「ぺらぺらーず漫遊記 乙女の巻」著:藤澤さなえ 出版社:富士見書房

T U V W 戻る

今回の短編集は「乙女の巻」ということで、乙女?なベルカナとクレスポのペア(カップリング?)をプッシュした作品揃いです。

最後のお話以外はドラマガで連載されたものですが、この2人の絡みがとにかく多いという点では同系列に当たります。

これまでSWリプレイには色々な公式カップリング?がありました。ザボとケッチャとか、アーチーとフィリスとか、スイフリーとクレアとか。

しかし丸一冊使うカップリングは他になかったですよね。ていうか全部の話を1人の作家が書く短編集もなかった。SWシアターはそうですが。


時系列としては、大分初期の方です。ベルカナがまだ全技能1レベルのままであり、クレスポが3レベル盗賊だからある程度特定できます。

1巻の第3話でクレスポが3レベルになり、2巻の第4話でベルカナが2レベルになるので、1巻ラスト〜2巻頭の間のお話ですね。

とすると5人ともまだまだ駆け出しですよ。盗賊ギルドに半ば強引に加入してまだ日も浅く、かといって実力も実績も浅いのでもどかしい時期です。


全編通して彼らのレベルも固定のようなので、確認しておきましょう。


クレスポ 15歳

シーフ3、セイラー3。武器はやはりウィップのみ。武器の仕様で攻撃力−2され、ラージシールドを持ってるので攻撃力はたったの2

しかし高品質+5ラージシールド(8)を購入しているので、筋力15の彼は盗賊技能で使用可能です。その回避力は7となります。


ベルカナ・ライザナーザ 17歳

ソーサラー/セージ/ファイター/レンジャー1。武器はメイジスタッフだけでなく、高品質+5ヘビーメイス(9)です。

更に高品質+4ラージシールド(9)も持っていて回避力は6であり、高品質+2ソフトレザー(5)も装備していて防御力7。


ブック 30歳

セージ4、レンジャー/シーフ1。武器として高品質+5ライトフレイル(3)を装備してるので、グラランながら打撃力13。


シャイアラ 240歳

シャーマン2、シーフ1。武器は銀製高品質+5ショートスピア(2)であり、鎧は高品質+5ソフトレザー(2)で防御力7。


マロウ ?歳

プリースト(マーファ)2、ファイター/レンジャー1。武器は高品質+5バトルアックス(13)で打撃力は28あったりする。


以上が現在の彼らのデータです。今見ると駆け出しの割には高品質装備が多い。筋力が低いから値段もそう張らないし、闇市をフル活用ですね。


「マーマン・ロマン」

★1〜2

最初のお話はベルカナとクレスポの2人だけの仕事なんですが。ぶっちゃけた話、二人がバーゼル(の部下)に騙される話です。


ララ 18歳

シーフ5、レンジャー2。黒いショートヘアーで、ベルカナ同様胸はあまり大きない。バーゼル(と同レベル)の部下です。

敏捷度は18と高目ですが、筋力は11と微妙に惜しい。器用度も17とあと一歩でしたね。作中でボーラも使ってますが、多分敵のやつ。

武器は銀製のダガー(5)です。鎧は普通のハードレザー(6)。他には特に目立つ装備などはないと思う。「レイド・レボルト」に出演?


彼女は今回バーゼルからの指令で、密輸犯を捕まえる筈でした。しかしその仕事に新米のベルカナとクレスポを利用したのでした。

その密輸犯は、盗賊ギルドに保護されている商人の家から「赤い果実」という指輪を盗み出したのです。当然ギルド的に制裁しないといけません。

それだけでなく、新人の実力調査も言付かっていたのです。バーゼル曰く、戦闘技術がイマイチだそうですので(苦笑)

なお犯人は旅芸人としてサーカス団に紛れてます。サーカス団そのものが密輸犯なのではなく、あくまでも一部です。


それで彼女はどうしたかというと、クリーム色の髪に巨乳のドジっ娘に変装し、依頼人というアプローチをする事にしたのです。

変装した彼女は名前は特に変えずに、ストーカーに悩まされていて、母の形見の指輪「赤い果実」を盗まれたと恐怖も顕に口にしました。

こういう女の子は、当然クレスポが放って置く筈もなく以来を受ける事にしたのです。ベルカナも色々と気になるので協力します。


本来はこういう事件があったなら、まずギルドの人間の仕事か確かめ、そうでなければギルドが誰かに事件を調査する指令を出すんでしょうね。

シマ荒らしをするモグリの盗賊には容赦しませんからね、ギルドは。そういうケースだと、クレスポが解決しようと思えばお伺いを立てないと。

しかしララは鍵穴が傷だらけになっていたからプロではないと言うんですよね。しかも「なっていたそうで」とまるで人から聞いたように。

そういった考察は誰から聞いたのか問い詰めたいところですが、巨乳の女の子には目が無いクレスポは気にも留めません。

そしてそんなクレスポに、ベルカナも苛立ちを覚えてるようでした。でも放っておくとうっかりお星様になりかねないし(苦笑)


あとこの時点で、ペラペラーズの間では街にサーカス団が来たとちょっと話題になってました。当然密輸犯の潜んでいるサーカス団です。

サーカスというのは何かしらある物です。バブリーズではプリシスのスパイが隠れ蓑にしてたし、SWPCでは動物にされましたよ(笑)


サーカスの出し物でマーマンが出演するというのでちょっと盛り上がってもいました。でもマーマンと言いつつ実際はマーメイドですよね。

ルールブックの影響でしょうかね、海の妖精族の呼称をまんまマーマンだとしているようですね。でも海の妖精族の呼称は魚人族(マーフォーク)らしい。

その男性はマーマン女性はマーメイドというのがフォーセリアの(ていうか水野先生の)構想のようです。

だから、マーメイドをマーマンと呼ぶのは色々誤解を生みますよね。本当にマーマン(男)だったらクレスポがっかり(笑)

これは「呪縛の島の魔法戦士」から読み取れる事ですが、私としてはこっちを使って欲しいですね。こっちの方が分かり易いし。


多分知名度判定では両方とも11でしょう。基準値6のブックや、4のベルカナは当然成功しました。

聞いた話ではスタイル抜群のマーマン(ていうかマーメイド)らしいので、当然クレスポがグイグイ食いついてきます

クレスポはベルカナを誘って見に行こうとしますが、ベルカナ的には微妙です。マーマンは見たいけど、セクハラ発言直後のクレスポと一緒は嫌。

そこに依頼人としてララが現れ、あれよあれよという内にクレスポとベルカナの2人で彼女の依頼を受ける事になったのです。


★2〜5

そして翌日、ララの案内で2人は下水道を進んでいました。彼女曰く、指輪を盗んだ空き巣はここを通っていったそうです。

ララは驚いたことに犯人を下水道まで追跡したと言うのですが、その時点でおかしいと思えというのは厳しいんですかね(苦笑)

もし彼女が本当にストーカーもどきの不審人物に怯えるような女性なら、明かりのない下水道まで完璧に尾行できる訳ないと思うんですけどね。

ベルカナの"ライト"があってようやく進めるような環境だし。小さい頃遊んだって、下水道で好んで遊ぶ女の子って珍しいような。


ベルカナの"ライト"を頼りに3人は下水を行くのですが、ララはしきりにクレスポに密着します。からかってるんですねぇ………。

そしてそんなクレスポに、正体不明の痛みが胸を刺すベルカナ。あれ、この時点でもうフラグ立ってるんですか?

でも真相を知ってみると、この辺からパットの胸に興奮するクレぽんが可哀想になってきます(苦笑)

ベルカナは流石にララの追跡に不審を抱いているのですが、「勇気ある女性」だと評するクレスポには馬の耳に念仏でした。


そして下水を抜けてみると、そこは噂のサーカス団のテントだったりするのです。《罠発見》や《聞き耳》ぐらいしないと危ないですよ。

当然ここはサーカスのテントの中。木で枠がくみ上げられ、垂れ幕が下がり、箱が乱雑に置かれているという、いかにもな場所です。

ここでクレスポとベルカナは、指輪を持つダルマのような小男偽マーメイドのお姉さんを発見するので。彼らが密輸犯です。

女は精霊使いのようです、もしかしたら盗賊でもあるかも。男の方はショボそうに見えて、実は結構レベルの高い戦士(か盗賊)のようでした。


そう、実は彼女はマーメイドの扮装をしてるだけの偽者です。"ウォーター・ブリージング"を使えば人魚のように水中呼吸も可能ですからね。

持続時間は拡大なしでも1時間と長い。1回の公演がどの程度の時間か分かりませんが、そう何十分もやらないでしょうね。

ていうか地上であるにもかかわらず、鏡台の前に座って化粧をしてるなんておかしいですよね。マーメイドは陸上では呼吸できないし。

セージ判定に成功したベルカナなら、その辺の違和感に気づいてもいいと思います。


ここで小男の方に存在を気づかれたクレスポとベルカナは、意を決して戦闘に入り、指輪を取り戻そうとしました。

まずベルカナが"スリープ・クラウド"ですが、所詮魔力4ではやはりかからない。相手は最低3レベルの精霊使いですからね。

あとお姉さんは"シェイド"を使おうとするのですが、下半身魚だったせいかすっ転んで行動キャンセル(苦笑)


クレスポはというと、例によってウィップでマーメイドなお姉さんを生け捕りにして、セイラー技能の《ロープワーク》で縛り上げます

お姉さんは(多分冒険者+器用度で)《ロープワーク》の達成値を上回ったらしく、直に簡単に脱出してしまうんですよね。

一応ルールブックでは、セイラー技能で結んだロープは、解くならレベルと同じだけの難易度になるそうです。では解くのはセイラーのみなのか?

縄抜けですから、冒険者なら誰でも出来そうではありますよね。でも、シーフの専門という気もします。やっぱり彼女はシーフ技能持ちかな?


実はこれらの戦闘は非常に危なっかしい所にその場所を移していたりします。何と地上5m/8mのロフトだったりしますからね。

クレスポなら盗賊の《受身》で結構ダメージを減らせるはずです。今のクレスポなら落下の高さから5m分減少ですね。

5mなら0m分の落下になってノーダメージ。貧弱貧弱と言われていますが、盗賊としての能力を使えば実は問題ない。

8mになると微妙に痛そうです。3m(9点)だと、11以上振ればノーダメージですが、7振って6点止めて3点抜ける。生命力半減(笑)

ベルカナはというと、"フォーリング・コントロール"が使えれば無問題なんですが、まだ1レベルなので普通に怪我しちゃうでしょう。


なお、脇には5m程の高さの巨大な水槽があったりします。これがマーメイドショーに使われてるやつですね。

このフォーセリアにおいては、現代にあるような完全に透明なガラスというのは希少品です。凸凹や歪みがあるのが普通です。

だからこういう水槽はカストゥール王国の遺産だったりするんです。当時はガラスの加工技術も凄かったんですね。

何となくドワーフなら当時の技術を持ってそうな気がしますけどね。ロードスのドワーフなんてミスリルの加工まで出来るし。


小男を追ってロフトに登ったベルカナは、意外と強い小男のレイピアに歯が立たず、結構ヤバイ状況です。マロパンマンさえいれば………(笑)

助けようとしたクレスポでしたが、縄抜けしたお姉さんがボーラで二人三脚状態に絡みとられてしまって絶体絶命。

しかしその小男も、途中で参戦したララには歯が立ちません。5レベルの彼女に歯が立たないのだから、小男は3〜4ぐらいかな?

しかも彼女は梯子もない細い柱を《登攀》で登ったようですね。高さ的には1回の判定でいいんでしょうが。


ララの攻撃で小男は指輪を落とし、それを取ろうと頑張る二人三脚状態の2人ですが、お姉さんにララを任せた小男が迫ってきました。

この時の小男の攻撃は、下手すればベルカナの喉を貫いていたのですが、クレスポが身を挺して庇って怪我をします。こういう時は男らしい。


しかもその拍子に2人は巨大な水槽に落下。水槽の高さは5mなので、8mからの落下で3m。下が水ならダメージはなしかな?

しかしこうなるとクレスポが危ないですね。呼吸を止めていられるのは生命力ラウンド、ということはクレスポの場合1分だけ

貧弱だ貧弱だと思ってましたが、やっぱり弱っちかったんですね。しかも怪我をしてるから実際にはもっと時間がない。


クレスポはベルカナを先に水面に押し上げますが、事前にダメージを受けていたこともあってやっぱり浮きます

そんなクレスポを救う為に、ベルカナが人工呼吸を……しようとしたところでご開帳です。

水槽にかけられていた幕が上がり、公演中だったらしく目の前には大勢のお客さんがいたりします。

かなりギリギリでしたが、未遂です。これはあれですか、やっぱりこの二人は公式カップリングとしてプッシュされてるんですか(笑)

しかもこの会場にはブックとシャイアラもいるんですよね。またとんでもない所を見られちゃいましたよ。


ちょっと喜びの野を垣間見たりもしましたが、2人とも公演中のピエロ達に無事に救出されました。

ところがそのピエロの中にはララもいたりするのですよ。しかも幕を取り去ったのも彼女らしいし、確信犯かな?(苦笑)


2人は彼女の仲間らしい大男のピエロに外に担ぎ出され、そこでネタ晴らしをされます。ベルカナは心底悔しそうでしたよ。

ベルカナの悔しそうな顔ときたら、リプレイ本編ではなかなか拝めないものでした。でも「レイド・レボルト」では痛快な思いをしてた筈。

ていうか、クレスポがここまで死に掛けたのもリプレイではなかったですよね、多分。何だかんだで慎重に戦ってますから。

こんな事もあったんじゃあ、バーゼルさんが嫌われるのも無理はないような気がします(苦笑)


「セルフィッシュ・ウィッシュ」

★1

今回の主役?はマロウですが、進行役はやっぱりベルカナとクレスポです。結局この二人はセットなんですね、オフィシャルで。

事件はクレスポがマロウの、「わかった、オラはもう冒険者やめるべ」というセリフを聞いたことから始まります。しかも女の子に対して

そして「この町に、二人で、住もう。そして、たくさんの子供と、幸せな生活を送るんだ……」と続きます。

相手の女の子は感極まった感じでマロウに飛びつき、「もう、側を離れないでね!」と黄色い声をあげるのです。


もし彼の言葉が本音ならば、近々冒険者を引退する事になってしまいます。ベルカナはそれがとにかく不安です。

まずマロウが抜けると何がヤバイかって、戦力ダウンです。5人パーティーが4人になるだけでなく、マロウ自身がこのパーティーの主力です。

唯一のまともな戦士であり、癒し手でもあるマロウが抜けたらパーティーが成立しないでしょう。本格的にペラペラになってしまう(笑)

なによりも、パーティーの良心であるこの男が抜けたら何かと心配ですしね。ストッパーがいなくなる(深刻)。


マロウは捨て子のハーフエルフという不幸な生い立ちを持ちながら、優しい養父母のお陰でとても優しく素直に育ちました。

人間並みの体力を持ち、エルフの知性と美貌も持っている。ハーフというか、むしろダブルだと胸を張って言える男です。

実際能力値がデキ過ぎ君ですもんね。全能力値が種族の平均を超えてます。筋力11が平均ですが、13だったりするし。

本来ハーフエルフは筋力面で戦士には向きません、むしろ魔術師向き。まぁ器用度と敏捷度には優位があるんですけど、所詮戦士は筋力第一。

その副能力値の合計は65です。種族平均は59.5ですから、繰り上げても60。5多ければ上等ですよ。


そんな人だから歴代リプレイキャラきってのモテ(キング)です。しかしそっち方面には全く興味ないのか、星の数ほどあるチャンスをスルーしています。

神殿の女の子が真っ赤な顔でお弁当を作ってくると、「熱があるのに無理しちゃいけねぇ」と心配してくれます。

散歩に誘われると、「買い物の荷運びなら任せるだ」と進んで力仕事を買って出てくれます。優しいですね。

セレブっぽいマダムが馬車の上から手を振っていても、「何か落したんだべか?」と積極的に助けようとしてくれます。


あとは方言ですが、むしろそれがイイという人も多い。こうなるともはや完璧超人か(笑)

クレスポには羨ましい限りでしょう。いや、世のほとんどの男性には羨ましい限りでしょう。

思わず嫉妬の炎がメラメラとしてきそうですね。発作的にクレスポがしっとマスクになりやしないかと心配です(笑)


そんなマロウがいきなりそんな昼ドラみたいな事を展開していたのだから、そりゃあベルカナもクレスポも驚きますよね。

しかも公衆の面前(公園でした)で抱き合ってた事にはベルカナも驚きます。何だかんだでそういう純な感性はお嬢様なんですね。

あのマロウがそんな情熱的な事をしてるなんて、と。まぁクレスポの場合は「またあいつだけモテて!」と別の意味で燃えてますが。

でもマーファ信者だし、普通に結ばれるべき仲になったのなら、案外すんなりくっついちゃうんじゃないですかね。

「自然であれ」がマーファの教義です。自然に恋仲になったのならば、きっとマロウはその人を大切にすると思いますよ。


しかしこの場合ギルド的にはどうなるのか。クレスポが言うには逃げたら暗殺者が来るらしいけど、結婚するからって逃げる必要はないと思う。

ギルドに属するからって、ドップリとつかる事はないのだろうし。属するだけで大して活動しない人もいると思いますよ。

あとは上司(バーゼル)や上層部が何処まで許すかですね。脱会したいとか、仕事はしたくないとかいう要望を何処まで。

特に街で盗賊の仕事をするというのでもないのなら、別に脱会しても害はなさそうなんですけどね。マロウの場合は特に。

ドレックノールやファンドリアは色々キナ臭いんですけど、ロマールは構成員も多いし、正統派だし、あまり無体な事はしないと思いたい。


しかし心配は要りませんでした。妙にセリフがつっかえてるから不審に思っていたら、案の定お芝居の稽古でしたというオチです。

ちなみにお芝居の相手はマロウに憧れる修道女のアリスちゃん。小さな黒髪というあたりが、ちょっとベルカナに似てるかも。


アリス 15歳

プリースト(マーファ)/セージ1。ロマールのマーファ神殿の修道女です。神殿の寄宿舎に住み込んでいます。気は弱い方。

お芝居ではマロウは王子様で彼女はその恋人役。彼女はこの役得を密かに楽しんでます。脚本もこの子らしいし、確信犯ですね。

マロウに対する想いは本物だけど、当のマロウが全く相手にしてくれないので、お芝居の練習にかこつけて恋人気分を満喫中。

なんとなくアニメ版リウイのマイリー神殿にいそうですね、この子はマーファだけど。

まぁほとんど女子校と化している点では、ロマールのマーファ神殿もオーファンのマイリー神殿も似たようなものですが(笑)


★2〜3

という訳で勘違いなんですが、クレスポ&ベルカナは真実に辿り着くまでマロウが本当に寿退社(違う!)すると壮絶に勘違いして行動します。

マロウもそうですが、密かにクレスポとベルカナの関係の方が気になる展開でした。例えるなら食品玩具のようなものです。

お菓子の方がメインだけど、実はオマケの方が目当てだというアレですね。仮○ライダースナックみたいな(古いし玩具じゃないし―笑)


まずはその話が真実かどうか、神殿の女の子達に聞き込みをしますが、これがもう蜂の巣を突いたかのような大騒動になります。

修道女達に大人気なマロウに「恋人いますか?」なんて聞けばそうなりますよね。なんかファンクラブとか派閥とかありそうです。

お陰でベルカナは黄色い声に当てられて、すっかり頭痛になってしまいました。クレスポは平気そうでしたが、むしろお姉さん全部くれ(流石)。


そこで得られた情報によると、2人は最近流行の娯楽である劇場に行ってるらしいので、現場を押さえてみる事にしました。

ロマールといえば闘技場ですが、血生臭くない演劇だってニーズはあるんでしょうね。上流階級の老夫婦から下町の女の子にまで大人気です。


やがて劇場前の人だかりに肝心の2人が姿を現しますが、腕を組んで口と耳を寄せ合ってお話してたりと、明らかに恋人チックです。

そんな光景に衝撃を覚えてるベルカナは、なんかリプレイの方とは別人のような気がしてきました。彼女はもっと黒かったような(苦笑)

いやそれはもっと後の話で、初期の方の彼女は本当にお嬢様属性の女の子だったんだろうか。でもファンドリアのホモ執事には卒倒してたし。


やがてマロウは出店に買い物に行くのか、アリスちゃんと別れてしまうのですが、ここでクレスポが彼女に接触しようとします。

しかしベルカナはクレスポを野放しにはしておけませんでした。そうしないとまた恥ずかしい事をするから、というのが本音です。

それって単純に身内がそういう事をするのは耐えられないからなのか、それともクレスポがするのは耐えられないからなのか。


そうして2人はアリスちゃんに声をかけ、マロウとの関係を聞き出そうとすると、いきなり彼女は引ったくり扱いしてお巡りさんを呼びます

彼女は本来そういう悪い子ではありません。でもマロウとの仮想恋人関係を邪魔されるかと思ったら、つい声に出てしまったのです。

ベルカナがマロウの本当の恋人ではないかと、一瞬の内に想像してしまったというのもあるんですよね。でも流し目で見るのは挑発的です。


それで散々官憲と追いかけっこをして、ついには魔法を使ってまで逃げないといけなくなったベルカナは気が収まりません

引ったくり扱いの上に、官憲に追われるなんて恥辱ですからね。ていうかクレスポもマロウも正直気に入りません。

マロウとアリスの関係を止めようともしないクレスポに、普段からは想像もできないような事をしてるマロウですから。

そして全ての元凶はアリス。そう思っているベルカナですから、彼女に何か言ってやらないともう気が済みませんよ。


彼女の苛立ちは既にマキシマムです。一触即発の状態なのですが、間が悪い事にそんな彼女にクレスポは真剣に尋ねました。

クレスポ「俺、真剣にモテたいんすよ!何でマロウばっかりモテるんすか?世の中不公平ッス!」

おちゃらけた様子はなく、物凄い本気です。ストレスの堪らない人だと思いきや、彼には彼なりの悩みがあるんですね。

そしてその悩みを本気でぶちまけたのはベルカナ。それは多分、彼女がクレスポにとって一番身近な女の子だから……かな?


しかしベルカナはそれでせっかく見つけたマロウとアリスの姿を見失ってしまい、ついに怒りが臨界点に達します。

ベルカナ「もう、クレスポさんが冒険者引退するなら止めませんのに!

つい口が滑ったというか、本音であって本音ではないというか、結構微妙なセリフです。でもそれは思ってても言っちゃ駄目。


★4〜6

引ったくり呼ばわりされて全てに苛立つベルカナもいよいよマジになり、アリスちゃんの部屋があるマーファ神殿に侵入を試みました。

それはやっぱり不法侵入なんですが、既に手段は選ばないらしい。でも見張りに見つからないよう手を回す理性は残っています。

クレスポとはまだ一緒に行動しています。一方は女の子を口説く為、もう一方は物申す為。その為にはお互いの能力が必要なのです。


まずアリスちゃんの部屋の位置は、クレスポが盗賊ギルドで調べます。ていうかそんな情報まであるんですか。

次に寄宿舎に接近するのですが、ここではベルカナが建物と2mの塀の間に"ダークネス"を張って見張りの目を誤魔化します。

塀の方は所詮2mだし、《登攀》は要らないかもしれませんね。ちょっと懸垂できれば誰でも登れるし。

「実は2D6−2m登ってた」ルールを使えば、仮に《登攀》に失敗しても出目4以上で登れますしね。要らないと思うけど。


そうして寄宿舎の壁まで接近し、素早くディスペルだか"ライト"だかで"ダークネス"を消します

実は見張りの男がすぐそこまで来ていたので、いくら夜でも"ダークネス"の闇があると不審に思うでしょうね。

現在1レベルの彼女だと、ディスペルだと5点使いますが、"ライト"だと3点で済むので、"ライト"を使った可能性が高い


次に寄宿舎の壁を《登攀》で登ります。クレスポは鍵爪付きのロープを窓枠に引っ掛けて楽々成功。ロープがあれば1ゾロ以外成功ですから。

しかしシーフ技能のないベルカナはやはり上手くはできませんでした。2階だから多分高さは精々3m程度なんでしょうけどね。

この場合だと基本の目標値10に加え、垂直で足をかけやすいので+2で目標値12でしょう。ほとんど荷物を持ってないとすれば10

《登攀》は冒険者+敏捷度になるわけですが、ベルカナだと基準値は4で出目は8/6要りますね。何とかなりそうな気はします。

それが駄目でも「実は2D6−2m登ってた」ルールを使えば、登りきれる可能性は高い。ただ落ちると痛そうですが。


そんなベルカナを助けたのがクレスポでした。素早く2階まで上がったクレスポが、自分の皮手袋を落したのです。

更にはうっかり滑り落ちそうになった所で、素早く手を差し伸べて落下を防いだりもしました。一応筋力15ですし。

さり気なくカッコイイ事しますね。こういうさり気ないカッコよさがいいんですよね。ベルカナには辛い壁登りも、クレスポは楽々でしたし。

ベルカナに渡した皮手袋がちょっと大きかったりしたのも気になりました。貧弱でも女の子よりは手は大きいんだな、とね。

マロウだってこのパーティーに必要だけど、それはクレスポも一緒なんだとチラっと思ったら、少し嬉しくなりました(クレスポ擁護派)。


登りきったベルカナは、疲れながらも"ロック"で窓の鍵を開け、アリスちゃんの部屋に侵入。やっぱり不法侵入ですよね(苦笑)

ここで2人は怯えるアリスちゃんと、いつものようににこやかなマロウから話を聞いて、誤解を解きました。

お芝居の練習をしていた所を見られたマロウは大分恥ずかしそうでした。だったら公園じゃなくて、神殿の一室でやればいいのに。


アリスちゃんは泣く泣く事情を話してマロウに思いの丈をぶつけますが、マロウにとって彼女は妹みたいなもので気持ちには応えられないらしい。

そういう風に泣かれると、ベルカナの方はもう何も言えないわけでして、とことん損な役回りですね。

でもちゃんと謝ってくれたし、結果オーライとすべきなんでしょうね。マロウもまだまだ冒険者をやめる気はないらしいし。


あとそのお芝居ですが、「ペケポロトン王子」というそうです。また舌を噛みそうなタイトルですね(苦笑)

今度のマーファの祭日(あるんだ)に神殿でやる訳ですが、冒険者志望の王子様がマーファの愛に目覚めるという、実にマーファっぽい話です。

この劇の脚本を書いたのがアリスちゃんなのですが、という事は伝承とか御伽噺とかではなく、彼女の創作なんでしょうかね。


結果的には早とちりして不法侵入して赤っ恥をかいた訳ですが、そのツケはクレスポを杖でシバき倒して解消。お星様になっちゃいますよ。

でも当日の劇にはちゃっかり2人で見に行ってるんですよね。何だかんだで本当にこれは公式プッシュなのかな。


クレスポ「俺、ロマールのギルド幹部になるくらい、強い盗賊になるッスよ。損はさせないッスよ

また真面目な顔でそういう事を言う。でも実際に幹部になっちゃうし、ギルド内でも随一の出世株になるし、嘘ではないんですよね。


あとベルカナのあの失言ですが、結構クレスポは気にしてたらしく、「今でも止めてくれないンすか、俺の事?」なんて言ってました。

まぁその頃には神殿への侵入で色々助けて貰ってた事もあって、「きっと止めますわよ」と(クレスポには聞こえないけど)答えました。

何かクレスポのセクハラな言動に対するツッコミの鋭さが、段々「GS美神」の美神と横島みたいになってきましたが、いい関係なのかも。


「バッド・レッド」

★1〜2

今度のお話もやっぱりクレスポとベルカナが主役です。今回は盗賊ギルドからの命令を2人でこなす事になります。

ギルドの構成員が儲けと商品を横領した事件がありまして、その犯人6名は既にバーゼルさんとその部下によって制裁を受けています。

6人の内2人は捕まえたし、2人は死亡が確認されています。もう2人は現場の谷底に落下したので死体を捜索中です。


彼らは街道脇の山中、ロマールから1日ほどの猟師小屋に、その横領したブツを隠していました。それも、既に押さえているのです。

では2人は何をするかというと、見張りです。ブツを搬送する係りの人が来るまで、ブツを山賊などに持っていかれないように見張っているだけ。


ただ見張ってるだけだから楽な仕事なのかもしれないけど、人里離れた山の中で長時間待機なんて退屈至極です。

バーゼルさんは黙っていればナイスミドルなんですが、無駄に偉そうなのがとても癪に障るようですね。それもまた不満の種。

報酬は支払われるそうですが、まだ1レベルの2人では大した額ではないんじゃないですかね。それもやはり不満の種です。


しかも今回もクレスポと一緒なので、ベルカナはもっと不満です。もしかしたらこの時点ではまだ完全にはパーティーを組んでないんじゃ。

闘技場の前でたまたま居合わせて、たまたま事件に巻き込まれただけで、気づいてみたら盗賊ギルドに入会させられたのが彼らの出会い。

しかも同期というだけでチーム扱い。後には割りと仲良くなる彼らですが、最初期の彼らはまだまだ結束は緩いんですよ。

ただこの時点でも赤の他人とは思ってませんよ。仕事を断る口実に持ち出したりしてますけど、ベルカナ的には友達ぐらいでしょうか。

彼らがきちんと「皆で一緒にやっていこう」と決意するのは1巻の3話ですが、結構微妙。事後のような、事前のような。


不満たらたら2人は現地に飛び、猟師小屋でひたすら暇な時間を過ごします。現在小屋の外は雨、すぐ傍の谷底には濁流が流れています。

ベルカナは本を持っているからいいけど、クレスポはといえばムチの手入れぐらいしかする事が無い。究極に詰まらん暇潰しですね(苦笑)


外には出れない、ベルカナは構ってくれない。退屈の極みにあったクレスポは、地下への隠し戸が気になって仕方ありません。

この隠し戸は地下に繋がっていて、そこには横領されたブツが保管してあります。バーゼルさんには入るなと言われていますがね。

しかしそう言われると気になるのが人の性です。「覗くな」と書かれた穴だけがある真っ白な密室に、数時間放置されるようなもんです(笑)


我慢できなくなったクレスポは言いつけを破って地下への隠し戸を開けてしまったのです。あ〜あ、止めとけば良かったのに(笑)

突如漏れてきたのは、花の香りを混ぜっ返したような、不快な甘い匂い。この時点で、彼らは既に面倒毎に巻き込まれていたのです。


これは何かというと、マドワシバナという麻薬の原料ともなる花のようです。文字通り幻覚作用があるんでしょうね。

これがあるからバーゼルさんは地下に行くなといっていたんですね、だったらそう言ってくれればいいのに。これも機密なんでしょうかね。

このマドワシバナの匂いによって、2人は幻覚を見る事になりました。一種異様な幻覚の世界へと、2人は落ちていきました。


まずベルカナは、クレスポの指が千切れている幻覚を見ました。これは驚きますよね、何だってそんな大怪我してるんだか。

中指が半ばちぎれ、先っぽがなくなっているんです。そんな怪我をしたら、クレスポはすぐに出血多量でぶっ倒れてしまいそうですがね。

もしこれが本物の怪我ならば、キュアーとかでは駄目ですね。再生しようと思えば、7レベル神聖魔法の"リジェネレーション"ですね。


これだけなら大した危険はなかったのですが、直後彼らは生き残っていた裏切り者の襲撃を受けてしまいます。

彼はギルドの制裁を受け、ボロボロになって谷底に落ちながらもまだ生きていたのです。生死判定で6ゾロでも振ったか。

彼は持っていたダガーでドガンドガンと小屋の扉を突き刺し、ぶち破ります。何やらホラー映画みたいな事になってますね。


しかも彼は制裁を受けた時の恐怖によって、レッドキャップになっていました。朱頭病とも言われる、恐怖によって発病する病気です。

レプラコーンが異常発現するこの病気は、深度が2以上になると変形します。手足が伸び、体が赤みを帯び、猫背になり、髪が抜け、目が赤くなる。

進行速度は1週間、致死深度は5ですから最短で発症から一月で死亡。進行強度は5だから、その際の確立は1/1296ですね。


このようになると、やはりレッドキャップというモンスターです。しかもその視線によって伝染するという、非常に面倒な能力を持ちます。

3レベルモンスターで、ベルカナの知識にもあります。知名度が12だから、基準値4の彼女は出目8以上で知ってますね。


しかし幻覚を見る2人は、それぞれ彼が異様な怪人に見えてしまうのです。周りで「イーッ!」とか言ってる黒タイツの戦闘員がいそうな(笑)

ベルカナの方はカエル人間ですね。イラストにもある蛮族っぽいカエル男。こんなのが突然現れたら普通に気持ち悪いです。

「牧歌の国の魔法戦士」に名前が出てきた蛙人族とやらも、こんな格好なのかもしれません。そっちはどうも実在するようですが。

クレスポはというと、頭に花と葉が生えた大男だったそうです。どうもその時考えていた事が影響してるようですね。


ベルカナは出会い頭に"スリープ・クラウド"を撃ちますが、寝ない。彼女の魔力とレッドキャップの精神抵抗は同じで、若干相手が有利だし。

レッドキャップになると知能は低くなるので、相手はクレスポの挑発に反応して工夫もなく突っ込んでくる程度の戦術です。

攻撃点10(3)に対し、回避力は7、盾を持ってないとしても5あるんですよね。持ってないとしても75.6%、大分避けやすい。


どうやらレッドキャップは馬鹿力らしく、簡単に小屋の壁に穴を開けたりするのが怖いかな。鎧が薄い人達ですからね。

モンスターの筋力を「打撃点−レベル」×3とするなら、こいつの場合筋力は18になりますね。確かに怪力の部類に入る。

普通に戦えば勝てない事もない相手だけど、今の2人には謎の怪人に見えてるから、ちょっと手が出し難い相手でもある。

それにあの赤い目は、姿形が違っていても依然として病気をうつす力があります。だから何となく見ちゃいけない気がするようです。

あとは身体の大きまで違って見えてるようだから、攻撃力に−修正とか入っていそうですね。


★3〜5

狭い小屋の中では戦っていられないので、2人はレッドキャップの開けた穴から外に脱出します。

ところが雨で地面が崩れ、思ったよりも崖っぷちが近くなっていたので、2人は断崖の下へ落下してしまいました。

しかし途中で岩棚引っかかって助かります。この辺は幻覚ではないので、本当に危なかった。下手したら幻覚の世界から永遠の眠りです。


落下の衝撃で気を失っていたベルカナの手当てをしたのは、やはりクレスポでした。彼女が本気でヤバイ時には確実に助けるんですよね。

手当てされた場所は足であり、大分高い位置だったからスカートを巻き上げたんでしょうね。その辺恥らうベルカナはやっぱりお嬢様属性。


崖を登るのは流石に無理そうなので、2人は側に開いていた洞窟へ潜って出口を探す事にしました。

この分だと地肌は非常に濡れていて、《登攀》するにも4か、下手したらそれ以上の修正が入りそうですからね。流石に危険です。

この洞窟は小屋の下のマドワシバナがある天然洞窟へ繋がっています。そこまではベルカナの"ライト"で進みました。


そうして生きて帰ってこれた2人ですが、そこには例のレッドキャップ(まだ2人には怪人に見える)がいて再び戦闘になります。

さっきから2人とも、モロに目を合わせているので、何度か抵抗ロールを行ってるんですよね。2D6が5以上なら感染はしませんけどね。

5以上と言えば確立にして83%は抵抗できますが、こう何度もやってると最後には失敗するものです。あんまりモタモタしてると危ない。


ベルカナの"エンチャント・ウェポン"と"プロテクション"の援護を受けて、クレスポはレッドキャップに攻撃を重ねます。

ただクレスポの武器ってやっぱりウィップなんですよね。基本的には転倒目的で、ダメージを負わせるには向いてないんですよね。

ウィップは必要筋力5で打撃力0なのですが、この本のデータでは打撃力10になってるんですよね。


相手の回避点は11(4)で、クレスポの攻撃力は2です。固定値を使っても9以上(27.8%)だし、ロールしても33.8%なんですよね。

それで当たったとすると、防御点は6です。対するクレスポは打撃力0の追加ダメージ5。出目7以上で通りますね。

予想に反していい感じでヒットしても、相手は無傷に見える。しかしそれは幻覚がそう見せてるだけで、本当はもうボロボロなんですよね。


クレスポは力があるレッドキャップに吹き飛ばされ、このままでは危ないという時、ベルカナが例のブツを発見。マドワシバナであると見抜きます。

そうなれば何とかなるもので、ベルカナは傷口の血生臭さを思いっきり嗅ぐ事で幻覚から抜け出す手段を見つけたのでした。


相手がレッドキャップだと判明したので、クレスポはウィップ、ベルカナはエネボルで更に攻撃します。

でもこの時点でベルカナは、"スリープ・クラウド"にエネボルに"ライト"、エンチャント、プロテクと19点使ってるんですよね。

ところが彼女の精神力は18点ですから、計算が合わない。それとも崖から落ちて気絶してる間に6時間寝て回復したのかな?


片言で喋るレッドキャップはギルドの人間である2人に激しい敵意を剥き出しにして攻撃してきましたが、何とか仕留めます

と思ったらまだ生きていたりする。ギルドの人間は殺そうとする敵を前に、もう精も根も尽き果てた2人は、絶体絶命の危機に陥ったのです。


そこに現れたのがバーゼルさんでした。しっかり匂いをかがないようにマスクまでつけています。それを支給してくれていれば(苦笑)

そのバーゼルさんを見ると、レッドキャップが怯え出す。そもそも何故彼が朱頭病にかかったか、バーゼルさんの制裁を受けたからです。

怖かったんでしょうね、死んだ方がマシってほどの制裁を受けたんでしょうね。ギルドの裏切り者への制裁の過酷さは、筆舌に尽くし難い。

既に発狂してしまったレッドキャップは大した抵抗もできず、バーゼルさんの部下に縛られて今度こそ本物の地獄に直行でしょう。


恐ろしい笑みを浮かべるバーゼルさんに、ベルカナも恐怖していました。この人は、こんなにも恐ろしい面を持っていたんですね。

「レイド・レボルト」では散々ダメっぽかったくせに、こういう盗賊ギルドの幹部らしい所もあったんですね(感心)。

リプレイではダメ男っぽいので、こういうカッコイイ?面を見せてくれたのは嬉しいんですが、もっと違うカッコ良さも見たい。


やがてレッドキャップは発狂しました。恐怖が臨界点を越えて、ついには精神を壊してしまったのです。……そんなに怖いのか。

ベルカナは自分が身を置く世界の本当の恐ろしさを感じて、背筋が凍っていました。下手したら、明日は我が身かもしれません。

しかしそんな中、クレスポはいつもの呑気なクレスポでした。そんなクレスポに、ベルカナはつい笑ってしまったそうです(笑)

クレスポはいつかバーゼルを越えると宣言しました。この根拠の無いゆとりと自信が、ベルカナは多分嫌いじゃないんでしょうね。


「ライアー・ラヴァー」

★プロローグ〜2

最後のお話は雑誌には載っていなかった書下ろしです。今度はペラペラーズ全員がいつものように活躍する中篇ですよ。

それでもやっぱりベルカナが主役。最後の方にはやっぱりクレスポとのそれっぽい展開があったりします。


その日のペラペラーズは、ギルドのシャバ荒らしをする窃盗団を捕まえる仕事をしていました。

勿論ベルカナは頑張って仕事を完遂しようとしました。ところが仲間達が思うように動いてくれず、うっかり犯人を逃してしまいました。


まずシャイアラは遅刻したので逃走経路を洗う暇がなかったので、犯人達は小船を使って用水路から逃げ出そうとしました。

ブックは本を取り出して小船の知識を披露します。披露しただけで別に妙案があるわけでもなく、ただスレインの如く解説しただけ。

マロウはというと、迷子の子供の面倒を見ていて役に立ちませんでした。相変わらず優しい男ですが、間が悪すぎましたね。


最後にクレスポですが、犯人の船に向かって跳躍するも、ライト・クロスボウで迎撃されて汚水へドボン

鉢巻にクロスボウのボルトが命中したというので一瞬死んだかと思いましたが、ドッコイ生きてる汚水の中(笑)

しかしよくクレスポ生きてましたよね。もしかしてあの鉢巻って板金でも入ってるんですか。そうでないと矢クレスポになるような……。

ていうかクロスボウの矢ってボルトじゃなくてクォーレルですよね。ボルトでもいいんですけど、ルルブではクォーレル。


その衝撃的な光景に、"スリープ・クラウド"を使おうとしていたベルカナは思わず詠唱を止めてしまいました。

幸いにも犯人は他の構成員がしょっ引きましたが、任務失敗である事には変わりない。またもバーゼルさんからお小言を貰います。

失敗は失敗、ベルカナもその点は弁解しません。しかし自分は頑張った、周りが足を引っ張っただけ。そんな不満があります。

自分の役目は一生懸命にやる優等生タイプの人によくある憤りですね。周りの人の不真面目さが許せないんですよね。


このままバーゼルさんに「無能」扱いされたままではとにかく腹の虫が治まらないので、名誉挽回の別の仕事をする事を決意しました。

その仕事とは、下町の売れっ子占い師の調査です。その占い師には、ギルドが仕切っているを無断で販売している疑惑があるのです。

そういうものを扱う場合、ギルドに上納金を納めねばなりません。しかしもし納めていないのなら黙ってはいられませんね。

実際どういう処理をするのかは謎ですが、警告して払う意思が生まれれば慰謝料込みで払わせるんじゃないですかね?

それすらも聞かず、更に商売するようならばヤっちまうんでしょうかね。それとも未納なら警告なしでいきなりヤっちゃうのかな。


実際に占い師のもとを訪れて、占いを受けてみたのはベルカナとシャイアラでした。やっぱりこういう占いは女の子の客が多いみたいなんで。

2人はありふれた?街娘に変装し、順番待ちをしていたブック(当然読書で暇潰し)と交代して、占いの館(テント)に入ります。

その間に男衆は、占い師が常連にのみ販売しているという紅茶の調査をしています。この紅茶がこの占いのネックだったりします。


館にいたのは2人でした。占い師の少女ソフィーと、その後ろに立つ黒ずくめの男ネイハムです。テントの中には甘ったるい匂いが充満してる。


ネイハム 32歳

シーフ/レンジャー3、セージ2。生命力がさり気なく18あり、かと思えば敏捷度は17と微妙ですね。武器はダガーのみ。


ソフィーの方はヴェールを被った可愛い女の子なんですが、どこか人形めいていて、生きていないような感じがしますね。

ネイハムの方はもう怪しい怪しい。全身真っ黒で、さながら闇司祭です。メン・イン・ブラックとして宇宙人とか捕まえてそうな(笑)

そしてテントの床には、円錐や角柱といった幾何学的な置物がズラリと並んでいます。これも勿論伏線ですよ。


ベルカナは自分の今後を占ってもらう事にしました。半分ぐらいは仕事ではなく、私的な感情も入っていそうですね。

占いの方法はまず星の砂というものを、黒い布の上に流します。緑や赤の砂が螺旋を描くというのは、いかにもソレっぽい。

そしてソフィーは、ベルカナに重大な転機が訪れると言い出します。そこで更に深く知る為に、胸を触って占いました。

ベルカナといえば貧乳。実は身長も胸も成長期なのではなく、止まってたりする。またこれでクレスポとかにからかわれる(苦笑)


それで出た結果ですが、心の変化によって人生が左右されるというものでした。また曖昧なもんですよね、占いらしいといえばらしいけど。

心の変化が人生を左右するなんて、誰にでも当然のようにある事です。そういった事を言ってる限り、大当たりはないけど大ハズレもない。

実際フォーセリアにおいては運命は流動的です。セージ技能の《占星術》もぶっちゃけGMの都合の為にあるし、あまりアテにならない。


その後5人はいつものように酒場にたむろし、それぞれの結果を報告し合いました。とはいえ紅茶の方は大した事は分かりませんでした。

結局ベルカナ達は常連ではないので売ってもらえなかったし、マロウも紅茶を持つ修道女から譲ってもらおうとしたものの、可哀相だから断念

修道女達がとても紅茶を大切にしていたから、譲ってくれなんて言い出せなかったそうです。優しいマロウらしい。甘いけど。

クレスポの方はネイハムが出入りしている廃屋を特定。あと最近話題の幽霊屋敷を趣味で調査、また余計な事……でもなかったりする。


占いであんな事を言われたり、先日の大失態もあったりで、ベルカナは「わたしは何故こんな所にいるのでしょう?」と思っていました。

ぶっちゃけ今のメンバーに不満がありまくるのです。そして彼らが仕事仲間である事が、不安になってきたのです。

クレスポは貧弱、マロウは優しすぎる、シャイアラは面倒くさがり、ブックはシャイアラに全権を委ねてる……。


もういっそ、このメンバーとは別れようかとすら思っていました。少なくとも自分が選ぶ立場だったら選ばないと。

しかし一つだけ問題があるのです。ベルカナが1人沈黙している時、気を使って話しかけてくる仲間達

それぞれ勝手な事を言ってるようですが、それがベルカナには心地よかったりもする。そう、彼らと一緒にいるのが楽しいのです。


つまり友達としてはとっくに認めているんですね。一緒にいるだけで楽しくて、お喋りするにも食事するにも飽きない友達。

でも仕事仲間としては不安なんです。盗賊ギルドは、冒険の世界は、命の危険と隣り合わせです。ならば信頼できる仕事仲間が欲しいと。

実はベルカナにはそんな葛藤があったのです。真面目で努力家な彼女だからこそ、このメンバーには悩む所が多かったのです。


★3

翌日にはペラペラーズはネイハムが出入りしているという廃屋を調べていました。聞き込みによると、闇市の商人デボワと会っているらしい。

ベルカナとクレスポはデボワを張り、残りの3人は屋敷の方を張っていました。やっぱりベルカナとクレスポはセットなんですね(笑)


張り込み中でもクレスポは呑気なもので、「おれたちーは、アドベンチャラー♪」という飲み屋の陽気な歌に合わせて歌ってたりします。

ベルカナはそんなクレスポや歌も嫌いでは決してないのですが、やはり仕事仲間と友達の違いを考えて思い悩んでいました。

そしてそうして仲間について悩む度に、あの占い師の言葉が脳内でリフレインする事に気づくのです。


やがてデボワが出てきたのでクレスポが《尾行》で追跡します。そしてベルカナはその更に後をついていきます。

シーフ技能がない彼女ではクレスポのようにはいかないので、デボワとの間にクレスポというクッションを置いているんですね。

この方法なら上手くすればシーフ技能がなくても追跡できるかもしれませんね。パーティー単位で足並み揃えて追跡は難しいですからね。

気づかれないよう接近する《忍び足》は、どうしても距離が詰まると音が聞こえるから無理っぽいですが。特に金属鎧着てると。

"ミュート"で消音する事もできない事はありませんが、それだと戦士はともかく魔法使いが困りますからね。いざという時連携も取りづらいし。


やがてデボワは予想通り例の廃屋に入っていきます。仲間達とも合流し、クレスポやシャイアラは中に入る事を主張します。

まだネイハムが現れていないし、中に入るとしたら待ち伏せとかになるんでしょうね。しかしベルカナはそれが正解か?と考えます。

人一倍慎重な彼女は、仲間達の意見を聞いて、こうして吟味する事が多いんでしょうね。誰に頼まれるでもなく、自発的にです。

そして彼女は、ここでその意見を却下すると士気が下がるというのでそれを了承します。なんとちゃんと全体の士気まで考えてるんですよ。

他にそういう事をする人がいないから、彼女の存在は貴重ですよね。そしてその苦労を誰かが一度は褒めてやるべきです。


テキパキと指示を出すベルカナに、マロウは「頼りになるだなぁ、ベルカナは」といつものように笑いかけました。

ところがベルカナは胸が痛みます。何故ならば既に彼女はこのメンバーと縁を切る覚悟を決めていたからです。

やはり仕事とプライベートは別であり、何かあった時にはお互い助け合って困難を潜り抜けられるような、頼りになる仲間が理想なのです。


だからベルカナはこの仕事が済んだら「もう二度と一緒に仕事はしません」とキッパリと絶縁宣言をするつもりでした。

結局は占いを信じる結果になっているような気もしますが、彼女はそれを承知で、とにかく楽になりたいんです。

そういえば今の彼女は自分が仲間達から頼られる立場ですもんね。信頼できる仲間が欲しいというのは、その裏返しでは。

実は今の立場が苦痛だったりするのかもしれませんね。頼られるのではなく、頼りたい。それは多分、彼女の弱さ?


ただ一つ気になったのは、危機に陥った時には誰もが先に逃げそうだという予想です。マロウは残るでしょうけどね。

この時点で彼らはまだまだ出会って日が浅いし、お互いの事もまだ良く分かっていないでしょう。色々至らぬ所も多いし。

けどそう簡単には見捨てない程度の絆は結ばれていると思うんですよね。流石にそれは仲間達を低く評価し過ぎという気もします。


廃屋にはクレスポが先頭に立って罠などを警戒しつつ進みます。すると2人の男が話し合う所に出くわしました。

ところが既に話は終わり、解散しそうです。ここでバラバラになられては張り込んだ意味がない、現場を押さえないといけません。

これにはベルカナも焦り、突入する事にします。予想通り中にいたのはデボワとネイハムでしたが、ソフィーまでいました。

ネイハムの手にはご禁制の品物まで握られています。ここを押さえ込めれば、現行犯としてギルドに突き出せますね。


ところがネイハムは投降なんてせず、ソフィーに"エネルギー・ボルト"を使わせます。対象はクレスポとマロウでした。

実は彼女は古代語魔法4レベルの能力を持ちます。魔力は6ですが、今の彼らにはかなり厳しい相手なんですよね。

クレスポの精神抵抗は3(精神+0―哀)だから、抵抗できる確立は16.7%ほど。マロウは4だから24.4%。

抵抗できないと7振って9点来るから、クレスポは一撃で生死判定。できても9以上振られるとやっぱり生死判定。


この一撃でマロウはともかく、クレスポはやっぱり気絶。生きていますが、見ている方は生きた心地がしません。

続けてネイハムは目の前にいたデボワを刺殺。何ら躊躇いもなく、簡単に人を殺せる男なんですね。

これでベルカナは頭に血が上ります。自分の名誉の為にも逃がせない。仲間を傷つけ、変な占いをし、目の前で人を殺したんですから。

この時はクレスポが殺されたかと思ったんですよ。そしてネイハムが自分に対して気色悪い笑みを浮かべたのも手伝ったのです。


隠し通路から脱出するネイハムとソフィーを追って、ベルカナは1人で後を追ってしまいました。それを見かねたシャイアラはベルカナを追います。

普段はあんなに怠けていて、面倒臭がりのシャイアラなのに。こんなにも一生懸命走る事があったんですね(感心)。


ところが出口で待ち伏せしていたネイハムとソフィーには歯が立たず、挙句にはシャイアラが誘拐されてしまいました。

それだけでなく、ベルカナも攫おうとしましたが、そこにブックが駆けつけてきたので難を逃れます。

ネイハムは言い残しました、「次は君の番だよ、お嬢さん」と。まるでデュラハンに魅入られたかのようです。

しかしベルカナは黙ってシャイアラが連れ去られるのを見送るしかありませんでした。この時の彼女はさぞ無力感に打ちひしがれてたでしょう。


★4

一夜明け、ベルカナはとにかく自分を責めていました。自分が冷静さを欠いたからこんな結果になってしまったと。

しかしクレスポとマロウはそんな彼女を励ましました。そして普段では言わないような本音を、彼女への感謝と謝罪を口にしたのです。


クレスポも自分達がちゃんとしてないから、その分ベルカナの負担になっている事は分かっていたんです。

ベルカナが立てた作戦なら間違いない、ベルカナがテキパキしてくれてるから安心できる。つまり彼女を本当に信頼していたんですね。

出会いこそ偶然だったかもしれないけど、皆で仕事をするのが楽しいらしい。こういう時だからそういう恥ずかしい事が言えるんですよね。

あとここでクレスポは「パーティーを組んでない」と言ってるんですが、とすると3話の直前って事ですかね?


マロウはもっと凄かったです。あの時自分達が倒れた時、ベルカナが本気で怒ってくれた事をわざわざ持ち出してくるし。

あの時は当然の感情でしたが、改めて言われるとこれは本当に恥ずかしい。クレスポまで赤いし。平然としてるのは本人のみ(笑)

恐るべし天然純朴ハーフエルフ。こんな風に素直に相手に感謝する事ができたなら、どんなにいいでしょうね。


1人冷静なブックなんですが、ちょっとベルカナには怒っていました。しかしそれ以上にシャイアラに怒っていました

普段は怠け者のくせに、なんであんな無茶をしたのか。答えは分かりきっています、大切だからです。また恥ずかしい事を婉曲的に(苦笑)

グラスランナーというか、むしろツインテール・キャットみたいな人ですね。しかも意外にに面白い冗談とか言えるクチらしいし。


そのブックはあの取引現場に落ちていた紅茶の葉っぱを採取していました。盗賊というよりも賢者というよりも、鑑識みたいですね。

実はこれはあのマドワシバナと同系統の特殊な草で、煙を吸ったり水で呑んだりすると、軽い自失状態になるらしい。勿論ご禁制の品ですよ。

あの時ネイハムがデボワから買い付けていたのはきっとコレですね。ドサクサに紛れてちょっと落ちたんでしょう。一応ギルドに報告できる。


そしてその自失状態の時にかけられた言葉は容易に暗示となる。これがあの占いが当たると言われた理由なんですね。

客に香をかがせて自失状態にし、占いにかこつけて暗示をかける。すると何かある度にその言葉を思い出して、当たった気分になる。

しかも効果が切れた後は躁状態になる。ベルカナがあの時興奮してたのも、多分それが一役買ってるんでしょうね。


ただ仲間に対して抱いていた不安とか不満は全くの作り物ではない。暗示がそれをより顕著に表層化させただけでしょうね。

この事件が片付いて、シャイアラを助け出したら、今度こそサヨナラだとベルカナはまだ考えています。


では何故ネイハムが偶然出会っただけのベルカナやシャイアラに執着するのかというと、それこそが彼の最大の目的に繋がるのです。

彼にはソラリアというフィアンセがいました。彼より3つ下のとても頭のいい人で、魔術師ギルドでも注目される研究生だったそうです。

ある日彼らはフィールドワークに出たのですが、そこでシュルドゥルゥという魔法生物を発見しました。これは大陸初の発見だったのです。


シュルドゥルゥはR&Rで公開されたモンスターで、小説に登場するのはこれが初めて。大陸で最近発見されたのですが、実は彼女がその発見者。

白い肌は節の多いゴム質であり、前頭は張り出していて、その両手はペンチ状(C←こういうの)。目と耳が大きく、鼻は埋没してます。

なにやら宇宙人だか怪人だかといった容貌ですね。挿絵に載っているシュルドゥルゥを見ると、益々ネイハムがメン・イン・ブラックのようで(笑)

それ以外の体格や体形は人間と同じです。二足歩行の、白いハサミ男(性別はない?けど)ですね。


シュルドゥルゥが何の為に創られた存在なのかは現在研究段階ですが、知能は低いくせに記憶力はズバ抜けています

彼らは独自の言語シュルドゥルゥ語を持っていて、それで会話・読文をこなしますが、まだセージ技能やバード技能では習得できない。

しかし"タング"や"トランスレイト"なら普通に理解できます。そうでなくても下位古代語は喋れるだろうから、貴重な情報源にもなるでしょう。

更に彼らは強固なテリトリー意識を持っていて、幾何学的な置物によってそれを主張しています。


また彼らは精神魔法に耐性(精神抵抗+2)を持っています。それで抵抗を破ったとしても、望みの効果は得られません

というのも彼らに精神魔法がかかると、その種類は問わずに「シュルドゥルゥ精神効果表」によって効果を判定するからです。

そのリアクションは様々であり、逃げたり、バーサークしたり、ペナルティーが入ったりです。派手なものだと頭部が爆破したりする。


そういったシュルドゥルゥの精神効果の中には、「活動停止」「命令待機」といったリアクションも存在します。

「命令待機」のシュルドゥルゥならば、彼らに理解できる言語で命令する事によって主人(マスター)になる事も可能です。

これらのシュルドゥルゥを発見し、魔術師ギルドに引き渡すと礼金と交換できます。前者で数百、後者なら数千ですね。


シュルドゥルゥは現在大きく2種類が確認されています。通常のシュルドゥルゥ(3レベル)と、シュルドゥルゥ・リーダー(5レベル)です。

通常の方は前述通りに知能は低いのですが、リーダーの方は人間並みであり、古代語魔法4レベルの能力を持ちます。数値も軒並み2高い。

彼らが何故生み出されたのかというのは、多分ユーザーの方に委ねられた命題です。記憶装置とか色々用途は広そうですね。


これを研究すれば彼女はより飛躍した筈でした。ところが彼女は、それを妬む学友に殺されシュルドゥルゥを奪われてしまいました。

そこからネイハムは狂い始めたのです。まず国外逃亡し、のうのうと研究をしていたその学友をぶっ殺します


そして彼は「待機状態」のシュルドゥルゥ・リーダーを手に入れ、その主人となりました。そして彼は決意します、ソラリアを復活させると。

予想通りシュルドゥルゥはソラリアの事を覚えていましたから、その上で"シェイプ・チェンジ"させればソックリです。

しかし完璧ではない。そこで彼はそのシュルドゥルゥに完璧にソラリアを模倣する事を、いやソラリアそのものになる事を望んだのです。

そこでシュルドゥルゥを占い師ソフィーに仕立て、女性客を物色し、ソラリアの身体のパーツにあう者を攫い、記憶させていったのです。


しかしどうしても太股と胸だけは見つかりませんでした。そこに現れたのがシャイアラとベルカナでした。彼女達は適格者だったのです。

太股はシャイアラが、胸はベルカナがソックリ。だからあの時ネイハムはソフィーに胸を触らせたんですよ。

しかし触っただけで分かるもんですかね。シュルドゥルゥがソラリアの胸の形を覚えていればともかく、そうでないなら判別不可能。

あるいは後でシュルドゥルゥにベルカナの胸の形に変身させて、ネイハムが自ら触って確認したとか?どっちにしろ変態臭いですが。


だから今現在シャイアラはベッドに縛り付けられ、スカートを裂かれてその太股をソフィーに吟味されています。

かつてない種の危機に、流石のシャイアラも色んな意味でビビっています。他の女性もこういう風にされたんですね。


さて、そういった今回の真相も、本気を出して調査を始めたペラペラーズによって、ほんの触り程度は突き止められます。

あの紅茶ですけど、マロウが思い切って修道女に分けてもらったそうです。結果例の麻薬だと特定できます。今回は仲間の命がかかってるからね。

あと常連客が数名行方不明になっているんですよね。置手紙はあるらしいけど、そんなの暗示でどうとでもなる……かな?

そしてクレスポは、例の幽霊屋敷の前の持ち主がソラリアである事を突き止めます。仲間の情報があったから合致しただけなんですが。


★5〜エピローグ

その屋敷は10年間放置され、不思議な物音が聞こえるという事で、付近の住民が幽霊屋敷だと噂していました。

しかし本物の幽霊が出るわけではありません。偶然のクレスポ情報から察するように、ここがネイハムのアジトなのです。

シャイアラを取り戻す為に、4人は決意も新たに屋敷に勝手口から侵入しました。鍵とかはクレスポがチョチョイと開錠です。


そうしてキッチンから侵入した一行でしたが、早速屋内にビッシリ敷き詰められた幾何学的な小物の山に動揺します。

勿論これはあのソフィーこのシュルドゥルゥのテリトリーですよ。テリトリーなのは結構ですが、これじゃあ足の踏み場もない(苦笑)

ネイハムはこんなんで生活してるんでしょうかね。それとも単に女性を連れ込む隠れ家にしてるだけなのか。

このテリトリーに関してはブックとベルカナが何かを思い出しそうになるんですが、結局は分かりませんでした。


それでも行くしかないので、小物を蹴飛ばさないように慎重に進みます。シーフ技能を持つクレスポとブックは楽勝っぽいけど、他2人は大変そう。

しかしベルカナがクモの巣に気を取られ、足元の小物を蹴飛ばしてしまいます。するとドミノ倒しで大騒音が起きてしまいました。

この時クレスポは危ないと飛びつこうとしたのですが、ベルカナは避けてしまったのです。クレスポは言いました、「信用して欲しい」と。

ベルカナは気恥ずかしくて避けたのですが、それをあの占いと結びつけずに考えると、やっぱりカップリング的なものを感じますね。


テリトリーを侵された事を知ったソフィーは大慌てで現場に急行してきました。ネイハムも後からついてきます。

しかしお陰でシャイアラが助かりました。実は今の瞬間、彼女はネイハムに腹にダガーを突きつけられていたんですね。

もしかして殺すつもりでしたか。今まで攫った女性達も、そうして殺されてからゆっくり観察されたんでしょうかね?


お目当てのパーツがやって来たので、ネイハムはベルカナを捕獲しようとします。他の3人はソフィーに任せてね。

現在の居場所は屋敷のエントランスホールです。2階が吹き抜けになっていて、大きな階段がある所ですね。そこそこ広いから戦闘には十分。


まずソフィーは"スリープ・クラウド"を使いますが、そういうチマチマした戦法はこのペラペラーズには通用しません。

人間並みの相手より知力が高い面子なので行動は容易に読める。加えて敏捷度が高いから、魔法の効果範囲から先に脱出する事も可能

"スリープ・クラウド"の到達距離は30m。屋敷の広さを考えると、届かない事もない筈ですよ。ちなみにこれで2点消費の残り18点。

ただし全員を同時にロックオンするのは無理でしょうから、キャンセルするか1人を狙うかすればいいんですが、無駄撃ちしてしまいます。

"シェイプ・チェンジ"したらソラリアの敏捷度に縛られるから、敏捷度12とは限りません。でもこの連中よりかは遅いんですね。


ネイハムはここがソラリアの屋敷なので、派手な"ファイア・ボール"などの使用は禁止しています。そこでソフィーは正体を現して肉弾戦です。

対するはクレスポ、マロウ、ブックです。魔法は使えないとはいえ、5レベルモンスター相手ではいかにも分が悪い。

実際3人がかりでも歯が立ちませんね。《囮攻撃》とか、攻撃対象を先読みしてそれ以外の人が《強打》といった戦法では埋められない差です。


マロウに攻撃が行かない時に《強打》して7振れば4点も削れるんですが、命中確立が24%しかないんですよね。

ならばブックやクレスポが《囮攻撃》して当てさせたいところですが、相手の知能を考えるときっと避けない

逆にマロウが《囮攻撃》したとしたら、きっと避ける。いずれもクレスポとブックが打撃力不足だから、そっちに当たった方がマシです。


ブックなんて通常攻撃では(《強打》してもだけど)クリティカルしないと抜けませんからね。

クレスポがウィップで《囮攻撃》した場合ですが、この際は確実に当たりますが、それとは別に攻撃の達成値による転倒判定を行います。

すると攻撃力が2で相手の回避点は13(6)だから、転ばせられる確立はロールしても16.7%ですね。ダメージはやっぱり回らないと抜けない

それでも転ばせられれば、そこにマロウが《強打》できますね。その際は相手の回避に−2だから44.4%程度ですね。


ベルカナはネイハムとサシです。ネイハムはエネボルを食らっても、ソラリアもエネボルが得意だったと凄い嬉しそうに笑います

更に早くベルカナの胸を確認したいので、胸を出せとか言ってきます。彼にはソラリアしか見えてないとはいえ、十分変態臭いですね(苦笑)

そして自分の身の上を語り、ソラリアを復活させると狂ったように宣言するネイハムは、もう狂ってるとしか思えませんでした。

それ以上に自分のコンプレックス(胸)を持ち出されて、別の意味で闘志を燃やしていました。まぁ塞ぎこむよりかはマシかな。


一方ベッドに縛られているシャイアラですが、思わぬ助けが入ります。それはブラウニーでした。この屋敷にもいたんですね。

「おねーさん、おねーさん」って虚空から声をかけるのは止めて欲しいですけどね。ベッドの下から出てきたり。本当に怖いから(苦笑)

このブラウニーは、家主であったソラリアの家系をずっと見てきたようです。彼女がいなくなっても、ネイハムが来た時は喜んだそうです。

しかしやる事といえば、変な生き物を連れ込んだり、猟奇的な事です。次第にブラウニーは狂いだし、物音を立てるようになります。


驚いたのがそのブラウニーがシャイアラの縛めを解いたという事。ブラウニーってそういう細かい作業はできない筈です。

鍵を開けたりとか、そういうのは流石に便利すぎるんですよね。ましてロープを解くなんて、テレキネシスでできるもんですかね?


そしてシャイアラはピンチに陥ってる仲間達の所へ駆けつけます。この時点で既にクレスポが重傷を負ってます

相手の打撃点は9で、こちらは防御力8の3レベル。7振れば6点ブロックで3点だけですが、それでも生命力半減(ああ……)。

本来ならばクレスポはネイハムとぶつければマシだったんでしょうが、この状態でスイッチするのは難しい。

そしてベルカナはネイハムが相手では分が悪く、太股を刺されていました。本当にピンチだったんですよね。


シャイアラはネイハムにブラウニーの言葉を伝えます。それは彼に優しい心を取り戻して欲しいというものでした。

そのブラウニーは、ソラリアの事を覚えています。彼女がネイハムは優しい人だと言っていたのを覚えているのです。

そこでブラウニーは、その力で家人の幻影を見せます。たちまち閑散とした屋内には生活感が戻り、生前のソラリアの姿が現れます。

とても美しい彼女は、自分が狙われている事を知っていたようです。それでも彼女が口にした事は、ネイハムが復讐せずに幸せである事でした。


伝えたい事を伝えると、ブラウニーは未練が晴れたのか精霊界に帰ってしまいます(多分)。狂った挙句に消滅するよりはマシですかね。

ところがネイハムは、ソラリアを騙られたと逆上し、シャイアラに攻撃しようとしますが、足を滑らして階段を落下して一命を取り留める。

そしてマロウは斧でネイハムの胸を切り裂くのですが、その時シュルドゥルゥは「よくも、ネイハムを!」と逆上します。

鏡像魔神は変身する対象の自我の影響を受けますが、もしかしてこのシュルドゥルゥもソラリアとして彼を愛しているのでは。


そしてシュルドゥルゥは主人に禁じられていた"ファイア・ボール"を使おうとします。やはり既にただのシュルドゥルゥではないんですね。

しかしそれはシャイアラが"デストラクション"で阻止。魔力5で精神抵抗14(7)+2だから、16.7%。よく破れましたね。

ところがそれで精神効果表が発動。出目は1ゾロ、頭部が爆発して範囲内にダメージと出ました。よりによってそれが出るか。

でもダメージはたったの打撃力10+3だし、抵抗の目標値も10だし。1レベル魔術師のエネボル程度の威力ですよ。半径10mだけど。


ところがここでは、何やら物凄い大爆発といった感じでした。どれくらいかというと、屋敷が炎上するぐらい(大惨事だ)。

まぁ屋敷内はゴチャゴチャしてたし、小さな爆発でもそれで火種がついたのなら、結果的には燃えるかもしれませんけど。

これには全員大慌てで退避。ところが太股を刺されたベルカナはその場に取り残されます。そして思うのです、やっぱり置いていかれたと。

このままシュルドゥルゥの爆発に巻き込まれて死ぬのだと、走馬灯を見ます。そこでもやはり浮かぶのは仲間達の顔


ところがそれは幻ではありませんでした。クレスポがベルカナを姫抱っこで連れていってくれたのです。なんかカッコイイよクレスポ!

貧弱でも筋力はそこそこあるから、ベルカナなら姫抱っこも十分可能なんですね。そして出口では速く来いと急かす仲間達。

確かに彼らはいい加減です。友達として最高でも、仲間としては不安かもしれません。でも困難に一緒に立ち向かえる友達だったんです。

もしかしたらそれは、ただ優秀なだけの仲間なんかよりも、よっぽど大切な存在なのかもしれない。いざという時本当に頼れるのはむしろ彼ら。


ネイハムとシュルドゥルゥはというと、最後の時を共に過ごしていました。

本来このシュルドゥルゥは、人前ではソラリアとして行動したり、彼の名を呼んだりするのは禁じられていました。

でもこのシュルドゥルゥは多分、ソラリアを演じるソフィーとして彼を愛している。それさえも作られた感情なのか?

結局の所は何も分かりませんが、ネイハムは「どうか幸せに」と笑うソラリアの笑顔を思い出し、ソフィーを抱きしめて逝きました。

残して逝ってしまった人と、残された人。いずれも決して幸福ではない。そして亡い人を忘れられない人を慕う人もまた悲しい存在です。


こうしてこの事件は解決しました。ベルカナとしては、皆と一緒に過ごす事に依存はないと、確信できる程度には心が整理できたらしい。

色々問題も不満もあるかもしれないけど、一緒にいたいから一緒にいる。それだけで仲間の資格は十分あるんじゃないですかね。







inserted by FC2 system