「D&D誌上ライブ ロードス島戦記」 作:安田均とグループSNE 出版社:角川書店
★はじめに
このリプレイは「月刊コンプティーク」誌上にて1986年9月号〜1987年4月号の間連載されたものです。
この作品こそが日本における本格的リプレイの元祖にして、「ロードス島」シリーズの元祖でもあります。
日本のTRPG界の立役者であり、広大極まりないフォーセリア世界の黎明とも言える、実に歴史的に貴重なものです。
ところがこのリプレイは連載当初D&Dの紹介として始まったもので、ルールも当然D&Dで版権上の問題が生じました。
それ故に当時強い人気を勝ち取りながらも書籍化はされず、その人気が祟ったのか国会図書館からも紛失しています。
しかしその一方でロードスという作品そのものは確かな人気を勝ち取り、全三部のリプレイシリーズとなったのでした。
そして独自の小説やゲーム等も発表され、ロードスは今日知られるような国産ファンタジーの金字塔にまで成長したのです。
なおロードス島戦記のリプレイは以下のように分類されます。一部「英雄騎士スパーク」と説明が重複しますが。
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このようにこの第一部と続く第二部は、雑誌掲載時はD&Dルールによって遊ばれたので文庫化はされていません。
文庫ではこれらにあたるエピソードを「ロードス島コンパニオン」によって遊び直して収録しているのでご注意を。
ただし第三部になると独自のルールであるコンパニオンが確立していたので、文庫にも雑誌掲載時のものが収録されてます。
私はSWをはじめ、フォーセリア関係のTRPGにはそこそこ詳しいつもりですが、D&Dは完全に門外漢です。
ルールブックすら持っていないので、このリプレイのプレイ風景を見て解説や突っ込みを入れる事は難しいでしょう。
ちなみに当時のルールは85年に(株)親和より出版されたTRS社の日本語版。オリジナルから数えて第四版だそうです。
噂によれば非常にPCが死にやすいらしく、恐らくは詳しい人から見たら結構突っ込み所満載のリプレイなのでしょうね(笑)
そこで今回のレビューでは魔法名等は例外として、基本的にD&Dとしてのアプローチはしません。というかできません。
基本的には小説との差異を中心に、その雰囲気を楽しもうと思います。それこそTRPGを初めて知った頃に戻ったつもりでね。
それに例えルールが変わろうとも、この作品だって慣れ親しんだロードス島です。しかもその原型とも言える作品ですしね。
なお原型だけに小説で活躍するあのキャラやあのキャラの誕生間もない姿が見えて、色々とギャップも感じるかと思います。
しかし水野先生はリプレイのスチャラカキャラを超絶ヒロイックに書く才能に長けた方、これぐらいは許容範囲ですね。
それに彼らだけでなく、この後水野先生は数多くのリプレイキャラを小説の魅力的キャラに変えていくのです。その起源と言えます。
それではフォーセリアの歴史の影どころか陰に葬られた幻のリプレイの始まりです!
★かくしてキャラクターは誕生す〜冒険者たち自己紹介をするの事
D&Dの紹介を目的とする本作品は、当時日本では今以上にTRPGがマイナーだった事もあり、説明が懇切丁寧です。
TRPGとはどういうゲームなのか、PC作成のアドバイス、プレイヤーの態度、当たり前のようで重要な事ばかりです。
その一方で初期のスチャラカやヘッポコのように、プレイの状況に合わせてルールの解説も入るのでとても親切ですね。
TRPGとは想像力のゲームであり、PCという分身を通して自分達だけの物語を生成する点をこの頃から明示しています。
なおこのゲームではSW等でGM(ゲームマスター)に当たる役割をDM(ダンジョンマスター)と表記します。
そこで偉大なるゲームに敬意を表し、このシリーズのレビューに限ってはDMという呼び方をデフォルトにさせていただきます。
勿論本作品のDMは水野良先生です。これを機にロードスやクリスタニアのリプレイの連載を何年も続ける大先生になる訳ですね。
フォーセリアのグランドマスター(世界の設計者)にして、ロードスだけで1000万部以上売り上げた大ヒット作家にもなると。
それでは以下に小説でお馴染みの「灰色の魔女」パーティーを紹介します。アライメントとクラスと能力値も込みで。
ディードリット
アライメント:中立(ニュートラル)
クラス:エルフ
能力値:強さ=13、教養=12、知恵=9、敏捷性=15、強靭さ=8、魅力=11
パーティーの紅一点であるエルフのお嬢さん。DMの用意したシナリオやダンジョンの裏を悉く読む強者でもある。
戦闘時には武器と魔法の両方を駆使して戦います。実は中の人があの山本弘先生というのはあまりにも有名な話。
挿絵の出渕先生の勘違いで、それまではただ尖っていただけのエルフの耳が笹の葉の如く細長くなったという元祖エルフ耳。
スレイン
アライメント:中立(ニュートラル)
クラス:マジックユーザー
能力値:強さ=8、教養=13、知恵=8、敏捷性=12、強靭さ=10、魅力=13
知識を得る事を目的としながらも知恵は低く、何故かDMに敵視されるもマイペーススローペースを貫く腐れ魔術師。
間延びした喋り方の割にはツッコミもこなし、キャラ立ちのお陰かディードに次ぐ人気の持ち主。中の人は吉岡太郎先生。
パーン
アライメント:秩序(ローフル)
クラス:ファイター
能力値:強さ=4、教養=10、知恵=8、敏捷性=9、強靭さ=11、魅力=11
名前はアン・マキャフリイ著の「パーンの竜騎士」より。邪悪は許さぬ熱血漢だが無理・無茶・無謀・無策の四無主義(笑)
パーティーのリーダーだがカリスマ(魅力)は低い。微妙に利己的で本当にローフルなのか疑問を持たれる事も。中の人は北川直先生。
エト
アライメント:秩序(ローフル)
クラス:クレリック
能力値:強さ=10、教養=10、知恵=13、敏捷性=14、強靭さ=5、魅力=15
ディードと並ぶパーティーのブレインであり、パーティー一のカリスマを持つ。機転も利くので影のリーダーとも呼ばれる。
ザビエルだのカッパだのと言われるも、フィアンナ姫とフラグを立てた事で小説ではちゃっかり王様になるロードス一の逆玉男。
ウッド・チャック
アライメント:中立(ニュートラル)
クラス:シーフ
能力値:強さ=7、教養=11、知恵=15、敏捷性=16、強靭さ=6、魅力=5
初仕事に失敗して独房入りするも、20年ぶりの恩赦で釈放された40歳の中年盗賊。一行を冒険に駆り立てた男でもある。
その魅力の低さが示すように性格はヒネていて、とにかくセコくとにかく小賢しく振舞う非常に盗賊らしい盗賊です。
なお挿絵の出渕先生によれば、キャラクターデザインのモデルは「UFO戦士ダイアボロン」のガメツ将軍なんだとか。
ギム
アライメント:中立(ニュートラル)
クラス:ドワーフ
能力値:強さ=18、教養=9、知恵=10、敏捷性=10、強靭さ=11、魅力=11
バトルアックスを振り回す怪力ドワーフ。名前の元となった「指輪物語」のギムリよろしくゴブリンが大嫌い。
戦闘ではパーンと並ぶ前衛で、兄弟のように仲がいい。中の人はグループSNEの社長である安田均先生だったりする。
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ここでアライメント、すなわち性格や属性といったステータスがある事が気になりますね。
D&D自体は知りませんが、「クロちゃんのRPG千夜一夜」を読んでいたのでこの概念自体は昔から知っています。
それだけに考えるところも色々ありまして、以下にアライメントに関する私論を記します。私論なので一般論ではありません。
アライメントはキャラの信条のようなもので、ローフル・ニュートラル・カオティックがあります。
これらを忠実に日本語に訳すと秩序・中立・混沌になる訳ですが、ではそれがそのまま善と悪かというと考え物です。
ロビンフッドや石川五右衛門のような義賊は法という秩序に反するが人の為に働くし、悪代官は法に反しないが悪事を働きます。
では五右衛門が邪悪で悪代官が正義なのかと言うとまた違う。そも正義とは何か、秩序と混沌、善と悪とは何かと問題になる訳です。
こればかりは明確な答えは出ないのでしょうが、私自身は秩序⇔混沌は社会的対立、善⇔悪は道徳的対立だと思っています。
そして正義の反対は別の正義であると。善悪の二元論に陥らないロードスのような作品を読む人なら理解できると思います。
D&Dも正にこれを表現するように、上記3種類に、更に3種類グッド・ニュートラル・イービルを加えるようになります。
これにより前者の3種類で社会的アライメント、後者の3種類で道徳的アライメントを設定できるようになったと解釈してます。
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つまりアライメントとは、各主体における正義を示すのだと、私は思っています。
五右衛門はカオティック・グッドであり、法には反するが人間としては善良な心の持ち主という事になります。
悪代官はローフル・イービルであり、法には抵触しないものの私服を肥やすし悪事もするという厄介な人間になる訳ですね。
フォーセリアではベルドなんかがカオティック・グッドっぽいし、ファンドリアの人達はローフル・イービルっぽいですね。
しかしリプレイ本編では秩序ではなく正義、混沌ではなく邪悪という表記の仕方をしていました。
これはいかがなものかと思い、忠実に秩序と混沌という風に書き換えました。当時はまだ3種類しかないようですし。
なおこのリプレイの時のロードスもまた、正義と邪悪が戦い続ける場所であると設定されています。
そして多くの魔の秘境が存在し、邪悪の勢力にはゴブリンやオーク、そして人間もいるという事になっています。
実は国毎にもアライメントがあって、これは以下のようになっています。
正義:ヴァリス・フレイム
中立:アラニア・モス・ライデン
邪悪:マーモ・カノン
これを見ても分かるように、カノンが邪悪というのはちょっと違和感を感じますね。
確かにマーモ占領下にあった訳ですが、国として邪悪という訳ではない。そもそも邪悪な国ってなんなのやら(苦笑)
それよりは現在のカノンはマーモの影響で混沌とした状況なのだと解釈した方が、まだ分かりやすいかと思います。
ただしこれはあくまでも私の私論なので、アライメントに関してはサークルや卓毎に解釈の違いがあると思っています。
★旅の始まり、または宝の地図を手に入れる事
ではいよいよ本編に入ります。彼らの冒険は恩赦で釈放されたウッドの呼びかけで始まったことになっています。
DM「キミたちは生まれ故郷の村"ザクソン"を出発した。恩赦のシーフが、みんなを誘って、
平和な村の生活に飽き飽きしていた他のメンバーが、一も二も無く賛成したって設定だ」
ギム「ワシはそんなに軽くはないぞ」 ↑最初から全員一緒かい
DM「そういう設定だから、文句は言わさん」
パーン「ううむ。マスターは強い……」
流石は水野先生、この横暴っぷりに痺れる憧れる(笑)
そして一行はザクソンから南下して最寄の宿場町を目指しました。
DM「突然だけど、全員無事に目指す宿場町に着いた」←早!!
スレイン「えっ、もう着いたんですか」
そして関係ないところはアッサリ飛ばす、この思い切りの良さも変わらない。
いや低レベルの彼らにワンダリングモンスターをぶつけるのは危険過ぎるのかもしれませんけどね。
そこで一行は他の冒険者も泊まっている宿屋を見つけます。1階が酒場も兼ねているお約束の業態をしたお店です。
スレイン「あのぉ、あなた方はぁ、冒険者ですねえ」
冒険「そ、そうだが」←怯み気味
スレイン「それならぁ、是非あなた方の冒険談を語って下さい」
こうして積極的に冒険のネタを捜そうとしますが、残念ながら目ぼしい情報は手に入りませんでした。
ていうかその間延びした喋り方はどうにかならないものか。いや、それがスレインの性格なんでしょうけど(苦笑)
しかし現在のロードスが小説同様に不穏な情勢にある事が明らかになりました。
マーモがカノンを滅ぼし、ヴァリスと戦闘状態に入っていると。小説で言う「英雄戦争」の幕開けですね。
冒険者「名誉が欲しいなら、南へ行ってみてはどうかな」←武功を挙げるのね
パーン「傭兵なんか、お断りだな。手っ取り早くお金の儲かりそうな話は無いの?」
お前本当にローフルか。いやローフルだって秩序に反しない範囲で金儲けに走るのはアリ……なのかな?
しかし冒険の扉は思わぬ所に開くもの。突如として酒場の主人と盗賊風の男の言い争いが生じます。
何でも盗賊の方が無銭飲食を働こうとしたようで、争いになったようです。実際彼は現金は持っていないようです。
しかし彼は宝の地図を持っているという。それはサイファという高名な魔術師の隠れ家の地図のようでした。
彼は国王の暗殺を働こうとして殺されていて、その「サイファの隠れ家」には彼の遺産が眠っているというのです。
これに飛びついた一行は地図を買い取り、間接的に盗賊の飲み代5GPを肩代わりしてやりました。
パーン「と言っても、オレに金は無いぞ」←装備の購入で素寒貧
ディード「あたしはこれだけヨ」←1GPを提示(少!)
スレイン「お金は僕が払いましょう」
エト「やったね。ついでに宿代もお願いします」←お前
本当に財宝があるなら5GP程度では安過ぎると思うんですが、こっちも所持金が少ないから仕方ないか(笑)
あと盗賊は攻略のヒントとなる言葉も教えてくれました。
「水晶の戦士は秘宝を守る。しかし知恵ある者は、恐れる事は無い」
これがどういう風に役に立つのかは現地に行けば分かるでしょう。
なお隠れ家までは片道3日がかかり、当然食料等が必要になります。
ギム「またお金がかかる〜」
ディード「スレインくん、よろしくね」←1GPを提示(だから少ない!)
スレイン「何でも払いますよ〜〜。どーせ僕は鎧も買えないんだから」
装備を買う必要の無い魔術師は金が余るという、SWの初期にもよくある現象が起きているようですね。
★勇者たち、薄暗き迷宮へ潜入する事
宿屋で酒をかっ食らって一晩過ごした一行は、翌日には早速「サイファの隠れ家」へと向かいました。
パーン「ううっ、頭が痛え、誰か、ハイチオールCをくでえ」←二日酔い
ディード「そんな読者にわからない楽屋落ちは、言わないでよ」←PLに何かあったの?
ギム「二日酔いとは、情け無えヤツめ」
シミ・ソバカスにも効くが二日酔いにも効く薬ですね。当時は主に後者が売り文句だったとか。
そうこうする内に3日の旅程を経て隠れ家に到着。相変わらず関係ない所はダイナミックに飛ばします。
スレイン「早いですねえ〜。途中の冒険なんかは無いんですか」
DM「レベル1のキャラクターたちじゃ、野外の冒険までやっていたら、命がいくつあっても足りないよ」
スレイン「……」
どうも本当にそういうゲームバランスらしい。全滅だって珍しくないんだとか(苦笑)
隠れ家への入り口は森を抜けた広場にあり、崖にぽっかりと開いた洞窟となっています。
洞窟に入るにあたって隊列を組む訳ですが、これは前からパーン・ギム、エト・スレイン、ディード・ウッドです。
魔法使いを間に挟み、前後に白兵戦のできる人間を置くのは基本ですね。加えて照明(ランタン)はエトが持っています。
ちなみにマッパー(地図を書く人)はディードです。SWリプレイでは最近はGMがマッピングをする事が多いけど。
ウッド「ボクはこそこそと、エルフのディードリットの横に並ぶ」←前に出なくていいの?
SWでは天然洞窟ではシーフ技能は役に立たない訳ですが、それはゲームによりけりの筈。D&Dはどうなんだろう。
やがて通路は二股に分かれます。左は相変わらずのザ・天然洞窟。右は人の手が入り扉まであって本命っぽい。
ウッド「ボクは左の道を調べに行くよ。金になるものがあるかも知れねえしよ。
オレは、左をちょっくら見てくるわ――こんなところかな」←ロールプレイの練習も兼ねてます
スレイン「上手い、上手い。でも危険ですよお、一人で歩くのは」
ある程度先行するのはシーフの使命とはいえ、危険である事に変わりはない。
実際その通りで、彼の向かった先にはジャイアント・アントがいました。装甲もHPもありダメージもデカイらしい。
スレイン「キミの事は、忘れないからね」←コラ!
ウッド「この薄情もの!」
幸いウッドの足は速いので袋叩きは免れましたが、何やら判定した結果アリさんはウッドを猛然と追撃します。
モンスターとの遭遇時の反応はゲーム毎に異なりますが、ここではウッドの魅力の低さが−要因らしい(あちゃー)。
辛くも仲間の所に逃げ帰ったウッドでしたが、そうすると隊列の後ろにいたエルフと魔法使いがピンチ。
ギム「(ここは魔術師が呪文を使うべきだろうなあ)慌てて魔術師たちの方へ走り出す」
パーン「遅れじと、オレも続くぜ(ここは呪文を使わなきゃ、勝てねえかもな)」
咄嗟に戦士達がカバーに入るも、彼らは魔法の応戦を期待していました。
ではその期待を受けた当の魔術師スレインはどうしたかというと……。
スレイン「ボクはあ……」←考え中
DM(うんうん、ここはスリープの呪文だろう。これで後の戦いが面白くなるぞ)
スレイン「……逃げます!」←おい!!
小説のスレインも戦闘は嫌っていましたが、それは無駄な争いを好まないから。でもこっちではチキン(笑)
しかしパーンとギムのダイス運が素晴らしく、強敵である筈のアリさんは僅か3撃で撃沈!
GM(何で巨大アリがこんな簡単に死ぬの)
ギム「やったね」
パーン「うむ、兄弟。これで、このドワーフとの間には信頼感と強い友情が生まれるだろうなあ」
マップを見ると更に奥にはもう2匹のアリさんがいますが、流石のウッドもこれ以上は進みませんでした。
★楽々と迷宮の謎を解き、ひとまず大団円なり
アリを倒した一行は、当初の予定通りに右の通路を進み、ギムが罠を調べます(盗賊どうした?)。
ギム「わしの目に狂いは無い!前に進んでドアを開ける」←幸い罠はなかった
パーン「ドアをいきなり開けるのは危険だぜ。中に何が居るかわからないからな」
スレイン「これからは、ドアを開ける前に必ず中の音を聞く事にしましょう。
それに、これというドアは、罠も無いか調べるべきでしょうね」
まったくですね。そのいずれも普通盗賊がするものですが、D&Dでは違うんだろうか?
ドアの向こうは通路になっていて、途中に扉が二つあり、その先は丁字路でした。
パーン「慎重かつ大胆に、奥へ進む!」←即断
DM「西側にドアが見えたけど」←正しくは両側
パーン「無視!目指す宝は奥だ!!」←即決
DM「(ギクッ、何かパターンを読まれているなあ)もっと行くと左右の道にぶつかるT字路になった」
パーン「右!」←即実行
スレイン「何故ですか?」
パーン「根拠なんか無い。んなもの必要無い!」
何てヤツだパーン、小説の初期の頃よりも遥かに無謀な男です(笑)
その通路の先にも扉があり、中にはスケルトンが5体もいました。これはエトの出番ですね。
エト「ここはボクの出番だ。ターニング・アンデッドでスケルトンどもを追っ払うよ」←そういう能力
ところが出目が悪く効きやしない。どうしたカッパ、今回何もしてないぞ。
エト「神はわたしを見放したああ〜!」
ちなみに1レベルのクレリックである彼は、何と魔法を使えない。もう本格的に役立たずだ、スレインと並んで。
一応ウッドはこの部屋で聞き耳を立てています。でも相手は骨っ子という事で音はしなかったので収穫無し(笑)
幸いスケルトンどもは誰も怪我する事無く全滅させ、一行は更に奥に立派な部屋を発見します。
恐らくは魔術師の居住区だったのでしょう。ベッドや机や本棚もあり、ここで200GPと短剣をゲット。
更にこの部屋で一行は美女の絵が収められた巨大な額縁を発見します。勿論小説同様にカーラの絵画でした。
勿論小説同様に飾り気の無い手紙も発見されました。
「こちらの方は全て上手く行っています。そちらも計画通りに事を運ぶように」
そしてカーラという署名がありました。サイファは彼女の部下で、アラニア王暗殺の命令を受けていたのでしょうね。
しかしここではそれ以上の事は分からず、迷宮の探索を続けたのでした。
パーン「200GPくらいじゃ、まだ少な過ぎる。どこかに宝物室があるはずだぜ」
本当にお前ローフルか(笑)
それから一行は残された部屋に居たコボルドどもを蹴散らして宝石と銅貨を幾許かゲット。最早強盗の様相を呈している。
あと例の2匹のアリさんも、スレインが温存していた"スリープ"の魔法で眠らせて退治しますが特に収穫はなし。
ちなみにD&DにMPの概念は無く、魔法は冒険に出る前に覚え、使うと忘れてしまうというシステムのようです。
"スリープ"を2回使いたいならば、2回覚えて2回使えばそれまでです。SWと比べると不便に思えますね。
今回スレインが覚えているのは眠りの呪文"スリープ"と、魔法の文献を読める"リードマジック"だとか。
ディードは同じく"リードマジック"と、相手を魅了する"チャーム・パースン"。何というか……やっぱり不便のような。
既にスレインは"スリープ"を使ったので打ち止めで、あとはディードの魅了が1回のみとは、心許ない話です。
閑話休題、あまりの宝の無さに不満を隠せないパーンでした(ていうかお前本当にローフル……)。
スレイン「入り口付近のドアが残ってますけどお」
パーン「あの二つは絶対違う。どーせ、ジャイアントラットが居るくらいだ」
DM(ドキッ)←図星だったりする
完全に見抜かれてるよ(苦笑)
そこで機転を利かせたディードは隠し扉を捜そうとし、見事に丁字路で発見。実は十字路でした。
こういう時にマッピングが生きてきますね。丁度そのスペースに奇妙な空間があって不審ですしね。
隠し扉の奥にある部屋には水晶製の戦士の彫像がありました。これこそはクリスタル・スタチューですね。
よくRPGにはリビング・スタチュー(生きた彫像)やゴーレムのような人造人間が登場しますね。
彼らは鉄だの石だのミスリルだのと、様々な素材のバリエーションが存在しますが、こいつはそのクリスタル版ですね。
ここで盗賊から教わった言葉が役に立つ。この彫像はリドル(謎かけ)を仕掛けてくるので、回答できたら宝が得られる。
彫像「汝らに問う。私は青と黒を隠すもの……」
ディード「あっわかった。答えは"雲"でしょ?」
DM「……!何で分かっちゃうのお、これだけで!?」
さては知っていたな。アンマントにもあるように、やはりリドルとは仕掛け方も答え方も難しいものです(苦笑)
回答すると彫像の後ろの壁が開き、駆け出しにしては結構な額の財宝を入手できました。
財宝の内訳は金が1万GPと、魔法の剣が1本。そしてヒーリング・ポーションという大盤振る舞い(らしい)。
こうして最初の冒険は彼らの大成功に終わりましたが、これは更なる大冒険のほんの始まりに過ぎなかったのです。
★僧侶の魔法、そして冒険の発端
前回「サイファの隠れ家」で宝を手に入れた一行は、アラニア西端の街ノービスに来ていました。
ここで一行はレベルアップします。D&Dでは入手した宝が経験点になり、1人辺り2098点が入りました。
宝でレベルアップするという事で無駄な虐殺に走る必要は無い訳ですが、今度は金儲けに走りかねませんけどね。
その辺を考慮しているのか、ロードスやSWではミッションのクリアが主な経験点の入手方法になっています。
このレベルアップではスレインとディード以外の4人がレベルアップしました。特にエトは魔法が使えるようになった!
このゲームでは、魔法使いは自前の「呪文の書」に載っている魔法しか使えず、僧侶はレベルさえあれば全ての魔法が使える。
魔法使いは強力な魔法を使えるが成長が遅く制限があり、僧侶は防御が主だけど成長は早くて制限も軽めという事です。
これは丁度SWでも受け継がれていて、前者は古代語魔法を使う魔術師に、後者は神聖魔法を使う神官に相当しますね。
今回のエトは回復呪文"キュア・ライトウーンズ"ではなく、魔法を見破る"ディテクト・マジック"を覚えます。
これはSWでいう"センス・マジック"と同じく、魔力を感知できる呪文でその効果までは分からないという代物です。
多分効果が分かる"アナライズ・エンチャントメント"相当の呪文もあるでしょうが、高レベルにならないと使えそうにない。
これで前回判明した通りに、入手した宝の中に魔剣と魔法の薬がある事が判明しました。
詳細を高レベル魔法使いに調べて貰うと、魔剣は+1で、薬はヒーリング・ポーションとヒロイズ・ポーションでした。
ヒーリングは回復用だとすぐに分かりますね。ヒロイズは一時的にレベルを上げるというSWでは見られないものです。
あと宿屋でいつも通りに情報収集すると、とうとうヴァリスとマーモの戦闘が本格的になってきた事が分かります。
当然それに合わせて傭兵の募集も盛んになってきているのですが、彼らはそういう類いのネタにはあまり喰いつきません。
スレイン「他には本当に何も情報が無いですかあ?」
DM「DMが無いって言ったら、絶対に無いの!!」
スレイン「…………」←しょぼーん
何故そんなにスレインには厳しいんだDM(笑)
★冒険者たち、戦乱の地ヴァリスへ向かう事
翌朝になると一行はアラニアを出国し、冒険を求めてヴァリスへ向かって南下します。
DM「レベルの低い君たちは、これといった危険にも敵にも会わず、無事に目的地に到着した」
スレイン「何か情けない話だなあ」
やはり低レベルでは全滅の危険もあるのか。ていうか相変わらず飛ばし方がダイナミック。
まず彼らが到着したのは、ヴァリス領の北東にあるヴァルチという平凡な町でした。小説には多分出てこない町ですね。
ヴァリスとマーモの先端は更に東で開かれていて、今の所はまだ小競り合いが続いている程度で、傭兵も募集してるとか。
パーン「じゃあ、そんなに危険でもねえな。よし、東へ行ってみよう。そして条件次第で傭兵になろう」
ディード「ええっ、正気ですか。傭兵は危険ですよ」
パーン「だからあ、まず様子を確かめるんじゃないか。とにかくオレが行くと言ったら行くの!」←横暴な(苦笑)
DM「親切な人が、そっちへ行くと危ねーぞー、と忠告してくれたりするけど……」
パーン「構わず行く!」←何て危ないリーダーだ
この辺りで既に小説とは違う選択肢を進んでいます。小説の彼らはヴァリスの聖王都ロイドを目指して西へ進んだんです。
こうして一行は戦場へと向かいました。流石のエトも覚える呪文を回復呪文"キュア・ライトウーンズ"に切り替えます。
そして街道を行く一行は、小説と同様の事件に巻き込まれます。それこそはカーラによる「フィアンナ姫誘拐事件」です!
ヴァリス王ファーンの娘であるフィアンナ姫を攫った謎の魔女カーラは、部下を率いて馬車で街道を東へと進んでいました。
小説ではパーン一行が西へ行くのですれ違う訳ですが、今回は追い越される事になり、微妙にシチュエーションが違っています。
ただし馬車の中を覗こうとしたスレインの視線を馬上の男が遮ったりする辺りは小説と同じ演出です。いかにも怪しい一行です。
やがて彼らはパーン達を置いてけぼりにして先を急ぐ訳ですが、それを追跡するヴァリスの聖騎士にも追い越されます。
この時点では騎士達は急いでいるので彼らには目もくれず、先行するカーラ達を追ってやはり東へと突き進んでいきました。
なおこのリプレイのパーンは小説と違って特に生い立ちにドラマが設定されてはおらず、父親が聖騎士という設定もありません。、
すると接触した両者が戦闘を開始し、一行の行く先ではたちまち剣戟が響き、やがて赤と白の光が炸裂!!
スレイン「"ファイヤーボール"と"ライトニング・ボルト"だあ〜!」
パーン「ストップ、ストップだあ!!相手は強すぎるぜ」←意外に冷静な判断
このようにカーラが強力な魔女だという設定に変わりは無く、たかだか2レベルの彼らでは太刀打ちできる筈も無い。
やがて馬車が再び動き出して現場を去るのを確認すると、様子を伺っていたパーンは現場に近づきます
ウッド「あまりにも卑屈だ。まったくぼくの仲間に相応しい」
スレイン「情けないですよねえ〜〜」
とはいえこうしないと低レベルの彼らは本当に全滅してしまう。危険を察して身を引く、これも立派なプレイです。
現場では聖騎士の一人が辛うじて生きていたので、早速エトが回復呪文で助けます。僧侶として当然の行動ですね。
DM(しまった!それは考えていなかった……)←おいおい(苦笑)
スレイン「どうかしましたかあDMさん?黙ってますけどお」
本当は末期に姫の事を託すつもりだったようですが、プレイヤーの行動がDMの予想を上回るのもまたTRPG。
★魔女カーラの出現と絶体絶命のピンチ!?
一行は一命を取り留めた騎士に事情を聞き、ヴァリスのフィアンナ姫の救出に動き出します。
あとフィアンナが攫われた経緯ですが、前線の兵士を激励しようと城を出た所を攫われたのは小説と同じです。
ただしこっちのフィアンナは我侭なお転婆姫で、父親に黙って城を脱出し、護衛の騎士達の努力も虚しく攫われた(笑)
馬車を追跡した一行は更に東にある廃屋に彼らが泊まっているのを突き止め、作戦を練ります。
ここではパーンが結構いい感じの作戦を提案していましたね。ここだけ見るとただの四無主義ではなさそうです。
まず敵の配置ですが、2階に魔女が居て1階に雑魚がいると踏みます。これは正に彼の予想通りでした。
そこでギム以外の5人が1階の雑魚を相手にし、魔法への抵抗が強いギムと騎士が2階へ上がって片をつけます。
パーン「片方が倒れても、接近戦になれば、魔術師は怖く無い」
D&Dではどうか知りませんが、SWでは確かに相手が純粋な魔術師だったら接近戦に持ち込んだ方が有利です。
ただしスキルシステムのSWでは、相手が武器も使える可能性があり、実際レイリア=カーラもそうでした。
D&Dのようなクラスシステムなら多分大丈夫だとは思いますが、相手の実力が高過ぎるとどうなるやら……。
いざ作戦を決行すると、1階にいた3人の敵の内1人をスレインが眠らせ、1人をディードが魅了して幸先は良かった。
ところがそこでカーラが登場します。前回の冒険で見た肖像画の女性そのもので、彼らの中で伏線が繋がりましたね。
いざカーラが魔法を使うとやはり出鱈目に強い。まず6レベルの騎士は"ディスインテグレイト"で塵になる。
SWでも同名の呪文が存在する分解消去の呪文ですね。この騎士は小説でも同様に分解されてしまいましたね。
続けて"スリープ"を唱えられてギムがまず眠り、次のラウンドにはスレイン・ディード・パーン・ウッドもお休み。
この場面は小説では麻痺の雲を発生させる"スタン・クラウド"でやられましたね。まぁ結果は同じなんですけどね。
ところがここで一人残されたエトは機転を利かせます。
エト「寝た振りをします」
DM「えっ?」
エト「寝た振りをするんだよ!どうせ勝てないんだから、その方がまだましだ」
これにより小説の彼は見事に魔法に抵抗して寝た振りをするという活躍を見せた訳ですね。
彼のこの些細な行動がまたもDMの予想を上回り、次回にも繋がる訳です。これもまたTRPGならではですね。
★捕らわれた勇者達奮戦する事
カーラ一味に捕らわれてしまった一行は、館の2階の一室に監禁されてしまいました。
しかしただ閉じ込められた訳じゃない。こっちはエトが狸寝入りをしていたので、敵の情報もちゃんと聞けます。
スレイン「頑張って下さいよお」
DM「眠っている人は、何も言えないの!」←だから何故スレインには厳しい
スレイン「スレインは眠っている……」←Wiz
直接ゲームに影響する言動は慎むべきですが、プレイヤー発言ぐらい許してやった方がいい。どうせ暇なんだし。
またカーラは一行の手際の良さを随分褒めていて、仲間になるよう勧誘しようかと言っていました。
ウッド「へへ、どうも」
スレイン「眠った人は喋らない!」
お前が言うな(笑)
一行が眠ったのを確認したカーラは魅了された男の魔法を解き、眠った男を起こして3人の部下を揃えました。
続けて部屋に一行を閉じ込める為に魔法の鍵をかけ、死体を操る呪文でゾンビーを使って扉を見晴らせます。
更に1階の正面玄関で何かの呪文を唱え(エトには分からない)、本人は瞬間移動の呪文で立ち去ってしまいます。
どうやら新たな仲間を連れてくるつもりのようですが、これこそ冒険者達にとっては千載一遇のチャンスでした。
この際エトは扉を開ける合い言葉をちゃんと聞いておきます。これだけで随分と違ってきますね。
DM「キーワードはドップと言う」←Door OPenね
小説では「ラウラ」だったんですけど、流石に変えたものだったんですね。
カーラが立ち去り暫くすると、眠っていた連中も目を覚まします。
パーン「どうする?」←エトを一瞥
エト「ぼくはこの部屋の扉の開け方を知っている〜〜!」←白々しい
仲間達「えっ!」←もっと白々しい
DM(本当なら呪文「カクカクシカジカ」を唱えて全員に状況を説明しないといけない)
"カクカクシカジカ"、それはゲームを問わず通用し、プレイヤー知識をPC知識に変換する魔法の言葉です(笑)
残念ながら武器や道具類は取り上げられているので、今度はディードが機転を利かせます。
ディード「テーブルの脚は武器になりません?」
これで小説でも彼らはテーブルの脚をクラブ(棍棒)として臨時の武器にしたと。
しかも足を折る際は毛布などを使って、音が出ないように工夫するという芸の細かさです。
また現在のエトは聖印を取り上げられているので、お得意のターニング・アンデッドも使えない(そういうルール)。
いざ行動を始めると、ゾンビーはパーンとギムの奮戦のお陰で難なく退治。小説では竜牙兵だから手こずりましたが。
続けて階下で敵が気づいた一方、正面の部屋に飛び込んで武器類を奪還。この部屋を使って迎え撃つ事にします。
この際廊下の突き当たりでディードとウッドが弓を絞って待機し、敵が接近すれば戦士達が飛び出す作戦を練ります。
これでウッドが意外な活躍を見せて3人の敵を倒します。しかし彼らは著しく消耗し、もうフラフラの様子でした。
ギム「ワシはヒットポイントが1しか残っとらん」←慢心アタックですね
一歩間違っていたら死んでいましたね。
★王女救出に成功する事
辛くも敵を退けた一行でしたが、まだ姫がいるので館の探索を行います。
DM「テーブルの上に小さな箱がある」←別室で発見
ウッド「いただき。中は何かな。振って調べてみよう」
DM「カラ、カラ、ガッシャーンとガラスの割れる様な音がした。そして、中から液体がポタポタと流れ出る」
ウッド「し、しまった!」
パーン「仕方あんめえ」←江戸っ子気質
どうやらポーションの類いだったらしい。振るのは軽率だったけど、それで即割れるのは厳しすぎやしないかな(苦笑)
続けて別室の部屋の鍵をウッドが盗賊の技で開け、フィアンナ姫と対面します。
ここでパーンがまず話しかけますが、カリスマの低い彼では彼女をますます怯えさせてしまいます。
そこでカリスマの高いエトがローフル語(小説では神聖語)を使うと、彼女は安心してくれました。
このゲームではアライメント毎に言葉があるらしく、正に小説の神聖語並みに信頼の置ける言語なのでしょう。
姫を保護した一行は早速脱出しようとしますが、ここで気になるのは正面玄関で唱えられたという謎の呪文です。
本来なら無視して裏口なり窓なりから逃げるべきでしょうが、ここではウッドが颯爽と玄関を調べに行きました。
ウッド「オレが玄関を調べよう」
DM「他の人は?」
スレイン「遠くで見ていましょう」
賢明ですね。でももっと賢明ならそもそも怪しい所には無理に近づかない(笑)
案の定玄関にはインビジブル・ストーカーがいて、ウッドは殺されます(ええ〜!)。
スレイン「これでカーラが使った魔法が全部分かりましたねえ〜〜」
エト「良かった、良かった」←この破戒坊主
ウッド「良かないよー!」
DM「死人は喋らないの」
しかしこれは強敵のようです。まともに戦っても全滅してしまう。
しかし彼の遺体を放っては置けません。蘇生してやれる可能性もあるし。
パーン「よし、オレが決死の覚悟で取って来る」
おお、実にリーダーらしい覚悟です。これは例のヒロイック・ポーションのお陰で何とか成功します。
ウッドを回収した一行は、玄関には近づかずに裏口から脱出。
エト「馬と馬車があったでしょ。あれに乗って逃げましょう」
パーン「おーい、リーダーはオレなんですけど……」
エト「あ、ごめん。でも問題は無いだろ」
そりゃそうだけど。実際今回のエトは大活躍だったし。
★魔女カーラ、勇者達の前に立ちはだかる事
何とか姫を連れて脱出できた一行は、ヴァリスへの道すがら姫から詳しく話を聞きます。
残念ながらカーラの正体は分かりませんでしたが、護衛の騎士達が死んだ事を知ると泣き伏してしまいます。
パーン「かわいーッ。美人なんだろ?」←お前……
どうやらカリスマ18の美少女なんだとか。ただカリスマは人間的魅力であって、必ずしも容姿には関係しない筈。
純粋に容姿を数値化するならフィジカル・ビューティーとかですね。この辺の解釈はゲーム毎に異なるだろうけど。
ところがヴァリスへ行く途中、一行の前にロック鳥が飛来。勿論"セルフ・ポリモルフ"で変身したカーラでした。
カーラ「中々大した冒険者達じゃないの。殺してしまうには忍びない程にね。
あなた方に最後のチャンスをあげましょう。私の味方になりなさい。決して損はしないから。
私はあなた方の望むもの全て、金も、名声も、そして知識も、全てのものを与える事が出来るわ」
パーン「邪悪な者の言う事何か聞くものかってんだ」
スレイン「ぼくは、思わず聞いてしまいたいなあ」←呪文目当て
パーン「うむむ、何てえヤツだ」
ちなみにカーラのアライメントは中立(ニュートラル)です。ニュートラル語を使ってますしね。
小説の彼女が白でも黒でもない灰色であるように、こっちでも秩序でも混沌でもない中立なんですね。
幸いこっちには姫がいるから、"ファイヤーボール"のような手荒なマネはできないでしょうけど。
パーン「そうか!オレたち姫を人質にしているんだ!」←その発想はなかったわ(笑)
DM「そ、それは、ああり良い表現じゃないんじゃないかな」
パーン「例え話じゃねえか。やだなあ」
だから、お前本当にローフルなのか。
しかしカーラは大魔法使いです。対個人用の"マジックミサイル"を無数に浮かべて威嚇してきます。
こっちは所詮2レベル、どう足掻いても勝ち目は無い。挙句には姫が身を挺して彼らを庇ったりもします。
しかしDMも彼らを殺すつもりは無かった。いよいよ投降するしかないと思った時、思わぬ援軍が現れます。
それこそはヴァリスの騎兵隊でした。中には王宮魔術師エルムもいるようでなかなかの戦力です。
パーン「天は我を見捨てなかったあー!」
仕方無しにカーラは"フライ"の呪文で飛んで逃げ、一行は危うい所で助けられたのでした。
それから一行は聖王都ロイドに送られ、ここでウッドが蘇生(呆気なく)。各自がレベルを上げます。
そして一行はヴァリス王に謁見する訳です。カーラとの因縁も芽生え、彼らの冒険も加速度的に盛り上がる。
★
今回はシナリオに入る前に、教会でウッドの蘇生が行われました。
ウッド「おっはよ〜。これからはオレの事を"地獄帰りのウッド"と呼んでくれよ」
パーン「お前なんぞ、死に損ないで十分だ」
ウッド「でも「D&D」じゃ、死んでも"レイズ・デッド"なんかで生き返るだろ。
これなら、かなり危険な事も平気で出来るんだよね」
蘇生をどう扱うかはゲーム毎に異なるでしょうが、死者を何のペナルティーもなしに蘇生できるのはどうかな。
SWでは蘇生するには金もコネも要るし、決して確実ではない。SW2.0では蘇生自体が忌避される文化だし。
ところがこのDMがそんな甘いマスタリングをする筈もありませんでした。
DM「僕はウッド・チャックを生き返らすかどうかを、ダイスを振って決めていたのさ」
実はウッドは強靭さの数値が低いので、蘇生に失敗する可能性の方が高かったぐらいです。
ただしこれはSNEのハウスルールであり、後に某狂戦士が死んだのもこれの影響なんだとか。
それを知ると途端に怖くなるのは当の本人。ダイスの神様に命運が握られていたのだから。
ウッド「ヒ、ヒエ〜〜〜〜!!」
パーン「これは、迂闊に死んだら大変だぜ」
ギム「うむ、その通り」←推定そのルールを作った人
SWでは当たり前の事だけど、やっぱり「死んでもいいや」というスタイルはどうかと思うし。
私はTRPGは幻想世界で遊ぶゲームではなく、生きるゲームだと思っているのでPCは大切にして欲しい。
勿論命の危険に晒される事だってあるし、失う事もあるけど、それを承知の上でするからこそ冒険だと思う。
それと今回のレベルアップではディードとスレインが新しい呪文を覚えたようです。
ディードは前回カーラも使っていた"マジックミサイル"(魔法の矢)。高レベルの敵にも有効だとか。
スレインは"ベントリロキズム"(腹話術)。恐らくは使い方に工夫の要る色物系の呪文でしょうか。
エトは呪文が2回使える上にターニング・アンデッドの能力が上がり、戦士2人のヒットポイントも増えました。
★勇者達、白の王に謁見する事
前回ヴァリスのフィアンナ姫を救出した一行は、ヴァリス王ファーンに謁見する機会を得ました。
パーン「よーし、礼装しよう。プレートメイルもシールドも新品に買い替え、腰には愛刀マジックソード+1を帯びる」
ディード「何となく下心を感じますねェ」
ギム「何となく?私にはハッキリと感じられるぞ」
前回フィアンナ姫とのフラグはエトに立ってるんですけどね。士官でもしたいのか。
王の前に案内されると、パーンはここぞとばかりに慇懃に振舞います。
パーン「お目に掛かれて光栄です陛下。私はパーン、旅の戦士です。そしてこちらは供の者で」
ギム「な、何でワシらが供の者なんだ!」
リーダーならまだしも、主人気取りです(苦笑)
ファーンはそれに応え、まず謝礼として莫大な額を支払いました。
ファーン「旅の方々よ、この度は姫の危ういところを助けて貰い、礼を言う。
その謝礼として、少ないかも知れぬがこれを受け取って貰いたい」
ウッド「ヘッヘッヘッ、こりゃどうも」
パーン「うむ、お前、本当にシーフらしくなってきたなぁ」
小説のウッドの性格にだんだん似てきた、というかこっちがオリジナルですが。
そこでファーンは再び話し始めようとするのですが、それをパーンが遮ります。
パーン「ちょっと待て。名前がゴチャゴチャして来たぞ」
この時点でカーラ、ファーン、フィアンナ、そして宮廷魔術師エルムと小説でもお馴染みの名前が揃っている。
この手の固有名詞は話の展開上必要だから、整理がつかなくなるようならメモを取っておかないと大変ですね。
パーン「おーい、誰かメモっといて」
自分でメモれよ(笑)
今度こそファーンが一行に今回の事件について尋ねてくるので、カーラをはじめ知ってる事は全て話します。
エルム「カーラ、その名前には聞き覚えがあるぞ」←驚愕
小説同様に宮廷魔術師エルムはカーラの名前だけは知っていました。ただしカストゥール王国云々の設定は無い。
この世界のカーラは古より語り継がれる不老不死の大魔術師であり、殆ど伝説上の人物のようです。
また彼女は幾度となくロードスの歴史に介入しており、そういう点では小説の彼女と大差ないようですね。
残念ながら彼にもそれ以上の情報はありません。しかし心当たりならあります。
エルム「大賢者ウォートなら、確かめる術を知っておろう。
何しろ大賢者は、森羅万象、世界の如何なる知識もそらんじているらしいからな」
ただしこの時点では六英雄という設定が出てこないので、ファーンとベルドの因縁や、ウォートとの関係もない。
★白の王、冒険者たちに大いなる試練を与える
もしカーラがマーモ側についてしまえば、ヴァリス側には勝機は殆ど無いというのがエルムの読みです。
だから来るマーモとの対決の前に、どうしても誰かが彼にカーラの事を尋ねなければならないでしょう。
そこで立ち上がるのが冒険者です。
パーン「よーし、わかった。その役目、我々が引き受けよう」
小説通りの展開ですね、ただしここでワンクッションある。何故ならファーンは彼らを完全に信頼していない。
何しろウォートの館に行く為には危険なモンスターが数多く住み着く、ドワーフの大トンネルを通らねばならない。
小説のパーンはテシウスの息子だから無条件に実力と人格を信じてくれたけど、こっちではそうもいきませんね。
しかしそこで引き下がるパーンではない。
パーン「大丈夫です。その大任、見事果たしてみえましょう。
見ていて下さいフィアンナ姫、貴方の為にも絶対にやります」
フィアンナ「期待してますわ」←ニッコリ
パーン(やったぜ、脈有り!これでオレは次期国王だ)
もうこいつ本当にローフルなのか。下心が溢れて垂れ流さんばかりです(苦笑)
姫はともかく、ファーンは一行の実力を確かめようと試練を授けます。
その試練こそがミノタウロス退治。PCゲームにもあったシナリオで、小説でいう「幻影の王子」に当たるものです。
前のヴァリス王の幼い王子がミノタウロスに食い殺され、発狂した王はそのミノを王子と思い込んでしまう事件ですね。
そしてそのミノタウロスを養う為に、ロイドの南にある三角州に迷宮を作ったという話です。詳細は小説を参照です。
ただし幾つか小説とは違う点もある。まずは小説と違って迷宮を作らせたのはヴァリス王本人だという点ですね。
小説では発狂した王が政務はちゃんとこなせる事から、王宮と神殿が相談をした上での苦肉の策でしたけどね。
もう1つは、迷宮を作ったのは当時のヴァリス宮廷魔術師でしたが、それが他ならぬウォートだという点ですね。
そうして王はミノタウロスを養う訳ですが、あろう事か花嫁と称して毎年若い娘を迷宮に送りこみました。
しかもそこに王国を我が物にしようとした大臣も加わり、仕方なくウォートは王と大臣を倒して出奔したそうです。
ファーンはその後に推挙されて即位し、次の王位には騎士の中から最も相応しい人物を就けるつもりです。
小説でもヴァリスの王位は世襲制ではありませんが、それは建国時からの慣わしで、こちらでは当代からです。
あとフィアンナ姫をその騎士と結婚させるつもりもないそうです。だって世襲じゃないし。
パーン(しまった、当てが外れちまった)
結局コイツは姫ではなく王位が狙いか。何というか最低だ(苦笑)
★ミノタウロスの迷宮へ潜入する事
今までは前王への配慮からかミノの処分も延び延びになってきましたが、マーモとの戦争も始まるしもう待ったなし。
しかもミノ以外の魔物も迷宮に集まるようになっています。これではローフルな国であるとはとても言えませんしね。
そこに一行が来たのはとっても都合が良かったりする。見込みがある、試練にもなる、国とも無関係、正に適任ですね。
エト「カーラといい、このエルムといい、何か我々は買かぶられている様な気がするな」
DM「魔術師って、すぐに人を高く評価するんだよ。お前は只者では無いな、とかね。一種のパターンじゃないか」
そう言われるとそうかもしれない。なまじ好奇心が旺盛だから、ちょっと見込みのある冒険者を過大評価するのかな。
ここでシナリオの先を見透かすのは、勿論ディードリットだったりする。
ディード「前王の宮廷魔術師てのが、実は大賢者なんじゃないですか?」
DM「(ゲゲッ、相変わらず鋭い)実はその通りなんだよね。何故分かるの?」
ディード「何しろ、うちのDMは伏線を張るのが好きで、設定に凝る方だし。
それにファンタジーのパターンにも忠実だから……」
完全に見透かされてるよ水野先生。そして山本先生恐るべし(笑)
この試練を受けた一行は早速船で三角州へ送ってもらいます。船は引き返すけど、合図を送れば迎えに来てくれます。
いよいよ迷宮に挑戦!……と思いきや、三角州にはリザードマンが住み着いていて、3匹ほどが一行の行く手を阻みます。
彼らにニュートラル語で話しかけると縄張りを主張し、退去を勧告してきます。いやここもヴァリス領なんだけど(苦笑)
結局戦闘になって彼らを倒して迷宮に侵入しましたが、入り口では今度は5匹のリザードマンと遭遇しました。
今度こそは強敵だとスレインが"スリープ"の呪文で眠らせて事無きを得ますが、これは苦しい冒険になりそうです。
★ギムはズタボロになり、賢者は警告を発する事
リザードマンを追っ払った一行は、引き続き大賢者ウォートの作ったミノタウロスの魔宮へと挑みます。
ウォートが作ったというだけあって、限られたスペースに結構色々な仕掛けがあって、罠もてんこ盛りです。
PCゲームにもこのダンジョンは登場しますが、流石に構造は異なります。同様に複雑なダンジョンですがね。
共通点を挙げるとしたら、魔宮の外と内部の中間辺りを繋ぐテレポーターがあるという事でしょうか。
流石のディード(山本先生)もそんな仕掛けは思い当たらず、普通にダンジョンを攻略していきますけどね。
さて一行はスレインのマッピングを頼りに、この複雑な魔宮を踏破していきます。
ここではDMはフィート法を使って内部の描写をするので、方向はともかく距離感は掴み難いかもしれない。
パーン「え、えーと……スレイン、マッピングは大丈夫だろうな」
スレイン「はい、こうでしょお〜〜」
DN「ちが〜う。そーじゃないでしょー!」←手伝う
いくら言葉を尽くしても、やはりプレイヤーとマスターとの認識には齟齬がつきものですね。
そんな事からか、SWリプレイ等ではGM自らがマッピングをするのが当然になっていますね。
こうしてちょっと心配なダンジョン攻略が始まり、開始早々に先頭のギムが落とし穴に落下しました。
ギム「不覚だ」
以前のように隠し扉を目当てに通路の突き当たりに進んだのが裏目に出ました。ていうか前に出ろ盗賊(笑)
これに懲りた一行は扉を見つけてもいきなりは入らない方法でどんどん進みますが、どんどん罠に嵌る。
これらの罠はマップを見るにワイヤーに引っかかると発動するものらしく、矢が飛び出るような典型的なものもある。
幸いこの手の痛そうな罠はこの魔宮の前半に集中していて、残るは後半部分に繋がる通路の落とし穴ぐらいでしょう。
特筆すべきは、イン○ィーでお馴染みのローリング・ストーン・トラップに掛かったのがまたもギムだという事(苦笑)
ディード「ドワーフは鈍足ですからねぇ」
エト「げっ、最低だ。2発しか治らない〜!!」←回復魔法の出目がすこぶる悪い
パーン「お前は神に見放されているのだぁ」
DM=神の視点とすると、こいつら全員神がかった罠に嵌められそうになってる点では同じですけどね。
行ける所を行き尽くした一行は、それまでに見つけた扉を一つずつ調べていきます。
パーン「よし、俺が開けるぜ。みんな下がってろ!」
リーダーカッコイイ。でも扉を開ける前には、せめて盗賊が聞き耳と罠発見ぐらいした方がいいと思う。
最初に入った部屋にはウォートの幻影が現れ、忠告とも警告ともつかないメッセージを発しました。
ウォート「汝はミノタウロスに全てを捧げに来た者か。
それとも王命に背き、これを倒しに来た者か。
愚かなる侵入者には、死の罠が待ち受けている。
終わりは全て危険なり。されど1つは、汝らを正しき道へ導くであろう。
すなわり魔物の巣くう迷宮なり。戻れ、死すべき定めの者どもよ!」
どうも帰る事を望む一方、ヒントをくれる以上ミノを倒してくれる人を待っている風でもありますね。
とにかくこの迷宮を踏破する鍵は行き止まりにあり、そこを重点的に、同時に注意して調べろって事ですね。
この辺の心情はディードが汲み取ってくれたようでした。
ディード「ウォートは脅しと見せ掛けて、ヒントを教えてくれたんですよ。
彼は王命の為、仕方なくこの迷宮を作ったんですから、
恐らくはミノタウロスを倒してくれる勇者の訪れを待っていたはずよ」
パーン「ウォートが、か?」
ディード「まあ、それ以上にうちのDMがですがね」
頭がいいのは分かるけど、そう何でも見通すのも考え物ですね(苦笑)
DM「あまりDMの性格を読んじゃ駄目だよ。
キャラクターはDMの性格を知ってるはずが無いんだからね」
ディード「じゃあ、この世界の原理とでも言えばいいんだ。DM=神ですからね」
DM「DMは、確かに何でも出来るけど、しかし何でもしていいかというと、実はそうじゃない。
DMはゲームを楽しいものにしなけりゃいけないし、その為逆に自制する事も多いんだよ」
ギム「それでもDMは止められない。これはもう、一種の病気だな」
DMであれGMであれ、神の視点を持つだけで神ではない。仮に神でもゲームを管理できても支配はできない。
マスターだってプレイヤーの1人であり、他のプレイヤーと供に物語を生成する点では実は同列だと私は思います。
逆にマスターの思うがままに進行する物語など、最早当人にとってもプレイヤーにとっても面白くないでしょうし。
引き続き扉を開ける一行は、ある部屋で1人の女性と遭遇します。本人曰く、ミノの生贄なのだとか。
さもないと村が荒らされると言いますが、ミノに生贄を捧げる習慣は前王の代までで既に途絶えている筈です。
確かにこの世界にはミノに村が襲われないよう女性を捧げる風習はありますが、この三角州では無用の心配だろうし。
女性「それよりも貴方たちは?」
パーン「俺達は通りすがりの……」
スレイン「アドベンチャラーですよお〜〜」
いやいや、普通迷宮にいる冒険者を通りすがりとは言わないから。何て怪しい連中だ(苦笑)
しかし怪しさでは彼女も負けてない。そこでディードは彼女に"チャームパーソン"をかけます。
すると彼女は抵抗どころか、効いた様子が無い。これは魔物だと指摘すると、そいつは姿を現しました。
実は彼女はドッペンゲンガーだったのです。ドッペン(ル)と言ってもフォーセリアのそれと違って魔神ではない。
設定の詳細はルールブックを見ないと分かりませんが、どうやらこういう擬態能力を持った別種の生物のようですね。
ドッペンは自分の擬態を見破ったディードに変身。たちまち2人のディードによる戦いが始まりました。
SWでは下手に攻撃すると味方に誤爆する恐れがありますが、こちらではそういう処理は無い様子ですね。
結局ディードにパーンとギムも加勢して袋叩きにして普通に倒します。相変わらずダイス運がいいようで。
★戦闘に続く戦闘に、勇者は焦り、疲れる事
迷宮の前半を調べ尽くした一行は、もう1つの落とし穴の脇をすり抜け、通路の行き止まりに隠し扉を発見します。
ここからは迷宮の後半部分です。罠こそなくなるものの、ミノを筆頭にモンスター達が多数待ち構えていて気が抜けない。
幸い最初の方のジャイアント・ラットとオイル・ビートルは、ウッドの魅力の低さに腹を立てず戦闘は回避できました。
それらの次の遭遇は、とある一室にいたシュリーカーという人が近づくと叫ぶキノコのモンスターでした。
こいつは叫ぶだけで直接の戦闘にはなりませんでしたが、その声に引き寄せられて別のモンスターがやってきます。
それはシャドウという影のようなモンスターで、こいつは魔法の武器しか効かないので魔剣持ちのパーンが相手です。
どんな相手かと思いきや、パーンに一撃与えただけでアッサリ排除。確かにモンスターは多いけど大して脅威になってないし。
続いて前進する一行は、とある丁字路の右側に赤い壁の通路(実は例のテレポーターの出口?)を発見します。
ディード「何でしょう?」
パーン「気にしないのが、俺のポリシー。無視して左に行く!」
エト「凄いポリシー……」
こうしてこのテレポーターは一切触れられる事なく、その出番をPCゲームに持ち越されると(笑)
一応迷宮の中央部に赤と青の壁のテレポーターがあって、それがここと、迷宮の外に繋がってるようですが。
その通路の先にはまたも部屋がありました。
パーン「ここかあーー!開けるぞ」←テンション高
DM「違ったあーー!グールが2匹だ、戦闘だあーー」←釣られてテンション高
ところでさっきからウッドが何もしてないんですが、どうしたんだ盗賊。ダンジョンは最大の見せ場だろうに。
さてグールはこのゲームでもアンデッドなので、こっちはカッパの出番です。
エト「とりあえず"ターン・アンデッド"ねーーま、また失敗だあー!」
ウッド「返さない、治さないのクレリックさんだね」
そういうこいつは調べない、(扉を)開けないのシーフさんなんですけどね。
このゲームでもグールは麻痺の能力を持っていて、牙・爪・爪の3回攻撃をしてきます。
この麻痺はエルフであるディードには効かないが(そういう種族特徴)、ギムが麻痺してしまいました。
グールそのものはすぐに倒せたんですが、これを治す為にエトが魔法を使い、早くも魔法は品切れ=役立たずに(苦笑)
仕方ないのでなけなしのヒーリング・ポーションでギムをもう少しだけ回復させ、著しく消耗した状態で先へ進みます。
★ディードリット、獅子奮迅の活躍をする
魔法は無い、HPもない。こうして割りと絶望っぽいコンディションでミノタウロス戦に突入します。
パーン「ここに間違いあんめぇ。開けて突っ込むぞー!」
エト「ちょっと待ってよ。その前に作戦を立てよう。
パーンとギムが突っ込むのは良いが、他の人はどうする?」←偉いぞカッパ
ディード「私は"マジック・ミサイル"を使ってから、剣を構えて突撃します」
ウッド「オイラは弓で攻撃するさ」
エト「僕もメイスで攻撃しよう。魔法が無い以上、僕も戦わなきゃね」←偉いぞカッパ
パーン「よーし、突撃じゃー!!」
あれ、あれ、1人何もしていない人がいますね。ヒント、残るは色物魔法のみで攻撃魔法がない人(笑)
何しろ初っ端にリザードマンに"スリープ"をかましたから。ミノがいると分かってるんだから腹話術じゃないだろ。
決戦の部屋は6m×15mとかなり広く、壁に永続的に発光する"コンティニュアル・ライト"がかかっていて明るい。
ミノがこちらに気づけば即戦闘開始です。各自打ち合わせ通りに武器や魔法でミノタウロスに果敢に挑んでいきます。
スレイン「僕はそれをしっかりと見ておきますう。ああ、これが永遠の別れかも知れませんねえ〜〜」
この腐れ魔術師!せめて応援でもしてくれ。もしかスリングでも用意しておけ(笑)
しかしミノはやはり手強かった。まずパーンに攻撃が集まって早くもHPがレッドゾーンに突入。
DM「あらぁ、当たったわ。うん、パーンは死んだね」
パーン「うむむむむ、無念だ!!」
エト「パーンのカタキだ、今度こそ……駄目だ」←アッサリ
また本当にアッサリ死にますね。やっぱり戦闘バランスに問題がある気がする。
残された前衛達もかなり絶望的でした。
DM「ギムを狙ってーー当たり、5発のダメージ」
ギム「わしも、後一撃でアウトだ。こっちの攻撃は……駄目だ」
エト「僕は期待しないでよーーやっぱり、また失敗」←こらカッパ
駄目だこいつら。
しかしここで活躍したのが他ならぬディードリットでした。
ディード「私は倒れたパーンの愛剣を拾って、斬り掛かる。くたばれ、化け物!命中!!
この剣はよく当たりますね。自分のものにしましょう。パーンも死んでいる事だし」
パーン「ひでぇ!」
スレイン「あのお、死人さんはあ……」←死に体が人の事言えるか
しかし実際ディードはよくやってます。ほとんど1人でミノ相手に奮戦してます。
そして続く戦闘でも彼女の活躍と、仲間の駄目さは続く。
エト「だからあ、僕は当たらない」←諦めの境地
ギム「わしも当たらない」
ディード「そろそろでしょう。また、当たり!ダメージはマックス、10発!」
DM「うーん、ミノタウロスは死んだ」
凄い、勝てた、ディードのお陰で。他の仲間は死んだ戦士、死に体の魔法使い、空振り打者ばかりなのに(笑)
部屋には1つの箱があって、これはウッドの仕事です。どうやらこれまでも彼が色々な宝を回収していたらしい。
ウッド「他にも、かなり金が入ったし、今回は大収穫だ」←1人死んでるけどね
スレイン「アッパレ、アッパレ。でも僕はなーんにもしませんでしたよお〜。
仕方無いから、パーンの死体に"ペントリロキズム"を使いますう。
こうすれば、死体も喋るんですよお。うむむむむ〜とでも言わせましょうかあ」
この腐れ魔術師!せめてそんな色物魔法じゃなくて"マジックミサイル"でも覚えておけばいいのに。
こうしてミノタウロスを倒し、見事試練を果たした一行はファーン王にも認められました。
更にレベルを上げ(3〜4レベル)、ウォートの館を目指して「ドワーフの大トンネル」に向かいます。
なおパーンは普通に蘇生してもらえたようです。どうやらダイスは彼を見放した訳ではなかったようですね。
★オープン・アドベンチャーに挑戦する事
ミノタウロスの魔宮から帰還した一行は、まずレベルを上げ、収穫したマジックアイテムを分配します。
これがまた大盤振る舞いのようで、レベル上昇もあって、前回までとはまるで戦闘力が異なるほど強化されました。
逆に言えばそれだけ次の冒険の舞台である「ドワーフの大トンネル」は難所という事でもあるんでしょうけどね。
なおこの分配は以下の通り。
パーン
ツーハンデッド・ソード+2(両手持ちの大剣)
プレートメール・アーマー+2ギム
プレートメール+1(ドワーフ用)ディードリット
ソード+1"フレーム・オン・コマンド"(刃から炎を発する)
シールド+2エト
メイス+1
シールド+1ウッド
ソード+1(パーンのお下がり)
エルフ・ブーツ(エルブンブーツ、足音を消す)
ホールディング・バッグ(SWでいう"無限のバッグ"?)スレイン
マジカル・パワースタッフ
(ストライキングスタッフ、ファイヤーボール、ライトニングボルト
アイスストーム、コンティニュアルライト、テレキネシス等が使える)
クリスタルボール(相手の意思を読み取る)
その他ポーション類は取っておいて、残りは換金して路銀とします。しかし素人目にも凄い装備の充実ぶりです。
小説同様パーンが+2装備一式を持ってるのも興味深いし、スレインの杖は明らかに群を抜いて強そうです。
ディードの剣は"ナイトブレイカーズ"のレイハの剣と似た魔力ですね。中の人が関連してるけど、きっと偶然。
こうして強化された一行がいよいよ旅立ちます。
DM「ちゃんとオープンアドベンチャーをやってもらうからね」
パーン「そうか、オレたちゃそんなに強くなったんだ」
スレイン「何を呑気な。それだけ危険も大きくなるんですよお!」
まったくその通りだけど、お前が言うな(笑)
オープン・アドベンチャーですが、ウィルダネス・アドベンチャーともいいますね。野外を舞台にした冒険の総称です。
これにより、今まで登場を自重していたワンダリング・モンスターなんかも登場し得るという事で、気が抜けませんね。
他には街を舞台にしたシティ・アドベンチャー、屋内を舞台にしたダンジョン・アドベンチャー等が挙げられますね。
旅に出た一行は早速野営中に狼に襲われて大変な事になりました。
エト「当然の話だけど、夜には見張りが必要だね」
ギム「うん、良い教訓になった。強い敵なら全滅だったわい」
ウッド「寝た子を起こすのは難しいけど、殺すのは簡単だもんな」
夜に限らず、危険を予想される場所で無防備になるようなら須らく必要になる事ですね(笑)
スレイン「それはそれとしてですねえ、僕は見張りはしませんよお〜」
ディード「ちなみに、私もしません」
エト「じゃ、僕も寝られる組だ」
ウッド「じゃ、オイラも……」←こら、盗賊
パーン「シーフは夜に強いんだろ!」
なお魔法使いは6時間睡眠しないと魔法が回復しないからこう言ってるのであって、サボリではない。
結局ウッド→ギム→パーンの3交代で見張りに立ちます。この辺SWリプレイだと色々考えられてますね。
★ロードスの血塗られた歴史と謎の一団の登場
以後一行は3日に1回の割合で戦闘をこなし、その他様々なサブイベントをこなしていきました。
例えばとある村でのトロール退治。小説でいうウズの村でしょう、PCゲームにも似たようなシナリがあった。
ウズの村は漫画版「ファリスの聖女」や、カセットブックの「幻惑の魔石」等でも度々登場するモス地方の村です。
またお祈りに立ち寄った寺院がカオスの寺院でひと悶着あったりと、なかなか冒険らしい冒険を重ねているらしい。
そうして旅をする内にカーラの事、現在のロードスの状況なども少しずつ分かってきました。
ここで得た情報には「魔神戦争」のものも含まれ、概ね小説のような事件がこの世界でもあった模様です。
要は某国の王が「世界で最も深い迷宮」の「デーモンの扉」を開き、扱いを誤って魔神達が暴れだしたんですね。
それに対抗してロードスに住む人間・ドワーフ・エルフ・ハーフリング(小人族)が協力して戦ったというお話です。
これと供にファーンやウォートらの六英雄の存在も明らかになり、小説と殆ど変わらない設定が定着しました。
元々「魔神戦争」のプロットは水野先生の学生時代の頃からあったというので、これが初出ではないでしょうが。
一つ小説と違うのは、六英雄の最後の1人仮面の魔法戦士がカーラ自身だと推測する人が一般にいるという事。
あとカーラがとある寺院の秘法を奪い、司祭の娘が攫われたという情報も入手しました。レイリアさんですね。
小説では彼女とギムを結び合わせて冒険のきっかけとし、一行とカーラの因縁をより深いものにしたという訳です。
こうして見ると、小説の色々な事柄の原点が見えたりして面白いものです。今更ながらに貴重な作品ですよね。
こういった冒険を経て一行は更にレベルを上げていき、一行の平均レベルは6にまで達していました!
エトとウッドが7、パーンとギムとスレインが6で、ディードは5レベルという成長具合のようです。
そうしてドワーフの大トンネルに到着した一行でしたが、そこにはカーラの部下が待っていたのです。
彼らは5人パーティーで、5レベル戦士2人、6レベル戦士1人、7レベル僧侶1人、5レベル魔法使い1人です。
これはPCゲームにもあったイベントで、カーラについて知り過ぎた一行を仲間に引き込もうとしてきます。
手下「我々の味方になれ、別にファーンに大恩がある訳でもなかろう。
我々に敵対したところで、そこにあるのは惨めな敗北と、そして確かな死だけだぞ。
考えろ!ここで果てるか、カーラ様の忠実な僕となるか、さあ、選ぶのだ!」
パーン「おめーらみてえな邪悪な奴らとは組めねえな。こう見えてもオレは、バキバキにローフルなのよ!」
ディード「随分ガラの悪いローフルですねぇ」
ギム「ワシはパーンがローフルだったなんて、すっかり忘れておったぞ」
パーン「あのなあ……」
まるで車田漫画みたいな熱い応酬です。ていうかこの男はローフルだったっけ(忘れるなよ)。
しかしカーラの目的を尋ねても、それは仲間にならないと教えられないの一点張り。最早交渉の余地は無い。
パーン「オレ達の答えは決まっているぜ。問答無用だ、覚悟しやがれ!」←それじゃあ悪役だ
ウッド「決まってなかったのに〜〜」
ギム「相変わらず横暴なリーダーだ。が、仕方が無い、戦闘じゃあー!」
ちなみにPCゲームではここで投降するとケイオスポイントという隠れポイントが溜まり、エンディングに影響する。
他にも三聖具を返さなかったり、依頼を不履行にしたり……。混沌としたエンディングが見たい方にはお勧めです。
こうして始まった集団戦闘は初期のヘッポコぶりが信じられない程苛烈でした。特にスレインが。
魔法使いは互いに"ファイヤーボール"を撃ち合うも、スレインが敵魔法使いの魔法を封じ"マジックミサイル"で撃沈。
魔法の武具に身を包んだ戦士達は激しく斬りあうも概ねこちらが優勢に戦い、僧侶であるエトも回復・援護魔法で大活躍。
これは金縛りの"ホールド・パーソン"、沈黙の"サイレンス"、目潰し?の消えない明かり"コンティニュアル・ライト"等。
なおウッドはハイド・イン・シャドウで影に隠れてた。どうした盗賊、あのスレインとエトですら活躍してるのに(笑)
結局この戦闘はこちらの勝利に終わりました。
エト「勝つには勝ったが、僕たちもボロボロだよ。今日はここでキャンプを張ろう」
スレイン「そうしましょうよお〜。僕のHPはもう2しか無いんですよお〜」
ウッド「あたしゃ、怪我なんかしてませんぜ」
パーン「おめーは、奴らと話し出した時から姿をくらましていただろーが!」
ウッド「ゲッヘッヘッヘッヘッ」
何てヤツだウッド、盗賊らしいけど。OVAのウッドは一緒に戦場にまで行ってくれたのに。
★勇者達、いよいよ大トンネルに突入する
3日間キャンプして怪我を自然治癒させた一行は、ようやく「ドワーフの大トンネル」に挑みます。
小説ではナチュラルに飛ばされた行程ですが、OVAでは第一話に登場した事で有名な場所ですね。
一行はおよそ3日間をかけてこの長いトンネルを踏破し、多くのワンダリング・モンスターと戦いました。
マップでは5日間はかかる筈なのですが、多分端折ったんでしょう。戦闘ばかりでも飽きが来るし。
またマップでは途中の分岐から既に滅びた石の王国らしき街にも通じているようですが、今回は寄りません。
このモンスターはマップにもちゃんと表が載っていて、結構多種多様なモンスターが巣くっているようです。
ブラック・プティング、ケイプ・ベア、オーガ、レイス、ストーン・ジャイアント、コカトリス。
ワー・ベア、バグ・ベア、マンティコア等など。挙句の果てには7つ首のヒドラとかもいるようですね。
あとは分岐先の空間にいるトロルとかかな。確かにこうモンスターばかりじゃ単調でいい加減嫌になるでしょう。
ところが一行はトンネルの出口付近で最大の難関に差し掛かります。ドラゴンがいたのです、PCゲーム同様に。
余談ですが、この手のモンスターは登場のさせ方によって幾つかに分類されます。
ワンダリング(ランダム)・モンスター
TVゲームでもよくある種類で、モンスターの種類・数を予め複数設定し移動すると乱数によって出現する。セッティングランダム・モンスター
種類と数はワンダリング同様に乱数で求められるが、出現場所が固定されているのが特徴。主にイベント用。セッティング・モンスター
登場する種類も数も位置も決まっている。生粋のイベント用モンスターで、所謂ボスキャラ。
これら以外にも色々な名称や分類方法があるでしょうが、概ねこれで説明がつくでしょう。
今回の例では、表で求められるものがワンダリング・モンスター、ドラゴンはセッティング・モンスター。
さて今回のお話はここでラストとなり、ドラゴンとの対決やウォートとの対面は次回の最終回に回されます。
まだまだ「英雄戦争」とかカーラとの対決とか色々あるんですけど、最後までこのリプレイを見届けましょう。
★勇者達、ドラゴンスレイヤーとなる事
「ドワーフの大トンネル」の出口を目前にして、一行の行く手にはドラゴンが立ち塞がりました。
パーン「よーし、ストップ。少し作戦を考えよう」←珍しく冷静
DM「おおっ。珍しい。パーンが作戦を考えるなんて」
パーン「オレだって相手がドラゴンなら考えるさ。で、その作戦なんだが、
みんなで散開して突っ込むてえのはどうかな。誰かは生き残るぜ」
どうせなら全員生き残った上で突破できる作戦を考えようや(苦笑)
とにかく作戦を立てる上でも敵の様子を探るのは必要です。そこで斥候を出す事にしました。
エト「誰かに様子を探らせよう」
ディード「誰かって?」
ギム「それはシーフの役目だろう」←ですよねー
ウッド「ゲッ、何でよう。止めてよう。ドラゴンだったらブレス1発で死んじゃうよう!」
だから魔法のブーツを履いてるウッドが行くんです。足音を消すなんて、理想的なアイテムを持ってるんだし。
余談ですが、PCゲームでも盗賊がいればシューティングスターの巣から王錫をかっぱらう事ができたりする。
勿論野面では行かせません。スレインが"インビジビリティ"で彼を透明にして送り出します。
これで視覚的にも聴覚的にも気づかれる要素は無い筈。SWだったら自動的に成功にしてもいいレベルでしょう。
ただしSWの"コンシール・セルフ"には及びませんけどね。こちらは視覚・聴覚に加えて嗅覚まで誤魔化すから。
結局95%という高確率で成功する事になり、彼は楽々とドラゴンの様子を探る事ができました。
敵は青い鱗の竜で、バッチリ起きてました。でもその巨体の下には金銀財宝マジックアイテムがどっさり!
ウッド「ほうほうほう。これは是非とも倒さなきゃ」
パーン「さすがシーフ!」
なおこのゲームにおける青いドラゴンはブレスが直線状で、本当にパーンの言う散開作戦が有効だったりする。
ディード「まずスペル・キャスター(魔法を使える者)が、呪文で先制攻撃。
そしてファイターが分散してドラゴンに突撃」
ウッド「そしてオイラはここに隠れている」←戦えよ
パーン「バカモノ。バック・スタップ(背後から攻撃)が出来るだろうが!」
DM「でも1度攻撃したらインビジビリティの呪文の効果は、無くなるよ」
パーン「それでもウッドはやるそーだ」
この暴君が(笑)
ではいよいよ戦闘開始。まずはイニシアティブを決定する重要な判定です。
DM「不意打ちに近いからダイスの目は+1して良い」
パーン「ありがてぇーーげっ、1だ」←やっちゃったー!
DM「+1しても2と。こっちは4だからドラゴンのブレス攻撃から。犠牲者はギムさん!」
ギム「こ、来い。セービング・スローには成功したぞ」←抵抗判定ね
DM「あ、そう。ではダメージは30」
ギム「ゲッ」←残りHP1!!
……いきなり不安だ。でもスレインとディードのダブル"ファイヤーボール"で39点お返し。
次のラウンドはこちらが先行で、更に魔法を叩き込みます。
スレイン「マジック・ミサイルですう。ダメージは9ですよお」←累計48点
ディード「私は、ミラー・イメージ(分身)を使って剣から炎を出し、突っ込みます」
パーン「無能なファイターは殴るだけでい!」←わかってるー
更にウッドが例の背面取りで8点ダメージを叩き込み、累計ダメージは56点にもなりました。
実はこのドラゴンのHPは60点なので、この時点で残り4点。もう殆ど詰んでいたりする。
続いてのドラゴンの攻撃でパーンが20点削られるものの、戦士2人の攻撃でドラゴンは倒れた!
スレイン「やたっ、ウィ・アー・ドラゴンスレイヤーですよ〜〜」
"竜殺し"と言えば数ある称号の中でも最も誉れ高いものの一つですが、今回で連載最終回だし。
★ウォートの館にてカーラと出会う事
苦労の末に大トンネルを抜けた一行は、ようやくウォートの館(というか塔)に到着しました。
一行は小説通りに塔の内壁に取り付けられた動く階段に乗り、ウォートの待つ部屋へと入ります。
そしてそこには、やはり小説通りにウォートとカーラの姿があったのです。
エト「酷い、何という罠だ。2人がグルだったなんて!」
パーン「許せん、マスターを剣で殴ってやる」
でも大丈夫、これまた小説同様に理由があっての事なのです。
カーラ「もしかしたら、貴方たちこそ私の運命を決する者かも知れないわね。良いでしょう。
貴方たちの挑戦を受けましょう。私はここに住んでいます。いつでもいらっしゃい」
スレイン「どーも」←地図を受け取る
多分小説同様にルノアナ湖にある屋敷の場所を教えてもらったんでしょう。
あと彼女はトンネルの入り口で倒された部下達を生き返らせたいので所在を聞いてきます。
スレイン「あの人たちならあ……」←正直
エト「バカッ、生き返らせてどうすんだ」
スレイン「ムググ」←口を押さえられた
しかしカーラは心を読む呪文でアッサリ所在を割り出してしまいます。また彼らと戦う時が来るかも。
用件が済めばカーラは立ち去ってしまいます。ただしこの場では瞬間移動を使わず、徒歩で(珍しい)。
★最後の章、さらば6人の勇者達
さて彼女が去ればウォートとの対談です。彼には聞きたい事が山ほどありますからね。
ただしこの質問は1人1回のみ。それ以上の質問は対価を要求されるので、よく考えないといけない。
この対価とはお金ではない。この塔の地下には価値のある宝が山ほどあり、好きに持っていっていいぐらいです。
ただし守護者であるモンスターも一緒ですが。彼の要求する対価とは知識そのものだというから実に大賢者らしい。
以後の回答は基本的に小説と一緒ですが、まずはエトの質問です。「カーラとは何者か?」。
カーラとは自分の魂を魔法のサークレットに封じ着用者を支配する事で永遠に存在する術を手に入れた魔女です。
ただしやはりカストゥール王国云々の設定は無い。普通に不老不死の強力な魔女という設定のようです。
続いてはスレインの質問です。「カーラの目的とは?」
全ての事象のバランスを取る事。善も悪も関係なく、大き過ぎる力は破壊して力の天秤を取り続ける。
今回はファーン王の下にロードス諸国が連合し、円卓会議で全てを決するようになるのを覆すのが目的。
その為に彼女はマーモに加担していただけで、バランスさえ取れればもうそれ以上の助力はしません。
加えて今回ウォートが戦に関わらないと約束した事で、彼女もこれ以上関与しないという盟約を結びました。
続いてはパーンの質問です。「カーラはどうすれば倒せる?」
殺せばその者が新たなカーラとなってしまうので、殺さずにサークレットを引き剥がす。
ウッド(サークレットか、これはすげえアイテムだぜ!)
このようにちゃっかりフラグを立てていたりもする。
次はギムの質問です。「現在カーラが支配しているのは何者か?」
カーラに誘拐された某寺院の司祭の娘レイリアです。ただし彼女がニースの娘だという設定は無い様子。
スレイン「それは、可哀想ですねえ。何とか解放してあげましょうよう〜」
こいつもまたフラグを立てているのかな。まぁ当時はそんな言葉は一般的ではなかった筈だけど。
質問は以上です。あと暗にカーラ=仮面の魔法戦士を肯定している感じでした。
パーン「よーし、これで決まった。我々はファーン王を守り、マーモと戦う。
そしてカーラと対決し、哀れなクレリックな姉ちゃんを救ってやる。
英雄の名は、オ、オレのものだ〜〜!」
野心が溢れて垂れ流さんばかりです。最終回ながら、こいつは本当にローフルか?
しかしその為には急いでヴァリスへ戻らねばなりません。開戦はもう間もなくです。
空を見上げると、モスの誇る竜騎士達がゴールド・ドラゴンに跨って空を飛ぶ様子が見えます。
更にはヴァリスの方角では隕石が落下しているようです。究極の魔法"メテオ・スォーム"です。
ディード「急いでヴァリスへ戻りましょう。我々には竜の翼はありませんが、2本の足はありますからね。」
エト「そして、マーモの軍勢を撃ち破り、邪悪な勢力を追放しよう」
パーン「そして、カーラを滅ぼし、オレは英雄になるんじゃ〜!」←私欲
ギム「うむ、胸が高鳴るぞ」
スレイン「仕方有りませんねえ」
ウッド「……」←考え込んでいる
そして彼らは闇夜の中をヴァリスへ向けて突き進んでいったのです……。
と、ここでこのリプレイは終了です。どうやら未公開のセッションもある模様ですがね。
なんでもその未公開エピソード込みで書籍化の予定もあったようですが、結局流れてしまったようです。
まぁ続きは概ね小説通りでしょう。「英雄戦争」でファーンとベルドが死に、一行はカーラと対決。
ギムの犠牲の上でカーラを倒してレイリアを救出したが、ウッドが新たなカーラとなってしまう。
小説でギムの命を奪った謎魔法もD&Dの魔法ですね。ルールブックがあればエフェクトから推察できるかも。
しかしもしそれらが本当にセッションの中で起きた事実だとすると、特にウッドのプレイが凄過ぎる。
サークレットを持って逃亡するなんて、見事なロールプレイです。流石にDMの予想外だった筈です。
ウッドというPCの性格を考えて、「こいつならこうするだろう」という想像を実行したのでしょう。
結果として彼の行動が小説のパーンとディードの壮大な冒険の引き金になり、我々の知る物語に繋がった。
ウッドに限った事ではありませんが、彼らの物語は彼らが常に決断をする事で生成されたものです。
それはマスターやダイスの目が影響しているかもしれませんが、決断するのは常にプレイヤー自身です。
決断するのは時に難しい事です。しかしだからこそそれを成し遂げた時、その人だけに許された物語が始まる。
そしてその物語が語り継がれ、引き継がれ、今日知られるロードスやフォーセリアの物語になったんです。
このリプレイは書籍化はされず、最後まで語られる事の無い、フォーセリアの歴史の陰にあるもの。
しかし彼らの冒険は後の世界に確実に影響し、我々の知るロードスの物語の始まりでもあった筈です。
だから偉大なる先人に最大級の敬意を払い、この物語をフォーセリアの歴史の一端に加えたく、ここに記しました。