「新米女神の勇者たち(10)」著:秋田みやび/グループSNE 出版社:富士見書房
★成長申告、その前に
恒例の成長申告の前に、前回の冒険の後でぞんざいズがセラフィナに呼び出される所から導入となります。
セラフィナ「このような形でしか感謝を伝えられないのは無粋と承知しているが」
ニゲラ「報酬ですねぇっ!(ずずい)」
その通り。まともな報酬はずっとお預けだったし、ミスティン姫を救出した功績はとても大きいものです。
ジーク「でも、俺はたんに、ねーちゃんを助けたかっただけだしなあ……報酬なんて別に欲しくないぞ」
エア「いえ、ジーク。受け取っておいたほうがいいわ」
メッシュ「後腐れなくしておくほうが得策なのですよ。ただの好意だとしても、周囲はどう受け取るかわかりません」
イスミー「人は自分のレベルに落として、人を判断するもんでやす。
でもって、無償の好意ってやつを持ち合わせてない連中ほど、そう思いたがるんでさあ」
彼らの果たした功績は大きい。しかし愛のない見方をすれば、それは皇族に貸しを作ったことになります。
報酬を受け取らないというのはその貸しを返させないようなものです。少なくともそう邪推する人はいるでしょうね。
真意がどうであれ公式に報酬を受け取って、あくまでも冒険者として仕事を果たして手打ちとするのがお互いの為です。
セラフィナ「現在手元にある報酬として、六十七万ガメルほど用意してある」
イスミー「ぶふぉ!(吹いた)」
なんともバブリーな話ですね。頭割りして1人10万ガメル、残り7万を共有財産とすることにします。
共有財産の使い道としては主にニゲラのカードになるんでしょうけどね。これはパーティ全体の役に立つし。
ぶっちゃけた話をすると今までの冒険の補填どころか先払い要素もあるようなのでこんなものなのかも。
ちなみに報酬の目安はルールブック上では10レベルぐらいまでしか載っていないんですよね。
ところが何故か浮かない顔をしているのが一人。
エア「どうしたの、ニゲラ」
ニゲラ「(微妙に渋い顔)……うん、六十七万ガメル。すごいんですよぅ。すごいはずなんだけどぉ……」
ムーテス「うん、すごいね。このレベルになると、一回の冒険で一万が相場だけど、それにしても破格だね」
ニゲラ「わかってるんです!わかってるのぉ!……なのに、ニゲラ
「なぁんだ、SSカード五枚しか買えないんだぁ」って思っちゃったのぉお!(悶絶)」
一同(大爆笑)
ニゲラ「あまつさえ、「ちっ、しょぼいな」とまで思っちゃったんですぅうう!(泣)」
おかしい、それはおかしいよ。金銭感覚がおかしくなってるよ。何だかムーティスさんに似てきていますよ(笑)
SSカードなんてほとんど暴力的効果のアイテムを基準にしてしまうと、それこそ"バブリーズ"並のお大尽です。
そんな感覚が基本になるとカード破産一直線ですね(意味が違う)。ご利用は計画的に、あと目を覚ませ。
更には爵位まであげてもいいそうです。基本は一番下の男爵になっちゃいますけどね。
あるいは後継のいない貴族の家に養子として推薦してもらうこともできるそうです。
冒険者から貴族に、分かりやすいサクセスロードの一つですけど、今のところは保留にしてもらいました。
まだまだ冒険を続けたいようだし、自由の身でありたいという考え方だって間違っていませんしね。
ちなみに爵位もまた名誉アイテムの一種として金銭と名誉点によって購入することができます。
「ルールブックU」にはその一例が載っていますが、これだと男爵位は50万ガメルと名誉点750点です。
実はこれはお金がダブつくことを前提に設定されたらしく、高額のアイテムが色々ある今はちょっと高すぎるぐらいです。
その辺を考慮してフェルディナント伯爵なんて伯爵位そのものはキャラメイク上はタダで入手していたりしますね。
今回のぞんざいズのように冒険の中で得たコネで爵位を入手することもあるでしょうし、その辺は臨機応変でいいでしょう。
★
今回の能力値の成長は以下の通り。
ジーク:筋力21→22
エア:筋力24→25
メッシュ:精神力12→13
ムーテス:精神力12→13
ニゲラ:敏捷度21→22
イスミー:知力25→26
今回の成長でジークは<怪力の腕輪>を装備してボーナスがブレイクです。
技能の成長ではメッシュがグラップラー9→10としてレベル二桁の仲間入りを果たしました。
イスミーもライダー9→10として騎芸"バランス"を習得。シフェナと同じような成長を辿っています。
今回は莫大な報酬によるお買い物の方がインパクトが大きいですね。各人色んなものを購入しています。
ジークは<ナイトゴーグル>と<跳躍の羽>を購入し、<イスカイアの魔動鎧>を<防弾加工の鎧>にしました。
<ナイトゴーグル>はMP1点消費で10秒間暗視が備わる2万ガメルの品です。
<跳躍の羽>は《飛翔》などを持ち空を飛んでいる対象にダメージ+2点の6800ガメルの品。
<防弾加工の鎧>は<ガン>による攻撃のダメージを防護点で減らせるようになる鎧の加工の一種です。
加工費用は1発あたり900ガメルです。デフォルトは6発分の5400ガメルで以後1発単位で再加工可能。
エアはカテゴリ<盾>のBランク装備である<アステリアの守り>を購入しました。4万ガメルもしますね。
性能的には<ラウンドシールド>と同じですが、炎、水・氷、土、風属性の物理・魔法ダメージを3点減らせます。
あと回復アイテムとして<世界樹の小さな実>を購入。HPとMPを30点回復させる1万2000ガメルの品です。
メッシュは<通話のピアス>に加え、便利系アイテムの<収納ブレスレット>、<空間固定の棒>を2本購入。
<収納ブレスレット>は半径1mで高さ3mまでのものを重さを無視して、しかも生物・非生物問わず収納できる3万ガメルの品です。
<空間固定の棒>は合言葉によって空間に固定され、1tまでの重量に耐える1万9000ガメルの品です。
これなどは2本を上手く使えば梯子代わりに使えそうですね。ロック○ンみたいな空中アクションもできるかも。
ムーテスは魔力+1の専用<オーガモール>を購入。カテゴリ<メイス>のBランクですが、必要筋力30で威力45です。
あとはジークと同様に<防弾加工の鎧>にして、長年の懸念だった<赤の眼鏡>をついに購入しましたね。
ポーション系では<デクスタリティポーション>を補充し、他にも<アンチマジックポーション>を購入しました。
これは服用すると6ラウンドの間魔法ダメージを3点減らしてくれる3000ガメルの品ですね。他にも薬品類を沢山。
彼の場合パーティ復帰時に<奇跡の首飾り>を買っていたらしく、他にも<英雄のマント>や<ミサイルトラッパー>を持ってます。
<英雄のマント>はブレスによるダメージを2点減少させる1万ガメルの品です。割と色々な種類があるアイテムらしい。
<ミサイルトラッパー>は飛び道具による攻撃を受けた時に1/2の確率で身代わりになってくれる1660ガメルの品です。
要は8レベルの妖精魔法"ミサイルプロテクション"と同じ効果です。使い捨てなので安くなっていますけどね。
ニゲラは赤のSSカードを1枚、黒のSSカードを1枚、緑のSSカードを5枚とSカードを10枚です。
これだけで16万ガメルとかしますが、やはりパーティの共有財産から融通してもらったらしい。
ニゲラ「そして、ジークさんに9点の魔晶石を三つ買ってもらいました。ありがとうございますー」
ジーク「ん、気にすんな。余ってるんだし。でも、その親父さんそっくりの金銭感覚は直したほうがいいぞ」
9点だと1800ガメルで、3つだと5400ガメル。カードと比べると安いとか思うのも金銭感覚の狂いかな。
ニゲラ「はぁい。でも、ニゲラはルーフェリアに入信して心が軽やかになったので、
何でも水に流し始めましたー。お金なんて流れていくものですよねー」
ムーテス「ちょっと待った!その入信の方法はいつか身を滅ぼすと思うよ!」
エア「そうそう、俗世の憂いは心穏やかに水に流しなさい。
破産したことも、飛空船が落ちたことも、皇女の誘拐に加担したことも」
ムーテス「そ、その個人攻撃は卑怯っす!」
本当に入信しちゃってますね。妹ですら長年ルーフェリア信者の家族がいたのに特に信心深くなかったのに。
最後にイスミーですが、彼の買い物が今回最大の目玉です。10レベルになって条件は揃いましたからね。
イスミー「十万払ってドラゴネットを購入ですぜ!」
しかもそうしてやってきたのは何処かで見た覚えのある子でした。メッシュの頭をしゃぶっちゃうあの子です。
ニゲラ「わーい、ミニちゃんです、久しぶりー」
ジーク「よー、ミニひさしぶりーだなー」
メッシュ「……ふふ、今夜はドラゴン鍋ですな」
イスミー「だめー!十万ガメルでやすー!」
既に騎獣としての調教も終え、一端のドラゴネットとしてまさかのパーティ参加ですね!
以後「シフェナ」の出番がなくなりますけど仕方ないか。そういえばノートンさんはどうしているのかな。
ミニの購入に伴って騎獣系のアイテムである<上等な手綱>と<騎獣縮小の札U>も購入しました。
でもドラゴネットの場合UじゃなくてVじゃないと駄目なんじゃないですかね。
あとは騎獣に対して生命抵抗力+1の<紺碧の護符>と、精神抵抗力+1の<真紅の護符>も購入。両方1万ガメル。
ニゲラ「いいんですかー?ジャスティ姫が泣いちゃいますよー」
セラフィナ「かまわぬ。アレも、己の出身領の者たちを把握しなおさせるために
《紫壁領》へと戻した、しばらくはかまう暇もなかろうゆえ」
何しろ義父のライルバート卿があんな事をやっちゃいましたからね。爵位剥奪でジャスティが領主の役割を兼ねます。
そうなると皇女、騎士団長、領主の三足の草鞋状態ですね。過労でぶっ倒れるんじゃないかと心配です。
以上が今回のお買い物でした。それ以外にも<魔晶石>や<消魔の守護石>といった消費系のアイテムも多数購入。
★ミスティン皇女の部屋にて
そしてシナリオは前回のラストに繋がります。目を覚ましたミスティン姫から予知夢の内容を聞かされます。
ところが彼女が口火を切ろうとした瞬間、窓ガラスが室内に弾け飛び、離宮の周辺は一気に騒がしくなります。
ニゲラ「ジークさん!お姫さまに覆いかぶさって、庇わないと!いえ、ニゲラがやってもいいんですけど、絵的に!」
メッシュ「そうして庇うと「みすてぃん」と書いた紙の貼ってある丸太がひとつ……」
ジーク「うわぁああ!姉ちゃん、空蝉の術をいつのまに!」
ムーテス「もらえるものならもらっていくよ、お姫様お手製身代わりの術の丸太」←売る気か
どうやら砲撃の爆風で窓が割れたようです。それが女帝の飛行船を狙っていました。最早戦争ですね。
今回GMが<防弾加工の鎧>をお勧めしたのはこれがあったからか。まぁ便利なのでできればやっておいた方がいいけど。
ムーテス「それは……一番偉い人に《かばう》って言うっすよ!」
セラフィナ「いらぬ」
ムーテス「じゃあ、しゅんとなって、二番目に偉い人にいくっす」
ニゲラ「理性的なのか欲望の塊なのか、わからないかもー」
現在この離宮の警備は主に女帝が連れてきた手勢と、自主的に離宮を守ろうとする民兵によって行われています。
元々の警備の人達はミスティン姫が誘拐された時に中央に連行されてしまい、まだ大半が戻ってきていません。
幸い彼らは減俸程度の処罰で済んだんですけどね。姫を守れなかった責任で厳罰に処せられなくてよかったです。
ジーク「女帝、ここは任せた」
エア「やっぱり行くんだ……っていうか、何を任せると?」
窓から外に飛び出したジークは地上から接近してくるマミーの存在を確認しました。
連中は確実にジークの方に向かってきていて、飛行船に行かせないよう足止めのつもりらしい。
マミーは9レベルのアンデッドです。包帯で全身を覆われ、魔法文明時代の墓所の番人として使われます。
主な攻撃手段は《2回攻撃&双撃》。乾燥した身体のため《炎に弱い》ので炎属性は自動的に3点追加です。
その腕の攻撃が命中すると《減衰の呪い》がかかり、適用ダメージ分HPの最大値が減少してしまいます。
これでHPが0になると《生死判定》の余地なく即死です。効果は永続しますが、呪いをかけたマミーを倒すと解除されます。
普通ならこんな所に出現するアンデッドではないのですが、こいつらには例の<呼応石>もどきがついています。
また飛行船の方にはスカイバイクに乗ったシフェナとサキュバス、そしてエアロドゥームが向かっています。
現在飛行船には<パジャリガー・スラッシュ>があるため、連中はそれを狙っていると考えられます。
エアロドゥームは11レベルの魔法生物です。その名の通り空を飛べるドゥームです。
胴体、翼×2の三部位です。全身が<ガン>を装備した《鷹の目》持ちで、《機械の身体》は刃物ではクリティカルしない。
他のドゥームと同様に属性攻撃を受けると《防御膜展開》が発動し、その属性からの攻撃を完全に防ぎます。
胴体は金属片を撒き散らして自分の周辺に物理ダメージを与える《対人兵器》を使用し、翼は《飛翔》持ちです。
ちなみにこの辺りには<守りの剣>は配備されていません。何しろ色んな領に分かれている上に拡大中の国ですからね。
大きな街にしかなかなか配備できないし、元々この世界では<守りの剣>は慢性的に不足しているものです。
ムーテス「僕たち自身が<守りの剣>になればいいんだよ(チラチラ余所見)」
エア「ムーテス、ここぞとばかりに女帝にアピールしない!」
ムーテス「だって、見せ場じゃないか!権力大好きだもん!」
しかしこの武闘派女帝が臆する筈もなく、部下に指示を出してマミー討伐に向かわせたりしています。
この襲撃に対してぞんざいズはシフェナ達より先に<パジャリガー・スラッシュ>を確保してしまう作戦に出ます。
確保に向かうのは《影走り》ができるメッシュと、ミニに乗って空を飛ぶイスミーとムーテスです。
ムーテスは自力でも飛べるけど〔風の翼〕の消耗を防ぐ為に"タンデム"しています。万一撃墜されても飛べば助かるし。
かつては執事を撲殺したこともあったミニが今回は仲間として参戦、ちょっと感慨深いです。
イスミー「あ、おいら的にはシューティングスターと名付けたいでやす!」←どこの火竜山の魔竜だ
ジーク「……お前はミニだぞー、ミニだぞー」
イスミー「がーん!何吹き込んでやすか、兄貴!」
ジーク「まあ、ミニとイスミーは単なる主従、俺とミニは友達だからな」
イスミー「きー!いじわるでやすー!」
どうやらジークにはわだかまりはないようですね。メッシュはそもそも忘れているので問題なし。
エア「まあ、ドラゴネットにもプライドがあると思うし」
ムーテス「そうそう、大きいほうが偉いという自然界の法則が身についていて、僕たちのほうに懐いていても仕方がないよね」
イスミー「何でさりげなく、ムーテスの大将がその仲良しカテゴリに入り込んでるんでやすか!」
ムーテス「僕はドラゴン語しゃべれるから」
イスミー「うわーん!おいらをハブって、兄貴と大将とミニが輪になって内緒話をしてやすー!」
そういえばジークもドラゴン語を覚えていましたね。ムーテスはこれが初対面だけどネイティブなので会話が捗る。
となるとイスミーは自分の騎獣であるにも関わらずミニと意思疎通できないということになるんでしょうか。
まぁ言葉が通じなくてもある程度繋がっているのが騎手と騎獣というものだとは思うんですけどね。
そして残ったジーク、ニゲラ、エアが4体のマミーを迎え撃ちます。女帝も参加するので十分防げるでしょう。
ニゲラ「いえ!どちらかといえば加勢は必要ないですぅ、あとで使用した分のアイテムの補填をくださいっ!」
GM「……ちゃっかりしてますね」
ニゲラ「確約くれたら、いきなりSSカード乱舞とかぁ……」
セラフィナ「貴様らは、節約という言葉を覚えろ」
今までどちらかというとお金にうるさいのはムーテスだったけど、彼はすっかり権力の犬でニゲラのポジションですね。
1ラウンド目
ニゲラの"イニシアティブブースト"Aランクで先制を取ったぞんざいズは二手に別れて行動に出ます。
エアは飛行船に向かうメンバーに"ホーリー・ブレッシング"をかけます。ミニが三部位なので6倍がけですよ。
ニゲラは練技3点セットを使いつつ、マミーへのパラミスは渋って普通に攻撃。足に絡めて回避に−2です。
何しろマミーの回避力は固定値で18です。今のジークとニゲラならよっぽど出目が低くないと当たりますね。
ところが命中力15のジークは出目3で回避されます。お姉さんの前でいい所を見せようとしたのかな(笑)
メッシュは女帝の飛行船《純白の風》まで10mのところまで移動。全力移動すれば辿り着けるけど回避が落ちるので。
イスミーはミニを操って通常移動しつつ、"バランス"を生かして魔法を使ってメッシュにクリポン武器を作ります。
ムーテスはその後ろで<アンチマジックポーション>を飲みました。本格的な突入は次のラウンドになってからです。
そして敵のエアロドゥームが動いてムーテスを撃ちますが、"タンデム"が効いていて回避できました。
ムーテス「イスミーくん。正直今までうさぎが……と思っていたところもあるけれど、今の一瞬で全て払拭されたよ」
イスミー「え、そんな風に思ってたんでやすか!今の一撃で、心に巨大なわだかまりが生じやしたよ!」
あと2回メッシュを撃って一発当たり、早速ブレッシングが剥げました。全力移動だったら両方当たってたかも。
シフェナはスカイバイクの《レーザーガン》でミニを撃ってブレッシングを剥ぎ、自分は"グレネード"です。
GM「さすがにイスミーには攻撃しにくいけど、乗ってるものには問題ないんだー」
メッシュ「そして、その結果で巻き込むのも問題ないと」
イスミー「ひぃい、それで落ちたらどうするんでやすかシフェナー!相変わらず、おてんばさんでやすなぁー!」
サキュバスは《純白の風》の方へ移動して終わり。《パジャリガー・スラッシュ》を確保するのが役割らしい。
2ラウンド目
エアはマミー4体に"ホーリー・ライト"です。全部抵抗を抜いたのはいいけど、その内2体はダメージ1ゾロでした。
ジーク「おおおーい!」
エア「ふぅ、意外と稼いじゃった」
ニゲラ「女帝さまー女帝さまー。お願いしますー」
ということでセラフィナが参戦。彼女は高レベル戦士なので魔剣のクリティカルであっさり1体を倒します。
ここでの彼女の技能構成は謎ですが、後に「from USA」に登場した時にPCデータが作成されています。
その時の技能構成はファイター13、レンジャー9、ソーサラー7でした。今リビルトされても相当高レベルになるでしょうね。
セラフィナ「ミスティンの元へ行かせるわけにもいかぬ。《パジャリガー・スラッシュ》の守護を頼む」
ジーク「アンタとは、肩を並べて戦いたかったけどな」
ジークは前線のメッシュ達の方へ移動します。ニゲラはマミーに絡めていたので移動できす、エアは援護に残ります。
その頃の前線ですが、ムーテスはミニから飛び降りて〔風の翼〕で滑空。サキュバスをすり抜けようとしますが。
サキュバス「ここは、行かせなくてよ!」
ムーテス「よしきた!メッシュ!ここは僕にまかせて先に行け!」
メッシュ「友よ!(感涙)」
《影走り》があればサキュバスなんて無視して先行できましたが、一回はやってみたいシチュエーションですよね(笑)
そして今まで「メッシュさん」と呼んでいたムーテスが呼び捨てにしている所が密かなポイントです。
これでムーテスはサキュバスを攻撃して削り、イスミーはシフェナに攻撃することを躊躇ってブーイングを食らいます。
それでもスカイバイクに対してミニの《ブレス》を吐かせます。
メッシュ「一年ぐらいの記憶が消えたからといってどうなるものでもありません。
むしろ、キミ好みの記憶を吹き込んで嫁にしてしまえばよいというもの!」
イスミー「ゆるしてくだせぇ!おいらが攻撃するのはスカイバイクなんでやす、
シフェナはちょこっと巻き込んじまっただけでやす!」
悪魔の囁きが彼にふんぎりをつけ、シフェナは抵抗で50点稼ぎ、しかもクリティカルという有様。
色々と鬱屈したものがあったんだなと呟く仲間に見守られながら、エアロドゥームにも攻撃しておきます。
そしてメッシュは《純白の風》に乗り込み、剣を自分の<収納ブレスレット>に隠すことに成功。
この作戦はぞんざいズの勝利ですけど、シフェナは涙目でイスミーを睨んでいます。
シフェナ「……やっぱり、私の邪魔をするのねイスミー」
イスミー「すいやせえぇん!おいら、これ以上シフェナに悪行を重ねて欲しくねえんで!」
ニゲラ「でも、今回イスミーくん頑張ってると思うのぉ。
今、一人でシフェナさんと、エアロドゥーム相手してるようなものだしぃ」
イスミー「へい!今おいらは五部位ですんで。がんばりまさあ」
自分が一部位、ミニが三部位として、背中のオクタンまで計算に入れていますね。
四部位だとしても八部位までは止められますから、シフェナ、スカイバイク、エアロドゥームの相手はできる。
本当ならここで撤退した方がいいんですけど、シフェナ達にはメッシュの行動は分からないので戦闘継続。
GM「サキュバスは魔法かなあ……物理ダメージは大したことないし」
ムーテス「ふ……お互い小細工無用!一対一で正々堂々と戦おうじゃないか。物理攻撃で!」
GM「なんで、そんなキラキラした鎧着てる相手に、不公平なことをかっこよく言われなくちゃいけないんですか!
こっちはただの半裸のねーちゃんなのに!」
ムーテス「いや、なんだったら、この<タワーシールド>貸すから!」
エア「必死ね、ムーテス」
元よりサキュバスは魔法や特殊能力が強い蛮族です。《淫夢》でイスミーとミニを眠らせて落下させます。
ダメージは7mほどなのか21点でした。その上HPを吸われました。ジークの"ブレイブハート"が欲しいですね。
実はシフェナがサキュバスを連れてきたのは事を荒立てずに護衛を眠らせるつもりだったという事情があります。
でも<赤の眼鏡>で眠らないムーテスには普通に攻撃。
ムーテス「<赤の眼鏡>が気に入らないなら、外すよ!痛いの嫌だから」
エア「あほかー!」
あなたミスティン姫が攫われた時もこの辺で眠らされましたよね(苦笑)
シフェナは残り少ないMPで《レーザーガン》を発射。クリティカルで34点とか叩き出します。
自分は補助動作で〔HP変換〕を使ってMPを回復し、減ったHPはお薬を飲んで補填します。
3ラウンド目
エアは"キュア・インジャリー"で回復し、ニゲラとセラフィナはマミーの相手を続けます。
ジークは自分とイスミーとミニに"ブレイブハート"ですが、ミニが三部位なので5倍がけが必要でした。
25点消費とかなり重たく、20点の<魔晶石>を使いました。これだけで8000ガメルとかしますけどね。
それから数ラウンドでムーテスがサキュバスを落とし、ジークとイスミーはシフェナと対決。
ジークに《レーザーガン》を撃つも避けられたり、ムーテスに自前の<ガン>で攻撃して防弾加工を剥いだりします。
この時使ったのは高レベルの"レーザー・バレット"です。しかも"ホーミングレーザー"の補助つきで。
前者は9レベルの魔動機術で威力30かつクリティカル値−1の純エネルギー属性の弾丸ですね。
後者は10レベルの魔動機術で、"レーザー・バレット"に限り命中力+2の効果があります。
ということは彼女はライダー技能だけでなくマギテック技能まで10レベル以上。やっぱり強いですね。
?ラウンド目
剣を確保したメッシュは剣が入っているっぽい箱を持って出てくるという作戦を立てます。
エア「集中攻撃されるわよ!?」
メッシュ「なぁに、攻撃が当たったら、そこそこで倒れた振りをいたしますよ。死んだ振りは得意でございます」
ジーク「お前、振りじゃないこともあるからなあ」
エアロドゥームが残っていて、シフェナもいるわけだから、下手したら魔法ダメージ5連発とか来ますね。
ジークは《マルチアクション》でシフェナをしばきます。実は彼女は前衛系技能皆無なので避けられない。
どうやら《射手の体術》も取っていないようですし、それこそイスミーの<ガン>のいい的なんですよね。
そして現在の彼女は〔HP変換〕を使った直後です。お薬を飲んだとはいえレンジャーでないなら回復量は少ない。
実はかなりHPが減っている状態でして。
ジーク「イスミー!」
イスミー「へい、兄貴!」
ジーク「今、シフェナにトドメ……というか、攻撃を当てられるのはお前だけだ」
イスミー「……あう」
ジーク「お前と、ミニだけなんだ。……さ、試してみようか、イスミーの忠誠を(にやり)」
イスミー「ひぃいい!兄貴表情が悪人でやすよっ!」
鬼か。でもメッシュとしては本意らしく飛行船の中で号泣していたとか。
イスミーは悩みました。ある意味見せ場です。それはもう悩みましたとも。
イスミー「……く、五時間くらいは悩みそうでやす。
このまま二ヶ月くらい回想シーンを頭の中でリフレインしていいでやすか?
きっと馴れ初めから、交流、供に冒険をして……遺跡の中で生き別れるまで」
エア「いいから撃ちなさい!」
イスミー「へい!体感時間三ヶ月の苦悩をめぐらせた後、
これ以上シフェナに悪の道に走って欲しくねえ!……という結論のもと、撃ちやす」
ジーク「お前、なんで一生懸命そうやって自分に言い聞かせるんだよ。嫁のためなんだろ。
言い訳しないで、自分が正しいって思うことを胸張ってやれ。
俺らが間違ってるなら、俺らを撃てばいいじゃないか」
こういうことをさらっと言えるからジークは格好いいんですよね。イスミーに足りないのがそこですかね。
とにかく決心をしたイスミーは本気を出して"バーストショット"。6ゾロで当てて残りHP2点まで削ります。
イスミー「……ミニ、やめるんだー!と指示したのにドラゴネットがブレスを吐きやした」
一同「責任逃れした!」
ニゲラ「でも、同じ乱戦エリア内にジークさんもいるけどー?」
イスミー「……うお(硬直)」
ジーク「うん。イスミー、お前の気持ちはよくわかった」
これでシフェナは気絶して生死判定に追い込まれますが成功。落下してもう1回生死判定するも成功して生き延びました。
作戦の失敗を悟ったエアロドゥームは自ら撤退したそうです。知能が「命令を聞く」程度でもそんな判断ができるのかな。
<呼応石>もどきがついているとそこまでできるのかもしれないし、予めそういう命令を受けていたのかもしれませんけどね。
★謎と謎と謎と証言
襲撃を仕掛けたシフェナは生け捕りになり、離宮での騒ぎは収まりました。
イスミー「おおうーおおうー……女帝様、シフェナのことでやすが……(揉み手)」
セラフィナ「死刑でよかろう?」
ムーテス「ですよねー。普通それしかないよね」
当然イスミーとしては彼女を助けたいのですが、ここまで言い逃れ不可能な犯行ではどうしようもない。
それでも尋問して情報を引き出すという名目で延命します。最終的に処分されるのは変わらないでしょうけど。
ニゲラ「シフェナさんは、しばらく気絶から目を覚まさないでしょうしー。
ミスティン姫から改めて話を聞きませんかー?」
エア「そうね。あ、うさぎを縛っておきましょうか一応」
イスミー「何故!」
エア「こっそり、あのうさぎ耳を逃がして、共に逃げるという疑いを捨てきれないからよ!」
シフェナには見張りをつけておいて、別の部屋に引っ越したミスティン姫に会いに行きました。
相変わらず混乱が続いていますが、彼女が戻ってきたことでお祝いの品が色んな人から届いていました。
お菓子とかお花とか、ぬいぐるみとかね。皇族ともなれば何かある度に不特定多数から祝われるものですしね。
それでは長いこと気になっていた予知夢の内容です。
ミスティン「目の前に広がるのは、雪深い山麓―その中腹あたりに、神殿らしき建物が見えます。
そして、押し寄せる虚ろな表情をした死者の群れ……。
そして、その雪深い山脈に祈りを捧げる人々の映像が見えて……
神殿を抱く銀嶺が崩れ落ち、次々に麓の街を押しつぶしながら、失われていく様が見えたのです。
人々の悲鳴や、助けを求めるたくさんの声が、いつまでも耳について……」
それは雪崩なんてものではなく、山そのものが崩れて周辺を飲み込み、大地の形を変えていく程の大災害。
それがどこまでもどこまでも広がっていくというものです。ただし見えたビジョンの時系列は不明です。
「神殿のある雪山」「押し寄せる死者」「祈る人々」「崩れる山々」これらがフラッシュバックしていきました。
神殿を抱く雪山といえば思い浮かぶのは《白峰領》。アレンが向かったという情報もありますしね。
エア「ということは、わたしの神殿!」
ムーテス「そう、僕の店!それは全力で守りにいかないと!」
エア「ちょっと待て!そこはイコールではつながらない!あんたはうちの神殿に軒を借りてるだけだからね!」
ムーテス「え、すでにちょっとずつ契約書は書き換えつつあるのに……」
エア「犯罪でしょう!」
ムーテス「何年棲んだら僕のものとかあるでしょ、ふつー!」
その辺の権利関係はともかく、ミスティン姫は最後に「大きな翼を持った男性」の姿を見たと言います。
彼女はセージ技能もそれなりに高いようですが正体不明です。ドレイクではないらしく、皮膜の翼だったとか。
ジーク「それは気になるな。姉ちゃん、それ、絵に描けるか?」
ムーテス「絵心あるっすか?」
するとミスティン姫はちょっと固まり、セラフィナは「聞いてやるな」と首を振っていたという。
どうやら絵心はないようですね。あったら予知夢の対策も大分やりやすくなるんでしょうけど、そういう欠点は可愛い。
イスミー「エンハンサーじゃねえんでやすか?」
練技"ワイドウィング"ですね。翼を生やして移動力10で飛べます。重ねがけすれば20、30と増えてそれが限界ですね。
しかしこれで生える翼は大鷹のような翼なので羽毛でしょうし、持続時間3分なので微妙なところです。
戦闘特技《練体の極意》があれば持続時間は倍になって6分になりますが、それにしても消耗が激しそうですね。
とにかくセラフィナは《白峰領》と周辺の領に使いを出して情報を集め、《皇城領》で対策会議を開くつもりです。
ぞんざいズはできればすぐにでも《白峰領》に向かいたいのですが、少しだけ時間を貰ってシフェナを尋問します。
シフェナは装備を外してぐるぐる巻きにして、お見舞いの品々と一緒に応接間に転がしてありました。
ムーテス「じゃあ<アウェイクポーション>を混ぜた水をぶっかっけるかい?」
メッシュ「……ムーテス、それは貴方、確実に今ビジュアル的悪役ですよ」
ジーク「うさぎ耳の美人ルーンフォークに水をぶっかける、邪悪な種族の拷問吏の図だよな」
イスミー「トカゲー!貴様、おいらのシフェナに何しやがるんでやすかー!」
珍しく強気のイスミーですね。実際どうやったかは不明ですがシフェナは意識を取り戻しました。
ニゲラ「さあさあ、洗いざらい吐いてください!そうでないと、脳みそを洗いざらいしちゃうぞっ」
メッシュ「大丈夫怖くありませんよ。実体験済みですからねー」←経験者
シフェナ「いいわ。そうすれば何もかも持っていけるから」
死んでしまえば例え蘇生しても1年分の記憶は失われて秘密は守られる。ある意味完璧な情報の抹消方法ですね。
もっとも何処ぞのヒーロー野郎のように記憶が蘇ってしまうこともある訳なので絶対ではありませんけどね。
エア「ふぅん、意外と根性座ってるかも。だから厄介という話もあるけど」
イスミー「こらぁああっ!そこのさりげなく残酷コンビ!シフェナに変なことしたら、おいらの銃が火を吹くぜー!」
ムーテス「はいはい。キミはエキサイトしてないで、ちゃんと理路整然と彼女に話を聞く役っすよ」
イスミー「へ?」
ジーク「だから、メッシュとニゲラがわざと憎まれ役をしてるんだからな。嘘だけど」
エア「ええ、あの二人はきっと天然」
執事は元からだけど、ニゲラは回を追う毎に面白い役になっていきますね。初期の小動物系の反応が嘘のようです。
イスミーについては昔の仲間だから聞き役としては適任に思えますが、どうもシフェナには思うところがあるようです。
イスミーに動機を尋ねられたら途端にムカッとした表情を浮かべて視線を注いできます。まるで彼を責めているようですね。
イスミー「……きゅん(は〜と)」
エア&ムーテス「きゅんじゃなーい!」
メッシュ「所詮は畜生か」
久し振りに見詰め合えたので空気も読まずにときめいてしまったとか。うさぎは性欲が強いらしいし(こら)。
彼は彼で海賊の島で大失態をやらかしてから駄目ウサギの役に徹するようになってきましたよね。多分ロールプレイ。
彼女にイスミーが悪かったのだろうと指摘すると無言で頷き、今まで溜め込んできたものをぶちまけていきます。
シフェナ「だって……イスミーが、セドリナさんや私のことまで、全て見捨てて逃げたから!」
イスミー「違う、違うんでやすよシフェナ!見捨てたんじゃねえんでやすー!」
そうして一人で取り残されている所を助けてくれたのがアレンだったというわけですね。
でもイスミーに見捨てられたという思いと仲間達の死を忘れられず、彼に協力することで今まで自分を保ってきたと。
イスミーだって決して彼女を裏切った訳ではないんですけどね。何というかお互い境遇に翻弄されっぱなしだったんですよね。
ムーテス「……何か、イスミーの環境は僕の過去に重なるところがあるから、共感しはじめたっすよ」
メッシュ「確かに、ろくでもない仲間に振り回される人生」
ムーテス「そう、そうなんだよ、イスミーはそんなつもりじゃなかったんっすよね!しょうがなかったんだよ!」
イスミー「ムーテスの大将!」
思えばムーテスも仲間と別れてから見つけた魔動核によってミラとの仲がこじれて大変な事になりましたね。
イスミーだって〔第六感〕で命拾いしただけで、気付いたら手遅れになっていたという悲劇的状況でした。
別に悪気はなかったんでしょうけど、それでも誰かを傷つけてしまったという意味ではよく似ているのかも。
メッシュ「つまり、ダメ同士じゃないですか」
シフェナ「つまり、どうなっているかも確かめずに見捨てたのよ!」
ジーク「うん、見捨てた。それで?」
ニゲラ「ひどいうさぎですぅ、それでそれで?」
メッシュ「まあ、うさぎだから仕方がないんですよ。可哀想ですね、貴女」
イスミー「きぃいー!」
そして昔の仲間と今の仲間から見事にフルボッコです。どっちかというとシフェナの方に同情が集まっています。
イスミーにだって同情の余地はあるはずなんですけど、ダメダメダメっぷりがどうも彼を責めやすくしています。
シフェナ「アレン様は、私を蘇生させてくれたの」
やっぱり彼女も死んでいたんですね。ところがセドリナさんとウィンプさんの遺体は発見が遅れて蘇生できなかったと。
当然その時に記憶も飛んでいるのですが、状況証拠から何があったかは大体察しはつきました。
アレンから自分のバイクを持ったイスミーらしきタビットとすれ違ったという話も聞いたそうですし。
イスミー「ちがうんでやすー!シフェナ、話し合いやしょう!
じっくり、たっぷり、一ヶ月くらいかけて誤解を解かせて下せぇ!」
ニゲラ「酷いウサギですねー」
シフェナ「そうなのよっ!」
何だかイスミーよりも同情してくれるニゲラの方に心を開きつつありますね。
長い間溜め続けたものを素直に受け止めてくれますからね。イスミーは自己弁護にまわりがちなのが裏目に出ています。
アレンは高レベルの操霊術師であると同時に神官であり、神の力を復活させる為に旅をしていました。
シフェナには神様のことはよく分かりませんでしたが、命の恩人である彼に仕えることにしました。
主人と仲間を失ったルーンフォークの身としては誰かに仕えていた方が心が休まったのでしょう。
その後のシフェナの行動は今までの推測通りです。仲間から穢れを取り除く剣の話を聞いて彼に協力しました。
剣は彼がある用途に使用するために必要としていましたが、用済みになった後はシフェナに譲ってくれる約束でした。
つまり彼女はアレンに騙されていたりするわけではなく、お互いのメリットになるビジネスライクな主従関係だったと。
よってアレンを糾弾する形で彼女を説得することは不可能です。何しろ彼女は全て承知の上だったのですから。
イスミーが彼女の心を取り戻すにはもっと別のアプローチが必要になりますが、果たしてウサギに何処までできるのか。
取り合えず見捨てたわけではないということを改めて説明します。
イスミー「罠があるってことを、察知したときには、もうみんなが罠にかかってて、
遺跡が崩れ始めちまってて……一網打尽だったんでやす」
エア「ふむ。あえて検事的な聞き方をするのであれば。
イスミー……貴方は、罠は事前に気付いていたのではありませんか?」
一同(爆笑)
イスミー「ちっ!ちがいやす!」
何故か始まる裁判の小芝居。検察官のエア女史は被告(イスミー)の過失を指摘しようとしています。
この場合罠の存在を故意に伝えなかったという方向に話を持っていき、事故の責任を追及するつもりですね。
エア「本当にそうではないと言い切れるのですか、イスミー!」
メッシュ「異議あり!誘導尋問です!」←弁護士です
エア「ふ……弁護人の主張を認めます」
この弁護士は頼れるんだかそうでないんだか微妙です。この場合シフェナは裁判官になるんでしょうか。
イスミー「おいらは、できるかぎりの手段をとろうとはしたんでやす。けど!」
エア「そこで保身に動いてしまったのですね?(眼鏡クイッ)」
イスミー「う(硬直)」
ニゲラ「イスミーくん、そこで止まったらだめぇ!」
イスミー「あ、いや、その……極論を言ってしまえば、それに近いんで……」
ジーク「おい、イスミー、それ認めたらダメだろ。裁判官の心証よくないぞ!」
シフェナ「やっぱり……」
見事に検事の術中に嵌って自ら不利な証言をする被告。涙をボタボタと流すシフェナ。ダメなパターンの見本ですね。
イスミー「あわわわ(狼狽)いや、おいらは助けようとしたのは間違いなくて……」
エア「……裁判官、以上です(一礼)」
一同(大爆笑)
ムーテス「……有罪だよね、この流れは」
何でそこで認めてしまったんだこのうさぎ。検事も弁護士もフォローしようがない方向にアクセルベタ踏みです。
裁判官はギリギリと凄い表情で被告を睨んでいますし、事態は悪化する一方。これはもう説得どころの話ではない。
ところがそんな彼女を救ったのはニゲラの一言でした。
ニゲラ「シフェナさん、かわいそう……」
すると彼女の顔がふっと緩みます。信頼していた仲間に見捨てられ、主を失い、今は囚われの身です。
難しい話は抜きに、彼女に必要だったのはイスミーの過失云々ではなく、同情だったのかもしれません。
思えば今までイスミーは自分を弁護するばかりで彼女の立場になって悲しんだり労わったりしてあげなかった。
本当なら誰よりも彼にこそ相応しい役割である筈なのに、何故かニゲラに持っていかれてしまっています。
まぁイスミーはイスミーでいっぱいいっぱいだったのは本当なんですけどね。
ニゲラ「ちょっとイラッとするのは、わかりますけどぉ」
ジーク「そうやって、イスミーを恨むくらいには、あいつを信用してたんだよな。お前」
シフェナ「……そうね。きっと助けに来てくれると、期待してた
くらいには信用して懐いてたと思う。ちょっとイラッとしたけど」
この展開をニゲラは男女の喧嘩の分かりやすいすれ違いなのだと解説していました。
イスミーは理詰めで過去の状況を説明していますけど、感情的になっているシフェナが欲しいのは同情です。
理屈に合わなくてもいい、男の方から謝ってもう期待は裏切らないと口説かないとこじれる一方です。
客観的に正しいかどうかなんてどうでもよくなっているんですよね。自分の主観を共有して欲しいんですね。
イスミー「じゃ、じゃあ初めて心から謝りやすよ、シフェナ!」
一同「初めてかよっ!」
メッシュ「仲間に入ってから、かなり平謝りの印象なんですけどねえ。
……っていうか、貴方もよく付き合ってましたね、シフェナ、これと。苦労したでしょう」
シフェナ「そうなのよっ!すごく、すごく大変だったの!
気は利かないし、謝っても心がないし!言い訳ばっかりするし!でも、信用してたのにー!」
心のタガが外れたのかわっと泣き伏せてしまうシフェナでした。いよいよ哀れになってきました。
同情してあげるだけでなく、頑張っている自分を認めてくれる人にようやく出会えたのが効いたらしい。
これでイスミーは同情だけでなく謝罪からの肯定というアプローチまで失ったことになるんですけどね。
イスミー「あ、当たり障りなくシフェナを慰めたいのに……」
エア「当たり障りなくっていうそのあたりが、すでにダメでしょう」
ニゲラ「ちなみに、男が当たり障りなくって思ってることって、女性にはかっちーんと来ることが多いのですよねえ」
エア「女は見透かすものねえ」
ジーク「……お、覚えておきます」
結局女性の気持ちを理解できるのは女性だったということで、男性陣がちょっとヒヤッとさせられました。
折角用意されていたシフェナとの和解フラグを次々にへし折ったイスミーは半泣きで、中の人は大爆笑だったとか(笑)
イスミーいじめはもういいとして、改めてシフェナにアレンの目的を問いただします。ジャガスラを何に使うのか。
シフェナ「……あの剣には、あの方の穢れがすべて入っているのよ」
イスミー「へ?誰の?アーメス的な?」
シフェナ「アレン様のよ」
穢れ持ちですがナイトメアというわけではなく、シフェナにもよく分からない存在らしい。
逆に言えばルーンフォークに分からない存在ということで神か妖精になるのですが、この場合神っぽいですね。
メッシュ「なぁんだ、ただの神か」
ムーテス「もしかして……アレンって男。もしかして、穢れを取られた神なんじゃないっすか?」
神を理解できないシフェナが精一杯推測したところ、アレンはアーメスの分体であるようです。
丁度ルーフェリアからリアやルーちゃんが生まれたように、アレンはアーメスから生まれたと。
元々彼はアーメスの力を存分に振るえたのですが、穢れを失うことで神の力を振るえなくなったとか。
言わば分体とは神の力の扉にさす鍵のようなもので、穢れとは魂の瑕のようなもの。
瑕が無くなって鍵の形が変わって鍵が合わなくなって、そのせいで神の力を振るうことができなくなった。
これによってアレンは普通の神官レベルにまで落ちてしまい、生来の穢れをジャガスラから取り戻そうとしてるのです。
セラフィナがあの剣では神は殺せないと言っていたのはその通りですが、特殊な条件で神の力を奪う魔剣だったんですね。
ところが同席していたセラフィナは眉間に皺を寄せていました。
セラフィナ「今の話だが、すこし引っかかることが」
メッシュ「うさぎが本気謝罪を最後までしなかったことでしょうか」
イスミー「蒸し返さないでくだせえ!あとでゆっくりと土下座する予定なんでさあ!」
セラフィナ「いや、そのタビットのパーソナリティは知らぬことゆえ、不問だ」
彼女が気になっているのはジャガスラに奪われた穢れです。実は現在のジャガスラには穢れは入っていない。
研究段階で既に穢れが入っていなくて、そのせいで正体を掴むまで時間がかかったという経緯がありました。
ということはアレンは無駄な努力をしていることになるのですが、彼の穢れはどこにいってしまったんでしょうね。
★英雄史跡の謎
アレンの穢れの行方にはパジャリガーが関わっている可能性が高いので、ミスティン姫に尋ねてみることにしました。
ジーク「姉ちゃん姉ちゃん。……じゃなかった、えっとミスティン姫」
ミスティン「まあ、ジークハルト。どうしたのですか?」
ジーク「パジャリガーって、一体何をしたんだ?」
ニゲラ「うわ、直球」
パジャリガーの史跡については散々調べたので正直駄目元でしたが、ミスティン姫には一つ心当たりがありました。
それは七つの史跡に対する疑問から来ています。
ミスティン「ここは、パジャリガーの生誕と終焉の地と呼ばれています。なのに……お墓がないのです」
イスミー「ということは、パジャリガーはまだ生きている!」
メッシュ「ふはははは、我を呼んだか!今目覚める、真の英雄パワー!」
ジーク「メッシュうるさい」
メッシュ「……はい。大人しくします」
彼の没家は2つありますが、片方は蘇生を受け入れて蘇った時のものです。
そしてもう片方でも蘇生を行い、穢れがたまり過ぎてアンデッド化したと言われています。
しかしたった二度の蘇生で5点もの穢れがたまってアンデッド化するのは不自然なのです。
まぁ蘇生まで時間をかけ過ぎると余分に穢れがたまったりしますが、この場合はすぐに蘇生したのでしょう。
彼は一体何処でそこまでの穢れを得ていたのか、また何故そんな状態で蘇生させようとしたのか。
ニゲラ「真面目に考えるとぉ、本物のパジャリガーさんが、穢れを持っていったってこと……?」
ムーテス「……そういえば、あほな噂の一つに、パジャリガーは
自分でスラッシュで指を切って死にかけたって話があったよ……
剣だから、斬ったって伝わってるのかもしれないけど、実際は叩いてたのかもしれない」
イスミー「そんな冗談みたいな話が!」
メッシュ「みんな!物事を全部ギャグのように考えるのはよくないぞ!」
イスミー「旦那がいいやすか」
つまり本物のパジャリガーは自分にアレンから奪った穢れを移したかもしれないわけですね。
剣にためているだけだと死後誰の手に渡るか分からない。それならいっそ自分が全て引き受けたとしたら。
穢れを忌み嫌うライフォスの神官がそんなことをするなんて、それはそれで英雄的決断かもしれません。
ジーク「つまり、どこかでもう一つ同じ顔が歩いてるかもしれないんだな?生身で」
メッシュ「まあ、生身というか……半腐りかもしれないんですが」
イスミー「しかも、15レベル以上あるかもしれやせん」
一同「無理!」
メッシュ「パジャリガーがハイレブナントになってるかもしれないっていうだけで、逢いたくありません」
蘇生した時に穢れがたまり過ぎて発生するアンデッドがレブナントで、ハイレブナントはその上位種です。
レブナントは1レベル以上、ハイレブナントは8レベル以上のアンデッドです。
レブナントは生前のレベルが6以下の場合に発生し、記憶は失われるか歪むかしています。
ハイレブナントは生前のレベルが7以上の場合に発生し、生前の知識や記憶を残しているものです。
どちらも最低レベルの点数(1点か8点)だけ《再生》し、能力は《生前による》ため個体差はとても大きい。
具体的にはレベルは生前のものに+1するので、パジャリガーの場合は16レベルにもなりますね。
しかもハイレブナントの場合戦闘特技に加えて魔法まで使えます。神聖魔法も特に禁止されていません。
よって《バトルマスター》持ちの高レベル神官戦士になるわけで、できれば戦いたくない相手ですね。
それとアレンのことですが、現在何処にいるのかをシフェナに聞き忘れていたのでもう一度会いにいきます。
ところが部屋に行ってみると彼女はハツとしたように振り返り、「まずい」といった表情を浮かべます。
ジーク「もしかして、スパイと連絡か!?」
シフェナ「アレン様の行方が知りたいのなら……すでに、ここにおいでよ!」
すると積み上げられたお見舞いの品の山がガタガタっと動いて何か出てきます。
ニゲラ「一応、お見舞いの品の群れとシフェナさんの間に入るようにはしますぅ。何かあったら、寝覚め悪いしー」
シフェナ「アレンさま!アレンさま!貴方さまの力の源は、すでにかの剣にはありません!
どこかにすでに抜き取られています!迷宮から発掘された時からなかったということです!」
お見舞いの品の中から出てきたのはぬいぐるみでした。優雅に立ち上がって紳士の礼をするジェントルっぷりです。
彼が操霊術師だという情報は出ていましたもんね。"リモート・ドール"をかけた人形を紛れ込ませていたのです。
ジーク「何だ、コイツ!ちょっとしおらしいと思ったら、生情報収拾機なのか!」
シフェナ「たとえ逃れられずに、処刑されても、アレンさまが再び蘇生させてくださると、約束をしたの」
それをやるとまた記憶が飛びますけどね。一度目に蘇生されてしばらくしたらまた記憶が途切れると。
でもそれでイスミーの情けない所も全部忘れられますね。まぁまた同じことを繰り返しそうな気もしますが。
むしろ今の彼女の好感度はニゲラの方が高いです。
シフェナ「……話を聞いてくれてありがとう。とても、嬉しかった」
イスミー「うわぁーん、本当ならあのポジションはおいらだったのにー!」
エア「関係修復できてればねー」
さっきも彼女を庇おうとしたのはイスミーではなくニゲラだったし。見事に取られちゃいましたね。
ニゲラ「むかついたので、ぬいぐるみを鷲づかみですー!むぎゅー!」
ジーク「やーい、ばーかばーか。ないもの探して誘拐までしやがった、大間抜けー」
エア「うわ、挑発した!しかも、言っちゃうし!」
ニゲラ「ジークさん、もっと言ってやってー!」
本当ならこの状態でも会話は可能ですが、喋れないとしてペンを持たせてあげます。
するとノートの1ページをまるまる使って「コロス」とか書いて接続を切りました。
ここでシフェナから"宥和神"アーメスがどういった経緯で誕生したのかを聞きます。
概要は海賊の島で確認した通りですけど、アーメスがインキュバスの青年であったことまで明らかになります。
やたらインキュバスやサキュバスの仲間が多いと思ったらそういうことですか。アレンの皮膜の翼もインキュバスのもの。
正体が分からなかったのは彼がインキュバスそのものではなく、神になったアーメスの分体という特殊な存在だから。
エア「アーメスが、神になったからといって、必ずしもアーメスの精神を
絶対に維持できているかといえば、また別の問題だけどね。今の信者によって、神格が決定される」
だからアーメスが雑多なコミュニティをまとめようとしていた時の教義を受け継いでいるとは限りません。
既に信者によって別の形に変わっている可能性はあります。散々ルーフェリアでも問題になってきたことですが。
ちなみにアレンはアーメスが神の階梯を昇った時の名残であり、アーメスのパーソナリティと同じかは不明です。
神にならなかった一部の肥大化した個性かもしれないし、純粋に蛮族らしい性格かもしれない。ピッコロ大魔王みたいな。
リアとルーちゃんもルーフェリアの幼心や好奇心から生まれただけで、ルーフェリア本人とは別の人格でしたもんね。
そのアレンが現在どこにいるかはシフェナも知りません。捕まった時に備えてあえて聞かなかったのです。
ここでぞんざいズは今後に関わる大きな選択肢を提示されています。《白峰領》に行くか、アレンの穢れを抑えるか。
こっちにはジャガスラがあるのでアレンが穢れを取り戻しても元に戻せないのではないかという意見もありました。
しかし毎度のことながら意外と鋭いニゲラが別の可能性を提示します。
ニゲラ「その場合は別の手段を講じてしまうと思いますぅ。あのね。……こーいうの、くっつけて(おでこに丸を描く)」
エア「あ!<呼応石もどき>!」
例の肉体と魂を分離させる機械は2つありましたね。片方が既に敵の手に落ちていると話は違ってきます。
アレンの魂を肉体と分離し、穢れが宿ったパジャリガーの遺体と結合してしまえば元に戻るかもしれません。
ニゲラのこの推測はほとんど当たっていました。ラスボスの姿すらある程度予想しているという鋭さは流石です。
そうなるとやはり穢れをこちらで抑えておきたいので一日だけ集中して調べてみることにします。
既にアンデッドとして蘇ったパジャリガーは倒されているらしいので、それが本当なら彼の墓を探すことになります。
もしそれが誤りならハイレブナントと化した彼がどこにいるかを探すことになりますが。
★英雄の眠りを守る
パジャリガーの行方を求めるぞんざいズは以前の事件で亡くなったカイトさんの家を調べることにします。
この時のムーテスは防弾加工を回復してもらう為に、自前の<ミスリルプレート>を修理に出しています。
その代わりセラフィナから近衛仕様の<ミスリルプレート>を貸してもらい、虎の威を借りられると喜んでいました。
ちなみに再加工にかかる日数は防弾1回分につき1日です。最初に6回分加工してもらう際は1週間とかかかりましたけどね。
カイトさんの家での《探索判定》の目標値は20と厳しかったものの、メッシュは丁度で成功させます。
そうして見つけたのは本物のパジャリガーの記録でした。カイトさん自身は旅に出ていなかったようですが。
今回のカラー挿絵には武装してパジャリガーと一緒に旅をしていると思われるカイトさんの姿がありますけど。
多分常時一緒に行動していたわけではなく、たまに同行していたとかそういう事情ではないかと思います。
そういった記録の中に興味深い記述を発見しました。
「パジャリガーがアンデッドとなる。アナトラたちの協力を得て、何とか再び眠りにつかせる」
「このまま親友の遺体を放置しておくことは出来ない。清浄な地にて安らかな眠りについてくれるよう、出来る限りのことを」
『逃げろ逃げろパジャリガー、その背に祈りを捧げよう』
なんと新しい歌を見つけてしまいました。本当にそういう仕掛けが好きだったんですねカイトさん。
謎の解き方は既に把握していましたね。今回は「生家2」の祈りを捧げる像と、「没家1」の走る像に注目します。
地図を見返すと微妙に像の向きが交差しないのですが、走る像については「その背に」なので逆向きに延長するのかも。
それなら地図のずっと南の方で交わりそうですね。果樹園を越えたずっと向こう、例の遺跡があった森とは逆方向ですね。
実は今回はわざわざこれを解かなくても行き先が分かるようになっていまして、ライフォス神殿を訪ねればよかったりする。
神官「あれー?やあやあ。一年ほど前に一度来た人たちだよねえ。
うわあ、装備も一新され、あの頃より見違えるくらいに逞しくなって……ちょっと近寄るのが怖いくらいだよ」
懐かしいですね、以前パジャリガーの話をしてくれた神官さんです。あの頃と比べると確かにぞんざいズは強くなりましたね。
あの頃でも6〜7レベルはありましたけど、今やレベル二桁ですもんね。下手したらこの人には実力を見抜けないかも。
何しろジークの実力を見抜こうとしたら11レベル+3で目標値14。そこそこセージかライダーがないと見抜けない。
ムーテス「あの頃の僕は五ガメルに悶絶する小物だった。今でも現金は大事だけどね。
けれど今!素晴らしい後ろ盾も手に入れたんだよ!(どーんと胸を張って近衛の紋章を指す)」
ジーク「借り物だけどなー」
ムーテス「しーっ、しーっ」
神官「い、いやぁ、あの頃から只者じゃないとは思っていたけど、この目に狂いはなかったということだね!」
田舎の神官に近衛の紋章は権威があり過ぎたのか、ミスリルの輝きに目が眩んだかのようにぽわわーんとしました。
ムーテス「僕達は今、特殊な任務を受けてパジャリガーの伝説について再検証しているんだけどね」
神官「おお、素晴らしい!出来るだけの協力をいたしますよ!(揉み手)」
エア「素晴らしいわ。権力の犬ね、ムーテス」
ムーテス「いや、そんな褒められても恥ずかしいよ」
メッシュ「竜なのに犬とはこれ如何に」
ここでパジャリガーの墓や清浄な地について聞いてみると、彼もそれについては気になっていたようです。
アンデッドになってしまったという事情があったから公に墓を作らなかったと思っていたようですけどね。
具体的な墓の場所こそ知らないものの、彼らこの村のライフォス神官にはある役割があることを教えてくれました。
それはとあるご婦人の家を訪問し、「問題はない」ということを確認するというささやかなものです。
それなりに年配なのですが本人はしっかりしているので介護的なものではなく、本当に異常がないかを確認するだけです。
たまに難しい顔をしたライフォス神官が遠方から来ることもあり、異変があれば《石街領》の神殿まで報告する事になってます。
彼女の家は果樹園の向こう側で例の歌とも一致し、自給自足で畑を営んでいるけどあまり稼いでいるようには見えない。
どうやらもともと財産があって、それを売って悠々自適の老後生活をしているようです。恐らくは元冒険者ですね。
ジーク「ご婦人の名前はなんていうんだ?」
神官「アナさんだよ」
ニゲラ「はぁ!?」
相変わらず鋭いニゲラは気付いたようですね。パジャリガーの奥さんの名前がアナトラさんでしたよね。
さっき見つけたカイトさんの記録の中にも彼女の名前があったし、偽名っぽいですね。バレバレですけどね(笑)
これは訪問する価値ありと判断したぞんざいズは家の場所を聞いて早速向かいます。
ムーテス「じゃあ、ありがとう神官君。何か困ったことがあったら、いつでも言ってくれたまえ」
神官「はい!ありがとうございます!こちらこそ、冠婚葬祭の際はいつでもお呼び付けくださいね!」
GM「みんなと仲良くしたい。権力に近い人とは、特に仲良くしたいライフォス神官君でした」
ジーク「ダメだろ、それ!」
ムーテス「だって、僕も権力大好きなんだよ!愛してると言ってもいい!」
ついこの間まで死刑囚だったのが嘘のようです。皇族の人達ともコネができてきたし、返り咲く日も時間の問題か。
思えば以前はただのラッキーに恵まれた成金に過ぎなかったけど、今回は実力と実績という土台があって磐石かも。
エア「……仮に、このキャンペーンが終わって国の英雄になったとしても、ムーテスにだけは権力を渡しちゃダメだと思ったわ」
ムーテス「え、何で!まっとうな商売にしか使わないっすよ!」
イスミー「まっとうな商売に、権力を使っちゃダメでやしょ」
どっちかというとムーテスは自分が権力を持つよりも、権力者のコネを生かして立ち回る方が良さそうな気はする。
どうも成功した状態で調子に乗ると失敗しそうな印象があるし、あくまでも商人として大物になって欲しいような。
ライフォス神殿で聞いたアナさんの家は果樹園の先、湖の畔にある小さな一軒家でした。
メッシュ「正面からノックします。こんにちはー」
アナ「どなたですか?新聞も、歯磨き粉も、輪ゴムも、うちには必要ありませんよ」
そうして出てきたのは品のいい老婦人でした。姿勢がよくて髪は白くなりかけています。
彼女はメッシュの姿を見ると驚いた様子を見せます。
アナ「……あ、あなた!」
メッシュ「ふふ……久しぶりですね」
イスミー「ひかえおろー、このお方をどなたと心得るー」
アナ「……どこぞのルーンフォーク」
メッシュ&イスミー「まったくその通りです(お辞儀)」
しかしこの反応を見るにメッシュのモデルになった人はよく知っていることは否定できない。
まぁ初対面でいきなり信用しろという方が無理なので警戒しているようですが。
ムーテス「この国の紋章の入った鎧を見てほしいっす。
この鎧を借りられるくらい、僕達はこの国に頼られてるっていうかー」
ジーク「態度L過ぎるぞ、ムーテス」
挿絵を見ると柄尻に竜の頭をあしらった剣の紋章ですね。これがアイヤールの紋章なんでしょうか。
今後も印籠みたいにこの紋章を利用するんだろうな。挿絵のくしゃみをするセラフィナが可愛いです。
彼女は警戒するものの、パジャリガーの墓について尋ねると中に入れて話してくれました。
アナ「私のつれあいは、湖の向こう側。隠された祠に眠っているよ。
もう、ずいぶん、長い間静かにしている。カイトも思いがけず早く逝ってしまった。
私が寿命を迎えたら忘れられる、それでいいと思ったんだけどねえ」
ジーク「やっぱり、パジャリガーの奥さんなんだな」
アナトラ「そう。アナトラというのですよ。昔は、うちの人と一緒に冒険をしたものでね」
ジーク「おばさん、もっと偽名のセンスは磨いたほうがいいぞ」
アナトラ「おだまり小僧」
彼女にアレンが穢れを探していることを伝えると全てを話してくれました。大体は推測通りですがね。
パジャリガーはアレンから奪った穢れを自分に移して、アレンが再び力を使うことを防いだのです。
命までは奪わなかったのは、穢れが失われれば信仰の違いだからまだ見捨てておけるという判断でした。
アナトラ「彼は、その穢れを誰にも押し付けたくはなかったの。穢れ嫌いのライフォス神官の癖に。……バカでしょう?」
ジーク「バカだな。そこら辺の猫にでも押し付けておけばよかったのに」
エア「いや、それはむしろ怖いでしょ!」
メッシュ「ぐにょぐにょと、おかしなネームドモンスターにでもなりそうでございますな」
彼はライフォス神官らしく穢れを嫌っていて、操霊術師であるアナトラさんと喧嘩することもありました。
喧嘩しては仲直りを繰り返し、穢れのせいで目の色が変わってもそれを隠してあちこち飛び回っていました。
ムーテス「間抜けなわらべ歌が伝わってるのに、いい人っぽいっすよ」
イスミー「メッシュの旦那の元ネタでやすのにねえ」
メッシュ「はっはっは、そこの獣たち、あとで家の裏にきたまえ」
蘇生については1回目はアナトラさんがやりました。インキュバスの穢れは3点らしいので1回はセーフです。
しかし2回目は事情を知らない操霊術師が勝手に蘇らせてしまい、それを受け入れた彼はアンデッド化したとか。
パジャリガーも自分にためこまれている穢れの量は知っていただろうに、何故蘇生に同意したのかは謎ですが。
自分が引き受けた穢れを放っておけないのは分かりますけど、アンデッド化してまでというのは気になりますね。
その後パジャリガーの遺体は彼女とカイトさんが清浄な墓に葬りました。普通の死体なら火葬なり土葬なりで十分。
そうすれば穢れも清められるようですが、神の分体となるとどうなるか分からなかったので普通の埋葬は躊躇われました。
そしてアナトラさんは彼の墓を守ることに余生を費やしていたと。何かあれば神殿に伝えるためにね。
アナトラ「それが、わたしにできる夫への最後の献身だから」
よってその墓地に行けば遺体と穢れは手に入ります。"プリザーベイション"はかけてあるので腐敗もしていない。
墓にはカイトさんが用意した仕掛けがあって、コマンドワードとか罠とか守護者とか色々あるようですが。
それにしても相手に<呼応石>もどきがある限り遺体は操られる可能性があるし、それを知るアナトラさんだって危険です。
ここで一度セラフィナに連絡を取っておきます。
ジーク「アナさんの身辺警護を早急に。あとは、こっちがアレンの穢れを確保してもいいかを確認する」
ムーテス「了解。(一瞬声のトーンが跳ね上がり)あ!女帝さまっすか?お忙しいところ、誠に申し訳ありません、
ご機嫌麗しくいらっしゃいますか?ちょっとお願いしたいことがございましてっすねー(へこへこ)」
ニゲラ「すごい勢いでムーテスさんの尻尾が左右に揺れてますー」
エア「アレが、国家権力に尻尾を振るの図よ。爬虫類の癖に権力の犬」
セラフィナ「ああ、そなたか。守備はいかがか。こちらは少々厄介ごとが持ち上がり、機嫌は上々とはいえぬな」
離宮に連絡が入たのですが、《青嵐領》にあるルーンフォークの集落が全滅するという事件があったのです。
メッシュやセカンドの生まれ故郷。パジャリガー所縁の地ですが、アレンが無差別に穢れを求めているのでしょう。
このままだとアナトラさんだっていつ襲われるか分からない。こうなれば一刻も早く穢れを抑えておきたいところです。
そこでぞんざいズはアナトラさんと一緒にパジャリガーの墓に行って穢れを先に入手してしまうことにします。
ちなみに彼女はコンジャラー11です。他にも色々嗜んでいます。能力値的には肉体的なものは少し低い。
ムーテス「よし、一緒に行こう!貴方の身は僕達が守る、パジャリガーの名にかけて、ずっと《かばう》よ!」
イスミー「ずっと《タンデム》しやすよ!」
メッシュ「貴方がたのわかりやすさには、心が洗われますね」
アナトラ「じゃあ。よろしく頼むわね。扉のコマンドワードも知っているから、ある程度は役に立つはずですよ」
彼女は操霊魔法で墓に色々な守護者を作っていたようですが、彼女と一緒ならそれは避けられます。
出かける前には自分の"スケープ・ドール"も忘れない。これは10レベルの操霊魔法で自分の身代わり人形を用意できます。
これがある限りHPかMPにダメージを受けた時にそれを肩代わりさせられます。ただし1回で人形は壊れますが。
他にも"カース・ドール"とかにも人形がいるので、腰に小さな人形をいくつもぶらさげたシュールな姿ですね。
★墓所の守護者×2
アナトラさんを仲間に加えたぞんざいズは湖の反対側の湿地帯へ向かいました。湿地帯だけにカエルの姿をよく見かけますが。
ムーテス「カエル怖いよ!何とか使い魔じゃないかどうか見破る方法はない?」
GM「ソーサラーなら一目でわかる」
ムーテス「……また、ピンポイントな弱点を!」
もし敵方の使い魔だったら墓の場所まで案内してしまうことになるので気が休まりません。
せめてもの対策として、カエルを見かける度にジークは手を振り、メッシュは「わかっていますよふふふ……」と不適に笑う(笑)
やがて小さな丘陵につきます。ここは地面が乾いていて、くぼみには鉄の扉が隠されていました。
メッシュ「こんなじめじめしたところに葬るなんて、生前に何か恨みでも?」
アナトラ「思い出のデートスポットなの!亭主のお気に入りだったのっ」
だとするとパジャリガーの趣味が分からなくなってくる。近くに綺麗な湖とかあるのになぜ湿地帯に。
その鉄の扉にはくぼみがいくつもついていて、そのくぼみに合う積み木がいくつも転がっていました。
積み木には文字がついていまして、合言葉の代わりに決められた順番に文字を並べて扉を開閉する仕掛けです。
エア「やだわー。その合言葉が『ぱじゃりがーあいしているわ』とかだったら」
アナトラ「残念。とても似ているけれど『二度と帰ってくるな』よ」
ムーテス「とても愛情の篭ったいいコマンドワードだね」
帰ってきたらまた滅ぼさないといけない。安らかに眠っていて欲しいという願いが込められています。
墓のつくりをある程度知っているアナトラさんがいるお陰で大した危険もなく内部を進んでいきます。
ただしゴーレムのような守護者はともかく、罠の類いはカイトさんが作ったので全ては把握していません。
しかし本来"クリエイト・ゴーレム"は1日程度しかもたないのですが、どうも長時間活動しているようですね。
魔法文明時代などのゴーレムならほぼ無限に活動できたそうですが、現代の操霊術師は短時間動かすのがやっとです。
あるいは当時のように長時間活動させられる遺失魔法をアナトラさんが知っていたりするんでしょうか。
扉には不用意に開けると爆発する<カイトさんの爆弾(仮)>が仕掛けてありましたが、あっさり発見して入手。
幸いまだアレンたちが侵入した形跡はないけど、万が一後を追ってきた時に備えてこの爆弾を入り口に仕掛けておきます。
途中の降り階段は湿気ていて滑りやすくなっていて、エアとイスミーがうっかり滑り落ちてしまいました。
エアはニゲラが受け止めたのですが、イスミーは更にムーテスを巻き込んで転がり、諸共にメッシュに一直線です。
これは無理だとあっさり諦めたメッシュはこれを回避し、獣コンビは転落先のスパイクに突っ込んでようやく止まりました。
幸いムーテスは分厚い防護点のお陰でほぼ無傷。イスミーは怪我をしたけど治してもらったので大事無い。
イスミー「何か乗り物に乗ってねえと落ちつかねぇでやす」
ジーク「ムーテスに乗ってればいいじゃん」
ムーテス「うん。僕のポケットに十ガメル入れてくれれば五分、乗せて歩くよ」
イスミー「……(そっと千ガメル差し出してみる)」
ムーテス(無言で跪いた)
メッシュ「ムーテス、貴方のプライドのなさは、帰ってきてさらに際立っているように感じられるのは気のせいですか」
10ガメルで5分ということは、1000ガメルだと500分。8時間以上にもなりますね。
イスミー自体は小さくて軽いからいいでしょうけど、流石にライダー技能の騎乗状態ではないでしょうね(笑)
さてそうして階段を降りて辿り着いたのは切り立った崖です。突然床がなくなり、底には水がたまっています。
20m先には埠頭のようなでっぱりがあって扉へと続いていて、崖の手前にも左右に小さな扉があります。
ムーテス「しかし……ドワーフさん頑張ったよねえ、この規模の墓って」
メッシュ「趣味の範疇を越えてますな」
ジーク「いや、むしろ趣味だからここまでできたんじゃないか?」
エア「それは一理ある。心血注いで、一世一代のダンジョンを造ったんでしょうね」
それにしても物凄い規模ですけどね。いくらドワーフが穴掘りの達人だからってここまで1人で作れるものなのか。
魔剣の迷宮を利用している様子もないし、本当に自分で穴を掘って扉を設置し、水を張ったりしていたんでしょうね。
ここでイスミーはミニを出してメッシュと"タンダム"して向こう側を調べることにします。
ジーク「あ、念のため、俺に<空飛ぶホウキ>を渡しといてくれ。無くしたら困るしな」
エア「そう。メッシュが、死んだり死んだり、首が落ちて死んだりした時のためにね」
メッシュ「やめてください、不吉な連想の三重天丼」
特に足許の水面が不気味です。水面まで15m程なのですが、風もないのにゆらゆらしているし深さも分からない。
幸い向こうに渡る間は何も出てこず、メッシュは扉の向こう側が水で満たされていることに気付きます。
つまり不用意に開けると水がドバーッと出てきて押し流されると。どうやら湖の下に位置しているようです。
帰ってきたメッシュは左右の扉も調べます。片方には苔むした壁面にレバーがあって、壁面には何かが掘り込まれている。
もう片方には歪な形の円柱形が突き出していて、こっちもやっぱりレバーがある。苔むしているのも同じです。
ムーテス「うわぁあああ(頭抱え)いやだぁ、レバーとか嫌だよ、まだ勝手に発動するほうがいい(悶絶)」
しかもメッシュが毎度御馴染みの1ゾロを《探索判定》で振ってしまい、よく分からなくなりました(笑)
再挑戦は可能ですけど、その場合より多くの時間がかかる。10分を要する判定なので、1段階上がると1時間もかかる。
どうやらリドルのようなものがあったようですが、時間を惜しんでそれ以上の調査を断念してしまいます。
仕方ないので正面の扉を強行突破します。ミニの尻尾に扉の取っ手を括りつけて、鍵を"ノッカー・ボム"です。
イスミー「おいら頑張りやすよ!シフェナに今度こそ男前な報告をしたいでやすからな」
ニゲラ「そういうのは、直接見せないと心には響かないと思うのー。言い訳だけじゃなくてぇ」
イスミー「男には男の言い訳があるんでやす!」
ジーク「格好よくないぞ、主張と言え、主張と!」
そうして鍵を破壊すると当然水圧で扉がバーン!と開きまして、水が下に流れ込んで水面が上がってきます。
水面が上がってくると《危険感知判定》が発生。ぞんざいズは2匹のヒドラが上がってくることに気付きます。
ヒドラは11レベルの動物で、多数の蛇の頭を持つ体長10mほどの怪物です。頭部はそれぞれ自我を持つ。
部位数は平均的なもので胴体、首(コア)×7の八部位。ただし個体差があってより多かったり少なかったりする。
全身が《再生=10点》ですが、《火で痛む》ため炎属性のダメージを受けたラウンドはこれができなくなる。
胴体は自らのHPを使ってHPが0以下になっている《首の復活》が可能です。この際首のHPは1で復活するのが限界。
首は敵1体に《毒のブレス》を吐き、牙の攻撃は《長い首》によって乱戦エリアを無視して10m内の敵を狙えます。
ただし同じ対象には首2本までの《攻撃限界》がある。また《身代わり》になることで胴体に対する攻撃を代わりに受けられる。
これが2体となると部位数は16、軽く20体以上の乱戦エリアになってしまいますね。
アナトラ「あらあら、頑張ったのねえ。カイトったら。
そういえば、昔面白いタマゴを見つけたって言ってたけど、あれかしら」
ニゲラ「育ちすぎぃいい!」
本来20を越える乱戦エリアは形成されないことになっていますが、まぁ今回は敵は2体なので。
高レベル多部位のため、ヒドラは1匹倒すと11レベル×8部位×10点で880点、2匹倒すとなんと1760点。
下手にシナリオを完遂するよりも多くの経験点が貰えるという、ラクシアのはぐれメタル○ライムなのです(笑)
本当なら先手を取って範囲魔法を連発したいところですが、例によってメッシュが《先制判定》で1ゾロ振ります。
メッシュ「安心してください皆さん!わたしが14回殴られればいいだけですよ!」
ムーテス「今日は"リザレクション"唱えられるおばさんがいるからね」
アナトラ「普通、嫌がるもんじゃないかねえ」
メッシュ「では皆さん、また来世ー!」
実際には《攻撃限界》があるので同時に襲い掛かる首は2本のみ。2匹いるので4回攻撃が限界ですね。
それでも2D+15点とかなので何発も食らうと危ないんですけどね。防護点4だと平均18点抜けますし。
1ラウンド目
例によってメッシュが《カウンター》に失敗してMAX27点食らい、いきなり23点とか削られてしまいます。
次の一発は回避しました。残る首は14本ですが、これが2本ずつ7つの対象に分散して襲い掛かります。
ジーク、ニゲラ、ムーテス、イスミー、ミニ(三部位)ですね。イスミーはミニの"騎獣の献身"で生き残ります。
ムーテス「もう、今回僕、どう見ても見せ場だろうに……たくさん《かばう》を宣言できるんだから!(悶絶)」
エア「でも、先制を取れなければ、宣言しようがないわよねー」
ジーク「ごめんな、うちのポンコツが」
メッシュ「ううう……面目ない。先制が取れないだけで、一気に面倒な戦いになりました」
エアはムーテス以外に"キュア・ハート"6倍がけ。ムーテスは軽傷なので自分でお薬を飲めばいい。
アナトラさんは前衛全員に"ファイア・ウェポン"です。これをやっておかないと《再生》されますからね。
こうして始まった戦いは長時間に及ぶものでした。何しろ部位が多い上に首が復活しますしね。
《首の復活》には首のHPの−分も補填して胴体のHPを消費しないといけないので管理も大変そうです。
逆に言えばできる限りオーバーキルを狙うことで胴体のHPの消耗を促すこともできるのです。
ちなみに胴体のHPは素で96点とかですね。<剣のかけら>を入れると三桁は軽く行きますね。
ただ"騎獣の献身"で御主人を庇い続けるミニが大変なことになっていました。
イスミー「エアさーん!ミニの翼がえらいことにー!」
エア「はいはい。了解、まかせて。アナトラさん、次は"プロテクションU"をよろしく」
ジーク「ミニ、いざとなったらそのうさぎ庇わなくていいぞー」←ドラゴン語
ミニ「いやー。さすがにそういうわけにはいかないよぅ、これでもご主人だから」
イスミー「びく、何かすごく不穏な気配でやす」
"プロテクションU"は9レベルの操霊魔法ですね。被ダメージの軽減が3点にもなります。
またアナトラさんはムーテスに11レベル操霊魔法の"ヘイスト"などもかけてくれました。
通常移動+12で全力移動+36にし、手番の終了時に1D6を振って5か6だったらもう1回行動できる。
高レベル操霊術師と一緒に戦うのはこれが初めてですが、魔術師とはまた違った強さがあっていいですね。
ところが何故かムーテスは2回行動できる時に限って1ゾロを振ったりと、微妙に役に立っていなかったり。
やがてヒドラの1匹を倒すとイスミーはミニと離脱し、残る1匹もフルボッコにして倒しました。
★墓所にて遊ぶのは……
ヒドラを倒すと下敷きになっていた橋が浮かんできます。
ジーク「おおー。でも、それを渡るのは怖いからミニ、乗せてくれ」
GM「くすん」
排水された扉の向こうは大きなドーム状になっていました。その中央には5m四方の屋形船のようなものがあります。
水が詰まっていた時にはかなり高い位置で浮いていたようです。これこそがパジャリガーの棺なのですが。
そこには骨っぽいゴーレムとカードゲームをする透けた人物の姿がありました。
パジャリガー「あ、今回はカード二枚チェンジ」
エア「もしかして……ゴースト?アナトラさん、あの人に見覚えは?」
アナトラ「……うちの人でしょうね」
骨っぽいゴーレムはフォーセリアでいうボーンサーバントなんでしょうが、実はラクシアでは未確認魔法生物です。
アンデッドならスケルトンを"クリエイト・アンデッド"で作れるのですが、どうも違うようですしね。
ゴーストは2レベルのアンデッドです。使者の想いがマナと反応して擬似的な魔物になったものです。
半透明の体は《通常武器無効》で、対象1体を《誘惑》することで自由に操ることが可能です。
ただし2レベルというのは一般人がゴーストになったもので、実際はレブナント同様に個体差は大きい。
生前の知識や経験は残っていて技能も使えますし、冒険者レベル0であろう一般人でも2レベルになるぐらいです。
レブナントになった場合以上に高レベルになるかも。未練を果たすと消える点は倒すしかないレブナントと違いますね。
パジャリガーはこちらに気付くとメッシュと同じ顔で振り返り、爽やかに声をかけてきます。
パジャリガー「おお、遅い遅い」
ムーテス「遅いって……」
ジーク「……まちがいないな。やっぱりパジャリガーだ」
パジャリガー「え?ああ、確かにパジャリガーだけど?」
しっかりと鎧を着こんでライフォスの聖印をつけている辺り、普段軽装なメッシュと違ってちょっと目新しいかも。
エア「本物……?ていうか、何かって聞きたいことは山ほどあるわ!(きー)」
ジーク「……いやもー……どーでもいいけど。お前やっぱり面白いわ」
イスミー「微妙にメッシュの旦那のメンタリティに似てやすな」
エア「そりゃ、こっちが本物だもの、コレはバリエーションだから」
どうやら排水されたことで人が来るのは分かっていたからずっと待っていたんだとか。寝直すわけにもいかないし。
パジャリガー「歓迎はしないと」
エア「そのまま、永遠に眠れ!」
ニゲラ「知ってますぅ?何か話したいときには、書き置きという手段もあるんですよぅ?」
パジャリガー「いやー。ここは湿っぽいし、俺は透けてるしで、難しくてね。
それくらいなら根性入れて待っているほうがいいかと思ったんだが」
メッシュ「貴方、賢いのかアホなのかわかりませんね」
ムーテス「この世界、頭のいいバカが多すぎるっす」
彼には既にぞんざいズが来た理由の察しはついているので話は早い。アーメスの穢れが入った遺体はここにある。
屋形船の屋根下に置かれた棺におさめられているようです。どうやらアレンより先に辿り着けたようですね。
パジャリガー「うーん。少々君達はリアクションが薄くて、伝え甲斐がないなあ。
ここに来た以上、君達は宥和神アーメスの分体を倒すことを使命と心得た者達だろう?」
エア「はぁ?神の分体を倒すとか、何言ってんの?神は愛でるものよ!」
メッシュ「そう!神の分体とは倒すものではなく、押し倒すものです!」
エア「コラァアア!(襟首掴んだ)」
パジャリガー「え、あ、そうなのか?……時代は変わったものだなあ」
変わってない、変わってない。変わっているのはこの連中の方だから(笑)
パジャリガー「しかし、小神とはいえ、第二の剣の神だぞ?だめだろ?ライフォスとして」
ジーク「……あのな、パジャリガー。俺は、神を倒したいんじゃないんだ。
俺は神を守りたいんだよ。第一とか第二とかはちょっとしか関係ないんだ」
ニゲラ「男前発言ですー、ひゅーひゅー」
エア(ちょっと、ジーンとしているらしい)
フォーセリアにも"神殺し"という称号はありましたが、倒すのではなく守るというのはちょっといいですね。
強大な力を持つ古代神や大神ではなく、まだ若い小神の、それも分体となると決して無敵という訳でもありません。
だからこそ彼らのような"新米女神の勇者たち"が必要になってくるんですよね。10巻にしてこの発言は感慨深いです。
ジーク「それとな」
パジャリガー「なんだ?」
ジーク「お前頼むから、とっとと成仏しろ」
ニゲラ「うわ、さらに直球過ぎますジークさん、仮にも英雄に!」
ジーク「あのなあ、お前に憧れてるホーリエルって娘がいるんだよ!
その憧れを木っ端微塵に粉砕しないためにもだ!お前の正体知ったら大泣きだぞ!」
パジャリガー「いやしかし、俺は俺なのだ。俺は自分の出来ること、果たしたい役割に懸命になった末に、
英雄と呼ばれるようになったが、その根底を変えることはできんよ。多分」
フォーセリアの頃から言ってきたことですが、勇者とは資質であり、英雄とは結果である。
それなら英雄とはなろうしてなるものではなく、なってしまうものなのかもしれません。良くも悪くも。
ムーテス「でも、金のにおいはする。パジャリガーのいる店とか、絶対に流行る!
パジャリガーのいるアトラクションとか、この墓地改造したら絶対作れるっすよ!知名度あるし!」
エア「ムーテス!あんた、商売人と冒険者の人格、丸々別でしょう!」
パジャリガー「いや、生きている人間達の役に立てるなら構わないが……」
ムーテス「立つ立つ!超立つよ!間違いなく」
本気で商業に流用するかはともかく、彼の望みはアレンが宥和神の力を振るえるようになるのを阻止することです。
それさえ果たせばパジャリガーは今度こそ眠りにつけるし、その後で墓をどうするかは割りと融通は利きそうな気はする。
パジャリガー「宥和神と、その分体の性格は完全に同一というわけではないからな」
エア「……てことは、アレンってやつの性格って、あんまりよくなかった?」
パジャリガー「慎ましく言っても、悪かった」
閉じられたコミュニティの中、ひとつになった者達を見て悦に浸るような性格だったらしい。
同じ神の分体でもリアやルーちゃんとはえらい違いですね。神の代理人としての地位を利用しているというか。
しかし分体であることは確かですし、穢れをどう処理すればいいかも不明です。だからパジャリガーは自分を犠牲にした。
イスミー「普通の穢れとは若干性質が違うんでやすね。普通の穢れっていうより、魂の欠片ってことでやすか」
そして以前ニゲラの推測した通りに遺体を利用すればアレンは力を取り戻し得るようです。
それならばとぞんざいズはパジャリガーの遺体を持っていくことにします。
パジャリガー「君達の思うとおりにしてくれていい。俺の時代には表沙汰にはできなかったが、
これでようやく俺は肩の荷を全て下ろして、休むことができるだろう」
メッシュ「嫁の"リザレクション"を受け入れる気になったと」
パジャリガー「いや、それ完璧に純粋アンデッドになるから、超パス」
今の時点でもアンデッドですけど、心までアンデッド化してしまうという意味だと思います。
ムーテス「ちょっと待って、もう一稼ぎしてみる気はないかい?奥さんの老後のためにも!
うちの商会においでよ、何なら『パジャリガー商会』に名称変更してもいい!」
エア「あほかぁあ!」
パジャリガー「ちょっと心揺れたけど、やめとくわ。今思い出したけど、神官だし。
あ、死体はまた、ここに埋めといてくれ。結構気に入ってるんだ。親友が作ってくれた立派な墓だし」
墓は墓でもインディが挑戦しそうな危険なものですけどね。下手なピラミッドより性質が悪い。
まぁ既に罠の殆どは解除しているし、ヒドラも倒したしで、新たな史跡として観光地に使えるかもしれませんが。
ちなみに彼がレブナントになった時には大変な事件だったそうです。
パジャリガー「ルーンフォーク部隊にガンガン遠くから狙撃されまくったぞ。アナトラの"クリメイション"は痛いんだ」
イスミー「ですよねー。一大戦争っすよ」
ジーク「いい嫁じゃないか」
パジャリガー「うん。俺が退屈嫌いだからって、カードゲーム相手用のゴーレム作ってくれたしな。ありがとう」
15レベルのファイター相手にまともにやってたら大変ですしね。戦闘特技のとり方にもよるでしょうけど。
数を揃えていいのなら<ガン>の集中砲火を浴びせた方が安全かもしれませんね。これなら乱戦エリアも関係ないし。
ここで彼は口調を改めて新時代の勇者達に言葉を送ります。
パジャリガー「俺は、自分の背負った負債を、新しい時代の君たちに課す形になってしまった。
そのことをすまなく思う。そして、ここまで辿り着いてくれたことを、とても嬉しく思う」
ジーク「いいよ。アンタのためじゃなくて、俺達は、俺達がやりたいことを追いかけたらここに辿り着いただけなんだ」
パジャリガー「これでようやく、俺の負ったものを購うことができる。ありがとう」
でも彼の冒険があったからメッシュとセカンドは生まれてきた訳だし、結果的にイスミーはシフェナと再会できた。
こうやって勇者や英雄の果たしたことが新しい世代に受け継がれて、また何かを果たす役に立つんですよね。
ここでぞんざいズはパジャリガーの棺をメッシュの<収納ブレスレット>に入れました。
あと屋形船に絶対解けないリドルを書いたプレートをつけて、棺に至る最後の試練っぽく工作したり(笑)
その間パジャリガーとアナトラさんには二人きりの時間を作ってあげましたが、その隙に遺体の着ていた鎧を剥ぎます。
これは<イスカイアの魔動鎧+1>です。多分回避力と防護点が+1されているとか、そんな感じの装備でしょう。
実は武器はともかく盾や鎧を+1に加工するルールはまだないんですよね。あっても不思議はないとは思いますが。
パジャリガー「ちょっと待て、鎧を剥ぐ気か!」
ムーテス「英雄パジャリガー視点になれば、世界を救うための戦いに必要なんだからしょうがないっすよね!
ここは、我が意思を継ぐ者よ、これを纏いて戦え!くらいのことは言ってくれるべきだろう!?」
GM「うわ、そう説得しにきたか!」
エア「何言ってるのよ!ここは勇者が過去の英雄の遺物を託される重要な場面でしょう!
なんで、死体漁りみたいになってるのよ、台無しじゃないの!」
するとパジャリガーは舌打ちをして渋々譲ってくれました。
パジャリガー「あーしょうがない。俺の跡を継ぐ勇者よ、コレ着て頑張れ」
ニゲラ「ふてくされるなー!」
パジャリガー「だって、墓場まで持っていくって約束したんだよ!」
一同「もう墓場だー!」
約束したって、誰かから貰ったものなんでしょうか。それはそれで何かドラマがあった感じですね。
ジーク「世界救ってやるから、くれ」
エア「ジークは、世界救うために冒険してるわけ?」
ジーク「……いや、むしろ自分探しだな。
自分のやりたいこと、やれることを試してどこまでいけるか知りたいっていうか」
パジャリガー「それは……俺に近いな。その鎧を持っていけ、キミが辿り着きたい風景の果てまで」
格好よく言っていますけど、まだ微妙にすねて足下の小石を蹴ったりしています。やっぱりホーリィには見せられない。
しかし15レベルの英雄ですらこれですからね。大司教とか伯爵もリプレイでは色々アレだし。
ジーク「15レベルと神の間って、凄い隔たりがあるんだな。よし。俺は神を目指そう」
ムーテス「うわー、神宣言出た!」
ジーク「うん。15レベルで止まったらダメだと思ったんだよな」
イスミー「兄貴は言うことがでかいでやすなあ」
フォーセリアには超英雄という10レベルを越えた存在がありましたが、このラクシアでは神にだってなり得るんですよね。
ルーフェリアもそうですがそれはレベルが高いだけでなれるものではない。神や魔剣に導かれて階梯を昇ってなることが多い。
しかしそれだけが神になる方法とは限りません。もしかしたら自力で神の階梯を昇る方法だってあるかもしれません。
パジャリガーはそんなジークの決意を激励して送り出してくれます。
パジャリガー「さあ、もう行き給え。アナトラに会わせてくれたことにも感謝しよう。
キミたちの進む道に、ライフォスの恵みがあらんことを」
これから彼はぞんざいズとアレンの戦いの行く末を見守り、今度こそ昇天するつもりです。
ライフォス信者にとってはアンデッドであり続けるより、きちんと魂の循環に乗りたいものでしょうしね。
そしていつかまたこのラクシアに生まれ変わる日が来るとしたら、穢れのない綺麗な魂でいて欲しいです。
★ぐーんと成長!かもしれない
今回の能力値の成長は以下の通り。
ジーク:敏捷度22→23
エア:生命力27→28
メッシュ:知力21→22
ムーテス:生命力26→27
ニゲラ:生命力21→22
イスミー:知力26→27
今回の成長でジークはいつでもボーナスがブレイクできるように<俊足の指輪>を持ち歩くようになりました。
イスミーの知力は本編と計算が合わなくなってきました。次の巻のシートは腕輪込みで29と解釈すると何とか。
技能の成長ではジークがフェアリーテイマー6→7と伸ばしました。これで"カオスブラスト"も撃てる。
これは"カオスショット"の上位にあたり、威力20で半径5m/20に対して範囲攻撃できます。
思えばソラが抜けてから範囲攻撃魔法が乏しくなりましたしね。使う機会があればいいんですが。
エアはプリースト10→11に成長。習得した戦闘特技は《キャパシティ》です。
MP版の《タフネス》のようなものでして、MP+15点です。これでエアのMPは89点にもなりました。
メッシュ「どんどん気持ち悪いエルフへと進化してますな」
エア「キモくない!バトエルデン様をリスペクトしてるだけよ!オマージュよ!」
こっちはこっちでMP3桁が見えてきましたね。そして種族特徴〔剣の加護/優しき水〕も強化されます。
以前も話しましたが、これは1時間の水浴で6時間の休息と同様にHPとMPが回復するというもの。
以前覚えた"ファンテイン"と組み合わせればどこでも1日1回はMPを全回復させることができる。
ムーテスはファイター9→10と成長しましたが、装備面で不満が残るらしい。
ムーテス「お金が欲しいよ、<インペリアル>着たいよ!」
<インペリアル>はカテゴリ<鎧>のSSランク装備。防護点14と<ミスリルプレート>を3点も上回る。
これがあるとムーテスの防護点は21点にもなりますね。戦闘特技《防具の達人》がないと装備できないけど。
これを覚えるとSSランクを含む全ての防具を装備できる。前提条件は冒険者レベル11以上かつ習熟Uです。
よってムーテスがファイターが11になった時にこの戦闘特技を覚えてお金さえあれば装備できるんですよね。
GM「微妙に報酬甘やかし気味なのに、まだ要求しますか」
ムーテス「それとこれとは別なんだよ!欲に果てはない!お金は要らないから<インペリアル>くれないかな、女帝」
GM「頑張って倒して剥いでください」
ムーテス「うわぁあ、そんな身近なところに!」
エア「身近じゃない!女帝は雲上人!」
あとは大司教なんかも愛用していますね。タンクファイターの終着点のようなものですから。
ちなみにお値段は10万ガメルとかしますね。ドラゴネットと同じぐらいの高級品なのです。
ニゲラはファイター10→11になって戦闘特技《武器の達人》を習得しました。
こちらも前提条件は冒険者レベル11以上かつ習熟Uです。これでSSランクを含む全ての武器を装備できる。
この場合カテゴリ《絡み》以外の武器には習熟のダメージボーナスはつきませんが、それを抜きにしても色々装備できる。
ニゲラ「<スネイクソード>とかこれで使えるんですよー。絡み武器最強の武器!……高いですけど(がくり)」
カテゴリ<絡み>のSSランク装備で、お値段は何と11万6000ガメルという高級品なのです。
威力30にして自由に絡み状態を解除し、かつ抵抗する者には魔法ダメージを与えるという強力なものです。
ニゲラはこの間10万ガメルとか貰ってましたけど、カードの消費でどうしてもお金が貯まらないんですよね。
ニゲラ「だって、ニゲラ今<スネイクソード>料金分以上のカードを持ち歩いてるんですよぅ、気付いたら!十四万ガメル分」
一同(爆笑)
ムーテス「ニゲラ君、頑張ってお互いにお金を貯めようじゃないか」
ついにSSランク装備も視野に入れるようになってきたか。習熟系で成長する戦士の夢ですよね。
エア「これで<ローゼンハーケン>とか使い始めたら、まさしくニゲラ無双よ」
カテゴリ<ウォーハンマー>のSSランク装備ですね。薔薇の棘と花を意匠化した全長1.5mの武器です。
威力39で、ウォーハンマーのくせにクリティカル値8で回ります。お値段は8万7700ガメルですね。
"クリティカルレイ"と組み合わせると1回目は出目6とかで回り、以降も出目8以上で回り続ける撲殺天使っぷりです。
イスミー「そいつぁ……平気で四回転とか見れそうでやすなあ」
ニゲラ「うふう、ぞくぞくしてきましたぁ、まずはお金ですねー」
SSランク装備は強力だけど平気で10万ガメルとかするものが揃ってますしね。やはり銭力こそ戦力です。
★彼方からの報告
パジャリガーの墓でアレンの穢れが入った遺体を手に入れたぞんざいズは《青嵐領》の離宮に戻ってきました。
イスミー「これで、足りないのはシフェナの愛だけでやすよ……」
メッシュ「まあ、それははじめからあったかどうか、今となっては謎となりましたが」
エア「というか、得るチャンスをことごとく逃したというか」
イスミー「ずきーん!えぐえぐ……おいらがペットを飼うのは、嫁がいなくて寂しいからでやすよぅ」
そういう所は"法螺吹き魔術師"っぽいですね。何故か動物と骨ばっかり増えていくという(笑)
エア「あら、オクタンがカメラレンズを曇らせてる」
ジーク「お。ミニが窓枠齧ってこっちみてんぞ」
ムーテス「惨劇の予感だねえ」
イスミー「あぁあああっ、今のは嘘!冗談でやすよー!」
ニゲラ「誰にでもいい顔しようとするウサギは、結局一兎も得ずですよぅ」
女帝にも今までの経緯を報告しておきます。現在壊滅したルーンフォークの集落の対応で大忙しですが。
アーメス教団については《赤砂領》から報告が入っていました。既にアーメスは《赤砂領》で信仰を広げつつあるとか。
信仰的に寛容な領だからある程度広がるのは仕方ないけど、アリオス卿は戦場を縮小して《白峰領》を警戒してくれるとか。
そして肝心の《白峰領》ですが、確かに怪しい宗教が地味に広がっているという噂があると領主から報告がありました。
ニゲラ「その噂、ちゃんと調べてくださぁい!」
エア「もしかしたら、また名前を出さずに広めてるのかもしれないわよ」
メッシュ「○○○が、事件を起こして教祖が逮捕された後に×××として再起した時のように、
別物と言い張ってるかもしれません。何しろ、本来は地元原産ですからな」
GM「書きにくい喩えをしないでください」
ところが領主の娘が行方不明になっていて、なかなか調査にまで手が回らない状態らしい。
どうやら長い間留守にしていた間に色々起きているようだし、今度こそ帰らないといけませんね。
エア「一番早いルートはどうすればいいのかしら(ちらちら)」
ニゲラ「そうですねぇ。一刻も早く向かいたいところですぅ、ニゲラも神官になって初めて
ルーちゃ……いえ、ルー様にお会いしますからぁ(ちらちら)」
ジーク「というわけで女帝、飛空船貸してくれ」
ニゲラ「ちょっと待ったー!」
エア「そこまでストレートに言っちゃダメでしょう!わたし達神官コンビが、
少しずつ遠まわしに譲歩を引き出そうとしてるというのに!」
メッシュ「え、今のモノ欲しそうな視線のほうが露骨でしたよ。
というか、貴方達も女帝を目前にして、相当なもんじゃないですかねえ」
以前のビビリっぷりは何処へやら。すっかり他の皇族と同じくぞんざいな対応になってきました。
あと気付いてみれば姉妹に代わる新ユニット神官コンビが結成されていて、以前より若干絡め手もできるように。
セラフィナ「そう目で訴えるな。言いたいことはわかった。取り計らってやろう。
ミスティンの件も一段落したことを確認できた。
妾も一度《皇城領》に戻って政務につかねばならんのでな」
ムーテス「あ、そりゃそうだ」
セラフィナ「まだ、そなた達が落とした飛空船の修理も終わっておらぬ。
ゆえ、些か手狭であることを了承するのであれば妾と同行して、
《皇城領》から新たな船を出してやるゆえ、使うがよい」
イスミー「ちょっと待った!一つ訂正させてくだせえ!おいら達が落としたんじゃねえ!」
メッシュ「そう、ウサギが操縦失敗していなければ、落ちていなかったのです。つまり単数形でお願いします」
イスミー「しくしくしく……(膝を抱えた)」
あの時はいけるだろうと思っていただけにズッコケましたよね。かといってイスミーが悪いわけでもない。
落としたのはイゴール達でイスミーはその救助に失敗しただけです。そう、失敗しただけなんですよ(フォローしてるのか?)
ジーク「俺達と一緒に乗ると……落ちるぞ?」
セラフィナ「何だそれは。ジンクスか?そのようなことをいちいち気にしていては皇帝職など勤まらんよ。
『皇帝になれば暗殺される』と囁かれるのとなんら変わらぬ」
二度あることは三度ある。では三度あれば四度目もあると言ってしまうと最早マーフィーの法則です。
それでもいつかこの立派な軍船も墜落する時が来るような気がしてならないのはPCの法則というか(笑)
★飛空船内にて
《純白の風》に乗り込んだぞんざいズは女帝やミスティン姫、そしてホーリィと共に空の旅を楽しみました。
ジーク「じゃあ、姉ちゃん達とカードでもするか。パジャリガーの使ってたカードをもらってきたし」
エア「ジークは今日も平常運転ね」
GM「女帝はさすがにしませんよ」
ジーク「なんだ?負けると体裁が悪いからかー?」
セラフィナ「やってやろうではないか!」
エア「かわいいわー女帝(笑)表向きは恐縮して正座してるけど」
ニゲラ「ニゲラはホーリィちゃんときゃっきゃしてますー」
どんだけ皇族と親しんでるんだこの連中。そしてセラフィナは何となくカードゲームとか弱そう。遊びだと顔に出そう。
イスミー「おいら、飛空船を調べまくりやした」
GM「残念ながら国家機密です」
ムーテス「あ、うさぎが吊るされてる。僕と一緒に」
アイヤールのエアフォースワンですからね。きっとこの時代では最高の設備があるんでしょう。
飛行船といえばザルツ地方のルキスラ帝国ですが、ここは空軍に力を入れていることで有名です。
「剣をつぐもの」でも沢山出てきたし、大型船五隻を越える空軍を作る構想もあるといいます。
具体的に今の時代にどの程度の装備が可能なのかは不明ですが、普通のスカイシップよりは強い筈。
ちなみにシフェナは船倉に縛って転がしてあります。色々尋問した後に死刑でしょうが、果たして蘇生の許可は下りるのか。
イスミー「おいら、シフェナが死刑になったら生き返らせるためにお金を貯めやす……」
メッシュ「死刑一回ですめばいいですけどね。真面目な話」
何しろ大罪人、遺体を引き渡してくれるとは限らないし、下手したら蘇生不能な死刑の方法を取られる可能性もあるわけで。
具体的には頭部と脊椎が残っている必要があるので、これらを損傷させる方法だと通常の蘇生はできなくなるでしょうね。
これからぞんざいズは《皇城領》に寄り、それから《白峰領》ゼスの領主の館まで飛行船で行くことになります。
行方不明の領主の娘についてはセラフィナも心配しているところですが、彼女の入れ込みようを見ると一つの推測ができます。
メッシュ「領主の「娘」なんですよね?どこかと、なんら関係や繋がりはないのでしょうか?」
セラフィナ「……少なくとも、なんら関係はない。今のところは。それで察してくれればありがたい」
ニゲラ「あー。つまりは、何かするとー妹になるかもしれないという関係の人なんじゃないかなぁ?」
それについては女帝は渋い顔をして何も答えませんが、ホーリィの例を知っているぞんざいズにはそれだけで十分でした。
ちなみに名前はシルフィーナです。小さい「ィ」が入ってるのでそれっぽい。元ネタは妖精のシルフィード(sylphid)ですかね。
ただし年齢は3歳ととっても幼く、ホーリィよりも更に年少ですね。先代皇帝の崩御が3年前なので最後の御落胤かもしれない。
皇族は5歳までに城を出なければなりませんが、それより早い分にはいつでも構わない。それで《白峰領》の養女になったと。
メッシュ「そして実は男子というのはどうでしょうね」
ジーク「……なんだ、女じゃないのか」
エア「こらぁああ!女以外は価値がないわけ!?」
ジーク「女の子は守る気になるけど、男はなー。むしろ守るんじゃなくて、戦い方を教えるほうだろ」
メッシュ「それこそ、漢気でございますジーク様。そして利用価値もあるでしょう」←このド外道が
有力な男子は潰しあったという情報はありましたが、3歳ならその反省を生かして性別を偽っている可能性もありますね。
もしそうなら"皇族還り"を果たすことでミスティン姫を追い越して皇位継承権第一位になるわけです。
それを恐れる他の皇族の勢力に狙われる可能性もあるわけで、尚更性別を偽っておくのは有意義な手ですね。
これを知ったぞんざいズはシルフィーナの保護を急ぐことにします。何しろ3歳は幼すぎます。
思春期の娘さんが家出とかそんな甘いものじゃありません。それこそ誘拐や事故の可能性だってある。
ジーク「おい女帝、早く降りろ」
エア「うわぁああ!!(鉄拳)アホか!乗せてもらってるのはこっちでしょうが!ここは、誠心誠意お願いするものなの!」
セラフィナ「貴様を上空で蹴飛ばして降ろすぞ」←扱いに慣れてきた
エア「いいから!嘘でもいいから女帝様お願いします連れていってくださいと跪くの!
嘘でもいいから!本音とか、腹の中とか、もうどうでもいいから!
体裁っていうものが大切なこともあるのよ、世の中には!」
メッシュ「アー、ツレテイッテクダサイ、親愛ナル女帝サマー」
心の篭っていない言葉には慣れている女帝はこれも適当にいなしました。不敬罪バンバンな人じゃなくて良かったですね。
メッシュ「そ、それはすいません、親愛なる女帝様」
ジーク「ほら。俺のほうが正直に付き合ってるってことなんだよ」
エア「だからいいってわけじゃないでしょうがー!(机だんだん)」
ムーテス「あ。ちなみに僕は心の底から権力を愛してるから、すごく心がこもってるっすよ。親愛なる女帝様」
エア「それは聞いてないし、わかってる!」
無礼でも本音でぶつかってくれる人がいいのか、礼儀正しいけど目をドルマークにしている人がいいのか。
セラフィナがいい加減可哀想になってきますけど、どちらもある意味正直なので宮中の腹の探りあいよりはマシなのかも。
《皇城領》につくとムーテスは防弾加工済みの鎧を受け取ります。通常1週間のところを特殊な処理で2日で加工したとか。
GM「近衛兵の鎧返してね」
ムーテス「え……僕、この鎧でもいいっすよ。何しろ防弾よりも強力な加工をされてるから。権力という名の」
メッシュ「ムーテス、貴方とことん、竜の皮をかぶった犬ですね」
ムーテス「このアイヤールの紋章なー……自分で彫ったら、100%犯罪なんだよなあ」
一同「あたりまえだー!」
あとはジャガスラでパジャリガーの遺体からアレンの穢れを抜き取りました。
遺体はこの件が片付いた後にアナトラさんに返却するよう手配しておきます。
それとセラフィナから《白峰領》領主ダンフォース宛の紹介状を受け取ります。
セラフィナ「一時期登城していたのでな、妾とも面識がある。昔はよくあやつの白い髭を引っ張って遊んだものよ」
イスミー「ほほう。ドワーフさんだったりするんでやしょうかね」
セラフィナ「では、老によろしくな」
この時セラフィナは一言もダンフォースがドワーフだとは言っていないんですよね。
★《白峰領》領主の館
飛行船を乗り換えたぞんざいズはフーギの街がある山の麓にある領主の館にやってきました。
GM「で……着陸、と」
ムーテス「……着陸、だと(硬直)」
メッシュ「バカな!信じないぞ!こんなことは夢に決まってる!
墜落せず二回も無事に着陸できるなど、あるはずがないんだー!」
すっかりジンクスになっていますね。実は無事に離着陸できたことも何度かあるんですが。
館には既に連絡が入っていたのでメイドさんが出迎えてくれました。館が崩れていたり武器を持ってお出迎えとかはない。
今回はセラフィナの使いということなのでむしろ緊張気味でした。まぁ冒険者丸出しなのでその辺は少し不審そうでしたが。
それでも紹介状があるのですぐに領主のところへ案内してもらえます。
ちなみにこの館自体はあまり広くないが、かなり古いものだということが判定の必要なく分かります。
ただその由来は不明です。何しろパジャリガーがこの領を切り開くまでは蛮族の領地だったりしましたしね。
それ以前は大アイヤール帝国のものだったのか、はたまた人跡未踏の土地だったのかは定かではありません。
恐らくは「大破局」のゴタゴタで記録も失われているでしょうし。丈夫そうなので今も領主の館として利用しているだけ。
応接間に通されると間もなく白い髭のドワーフが姿を見せます。視線は厳しいけど、そんなに威厳があるというわけでもない。
ダンフォース「お前達が、セラフィナ陛下より遣わされてきた調査団か」
どうやらセラフィナからは彼らがぞんざいズであるとは知らされていないらしく、女帝の隠密だと思われているらしい。
現在のぞんざいズは既に名誉点1000点越えですから、「国家レベルの有名人」程度にはなっています。
普通なら名前と顔を広く覚えられていますが、アイヤールやらルーフェリアやらと拠点をコロコロ変えていますからね。
どうやら名前ぐらいは知れ渡っているようですが、顔まで一致しているわけではないという微妙な状態らしい。
ダンフォース「ふむ。何でもお聞きください」
ジーク「で、困ってない?」
ニゲラ「ジークさん、ぶっちゃけすぎぃ!」
メッシュ「まあ、ジーク様はつねに直球ど真ん中のみですから(誇らしげ)」
現在の領主は女帝の命令でミスティン姫の予言に関連しそうな情報を集めているところです。
そして前情報通りに娘が行方不明になっているため、大変困っているのですが流石に口には出し難い様子。
さて、ここでイスミーはダンフォースの実力を《魔物知識判定》で見抜こうとします。
ただそれは相手をジロジロと観察するというわけでして、相手の好感度を下げる可能性がある。
ニゲラ「見たいなら見ればいいんじゃないかなぁ、イスミーくん。そうしたら「こらっ」て言ってあげるから」
イスミー「へい!ありがとうございやす、嬢ちゃん!(ころころ)21!」
その他一同&GM「こらぁ!」
イスミー「うわ、文字通り総つっこみ!」
また非常に達成値は高かったので思惑通りですが、ここはイスミーを悪者にして場を収めます。
ムーテス「なんて視線で見てるんっすか、失礼じゃないか御領主様に!」
ジーク「そうそう、値踏みされるのは俺達のほうなんだぞ、本来」
メッシュ「すいませんねえ、失礼なウサギで(お辞儀)」
イスミー「……くすん。サイコロ振った瞬間に全員が敵に」
達成値21なら相手が15レベルでも見抜けます。領主というのだからどんな実力者なのか。
ところが彼には冒険者技能はない。
イスミー「あれ?」
ジーク「……その代わりモンスターレベルがあります」
一同(爆笑)
エア「それ怖いって!」
それはそれで面白いけど、そっちもない。本当に一般技能しか持たない一般人なのです。
まぁ領主の仕事って本来冒険者技能必須ではないでしょうしね。そういうのは家臣が持ってればいいわけで。
本人は一般技能の貴族(ノーブル)技能や役人(オフィシャル)技能とかあればいいんじゃないかと。
ムーテス「領主って強いもんじゃないでしょ、今まで出会ってきた人たちや女帝が変態なだけで」
GM「変態言うな」
とはいえここは元蛮族領で、現在も蛮族領との境にある領。それなりに武闘派の方が自然ではあります。
《赤砂領》のアリオス卿しかり、《血風領》のフェルディナント伯爵しかり、自ら前線で指揮を取る人達ですしね。
話は戻って娘の件です。ぞんざいズの方からその話題を出すと、彼は背後のメイドに視線で合図を送ります。
メイド「確かに、シルフィーナお嬢様は、行方不明となっておいでです」
ジーク「まだちっこい子だって聞いたんだけど」
メイド「はい、御歳三歳になられました。じーじ、じーじと懐いて、とても御前様とも仲がよく……」
ここで「娘なのにじーじと呼ぶのか」という点をイスミーが聞くとメイドさんは黙ってしまいました。
それは養女として育てているのを公にしたくないのだろうと考えられますね。
逆に言えば「シルフィーナが皇族候補なのをぞんざいズが知っている」ということを知らないのだといえます。
ここでダンフォースが秘書を兼ねているらしいメイドとやり取りし、気になることを口にします。
ダンフォース「予言は宗教がらみということを聞いた。そうなると一番最初に思いつくのは、
新興のルーフェリア神殿。しかも最近、出入りを極端に制限しているというではないか」
エア「……はぁ?(困惑)」
ルーフェリアは来るもの拒まず去るもの拒まずなのに変ですね。ルーちゃんの性格を考えても変です。
何かあったんでしょうけど、今はシルフィーナの捜索を離れることはできない。何だかんだでズルズル帰還が遅延してますね。
その為にも早く捜査を終えないといけません。早速シルフィーナが消えた時の詳しい情報を聞きます。
証言をしてくれたのはそばかすの娘さん。シルフィーナの世話をする保母さんのようなことをしています。
そばかす「お嬢様は、実に活発な方で……木登りや、水遊びなどの、外遊びがお好きな方でした」
メッシュ「そして剣の腕前は、すでに並ぶもののないほどだったと」
ジーク「すげーな。三歳児」
GM「いくらなんでも、それはない」
それは三日前、丁度セラフィナからの連絡があった日のことでした。雨で外に行けないので子供部屋で遊ばせていました。
しばらくは我侭を言って泣いていたそうですが、我慢を覚えさせるのも躾と心を鬼にして一人にしていたそうです。
シルフィーナの子供部屋の扉は重く、三歳児にはそれを開ける力も身長もないため施錠もしていませんでした。
やがて静かになったので泣きつかれて眠ってしまったのかと様子を見に行くと、姿を消していたということです。
ちなみに窓は大人の腰より上にあり、施錠もしていたし濡れた形跡もないので出入りはないと思われます。
何かの隙を見て脱出したのだとしても玄関の扉は更に厳重に閉ざされていて、確実に三歳児には無理です。
この証言を聞く限りシルフィーナにとっては密室でしたが、大人にとっては攫い放題の状況ですね。
更に怪談めいた話をメイドさんがしてくれます。
メイド「時々、小さな泣き声や笑い声が聞こえるのです」
それはキッチンの周辺や書斎等から聞こえてくるらしいので、場所だけ教えてもらいます。
メッシュ「ウサギ!とっとと、マギテック技能を7にしろ!"ライフセンサー"を習得するのです!」
これは7レベルの魔動機術で、<マギスフィア>を生命探知機に変形させて特定範囲を調べられます。
範囲内に生物がいれば位置情報とともに表示され、複数部位のキャラクターも判別可能で絞り込みも可能。
ただしアンデッドや魔法生物は探知できない。抵抗の余地もないので問答無用で隠れたキャラクターを暴きます。
ちなみに効果範囲は"マナサーチ"より広く、(小)で半径30m、(中)で半径50m、(大)で半径100mとなります。
これなら(大)で館をまるごとカバーできそうですね。逆に言えば今だからできるシナリオだとも言える(笑)
今は"マナサーチ"が精一杯なので試してみますと、館全体に魔法がかかっていまして、魔法の標的にならないようでした。
どうやらこの魔力があるからここを領主の館にしたようですね。ある意味飛行船より巨大なマジックアイテムかもしれない。
フォーセリアの頃もこういう館がありましたね。"トンネル"やら"シースルー"やらを防ぐのに役立っていました。
それ以外にも地下にいくつか反応があり、地下20mにぽつんと反応がありました。
確かにワインセラーやら宝物庫やらと地下にも部屋はあるけど、そんなに深いものは領主も知りません。
色々怪しいことが明らかになりつつ、まずはシルフィーナが姿を消した子供部屋から調査を始めます。
★館の秘密
二階の子供部屋に通されたぞんざいズは早速《探索判定》をします。
メッシュ「(ころころ)23で御座います」
ムーテス「これで何も見つからなかったら、メッシュさんは三歳児に負けたってことっすよね」
メッシュ「そんな天才児は見つけ次第消します!」
非常に高い達成値だったので隠し扉を発見します。クローゼットの側面の一部が縦方向にスライドしました。
中には縦方向の空洞があって柱に偽造されていて、地下へと降りていけるように取っ掛かりがありました。
扉は重いので三歳児に開けるのは無理でしょう。何者かが内部から出てきてシルフィーナを連れて行ったのかも。
この時点でぞんざいズは領主に報告します。
ダンフォース「こんな隠し通路があったとは……わかった、対応を協議する。
見つけてくれてありがとう。君達の役割はここまでで充分だと思う」
ニゲラ「は?皇女様候補の捜索しなくていいんですかぁ?」
ダンフォース「え……っ、あ、そ、それは……その」
ジーク「そうだよ。女帝様から任された三歳の預かりっ子だろ?俺達はその安全も託されてここにいるんだ」
ムーテス「……あ。それを言わなければ、依頼が発生したかもしれないのに」
エア「欲は慎め、トカゲ!」
結局権力で押し切る形でシルフィーナの捜索を続行することに同意させ、竪穴を降りていきます。
何の心得もない領主は同行を辞退しますが、後で地図を製作して提出することにします。何だかんだでいい人達です。
元は蛮族が使っていた館ですから、この先には何か変な仕掛けがあるかもしれない。一般人が尻込みするのは仕方ないか。
竪穴を長いこと降りると狭い通路に降り立ちます。普通の人間は屈まなければ進めない高さの通路が前後に延びています。
メッシュが《探索判定》をすると人が屈んで行き交いした痕跡を発見します。それと小さな手形が壁についていました。
メッシュ「手形?……三歳児サイズの鮮血の手形?」
GM「ホラーじゃないですか!」
泥や埃、あとクレヨンか何かでついたものと思われます。やはりシルフィーナはここに来ていたようですね。
ここでメッシュは大声で呼びかけてみます。
メッシュ「シルフィーナたーん!」
一同「その呼びかけはどうかと思う!」
すると館の反対側に延びる通路が一瞬明るくなったので、そちらの方へ進んでみます。
テーブルの下を潜るようなものなので、イスミー以外は中腰にならないと進めません。ムーテスとかつっかえそうですね。
そちらへ進むと広い空間になって、小さな足音が聞こえて、土砂を積み上げた小山の上に隠れる姿を見つけます。
はじめは恐る恐るぞんざズの様子を窺っていましたが、やがて耐え切れなくなったのか甲高い声で悲鳴を上げます。
シルフィーナ「じーじ!じーじーっ!こわいの、きたーっ」
メッシュ「じーじはいませんが、ジーク様ならおいでですよー?」
イスミー「シルフィーナちゃんでやすかぁー?」
ところがここで反対側に延びる通路から呪歌が聞こえてきます。しかも達成値は22と異様に高い。
この呪歌に抵抗できたのはジークとエアのみ。他の人達は抵抗できずに呪歌の影響下に入りました。
ここで使われたのは"ヘッポコーズ"のバスが使っていたのでも御馴染みの"キュアリオスティ"です。
SW2.0ではバード技能5レベル以上で習得できる呪歌で、好奇心を刺激して演奏者の姿を探させる効果がある。
この時は通常移動で引き寄せられますが、制限移動で移動することもできる。演奏者の姿を見れば効果消滅。
ただこの場合シルフィーナには効果ないんですかね。効果範囲はバード技能レベル×10mですが。
達成値の高さを見るに9レベル程度あったら半径90mもあるけど、ギリギリ効果から外れるようにしたのかな。
この狭い通路で抵抗に失敗したら背後の人は押し返されてしまいますね。エアなんて最後尾でしたし。
仕方ないので例の竪穴の所まで後退して抵抗に失敗した人達をやり過ごすことにします。
その失敗した人達ですが、反対側の通路を進むと柱の影に隠れるタビットを目視して効果が消滅します。
体に不釣合いな大きなリュートを演奏し、スカウト技能はないのか頭隠して尻隠さず状態のタビットさんでした。
真っ白で垂れ耳の長毛タビットで、イングリッシュアンゴラ的な風貌のタビットのようですね。
そのタビットは間奏に入ったところで声を張り上げます
タビット「逃げるんじゃー!シルフィ、じーじの言うこときくんじゃー!」
しかし所詮は鈍足のタビット。呪歌の効果が切れてしまえばアッサリとムーテスに捕獲されます。
エアとジークはシルフィーナの方を保護します。ちょっと面食らいましたけどバード技能のみならこんなもんです。
タビット「や、やめるのじゃー!殺すなら先にわしをコロスのじゃー!」
ニゲラ「まあまあまあ。エアさんが来てくれた瞬間、多分恩赦が下りますけどぉ、何者さんですかぁ?」
タビット「我が名はダンフォース!《白峰領》領主。ダンフォース・ゼスじゃー!」
イスミー「……えーと」
ムーテス「確認。ダンフォースって誰だっけ」
ニゲラ「摩擦を得るために地面に押しつける力〜(挙手)」
イスミー「そしたら早く走れるんでさあ」
メッシュ「それはダウンフォース」
目まで毛に隠れた白い長毛のタビットなので、当然髭も白いです。あれれ〜おかしいぞ〜(笑)
エア「え、でも、女帝よりも年上っぽいこと言ってたわよね?」
ダンフォース「陛下をご存知か」
彼は若い頃から楽師として皇宮に出仕していて、セラフィナとはその頃からの付き合いです。
若いのに白い髭を生やしているものだから爺呼ばわりされつつ、よく髭を引っ張られたそうです。
思えばセラフィナはわざと彼の種族を明かさなかったのかもしれませんね。散々無礼を働いたお仕置きで(笑)
ここで彼にセラフィナの紹介状を見せるとすぐに誤解は解けます。
ダンフォース「ついに、助けが訪れたのじゃー!」
イスミー「ええっ!?てことは、上にいるドワーフはどちらさんなんで?」
ダンフォース「そのようなことは、ワシのほうが聞きたいのじゃ。上にいる連中は狼藉者なのじゃー」
ちなみに彼の持つ技能はバード9レベルのみ。楽師が本業って感じの人なんですね。
一般技能なら歌手(シンガー)技能、芸人(パフォーマー)技能、演奏家(ミュージシャン)技能とかがありますが。
バード技能は特に演奏家技能でできることの大半をカバーできるらしいので、本当にこれだけなのかも。
捕まえたシルフィーナはダンフォースに泣きついて髭を引っ張ったりします。
シルフィーナ「じーじ!じーじ!」
ジーク「はいはい、じーくだよー」
シルフィーナ「おまえなんかちらうー!(右ストレート)」
ダンフォース「おうおう。坊よ、痛いのじゃー」
彼に事情を聞いてみると、現在館にいるのは全員狼藉者です。元の使用人一同も一緒に地下に逃げていました。
彼は領主としてセラフィナの命令に従い、アレン一派の情報収拾や予言の対策に務めていました。
ルーちゃんに会談を申し込んだり、アンデッド関連を警戒して共同墓地に警備を置いたりとね。
当然外延の領なので国境にも警備を置いたりと忙しくしていたのですが、その結果館の警備が手薄になりました。
そんなある夜に襲撃を受け、〔第六感〕で気付いた彼は逸早く僅かな警備の人間とメイド達を地下へと逃がしました。
何でも一階の彼の部屋にも地下への抜け穴があってそれを使ったそうですが、シルフィーナは間に合わなかったのです。
ダンフォース「人質にするつもりだったのだろう、先に奪われてしまったのじゃ」
幸い彼は二階の子供部屋の仕掛けも知っていたので、隙を見て地下へと保護したという経緯です。
他にもさっきシルフィーナが隠れていた土砂の陰から自然洞窟へと繋がる通路もあります。何処に出るかは謎ですが。
そうなるとバード技能しか持たない彼が、子供や使用人を連れて未探索のダンジョンアタックをする訳にもいきませんでした。
今ならぞんざいズに護衛してもらいながら脱出できそうですが、やはり上にいる狼藉者を放っておくことはできません。
ジーク「なあ、じいちゃん。上を乗っ取ってる連中は、何が目的なんだろ思う?」
ダンフォース「じつは、ここの地下には、いくつか屋敷の会話を聞き取れるポイントがあるのじゃ」
エア「ああ、そういえば屋敷でも、子供の泣き声とか笑い声聞いてるっけ」
それを利用して連中の会話を盗み聞きしたところ、ルーフェリア神殿の情報を収集していたそうです。
最高司祭であるルーちゃんを呼び寄せ、予言の情報にかこつけて調査員として手勢を派遣しようとしていたとか。
実は他にも神殿の近くに出る抜け穴もあるそうなので、ここをルーフェリア神殿の攻略拠点にするつもりらしい。
ちなみに狼藉者の顔ぶれですが、メイドが1人、保母さんが2人、コック1人、庭師1人。あと偽ダンフォースです。
ニゲラ「ニゲラたち、悪い人たちに、ここの入り口の一つ、教えちゃったんですねー」
メッシュ「でも、我々はまだ知らない振りを通すことが出来ます」
後日装備を整えて再挑戦すると報告し、隙を見てキュッと締めてしまうわけですね。
目には目を、狼藉には狼藉でいいとして、連中が最初にシルフィーナを確保した所は無視できない。
ムーテス「本当に人質にとって傀儡にするつもりだったんじゃないかと思うんだよ」
ダンフォース「これでも、それなりの信頼は得ている身なのじゃ。お前達は懐刀を名乗り、
親書を拝領している身であるから言っても差し支えがないと思うのじゃが。
もっとも若い御子を託された身じゃ」
ここでも遠まわしにこの子が皇族候補なのだと明かしていますね。本当に信頼されていたようだし。
ジャスティの養父だって不穏なことを企んではいましたが、娘には愛情を注いでいましたしね。
ジーク「でも、じーちゃんもよく命張って姫候補を取り返したよな。女帝に信頼されてるからって」
イスミー「候補というには三歳児でやすし、頑張って早くに皇族に戻っても上位にはいけねえでしょ」
それを言われるとダンフォースは困った顔をします。毛むくじゃらで困った顔というのも分かり難いけど(笑)
ダンフォース「御子の本名は、シルフィードというのじゃ」
ムーテス「え、もしかして、この子……本当に」
ニゲラ「……男の子?」
イスミー「そういえばさっき、さりげなく「坊」って言ってやしたよ!」
はっきりとは言いませんが、そういうことらしい。本当に信頼されているんですね。
この領に養子に出されたのはイザという時には亡命しやすくするためでもあります。
ダンフォース「望みどおりに自由に生きられるだろうという女帝の配慮のもとなのじゃ」
ジーク「……ちぇ、男だってわかった瞬間、興味がうせた」
一同「おおい!」
実は他にも男子がいないことはないのでどうなるかはまだ分かりませんけどね。
シルフィードが"皇族還り"を果たせるようになるまで数年かかるし、それを望まないかもしれない。
何を選ぶにしても、彼が自由に生きられるようにこの事件を解決してあげる必要があります。
★館に巣喰うもの
本物のダンフォースと会ったぞんざいズは、そのことは秘密にして地上へ帰還しました。
メッシュ「あー疲れました。長い洞窟でしたなあ」
イスミー「いや、おいら達頑張りやしたよ!大丈夫、明日から本気だしやしょう!」
ムーテス「あ、明日はすごいんで、僕たち」
ジーク「なんかなー。すげー長い地下通路が続いてて、歩いててマジ疲れた」
そのあまりに堂に入ったダメダメっぷりに、偽ダンフォースもちょっと蔑んだ様子でした。
メッシュ「ちょっと、明日もう一回潜って調べるんで。あ、今日の夕飯なんですか?」
エア「……すごいわ、ダメ男っぷりに違和感がない」
偽ダンフォース「そういうものか?……わかった、それは夕食の席で改めて話そう」
メッシュ「あ、ここからはちょっと別料金になりますんでよろしく」
夕飯はたかる、追加料金は請求する、そのくせ働かない。ダメ冒険者の見本ですね。
イスミー「今日はいわゆる肩ならしっていうかー」
ジーク「……まあ、本当の肩ならしは、これからだけどな(にやり)」
明日といわずに人目がないことを確認したところで本気を出し、アッサリと偽ダンフォースを拘束しました。
事前に確認したとおりに冒険者レベルはないし、正体を現してモンスターレベルが生えたりもしません。
本当に力一杯一般人なのでムーテスに首を絞められて抵抗できず、顔面蒼白で涙目になってしまいました。
ムーテス「ちょ、ちょっと!それじゃあ僕がまるっきり悪役じゃないか!もっとガッツ出そう!ね!」
ジーク「大きな声出すな?周囲に聞こえるような透き通った声とか出したら、二度と声出せなくしちまうぞ?」
メッシュ「右手を上げればイエス、左手を上げればノーです。覚えましたね?簡単ですよね?」
色々尋問をした結果、彼はとある劇団の団長であり、領主の影武者をやるよう雇われた役者だったことが判明します。
彼の劇団は現在公演を休止していて、その公演資金を集める為にこの仕事を受けたそうです。依頼人はそばかす保母。
実は街に行けばその辺の情報が手に入って、団長が「一山当ててくる」と言い残して失踪したことが分かりました。
よって本当に一般人で戦闘力はないしアレン一味でもない。一般技能の役者(アクター)技能とかはあるでしょうが。
エア「何でタビットを使わなかったのかしら?」
団長「白くてふわふわの長毛種で、真っ白なお髭のタビット……
依頼はきましたが、はっきり言って、相当限定されますよ。
せめて、白い髭ってことで、その部分だけ間に合わせに……」
タビットの人口比率がどの程度かは不明ですが、人族の中では人間とかよりは少数派でしょうね。
ドワーフやエルフよりも少なそうだし、グララン並みのマイノリティかもしれません。
そんな種族の、しかもイングリッシュアンゴラ風の外見で、かつ劇団所属の暇な役者なんて条件厳し過ぎですね(笑)
せめて背丈が同じぐらいならメイクや変装で何とかなったかもしれないけど、それは最早特殊メイクの領域っぽい。
勿論それだけでは彼をよく知る領民にはバレバレですが、そうではない使節とかを騙せれば十分でした。
メイドと相談していたのも細かい指示を仰ぐ為でした。彼は役者ですが、台本がない即興劇では知識不足が避けられない。
ちなみにシルフィーナ、もといシルフィードが行方不明になったというのはメイドの指示で彼が書いた手紙でした。
この領の印章つきの封蝋を使ったので、筆跡が違っても大丈夫でした。代筆と思われたのかな。
団長「おかしいだろう!時間稼ぎのために子供の行方不明を書き記したけど、
まさかそれに関して、この国の女皇帝がなんで関与してくるんだよ!
ばれたらどうしようって、すげーこわかった!」
つまり彼も、そして狼藉者のメイドたちも、シルフィードの出自は知らなかったのです。
真っ先に彼を抑えたのは皇族に対するテロとかではなく、ただ領主の娘を人質にしようとしたから。
その程度の認識だったから適当にスルーされるだろうと行方不明と伝えたけど、余計に話を大きくしてしまった。
まさか皇女どころか皇子、それも皇位継承権第一位に就くかもしれないVIPだったなんて計算外ですよね。
ニゲラ「そして、ニゲラが今とっても気になるのは……この部屋が子供部屋ってことですぅ」
GM「人形ですか?ありますよー、ぬいぐるみとか」
一同「またかー!」
子供部屋には玩具がつきものですよね。使い魔とは別の意味で気付かれにくい諜報手段ですよね。
室外では猫や鳥がいてもいいけど、室内にいると違和感を覚えるかもしれない。
しかしお見舞いや玩具として人形が置いてあったとしても風景と同化してなかなか気付かない。
案の定"マナサーチ"をした瞬間に前のサーチではいなかったくまのぬいぐるみが動き、くるくる回って紳士の礼。
ムーテス「じゃあ、再び髪とペンを……」
ジーク「よう、お前、元アーメスの欠片なんだってな。まーた熊で遊んでんのかよ」
くま「うらやましいか」
ジーク「う、うらやましくなんてないんだからねっ!」←ツンデレ風
くま「また、会おう。今度は白き峰の神の座で」
《白峰領》の神の座とくると、例の魔法装置を思い出しますね。やはり急いで帰らないと。
エア「邪教の徒よ!わたしたちは、貴様の目論見を全て打ち砕く!(びしっと指をさした)」
ニゲラ「その通り!ルーフェリア様の神域から大人しく出て行きなさい、神の鉄槌を食らわせるのです!(対照的なポーズ)」
ムーテス「うわー。神官二人は結構うざいなあ」
イスミー「しかも、宗教戦争でやすからなー」
ジーク「神が悪いんじゃないんだ。あの二人が悪いんだ。そう思っておくと、心が軽くなるぞムーテス」
ムーテス「何の慰めにもならないアドバイスありがとう」
実はこの巻の冒頭のキャラクターシートではニゲラがプリースト2レベルになっていたりするんですよね。
エアはとっくに10レベルになっているので"レベレイション"も使えるし、あとは自力で伸ばしたんでしょう。
最早ただの平信者ではなく立派な神官なのです。エアとニゲラの師弟コンビはソラとの姉妹コンビに並ぶ名コンビかも。
ちなみに<聖印>の装備部位は耳です。これはエアとお揃いですね。その辺もちゃんと意識して決めたのでしょう。
そしてこの挑発により敵も動き出します。今回は敵も複数の集団戦闘ですね。
まずぞんざいズが子供部屋から飛び出して遭遇したのは例のメイドさんでした。
窓越しに大きなテラスに立ち、不自然なほど強い風にロングのメイド服をなびかせています。
メッシュ「すいませーん。ベッドが小さいので、大きなサイズに変えてもらいますかー?」
メイド「承知いたしました。ゆっくりと休めるように、大き目の棺を用意しております」
すると彼女は両手にメッシュと同じ装備をします。どうやらグラップラー技能持ちの格闘メイドのようですね。
ここの挿絵はなかなか印象的で好きです。風の中で装備をつけるメイドさんが凛々しくていいですね。
しかもイスミーの《魔物知識判定》の結果、グラップラー10でエンハンサー8というメッシュ並みの猛者だと判明。
今回は色んな所から敵が来る設定なので、《先制判定》要員のメッシュの采配が大切ですね。
ここでは先制だけとって別の敵を探しに行こうとしていました。メイドさんは陽動で不意打ちを企んでいるかもしれないし。
例えば不自然に強い風は前回逃がしたエアロドゥームのものでした。残る敵は乳母二人とコックと庭師ですね。
1ラウンド目
先制はメッシュが取ったので、エアが新しく覚えた"ブレスU"を自分とイスミー以外に使います。
これは11レベルの神聖魔法で、全ての能力値を+6します。ブラッドトロールも使っていましたね。
思えばフォーセリアの頃に強化できたのは器用度・敏捷度・筋力といった身体能力だけでしたね。
それが知力はおろか、生命力や精神力まで強化できるようになるなんて、ちょっとセンセーショナルでした。
続いてジークが抵抗上等で"カオスブラスト"を撃ち、一桁のダメージを満遍なく与えます。
ジーク「そのままメイドを攻撃する!(ころころ)くそ1ゾロか……!」
GM「あ。それに対して《カウンター》しようかな。
いや。今回は当たらなかったんだしスルーしよう。他の人も来るかもだし」
ジーク「そうだ、グラップラーだった!」
メッシュ「しまった。忘れておりました。これはジーク様と相性がよくない」
これから延々と《カウンター》の危険に晒されるならと、メッシュは残って戦うことにします。
《ファストアクション》中なので4回攻撃をしますが、その内一撃に《カウンター》を仕掛けられます。
壮絶な指輪割り合いの結果メイドの勝利。《牙折り》は入れていたけどそれでもクリティカルで20点とか。
一方ムーテスは以前と同じようにエアロドゥームに挑みます。得物は<オーガモール>です。
ムーテス「本当は挑むならメイドがよかった!けど、コイツをフリーにするわけにはいかないしね」
ニゲラ「男前ですー。ご褒美に、その前に"ヴォーパルウェポン"のAをムーテスくんと私に投げまーす」
これもあってエアロドゥームの片翼に28点ほど叩き込みます。
そしていよいよ敵のターン。まずはメイドがジークに《投げ攻撃》&《踏みつけ》を決めます。
ジーク「男を踏んで楽しいか!」
メイド「はい!わくわくします!」
そして階段を登ってコックが上がってきます。目のきゅっと上がった男で調理用ナイフを弄びつつ。
コックはイスミーに向かおうとしてニゲラに邪魔され、"ガゼルフット"と"ビートルスキン"を使いつつちょっとダメージ。
どうやらフェンサーのようで、しかも《両手利き》&《二刀流》で戦うタイプの人のようです。
前者は文字通り両手攻撃できるようになる戦闘特技で、1Hの武器を左右に装備できます。ただし命中力−2。
後者はその発展系ですね。5レベル以上で習得できて、《両手利き》による命中力のペナルティを無くします。
ボガードなどで御馴染みの《双撃》はもう一つの発展系ですね。それぞれ別の敵を攻撃できるという。
次に台所出て出てきたのはあのそばかす乳母さんでした。杖と人形という装備からすると操霊術師ですね。
ニゲラ「出てきたのは台所……さてはあなた、つまみ食いしてましたねぇ!」
そばかす「あなたのご飯は私のご飯!」
ニゲラ「邪教徒さん!食べ物の恨みは恐ろしいと心得てくださいー!」
ジーク「……ニゲラ。ここで飯食うつもりだったんだ」
なんでわざわざ杖なんて嵩張る発動体なのかというと、指輪とかだと正体がバレるからです。
そういえば結局実力を見抜こうとしたのは偽ダンフォースだけで、他の人達はスルーしちゃいましたね。
このそばかす操霊術師は"カース・ドール"でニゲラにダメージ。階下に備えていたニゲラに集中してきました。
続いてみつあみの乳母が出てきます。こっちはプリーストっぽくお祈りを捧げながら登場。
みつあみ「アーメス様、その御手をあの異教徒にお下しくださいませっ」
エア「んだとぉお!邪教徒が!」
みつあみ「あらあら。戦うときも、罵るときも、女たるもの上品にいかねばなりません」
この人はこの人で清楚に見えますが、どうも裏側に色々透けて見えますね。一言しか言ってないのにキャラが立ってるというか。
そんな彼女は本当にアーメスの御手("ゴッド・フィスト")でエアを殴ります。
エア「ふふ、こんなドマイナー・ゴッドの拳が効くものですか!」←抵抗した
GM「ドはいらない!同じ小神の癖に」
メッシュ「……目くそ鼻くそってご存じですか?」
最後にエアロドゥームがムーテスとメッシュに機銃を撃ち、《対人兵器》まで使用します。
ムーテスならダメージ自体は防弾加工で防げるものの、折角加工したのにまた禿げていくのに悲鳴を上げていました。
2ラウンド目
前のラウンド空気だったイスミーから動きます。
イスミー「よし!最近のおいらはちょいとばかし役立たずなんで、この辺で汚名返上いたしやすぜ!
まずはバイクの"グレネード"を階下の魔法使いズに……てぇい!(ころころ)……ふぁああっ!(1ゾロ)」
エア「ホントに役に立ってないわよ」
イスミー「いや!大丈夫でやす!次はおいら自身が掛けやすんで」
そうして階下に撃ち込んだのは4レベルの魔動機術"スモーク・ボム"でした。
半径5mの空間に対して3ラウンド持続する煙幕を張るもので、知覚が「五感」のキャラは視力を失います。
空間にかけるので必中であり、人間の魔法使い達は視線を通すために通常移動に手番を費やさざるを得なくなる。
続いてジーク、メッシュ、ムーテスは揃って攻撃を外します。エアは階段の3人にカンタマで魔法対策。
ニゲラは練技三点セットを使いつつ、コックの頭に絡めます。牙による攻撃や魔法の行使、ブレスなどが−2ですね。
相手のそばかすは通常移動で煙幕から脱出。コックは何かお薬を飲んでドーピング。実はレンジャーでもあった。
ニゲラ「うざーい!」
GM「いいじゃないですか。こっちだってたまには薬飲んだってー!」
エア「今よ!誰か"ロッツ"を撃てるお客様はいらっしゃいませんかー!ブラグザバスの神官さまー!
持ってる薬が全部腐る、素敵な魔法!マスターイラッとしたなら、ムーテスに今度これを撃っていいから!」
ムーテス「やめてー!僕の財産減らさないでー!」
"腐敗の女神"ブラグザバスは毒と病を司る女神であり、腐敗と疫病をもたらす第二の剣に連なる大神です。
"ロッツ"はその4レベル特殊神聖魔法であり、対象の体を腐らせて6点の魔法ダメージを与えつつ、薬品類を腐らせます。
ダメージはともかくレンジャーには怖過ぎますね。ただし射程は「接触」なので相応の危険を伴いますが。
お薬を飲んだコックは自分に絡んだ鎖を引っ張り、判定に負けたニゲラは転倒してしまいました。
ニゲラ「ああん、この人絶対に逃がせないですぅ!大事な武器、持ち逃げされちゃうー!」
みつあみプリーストはというと、まさかの《足さばき》持ちだったので煙幕から脱出。
しかも実はグラップラー技能まで持っていたのでニゲラに乱戦を仕掛けます。武器は持ってないので素手ですがね。
《足さばき》なら魔法の使用要件を満たしているため、《マルチアクション》で殴って"フォース"とか撃ってきます。
あとは格闘メイドですね。彼女は練技"ジャイアントアーム"を使ってまたジークを投げます。
メイド「アタシのこと、お嫌いですかぁ?」
ジーク「嫌い。お前に比べれば、エアのほうが可愛い!」←そして避けた
エア「ちょっと待て!その比較は心底失礼な上に嬉しくない!マイナス50とマイナス55を比べてるようなもんでしょ!」
ジーク「そこまで言ってないぞ」
ちなみにこの練技は5レベル以上で習得できるもので、1ラウンドと短い間だけですが筋力+12の効果があります。
"マッスルベアー"との違いは筋力ボーナスではなく、あくまでも筋力そのものを上昇させる点。よって重ねがけも可能。
3ラウンド目
まずは格闘メイドを倒そうと集中攻撃。メッシュの《牙折り》を〔運命変転〕まで使って避けてきます。
GM「何しろ、このメイドは前のめりなんですよ。攻撃のことしか考えてないので。
指輪は全部、割るための器用度の上昇指輪です」
メッシュ「設計思想は似ている……が!前傾姿勢にもほどがありすぎるでしょう!」
エア「この敵の中に、防護点が10点超えてるの、いないわよ。きっと」
前衛はフェンサーとグラップラーですしね。エアロの胴体の防護点が辛うじて11点ありますけど。
その分ダメージは凄いけど、逆に言えば当てられると脆く儚い。ある意味ぞんざいズ以上に前のめりなパーティです。
ジークは"アドバンストヒーリング"でメッシュを癒しつつ、〔運命変転〕まで使ってクリティカルを叩き込みます。
これが35点とキツかったけど<剣のかけら>が入っていた格闘メイドは辛うじて生き延びます。
ムーテスは引き続きエアロを殴り、エアは援護に大忙し。そして微妙に苦境に立たされているニゲラですが。
彼女の場合戦況以上に金銭面で深刻です。このままだと武器を持ち逃げされかねないので物凄い目で睨んでいます。
一応サブウェポンとして<レザーリボン>はありますが、やはり鎖鎌は渡せません。
ニゲラ「二万なんですぅ、このまま逃がしてなるものかぁあ!」
イスミー「あ、ニゲラの嬢ちゃん!欲しい武器を言ってくだせえ!折角の《達人》!」
現在のニゲラならカテゴリを問わずにクリポン武器を作ってもらえます。筋力は素で18で、"ブレスU"で24にもなっている。
ただし作れる武器はAランク以下の非魔法の武器に限る。それでも色んな可能性があってワクワクしますね。
これで作ってもらったのはカテゴリ<メイス>のAランク武器である<ポールメイス>でした。
2mを越える長さの巨大メイスで、必要筋力23で威力43という電柱のような武器ですね。何処かの猛女の風林火山みたいな。
出目7で9点で、追加ダメージは"ブレスU"と練技と賦術込みで19点。30点近く余裕で抜いてきますね。
メッシュ「しかし……でかいメイスに、カードを集める少女、というとカードキャプターニゲラって感じですな」
エア「ちょっとメイスがでかすぎるわねー」
ニゲラ「(にやぁああ)……ありがとーイスミーくんー。さて、次からは反撃のお時間ですよー」
ジーク「ニゲラこええ」
あれはメイスというか杖ですけどね。このまま殴られるとこの世界から物理的にレリーズされそうです。
殺られる前に殺ろうとコックの《二刀流》がニゲラを襲いますが大したことはなく。
みつあみのグラップリーストの攻撃も凌ぎ、そばかすコンジャラーは"スタンクラウド"でエアを狙うも抵抗されます。
その時でした、俄かに表玄関が騒がしくなってきました。どうやら街の人達が館の異変に気付いた模様。
しかも煙が入ってきていることから、この場にはいない庭師が館に火を放ったものと思われます。
4ラウンド目?
ラウンド進行も分からなくなってきましたが、ムーテスはエアロの部位を落とし始め、主従コンビも格闘メイド相手に優勢。
エアの対象三倍拡大"ゴッド・フィスト"が階段の敵3人を攻撃。ようやく反撃ムードになってきました。
イスミーは「シフェナ」の《グレネードランチャー》をそばかすに撃ち込んでクリティカル、31点と爆砕。
更に銃でも撃ってこれでもかってほどダメージを与えます。相手が<消魔の守護石>を使ってる以上は向こうもギリギリのはず。
ムーテス「これ、あっちこっちで、同キャラ対戦というか、ミラーマッチになってるよね。
……僕の対戦相手はエアロドゥームか……」
ジーク「そこはちょっとちがうな」
メッシュと格闘メイド、ニゲラとフェンサーコック、エアとみつあみプリーストはまぁいいでしょう。
それじゃあウサギはそばかすコンジャラーになるのかというとちょっと違うような。あとジークの相方がいない。
本来なら庭師あたりがそのポジションに当て嵌まりそうな気配ですが、まだ姿を見せませんね。
その後ニゲラは武器を取り戻そうとコックを電柱で殴ろうとするも、〔運命変転〕まで使って逃げられます。
こうなると不利を悟った敵は逃走を始めます。格闘メイドは練技"ワイドウィング"で翼を生やして飛び上がります。
メイド「アーメス様お許しください、次の戦いに備えることにいたします!」
乱戦に巻き込まれていないそばかすコンジャラーですが、彼女は傷ついた体を引きずって台所の勝手口へ逃走。
実はこっそりと"チェンジ・ポジション"用の人形を用意していたのですが、レベルが足りなくて使えませんでした。
12レベルの操霊魔法なので彼女は11レベル以下ですか。決まれば術者と人形を瞬時に入れ替えられたのですが。
5ラウンド目?
ここでそばかすを逃がすまいとメッシュの《影走り》が炸裂。一気に追いついて《投げ攻撃》です。
GM「今度こそ"スケープ・ドール"で、ダメージ肩代わり!」
メッシュ「はっはっは《踏み》」
GM「ですよねー」
これであえなくそばかすは気絶。乱戦エリアを無視できる《影走り》の恐ろしさを実感できる一幕でした。
ニゲラは今度こそ電柱でコックをぶん殴ります。
ニゲラ「えぇえぇい、覚悟ぉ!サイコロの出目は5だけど、魔法ダメージ34点ーっ!」
GM「いたいー!」
エア「ついにニゲラが"クリポン"の魅力に取り付かれたわ」
威力43の出目5は7点。ということは追加ダメージ27点ですか、あと8点はどうやったのか。
格闘メイドは攻撃を耐え切って逃げはじめますが、そこでイスミーがミニに乗って追撃です。
イスミー「ドラゴネットの飛行距離はワイドウィングよりも上でやす!そして……空中で《トランプル》でやす!」
エア「ナイスフォロー!」
イスミー「もう、役に立たねえウサギたぁ言わせねえ!行くぞ相棒!」
その後は掃討されるだけでした。エアロはムーテスの防弾加工を全て剥ぎ取り、充分仕事をして破壊されました。
イスミーはミニに乗って延々格闘メイドを轢き続ける空中戦で圧倒。元から弱っていたので耐え切れませんでした。
あとはコックとグラップリーストだけですね。電柱を持ったニゲラに主従までフリーになれば勝てるはずもない。
こうして領主の館を乗っ取ったアレン一味は庭師を残して全滅しましたが、火事の野次馬の中に聞きなれた声が。
ガアラ「ルー様!どうぞお下がりください、ここは危険です!」
エア「ルー様ぁああ……ぱぁあああ(恍惚の表情)。ああああ、早く直接お会いしたい!顔を見たい!愛でたい!」
領主との会談に呼び出されていたルーちゃんと御供のガアラがいました。何だかえらい久し振りな気がします。
ジーク「ルー!火を消してくれ!」
ムーテス[あ、確かにルーにならできる気がするっすね」
メッシュ「できなかったら何のための水神ですか」
エア「何のためとまで!そんなもの、マスコット的な可愛さがあるじゃないの!それで充分じゃないの!」
神様の分体相手にその認識でいいのかはともかく、ルーちゃんはその力で火事を消してくれます。
"ファンティン"を神様ならではの特別な力で使用し、泉どころか間欠泉の如く吹き上げる水柱で消化します。
これで地下にいたダンフォースやシルフィードも蒸し焼きにならずに済みますね。団長はドワーフだから平気。
実はドワーフの〔剣の加護/炎身〕って今まで登場の機会がなかったんですよね。炎属性のダメージが無効になります。
しかしまだ庭師が残っています。何処に行ったかと探してみると、館の上空に皮膜の翼を生やして浮かんでいました。
メッシュ「もしかして……」
ニゲラ「庭師の振りはしていたけど、実は、アーメスの分体、アレンその人だった、とかぁ?」
アレン「俺とて、このような格好ではなく、執事あたりに身をやつしたかったが……確実に警戒されるだろうからな」
こうして初登場したアレンは首巻タオルに麦藁帽子で作業つなぎを着ているというラスボスにあるまじき格好。
メッシュ「マスター!あなたには美学というものはないのですか!」
エア「……いや、でも確かに疑う!執事は領主以上に疑うわ!」
ムーテス「毎回思うけど、お前威厳、ゼロすぎるっすよ!」
GM「しょうがないじゃないですか。一回堕ちた神のようなものなんですから!」
イスミー「堕ちたからって、落ちぶれなくてもいいんでやすよ!」
正直皮膜の翼を生やしたイケメンという点でフィルゲンとキャラが被っていると思っていましたが。
この登場シーンで完全に差別化されましたね。そしていかにフィルゲンが威厳のあるボスだったかを痛感。
アレン「―――…まあ、面白いものを見せてもらった。なかなかやるではないか。
パジャリガーの末裔たち、いや、正確にはパジャリガーを継ぐ者たち」
一同「ちがう!」
エア「そう思われるのはすごく心外だわ」
メッシュ「むしろ、パジャリガーのパチモノです」
アレンからしたらそういう認識なのか。もしここにセカンドがいたら物凄い嬉しそうな顔をしていたんでしょうね。
アレン「まだ、残念ながらお前達と正面から相対するには、準備不足。
しかし、近いうちに俺に屈辱を与えたパジャリガーの意思を継ぐものである貴様達を倒すことによって、
再び力と威厳を取り戻す禊としようぞ」
ジーク「そうだな、お前、今威厳ないもんな」
GM「やかましいわ!」
ムーテス「一応言っておくけど、威厳って一回失ったら、戻ってこないものだよ?」←経験者
アレン「まだ、知らないやつもいるから心配はない」
そうしてアレンはルーちゃんに憎しみの視線を注いで去っていきました。
こうしてぞんざいズはルーちゃんやガアラ、そしてダンフォース達と合流しました。
エア「……ああ。ルー様。……今わたしは間違いなく、キャンペーン中最も満たされている(うっとり)」
ニゲラ「ニゲラも思い切りもふもふしますー」
この師弟コンビにとっての神様は愛でるもの。本当にマスコットかアイドル的な存在でいいんだろうか(笑)
ジーク「いいなー。俺も信者になろうかな」
エア「こらぁ!」
ジーク「え、何で怒るんだよ」
エア「それを、バトエルデン様の前でも言えるなら、怒らないわよ!」
ジーク「いや。さすがに言ったら死ぬな。と思ってる」
そもそも大司教にとってのルーちゃんってどういう存在なんでしょうかね。
ルーフェリアは幼馴染で恋心とかありそうだけど、分体は結局は別人格ですしね。
娘とかそんな感じでしょうか。それはそれで変な男が寄ってきたら撃退しそうな気もしますが。
ジーク「だからあいつを倒すにはもうちょっと強くなって、神を目指すくらいじゃなきゃだめかと。
アレンなんか小物だ、俺にとってのキャンペーンラスボスは、バトエルデンだと思ってるぞ」
これには思わずルーちゃん赤面。「お嬢さんを俺にください!」と言える日は来るんだろうか。
神を目指す理由が好きな女の子と添い遂げる為というのは、ある意味物凄く格好いい動機かもしれない。
さて、それはともかくルーちゃんからルーフェリア神殿で起きた異変についての報告があります。
元々その対策としてダンフォースと相談するつもりだったので、ぞんざいズに会えたのは幸運でした。
ルー「じつは、聖堂のほうに女性が訪ねてきていらっしゃるの……
ただ、その人がいると、誰も聖堂に入れなくて……少し困っていて」
その女性は一振りの剣を抱えていました。思いっきり心当たりがありますね、アインベフです。
約束を守って魔剣を持ってきてくれたんですね。そして聖堂に詰まっているから誰も入れないと。
ルーフェリア神殿が出入りを制限しているなんていうから何事かと思いきや、原因はこいつか(笑)
しかしもう一つの報告はなにやら深刻そうです。
ルー「神殿の地下の湖と、その祭壇が……何だか光ってるの。怖い感じに」
以前エルヴィーンに連れて行かれた時のような嫌な感じがしているので、むしろアインベフの存在は有り難いらしい。
ルー「こわいものが、近づいてきて……呑み込まれそうで、怖かったの」
ジーク「大丈夫。そんなことにはならない」
次回はいよいよ最終巻。懐かしのあの人やあの人も参加し、ぞんざいズは最大の戦いに挑みます。