

プリースト(マーファ)6、ファイター4、レンジャー1、セージ1


シャイアラ

シャーマン6、シーフ2、セージ/レンジャー1


ブック

セージ6、シーフ5、レンジャー2、バード1


★誕生日パーティの夜に〜レミィの失敗

レイド編の後、ペラペラーズは数ヶ月仕事をしてなかった事になってるのですが、実はその間も事件はしっかり起きていました。

その間にベルカナは誕生日を迎えて18歳になった訳ですが、今回の事件はまさにその誕生パーティの日に起きたのです。


パーティは「アイリちゃんの宿(仮)」で仲間内で開かれました。アイリやレミィも参加してくれるけど、シタッパーズの姿が見えなくて残念。

勿論皆でベルカナへプレゼントも持ち寄りましたよ。下着(シャイアラ&ブック)とか、胸パット(クレスポ)とか、アンパン(マロウ)。

こんだけ揃って一番のプレゼントがアンパンとは、誕生日だってのになんか哀れです。いやいや、アンパンだって胸に挟めば(笑)


しかしこれから楽しいパーティを始めようかというのに、いつまで経ってもレミィが顔を出さないのでアイリちゃんも心配です。

レミィといえば13歳でDカップで盗賊に憧れているという、あらゆる意味でクレスポを遠ざけたい女の子です。

ある事件をきっかけにしてこの店で住み込みで働くようになりました。またその事件で助けて貰ったクレスポ達を尊敬してたりもする。

盗賊志望でクレスポ達が盗賊の仕方を教えてくれる事を期待していますが、クレスポ達にはその気はない。詳しくは第14話参照。


そこで店に4人連れの男が入ってきます。4人とも背格好はよく似ていて、先頭の男以外は顔がよく分からないのがミソ。

その先頭の男はレミィが10万ガメルの借金をしたと言うのです。彼女が払えないから、保護者のアイリちゃんの所にやって来たのです。

真偽を確かめようとベルカナは"センス・ライ"をかけます。すると10万借りたというのはである事は分かりました。


"センス・ライ"と言えば使いようによってはシナリオを一発で崩壊させかねない魔法。でもこれは見破られること前提だったりする。

またここではどのように虚偽が分かるのか?という疑問が出ました。まさか最後に「ウソだっぴょん」と聞こえたりはしないでしょう(笑)

細かくは決まってないのですが、主観的になんとなく分かるそうです。「客観的に分からないように」というのは必須の約束事です。

ロードスでスレインがウッドに使ってたのが印象に残ってるんですが、あの時も「なんとなく」って感じでしたよね。

嘘がピンポイントで分かるのではなく、「嘘をついた事が分かる」訳ですから、頭の中で警鐘か何かが鳴るのかもしれない。


ここで話していてもラチが開かないので、ペラペラーズとアイリちゃんは実際に彼女の元へ行く事にします。

案内された先は下町のイケナイ雰囲気の漂うお店。酒と煙草とヤクザな男と露出の高いお姉さんばかりが目立つような場所です。

どうやらレミィは最近ロマールで流行のカードゲームでその借金をこさえたようでした。カードと言っても紙ではなく、木札ですけどね。

木札なんていくらでもイカサマができそうですけどね。角を落とす、木目を覚える、削って絵柄を変える、もう盗賊とは怖くてできませんね。


レミィはカウンターの奥の小部屋で膝を抱えて泣いていました。やはり知らぬ間に多額の借金を背負わされてしまったようですね。

彼女は怪しいオジサンのカードテクに憧れ(子供か、いやそうか)、イカサマのやり方を教えて貰って、その辺のゴロツキと対戦したんだそうです。

それで勝ったり負けたり、借用書も何枚か書いては破りしてる内に、気づいたら10万を背負わされていたんです。カモられましたね。

「知らない人について行っちゃいけません」という、全国の親御さんが必ず1度は言うような事を、まさか13歳の子が犯すとは(苦笑)

彼女も高価なプレゼントをしたい一心でやった事なんですよ。ほら、賄賂は盗賊の第一歩ですから。……誰かこの子の盗賊知識を正してください。


相手は10万返すか、カード勝負に勝つか、10万の価値のあるもので手を打とうと言っています。この場合の3つ目は女の子です。

そう、この男は女好き。さっきからシャイアラやアイリちゃんにイヤらしい目を向けています。13歳でDカップのレミィも守備範囲内です。

ついでに18歳で幼児体形のベルカナも守備範囲内。あらゆる意味でムカつく男なので、叩き潰す口実を探す為にギルドへ向かう事にします。


★噂のジェイ〜本領発揮!

盗賊ギルドでコルネリアに話を聞くと、男の身元は簡単に割れます。彼の名はイカサマ師のジェイ。いかにもソレっぽい名前です。

元は上手く稼げない事で馬鹿にされていた盗賊で、一度はオーファンにまで出向いて裏商売しようとしても失敗。茨の道を歩んできた男です。

しかしロマールに帰ってきて、カードゲームに出会って一変。元々手先が器用なので、イカサマ師として茨の道に薔薇を咲かせたのです。

ちなみに素人を騙すのでカニングの美学には合いません。上納金も納めません。消えても問題ない男です。恐ろしい話ですが、言質は取りました。


またオーファン時代に《金目の猫》とも関わっていたそうです。《金目の猫》とはモンスターの密売組織です。「目指せ!奇跡の大円団」参照。

それはレミィに差し入れに行った際、残り3人の男をみて確信できます。何と3人ともジェイと同じ顔なのです。

挿絵では同じ顔、同じスーツ、同じ帽子、同じポーズを取っています(コピーは取ってない)。非常に気持ち悪い、夜道で会ったらビビりそうです。


また精霊使いのシャイアラからしたら、実に植物っぽい。そう、こいつらはアルラウネです。知名度16でブックは出目8以上出して成功。

アルラウネは6レベルの植物モンスターで、マンドレイクに人間の血液を与える事で誕生する変種です。《金目の猫》も取り扱ってましたね。

外見も内面も血液の提供者の影響を受ける。また精霊魔法4レベルも使用可能ですが、こちらはノームとドライアードのみ。


その最大の特徴は攻撃を受けると使う《悲鳴》です。精神抵抗に失敗すると丸1ラウンドの間攻撃も魔法もできず、回避にも−4の修正が入ります。

また生命抵抗も行い、失敗すると聴力を失う。恐ろしい事に1ゾロを振ると、精神抵抗では発狂、生命抵抗では生命力0です。1日1回だけど。

それと《精神的な攻撃は無効》でもある。そりゃあ自分の悲鳴で倒れちゃ馬鹿ですからね。"チャーム"で尋問もできない。


対抗手段としては、まず魔法には"サブレス・エレメンタル"ですね。ノームを封じてしまえば、残るは大して役に立たないドライアードのみです。

4レベルの植物の精霊魔法といえば"バインディング"のみです。使用可能な植物がないとそれすらできませんしね。

ここで気になるのは、アルラウネは自身を使ってドライアードの力を借りられるのかという事。一応植物ですしね(炎は効かないけど)。

あと悲鳴には"ミュート"や"サイレンス"です。所詮は声なので、音さえ封じてしまえばそれでお終い。ついでに魔法も封じられる。


弱点はまだありますよ。アルラウネはドナーの影響を受けるので、アルラウネーズもジェイの影響を受けているはずです。

さっきも言ったようにジェイは「女好き」です。あと「ビビり」であり、「抜け駆け大好き」でもある。浸け込む余地は色々ある。

多分インセンティブさえあればジェイを裏切る事もあるでしょうね。女を使って誘きだす事も可能です。弱点だらけのドナーで良かった(笑)


あと侵入するのも簡単ですよ。店の裏口にボンテージマントで行くとすんなり通してくれます。クレスポみたいな奴ですね。

そうなるとベルカナやシャイアラですね。挿絵にされたら凄い事になりそう。それ以上にインパクトがあるのはマロウ(笑)

マロウ「お、オラ、ボンテージだなんてそんな……」

GM「わかってくださいよ、GMの心を!ここはGMとプレイヤーの心の絆を見せて、爆笑に持っていくしかないでしょう!

凄い心意気です、番外編のスペシャル版だからってハジケリストです。そのサービス精神を見ていると魂のエンタティナーだと感動すらする。


勿論いつものウッカリボケも忘れてませんよ。レミィのいる部屋が石造りだと口を滑らせるぐらいですから。

これで"トンネル"で一発で合流可能ですね。確か昔も似たような事をしていたような。いっそ撤回して板張りにしてもいいような。

GM「いえー、せっかくですし、石造りにしましょう。(中略)せっかく面白い墓穴だったので」←ナイスガッツ(笑)


★いけない遊び

そういえば話はレミィに2度目の見舞いに行ったまま止まってるんですよね。マロウがレミィと面会している間、ジェイはゲームを挑んできます。

それも脱衣ブラックジャック。今回はスペシャルなので、テーマは「ギャンブル」「脱がし」だからです。決して闇医者の方ではない。

勿論実際にGMとPLがトランプを使ってやりますよ。どちらかと言うと今回はこれに力が入ってるような気がしてならない(笑)

このようにミニゲームを導入するのもアリですよね。「秘境伝説クリスタニア」でも別のアナログゲームを使ってたし。そればっかりは駄目だけど。


ブラックジャックのルールは大抵の人は知っているでしょう。手札の合計をより21に近づけた人の勝ち。オーバーすると無得点です。

絵札(J(ジャック),Q(クイーン),K(キング))は一律10扱い。A(エース)は1か11扱いです。つまり絵札とAがくればもう21ですね。

なお更にカードを引く事はドロー(ヒット)、それ以上引かない場合はスタンド(ステイ)。21オーバーする事はバースト(バスト)という。

ちょっと検索すれば詳しいルールを知るには事欠かないだけのサイトが見つかるので、以下省略。今回もそこまで本格的にはやってないし。


さてここで気になるのは、現在ロマールで流行ってる「カード」とやらはどういうものなのか、という事。所謂トランプと同じと考えていいのか。

それは各自で決めていい事なんでしょうが、実在するカードを使った方が分かり易いし、実際にプレイするにも手間がかからなくていいですよね。

あとそのカードを使って行うゲームもまた、同じ理由で既存のものを使った方が楽だと思います。ポーカーとか、セブンブリッジとかね。


余談ですが、トランプの絵柄の由来はフォーセリアによく似合います。スペードは、ダイヤは貨幣、ハートは、クラブは棍棒なのですから。

また剣=騎士、杯=僧侶、棍棒=農民、貨幣=商人とも言われますが、これは俗説らしい。でもフォーセリアにはよく似合いますよね。

あと表紙でクレスポがそのカードを持っていますが、見た所複数の記号が書かれていますね。勿論それが絶対でないといけない理由はない。


クレスポは物凄い勢いでこのゲームに乗りました。建前では不正を暴いてレミィを救う為に。本音では勝っても負けても嬉しいから(笑)

脱ぐのはこちらはシャイアラで、あちらはジェイの抱えるお姉さんですからね。確かに勝っても負けてもクレスポ好みの展開になる。


勿論イカサマ判定もしますよ。冒険者+知力の達成値が、ジェイのイカサマ師+器用度の達成値以上になれば見破れた事になります。

あとこっちがイカサマをしてもいい。その場合はイカサマ師技能ではなく、シーフ技能を使います。あっちはやはりイカサマ師技能で見破る。

クレスポの場合見破るなら基準値10、仕掛けるなら基準値9です。流石に7レベルですけど、相手の実力も相当なものです。

何しろ向こうは達成値21とか出してきますからね。出目11だとしても基準値10。器用度+3だとしてもイカサマ師7レベルですね。


では早速ゲーム開始です。ディーラーはジェイ兼任でGMが勤めます。なお途中からイカサマをする時はGMが宣言するようになります。

これが何と言うか……ジェイ強し!。終わってみると一方的に脱がされまくったようなもんでしたね(苦笑)


1回戦、クレスポは1回ヒットして18。GMは13で更にヒットして絵札を引いて23バースト。相手のお姉さんがストールを脱ぎます。

ブラックジャックではディーラーは一定数以上になるまでヒットしないといけない。私の知ってるルールでは17ですが、ここでは15です。

……何か普通にブラックジャックに熱中してますけど、イカサマを見破らないと無意味なんですよね。ボロ勝ちしてレミィを奪い返せればいいけど。


2回戦、クレスポは見破り判定をして分からなかった。ゲーム自体はクレスポがバーストして負け。シャイアラは長手袋を片方脱ぐ。


3回戦、この回からイカサマ宣言を導入(でもしない)。ジェイがナチュラル・ブラックジャックで勝利。シャイアラはもう片方の長手袋を脱ぐ。

ブラックジャックでは最初の2枚で21になった場合、ナチュラル・ブラックジャックといいます。

それとここではディーラーは2枚カードを捲ってるようでしたが、片方はオープンにして、もう片方は見せないんですよね?

ディーラー自身がナチュラル・ブラックジャックになっているのをその時知ったような言動でしたから。まぁそれはそれでいいんですけど。


4回戦、またもジェイはナチュラル21(とも言う)を出して快勝。シャイアラは髪飾りを外す。


5回戦、またもジェイの勝利でブーツを脱ぐ。実はここまでジェイはイカサマをしてないんですよね。それで4連勝じゃあ、普通の勝負師ですよ(笑)

このまま相手がイカサマしないのではラチがあかないので、次からは5枚脱ぎにします。ドスケベなジェイなら絶対勝ちに来る筈。


6回戦、ついにクレスポ勝利。お姉さんはハイヒール、手袋、オーバーニーソックスを脱ぐ。ていうかまたイカサマしないし。


7回戦、ここでジェイはイカサマを発動。クレスポの見破り判定は19なのに、相手は21を出しました。これで相手はナチュラル21を出す。

それに対抗しようとクレスポもイカサマをしようとしますが、逆に見破られる。ペナルティーとしてシャイアラは7枚脱ぎをします。

脱ぐのはブーツ、靴下、レッグウォーマー、腹巻、中尾巻きマフラーです。どんだけ厚着してんだって感じですね。しかも中尾巻き(笑)


8回戦、またもイカサマを見破れず、こっちのイカサマを見破られます。今度は脅威の8枚脱ぎです。もう無理だろう、と思いましたよ。

ところが間に合っちゃうんですよね。まず二重に履いてた靴下パート2。長手袋の下にしてたUVカット用の手袋。あと毛糸のパンツ

しかしこれでもまだ残り3枚、もう本当に無理だろうと思ったら耳カバーも脱ぎます(爆笑)。耳カバーって、そんなのつけてたのか……(驚愕)。

あと1枚は、最後まで渋ってたマント(普通最初でしょう)。これでシャイアラはワンピースのみ、もうゲームそのものにサレンダー(降参)ですね。


こうして大白熱の脱衣ブラックジャックは惨敗に終わりましたけど、相手が夢中になってる隙にレミィを連れ出せたような……(苦笑)

何よりもシャイアラの厚着が半端じゃないですね。靴下も手袋も耳まで二重。服の下には腹巻、毛糸のモコパン、中尾巻きマフラーですよ。

特に腰から下が凄いですね。二重の靴下の上にブーツを履いてしかもレッグウォーマー、更には腹巻。冷え性なのか、でも腿は出すこだわり。


★深夜の密会

何だか無駄な一時を過ごしたような気もしますが、アルラウネの1人を呼び出す事に成功したんだから、全くの無駄ではなかったかな。

それとアルラウネーズは1人1人に名前をつける事にしました。今呼び出したのは大根君です。他の2人は白菜君きゅうり君

……野菜扱いですか。これならチビーナ、プチーナ、ロリーナの方が可愛い。ヒース・ゴッドファーザーのセンスは素晴らしいですね。


大根君は生みの親に似て「抜け駆け大好き」です。それが女の子に深夜の公園に呼び出されて、1人で来ない訳が無い。

案の定1人でノコノコやって来ます。何とか交渉しようとしてもやっぱり無駄っぽいので、全員で袋叩きにしました。

なおアルラウネの《悲鳴》傷つけられると発動するものなんですが、誰も耳栓を持ってない事に今気づきました。ていうかそれで防げるの?


マンドラゴラ(ペルシャ語)、マンドレイク(英語)、アルラウネ(ドイツ語)、曼陀羅華(日本)と国によって呼び名は違っても実体は同じです。

実在するナス科の植物ですが、二股に分かれた根の形が人間の下半身に似ている事から、様々な伝説が生まれた植物です。

その一つがフォーセリアにもある悲鳴です。引き抜く時に発する悲鳴を聞くと死亡、発狂に至るというものです。有名な話ですね。

その数ある採取法の一つが、自身は耳栓をし犬に引かせるというもの。だったらもっと長いロープと滑車でも使えって感じですけどね(笑)

そんな由来があるのですから、まぁ耳栓で防げたとしてもいいような気もします。でもそれじゃあ一気に弱体化しますよね。


1ラウンド目、アルラウネの敏捷度は14で知能も人間並みなので、いつものように先読み&先制攻撃が可能です。

今回の行動はシャイアラに"ストーン・ブラスト"らしいので、こっちは《悲鳴》と魔法を防ぐように動かないといけませんね。


まずはブックが全員にカンタマ。これでクレスポ以外精神抵抗は10以上、1ゾロ振らない限り大丈夫。ちなみにクレスポは9、出目4以上。

マロウは行動を遅らせる。ベルカナは"サプレス・エレメンタル"。これで大地の精霊力を抑制したので、大根君の魔法は無効化しました。

続いてシャイアラが達成値18で"ミュート"をかけ、大根君は痛恨の1ゾロで悲鳴も封じられる。最早肉弾戦のみでは勝ち目は無い。

そしてクレスポとマロウの攻撃で削られていく大根君。折角攻撃を受けても悲鳴すら上げられず、行動もキャンセル。哀れです。


2ラウンド目、もう大根君の手番はありませんでした。クレスポの攻撃で大根君敗北。やはり各個撃破なら楽勝らしい。

チビーナみたいないい子ならともかく、コイツは悪党なので速やかにトドメを刺して土に返してやります。栄養はありそうですね。

それで埋めた後に人型に草が生えてきたりしたら凄い嫌ですよね。「北斗の拳」みたいに。


シャイアラは野菜と一緒だから食べれるのかとか聞いていましたが、野菜じゃない。でも植物だから全く食えない訳じゃないと思う。

ちなみにマンドレイクは伝説にあるように毒にも薬にもなる。鎮静剤、精力剤、毒薬にもなるので、料理の仕方次第じゃないですかね。

ていうかこんなオッサンの姿をした物を食いたいか?って事が問題ですよ。そこまでして食いたいなら止めないけど、普通は食わないと思う(笑)


★ケーキと花火でエンディング

一匹仕留めてしまった以上、もう猶予はありません。大根君が死んだ事がバレたらレミィが危ない。速やかに残りも片付けないといけません。

どうやって挑むかについては、マロウがボンテージを着て誘き寄せるという魅力的?な手段もありましたが、結局は流れます(でも着た)。

スペシャルだからって、マロウが普段では考えられない事になってます。挿絵が無いのは残念なのやら、良かったのやら(苦笑)

ちなみにボンテージは裸ハードレザーに胸パットでした。冒頭に出たアレが早速役に立ちましたね。いやアンパンかもしれないけど。


作戦は簡単です。レミィのいる部屋まで"トンネル"で侵入し彼女を保護。それから敵を各個撃破するのです。

アルラウネとの戦闘ですから、さっきみたいに"サプレス・エレメンタル"をすれば"トンネル"は塞がっちゃうでしょうね。

事前にクレスポにはカンタマと"クイックネス・リング"をかけておきます。あとベルカナとシャイアラにはマロウからトランスファー。


レミィのいる小さな部屋には予定通り簡単に侵入できました。しかしそこには白菜君が見張りについていたので、そのまま戦闘突入。

部屋は5m四方の小さなもので、扉は廊下に出る1つだけ。お互いに逃げ場はないし、レミィを早く保護しないと人質に取られる状況ですね。


1ラウンド目、ブックは懐かしの戦闘オプション《武器狙い》を行います。以前言ったように、レベルが上がると効き難くなるオプションです。

攻撃そのものは命中し、ダメージは9点。ここから相手のレベルを引いた3点を修正とし、目標値13の回避判定となります。

しかしアルラウネの回避点は13(7)あるので、武器は落としませんでした。マロウはレミィを庇うように攻撃してハズレ。

ベルカナは"サブレス・エレメンタル"で大地の精霊力を抑制しましたが、シャイアラの"ミュート"はかかりませんでした。


悲惨なのはここからでした。クレスポが構わず攻撃して倒せず、ついに初の《悲鳴》を食らいます。これが結構痛いのです。

大体抵抗には成功したんですが、シャイアラとレミィが1ゾロ失敗で発狂。更にレミィは生命抵抗でも1ゾロを振って聴力を失う

発狂したシャイアラは「ウヒ、ウヒヒヒ、ウキャ?」と確かにおかしくなってますね。今なら名もなき狂気の神の意思を感じ取れそうです(笑)


この発狂はQ&Aでは"サニティ"では一応治らない事になってます。聴力は"キュアー・デフネス"で回復しますけどね。

"サニティ"で治らないのは厳しく見えますが、6レベルの敵と遭遇し、1日1回のみの判定で、1ゾロを振らないと起こらない被害ですから。

ではどうやって回復するかというと、自然回復です。ぶっちゃけシナリオ終了後です。その回では脱落になっちゃいますね。


2ラウンド目、ブックはまず《強打》で8点でぶん殴るけどカキン。マロウは"サニティ"でシャイアラを復活させる(OKらしい)。

ベルカナは駆けつけたジェイときゅうり君が入って来れないように"ロック"。最後にクレスポが回して18点ダメージを出し、反撃を回避します。

アルラウネの生命点は14、防御点は8です。さっきの攻撃で3点、今のクレスポの攻撃で10点は削ってますから、残り1点ですね。


3〜4ラウンド目、「いやぁ、レミィさんは返しますよ。だからどうか命だけは」とか調子のいい事を言い始めた白菜君を構わず成敗

あとマロウはレミィの発狂状態を"サニティ"で、聴力を"キュアー・デフネス"で回復。敵は覗き戸からこちらの状況を知って逃げようとしました。


5ラウンド目、ブックは行動を遅らせて《突撃》のスタンバイ。マロウはシャイアラにトランスファーします。

ベルカナは一直線の廊下を逃げる敵に"ライトニング"をするも、これが痛恨の1ゾロ、何か昔も似たような事があったような(苦笑)。

続いてクレスポとブックがきゅうり君に攻撃し、本日2度目の《悲鳴》発動。これでマロウとベルカナが失敗。レミィなんてまたも聴力を失う


あとジェイは1ゾロで失敗して発狂。行動を遅らせていたシャイアラの"スピリットウォール・シルフ"に突っ込んで跳ね返される(笑)

"スピリットウォール"は種類によって色々な効果がありますが、シルフの風の壁の場合、突っ込んで精神抵抗に失敗すると跳ね返される。

またきゅうり君は「いやぁ、レミィさんなら返しますよ。命だけはどうか」と既視感のある事を言い出しますが、許しません。


6ラウンド目、《悲鳴》の持続時間ですが、"デストラクション"に準じて残りラウンド+次のラウンド一杯なので、マロウとベルカナは動けない。

ブックが1点、シャイアラがウィスプで6点削り、きゅうり君敗れる。これで残るは発狂したジェイのみ、もう勝利です。

あと気になったのはきゅうり君の生命点。MAX14点でこのラウンド7点削って丁度倒れるなら、それ以前に7点削られていた事になる。

しかし前のラウンドのクレスポとブックの攻撃は、それぞれ6点と5点を削ってるんですよね。これだと丁度倒れる事はない。


この戦闘で分かった事は、アルラウネは護衛に向かない。ちょっと攻撃を受けた程度でピーピー言われたら、こっちの身が持たない(苦笑)

アルラウネーズは1匹残らず処分し、発狂したジェイはギルドに引き渡されて背中毛部屋に連行。半裸マッチョの餌食となりました。

無事助け出されたレミィは悲鳴恐怖症になったような気がしますね。彼女を連れて宿に帰って、寝ずに待っていたアイリちゃんと感動の再会です。


これで今度こそ全員でパーティができるね、と綺麗にまとまろうとしていました。しかし今回は最後までスペシャルでした。

レミィのプレゼントはブローチだったのですが、クレスポは「分かってない」と難癖つけます。またなんでそういう事言うかな。

マロウ「こら、クレぽん!なんてこと言うだよ!!」←流石のマロウも激怒

クレスポ「だって、ベルカナの喜ぶものは世界に二つしかないッスよ!右パットと左パットだけッス!」←……命知らず


これに激怒したベルカナはクレスポに"ライトング"を発射!。ナイトウィンドとダバールを思い出しますね。ラムちゃんか(笑)

達成値は気合を入れて17(出目9)、対するクレスポは精神抵抗がたったの11(出目4)。しかもクリティカルまで起きますよ。

ダメージは何と23点!!。レベルを引いて16点、生命力6だから−10点ですね。生命抵抗8だから、出目9以上で生還

本気でヤバイかと思ったら、出目11で奇跡の生還!!。「九死に一生スペシャル」みたいな事になってますよ。見てる方も怖い。


こういうのは基本的には遊びであり、「無かった事」になりますが、面白い過程と結果になれば「有った事」にしちゃってもいいですよね。

かと言ってクレスポが死亡し、実は「スカイス・テージ」の前に"リザレクション"で蘇生されていました、というのは面白いかな(苦笑)

いやある意味笑えますけどね。外伝だからって死なないと思ったら大間違い、死ぬ事もあるという教訓をその身をもって教えてくれるのですから。


こうしてベルカナの18歳の誕生パーティは、色々な事件に巻き込まれながらも綺麗な花火によって開催されたのでした。

約1名ドリフの爆発コントによく見られる黒焦げアフロになって転がっていそうですが、これはこれでいいオチだから良しとしましょう。

ヘッポコーズも全員誕生日が明らかになってるんだし、その内ペラペラーズも公開しないかな。何はともあれ、ハッピー・バースディ!


第0話 ナイト・ビビット・キューピッド

最後のお話はペラペラーズ幻の第0話です。彼らの最初の冒険であり、ある理由でお蔵入りになったという作品です。

理由としては読者が引くだろうから。つまり営業的理由で消えた黒歴史です。それが「Role&Roll」のVol.15(05年10月)で世に出ました。

それ以前のVol.12で行われた歴代GM座談会にて話が持ち上がり、そのまま掲載に持ち込まれたそうです。


この作品の特徴としては、何と言っても現行のシリーズとは各キャラの設定が微妙に違うという事です。一部別人とも言える人もいます。

それを下手に修正せず、無修正?で載っけてくれて良かったです。あるいはこの設定でやってても面白かったかもしれないし。


クレスポ

シーフ2、セイラー3。女好きで、貧弱で、下ネタ大好き。つまり全く変わってない。イラストではちょっと瞳が大きくて可愛げがあるかな。


ベルカナ・ライザナーザ

ソーサラー/ファイター/セージ1。現行のシリーズよりも大分クールですね。クレスポの下ネタにも突っ込まず、お嬢様っぽい。

あとクレスポに生暖かい視線ではなく、熱い視線を送る予定もあったらしい。そうなっていたら完璧に公式カップリングでしたね。


マーロウ

プリースト(マーファ)1/ファイター1/レンジャー1。この5人の中で最も変わった人。もう別人、誰だお前って感じです(笑)

まず名前が違う。そして標準語で喋ってる。あと腹黒い上に軟派な性格です。つまり「ファンドリア・ファンクション」での黒マロウみたいな。

ベルカナの代わりにクレスポに突っ込み、ブックの代わりにシャイアラのお供をし、家を出た理由は出稼ぎではなく追い出されたから。

もう本当に別人なんですよね。カラーの見開き挿絵でも本人がそれに突っ込んでるぐらいだし。彼を見てるとこれがパラレルだと強く実感する。


シャイアラ

シャーマン/シーフ1。マロウに比べると大して変わってない。ツルム相手はマーロウで、もうカップルみたいにベッタリ。


ブック

セージ3、シーフ/レンジャー1。相変わらずの読書好き伊達眼鏡グラランですけど、シャイアラの世話をしない分よりクール。


この5人が出会ったのはやはり闘技場なのですが、外ではなく中です。つまり彼らは冒険者志望のギャンブル仲間なんですね。

でもそれじゃあマロ……マーロウとは会えないじゃないかと心配になりましたが、大丈夫です。何故なら彼も常連だから(笑)

田舎から出てきた貧乏ハーフエルフが、働き口も無く、即金を求めた挙句辿り着いたのが闘技場。ほら、自然な成り行き(かな?)。

もうこの時点で我々の知ってるマロウとは別人ですよね。神様がいくら寛容でも、曲解し過ぎるのもどうでしょうね。


それと5人とも微妙に衣装が違っていますね。ベルカナはいつものヒラヒラドレスでなく、服の上にしっかりと革鎧を着込んでる。

クレスポはよく見えないんですが、いつものノースリープじゃないですね。学生服を鳩尾の辺りでバッサリ切ったような。

マーロウは法衣っぽいのを着てて、一見エリート司祭のように見えるから不思議。他2人はあんまり変わってない。


とまぁ色々と違う所も多いんですが、賢く素早いペラペラ〜な5人組という意味では全く変わってなかったりもする。

「誰が前に出ても大丈夫」、というか「誰が前に出ても危ない」事にも変わりはない。やっぱり頑丈な戦士野郎がいませんからね。

かと言って恨みっこなしのファイブトップにするのは尚更自殺行為ですから、戦わないように済ませようとする基本方針も変わってない(笑)


そして事実戦闘をやってないんですよね。サイコロを振る機会は当然ありましたし、戦う機会もあったんですが、全部スルーしてます。

以前あのスイフリーがサイコロ振らないで勝つ方法はないものかと言っていましたが、戦わなければ振る必要もないんですね。

戦わずに依頼を達成してしまえるのならば、こんなにいい事はない。ある意味歴代で最も賢いパーティーなのかもしれない。


★冒険者への第一歩

冒険者志望の彼らは、ロマールにある「小猿の拳骨亭」にたむろしています。本シリーズでは消えた店ですね。あるいはアイリちゃんの宿かな?

これが彼らの初セッションの筈なんですけど、妙に息が合ってる。クレスポのセクハラにベルカナが突っ込んだりするのはこの頃かららしい。

しかも本当にサイコロも振ってるんですよね。ダメージはたったの3点でも、1ゾロで素通し。いきなり生命力半減の危機を迎えていました(笑)

そしてマーロウのキュアーで鼻血が出そうなぐらい回復するのもこの頃かららしい。魔力4でも出目5以上で6点ですからね。


この連中に依頼をする人なんているのかな、と思ったりもしたのですが、依頼人はしっかり現れます。

彼女の名はシャーナ。彼女はエルリッチ伯爵家のメイドです。依頼の内容はその家の娘であるアリサ嬢に関係します。

アリサは以前ダヴィットという画家の青年と恋仲だったのですが、身分違いだからと父親に別れさせられ、近々結婚させられる予定です。

相手はノックス家のリデルという男です。表向きはその人物調査ですが、実際にお嬢様が望んでいるのは彼女を連れ出す事でした。


シャーナは立場上色々と複雑なのですが、なるべくお嬢様の為になるようにしたいので、こういう依頼になりました。

もしもリデルに何か問題があれば、ソレを理由に破談に持ち込めるでしょう。実は刃物マニアとか、夜な夜な死体を墓場から掘り起こしてるとか(笑)

逆にいい人ならばお嬢様を説得しますけどね。まぁ彼女があくまでもダヴィットさんが好きならば、なかなか納得できないでしょうが。

彼女がどうしても結婚はしたくないと言うならば、誘拐という名の護衛をして、彼女をダヴィットさんの所まで連れ出すのです。

彼女は今外出禁止を食らっているので、誰かの助けがないと家を出る事すらままならないのです。ちょっと切ないラブロマンスです。


ぶっちゃけ「カリオストロの城」をモチーフにしてるようですけどね。このシリーズは主人公は盗賊だと最初から決まってたようなので。

しかしそれだとクレスポがお嬢様と恋仲になってしまいますね。夜に部屋に訪れ、「泥棒です」と自己紹介するのです。

「お嬢様を盗み出す」か……。盗賊的には燃えるシチュエーションかもしれませんね。特にクレぽん(この時からこの呼び名)には。


でも相手は貴族ですから、バレたら非常にヤバイですよね。それだけに報酬は最高で1人1000ガメルと大分太っ腹です。

ただリデルの人物調査をするだけだと前金100で後金300ですけど、この結婚話を解決すれば更に600の追加報酬です。

その結婚話というのは、ダヴィットだろうがリデルだろうが、上手く纏めればいいって事でしょうかね。

ダヴィットがカス野郎なら簀巻きにして川に投げ捨てるし、リデルに問題があれば密告して破談に持ち込む。両方ダメなら……その時はその時。


それはそうと孕んでるとか、下剤でトイレ封じとか、歴代パーティーにはとても出てこないような言葉がポンポン出てきますよね(笑)

あとお嬢様の容姿を尋ねられると、シャーナさんは非常に困った様子なのは非常に重要な伏線だったりする。


★調査に出かけよう

早速調査に乗り出したペラペラーズ(当時名称不明だけど)は、リデル組とダヴィット組の二手に分かれます。


まずはダヴィット組のクレスポ、ベルカナ、ブックです。3人はダヴィットが暮らしているらしい長屋を尋ねます。

彼は若いのに結構腕がよくて、貴族に雇われるだけの実力はあるんですけど長屋なんですね。やっぱり筆一本で食っていくのは大変なんでしょう。

完全に貴族に召抱えられるぐらいになれば食うには困らないんでしょうけど、彼の場合追い出されちゃいましたからね。


今の彼はアリサ嬢と別れさせられたショックか、仕事が手につかない有様らしい。可哀想に、まだ彼女の事を愛しているのでしょう。

ダヴィットは無精髭ボーボーでガリガリの青年でした。それはショックで不精してるからなのか、それとも普段からそうなんだろうか。


そんな彼の元を訪れたのがクレスポというのは、ちょっとした不幸かもしれない。まずノックには「オレオレ詐欺」を使用(笑)

一時期世間を賑わした「振り込め詐欺」の俗称ですが、多分当時は新し過ぎるネタだったんでしょうね。時事ネタは廃れる運命にある。

それでドアを開けようものなら運の尽き。悪質なセールスマンのようにドアの隙間に足を突っ込まれ、逃げ道を塞がれます。


そして主体性の無い彼が視線を泳がせていると見るや、クレスポは殴る殴る。反撃を受けたら死んじゃうかもしれないのにね(苦笑)

未練タラタラな彼に気合を入れてると見るとちょっといい奴っぽいけど、その本音は「要らないなら俺にくれ!」です(どうせそうだろうよ)。

ちなみに彼に別れ話をしたのは親父であって、お嬢様じゃない。彼女もまた彼が好きなんですよ。それを知ったダヴィットは動揺します。


彼だってできる事ならば会いたいんでしょう。でも頼る相手は目の前にいる訳の分からん盗賊小僧ぐらいです。とても信じられませんね。

クレスポ「よし、こうしよう!俺がお嬢様と会わせてやるッス!」

ダヴィット「……どうやって?」

クレスポ「え?……何とかして」←だからそれをどうやって

ダヴィット「帰ってくれー!」

クレスポ「俺を信じろー!」←いや、無理だから(笑)

という具合にハチャメチャな交渉となりました。ベルカナとブックがフォローしてくれなかったらどうなってた事か……。


★リデルの謎とお嬢様の正体〜昼下がりの市街地は

さて今回のリプレイで面白かったものの一つが、彼らの勝手なお嬢様像です。シャーナさんが言葉を濁したばっかりに、エライ言われようです。

ブサイク説とかドスコイ系説とかね。ダヴィットさんがフラフラしてるから、どうしても相手の方が積極的だと想像せざるを得ない。

ダヴィットはマゲに惚れたとか、四角い顎に惚れたなんてのは序の口です。眉毛が味付け海苔とか、ケンシロウかっての(笑)


調子に乗った彼らは、もう本当に言いたい放題。彼女を運ぶには16頭立ての馬車が必要だとか。それは巨人族でも運ぶのか。

逃げる途中で「遅いっ!」とダヴィットを抱えて走り出すとか。足音はドスドスドス!だとか。乙女にあるまじき想像です。

更には部屋から出して貰えないんじゃなくて、部屋から出られないとか言い出す始末。結婚式までに窓枠を外さないとね(笑)

ていうかそれじゃあもう「PAPUWA」のUMA子ですよ。外見は完全にオッサンで、腕の太さがアームレスリングのチャンプぐらいありそうな。


その真偽は……ここでは言うまい。


あとクレスポは盗賊ギルドに行って情報収集をします。まだ入会していないのですが、面倒なので入会金は後払いという事で。

余談ですが、厳密には入会金というものは存在しない。ギルドにあるのは年会費であって、入会する時に払う必要はないんですよ。

それは500ガメルか年収の1割となっていますけど、入会時にさっさと払ってしまった方が楽と言えば楽ですがね。


ここでは結婚相手のノックス家の情報も手に入りますよ。実はノックス家は財政難です。この縁談は、その埋め合わせも兼ねています。

あとリデルはどういう人かというと、憂いのある笑顔が似合う薄幸の美男子タイプらしい。はい、この時点で何かが狂い始めていますね。

また彼はアレクサンダーというマッスル護衛を連れています。元は剣闘士として雇う筈でしたが、リデルに気に入られてから護衛となりました。


その後の情報収集は、リデル組のマーロウとシャイアラに回されます。ブックと一緒にいないシャイアラというのも珍しい。

2人は高級住宅が並ぶ北の市街地の宝石店を訪ねます。リデルはここに訪れた事があるというのですが、買い物はしなかったらしい。

別にお嬢様がデブ過ぎてサイズが合わない(笑)とかじゃなく、お金が無い様子。それもその筈、2人はまだ知らないけど財政難なんですから。

一番安い宝石が3000とか言ってますから、結婚指輪に相当する品になると、云十万ガメルはするんじゃないでしょうかね。

更にリデルとアレクサンダーの足跡を追い、花屋では安目の花を購入した事が判明。花ですら安物とは、どんだけ困ってるんだか。


更に更に捜査を進めると、何と言うか……その……このリプレイが黒歴史になった理由の一つが分かったような気がしました。

アフタヌーン・ティーを楽しむマダム達がいるオープン・テラスなカフェに行って聞き込めば、こういう情報は嫌と言うほど手に入ります。

リデルとアレクサンダーは仲がいい。とってもとっても仲がいい。仲が良すぎて、主従や友人の枠を超えている……つまりホモらしい。

元からヒッキー系だったのに、アレクサンダーが来てからは更に篭る様になったらしい。篭って何やってるかは、昼間から考えたくはない(笑)

しかしこれで破談に持ち込む材料が見つかりましたね。当人が女性に興味ないならば、親父も流石に諦めるでしょう。


シャイアラ「もうダッシュで宿に帰る!帰るったら、帰る!あーん、スゴイ話を聞いちゃったー!

マーロウ「マーファ的にも大問題ぃー!

マーファ云々以前に、商業的にも大問題っぽいですよね。これが1話で来たらどうなるか。大好評か大不評の二者択一な気がする。


いや、もしそれで話が進んでいたら、4巻に出てきた変態執事が目じゃないぐらいの変態さんが沢山出てくるかもしれない(笑)

やたら全裸になる主人公とか、汗も滴るフンドシ・マッチョメンとか、下半身丸出しの魔術師とか出たかもしれない(「いぬかみっ!」?)。

まぁそれはそれで面白そうですけどね。もし1話目からそんなのが来たら、私なんかはかえって夢中になると思う(割と本気)。

いや正直1巻の頃のペラペラーズは今ひとつノリが悪いですしね。丸々1冊パーティーを組まずに好き勝手やってたし。


それにしても、既にアリサ嬢がデブでブサイクだと固定されてるのはいかがなものか。まだ確認できていないのにね(苦笑)

「リデルがあのデブ宛に」とか「いくらアリサさんがあんな姿とはいえ」とかね。ちなみに両方ともシャイアラのセリフです。


★ワクドキ!深夜の作戦会議〜真夜中のヒミツゴト

衝撃の事実が明らかになった事でもう一つの事実も判明してしまいました。盗賊ギルドに行った時のあのセリフですよ。

「憂いのある笑顔が似合う薄幸の美男子タイプ」

なんか個人的な嗜好も入ってるような気がするんですよね。つまりあの構成員もアッチ側の人だという可能性が高い。(笑)


もしそれがギルド全体に及んでいるとしたら……何て面白い街なんだロマール。このセッションのNPCはアブノーマルな人ばかりか。

ベルカナ「これからギルドに行かれる時は、お尻を隠して行かないといけませんわね」

そしてアンタも何を言ってるんだ。お嬢様だと思ったら実はそうでもない、やっぱりこの時からベルカナはそういうキャラなのかな。


それから彼らは無謀にもノックス家に潜入する事にします。性格にはリデルとアレクサンダーの愛の巣に侵入するのです。

でも危険も多い。場合によっては精神力の低いクレスポはショック死するかもしれない。アルラウネの《悲鳴》よりもよっぽど発狂モノですよね。

それにアレクサンダーは凄腕の剣闘士、もし戦闘になったら犠牲が出るかもしれない。見かけによらず高度なスニークミッション(潜伏任務)です。

野郎同士の絡みなんて見てどうするんだと正気に戻ってはいけません。これも仕事ですから、裏を取らないといけません。

これで現場を目撃できれば、依頼人に完璧な情報を提供できるのですから。……と言いつつ、皆何故にそんなに嬉しそうなのか(苦笑)


ノックス家はGMが即興でデザインしました。まさか忍び込んでくるとは思ってなかったので、流石に用意してなかったんですね。

そこそこの敷地は2mの壁に囲まれ、出入り口は正面と裏に一つずつ。建物は2階建ての母屋と使用人棟です。目指すは母屋の愛の巣です。

一応見張りもいますよ。革鎧を着ているのが数名。気づかれずに侵入するのは難しいでしょう。こっちだって駆け出しなんだし。


GM「一人の男が見回ってます」

ブック「ふんどしで」←大爆笑

まさかこの屋敷そのものが禁断の筋肉番付なのか。使用人も警備もふんどしで、色で階級が分かったりすると嫌ですよね。


屋敷には正門の鍵をベルカナの"アンロック"で開錠し、マッスル・ジゴロどもは"スリープ・クラウド"で眠らせて潜入します。

更に薔薇園の脇も過ぎて母屋に接近。薔薇園って、もうこの展開だと金持ちの象徴には見えない。あらゆる意味で凄すぎるよ、このシナリオ。

母屋には《忍び足》を駆使して踏み込みます。シーフ技能を持ってない人達もいますから、彼らはお留守番です。

真面目な話をすると、《忍び足》に気づくには冒険者+知力の判定が要ります。ただし特に注意を払ってないと−4がついて分かり難い。


そして彼らはついにリデルの部屋に着いてしまいます。頼みのアレクサンダーも侵入者には気づかず、ついに部屋の中が明らかに!

……と、思ったら既に事後でした。スヤスヤ眠るリデルを、半裸のアレクサンダーが優しく撫でています。……まさかここまでするとは。

でもまぁ最中じゃなくて良かったですよね。そこまで行っちゃうと完全に黒歴史として日の目を見なかったと思えてならない(苦笑)


ただ撤収する前にアレクサンダーに見つかっちゃったのは失敗でしたね。《潜伏》はしたのにシャイアラとブックが見つかります。

でもこの駿足コンビの逃げ足にはアレクサンダーも適いませんでした。残ったクレスポも「とっつぁ〜ん、またな〜!」と脱出(ここだけルパン)。

クレスポの《登攀》は6ゾロと見事なものでした。夜這いで鍛えただけはある。正門の鍵は開けられなかったのにね。

ちなみに坊ちゃんはアレクサンダーの声で起きて「アレク?アレクはどこ!?」とオロオロ。あ〜もう、あんたら2人で幸せに暮らしてなよ(笑)


★深窓お嬢様〜潜入!エルリッチ家

という訳で、リデルは結婚相手としては色々な意味でアウトでした。こうなったらダヴィットさんと復縁させるしかない。

ホモで財産狙いの結婚とくれば、親父を説得するのは容易い。しかしダヴィットとの仲を許して貰えるよう説得するのは難しい。

すると当初の予定通りお嬢様を連れ出さないといけないのですが……これがGMの狙いでした。連れ出そうにも連れ出せない仕掛けがある。


経過報告に来たシャーナさんは度重なる質問についに抗しきれず、お嬢様が驚くべき巨体、有体に言えばデブであるとカミングアウトします。

シャーナさんを基準にすると、大体2.5シャーナぐらいらしい。彼女が50sとしても、120kgを越える巨漢ですね。

現場は3階、それじゃあ階段を使わずに1階へ降ろすだけでも大変です。自力じゃ無理だろうし、かと言って吊るして降ろすにも力が要る。

かと言ってテラスに連れ出すとテラスが崩壊しそうで怖い。いや、普通に廊下を歩いても気づかれそうです。これは難易度が高いですよ。


つまりお嬢様を連れ出そうとして、その巨体にビックリ仰天。窓から連れ出す訳にも行かず、困らせるつもりでした。

しかもエルリッチ家にリデルとアレクサンダーも来訪し、それを阻もうとするアレクサンダーがボスになる筈だったのです。

ところがクレスポ達があまりにも勘が良すぎたので、その計画も失敗です。こっちからすると、事前に気づいて良かったんですけどね。

多分これがこのリプレイが黒歴史になった大きな理由の2つ目なんでしょうね。……一つのシナリオに2つも問題要素を抱えるとは(苦笑)


もうお嬢様を連れ出すのは無理だと考えた方がいい。こうなったらダヴィットさんを連れてくる方が遥かに容易です。

クレスポ達はダヴィットの長屋に言って会いに行くよう説得しました。前回とは違う意味で妙に熱い会話でした。

クレスポ「ダヴィット、お前はお嬢様を愛してないんスか!?」

ダヴィット「……好きだ

クレスポ「お嬢様に会いたくないんスか!?」

ダヴィット「……会いたい……」

クレスポ「じゃあ会え!俺たちが会わせてやるッスよ!」

ダヴィット「そうだ、俺はアリサに会いたかった……。俺を……俺をアリサに会わせてくれ!

熱い、変な所で熱いよ。さっきまでホモがどうの、デブがどうのと笑ってましたが、多分ここが今回の見せ場なんだと思う。


エルリッチ家への潜入はさっきと同じように行います。《忍び足》で進み、見つかったら"スリープ・クラウド"で眠らせる。

今回は《忍び足》ができないダヴィットさんも一緒なので、全員でゾロゾロ行きました。きっとより見つかり易かった筈ですが、一度も戦わない

クレスポ「なんか、俺たちって冒険者としちゃ変わった部類ッスよね」

シャイアラ「いーの!アタシたちは世界一戦わない冒険者志望だからね」

その志望は見事に適えられたのかもしれない。そう、彼らは知性派。ビー・クール! ビー・クール!(笑)


そしてダヴィットさんとアリサ嬢は感動の再会を遂げたのでした。ちなみにダヴィットさんが好きになった時には彼女はもう太ってました。

だから決して彼女は別れたショックで太った訳ではないし、ダヴィットさんも「騙された!」とかは思いません。

例え普通の階段では彼女が乗ると壊れようとも、扉が普通より大きくても、廊下の壁紙に腹がこすれて磨り減ろうともね。

そして例え、感動の抱擁で足が宙に浮こうとも、失神寸前まで締められようとも、豊満な胸で窒息しかけてもね。愛ですね、愛ですよ。

挿絵を見るとある意味可愛らしいと言えなくもない。心は優しい女性のようだし、情熱的だし、ある意味ダヴィットさんは見る目がある。


その騒ぎに親父もやって来ます、ドスドスドス!と足音を立てて。どうやら親父も太ってるようですね。お母さんはどうなってるのか。

この場では簡単に2人の仲を認めては貰えなかったけど、リデルとの縁談は破棄し、改めて話し合う事になりました。

その後どうなったかは分かりませんが、よい方向に向かってくれる事を願う。イロモノシナリオだけど、優しい人達ばかりでしたね。


しかしイロモノはイロモノ、1話目からこれでは確かに一般受けはしそうもない。お蔵入りになったのも、やっぱり仕方ないんでしょう。

それがこのような形で日の目を見ただけでも幸福ですよね。どんな風に評価されようとも、注目されないよりはされた方がいいし。





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